(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
図1は、上記従来技術によるシート積載装置における第1及び第2のセンサの配置を正面から示している。第1及び第2のセンサ100,200は、発光部と受光部とを備える光透過型のセンサであり、発光部300を共用している。
【0007】
第1のセンサ100は、スタックトレイ400の左右両側のそれぞれの上方に取り付けられた受光部100aと発光部300との間で第1の光軸L1を形成している。この光軸L1は、スタックトレイ400上に良好に積載された状態のシートPの後端縁と平行になるように、受光部100aと発光部300とが配置されている。
【0008】
第2のセンサ200は、受光部200aと発光部300との間に第2の光軸L2を形成している。第2のセンサ200の受光部200aは、第1のセンサ100の受光部100aの下方に配置している。したがって、第2のセンサ200の光軸L2は、第1のセンサ100の水平な光軸L1に対し、角度をもって設定されている。
【0009】
第1のセンサ100は、スタックトレイ400上に積載されたシートSによって光軸L1が遮光されたとき、この光軸L1が復帰するまでスタックトレイ400を下降させる際に使用され、一方、第2のセンサ200は、スタックトレイ400上のシートSが束状に引き抜かれて遮断されている光軸L2が開放したときに、光軸L2が再度遮断されるまでスタックトレイ400を上昇させる際に使用される。
【0010】
しかしながら、このようなセンサ構成では、スタックトレイ400に導入されてくるシートが端部にカールを生じているシートや綴じ処理されて端部が部分的に膨らんでいるシート等の場合には、表面が水平でないため、適切なタイミングでシートを検知できず、スタックトレイ400の昇降制御に支障が生じてしまうという不具合を生じていた。
【0011】
具体的に
図2を用いて説明する。
図2において、(a)、(b)、(c)の各右側の図は、送出ローラによって矢印A方向から導入されるシートを積載したスタックトレイの側面図、各左側の図は、矢印A方向での先端から見たスタックトレイ400の正面図をそれぞれ示している。
【0012】
図2(a)は、スタックトレイ400に積載されているシートSの高さ受光部100a、100bの間の位置にある。したがって、シートSは、光軸L1からは充分下方の位置にあるため、後続のシートが積載されても光軸L1が遮断されることがなく、スタックトレイ400の下降は行われることがない。また、光軸L2はシートSによって遮断されているが、全部又は一部のシートSが抜き取られることで開放されない限り、スタックトレイ400の上昇が行われることがない。
【0013】
このようなシートの積載状態において、シートの表面が水平でなく光軸L2の傾斜に沿って膨らんだ形状のシート、例えば、後端にカールを生じているシートCが導入されてくると、このカール部分が光軸L1を遮断するため、スタックトレイ400の下降動作が行われる。
【0014】
そして、カール部分が光軸L1から外れると、スタックトレイ400の下降への駆動が停止されるが、慣性によって暫時下降が継続される(
図2(b))。
【0015】
このとき、シートCは、カール部分があって表面が水平でないため、光軸L2を遮断する略三角形状の大きな遮断領域Pを有している。よって、下降が完全に終了したときには、シートCの上面は第2のセンサ200の光軸L2を開放させる位置にまで到達しており(
図2(c))、スタックトレイ400からシート束が引き抜かれたものとして、スタックトレイ400の上昇動作が行われることになる。
【0016】
スタックトレイ400の上昇により、光軸L2が再びカール部分で遮断されると上昇への駆動が停止されるが(
図2(b)、このときも慣性によって暫時上昇が継続され、カール部分が再び光軸L1を遮断することになり(
図2(a))、スタックトレイ400の下降動作が再開される。そして、以降、このようなスタックトレイ400の下降と上昇とを繰り返すループ動作に陥って、積載手段に積載されている最上部のシートを所定位置に位置させることができなくなるという誤動作が起きる。
