(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6410040
(24)【登録日】2018年10月5日
(45)【発行日】2018年10月24日
(54)【発明の名称】車載装置
(51)【国際特許分類】
B60R 11/02 20060101AFI20181015BHJP
B60R 1/00 20060101ALI20181015BHJP
B60R 21/00 20060101ALI20181015BHJP
B60R 99/00 20090101ALI20181015BHJP
G05D 1/02 20060101ALI20181015BHJP
【FI】
B60R11/02 C
B60R1/00 A
B60R21/00 992
B60R21/00 993
B60R99/00 351
G05D1/02 K
【請求項の数】6
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2014-248736(P2014-248736)
(22)【出願日】2014年12月9日
(65)【公開番号】特開2016-107897(P2016-107897A)
(43)【公開日】2016年6月20日
【審査請求日】2017年7月18日
(73)【特許権者】
【識別番号】000101732
【氏名又は名称】アルパイン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100097205
【弁理士】
【氏名又は名称】樋口 正樹
(72)【発明者】
【氏名】勝沼 秀人
(72)【発明者】
【氏名】矢吹 雅典
(72)【発明者】
【氏名】渋谷 康司
【審査官】
岡▲さき▼ 潤
(56)【参考文献】
【文献】
特開平10−217865(JP,A)
【文献】
特開2012−162130(JP,A)
【文献】
特開2010−143328(JP,A)
【文献】
特開2010−032316(JP,A)
【文献】
特開2005−254911(JP,A)
【文献】
特開2007−261532(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60R 11/02
B60R 1/00
B60R 21/00
B60R 99/00
G05D 1/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像を表示する表示部と、車載カメラによる車両の周囲の撮影画像を前記表示部に表示する表示制御手段とを有する車載装置であって、
前記車両の運転席への乗車を検出する乗車検出手段と、
前記車両が後進可能な位置にあるか否かを検出する後進可能検出手段と、
前記表示部をインストルメントパネルの内部の収納位置と該インストルメントパネルの外部の使用位置との間を移動させる表示部移動機構と、
前記乗車検出手段が前記車両の運転席への乗車を検出し、かつ前記後進可能検出手段が前記車両について後進可能な位置にあると検出したときに、前記表示部移動機構により前記表示部を前記収納位置から前記使用位置へ移動させる表示部移動制御手段と、を有する車載装置。
【請求項2】
前記後進可能検出手段は、前記車載カメラによる前記車両の後方撮影画像に基づいて前記車両が後進可能な位置にあるか否かを検出する請求項1に記載の車載装置。
【請求項3】
前記乗車検出手段は、前記車両の運転席の外部からのドアロック解除又は外部からのドア開扉を検出する乗車検出センサである請求項1又は2に記載の車載装置。
【請求項4】
前記車載カメラは前記車両の内部を撮影する内部車載カメラを含み、更に前記乗車検出手段は、前記内部車載カメラによる前記車両の内部の撮影画像に基づいて前記運転席への乗車を検出する画像乗車検出手段を有する請求項1又は2に記載の車載装置。
【請求項5】
前記車両のギア位置を検出するギア位置検出手段を有し、該ギア位置検出手段により前記ギア位置が前記車両を後進させる位置にあると検出したときは、前記表示制御手段は、前記車載カメラによる前記車両の後方撮影画像を前記表示部に表示させる請求項1乃至4のいずれかに記載の車載装置。
【請求項6】
