特許第6410068号(P6410068)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6410068
(24)【登録日】2018年10月5日
(45)【発行日】2018年10月24日
(54)【発明の名称】物品の支持装置及び支持方法
(51)【国際特許分類】
   B65G 1/04 20060101AFI20181015BHJP
   H01L 21/677 20060101ALI20181015BHJP
【FI】
   B65G1/04 505F
   H01L21/68 A
【請求項の数】7
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2017-507568(P2017-507568)
(86)(22)【出願日】2016年2月5日
(86)【国際出願番号】JP2016053490
(87)【国際公開番号】WO2016152276
(87)【国際公開日】20160929
【審査請求日】2017年8月25日
(31)【優先権主張番号】特願2015-63643(P2015-63643)
(32)【優先日】2015年3月26日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000006297
【氏名又は名称】村田機械株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100086830
【弁理士】
【氏名又は名称】塩入 明
(74)【代理人】
【識別番号】100096046
【弁理士】
【氏名又は名称】塩入 みか
(72)【発明者】
【氏名】小合 玄己
【審査官】 三宅 達
(56)【参考文献】
【文献】 特開2011−29549(JP,A)
【文献】 特開2007−55698(JP,A)
【文献】 特開2003−128209(JP,A)
【文献】 特開2004−315191(JP,A)
【文献】 特開平7−206119(JP,A)
【文献】 特開2015−63351(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65G 49/07
B65G 1/00−1/20
H01L 21/67−21/683
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の物品と、第1の物品よりも高さが低い第2の物品、とを支持する支持装置であって、
第1の物品の底部を位置決めし、第1の物品の水平移動を禁止する第1の位置決め部材と、第2の物品の底部を位置決めし、第2の物品の水平移動を禁止する第2の位置決め部材、とを有する支持部を備え、
第1の位置決め部材と第2の位置決め部材は共に、第1の物品あるいは第2の物品が支持部上へ下降することにより位置決めし、上昇すると位置決めが解除されるように構成され、
支持装置はさらに、
前記第1の位置決め部材が第1の物品を位置決めしている際に、第1の物品の上方に位置し、第1の物品が上昇して位置決めが解除されることを防止する第1の落下防止部材と、
前記第2の位置決め部材が第2の物品を位置決めしている際に、第2の物品の上方に位置し、第2の物品が上昇して位置決めが解除されることを防止する第2の落下防止部材、とを備え、
前記第1の位置決め部材は、前記第2の位置決め部材よりも、高い位置にあり、
前記第1の落下防止部材及び前記第2の落下防止部材は、平面視で前記支持部に対して同じ側にあり、
前記第1の落下防止部材及び前記第2の落下防止部材の側の、第1の物品の端部を、第2の物品の端部と同じか、あるいは第2の物品の端部よりも、前記第1の落下防止部材及び前記第2の落下防止部材に近い側に位置決めするように、前記第1の位置決め部材と前記第2の位置決め部材とが構成され、
前記第1の位置決め部材が第1の物品を位置決めしている際に、前記第2の落下防止部材は第1の物品の前記端部から退避するように構成されている物品の支持装置。
【請求項2】
第2の落下防止部材は、第2の物品の上方と、第1の物品の端部から退避する位置との間で、出退自在で、かつ第1の物品に押されて退避するように構成され、
さらに第2の落下防止部材を第2の物品の上方へ進出するように付勢する付勢部材を備えていることを特徴とする、請求項1の物品の支持装置。
【請求項3】
前記支持部を、物品を移載相手との間で受け渡しする進出位置と、原点位置との間で出退させる移動部を備え、
第1の落下防止部材と第2の落下防止部材は共に移動部に設けられることにより、
進出位置では共に物品の上部から離隔し、
原点位置では、第1の落下防止部材は第1及び第2の物品の上部へ進出し、第2の落下防止部材は第2の物品の上部へ進出するように構成されていることを特徴とする、請求項2の物品の支持装置。
