特許第6410014号(P6410014)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6410014
(24)【登録日】2018年10月5日
(45)【発行日】2018年10月24日
(54)【発明の名称】荷重支持機構
(51)【国際特許分類】
   F16M 13/00 20060101AFI20181015BHJP
   H04N 5/64 20060101ALI20181015BHJP
   G09F 9/00 20060101ALI20181015BHJP
【FI】
   F16M13/00 S
   H04N5/64 581T
   G09F9/00 351
【請求項の数】6
【全頁数】24
(21)【出願番号】特願2014-103704(P2014-103704)
(22)【出願日】2014年5月19日
(65)【公開番号】特開2015-218837(P2015-218837A)
(43)【公開日】2015年12月7日
【審査請求日】2017年4月25日
(73)【特許権者】
【識別番号】000208743
【氏名又は名称】キヤノンファインテックニスカ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100098589
【弁理士】
【氏名又は名称】西山 善章
(74)【代理人】
【識別番号】100098062
【弁理士】
【氏名又は名称】梅田 明彦
(72)【発明者】
【氏名】青柳 達三
(72)【発明者】
【氏名】秋山 洋人
(72)【発明者】
【氏名】落合 徹
(72)【発明者】
【氏名】小林 美佐夫
【審査官】 米澤 篤
(56)【参考文献】
【文献】 特開2010−110539(JP,A)
【文献】 実開昭61−145222(JP,U)
【文献】 実開昭61−170440(JP,U)
【文献】 実開昭63−100492(JP,U)
【文献】 米国特許出願公開第2010/0320430(US,A1)
【文献】 米国特許第4042202(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16M 13/00
G09F 9/00
H04N 5/64
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
固定支持部と、
前記固定支持部に関して移動可能な、荷重を受けるための可動支持部と、
前記荷重を支持するように前記可動支持部を常時付勢する付勢手段と、
前記固定支持部に関する前記可動支持部の移動を制限する規制手段とを備え、
前記規制手段が、前記固定支持部側の固定側係合部と、前記可動支持部側の可動側係合部と、前記固定側係合部と前記可動側係合部間に挿脱可能に介装される規制部材とからなり、
前記可動支持部が前記荷重を支持していない状態で、前記付勢手段の付勢力によって前記規制部材が前記可動側係合部と係合しかつ前記固定側係合部と係合し、前記可動側係合部から受ける前記付勢力と前記固定側係合部から反力とによって、前記固定側係合部と前記可動側係合部間に係止されることを特徴とする荷重支持装置。
【請求項2】
前記規制部材が、前記固定側係合部と前記可動側係合部間に係止された状態で、前記規制部材の挿脱方向に前記固定支持部及び/又は前記可動支持部と係合する第1突起を有することを特徴とする請求項1に記載の荷重支持装置。
【請求項3】
前記規制部材が、前記可動側係合部から受ける前記付勢力と、前記固定側係合部から受ける前記反力とによって回転しようとする方向に、前記固定支持部及び/又は前記可動支持部と係合する第2突起を有することを特徴とする請求項に記載の荷重支持装置。
【請求項4】
前記規制部材の前記第1突起と前記第2突起とが共通することを特徴とする請求項3に記載の荷重支持装置。
【請求項5】
前記可動支持部が前記付勢力に抗して、前記規制部材と前記可動側係合部との係合を解除する向きに移動可能であることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の荷重支持装置。
【請求項6】
固定支持部と、
前記固定支持部に関して所定の方向に沿って所定の範囲で移動可能な、荷重を受けるための可動支持部と、
前記固定支持部に設けられ、固定カム面を有する固定カムと、
前記可動支持部に設けられ、互いに対向する第1可動カム面と第2可動カム面とを有し、前記可動支持部の移動方向と交差する向きに延長するカム溝と、
前記第1可動カム面又は前記第2可動カム面に接しつつ、前記カム溝内を該カム溝に沿って移動可能なカムフォロアと、
前記荷重を支持するように前記固定支持部と前記可動支持部との間に介装された第1ばねと、
前記カムフォロアを前記固定カム面に付勢する第2ばねと、
前記固定支持部に関する前記可動支持部の移動を制限する規制手段とを備え、
前記固定カム面の前記カムフォロアに対する反力が、前記可動支持部の移動可能な前記所定の範囲においてその位置によって発生する前記可動支持部の移動方向に沿った第1方向の成分と、少なくとも前記可動支持部の移動方向に直交する第2方向の成分とを含み、
前記固定カム面が、前記カムフォロア周りに作用する前記荷重と前記第1ばねの付勢力と前記固定カム面の前記カムフォロアに対する反力と前記第2ばねの付勢力とが、前記可動支持部の移動可能な前記所定の範囲において平衡するカム形状を有し、
前記規制手段が、前記固定支持部側の固定側係合部と、前記可動支持部側の可動側係合部と、前記固定側係合部と前記可動側係合部間に挿脱可能に介装される規制部材とからなり、
前記可動支持部が前記荷重を支持していない状態で、前記第1ばねの付勢力によって前記規制部材が前記可動側係合部と係合しかつ前記固定側係合部と係合し、前記可動側係合部から受ける前記付勢力と前記固定側係合部から反力とによって、前記固定側係合部と前記可動側係合部間に係止されることを特徴とする荷重支持装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば物品等の荷重を所望の位置にかつ移動可能に支持する荷重支持機構に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、コンピューターやテレビのモニター装置、OA机や作業テーブルの天板、重量物等の物品を所望の高さ位置にかつ昇降可能に支持するために、様々な支持機構が提案されている。例えば、モニター装置を上下に移動でき、任意の位置に一定の支持力で位置決めできるモニター装置支持機構が知られている(例えば、特許文献1を参照)。
【0003】
特許文献1記載のモニター装置支持機構は、モニター装置を取り付けた上部構造の移動体を、下部構造の側面により昇降可能に案内保持する。下部構造に設けたカムと、該カムに対してばねにより常時付勢されたカム従動部材とによって、水平方向のばね力を略一定の垂直方向の支持力に変換し、モニター装置の位置を調節して保持する。
