(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記チューブの一部分、前記クリップ、前記リム又は前記フランジは前記チューブ内にクリアランスを形成し、前記外装が前記クリアランスを上回る部材を含み、それにより、前記外装が、前記部材が前記クリアランスに直面するときに前記スキャフォールドから部分的に又は完全に引き離される又は押し離される、請求項1又は2に記載の装置。
【背景技術】
【0002】
[0002]血管の壁におけるプラーク又は他の物質の蓄積によって引き起こされる患者の狭窄血管又は閉塞血管を開放するために様々な非外科的治療介入手順が長年にわたって生み出されてきた。そのような手順は、通常、動脈の内腔中への治療介入器具の経皮的導入を伴う。1つの手順では、拡張可能ステントなどの拡張可能な治療介入器具を狭窄部位内へ配置して血管の一部又は他の動脈内腔を拡張して開放状態に保つことによって狭窄部を処置できる。経皮経管的冠動脈血管形成術(PTCA)、経皮経管的血管形成術(PTA)、又は他の手段を用いた除去による、狭窄部が圧搾された後の血管の処置又は修復においては、金属又は金属合金のステントが有用であることが分かってきた。金属ステントは、一般に、圧縮状態で目標部位へ送達された後、血管を支持するために目標部位で拡張状態又は展開状態へ展開される。
【0003】
[0003]以下の専門用語が使用される。“ステント”について言及する場合、この用語は、一般的に言えば、通常は金属又は金属合金から構成される恒久的構造体を示し、一方、スキャフォールドとは、生体吸収性高分子を備えるとともに、限られた期間にわたって、例えば埋め込み後3、6、又は12か月にわたって血管を径方向で支持できる構造体のことである。しかしながら、当該技術は、時として、いずれかのタイプの構造体に言及する際に用語“ステント”を使用することが理解される。
【0004】
[0004]スキャフォールド及びステントは、従来から、2つの一般的なカテゴリー、すなわち、バルーン拡張と自己拡張とに分類される。後者のタイプは、径方向の拘束が除去されるときに血管内で展開状態又は拡張状態まで拡張し、一方、前者は、それをクリンプ状態又は格納状態から展開状態又は拡張状態へ設定するために外的に印加される力に依存する。
【0005】
[0005]自己拡張ステントは、例えば、体管腔内への送達カテーテルの遠位端部で径方向の拘束が解除され或いは除去されるとき、すなわち、径方向の拘束が解除され或いは除去されるときに圧縮状態から自動的に拡張するようになっているニッケル−チタン(NiTi)などの形状記憶金属又は超弾性合金から形成される。一般に、これらのステントは、径方向で抑制する高分子外装内で送達される。外装は、ステントを目標部位へ向けて誘導するために必要な小さなプロファイル(輪郭)を維持する。目標部位に達すると、外装は、その後、所望部位での展開又は配置を容易にするために、制御された態様で除去され或いは退避される。体内の目標部位へ送達されるときに外装内で拘束される自己拡張ステントの例は、米国特許第6254609号明細書、米国特許出願公開第20030004561号明細書、及び、米国特許出願公開第20020052640号明細書において見出される。
【0006】
[0006]バルーン拡張ステントは、名前が示すように、バルーンの膨張を通じた外力の印加時に拡張され、バルーン上にはステントがクリンプされている。拡張バルーンは、径方向外側に向かう力をステントの管腔内面に印加する。クリンプ状態又は格納状態から展開状態又は拡張状態への拡張中に、ステントは、バルーン圧が解除された後にステントが本質的にその変形された展開状態を維持するという意味では、塑性変形又は不可逆的変形を受ける。
【0007】
[0007]また、バルーン拡張ステントは、目標部位への経腔的送達中或いはステント−バルーンカテーテル送達システムの組み立て中又は包装時に外装内に格納される場合がある。バルーン拡張ステントは、目標血管へ行く途中でステントがバルーンから外れることを最小限に抑えるために、目標部位へ送達されるときに外装内に収容される場合がある。外装は、ステントをバルーンカテーテルに押着する或いはクリンプするクリンピングプロセス中に薬剤溶出ステントを保護するために使用されてもよい。ステントをバルーンにクリンプするために例えば虹彩タイプのクリンピング機構が使用される場合、多くの場合に硬化金属であるクリンパのブレードは、ブレード及び/又はステント支柱が直径減少中に位置ずれする際に生じる力に類似する相互作用によって薬剤−高分子コーディングに削り溝を形成する或いは更にはコーディングを剥離する可能性がある。クリンピングプロセス中にステントを保護するために外装を利用するステントの例は、米国特許第6783542号明細書及び米国特許第6805703号明細書において見出される。
【0008】
[0008]例えば米国特許出願公開第20100004735号明細書に記載されるような高分子スキャフォールドは、生体分解性高分子、生体吸収性高分子、生体再吸収性高分子、又は、生体内分解性高分子から形成されてもよい。生体分解性、生体吸収性、生体再吸収性、生体溶解性、又は、生体内分解性なる用語は、スキャフォールドが目標血管に埋め込まれてしまった後に分解する、吸収され、再吸収され、又は、磨滅してなくなる材料又はステントの特性を示す。米国特許出願公開第2010/0004735号明細書に記載される高分子スキャフォールドは、金属ステントとは対照的に、限られた期間にわたってのみ体内にとどまるようになっている。多くの治療用途において、体内におけるステントの存在は、例えば血管開通性を維持する及び/又は薬剤を送達するというその意図される機能が達成されるまでの限られた期間にわたって必要な場合がある。また、生体分解性スキャフォールドは、金属ステントとは対照的に、解剖学的管腔の治癒の向上及び遅発性ステント血栓症の発生の減少を可能にすると考えられる。これらの理由のため、金属ステントとは対照的に血管内のプロテーゼの存在が限られた持続期間にわたるように、高分子スキャフォールド、特に生体再吸収性高分子スキャフォールドを使用して血管を治療したという要望がある。しかしながら、高分子スキャフォールドを有する送達システムを開発する際には克服すべき多くの課題がある。
【0009】
[0009]高分子スキャフォールドとして用いるために考慮される高分子材料、例えば、ポリ(L−ラクチド)(「PLLA」)、ポリ(L−ラクチド−コ−グリコリド)(「PLGA」)、10%未満のD−ラクチドを伴うポリ(D−ラクチド−コ−グリコリド)又はポリ(L−ラクチド−コ−D−ラクチド)(「PLLA−co−PDLA」)、及び、PLLD/PDLAステレオコンプレックスは、以下の方法の一部では、ステントを形成するために使用される金属材料との比較によって説明される場合がある。適した高分子は強度対体積比率が低く、これは、金属の機械的特性に相当する機械的特性を与えるためにより多くの材料が必要という意味である。したがって、支柱は、ステントが所望の半径で管腔壁を支持するために必要な強度を有するように更に厚く且つ更に幅広くしなければならない。そのような高分子から形成されるスキャフォールドは、脆弱となる又は限られた破壊靱性を有する傾向もある。材料に固有の異方性及び頻度依存性の非弾性特性(すなわち、材料が変形される割合に応じて材料の強度/剛性が変化する)は、高分子、特にPLLA又はPLGAなどの無生物再吸収性高分子を用いた作業においてこの複雑さの度合いを増す。高分子スキャフォールドを送達バルーンに固定する際に直面する課題は、米国特許出願公開第12/861,719号明細書(代理人整理番号62571.448)において論じられている。
【0010】
[0010]高分子スキャフォールドを使用する際には、金属ステントの取り扱いにおいて受け入れられるプロセスの中にはもはや使用できないものもある。金属ステントは、クリンプヘッドからの除去後に金属構造体における反跳を排除するとまではいかなくてもそれを最小限に抑えるようにバルーンにクリンプされる場合がある。ステントのために使用される金属材料は、一般に、クリンピングプロセス中に高分子材料よりも大きな程度に作用し得る。金属のこの望ましい特性は、ステント−カテーテルが包装されて医療処置での使用待ちにあるときに経時的に変化する金属ステント−バルーン係合に対する懸念が殆どないことを意味し得る。クリンピングプロセス中に作用されるべき材料の能力、例えば、クリンプ機構内において高温で連続的にクリンプされて開放される材料の能力に起因して、その後にバルーンによって拡張されるときのステントの径方向強度に影響を及ぼすことなく、クリンピング後の材料における弾性反跳の任意の傾向を排除されないまでもかなり低減することができる。したがって、クリンピングプロセス後、ステントーカテーテルアセンブリは、しばしば、所望のステント−バルーン係合及び送達プロファイルを維持するために包装又は処理を必要としない。ステントが更に大きい直径まで反跳する、すなわち、クリンピング力が解除された後に更に大きい直径まで弾性的に拡張するようになっていた場合には、大きな外れ力(dislodgment force)が失われる可能性があるとともに、目標部位へステントを送達するために必要な所望の直径にステント−バルーンプロファイルを維持できない。その結果、金属ステント用の外装は、しばしば、ステント及びコーディングに対する汚染又は機械的損傷を防止する単なる保護的なものにすぎない。それらの外装は、経年劣化時及び保管時のステント反跳を防止するために密に嵌め付けられる必要がない。
【0011】
[0011]高分子スキャフォールドは、例えばかなりの滞留期間(dwell period)にわたってクリンピングブレードをスキャフォールド表面上に保持することによりクリンプされる際にそれが材料における固有の弾性反跳傾向を減少させる態様でクリンプされ得るように形成されてもよいが、これらの方法の有効性は制限される。特筆すべきは、材料は、一般に、金属ステントが材料中の過度の亀裂などの展開強度問題を導入することなく作用され得る程度まで作用され得ない。したがって、クリンプされた構造体の反跳は、対処されるべき必要がある問題である。
【0012】
[0012]以上を考慮して、高分子スキャフォールドを送達バルーンに固定するとともに、スキャフォールド及びバルーンが体内の目標部位へ送達されるときまでスキャフォールド−バルーンカテーテル送達システムの完全性を維持することに関連する課題に取り組む必要性がある。これらの目的に関連して、クリンプされたスキャフォールドの損傷又は脱落を引き起こすことなく(埋め込み前に)除去できる外装アセンブリの構造及び取り扱いを改善する必要性がある。また、ステント用の外装、又は、ステントからの外装の除去を改善する必要性もある。
【発明の概要】
【0013】
