(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
地図情報に含まれる前記地図誤り候補位置の近傍に存在する一つまたは複数の近傍経路情報と、前記移動体の時系列の位置情報とに基づいて、前記近傍経路情報のうち一方通行の通行方向が誤った近傍経路情報を特定する一方通行自動判定部、
をさらに備える請求項1から請求項3の何れか1項に記載の地図誤り検出システム。
前記一方通行自動判定部は、前記近傍経路情報の通行方向を逆転し、当該逆転した通行方向と前記時系列の位置情報が示す移動体の移動方向が一致し、前記移動体の時系列の位置情報に基づく移動経路の最も近くに存在する前記近傍経路情報と前記移動経路との距離が所定の閾値以内の場合に、前記近傍経路情報を、一方通行の通行方向が誤った近傍経路情報に特定する、
請求項4に記載の地図誤り検出システム。
【発明を実施するための形態】
【0018】
<第一実施形態>
以下、本発明の第一実施形態による地図誤り検出システムを
図1〜
図5を参照して説明する。
図1は、本発明に係る第一実施形態における地図誤り検出システムのブロック図である。
地図誤り検出システム10は、例えば1台または複数台のサーバ装置で構成される。あるいは、地図誤り検出システム10は、1台または複数台のサーバ装置と1台または複数台の記憶装置で構成される。
図1は、地図誤り検出システム10が、例えば1台のサーバ装置で構成されている場合のブロック図である。
地図誤り検出システム10は、地図情報に含まれる経路情報のうち、実世界の経路と異なり、地図情報が誤っている可能性があるものを検出するシステムである。経路情報とは、例えば、地図情報に記載された道路の情報である。地図誤りの例としては、実際には存在する道路が地図に反映されていなかったり、一方通行が逆方向になっていたり、双方通行を誤って一方通行として記載したりといった場合がある。
【0019】
図1が示すように地図誤り検出システム10は、移動経路算出部11と、経路情報特定部12と、地図誤り位置候補算出部13と、出力部14と、記憶部15とを備える。
移動経路算出部11は、移動体の時系列の位置情報を取得し、その移動体の移動経路を算出する。移動体とは、例えば車両である。
経路情報特定部12は、移動経路算出部11が算出した移動体の移動経路と地図情報とを比較して、地図情報に含まれる経路情報のうち、移動体の移動経路に対応する経路情報を特定する。
地図誤り位置候補算出部13は、経路情報特定部12が移動体の移動経路に対応する経路情報を特定できなかった場合、その移動体の時系列の位置情報の集合に基づいて、地図情報に含まれない経路情報の候補となる地図誤り候補位置を算出する。
出力部14は、地図誤り位置候補算出部13が算出した地図誤り候補位置を、地図誤り検出システム10に接続されたディスプレイ装置などに出力する。
記憶部15は、地図の誤り検出に必要な各種情報を記憶する。記憶部15は、地図情報データベース151(地図情報DB151)、移動体位置情報データベース152(移動体位置情報DB152)、地図情報結果無しデータベース153(地図情報結果無しDB153)、地図誤り候補位置データベース154(地図誤り候補位置DB154)を備える。地図情報DB151には、経路情報を含む地図情報が記録されている。移動体位置情報DB152には、時系列の移動体の位置情報が記録されている。地図情報結果無しDB153には、移動体の位置情報のうち、その位置情報に基づく移動経路が地図情報に含まれる経路情報と整合しないものが記録されている。地図誤り候補位置DB154には、誤った経路情報が含まれている可能性がある位置の位置情報が記録されている。
【0020】
図2は、本発明に係る第一実施形態における地図誤り検出システムの処理フローの一例を示す第一の図である。
図2を用いて、地図誤り検出システム10が、地図誤り候補位置を検出する準備段階の処理について説明する。この準備段階において地図誤り検出システム10は、移動体の位置情報に基づく移動経路のうち、地図情報に含まれる経路情報と異なるものの位置情報を検出し、地図情報結果無しDB153にその移動経路を構成する位置情報を蓄積する。