【0004】
特許文献1によれば、ばねが移動体上のモニター装置との平衡を保つために、カムは、カム従動部材の位置に関係なく、ばね力がモニター装置の運動方向に一定の平衡力をもたらすようなカム形状に形成される。これにより、上部構造即ちモニター装置を長い距離範囲で移動可能にしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2002−303304号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上述した従来のモニター装置支持機構では、ばねの付勢力が常時カム従動部材をカムに対して付勢して、昇降可能な上部構造を上向きに支持する方向に作用している。そのため、モニター装置を取り付けていない無荷重の状態では、上部構造が常に最上位置に押し上げられている。上部構造は、この状態で下向きの外力が作用すると、その大きさによって下降する虞があるから、搬送又は保管時等の取り扱いには、より十分な注意を払わなければならない。
【0007】
特に、この状態で重量物のモニター装置を上部構造に取り付けようとすると、該モニター装置を最上位置まで持ち上げねばならず、非常に面倒で、作業性が非常に悪く、微妙な調整が困難になったり、場合によっては落下等の危険を伴う虞すら考えられる。更に、上部構造は、モニター装置を取り付けた途端、ばねによる支持力と平衡することによって、簡単に昇降可能な状態になる。そのため、取付作業中にモニター装置が外力等の作用で不用意に昇降する虞があり、そのような状態で調整作業をすることは非常に困難かつ面倒である。
【0008】
そこで、本発明の目的は、固定支持部と、該固定支持部に関して移動可能な、荷重を受けるための可動支持部と、該荷重を支持するように可動支持部を付勢する付勢手段とを備えた荷重支持装置において、固定支持部に対する可動支持部の移動を、荷重が取り付けられてない無荷重状態でも任意の高さ位置にロックする規制手段を設けることにある。
【0009】
更に本発明の目的は、かかる荷重支持装置において、特に重量物の物品等を支持する際に、その大きな荷重を負担するために別個の手段や格別に強固な構造を必要としない規制手段を設けることにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の荷重支持装置は、
固定支持部と、
前記固定支持部に関して移動可能な、荷重を受けるための可動支持部と、
前記荷重を支持するように前記可動支持部を常時付勢する付勢手段と、
前記固定支持部に関する前記可動支持部の移動を制限する規制手段とを備え、
前記規制手段が、前記固定支持部側の固定側係合部と、前記可動支持部側の可動側係合部と、前記固定側係合部と前記可動側係合部間に挿脱可能に介装される規制部材とからなり、
前記可動支持部が前記荷重を支持していない状態で、前記付勢手段の付勢力によって前記規制部材が前記可動側係合部と係合しかつ前記固定側係合部と係合し、前記可動側係合部から受ける前記付勢力と前記固定側係合部から反力とによって、前記固定側係合部と前記可動側係合部間に係止されることを特徴とする。
【0011】
このように荷重を支持するための付勢手段の付勢力を利用した規制手段によって、荷重が取り付けられていない無荷重の状態でも、可動支持部を固定支持部に対して容易に解除されないようにロックすることができる。これにより、荷重の取付やバランスの調整等において作業性が大きく向上する。また、付勢手段の付勢力を直接利用して可動支持部をロックしているので、荷重を取り付けた状態でも、該荷重を負担するために別個の手段や特別な構造を設ける必要が無いので有利である。
【0012】
或る実施態様では、規制部材が、固定側係合部と可動側係合部間に係止された状態で、該規制部材の挿脱方向に固定支持部及び/又は可動支持部と係合する第1突起を有する。このように第1突起を設けることによって、ロック状態における規制部材の取り外しを有効に阻止することができる。
【0013】
別の実施態様では、規制部材が、可動側係合部から受ける付勢力と、固定側係合部から受ける反力とによって回転しようとする方向に、固定支持部及び/又は可動支持部と係合する第2突起を有する。このように第2突起を設けることによって、ロック状態における規制部材の回転を有効に阻止することができる。
【0014】
また、別の実施態様では、規制部材の第1突起と第2突起とが共通するように設けられる。これによって、規制手段の構成を簡単にすることができる。
【0015】
更に或る実施態様では、可動支持部が付勢手段の付勢力に抗して、規制部材と可動側係合部との係合を解除する向きに移動可能に構成される。これにより、可動支持部に荷重を取り付けた際に、その取付状態や付勢手段とのバランス状態を安全に調整することができる。
【0016】
本発明の別の側面によれば、本発明の荷重支持機構は、
固定支持部と、
固定支持部に関して所定の方向に沿って所定の範囲で移動可能な、荷重を受けるための可動支持部と、
固定支持部に設けられ、固定カム面を有する固定カムと、
可動支持部に設けられ、互いに対向する第1可動カム面と第2可動カム面とを有し、可動支持部の移動方向と交差する向きに延長するカム溝と、
第1可動カム面又は第2可動カム面に接しつつ、カム溝内を該カム溝に沿って移動可能なカムフォロアと、
荷重を支持するように固定支持部と可動支持部との間に介装された第1ばねと、
カムフォロアを固定カム面に付勢する第2ばねと、
固定支持部に関する可動支持部の移動を制限する規制手段とを備え、
固定カム面のカムフォロアに対する反力が、可動支持部の移動可能な前記所定の範囲においてその位置によって発生する可動支持部の移動方向に沿った第1方向の成分と、少なくとも可動支持部の移動方向に直交する第2方向の成分とを含み、
固定カム面が、カムフォロア周りに作用する荷重と第1ばねの付勢力と固定カム面のカムフォロアに対する反力と第2ばねの付勢力とが、可動支持部の移動可能な所定の範囲において平衡するカム形状を有し、
規制手段が、固定支持部側の固定側係合部と、可動支持部側の可動側係合部と、固定側係合部と可動側係合部間に挿脱可能に介装される規制部材とからなり、
可動支持部が荷重を支持していない状態で、第1ばねの付勢力によって規制部材が可動側係合部と係合しかつ固定側係合部と係合し、可動側係合部から受ける前記付勢力と固定側係合部から反力とによって、固定側係合部と可動側係合部間に係止されることを特徴とする。
【0017】
このような構成の荷重支持装置では、カムフォロア周りに作用する力が平衡状態にあるとき、可動支持部の移動方向には、荷重と、第1ばねの付勢力と、固定カム面の反力の第1方向の成分とが平衡する。従って、可動支持部は、他の構成要素又は外力を用いることなく、所望の位置で荷重を支持した状態に保持することができる。
【0018】
