(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【背景技術】
【0003】
フェキソフェナジン[(+)−4−[1−ヒドロキシ−4−[4(ヒドロキシジフェニルメチル)−1−ピペリジニル−ブチル]−α,α−ジメチルベンゼン酢酸]は、選択的末梢H1−受容体アンタゴニスト活性を有する周知の抗ヒスタミン剤化合物である。物質としてのフェキソフェナジンは通常下記式(I)で表わされるフェキソフェナジン塩酸塩の形態で使用される:
【化1】
【0004】
フェキソフェナジン塩酸塩を製造する方法は特許文献1から公知である。さらに、フェキソフェナジン塩酸塩はALLEGRA(登録商標)という名称で市販されている。
【0005】
フェキソフェナジンは水溶液中で難溶性であり、その製剤化は患者に効果的に投与する上で困難な問題となる。うまく設計された製剤は、最低でも、治療上有効な量の疎水性化合物を所望の吸収部位に吸収可能な形態で提供することができるべきである。この最低の機能でさえ、疎水性治療剤の送達に胃液および腸液のような水性の生理的環境との相互作用が必要とされる場合には達成するのが困難である。さらに、異なる個人の薬剤吸収は胃腸機能と食物摂取の差違のため大きく異なるかもしれない。従って、投与量を決定し調節することはやや困難である。
【0006】
フェキソフェナジンは、インビトロモデルで高めの投与量でも非鎮静型にみえる点で独特である。流出輸送体P−糖タンパク質(P−gp)はフェキソフェナジンを輸送すると報告されており、フェキソフェナジン薬物動態学の重要な決定因子であると考えられる。フェキソフェナジンはP−gpおよび幾つかの有機陰イオン輸送ポリペプチド(OATP)の基質であるので、食物および薬剤の同時投与はその経口生物学的利用能に大きい影響を及ぼす。さらに、経口投与可能な形態のフェキソフェナジンの製剤化における別の問題は、殊に胃内条件でのその低い溶解性である(pH1.2の緩衝剤水溶液1mlに対してフェキソフェナジンHCl0.2mgの溶解度)。
【0007】
経口の医薬組成物へのフェキソフェナジンの製剤化におけるさらに別の困難さはその不快な濃く苦い味および後味であり、そのため治療が不十分になるかまたはさらには服薬不履行に至り、従って、治療の効率に負の影響が出る。
【0008】
また、フェキソフェナジン塩酸塩は、P−糖タンパク質代謝経路の関与に基づく初回通過代謝のため経口の生物学的利用能が低下している(33%以下)。
【0009】
Allegra(登録商標)というブランドのフェキソフェナジンは、従来、Allegra 30mgおよび60mg 1日2回 Tablet;Allegra 180mg 1日1回 TabletならびにAllegra Paediatric Suspensionのような小児向け経口投与用液体懸濁剤として入手可能である。この抗ヒスタミン剤は、ラズベリー味であり、眠気を起こさず、作用開始が迅速で、抗炎症効果を有するので、小児向けに特別に処方される。また、2〜11歳小児用として、そして6カ月〜11歳児のじんま疹に関連する症状の治療用として指示される。
【0010】
特許文献2から公知のAllegra(登録商標) Paediatric Suspensionは、この液体の経口投与形態の薬品の適応性または望ましさを制限する保存剤および糖を含有している。この製剤はブチル−パラベン、メチル−パラベンおよびプロピル−パラベンのようなパラベンを含んでいる。しかし、パラベンは、薬物アレルギーを含む健康への悪影響と関連付けられている。ブチルパラベンはヒトの生殖に対して影響を及ぼすことが決定されており、精子形成に対して悪影響がある。パラベンは、液体の投与形態が組成物の安定性を確実に維持するようにするために含まれている。
【0011】
Allegra(登録商標)はまた、単糖類のブドウ糖と果糖からなり分子式C
12H
22O
11を有する二糖であるショ糖のような天然糖も含んでいる。糖は、通例、甘味料であることに加えて、フェキソフェナジン液体組成物の風味を増し、フェキソフェナジンに関連する苦いまたは不快な味を遮蔽するかまたは最小にするために含まれている。しかしながら、より健康によい医薬製剤および組成物に対する消費者の需要が増大している。さらに、多くの消費者は薬剤を消費する際にカロリー摂取を避けることを好んでおり、これらの消費者は口に合う味を保ちながら不必要なカロリーを回避する製剤を使用することに特に熱心である。例えば、糖を含まない製剤は、糖尿病患者、妊婦、および小児科の患者、すなわち通例糖の消費を制限することが必要とされるかまたは要請される患者にとって望ましい。