まず、移動経路算出部11が、移動体位置情報DB152からある「移動体A」の位置情報を読み出して取得する(ステップS11)。移動体位置情報DB152には、移動体に備えられたGPS(Global Positioning System)やIMU(Inertial Measurement Unit)によって移動中に測位した、その移動体自身の位置情報が記録されている。移動体位置情報DB152には、移動体ごとに、その移動体の識別情報、移動体の位置情報、その位置情報を測位した時刻などの情報が記録されている。移動経路算出部11は、移動体位置情報DB152から取得した移動体ごとの時系列の位置情報に基づいて、その移動体が移動した経路を算出する(ステップS12)。例えば、移動経路算出部11は、読み出した位置情報を、その位置情報を測位した時刻の順に結んで移動経路を算出する。移動経路算出部11は、「移動体A」について算出した移動経路の情報(算出移動経路)を、経路情報特定部12に出力する。
【0021】
経路情報特定部12は、地図情報DB151に含まれる経路情報と、各移動体の算出移動経路とを比較する(ステップS13)。例えば、経路情報特定部12は、時刻T1〜T2における算出移動経路の近傍に存在する経路情報を、地図情報DB151から読み出す。経路情報特定部12は、算出移動経路と読み出した各経路情報の一致度の評価を、例えば、両者間の平均距離Lや通行方向などに基づいて行う。経路情報特定部12は、例えば、最も平均距離Lが短い経路情報を、時刻T1〜T2に移動体が通行した経路であると特定する。このとき、経路情報特定部12は、平均距離Lの値が所定の閾値を超える場合、算出移動経路と地図情報の経路情報とは異なるとみなし「結果無し」と判定する。あるいは、経路情報特定部12は、地図情報DB151から読み出した経路情報にその移動方向が対応付けられている場合(一方通行の場合)、対応付けられた移動方向と、時刻T1〜T2における移動体の移動方向とを比較し、その方向が一致しなければ、算出移動経路と地図情報の経路情報とは異なるとみなし「結果無し」と判定する。同様にして、経路情報特定部12は、時刻T1〜T2以外の時間において移動体Aが通行した経路についても経路情報の特定を行う。経路情報特定部12は、これら特定した各経路情報の組み合わせを、その移動体Aが通行した経路であると特定する。経路情報特定部12は、移動経路算出部11から取得した算出移動経路の全てについて、地図情報に含まれた経路情報との比較を行い、それぞれの算出移動経路に対応する経路情報を特定する。
【0022】
経路情報特定部12は、移動経路算出部11から取得した算出移動経路について経路情報を特定できたかどうかを判定する(ステップS14)。経路情報を特定できた場合、経路情報特定部12は、特定した経路情報を出力部14に出力する(ステップS15)。出力部14は、移動体の経路情報をディスプレイ装置に出力する。「移動体A」の経路情報について、特定できない区間がある場合、経路情報特定部12は、その区間の移動体の位置情報、測位時刻、移動体の識別情報を地図情報結果無しDB153に記録する(ステップS16)。地図誤り検出システム10は、他の移動体についても、ステップS11〜ステップS16の処理を繰り返し、移動体の位置情報と地図情報の経路情報の差分を地図情報結果無しDB153に記録する。
なお、この準備段階の処理については、いわゆるマップマッチングの手法を適用することができるが、移動体の時系列の位置情報に基づく移動経路と地図情報に含まれる経路情報とに差があり、地図情報が誤っている可能性がある位置の位置情報を抽出することができれば他の処理方法であっても構わない。
【0023】
図3は、本発明に係る第一実施形態における地図情報結果無し情報の一例を示す図である。
図3は、地図情報結果無しDB153が有する地図情報結果無し情報を示している。
図示するように地図情報結果無し情報は、少なくとも「移動体ID」、「測位日時」、「位置情報」の項目を有している。
「移動体ID」には、経路情報を特定できなかった区間が存在する移動体の識別情報が含まれる。「位置情報」には、経路情報を特定できなかった区間を構成する移動体の位置情報が含まれる。「測位日時」には、「位置情報」項目の位置情報を測位した時刻が含まれる。経路情報特定部12は、経路情報が特定できなかった区間について、
図3で例示した情報を地図情報結果無しDB153に記録する。
【0024】