ここで、「平衡」とは、本願明細書を通して、或る物体又は部材(例えば、カムフォロア)にいくつかの外力が作用しているときに、それらの合力が0であり、その結果、その物体又は部材が静止している状態にあることをいうものとする。また、この或る物体又は部材に作用する外力には、前記或る物体又は部材自体の荷重即ち自重に加えて、該或る物体又は部材と他の物体又は部材との間に発生する摩擦力、該或る物体又は部材に前記外力を作用させる他の物体又は部材において発生する摩擦力や抵抗等が含まれる。実際の使用において、これらの摩擦力等は、前記或る物体又は部材及び他の物体又は部材の重量を、カムフォロア周りに作用する前記力に加えたとき、それらの合力に等しいかそれより大きい場合、前記或る物体又は部材を静止位置に保持する力として働かせることができる。
【0019】
このような荷重支持装置においても、上述した規制手段を備えることによって、第1ばねの付勢力を利用した規制手段により、荷重が取り付けられていない無荷重の状態でも、可動支持部を固定支持部に対して容易に解除されないようにロックすることができる。特に荷重を取り付ける際に、該荷重と荷重支持装置の支持力との平衡を調整する作業において作業性が大きく向上する。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】本発明を適用した物品支持装置の実施態様を正面側から見た斜視図である。
図2図1の物品支持装置の分解斜視図である。
図3】支持フレーム部が最上位置にある物品支持装置の正面図である。
図4(a)】一方のカムフォロア部材を上から見た部分拡大縦断面図である。
図4(b)】固定カム部材を省略して示す図4(a)のIV-IV線における矢視図である。
図5】支持フレーム部の下側の下部フレーム及び第2ばねを示す拡大図である。
図6】支持フレーム部を上方から平面視した部分拡大図である。
図7図3の固定カム面及びカムフォロア部材を示す部分拡大図である。
図8】支持フレーム部が中間位置にある図3と同様の正面図である。
図9図8の固定カム面及びカムフォロア部材を示す部分拡大図である。
図10】支持フレーム部が最下位置にある図3と同様の正面図である。
図11図10の固定カム面及びカムフォロア部材を示す部分拡大図である。
図12】本実施態様の物品支持装置を背面側から見た斜視図である。
図13】規制手段を示す部分拡大斜視図である。
図14図13の規制手段の分解斜視図である。
図15】支持フレーム部を下部位置でロックした物品支持装置の背面図である。
図16】規制手段を図13のXVI−XVI線に沿って示す部分断面図である。
図17】ロック解除可能な状態を示す規制手段の部分断面図である。
図18】支持フレーム部を最上位置でロックした物品支持装置の背面図である。
図19】(a)図及び(b)図はそれぞれ規制部材の第1変形例を示す図16及び図17と同様の断面図である。
図20】(a)図及び(b)図はそれぞれ規制部材の第2変形例を示す図16及び図17と同様の断面図である。
図21】(a)図及び(b)図はそれぞれ規制部材の第3変形例を示す図16及び図17と同様の断面図である。
図22】(a)図及び(b)図はそれぞれ規制手段の第1変形例を示す図16及び図17と同様の断面図である。
図23】(a)図及び(b)図はそれぞれ規制手段の第1変形例を図22(a)及び(b)に対応して固定フレーム部の背面側から見た図である。
図24】規制手段の第2変形例を示す図16と同様の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下に、添付図面を参照しつつ、本発明の好適な実施態様を詳細に説明する。尚、添付図面において、本明細書全体を通して類似の構成要素には、同様の参照符号を付して表すこととする。
【0022】
図1乃至図3は、本発明を適用した物品支持装置の好適な実施態様を概略的に示している。本実施態様の物品支持装置10は、大画面テレビモニター等のような比較的大きい重量の物品Bを支持するためのもので、床面等に移動可能に設置される基台11と、該基台に固定される固定フレーム部12と、前記固定フレーム部に昇降可能に取り付けられる支持フレーム部13と、第1ばね14と、支持フレーム部13を昇降操作するための操作ハンドル部15とを備える。
【0023】
物品Aは、後述するように支持フレーム部13に一体にかつ取り外し可能に取り付けられる。固定フレーム部12は、その下部を基台11の台板11a上面にステー11bによってしっかりと立設固定される。
【0024】
固定フレーム部12は概ね矩形の枠構造からなり、水平に延長する上部及び下部フレーム16,17と、前記上部フレームと下部フレーム間を垂直に延長する左右側部フレーム18,19とを有する。更に固定フレーム部12には、左右側部フレーム18,19間を水平に延長する略中間高さの中間フレーム20と前記上部フレームとの間を垂直に延長する第1ブレーキレール21が中央に設けられている。
【0025】
図4(a)は、固定フレーム部12の一方の側部フレーム18の断面を示しているが、他方の側部フレーム19も側部フレーム18と全く対称に構成されているので、図面は省略する。図4(a)に示すように、側部フレーム18,19には、それぞれ前記枠構造の内側に開口する断面コ字状のガイドレール22,23が、該側部フレームの略上端から下端まで形成されている。
【0026】
固定フレーム部12の左右側部フレーム18,19には、中間フレーム20より下側部分の内側に、固定カム部材24,25が左右対称に取り付けられている。固定カム部材24,25は、それぞれ側部フレーム18,19の前後面に互いに平行に固定された2枚の上下方向に長いカムプレートを有する。固定カム部材24,25はそれぞれ、その上端付近から下端付近まで延長する固定カム面26,27を有する。固定カム面26,27は互いに対向する向きに凸状をなし、その接線方向の傾きが上端から下端まで全長に亘って又は部分的に変化するように湾曲するように設けられている。
【0027】
支持フレーム部13は概ね矩形の枠構造からなり、垂直に延長する左右ガイドフレーム28,29と、前記両ガイドフレーム間を水平に延長する上部フレーム30及び上下に少し離隔された2つの下部フレーム31,32とを有する。支持フレーム部13は固定フレーム部12に、左右ガイドフレーム28,29をそれぞれ前記固定フレーム部の対応する左右側部フレーム18,19のガイドレール22,23内に摺動可能に嵌装させ、前記ガイドレールに沿って上下に移動可能に装着される。
【0028】
左右ガイドフレーム28,29には、ガイドレール22,23内を摺動する際にその内面との間で生じ得る摩擦その他の抵抗を低減又は解消するために、前記ガイドレール内面に摺接して転動する複数のローラー33が取り付けられている。これにより、支持フレーム部13は、固定フレーム部12に対して左右にガタついたり変位することなく、上下方向に円滑に移動することができる。
