特許第6410105号(P6410105)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6410105
(24)【登録日】2018年10月5日
(45)【発行日】2018年10月24日
(54)【発明の名称】圧力センサ及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
   G01L 9/04 20060101AFI20181015BHJP
【FI】
   G01L9/04
【請求項の数】5
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2015-185686(P2015-185686)
(22)【出願日】2015年9月18日
(65)【公開番号】特開2017-58340(P2017-58340A)
(43)【公開日】2017年3月23日
【審査請求日】2017年5月18日
(73)【特許権者】
【識別番号】000102511
【氏名又は名称】SMC株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100077665
【弁理士】
【氏名又は名称】千葉 剛宏
(74)【代理人】
【識別番号】100116676
【弁理士】
【氏名又は名称】宮寺 利幸
(74)【代理人】
【識別番号】100149261
【弁理士】
【氏名又は名称】大内 秀治
(74)【代理人】
【識別番号】100136548
【弁理士】
【氏名又は名称】仲宗根 康晴
(74)【代理人】
【識別番号】100136641
【弁理士】
【氏名又は名称】坂井 志郎
(72)【発明者】
【氏名】斉藤 充浩
(72)【発明者】
【氏名】大島 裕太
(72)【発明者】
【氏名】山岸 健
【審査官】 公文代 康祐
(56)【参考文献】
【文献】 実開昭60−152949(JP,U)
【文献】 特開昭63−293432(JP,A)
【文献】 特開2000−292283(JP,A)
【文献】 実開昭61−096347(JP,U)
【文献】 特公平06−063895(JP,B2)
【文献】 米国特許第06568276(US,B1)
【文献】 特開2003−270067(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01L 7/00−23/32
G01L 27/00−27/02
H01L 29/84
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
圧力流体の導入される流路を有したボディと、該ボディの端部に設けられ前記流路に臨む薄膜状のダイヤフラム部を有したセラミック製のセンサとを備えた圧力センサにおいて、
前記ダイヤフラム部には、ルテニウム系の厚膜抵抗ペースト材を焼成する厚膜印刷によって印刷された複数の抵抗体が互いに所定間隔離間して一直線状に設けられると共に、前記抵抗体を覆う第1及び第2の保護膜を備え、前記抵抗体の装着される前記センサの端面には、前記ダイヤフラム部の径方向外側となる位置に凸部が設けられ、前記凸部が前記抵抗体と同一材料且つ同一高さで形成されることを特徴とする圧力センサ。
【請求項2】
請求項1記載の圧力センサにおいて、
前記抵抗体は、少なくとも一列以上設けられることを特徴とする圧力センサ。
【請求項3】
請求項1又は2記載の圧力センサにおいて、
前記第1の保護膜は、低融点ガラスを印刷して焼成することで前記抵抗体を覆うように形成され、前記第2の保護膜が、前記第1の保護膜を覆うように有機材料を印刷して焼成することで形成されることを特徴とする圧力センサ。
【請求項4】
セラミック製のセンサを有した圧力センサを製造する製造方法において、
前記センサに対して表面処理を施した後、該センサの端面に対して導電性ペースト材を用いて配線を厚膜印刷によって印刷して焼成させる工程と、
ルテニウム系の厚膜抵抗ペースト材をスクリーンマスクに対して掻くことで、該厚膜抵抗ペースト材を掻く方向と直交方向に複数の抵抗体を厚膜印刷によって同時に一直線状に印刷して焼成させる工程と、
を有することを特徴とする圧力センサの製造方法。
【請求項5】
請求項記載の製造方法において、
前記抵抗体を低融点ガラスからなる第1の保護膜で覆う工程と、
前記抵抗体の抵抗値が調整された後に前記第1の保護膜を有機材料からなる第2の保護膜で覆う工程と、
