(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【背景技術】
【0002】
電気的に操作される携帯用「ガジェット」の急増に伴い、これらのガジェットに電力を供給するために販売されるバッテリの数は、比例して急激に増加している。過去10年にわたって劇的に販売が増加しているバッテリの1つのタイプは、リチウムバッテリである。例えば、約400万ドル分のリチウムバッテリが1996年に販売されたが、2014年にはリチウムバッテリが約40億ドル分販売されたと見積もられる。
【0003】
リチウムバッテリは、それらで通常置き換えられるアルカリバッテリに勝る利点を有する。リチウムは非常に活性な材料であるので、バッテリに使用される材料の量に対してより大きな電力を提供する傾向がある。加えて、リチウム放電曲線は、アルカリよりも長く、フラットであるため、バッテリの寿命に対して一貫した高電圧を提供する。
【0004】
これらの特徴により、ガジェットの製造者は、ガジェットを操作するために必要とされる等価な電力を有するバッテリサイズを低減でき、または別の方法として所定サイズのバッテリで電力量を大きくすることができる。
【0005】
リチウムバッテリはアルカリよりも高価であるが、それらは、小型のデバイスまたは多量の予備電力を必要とするデバイス、例えばカメラおよびスマートフォンに使用される場合に特に良好な性能特徴を有する。
【0006】
用語「リチウムバッテリ」は、金属性リチウムまたはリチウム化合物のいずれかを含有するカソードまたは電解質を含むバッテリのクラスを指す。リチウムバッテリの2つの主要なカテゴリとしては、リチウム金属バッテリおよびリチウムイオンバッテリが挙げられる。
【0007】
リチウムバッテリとリチウムイオンバッテリとの間にはいくつかの重要な相違がある。これら2つの最も重要な実際の相違は、リチウムバッテリは再充電不可能である一方で、リチウムイオンバッテリは再充電可能であることである。化学的観点から、リチウムバッテリは、その純粋な金属形態のリチウムを使用する一方で、リチウムイオンバッテリは、リチウムバッテリに使用される元素状リチウムよりも相当安定であるリチウム化合物を使用する。リチウムバッテリは決して再充電されるべきではないが、リチウムイオンバッテリは、数百回再充電されるように設計される。
【0008】
他の再充電可能なバッテリ、例えばニッケル金属水素化物再充電可能バッテリまたはニッケルカドミウムバッテリに比較した場合のリチウムバッテリの別の利点は、リチウムバッテリが、大部分のタイプの他の再充電可能なバッテリよりもエネルギー密度が高いことである。そういうものとして、それらのサイズおよび重量に関して、リチウムイオンバッテリは、ニッケル系再充電可能なバッテリよりも多くのエネルギーを貯蔵できる。
【0009】
加えて、リチウムイオンバッテリは、他の再充電可能なバッテリよりも高い電圧で操作し、これにより単一セルバッテリが多くの用途において使用可能になる一方で、ニッケル金属水素化物またはニッケルカドミウムバッテリは複数セルを必要とし得る。さらにリチウムバッテリは、他のタイプの再充電可能なバッテリよりも低い自己放電率を有し、故に長期間それらの電荷を保持する。要約すると、リチウムイオンバッテリは、他のタイプの再充電可能なバッテリよりも小型で、軽量であるように製造でき、高い電圧を有し、相当長く電荷を保持できる。
【0010】
残念ながら、リチウムバッテリはまた、他のバッテリに比較した場合に、特定の不利益を有する。例えば、リチウムバッテリは、アルカリおよびニッケル系バッテリよりも製造が高価になり得る。リチウムバッテリの使用の別の不利益は、ニッケル系バッテリよりも発火する可能性が高いことである。
【0011】
リチウムイオンバッテリの発火傾向の根本原因は、バッテリ内のセパレータにおける欠陥または不備であると考えられる。リチウムバッテリは、バッテリ中の元素を分離させ続ける極めて薄いセパレータを含有する。これらのセパレータが適切に機能しない場合に、バッテリは機能しなくなり、発火し得る。これらの「不良セパレータ」欠陥は、不十分な設計、製造不備、バッテリに誘導される外部損傷、不十分なバッテリパック設計、バッテリの設計に加工される不十分または不適切な保護、および過充電からもたらされ得る。
【0012】
薄いセパレータに対する損傷からもたらされる内部短絡は、結果として後に熱の蓄積をもたらす。特定のバッテリ中のこの熱の蓄積は、バッテリが過熱し、炎上し、それによって、火のついたマッチが火のついていない隣接マッチに近づく場合にマッチ箱内の火のついたマッチが隣接するマッチを発火させるのとほぼ同じ様式で隣接バッテリが発火し、熱暴走として知られることを誘発し得る。
【0013】
これに関して、リチウムイオンバッテリは約953°Fで発火し、燃えながら1100°Fを超える温度に到達し得ることが記録されている。そういうものとして、燃えているリチウムイオンバッテリは、一般に、隣接バッテリを同様に発火させるのに十分な熱を生じ得る。
【0014】
他のバッテリを発火させるバッテリのこうした能力は、「熱暴走」と称される。熱暴走を悪化させる1つの要因は、リチウムバッテリが酸素の存在なく燃え、発火可能であることである。そういうものとして、真空コンテナまたは密封コンテナ中にバッテリを配置することは、コンテナ内のバッテリが熱暴走に関与し、それによってコンテナを過熱することを防止しない。
【0015】
熱暴走に関与するマルチバッテリコンテナは、隣接するマルチバッテリ含有コンテナを、その中に含まれるリチウムバッテリを発火させるのに十分熱くするという例が報告されている。
【0016】
この発火傾向は、バッテリを航空機に乗せて輸送する場合特に、リチウムバッテリを運搬する輸送者に対する危険が増すことになり得る。バッテリを運搬する危険が増大することで、バッテリの運搬コストが増大する。
【0017】
運搬コストは、特に今日販売される大部分のバッテリが中国で製造されるが、遠い市場、例えば北米および欧州市場において使用され得るという事実の観点において、バッテリのコストに大きく寄与し得る。
【0018】
熱暴走は、多量のバッテリを運ぶ航空機中で特に問題のある状況を創出し得る。FAA Wiliman J.Hughes Technical Center(「FAA Tech Center」)によって行われた試験は、リチウムバッテリと関連する特定の伝搬特徴があることを示す。連鎖反応熱暴走は、自己加熱およびバッテリの貯蔵エネルギーの放出につながり得る。火災状況において、貨物コンパートメントの火災における空気温度は、リチウムの自動発火温度を超えて上昇し得る。上記で議論されるように、これらの高温は、隣接バッテリを発火させて発火を伝搬させ、それによって貨物コンパートメント内での壊滅的な火災事象の危険を創出する。
【0019】
リチウムイオンバッテリ構成の改善によりこうした熱暴走を極めて稀にするが、熱暴走の危険は依然として存在する。
【0020】
種々の試みが熱暴走を制御するために行われている。これらの試みの大部分は、難燃剤または液状抑制製品技術の使用に集中している。
【0021】
これらの試みの背後にある基本理論は、最初または熱暴走が生じるのを防止する代わりに、火災を消火し、それによって火災が隣接バッテリおよび/または隣接コンテナおよびバッテリに広がる前に、有効な数の燃えているバッテリを低減することである。残念ながら、これらの先行する試みは、リチウムバッテリに関する熱暴走を防止することに完全には成功していない。
【0022】