【0029】
このように支持フレーム部13をその外枠が固定フレーム部12の外枠に直接支持されるように取り付けることによって、支持フレーム部13それ自体及び装置全体の構造強度が向上する。それにより、物品Bの大重量化に対応可能な耐高荷重かつ高強度な構造の物品支持装置10を実現することができる。
【0030】
支持フレーム部13には、物品Aを固定するために、それぞれ前記ガイドフレームの直ぐ前側を垂直に延長する左右1対の取付ステー34が設けられている。更に支持フレーム部13には、上部フレーム30の中央にブレーキ装置35が設けられている。
【0031】
第1ばね14は、支持フレーム部13の左右ガイドフレーム28,29の直ぐ内側にそれぞれ2本ずつ左右対称にかつ左右方向に並列に配置された引張コイルばね36,37を有する。各引張コイルばね36,37は、上端を固定フレーム部12の上部フレーム16に固定して垂直に吊り下げられ、下端が支持フレーム部13の上側の下部フレーム31に固定されている。
【0032】
図5に示すように、支持フレーム部13の下側の下部フレーム22には、該下部フレームを前後方向に貫通する2つのカム溝38、39が左右対称に設けられている。図中左側のカム溝38について図4(a)、(b)に示すように、各カム溝38、39は、下部フレーム32の左右両端付近から反対側に向けて水平に所定の長さ延長し、互いに対向する平行な上側下向きの第1可動カム面40a、41aと、下側上向きの第2可動カム面40b,41bとを有する。
【0033】
下部フレーム32には、圧縮コイルばねからなる第2ばね42が外装されている。第2ばね42は、このように支持フレーム部13の一部を構成する真直ぐな下部フレーム32に外装することによって、その圧縮により生じ得る座屈を確実に防止することができる。別の実施例では、筒状をなす下部フレーム32の内部に第2ばね42を装着することもできる。
【0034】
第2ばね42の左右両端には、下部フレーム32に摺動自在に外挿されたカムフォロアホルダー43,44を介して、それぞれカムフォロア部材45,46が設けられている。図中左側のカムフォロア部材45について図4(a)に示すように、カムフォロア部材45,46は、カム溝38、39を前後方向に貫通する断面円形の真直ぐなロッド状の第1カムフォロア47,48を有する。更にカムフォロア部材45,46は、前記カム溝から前後に突出する第1カムフォロア47,48の前後両端にそれぞれ設けられたローラー状の第2カムフォロア49,50を有する。
【0035】
第1カムフォロア47,48は、その外周面で第1可動カム面40a、41a及び第2可動カム面40b,41bに接触しつつ、カム溝38、39内を該カム溝に沿って左右に移動することができる。第2カムフォロア49,50は、例えば転がり軸受を介して第1カムフォロア47,48の前記両端に関して回動自在に装着することもできる。
【0036】
第2カムフォロア49,50は、それぞれ対応する固定カム部材24,25の固定カム面26,27に当接するように配置される。また、第2カムフォロア49,50は、第2ばね42によってそれぞれ水平方向外向きに付勢され、対応する固定カム部材24,25の固定カム面26,27に押圧される。
【0037】
図中左側のカムフォロアホルダー43について図4(b)に示すように、カムフォロアホルダー43,44は、第2ばね42の軸方向に沿って外側の第1ホルダー部材51,52と内側の第2ホルダー部材53,54とからなる。前記第1ホルダー部材は、例えば軸受を介して第1カムフォロア47,48を回動自在に保持する。前記第2ホルダー部材は、その端面で第2ばね42の端部を受けるためのばね受けである。
【0038】
第1ホルダー部材51,52と第2ホルダー部材53,54とは、互いに接合されて噛み合いジョイントを構成するように、相補的に係合可能な複数の段差を周方向に階段状に設けた突き合わせ面をそれぞれ有する。第1ホルダー部材51,52と第2ホルダー部材53,54とを周方向に相対的に回転させて、それらの突き合わせ位置を変えることによって、カムフォロアホルダー43,44の軸方向長さを変えることができる。
【0039】
図4(a)に示すように、固定カム部材24の前記各カムプレートは、それぞれカムフォロア部材45の軸方向に沿って2つずつ前後対称をなすように配置されているので、前記各カムプレートがカムフォロア部材45を押圧する力は、その軸方向に沿って分散しかつそれぞれ前後対称に作用する。図示しないが、他方のカムフォロア部材46についても、同様に固定カム部材25の前記各カムプレートによる押圧力が、その軸方向に沿って分散しかつそれぞれ前後対称に作用する。
【0040】
これにより、カムフォロア部材45、46は、カム溝38、39内で安定して水平に保持される。更にこのような力の分散によって、固定カム部材25は、各前記各カムプレートの負担が小さくなるので、それらをより薄板化することができる。それにより、装置全体の薄型化、軽量化を図ることができる。
【0041】
また、固定カム部材24、25の前記各カムプレートは、カム溝48、49が設けられた支持フレーム部23の下部フレーム42との間に別の構成要素が存在しないので、それらを前後方向に間隔を小さくして配置することができる。その結果、カムフォロア部材45、46は、第1カムフォロア47,48の軸方向長さを短くすることができ、それらが長過ぎる場合に生じ得る過度の撓みや変形又は折損の虞を予め解消することができる。
【0042】
図6は、支持フレーム部13の図中左側部分を部分的に拡大して上方から平面視した図である。同図に示すように、本実施態様の物品支持装置10は、第1ばね14の引張コイルばね36の略全体が、第2ばね42と上下に重なるように平面配置されている。図示しないが、反対側の引張コイルばね37も同様に、略全体が、第2ばね42と上下に重なる関係に平面配置されている。このような配置によって、仮令第1ばね14及び/又は第2ばね42の外径が大きくなっても、物品支持装置10の奥行き寸法を最小に抑制して、薄型に設計することができる。
【0043】
図3に示すように、固定カム面26,27は、第2カムフォロア49,50との当接位置によって次の3つの領域に分けられる。第1領域S1は、前記第2カムフォロアとの接点における法線方向が水平方向に関して上向きの領域である。第2領域S2は、前記第2カムフォロアとの接点における法線方向が実質的に水平方向、即ち接線方向が実質的に垂直方向の領域である。実質的とは、上述したように完全な水平方向よりも僅かに上向き又は下向きであるが、その程度は、物品支持装置10の作用効果上又はその動作もしくは機能上無視できるほどに小さく、水平方向と見なし得る場合を含むという意味である。また、第3領域S3は、前記第2カムフォロアとの接点における法線方向が水平方向に関して下向きの領域である。
【0044】
