特許第6410154号(P6410154)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6410154画像形成装置、画像形成方法及び画像形成プログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6410154
(24)【登録日】2018年10月5日
(45)【発行日】2018年10月24日
(54)【発明の名称】画像形成装置、画像形成方法及び画像形成プログラム
(51)【国際特許分類】
   B41J 29/38 20060101AFI20181015BHJP
   G03G 21/00 20060101ALI20181015BHJP
   B41J 29/00 20060101ALI20181015BHJP
【FI】
   B41J29/38 Z
   G03G21/00 396
   B41J29/00 Z
【請求項の数】7
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2016-10365(P2016-10365)
(22)【出願日】2016年1月22日
(65)【公開番号】特開2017-128076(P2017-128076A)
(43)【公開日】2017年7月27日
【審査請求日】2017年10月30日
(73)【特許権者】
【識別番号】000006150
【氏名又は名称】京セラドキュメントソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100115831
【弁理士】
【氏名又は名称】藤岡 隆浩
(72)【発明者】
【氏名】辻 博之
【審査官】 小宮山 文男
(56)【参考文献】
【文献】 特開2008−186193(JP,A)
【文献】 特開2013−067049(JP,A)
【文献】 特開2015−049647(JP,A)
【文献】 特開2009−066929(JP,A)
【文献】 特開2009−064198(JP,A)
【文献】 米国特許第09025192(US,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B41J 29/38
B41J 29/00
G03G 21/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像形成装置であって、
予め設定された時間内における運搬を依頼する旨の設定がなされた印刷ジョブである特定印刷ジョブを設定可能な印刷ジョブ設定部と、
前記画像形成装置が利用可能な複数の端末の位置である端末位置と、前記画像形成装置の位置である出力位置とを特定する位置情報特定部と、
前記端末位置と前記出力位置とを使用し、前記設定された時間帯において前記出力位置の近傍として設定されている場所から前記特定印刷ジョブが設定された端末位置の近傍として設定されている端末まで移動する予定のユーザーを抽出する運搬候補者抽出部と、
前記抽出されたユーザーに対して、前記特定印刷ジョブによって出力される文書の前記特定印刷ジョブが設定された端末位置までの運搬を依頼する旨の通信を行う通信処理部と、
前記特定印刷ジョブに応じて画像形成部に出力を実行させる出力管理部と、
を備える画像形成装置。
【請求項2】
請求項1記載の画像形成装置であって、
前記位置情報特定部は、さらに、前記出力位置の近傍として設定されている施設の位置である施設位置を特定し、
前記運搬候補者抽出部は、前記施設位置で開催される会議の参加者と、前記会議の日時を表す情報とを使用して前記特定印刷ジョブが設定された端末位置の近傍として設定されている端末まで移動する予定のユーザーを抽出する画像形成装置。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の画像形成装置であって、
前記運搬候補者抽出部は、前記運搬を依頼する旨の設定がなされていない印刷ジョブである自搬印刷ジョブを受信した場合に、前記自搬印刷ジョブを送信したユーザーを前記運搬候補者として抽出する画像形成装置。
【請求項4】
請求項1乃至3のいずれか1項に記載の画像形成装置であって、
前記出力管理部は、前記抽出されたユーザーが前記移動の開始前の予め設定された時間に前記特定印刷ジョブによる出力を前記画像形成部に実行させる画像形成装置。
【請求項5】
請求項1乃至3のいずれか1項に記載の画像形成装置であって、
前記画像形成装置は、ログイン機能を有し
前記出力管理部は、前記抽出されたユーザーによるログインに応じて前記特定印刷ジョブによる出力を可能とする画像形成装置。
【請求項6】
画像形成方法であって、
予め設定された時間内における運搬を依頼する旨の設定がなされた印刷ジョブである特定印刷ジョブを設定する印刷ジョブ設定工程と、