隣接コンテナ間の熱移動を低減する熱バリアを提供することによってこうした火災および爆発の影響を制限でき、それによって熱暴走の量およびサイズを低減し、それによって熱暴走による領域中に生じる熱および圧力を低減するコンテナを有することが有用であることが理解される。
【0023】
高吸水性ポリマー(SAP)またはヒドロゲルは、解離したイオン性官能基を保持する可撓性ポリマー鎖の弱く架橋された三次元ネットワークである。それらは基本的に、荷重下または荷重なしで、それら自体の乾燥重量の15倍を超える流体、例えば水、電解質溶液、合成尿、ブライン、生物学的流体、例えば尿、汗および血液を吸収できる材料である。それらは、カルボン酸、カルボキサミド、ヒドロキシル、アミン、イミド基などを含有する親水性、水不溶性によって特徴付けられるポリマーであり、架橋された高分子電解質である。それらのイオン特性および相互に連結された構造のために、それらは水素結合を介して水分子の溶媒和により溶解することなく、多量の水および他の水溶液を吸収し、ネットワークのエントロピーを増大させ、SAPを相当膨潤させる。
【0024】
ポリマーに吸収力を供給する要因は、可動性対イオンに基づく浸透圧、およびポリマー電解質と水との間の親和力である。対照的に吸収力を抑制する要因は、そのネットワーク構造から生じるゲルの弾性に見られる。それらは高い流体吸収能を有するだけでなく、それらが構造中に流体を保持するのではなく単に捕捉することによって流体を不動態化するので、吸収された流体は放出するのが困難である。それらの調製プロセスは、例えば非特許文献1および非特許文献2に記載されている。
【0025】
火災を防止し、消火する際に使用するための粒子状の高吸水性乾燥ポリマーの使用に対処する多数の米国特許が存在し、それらとしてはvon Blucherの特許文献1;von Blucherの特許文献2;およびPascenteの特許文献3が挙げられる。
【発明の概要】
【0028】
輸送コンテナは熱活性材料を輸送するために構成される。輸送コンテナは、コンテナ内部を規定し、熱活性材料を受容するように構成された多数の構造パネルを含む。コンテナはまた、輸送コンテナが配置された環境に隣接して配設された外部を含む。熱バリア部材は、熱活性材料と、コンテナが配置された環境との間に配置され得る。熱バリアは、熱吸収材料を受容する空隙を規定する熱バリア内部パネルおよび第3のバリア外部パネルを含む。流動性ポリマー系熱吸収材料は、熱吸収材料受容空隙内に配設される。熱バリアは、熱活性材料と輸送コンテナが配設される環境との間の熱エネルギーの移動を低減するために、熱活性材料を実質的に囲むように構成される。
【0029】
好ましい実施形態において、輸送コンテナは、熱活性材料によって生じた圧力がコンテナの外部に放出可能になるように、圧力除去部材を含むことができる。
【0030】
別の好ましい実施形態において、輸送コンテナは、熱吸収材料受容空隙内に配設されたパーティション部材を含む。パーティション部材は、流動性ポリマー系熱吸収材料を受容および保持するように構成される一連のセルを規定し、結果として熱吸収材料は、熱吸収材料受容空隙全体にわたって分散される。
【0031】
最も好ましい実施形態において、熱活性材料はリチウムバッテリを含み、熱バリアは、内部に熱バリアを有するコンテナに配設されたバッテリが燃え続けている間に、輸送コンテナが約950度未満で配置される環境を維持できる。
【0032】
1つの実施形態において、ポリマー系熱吸収材料は高吸水性ポリマーを含む。
【0033】
別の実施形態において、ポリマー系熱吸収材料は本質的に高吸水性ポリマーからなる。
【0034】
別の実施形態において、ポリマー系熱吸収材料は高吸水性ポリマーからなる。
【0035】
別の実施形態において、高吸水性ポリマーは水で水和される。
【0036】
別の実施形態において、高吸水性ポリマーは乾燥している。
【0037】
別の実施形態において、高吸水性ポリマーはホモポリマーである。
【0038】
別の実施形態において、高吸水性ポリマーはコポリマーである。
【0039】
別の実施形態において、高吸水性ポリマーはカチオン性(塩基性の吸水性樹脂)である。
【0040】
別の実施形態において、高吸水性ポリマーはアニオン性(酸性の吸水性樹脂)である。
【0041】
別の実施形態において、高吸水性ポリマーは、カルボン酸または酸、酸無水物基またはスルホン酸基を含有する親水性モノマーのポリマーである。
【0042】
別の実施形態において、高吸水性ポリマーは、カルボン酸またはスルホン酸エステル、ヒドロキシル、アミド、アミン、ニトリルまたは四級アンモニウム塩基を含有する親水性モノマーのポリマーである。
【0043】
別の実施形態において、高吸水性ポリマーは:アクリルアミド、アクリル酸誘導体、マレイン酸無水物、イタコン酸、2−ヒドロキシルエチルアクリレート、ポリエチレングリコールジメタクリレート、アリルメタクリレート、テトラエチレングリコールジメタクリレート、トリエチレングリコールジメタクリレート、ジエチレングリコールジメタクリレート、グリセロールジメタクリレート、ヒドロキシプロピルメタクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、2−tert−ブチルアミノエチルメタクリレート、ジメチルアミノプロピルメタクリルアミド、2−ジメチルアミノエチルメタクリレート、ヒドロキシプロピルアクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、および2−アクリルアミド−2メチルプロパンスルホン酸誘導体からなる群から選択される親水性モノマーのポリマーである。
【0044】
別の実施形態において、高吸水性ポリマーは、アクリルアミドおよびアクリル酸誘導体のコポリマーである。
【0045】
別の実施形態において、高吸水性ポリマーは、ポリアクリレート/ポリアクリルアミドコポリマーである。
【0046】
別の実施形態において、高吸水性ポリマーはポリアクリルアミドである。
【0047】
別の実施形態において、高吸水性ポリマーはポリアクリレートである。
【0048】
別の実施形態において、高吸水性ポリマーはグアーガムである。
【0049】
別の実施形態において、高吸水性ポリマーは架橋される。
【0050】
別の実施形態において、高吸水性ポリマーは油で架橋される。
【0051】
別の実施形態において、高吸水性ポリマーは鉱油で架橋される。
【0052】
別の実施形態において、高吸水性ポリマーはエマルションとして配合される。
【0053】
別の実施形態において、エマルションは水および油を含む。
【0054】
別の実施形態において、油は鉱油である。
【0055】
別の実施形態において、エマルションは、水、油および鉱油で架橋された高吸水性ポリマーを含む。
【0056】
別の実施形態において、高吸水性ポリマーはペーストとして配合される。
【0057】
別の実施形態において、ペーストは油および水を含む。
【0058】
別の実施形態において、油は鉱油である。
【0059】
別の実施形態において、ペーストは、水、油および鉱油で架橋された高吸水性ポリマーを含む。
【0060】
別の実施形態において、ポリマー系熱吸収材料は、NOCHARのP215ブランド熱吸収材料である。
【0061】
本文書内のいずれかで記載された他の実施形態と共に上記実施形態の可能な組み合わせはすべて、本発明のさらなる実施形態として考慮されることが理解される。
【発明を実施するための形態】
【0063】