【請求項4】
第1の落下防止部材が上、第2の落下防止部材が下となるように、第1の落下防止部材と第2の落下防止部材は共通の支柱に取り付けられ、
さらに第2の落下防止部材は鉛直軸回りに回動自在に前記支柱に取り付けられていることを特徴とする、請求項1〜3のいずれかの物品の支持装置。
【請求項5】
第2の落下防止部材は、第1の物品の端部と接触するローラを備えていることを特徴とする、請求項4の物品の支持装置。
【請求項6】
第2の落下防止部材が第2の物品の上部で停止するように、回動範囲を制限するストッパをさらに備えていることを特徴とする、請求項5の物品の支持装置。
【請求項7】
第1の物品と、第1の物品よりも高さが低い第2の物品、とを支持装置により支持する方法であって、
支持部の第1の位置決め部材により、第1の物品の底部を位置決めし、第1の物品の水平移動を禁止すると共に、第1の物品が上昇すると位置決めを解除し、
支持部の第2の位置決め部材により、第2の物品の底部を位置決めし、第2の物品の水平移動を禁止すると共に、第2の物品が上昇すると位置決めを解除し、
前記第1の位置決め部材が第1の物品を位置決めしている際に、第1の落下防止部材を第1の物品の上方に位置させ、第1の物品が上昇して位置決めが解除されることを防止し、
前記第2の位置決め部材が第2の物品を位置決めしている際に、第2の落下防止部材を第2の物品の上方に位置させ、第2の物品が上昇して位置決めが解除されることを防止し、
前記第1の位置決め部材は、前記第2の位置決め部材よりも、高い位置にあり、
前記第1の落下防止部材及び前記第2の落下防止部材は、平面視で前記支持部に対して同じ側にあり、
前記第1の位置決め部材及び前記第2の位置決め部材は、前記第1の落下防止部材及び前記第2の落下防止部材の側の、第1の物品の端部を、第2の物品の端部と同じか、あるいは第2の物品の端部よりも、前記第1の落下防止部材及び前記第2の落下防止部材に近い側に位置決めし、
前記第1の位置決め部材が第1の物品を位置決めしている際に、前記第2の落下防止部材を第1の物品の前記端部から退避させる、
物品の支持方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は物品の支持装置及び支持方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1(JP4543567B)は、落下防止部材を備えるスカラアームを開示している。落下防止部材はスカラアームのアームに取り付けられ、移載対象のFOUPの上部に進出してその落下を防止する。ところで300mmウェハー用のFOUPと450mmウェハー用のFOUPのように、背の高さが異なる2種類の物品を支持装置で支持することが要求されている。しかしながら、JP4543567Bのスカラアームでは、2種類の物品を共に支持し、かつ共に落下を防止することは難しい。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】JP4543567B
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
この発明の課題は、高さが異なる複数の物品を位置決めすると共に落下と転倒を防止し、かつ背の高い物品が背が低い物品の落下防止を妨げないようにすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
この発明の物品の支持装置は、第1の物品と、第1の物品よりも高さが低い第2の物品、とを支持し、
第1の物品の底部を位置決めし、第1の物品の水平移動を禁止する第1の位置決め部材と、
第2の物品の底部を位置決めし、第2の物品の水平移動を禁止する第2の位置決め部材、とを有する支持部を備え、
第1の位置決め部材と第2の位置決め部材は共に、第1の物品あるいは第2の物品が支持部上へ下降することにより位置決めし、上昇すると位置決めが解除されるように構成され、
支持装置はさらに、
前記第1の位置決め部材が第1の物品を位置決めしている際に、第1の物品の上方に位置し、第1の物品が上昇して位置決めが解除されることを防止する第1の落下防止部材と、
前記第2の位置決め部材が第2の物品を位置決めしている際に、第2の物品の上方に位置し、第2の物品が上昇して位置決めが解除されることを防止する第2の落下防止部材、とを備え、
前記第1の位置決め部材は、前記第2の位置決め部材よりも、高い位置にあり、
前記第1の落下防止部材及び前記第2の落下防止部材は、平面視で前記支持部に対して同じ側にあり、
