(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記トランスデューサ又は各トランスデューサが、複数の電極を有し、前記モードコントローラが、異なる周波数及び波タイプの超音波を生成するために、前記トランスデューサの電極の異なる組を選択するように動作可能である、請求項1に記載のシステム。
前記モードコントローラが、特定の周波数の波の波長に依存する距離で離間した電極の組を選択することにより前記トランスデューサを前記特定の周波数で動作させるように構成するように配置されている、請求項1〜3のいずれか一項に記載のシステム。
前記モードコントローラが、200kHz〜4MHzの範囲、例えば2.5MHz以上の範囲の周波数を有する波を作成するように前記発生器及び前記トランスデューサを構成するように動作可能である、請求項1〜4のいずれか一項に記載のシステム。
前記モードコントローラが、100kHz〜1MHzの範囲の周波数を有する波を作成するように前記発生器及び前記トランスデューサを構成するように動作可能である、請求項1〜6のいずれか一項に記載のシステム。
前記モードコントローラが、複数の前記選択された周波数及び波タイプのうちの異なる複数の周波数及び波タイプで連続して動作するように前記トランスデューサ及び前記発生器を構成するように動作可能である、請求項1〜7のいずれか一項に記載のシステム。
前記モードコントローラが、前記発生器及び前記トランスデューサを1つの構成から別の構成に、それらの構成間の時間遅延を伴って変更するように動作可能である、請求項8に記載のシステム。
【発明を実施するための形態】
【0012】
図1は、工作機械の操作者を保護するために工作機械で使用する収容部の部品XXを示す。収容部は、窓を備える。窓は、シート状の透明材料である。この透明材料は、以下の例ではガラスであり、この例ではシート状の強化ガラスである。窓は、操作者が工作機械によって実行される切削作業を検査することを可能にする。切削液を窓から除去することが必要である。本発明の例に基づく切削液の液滴の窓からの除去は、超音波を使用して、窓の表面の液滴を振動させること、推進させること、及び/又は微粒化することの1つ又は複数を含む。切削液の液滴を窓から除去する例示的な装置は、ガラス窓に固定された1つ又は複数の圧電トランスデューサと、窓に超音波を適用するようにトランスデューサを操作する回路とを備える。以下の説明では、トランスデューサ(複数可)のさまざまな動作モードについて説明する。1つ又は複数のモードが使用され得る。除去装置の使用のいくつかの例では、それらのモードの1つのみが使用される。
【0013】
図1の工作機械窓は強化ガラスからなるが、代替で、窓は、ガラスの最上位層と最下位層との間に挟まれた積層を含み得る。たとえば、積層は、焼鈍しガラスの2つの層の間で圧縮されたポリビニルブチラール(PVB)積層であり得る。
【0014】
「超音波」又は「超音波で」という用語は、超音波周波数を有する波を示すために使用される。超音波周波数は、概ね100キロヘルツ(kHz)〜50メガヘルツ(MHz)の範囲内又はそれよりも高い周波数を有すると考えられる。超音波は、信号発生器に取り付けられたトランスデューサから放出される。発生器は、超音波周波数の電気信号をトランスデューサに提供するように構成された信号発生器であり得る。トランスデューサは、発生器からの超音波信号に基づいて超音波を生成するために駆動されるように配置される。
【0015】
本明細書で説明されるいくつかの例では、トランスデューサは、100kHz〜4MHzの周波数範囲内の周波数又はそれより高い周波数を放出することができるように構成される。窓の清掃は、1つ又は複数のトランスデューサを使用して実現される。
【0016】
本明細書で説明される1つ又は複数のトランスデューサのそれぞれは、複数の電極を備える。各トランスデューサの電極は、各電極が他の電極から独立して操作され得るように構成される。よって、トランスデューサは、実現可能な超音波周波数の範囲内の周波数で動作するように構成され得る。周波数の選択は、信号発生器でその周波数の電気信号を生成し、その信号をその固有周波数に概ね対応するように選択された間隔を有する1つ又は複数の電極の「組」に適用することにより、実現される。本説明を通じて頻繁に使用される「1つの」又は「単一の」周波数という用語は、トランスデューサから放出される中心周波数又は主周波数に関するものとして解釈されるべきである。なぜなら、中心周波数の周囲の帯域幅を有する周波数帯域が放出されるからである。
【0017】
超音波の波タイプは選択され得る。周波数と波タイプとの組み合わせは、動作モードと呼ばれる。異なる波タイプの例として、表面音響波、レイリー波、ラム波、及び板波がある。特定の周波数範囲は好ましい波タイプを有し得、その逆も然りである。たとえば、レイリー波は、約2.5MHzを超える高い周波数で生成され得る。ラム波は、約1〜2.5MHzの中間的な周波数で生成され得る。板波は、約1MHz未満の低い周波数で生成され得る。
【0018】
本明細書で説明される1つ又は複数のトランスデューサは、1つ又は複数のトランスデューサから放出される超音波の周波数及び/又は波タイプを選択する機能を提供する。各トランスデューサの動作モードは、動的に選択され得る。動作モードは、トランスデューサの動作周波数と波タイプとの組み合わせに関する。したがって、各トランスデューサは「マルチモード」トランスデューサである。
【0019】