【0017】
本発明は、上記従来装置の欠点に鑑み、第1の光軸と、この第1の光軸に対して所定角度傾いた第2の光軸によりシートを検知する場合にでも、積載手段の昇降動作の不具合を抑えることができるシート積載装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0018】
上記の課題を解決するために、本発明に係わるシート積載装置は、シートを積載するとともに、移動可能な積載手段と、第1の光軸がシートに遮られるか否か、及び前記第1の光軸に対して所定の角度傾いた第2の光軸がシートに遮られるか否か、に応じて、前記積載手段に積載されているシートのうち最上部のシートが所定位置に位置しているか否かを検知するための検出手段と、前記検出手段の検出結果に基づいて、前記積載手段に積載されているシートのうち最上部のシートを前記所定位置に位置させる制御手段と、を有し、前記検出手段は、前記積載手段に積載されたシートのカールした部分を検知可能であって、前記制御手段は、前記積載手段を第1の速度で
下方向に移動させて、前記積載手段に積載されているシートのうち最上部シートが前記所定位置から外れた場合、前記第1の速度よりも遅い第2の速度で
上方向に前記積載手段を移動させて該最上部のシートを前記所定位置に位置させる、ことを特徴としている。
【0019】
また、本発明に係わるシート積載装置は、シートを積載するとともに、移動可能な積載手段と、第1の光軸がシートに遮られるか否か、及び前記第1の光軸に対して所定の角度傾いた第2の光軸がシートに遮られるか否か、に応じて、前記積載手段に積載されているシートのうち最上部のシートが所定位置に位置しているか否かを検知するための検出手段と、
シートに対して綴じ処理を施すことが可能な綴じ手段と、前記検出手段の検出結果に基づいて、前記積載手段に積載されているシートのうち最上部のシートを前記所定位置に位置させる制御手段と、を有し、
前記検出手段は、前記積載手段に積載されたシートの、前記綴じ処理により膨らんだ部分を検知可能であって、前記制御手段は、
シートに対して綴じ処理を施さない第1モードと、シートに対して綴じ処理を施す第2モードとを実行可能であって、前記第1モードにおいては前記積載手段を第1の速度で
下降させて、前記積載手段に積載されているシートのうち最上部シートを前記所定位置に位置
させ、前記第2モードにおいては前記第1の速度よりも遅い第2の速度で前記積載手段を
下降させて、前記積載手段に積載されているシートのうち最上部シートを前記所定位置に位置させる
、ことを特徴としている。
【発明の効果】
【0020】
本発明に係るシート積載装置によれば、第1の光軸と、この第1の光軸に対して所定角度傾いた第2の光軸によりシートを検知する場合にでも、積載手段の昇降動作の不具合を抑えることができる。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下に添付図面を参照しつつ、その好適な実施態様について詳細に説明する。
【0023】
先ず、本発明に係るシート集積装置が有効に適用される画像形成装置について説明する。
【0024】
図1に示すように画像形成装置は、画像形成装置本体Aと、これに併設して設置されるシート後処理装置Bとから構成される。画像形成装置本体Aは、画像形成ユニットA1とスキャナユニットA2とフィーダユニットA3とで構成されている。そして、装置ハウジング1の内部には、給紙部2と画像形成部3と排紙部4とデータ処理部5が内蔵されている。
【0025】
給紙部2は、画像形成する複数サイズのシートをそれぞれ収納するカセット機構2a,2b,2cで構成され、図示しない本体制御部から指定されたサイズのシートを給紙経路6に繰り出す。給紙経路6は、各カセット機構2a,2b,2cから供給されるシートを下流側に給送する。また、給紙経路6には、大容量カセット2dと手差しトレイ2eが接続されて、それぞれから供給されるシートも同様に送り出すよう構成されている。
【0026】