前記第1の落下防止部材及び前記第2の落下防止部材の側の、第1の物品の端部を、第2の物品の端部と同じか、あるいは第2の物品の端部よりも、前記第1の落下防止部材及び前記第2の落下防止部材に近い側に位置決めするように、前記第1の位置決め部材と前記第2の位置決め部材とが構成され、
前記第1の位置決め部材が第1の物品を位置決めしている際に、前記第2の落下防止部材は第1の物品の前記端部から退避するように構成されている。
【0006】
この発明の物品の支持方法は、第1の物品と、第1の物品よりも高さが低い第2の物品、とを支持装置により支持し、
支持部の第1の位置決め部材により、第1の物品の底部を位置決めし、第1の物品の水平移動を禁止すると共に、第1の物品が上昇すると位置決めを解除し、
支持部の第2の位置決め部材により、第2の物品の底部を位置決めし、第2の物品の水平移動を禁止すると共に、第2の物品が上昇すると位置決めを解除し、
前記第1の位置決め部材が第1の物品を位置決めしている際に、第1の落下防止部材を第1の物品の上方に位置させ、第1の物品が上昇して位置決めが解除されることを防止し、
前記第2の位置決め部材が第2の物品を位置決めしている際に、第2の落下防止部材を第2の物品の上方に位置させ、第2の物品が上昇して位置決めが解除されることを防止し、
前記第1の位置決め部材は、前記第2の位置決め部材よりも、高い位置にあり、
前記第1の落下防止部材及び前記第2の落下防止部材は、平面視で前記支持部に対して同じ側にあり、
前記第1の位置決め部材及び前記第2の位置決め部材は、前記第1の落下防止部材及び前記第2の落下防止部材の側の、第1の物品の端部を、第2の物品の端部と同じか、あるいは第2の物品の端部よりも、前記第1の落下防止部材及び前記第2の落下防止部材に近い側に位置決めし、
前記第1の位置決め部材が第1の物品を位置決めしている際に、前記第2の落下防止部材を第1の物品の前記端部から退避させる。なおこれらのステップは例えば並行に行われる。またこの明細書で、支持装置に関する記載はそのまま支持方法にも当てはまる。
【0007】
実施例では、第1及び第2の位置決め部材は、第1及び第2の物品の底部を位置決めすると共に支持するが、別途の支持部材により第1及び第2の物品の底部を支持しても良い。平面視で前記支持部に対して、第1の落下防止部材と第2の落下防止部材は同じ側にある。そして第1及び第2の落下防止部材側の第1の物品の端部は、第2の物品の端部と同じか、第1及び第2の落下防止部材により近い側に位置決めされる。
【0008】
第1の物品と第2の物品は支持部から上昇すると位置決めが解除されるので、落下、転倒などの恐れがある。そこで第1の落下防止部材と第2の落下防止部材とを、これらの物品の上部に位置させ、物品が上昇して位置決めが解除されることを防止する。ここで、第1の物品の端部は、第2の物品の端部と同じか、第1及び第2の落下防止部材により近い側に位置決めされるので、第2の落下防止部材は背が高い第1の物品と干渉する。このため第1の位置決め部材が第1の物品を位置決めしている際に、前記第2の落下防止部材を第1の物品の前記端部から退避させる。
【0009】
この発明では、高さが異なる2種類の物品を位置決めすると共に、第1の物品の落下あるいは転倒を第1の落下防止部材により防止し、第2の物品の落下あるいは転倒を第2の落下防止部材により防止する。そして第2の落下防止部材を退避させて、第1の物品が第2の落下防止部材の設置を妨げないようにする。この発明では物品の落下と転倒を防止するが、以下では、転倒を省略して落下を防止するということがある。
【0010】
好ましくは、第2の落下防止部材は、第2の物品の上方と、第1の物品の端部から退避する位置との間で、出退自在で、かつ第1の物品に押されて退避するように構成され、さらに第2の落下防止部材を第2の物品の上方へ進出するように付勢する付勢部材を備えている。このようにすると、第2の落下防止部材は、駆動機構無しで第2の物品の上方へ進出し、かつ第1の物品に押されて退避する。従って駆動機構のスペースが不要で、また駆動機構をメンテナンスする必要もない。
【0011】
より好ましくは、前記支持部を、物品を移載相手との間で受け渡しする進出位置と、原点位置との間で出退させる移動部を備え、第1の落下防止部材と第2の落下防止部材は共に移動部に設けられることにより、進出位置では共に物品の上部から離隔し、原点位置では、第1の落下防止部材は第1及び第2の物品の上部へ進出し、第2の落下防止部材は第2の物品の上部へ進出するように構成されている。このようにすると、支持装置は物品の移載装置に組み込まれ、移動部の運動によって第1の落下防止部材と第2の落下防止部材とを、物品の上方と物品から離隔した位置との間で移動させることができる。なお第2の落下防止部材は、移動部の運動に加えて、付勢部材による付勢と第1の物品に押されることとにより、出退する。