いくつかの例について、添付の図面を参照しながら以下に説明する。図面の組で特定の特徴について使用されている同じ参照番号は、同じ特徴を示す。
【0020】
トランスデューサの各電極は、各電極の独立した動作を実現するために、信号発生器に個別に接続され得る。接続及び送電される電極を個別に選択することで、トランスデューサの選択された周波数又は動作周波数を動的に制御することが可能となる。たとえば、電極は、個別又はグループで接続され得、一部の電極は、まったく接続されないことがあり得る。たとえば、トランスデューサの電極が1つおきに信号発生器に接続されて、1つおきの電極が操作され(アクティブ)、他の電極が操作されない(非アクティブ)ことがあり得る。よって、トランスデューサの所望の動作周波数は、トランスデューサの動作モードの選択に基づいて、すなわち、動作のために選択された電極の組と周波数発生器の動作周波数とに基づいて、実現され得る。窓は、選択された動作モードでトランスデューサから放出される超音波により、すなわち、その動作モードの所望の周波数若しくは複数の周波数及び/又は波タイプで、清掃される。
【0021】
図2Aは、複数の電極210を有するトランスデューサ200を示す。各電極は、後ほど
図9A及び
図9Bを参照して説明するように、周波数発生器及びスイッチング回路への電気接続を提供する独自のコネクタを有する。遮蔽帯板230は、電極210を接地板250から電気的に分離する。トランスデューサの圧電層240は、ジルコン酸チタン酸鉛(PZT)材料、又は水晶結晶等の他の任意の適切な圧電材料であり得る。電極210は、圧電層に沿って延びる電極「指」の物理的外観を有し得る。圧電層の電極指と反対の側にある、さらなる電極は、接地250に電気的に接続される。
【0022】
図2Bは、
図2Aを参照して説明したトランスデューサの側面図を示す。さらなる電極260が、接地250に電気的に接続されたものとして示されている。トランスデューサが操作されると、信号発生器が要求された周波数の信号を、その周波数に対して選択された電極の組に適用し、電極が圧電層に取り付けられることで、トランスデューサが超音波を放出する。超音波は、電極指に対して垂直な方向、たとえば、矢印270により示される方向で放出される。
【0023】
トランスデューサは、トランスデューサを窓の表面に取り付けることにより、窓に取り付けられ得る。
図1の工作機械窓の例では、トランスデューサ(複数可)は、収容部の内側で、すなわち、窓の切削液で濡れる側で、窓に取り付けられる。窓の表面へのトランスデューサの取り付けは、トランスデューサを窓の表面に化学結合させるか、又は物理的に固定することにより、実現され得る。エポキシ樹脂等の適切な結合剤が市販されている可能性がある。結合剤を使用すると、トランスデューサと窓の表面との間に結合層が形成される。この結合層は、たとえば真空下で用意されることで、薄く、厚さが均一で、気泡を含まないようになり得る。トランスデューサは、その電極が窓の表面を向く状態で窓に取り付けられ得るか、又は、その電極が窓の表面から離れる方向を向くように取り付けられ得る。電極が窓を向くようにすると、窓に適用される波エネルギーは増加するが、電極への電気的な接続を設けることが難しくなる。
【0024】
トランスデューサの動作モードの例について以下に説明する。本明細書で説明される例では、トランスデューサは、200kHz〜4MHzの範囲又はそれ以上の周波数より選択される任意の1つの周波数で動作するように構成され得る。周波数は、信号発生器により作成される電気信号の選択された周波数と、トランスデューサの電極の特定の組の選択とに基づいて、選択することができる。たとえば、いくつかの例では、約220kHz、約570kHz、約1.39MHz、約2MHz、又は約3.1MHzのいずれか1つの周波数より選択される周波数に対して、電極の組が構成され得る。これらの値の前後の周波数、たとえば、220kHz+/−50kHz、570kHz+/−50kHz、1.39MHz+/−100kHz、2MHz+/−100kHz、又は3.1MHz+/−100kHzが使用され得る。
【0025】
これらの例示的周波数のそれぞれの選択について、後ほど
図4A、
図4B、
図5A、
図5B、
図6A、及び
図6Bを参照しながら説明する。本明細書で説明される、電極の異なる組の使用に基づいて選択され得る周波数は、いかなる意味でも限定的と考えられるべきではないことに留意する必要がある。なぜなら、任意の周波数を選択可能にすることが想定されるからである。周波数の範囲内の任意の1つの周波数を選択することは、所定の周波数選択に対して製作及び構成されたトランスデューサに基づいて、可能とされるべきである。これにより、電極の異なる組の動作により、本明細書に記載された方法に基づいて動作周波数を選択することが可能となる。ただし、本発明は、本明細書に記載された選択可能な周波数のみに限定されるわけではない。
【0026】
図3A〜
図3Cは、動作時に1つ又は複数のトランスデューサから超音波で放出され得る、異なる波タイプの例を示している。
【0027】