準備段階における処理によって、地図誤り検出システム10は、地図情報において誤った経路情報が登録されている可能性がある範囲の位置情報の集合を抽出する。
移動体の位置情報と、地図情報の経路情報が異なる場合として、地図情報に原因(誤り)がある場合と、車両が道路の存在しない場所を走行したり、一方通行を逆走したりといった車両に原因がある場合の2通りが考えられる。本実施形態では、これらのうち地図情報に誤りがある場合の地図誤り位置候補を特定することを目的とする。地図誤り候補位置を特定するためには、例えば、地図情報結果無しDB153に記録された位置情報の集合を頼りに、人がその付近を調査することによって、地図情報の誤りを検出することが可能である。しかし、そのような方法は、効率が悪く、現実的ではない。特に道路が密集している個所などにおいては、全域に渡って調査の必要が出てくるため膨大な労力を必要とする。本実施形態では、地図誤り候補の検出を高精度化、高効率化するシステムを提供する。
【0025】
図4は、本発明に係る第一実施形態における地図誤り位置の検出方法を説明する図である。
図4は、地図情報結果無しDB153に記録された位置情報と地図情報に含まれる経路情報の位置関係の一例を示す図である。
図4の各点は、移動体の位置情報を示している。位置A1〜A6は、移動体Aの位置情報である。位置A1〜A6は、移動体Aから取得した位置情報が、位置A1、位置A2、位置A3、位置A4、位置A5、位置A6の順に移動したことを示している。位置B1〜B7は、移動体Bの位置情報である。位置B1〜B7は、移動体Bから取得した位置情報が、位置B1、位置B2、位置B3、位置B4、位置B5、位置B6、位置B7の順に移動したことを示している。位置C1〜C6は、移動体Cの位置情報である。位置C1〜C6は、移動体Cから取得した位置情報が、位置C1、位置C2、位置C3、位置C4、位置C5、位置C6の順に移動したことを示している。位置D1〜D10は、移動体Dの位置情報である。位置D1〜D10は、移動体Dから取得した位置情報が、位置D1、位置D2、位置D3、位置D4、位置D5、位置D6、位置D7、位置D8、位置D9、位置D10の順に移動したことを示している。
【0026】
経路21〜経路25は、地図情報に含まれる経路情報である。経路21は、一方通行の道路であり、経路21の通行方向は矢印26の方向であるとする。経路22〜25は、双方向道路である。経路22と経路23は繋がっていない。経路24と経路25は繋がっていない。
図4の場合、移動体Dは、地図情報に示された経路21の通行方向と逆方向に移動している。従って、ステップS13において、経路情報特定部12は、移動体Dに関する位置D1〜D10に対応する経路情報を地図情報から見つけることができず、位置D1〜D10の位置情報は、地図情報結果無しDB153に記録される。また、位置B1〜B7、位置C1〜C6については、これらに対応する地図情報の位置に経路情報が存在しない。従って、ステップS13において、経路情報特定部12は、移動体Bに関する位置B1〜B7、移動体Cに関する位置C1〜C6に対応する経路情報を地図情報から見つけることができず、位置B1〜B7及び位置C1〜C6の各位置情報は、地図情報結果無しDB153に記録される。
【0027】
ここで、これら地図情報結果無しDB153に記録された位置情報を用いて、地図情報の誤りを検出するが、地図情報結果無しDB153に記録された全ての位置情報について、例えば、実際にその場所へ行って、道路が存在するかどうかや一方通行の方向が間違っていないかを確認することは、作業効率の観点から現実的ではない。そこで、本実施形態では、さらに、地図誤り候補位置を絞りこむ処理を行う。この地図誤り候補位置の絞りこみ処理には、例えば、MeanShiftなどのクラスタリングを用いることができる。地図誤り位置候補算出部13は、MeanShiftによるクラスタリングを行って、地図情報にない位置情報の分布の密度が極大になる点を算出する。MeanShiftによれば、例えば、位置B1を中心とする半径Rの円を描き、位置A1〜A5、B1〜B7、C1〜C6、D1〜D10の各点うち、その円に含まれる点の平均位置を算出し、今度は算出した平均位置を中心とする半径Rの円を描く。以下、同じ操作を繰り返し、それ以上、半径Rの円が移動しない収束状態となったときに、その円に含まれる全ての点の集合を求めるクラスタとする。