[0013]本発明は、高分子スキャフォールドバルーン係合及び送達システムプロファイルを維持するために使用される外装及び/又は外装アセンブリ、並びに、外装内に収容されるバルーン拡張可能高分子スキャフォールドを含む医療器具の組み立てのための方法に関する。また、本発明は、クリンプされたスキャフォールド−バルーン係合への支障又はクリンプされたスキャフォールドへの損傷を最小限に抑えるべく医療従事者、例えば医師によって外装を容易に除去できるようにする、外装、並びに、外装及び外装アセンブリを適用するための方法に関する。本発明に係る外装及び外装アセンブリは、医療器具が哺乳類の体内へ導入される前に除去される。更に、本発明は外装、及びステントを伴う外装の使用に関する。
【0014】
[0014]本発明に係る外装は、スキャフォールドがより小さいクロッシングプロファイル又はクリンプ直径を得るようにクリンプされるクリンピングプロセス後にスキャフォールド−バルーン係合及び望ましい送達プロファイルを維持するために特に有益である。より大きな直径に、意図される展開直径に近い直径に、或いは、意図される展開直径よりも大きい直径に形成されるスキャフォールドは、血管を支持するときに、クリンプ直径により近い直径に形成されるスキャフォールドと比べて高い径方向強度を有することができる。しかしながら、展開直径に近い直径に形成されるスキャフォールドは、材料における形状記憶に起因して、クリンピングプロセス後のスキャフォールドの弾性反跳傾向を高める。したがって、展開時の径方向強度の向上を担う形状記憶は、クリンプされたスキャフォールドにおいて更に大きな弾性反跳傾向ももたらす。反跳は、クロッシングプロファイルを増大させるとともに、バルーン上にスキャフォールドを保持するために必要とされるスキャフォールド−バルーン係合を低下させる。1つの態様において、本発明は、展開直径に近い直径に形成されるスキャフォールドにおいてクロッシングプロファイルを維持すること及び/又はバルーン−スキャフォールド係合を維持することに関する。
【0015】
[0015]他の態様において、本発明は、カテーテルのバルーンに高分子スキャフォールドをクリンプするステップと、クリンパからのスキャフォールドの短い除去期間内で抑制外装をスキャフォールド上にわたって配置するステップとを含むカテーテルの組み立て方法に関する。ステップは、スキャフォールドの最終的なクリンピング後に長い滞留時間を適用した後、抑制外装を適用することを更に含んでもよい。クリンピング滞留時間及び抑制外装の適用はいずれも、クリンプされたスキャフォールドにおける反跳を低減することを目的とする。抑制外装は、保護外装及び拘束外装の両方を含んでもよい。
【0016】
[0016]他の態様において、本発明は、滅菌パッケージ内に収容される、例えばE−ビーム放射線によって滅菌された医療器具に向けられ、パッケージは、バルーンカテーテルにクリンプされるスキャフォールドと、クリンプされたスキャフォールドの反跳を最小限に抑えるためにクリンプされたスキャフォールド上にわたって配置される外装とを収容する。外装は、クリンプされたスキャフォールドを覆うとともに、スキャフォールドからの除去を容易にするためにカテーテルの遠位端部を越えて延びてもよい。外装は、少なくともカテーテルの遠位端部を越えてスキャフォールドの長さにわたって延びてもよい。外装の遠位端部には、外装をカテーテルから除去するために手で掴まれてカテーテルの遠位端側へ引かれるように構成される部分が存在する。
【0017】
[0017]他の態様において、医療器具は、チューブルーメン内に減少されたクリアランスを形成する部材を有する保護チューブ又はコイルの内部に収容される。減少されたクリアランスは、チューブが近位端側のカテーテル端部から離れるように押し進められるとき或いはカテーテルがチューブの近位端部から引き出されるときにスキャフォールド上にわたって配置される外装と干渉する。好ましい実施形態において、外装は、拘束外装部と保護外装部とを含むツーピース外装である。
【0018】
[0018]他の態様において、本発明は、医療従事者によって安全な直観的態様で外装対をスキャフォールドから除去するための装置及び方法に関する。本発明のこの態様によれば、外装対は、例えば外装対が医療従事者により不適切な態様で誤って除去されるときなどにスキャフォールドがバルーンから外れるようになる或いは損傷されるようになるリスクを伴うことなく医師などの医療専門家によって除去されてもよい。
【0019】
[0019]本発明にしたがって配置される外装は、クリンプされたスキャフォールドにおける反跳を防止するのに効果的な径方向の拘束を与えるが、スキャフォールドからの手作業による除去が比較的容易である。径方向の拘束を印加する外装は、クリンプされたスキャフォールドを損傷させる、取り外す、或いは、バルーン上でずらすことなく手作業で除去することが難しい可能性がある。これらの場合には、効果的な径方向拘束を印加するが安全な直観的態様で外装を手で除去できるようにする態様で外装を配置することが望ましい。外装除去プロセスを分かり易くする又は直観的にすることによって、医療従事者が外装を除去する際に医療器具を損傷させる可能性が減少される。
【0020】
[0020]以上によれば、以下のこと(1)〜(37)のうちの1つ以上又は任意の組み合わせを有する、スキャフォールド、医療器具、そのようなスキャフォールドを形成するための方法、又は、そのようなスキャフォールドを備える医療器具のアセンブリ(例えば、スキャフォールド−バルーンカテーテルの組み立て)のための方法が存在する。
【0021】
(1)スキャフォールド上にわたって配置されるワンピース又はツーピースの外装アセンブリ。外装又は外装部分は、スキャフォールドの反跳を低減するために径方向の拘束を印加する。径方向の拘束を印加するワンピース外装は、米国特許出願公開第2012/0324696号明細書の
図5及び
図6A〜
図6Dに記載される。
【0022】
(2)バルーン公称膨張直径又は拡張直径に対するクリンプ直径の比率は、約2、2.5よりも大きく、或いは、約3又は4よりも大きく、及び/又は、バルーン公称直径に対するクリンプ前直径の比率は約0.9〜1.5である。
【0023】
(3)カテーテル及びスキャフォールドは、スキャフォールド上にわたって配置される外装及びチューブの両方が除去された後においてのみ体内に埋め込まれるのに適した医療器具として構成される。カテーテル2は、外装対及び/又はチューブが除去されるまで患者内へ導入されないように構成される。
【0024】
(4)バルーンにクリンプされるスキャフォールド及びスキャフォールド上にわたって配置される外装。スキャフォールドは、外装がスキャフォールドから除去された後においてのみ哺乳類の体内へ導入されるように構成される。また、スキャフォールドから外装を除去するための手段。スキャフォールドは、外装が除去されているときに少なくとも一部がチューブ内に収容されてもよい。手段は、保護外装が除去される前に部分的に或いは完全に除去されるように構成されるチューブ及び/又は外装にある部材を含んでもよい。
【0025】
(5)スキャフォールドを覆う外装を含むカテーテル。カテーテルはチューブ内にある。また、スキャフォールドが少なくとも部分的にチューブ内にある状態で外装をスキャフォールドから除去するための手段。
【0026】
(6)小さなクロッシングプロファイルを維持する又はスキャフォールドとバルーンとの間の保持力を維持する方法であって、クリンプするステップと、反跳を低減するために滞留させるステップと、スキャフォールド上にわたって第1の外装を配置するステップと、第1の外装を除去するステップと、第2の外装を配置するステップとを備え、埋め込み前に第2の外装が除去される、方法。
【0027】
(7)外装がチューブから除去されるときに外装と干渉する部材を有するチューブ。
【0028】
(8)保護外装はワンピース又はツーピースの外装である。
【0029】
(9)チューブは近位端部分及び遠位端部分を有し、カテーテルが近位端部分内にとどまる間にクリンピング又は検査を容易にするべく遠位端部分を近位端部分から除去することができる。
【0030】
(10)保護外装は、クリンプされたスキャフォールドを保護するときに少なくともスキャフォールド及びバルーンの全長を覆うとともに、少なくともスキャフォールドの長さ分だけカテーテルの遠位端部を越えて延びてもよい。
【0031】
(11)保護外装は、1つ又は2つの張り出した端部、段付き端部、又は、切り欠き状の端部、或いは、段や切り欠きがない端部を有する。
【0032】
(12)保護外装の長さよりも短い、保護外装の長さに等しい、又は、保護外装の長さよりも長い拘束外装の長さ。
【0033】
(13)外装を形成するための方法は、拘束外装内に保護外装を配置し、その後、保護外装が拘束外装内にあるときに保護外装の端部を隆起させることが含まれ、隆起端部は、保護外装からの拘束外装の除去に抵抗する。その方法は、ツーピース拘束外装を形成するために拘束外装にチューブを取り付けることを更に含んでもよい。拘束外装は、保護外装より長くてもよく、保護外装と同じ長さであってもよく、又は保護外装より短くてもよい。
【0034】
(14)外装は、PTFE、PVDF、フッ素重合体、ポリエチレン、ポリプロピレン、ナイロン、ナイロン共重合体、ペバックス(Pebax)、ポリアセタール、又は、ポリイミドを備えてもよい。
【0035】
(15)スキャフォールドを構成する高分子は生体吸収性であり、或いは、ステントは耐久性のある高分子、非生体吸収性の高分子、又は非生体内分解性の高分子を備える。
【0036】
(16)拘束外装は、それらの外径により区別される第1及び第2の部分を少なくとも有する−第1の外径は、径方向の拘束力をスキャフォールドに印加できる第1の外装部分に対応し、また、第1の外径よりも大きい第2の外径は、第1の外装部分がスキャフォールド上にわたって配置されるときに第1の外装部分よりも遠位端部側及び/又は近位端側に配置される第2の外装部分に対応する。
【0037】
(17)外装を有するカテーテルであって、外装がカテーテルの任意の他の部分よりも大きい直径を有し、カテーテルは、チューブから除去されるときに、カテーテルの少なくとも一部がチューブ内にとどまる状態で外装が除去されるようにする、カテーテル。
【0038】
(18)チューブは、スキャフォールドを支持するカテーテルがチューブから除去されているときにスキャフォールドを拘束する外装と干渉する部材を含む。
【0039】
(19)部材は、チューブに対して開放可能に取り付けられ得る、或いは、カテーテルがチューブ内に挿入される前又は後にチューブに取り付けられ得る。
【0040】
(20)部材を形成する構造体、及び/又は、
図5A〜
図5D及び
図6A〜
図6Bに関連して説明される拘束外装と干渉するための直径d3を規定する部分を有するチューブ140の任意の実施形態。
【0041】
(21)部材は、クリンピング及び外装配置の後にチューブに嵌め付けられ、形成され、又は、取り付けられ、及び/又は、チューブは、クリンピング及び外装配置中にバルーンにアクセスするために分離可能な遠位端部を有する。
【0042】