図3Aの例では、トランスデューサ300は、エポキシ樹脂等の結合層320により、窓310の表面に結合されている。切削液の液滴330は、窓の表面に存在し得る。トランスデューサは、窓の表面のみを通って伝搬する超音波を放出するように駆動され得る。この例の超音波は、レイリー波340等の表面音響波である。トランスデューサから放出されるレイリー波は、約2.5MHzを超える高い周波数で生成され得る。レイリー波は、窓の表面に沿って、切削液の液滴に向かって伝搬する。この超音波は窓の表面に結合されているため、切削液の液滴(複数可)に到達したときに、超音波が切削液の液滴を「発見」し、超音波から切削液の液滴にエネルギーが伝達されて窓の表面から切削液の液滴を除去する。周波数の高い超音波は、周波数の低い超音波よりも、多くのエネルギーを持つ。超音波の高いエネルギーを、高い周波数により、切削液の液滴(複数可)に効率的に伝達することで、窓の表面の切削液の液滴(複数可)の微粒化が実現される。この例では、切削液の液滴は、微粒化又は推進の過程により除去され得る。切削液の液滴は、微粒化されて窓の表面から部分的又は完全に取り除かれ得る。部分的に微粒化された場合、切削液の残りの液滴は、推進又は振動のさらなる過程により除去され得る。たとえば、切削液の液滴を窓の表面に沿って進ませて、窓を通じたクリアな視界を邪魔する位置から切削液の液滴を移動させることができる。
図3A及び
図3Bの上記説明は、説明を簡単にするために、レイリー波とラム波とが異なる周波数で存在すると想定している。ただし、これらの波は共存する。高い周波数ではレイリー波が優勢であり、低い周波数ではラム波が優勢である。周波数が低周波数から増えるにつれ、波タイプはラム波からレイリー波に漸進的に変化する。
【0028】
図3Bの例では、トランスデューサから放出される超音波は、ラム波である。ラム波は、窓の表面に沿って伝搬する。この例でトランスデューサから放出されるラム波は、約1〜2.5MHzの周波数を有し得る。トランスデューサが取り付けられた窓の表面に沿って伝搬するラム波350は、窓の反対側の表面に沿って伝搬するラム波360よりも大きい振幅を有し得る。窓の両表面で伝搬するラム波350、360は、同相であるか、又は位相が異なる可能性がある。たとえば、これらのラム波は、対称波又は非対称波であり得る。トランスデューサの表面でラム波350に伝えられるエネルギーは、窓の反対側の表面でラム波360に伝えられるエネルギーよりも多い。よって、トランスデューサから放出された超音波エネルギーのほとんどは、切削液の液滴が存在し得る窓の表面を通じて伝搬し得る。この例では、切削液の液滴は、窓の表面に沿って切削液の液滴を進ませることにより取り除かれ得る。ラム波350から切削液の液滴に十分なエネルギーが伝達された場合、液滴の微粒化を介して切削液の液滴を除去することが可能であり得る。
【0029】
図3Cの例では、トランスデューサから放出される超音波は板波である。この例でトランスデューサから放出される板波の周波数は、約1MHz未満の比較的低い周波数を有し得る。板波370は、主に窓の本体を通って移動する。低い周波数を有する板波は、高い周波数を有する超音波よりもエネルギーが少なく、よって窓の表面の切削液の液滴を振動させるだけであり得る。窓の表面の切削液の液滴の振動により、切削液の個別の液滴が合併して組み合わされ、比較的大きい液滴を形成し得る。
【0030】
図1の工作機械窓は、垂直に、又は垂直からわずかな角度で傾斜して、取り付けられる。よって、本発明の例では、液滴の推進及び振動は、重力に支援されて下方に作用するように構成される。推進のみ、若しくは振動のみ、又は推進と振動との組み合わせは、微粒化なしで窓から液滴を除去するのに十分であり得る。
【0031】
図3A〜
図3Cの例は、窓の表面に取り付けられた1つのトランスデューサのみを示しているが、任意の数のトランスデューサが窓の表面に取り付けられ得る。1つ又は複数のトランスデューサが、窓の縁の近傍又は窓の周辺領域に結合され得る。
【0032】
カットオフ周波数が存在し、周波数がそれ以上高くなると超音波のエネルギーが高くなるために微粒化を実現できることを理解する必要がある。カットオフ周波数よりも下では、超音波は微粒化のための十分なエネルギーを持っていない可能性があるが、切削液の液滴(複数可)を窓の表面に沿って進ませるための十分なエネルギーは持っている可能性がある。さらに、それ以下では切削液の液滴(複数可)の推進が実現できないが、切削液の液滴(複数可)の振動は可能であるという、別のカットオフ周波数も存在する。微粒化、推進、又は振動のカットオフ周波数は、切削液の液滴(複数可)のサイズ及び/又は構成に依存し得る。例として、窓の表面の切削液の液滴について考える。液滴が小さいほど、(表面積対体積の比率が小さくなる大きい液滴に比べて)表面積対体積の比率が大きくなり、よって液滴が小さくなるほど、表面張力は大きくなる。したがって、小さい液滴ほど、表面張力を克服して推進又は微粒化を発生させ得るために、(高い超音波周波数による)多くのエネルギーを必要とする。すなわち、小さい液滴を微粒化及び取り除くには、微粒化を発生させるためのエネルギーが少なくて済む大きい液滴に比べて、高い超音波周波数が必要となり得る。
【0033】
窓の表面は、たとえば液体付着物と窓の表面との間の表面張力を変更させるオプションの被覆を適用することにより、処理され得る。工作機械窓は、切削液をはじく傾向がある被覆により被覆されているのが好ましい。たとえば、被覆は表面張力を軽減する。水をベースとする切削液の場合、疎水性の被覆が使用され得る。被覆は、摩耗への耐性を有することが好ましい。そのような、切削液をはじく傾向があり、且つ摩耗への耐性を有する被覆は、既知である。
【0034】