前記表示部移動制御手段は、前記表示部を前記収納位置から前記使用位置へ移動させた後、所定時間内に前記車両を走行させる駆動部が作動しないときは、前記表示部を前記使用位置から前記収納位置へ移動させる請求項1乃至5のいずれかに記載の車載装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車載カメラによる車両周囲の撮影画像を表示部に表示する車載装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ナビゲーション機能や車載カメラによる撮影画像の表示機能等を有する車載装置には、ディスプレイ画面を備えた表示部を不使用時にはインストルメントパネル内の収納位置に収納し、使用時にインストルメントパネル外の使用位置まで移動させる移動式タイプのものがある。このような移動式タイプでは、エンジンスタート後(又はACCスイッチON後)に自動的又はボタン操作等により表示部がインストルメントパネル内の収納位置から外部の使用位置に移動するが、当該移動に2〜3秒程度の時間を要するため、例えばエンジンスタート後に車両を直ちに後進させる場合には、車両の後方撮影画像の表示を後進開始前に表示することができない。
【0003】
ところで、乗員の車両乗車中には表示部を常時インストルメントパネルから立ち上げた状態とするために、ドアの開錠及びドアの開扉動作を検出したときにインストルメントパネル内の収納位置にある表示部の立上げを開始してインストルメントパネル上面から突出させる車載用出没式機器が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第3555371号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記特許文献1に記載の車載用出没式機器によれば、エンジンスタート直後の後進の場合にも車載カメラにより撮影された車両の後方撮影画像を後進開始前に表示することができるが、明らかに車両の後進が不可能な場合にも、ドア開錠及びドアの開扉動作の検出により表示部がインストルメントパネルの上面から常時突出することになり、所望されない動作を発生させてしまうことになる。
【0006】
本発明はこのような事情に鑑みてなされたもので、乗員の車両への乗車検出後、車両の後進が可能であるときにインストルメントパネル内部の収納位置にある表示部をインストルメントパネル外の使用位置まで移動を開始させる車載装置の提供を目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために本発明に係る車載装置は、画像を表示する表示部と、車載カメラによる車両の周囲の撮影画像を前記表示部に表示する表示制御手段とを有する車載装置であって、前記車両の運転席への乗車を検出する乗車検出手段と、前記車両が後進可能な位置にあるか否かを検出する後進可能検出手段と、前記表示部をインストルメントパネルの内部の収納位置と該インストルメントパネルの外部の使用位置との間を移動させる表示部移動機構と、前記乗車検出手段が前記車両の運転席への乗車を検出し、かつ前記後進
可能検出手段が前記車両について後進可能な位置にあると検出したときに、前記表示部移動機構により前記表示部を前記収納位置から前記使用位置へ移動させる表示部移動制御手段と、を有する構成となる。
【0008】
このような構成によれば、車両の運転席への乗車を検出し、かつ車両が後進可能な位置にあると検出したときに、表示部をインストルメントパネルの内部の収納位置からインストルメントパネルの外部の使用位置まで移動させるので、エンジンスタート後に表示部の移動を開始する従来装置と較べて、エンジンスタート後直ちに車両を後進させる場合でも、後進開始前に後方の撮影画像を表示部に表示することが可能となる。さらに、車両の運転席への乗車を検出しても、車両が後進可能でない位置にあると検出したときには、表示部移動制御手段は表示部を収納位置から使用位置まで移動開始させないので、不要な動作の発生を抑えることができる。なお、このような場合には、エンジンスタート後(又はACCスイッチON後)に表示部を収納位置から使用位置に移動開始するように設定することができる。
【0009】
本発明に係る車載装置において、前記後進可能検出手段は、前記車載カメラによる前記車両の後方撮影画像に基づいて前記車両が後進可能な位置にあるか否かを検出する構成とすることができる。