【発明を実施するための形態】
【0015】
「化学的安定性」とは、特に、フェキソフェナジン、またはその薬学的に許容可能な塩、特にフェキソフェナジン塩酸塩の分解に対して高い抵抗力を示す液体組成物を意味する。従って、40℃、湿度75%で1、2、3または6カ月貯蔵した際、本発明による医薬組成物は通常高レベルの分解を示さず(全不純物レベルはフェキソフェナジンまたはその薬学的に許容可能な塩の3重量%未満、好ましくは2重量%未満)、フェキソフェナジンまたはその薬学的に許容可能な塩の初期含有率の少なくとも97重量%、好ましくは少なくとも98重量%、最も好ましくは少なくとも99重量%を含有する(HPLC分析で示される)。
【0016】
「物理的安定性」とは、貯蔵の際に見かけの清澄さ(透明性)を保つ液体組成物を意味する。特に、40℃、湿度75%で1、2、3または6カ月貯蔵した際、本発明による医薬組成物は通常全く曇りを示さない。
【0017】
有利なことに、本発明は、本発明の組成物および方法を提供することによって、当業界のまだ対処されてないニーズの1つまたはそれ以上を満たすことができる。
【0018】
本発明は、
− 医薬として有効な量のフェキソフェナジンおよび/またはその薬学的に許容可能な塩、
− ポリエチレングリコールもしくはプロピレングリコール系溶媒、またはこれらの混合物のいずれかである薬学的に許容可能な担体、
− 35〜90重量%の、フェキソフェナジンおよび/またはその薬学的に許容可能な塩を安定化する医薬品賦形剤であって、場合によりソルビトールを含んでいてもよいグリセロールからなる前記医薬品賦形剤
を含む経口投与用液体医薬組成物を提供する。ここで、重量パーセントは組成物の総重量に対する。
【0019】
本出願を通じて、範囲は境界を含むことを意図していることに留意されたい。
【0020】
組成物中に導入されるフェキソフェナジンは、好ましくはフェキソフェナジンの塩、より好ましくは、上記式(I)で表わされるフェキソフェナジン塩酸塩である。フェキソフェナジン塩酸塩は塩の水和の程度に応じて3つの形態で存在する。好ましくは、フェキソフェナジン塩酸塩は形態I、すなわち無水である。
【0021】
本発明の組成物で、フェキソフェナジン塩酸塩は、組成物の0.05重量%〜2重量%の範囲の量で存在する。好ましい実施形態において、フェキソフェナジン塩酸塩は組成物の0.1重量%〜1重量%の範囲の量で存在する。例えば、フェキソフェナジン塩酸塩は組成物の約0.5重量%存在する。
【0022】
あるいは、フェキソフェナジン塩酸塩は組成物5mLに付き20mg〜40mgの範囲の量で存在する。好ましい実施形態において、フェキソフェナジン塩酸塩は組成物5mLに付き25mg〜35mgの範囲の量で存在する。例えば、フェキソフェナジン塩酸塩は組成物5mLに付き30mgの範囲の量で存在する。
【0023】
活性薬剤の正確な投与量および投与される個々の製剤は幾つかの要因、例えば、治療される状態、治療の所望の持続時間および活性薬剤の放出速度に依存する。例えば、フェキソフェナジン塩酸塩の必要とされる量およびその放出速度は、血液血漿中の特定の活性薬剤濃度が治療効果にとって許容可能なレベルにどのくらい長く留まるかを決定する公知のインビトロまたはインビボの技術に基づいて決定される。
【0024】
フェキソフェナジンおよびその薬学的に許容可能な塩は可溶化し安定化するのが困難であることが知られている。
【0025】
この可溶化と安定化は、薬学的に許容可能な担体と、フェキソフェナジンまたは/およびその薬学的に許容可能な塩を安定化する医薬品賦形剤との特定の組合せを使用することによって達成することができる。特に、本発明による組成物はβ−シクロデキストリンを含まない。
【0026】
本発明による組成物中に存在する少なくとも1種の薬学的に許容可能な担体は、ポリエチレングリコール(PEG)もしくはプロピレングリコール系溶媒、またはこれらの混合物のいずれかである。
【0027】