説明したように、各トランスデューサの電極は、各電極が他の電極から独立して操作され得るように構成される。周波数及び/又は波タイプの選択は、電極の異なる「組」の動作により実現される。たとえば、電極の異なる組み合わせが選択的に操作され得、一部の電極が、オプションで動作し得ない。電極が動作用に選択された場合、選択された電極と接地との間に、周波数発生器からの信号が適用される。残りの電極は、電気的に浮遊し得る。例として、電極の半分のみが操作される場合、「組」は、利用可能な全電極のうちの動作している半分のみを含む。後述するように、浮遊する電極は、180度位相シフトした信号を周波数発生器から受信し得る。
【0035】
図4A及び
図4Bは、窓の表面の切削液の液滴の微粒化を実現するための、トランスデューサの電極の組の例示的な動作モード又は構成を示す。これらの例では、構成により、トランスデューサが表面音響波又はレイリー波を放出する。これらの電極構成でトランスデューサから放出される超音波は、約2.5MHzを超える周波数を有し得る。
【0036】
図4Aの例では、トランスデューサ400は、複数の電極405、410を備える。これらの電極は、PTZ材料等の圧電層415に隣接する。圧電層の電極405、410の反対側は、接地425に電気的に接続される、さらなる電極420である。動作中に、一部の電極405は信号発生器に接続され、他の電極410は信号発生器に接続されない可能性がある。接続されている電極410の組は、2.5MHzを超える周波数を有する超音波を生成するように操作され得る。
【0037】
トランスデューサ内の特定の物理パラメータは、所定の属性を有するように選択的に製造又は製作され得る。たとえば、電極は、トランスデューサが所定又は選択された周波数で動作するように設計され得る。たとえば、各電極の幅と、連続する電極間の間隙又は空間は、特定の周波数が依存し得る設計パラメータである。トランスデューサの電極は、電極の異なる組の動作により、トランスデューサが所定の周波数で超音波を放出するように設計され得る。たとえば、
図4Aに示されているトランスデューサは、28個の独立した電極を備えている。
図4Aに示されている28個の電極405、410のそれぞれは、0.4ミリメートル(mm)の幅と、電極間の0.1mmの電極間隙又は間隔とを有し得る。約3.1MHzの周波数を有する波を生成するために、28個の電極410のうち、1つおきの14個の電極の組が信号発生器に接続されて約3.1MHzの周波数を有する信号を受信する。
【0038】
図4Bは、(
図4Aと同様に記載された)トランスデューサ400を示す。このトランスデューサ400では、電極410が第1の周波数及び位相の信号を受信し、介在する電極405が、同周波数だが電極410と比べて180度位相シフトした信号を受信する。この構成により、隣接する電極410、405の間に電界430を設定することができる。これにより、追加の電界でトランスデューサの圧電層をよりアクティブにし、トランスデューサの変位を高める、すなわち、振幅がより大きい超音波を放出させることができる。この構成により、トランスデューサの動作効率が向上し得、及び/又は窓の表面の切削液の液滴に伝達されるエネルギーが向上し得る。
【0039】
図4C〜
図4Eの例は、
図3Aを参照しながら説明した例に対応する。トランスデューサ400は、結合層435により、窓440の表面に結合される。トランスデューサは、
図4A及び
図4Bに記載されたトランスデューサであり得、2.5MHzを超える周波数を有する超音波を放出し得る。
図4C〜
図4Eに示された例で動作時にトランスデューサから放出される超音波は、表面音響波又はレイリー波である。トランスデューサから放出された超音波445は、窓の表面に結び付き、窓の表面に沿って伝搬する。窓の表面に存在する切削液の液滴450に、窓の表面を伝搬する超音波が遭遇し得る。液滴に当たると、超音波のエネルギーが液滴に伝達される。このエネルギー伝達は、モード変換に基づき得る。モード変換は、低い周波数よりも高い周波数のほうが強力であり得る。モード変換は、超音波等の機械的な波が、窓の表面の切削液の液滴等の物質に結び付き、縦波455が物質に伝えられる、エネルギー伝達過程である。そのため、切削液の液滴に入射する超音波の振幅は、エネルギーが伝達されるにつれ減少する。物質に伝えられた縦波は、物質の内面に圧力460を加えて、物質をその物質が存在する窓の表面に沿って進ませるか、又は物質を微粒化させる効果を有する。
【0040】
図4Dは、窓の表面の切削液の液滴が完全に微粒化465された例を示している。したがって、窓は清掃される。窓は、切削液の液滴の微粒化によって清掃される。
【0041】
工作機械窓は積層化されている可能性があるが、それは本発明にとって必須ではない。
図4Eは、トランスデューサが積層窓に取り付けられた例を示している。トランスデューサは、窓の周辺領域又は縁で窓に取り付けられ得る。トランスデューサは、窓を囲むゴム製シールの下で、視界から隠され得る。積層窓は、ガラスの最上位層440と最下位層475との間に挟まれた積層470を備え得る。窓の表面に取り付けられた1つ又は複数のトランスデューサの動作時に、ガラスの最上位層440の表面480のみを通って伝搬する超音波を放出するように構成され得る。この例では、超音波は実質的にガラスの最上位層のみを通って伝搬するため、積層を通って伝搬しない。これは、超音波の大幅な吸収を生じさせ得る積層に対して超音波のエネルギーが「失われる」ことがなくなるため、有益である。表面音響波のみを放出するようにトランスデューサを構成すると、積層での減衰が防止されるために窓の清掃効率が向上するという利点がある。
【0042】
上述した
図4C〜
