特許第6410048号(P6410048)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6410048
(24)【登録日】2018年10月5日
(45)【発行日】2018年10月24日
(54)【発明の名称】温度センサ
(51)【国際特許分類】
   G01K 7/22 20060101AFI20181015BHJP
【FI】
   G01K7/22 J
   G01K7/22 A
【請求項の数】4
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2015-62704(P2015-62704)
(22)【出願日】2015年3月25日
(65)【公開番号】特開2016-183861(P2016-183861A)
(43)【公開日】2016年10月20日
【審査請求日】2017年9月29日
(73)【特許権者】
【識別番号】000006264
【氏名又は名称】三菱マテリアル株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100120396
【弁理士】
【氏名又は名称】杉浦 秀幸
(72)【発明者】
【氏名】長友 憲昭
(72)【発明者】
【氏名】白田 敬治
(72)【発明者】
【氏名】竹島 一太
(72)【発明者】
【氏名】稲場 均
【審査官】 吉田 久
(56)【参考文献】
【文献】 特開2000−74752(JP,A)
【文献】 特開2001−56257(JP,A)
【文献】 特開2008−53641(JP,A)
【文献】 特開2010−175494(JP,A)
【文献】 特開2013−205317(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01K 1/00−19/00
H01L 23/34−23/473
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
絶縁性フィルムと、
該絶縁性フィルムの上面にサーミスタ材料でパターン形成された薄膜サーミスタ部と、
前記薄膜サーミスタ部の上及び下の少なくとも一方に複数の櫛部を有して互いに対向してパターン形成された一対の櫛型電極と、
前記一対の櫛型電極に接続され前記絶縁性フィルムの上面にパターン形成された一対のパターン電極と、
前記絶縁性フィルムの上面に前記薄膜サーミスタ部を覆って前記薄膜サーミスタ部よりも大きくパターン形成された保護膜とを備え、
前記保護膜が、引っ張り弾性率が前記絶縁性フィルム以下の材料で形成され、前記薄膜サーミスタ部よりも外側で上方に突出した凸部を有していることを特徴とする温度センサ。
【請求項2】
請求項1に記載の温度センサにおいて、
前記凸部が、前記薄膜サーミスタ部を囲んで環状に形成されていることを特徴とする温度センサ。
【請求項3】
請求項1に記載の温度センサにおいて、
前記凸部が、前記保護膜の四隅にそれぞれ形成されていることを特徴とする温度センサ。
【請求項4】
請求項1から3のいずれか一項に記載の温度センサにおいて、
半導体装置とヒートシンクとの間に設置されることを特徴とする温度センサ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、CPU等の半導体装置等の温度を測定することに好適で信頼性に優れた温度センサに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば特許文献1に、一対のリードフレームと、これらのリードフレームの間に配設され接続された感熱素子と、一対のリードフレームの端部に形成された保持部と、リードフレーム及び感熱素子の片面に設けられた薄膜シートとを有する温度センサが提案されている。
上記特許文献1には、感熱素子として ビードサーミスタやチップサーミスタの他に、アルミナ等の絶縁基板の一面に感熱膜が形成された薄膜サーミスタが採用されている。
【0003】