画像形成部3は、例えば、静電印刷機構で構成されており、回転する感光ドラム9を備えて、その周囲に光学ビームを発光する発光器10と、現像器11と、クリーナ(不図示)とを配置した構成である。図示のものはモノクロ印刷機構を示し、感光ドラム9に発光器10で光学的に潜像を形成し、この潜像に現像器11でトナーインクを付着する。
【0027】
そして、感光ドラム9に画像形成するタイミングに合わせて給紙経路6からシートを画像形成部3に送り転写チャージャ12でシート上に画像を転写し、排紙経路14に配置されている定着ローラ13で定着する。排紙経路14には排紙ローラ15と、排紙口16が配置され、後述するシート後処理装置Bにシートを搬送する。
【0028】
スキャナユニットA2は、画像原稿を載置するプラテン17と、プラテン17に沿って往復動するキャリッジ18と、光電変換手段19と、キャリッジ18によるプラテン17上の原稿からの反射光を光電変換手段19に案内する縮小光学系20とを備える。また、スキャナユニットA2は、走行プラテン21を備えて、フィーダユニットA3から送られてくるシートをキャリッジ18と縮小光学系20とで読み取る。光電変換手段19は、縮小光学系20からの光学出力を光電変換により画像データにして、電気信号で画像形成部3へ出力する。
【0029】
フィーダユニットA3は、給紙トレイ22と、給紙トレイ22から送り出したシートを走行プラテン21に案内する給紙経路23と、プラテンで画像読取された原稿を収納する排紙トレイ24で構成されている。
【0030】
図2は、画像形成装置本体Aから送られてくる画像が形成されたシートを後処理するシート後処理装置Bの構成を示している。後処理装置Bは、画像形成装置Aの排紙口16に連なる搬送経路25と、その下流側に処理トレイ29とスタックトレイ33がこの順に配置されている。搬送経路25の搬入口26にはシート先端を検出する入口センサSe1が、排紙口27には排紙センサSe2が配置され、搬送ローラ28などの搬送手段でシートを搬入口26から排紙口27に移送する。
【0031】
排紙口27の下流側には処理トレイ29が段差を形成して配置され、搬送経路25から送られたシートを積載して部揃え集積する。この処理トレイ29にはステープラユニット30が配置され、規制ストッパ31に位置決めされたシートを集積して綴じ処理する。
【0032】
処理トレイ29の下流側には、シートの積載手段であるスタックトレイ33が配置され、このスタックトレイ33は搬送経路25からシートを受け入れると同時に、処理トレイ29で綴じ処理されたシート束も受け入れる位置関係に配置されている。
【0033】
図3を参照してスタックトレイ33の構造を説明する。スタックトレイ33は、シートを載置する紙載面34を有するトレイ部材と、このトレイ部材を装備する(固定する)トレイ基体35が装置フレーム36に配置されたガイドレール37に積載方向に上下動可能に支持されている。スタックトレイ33は装置フレーム36に配置された上下一対の巻き上げプーリ38a、38bに懸架部材39で支持されている。巻き上げプーリ38aには巻き上げモータM1が連結され、モータM1の正逆転でスタックトレイ33を上下動するように構成されている。
【0034】
スタックトレイ33を上下動させて所定位置に位置させるには、モータM1の駆動に同期したパルスを発生する、パルス発生手段としてのパルス発生部と、前記パルス発生部からのパルス数をカウントするパルスカウント手段と、を備え、パルスカウント手段でカウントされるパルス数に基づきスタックトレイ33を所定位置に移動させる。別の方法としては、モータM1の駆動時間をカウントするタイマを用いて、タイマでカウントされるモータM1の駆動時間に基づきスタックトレイ33を所定位置に移動させてもよい。
【0035】
スタックトレイ33には積載したシートの2通りの高さレベルを検出するそれぞれのセンサが配置されている。これらのセンサは、光軸L1及びL2を形成することで、スタックトレイ33に積載されているシートのうち最上部のシートの位置を検出する検出手段であり、
図1及び