【0012】
好ましくは、第1の落下防止部材が上、第2の落下防止部材が下となるように、第1の落下防止部材と第2の落下防止部材は共通の支柱に取り付けられ、さらに第2の落下防止部材は鉛直軸回りに回動自在に前記支柱に取り付けられている。鉛直軸回りに第2の落下防止部材を回動させると、例えば水平に出退させる場合に比べ、小さなスペースの機構で簡単に進退させることができる。
【0013】
より好ましくは、第2の落下防止部材は、第1の物品の端部と接触するローラを備えている。このようにすると、第2の落下防止部材を第1の物品と穏やかに接触させることができ、例えば接触時の発塵を少なくできる。
【0014】
特に好ましくは、第2の落下防止部材が第2の物品の上部で停止するように、回動範囲を制限するストッパをさらに備えている。このようにすると、第2の落下防止部材を付勢部材で付勢して、ストッパで位置決めできるので、確実に第2の物品の上部へ進出させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】実施例の支持装置を備えたスカラアームが、第1の物品(450mmウェハー用のFOUP)を支持している状態を示す平面図
図2】スカラアームが第1の物品を支持している状態を示す側面図
図3】位置決め突起による第1の物品の位置決めを示す、図2の要部拡大側面図
図4】スカラアームが、第2の物品(300mmウェハー用のFOUP)を支持している状態を示す平面図
図5】スカラアームが第2の物品を支持している状態を示す側面図
図6】落下防止機構を示す、図5の要部拡大側面図
図7】棚受の平面図で、第1の物品を載置している状態を示す
図8】棚受の平面図で、第2の物品を載置している状態を示す
図9】参考例の落下防止機構の側面図
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下に本発明を実施するための最適実施例を示す。この発明の範囲は、特許請求の範囲の記載に基づき、明細書の記載とこの分野での周知技術とを参酌し、当業者の理解に従って定められるべきである。
【実施例】
【0017】
図1図6に、実施例のスカラアーム4を示す。スカラアーム4は、ハンド2(支持部)により物品を位置決めすると共に支持し、棚受80,81等の移載相手との間で、アーム32,34の進退動作等により物品を移載(受け渡し)する。なお図7図8は、スカラアーム4が物品を移載する棚受80,81を示す。
【0018】
物品は、450mmウェハー用のFOUP52(第1の物品)と、300mmウェハー用のFOUP64(第2の物品)の2種類であるが、物品の種類自体は任意である。第2の物品は、第1の物品よりもサイズが小さく、特に高さが第1の物品よりも低いものとする。各図において、鎖線はFOUP52,64を示し、FOUP52,64のサイドフランジのように、本発明とは関係がない部分は省略して示す。図1図4図7図8では、ハンド2及び棚受80,81による位置決めを示すため、FOUP52,64の底部の構造を示す。
【0019】
図1図2は、450mmウェハー用のFOUP52を支持した状態での、スカラアーム4を示す。ハンド2はプレート6を備え、プレートの前後方向での先端と基部とに厚肉部8,9があり、中間に薄肉部10がある。基部の厚肉部9には軸40があり、軸40はハンド2を回動させる。この明細書では、ハンド2の軸40側を基端、その反対側の厚肉部8側を先端とし、先端と基端とを結ぶ方向を前後方向という。また前後方向に対し、水平面内で直角な方向を左右方向という。
【0020】
プレート6の左右方向の幅は、FOUP52,64の左右方向の幅よりも狭く、FOUP52,64を棚受80,81が支持できるようにしてある。先端側の厚肉部8の左右方向中央部に位置決めガイド12があり、基端側の厚肉部9には左右例えば一対の位置決めガイド16,16がある。位置決めガイド12,16は、左右方向の長さが異なるが、基本的構造は同じで、薄肉部10側が低くなるように傾斜したテーパー面13,17と、テーパー面13,17の下端から薄肉部10側へ延びる水平な支持面14,18とを備えている。またテーパー面13,17と支持面14,18との境界上で、かつ位置決めガイド12,16の左右方向外側の端部の点19は、FOUP52の回り止めとなる。
【0021】
厚肉部8の左右方向中央部で薄肉部10寄りに、例えば平面視で長方形状の位置決め突起20があり、位置決め突起20の左右方向の端部には、R部が設けられている。薄肉部10には、例えば3個のキネマチックカップリングピン22(以下ピン22という)が設けられ、ピン22の高さは支持面14,18の高さよりも低くしてある。薄肉部10の上面を、厚肉部8の上面よりもDだけ低い位置に配置し、このため、厚肉部8,9と薄肉部10との間には、肉厚差Dが有る。そして薄肉部10の上面が厚肉部8の上面よりも低い位置にあるため、位置決めガイド12,16の高さを小さくできる。