また、感熱膜を用いたサーミスタとして、特許文献2には、絶縁基板と、絶縁基板の一面上に形成された絶縁膜と、絶縁膜上にパターン形成された一対の櫛歯電極と、櫛歯電極の端部から延びて絶縁基板上の一端に形成された一対の外部引出端子部と、絶縁膜を下地とし櫛歯電極上にパターン形成された金属酸化物からなる感熱膜と、感熱膜を保護する絶縁保護膜と、一対の外部引出端子部を除く絶縁保護膜を被覆するガラス保護膜とからなる薄膜サーミスタが記載されている。
【0004】
また、近年、柔軟性に優れると共に全体を薄くすることができるフィルム型温度センサとして、絶縁性フィルム上に薄膜サーミスタを形成した温度センサが開発されている。例えば、特許文献3には、絶縁性フィルムと、絶縁性フィルム表面に薄膜サーミスタ材料でパターン形成された薄膜サーミスタ部と、薄膜サーミスタ部の上に複数の櫛部を有して互いに対向してパターン形成された一対の櫛型電極と、一対の櫛型電極に接続され絶縁性フィルムの表面にパターン形成された一対のパターン電極とを備えた温度センサが提案されている。この温度センサでは、薄膜サーミスタ部を補強するために櫛部の延在方向に対して直交する方向に延在した硬質な補強用樹脂部が絶縁性フィルムに設置されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2000−74752号公報
【特許文献2】特開2007−115938号公報
【特許文献3】特開2014−70954号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記従来の技術には、以下の課題が残されている。
上下に配された測定対象物の間に温度センサを挿入させて温度測定を行う際、上下の測定対象物に挟まれて温度センサに圧力が加わる場合があり、温度センサが壊れるおそれがあった。すなわち、特許文献1及び2に記載の技術では、単に平坦なフィルムや膜でカバーしているだけであるため、素子に強い圧力が直接的に加わって破壊されるおそれがあった。また、特許文献3に記載の技術では、エポキシ樹脂等の硬質な補強用樹脂部が絶縁性フィルムに設置されているが、補強用樹脂部が硬質であるために、下部のパターン電極や絶縁性フィルム等に強い圧力が加わってしまい、パターン電極等が損傷するおそれがあった。
【0007】
本発明は、前述の課題に鑑みてなされたもので、測定対象物の隙間に挿入された場合に上下方向に圧力が加わっても損傷し難い温度センサを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、前記課題を解決するために以下の構成を採用した。すなわち、第1の発明に係る温度センサは、絶縁性フィルムと、該絶縁性フィルムの上面にサーミスタ材料でパターン形成された薄膜サーミスタ部と、前記薄膜サーミスタ部の上及び下の少なくとも一方に複数の櫛部を有して互いに対向してパターン形成された一対の櫛型電極と、前記一対の櫛型電極に接続され前記絶縁性フィルムの上面にパターン形成された一対のパターン電極と、前記絶縁性フィルムの上面に前記薄膜サーミスタ部を覆って前記薄膜サーミスタ部よりも大きくパターン形成された保護膜とを備え、前記保護膜が、引っ張り弾性率が前記絶縁性フィルム以下の材料で形成され、前記薄膜サーミスタ部よりも外側で上方に突出した凸部を有していることを特徴とする。
【0009】
すなわち、この温度センサでは、保護膜が、引っ張り弾性率が絶縁性フィルム以下の材料で形成され、薄膜サーミスタ部よりも外側で上方に突出した凸部を有しているので、測定対象物から圧力が加わっても保護膜の柔らかい凸部が緩衝材として機能することで、薄膜サーミスタ部、櫛型電極及びパターン配線等からなる感熱部に強い圧力が加わることを抑制することができる。特に、凸部が薄膜サーミスタ部の外側に配されて測定対象物を支持するので、直上から薄膜サーミスタ部に直接的に圧力が加わらず、薄膜サーミスタ部を保護することができる。
【0010】
第2の発明に係る温度センサは、第1の発明において、前記凸部が、前記薄膜サーミスタ部を囲んで環状に形成されていることを特徴とする。
すなわち、この温度センサでは、凸部が、薄膜サーミスタ部を囲んで環状に形成されているので、土手構造的に形成された環状の凸部によって薄膜サーミスタ部を囲むことで、薄膜サーミスタ部全体を効果的に保護することができる。