操作ハンドル部15は、支持フレーム部13の左右両ガイドフレーム28,29の前部に対して相対的に上下に予め決められた僅かな範囲でスライド移動可能に取り付けられた左右の垂直な伝達ロッド55を有する。各伝達ロッド55の下部には、略L字型の連結ステー56がそれぞれ結合され、前方へ突出する両連結ステー56の先端部によって、左右方向に延長する長尺なハンドル桿57が保持されている。このハンドル桿57を手で持って操作ハンドル部15を操作することにより、支持フレーム部13及び物品Aを昇降させることができる。
【0045】
図3及び図7は、物品Bを取り付けた支持フレーム部13がその移動範囲の最上位置にある場合を示している。第2カムフォロア49,50は、固定カム面26,27の第1領域S1の上端で静止している。この位置において、カムフォロア部材45、46、固定フレーム部12及び支持フレーム部13からなる系に作用する物品Bの荷重W、第1ばね14のばね力FA、第2ばね42のばね力FB、及び前記固定カム面からの反力は、前記カムフォロア部材の周りで平衡している。
【0046】
第1領域S1では、第1ばね14の各引張コイルばね36,37の変位が小さく、そのばね力FAは物品Aの荷重Wより小さい。第2カムフォロア49に固定カム面26から作用する反力Rcは、上向きの垂直方向成分を含むから、これをアシスト力として第1ばね14のばね力FAに加えることによって、垂直方向に荷重Wと平衡している。
【0047】
図8及び図9は、物品Bを取り付けた支持フレーム部13がその移動範囲の中間位置にある場合を示している。第2カムフォロア49,50は、固定カム面26,27の第2領域S2内の位置で静止している。この中間位置でも、前記カムフォロア部材、固定フレーム部及び支持フレーム部からなる前記系に作用する物品Bの荷重W、前記第1ばねのばね力FA、前記第2ばねのばね力FB、及び前記固定カム面からの反力が、前記カムフォロア部材の周りで平衡している。
【0048】
第2領域S2では、第1ばね14のばね力FAと荷重Wとが実質的に平衡している。固定カム面26,27からの反力Rcは実質的に水平方向成分だけで、第2ばね42のばね力FBと平衡しており、垂直方向成分は有しない。
【0049】
図10及び図11は、物品Aを取り付けた支持フレーム部13がその移動範囲の最下位置にある場合を示している。第2カムフォロア49,50は、固定カム面26,27の第3領域S3の下端で静止している。この下端位置でも、前記カムフォロア部材、固定フレーム部及び支持フレーム部からなる前記系に作用する物品Bの荷重W、前記第1ばねのばね力FA、前記第2ばねのばね力FB、及び前記固定カム面からの反力が、前記カムフォロア部材の周りで平衡している。
【0050】
第3領域S3では、第1ばね14の各引張コイルばね36,37の変位が大きく、そのばね力FAは物品Bの荷重Wより大きい。第2カムフォロア49に固定カム面26から作用する反力Rcは、下向きの垂直方向成分を含んでおり、これが、第1ばね14のばね力FAによる押し上げ力を削減する向きに作用することによって、垂直方向に荷重Wと平衡している。
【0051】
物品Bの荷重Wが小さくなると、第1ばね14に変更はないから、そのばね力FAは相対的に大きくなる。従って、第1領域S1では、前記固定カム面によるばね力FAへのアシスト力を小さくし、第3領域S3では、ばね力FAによる押し上げ力を削減する下向きの力を大きくする必要がある。
【0052】
逆に、物品Bの荷重Wが大きくなると、第1ばね14のばね力FAは相対的に小さくなる。従って、第1領域S1では、前記固定カム面によるばね力FAへのアシスト力を大きくし、第3領域S3では、ばね力FAによる押し上げ力を削減する下向きの力を小さくする必要がある。
【0053】
物品支持装置10では、カムフォロアホルダー43,44の軸方向長さを変更して第2ばね42の圧縮変位を調節することによって、支持フレーム部13の同じ高さ位置における第2ばね42の付勢力FB、従って前記固定カム面からの反力Rcを増減するように調整する。荷重Wが小さい場合は、前記カムフォロアホルダーの軸方向長さを短くして、第2ばね42の付勢力FBを減少させ、前記固定カム面からの反力Rc及びその垂直方向成分を小さくする。逆に、荷重Wが大きい場合は、前記カムフォロアホルダーの軸方向長さを長くして、第2ばね42の付勢力FBを増加させ、前記固定カム面からの反力Rc及びその垂直方向成分を大きくする。これによって、異なる大きさの荷重に対して、物品支持装置10の支持力を常に平衡させることができる。
【0054】
本実施態様の物品支持装置10は、支持フレーム部13を固定フレーム部12に関して所定の位置で移動しないようにロックするための規制手段を備える。規制手段60は、図12に示すように、大型モニター装置のような重量の大きい物品Aをより簡単に取り付けできるように、固定フレーム部12に支持フレーム部13を最下位置近くまで下げた位置で固定するように設けられている。
【0055】
規制手段60は、図12及び図13に示すように、固定フレーム部12の左右側部フレーム18,19の背面に取外可能に取り付けられる規制部材61を有する。規制手段60は更に、図13及び図14に示すように、断面コ字形をなす左右側部フレーム18,19の背面部下部に開設された固定側スリット62と、支持フレーム部13の同じく断面コ字形をなす左右ガイドフレーム28,29の背面部下部に開設された可動側スリット63とから構成される。
【0056】
規制部材61は、図14に示すように、例えば概ね矩形をなす金属製の小さい平板材を屈曲させることによって、前記側部フレームの背面部外面に当接する座板部64と、固定フレーム部12の固定側スリット62に挿入される係合板部65とからなるL字形に形成されている。係合板部65の上端には、上向きの上側係合突起66が座板部64に近い位置に、下端には下向きの下側係合突起67が座板部64から離れた位置にそれぞれ突設されている。座板部64には、その略中央に円孔68が貫設され、外側からファスナー69の先端を挿通して、前記側部フレームの背面部に形成された貫孔70にスナップ止めし、規制部材61を前記側部フレームに留め付けるようになっている。
【0057】
固定側スリット62は、規制部材61の係合板部65を幾分緩やかに挿通し得る一定の狭い幅と所定の上下方向長さとを有し、上下方向に真直ぐに延長している。可動側スリット63は、規制部材61の係合板部65を幾分緩やかに挿通し得る一定の狭い幅と、固定側スリット62よりも十分に長い所定の上下方向長さとを有し、同じく上下方向に真直ぐに延長している。固定側スリット62と可動側スリット63とは、その高さ位置を合わせたときに、それらを規制部材61の係合板部65が一気に貫通し得るように、物品支持装置10の背面から見て水平方向の位置を整合させて配置される。
【0058】