本発明の原理の理解を深めるために、ここで図面に示された実施形態を参照し、特定の言語がそれを説明するために使用される。それでもなお、本発明の範囲がそれによって限定されることは意図しないことが理解される。示されたデバイスにおけるこうした代替およびさらなる変更のいずれか、ならびに本明細書に示されるような本発明の原理のこうしたさらなる応用は、本発明が関連する当業者が通常行うように考慮される。
【0064】
図に最良に示されるように、輸送コンテナ10は、熱活性材料、例えばバッテリ14のケース12を輸送するために構成される。熱活性は広範囲の加熱および冷却機能の両方に働き得るが、本発明の輸送コンテナ10の設計に関する主な熱活性材料は、熱活性材料、例えばバッテリ14、特に上記で議論されるように燃焼して熱暴走に関与する傾向(稀ではあるが)を有するリチウムおよびリチウムイオンバッテリ(集合的に本明細書では「リチウムバッテリ」)である。燃えているリチウムバッテリは、既知の隣接輸送コンテナ中のバッテリを含む他のバッテリを燃焼させるのに十分な温度で燃焼する。
【0065】
本発明の輸送コンテナ10は、熱活性材料、例えば燃えているバッテリが、輸送コンテナ10の環境Eにおいて、隣接輸送コンテナ10、および燃えているバッテリを含む特定の輸送コンテナ10に隣接する材料の燃焼を引き起こすのに十分な熱を発生させるのを防止する熱バリアを提供するように設計される。
【0066】
輸送コンテナ10は、熱活性バッテリ14を受容するように構成されるコンテナ内部18を規定する複数の構造パネル16を含む。
【0067】
構造パネル16はまた、輸送コンテナ10が置かれる環境Eに隣接して配設される外部表面のような外部20を含む。通常、環境Eは、運搬用車両、例えばトラック、航空機または船舶の貨物倉を含む。あるいは、環境Eは、こうした配置が所望であると考えられる場合に、輸送コンテナ10が「コンテナ内にコンテナ」を含むために大きなコンテナの内部空間を含み得る。
【0068】
熱バリア部材26は、熱活性バッテリ14と輸送コンテナ10が配置される環境Eとの間の配置のために提供される。熱バリア部材26は、熱バリア内部パネル28、および熱バリア外部パネル32を含む。熱内部パネル28および熱外部パネル32は、熱吸収材料受容空隙34を規定し、この空隙に流動性ポリマー熱吸収材料36を配置できる。流動性ポリマー熱吸収材料36の性質および組成を以下でより詳細に説明する。
【0069】
好ましくはポリマー系熱吸収材料は、一般に高い粘度を有する流動性のペースト材料、例えばペーストである。化学的観点から、流動性ポリマーは、エマルション中の多量の水を吸収および保持できる「高吸水剤」と称されるタイプの化合物であるべきである。
【0070】
流動性ポリマー系熱吸収材料36は、熱吸収材料空隙34内に配設される。熱バリア26は、熱活性バッテリ14を実質的に囲み、ケースに入れるように構成され、バッテリ14が配置された輸送コンテナ10の内部18と、輸送コンテナ10が配設された環境Eとの間の熱エネルギーの移動を低減する。
【0071】
輸送コンテナ10は、複数の構造パネル16を含む構造部分を含む。示された実施形態において、輸送コンテナ10は、一般に直方体であり、1ケースのタイプライター紙を保持するために設計された箱と同様に設計された構成を有する。特に、輸送コンテナ構造部分は、ベース部分42および蓋部分44を含む。ベース部分42は、4つの垂直側壁を含み、これが第1の側壁46、第2の側壁48、第3の壁50および第4の側壁52を含む。ほぼ水平に配設された底部またはベース壁54は、4つの縁部を有し、それらそれぞれが、4つの側壁46〜52のそれぞれ1つに接続される。
【0072】
4つの側壁46、48、50、52のそれぞれは、隣接する側壁に結合した第1および第2の側縁部、ならびにベース壁54に接続された底縁部を含む。ベース部分42の特定構成に依存して、側壁46〜52およびベース壁54は、それらが段ボール箱、または真空形成もしくはスタンプ加工されたプラスチックコンテナにあるように一体形成でき;または別の方法として、それぞれの側縁部に沿って接合された合板、材木、金属プレートまたは一部の他の材料の分離パネルを含むことができる。
【0073】
蓋部材44は、わずかに長い幅および長さ、ならびにわずかに短い側壁部分を有することを除いて、ベース部分44とほぼ同様に形成される。蓋は、4つの縁部を有する水平に配設された頂部パネルまたは壁58を含む。第1(60)、第2(62)、第3(図示せず)および第4(66)の側壁スカートそれぞれは、頂部パネル58の側縁部に結合された縁部を含む。側壁スカート60〜66は、水平に配設された頂部壁58の面にほぼ垂直な面に延び、蓋44がベース42に取り付けられた場合に、スカート部材60〜66の下方端部がベース部材42の側壁部分46〜52の上方部分とオーバーラップするのに十分な距離で下方に延びる。
【0074】
熱バリア部材24は、熱バリア24の主要部から分離して形成される蓋部分70を含む。蓋部分70は、熱バリア24の残部とほぼ同一であるように形成され、蓋部分44の側壁60、66の内部表面および水平に配設された頂部壁58に沿って配設され、結果として蓋44がベース42に係合され、可燃性材料、例えばバッテリ14がコンテナ10の内部バッテリ受容領域18内に配置される場合に、可燃性材料、例えばバッテリ14を熱バリア24によって完全に囲い、ケースに入れる。
【0075】
好ましい実施形態において、蓋42は、4つの垂直壁スカート58(図示せず)、64、66とベース部材44の4つの側壁46〜52との間に小さいギャップが存在するようにサイズ加工される。小さいギャップにより、なおも蓋44をベース42および側壁に固定可能にしつつ、特定量のガスを内部空隙18から出すまたはベントすることを可能にする。
【0076】
好ましくは、一部の種類のラッチ機構は、ベース42に蓋44を固定するのに役立つように提供される。ラッチ機構は、筆記用紙の場合に使用されるストラップと同様の典型的なラッチまたはロックからベース42および蓋44を囲むストラップ部材までの種々のラッチ機構のいずれか1つを含むことができる。
【0077】
リチウムバッテリ火災の場合、圧力パルスは、内部18内でバッテリが爆発する場合に放出され得る。この圧力パルスによって創出されたガスおよび圧力は、好ましくは、コンテナ10が圧力パルスによって損なわれないことを確実にするために、コンテナ10から逃がすことを可能にする。
【0078】
本発明の1つの実施形態において、ベース42および蓋44は、チップボードから製造される。チップボードは、通常木材チップ、製材削りくずまたはさらにはおがくずおよびプレス加工および押出された合成樹脂または他の好適なバインダから加工された木材製品である。1つの形態において、バインダは水分子を吸収するように構成される。
【0079】
図3は、本発明のコンテナ10において使用できるタイプのチップボードの小さいセグメントを示す。チップボードセグメント22は、チップボードに注入される難燃剤(first retardant)を含むように示される。難燃剤76は、好ましくは、以下でより詳細に議論される熱バリア24に使用されるポリマー系熱吸収材料と同様のポリマー系熱吸収材料を含む。
【0080】
難燃剤(first retardant)熱吸収ポリマー系材料76はチップボード22に注入され、これが複数のポリマー系熱吸収材料分子74と共に注入されている複数のチップボード分子72と共に注入されている複数のチップボード分子74を含む。
【0081】