「プロピレングリコール系溶媒」とは、プロピレングリコール、またはプロピレングリコールを含むリン脂質濃縮物を意味する。プロピレングリコールを含むリン脂質濃縮物の一例は商品名Phosal 50 PGとして販売されている。
【0028】
本発明に有用なPEGの例として、限定されることはないが、PEG200、PEG300、PEG400、PEG600またはこれらの混合物がある。幾つかの実施形態において、PEGはPEG400である。
【0029】
本発明の組成物中で、ポリエチレングリコールもしくはプロピレングリコール系溶媒、またはこれらの混合物のいずれかである薬学的に許容可能な担体は、組成物の1〜6重量%、好ましくは2〜5重量%、より好ましくは2.5〜4.5重量%の範囲の量で存在する。例えば、この薬学的に許容可能な担体は組成物の約2重量%存在する。
【0030】
あるいは、この薬学的に許容可能な担体の総量は組成物5mLに付き50〜250gである。例えば、この薬学的に許容可能な担体は組成物5mLに付き約175mg存在する。
【0031】
好ましい実施形態において、この薬学的に許容可能な担体はポリエチレングリコールとプロピレングリコール(PG)との混合物である。この実施形態において、PEGの総量は有利には組成物の0.05〜2重量%、好ましくは0.2〜1.5重量%、より好ましくは0.5〜1重量%であり、PGの総量は有利には組成物の1.3〜3.5重量%、好ましくは、1.5〜2.5重量%である。
【0032】
プロピレングリコールおよび/またはポリエチレングリコールは、フェキソフェナジンまたはその薬学的に許容可能な塩を安定化する医薬品賦形剤と共同して可溶化および安定化剤として作用し、特に含水率が非常に低い(組成物の6重量%以下)場合、フェキソフェナジンの生物学的利用能を高めるのを助ける。プロピレングリコールは抗微生物剤としても知られている。
【0033】
フェキソフェナジン塩酸塩と、ポリエチレングリコールもしくはプロピレングリコール系溶媒、またはこれらの混合物のいずれかである薬学的に許容可能な担体との重量比は1:1〜1:15であるのが有利である。本発明の好ましい実施形態において、フェキソフェナジン塩酸塩と前記薬学的に許容可能な担体との重量比は1:5〜1:13であり、この比が1:8または1:10と等しいのが最も好ましい。
【0034】
追加の薬学的に許容可能な担体が組成物中に存在することができる。この場合、「追加の薬学的に許容可能な担体」とは、当該1以上の化合物を送達するための溶媒、懸濁剤またはビヒクルのような担体を意味する。本明細書で使用されるとき、「担体」は溶媒、分散媒、ビヒクル、コーティング、希釈剤、抗細菌および抗真菌剤、等張化および吸収遅延剤、緩衝剤、担体溶液、懸濁液、コロイド、などをいずれも全て包含する。医薬活性物質のためのかかる媒体および作用物質の使用は当業界で良く知られている。いずれの慣用の媒体または作用物質も活性成分と適合しない場合を除いて、本治療組成物中に使用することが考えられる。
【0035】
好ましくは、フェキソフェナジンまたはその薬学的に許容可能な塩を安定化する医薬品賦形剤の総量は、組成物の50〜90重量%、好ましくは60〜90重量%、より好ましくは75〜90重量%であるのが有利である。
【0036】
第1の実施形態において、医薬品賦形剤はグリセロールである。
【0037】
グリセロール(またはグリセリン)は組成物の50重量%〜90重量%、好ましくは70重量%〜90重量%の範囲の量で存在する。例えば、グリセロールは組成物の約85重量%存在する。
【0038】
あるいは、グリセロールは組成物5mLに付き2350mg〜6000mg、好ましくは4000mg〜5500mgの範囲の量で存在する。例えば、フェキソフェナジン塩酸塩は組成物5mLに付き約5000mg存在する。
【0039】
第2の実施形態において、医薬品賦形剤はグリセロールとソルビトールの組合せである。
【0040】
この実施形態において、グリセロールは組成物の25重量%〜50重量%、好ましくは30重量%〜45重量%の範囲の量で存在する。例えば、グリセロールは組成物の約38重量%存在する。
【0041】
あるいは、グリセロールは組成物5mLに付き1500mg〜4000mg、好ましくは2000mg〜3000mgの範囲の量で存在する。例えば、グリセロールは組成物5mLに付き約2350mg存在する。