物品支持装置10に物品を取り付ける際、物品を取り付けていない無荷重の前記物品支持装置を搬送する際は、図15に示すように、支持フレーム部13を最下位置近くまで押し下げた状態で、規制手段60を用いて固定フレーム部12にロックする。規制部材61は、図示するように、座板部64及び係合板部65の板面を縦にして、高さ位置を整合させた固定側スリット62と可動側スリット63とに、係合板部65を一気に貫通させることによって取り付けられる。
【0059】
規制部材61は、座板部64の円孔68を通してファスナー69を側部フレーム18,19の貫孔70にスナップ止めすることにより、敢えて外そうとしない限り、容易に外れないように留め付けられる。そのため、規制部材61は、固定側スリット62の範囲内で幾分上下及び/又は左右に動くことができる。
【0060】
図16は、このロック状態における規制部材61、固定側スリット62及び可動側スリット63を示している。支持フレーム部13のガイドフレーム29は、常時第1ばね14により上向きに付勢されているので、可動側スリット63下端の可動側係合部71が係合板部65の下端に当接して、規制部材61を上方へ押し上げている。これにより、前記規制部材は、係合板部65の上端が固定側スリット62上端の固定側係合部72に押圧されて係止されている。
【0061】
この結果、支持フレーム部13は、これ以上固定フレーム部12に関して上方へ移動しないようにロックされる。特に、物品支持装置10に物品が取り付けられていない無荷重状態では、第1ばね14の付勢力が減殺されることなく、そのまま支持フレーム部13に作用しているので、図16のロック状態を維持することができる。
【0062】
規制部材61が支持フレーム部13側から受ける第1ばね14の付勢力は、物品支持装置10に取り付けようとする物品Aの重量が大きいほど、大きく設定される。その場合、この付勢力を受ける規制部材61には、物品の無い無荷重状態において、固定側係合部72と可動側係合部71との間で、上下方向に大きな圧縮荷重が作用する。
【0063】
本発明の規制部材61は、その板面を圧縮荷重の方向に合わせて縦向きに用いることによって、その板厚を比較的薄く維持したまま、上下方向長さを適当に設計することによって、変形することなく第1ばね14の大きな付勢力を受け得るように、その最大耐荷重を十分な大きさに設定することができる。その結果、固定側及び可動側スリット62,63は、第1ばね14の付勢力の大きさに拘わらず、その幅寸法を大きくする必要が無い。
【0064】
例えば、従来より入れ子式の伸縮可能な支柱では、その高さ位置を閂様のロッド部材等を水平に抜き差しして固定するものが存在する。この場合、支柱に掛かる荷重の大きさに合わせて、ロッド部材の直径を大きくし、その最大耐荷重を大きくしなければならない。そのため、支柱には、ロッド部材の直径に合わせた大きさの貫通孔が形成されることになる。
【0065】
前記支柱の大きな貫通孔は、ロッド部材を外した後に、異物が挿入されて詰まったり、作業員が指を入れて怪我をする等の事故を起こす虞がある。更に、かかるロッド部材を本発明の物品支持装置10に使用した場合には、貫通孔の大きさによって、又はそれによる強度の低下によって、前記側部フレームやガイドフレームの寸法を設計変更する必要が生じたり、製造加工コストの増加、装置の重量化を招く虞がある。本発明によれば、平板状の規制部材61をその板面を縦向きにして用いることによって、このような不都合を有効に解消している。
【0066】
規制部材61は、図16に示すように、係合板部65上端の上側係合突起66が、固定側スリット62の上縁端部の直ぐ内側に位置して、該上縁端部と係合するように配置されている。更に、係合板部65下端の下側係合突起67が、可動側スリット63の下縁端部の直ぐ内側に位置して、該下縁端部と係合するように配置されている。このようにロック状態において、仮にファスナー69を外しても、上側及び下側係合突起66,67によって、規制部材61が前記固定側スリット及び可動側スリットから引き抜けないようになっている。
【0067】
また、規制部材61は、可動側係合部71から垂直上向きに作用する第1ばね14の付勢力Fの方向と、固定側係合部72から垂直下向きに作用する反力Rの方向とが、互いに平行かつ逆向きで左右に少しずれているため、係合板部65を図中矢印Bで示す反時計方向に回転させようとするモーメントが発生する。係合板部65が矢印Bの向きに回転すると、支持フレーム部13が固定フレーム部12に対してガタを生じて不安定になり、ロック状態に固定されないだけでなく、最悪の場合には規制部材61が外れてしまうことも考えられる。本実施態様の規制部材61は、上側係合突起66と固定側スリット62の上縁端部との係合に加えて、座板部64が側部フレーム19の背面部外面に当接することによって、係合板部65の矢印B方向の回転を有効に防止している。
【0068】
更に、規制部材61は、固定側スリット62及び可動側スリット63が、上述したように、係合板部65を緩やかに挿通し得る程度の狭幅に形成され、該係合板部を前記固定側スリットから挿入したときに、座板部64が前記側部フレームの背面部外面に当接するので、中に入り込みすぎて抜けなくなったり、反対側から抜け落ちる虞がない。そのため、前記ロック状態を安全かつ安定に維持することができる。
【0069】
可動側スリット63は、上述したように、その上下方向長さが固定側スリット62よりも十分に長く設けられている。そのため、前記支持フレーム部のガイドフレーム19は、図17に示すように、規制部材61を取り外さなくても、可動側スリット63の上下方向長さの範囲内で、図16のロック位置から下方への移動が可能である。
【0070】
特に支持フレーム部13に物品を取り付けたり、下向きの外力を加えたときは、第1ばね14の付勢力が減殺されるので、ガイドフレーム19を下方へ移動させることが容易になる。その場合でも、前記ガイドフレームの移動範囲は可動側スリット63の上下方向長さの範囲内に限られるので、物品Aを取り付ける際に、その荷重と物品支持装置10の支持力との平衡状態を調整、確認する作業を安全に行うことができる。かかる調整作業は、規制部材61が、図示するようにファスナー69でガイドフレーム19に固定されているので、物品Aの取付によって可動側係合部71からの前記付勢力が失われても、不用意に前記固定側スリット及び可動側スリットから外れる虞が無く、安全が確保されている。
【0071】
更に、図17の状態では、下側係合突起67と可動側スリット63の下縁端部との係合が解除されている。従って、ファスナー69を外した後、係合板部65を固定側スリット62の範囲内で下方へ移動させ、上側係合突起66と固定側スリット62の上縁端部との係合を解除することによって、係合板部65を前記両スリットから抜き出して規制部材61を取り外すことができる。これにより、支持フレーム部13の固定フレーム部12に対するロック状態が解除される。
【0072】