以下でより詳細に記載されている好ましい形態において、熱吸収材料は、チップボード22のような密封されていない天然繊維材料および製品のために設計されたポリマー系の無毒で、無害のポリマー熱吸収材料である。好ましい難燃剤76は、以下でより詳細に説明され、商品名NOCHARの防火剤(「NFP」)としてNOCHAR,Inc.,から購入できる。NFPは、噴霧、カーテンコーティング、熱浸漬、真空チャンバ、ローラーコーティングまたはソーキングによってチップボード22に適用されてもよい。
【0082】
NFPは、チップボード22に浸透させるためにキャリアとして水を使用する水溶性製品である。次いで水は乾燥され、または除去されてチップボード22内で実在の熱吸収材料76を適切な位置に残す。
【0083】
同様に以下でより詳細に記載されるようにNFPは、発火に必要とされる温度および数キロカロリー量の入熱を増大させ、発火後の熱放出割合を低下させ、炎の展延割合を遅延することによって処理される材料および製品の第1の安全性を増大させる。
【0084】
NOCHAR,Inc.,から購入されたNFPは、結合剤、接着剤およびシーラントに添加できる。
【0085】
本発明の熱バリア部材24は、コンテナ10のベース42と並んだベース部分27および蓋と並んだ蓋部分29を含むように図に示される。
【0086】
あるいは、熱バリア24は、熱可燃性材料14のカートン40が配置され得る空隙18を含むコンテナに配置される一体性のサック様部材を含むことができる。
【0087】
重要なことには、熱バリア24は、バッテリ14のような可燃性材料を封入またはケースに入れるために設計されるべきである。加えて、
図1および2に示される実施形態において、熱バリア24は、上記で記載されるような典型的な圧力除去バルブまたはギャップを含んでいてもよい圧力除去部材を含むべきであり、結果として燃焼または他の熱活性によって生じた蓄積圧力が、コンテナの内部18からコンテナの外部にベントされることができる。
【0088】
輸送コンテナ10は、熱吸収材料受容空隙34を形成するために熱バリアの外側パネル32に結合した熱バリア内側内部パネル28を含む。熱バリア外部パネルおよび内部パネル28、32は、損なわれることも溶融することもなく、吸収できまたは高温に耐えることができる耐火性材料から製造されるべきである。加えて、内部パネル28および32の製造材料は、非可燃性であり、リッピングや引裂きなどなしに、空隙34内に含まれる熱吸収熱バリア材料をしっかり保持するのに十分頑丈であるように設計されるべきである。
【0089】
この状況で十分作用する材料の例は、薄いアルミニウムシート材料である。
【0090】
輸送コンテナ10および熱バリア24のための材料を設計する場合、品質と特徴とのバランスを求める。輸送コストは重量の関数として計算されることが多いので、輸送コストを削減するために、可能な限り最軽量材料を選択することを所望する。他方で、移動の間に、輸送コンテナが受けることが多い手荒い取扱いに耐えるのに十分頑丈である輸送コンテナを有することが重要である。好ましくは、輸送コンテナは、複数の機会において再利用できるのに十分頑丈であることができる。
【0091】
以下でより詳細に議論されるように、好ましい熱バリア材料は、粘稠度でのペーストを含む。ペーストが流動性材料であるので、外部パネル28、32の製造材料は、破壊により熱バリアの内部受容空隙34から流動性熱吸収材料が漏出し得るので、容易には破壊されないように十分頑丈であるべきである。そういうものとして、薄箔は、重量を削減するが、こうした破壊を容易に防止するのに十分頑丈ではない場合がある。故に、金属材料、例えばアルミニウムの厚い箔またはシート化は、箔の使用よりも好ましい可能性がある。
【0092】
パーティション部材38は、熱バリアの内部熱吸収材料受容空隙34内に配置される。
図2に示されるようにパーティション部材は、その中に熱吸収流動性ポリマー36が配置され得る中空内部を有する一連のアパーチャまたはセル80を含む一般に硬質材料、例えば金属またはプラスチックの格子型部材を含む。パーティション部材38の目的は、熱バリアの表面積全体にわたってセル内に含まれる熱吸収ポリマー36を良好に分散させることである。理解されるように、熱バリア材料の流動性性質のために、空隙34の下方部分において、重量の影響下で熱吸収ポリマー系材料が凝集するおよび集まる可能性がある。パーティション部材38を使用することによって、ペースト様の熱吸収材料は、熱バリアの全体の領域にわたって保持および分散される。
【0093】
図1Cに示されるように、複数の熱バリアセグメント、例えば構造部材16の側壁48、52に隣接して配設される熱バリアセグメント84および88および構造部材16のベースパネル54に隣接して配設される熱バリアパネル88が使用できる。加えて、ベースパネルセグメント90は、頂部パネル58の内部表面の裏側に隣接して位置付けられて提供され得る。
【0094】
種々の熱バリアセグメント84〜90の形状に影響する主な要因は、パーティション部材38の剛性(またはその欠如)である。例えば、一般に硬質の平面構成されたパーティション部材38を使用する場合、バリアパネル24自体は平面またはマット様の構成をとる可能性がある。しかし、より可撓性または形成されたパーティション部材38を使用する場合、パーティション部材38を曲げ、成形し、またはそうでなければ構成できる任意の形状を有する熱バリア24を構成できる。
【0095】
頂部パネル熱バリア部材90を創出するために、頂部パネル58のサイズおよび形状とほぼ同様のサイズおよび形状を有するようにサイズ加工され、構成されたほぼ平面のパーティション部材38を得ることができる。次いでこのほぼ平面に配設されたパーティション部材38に、スカートパーティション部材を主要なパーティション部材に90度で固定でき、結果としてスカートパーティション部材は、蓋部材58のスカート62、66に隣接して配設され得る。
【0096】
次いでパーティション部材38内の種々のセルは、流動性熱吸収材料で充填され得る。
【0097】
操作中、流動性熱吸収ペーストは、コンテナ10の内部18内の火災によって生じた熱を吸収することによって、隣接するコンテナへの火災の伝搬に抵抗するのに役立つ。そういうものとして、コンテナ内の温度がリチウムバッテリの953度の閾値燃焼温度を超え得るとしても、コンテナ10の外部の温度は十分950度未満である。
【0098】
コンテナの内部18内において、1100度を十分超えて燃えているバッテリによって生じた強力な熱は、コンテナ10の内部18内の隣接バッテリを発火させる可能性がある。そういうものとして、単一バッテリの火災は、コンテナ10の内部18内の他のバッテリも同様に発火させる熱暴走を導き得る。この火災は、バッテリが爆発する場合特に、熱および圧力を放出する。上記で議論されたように、圧力は、コンテナの構成において形成されたガスが通過可能なギャップにより、または内部空間内の圧力が所定閾値を超える場合にガスを通過させる典型的な圧力放出バルブによってベントされる。
【0099】
コンテナ100の内部18内に発生した高い熱にもかかわらず、コンテナ10の外部環境Eは、輸送コンテナ10内の燃えているバッテリ14によって生じた熱を吸収できる熱吸収材料により、隣接コンテナのバッテリの所与の閾値燃焼値を超えて上昇しない。そういうものとして、熱吸収材料36によるこの熱ブロッキングは、コンテナ火災および過剰の熱を10の内部18内に有効に抑え込むように作用し、コンテナの外部環境Eが熱くなり過ぎるのを防止する。
【0100】
本発明の好ましい実施形態において、デバイス10は、コンテナの内部18内のリチウムバッテリが発火した場合に、コンテナの外部大気が隣接コンテナ中のリチウムバッテリの953度の燃焼閾値点を超えて上昇しないことを確実にするために、熱吸収材料の熱吸収能および熱ブロッキング能が十分であるように設計され得る。