(22)ワンピース又はツーピースのチューブ、及び、チューブを有するカテーテル。ワンピースチューブにおいては、カテーテル(外装がスキャフォールドを覆う状態)がチューブ内に位置した後に部材がチューブに配置される。ツーピースチューブにおいて、部材は、スキャフォールド上にわたって配置される外装を含むカテーテルがチューブ内に配置される前にチューブに予め配置されてもよい。
【0043】
(23)部材は、チューブの近位端部又は遠位端部のいずれかに配置されてもよい。
【0044】
(24)部材は、スキャフォールド上にわたって配置される外装のみと干渉する。スキャフォールド、カテーテル、又は、バルーンの他の部分は部材によって干渉されない。これらの部分は、障害なくチューブから自由に除去され得る。
【0045】
(25)クリンプされたスキャフォールド上にわたって配置される外装を含む装置であって、外装及びカテーテルが硬質チューブ内に配置され、チューブの孔が外装の直径よりも実質的に小さいクリアランスを規定する、装置。
【0046】
(26)スキャフォールドがバルーンカテーテルにクリンプされてもよく、カテーテルがチューブ内に収容されてもよく、また、カテーテル(チューブを伴う又は伴わない)がEビーム滅菌されたパッケージ内に収容されてもよい。
【0047】
(27)バルーンに対するスキャフォールドのクリンピングは、反跳を低減するためにクリンピング後にスキャフォールド上及び/又はツーピース外装上にわたってワンピース外装を配置することが含まれる。
【0048】
(28)小さなクロッシングプロファイルを維持する又はスキャフォールドとバルーンとの間の保持力を維持する方法であって、クリンプするステップと、反跳を低減するために滞留させるステップと、スキャフォールド上にわたって第1の外装を配置するステップと、第1の外装を除去するステップと、第2の外装を配置するステップとを備え、埋め込み前に第2の外装が除去される、方法。
【0049】
(29)カテーテルを第1のチューブ内に配置するステップであって、カテーテルの遠位端部のみがチューブの外側にあるステップと、クリンプするステップと、第2のチューブを第1のチューブに対して遠位端部を覆うように取り付けるステップとを含む組み立て方法。チューブは、遠位端部又は基端部のいずれかにクリアランスを含んでもよい。
【0050】
(30)ステント又はスキャフォールドと組み合わせたワンピース又はツーピースの外装。
【0051】
(31)小さなクロッシングプロファイル及び/又は高分子のための保持力を維持するための方法は、スキャフォールドをバルーンにクリンプするステップと、クリンプされたスキャフォールド上にわたって第1の外装を配置するステップと、第1の外装を第2の外装と置き換えるステップとを含み、クリンプされたスキャフォールドは、第2の外装が除去された後においてのみ哺乳類の体内に通されるようになっている。第1の外装を置き換える前又は後に、スキャフォールドは、第2の外装を除去するようになっているチューブ内に配置されてもよい。
【0052】
(32)カテーテルであって、該カテーテルが高分子を備えるスキャフォールド(或いは、耐久性のある高分子又は金属又は金属合金を備えるステント)が含まれ、スキャフォールドがバルーンにクリンプされるカテーテルと、スキャフォールド上にわたって配置される外装と、カテーテルの少なくとも一部を収容するチューブと、チューブ内に配置される部材であって、チューブがカテーテルから分離されるときに部材が外装をスキャフォールドから部分的に又は完全に除去する、部材とを含み、カテーテルは、外装がスキャフォールドから除去された後においてのみ哺乳類の体内へ導入されるように構成される、装置。
【0053】
(33)以下の事柄のリスト、すなわち、スキャフォールドは、該スキャフォールドのクリンプ直径の少なくとも約1.5、2、3、又は、4倍であるクリンプ前直径を有する径方向に拡張されたチューブから形成される;部材がカテーテル又はチューブの端部に配置される;チューブが外装と比べて硬い;チューブは、カテーテルのシャフトのほぼ全長にわたって延びる;外装が拘束部分と保護部分とを含み、拘束部分は、スキャフォールドの反跳を制限するために径方向内側に向かう力をクリンプされたスキャフォールドに印加する;外装がツーピース外装である;外装がクリアランスを上回る第2の部材を含み、それにより、外装は、第2の部材がクリアランスに直面するときにスキャフォールドから部分的に又は完全に引き離される又は押し離される;及び/又は、部材は、クリップ、リム、フランジ、又は、チューブの一部である、ことのうちの1つ、複数、又は、任意の順序での任意の組み合わせと組み合わせて成る(32)又は(34)の装置或いは(36)の方法。
【0054】
(34)医療器具の送達のための装置において、公称膨張直径を有するバルーンを含むバルーンカテーテルと、高分子を備える径方向に拡張されたチューブから形成されるスキャフォールドであって、スキャフォールドがバルーンにクリンプされるとともにクリンプ直径を有し、バルーンの公称膨張直径がスキャフォールドのクリンプ直径よりも約2、3、又は、4倍大きい、スキャフォールドと、スキャフォールド上にわたって配置される拘束外装であって、該外装がクリンプ直径を維持するべくスキャフォールドの反跳を最小限に抑えるように構成される、拘束外装と、カテーテルを収容する硬質チューブとを含み、カテーテルは、該カテーテルがチューブから除去された後においてのみ哺乳類の体内に通されるようになっている、装置。
【0055】
(35)以下の事柄のリスト、すなわち、スキャフォールドは、(1)略径方向に整列される高分子鎖がスキャフォールドの拡張前チューブ直径の約200〜400%分の径方向の二軸拡張に起因する、及び、(2)スキャフォールドが、チューブ直径又はクリンプ前直径から、チューブ直径から少なくとも2−3倍減少されるクリンプ直径までクリンプされる、ことによって特徴付けられる形態を有する;スキャフォールドがPLLAを備える高分子組成から形成される;クリンプされたスキャフォールドの高分子鎖は、約400%〜450%の径方向拡張と150%〜200%又は10%〜50%の軸方向拡張とに起因して略径方向に整列される;チューブは、外装をスキャフォールドから部分的に又は完全に除去するように構成され、又は、カテーテルがチューブの近位端部から引き出されるときに外装の拘束部分をカテーテルから部分的に又は完全に除去するように構成される;及び/又は、カテーテルがシャフトとハブとを備え、シャフトの全体がチューブ内に収容される、ことのうちの1つ、複数、又は、任意の順序での任意の組み合わせと組み合わせて成る(32)又は(34)の装置或いは(36)の方法。
【0056】
(36)ルーメンを有するとともに、バルーンにクリンプされるスキャフォールドを含むカテーテルがルーメン内に収容されるチューブを用意するステップであって、外装がスキャフォールドを拘束するステップと、カテーテルをチューブから除去することによって外装をカテーテルから除去するステップとを含む方法。
【0057】
(37)以下の事柄のリスト、すなわち、チューブは、少なくともカテーテル遠位端部からカテーテル近位端部まで延びる;スキャフォールド及びカテーテルは、外装及びチューブの両方が除去された後においてのみ体内に埋め込まれるように構成される;チューブが外装と比べて硬い;及び/又は、外装を除去するステップは、チューブの第1の部材とカテーテルの第2の部材とを係合させることを含む、ことのうちの1つ、複数、又は、任意の順序での任意の組み合わせと組み合わせて成る(32)又は(34)の装置或いは(36)の方法。
【0058】
[参照による援用]
[0021]本明細書中で言及される全ての公報及び特許出願は、それぞれの個々の公報又は特許出願が参照することにより援用されるべく具体的に且つ個別に示されたかのように同じ程度まで参照することにより本願に援用される。援用された公報又は特許と本明細書との間の用語及び/又は表現の任意の一貫性のない使用が存在する程度まで、これらの用語及び/又は表現は、それらが本明細書中で使用される態様と一致する意味を有する。
【発明を実施するための形態】
【0060】
[0034]この開示の目的のため、以下の用語及び定義が適用される。
【0061】
[0035]用語「約(ほぼ)」は、述べられた値、範囲、又は、述べられた範囲のそれぞれの終点よりも20%、10%、5%、2%、又は、1%小さい又は大きいこと、或いは、述べられた平均値からの1シグマ変動を意味する。用語「実質的に(略)」とは、値又は範囲からの少なくとも30%、20%、10%、5%、2%、又は、1%の偏差をいう。例えば、d1がd2よりも実質的に小さいとは、d1がd2よりも少なくとも30%、20%、10%、5%、2%、又は、1%小さいことを意味する。
【0062】
[0036]用語「硬い」とは、何らかの他のものよりも実質的に剛性が高いものを説明するために使用される相対的な用語である。例えば、第2の外装又はチューブと比べて径方向で硬い、半径の方向で硬い、又は、単に硬い第1の外装又はチューブは、第1の外装/チューブが第2の外装と比べて圧縮できないこと、或いは、外的な径方向圧縮力又は締め付け力が印加されるときに、同じ印加荷重に関して、第1の外装/チューブが第2の外装と比べて本質的に変形しないことを意味する。
【0063】
[0037]「膨張直径」又は「拡張直径」とは、スキャフォールドを血管内に埋め込むためにスキャフォールドをそのクリンプ形態から拡張させるようにスキャフォールドの支持バルーンが膨張されるときにスキャフォールドが達する直径のことである。膨張直径とは、公称バルーン直径を超えるダイレーション(dilation:拡張)後バルーン直径のことであってもよく、例えば、6.5mmバルーンは約7.4mmのダイレーション後直径を有し、或いは、6.0mmバルーンは約6.5mmのダイレーション後直径を有する。バルーンにおける公称対ダイレーション後比率は1.05〜1.15の範囲であってもよい(すなわち、ダイレーション後直径が公称の膨張バルーン直径より5%〜15%大きくてもよい)。バルーン圧によって膨張直径に達した後のスキャフォールド直径は、スキャフォールドが製造されて処理された態様、スキャフォールド材料、及び、スキャフォールド構造のいずれか或いは全てに主に関連する反跳作用に起因して直径がある程度まで減少する。
【0064】
[0038]スキャフォールドの「ダイレーション後直径(PDD)」とは、スキャフォールドの拡張直径まで増大されてバルーンが患者の脈管構造から除去された後のスキャフォールドの直径のことである。PDDは反跳作用をもたらす。例えば、急性PDDとは、スキャフォールドにおいて急性反跳をもたらすスキャフォールド直径のことである。
【0065】