別の実施例では、ねじで規制部材61を前記側部フレームの背面部に締着させることもできる。このとき、規制部材61は、係合板部65の上端が固定側スリット62の固定側係合部72に当接するように配置することが好ましい。これは、例えば、前記ねじが貫通する前記座板部の円孔68を上下方向の長孔で形成して、規制部材61の位置を上下方向に調整可能にすることによって、容易に実現される。
【0073】
本実施態様の規制手段60は、図12及び図15に示すように、追加の固定側スリット73を左右側部フレーム18,19の中間フレーム20付近の位置に有する。同様に固定側スリット73に規制部材61を取り付けることによって、図18に示すように、支持フレーム部13をその最上位置付近で固定フレーム部12に対して移動しないようにロックすることができる。
【0074】
本発明によれば、前記規制手段は、支持フレーム部13をその最上位置と最下位置間の様々な位置で固定フレーム部12にロックするように設けることができる。また、そのロック位置は、1箇所又は2箇所に限定することなく、必要に応じて多数の箇所を設けることができる。
【0075】
規制部材61は、様々な形状のものを使用することができる。図19(a)(b)は、第1変形例の規制部材81を示している。規制部材81は、上下方向に細長い概ね矩形の平板で形成された係合板部82からなる。係合板部82の上端には上側係合突起83が、下端には下側係合突起84がそれぞれ形成されている。
【0076】
図19(a)のロック状態において、第1ばね14の付勢力によって可動側スリット63下端の可動側係合部71が係合板部82の下端に係合して規制部材81を上方へ押し上げ、それにより係合板部82の上端が固定側スリット62上端の固定側係合部71に押圧係止されている。これにより、支持フレーム部13は固定フレーム部12に対する上方への移動が制限されている。
【0077】
このとき、係合板部82の上側係合突起83は、固定側スリット62の上縁端部の直ぐ内側に位置して、該上縁端部と係合するように配置されている。これにより、規制部材81が前記固定側スリット及び可動側スリットから引き抜けないようになっている。
【0078】
係合板部82の下側係合突起84は、固定側スリット62の下縁端部の直ぐ外側に位置して、該下縁端部と係合するように配置されている。上述したように、可動側係合部71から垂直上向きに作用する第1ばね14の付勢力Fと固定側係合部72から垂直下向きに作用する反力Rとが、規制部材81を図中矢印Bの反時計方向に回転させるように働く。本変形例では、この回転方向に上側及び下側係合突起83,84がそれぞれ固定側スリット62の上下縁端部と係合することによって、規制部材81の矢印B方向の回転が有効に阻止される。
【0079】
支持フレーム部13のガイドフレーム19は、図19(b)に示すように、可動側スリット63の上下方向長さの範囲内で、図19(a)のロック位置から下方へ移動させることが可能である。この状態で規制部材81を固定側スリット62の範囲内で下方へ移動させ、上側係合突起83と固定側スリット62の上縁端部との係合を解除することにより、前記両スリットから抜き出して取り外すことができる。これにより、支持フレーム部13の固定フレーム部12に対するロック状態が解除される。
【0080】
図20(a)(b)は、第2変形例の規制部材85を示している。規制部材85は、基部86と中間部87と先端係合部88とを直角に接続したコ字形状に形成されている。規制部材85は、先端係合部88及び中間部87を外側から固定側スリット89及び可動側スリット90に挿入し得るように、基部86の端部が側部フレーム19の外面近くで軸91により固定フレーム部12側に回動可能に取り付けられている。
【0081】
図20(a)に示すロック状態において、基部86は側部フレーム19の外面に沿って位置し、中間部87が側部フレーム19及び支持フレーム部13のガイドフレーム29を跨いで、先端係合部88が可動側スリット90下端の可動側係合部90aに係合している。これにより、支持フレーム部13は固定フレーム部12に対する上方への移動が制限されると共に、規制部材85を前記両スリットから引き抜きことができない。
【0082】
支持フレーム部13のガイドフレーム19は、図20(b)に示すように、可動側スリット90の上下方向長さの範囲内で、図20(a)のロック位置から下方へ移動させることが可能である。この状態では、先端係合部88と可動側スリット90下端の可動側係合部90aとの係合が解除されているので、規制部材85を軸91を中心に外側へ回転させることにより、前記両スリットから抜き出すことができる。これにより、支持フレーム部13の固定フレーム部12に対するロック状態が解除される。
【0083】
図21(a)(b)は、第3変形例の規制部材92を示している。規制部材92は、基部93と中間部94と先端係合部95とを直角に接続したクランク形状に形成されている。規制部材92は、先端係合部95及び中間部94を内側から固定側スリット96及び可動側スリット97に挿入し得るように、基部93の端部がガイドフレーム29の内面近くで軸98により固定フレーム部12側に回動可能に取り付けられている。
【0084】
図21(a)に示すロック状態において、基部93は支持フレーム部13のガイドフレーム29の内面に沿って位置し、中間部94が側部フレーム19及びガイドフレーム29を跨いで、その下端に可動側スリット97下端の可動側係合部99が係合し、かつ先端係合部95が固定側スリット96上端の固定側係合部100に係合している。これにより、支持フレーム部13は固定フレーム部12に対する上方への移動が制限されると共に、規制部材92を前記両スリットから引き抜きことができない。
【0085】
支持フレーム部13のガイドフレーム19は、図21(b)に示すように、可動側スリット90の上下方向長さの範囲内で、図21(a)のロック位置から下方へ移動させることが可能である。この状態では、先端係合部95と固定側スリット96上端の固定側係合部100との係合が解除されているので、規制部材92を軸98を中心に内側へ回転させることにより、前記両スリットから抜き出すことができる。これにより、支持フレーム部13の固定フレーム部12に対するロック状態が解除される。
【0086】
規制手段60は、その技術的思想を実質的に変更することなく、様々に変形又は変更することができる。図22(a)(b)及び図23(a)(b)は、そのような第1変形例の規制手段101を示している。規制手段101は、矩形平板状の規制部材102と、固定フレーム部12の側部フレーム19の背面部に、その一方の側辺に沿って一方の側部が開放された固定側係合溝103と、支持フレーム部13のガイドフレーム29の背面部に、同様にその一方の側辺に沿って前記固定側係合溝と同じ側の側部が開放された可動側係合溝104とを有する。
【0087】
