(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記撮像素子が、CCD(Charge Coupled Device)、またはCMOS(Complementary MOS)イメージセンサであることを特徴とする請求項1または2記載の撮像装置。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明について、例を挙げて詳細に説明する。ただし、本発明は、以下の説明により限定されない。なお、以下の
図1〜2において、同一部分には、同一符号を付し、その説明を省略する場合がある。また、図面においては、説明の便宜上、各部の構造は適宜簡略化して示す場合があり、各部の寸法比等は、実際とは異なり、模式的に示す場合がある。
【0017】
[実施形態1]
図1は、本発明の撮像装置の構成の一例を示す模式図である。図示のとおり、この撮像装置は、撮像素子11、レンズ12および発光素子13を含む。レンズ12は、撮像素子11と発光素子13との間に挟まれるように配置されている。これにより、発光素子13の側からレンズ12に入射した光を、レンズ12を通して撮像素子11に入射させることが可能である。
【0018】
図1の撮像装置を用いた撮像は、例えば、以下のようにして行うことができる。すなわち、まず、発光素子13により、撮像対象物14に光を照射する。前記照射光は、撮像対象物14により反射され、反射された照射光16は、発光素子13を通してレンズ12に入射し、さらにレンズ12を通して撮像素子11に入射する。このとき、発光素子13からは、撮像対象物14と反対側(すなわち、レンズ12および撮像素子11が存在する側)にも光が照射される。この光(直接入射光)15は、撮像対象物14により反射されず、直接レンズ12に入射し、さらにレンズ12を通して撮像素子11に入射する。
【0019】
撮像素子11は、入射光を感知して画像データを生成する。このとき、画像データ補正手段(図示せず)が、ソフトウェア(プログラム)により直接入射光15を前記画像データから差し引く(キャンセルする)ことにより、前記画像データを補正する。この補正後の画像データを画像として出力する。この補正により、前記画像データから直接入射光15の影響を低減し、高コントラストな画像を得ることができる。
【0020】
撮像素子11は、特に限定されないが、例えば、CCDやCMOSなどの撮像素子が挙げられる。
【0021】
レンズ12は、レンズとしての機能を有していれば、特に限定されない。本発明の撮像素子において、光の利用効率等の観点から、例えば
図1の撮像装置のように、レンズを用いることが好ましい。
【0022】
また、本発明の撮像装置において、撮像素子、レンズおよび発光素子の配置は、特に限定されない。しかし、例えば
図1に示すように、撮像素子11から見て、レンズ12および発光素子13を同じ側(同一方向)に配置することが好ましい。これにより、例えば筒の底など、照明光が入りにくい部分にも照明(光照射)しやすい。また、一般的に、レンズと撮像対象物の距離が非常に近い状態で撮影(撮像)を行う場合(デジタルカメラの接写モードなど)、外光を十分に得ることができず、自発光する撮像対象物以外、鮮明な画像を得ることが困難である。本発明では、例えば、発光素子13(光源)を、薄い透明有機EL光源とし、前記透明有機EL光源越しに撮像対象物14を撮影(撮像)することにより、前記問題を解決できる。
【0023】
前記画像データの補正方法は、特に限定されないが、例えば、前記発光素子の、前記撮像素子側(レンズ側)への発光特性をあらかじめ測定しておき、その値を、ソフトウェア(プログラム)を用いてキャンセルする(前記画像データから差し引く)ことにより行うことができる。
【0024】
前記画像データのノイズとなる前記直接照射光をキャンセルするためのスキームは、より具体的には、例えば、下記(1)〜(4)のとおり行うことができる。
(1) まず、顕微鏡を撮像素子として用い、光をほとんど反射しない黒い板(理想的には、反射率0)をリファレンスとしてステージに置く。このリファレンスを撮像対象物として、本発明の撮像装置における前記発光素子により光照射し、撮像する。