【0022】
スカラアーム4は、ベース30に設けた軸36を中心に回動するアーム32と、アーム32の先端側の軸38を中心に回動するアーム34とを備え、アーム34の先端側に前記の軸40を備えている。スカラアーム4は昇降と水平往復運動とが自在な移動体に搭載され、この移動体はFOUP52,64を一時保管するストッカ等に設置されて、棚に沿って往復運動し、アーム42によりスカラアーム4を支持して昇降させる。そしてスカラアーム4の伸縮とベース30の昇降とを組み合わせて、棚受80,81との間でFOUP52,64を移載する。
【0023】
44は第1の落下防止部材、46は第2の落下防止部材である。落下防止部材44,46は、アーム34から鉛直上向きに直立する支柱48に取り付けられ、高さは固定で、落下防止部材44は支柱48の上端付近に、落下防止部材46はその下部に取り付けられている。第2の落下防止部材46は支柱48への取り付け軸を中心に水平面内で回動自在で、先端には鉛直軸回りに回動するローラ50が取り付けられている。第1の落下防止部材44は450mmウェハー用のFOUP52の落下を防止し、第2の落下防止部材46は300mmウェハー用のFOUP64の落下を防止する。落下防止部材44はFOUP52のドア部58の上端を規制し、落下防止部材46はFOUP64のドア部68の上端を規制する。さらに落下防止部材46は、FOUP52に対して、ローラ50がドア部58の端面59に押されることにより後退する。落下防止部材44,46等から成る落下防止機構の構造は、図6を参照して後で詳細に説明する。なお69はFOUP64のドア部68の端面で、端面59は端面69よりも支柱48に近い側にある。
【0024】
図1図2に示すように、450mmウェハー用のFOUP52は底部の4周に沿ってコンベヤ面54が設けられ、側面の下部でコンベヤ面54と交わる面はコンベヤガイド面55とされ、コンベヤ面54とコンベヤガイド面55は特定の位置にある平滑な面である。またFOUP52の底部には、キネマチックカップリング用に3個のV溝(断面が逆V字状の溝)が設けられ、ドア部58側のV溝をV溝56といい、反対側のV溝をV溝57という。ハンド2は、前後のコンベヤガイド面55と置決めガイド12,16とにより、前後方向の位置を位置決めし、コンベヤ面54を支持面124,18で支持する。またドア部58と反対側のV溝57を、位置決め突起20で位置決めすることにより、左右方向の位置決めを行う。位置決め突起20のみでは、FOUP52の鉛直軸回りの向きが変化する可能性があるので、FOUP52の回転を回り止め19により禁止する。
【0025】
450mmウェハー用のFOUP52の支持を、図1図3に示す。図3に示すように、コンベヤガイド面55を位置決めガイド12のテーパー面13によりガイドし、コンベヤ面54を支持面14により支持する。位置決めガイド16でも同様に、コンベヤガイド面55をテーパー面17によりガイドし、コンベヤ面54を支持面18により支持する。これによってFOUP52は前後方向に位置決めされ、鉛直軸回りの回転は回り止め19により防止される。このようにしてFOUP52は水平面内で位置決めされるので、残る運動の自由度は上下運動のみとなる。スカラアーム4の動作、あるいはスカラアーム4を搭載した移動体の動作により、FOUP52に大きな加速度が加わると、FOUP52が落下あるいは転倒する可能性がある。そこで第1の落下防止部材44により、FOUP52の高さを規制し、落下及び転倒を防止する。
【0026】
300mmウェハー用のFOUP64の支持を、図4図5に示す。薄肉部10の前後方向の長さは、FOUP64の奥行きよりも長く、薄肉部10上にFOUP64を支持する。コンベヤ面65を位置決めには用いず、キネマチックカップリング用の3個のV溝66に、3本のピン22をキネマチックカップリングさせて、FOUP64の本来の仕様に従って位置決めする。これが可能なのは、FOUP64はFOUP52よりも小さいため、V溝66の位置にピン22を配置できるためである。またピン22は薄肉部10上にあるため、FOUP52の底部とは接触しない。さらに位置決め突起20は、FOUP64の底面から外れた位置にある。ピン22によりFOUP64は水平面内で位置決めされるので、第2の落下防止部材46によりFOUP64の高さを規制し、落下及び転倒を防止する。
【0027】