[0039]「クリンプ前直径」は、チューブのOD又はスキャフォールドのそれがバルーンにクリンプされる前のODを意味する。同様に、「最終クリンプ直径」は、バルーンにクリンプされて外装配置直前にクリンピング機構から除去されるときのスキャフォールドのODを意味する。「クリンプ前直径」は、クリンプ直径より2、2.5、3.0倍大きくなり得るとともに、拡張直径又はダイレーション後直径よりも約0.9、1.0、1.1、1.3倍及び約1−1.5倍高くなり得る。「部分クリンプ」直径は、スキャフォールド又はセグメントがクリンプ前直径よりも小さく且つ最終クリンプ直径よりも大きい直径までクリンプされた後に達せられる直径である。部分クリンプ直径は、クリンプ前直径から、スキャフォールドがクリンプされるバルーンの約公称直径又は膨張越え直径までクリンプした後の中間直径であってもよい。部分クリンプ直径の一例は、
図3A及び
図4Aにおける”ステージII”後のスキャフォールド直径によって表わされ、また、米国特許出願公開第13/644,347号明細書(整理番号62571.675)に記載される。クリンピング機構又はクリンパは、スキャフォールドの直径を最終クリンプ直径まで減少させるべくほぼ均一の径方向圧力をスキャフォールドに印加するように構成される協働するブレード又は歯を含むリンク装置/機構に対応してもよい。クリンピング機構によって行なわれるクリンピングは、歯とスキャフォールドの表面との間に配置される高分子材料を含んでもよく、そのような配置の例は米国特許出願公開第2012/0042501号明細書(整理番号62571.448)で見出される。
【0066】
[0040]「反跳」は、外部から印加される力、例えば血管収縮がない場合の材料の塑性/非弾性変形後の材料の応答を意味する。スキャフォールドがその弾性範囲を越えて径方向に十分に変形されて外的圧力(例えば、管腔内面に作用するバルーン圧)が除去されると、スキャフォールド直径は、外的圧力が印加される前のその以前の状態に戻る傾向がある。したがって、印加されるバルーン圧によってスキャフォールドが径方向に拡張されてバルーンが除去されると、スキャフォールドは、それが有していた更に小さい直径、すなわち、バルーン圧が印加される前のクリンプ直径へ戻る傾向がある。埋め込み後30分以内の10%の反跳と6mmの拡張直径とを有するスキャフォールドは、5.4mmの急性ダイレーション後直径を有する。バルーン−拡張されたスキャフォールドにおける反跳作用は、長期間にわたって生じ得る。スキャフォールドの埋め込み後の検査により、埋め込み後約1週間の期間にわたって反跳が増大し得ることが分かる。別段に述べられなければ、”反跳”についての言及は、スキャフォールドの(軸方向又は長手方向に沿うのとは対照的に)径方向に沿う反跳を意味する。
【0067】
[0041]「急性反跳」は、血管内への埋め込み後の最初の約30分以内のスキャフォールド直径のパーセンテージ減少として規定される。
【0068】
[0042]「軸方向」及び「長手方向」は、相互置換可能に使用されるとともに、ステントの中心軸線又は管状構造体の中心軸線と平行又は略平行な方向、配向、又は、ラインを示す。用語「周方向」とは、ステント又は管状構造体の外周に沿う方向のことである。したがって、他方のリンクから180度離間されるリンクは、管状構造体の外周にわたって測定される180度を意味する。
【0069】
[0043]「径方向」は、ステントの中心軸線又は管状構造体の中心軸線に対して垂直又は略垂直な方向、配向、又は、ラインを示し、時として、周方向特性、すなわち、径方向強度を表わすために使用される。
【0070】
[0044]好ましい実施形態に係る高分子スキャフォールドは、径方向に拡張される或いは二軸方向に拡張される押し出しPLLAチューブから形成される。高分子チューブが受ける径方向拡張(RE)及び軸方向拡張(AE)の度合いは、含まれる周方向の分子の度合い及び結晶配向並びに周方向の強度を特徴付けることができる。幾つかの実施形態では、REが約400%であり、AEが40〜50%である。開示の範囲内と見なされる処理パラメータ、RE拡張、及び、AE拡張の他の実施形態は、2013年3月15日に出願された米国出願公開第13/840,257号明細書(代理人整理番号104584.47)において見出される。
【0071】
[0045]スキャフォールドは、拡張チューブからレーザカットされる。チューブの直径は、好ましくは、先に説明されたように、望ましい径方向強度特性を与えるべくスキャフォールドにおいて意図される展開直径とほぼ同じとなる或いは展開直径よりも大きくなるように選択される。その後、スキャフォールドは、バルーンカテーテルのバルーン上へクリンプされる。好ましくは、スキャフォールドをバルーンにクリンプするために虹彩タイプのクリンピング機構が使用される。スキャフォールドにとって望ましいクリンプ形状は、拡張されたチューブ及びスキャフォールドの開始(クリンプ前)直径の1/2又は1/2未満である。実施形態において、最終クリンプ直径に対する開始直径又はクリンプ前直径の比率は、2:1、2.5:1、3:1以上であってもよく、また、クリンプ前直径は、バルーン公称膨張直径よりも約0.9〜約1.5高くてもよい。最終クリンプ直径に対するクリンプ前直径又は中間クリンプ直径の比率は、スキャフォールドの最終クリンプ直径に対する拡張直径又はダイレーション後直径の比率より大きくてもよい。
【0072】
[0046]クリンピング後のスキャフォールド材料におけるクリンプ前記憶は、スキャフォールドがクリンパから除去されるときの幾らかの反跳を含む。この反跳傾向では、クリンパ内の滞留期間を減らすことができるが、スキャフォールドが使用を待つ間に抑制すべき残留反跳がある。これは、クリンパブレードが開放されてスキャフォールドがクリンパヘッドから除去された後に抑制外装をスキャフォールド上にわたって配置することによって行なわれる。反跳を低減させるこの必要性は、例えば先の例の場合のように、クリンピング中の直径減少が高いときに特に明らかである。これは、クリンプ直径と比べて大きい開始直径においては、クリンプされる材料がより高い反跳傾向を有し得るからである。本明細書中に記載される外装を構成するために使用されてもよい高分子の例は、ペバックス(Pebax)、PTFE、ポリエチレン、ポリカーボネート、ポリイミド、及び、ナイロンである。高分子スキャフォールドのための抑制外装の例、及び、高分子スキャフォールドのための抑制外装を取り付けて取り外すための方法は、米国特許出願公開第20120109281号明細書、米国特許出願公開第20120324696号明細書、米国特許第8414528号明細書、及び、米国特許出願公開第13/708,638号明細書(整理番号62571.676)に記載される。
【0073】
[0047]
図1は、スキャフォールド−バルーンカテーテルアセンブリ2の遠位端部の側面図を示す。カテーテルアセンブリ2は、カテーテルシャフト4と、送達バルーン12にクリンプされるスキャフォールド10とを含む。図示のように、2つの別個の外装20、30がスキャフォールド10上にわたって配置される。スキャフォールド10は、保護外装20内、及び、スキャフォールド10上にわたって保護外装を位置させるべく保護外装20の外表面上にわたって摺動される拘束外装30内に収容される。カテーテルアセンブリ2の遠位端部を患者内に挿入する前に、拘束外装30及び保護外装20が医療従事者によって除去される。
【0074】
[0048]外装20、30は、クリンプされたスキャフォールド10における反跳を低減するための効果的な径方向拘束をもたらす。しかしながらまた、外装20、30は、カテーテルアセンブリ2が内部にあるチューブを使用して外側外装30をスキャフォールド10及びバルーン12の遠位端部へ向けて引く或いは押すことによって医療処置の際に医療従事者によって容易に除去される。開示のこの態様(チューブを伴う)は、以下で更に詳しく説明される。外装20、30のための除去技術は、他の冠動脈器具製品のために必要とされる除去技術と同様の動きを含み、その場合、ステントを覆って保護するために単一の非拘束外装が使用される。それらの場合において、外装は、医師又は技術者の手袋をはめた手により握られて、器具の遠位端部へ向けて引き離される。しかし、本明細書中で説明されるように、径方向の拘束を加える外装は、医療器具の構造的一体性に悪影響を与えることなく手で除去することが困難となり得る。これらの場合、外装が手で除去されるときに特別な操作が医療従事者によって必要とされないように外装を配置することが望ましい。外装除去プロセスを分かり易くする或いは直観的にすることによって、医療従事者が外装を不適切に除去することにより医療器具を損傷させる可能性が減少される。
【0075】
[0049]外装20、30により課される拘束は、スキャフォールド10をそれがクリンピング機構から除去されるときに有していた直径と本質的に同じ或いはほぼ同じ直径に維持する。外装30は、スキャフォールド10に印加される径方向内側に向かう力がスキャフォールド10における反跳を防止する或いは減少させることができるように外装20及びスキャフォールド10に緊密に被嵌される。医療従事者は、その後、医療処置の際に両方の外装を除去してもよい。このようにして、医療器具を使用する前のスキャフォールド10の任意の想定し得る反跳が最小限に抑えられる。
【0076】
[0050]外装30は、(外装20を介して)緊密な嵌合をスキャフォールド10に課すが、スキャフォールド10がバルーン12から誤って引き離されるリスクを伴うことなく医療従事者によって容易に除去され得る。これは、開示にしたがって多くの方法で行なわれてもよく、それらの方法の少なくとも1つは、外装20が位置されてスキャフォールド10から除去される態様に基づく。外装が除去されるときに過度の引張力がスキャフォールド10に作用する場合には、カテーテルシャフト4が損傷される場合があり、スキャフォールド10がバルーン12から外れる又はバルーン12上でずれる場合があり、それにより、バルーン12に対するスキャフォールド10の保持を担うスキャフォールド−バルーン係合が低下される。
【0077】
[0051]
図1の場合のようにスキャフォールド10が外装30により拘束される際には、クリンプされたスキャフォールド10が見出される保護外装20の部分上にわたって拘束外装30が配置される。この外装30は、該外装30が径方向内側に向けられる力をスキャフォールド10に印加するように適切に選択される厚さ及び初期応力付与内径サイズを有する高分子チューブ材料から形成される。チューブが厚くなればなるほど、また、外装30における初期応力付与内径サイズが小さければ小さいほど、スキャフォールド10に対するこの拘束が高くなる。しかしながら、外装30の厚さをあまり厚くすべきではなく、また、外装の内径もあまり小さくすべきではない。その理由は、これにより、外装30をスキャフォールド10上にわたって摺動させること或いは外装30をスキャフォールド10から除去することが困難になるからである。外装30を再配置するために過度の力が必要とされる場合には、外装30が移動されるときに、スキャフォールド10がバルーン12から外れる可能性があり或いはスキャフォールド10及びカテーテルシャフト4が損傷されるようになる可能性がある。
【0078】