を有することを特徴とする圧力センサの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、流路内を流通する圧力流体の圧力を検出する圧力センサ及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、水、油及び薬液等の用いられる製造ラインにおいて、これらの液体の圧力を計測する目的で圧力センサが用いられている。この圧力センサは、例えば、特許文献1に開示されるように、表面に複数の抵抗体の設けられたセラミック製のセンサを有し、前記センサがボディの内部に収納された状態で、ポートを通じて内部へと導入された流体の圧力に応じて抵抗体が歪むことで、該歪みに応じた出力電圧から圧力が検出される。この抵抗体は、例えば、スクリーン印刷等の厚膜印刷によってセンサの表面に対して略菱形状となるように印刷された後、焼成することで形成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】欧州特許第2175252号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述した圧力センサでは、複数の抵抗体が略菱形状に配置されているため、スクリーン印刷においてスクリーンマスクを用いて前記抵抗体をペースト材によって印刷する際、その配置から同時に印刷することができず、印刷タイミングのわずかなずれが生じることとなる。
【0005】
その結果、この抵抗体の印刷タイミングのずれに起因し、各抵抗体の印刷条件に差が生じると共に膜厚が不均一となってしまい、各抵抗体の抵抗値にばらつきが生じてしまうため、その調整作業が煩雑となり、製造性の低下を招くこととなる。
【0006】
本発明は、前記の課題を考慮してなされたものであり、複数の抵抗体を容易且つ均一に製造することで品質及び製造性の向上を図ることが可能な圧力センサ及びその製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記の目的を達成するために、本発明は、圧力流体の導入される流路を有したボディと、ボディの端部に設けられ流路に臨む薄膜状のダイヤフラム部を有したセラミック製のセンサとを備えた圧力センサにおいて、
ダイヤフラム部には、ルテニウム系の厚膜抵抗ペースト材を焼成する厚膜印刷によって印刷された複数の抵抗体が互いに所定間隔離間して一直線状に設けられると共に、抵抗体を覆う第1及び第2の保護膜を備え、抵抗体の装着されるセンサの端面には、ダイヤフラム部の径方向外側となる位置に凸部が設けられ、凸部が抵抗体と同一材料且つ同一高さで形成されることを特徴とする。
【0008】
本発明によれば、ボディの端部にセラミック製のセンサの設けられた圧力センサにおいて、センサにおける薄膜状のダイヤフラム部には厚膜印刷によって印刷された複数の抵抗体が互いに所定間隔離間して一直線状に設けられている。
【0009】
従って、複数の抵抗体を厚膜印刷によって印刷する際、抵抗体を同時に印刷することが可能となるため、印刷条件及び膜厚を均一とすることで品質の向上を図ることができると同時に、抵抗体の調整作業を不要とすることができるため、製造性の向上が可能となる。
【0010】
また、抵抗体を、少なくとも一列以上設けるとよい。
【0011】
さらに、本発明は、セラミック製のセンサを有した圧力センサを製造する製造方法において、
センサに対して表面処理を施した後、センサの端面に対して導電性ペースト材を用いて配線を厚膜印刷によって印刷して焼成させる工程と、
ルテニウム系の厚膜抵抗ペースト材をスクリーンマスクに対して掻くことで、厚膜抵抗ペースト材を掻く方向と直交方向に複数の抵抗体を厚膜印刷によって同時に一直線状に印刷して焼成させる工程と、
を有することを特徴とする。
【0012】
本発明によれば、センサの端面に対して導電性ペースト材から配線を厚膜印刷によって印刷して焼成させた後に、厚膜抵抗ペースト材を掻く方向に対して直交するように一直線状に配置した複数の抵抗体を厚膜印刷によってセンサの端面に対して印刷して焼成させている。
【0013】
従って、複数の抵抗体を厚膜抵抗ペースト材によって同時にセンサに対して印刷することができるため、その印刷条件及び膜厚を同一とすることができ、それに伴って、各抵抗体における抵抗値を均一とすることが可能となる。その結果、各抵抗体における抵抗値の調整作業が不要となり、製造性の向上を図りつつ容易に品質の高い圧力センサを得ることができる。
【0014】