図6に示すように、支柱48はアーム34に設けられ、アーム32,34が図1図4の状態から伸張しているときには、落下防止部材44,46はFOUP52,64の上部から離れている。このため、落下防止部材44,46はFOUP52,64と干渉しない。アーム32,34が図1図4のように原点位置へ復帰すると、移動体は走行が可能となる。そしてアーム34が原点位置へ復帰すると、落下防止部材44,46はFOUP52,64の上部へ進出しようとし、落下防止部材44がドア部58の上部へ進出することにより、FOUP52の落下及び転倒を防止する。なお60は弾性片で、落下防止部材44,46の底部に設けられ、FOUP52,64が接触した際の衝撃を吸収する。弾性片60は設けなくても良い。
【0028】
落下防止部材46は鉛直な軸70回りに回動自在に支持され、かつFOUP52,64の上部へ進出する向きへ付勢部材により付勢されている。71,72はブラケット、73は軸受、74はトーションバネで付勢部材の例である。落下防止部材46の先端の底部に前記の弾性片60が設けられているが、設けなくても良い。また落下防止部材46の向きをストッパ76により規制し、FOUP52のドア部68の上部へ進出するようにしてある。ローラ50は、鉛直な軸77回りに回動自在に、軸受78により支持されている。そしてFOUP52に対しては、ローラ50がドア部の正面で押されることにより後退し、FOUP64に対しては図6のように落下防止部材46がドア部68の上部に進出して、落下及び転倒を防止する。
【0029】
実施例では、落下防止部材46をFOUP52,64の種類に応じて進退させるために、付勢部材とストッパ76とを用いたが、これらに代えてソレノイド、あるいはモータ等の駆動部材により、落下防止部材46を進退させても良い。ただしこのようにすると、落下防止機構が大型化し、またメンテナンスが必要な箇所が増加する。
【0030】
図7は、棚受80,81による450mmウェハー用のFOUP52の支持を示す。棚受80,81は各々、前後方向の位置決めガイド82,左右方向の位置決めガイド86,及び前後左右兼用の位置決めガイド90を備え、FOUP52を前後左右に位置決めする。83,91は前後方向に傾斜するテーパー面で、87,92は左右方向に傾斜するテーパー面で、これらはコンベヤガイド面55をガイドする。84,88,93は水平な支持面で、これらはコンベヤ面54を支持する。
【0031】
図8は、棚受80,81による300mmウェハー用のFOUP64の支持を示す。位置決めピン94は、FOUP64のフォークリフトピン用の孔と係合して位置決めする。なお位置決めピン94は、450mmウェハー用のFOUP52でのV溝56に収まり、FOUP52とは接触しない。
【0032】
図9は、参考例の落下防止機構100を示し、FOUP52,64に対して共用である。適宜のセンサによりFOUP52,64の種類を判別し、あるいは上位のコントローラからFOUP52,64の種類を通知される。そしてアーム34に設けられた鉛直の支柱102に沿って、ボールネジ104とモータ106から成る直動機構により、FOUP52,64の種類に従って落下防止部材44を昇降させる。この参考例を実施例と比較すると、直動機構のためにスペースが必要で、直動機構のために発塵の可能性があり、かつメンテナンスの対象箇所が増加する。
【0033】
実施例ではスカラアームを用いたが、位置決めガイド12,16,位置決め突起20,ピン22等をスライドフォークのトッププレートに設け、支柱48と落下防止部材44,46をミドルプレートに設けても良い。
【符号の説明】
【0034】
2 ハンド(支持部) 4 スカラアーム(物品の支持装置)
6 プレート 8,9 厚肉部 10 薄肉部
12,16 位置決めガイド(第1の位置決め部材)
13,17 テーパー面 14,18 支持面 19 回り止め
20 位置決め突起(第1の位置決め部材)
22 キネマチックカップリングピン(第2の位置決め部材)
30 ベース 32,34 アーム 36〜40 軸 42 アーム
44 第1の落下防止部材 46 第2の落下防止部材 48 支柱
50 ローラ 52 450mmウェハー用のFOUP(第1の物品)
54 コンベヤ面 55 コンベヤガイド面 56 V溝
58 ドア部 59,69 端面
64 300mmウェハー用のFOUP(第2の物品) 65 コンベヤ面
66 V溝 68 ドア部 70 軸 71,72 ブラケット
73,78 軸受 74 トーションバネ(付勢部材) 75 弾性片
76 ストッパ 77 軸 80,81 棚受
82,86,90 位置決めガイド
83,87,91,92 テーパー面 84,88,93 支持面
94 位置決めピン 100 落下防止機構 102 支柱
104 ボールネジ 106 モータ
D 肉厚差
図1
図2
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図9