【0010】
このような構成によれば、車載カメラによる後方撮影画像に基づいて車両が後進可能な位置にあるか否かを検出することができるので、後進可能な位置であるかを検出するためのセンサ等を別途設ける必要がない。ただし、後方撮影画像に基づく後進可能な位置の検出に替えて、又は追加として、後進可能な位置にあるか否かの検出用センサを設けてもよい。例えば、赤外線センサ、超音波センサ等を上記の検出用センサとして車両に設けることができる。
【0011】
本発明に係る車載装置において、前記乗車検出手段は、前記車両の運転席の外部からのドアロック解除又は外部からのドア開扉を検出する乗車検出センサである構成とすることができる。
【0012】
このような構成によれば、車両後進可能検出手段による車両の後進可能の検出と共に、外部からのドアロック解除又は外部からのドア開きにより乗車を検出するので、エンジンスタート後に直ちに後進する場合でも、後進開始前に表示部を使用位置に移動させて車載カメラの後方撮影画像を表示することができる。
【0013】
本発明に係る車載装置において、前記車載カメラは前記車両の内部を撮影する内部車載カメラを含み、更に前記乗車検出手段は、前記内部車載カメラによる前記車両の内部の撮影画像に基づいて前記運転席への乗車を検出する画像乗車検出手段を有する構成とすることができる。
【0014】
このような構成によれば、車両後進可能検出手段による車両の後進可能の検出と共に、内部車載カメラによる車両の内部の撮影画像に基づいて乗車を検出するので、エンジンスタート後に直ちに後進する場合でも、後進開始前に表示部を使用位置に移動させて車両の後方を撮影する車載カメラによる後方撮影画像を表示することができる。
【0015】
本発明に係る車載装置において、前記車両のギア位置を検出するギア位置検出手段を有し、該ギア位置検出手段により前記ギア位置が前記車両を後進させる位置にあると検出したときは、前記表示制御手段は、前記車載カメラによる前記車両の後方撮影画像を前記表示部に表示させる構成とすることができる。
【0016】
このような構成によれば、ギア位置検出手段により前記ギア位置が前記車両を後進させる位置にあると検出したときに、車載カメラによる後方撮影画像を表示部に表示するので、エンジンスタート後に直ちに後進するときにも、後進開始前に後方撮影画像を表示することができる。
【0017】
本発明に係る車載装置において、前記表示部移動制御手段は、前記表示部を前記収納位置から前記使用位置へ移動させた後、所定時間内に前記車両を走行させる駆動部が作動しないときは、前記表示部を前記使用位置から前記収納位置へ移動させる構成とすることができる。
【0018】
このような構成によれば、表示部を使用位置に移動させた後、所定時間内に車両を走行させる駆動部(エンジン、モータ等)が作動しないときは、車両を発進させない場合に該当するとして表示部を収納位置へ移動(戻す)させることができる。例えば、車両内に忘れ物を取りに戻った場合等のときは表示部を使用位置から収納位置に戻すことにする。
【発明の効果】
【0019】
本発明に係る車載装置によれば、車両の運転席への乗車を検出し、かつ車両が後進可能な位置にあると検出したときに、表示部をインストルメントパネルの内部の収納位置からインストルメントパネルの外部の使用位置まで移動させるので、エンジンスタート後直ちに車両を後進させる場合でも、後進開始前に車両の後方撮影画像を表示部に表示することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】本発明の実施の形態に係る車載装置の構成を示すブロック図である。
【
図2】本発明の実施の形態に係る車載装置による処理手順を示すフローチャートである(その1)。
【
図3】本発明の実施の形態に係る車載装置による処理手順を示すフローチャートである(その2)。
【
図4】本発明の実施の形態に係る車載装置の表示部の収納位置から表示位置までの経時的な移動状態を従来品との対比において図示した説明図である。
【
図5】本発明の実施の形態に係る車載装置の表示部(収納位置)及び表示部を移動させる移動機構の概略図である(その1)。
【