[0052]外装30のみが適用された場合、すなわち、外装20が存在しない場合には、スキャフォールド−バルーン係合に影響を及ぼすことなく外装30がスキャフォールド10に印加できる予荷重の大きさが制限される。しかしながら、スキャフォールド−バルーン表面と外装30との間に保護外装20を導入することにより、外装30は、外装30がスキャフォールド10に適用される及び/又はスキャフォールド10から除去されるときにスキャフォールド−バルーン係合の完全性に対してリスクを伴うことなく、より高い予荷重をスキャフォールド10に課すことができる。したがって、保護外装20は、外装30がスキャフォールド10に対して再配置される際にスキャフォールド−バルーン構造体の一体性を保護する役目を果たす。同様の態様で機能し得るワンピース外装の一例が米国特許出願公開第2012/0324696号明細書の
図5及び
図6A〜
図6Dにおいて見出される。
【0079】
[0053]保護外装20は、(図示のように)スキャフォールドの全長にわたって延び、また、(
図3Bにおいて見ることができるように)カテーテルアセンブリ2の遠位端部を越えて外装20が延びてもよい。保護外装20は、好ましくは、スキャフォールド/バルーン10/12を保護するために異なって寸法付けられる部分22、24、25を形成するように成形される高分子材料の一体品から形成される。
【0080】
[0054]外装20の遠位端部20bには円筒部の形態を成す隆起端部22が存在し、この隆起端部22は、該端部の右側にあって
図1ではスキャフォールド10を覆う外装20の本体部21よりも大きい直径を有する。隆起端部22は、外装30の遠位端部の動きに対する当接面をもたらす。すなわち、外装30が
図1の左へ移動されるときに外装30の端部30bが端部22に当接する。或いは、端部22が錐体の形状を成してもよく、その場合には、錐体の最大直径端が外装20の最遠位端部である。以下で説明されるように、隆起端部22は、外装20、30を除去するように機能してもよい。
【0081】
[0055]保護外装20は、近位端20aからカテーテルアセンブリ2(又は外装20)の遠位端部付近の位置まで延びる切れ目26を有する。切れ目26は、外装20の分離可能な上側及び下側の半体28、29を形成する(
図2D)。これらの半体29、28は、外装30が遠位端部20bへ向けて位置されるときに自由に離れて移動するように構成される。位置26aはリビングヒンジ26aと見なされてもよく、該リビングヒンジ26aの周りで外装20の上側半体29及び下側半体28が回転できる或いはスキャフォールド10から離れるように撓むことができる。外装30が
図1におけるスキャフォールド10の遠位端部側に移動されると、半体28、29は、ヒンジ26a付近で外装30により印加される予荷重に起因して、自然に広がる傾向がある(
図2A〜
図2Dでは、分離可能な半体28、29を更に明確に見ることができる)。半体29、28におけるこの配置は、外装30が遠位端部20bへ向けて移動された後、スキャフォールド−バルーンの構造的一体性に対する支障を最小限に抑えつつ、スキャフォールド10からの外装20の容易な除去をもたらす。外装30がスキャフォールド10上に被嵌されているとき或いはスキャフォールド10から除去されているとき、半体28、29の存在は、摺動外装30とスキャフォールド10の表面との間の直接的な接触を防止する。
【0082】
[0056]或いは、外装20は、2つの完全に分離可能な半体として、例えば、米国特許出願公開第2012/0324696号明細書の
図11Cに示される半体145a、140aとして、或いは、
図2に示されるものと同じであるが切れ目26が外装20の全長又は略全長にわたって延びる2つの半体として形成されてもよい。前者の外装20の実施形態の場合には、米国特許出願公開第2012/0324696号明細書の
図11Cの外装150が
図1又は以下で更に十分に論じられる本発明の他の適した実施形態に示される外装30と置き換えられる。
【0083】
[0057]
図1Aは、他の実施形態の拘束外装−外側外装230(
図7A〜
図7C参照)−が外装20上にわたって配置された状態の外装20の近位端部20aを示す。
図1Aを参照すると、近位端部20aには、半体28、29の組み合わせ近位端部が
図1の場合のように接合されるときに形成される部分24、25が存在する。半体28、29が接合されると、切り欠き部25、及び、端部22と同様の隆起(又は段付き)部24が形成される。切り欠き部25は、スキャフォールド10を覆う外装30/230の部分21の内径及びスキャフォールド/バルーン10/12の外径よりも小さい外径を有する。隆起部24は、
図1Aでは外装30又は外装230の内径を示す本体部21よりも大きい直径を有し、また、端部24における直径は、端部22における直径と同じであってもよい。隆起部24は、外装30/230の近位端部30aが
図1の右側へ移動することを妨げる当接部又はストッパ24aを形成する。隆起部24は、外装30/230がスキャフォールド10から滑り落ちるのを防止してもよく、及び/又は、外装30/230が均一な圧縮力をスキャフォールドの全長にわたって印加するように外装30/230の端部30aの部分を外装20の近位端部20aに対して配置してもよい。外装30/230の圧縮部(後述する)は、端部30aが端部24に当接するときに外装30がスキャフォールド/バルーン10/12の全長を適切に覆うように、切り欠き部25の長さにほぼ等しい長さ+スキャフォールド/バルーン長さを有する。
【0084】
[0058]切り欠き部25は、スキャフォールド10からの外装30の除去前の外装20の除去を妨げる。
図1Aを再び参照すると、近位端部20aの拡大図があり、この場合、外装230(仮想線で示される)は、スキャフォールド10上にわたって位置されるときにそれが外装部21に対して印加する内向きの予荷重F30に取って代えられる。切り欠き部25の遠位端部は張出部25aを形成する。外装30がスキャフォールド10上にわたって位置されると、外装部21に印加される内向きの予荷重F30が半体29、28を互いに押し付ける。半体28、29が互いに押し付けられた状態で、スキャフォールド/バルーンの近位端部14aは、張出部25aの左側への動きを妨げることによって
図1Aの左側への外装20の移動を阻止する。したがって、ユーザが外装230/30をスキャフォールド10の領域から除去する前に外装20を引き離そうと試みる場合(スキャフォールド/バルーンの一体性又はカテーテルシャフト4を損傷させる可能性がある)には、張出部25aがバルーンの近位端部14aに当接する(したがって、張出部25aは、外装20の干渉又は妨害張出部分と見なされてもよい)ため、この動きに対して抵抗が存在する。この抵抗は、外装20、30/230が不適切な態様で除去されていることをユーザに示はずである。外装20、30/230が適切に除去されるときには、第1の外装30が外装20の遠位端部20bへ移動され(それにより、予荷重F30を除去し)、その結果、半体28、29が自由に広がり、それにより、張出部25aは、外装20が抵抗なく除去されるようにスキャフォールド10を容易に通り越すことができる。これにより、ユーザは、外装20をバルーン−カテーテルアセンブリ2から除去することに対して抵抗がなければ外装20が適切に除去されることを知らされる。
【0085】
[0059]したがって、スキャフォールド−バルーンの一体性は、前述した半体28、29及び切り欠き部25の存在によって保護される。カテーテルアセンブリ2の遠位端部を越える外装20の延在長さは、例えば、スキャフォールド10の長さ、外装30の長さにほぼ等しく、或いは、これらの両方よりも長い。遠位端部を越えるこの長さは、カテーテルアセンブリ2の遠位端部を越える外装20の延在部に沿って外装30をそれぞれ摺動させることによって、スキャフォールド10からの外装30の直観的な摺動除去又はスキャフォールド10に対する外装30の摺動取り付けを容易にする。カテーテルアセンブリ2の遠位端部を越えて延びる外装20の長さ(米国特許出願公開第2012/0324696号明細書の
図4Aにおける長さL21)は、使用される外装の選択に依存してもよい。例えば、医療従事者除去プロセスの観点から、外装20が外装30と比べて剛性が高い(例えば、より高い壁厚及び/又は弾性率)場合、外装20における遠位端部4を越える長さは、スキャフォールド10の更に遠位端部側から外装30を除去することによって外装20の半体28、29をスキャフォールド10からより安全に移動させることができるように更に長くてもよい。外装30の壁厚及び/又は弾性率が外装20に対して高い場合には、外装30がカテーテルアセンブリ2の遠位端部よりも遠位へ移動される際に外装30が半体28、29を自然に広げる傾向があるため、長さは更に短くてもよい。また、例えばスキャフォールド10からの外装30の除去と共に或いはその除去の前にユーザが外装20を除去しようと試みる際の外装20の不適切な除去に対する抵抗を増大させるために、より厚い或いは弾性率がより高い外装20及び/又は外装30が望まし場合がある。
【0086】
[0060]好ましい実施形態において、拘束外装は、該拘束外装の他の部分の直径よりも大きい直径を有する部分を伴って形成される。外装30が
図1の場合のようにスキャフォールド上に位置されるときには、部材130が、保護チューブ内又はコイル内に受けられるカテーテル部分の長さに沿う任意の他の直径よりも実質的に大きい直径を規定してもよい。
【0087】
[0061]1つの例では、
図1における外装30の近位端部30aに或いは該近位端部30aに隣接して、直径d1を有する隆起部130が存在する。直径d1は、
図4A〜
図4Cに示されるようにカテーテルアセンブリ2がチューブ(又はコイル)から除去されているとき(以下で更に詳しく論じられる)に外装30がチューブ上に配置される部材により係合される或いは該部材と接触するように選択される。隆起部130は、外装30と同じ材料から形成されてもよく、例えば、直径d1のチューブに端を発して、隆起部130を当初の直径d1のままにしつつ外装30の拘束部分の直径(
図1)まで減少し或いは逓減してもよい。隆起部130は、一段高くてもよく、外側に広がってもよく、或いは、円錐台形状であってもよく、或いは、130を形成するために外装30に取り付けられる別個の部品であってもよい。隆起部130の長さは、端部30aが部分24と当接しているときにスキャフォールド全体が均一な圧縮力を受けているような長さであってもよい。これに関し、外装30を形成するために使用される同じチューブの外側に広がる部分又は内側/外側に隆起する部分によって形成される部分130に関して、部分130は、スキャフォールド10の全長にわたって均一な圧縮力が印加されるように外装30よりも近位端側にある。他の実施形態では、−−例えば、直径d1を形成する溶接された環状部品、又は、外装30の外表面に取り付けられるときにそれぞれがd1に等しい外装30のための範囲を形成する2、3、6個の周方向に離間されたタブ−−部分130は、スキャフォールドの長さにわたる任意の場所で径方向圧縮力に影響を及ぼすことなく外装30がスキャフォールドを拘束しているときにスキャフォールド上にわたって配置されてもよい。