【0101】
図2のセル80は構成において長方形で作成されるように示されているが、セルがパーティション部材に形成される方法に依存して、セル80は種々の形状をとることができることが理解される。
【0102】
熱バリアカバーリング材料28、32は、それらが発火した場合に、バリアパネル28、30の火災によって生じた熱がコンテナ10の環境Eの外部温度を相当上昇させ得るため、耐火性材料から製造されることが重要である。加えて、熱バリアパネル28、30が発火した場合、創出された火災からの熱はコンテナ構造パネル16が発火するのに十分であり得るので、隣接するコンテナに熱を近接させる。ほぼ間違いなく、この熱は、側のコンテナを発火させるのに十分強い可能性があるので、その中の側のバッテリを発火させて、さらなる熱暴走を生じる。
【0103】
コンテナ10の初期試験の間、火災を抑え込むコンテナ10の能力に関して、予測できない結果が得られた。リチウムイオンバッテリは約953°Fで発火し、燃焼中に1100°Fを超える温度に到達し得ることが報告されている。本明細書に開示されたコンテナ10の試験の間、1400°Fを超える火災が内部空隙18に導入され、火災が燃え尽きる間コンテナ10を20分、40分、60分間密封した。特に、燃えるのに酸素を必要としない道路作業用発煙筒を内部空隙18に導入した。
【0104】
試験が行われた後、材料28、32の耐火性層には焼け跡が残ったが、熱バリア24は、コンテナ10の外側パネル部材16の燃焼を防止できた。そういうものとして、火炎からの炎はすべて、コンテナ10の内部空隙内に含まれていた。故に、本明細書に開示されるコンテナ10は、内部空隙14内で発火したリチウムイオンバッテリの火災がコンテナ10を超えて広がるのを防止でき、それによってリチウムイオンバッテリ輸送の安全性を増大させる。
【0105】
代替実施形態の輸送コンテナ100を
図6〜9に示す。輸送コンテナ100は、スチーマートランクまたはアンプ、ドラムおよびその他の楽器を輸送する間に入れておくために路上演奏をするバンドが使用するタイプの輸送コンテナを幾分連想させる構成を有する。好ましくは、輸送コンテナ100は、軽量であるが、強い耐火性金属材料、例えばアルミニウムまたはチタンから製造される複数の構造パネルを含む。あるいは、パネルは、耐火性プラスチックから製造され得る。
【0106】
コンテナ100は、任意のサイズを有するように製造できるが、1つの最も好ましい実施形態において、コンテナは、水平面については正方形断面、および垂直面については長方形断面を有し、コンテナの幅および長さ(金属フィートまたは頂部部材は含まず)が約390センチメートルであり、高さは約265センチメートルである。
【0107】
代替実施形態のコンテナ100は、蓋105に取り外し可能に結合されたベース部材103を含む。蓋105は、ベース部材103から取り外し可能であり、結果として熱バリア(図示せず)および貨物、例えばバッテリ14の両方は、コンテナ100の中空内部(図示せず)内に配置され得る。
【0108】
コンテナ100が直方体であるので、それは、ほぼ正方形の構成であるベースパネル103と共に、ほぼ等しいサイズを有する4つの側部パネル106を含む。蓋105は、頂部パネル116および頂部パネル116に対してほぼ垂直に配設され、それらから下方に延びる4つのスカートパネル118を含む。リップ部材は、ベース部材側壁106の上方縁部と係合するようにスカートパネル部材の縁部に形成されてもよい。
図9に示されるように、スカートパネル部材は、側部パネルの上方部分とオーバーラップし、係合シール131は、側部パネル部材106の強化頂部縁部135を密封係合するために提供される。
【0109】
強化底部コーナー部材122は、底部パネル104と側部パネル106との交点に配置される。強化コーナー部材122はまた、特定のコンテナ100の床または下方コンテナのような残りの表面との安定な係合を提供するのに役立つ下方ディペンディングフィート124を含む。
【0110】
加えて、強化コーナー部材128は、頂部パネル116がスカート部材118と接するコーナーにおいて蓋に取り付けられる。好ましくは、
図8に示されるように、頂部コーナーパネル部材は、下方コンテナの蓋の上に上方コンテナをロックして移動を防止するのに役立つように、特定コンテナの頂部に配置されたコンテナのフィート124を受容するように設計された受容領域を含む。
【0111】
複数のラッチ部材136(ここでは4つとして示される)は、前方および後方側部パネル部材に結合され、蓋およびベースが接続された状態で、分離して離れるのを防止する様式で、蓋105をベース104に係合させるためにフック・アンド・ループのラッチ機構を含む。ラッチ部材136は、所望により、ロック可能に設計できる。
【0112】
第1および第2のハンドル140は、側部パネル部材上に配置され、コンテナ100を持ち上げ、運ぶのを容易にするためにハンドルを含む。圧力除去バルブ142は、コンテナ100の爆発を引き起こし得るタイプのコンテナ100の内部内での過圧状況を防止するために、コンテナ100の内部空隙と、コンテナが配設された環境Eとの間に延びるガス路を含むように提供される。圧力をベントすることによって、こうした爆発が回避できる。加えて、水中眼鏡145もコンテナ100上に提供される。
【0113】
操作中、コンテナ100は、他の図に示されるコンテナ10とほぼ同様に操作される。図面に示されないが、
図1に関連して示される熱バリア24と同様の熱バリアを、代替実施形態のコンテナ100内に配設できる。
【0114】
上記で記載された熱バリア24に使用される流動性ポリマー系熱吸収材料の説明を以下に示す。
【0115】
ポリマー系熱吸収材料
本発明のポリマー系熱吸収材料は、高吸水性ポリマー(SAP)を含む。SAPは、吸水性材料であり、それらの重量の約40〜約400倍の水を吸収できる。高吸水性ポリマーは、線状ポリマーの反応混合物に、線状分子間に2次元および/または3次元の結合を形成する架橋剤を添加することによって製造される。この架橋作用は、線状分子を不動態化するためである。それらの水に対する親和力は低下しないが、ここで水は架橋構造内に吸収されなければならない。ポリマー自体は実質的に燃焼を防止または消火せず、むしろ、そうでなければ燃焼表面から蒸発または流出する(その場合いずれも火災防止が無効化される)捕捉された水を隔離および不動態化する。
【0116】
1つの実施形態において、SAPは、液体エマルションとして、好ましくは油および水エマルションとして、より好ましくは水および鉱油エマルションとして配合される。こうしたエマルションは、それらが構成成分を均一に維持するので所望されるが、それらは、最終的に、撹拌なしでは所与の十分な時間で疎水性および親水性層に分離し得る。故に、エマルションを水含有ペーストに転化するのが有利であり、これは追加の水による高い剪断を用いても相分離し難い。さらに、鉱油とSAPとの架橋を誘導するようにエマルションを照射することが望ましい。これらのプロセスのパラメータを変動させることによって、得られる材料の粘度および分子量の両方をカスタマイズできる。こうした好ましい材料の例は、NOCHARのP215(商標)である。この実施形態において、材料は、鉱油に加えて他の架橋剤を含むことができることが理解される。
【0117】