固定側係合溝103の上端には、その開放縁部から下向きに係合突起105が突設されている。固定側係合溝103と可動側係合溝104とは、固定フレーム部12の背面側から見て水平方向に重なり合う位置に配置されている。
【0088】
規制部材102は、支持フレーム部13を押し下げて、固定側係合溝103と可動側係合溝104の高さ位置が重なり合った状態で、側部フレーム19及びガイドフレーム29の側方から前記両係合溝の中に、その開放側部を通して挿入される。
【0089】
図22(a)及び図23(a)に示すロック状態において、ガイドフレーム19は、常時第1ばね14により上向きに付勢されているので、可動側係合溝104下端の可動側係合部106が規制部材102の下端に当接して、これを上方へ押し上げている。これにより、前記規制部材は、その上端が固定側係合溝103上端の固定側係合部107に押圧されて係止される。従って、支持フレーム部13は固定フレーム部12に対する上方への移動が制限される。
【0090】
このとき、規制部材102は係合突起105の内側に位置するように配置される。これにより、規制部材102は、固定側係合溝103及び可動側係合溝104の開放側部からから引き抜くことができない。
【0091】
図22(b)及び図23(b)に示すように、支持フレーム部13のガイドフレーム29は、可動側係合溝104の上下方向長さの範囲内で、図22(a)及び図23(a)のロック位置から下方へ移動させることが可能である。この状態において、規制部材102を係合突起105よりも下方へ移動させることによって、前記両係合溝から側方に抜き出すことができる。これにより、支持フレーム部13の固定フレーム部12に対するロック状態が解除される。
【0092】
図24は、第2変形例の規制手段108を示している。この規制手段108は、固定フレーム部12の側部フレーム19の背面部に図16の固定側スリット62と同様の固定側スリット109aを有すると共に、前記側部フレームの正面部にも固定側スリット109bが形成されている。正面側の固定側スリット109bは、その上端が背面側の固定側スリット109aより少し高い位置に設けられている。同様に、支持フレーム部13のガイドフレーム29の背面部及び正面部に図16の可動側スリット63と同様の可動側スリット110a,110bが同じ高さ位置に形成されている。
【0093】
規制手段108は、水平方向に長い概ね矩形の規制部材111を有する。規制部材111は、固定側スリット109aと固定側スリット109bの各上端の高さ位置の違いに合わせて、背面側の上端角部に切欠き112が設けられている。規制部材111の切欠き112を設けた側の端部には、規制部材61の座板部64と同様に、座板部111aがL字形に屈曲して形成されている。規制部材111は、支持フレーム部13を押し下げて、固定側スリット109a,109bと可動側スリット110a,110bの高さ位置を合わせた状態で、それらを一気に挿通するように、かつ座板部111aを前記側部フレームの背面部外面に当接させるように装着される。
【0094】
図24に示すロック状態において、支持フレーム部13のガイドフレーム19は、常時第1ばね14により上向きに付勢されているので、可動側スリット110a,110b下端の可動側係合部113a,113bが規制部材111の下端に当接して、これを上方へ押し上げている。これにより、前記規制部材は、その上端が固定側スリット109a,109b上端の固定側係合部114a,114bに押圧されて係止される。従って、支持フレーム部13は固定フレーム部12に対する上方への移動が制限される。
【0095】
このとき、規制部材111は、切欠き112が背面側の固定側スリット109aに整合する位置に配置される。これにより、規制部材111は、切欠き112の側面が固定側スリット109aの上縁端部と係合するので、前記固定側スリット及び可動側スリットから引き抜くことができない。更に、規制部材111は、背面側及び正面側双方で固定側係合部114a,114bと可動側係合部113a,113bとの間に係止されているので、第1ばね14の付勢力と前記固定側係合部からの反力とによって回転する虞がない。
【0096】
更に、本実施態様の物品支持装置10は、外部から振動や衝撃等の力が加わった場合でも、支持フレーム部13を所望の高さ位置に保持し、簡単な操作で容易に移動させ又は停止させることができるブレーキ機構を備えている。このブレーキ機構は、支持フレーム部13のブレーキ装置35と固定フレーム部12の第1ブレーキレール21とで構成される。ブレーキ装置35は、操作ハンドル部15のハンドル桿57を操作することにより、伝達ロッド55を介して作動させ又はそれを解除することができる。
【0097】
上記実施態様では、カム溝38,39が下部フレーム32を水平に延長するように設けられている。別の実施態様では、支持機構の構造や用途、設計条件等に応じて、斜めに即ち前記可動支持部又は支持フレーム部の移動方向に関して直交しない交差方向に設けることもできる。
【0098】
更に、カム溝38,39内の前記第1可動カム面及び第2可動カム面も、必ずしも平行に設けなくても良い。前記第1可動カム面及び第2可動カム面が互いに対向する向きに配置され、その一方とカムフォロア部材とが接触し、それらの間で荷重と第1ばねのばね力とが伝達可能に構成されていればよい。
【0099】
以上、本発明の好適な実施態様について説明したが、本発明は、上記実施態様に限定されるものでなく、その技術的範囲内において様々な変形又は変更を加えて実施することができる。規制部材は、上述した実施例以外の様々な形状に形成することができる。固定フレーム部12側の係合部及び支持フレーム部13側の係合部は、上記実施例のようなスリット又は溝によって形成されるものに限られるものではない。
【符号の説明】
【0100】
10 物品支持装置
11 基台
12 固定フレーム部
13 支持フレーム部
14 第1ばね
15 操作ハンドル部
16 上部フレーム
17 下部フレーム
18,19 側部フレーム
20 中間フレーム
21 第1ブレーキレール
22,23 ガイドレール
28,29 ガイドフレーム
30 上部フレーム
31,32 下部フレーム
34 取付ステー
35 ブレーキ装置
36,37 引張コイルばね
38、39 カム溝
40a、41a 第1可動カム面
40b,41b 第2可動カム面
42 第2ばね
43,44 カムフォロアホルダー
45,456 カムフォロア部材
47,48 第1カムフォロア
49,40 第2カムフォロア
54 伝達ロッド
56 連結ステー
57 ハンドル桿
60 規制手段
61 規制部材
62 固定側スリット
63 可動側スリット
64 座板部
65 係合板部
66 上側係合突起
67 下側係合突起
69 ファスナー
71 可動側係合部
72 固定側係合部
図1
図2
図3
図4(a)】
図4(b)】
図5
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