【0088】
[0062]
図2B〜
図2Dを参照すると、外装20の様々図が示される。
図2Aは、外装20を外装30と共に示す。先に言及された外装30の拘束部分は、端部30aが端部24a(
図1A)に当接するときに外装30が十分に均一な径方向内側に向かう力又は予荷重をスキャフォールド10に印加するような長さL30を有してもよい。長さL30は、スキャフォールド−バルーン構造体の長さよりも僅かに大きい。外装30は、スキャフォールド位置(すなわち、
図2A又は
図1におけるその位置)へ向けて或いはスキャフォールド位置から離れるように外装外表面20上にわたって摺動され得る。先に言及されたように、外装20は、該外装20を形作るチューブを横切って形成される切れ目26によって作られる分離可能な上側及び下側の半体29、28を有する。
図2Dは、互いから分離された上側及び下側の半体28、29の斜視図である。この図から分かるように、半体28、29は、それらが分離する際にヒンジ26aの周りで回転する。
図2B及び
図2Cは、先に論じられた切り欠き部又は段付き部25及び端部24(
図1A)の一部を含む前述の構造体を示す外装20の更なる側面図及び斜視図をそれぞれ示す。
【0089】
[0063]
図2Cにおける長さL20は、半体28、29がスキャフォールド10上にわたって配置される状態で外装30をスキャフォールド10に押し付けてスキャフォールド10から除去できるように、スキャフォールド10の長さにわたって及びスキャフォールド10を越える十分な距離にわたって延びてもよい。この目的を達成するために、長さL20は、外装30の長さの少なくとも2倍、すなわち、L20=2×L30であってもよい。この長さは、外装30が端部22と当接するときに上側及び下側の半体28、29が外装30からの干渉を伴うことなく(
図2Dの場合のように)リビングヒンジ26aの周りでスキャフォールド表面から自由に離れるように剥離又は回転できるようにするべく十分でなければならない。
【0090】
[0064]先に述べたように、外装30を更に厚いチューブ及び更に小さい内径にすると、外装30は、より大きな予荷重をスキャフォールド10に印加する。外装30の厚さ及び/又は内径サイズは、外装20を考慮して選択される。すなわち、一方の外装の寸法付けは、望ましい予荷重の大きさのうちで適切なバランスを達成すること、外装30をスキャフォールド10の場所にわたって配置できる或いはスキャフォールド10の場所から除去できる容易さ、外装20の適切な除去に対する抵抗(前述したように、張出部25aが近位端部14aに当接する)を増大させること、及び、スキャフォールド−バルーン構造体の一体性に対する支障を回避すること、例えば、外装30が除去されているときのバルーンからのスキャフォールド10の引き離しを回避することに基づき、他方の外装に関して何のサイズを使用すべきかを決定し得る。例えば、(外装30と比べて)相対的に薄い及び/又は低い弾性率のチューブが外装20のために使用される場合には、外装30がより高い局所的な予荷重をスキャフォールド10に課す。また、スキャフォールド10は、外装30の動きによって影響される可能性が高い。これは、外装30の動きに基づいて外装20が容易に変形するからである。外装20が厚くされ及び/又は(外装30と比べて)高い弾性率のチューブ材料が外装20のために使用される場合には、スキャフォールド10が外装30の動きによって影響されない。また、スキャフォールド10に作用する予荷重の局所的な変化が更に小さくなる傾向がある。これは、外装20が外装30の動きに基づいて容易に変形しないからである。
【0091】
[0065]ここで、
図3A〜
図3Dを参照して、開示の幾つかの態様に係る医療器具の組み立て方法について説明する。医療器具は、本開示の幾つかの態様に係るその組み立て状態では、バルーンカテーテルにクリンプされるスキャフォールドと、
図1の場合のようにスキャフォールド上にわたって配置されるツーピース外装と、保護チューブ内に収容されているカテーテルとを含む。保護チューブ(又はコイル)の態様については、
図4A〜
図4C、
図5A〜
図5D、及び、
図6A〜
図6Bに関連して以下で更に詳しく説明する。
【0092】
[0066]外装が
図1の場合のように配置されて保護チューブ内に収容された状態のカテーテルアセンブリ2が包装されて滅菌される。カテーテルアセンブリが医療処置で使用されるべきときに、包装が開放されて、チューブ及び外装対が除去される。本開示の他の態様によれば、カテーテルアセンブリ2は、外装又は外装対、例えば外装30/230が除去されるまで患者内へ導入されないように構成される。例は以下の通りである。
【0093】
[0067]カテーテルをチューブ内に配置した後(或いは配置する前)、外装20/30が配置される前に、クリンピング機構を使用してスキャフォールド10がカテーテルアセンブリ2のバルーン12にクリンプされる。前述したように、高分子スキャフォールドの場合、クリンピング中の直径減少は、2:1、2.5:1、3:1、4:1、又は、それより大きくてもよい。スキャフォールドは、該スキャフォールドがバルーン上で最終クリンプ直径を有するときのスキャフォールドの直径の約2、2.5、又は、3倍である公称直径、拡張直径、又は、ダイレーション後直径を有するバルーン上に配置されてもよい。
【0094】
[0068]直径減少(クリンプ前サイズから最終クリンプ直径までの減少)は、スキャフォールド構造体中に高い応力をもたらす。クリンプ後の材料における記憶は、前述したように、スキャフォールド構造体の反跳を引き起こす。したがって、応力緩和を促進するべく加熱されたクリンパブレードが所定の直径及び温度を維持している間に応力緩和が構造体中に生じることができるように、例えば最終クリンプステップ後、クリンパ内の非常に長い滞留時間を組み入れることができる。滞留期間、及び、クリンピング後のクリンプされたスキャフォールド上にわたる拘束外装の押し付けは、いずれも、クリンピング後の反跳を低減するのに役立つ。クリンピング後の応力緩和及び反跳に影響を及ぼし得る望ましい滞留時間及び温度を含むバルーン12に対するスキャフォールド10のクリンピングは、米国特許出願公開第12/861,719号明細書(整理番号62571.448)、米国特許出願公開第13/089,225号明細書(整理番号62571.517)、及び、米国特許出願公開第13/107,666号明細書(整理番号62571.522)に開示される。
【0095】
[0069]スキャフォールドは、クリンピング機構からの除去後、径方向の拘束に晒されなければ反跳を来す。本開示の1つの態様によれば、クリンピング直後に仮ワンピース外装がスキャフォールド上に配置され、その後、クリンピング機構からの除去から約30分後に、仮ワンピース外装が
図1の外装と置き換えられる。本開示に係るワンピース外装の例は、米国特許出願公開第13/708,638号明細書(整理番号62571.676)に記載されるワンピース外装23である。
【0096】
[0070]外装対20/30は以下のように取り付けられてもよい。
図3Aに示される外装対は、カテーテルアセンブリ2に取り付けられる前にマンドレル8上に配置される。マンドレル8は、カテーテルシャフト4のガイドワイヤルーメン(図示せず)に通されて、カテーテルアセンブリ2の遠位端部で抜け出る。その後、外装対がカテーテルアセンブリ2よりも遠位側でマンドレル8上に配置される。その後、マンドレル8は、
図3B−
図3Dに示されるように、スキャフォールド−バルーン10/12上にわたって外装対を案内するために使用されてもよい。
【0097】
[0071]
図3Bを参照すると、外装30の遠位端部30bが外装20の隆起部22に隣接する。この形態では、半体28、29が自由に開放又は閉塞できる。その後、外装対がスキャフォールド−バルーン10/12へ向けて移動される。半体28、29はスキャフォールド−バルーン10/12を覆うように容易に撓む。外装対は、以下のようにスキャフォールド−バルーン10/12へ向けて摺動されてもよい。カテーテルアセンブリ2を静止させたまま、一方の手でマンドレル8を握るとともに、他方の手で外装対を握り、
図3Cに示されるように半体28、29がスキャフォールド−バルーン10/12を覆って配置されるまで外装対をマンドレル8上にわたって摺動させる。適切に位置されると、部分24、25が近位端部14aに対して
図1Aに示されるように位置される。
【0098】
[0072]
図3C〜
図3Dを参照すると、半体28、29がスキャフォールド−バルーン10/12上にわたって適切に配置されてこの構造体を保護した時点で、(
図3C〜
図3DでPにより示されるように)拘束外装30をスキャフォールド−バルーン10/12上にわたって押し進めることができる。外装30は、以下の態様でスキャフォールド−バルーン10/12上にわたって押し進められてもよい。隆起端部22及びマンドレル8がこれらの2つを動かないように保持するべく一方の手で握られる。その後、他方の手を使用して、バルーン−スキャフォールド10/12の近位端部14a(
図1A)に近接した位置を示す外装20の隆起端部24の近傍に外装30の端部30aが配置されるまで或いは外装30の端部30aが隆起端部24と当接するまで外装30がスキャフォールド−バルーン10/12上にわたって押し進められる。或いは、部分24及びカテーテルシャフト4が手で同時に保持される一方で、外装30が他方の手でスキャフォールド10へ向けて押し進められてもよい。カテーテルシャフト4と共に部分24を握ることにより、半体28、29は、外装30がスキャフォールド10上にわたって押し進められている間にスキャフォールド10に対して所定位置に保持される。
【0099】
[0073]
図1の場合のように外装がスキャフォールド上にわたって位置された状態で、カテーテルがチューブ内又はコイル内に配置される。カテーテルシャフトと比べて硬質であってもよいチューブ又はコイルは、出荷/配送中及び保管中にカテーテルを保護する。包装されて滅菌した医療器具が医療従事者により受けられると、医療器具は、内側の内容物を破損しないように保護するべく硬質チューブ内に収容されてもよい。
【0100】
[0074]本開示の他の態様によれば、チューブ又はコイルは、カテーテルがチューブ又はコイルから除去される際に1又は複数の外装をスキャフォールドから除去するための部材が取り付けられ或いは該部材を含む。より一般的には、チューブと、スキャフォールドを支持するカテーテルがチューブから除去されているときにスキャフォールドを拘束する外装と干渉する部材とを含む構造体が存在する。
【0101】
[0075]例えば
図4A〜