(2) 前記(1)によれば、撮像対象物(リファレンス)である前記黒い板は、光をほとんど反射しないため、撮像対象物が反射した照射光は0とみなすことができる。すなわち、前記発光素子から前記撮像素子に直接入射する光(直接入射光)のみを測定することができる。
(3) 前記測定で得た光量を、直接入射光の光量としてソフトウェア(プログラム)に記憶させておく。
(4) 実際の撮影(撮像)時には、前記(3)で記憶させた直接入射光の光量をキャンセルする(画像データから差し引く)ことにより、前記画像データを補正する。
【0025】
なお、前記(1)〜(4)において、前記発光素子からの照射光の強さ(明るさ)を変えた場合、撮像素子(顕微鏡)側への直接入射光の光量も増える。このため、必要に応じ、前記(1)〜(3)において、前記照射光の強さ(明るさ)を変化させて何点か前記直接入射項の光量を測定し、記憶させておくことが好ましい。
【0026】
また、本発明の撮像素子において、前記発光素子は、有機EL素子が好ましい。また、前記有機EL素子は、撮像対象物側に照射される光量が多くなるように光学設計されていることがより好ましい。前記有機EL素子は、例えば、下記構成Aまたは構成Bをとることが可能である。なお、「ITO」は、酸化インジウムスズ(Indium Tin Oxide)を意味する。また、下記構成Aおよび構成Bのいずれも、基板ガラス側に撮像対象物を置き、基板ガラス側に発せられる光を前記撮像対象物に照射することが好ましい。
[構成A]
基板ガラス/透明電極(ITO等)/有機層/鏡面電極(Al等)/空気/封止ガラス
[構成B]
基板ガラス/透明電極(ITO等)/有機層/透明電極(ITO等)/空気/封止ガラス
【0027】
図2に、本発明の撮像素子に用いる有機EL素子の構成の一例について、より具体的に示す。
図2(A)は、平面図である。
図2(B)は、
図2(A)のA−A’方向に見た断面図である。
図2(C)は、
図2(A)のB−B’方向に見た断面図である。図示のとおり、この有機EL素子13は、基板ガラス21、封止ガラス22、第1の電極23、有機層24、第2の電極25、高屈折率層26、反射防止膜27〜29を含む。基板ガラス21の片面には、封止ガラス22、第1の電極23、有機層24、第2の電極25、および高屈折率層26が、前記順序で積層されている。有機層24は、第1の電極23および第2の電極25に挟まれ、前記両電極と電気的に接続されている。基板ガラス21の、第1の電極23、有機層24、第2の電極25、および高屈折率層26が積層された側には、封止ガラス22がかぶせられている。第1の電極23、有機層24、第2の電極25、高屈折率層26は、基板ガラス21および封止ガラス22に挟まれた空間内に封止されている。この空間内には、封止ガラス22に接し、かつ高屈折率層26と対向するように、反射防止膜27が配置されている。また、第1の電極23および第2の電極25は、それぞれ、両端が、封止ガラス22の外部に突出し、前記突出した部分で、外部配線等に電気的に接続可能である。第1の電極23および第2の電極25は、互いに直接接触しないようになっており、それぞれの長手方向(前記両端が封止ガラス22から突出している方向)は、互いに直交している。基板ガラス21の、第1の電極23、有機層24、第2の電極25、および高屈折率層26が積層された側と反対側には、反射防止膜28が配置されている。封止ガラス22の、反射防止膜27と反対側(外側)には、反射防止膜29が配置されている。なお、
図2(A)の平面図では、図示の簡略化のため、反射防止膜27〜29は、図示を省略している。
図2の有機EL素子13は、基板ガラス21側に撮像対象物を置き、基板ガラス21側への発光を前記撮像対象物により反射させて撮像する。
【0028】
第1の電極23は、例えば、透明電極等でも良い。第2の電極25は、鏡面電極(Al等)でも良いし、例えば、透明電極等でも良い。前記透明電極の材料は、特に限定されないが、例えば、ITO、ZnO、IZO(登録商標、インジウム−亜鉛酸化物)、IGZO(インジウム−ガリウム−亜鉛酸化物)、GZO(ガリウム−亜鉛酸化物)、SnO
2等から形成された透明導電性薄膜が挙げられる。また、第1の電極23および第2の電極25は、どちらを陽極とし、どちらを陰極としても良い。
【0029】