次いで得られた水含有ペーストは、本明細書に記載されるボックスを隔離するために使用される。内部Liバッテリの火災の場合において、ペーストは、ペースト中の水の高い熱容量により、システムからの熱を有効におよび効率良く抽出するように機能する。結果、火災はボックス内に抑え込まれ、消火される。貨物状況において、これは、火災が隣接貨物に広がらず、最終的に車両自体に移動しないことを確実にする。
【0118】
高吸水性ポリマーの例としては、架橋ポリアクリレートおよびそれらの誘導体、例えばポリアクリルアミドおよびポリアクリレート塩(すなわち、ナトリウムポリアクリレートまたはカリウムポリアクリレート)、ポリアクリレート/ポリアクリルアミドコポリマー、およびデンプングラフト化ポリマーが挙げられる。ポリアクリレート塩、例えばナトリウムポリアクリレートまたはカリウムポリアクリレートは、それらの重量の約500倍以上の水を吸収できる。しかし、それらは塩であるので、それらの吸収能は、水中の不純物に大きく依存する。例えば、「硬水」またはカルシウムもしくはマグネシウムイオンの濃度が相対的に高い水は、イオンがポリマーと水との間の結合を乱すので、カリウムポリアクリレートの吸収能が低下する。ポリアクリルアミドは、硬水によって影響を受けないが、ポリアクリレート塩と同定度に高い吸収能を有していない。ポリアクリルアミドは、その重量の約20倍〜約400倍の水を吸収できることが知られている。しかし、その重量の100倍程度に低い水の吸収能であっても、ポリアクリルアミドは、依然として有効な難燃剤であるのに十分な水を吸収できる。
【0119】
他の実施形態において、高吸水性ポリマーは:アクリルアミド、アクリル酸誘導体、マレイン酸無水物、イタコン酸、2−ヒドロキシルエチルアクリレート、ポリエチレングリコールジメタクリレート、アリルメタクリレート、テトラエチレングリコールジメタクリレート、トリエチレングリコールジメタクリレート、ジエチレングリコールジメタクリレート、グリセロールジメタクリレート、ヒドロキシプロピルメタクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、2−tert−ブチルアミノエチルメタクリレート、ジメチルアミノプロピルメタクリルアミド、2−ジメチルアミノエチルメタクリレート、ヒドロキシプロピルアクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、および2−アクリルアミド−2メチルプロパンスルホン酸誘導体のような親水性モノマーのポリマーである(米国特許出願公開第2009/0069496号(2頁段落18−19)に記載)。高吸水性ポリマーはまた、アクリルアミドおよびアクリル酸誘導体のコポリマーあるいはアクリレート塩、アクリルアミドおよび2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸(AMPS)塩のターポリマーであることができる。塩は、一般に任意の一価塩、例えばナトリウム、カリウム、またはアンモニウム塩であってもよい。
【0120】
Berg et al.の米国特許第5,397,626号にはまた、好適な高吸水性ポリマーが記載されている(第6欄47行から第8欄53行を参照)。Berg et al.に開示されるように、SAPは、重合性の不飽和酸含有モノマー(少なくとも1つの炭素−炭素オレフィン性二重結合を含有するオレフィン性不飽和酸および無水物を含む)から調製された架橋ポリマーを含む。より詳細には、これらのモノマーは、オレフィン性不飽和カルボン酸および酸無水物、オレフィン性不飽和スルホン酸ならびにこれらの混合物が挙げられる。
【0121】
一部の非酸モノマーを、本明細書の前駆体粒子を調製するために使用してもよい。こうした非酸モノマーは、例えば酸含有モノマーならびにカルボキシルまたはスルホン酸基を全く含まないモノマーの水溶性または水分散性エステルを含むことができる。故に任意選択による非酸モノマーは、以下のタイプの官能基を含有するモノマーを含むことができる:カルボン酸またはスルホン酸エステル、ヒドロキシル基、アミド基、アミノ基、ニトリル基および四級アンモニウム塩基。これらの非酸モノマーは、周知の材料であり、例えば米国特許第4,076,663号および米国特許第4,062,817号にかなり詳細に記載されている。
【0122】
オレフィン性不飽和カルボン酸およびカルボン酸無水物モノマーとしては、アクリル酸自体、メタクリル酸、エタクリル酸、α−クロロアクリル酸、α−シアノアクリル酸、β−メチルアクリル酸(クロトン酸)、α−フェニルアクリル酸、β−アクリルオキシプロピオン酸、ソルビン酸、α−クロロソルビン酸、アンゲリカ酸、ケイ皮酸、p−クロロケイ皮酸、β−ステアリルアクリル酸、イタコン酸、シトラコン酸、メサコン酸、グルタコン酸、アコニット酸、マレイン酸、フマル酸、トリカルボキシエチレンおよびマレイン酸無水物に代表されるアクリル酸が挙げられる。
【0123】
本発明に使用するための一部の高吸水性ポリマー材料は、カルボキシル基を含む。これらのポリマーの例としては、加水分解されたデンプン−アクリロニトリルグラフトコポリマー、部分的に中和されたデンプン−アクリロニトリルグラフトコポリマー、デンプン−アクリル酸グラフトコポリマー、部分的に中和されたデンプン−アクリル酸グラフトコポリマー、ケン化されたビニルアセテート−アクリルエステルコポリマー、加水分解されたアクリロニトリルまたはアクリルアミドコポリマー、前述のコポリマーのいずれかの部分的に架橋された生成物、部分的または完全に中和されたポリアクリル酸、および部分的に中和されたポリアクリル酸の部分的に架橋された生成物が挙げられる。これらのポリマーは、独立にまたはこうしたモノマーの2つ以上の混合物から形成されたコポリマーの形態で使用されてもよい。
【0124】
一部の高吸水性ポリマー材料は、部分的に中和されたポリアクリル酸およびそれらからのデンプン誘導体の架橋生成物である。例えば、固体のSAP粒子は、約50%〜約95%、または約75%の中和された架橋ポリアクリル酸、例えばポリ(ナトリウムアクリレート/アクリル酸)を含むことができる。
【0125】
ポリマー材料は、ポリマーが水不溶性であるような程度に架橋される。架橋は、ポリマーが実質的に水不溶性であるようにするのに役立ち、部分的にはポリマーの吸収能を決定するのに役立つ。好適な架橋剤は、当該技術分野において既知であり、それらは、ポリアクリル酸および/またはポリアクリル酸の金属塩を、ポリマーのアクリルまたはアクリレート官能基と反応させることによって架橋できる二官能性または多官能性分子を含む。こうした架橋剤としては、ジグリシジルエーテル、ジアルコールおよびジアミンが挙げられる。一般に、架橋剤は、水溶性であるべきであり、ポリマーとの反応性を有し、こうして架橋は約50℃〜約150℃の温度範囲において制御された様式で生じる。好適な架橋剤としては、エチレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、および(ポリ)エチレングリコールのジグリシジルエーテルが挙げられる。1つのこうした試剤は、エチレングリコールジグリシジルエーテル(EGDGE)、水溶性ジグリシジルエーテルである。追加の架橋剤は、EPO450923A2(Nippon Shokubai Kagaku Kogyo Co.)に開示されている。
【0126】
Erdner et al.の米国特許第7,670,515号にはまた、好適な高吸水性ポリマーが記載されている(第4欄8行から第8欄61行)。Erdmer et al.に開示されるように、SAPは、一般にわずかに架橋された親水性ポリマーである(米国特許第5,669,894号および米国特許第5,559,335号に議論されるように)。SAPは、それらの化学的同一性が異なることがあるが、すべてのSAPは、中圧下であってもそれ自体の重量の何倍にも等しい水性流体の量を吸収および保持できる。例えば、SAPは、それ自体の重量の100倍以上の蒸留水を吸収できる。