図6】本発明の実施の形態に係る車載装置の表示部(使用位置)及び表示部を移動さえる移動機構の概略図である(その2)。
【発明を実施するための形態】
【0021】
本発明の実施の形態について図面を用いて説明する。
【0022】
本発明の実施の形態に係る車載装置は、
図1に示すように構成される。
【0023】
図1に示すように、車載装置11は、コンピュータユニット(例えば、CPU、RAM、ROM、I/Oインターフェース及びこれらを接続するバス)によって構成される処理ユニット12を有する。処理ユニット12には、各種音源及び映像源(例えば、CD及びDVD)の再生処理が可能なAVユニット15及び自車両のナビゲーションが可能なナビゲーションユニット17が接続されている。また、処理ユニット12には、スピーカ18が出力回路19介して接続されている。これによって、AVユニット15及びナビゲーションユニット17による処理に係る音声信号について出力回路19を介してスピーカ18から音声として出力することができる。加えて、処理ユニット12には、AVユニット15及びナビゲーションユニット17において利用する楽曲情報及び地図情報等の各種情報及び車載機器11の各機能を発揮するためのプログラム等を記憶可能な記憶部20(例えば、ハードディスク、フラッシュメモリ等)と、LCD等によって構成される各種処理に伴う画像、映像等を表示する表示部21と、表示部21上に設けた、各種処理に必要な指示をタッチ操作により入力可能なタッチパネル22と、ハードキー(物理キー)を備えた、各種処理に必要な指示を入力可能な操作部23とが接続されている。さらに、処理ユニット12には、車両の外側周囲と、運転席を含む車両内部とを撮影し、その撮影画像を表示部21に表示するための複数の車載カメラ29が接続されている。
【0024】
処理ユニット12には、外部から車両の運転席への乗車を検出する乗車検出センサ27(例えば、外部からのドアの開錠(アンロック)検出センサ及び外部からのドアの開扉検出センサの少なくとも何れか一方を用いることができるが、本実施形態ではドア開扉検出センサの使用で以下説明する。)と、車両のギア位置を検出するギア位置検出センサ28とが接続されている。上記したドアの開錠検出センサ及びドアの開扉検出センサは、いずれも車両の外部から乗員がドア開錠及びドア開扉を検出するものである。なお、上記した乗車検出センサ27に替えて車両内部を撮影する車載カメラ29の撮影画像に基づいて、運転席への乗車を検出(例えば通常の車両内部の撮影画像との差分等に基づく)することも可能である(画像乗車検出手段)。さらに、処理ユニット12には、タッチパネル22を備えた表示部21をインストルメントパネル(不図示)内部の収納位置とインストルメントパネル外部の使用位置との間を移動させる表示部移動機構25を制御ユニットの制御下で駆動させる駆動回路26が接続されている。
【0025】
上記した表示部21をインストルメントパネル内部の収納位置とインストルメントパネル外部の使用位置との間を移動させる表示部移動機構25について、その概略を示す
図5(収納位置を示す)及び
図6(使用位置を示す)を参照して説明する。
【0026】
図5に示すように、車載装置11の不使用時においては、表示部21の頂部がインストルメントパネル表面31(鎖線で示す)と略面一となるように、表示部21の本体がインストルメントパネル内部の収納位置に収納されている。車載装置11の使用時には、
図6に示すように、処理ユニット12(表示部移動制御手段)が駆動回路26(
図1参照)を通じて表示部移動機構25により表示部21の全体をインストルメントパネル表面31から露出するように使用位置まで移動させ、さらに使用後は再びインストルメントパネル内部の収納位置へ移動させる。
【0027】
表示部移動機構25はインストルメントパネル内に設けられており、主に、駆動モータ32を含む駆動部35と、駆動部35の回転運動を前後運動等に変換させるギア機構部36a、36bと、表示部21昇降、移動させるスライド部37a、37bと、ギア機構部36a、36bとスライド部37a、37bとを連結する連結部38a、38bと、スライド部37a、37bを上下方向に支持する支持脚41a、41bとで構成される。このような表示部移動機構25により、表示部21(タッチパネル22を含む)は、インストルメントパネル内部の収納位置とインストルメントパネル外部の使用位置との間を移動可能となっている。