図4Cを参照すると、チューブ140からのカテーテル2の除去中の一連の事象が示される。チューブは、部材130の直径d1よりも大きいクリアランスd2を有する。このように、チューブ140が該チューブのルーメンの長さのいずれの場所においてもクリアランスd2を有するため、カテーテルは、チューブからの干渉を伴うことなくチューブに沿って自由に摺動する。本開示の他の態様によれば、部材152がチューブ140からのカテーテル2の除去を妨げ、その結果、カテーテル2がチューブ140から除去されるときに1つ以上の外装がスキャフォールド10から除去される。部材152(以下で更に詳しく説明される)は、d1及びd2よりも小さい減少されたクリアランスd3を形成する。
【0102】
[0076]チューブ又はカテーテルの近位端部又は遠位端部の近傍に部材が配置されてもよい。好ましくは、部材152は、カテーテルがチューブ140内にあるときにカテーテルの近位端部付近に(すなわち、カテーテルハブに隣接して)配置される。再び
図4A〜
図4Cを参照すると、カテーテル2は、その除去シーケンス中に、チューブ140の近位端部(図示せず)から引き出され、或いは、カテーテルの近位端部が保持される間にチューブ140がカテーテル2の遠位端部へ向けて押し進められる。いずれの場合にも、部材152は、最終的に、外装30の部材130の近傍に移動して、外装20の遠位端部又はカテーテル2の遠位端部へ向けて外装30を押し始める。
図4Cは、左側へ移動されてスキャフォールド10からほぼ完全に除去された外装30を示す。この動作は、内側外装20の半体28/29のみがスキャフォールド10上にとどまったままにする。カテーテル2がチューブ140から除去された後、外装20をスキャフォールド10から容易に除去することができる(外装20が圧縮力をスキャフォールド10に印加しないからである)。
図1の外装20における隆起端部22の場合には、部材152によって外装30を
図4Cの左側へ移動し続けると、外装20もスキャフォールド10から除去できる(米国特許第8414528号明細書の
図4A〜
図4Cと関連して更に詳しく説明される)。或いは、外装20は、チューブ140からのカテーテルの除去後にスキャフォールド10を覆うその位置を部分的に或いは完全に維持できる。また、外装30は、チューブ140からの除去後に外装20上及び/又はカテーテル上に部分的に保持されてもよい。このように、カテーテルがチューブから除去された後、外装20/30をスキャフォールド10及び/又はカテーテルから完全に或いは部分的に除去することができる。
【0103】
[0077]ここで、
図5A−
図5D及び
図6A−
図6Bに関連して、外装と干渉するためのクリアランスd3を規定する構造体の実施形態について説明する。
【0104】
[0078]
図5A〜
図5Bを参照すると、クリップ150がチューブ140の近位端部付近に配置される。クリップは、リビングヒンジ153を介して互いに接続される2つの半体150a、150bによって形成されてもよい。各半体150a、150bは突起152を有する。チューブ140は、
図5A〜
図5Bに示されるようにクリップ半体150a、150bが引き合わせられるときに突起152をチューブ140の孔内へ通すための2つの対向する貫通穴143を備えるように変更される。突起152の端部間にはクリアランスd3が存在する。クリップは、接着剤、超音波溶着、溶剤結合、テープ、ケーブル紐、又は、紐ラップなどの留め具156によってまとめられてもよい。
【0105】
[0079]
図5Cを参照すると、内側フランジ152’を有するスリーブ150’がある。フランジは、減少されたクリアランスd3を形成する。スリーブ150’の内面は、チューブ140を近位端部がフランジ152’と当接するように嵌め合い状態で受けるべく寸法付けられる。スリーブ150’は、チューブからのカテーテル2の除去、すなわち、スキャフォールド10からの少なくとも外装30の除去を妨げるための部材をチューブ140に設けるべくチューブ140の近位端部に締結されてもよい。カテーテル2は、クリンピング前又は外装配置前に、スリーブ150’の端部内へ、チューブ140がスリーブ150’の反対側の端部に取り付けられた状態で送り込まれる。
【0106】
[0080]
図5Dを参照すると、内面152’’を形成するリム150’’がチューブ140内に形成されてもよい。内面152”は、チューブ140の近位端部付近でクリアランスのd2からd3への減少をもたらす。リム150’’は、内径d2を有するチューブの端部を再成形することよって形成される。そのような再成形は、スエージング加工によって或いは熱と圧力との組み合わせを加えることによって達成されてもよい。
【0107】
[0081]
図6A〜
図6Bは、本開示の他の態様に係るカテーテル2を受けるためのチューブ160の態様を示す。1つの態様において、チューブ160は、外装と干渉するための部材を形成する構造体の他の実施形態を提供する。チューブ160の近位端部165を示す
図6Bを最初に参照すると、直径がd2からd3へ減少している。d3クリアランスは、クリアランスd3を有する狭い通路又は首部150’’’を壁152’’’間に与えるために長さL(Lは、おおよそ外装30/230の長さ以下であってもよい)にわたって延びてもよい。
【0108】
[0082]
図6Aを参照すると、チューブ160は、該チューブ160の近位端部165を含む第1のチューブ部分160aと、チューブ160の遠位端部166を含む第2のチューブ部分160bとによって形成される。チューブ部分160a、160bはチューブ160の別個の部品である。2つの部品を互いに締結するためにスリーブ、テープ、又は、クリップ168が使用されてもよい。カテーテルとスキャフォールド(外装によって径方向で拘束される)とが組み付けられると、カテーテルシャフト及び遠位端部がチューブ160内に収容される。カテーテルのハンドル又はハブ部(図示せず)は、チューブ160の外部にあって、チューブ160の近位端部165の近傍にある。
図6Aに示されるように、首部150’’’は近位端部165付近に配置される。カテーテルは、ハンドル又はハブ部(例えば、操向及び/又はルーメン圧制御を有するカテーテル部)をチューブ近位端部165から引き離す或いはチューブをカテーテル遠位端部へ向けて押し進めることによってチューブ160から除去される。いずれの場合にも、首部150’’’は、外装、拘束外装又は外側外装、例えば外装30と干渉するが、カテーテルの任意の他の部分と干渉しない。
【0109】
[0083]チューブ160は、カテーテル遠位端部をカテーテルの残りの部分がチューブ部分160a内に収容される状態で処理する又は組み付けるために分離可能な部品160bを有する。チューブ160の部分160bの長さは、バルーンを含むカテーテル遠位端部の長さと少なくとも等しい。部分160bが部分160aから取り外された状態では、術者は、カテーテルの残りの部分をチューブ160から除去する必要なくクリンピング、検査、及び/又は、クリンプされたスキャフォールドに1つ以上の外装を取り付けるためにバルーン12に自由にアクセスできる。このように、カテーテルの大部分は、外装を除去するように構成される保護チューブ内にとどまることができ、それにより、処理中のカテーテルシャフトの不慮の破損を防止できる一方で、スキャフォールド及びバルーンを含む遠位端部、バルーンにクリンプされるスキャフォールド、及び、スキャフォールド上にわたって配置される外装を検査することができる。
【0110】
[0084]術者は、カテーテルがチューブ部分160b内にとどまる状態で、d1直径を規定する部材を有する外装、例えば外装20/30をクリンプされたスキャフォールド上に配置してもよい。外装、例えば
図1〜
図2の外装20/30をスキャフォールドに取り付けた後、スリーブ168を使用して部分160bが部分160aに取り付けられてもよい。取り外し可能な部分160bが設けられなかった場合には、カテーテルがチューブ内に配置されるときにクリアランスd3を規定する首部150’’’が拘束外装を阻止するため、カテーテルをチューブ160内に配置できない。ワンピースチューブの場合、構造体150、150’、150’’又は150’’’はそれぞれ、クリンピング及び外装配置の後にチューブに嵌め付けられ、形成され、或いは、取り付けられてもよい(カテーテルのハブ、ハンドル、ハンドル部がシャフトの近位端部に固定されるため、カテーテルシャフトだけをチューブ近位端部165からチューブ内に配置できる)。
図6Aの実施形態によれば、クリンピング及び外装配置の前に、首部150”’がチューブに形成されて、カテーテルがチューブ160内に配置されてもよい。外装配置後に、部分160bを再び取り付けることができる。
【0111】
[0085]ここで、
図7A〜
図7D及び
図8A〜
図8Cを参照して、本開示の他の態様に係る外装について説明する。
【0112】
[0086]
図7A〜
図7Cを参照すると、
図1〜
図2に描かれる前述した外装20/30に代わるものとして、改変された外装230が外装30に取って代わる。外装230は、以下の態様が外装30とは異なる。外装230は部材130を含まず、また、外装は、外装除去中に保護外装20を引くことなくユーザにより握られてもよい拡張部を有する。外装20/230(
図7A〜
図7B)は、外装230の除去前又は除去と同時に保護外装20を妨げることによって拘束外装のより安全な除去を容易にする。両方の外装を同時に除去すると、前述したようにスキャフォールド又はカテーテルを損傷させる可能性がある。好ましい除去は、拘束シャフト230がスキャフォールドを乗り越えた後においてのみ外装20を除去することである。
【0113】
[0087](全長L30を有する外装30とは対照的に)長さL240を有する延在部240を設けることにより、ユーザは、外装20を握ることが妨げられる。これは、外装20のほぼ全体にわたって延在部240が配置される(これにより、外装20を直接に引くことを困難にする)からである。外装230は部分240、235を含む。部分240は、部分235よりも大きい外径を有してもよい。外装230は、部分240の直径を有する単一のチューブから形成されてもよい。部分235は、チューブ230の一段減少された部分として形成され、長さL30を有する。部分235は、径方向圧縮力をスキャフォールド10に印加する。外装230の全長は、L30とL240との和に等しいL230である。長さL230は、外装230が外装20上にわたって配置されるときに外装20の両方の端部24、22を見ることができるように、おおよそ外装20の長さであり或いは外装20の長さより僅かに短くてもよい。
【0114】
[0088]ここで、スキャフォールド10から外装20/230を除去する方法について説明する。カテーテルアセンブリが医療処置で使用されるべきときに、包装が開放されて、外装対が遠位端部から除去される。カテーテルアセンブリ2は、外装対が除去されるまで患者内へ導入されないように構成される。