有機層24は、発光層を含む以外は特に限定されず、例えば、一般的な有機EL素子における有機層と同様でもよい。有機層24は、例えば、有機エレクトロルミネッセンス物質を含む発光層を含み、前記発光層を挟むように正孔輸送層および電子輸送層を含み、さらに、正孔輸送層および電子輸送層を挟むように正孔注入層および電子注入層等を含んでいてもよい。また、有機層24は、例えば、さらに、正孔または電子をブロックし発光効率を高めるキャリアブロック層を含んでもよい。有機層24は、例えば、第1の電極23側から、正孔注入層、正孔輸送層、発光層、電子輸送層、電子注入層が、前記順序で積層された積層体であってもよい。
【0030】
前記正孔注入層は、第1の電極23から有機層24へ注入される正孔に対する注入障壁の高さを下げると共に、前記陽極と前記正孔輸送層とのエネルギーレベルの相違を緩和し、前記陽極から注入される正孔が前記正孔輸送層へ容易に注入されるように設けられる層である。前記正孔注入層は、正孔注入層材料から形成される。前記正孔注入層材料は、例えば、正孔注入性有機材料等があげられ、具体的には、例えば、銅フタロシアニン、スターバースト型芳香族アミン等のアリールアミン誘導体等があげられる。また、前記正孔注入性有機材料は、例えば、さらに、注入障壁を下げ、駆動電圧を低下させるために、五酸化バナジウム、三酸化モリブデン等の無機物、または、F4−TCNQ等の有機物を化学ドーピングしたものでもよい。
【0031】
前記正孔輸送層は、正孔輸送層材料から形成されることが好ましい。前記正孔輸送層材料は、前記発光層への正孔の移動率を高めるため、適度なイオン化ポテンシャルを有し、同時に、前記発光層からの電子の漏洩を阻止する電子親和力を有する材料である。具体的には、例えば、トリフェニルジアミン類、スターバースト型芳香族アミン等があげられる。前記トリフェニルジアミン類は、例えば、ビス(ジ(p−トリル)アミノフェニル)−1,1−シクロヘキサン、4,4’−ビス(m−トリルフェニルアミノ)ビフェニル(TPD)、N,N’−ジフェニル−N−N−ビス(1−ナフチル)−1,1’−ビフェニル)−4,4’−ジアミン(α−NPD)等があげられる。
【0032】
前記発光層は、電極から注入された電子と正孔とを再結合させ、蛍光、燐光等を発光させる層である。前記発光層は、発光材料を含む。前記発光材料は、例えば、トリス(8−キノリノール)アルミニウム錯体(Alq
3)、ビスジフェニルビニルビフェニル(BDPVBi)、1,3−ビス(p−t−ブチルフェニル−1,3,4−オキサジアゾールイル)フェニル(OXD−7)、N,N’−ビス(2,5−ジ−t−ブチルフェニル)ペリレンテトラカルボン酸ジイミド(BPPC)、1,4ビス(N−p−トリル−N−4−(4−メチルスチリル)フェニルアミノ)ナフタレン等の低分子化合物、または、ポリフェニレンビニレン系ポリマー等の高分子化合物等があげられる。
【0033】
また、前記発光材料は、例えば、ホストとドーパントとの二成分系からなり、ホスト分子で生成した励起状態のエネルギーがドーパント分子へ移動してドーパント分子が発光する材料でもよい。このような発光材料は、例えば、前述の発光材料、後述の電子輸送層材料、前記正孔輸送層材料があげられる。具体的には、例えば、ホストのAlq
3等のキノリノール金属錯体に、ドーパントの4−ジシアノメチレン−2−メチル−6−(p−ジメチルアミノスチリル)−4H−ピラン(DCM)、2,3−キナクリドン等のキナクリドン誘導体、もしくは、3−(2’−ベンゾチアゾール)−7−ジエチルアミノクマリン等のクマリン誘導体をドープしたもの、ホストの電子輸送性材料であるビス(2−メチル−8−ヒドロキシキノリン)−4−フェニルフェノール−アルミニウム錯体に、ドーパントのペリレン等の縮合多環芳香族をドープしたもの、または、ホストの正孔輸送層材料である4,4’−ビス(m−トリルフェニルアミノ)ビフェニル(TPD)に、ドーパントのルブレン等をドープしたもの、ホストの4,4’−ビスカルバゾリルビフェニル(CBP)、4,4’−ビス(9−カルバゾリル)−2,2’−ジメチルビフェニル(CDBP)等のカルバゾール化合物に、ドーパントの白金錯体、トリス−(2フェリニルピリジン)イリジウム(Ir(ppy)
3)、ビス(4,6−ジ−フルオロフェニル)−ピリジネート−N,C2)イリジウム(ピコリネート)(FIr(pic))、ビス(2−2’−ベンゾチエニル)−ピリジネート−N,C3イリジウム(アセチルアセトネート)(Btp
2Ir(acac))、トリス−(ピコリネート)イリジウム(Ir(pic)