【0127】
SAPは、種々の化学形態で利用可能であり、それらとしては置換および非置換の天然および合成ポリマー、例えばデンプンアクリロニトリルグラフトポリマーの加水分解生成物、カルボキシメチルセルロース、架橋ポリアクリレート、イソブチレンおよび無水マレイン酸の架橋および部分的に中和されたコポリマー、ビニルアセテート−アクリル酸コポリマーのケン化生成物、スルホン化ポリスチレン、加水分解されたポリアクリルアミド、ポリビニルアルコール、ポリエチレンオキシド、ポリビニルピロリドン、およびポリアクリロニトリルが挙げられる。
【0128】
SAPは、通常、少なくとも約25モル%、好ましくは少なくとも約50モル%、通常約70〜80モル%で中和され、最適な吸収性を達成する。中和は、モノマーの重合の前にアクリル酸モノマーを中和することによって達成でき、またはポリマーは、重合反応が実質的に完了した後に中和され得る。モノマーの重合および内部架橋、続く部分中和、例えば50〜100モル%の中和、好ましくは70〜80モル%の中和の後、ポリマーは細分化され、例えばより効率の良い乾燥のために寸断または切断され、次いで乾燥され、所望の粒径にミル加工される。次いでポリマーは、表面架橋され、再び乾燥されて、最終生成物に形成され得る。
【0129】
SAPは、酸性吸水性樹脂または塩基性吸水性樹脂であることができる。SAPの調製に有用なモノマーは、米国特許第5,149,750号および国際公開第01/68156号に開示され、それぞれが参照により本明細書に組み込まれる。一部の実施形態において、SAPは、約25%〜約100%で中和された酸性または塩基性吸水性樹脂を含む、すなわち約25〜約100の中和度(DN)を有する。
【0130】
SAPは、特性がアニオン性(酸性吸水性樹脂)またはカチオン性(塩基性吸水性樹脂)であることができる。アニオン性SAPは、酸性吸水性樹脂に基づく。アニオン性SAPは、強酸性または弱酸性のいずれかであり、その中和された形態でSAPとして作用する任意の樹脂であることができる。酸性樹脂は、通常、複数のカルボン酸、スルホン酸、ホスホン酸、リン酸、および/または硫酸分子を含有する。
【0131】
一部の実施形態において、SAPは、25%〜100%で中和された酸性吸水性樹脂である。酸性吸水性樹脂は、単一樹脂または樹脂の混合物であることができる。酸性樹脂は、ホモポリマーまたはコポリマーであることができる。酸性吸水性樹脂の同一性は、樹脂が、中和された形態である場合、その重量の少なくとも10倍の水を膨潤および吸収できる限り、制限されない。
【0132】
酸性吸水性樹脂は、通常、わずかに架橋されたアクリル樹脂、例えばわずかに架橋されたポリ(アクリル酸)である。わずかに架橋された酸性樹脂は、通常、アシル部分を含有する酸性モノマー、例えばアクリル酸または酸性基を提供できる部分を含有する酸性モノマー、すなわちアクリロニトリルを、内部架橋モノマー、すなわち多官能性有機化合物の存在下で重合することによって調製される。酸性樹脂は、ポリマーが、実質的に、すなわち少なくとも10%、少なくとも25%、少なくとも50%、少なくとも75%、または100%までの酸性モノマーユニットである限り当該技術分野において周知の他の共重合性ユニット、すなわち他のモノエチレン性不飽和コモノマーを含有できる。
【0133】
酸性吸水性樹脂に有用なエチレン性不飽和カルボン酸およびカルボン酸無水物モノマーとしては、アクリル酸自体、メタクリル酸、エタクリル酸、α−クロロアクリル酸、α−シアノアクリル酸、β−メチルアクリル酸(クロトン酸)、α−フェニルアクリル酸、β−アクリルオキシプロピオン酸、ソルビン酸、α−クロロソルビン酸、アンゲリカ酸、ケイ皮酸、p−クロロケイ皮酸、β−ステアリルアクリル酸、イタコン酸、シトラコン酸、メサコン酸、グルタコン酸、アコニット酸、マレイン酸、フマル酸、トリカルボキシエチレンおよび無水マレイン酸が挙げられる。アクリル酸は、SAPを調製するための1つのエチレン性不飽和カルボン酸である。
【0134】
エチレン性不飽和スルホン酸モノマーとしては、脂肪族および芳香族ビニルスルホン酸、例えばビニルスルホン酸、アリルスルホン酸、ビニルトルエンスルホン酸、スチレンスルホン酸、アクリルおよびメタクリルスルホン酸、例えばスルホエチルアクリレート、スルホエチルメタクリレート、スルホプロピルアクリレート、スルホプロピルメタクリレート、2−ヒドロキシ−3−メタクリルオキシプロピルスルホン酸、および2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸が挙げられる。ホスフェート含有酸性樹脂は、リン酸部分を含有するエチレン性不飽和モノマー、例えばメタクリルオキシエチルホスフェートをホモ重合または共重合することによって調製される、好適なSAP形成モノマーの広範囲のリストは、米国特許第4,076,663号に見出すことができる。
【0135】
アニオン性SAPは、例えばポリ(アクリル酸)、加水分解されたデンプン−アクリロニトリルグラフトコポリマー、デンプン−アクリル酸グラフトコポリマー、ケン化ビニルアセテート−アクリルエステルコポリマー、加水分解されたアクリロニトリルコポリマー、加水分解されたアクリルアミドコポリマー、エチレン−無水マレイン酸コポリマー、イソブチレン−無水マレイン酸コポリマー、ポリ(ビニルスルホン酸)、ポリ(ビニル−ホスホン酸)、ポリ(ビニルリン酸)、ポリ(ビニル硫酸)、スルホン化ポリスチレン、およびこれらの混合物であることができる。1つのアニオン性SAPはポリ(アクリル酸)である。
【0136】
酸性モノマーおよび存在する場合は共重合性モノマーの重合は、最も一般的には、多官能性内部架橋モノマーの存在下、フリーラジカルプロセスによって行われる。酸性樹脂は、ポリマーが水不溶性であるのに十分な程度まで架橋される。架橋は、酸性樹脂が実質的に水不溶性であるようにして、部分的には樹脂の吸収能を決定するのに役立つ。吸収用途に使用するために、酸性樹脂は、わずかに架橋される、すなわち約20%未満、約10%未満、または約0.01%〜約7%の架橋密度を有する。内部架橋モノマーは、モノマーの総重量に基づいて、約7重量%未満、通常約0.1重量%〜約5重量%の量で使用できる。
【0137】
内部架橋モノマーの例としては、これらに限定されないが、以下の式(I)によって表されるポリアクリル(またはポリメタクリル)酸エステル
【化1】
【0138】
式中、xはエチレン、プロピレン、トリメチレン、シクロヘキシル、ヘキサメチレン、2−ヒドロキシプロピレン、−(CH
2CH
2O)
nCH
2CH
2−または
【化2】
【0139】
式中、nおよびmは、独立に、5〜40の整数であり、kは1または2である;および以下の式(II)によって表されるビスアクリルアミドが挙げられる。
【0140】
CH
2=CH−C(=O)−NH(CH
2CH
2NH)
1C(=O)−CH=CH
2(II)
式中、Iは2または3である。
【0141】
