特許第6410872号(P6410872)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6410872
(24)【登録日】2018年10月5日
(45)【発行日】2018年10月24日
(54)【発明の名称】電力管理システム、制御装置及び機器
(51)【国際特許分類】
   H04M 11/00 20060101AFI20181015BHJP
   H02J 13/00 20060101ALI20181015BHJP
   H02J 3/14 20060101ALI20181015BHJP
   H04Q 9/00 20060101ALI20181015BHJP
【FI】
   H04M11/00 301
   H02J13/00 301A
   H02J3/14 130
   H04Q9/00 301A
【請求項の数】9
【全頁数】21
(21)【出願番号】特願2017-92590(P2017-92590)
(22)【出願日】2017年5月8日
(62)【分割の表示】特願2016-162026(P2016-162026)の分割
【原出願日】2012年9月27日
(65)【公開番号】特開2017-163590(P2017-163590A)
(43)【公開日】2017年9月14日
【審査請求日】2017年5月15日
(73)【特許権者】
【識別番号】000006633
【氏名又は名称】京セラ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001106
【氏名又は名称】キュリーズ特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】三宅 崇之
【審査官】 白川 瑞樹
(56)【参考文献】
【文献】 特開2006−172416(JP,A)
【文献】 国際公開第2008/072606(WO,A1)
【文献】 特開2008−172462(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2012/0299509(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F13/00
H02J3/00−5/00
13/00
H03J9/00−9/06
H04L12/00−12/955
H04M3/00
3/16−3/20
3/38−3/58
7/00−7/16
11/00−11/10
H04Q9/00−9/16
H04W8/26
24/00
28/02
72/04
74/04
74/08
84/12
88/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定プロトコルに準拠するネットワークに接続された機器及び制御装置を備える電力管理システムであって、
前記機器は、
前記ネットワークを介して、前記機器の種別を示すインスタンスリストを前記制御装置に送信し、前記インスタンスリストの送信後に、前記機器に割り当てられた文字列を含む情報通知メッセージを前記制御装置に送信する送信部を備え、
前記制御装置は、
前記ネットワークを介して、前記インスタンスリストを前記機器から受信し、前記インスタンスリストの受信後に、前記情報通知メッセージを前記機器から受信する受信部と、
前記制御装置に新たに接続された前記機器の検出に応じて、前記文字列を確認するための情報及び前記ネットワークを利用するか否かに関する情報の表示制御を行う表示制御部とを備え、
前記文字列は、前記ネットワークで前記機器に割り当てられる動的アドレスとは別に定義される不変の情報である、電力管理システム。
【請求項2】
前記機器の前記送信部は、前記インスタンスリストを所定トリガに応じて送信する、請求項1に記載の電力管理システム。
【請求項3】
前記機器の前記送信部は、前記インスタンスリストを所定期間に亘って繰り返し送信する、請求項1又は請求項2に記載の電力管理システム。
【請求項4】
前記制御装置は、前記ネットワークを介して、前記文字列を要求する情報要求メッセージを前記機器に送信する送信部を備え、
前記機器の前記送信部は、前記情報要求メッセージに応じて、前記文字列を含む前記情報通知メッセージを送信する、請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の電力管理システム。
【請求項5】
前記制御装置の前記送信部は、前記情報要求メッセージを自発的かつ定期的に送信する、請求項4に記載の電力管理システム。
【請求項6】
前記制御装置の前記送信部は、前記情報要求メッセージを同報送信で送信する、請求項4又は請求項5に記載の電力管理システム。
【請求項7】
前記制御装置は、前記インスタンスリストに含まれる前記機器の種別と前記情報通知メッセージに含まれる前記文字列とを対応付けて管理する制御部を備える、請求項1乃至請求項6のいずれかに記載の電力管理システム。