【0028】
上記した構成の車載装置11は、
図2に示すような手順にて処理がなされる。なお、
図2に示す手順の説明では
図1を適宜参照する。
【0029】
図2、
図1に示すように、処理ユニット12は、車両(不図示)の運転席への乗車を乗車検出センサ27により検出する(S11:乗車検出手段)。本実施形態における乗車検出センサ27は運転席のドアの外部からの開扉を検出するセンサであるが、例えば、運転席のドアの外部からの開錠を検出するセンサであってもよい。さらには開錠とドア開扉との双方を検出したときに運転席への乗車を検出するようにしてもよい。処理ユニット12は、乗車検出センサ27による検出信号により運転席への乗車を検出したとき(S11のYES)、車載カメラ29の電源を入れ、作動開始させる(S12)。
【0030】
車載カメラ29の作動開始後、処理ユニット12は、車載カメラ29の撮影による車両の後方撮影画像に基づいて、車両の後進が可能であるか否かを検出する(S13:後進可能検出手段)。車両の後進可能と検出されたときは(S13のYES)、後進する可能性(予測性)ありと考えられ、処理ユニット12は表示部移動機構25により表示部21をインストルメントパネル内部の収納位置からインストルメントパネル外部の使用位置に向けて移動を開始させる(S14:表示部移動制御手段)。車両の後進が可能と検出されたときは、後進が予想されるとして、後進開始前に後方撮影画像を表示部21に表示するために、表示部21を収納位置から使用位置に向けて移動開始させるようにしたものである。
【0031】
車載カメラ29の撮影した後方撮影画像に基づく後進可能か否かの検出は、例えば過去の後方撮影画像との差分から行う方法、又は後方撮影画像のエッジ情報による物体の検出を行う方法、又は障害物に対して左右のカメラから取得した右画像と左画像とにおいて撮影された同一の物体のその視差からその物体までの距離を求める方法等を利用して行うことができる。なお、後進可能か否かの検出は、障害物の有無の他、後進方向の路面状況等も対象となる。また、本実施形態では車載カメラ19の撮影画像に基づいて後進可能か否かを検出するが、赤外センサ等の各種センサにより後進可能か否かを検出してもよい。
【0032】
車両の後進が可能であると検出されないときには(S13のNO)、処理ユニット12は表示部21の収納位置からの移動開始は行わない。車両の後方に障害物ある場合又は後進が不可能な状況である場合等は、明らかに車両の後進が予想されないことから、このタイミングでの表示部21の移動を行わないものとした。処理ユニット12は、車両の後進可能が検出されないときは(S13のNO)、エンジンスタート(又はACCスイッチのON)の有無を検出し(S15)、エンジンがスタート(又はACCスイッチのON)された時に通常の設定通りに表示部21を収納位置から使用位置に向けて表示部移動機構25により移動させ(S16)、設定又は乗員の操作に基づき、表示部21に所定画像を表示することができる(S20:後述参照)。なお、表示部21の移動が手動操作の場合には、操作部23の操作ボタン等による操作によって表示部21を収納位置から使用位置に向けて表示部移動機構25により移動させることができる。
【0033】
上述したように、車両が後進可能と検出されて(S13のYES)、表示部21が収納位置から使用位置に向けて移動開始した後、処理ユニット12は車両のエンジンスタート(又はACCスイッチのON)の有無を検出する(S17)。処理ユニット12は、所定時間内にエンジンスタート(又はACCスイッチのON)が検出されないときは(S17のNO)、表示部21を使用位置から収納位置に向けて移動させる(S26:表示部移動制御手段:後述参照)。これは、車両内の忘れ物を取りにドア開扉したとき等、発進目的でない時には表示部21を収納位置に戻すためである。
【0034】