地図誤り位置候補算出部13は、残りの位置A1〜A5、B2〜B7、C1〜C6、D1〜D10についてもそれぞれの点を始点とする同様の操作を行い、位置A1〜A5、B1〜B7、C1〜C6、D1〜D10を始点とした場合のクラスタを算出する。地図誤り位置候補算出部13は、例えば、算出したクラスタのうち、最も多くの点(位置A1など)を含むクラスタを選択し、選択したクラスタに対応する円の中心を、地図誤り候補位置として決定する。位置P1、P2、P3は、地図誤り位置候補算出部13は算出した地図誤り候補位置の例である。なお、地図誤り候補位置の精度を確保するために、半径Rには、例えば、道路を構成する直線部分(図中L1など)の平均長さを用いる。
【0028】
図5は、本発明に係る第一実施形態における地図誤り検出システムの処理フローの一例を示す第二の図である。
まず、地図誤り位置候補算出部13が、地図情報結果無しDB153からマップマッチング処理などで得た地図情報結果無し情報を読み出す(ステップS21)。次に、地図誤り位置候補算出部13が、位置情報によるクラスタリングを行う(ステップS22)。クラスタリングの手法としては、例えば、
図4で説明したようにMeanShiftを用いる。次に地図誤り位置候補算出部13は、クラスタリングによって出来たクラスタの中から、地図誤り位置候補を含む確率が高いクラスタを選択する(ステップS23)。例えば、地図誤り位置候補算出部13は、クラスタ内に含まれる要素数(
図4のA1など)が最も多いクラスタを選択する。あるいは、地図誤り位置候補算出部13は、クラスタ内に含まれる要素数が、所定の閾値以上であるクラスタを選択してもよい。次に、地図誤り位置候補算出部13は、地図誤り候補位置を特定する(ステップS24)。例えば、地図誤り位置候補算出部13は、ステップS23で選択したクラスタに対応する円の中心の位置情報を地図誤り候補位置とする。地図誤り位置候補算出部13は、特定した地図誤り候補位置の位置情報を、地図誤り候補位置DB154に記録する。次に、出力部14は、地図誤り候補位置DB154から地図誤り候補位置を地図情報上に表示した画像をディスプレイ装置などに出力する(ステップS25)。ディスプレイ装置は、地図誤り候補位置が示された地図情報の画像を表示する。地図情報のメンテナンスを行う作業員は、ディスプレイ装置に表示された地図誤り候補位置を参照して、実際にその場所に赴き、地図情報が誤っていないかどうかを確認する。
【0029】
本実施形態によれば、地図誤りが存在する確率が高い位置を特定することができるので、地図誤り位置候補の検出の精度を高めることができる。これにより、作業員による地図誤り位置の検出作業を効率化することができる。
【0030】
<第二実施形態>
以下、本発明の第二実施形態による地図誤り検出システムを
図6〜
図8を参照して説明する。
図6は、本発明に係る第二実施形態における地図誤り検出システムのブロック図である。
図6で示すように、本実施形態の地図誤り検出システム10は、一方通行誤り判定部16を備えている。また、本実施形態の地図誤り検出システム10は、記憶部15に、一方通行誤り候補位置DB155を有している。一方通行誤り判定部16は、地図誤り候補位置の近傍に存在する経路情報の中に、一方通行である経路情報が含まれるか否かを判定する。地図誤り候補位置の近傍に一方通行である経路情報が含まれる場合、一方通行誤り判定部16は、その地図誤り候補位置と一方通行の経路情報の位置情報を一方通行誤り候補位置DB155に記録する。
他の構成については、第一実施形態と同様である。
【0031】
図7は、本発明に係る第二実施形態における地図誤り位置の検出方法を説明する図である。
経路31は、一方通行の道路である。経路31の通行方向は矢印34の方向である。
経路32、経路33は、双方向通行の道路である。位置P4、位置P5は、地図誤り位置候補算出部13が算出した地図誤り候補位置である。一方通行誤り判定部16は、地図情報DB151を参照して、位置P4の近傍に一方通行の経路情報が存在するかどうかを判定する。例えば、一方通行誤り判定部16は、位置P4から距離L2以内に存在する経路情報を検出し、その経路が一方通行であるかどうかを判定する。