【0011】
第3の発明に係る温度センサは、第1の発明において、前記凸部が、前記保護膜の四隅にそれぞれ形成されていることを特徴とする。
すなわち、この温度センサでは、凸部が、保護膜の四隅にそれぞれ形成されているので、温度センサを曲げて設置する場合に凸部が曲げの妨げにならない。
【0012】
第4の発明に係る温度センサは、第1から第3の発明のいずれかにおいて、半導体装置とヒートシンクとの間に設置されることを特徴とする。
すなわち、この温度センサでは、半導体装置とヒートシンクとの間に設置されるので、CPU等の半導体装置とヒートシンクとの間に狭持されても薄膜サーミスタ部自体に圧力が加わり難く、高い信頼性を有して温度測定ができる。また、フィルム状の温度センサによって全体を薄型化することができると共に、高い応答性を有することができる。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、以下の効果を奏する。
本発明に係る温度センサによれば、保護膜が、引っ張り弾性率が絶縁性フィルム以下の材料で形成され、薄膜サーミスタ部よりも外側で上方に突出した凸部を有しているので、柔らかい凸部が緩衝材として機能することで、薄膜サーミスタ部、櫛型電極及びパターン配線等からなる感熱部に強い圧力が加わることを抑制することができる。
したがって、CPU等の半導体装置とヒートシンクとの間に温度センサを挿入して温度測定する場合でも、薄型化を図ることができると共に、高い信頼性及び応答性も有することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明に係る温度センサの第1実施形態を示す平面図及びA−A線断面図である。
図2】第1実施形態において、薄膜サーミスタ部形成工程を示す平面図及びB−B線断面図である。
図3】第1実施形態において、電極形成工程を示す平面図及びC−C線断面図である。
図4】第1実施形態において、保護膜形成工程を示す平面図及びD−D線断面図である。
図5】温度センサが測定対象物の間に設置された状態を示す凸部の無い参考例(a)と、第1実施形態において、凸部を有する実施例(b)を示す断面図である。
図6】第1実施形態において、温度センサが半導体装置とヒートシンクとの間に設置された状態を示す概略的な断面図である。
図7】本発明に係る温度センサの第2実施形態を示す平面図及びE−E線断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明に係る温度センサにおける第1実施形態を、図1から図6を参照しながら説明する。なお、以下の説明に用いる図面の一部では、各部を認識可能又は認識容易な大きさとするために必要に応じて縮尺を適宜変更している。
【0016】
本実施形態の温度センサ1は、図1に示すように、絶縁性フィルム2と、該絶縁性フィルム2の上面にサーミスタ材料でパターン形成された薄膜サーミスタ部3と、薄膜サーミスタ部3の上に複数の櫛部4aを有して互いに対向してパターン形成された一対の櫛型電極4と、一対の櫛型電極4に接続され絶縁性フィルム2の上面にパターン形成された一対のパターン電極5と、絶縁性フィルム2の上面に薄膜サーミスタ部3を覆って薄膜サーミスタ部3よりも大きくパターン形成された保護膜6とを備えている。
【0017】
上記保護膜6は、引っ張り弾性率が絶縁性フィルム2以下の材料で形成され、薄膜サーミスタ部3よりも外側で上方に突出した凸部6aを有している。すなわち、保護膜6は、絶縁性フィルム2と同じ又は絶縁性フィルム2よりも柔らかい材料で形成されている。なお、引っ張り弾性率の測定方法は、ASTM D882(Standard Test Method for Tensile Properties of Thin Plastic Sheeting)で規定されている方法にて行う。
この凸部6aは、薄膜サーミスタ部3を囲んで環状に形成されている。すなわち、凸部6aは、平面視矩形状の保護膜6の外縁部に土手構造的な矩形環状に形成されている。
【0018】