図8Aは、包装されて滅菌した医療器具が医療従事者によって受けられるときのカテーテルアセンブリ2の遠位端部における外装20、230の配置を描く。そのような滅菌包装の例は、米国特許出願公開第2008−0010947号明細書(整理番号62571.60)において見出される。外装20及び部分240は、それらがおおよそスキャフォールドの長さ分又は長さL30分だけカテーテル遠位端部から張り出すようにカテーテルアセンブリ2の遠位端部を十分に越えて延びてもよい。これらの張出部は、医療従事者による外装対の直観的な除去を容易にし、それにより、外装対が不適切に除去される機会を減らすべく設けられる。
【0115】
[0089]ここで、
図8A〜
図8Cを参照して、外装対を医療従事者によってスキャフォールド−バルーン10/12から除去するための方法について説明する。これらの例示は、マンドレル8上にわたってシール対を移動させることに言及するが、マンドレル8は必要ない。外装対30/230は、マンドレル8を使用することなくカテーテルアセンブリ2から安全に除去されてもよい。
【0116】
[0090]外装20、230が
図8Aに示されるように位置された状態の滅菌されて包装されたカテーテルアセンブリは、一般に、曲げ剛性をシャフト4に与えるためにカテーテルシャフト4のルーメン内に補強又は収納マンドレル8を含む。マンドレル8の遠位端部は、マンドレル8をカテーテルアセンブリ2の遠位端部6へ向けて引くことによってマンドレル8をカテーテルシャフト4から手動で引き出すために使用される巻回された端部、又は、延在部/ストッパを遠位端部に有する(図示せず)。以下の例では、外装20、230が除去される。処方ステップは、好ましくは、例えば隆起端部22、外装230、及び、マンドレル8を同時に握ることによってマンドレル8をカテーテルシャフトルーメンから除去する行為も含む。
【0117】
[0091]最初に、外装230の部分240が握られてスキャフォールド−バルーン10/12構造体から引き離され、それにより、拘束部分235がスキャフォールド−バルーン10/12構造体から除去される。外装230は、以下の態様でスキャフォールド−バルーン10/12から引き出され或いは引き離されてもよい。一方の手が部分230を握持し、また、カテーテル2を動かないように保持するために他方の手がスキャフォールド10よりも近位端側のカテーテルシャフト4を握持する。外装230はPの方向に引かれる(
図8B)。ID接合部241が外装20の段付き端部22に当接するときに、拘束部分235はスキャフォールドを乗り越えてしまっている。この時点で、外装230を引き続けると、外装20もスキャフォールドから除去され、最終的に、外装20/230がカテーテル2から分離される。したがって、隆起端部22は、クリンプされたスキャフォールドへの支障を最小限に抑えつつ両方の外装を安全な態様で除去するための当接部として機能する。
【0118】
[0092]チューブの単一品から形成される外装230に代わるものとして、
図7Dでは、互いに締結される異なる直径の2つのチューブから形成される外装250がある。外装250は、スキャフォールドに対して径方向の拘束を加える第1の部分252と、第1の部分252をスキャフォールドから除去するための第2の部分255とを有する。外装250は、外装230に関して前述した態様と同じ態様で位置されてシャフト20から除去されてもよい。外装230と同様に、外装250が除去されるときに端部22と当接するためのID接合部251が存在する。
【0119】
[0093]外装20を形成する好ましい方法において、隆起端部は、外装30、230が外装20を形成するチューブを覆う状態で形成される。隆起端部は、外装30を外装20上に保持する。ワンピース外装30/230は、隆起端部を形成する前に外装20を形成するチューブ上にわたって配置されるため、ワンピース外装30/230の全長は、好ましくは、(製造上の理由のため、隆起端部を形成するべく端部にアクセスできるように)外装20の全長よりも短く制限される。しかしながら、ツーピース外装250を使用することにより、最終的な外装の全長L250を外装20よりもかなり長くすることができる。これは、外装20の隆起端部を外装20上の部分252と共に形成できるがチューブ部分255が254に取り付けられる前に形成できるからである(
図7D)。
図7Dの実施形態によれば、外装250は、好ましくは、外装20の長さよりも長い長さL250、外装20とほぼ同じ長さ、或いは、更に短い長さのいずれかを有してもよい。
【0120】
[0094]クリンピング方法によれば、スキャフォールド10の高分子のガラス転移温度又はその付近でのクリンピングプロセスは、
図3A及び
図4Aを含む米国特許出願公開第13/644,347号明細書(整理番号62571.675)で説明されるように行なわれる。前述したようなツーピース外装を配置する前に、仮外装には、該外装がスキャフォールドに取り付けられるときに外装の引き離しを容易にするスリット又は脆弱領域が形成されてもよい。そのような外装の例は、米国特許出願公開第13/708,638号明細書(整理番号62571.676)に
図2、
図3A〜
図3E、及び、
図4に示されるように記載される。
【0121】
[0095]本発明の例示された実施形態の先の説明は、要約に記載されるものを含めて、包括的であるように意図されておらず、或いは、開示される正にその形態に本発明を限定しようとするものではない。本明細書中には本発明の特定の実施形態及び本発明のための実施例が例示目的で記載されるが、当業者が認識できるように、様々な変更が本発明の範囲内で想定し得る。
【0122】
[0096]これらの変更は、先の詳細な説明に照らして本発明に対して行なうことができる。特許請求の範囲で使用される用語は、明細書中に開示される特定の実施形態に本発明を限定するように解釈されるべきでない。むしろ、本発明の範囲は専ら特許請求の範囲のみによって決定されるべきであり、特許請求の範囲は、その解釈の確立された原則にしたがって解釈されなければならない。
[発明の項目]
[項目1]
高分子を備えるスキャフォールドを含み、前記スキャフォールドがバルーンにクリンプされるカテーテルと、
前記スキャフォールド上全体にわたって配置される外装と、
前記カテーテルの少なくとも一部を収容するチューブと、
前記チューブ内に配置される部材であって、前記チューブが前記カテーテルから分離されるときに前記部材が前記外装を前記スキャフォールドから部分的に又は完全に除去する、部材と
を備え、
前記カテーテルは、前記外装が前記スキャフォールドから除去された後においてのみ哺乳類の体内へ導入されるように構成されている、装置。
[項目2]
前記スキャフォールドが、該スキャフォールドのクリンプ直径の少なくとも約1.5、2、3、又は、4倍であるクリンプ前直径を有する径方向に拡張されたチューブから形成されている、項目1に記載の装置。
[項目3]
前記部材が前記カテーテル又は前記チューブの端部に配置されている、項目1又は2に記載の装置。
[項目4]
前記チューブが前記外装と比べて硬い、項目1〜3のいずれか一項に記載の装置。
[項目5]
前記チューブが、前記カテーテルのシャフトのほぼ全長にわたって延びている、項目1〜4のいずれか一項に記載の装置。
[項目6]
前記外装が拘束部分と保護部分とを含み、前記拘束部分が、前記スキャフォールドの反跳を制限するために径方向内側に向かう力をクリンプされた前記スキャフォールドに印加する、項目1〜5のいずれか一項に記載の装置。
[項目7]
前記外装がツーピース外装である、項目1〜6のいずれか一項に記載の装置。
[項目8]
前記外装がクリアランスを上回る第2の部材を含み、それにより、前記外装が、前記第2の部材が前記クリアランスに直面するときに前記スキャフォールドから部分的に又は完全に引き離される又は押し離される、項目1〜7のいずれか一項に記載の装置。
[項目9]
前記部材が、クリップ、リム、フランジ、又は、前記チューブの一部である、項目1〜8のいずれか一項に記載の装置。
[項目10]
医療器具の送達のための装置であって、
公称膨張直径を有するバルーンを含むバルーンカテーテルと、
高分子を備える径方向に拡張されたチューブから形成されるスキャフォールドであり、前記スキャフォールドが前記バルーンにクリンプされるとともにクリンプ直径を有し、前記バルーンの前記公称膨張直径が前記スキャフォールドの前記クリンプ直径よりも約2、3、又は4倍大きい、スキャフォールドと、
前記スキャフォールド上全体にわたって配置される拘束外装であり、該外装が前記クリンプ直径を維持するべく前記スキャフォールドの反跳を最小限に抑えるように構成されている、拘束外装と、
前記カテーテルを収容する硬質チューブと
を備え、
前記カテーテルは、該カテーテルが前記チューブから除去された後においてのみ哺乳類の体内に通されるようになっている、装置。
[項目11]
前記スキャフォールドが、(1)略径方向に整列される高分子鎖が前記スキャフォールドの拡張前チューブ直径の約200〜400%分の径方向の二軸拡張に起因する、及び、(2)前記スキャフォールドが、チューブ直径又はクリンプ前直径から、チューブ直径から少なくとも2〜3倍減少されるクリンプ直径までクリンプされる、ことによって特徴付けられる形態を有する、項目10に記載の装置。
[項目12]
前記スキャフォールドがPLLAを備える高分子組成から形成されている、項目10又は11に記載の装置。
[項目13]
クリンプされた前記スキャフォールドの高分子鎖が、約400%〜450%の径方向拡張と150%〜200%又は10%〜50%の軸方向拡張とに起因して略径方向に整列されている、項目10〜12のいずれか一項に記載の装置。
[項目14]
前記チューブが、前記外装を前記スキャフォールドから部分的に又は完全に除去するように構成され、又は、前記カテーテルが前記チューブの近位端部から引き出されるときに外装の拘束部分を前記カテーテルから部分的に又は完全に除去するように構成されている、項目10〜13のいずれか一項に記載の装置。
[項目15]
前記カテーテルがシャフトとハブとを備え、前記シャフトの全体が前記チューブ内に収容されている、項目10〜14のいずれか一項に記載の装置。
[項目16]
ルーメンを有するとともに、バルーンにクリンプされるスキャフォールドを含むカテーテルが前記ルーメン内に収容されるチューブを用意するステップであって、外装が前記スキャフォールドを拘束する、ステップと、
前記カテーテルを前記チューブから除去することによって前記外装を前記カテーテルから除去するステップと
を備える方法。
[項目17]
前記チューブが、少なくともカテーテル遠位端部からカテーテル近位端部まで延びている、項目16に記載の方法。
[項目18]
前記スキャフォールド及び前記カテーテルが、前記外装及び前記チューブの両方が除去された後においてのみ体内に埋め込まれるように構成されている、項目16又は17に記載の方法。
[項目19]
前記チューブが前記外装と比べて硬い、項目16〜18のいずれか一項に記載の方法。
[項目20]
外装を除去する前記ステップが、前記チューブの第1の部材と前記カテーテルの第2の部材とを係合させることを含む、項目16〜19のいずれか一項に記載の方法。