図2で説明した第1及び第2のセンサ100,200と同じセンサであるため、図面に同一の符号を付すことで構成の説明は省略する。
【0036】
後で説明する
図5及び
図6で示すように、センサ100の受光部100aと発光部300とが水平線上に配置される高さレベルH1と、センサ200の受光部200aを通る水平線の高さレベルH2との間を所定位置として、スタックトレイ33に積載されているシートのうち最上部シートがこの所定位置に位置するよう、スタックトレイ33の昇降動作が制御される。
【0037】
スタックトレイ33を上下動させて所定位置に位置させるには、モータM1の駆動に同期したパルスを発生するパルス発生部と、前記パルス発生部からのパルス数をカウントするパルスカウント手段(集積動作制御部52がパルスカウント手段を有している)と、を備え、パルスカウント手段でカウントされるパルス数に基づきスタックトレイ33を所定位置に移動させる。別の方法としては、モータM1の駆動時間をカウントするタイマを用いて、タイマでカウントされるモータM1の駆動時間に基づきスタックトレイ33を所定位置に移動させてもよい。
【0038】
加えて、
図2に示す後処理装置Bは、上述した搬送経路25と、処理トレイ29とスタックトレイ33の他に、搬送経路25から分岐した第2後処理部41と、その下流側に第2スタックトレイ42が配置されている。第2後処理部41には、搬送経路25から送られたシート集積する集積ガイド43と、部揃え集積したシート束を綴じ処理する中綴じステープラユニット44と、綴じ処理したシート束を折り合わせる折りロール45が配置されている。第2後処理部41では、搬送経路25から送られたシートを集積して綴じ処理と折り処理を施して製本仕上げした後に、第2スタックトレイ42に搬出する動作を行なう。
【0039】
上記構成の画像形成装置の制御装置50の構成を
図4に従って説明する。制御装置50は、画像形成制御部50Aと、後処理制御部50Bとで構成されている。
【0040】
画像形成制御部50Aには画像形成モードと仕上げモードを設定するモード設定手段60が備えられている。仕上げモードには、画像形成されたシートを部揃え集積して綴じ処理する綴じ処理モードと、綴じ処理することなくスタックトレイ33に収納するプリントアウトモードと、画像形成シートを仕分け収納するジョグ収納モードと第2後処理部31で製本仕上げする製本処理モードがあり、このうちの何れかに設定される。
【0041】
画像形成装置Aには図示しないコントロールパネルを有する入力部47が配置され、装置の利用者はこの入力部47から所望の仕上げモード,シートサイズ,綴じモードを入力する。これらの設定が行われると、画像形成制御部50Aは、その設定内容を仕上げモード指示信号,シートサイズ信号,綴じモード指示信号で後処理制御部50Bに示す。
【0042】
CPUにて構成される後処理制御部50Bは、ROM55に記憶している制御プログラムを実行することで、搬送制御部51、集積動作制御部52、綴じ処理制御部53及び製本処理制御部54の各機能を実現する。RAM56には制御プログラムの実行に必要なデータが記憶されている。
【0043】
搬送制御部51は、搬送経路25に配置された搬送ローラ28等の搬送駆動系59を制御する。
【0044】
集積動作制御部52は、巻き上げモータM1の正逆転制御及び2通りの回転速度の切り換え制御を行なう。この場合のモータM1の制御は、第1及び第2のセンサ100,200による光軸L1,L2の遮断又は開放の検知に基づいて行われる。
【0045】
また、集積動作制御部52は、綴じ処理モードの実行時に、排紙口27から搬送されたシートを処理トレイ29に部揃え集積するために、処理トレイ29にシートを搬入する掻き込み回転体46を駆動する掻き込みモータM2の回転制御と、シートの搬送直交方向の位置合わせを行う整合部材の駆動部である整合駆動モータM3の回転制御を行なう。
【0046】
綴じ処理制御部53は、ステープラユニット30の駆動モータM4を制御する。上記作動モータには駆動カムが連結され、モータの回転でステープル針による綴じ処理を実行する。
【0047】