なお、絶縁性フィルム2の上面に、薄膜サーミスタ部3、櫛型電極4及びパターン電極5を覆う絶縁性の保護シートを接着しても構わない。なお、保護シートを接着する場合、凸部6aの部分を除いて接着され、保護シートが貼られた部分が凸部6aの部分よりも薄く設定され、凸部6aが保護シートよりも突出した状態とする。
【0019】
上記絶縁性フィルム2は、略長方形状とされ、例えば厚さ7.5〜125μmのポリイミド樹脂シートで帯状に形成されている。なお、絶縁性フィルム2としては、他にPET:ポリエチレンテレフタレート,PEN:ポリエチレンナフタレート等でも作製できるが、耐熱性が必要な温度測定用としては、最高使用温度が230℃と高いためポリイミドフィルムが望ましい。
【0020】
上記薄膜サーミスタ部3は、絶縁性フィルム2の一端側に配され、TiAlNのサーミスタ材料で形成されている。特に、薄膜サーミスタ部3は、一般式:TiAl(0.70≦y/(x+y)≦0.95、0.4≦z≦0.5、x+y+z=1)で示される金属窒化物からなり、その結晶構造が、六方晶系のウルツ鉱型の単相である。
【0021】
上記パターン電極5及び櫛型電極4は、薄膜サーミスタ部3上に形成された膜厚5〜100nmのCr又はNiCrの接合層と、該接合層上にAu等の貴金属で膜厚50〜1000nmで形成された電極層とを有している。
一対の櫛型電極4は、互いに対向状態に配されて交互に櫛部4aが並んだ櫛型パターンとされている。
【0022】
一対のパターン電極5は、櫛型電極4に先端部側が接続され、基端部側が絶縁性フィルム2の両側部に配されている。
上記保護膜6は、絶縁性樹脂膜等であり、例えば中央部が厚さ20μmであると共に凸部6aの部分が厚さ40μmのポリイミド膜が採用される。すなわち、凸部6aは、保護膜6の中央部よりも上方に20μm突出している。
【0023】
この温度センサ1の製造方法について、図1から図4を参照して以下に説明する。
本実施形態の温度センサ1の製造方法は、絶縁性フィルム2の上面に薄膜サーミスタ部3をパターン形成する薄膜サーミスタ部形成工程と、互いに対向した一対の櫛型電極4を薄膜サーミスタ部3上に配して絶縁性フィルム2の上面に一対のパターン電極5をパターン形成する電極形成工程と、絶縁性フィルム2の上面に保護膜6を形成する保護膜形成工程とを有している。
【0024】
より具体的な製造方法の例としては、厚さ50μmのポリイミドフィルムの絶縁性フィルム2上に、Ti−Al合金スパッタリングターゲットを用い、窒素含有雰囲気中で反応性スパッタ法にて、TiAl(x=9、y=43、z=48)のサーミスタ膜を膜厚200nmで形成する。その時のスパッタ条件は、到達真空度5×10−6Pa、スパッタガス圧0.4Pa、ターゲット投入電力(出力)200Wで、Arガス+窒素ガスの混合ガス雰囲気下において、窒素ガス分率を20%で作製する。
【0025】
成膜したサーミスタ膜の上にレジスト液をバーコーターで塗布した後、110℃で1分30秒プリベークを行い、露光装置で感光後、現像液で不要部分を除去し、さらに150℃で5分のポストベークにてパターニングを行う。その後、不要なTiAlのサーミスタ膜を市販のTiエッチャントでウェットエッチングを行い、図2に示すように、レジスト剥離にて所望の形状の薄膜サーミスタ部3にする。
【0026】
次に、薄膜サーミスタ部3及び絶縁性フィルム2上に、スパッタ法にて、Cr膜の接合層を膜厚20nm形成する。さらに、この接合層上に、スパッタ法にてAu膜の電極層を膜厚200nm形成する。
次に、成膜した電極層の上にレジスト液をバーコーターで塗布した後、110℃で1分30秒プリベークを行い、露光装置で感光後、現像液で不要部分を除去し、150℃で5分のポストベークにてパターニングを行う。その後、不要な電極部分を市販のAuエッチャント及びCrエッチャントの順番でウェットエッチングを行い、図3に示すように、レジスト剥離にて所望の櫛型電極4及びパターン電極5を形成する。
【0027】
次に、絶縁性フィルム2の上面にポリイミドワニスを印刷法により塗布して、180℃、30分でキュアを行い、図4に示すように、20μm厚のポリイミド保護膜6Aを形成する。さらに、このポリイミド保護膜6Aの外縁部上に、再度、ポリイミドワニスを印刷法により塗布して、180℃、30分でキュアを行い、図1に示すように、保護膜6の中央部よりもさらに20μm厚い矩形環状の凸部6aを形成することで、温度センサ1が作製される。