図4Eは、約2.5MHzよりも高い周波数を放出することができるトランスデューサに関連して説明されている。放出される高い周波数は、窓の表面の切削液の液滴の微粒化を介して窓を清掃するレイリー波などの表面音響波を生成し得る。以下では、異なる電極構成のための、トランスデューサの他の例示的な動作モードについて説明する。
【0043】
図5A及び
図5Bは、窓の表面の切削液の液滴の推進を実現するためのトランスデューサの電極の組の例示的な動作モード又は構成を示す。これらの例では、電極構成により、トランスデューサが約1〜2.5MHzの範囲の周波数を有し得る波を放出する。トランスデューサから放出される超音波は、ラム波であり得る。
【0044】
図5A及び
図5Bは、トランスデューサ500の異なる例示的動作モードを示す。
図5A及び
図5Bはそれぞれ、異なる電極構成に関する。トランスデューサ500は、複数の電極505、510を備える。電極は、圧電層515上にある。圧電層の電極505、510と反対の側は、接地電極である。動作中に、一部の電極505は、信号発生器に接続され得ず、他の電極510は、信号発生器に接続されて、選択された周波数の信号を受信する。接続された電極510の組は、約1〜2.5MHzの範囲の周波数の信号を受信し、同周波数の超音波を生成するように操作される。
図5A及び
図5Bの電極510の組の電極は、この範囲の固有周波数を有するように離間されている。
【0045】
図5A及び
図5Bの例に示されたトランスデューサは、28個の独立した電極を備える。28個の電極505、510のそれぞれは、0.4ミリメートル(mm)の幅と、電極間の0.1mmの電極間隙又は間隔とを有し得る。
図5Aの例では、信号発生器に接続された電極510の組は、10個の電極を備え、接続された各電極の間で残りの電極の対が未接続のままとなる。この電極構成又は動作モードは、約2MHzの周波数を有する超音波を生成するために使用され得る。
図5Bの例に示されたトランスデューサも、28個の独立した電極を同様に備える。図示された電極は、全体として、圧電層に沿った連続する対で信号発生器に接続されている(圧電層の各端部にある電極を除く)。この電極構成又は動作モードは、約1.39MHzの周波数を有する超音波を生成するために使用され得る。
図5A及び
図5Bで浮遊している電極は、選択された周波数ではあるが電極510に比べて180°位相シフトした信号を代替で受信し得る。
【0046】
図5C及び
図5Dの例は、
図3Bを参照しながら説明した例に対応する。トランスデューサ500は、結合層530により、窓535の表面に結合される。トランスデューサは、
図5A及び
図5Bに記載されたトランスデューサであり得、約1〜2.5MHzの範囲の周波数を有する超音波を放出し得る。
図5C及び
図5Dに示された例で動作中にトランスデューサから放出される超音波は、主としてラム波である。トランスデューサから放出された超音波540、545は、窓の表面に沿って伝搬する。超音波は、窓の表面に取り付けられる。窓の表面に存在する切削液の液滴550に、トランスデューサが取り付けられた窓の表面に沿って伝搬する超音波が遭遇し得る。
図5Cは、切削液の液滴を通って伝搬する超音波を示している。切削液の液滴内で、超音波のエネルギーが、たとえばモード変換により、切削液の液滴に伝達される。縦波555が、切削液の液滴に伝えられる。物質に伝えられた縦波は、圧力560を物質の内面に与える効果を有する。
【0047】
図5Dは、切削液の液滴に入射した超音波の効果を示す。切削液の液滴に入射した超音波は、窓の表面に沿って物質を進ませる。推進方向565は、超音波が伝搬する方向と同じであり得る。切削液の液滴が窓の表面に沿って進められると、切削液の液滴の形状が変化し得る。たとえば、切削液の液滴は、窓の表面に対して異なる接触角を有し得る後端570及び前縁575を有し得る。たとえば、後端570は、前縁575に比べて、窓の表面に対する接触角が大きくなり得る。切削液の液滴を窓の表面に沿って進ませる機能により、窓を清掃する580ことができる。
【0048】
切削液の液滴が表面に沿って進むと、窓の表面に対する後端の接触角の変化により、切削液の液滴に対する超音波のカップリング効果が変化し得る。したがって、推進が始まったら、切削液の液滴の推進を維持するために、トランスデューサの動作モードを変更して放出される超音波の周波数を修正することが必要になり得る。
【0049】
以下では、異なる電極構成についてのトランスデューサの他の例示的な動作モードについて説明する。
【0050】
図6A及び
図6Bは、窓の表面の切削液の液滴を振動させるための、トランスデューサの電極の組の例示的な動作モード又は構成を示している。これらの例では、電極構成により、トランスデューサが約1MHz未満又は200kHz〜1MHzの周波数を有する超音波を放出し得る。これらの電極構成でトランスデューサから放出される超音波は、主として板波又は振動波であり得る。
【0051】
図6A及び
図6Bは、トランスデューサ600の異なる動作モードを示している。
図6A及び
図6Bはそれぞれ、異なる電極構成に関する。トランスデューサ600は、複数の電極605、610を備える。電極は、圧電層615に隣接して位置する。圧電層の電極605、610と反対の側は、接地625に電気的に接続された接地電極620である。動作中に、一部の電極605は信号発生器に接続され得ず、他の電極610は、信号発生器に接続され得る。電極610の組は、200kHz〜約1MHzの範囲の周波数の信号を受信し、同周波数の超音波を生成するように接続される。
図5A及び
図5Bの電極510の組の電極は、この範囲の固有周波数を提供するように離間されている。
【0052】