【請求項8】
前記制御装置は、前記情報通知メッセージの受信後において、前記ネットワークを介して、前記機器の運転モードを指定するコマンドを前記機器に送信する送信部を備える、請求項1乃至請求項7のいずれかに記載の電力管理システム。
【請求項9】
所定プロトコルに準拠するネットワークを介して機器と接続される制御装置であって、
前記ネットワークを介して、前記機器の種別を示すインスタンスリストを前記機器から受信し、前記インスタンスリストの受信後に、前記機器に割り当てられた文字列を含む情報通知メッセージを前記機器から受信する受信部と、
前記制御装置に新たに接続された前記機器の検出に応じて、前記文字列を確認するための情報及び前記ネットワークを利用するか否かに関する情報の表示制御を行う表示制御部とを備え、
前記文字列は、前記ネットワークで前記機器に割り当てられる動的アドレスとは別に定義される不変の情報である、制御装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、動的アドレスが動的に割り当てられる機器と、機器に割り当てられた動的アドレスを用いて、所定ネットワークを介して機器と通信を行う制御装置とを有する管理システム、管理方法及び制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、複数の機器と、複数の機器を制御する制御装置とを有する電力管理システムが提案されている(例えば、特許文献1)。複数の機器は、例えば、エアーコンディショナー、照明などの家電機器、及び、太陽電池装置、蓄電池装置、燃料電池装置などの分散電源である。制御装置は、例えば、HEMS(Home Energy Management System)、SEMS(Store Energy Management System)、BEMS(Building Energy Management System)、FEMS(Factory Energy Management System)、CEMS(Cluster/Community Energy Management System)などと称される。
【0003】
上述した管理システムの普及には、複数の機器と制御装置との間のメッセージフォーマットを共通化することが効果的であり、このようなメッセージフォーマットの共通化が試みられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2010−128810号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、上述した管理システムでは、複数の機器及び制御装置は、グローバルIPアドレスが割り当てられたルータを介して接続されることが想定される。このようなケースでは、ルータは、DHCP(Dynamic Host Configuration Protocol)サーバとして機能し、複数の機器及び制御装置に対して、ローカルIPアドレスを割り当てる。すなわち、複数の機器のローカルIPアドレスが変更される可能性が存在する。このようなケースにおいて、機器をローカルIPアドレスによって制御装置が管理している場合には、機器に割り当てられたローカルIPアドレスの変更によって、制御装置が機器を適切に管理できない可能性が存在する。
【0006】
そこで、本発明は、上述した課題を解決するためになされたものであり、機器に割り当てられるローカルIPアドレスが変更される可能性が存在する場合であっても、機器を適切に管理することを可能とする管理システム、管理方法及び制御装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
第1の特徴に係る管理システムは、動的アドレスが動的に割り当てられる機器と、前記機器に割り当てられた動的アドレスを用いて、所定ネットワークを介して前記機器と通信を行う制御装置とを有する。管理システムは、前記制御装置は、前記制御装置に新たに接続された前記機器の検出に応じて表示すべき設定画面の表示制御を行う表示制御部を備える。前記設定画面は、前記機器を識別する識別情報を前記制御装置に登録するための画面であり、前記識別情報を確認するための画像を含む。前記識別情報は、前記動的アドレスとは別に定義される不変の情報である。
【0008】
第1の特徴において、前記機器は、需要家に設けられる負荷或いは分散電源である。前記制御装置は、前記需要家に設けられ、前記負荷或いは前記分散電源の電力状態を制御することによって、前記需要家内のエネルギー状態を管理する。
【0009】
第1の特徴において、前記所定ネットワークとは別に、前記機器と前記制御装置とを接続するインタフェースが設けられる。
【0010】