【0042】
この実施形態において、ソルビトールは組成物の20重量%〜50重量%、好ましくは25重量%〜40重量%の範囲の量で存在する。例えば、ソルビトールは組成物の約33.5重量%存在する。
【0043】
あるいは、ソルビトールは、溶液の重量に対して70重量%のソルビトールを含むソルビトール溶液として導入され、組成物5mLに付き1600mg〜4000mg、好ましくは2000mg〜3500mgの範囲の量で存在する。例えば、70%w/wのソルビトール溶液は組成物5mLに付き約2970mg存在する。
【0044】
この場合、ソルビトール70重量%のソルビトール溶液は組成物の28重量%〜72重量%、好ましくは35重量%〜58重量%の範囲の量で存在する。例えば、ソルビトールは組成物の約48重量%存在する。
【0045】
一般に、高めの量のソルビトールは組成物の安定性を低下させることがある。
【0046】
加えて、グリセロールとソルビトールが存在すると、組成物中にショ糖を使用することが回避されて有利である。ショ糖は高カロリーでう蝕原性である。
【0047】
本発明による液体医薬組成物は透明な溶液であることに留意されたい。
【0048】
本発明による液体医薬組成物はさらに少なくとも1種の糖代用品、少なくとも1種のキレート剤および/または少なくとも1種の香味剤を含む。好ましくは、本組成物は少なくとも1種の糖代用品、少なくとも1種のキレート剤および少なくとも1種の香味剤を含む。
【0049】
糖代用品とは、糖の味を模写する食品添加物を意味する。好ましくは、前記糖代用品は、場合により1つまたはそれ以上のポリオールを有していてもよい少なくとも1種の高甘味度甘味料である。好ましくは、高甘味度甘味料はスクラロース、サッカリンおよびその塩であり、ポリオールはキシリトール、マンニトール、グリセロール、ソルビトール、水素化デンプン加水分解物および/またはマルチトールである。
【0050】
糖代用品(複数でもよい)の全含有率は組成物の4重量%〜12重量%の範囲内であるのが有利である。
【0051】
本発明による組成物の1つの特定の利点は、糖類糖(saccharide sugar)を実質的または完全に含まないことである。
【0052】
本明細書で使用されるとき、「実質的に含まない」とは、望ましくない成分が3重量%未満、好ましくは2重量%未満、より好ましくは1重量%未満であると理解される。好ましい実施形態において、用語「実質的に含まない」とは、組成物の0.5重量%未満、好ましくは0.15重量%未満、より好ましくは0.05または0.01重量%未満を指す。
【0053】
本明細書で使用されるとき、「完全に含まない」とは、述べられている賦形剤の不存在、すなわち、分析的に検出可能な量未満を意味すると理解される。
【0054】
好ましい実施形態において、本組成物はあらゆる糖類糖を完全に含まない。本明細書で使用されるとき、「糖類糖」とは、一般に糖類といわれる単糖類および/または二糖類からなる糖を意味する。単糖類の例にはブドウ糖(デキストロース)、果糖(レブロース)、ガラクトース、キシロースおよびリボースがある。単糖類はショ糖のような二糖類の構築ブロックである。
【0055】
本発明による組成物は、驚くべきことに、そして予想外なことに、製剤中に糖類糖を少なくとも実質的に含まない、より好ましくは完全に含まないにもかかわらず、味を遮蔽する効果を提供する。また、驚くべきことに、そして予想外なことに、本発明による組成物は、製剤中に糖類糖を少なくとも実質的に含まない、より好ましくは完全に含まないにもかかわらず、また糖類糖はフェキソフェナジンの生物学的利用能に影響を及ぼすという事実にもかかわらず、フェキソフェナジンの生物学的利用能を維持するということも観察された。
【0056】
キレート剤とは、金属イオンに基づく酸化を防止するための作用物質を意味する。任意の適切なキレート剤を組成物に導入することができる。好ましくは、キレート剤は、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)の薬学的に許容可能な塩、例えばEDTA二ナトリウムである。
【0057】
キレート剤(複数でもよい)の全含有率は組成物の0.05重量%〜0.15重量%の範囲内であるのが有利である。