3)、ビス(2−フェニルベンゾチオゾラト−N,C2)イリジウム(アセチルアセトネート)(Bt
2Ir(acac))等のイリジウム錯体をドープしたもの等があげられる。
【0034】
前述の発光材料は、例えば、有機EL照明パネルの目的とする発光色に応じて、適宜選択できる。具体的には、例えば、緑色発光の場合、ホストとしてAlq
3、ドーパントとしてキナクドリン、クマリン等、または、ホストとしてCBP、ドーパントとしてIr(ppy)
3等、青色発光の場合、ホストとして4,4’−ビス(2,2−ジフェニルエテニル)−1,1’−ビフェニル(DPVBi)、ドーパントとしてペリレン、ジスチリルアリーレン誘導体等、または、ホストとしてCBP、ドーパントとしてFIr(pic)等、緑〜青緑色発光の場合、ホストとしてAlq
3、ドーパントとしてOXD−7等、赤〜オレンジ色発光の場合、ホストとしてAlq
3、ドーパントとしてDCM、4−(ジシアノメチレン)−2−t−ブチル−6−(1,1,7,7−テトラメチルユロリジル−9−エニル)−4H−ピラン(DCJTB)、または、ホストとしてCBP、ドーパントとしてIr(pic)
3等、黄色発光の場合、ホストとしてAlq
3、ドーパントとしてルブレン、または、ホストとしてCBP、ドーパントとしてBt
2Ir(acac)等を選択できる。
【0035】
白色発光の前記発光層は、例えば、赤色、緑色、青色を発光する発光材料をそれぞれ含有する三層積層構造の層があげられる。この他にも、青色および黄色等、補色を発光する発光材料をそれぞれ含有する二層積層構造の層、これら各色の発光材料を多元共蒸着等で層を形成することにより、これらの発光材料が混在する一層構造の層等があげられる。さらに、前述の三層積層構造の層または二層積層構造の層における各色層を構成する発光材料を、例えば、順次、赤色、青色、緑色等の微細な画素を平面的に配列して形成した層を、白色発光の前記発光層とすることもできる。
【0036】
前記電子輸送層は、電子輸送層材料から形成されることが好ましい。前記電子輸送層材料は、前記発光層への電子の移動率を高めるため、適度なイオン化ポテンシャルを有し、同時に、前記発光層から正孔が漏洩するのを阻止する電子親和力を有する材料である。具体的には、例えば、2−(4−ビフェニリル)−5−(4−t−ブチルフェニル)−1,3,4−オキサジアゾール(Bu−PBD)、OXD−7等のオキサジアゾール誘導体、トリアゾール誘導体、キノリノール系の金属錯体等の有機材料等があげられる。また、前記電子輸送層材料は、例えば、前記有機材料にリチウム等アルカリ金属のような電子供与性物質を化学ドーピングしたものでもよい。
【0037】
前記電子注入層は、例えば、陰極の形成に用いられるアルミニウム等の金属材料の仕事関数と、前記電子輸送層の電子親和力(LUMO準位)とのエネルギー差が大きいことに起因して、前記陰極から前記電子輸送層への電子の注入が困難になるのを緩和するために設けられる。前記電子注入層は、電子注入層材料から形成されることが好ましい。前記電子注入層材料は、仕事関数の小さい材料があげられ、具体的には、例えば、リチウム、セシウム等のアルカリ金属もしくはカルシウム等のアルカリ土類金属の、フッ化物もしくは酸化物、または、マグネシウム銀やリチウムアルミニウム合金等があげられる。
【0038】
前記キャリアブロック層は、例えば、正孔ブロック層があげられる。前記正孔ブロック層は、前記発光層内で発光に寄与しないで通過する正孔をブロックし、前記発光層内での再結合確率を高めるために、前記発光層と前記電子輸送層との間に設けられる。前記正孔ブロック層の形成材料は、例えば、2,9−ジメチル−4,7−ジフェニル−1,10−フェナントロリン(BCP)、トリフェニルジアミン誘導体、トリアゾール誘導体等があげられる。
【0039】
有機層24の厚みは、特に制限されず、例えば、有機層24を構成する各層の厚みは、1〜500nmの範囲であり、前記各層の合計厚みは、例えば、100〜1000nmの範囲である。
【0040】
高屈折率層26の材質は、特に限定されないが、例えば、ITOよりもさらに屈折率が高い二酸化チタン等が挙げられる。
【0041】
また、反射防止膜27〜29の材質も、特に限定されないが、例えば、MgF
2(フッ化マグネシウム、屈折率1.37)、五酸化タンタル、二酸化ケイ素等の材質の一種類または二種類以上の積層構造等が挙げられる。