第1の特徴において、前記制御装置は、前記制御装置に新たに接続された前記機器の検出に応じて、前記機器を識別する識別情報を要求する識別情報要求メッセージを送信する送信部と、前記識別情報を含む識別情報通知メッセージを前記機器から受信する受信部とを備える。前記表示制御部は、前記識別情報通知メッセージの受信に応じて、前記識別情報を自動的に表示するように、前記設定画面の表示制御を行う。
【0011】
第1の特徴において、前記表示制御部は、前記識別情報の入力を促す画像を含むように、前記設定画面の表示制御を行う。
【0012】
第1の特徴において、前記所定ネットワークは、ECHONET Lite方式の通信プロトコルに準拠するネットワークである。
【0013】
第2の特徴に係る管理方法は、動的アドレスが動的に割り当てられる機器と、前記機器に割り当てられた動的アドレスを用いて、所定ネットワークを介して前記機器と通信を行う制御装置とを有する管理システムで用いる。管理方法は、前記制御装置に新たに接続された前記機器の検出に応じて表示すべき設定画面の表示制御を行うステップを備える。前記設定画面は、前記機器を識別する識別情報を前記制御装置に登録するための画面であり、前記識別情報を確認するための画像を含む。前記識別情報は、前記動的アドレスとは別に定義される不変の情報である。
【0014】
第3の特徴に係る制御装置は、機器に動的に割り当てられた動的アドレスを用いて、所定ネットワークを介して前記機器と通信を行う。制御装置は、前記制御装置に新たに接続された前記機器の検出に応じて表示すべき設定画面の表示制御を行う。前記設定画面は、前記機器を識別する識別情報を前記制御装置に登録するための画面であり、前記識別情報を確認するための画像を含む。前記識別情報は、前記動的アドレスとは別に定義される不変の情報である。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、機器に割り当てられるローカルIPアドレスが変更される可能性が存在する場合であっても、機器を適切に管理することを可能とする管理システム、管理方法及び制御装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1図1は、第1実施形態に係るエネルギー管理システム100を示す図である。
図2図2は、第1実施形態に係る需要家10を示す図である。
図3図3は、第1実施形態に係るネットワーク構成を示す図である。
図4図4は、第1実施形態に係る適用ケースを示す図である。
図5図5は、第1実施形態に係るEMS200を示す図である。
図6図6は、第1実施形態に係る蓄電池装置140を示す図である。
図7図7は、第1実施形態に係る設定画面を示す図である。
図8図8は、第1実施形態に係る設定画面を示す図である。
図9図9は、第1実施形態に係る設定画面を示す図である。
図10図10は、第1実施形態に係る管理方法を示すシーケンス図である。
図11図11は、第1実施形態に係る管理方法を示すシーケンス図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下において、本発明の実施形態に係る管理システムについて、図面を参照しながら説明する。なお、以下の図面の記載において、同一又は類似の部分には、同一又は類似の符号を付している。
【0018】
ただし、図面は模式的なものであり、各寸法の比率などは現実のものとは異なることに留意すべきである。従って、具体的な寸法などは以下の説明を参酌して判断すべきである。また、図面相互間においても互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれていることは勿論である。
【0019】
[実施形態の概要]
実施形態に係る管理システムは、動的アドレスが動的に割り当てられる機器と、前記機器に割り当てられた動的アドレスを用いて、所定ネットワークを介して前記機器と通信を行う制御装置とを有する。管理システムは、前記制御装置は、前記制御装置に新たに接続された前記機器の検出に応じて表示すべき設定画面の表示制御を行う表示制御部を備える。前記設定画面は、前記機器を識別する識別情報を前記制御装置に登録するための画面であり、前記識別情報を確認するための画像を含む。前記識別情報は、前記動的アドレスとは別に定義される不変の情報である。
【0020】
実施形態では、制御装置は、制御装置に新たに接続された機器の検出に応じて、機器の識別情報を確認するための画像を含む初期設定画面を表示する。これによって、動的アドレスとは別に定義される不変の情報である識別情報に基づいて機器を管理することができる。従って、機器に割り当てられる動的アドレス(例えば、ローカルIPアドレス)が変更される可能性が存在する場合であっても、機器を適切に管理することができる。
【0021】
ここで、所定ネットワークは、所定プロトコルに準拠するネットワークである。所定プロトコルとしては、例えば、“ECHONET Lite”又は“ECHONET”と呼ばれるプロトコルが挙げられる。しかしながら、実施形態は、これに限定されるものではなく、所定プロトコルは、“ECHONET Lite”及び“ECHONET”以外のプロトコルであってもよい。但し、所定ネットワークでは、動的アドレスを用いて通信が行われることに留意すべきである。