また、抵抗体を低融点ガラスからなる第1の保護膜で覆う工程と、抵抗体の抵抗値が調整された後に第1の保護膜を有機材料からなる第2の保護膜で覆う工程とを有するとよい。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、以下の効果が得られる。
【0016】
すなわち、センサの端面に対して導電性ペースト材から配線を厚膜印刷によって印刷して焼成させた後に、厚膜抵抗ペースト材を掻く方向に対して直交するように一直線状に配置される複数の抵抗体を厚膜印刷によってセンサの端面に対して印刷して焼成させることで、複数の抵抗体をセンサに対して同時に印刷できるため、その印刷条件及び膜厚を均一とすることができ、それに伴って、各抵抗体における抵抗値を同一とすることが可能となる。その結果、各抵抗体における抵抗値の調整作業が不要となり、製造性の向上を図りつつ容易に品質の高い圧力センサを得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明の実施の形態に係る圧力センサの全体断面図である。
図2図1に示す圧力センサのセンサ近傍を示す拡大断面図である。
図3図1に示す圧力センサにおけるセンサの正面図である。
図4図4Aは、図3における抵抗体の配置を示すセンサの正面図であり、図4Bは、従来技術に係る抵抗体の配置を示したセンサの正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明に係る圧力センサ及びその製造方法について好適な実施の形態を挙げ、添付の図面を参照しながら以下詳細に説明する。図1において、参照符号10は、本発明の実施の形態に係る圧力センサを示す。
【0019】
この圧力センサ10は、図1に示されるように、圧力流体の導入される流路12を有したボディ14と、該ボディ14の一端部に装着されるホルダ16と、前記ホルダ16の内部に収納されボディ14との間に設けられるセンサ18とを含む。
【0020】
ボディ14は、例えば、金属製材料から形成され、その断面円形状に形成された一端部の外周面には第1ねじ部20が設けられ、後述するホルダ16が螺合されることで一体的に連結される。また、一端部の端面には、環状溝を介してシールリング22が設けられ後述するセンサ18の下面が当接する。このシールリング22は、リング状であれば環状でもよいし矩形状であってもよい。
【0021】
また、ボディ14の一端部には、該一端部から離間する方向(矢印A方向)へ所定高さだけ突出した位置決めピン24(図3参照)が設けられ、後述するセンサ18の溝部54へ挿入される。
【0022】
一方、ボディ14の他端部には、一端部側と同様に外周面に第2ねじ部26が形成され、例えば、図示しない流体圧機器等のポートに螺合されることで接続されると共に、該他端部の中心には、その端面に開口した流体導入ポート28が形成される。そして、流体導入ポート28は、ボディ14の中心を軸方向(矢印A、B方向)に沿って形成され、該ボディ14の一端部まで貫通した流路12と連通している。
【0023】
さらに、ボディ14における軸方向(矢印A、B方向)に沿った略中央部の外周面には、断面六角状のナット部30が形成され、該ナット部30を図示しない工具等で把持してボディ14を回すことで該ボディ14が第2ねじ部26を介して図示しない流体圧機器等へと接続される。
【0024】
ホルダ16は、例えば、黄銅やステンレス鋼等の金属製材料から有底円筒状に形成され、その底部となる一端部中央には軸方向(矢印A、B方向)に貫通した開口部32が形成され、該開口部32の外周側には押え部34が形成される。また、ホルダ16における他端部側(矢印B方向)の内周面には、ボディ14の第1ねじ部20へ螺合されるめねじ部36を有している。そして、ホルダ16は、めねじ部36を介してボディ14の一端部の外側を覆うように螺合されることで同軸上に連結される。
【0025】
センサ18は、図1図3に示されるように、例えば、酸化アルミニウム(Al2О3、アルミナ)等のセラミック材料から形成され、略中央部に凹部52を有した断面U字状のベース体38と、該ベース体38の端面38aに装着された複数の抵抗体40a〜40dと、該抵抗体40a〜40dに配線42を介して接続された電極44と、前記抵抗体40a〜40dを覆う2層の第1及び第2保護膜46、48と、前記端面38aから突出した複数の凸部50とからなる。
【0026】
そして、センサ18は、凹部52がボディ14側(矢印B方向)となり流路12に臨むように配置された状態でホルダ16とボディ14との間に収納される。
【0027】