図6A及び
図6Bの例に示されたトランスデューサは、28個の独立した電極を備える。28個の電極605、610のそれぞれは、0.4ミリメートル(mm)の幅と、電極間の0.1mmの電極間隙又は間隔とを有し得る。
図6Aの例では、信号発生器に接続された電極610の組は、18個の電極を備え、これらは、630、635、640、645、650、655、660でそれぞれ示されているように、「接続4個/ミス4個/接続5個/ミス2個/接続5個/ミス4個/接続4個」の電極の電極群で接続される。この電極構成又は動作モードは、約570kHzの周波数を有する超音波を生成するために使用され得る。同様に、
図5Bの例に示されたトランスデューサは、28個の独立した電極を備え、信号発生器に接続された電極610の組が、18個の電極を備える。図示された電極は、665、670、675でそれぞれ示されているように、圧電層に沿って「接続8個/ミス12個/接続8個」の電極の電極群で接続される。この電極構成又は動作モードは、約220kHzの周波数を有する超音波を生成するために使用され得る。
【0053】
図6C及び
図6Dの例は、
図3Cを参照しながら説明した例に対応する。トランスデューサ600は、結合層により、窓の表面に結合される。トランスデューサは、
図6A及び
図6Bに記載されたトランスデューサであり得、約1MHz未満の範囲の周波数を有する超音波を放出するように駆動され得る。
図6C及び
図6Dに示された例で動作時にトランスデューサから放出される超音波は、板波である。トランスデューサから放出された超音波680は、窓の本体を通って伝搬する。これは、窓の共振条件に関連する可能性がある。これにより、窓が振動する。
【0054】
図6Cの例では、切削液の液滴685が窓の表面に存在するものとして示されている。窓の振動により、切削液の液滴と窓の表面との間の表面張力を克服することが可能となる。よって、振動している窓の表面の切削液の液滴は、符号690に示すように、窓の表面から「撥ね飛ばされる」か、又は「はじかれる」。したがって、切削液の液滴(複数可)は窓の表面を離れ、超音波が窓を清掃する。さらに、窓の表面の上の気流695が、窓の清掃を補助し得る。これは、切削液の液滴(複数可)を窓の表面からさらに遠くへ移動させ、それによって切削液の液滴(複数可)が振動する表面に戻る可能性を減らすことにより実現され得る。
【0055】
図4〜
図6で説明した例示的な動作モードは、信号発生器に電気的に接続されている電極の異なる構成に基づいて、及び発生器により作成される信号の異なる周波数に基づいて、トランスデューサ(複数可)から放出される超音波の周波数及び波タイプを制御するために使用され得る。トランスデューサの1つ又は複数の動作モードを使用して窓を清掃する例示的な方法を次に説明する。
【0056】
図7は、トランスデューサの1つ又は複数の選択された動作モードを使用して窓を清掃する方法750を概説する例示的な流れ図である。ブロック710で、動作モード又は動作モードのシーケンスが選択される。窓を清掃するために、1つの動作モードを選択するか、又は複数の動作モードのシーケンスを選択することが可能である。トランスデューサの動作モードはトランスデューサの信号発生器にアクティブに接続されている電極の構成に基づくため、システムの例では、単一のトランスデューサについて、一度に1つの動作モードのみが操作され得る。したがって、窓の清掃(780)のために複数の動作モードが必要な場合、動作モードを逐次的に選択しなければならない。
【0057】
たとえば、2つの動作モードを使用して窓の表面から切削液の液滴を除去する場合、選択される第1の動作モードは、トランスデューサが約3.1MHzの周波数を有する超音波を放出するように構成されるものであり得、選択される第2の動作モードは、約2MHzの周波数を有する超音波を放出するようにトランスデューサを構成するものであり得る。この例で、トランスデューサの2つの動作モードは、最初に約3.1MHzで超音波を放出し、次に約2MHzで超音波を放出するようにトランスデューサを構成するために、切り替えられ得る。他の例示的な周波数を使用して、低い周波数で液滴の振動を開始し、その後高い周波数で液滴を推進又は微粒化させることもできる。
【0058】
図7に記載された窓の清掃方法では、トランスデューサから放出される超音波の周波数及び波タイプ(すなわち、モード)を動的に制御又は選択することができる。トランスデューサの動作周波数の動的な選択により、異なる周波数の超音波を制御された態様でトランスデューサから放出して、窓の表面全体に、又はオプションで窓の本体を通って、伝搬させることができる。本明細書で上述した電極構成の多数の異なる組み合わせに基づいて、単一のトランスデューサで複数の動作モードを利用することができる。
【0059】
動作モードは、各動作モードの選択の間に設定時間遅延を置いて、逐次的に選択され得る。たとえば、連続する動作モード間の時間遅延は、5マイクロ秒であり得る。すなわち、トランスデューサ(複数可)から放出される超音波の周波数と、電極の組とは、5マイクロ秒ごとに変更され得る。5マイクロ秒の時間遅延は一例に過ぎない。たとえば、1〜10マイクロ秒の範囲など、数マイクロ秒単位の他の時間遅延も使用され得る。遅延は、液滴に対する1つのモードの結果が、次のモードが液滴に適用されたときに依然として有効であるようにするために、選択され得る。
【0060】