製本処理制御部54は、搬送経路25から送られたシートを集積ガイド36上に部揃え集積して、中綴じステープラユニット44で綴じ処理した後に、折りローラ45で折り処理する。折り処理後は、製本したシート束を第2スタックトレイ32に搬出して収納する。
【0048】
なお、後処理装置Bには、第1、第2スタックトレイ33、32の他にオーバフロートレイ22が配置されている。このオーバフロートレイ22には第1スタックトレイ33に搬出することが不可能なシート、例えば割込みプリントモードのシート、或いは大判サイズのシートなどを収納する。このため、オーバフロートレイ22は搬送経路25から分岐して装置ハウジング49に配置されている。
【0049】
上記構成の画像形成装置において、画像形成制御部50Aからの仕上げモード指示信号により綴じ処理モードが指定されていると、処理トレイ29で綴じ処理を行って、綴じたシートをスタックトレイ33へ排出する。しかし、このとき綴じられたシートの端部が膨らむようにスタックトレイ33に積載されることがある。また、綴じ処理することなくスタックトレイ33に収納するプリントアウトモードが指定されたとき、画像形成の処理の過程でシートの後端にカールを生じることがある。
【0050】
こうした表面が水平でないシートがスタックトレイに集積されると、第1及び第2のセンサ100,200がカール部分や綴じ処理で膨らんだ部分を検知することで、巻き上げモータM1が正逆転を繰り返すループ動作に陥るという、[発明が解決しようとする課題]で述べた誤動作が起きることがある。
【0051】
そこで、後処理制御部50Bは、スタックトレイ33の昇降制御を行う際、巻き上げモータM1の正逆転の回転速度を2通りに適宜、切り換えることで、このような誤動作を防止している。
【0052】
図5はスタックトレイ33において、シートのカール部分がセンサ100の光軸L1を遮断したときに生じる誤動作を防止する作用を説明している。この
図5も上述した
図9と同様、(a)、(b)、(c)、(d)の各右側の図は、矢印A方向から導入されるシートを積載したスタックトレイを側面図、各左側の図は、スタックトレイ33の矢印A方向の先端からの正面図をそれぞれ示している。
【0053】
後処理制御部50Bは、スタックトレイ33に積載されているシートがセンサ100の光軸L1を遮断したとき、一般的なこの種のシート積載装置において通常で用いられている速度(第1の速度)でスタックトレイ33を下降させるべくモータM1を制御する。よって、後端にカールを生じているシートCが導入された場合は、カール部分が光軸L1を遮断するため、後処理制御部50Bは、スタックトレイ33を第1の速度で下降させる(
図5(a))。
【0054】
そして、光軸L1からカール部分が外れると、後処理制御部50Bは、スタックトレイ33の下降を停止するようモータM1を制御する(
図5(b))。しかしながら、このとき、慣性によって暫時下降が継続されることで、スタックトレイ33に水平に積載されているシートCのカール部分が第2のセンサ200の光軸L2から外れると(
図5(c))、後処理制御部50Bは、スタックトレイ33を上昇させるようモータM1を制御する。
【0055】
スタックトレイ33の上昇によって、シートのカール部分が光軸L2を遮断したとき、センサ200のONすることで後処理制御部50Bはスタックトレイ33の上昇を停止するようモータM1を制御する(
図5(d))。この場合、モータM1は遅い速度の第2の速度で回転しているため、モータM1が停止しても慣性でスタックトレイ33が上昇を継続する距離は短く、カール部分は光軸L1に到達する前に停止する。したがって、カール部分が光軸L1を遮断することがないため、スタックトレイ33が下降と上昇を繰り返すループ動作に陥ることが防止される。
【0056】
図6は、スタックトレイ33からシート束が抜き取られたことで、シートのカール部分がセンサ200の光軸L2を遮断したときに生じる誤動作を防止する作用を説明している。
【0057】