【0042】
なお、本発明の撮像装置に用いる有機EL素子において、撮像対象物側に照射される光量をなるべく多くするためには、例えば、以下のような方法(有機EL素子の構成)が挙げられる。すなわち、まず、封止ガラス側の透明電極と空気等の気体との界面、または前記透明電極と真空との界面では、例えば、約0.8程度の屈折率差を生じる。このため、フレネル反射の影響により、基板ガラス側への発光量が相対的に増える。この現象を積極的に用いるため、有機EL素子が、空間内に封止されていることが好ましい。より具体的には、例えば、有機EL素子が、中空ガラスによって封止されていても良い。さらに具体的には、例えば、
図2に示したように、有機EL素子が、基板ガラスおよび封止ガラスに挟まれた空間内に封止されていることがより好ましい。また、有機EL素子が封止されている前記空間内の雰囲気(前記空間内に封止され、前記有機EL素子をとりまいている気体)は、特に限定されず、例えば、空気、不活性ガス(窒素ガス、アルゴンガス等)等でも良いし、真空でも良い。前記雰囲気は、有機EL素子の劣化防止の観点から、水分含有率がなるべく少ないことが好ましい。また、同様の観点から、前記雰囲気は、酸素含有率がなるべく少ないことが好ましく、酸素を含まない(例えば、前記不活性ガスである)ことが特に好ましい。また、この現象をさらに促進するために、例えば、前記透明電極上に、さらに屈折率が高い前記高屈折率層を積層させても良い。さらに、前記透明電極、前記有機層およびその他の各層の厚さを任意に設計し、干渉条件を最適化することで、有機EL素子の表と裏に照射される光量を、どちらか一方に偏らせても良い。
【0043】
その他、前記有機EL素子において、撮像対象物側への照射光の光量を多くするためには、例えば、有機EL素子の発光面上に、影になる物(例えば、メッシュ状の補助配線等)がないことが好ましい。また、前記有機EL素子の、曇り度を示す指標であるヘイズ(HAZE)値が、10%以下であることが好ましい。なお、前記ヘイズ値は、例えば、JIS−K−7136により測定することができる。ただし、この測定方法は例示であり、本発明を何ら限定しない。また、前記有機EL素子において、前記有機EL素子自体が発する光に対する透過率が90%以上であることが好ましい。さらに、基板ガラス、封止ガラスでの反射を抑えるため、前記のとおり、反射防止膜を使用しても良い。また、前記反射防止膜に加え、または、これに代えて、モスアイシート等を用いても良い。
【0044】
さらに、本発明の撮像装置に用いる有機EL素子の構成は、以上に限定されず、種々の変更が可能である。例えば、
図2に示した以外の構成要素を適宜追加しても良い。また、例えば、
図2において、第1の電極23、有機層24および第2の電極25以外の構成要素を、適宜省略または配置変更等しても良い。
【0045】
本発明の撮像装置は、特に限定されないが、例えば、カメラ、顕微鏡、スキャナ等に用いることができる。本発明の撮像装置は、コピー機のような走査を必要とする装置にも用いることができるが、一括での撮影を求められるような光学系に適している。前記一括での撮影を求められるような光学系としては、例えば、比較的小さい領域を撮影する顕微鏡用光源が挙げられる。特に、焦点距離が短いレンズを用いた場合、一般的には十分な照明(光量)を得にくいが、本発明の撮像装置によれば、大きい光量を得ることができるため、有効である。また、筒の中を観察する場合などにも、本発明の撮像装置によれば、底に対して垂直に照明できるため、大きい光量を得ることができ、有効である。
【0046】
その他、本発明の撮像装置によれば、例えば、下記(1)〜(3)等の効果を得ることができる。ただし、これらの効果は例示であり、本発明を何ら限定しない。
(1) 前述のように、外光を得にくい場合においても鮮明な画像を撮ることができる。
(2) 光学系における照明システムを簡略化することができ、コストダウンに貢献できる。
(3) 光学系を薄型にすることが出来、デバイスの小型化に貢献できる。近年、モバイル機器の小型化に伴い、光学系についてもシンプルかつ小型、薄型が求められているが、本発明の撮像装置によれば、この要求に応えることができる。
【0047】
以上、実施形態を参照して本願発明を説明したが、本願発明は、上記実施形態に限定されるものではない。本願発明の構成や詳細には、本願発明のスコープ内で当業者が理解しうる様々な変更をすることができる。