処理ユニット12は、エンジンスタート(又はACCスイッチのON)を検出した後(S17のYES)、車両のギア位置が後進位置(バックギア位置)にあるか、前進位置(ドライブギア位置等)にあるかをギア位置検出センサ28の検出信号に基づいて検出する(S18:ギア位置検出手段)。処理ユニット12は、ギア位置が後進位置にあると検出したときは(S18でギアの後進位置を検出)、車載カメラ29による車両の後方撮影画像を表示部21に表示する(S19:表示部制御手段)。上述したように、運転席への乗車検出及び車両の後進可能状態の検出により表示部21が既に収納位置から使用位置に向けて移動開始しているので、その後のエンジンスタート検出及び後進ギア位置の検出後の車両の後進開始前に後方撮影画像を表示部21に表示することができる。そのため、エンジンスタート後(ACCスイッチON後)に表示部を収納位置から移動開始する従来の車載装置と異なり、本実施形態に係る車載装置11によれば、エンジンスタート直後の後進の場合でも、後進開始前に後方撮影画像を表示部21に表示できるので、車両後方を撮影画像により確認することができる。
【0035】
処理ユニット12は、車両のギア位置が前進位置(ドライブギア位置等)にありと検出したときは(S18でギアの前進位置を検出)、設定に基づいて表示部21に所定の画像を表示する(S20)。例えば、ナビゲーションモードによる車両位置を地図表示する場合等である。
【0036】
更に、処理ユニット12は、上記したように、表示部21に後方撮影画像を表示したときは(S19)、運転者等の操作による表示切替を検出したときは(S21のYES)、表示部21の画面上の表示を切替える(S22)。なお、表示部21に所定画像を表示したときも(S20)、運転者等の操作による表示切替を検出したときは(S23のYES)、表示部21の画面上の表示を切替える(S24)。処理ユニット12は、車載装置11の作動の終了(スイッチOFF等)を検出したときは(S25のYES)、表示部移動機構25により表示部21をインストメントパネル外部の使用位置からインストルメントパネル内部の収納位置に向けて移動させる(S26:表示部移動制御手段)。これにより、表示部21は
図5に示すように、インストルメントパネル内部に収納される。
【0037】
本実施形態に係る車載装置11の表示部21の収納位置から表示位置までの経時的な移動状態を従来の車載装置との比較で
図4に示す。従来の車載装置では、
図4に示すようにエンジンスタート直後に表示部がインストルメントパネル内部の収納位置からインストルメントパネル外部の使用位置に向けて移動を開始し、T秒後(約2〜3秒程度)に使用位置に到達する。そのため、エンジンスタート直後に後進する場合には、車載カメラによる車両の後方撮影画像を後進開始前に表示部に表示することができず、車載装置の利用が十分に図れなかった。
【0038】
一方、本実施形態に係る車載装置11においては、運転席ドアの外部からの開扉による乗車検出及び後方撮影画像に基づく後進可能の検出により、表示部21をインストルメントパネル内部の収納位置からインストルメントパネル外部の使用位置に向けて移動を開始させ、T秒後(約2〜3秒程度)に使用位置に到達させる。その結果、従来の車載装置と較べ、使用位置に時間差ΔT(約2〜3秒程度)だけ早く到達するので、エンジンスタート後の直ちに後進する場合でも、車載カメラによる後方撮影画像を後進開始前に表示部21に表示することができ、後部を画像で確認しながら後進することができる。なお、車両を駐車した際に、明らかに後進不可能であると判断したときには、本実施形態に係る車載装置11による乗車検出及び後進可能の検出があったときでも表示部21の移動開始の動作を予め解除する設定が可能である。
【産業上の利用可能性】
【0039】
以上、説明したように、本発明に係る車載装置は、車両の運転席への乗車の検出及び車両の後進可能を検出したときに、表示部をインストルメントパネル内部の収納位置からインストルメントパネル外部の使用位置まで移動させるので、エンジンスタート後に直ちに車両を後進させる場合でも、後進開始前に後方撮影画像を表示部に表示することが可能という効果を奏し、車載カメラによる撮影画像を表示部に表示する車載装置として有用である。
【符号の説明】
【0040】
11 車載装置
12 処理ユニット
15 AVユニット
17 ナビゲーションユニット
18 スピーカ
19 出力回路
20 記憶部
21 表示部
22 タッチパネル
23 操作部
25 表示部移動機構
26 駆動回路
27 乗車検出センサ
28 ギア位置検出センサ
29 車載カメラ