後処理制御部50Bは、スタックトレイ33からシート束が抜かれたときには、スタックトレイ33に積載されているシートが光軸L2から外れる。よって、後処理制御部50Bは、スタックトレイ33のシートの上面レベルを速やかに回復させるべく、高速の第1の速度でモータM1を駆動してスタックトレイ33を上昇させる(
図6(a))。
【0058】
そして、スタックトレイ33の上昇でカール部分がセンサ200の光軸L2を遮断したときモータM1を停止させても(
図6(b))、このとき、スタックトレイ33にカールを生じているシートCが導入されていると、三角形状の遮断領域Pを生じているため斜めの線である光軸L2を遮断するタイミングが遅れる。よって、カール部分が光軸L1を遮断することがある(
図6(c))。
【0059】
この場合、後処理制御部50Bは、遅い第2の速度でスタックトレイ33が下降するようモータM1の駆動を制御する。これにより、カール部分が光軸L1から外れることでモータM1の駆動を停止させても、第2の速度で下降しているため慣性で移動する距離が短く、カール部分が光軸L2を遮断することなくスタックトレイ33は停止する(
図6(d))。したがって、カール部分が光軸L2を遮断することがないため、スタックトレイ33が上昇と下降を繰り返すループ動作に陥ることが防止される。
【0060】
後処理制御部50Bによるスタックトレイ昇降制御について
図7A及び
図7Bのフローチャートに従って説明する。
【0061】
図7Aにおいて、後処理制御部50Bは、スタックトレイ昇降制御を開始すると、スタックトレイ33の積載シートが第1のセンサ100の光軸L1を遮断しているか否かを検知する(ステップS1)。
【0062】
ステップS1でセンサ100の光軸L1の遮断を検知すると(ステップS1の「YES」)、次に後処理制御部50Bは、センサ200の光軸L2が遮断されているか否かを検知する(ステップS2)。このとき、スタックトレイ33の積載シートの上面が光軸L2を遮断していると(ステップS3の「YES」)、後処理制御部50Bは、光軸L1の遮断を検知した直前に処理トレイ29で処理されたシートが、画像形成制御部50Aからの綴じモード指示信号によってシートの一か所綴じ処理が指定されていたシートなのか否かを判別する(ステップS3)。なお、後処理制御部50Bは、ステップS1において「NO」の場合は、ステップS20に移行する。後処理制御部50Bは、ステップS2において「NO」の場合は、ステップS21に移行する。後処理制御部50Bは、ステップS3において「YES」の場合、つまり、スタックトレイ33に積載されているシートが、スタックトレイ33を第1の速度で移動させた際に所定位置(光軸L1が遮断されず、光軸L2が遮断された状態)に位置させることができない状態であると想定される場合は、ステップS26に移行する。なお、本発明は、「スタックトレイ33に積載されているシートが、スタックトレイ33を第1の速度で移動させた際に所定位置(光軸L1が遮断されず、光軸L2が遮断された状態)に位置させることができない状態である場合」として、上記の場合に限らず、カールが生じやすい環境状態(例えば所定温度以上かつ所定湿度以上の場合等)の場合等も含むものとする。
【0063】
この場合、一か所綴じが指定されていないときには、スタックトレイ33が下降するようモータM1の第1の速度での駆動制御を開始して(ステップS4)、シートの下降により光軸L1の遮断が解除されて開放するまで待機する(ステップS5)。
【0064】
下降するスタックトレイ33のシートが光軸L1から外れて光軸L1が開放すると(ステップS5の「YES」)、後処理制御部50Bは、モータM1の駆動を停止させて、スタックトレイ33の下降を停止する(ステップS6)。このとき、センサ200の光軸L2が遮断されていると(ステップS7の「YES」)、後処理制御部50Bは、スタックトレイ昇降制御を終了する。
【0065】
一方、光軸L2が開放のときには(ステップS7の「NO」)、後処理制御部50Bは、スタックトレイ33が上昇するようモータM1の駆動制御を開始する。
【0066】
このとき、ステップS2で光軸L2が遮断されていることを検知した後に、ステップS7で光軸L2が開放に切り換わっているのを検知するのは、