【0048】
上記の実施形態の一部または全部は、以下の付記のようにも記載しうるが、以下には限定されない。
【0049】
(付記1)
撮像素子と、発光素子と、画像データ補正手段とを含み、
前記発光素子は、撮像対象物に光を照射し、
前記撮像素子は、前記撮像対象物が反射した前記照射光を感知して画像データを生成し、
前記画像データ補正手段は、前記撮像対象物に反射されず前記発光素子から前記撮像素子に直接入射する光を、前記画像データから差し引くことにより、前記画像データを補正することを特徴とする撮像装置。
【0050】
(付記2)
前記発光素子が、有機EL(エレクトロルミネッセンス)素子であることを特徴とする付記1記載の撮像装置。
【0051】
(付記3)
前記撮像素子が、CCD(Charge Coupled Device)、またはCMOS(Complementary MOS)イメージセンサであることを特徴とする付記1または2記載の撮像装置。
【0052】
(付記4)
前記撮像対象物が反射した前記照射光が、前記発光素子を透過して前記撮像素子に入射することを特徴とする付記1から3のいずれかに記載の撮像装置。
【0053】
(付記5)
さらに、レンズを含み、
前記撮像対象物が反射した前記照射光が、前記レンズを透過して前記撮像素子に入射することを特徴とする付記1から4のいずれかに記載の撮像装置。
【0054】
(付記6)
付記1から5のいずれかに記載の前記発光素子として用いることを特徴とする有機EL素子。
【0055】
(付記7)
第1の電極、発光層を含む有機層、および第2の電極が、前記順序で積層され、
前記有機層は、前記両電極と電気的に接続されていることを特徴とする付記6記載の有機EL素子。
【0056】
(付記8)
前記第1の電極および前記第2の電極が、いずれも透明電極であることを特徴とする付記7記載の有機EL素子。
【0057】
(付記9)
前記第1の電極、前記有機層、および前記第2の電極が、いずれも、空間内に封止されていることを特徴とする付記7または8記載の有機EL素子。
【0058】
(付記10)
さらに、基板ガラスおよび封止ガラスを含み、
前記第1の電極、前記有機層、および前記第2の電極が、いずれも、前記基板ガラスおよび前記封止ガラスに挟まれた空間内に封止されていることを特徴とする付記7から9のいずれかに記載の有機EL素子。
【0059】
(付記11)
さらに、高屈折率層を含み、
前記高屈折率層が、前記第1の電極、前記有機層、および前記第2の電極と、前記撮像素子との間に配置されていることを特徴とする付記7から10のいずれかに記載の有機EL素子。
【0060】
(付記12)
前記高屈折率層が、二酸化チタンにより形成されたことを特徴とする付記11記載の有機EL素子。
【0061】
(付記13)
ヘイズ値が10%以下であることを特徴とする付記7から12のいずれかに記載の有機EL素子。
【0062】
(付記14)
前記有機EL素子自体が発する光に対する透過率が90%以上であることを特徴とする付記7から13のいずれかに記載の有機EL素子。
【0063】
(付記15)
撮像対象物に光を照射する光照射工程と、
前記撮像対象物が反射した前記照射光を撮像素子により感知して画像データを生成させる画像データ生成工程と、
前記撮像対象物に反射されず前記撮像素子に直接入射する光を、前記画像データから差し引くことにより、前記画像データを補正する画像データ補正工程と、
を含むことを特徴とする撮像方法。
【0064】
(付記16)
付記1から5のいずれかに記載の撮像装置を用いて行うことを特徴とする付記15記載の撮像方法。
【0065】
(付記17)
付記15または16記載の撮像方法をコンピュータ上で実行可能なことを特徴とするプログラム。
【0066】
(付記18)
付記16記載の撮像方法を、付記1から5のいずれかに記載の撮像装置に実行させることが可能なことを特徴とする付記17記載のプログラム。
【0067】
(付記19)
付記17または18のプログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体。
【0068】
この出願は、2013年11月8日に出願された日本出願特願2013−232165を基礎とする優先権を主張し、その開示の全てをここに取り込む。