画像形成装置が利用可能な複数の端末の位置である端末位置と、前記画像形成装置の位置である出力位置とを特定する位置情報特定工程と、
前記端末位置と前記出力位置とを使用し、前記設定された時間帯において前記出力位置の近傍として設定されている場所から前記特定印刷ジョブが設定された端末位置の近傍として設定されている端末まで移動する予定のユーザーを抽出する運搬候補者抽出工程と、
前記抽出されたユーザーに対して、前記特定印刷ジョブによって出力される文書の前記特定印刷ジョブが設定された端末位置までの運搬を依頼する旨の通信を行う通信処理工程と、
前記特定印刷ジョブに応じて画像形成部に出力を実行させる出力管理工程と、
を備える画像形成方法。
【請求項7】
画像形成装置を制御するための画像形成プログラムであって、
前記画像形成プログラムは、
予め設定された時間内における運搬を依頼する旨の設定がなされた印刷ジョブである特定印刷ジョブを設定可能な印刷ジョブ設定部、
前記画像形成装置が利用可能な複数の端末の位置である端末位置と、前記画像形成装置の位置である出力位置とを特定する位置情報特定部、
前記端末位置と前記出力位置とを使用し、前記設定された時間帯において前記出力位置の近傍として設定されている場所から前記特定印刷ジョブが設定された端末位置の近傍として設定されている端末まで移動する予定のユーザーを抽出する運搬候補者抽出部、
前記抽出されたユーザーに対して、前記特定印刷ジョブによって出力される文書の前記特定印刷ジョブが設定された端末位置までの運搬を依頼する旨の通信を行う通信処理部、及び
前記特定印刷ジョブに応じて画像形成部に出力を実行させる出力管理部として前記画像形成装置を機能させる画像形成プログラム。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置、画像形成方法及び画像形成プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
画像形成装置において、複数のユーザーに出力文書を配布する技術が提案されている。具体的には、たとえば特許文献1は、会議場所に近い場所に設置されている画像形成装置で印刷文書の出力を行えるようにして、印刷物を運ぶ手間を軽減する技術を提案している。特許文献2は、イベントに参加する各ユーザーの居場所に対応する印刷装置に印刷データを配信することによって安全且つ確実に出力文書を配布する技術を提案している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007−295245号公報
【特許文献2】特開2011−8407号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、画像形成装置は、一般的に複数人で共有されるので、画像形成装置のユーザーには、画像形成装置から遠く離れた者が存在する場合もある。このような場合には、画像形成装置から離れた位置に在席するユーザーに対して、出力文書の受け取りに大きな負担をかけていることになる。
【0005】
本発明は、このような状況に鑑みてなされたものであり、出力文書の運搬効率を向上させる技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、画像形成装置を提供する。前記画像形成装置は、予め設定された時間内における運搬を依頼する旨の設定がなされた印刷ジョブである特定印刷ジョブを設定可能な印刷ジョブ設定部と、前記画像形成装置が利用可能な複数の端末の位置である端末位置と、前記画像形成装置の位置である出力位置とを特定する位置情報特定部と、前記端末位置と前記出力位置とを使用し、前記設定された時間帯において前記出力位置の近傍として設定されている場所から前記特定印刷ジョブが設定された端末位置の近傍として設定されている端末まで移動する予定のユーザーを抽出する運搬候補者抽出部と、前記抽出されたユーザーに対して、前記特定印刷ジョブによって出力される文書の前記特定印刷ジョブが設定された端末位置までの運搬を依頼する旨の通信を行う通信処理部と、前記特定印刷ジョブに応じて画像形成部に出力を実行させる出力管理部とを備える。
【0007】
本発明は、画像形成方法を提供する。前記画像形成方法は、予め設定された時間内における運搬を依頼する旨の設定がなされた印刷ジョブである特定印刷ジョブを設定する印刷ジョブ設定工程と、画像形成装置が利用可能な複数の端末の位置である端末位置と、前記画像形成装置の位置である出力位置とを特定する位置情報特定工程と、前記端末位置と前記出力位置とを使用し、前記設定された時間帯において前記出力位置の近傍として設定されている場所から前記特定印刷ジョブが設定された端末位置の近傍として設定されている端末まで移動する予定のユーザーを抽出する運搬候補者抽出工程と、前記抽出されたユーザーに対して、前記特定印刷ジョブによって出力される文書の前記特定印刷ジョブが設定された端末位置までの運搬を依頼する旨の通信を行う通信処理工程と、前記特定印刷ジョブに応じて画像形成部に出力を実行させる出力管理工程とを備える。