式(I)の化合物は、ポリオール、例えばエチレングリコール、プロピレングリコール、トリメチロールプロパン、1,6−ヘキサンジオール、グリセリン、ペンタエリスリトール、ポリエチレングリコール、またはポリプロピレングリコールをアクリル酸またはメタクリル酸と反応させることによって調製される。式(II)の化合物は、ポリアルキレンポリアミン、例えばジエチレントリアミンおよびトリエチレンテトラミンをアクリル酸と反応させることによって得られる。特定の架橋モノマーは、米国特許第6,222,091号に開示される。架橋剤の例は、ペンタエリスリトールトリアリルエーテル、ペンタエリスリトールトリアクリレート、N,N’−メチレンビスアクリルアミド、N,N’−メチレンビスメタクリルアミド、エチレングリコールジメタクリレート、およびトリメチロールプロパントリアクリレートである。
【0142】
酸性樹脂と同様に、塩基性吸水性樹脂、すなわち本SAP−粘土粒子に有用なカチオン性SAPは、強または弱塩基性吸水性樹脂であることができる。塩基性吸水性樹脂は単一樹脂または樹脂の混合物であることができる。塩基性樹脂は、ホモポリマーまたはコポリマーであることができる。塩基性樹脂の同一性は、塩基性樹脂が、帯電形態である場合、その重量の少なくとも10倍の水を膨潤および吸収できる限り、制限されない。弱塩基性樹脂はカチオン性形態で存在できる、すなわち約25%〜100%の塩基性部分、例えばアミノ基が帯電形態で存在する。強塩基性樹脂は、通常、水酸化物(OH)または重炭酸塩(HCO
3)形態で存在する。
【0143】
塩基性吸水性樹脂は、通常、わずかに架橋された樹脂、例えばポリ(ビニルアミン)またはポリ(ジアルキルアミノアルキル(メタ)アクリルアミド)である。塩基性樹脂はまた、例えばわずかに架橋されたポリエチレンイミン、ポリ(アリルアミン)、ポリ(アリルグアニジン)、ポリ(ジメチルジアリルアンモニウム水酸化物)、四級化ポリスチレン誘導体、グアニジン−変性ポリスチレン、四級化ポリ((メタ)アクリルアミド)またはエステル類縁体であることができる。米国特許第6,235,965号を参照。わずかに架橋された塩基性吸水性樹脂は、他の共重合性ユニットを含有でき、酸性吸水性樹脂に対して上記で示されるような内部架橋モノマーを用いて架橋される。塩基性樹脂の例としては、ポリ(ビニルアミン)、ポリエチレンアミン、ポリ(ビニルグアニジン)、ポリ(ジメチルアミノエチルアクリルアミド)(ポリ(DAEA))、およびポリ(ジメチルアミノプロピルメタクリルアミド)(ポリ−(DMAPMA))が挙げられる。
【0144】
本SAPに使用される塩基性吸水性樹脂は通常、アミノまたはグアニジノ基を含有する。従って、水溶性塩基性樹脂はまた、水性またはアルコール性媒体中に未架橋塩基性樹脂を懸濁または溶解し、次いで塩基性樹脂のアミノ基との反応によって塩基性樹脂を架橋できる二官能性または多官能性化合物を添加することによって溶液中で架橋できる。こうした架橋剤は、米国特許第6,235,965号に開示される。架橋剤はまた、米国特許第5,085,787号およびEP450923に開示される。架橋剤の例は、エチレングリコールジグリシジルエーテル(EGDGE)、水溶性ジグリシジルエーテル、およびジブロモアルカン、アルコール−可溶性化合物である。
【0145】
酸性樹脂または塩基性樹脂に導入するための共重合性モノマーとしては、これらに限定されないが、エチレン、プロピレン、イソブチレン、C
1−4アルキルアクリレートおよびメタクリレート、ビニルアセテート、メチルビニルエーテル、および以下の式を有するスチレン性化合物が挙げられる;
【化3】
【0146】
式中、Rは水素またはC
1−6アルキル基であり、フェニル環は1〜4個のC
1−4アルキルまたはヒドロキシ基で置換されてもよい。
【0147】
好適なC
1−4アルキルアクリレートとしては、メチルアクリレート、エチルアクリレート、イソプロピルアクリレート、n−プロピルアクリレート、n−ブチルアクリレートなど、およびこれらの混合物が挙げられるが、これらに限定されない。好適なC
1−4アルキルメタクリレートとしては、メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、イソプロピルメタクリレート、n−プロピルメタクリレート、n−ブチルメタクリレートなど、およびこれらの混合物またはC
1−4アルキルアクリレートとの混合物が挙げられるが、これらに限定されない。好適なスチレン性化合物としては、スチレン、α−メチルスチレン、p−メチルスチレン、t−ブチルスチレンなど、およびこれらの混合物またはC
1−4アルキルアクリレートおよび/またはメタクリレートとの混合物が挙げられるが、これらに限定されない。
【0148】
SAPを調製する際に使用することが既知の任意の重合開始剤が使用できる。有用な開始剤の例は、レドックスおよび熱開始剤、例えば米国特許第6,359,049号に開示されるものである。レドックスおよび熱開始剤は、単独または好適な組み合わせで使用できる。特定の開始剤は、過硫酸アンモニウムおよび硫酸水素ナトリウムを含むレドックス開始剤、アゾ開始剤、例えばアゾビスイソブチロニトリルおよび2,2’−アゾビス(2−アミジノプロパン)ジヒドロクロリド(商品名V−50として、Wako Chemicals U.S.A.,Inc.,Richmond,Virginiaから市販されている)である。開始剤は、通常、アクリル酸モノマーの重量に基づいて約0.1%〜約10%の固形分として、またはモノマーの重量に基づいて約0.5%〜約5%の固形分として計算される量で使用される。開始剤の量および種類に基づいて、開始剤は、イソプロピルアルコール、アルキルメルカプタン、またはポリ(アクリル酸)の分子量を制御するための他の連鎖移動剤と共に使用されてもよい。
【0149】
紫外(UV)光を、アクリル酸の重合を行うために使用することもできる。UV光は、レドックス開始剤および/またはフリーラジカル開始剤と組み合わせて使用できる。UV光は、重合工程に利用され、光開始剤はまた、当業者に周知の量で反応混合物に添加される。好適な光開始剤としては、2−ヒドロキシ−1−[4−(ヒドロキシエチオキシ(hydroxyethyoxy))フェニル]−2−メチル−1−プロパノン(これはCiba Additives of Hawthorne,N.Y.,からIRGACURE2959として市販されている)、および2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−1−プロパノン(これもCiba AdditivesからDAROCUR1173として市販されている)が挙げられるが、これらに限定されない。
【0150】
SAP構成成分を調製するのに有用な産業プロセスとしては、例えば「Modern Superabsorbent Polymer Technology,」(第3章)F.L.Buchholz and A.T.Graham,Wiley−VCH(1998)に記載されるように、SAPを合成するためにカスタム使用されるすべてのプロセスが挙げられる。アクリル酸を重合するのに好適なプロセスは、水溶液重合であり、ここでアクリル酸および重合開始剤を含有する水溶液を、重合反応および内部架橋モノマー、例えばメチレンビスアクリルアミドの添加による架橋反応に供する。
【0151】
種々の実施形態が、構成成分の特定の特徴および/または組み合わせを有するように記載されたが、他の実施形態も、上記で議論されたような実施形態のいずれかからのいずれかの特徴および/または構成成分の組み合わせを有するように可能である。本明細書に使用される場合、単数形(「a」、「an」)および「この(the)」は文脈において特に明確に示されない限り、複数の指示対象を含む。
【0152】
本発明が、図面および前述の説明において詳細に示され、説明されたが、これは特徴における限定ではなく例として見なされるべきであり、本発明の趣旨内で行われるすべての変化および変更が保護されると所望されることが理解される。