検出760と、動作モード(複数可)の選択716とは、手動又は自動であり得る。たとえば、工作機械の操作者は、窓の表面の切削液の液滴の視覚的な観察に基づいて、トランスデューサの動作モードを手動で選択することができる。代替で、液滴の存在を自動的に検出するように、検出システムを構成することができる。検出が自動的に行われる場合、送信機として機能する第1のトランスデューサと、受信機として機能する第2のトランスデューサの、少なくとも2つのトランスデューサが必要である。信号発生器と、液滴の除去に使用される1つ若しくは複数のトランスデューサとが、送信機として使用され得、又は、追加の独立したトランスデューサが、除去信号発生器若しくは追加の信号発生器とともに使用され得る。液滴の検出は、受信機で検出される、送信機が放出した超音波に基づき得る。この超音波は、窓の表面に液滴が存在しない状態に対応する、「既定の」振幅又は信号強度を有する。第2のトランスデューサで受信された信号の強度が、既定の信号強度から変化している場合、窓の表面に液滴が存在することを示している可能性がある。液滴が窓の表面に存在する場合、伝搬する超音波から液滴にエネルギーが伝達され得る。そのため、超音波は減衰する可能性があり、超音波が第2のトランスデューサである受信機に到達したときに、信号強度が既定の値よりも下がる。これにより、窓の表面に液滴が存在することが検出される。減衰のレベルは、窓の表面の切削液の液滴の量、又は液滴のタイプを示し得る。検出された液滴の量は、上述したように窓を清掃するための動作モードを自動的に選択するために使用され得る。
【0061】
図8は、分散810を、ガラス基板(すなわち、窓)での超音波の位相速度820の関数としてモデル化したグラフ800である。この情報は、各波タイプが窓の表面に存在する切削液の液滴に与える影響を判断するのに有益である。縦軸は、位相速度を毎秒メートル(m/s)の単位で表し、横軸は、厚さ3mmのガラス基板の分散(Hz×10
6)すなわち周波数と等価である、厚さ3mmのガラスでの周波数をMHz単位で表す。
【0062】
図8の例では、モデル化された超音波はラム波だが、このグラフは、板波やレイリー波などの他の波タイムにも概ね当てはまり得る。モデル化されたガラス基板は、厚さ3mmである。これは、概ね車両の窓、又は積層前面窓のガラスの最上位層の厚さである。バルクガラスを通って伝搬する超音波の位相速度は、反対称ラム波については5654m/s、対称ラム波については3391m/sである。窓などの薄いシート状ガラス又はガラス基板の場合、波はバルクガラスの場合と異なる動作をする可能性があり、表面結合又は板波動作を示す可能性がある。グラフは、ガラス基板を通って伝搬する際に超音波の位相速度又は速さが周波数とともにどのように変化するのかを表している。
【0063】
図8は、放出される超音波が、一次波(第1モード)830、835、二次波(第2モード)840、845、三次波(第3モード)850、855、又はそれ以上の高次波であり得ることを示している。
図8に示されているように、超音波は、ラム波であり、反対称波又は対称波、すなわち、異なる位相又は同相であり得る。反対称波の位相速度は、830、840、及び850により示されている。対称波の位相速度は、835、845、及び855により示されている。本明細書に記載されたトランスデューサ(複数可)の異なる構成について放出される超音波の周波数が、反対称波の一次モード(830)についての位相速度対分散の関係で、860A、865A、870、及び875により示されている。570kHzの「板」波の位相速度は、860Aにより示されている。約1.5MHzのラム波の位相速度は、865Aにより示されている。それよりも高い周波数の「レイリー」波の位相速度は、870及び875により示されている。分散の値が小さい場合、すなわち、板波の場合では、トランスデューサの変位は大きくなる。なぜなら、小さい分散値のために放出される超音波は、長い波長を有するからである。放出された超音波のグラフの点線880、885、890、895を横切る部分の波長(l)は、それぞれl=10mm、l=4.9mm、l=2.16mm、l=1.55mmである。
【0064】
たとえば、第1モード反対称波860Aについての570kHzの「板」波は、波長が10mmであり、二次反対称波860B(周波数がわずかに高くシフト)も波長が10mmである。見てわかるように、一次波860Aの約2000m/sという位相速度は、二次波の約8000m/sという位相速度よりも遅い。
【0065】
例として、波長がそれぞれ2.16mm及び1.55mmと短い高周波数の超音波870、875は、典型的な水滴の直径(数mm)に近い波長を有する。よって、これらの波は、強いモード変換に起因して水滴を微粒化するのにより適している。これに対し、波長が10mmと長い低周波数の超音波860Aは、きわめて弱いモード変換(存在する場合)を有し、水滴を微粒化するのには適していないが、水滴を単純に振動させるには適している可能性がある。もちろん、微粒化と振動との間に位置する、周波数の「中間的な」組も存在する。これらの周波数は、低周波数のきわめて弱いモード変換と、高周波数の強力なモード変換との間の、一定のレベルのモード変換を生み出す。このグラフは、窓から水滴又は切削液を除去するのに最も適した周波数を特定するのに役立つ。
【0066】
マルチモードトランスデューサ(複数可)と関連する回路の例示的な実装を、
図9A及び
図9Bを参照しながら本明細書で説明する。
【0067】
図9Aを参照すると、複数のうちの1つであり得るトランスデューサが、たとえば