【0008】
本発明は、画像形成装置を制御するための画像形成プログラムを提供する。前記画像形成プログラムは、予め設定された時間内における運搬を依頼する旨の設定がなされた印刷ジョブである特定印刷ジョブを設定可能な印刷ジョブ設定部、前記画像形成装置が利用可能な複数の端末の位置である端末位置と、前記画像形成装置の位置である出力位置とを特定する位置情報特定部、前記端末位置と前記出力位置とを使用し、前記設定された時間帯において前記出力位置の近傍として設定されている場所から前記特定印刷ジョブが設定された端末位置の近傍として設定されている端末まで移動する予定のユーザーを抽出する運搬候補者抽出部、前記抽出されたユーザーに対して、前記特定印刷ジョブによって出力される文書の前記特定印刷ジョブが設定された端末位置までの運搬を依頼する旨の通信を行う通信処理部、及び前記特定印刷ジョブに応じて画像形成部に出力を実行させる出力管理部として前記画像形成装置を機能させる。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、出力文書の運搬効率を向上させる技術を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の一実施形態に係る画像形成システム1の機能構成を示すブロックダイアグラムである。
図2】一実施形態に係る画像形成装置100aの機能構成を示すブロックダイアグラムである。
図3】一実施形態に係る画像形成システム1による出力文書の運搬効率化処理の内容の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明を実施するための形態(以下、「実施形態」という)を、図面を参照して説明する。
【0012】
図1は、本発明の一実施形態に係る画像形成システム1の機能構成を示すブロックダイアグラムである。画像形成システム1は、あるビルの17階〜20階にオフィスを構える団体に設置されている。
【0013】
20階には、端末としての3台のパーソナルコンピュータ(PC)200a1,200a2,200a3が備えられ、その全てが社内ネットワークLに接続されている。19階には、2台のパーソナルコンピュータ(PC)200b1,200b2と、サーバー300と、画像形成装置100aとが備えられ、その全てが社内ネットワークLに接続されている。18階には、3台のパーソナルコンピュータ(PC)200c1,200c2,200c3と、画像形成装置100bとが備えられ、その全てが社内ネットワークLに接続されている。17階には、3台のパーソナルコンピュータ(PC)200d1,200d2,200d3が備えられ、その全てが社内ネットワークLに接続されている。
【0014】
11台のパーソナルコンピュータ200a1,200a2,200a3、200b1,200b2、200c1,200c2,200c3、200d1,200d2,200d3は、いずれも画像形成装置100aと画像形成装置100bとの双方を利用可能である。19階には、会議室M1が配置されている。18階には、会議室M2が配置されている。
【0015】
図2は、一実施形態に係る画像形成装置100aの機能構成を示すブロックダイアグラムである。画像形成装置100aは、制御部10と、画像形成部20と、操作表示部30と、記憶部50と、通信部60とを備えている。画像形成部20は、原稿から画像を読み取って画像データを生成し、その画像データに基づいて印刷用紙に印刷すべき画像を形成する。また、画像形成部20は、外部端末から送信された印刷ジョブに基づいて印刷用紙に印刷すべき画像を形成する。操作表示部30は、タッチパネルとして機能するディスプレイ(図示せず)や各種ボタンやスイッチ(図示せず)からユーザーの操作入力を受け付ける。
【0016】
制御部10は、位置情報特定部11と、運搬候補者抽出部12と、通信処理部13と、出力管理部14とを備えている。位置情報特定部11、運搬候補者抽出部12、通信処理部13及び出力管理部14の機能については後述する。画像形成装置100bは、本実施形態では、画像形成装置100aと同一の構成を有している。
【0017】
制御部10は、RAMやROM等の主記憶手段、及びMPU(Micro Processing Unit)やCPU(Central Processing Unit)等の制御手段を備えている。また、制御部10は、各種I/O、USB(ユニバーサル・シリアル・バス)、バス、その他ハードウェア等のインターフェイスに関連するコントローラ機能を備え、画像形成装置1全体を制御する。
【0018】
記憶部50は、非一時的な記録媒体であるハードディスクドライブやフラッシュメモリー等からなる記憶装置で、制御部10が実行する処理の制御プログラムやデータを記憶する。