【0058】
香味剤は当業者が入手可能な糖を含まない香味剤であるのが好ましい。適切な香味剤の例としては、メタノール、ペパーミント、アニス、ならびに、1つまたはそれ以上のグレープフルーツ、オレンジ、ライム、レモン、イチゴ、サクランボ、ラズベリーのようなあらゆる果実風味の1つまたはそれ以上がある。かかる香味剤(複数でもよい)は、存在する場合、組成物の0.1重量%〜0.5重量%の含有率であることができる。
【0059】
フェキソフェナジンまたはその薬学的に許容可能な塩を安定化する医薬品賦形剤以外の賦形剤は、安定性または組成物中の糖の欠如に実質的に有害な影響を及ぼすことがない量で、かつそのようなタイプとして組成物に含ませることができる。かかる賦形剤としては、限定されることはないが、希釈剤、味を遮蔽する成分および着色剤を挙げることができる。
【0060】
組成物のpHは3〜6の範囲内に含まれるのが好ましく、3.5〜5.5がより好ましい。最良の結果は4〜5に含まれるpHで達成されている。これらの選択されたpH範囲は組成物の適当な貯蔵安定性を保証し、その貯蔵安定性およびその貯蔵寿命を改良する。
【0061】
本発明の組成物において、含水率は微生物の発育および増殖を制限するために充分低い。組成物の含水率は組成物の30%未満が有利であり、好ましくは25%未満、より好ましくは20重量%未満である。
【0062】
好ましくは、組成物に添加される余分の水は最少であり、米国および欧州連合薬局方に従って精製水である。「余分の水」とは、別の成分の配合によって組成物に導入されない水を意味する。例えば、ソルビトールのようなある種の成分は、その製剤内に水を含む可能性がある。
【0063】
好ましい実施形態において、本発明による組成物は、組成物の9重量%未満、好ましくは6重量%未満、より好ましくは5重量%未満の余分の水を含む。
【0064】
より特定的に、グリセロールおよび70%ソルビトール溶液を含む組成物の実施形態において、余分の水の含有率は組成物の6重量%未満、より好ましくは5重量%未満であるべきである。
【0065】
この余分の水の含有率は有利であり、組成物の全含水率を可能な限り低くすることができる。結果として、組成物は保存剤を実質的にまたは完全に含まないことができ、特に、実質的または完全にパラベンを含まないことができる。
【0066】
好ましい実施形態において、組成物はあらゆるパラベンを完全に含まない。1つの実施形態において、本発明による組成物の微生物学的安定性は従来のフェキソフェナジン液体製剤、特にパラベンを含有するAllegra(登録商標)Paediatric Suspensionより大きい。別の実施形態において、本液体組成物は従来のパラベンを含有する製剤より最大で約20%速く、より好ましくは最大で10%速く劣化し、最も好ましくは安定性が実質的に同等である。
【0067】
本発明による組成物は、製剤中にいかなるパラベンも少なくとも実質的に含まない、より好ましくは完全に含まないにもかかわらず、抗菌作用(すなわち、製剤中における細菌または他の微生物の経時的な抑制、管理、または遅延した増殖を指す)を提供する。
【0068】
第1の好ましい具体的な実施形態において、本発明による組成物は、フェキソフェナジン塩酸塩を安定化する医薬品賦形剤としてグリセロールのみを含み、以下の成分を含む:
− 組成物の重量の0.05重量%〜2重量%、好ましくは0.1重量%〜1重量%、より好ましくは約0.5重量%のフェキソフェナジン塩酸塩、
− 0.05%〜2重量%、好ましくは0.2%〜1.5重量%、より好ましくは0.5%〜1重量%のポリエチレングリコール、
− 1.3%〜3.5重量%、好ましくは1.5%〜2.5重量%のプロピレングリコール、
− 50重量%〜90重量%、好ましくは70重量%〜90重量%、より好ましくは約85重量%のグリセロール、
− 0.1重量%〜0.5重量%の香味剤(複数でもよい)、
− 4重量%〜12重量%の糖代用品、好ましくはスクラロースおよびキシリトール、
− 0.05重量%〜0.15重量%のキレート剤、好ましくはEDTA二ナトリウム、および
− 9重量%未満、好ましくは6重量%未満、より好ましくは5重量%未満の余分の水。重量パーセントは組成物の総重量に対するものであり、pHは約4.0〜5.0である。