【0022】
[第1実施形態]
(エネルギー管理システム)
以下において、第1実施形態に係るエネルギー管理システムについて説明する。図1は、第1実施形態に係るエネルギー管理システム100を示す図である。
【0023】
図1に示すように、エネルギー管理システム100は、需要家10と、CEMS20と、変電所30と、スマートサーバ40と、発電所50とを有する。なお、需要家10、CEMS20、変電所30及びスマートサーバ40は、ネットワーク60によって接続されている。
【0024】
需要家10は、例えば、発電装置及び蓄電装置を有する。発電装置は、例えば、燃料電池のように、燃料ガスを利用して電力を出力する装置である。蓄電装置は、例えば、二次電池などのように、電力を蓄積する装置である。
【0025】
需要家10は、一戸建ての住宅であってもよく、マンションなどの集合住宅であってもよい。或いは、需要家10は、コンビニエンスストア又はスーパーマーケットなどの店舗であってもよく、ビルなどの商用施設であってもよく、工場であってもよい。
【0026】
第1実施形態では、複数の需要家10によって、需要家群10A及び需要家群10Bが構成されている。需要家群10A及び需要家群10Bは、例えば、地理的な地域によって分類される。
【0027】
CEMS20は、複数の需要家10と電力系統との間の連系を制御する。なお、CEMS20は、複数の需要家10を管理するため、CEMS(Cluster/Community Energy Management System)と称されることもある。具体的には、CEMS20は、停電時などにおいて、複数の需要家10と電力系統との間を解列する。一方で、CEMS20は、復電時などにおいて、複数の需要家10と電力系統との間を連系する。
【0028】
第1実施形態では、CEMS20A及びCEMS20Bが設けられている。CEMS20Aは、例えば、需要家群10Aに含まれる需要家10と電力系統との間の連系を制御する。CEMS20Bは、例えば、需要家群10Bに含まれる需要家10と電力系統との間の連系を制御する。
【0029】
変電所30は、複数の需要家10に対して、配電線31を介して電力を供給する。具体的には、変電所30は、発電所50から供給を受ける電圧を降圧する。
【0030】
第1実施形態では、変電所30A及び変電所30Bが設けられている。変電所30Aは、例えば、需要家群10Aに含まれる需要家10に対して、配電線31Aを介して電力を供給する。変電所30Bは、例えば、需要家群10Bに含まれる需要家10に対して、配電線31Bを介して電力を供給する。
【0031】
スマートサーバ40は、複数のCEMS20(ここでは、CEMS20A及びCEMS20B)を管理する。また、スマートサーバ40は、複数の変電所30(ここでは、変電所30A及び変電所30B)を管理する。言い換えると、スマートサーバ40は、需要家群10A及び需要家群10Bに含まれる需要家10を統括的に管理する。スマートサーバ40は、例えば、需要家群10Aに供給すべき電力と需要家群10Bに供給すべき電力とのバランスを取る機能を有する。
【0032】
発電所50は、火力、風力、水力、原子力などによって発電を行う。発電所50は、複数の変電所30(ここでは、変電所30A及び変電所30B)に対して、送電線51を介して電力を供給する。
【0033】
ネットワーク60は、信号線を介して各装置に接続される。ネットワーク60は、例えば、インターネット、広域回線網、狭域回線網、携帯電話網などである。
【0034】
(需要家)
以下において、第1実施形態に係る需要家について説明する。図2は、第1実施形態に係る需要家10の詳細を示す図である。
【0035】
図2に示すように、需要家10は、分電盤110と、負荷120と、PV装置130と、蓄電池装置140と、燃料電池装置150と、貯湯装置160と、EMS200とを有する。
【0036】
第1実施形態において、需要家10は、電流計180、電流計181及び電流計182を有する。
【0037】
電流計180は、燃料電池装置150の負荷追従制御に用いられる。電流計180は、各機器(例えば、蓄電池装置140及び燃料電池装置150)と系統とを接続する電力線上において、蓄電池装置140と電力線との接続点よりも下流(系統から離れた側)、かつ、燃料電池装置150と電力線との接続点よりも上流(系統に近い側)に設けられる。電流計180が負荷120と電力線との接続点よりも上流(系統に近い側)に設けられることは勿論である。
【0038】
電流計181は、蓄電池装置140から系統への電力の流れ(逆潮流)の有無の確認に用いられる。電流計181は、各機器(例えば、蓄電池装置140)と系統とを接続する電力線上において、蓄電池装置140と電力線との接続点よりも上流(系統に近い側)に設けられる。