図5で説明したように、慣性によって積載されたシートのうち最上部シートが所定位置Hより下方に位置している場合である。
【0067】
よって、後処理制御部50Bは、スタックトレイ33を遅い第2の速度でスタックトレイ33を上昇させるべく、モータM1の駆動を制御する(ステップS8)。このとき、後処理制御部50Bは、モータM1を駆動させてからタイマ動作を開始する。
【0068】
そして、後処理制御部50Bは、設定時間が経過したか否かを判別し(ステップS9)、設定時間内であれば、センサ200の光軸L2が遮断されているか否かを検知し(ステップS10)、遮断されていないとステップS9の処理に戻る。したがって、スタックトレイ33の上昇を開始してから設定時間内に、センサ200の光軸L2がスタックトレイ33の積載シートにて遮断されない間は、ステップS9とステップS10の処理を繰り返すことになる。そして、後処理制御部50Bは、設定時間内に光軸L2が遮断されたときには(ステップS10の「YES」)、モータM1の駆動を停止させてスタックトレイ33の昇降を停止する(ステップS13)。よって、スタックトレイ33に積載されているシートのうち最上部のシートが高さレベルH1,H2の間に位置するようになる。
【0069】
したがって、スタックトレイ33に端部がカールされたシートCが導入されたような場合、モータM1を停止させてもスタックトレイ33が慣性分の上昇をしたときでも、遅い第2の速度で上昇させているために、この慣性移動でカール部分が再び光軸L1を遮断することがなく、ループ動作が阻止される。
【0070】
このステップS4からステップS10・ステップS13までの処理の流れにより、スタックトレイ33に端部がカールしたシートCが導入されている場合の、
図5で説明した不具合を防止の動作が行われる。
【0071】
しかし、スタックトレイ33からシート束が引き抜かれたような場合には、設定時間内に光軸L2が遮断されない場合があるので(ステップS10の「YES」)、その場合、後処理制御部50Bは、スタックトレイ33をより速い第1の速度での上昇に切り換えるべくモータM1の駆動を制御し(ステップS11)、光軸L2が遮断するまで待機する(ステップS12)。そして、光軸L2が開放すると、ステップS13の処理に進み、モータM1の駆動を停止させて、スタックトレイ33の昇降制御を終了する。これにより、シート束が引き抜かれたときには、第1の速度で上昇させることで、スタックトレイ33に積載されているシートのうち最上部のシートが高さレベルH1,H2の間に素早く位置させることができる。
【0072】
ステップS1の処理の説明に戻って、光軸L1が開放されている場合には(ステップS1の「NO」)、
図7Bのフローチャートに示す処理となり、後処理制御部50Bは、第2のセンサ200の光軸L2が遮断されているか否かを検知する(ステップS20)。このとき、光軸L2が遮断していると、後処理制御部50Bは、スタックトレイ昇降制御を終了する。
【0073】
しかし、後処理制御部50Bは、光軸L2が開放されていることを検知すると(ステップS20の「NO」)、光軸L2の遮断していない状態を検知した直前に処理トレイ29で処理されたシートが、一か所綴じされたシートであるか否かを判別し(ステップS21)、画像形成制御部50Aから一か所綴じ処理が指定されていないときには、スタックトレイ33が第1の速度で上昇するようモータM1の駆動制御を開始して(ステップS22)、光軸L2がスタックトレイ33の積載シートで遮閉されるまで待機する(ステップS23)。
【0074】
そして、スタックトレイ33の上昇により光軸L2が遮断されるようになると、後処理制御部50Bは、モータM1の駆動を停止させて上昇を停止する(ステップS24)。ここで後処理制御部50Bは、光軸L1が遮断されている否かを検知し(ステップS25)、遮断されていないときには(ステップS25の「NO」)、スタックトレイ昇降制御を終了する。このようなステップS1・ステップS20からステップS25の「NO」までの処理の流れは、スタックトレイ33からシート束が引き抜かれたときに、残りのシートのうち最上部のシートの位置が高さレベルH1,H2との間となるように、タックトレイ33を上昇させる動作である。