【0028】
また、複数の温度センサ1を同時に作製する場合、絶縁性フィルム2の大判シートに複数の薄膜サーミスタ部3、櫛型電極4、パターン電極5及び保護膜6を上述のように形成した後に、大判シートから各温度センサ1に切断する。
【0029】
次に、この本実施形態の温度センサ1を、測定対象物M1,M2の間に挿入、設置する場合について説明する。
例えば、図5の(a)に示すように、凸部6aの無い平坦な保護膜106を有した温度センサ(参考例)を使用した場合、上部の測定対象物M1からの圧力が、薄膜サーミスタ部3直上の保護膜106を介して薄膜サーミスタ部3に加わってしまい、薄膜サーミスタ部3等が損傷するおそれがある。
【0030】
これに対し、図5の(b)に示すように、本実施形態の温度センサ1を使用した場合、薄膜サーミスタ部3の外側に配された凸部6aが、上部の測定対象物M1を支持すると共に多少押しつぶされてクッションとなることで、薄膜サーミスタ部3には圧力が加わらず、薄膜サーミスタ部3等の損傷を防ぐことができる。
したがって、本実施形態の温度センサ1は、例えば、図6に示すように、測定対象物M1であるCPU等の半導体装置と測定対象物M2であるヒートシンクとの隙間にグリースを塗布した状態で設置されて、CPU等の半導体装置の温度を測定する場合に好適である。
【0031】
このように本実施形態の温度センサ1では、保護膜6が、引っ張り弾性率が絶縁性フィルム2以下の材料で形成され、薄膜サーミスタ部3よりも外側で上方に突出した凸部6aを有しているので、測定対象物M1から圧力が加わっても保護膜6の柔らかい凸部6aが緩衝材として機能することで、薄膜サーミスタ部3、櫛型電極4及びパターン配線5等からなる感熱部に強い圧力が加わることを抑制することができる。特に、凸部6aが薄膜サーミスタ部3の外側に配されて測定対象物M1を支持するので、直上から薄膜サーミスタ部3に直接的に圧力が加わらず、薄膜サーミスタ部3を保護することができる。
【0032】
また、凸部6aが、薄膜サーミスタ部3を囲んで環状に形成されているので、土手構造的に形成された環状の凸部6aによって薄膜サーミスタ部3を囲むことで、薄膜サーミスタ部3全体を効果的に保護することができる。
【0033】
したがって、本実施形態の温度センサ1を半導体装置とヒートシンクとの間に設置することで、CPU等の半導体装置とヒートシンクとの間に狭持されても薄膜サーミスタ部3自体に圧力が加わり難く、高い信頼性を有して温度測定ができる。また、フィルム状の温度センサ1によって全体を薄型化することができると共に、高い応答性を有することができる。
【0034】
次に、本発明に係る温度センサの第2実施形態について、図7を参照して以下に説明する。なお、以下の実施形態の説明において、上記実施形態において説明した同一の構成要素には同一の符号を付し、その説明は省略する。
【0035】
第2実施形態と第1実施形態との異なる点は、第1実施形態では、凸部6aが矩形環状に形成されているのに対し、第2実施形態の温度センサ21では、図7に示すように、凸部26aが、保護膜26の四隅にそれぞれ形成されている点である。
すなわち、第2実施形態では、平面視矩形状の保護膜26の各角部にそれぞれ矩形状の凸部26aが設けられている。
【0036】
したがって、第2実施形態の温度センサ21では、凸部26aが、保護膜26の四隅にそれぞれ形成されているので、温度センサ21を曲げて設置する場合に凸部26aが曲げの妨げにならない。
【0037】
なお、本発明の技術範囲は上記各実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。
【符号の説明】
【0038】
1,21…温度センサ、2…絶縁性フィルム、3…薄膜サーミスタ部、4…櫛型電極、4a…櫛部、5…パターン電極、6,26…保護膜、6a,26a…凸部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7