ベース体38の外周面には、図3に示されるように、例えば、断面半円状で径方向内側に窪み、軸方向(矢印A、B方向)に沿って延在した複数の溝部54が形成され、ボディ14の一端部にセンサ18を組み付ける際、位置決めピン24がそれぞれ挿入されることで周方向への位置決めがなされる。換言すれば、センサ18がボディ14に対して回転してしまうことが規制される。
【0028】
一方、ベース体38の略中央部には、凹部52とは反対側となる端面38a側(矢印A方向)に所定厚さで形成された略円形状のダイヤフラム部56が設けられると共に、該ダイヤフラム部56の表面には、歪みゲージとして機能する複数の抵抗体40a〜40dが設けられている。この抵抗体40a〜40dは、例えば、スクリーン印刷等の厚膜印刷技術を用いて印刷され焼成されると共に、それぞれの抵抗体40a〜40dは一直線状となるように互いに所定間隔離間して配置される。
【0029】
なお、この抵抗体40a〜40dは、例えば、ルテニウム(Ru)系の厚膜抵抗ペースト材を焼成することで形成される。
【0030】
また、図3に示されるように、抵抗体40a〜40dに接続される配線42及び電極44が、導電性ペースト材を用いて印刷されてから焼成され、この配線42はベース体38の外縁部に設けられた各電極44にそれぞれ接続されている。
【0031】
第1保護膜46は、図2に示されるように、例えば、ベース体38の端面38aに対して各抵抗体40a〜40dを覆うように設けられ、低融点ガラスを印刷して焼成することによって形成される。これにより、各抵抗体40a〜40dが保護され、且つ、防湿性及び絶縁性が確保される。
【0032】
第2保護膜48は、前記第1保護膜46を覆うように設けられ、エポキシ樹脂、フェノール樹脂等の有機材料を印刷して焼成することで形成される。
【0033】
また、ベース体38の端面38aには、図2及び図3に示されるように、ダイヤフラム部56の径方向外側となる位置に前記端面38aから所定高さだけ突出した複数の凸部50を有する。この凸部50は、例えば、断面長方形状でダイヤフラム部56に対して約20〜40μmの高さで形成され、抵抗体40a〜40d等と同一の材料から形成される。また、凸部50は、抵抗体40a〜40dを印刷する際、同一の材料且つ同一高さで同時に印刷して焼成すると好適である。
【0034】
この凸部50は、例えば、ベース体38の中心を支点として互いに等角度毎離間するように複数(例えば、4個)設けられる。凸部50の位置は、ホルダ16をボディ14に対して螺合させ締結する際、ホルダ16からセンサ18の端面へと垂直方向(矢印B方向)に荷重(締付荷重)が付与された際に、該荷重によって前記ダイヤフラム部56に設けられた抵抗体40a〜40dが歪みにくい位置(角度)となるように設定される。さらに、凸部50は、ダイヤフラム部56に対してなるべく径方向外側へと離間した位置に設けると好適である。
【0035】
なお、ここでは、凸部50が、ベース体38における溝部54に対して周方向に約45°だけオフセットした位置となるように4箇所設けられた場合について説明する。
【0036】
そして、ホルダ16の内部にセンサ18が収納された状態で、該ホルダ16とボディ14とを締結する際、前記ホルダ16の押え部34が前記センサ18の凸部50へと当接し、垂直方向(軸方向)に働く締付荷重が前記凸部50へ付与された状態で固定される。
【0037】
また、上述した第1及び第2保護膜46、48は、凸部50まで覆うように形成してもよい。
【0038】
本発明の実施の形態に係る圧力センサ10は、基本的には以上のように構成されるものであり、次に抵抗体40a〜40dを含むセンサ18の製造方法について説明する。
【0039】
先ず、例えば、酸化アルミニウム等のセラミック材料からなるベース体38に対して洗浄、ベーキング等を行うことで表面処理を施す。
【0040】
次に、上述したベース体38の端面38aに対して、例えば、Au、Ag、Pd、Ni、Cu等を含んだ導電性ペースト材を用いて配線42をスクリーン印刷等によって印刷した後、焼成させて結着させる。
【0041】
次に、図示しないスクリーンマスク上にルテニウム(Ru)系の厚膜抵抗ペースト材を置き、スキージ(図示せず)で直線状(図4A中、矢印C方向)に掻いていくことで印刷パターンから送出された前記厚膜抵抗ペースト材によって抵抗体40a〜40dを印刷する。この際、図4Aに示されるように、図示しないスキージによって厚膜抵抗ペースト材を掻いていく方向(矢印C方向)は、並列且つ一直線状に配置される抵抗体40a〜40dと直交した方向となる。