【0019】
サーバー300は、ユーザー情報として各ユーザーについて以下の情報を格納している。
(1)氏名
(2)所属
(3)在席位置
(4)メールアドレス
サーバー300は、さらに、施設情報として以下の情報を格納している。
(1)画像形成装置100a,100bのそれぞれの設置位置
(2)会議室M1,M2のそれぞれの配置(施設位置とも呼ばれる。)
サーバー300は、さらに、スケジュール情報として以下の情報を格納している。
(1)イベントの場所及び日時
(2)イベントの参加者
【0020】
図3は、一実施形態に係る画像形成システム1による出力文書の運搬効率化処理の内容の一例を示すフローチャートである。この例は、ユーザーAが画像形成装置100bで文書を出力し、ユーザーBが会議室M2での会議後にユーザーAに出力文書を運搬する事例である。
【0021】
ステップS10aでは、ユーザーAは、パーソナルコンピュータ200d1で印刷ジョブを設定する。ユーザーAは、印刷プロパティを表示させ、印刷ジョブの設定内容として以下を設定したものとする。なお、運搬依頼が設定されている印刷ジョブは、特定印刷ジョブとも呼ばれる。制御部10は、印刷ジョブ設定部として機能し、印刷ジョブの設定を受け付ける。
(1)運搬依頼
(2)時間設定(午前10時〜午後3時の時間帯)
(3)画像形成装置100bを選択(通常使うプリンタ(初期設定))
【0022】
ステップS20aでは、ユーザーAは、印刷ジョブを送信する。画像形成装置100bは、印刷ジョブの受信に応じて、印刷ジョブの設定内容に基づいて印刷ジョブの内容が他者に運搬を依頼するものであるか否か(すなわち特定印刷ジョブであるか否か)を決定する。
【0023】
印刷ジョブの内容が他者に運搬を依頼するものである場合には、画像形成装置100bは、画像形成装置100bの設置位置と、社内の施設に関する情報とをサーバー300に問い合わせる。サーバー300は、画像形成装置100bの設置位置と、社内の施設に関する情報とを画像形成装置100bに送信する。
【0024】
位置情報特定部11は、画像形成装置100bの設置位置と、社内の施設に関する情報とに基づいて、画像形成装置100bの近傍の施設として会議室M2を特定する。位置情報特定部11は、画像形成装置100bが有する制御部10に備えられている(図2参照)。本実施形態では、画像形成装置100bと同一のフロアに配置された施設が近傍の施設として設定されている。
【0025】
ステップS10cでは、運搬候補者抽出部12は、スケジュールを取得する。具体的には、運搬候補者抽出部12は、時間設定(午前10時〜午後3時の時間帯)内における会議室M2に関するスケジュールをサーバー300に要求する。運搬候補者抽出部12は、画像形成装置100bが有する制御部10に備えられている(図2参照)。サーバー300は、会議室M2において、会議X(時間:午後1時から午後2時の時間帯)が開催される旨と、参加者に関する情報とを画像形成装置100bに送信する。
【0026】
ステップS20cでは、運搬候補者抽出部12は、運搬依頼者候補を抽出する。この抽出は、午後2時の会議の解散後に参加者が自席に戻ることを想定し、参加者の動線を推定することによって行われる。この例では、運搬候補者抽出部12は、参加者の中にユーザーAと同一のフロアに在席するユーザーBの存在を検知する。ユーザーBの動線として、午後2時に会議室M2からユーザーAが在席するフロアへの動線が予測されるからである。本実施形態では、同一のフロアに配置された端末のユーザーが近傍のユーザーとして設定されている。
【0027】
なお、複数の運搬依頼者候補が抽出された場合には、運搬時間が最も早くなると推測されるユーザーを選択してもよいし、あるいは複数人の運搬依頼者候補を抽出するようにしてもよい。
【0028】
ステップS30cでは、通信処理部13は、電子メール送信処理を実行する。通信処理部13は、画像形成装置100bが有する制御部10に備えられている。電子メール送信処理は、通信処理部13によって運搬依頼の電子メールを自動生成し、運搬依頼者候補(この例ではユーザーB)に自動送信する処理である。
【0029】
電子メールの本文には、出力文書の運搬可否の回答リンク先と、回答期限と、出力予定時刻(後述)と、運搬先のフロアと、印刷実行者の氏名とが記載される。電子メールは、サーバー300から取得したメールアドレスを使用して自動的に送信される。この例では、通信処理部13は、ユーザーBを宛先として電子メール(本電子メールは運搬依頼通知とも呼ばれる。)を通信部60を介して送信する。
【0030】
なお、運搬依頼者候補が抽出されなかった場合には、通信処理部13は、印刷実行者であるユーザーAに対して運搬依頼通知として電子メールを自動生成し、この電子メールを送信する。