図7の場合、経路31及び経路32は、位置P4から距離L2以内に存在する経路である。経路33は、位置P4から距離L2より離れた位置に存在する経路である。距離L2以内に存在する経路のうち、経路31は、一方通行の道路である。一方通行誤り判定部16は、位置P4について、近傍に一方通行の経路情報が存在すると判定し、位置P3の位置情報と経路31の位置情報とを、一方通行誤り候補位置DB155に記録する。
【0032】
一方通行誤り判定部16は、位置P5についても同様に、距離L2以内に一方通行の経路情報が存在するかどうかを判定する。位置P5の場合、距離L2以内に経路33が存在するが、経路33は一方通行の経路ではない。一方通行誤り判定部16は、距離L2以内に一方通行の経路が存在しないと判定し、位置P5の位置情報を地図誤り候補位置DB154に記録する。
【0033】
図8は、本発明に係る第二実施形態における地図誤り検出システムの処理フローの一例を示す図である。
図8を用いて本実施形態における地図誤り候補位置の特定処理を説明する。
ステップS21〜ステップS24までは、第一実施形態と同様である。つまり、地図誤り位置候補算出部13が、地図情報結果無しDB153から地図情報結果無し情報を読み出して取得し(ステップS21)、それらの位置情報によるクラスタリングを行う(ステップS22)。次に、地図誤り位置候補算出部13が、ステップS22で生成した各クラスタから地図誤り候補位置を含むクラスタを選択する(ステップS23)。次に、地図誤り位置候補算出部13は、選択したクラスタから地図誤り候補位置を特定する(ステップS24)。MeanShiftによってクラスタリングを行った場合、地図誤り候補位置は、例えば、ステップS23で選択したクラスタにおける中心(収束点)である。
【0034】
地図誤り位置候補算出部13は、特定した地図誤り候補位置の位置情報を一方通行誤り判定部16へ出力する。一方通行誤り判定部16は、地図誤り位置候補算出部13から取得した位置情報の近傍の地図情報を地図情報DB151から読み出す。一方通行誤り判定部16は、地図誤り候補位置から所定の距離内に一方通行となる経路情報が存在するかどうかを判定する(ステップS26)。一方通行となる経路情報が存在する場合(ステップS26=Yes)、一方通行誤り判定部16は、地図誤り候補位置の位置情報と所定の距離内に存在する一方通行となる経路情報の位置情報とを対応付けて一方通行誤り候補位置DB155に記録する(ステップS27)。なお、このとき、地図誤り候補位置から所定の距離内に一方通行となる経路情報が複数存在する場合、一方通行誤り判定部16は、それら複数の経路情報についての位置情報を一方通行誤り候補位置DB155に記録する。また、これら一方通行の経路情報における通行方向は問わない。一方通行となる経路情報が存在しない場合(ステップS26=No)、一方通行誤り判定部16は、地図誤り候補位置の位置情報を地図誤り候補位置DB154に記録する(ステップS28)。出力部14は、一方通行誤り候補位置DB155に記録された一方通行の通行方向の誤り候補位置及びその近傍の経路情報と、地図誤り候補位置DB154に記録された地図誤り候補位置とを区別してディスプレイ装置などに出力する。ディスプレイ装置には、地図情報上に一方通行の通行方向の誤り候補位置(一方通行誤り候補位置DB155に記録した位置情報)と道路抜け候補位置(地図誤り候補位置DB154に記録した位置情報)とが区別して表示される。作業員は、ディスプレイ装置の表示を見て、一方通行の通行方向の誤りと道路抜けの誤りの候補位置を区別して把握することができる。また、一方通行の通行方向の誤り候補位置については、近傍に存在する一方通行の経路情報を把握することができる。
【0035】
本実施形態によれば、第一実施形態の効果に加え、一方通行の通行方向の誤り箇所を自動で検出できるので、地図誤り候補位置の検出をより効率化・省力化することができる。
【0036】
<第三実施形態>
以下、本発明の第三実施形態による地図誤り検出システムを
図9〜
図12を参照して説明する。
図9は、本発明に係る第三実施形態における地図誤り検出システムのブロック図である。
図9で示すように、本実施形態の地図誤り検出システム10は、一方通行自動判定部17を備えている。一方通行自動判定部17は、地図情報に含まれる誤り候補位置の近傍に存在する経路情報(近傍経路情報)と、近傍経路情報から所定範囲内に存在する移動体の時系列の位置情報とに基づいて、一方通行における通行方向が逆転した経路情報を特定する。また、一方通行自動判定部17は、地図情報に含まれる特定した経路情報の通行方向を訂正する。