【0042】
そのため、複数の抵抗体40a〜40dは、スクリーンマスクに形成された印刷パターンを介して厚膜抵抗ペースト材がベース体38の端面38aに対して同時に印刷されることとなる。
【0043】
換言すれば、図4Bに示される従来技術に係るセンサ18aのように複数の抵抗体60a〜60dが一直線状ではなく、例えば、略菱形状に配置された場合には、例えば、矢印C方向に厚膜抵抗ペースト材を掻いて印刷する際、最初に抵抗体60aが、次に抵抗体60b、60cが同時に、最後に抵抗体60dが印刷されることとなる。すなわち、複数の抵抗体60a〜60dを印刷する際、その印刷タイミングに時間差が生じてしまうため、印刷条件に差が生じると同時に膜厚にも差が生じることとなる。
【0044】
次に、抵抗体40a〜40dを覆うようにベース体38の端面38aに対して低融点ガラスを印刷して焼成させることで第1保護膜46を形成する。これにより、抵抗体40a〜40dが保護されると同時に防湿性と絶縁性とが確保される。
【0045】
次に、上述した抵抗体40a〜40dに印刷ばらつきが生じている場合には、その抵抗値のばらつきを調整するため、例えば、レーザ等によって前記抵抗体40a〜40dと直列又は並列に接続された図示しない調整用厚膜抵抗のトリミングを行う。
【0046】
最後に、第1保護膜46を覆うように、エポキシ樹脂、フェノール樹脂等の有機材料からなる第2保護膜48を印刷して焼成することでトリミング部の保護を行ってセンサ18の製造が完了する。
【0047】
なお、上述した第1及び第2保護膜46、48は、抵抗体40a〜40dのみを覆うように形成してもよいし、複数の凸部50を覆うようにセンサ18の外縁部近傍まで設けるようにしてもよい。
【0048】
次に、上述したようにセンサ18の製造された圧力センサ10の動作について簡単に説明する。なお、圧力センサ10は、ボディ14の他端部が図示しない流体圧機器のポートに螺合され取り付けられている状態とする。
【0049】
図示しない流体圧機器から圧力流体がボディ14の流体導入ポート28を通じて流路12へと導入され、該圧力流体が流路12に沿ってセンサ18側(矢印A方向)へと流れ、凹部52内に導入されることでダイヤフラム部56が前記圧力流体の圧力によって押圧され撓む。
【0050】
このダイヤフラム部56に設けられた抵抗体40a〜40dが撓みに応じた歪みを電気信号へと変換した後、配線42を通じて電極44へと出力する。そして、電極44に接続された各リード線58を通じて電圧が図示しない計測装置等へと出力され、該電圧に基づいた圧力流体の圧力が計測される。
【0051】
以上のように、本実施の形態では、圧力センサ10を構成するセンサ18の端面38aに、ルテニウム(Ru)系の厚膜抵抗ペースト材から複数の抵抗体40a〜40dを一直線状に配置することにより、例えば、スクリーン印刷によって複数の抵抗体40a〜40dを同時に印刷することが可能となる。
【0052】
その結果、複数の抵抗体40a〜40dを設ける場合でも、各抵抗体40a〜40dの印刷条件を同一とし、且つ、その膜厚を均一とすることができるため、複数の抵抗体40a〜40dにおける抵抗値を同一とすることが可能となり、抵抗体40a〜40dの抵抗値を調整するためのトリミング作業を不要とすることができ、容易に製造時間の短縮を図ることが可能となることで、製造性の向上並びに品質の向上を図ることができる。
【0053】
なお、複数の抵抗体40a〜40dは、上述したように一列で一直線状に設けられる場合に限定されるものではなく、例えば、二列でそれぞれ一直線状に形成される場合にも同時に印刷して形成することが可能となるため、印刷条件及び膜厚の均一化を図ることで、製造時間のさらなる短縮化を図ることができる。
【0054】
また、複数の抵抗体40a〜40dの抵抗値が同一となることで、例えば、周辺温度が変化しても各抵抗体40a〜40dの抵抗値が同じように変化するため、その温度特性を良好とすることが可能となる。
【0055】
なお、本発明に係る圧力センサ及びその製造方法は、上述の実施の形態に限らず、本発明の要旨を逸脱することなく、種々の構成を採り得ることはもちろんである。
【符号の説明】
【0056】
10…圧力センサ 12…流路
14…ボディ 16…ホルダ
18…センサ 38…ベース体
40a〜40d…抵抗体 42…配線
44…電極 46…第1保護膜
48…第2保護膜 50…凸部
56…ダイヤフラム部
図1
図2
図3
図4