【0031】
ステップS10bでは、ユーザーBは、画像形成装置100bから電子メール(運搬依頼通知)を受信する。電子メールには、前述のように出力文書の運搬可否の回答リンク先が含まれている。
【0032】
ステップS20bでは、ユーザーBは、出力文書の運搬可否の回答リンク先をクリックして運搬を承諾することができる。出力管理部14は、会議Xの終了時刻である午後2時の少し前(たとえば5分前と予め設定可能、運搬のための移動開始前)に出力予定時刻を設定する。出力管理部14は、画像形成装置100bが有する制御部10に備えられている。
【0033】
ステップS40cでは、通信処理部13は、電子メールをユーザーAに対して送信する。電子メールの内容は、出力予定時刻と、運搬依頼者(ユーザーB)とを含み、通信処理部13によって自動生成される。なお、複数人の運搬依頼者候補が抽出されている場合には、通信処理部13は、他の運搬依頼者候補にも同一内容の電子メールを送信する。一方、回答期限までに回答リンク先がクリックされなかった場合には、通信処理部13は、印刷実行者であるユーザーAに対して運搬依頼通知として電子メールを送信する。
【0034】
ステップS30aでは、ユーザーAは、電子メールを受信する。電子メールの内容は、出力予定時刻と、運搬依頼者(ユーザーB)とを知らせる内容、あるいは印刷実行者であるユーザーA自身に運搬が要請される内容のいずれかとなる。
【0035】
ステップS50cでは、出力管理部14は、出力予定時刻に印刷物を出力する。ステップS30bでは、ユーザーBは、画像形成装置100bの近傍の会議室M2で開催された会議Xの終了後において印刷物を受領し、ユーザーAの席まで運搬する。ステップS40aでは、ユーザーAは、電子メールの内容(出力予定時刻及び運搬依頼者(ユーザーB))の通りに運搬された印刷物をユーザーBから受け取ることができる。
【0036】
このように、一実施形態に係る画像形成装置100bによれば、画像形成装置100bまでの距離が長いユーザーは、他の目的で画像形成装置100bの近傍からユーザーの近くまで移動するユーザーに対して印刷物の運搬を依頼できるため、印刷物の運搬を効率化することができる。
【0037】
本発明は、上記実施形態だけでなく、以下のような変形例でも実施することができる。
【0038】
変形例1:上記実施形態では、画像形成装置のログイン機能は使用されていないが、ログイン機能を使用してもよい。画像形成装置のログイン機能を使用すれば、以下のように本発明を適用することができる。具体的には、本画像形成装置によれば、たとえば上記の例では、ユーザーBが出力文書の運搬可否の回答リンク先をクリックして運搬を承諾すれば、ユーザーBのユーザー名とパスワードによるログインでユーザーAの印刷物を出力できることになる。
【0039】
変形例2:上記実施形態では、運搬候補者抽出部は、サーバー300に格納されているスケジュール情報に基づいて運搬候補者を抽出しているが、このような方法に限られない。具体的には、たとえばユーザーAが時間設定(午前10時〜午後3時の時間帯)の特定印刷ジョブを送信した後に、同一の画像形成装置にユーザーBが時間設定(午前10時〜午前11時の時間帯)の特定印刷ジョブ、あるいは運搬を依頼する旨の設定がなされていない印刷ジョブ(自搬印刷ジョブとも呼ばれる。)を送信した場合を仮定する。
【0040】
この場合には、ユーザーAの印刷物の運搬の依頼が自動的にユーザーBに電子メールで送信されるようにしてもよい。このように、運搬候補者抽出部は、広く出力位置の近傍として設定されている場所(たとえば施設や画像形成装置)から近傍として設定されている端末まで移動する予定のユーザーを抽出するものであればよい。
【0041】
変形例3:上記実施形態では、運搬の依頼、運搬の承諾及び運搬の通知のための通信が電子メールで行われているが、たとえばポップアップウィンドウを使用してプッシュ通信等で行うようにしてもよい。
【0042】
変形例4:上記実施形態では、同一のフロアに配置された端末のユーザーが近傍のユーザーとして設定されており、フロア(階)毎に領域が設定されているが、たとえば同一の広いフロア内に複数の領域を設定してもよい。具体的には、たとえば同一フロア内において部署毎の領域を近傍のユーザー(端末位置が近傍)として設定してよい。
【0043】
変形例5:上記実施形態では、サーバー300がスケジュール管理を行っているが、必ずしもサーバー300は必要ではない。画像形成装置において、スケジュール管理を実行するようにしてもよい。
【符号の説明】
【0044】
100a,100b 画像形成装置
10 制御部
11 位置情報特定部
12 運搬候補者抽出部
13 通信処理部
14 出力管理部
20 画像形成部
30 操作表示部
50 記憶部
60 通信部
200 パーソナルコンピュータ
300 サーバー

図1
図2
図3