他の構成については、第二実施形態と同様である。
【0037】
図10は、本発明に係る第三実施形態における地図誤り検出システムの処理フローの一例を示す第一の図である。
図10を用いて本実施形態における地図誤り候補位置の特定処理を説明する。
ステップS21〜ステップS26までは、第二実施形態と同様であるので説明を省略する。本実施形態の場合、ステップS26で、一方通行誤り判定部16は、地図誤り候補位置の近傍に一方通行となる経路情報が存在するかどうかを判定する(ステップS26)。一方通行となる経路情報が存在する場合(ステップS26=Yes)、一方通行誤り判定部16は、地図誤り候補位置の位置情報とその近傍に存在する経路情報の位置情報とを一方通行自動判定部17に出力する。次に、一方通行自動判定部17は、一方通行の自動判定が可能かどうかを判定する(ステップS29)。一方通行の自動判定処理とは、一方通行誤り判定部16から取得した一方通行となる経路情報のうち、どの経路情報の通行方向が誤っているのかを判定する処理をいう。この一方通行の自動判定処理については、後に
図11、
図12を用いて説明する。一方通行の自動判定が可能と判定すると(ステップS29=Yes)、一方通行自動判定部17は、通行方向が誤っていると判定した経路について、地図情報を訂正する(ステップS30)。一方通行の自動判定が不可能と判定すると(ステップS29=No)、一方通行自動判定部17は、一方通行誤り判定部16から取得した地図誤り候補位置の位置情報とその近傍に存在する経路情報の位置情報とを一方通行誤り候補位置DB155に記録する(ステップS27)。
一方通行となる経路情報が存在しない場合(ステップS26=No)、一方通行誤り判定部16は、地図誤り候補位置の位置情報を地図誤り候補位置DB154に記録する(ステップS28)。
第二実施形態と同様、出力部14は、一方通行誤り候補位置DB155に記録された一方通行の通行方向の誤り候補位置及びその近傍の経路情報と、地図誤り候補位置DB154に記録された地図誤り候補位置とを区別してディスプレイ装置などに出力する。
【0038】
図11は、本発明に係る第三実施形態における一方通行の自動判定処理を説明する図である。
図11を用いて本実施形態における一方通行の自動判定処理を説明する。
経路41は一方通行の道路であり、通行方向は矢印42の方向である。経路43は一方通行の道路であり、通行方向は矢印44の方向である。経路45は一方通行の道路であり、通行方向は矢印46の方向である。経路47は一方通行の道路であり、通行方向は矢印48の方向である。経路49は一方通行の道路であり、通行方向は矢印50の方向である。E1〜E14、F1〜F13は、移動体の時系列の位置情報である。
図11の場合、ある移動体Eは、E1〜E14の順に移動し、別の移動体FはF1〜F13の順に移動したことを示している。位置P6は、地図誤り位置候補算出部13が移動体の位置E1〜E14、F1〜F13に基づいて特定した地図誤り候補位置である。ここで、一方通行誤り判定部16は、経路43及び経路47及び経路49を位置P6から距離L2以内に存在すると判定したとする(ステップS26)。
【0039】
一方通行自動判定部17は、地図情報における経路43及び経路43に接続された経路41及び経路45の通行方向を逆転した経路情報を生成する。同様に、一方通行自動判定部17は、地図情報における経路47の通行方向を逆転した経路情報を生成する。例えば、経路47に対応付けて通行方向が記憶部15に記録されている場合、一方通行自動判定部17は、その通行方向と逆の方向を示す情報を、経路47に対応付けて記憶部15に記録する。また、一方通行自動判定部17は、地図情報における経路49の通行方向を逆転した経路情報を生成する。一方通行自動判定部17は、位置E1〜E14、F1〜F13について、通行方向を逆転した経路情報を含む地図情報と比較を行った結果に基づいて、どの経路の通行方向が誤っているのかを判定する。
例えば、一方通行自動判定部17は、位置E1〜E14、F1〜F13に基づく移動体の移動方向と、通行方向を逆転した複数の経路情報における通行方向とを比較し、それらの方向が一致する経路を選択する。移動体Eの移動方向は、位置E1からE14へ向かう方向である。また、移動体Fの移動方向は、位置F1からF13へ向かう方向である。