【0069】
第2の好ましい具体的な実施形態において、本発明による組成物は、フェキソフェナジン塩酸塩を安定化する医薬品賦形剤としてグリセロールとソルビトールの組合せを含み、以下の成分を含む:
− 組成物の重量の0.05重量%〜2重量%、好ましくは0.1重量%〜1重量%、より好ましくは約0.5重量%のフェキソフェナジン塩酸塩、
− 0.05%〜2重量%、好ましくは0.2%〜1.5重量%、より好ましくは0.5%〜1重量%のポリエチレングリコール、
− 1.3%〜3.5重量%、好ましくは1.5%〜2.5重量%のプロピレングリコール、
− 25重量%〜50重量%、好ましくは30重量%〜45重量%、より好ましくは約38重量%のグリセロール、
− 20重量%〜50重量%、好ましくは25重量%〜40重量%、より好ましくは約33.5重量%のソルビトール,
− 0.1重量%〜0.5重量%の香味剤(複数でもよい)、
− 4重量%〜12重量%の糖代用品、好ましくはスクラロースおよびキシリトール、
− 0.05重量%〜0.15重量%のキレート剤、好ましくはEDTA二ナトリウム、および
− 9重量%未満、好ましくは6重量%未満、より好ましくは5重量%未満の余分の水。重量パーセントは組成物の総重量に対するものであり、pHは約4.0〜5.0である。
【0070】
本発明による医薬組成物は、医薬として、特に抗ヒスタミン剤および/または気管支拡張剤として使用することができ、好ましくはヒト、殊に幼児または小児のアレルギーおよび/またはじんま疹の治療に特に適している。さらに、本発明による医薬組成物はアレルギーおよび/またはじんま疹の治療方法に使用することができ、前記方法は本発明の医薬組成物を患者に投与することを含む。患者は幼児または小児であるのが好ましい。幼児とは、出生から1年までの若い人を意味する。小児とは、年齢1〜18歳の若い人を意味する。
【0071】
さらに、本発明による液体医薬組成物を製造する方法が開示され、この方法は以下の工程を含む:
− 医薬として有効な量のフェキソフェナジンおよび/またはその薬学的に許容可能な塩を、ポリエチレングリコールもしくはプロピレングリコール系溶媒、またはこれらの混合物のいずれかである薬学的に許容可能な担体と混合して、薬液を調製する工程、
− フェキソフェナジンおよび/またはその薬学的に許容可能な塩を安定化する医薬品賦形剤を薬液に加える工程。
【0072】
最後に、場合によりソルビトールと組み合わせてもよいグリセロールの、液体中のフェキソフェナジンおよび/またはその薬学的に許容可能な塩を安定化するための使用も本発明によって開示される。
【0073】
本発明の組成物を製造または投与するのに使用される以下の例証となる実施例を参照することによって本発明をさらに明らかにする。これらの実施例は単に例示の目的のものであり、添付の特許請求の範囲を制限するものと解釈されるべきではない。
【実施例1】
【0074】
グリセロールのみによって安定化されたフェキソフェナジン塩酸塩を含む液体組成物
1.組成
以下の成分を用いて本発明による医薬組成物を調製した:
【0075】
【表1】
【0076】
2.調製方法
【0077】
【表2】
【0078】
最終液体組成物のpHは4.5±0.5である。この組成物はシロップ5mLに付き30mgのフェキソフェナジン塩酸塩を含んでいる。
【0079】
3.安定性データ:
組成物の安定性を、40℃、相対湿度75%、および25℃、相対湿度60%で、UV検出器を備えたHPLCを用いることにより、フェキソフェナジン塩酸塩の分解生成物を検出し測定することによって試験した。
【0080】
結果を下記表1に示す:
【0081】
【表3】
【実施例2】
【0082】
グリセロールとソルビトールの組合せにより安定化されたフェキソフェナジン塩酸塩を含む経口液体組成物
1.組成
以下の成分を用いて本発明による医薬組成物を調製した。
【0083】
【表4】
【0084】
2.調製方法
【0085】
【表5】
【0086】
最終液体組成物のpHは4.5±0.5であった。この組成物はシロップ5mLに付き30mgのフェキソフェナジン塩酸塩を含んでいた。
【0087】
3.安定性データ:
組成物の安定性を実施例1で述べたようにして試験した。
【0088】
結果を下記表2に示す:
【0089】
【表6】