【0075】
後処理制御部50Bは、光軸L1が遮断されていることを検知したときには(ステップS25の「YES」)、スタックトレイ33が遅い第2の速度で下降するようにモータM1の駆動制御を開始する(ステップS26)。このとき、後処理制御部50Bは、モータM1を駆動させてからタイマ動作を開始している。よって、後処理制御部50Bは、設定時間が経過したか否かを判別し(ステップS27)、設定時間内であれば、センサ100の光軸L1が遮断されているか否かを検知し(ステップS28)、遮断されているとステップS27の処理に戻る。
【0076】
したがって、後処理制御部50Bは、スタックトレイ33の下降を開始してから設定時間内に、センサ100の光軸L2がスタックトレイ33の積載シートにて遮断されない間は、ステップS26とステップS27の処理を繰り返すことになる。
【0077】
そして、後処理制御部50Bは、光軸L1が開放されるのを検知すると、モータM1の駆動を停止させてスタックトレイ33の昇降を停止する(ステップS31)。よって、スタックトレイ33に積載されているシートのうち最上部のシートが高さレベルH1,H2の間に位置するようになる。
【0078】
このステップS22からステップS28・ステップ31までの処理の流れにより、スタックトレイ33に端部がカールしたシートCが導入されている場合の、
図6で説明した不具合を防止の動作が行われる。
【0079】
しかし、設定時間内に光軸L1が開放しない場合には(ステップS27の「YES」)、後処理制御部50Bは、スタックトレイ33をより速い第1の速度での下降に切り換えるべくモータM1の駆動を制御し(ステップS29)、光軸L1が遮断するまで待機する(ステップS30)。そして、光軸L1が開放すると、ステップS31の処理に進み、モータM1の駆動を停止させて、スタックトレイ昇降制御を終了する。
【0080】
これにより、スタックトレイ33に大量のシートが積載されたたときには、第1の速度で下降に切り換えることで、スタックトレイ33に積載されているシートのうち最上部のシートが高さレベルH1,H2の間に素早く位置させることができる。
【0081】
上記のフローチャートにおいて、後処理制御部50BがステップS3で画像形成制御部50Aから一か所綴じ処理が指定されていることを判別したときには、ステップS26の処理に進む。具体的な説明は省略するが、後処理制御部50Bは、画像形成制御部50Aから一か所綴じ処理が指定されていると、綴じ動作制御部53がステープル手段37の端綴じステープル25を制御して、シートに一か所綴じを施している。しかし、一か所綴じが施されたシートは、その綴じ側の端部の高さと非綴じ側の一方の端部の高さとでは寸法差が生じて、シート面には膨らみを生じている。
【0082】
よって、一か所綴じが施されたシートにより光軸L1及びL2の両方が遮断されていることを各ステップS1及びステップS2で検知すると、後処理制御部50Bは、上記したステップS26からステップS31までの処理を行うことで、スタックトレイ33に積載されているシートのうち最上部のシートが高さレベルH1,H2の間に位置するように、スタックトレイ33の下降動作を制御する。
【0083】
また、後処理制御部50BがステップS21で画像形成制御部50Aから一か所綴じ処理が指定されていることを判別したときには、ステップS8の処理に進む。この場合は、光軸L1及びL2の両方が開放されていることを各ステップS1及びステップS20で検知しているか、或いは光軸L1が遮断で光軸L2が開放していることを各ステップS1及びステップS2で検知しているときであり、後処理制御部50Bは、上記したステップS8からステップS13までの処理を行うことで、スタックトレイ33に積載されているシートのうち最上部のシートが高さレベルH1,H2の間に位置するように、スタックトレイ33の上昇動作を制御する。