図11の場合、逆転した経路49の通行方向は、これらの移動体の通行方向が逆となるため、経路41及び経路43及び経路45、経路47が選択される。また、一方通行自動判定部17は、通行方向が一致した経路のうち、位置情報E1〜E14、F1〜F13に基づく算出移動経路との距離が最も短くなる経路を選択する。
図11の場合、経路47が選択される。また、一方通行自動判定部17は、選択した経路と算出移動経路との距離が所定の閾値以下であれば、その選択した経路が、地図情報における通行方向が誤った経路情報であると判定する。
図11において一方通行自動判定部17が経路47を通行方向を間違った経路情報だと判定したとすると、一方通行自動判定部17は、地図情報の経路47の通行方向を逆転することによって、地図情報の誤りを訂正する。
【0040】
図12は、本発明に係る第三実施形態における地図誤り検出システムの処理フローの一例を示す第二の図である。
図12を用いて本実施形態における一方通行の自動判定処理の流れを説明する。
図12は、
図10におけるステップS29の処理のより詳しい処理フローである。
一方通行自動判定部17は、一方通行誤り判定部16から取得した地図誤り候補位置の近傍に存在する経路情報についてループ処理を開始する(ステップS31)。まず、一方通行自動判定部17は、取得した経路情報のうち1本を選択する(経路情報100とする)。次に、一方通行自動判定部17は、地図情報DB151から地図情報を読み出し、地図情報上における選択した一方通行の経路情報100の通行方向を逆転させる(ステップS32)。例えば、一方通行の経路情報100に対応付けて、その通行方向を示すベクトル情報が記録されている場合、一方通行自動判定部17は、記録されているベクトルと逆方向のベクトル情報を生成し、経路情報100に対応付けて記録する。
【0041】
次に、一方通行自動判定部17は、移動経路算出部11に移動経路の算出を指示する。移動経路算出部11は、地図情報結果無しDB153から、通行方向を逆転した経路情報100の近傍に位置する時系列の位置情報を移動体ごとに読み出して、移動体ごとの移動経路情報を算出する。次に、移動経路算出部11は、算出した移動経路情報(算出移動経路)とその移動経路情報における移動体の移動方向とを経路情報特定部12に出力する。経路情報特定部12は、地図情報に含まれる経路情報100と移動経路算出部11から取得した算出移動経路とを比較する(ステップS33)。経路情報特定部12は、まず経路情報100の逆転した通行方向と移動体の移動方向とを比較する。この方向が一致しない場合、経路情報特定部12は、例えば、この算出移動経路に対応付けたスコアの値に無限大を設定する。ここでスコアとは、地図情報に含まれる経路情報と算出移動経路との一致度を示す値である。ここでは、スコアの値が小さい程一致度が高いものとする。方向が一致しない場合、この算出移動経路と経路情報100との比較を終了する。また、経路情報特定部12は、地図情報に含まれる通行方向を逆転した経路情報100と算出移動経路との平均的な距離を算出する。平均的な距離とは、例えば、通行方向を逆転した経路情報100上の複数の点から算出移動経路への距離の平均値である。経路情報特定部12は、算出した平均的な距離の値を経路情報100のスコアの値に設定する。
同様に、移動経路算出部11は、全ての移動体の位置情報について算出移動経路を算出し、経路情報特定部12はそれぞれの算出移動経路と経路情報100との通行方向や平均距離に応じたスコアを求める。経路情報特定部12は、経路情報100について全スコアの平均値を求める。経路情報特定部12は、求めた平均値を経路情報100に対するスコアとして一方通行自動判定部17に出力する。
【0042】
一方通行自動判定部17は、ステップS33で比較した経路情報(今回の場合、経路情報100)が、既に設定された訂正候補の経路情報と比べ、さらに算出移動経路に近いかどうかを判定する(ステップS34)。この判定は、訂正候補の経路情報のスコアとステップS33で比較した経路情報のスコアを比較してより値が小さい方を算出移動経路に近いと判定する。なお、訂正候補の経路情報とは、これまでに算出移動経路との比較を行った経路情報のうち、最も算出移動経路に近い経路情報である。ステップS33で比較した経路情報が訂正候補の経路情報に比べ、さらに算出移動経路に近いと判定した場合(ステップS34=Yes)、訂正候補の経路情報をステップS33で比較した経路情報で置き換える(ステップS35)。