図2に示されているように、圧電基板上の複数の電極210を備えている。各電極210は、コネクタ960によって、スイッチ回路940の複数のバイナリスイッチ941の対応する1つに接続されている。すべてのスイッチは、周波数発生器925の出力926に接続されている。モードコントローラ930は、周波数発生器と、スイッチ回路とを制御する。モードコントローラは、スイッチ941に適用される出力信号の周波数を制御する。また、モードコントローラは、導電性のあるスイッチと、導電性のないスイッチとを選択し、それによって出力信号を受信する電極210の組を選択する。モードコントローラは、たとえば、スイッチの制御入力942にバイナリ信号を適用することにより、スイッチを制御する。周波数と、出力信号を受信するように選択された電極の組との組み合わせにより、交換機の選択された動作モードが上述したように画定される。
【0068】
図9Bは、
図9Aで浮遊している電極211が、周波数発生器の180度位相シフトされた出力信号926を受信する点で、
図9Aと異なる。この目的のために、周波数発生器は、さらなる出力926+180と、追加のスイッチ回路940−とを有する。追加のスイッチ回路940−は、モードコントローラ930の制御の下で、他の電極211を選択する。モードコントローラ930は、追加のスイッチ回路940−を制御するための追加の制御ポート943を有する。よって、
図9Bのシステムは、トランスデューサの任意の電極を選択して、信号926又は180度シフトした信号926を受信することができる。
【0069】
周波数発生器は、パルス発生器をさらに含み得る。パルス発生器は、所望のマーク対スペース比で出力信号926をオン及びオフでパルス化して、トランスデューサの加熱を軽減する。出力信号926のパルス化は、コントローラ930により制御され得る。パルス化は、センサTにより測定されるトランスデューサの温度に依存して制御され得る。
【0070】
モードの選択は、
図7を参照しながら上述したように、工作機械の操作者等の操作者により手動で行われ得る。
【0071】
モードの選択は、
図7を参照しながら上述したように、窓にある切削液の量を検出する検出器970を使用して自動で行われ得る。
【0072】
図10A及び
図10Bは、工作機械に設置された本発明の清掃装置を概略的に示している。
【0073】
図10Aの例は、工作機械窓1030を備える保護収容部Hを有する工作機械1000を示している。
図10Bは、収容部の内側で窓の周辺領域に取り付けられた複数のトランスデューサ1010を示している。トランスデューサは、窓の表面に取り付けられ窓の表面全体に伝搬する超音波1020を放出するように駆動される。この例での伝搬方向は、トランスデューサの電極に対して垂直な方向である。窓の表面の液滴1040は、本明細書に記載された方法、たとえば、振動、推進、及び/又は微粒化により、除去され得る。トランスデューサは、超音波が窓の表面全体に伝搬し得るように、窓の縁に沿って線形の態様で配置され得る。トランスデューサの取り付け位置により、窓の表面の任意の領域から液滴を除去することができる。トランスデューサは、工作機械の操作者にとって、窓を通した視界を遮らないように、窓に取り付けられる。図示された例では、トランスデューサは、窓の最上部に取り付けられる。トランスデューサは、窓の周辺の別の位置にも配置され得る。
【0074】
図10Bは、送信機として機能する、窓に取り付けられた複数のトランスデューサ1010の1つ又は複数と、受信機として機能する、1つ又は複数のさらなるトランスデューサ1070とを例として示す。窓に沿って伝搬する超音波1020が、トランスデューサ(複数可)1070により送信及び受信される。これにより、切削液の存在が検出され得る。よって、本明細書で上述したように、液滴が窓から自動的に除去される。本明細書で上述した例は、窓の表面から切削液の液滴(複数可)を除去する堅牢な方法を提供する。複数の電極を有するトランスデューサと、電極及び動作周波数の異なる組み合わせの選択とを組み合わせることで、幅広い動作モードを選択することが可能となる。モードは、自動的に選択され得る。本明細書に記載された例では、単一のトランスデューサが、5つの異なる周波数で超音波を個別に放出するように、動的に構成され得る。ただし、ほかにも多くの周波数が追加又は代替で選択され得ることが理解される。
【0075】
動作モードの選択により、トランスデューサから放出される超音波エネルギーのほとんどが、切削液の液滴が存在している可能性がある窓の表面を通って伝搬するモードを選択することが可能となる。これにより、窓の表面を清掃するために液滴を効率的に取り除くことが可能となる。
【0076】
本発明の上述した例は、回転ディスクよりもはるかに大きい窓の使用を可能にする。これらの例は、回転ディスクと異なり、機械的に可動する部品を持たない。
【0077】
本発明の上述した例は、窓が固定されるため(すなわち、窓が回転しないため)、工作機械の収容部に窓をより単純に封止させることができる。
【0078】
窓は、任意の適切な形状にすることができる。
【0079】
装置は、振動又は推進など、単一の動作モードでのみ動作するように設定され得る。代替で、装置は、連続して使用される振動及び推進等の2つの動作モードで動作するように設定され得る。
【0080】
以上の説明は、説明される原則の例を明示及び説明するために提示された。この説明は、開示された任意の形式そのものに対して網羅的であること、又はそのような形式にこれらの原則を限定することを意図されたものではない。上記の教示に鑑み、多数の変更及び変形が可能である。