訂正候補の経路情報が算出移動経路に近いと判定した場合(ステップS34=No)、または、ステップS35が完了すると、一方通行自動判定部17が取得した経路情報の中から次の1本(経路情報101とする)を選択し、ステップS32〜ステップS35の処理を繰り返す。
【0043】
一方通行誤り判定部16から取得した地図誤り候補位置の近傍に存在する全ての経路情報について訂正候補の経路情報との比較を終えると、ループ処理を終了する(ステップS36)。次に、一方通行自動判定部17は、一方通行自動判定は可能かどうかを判定する(ステップS37)。具体的には、一方通行自動判定部17は、訂正候補の経路情報と算出移動経路との距離が所定の値以下であるかどうかによって判定する。訂正候補の経路情報と算出移動経路との距離が所定の値以下であるかどうかは、例えば上で求めたスコアの値が所定の閾値以下かどうかで判定することが可能である。一方通行自動判定部17は、距離が所定の値以下であれば、一方通行自動判定は可能と判定する(ステップS37=Yes)。この場合、一方通行自動判定部17は、地図情報の訂正候補の経路情報の通行方向を逆転することで、地図情報を訂正する(ステップS30)。例えば、一方通行自動判定部17は、予め訂正候補の経路情報と対応付けて記録されているベクトルと逆方向のベクトル情報を生成し、予め訂正候補の経路情報と対応付けて記録されていたベクトル情報を生成したベクトル情報で更新する。距離が所定の値より大きい場合、一方通行自動判定部17は、一方通行自動判定は不可能と判定する。この場合、一方通行自動判定部17は、地図誤り候補位置の位置情報とその近傍に存在する経路情報の位置情報とを一方通行誤り候補位置DB155に記録する(ステップS27)。
【0044】
本実施形態によれば、第一実施形態、第二実施形態の効果に加え、一方通行自動判定により、一方通行の誤りの一部を自動的に判断し地図を更新することができるので、地図誤り修正作業の一部を省力化することができる。なお、
図12では、逆転した経路情報との比較において(ステップS33〜S34)、スコアの値によって判定する方法を例に説明を行ったがこれに限定されない。例えば、各種マップマッチングで用いられる判定方法を適用することができる。
【0045】
なお、上述した地図誤り検出システム10における各処理の過程は、プログラムの形式でコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記憶されており、このプログラムを地図誤り検出システム10のコンピュータが読み出して実行することによって、上記処理が行われる。ここでコンピュータ読み取り可能な記録媒体とは、磁気ディスク、光磁気ディスク、CD−ROM、DVD−ROM、半導体メモリ等をいう。また、このコンピュータプログラムを通信回線によってコンピュータに配信し、この配信を受けたコンピュータが当該プログラムを実行するようにしてもよい。
【0046】
また、上記プログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであってもよい。さらに、前述した機能をコンピュータシステムにすでに記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるもの、いわゆる差分ファイル(差分プログラム)であってもよい。
また、地図誤り検出システム10は、1台のコンピュータで構成されていても良いし、通信可能に接続された複数のコンピュータで構成されていてもよい。また、地図誤り検出システム10は、1台または複数台のコンピュータと1台または複数台の記憶装置で構成されており、記憶装置が記憶部15を有していてもよい。
【0047】
その他、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、上記した実施の形態における構成要素を周知の構成要素に置き換えることは適宜可能である。また、この発明の技術範囲は上記の実施形態に限られるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。