【0039】
電流計182は、PV装置130によって発電された電力の計測に用いられる。電流計182は、各機器(例えば、PV装置130)と系統とを接続する電力線とPV装置130との接続点よりもPV装置130側に設けられる。
【0040】
第1実施形態において、各機器は、系統に近い順から見て、PV装置130、蓄電池装置140、燃料電池装置150及び負荷120の順で電力線に接続されていることに留意すべきである。
【0041】
分電盤110は、配電線31(系統)に接続されている。分電盤110は、電力線を介して、負荷120、PV装置130、蓄電池装置140及び燃料電池装置150に接続されている。
【0042】
負荷120は、電力線を介して供給を受ける電力を消費する装置である。例えば、負荷120は、冷蔵庫、冷凍庫、照明、エアーコンディショナーなどの装置を含む。
【0043】
PV装置130は、PV131と、PCS132とを有する。PV131は、発電装置の一例であり、太陽光の受光に応じて発電を行う太陽光発電装置である。PV131は、発電されたDC電力を出力する。PV131の発電量は、PV131に照射される日射量に応じて変化する。PCS132は、PV131から出力されたDC電力をAC電力に変換する装置(Power Conditioning System)である。PCS132は、電力線を介してAC電力を分電盤110に出力する。
【0044】
第1実施形態において、PV装置130は、PV131に照射される日射量を測定する日射計を有していてもよい。
【0045】
PV装置130は、MPPT(Maximum Power Point Tracking)法によって制御される。詳細には、PV装置130は、PV131の動作点(動作点電圧値及び電力値によって定まる点、又は、動作点電圧値と電流値とによって定まる点)を最適化する。
【0046】
蓄電池装置140は、蓄電池141と、PCS142とを有する。蓄電池141は、電力を蓄積する装置である。PCS142は、配電線31(系統)から供給を受けるAC電力をDC電力に変換する装置(Power Conditioning System)である。また、PCS142は、蓄電池141から出力されたDC電力をAC電力に変換する。
【0047】
燃料電池装置150は、燃料電池151と、PCS152とを有する。燃料電池151は、発電装置の一例であり、燃料(ガス)を用いて電力を発電する装置である。PCS152は、燃料電池151から出力されたDC電力をAC電力に変換する装置(Power Conditioning System)である。
【0048】
燃料電池装置150は、負荷追従制御によって動作する。詳細には、燃料電池装置150は、燃料電池151から出力する電力が負荷追従制御の目標電力となるように燃料電池151を制御する。言い換えると、燃料電池装置150は、電流センサーによって検出される電流値が目標受電力となるように、燃料電池151から出力する電力を制御する。
【0049】
貯湯装置160は、燃料(ガス)を用いて湯を生成或いは水温を維持する装置である。具体的には、貯湯装置160は、貯湯槽を有しており、燃料(ガス)の燃焼によって生じる熱又は燃料電池151の運転(発電)によって生じる排熱によって、貯湯槽から供給される水を温める。詳細には、貯湯装置160は、貯湯槽から供給される水を温めて、温められた湯を貯湯槽に還流する。
【0050】
実施形態において、燃料電池装置150及び貯湯装置160は、給湯ユニット170(給湯システム)を構成することに留意すべきである。
【0051】
EMS200は、需要家10に設けられ、負荷120或いは分散電源(PV装置130、蓄電池装置140又は燃料電池装置150)の電力状態を制御することによって、需要家10内のエネルギー状態を管理する。具体的には、EMS200は、PV装置130、蓄電池装置140、燃料電池装置150及び貯湯装置160を制御する装置(Energy Management System)である。具体的には、EMS200は、PV装置130、蓄電池装置140、燃料電池装置150及び貯湯装置160に信号線を介して接続されており、PV装置130、蓄電池装置140、燃料電池装置150及び貯湯装置160を制御する。また、EMS200は、負荷120の動作モードを制御することによって、負荷120の消費電力を制御する。
【0052】
また、EMS200は、ネットワーク60を介して各種サーバと接続される。各種サーバは、例えば、系統から供給を受ける電力の購入単価、系統から供給を受ける電力の売却単価、燃料ガスの購入単価などの情報(以下、エネルギー料金情報)を格納する。
【0053】
或いは、各種サーバは、例えば、負荷120の消費電力を予測するための情報(以下、消費エネルギー予測情報)を格納する。消費エネルギー予測情報は、例えば、過去の負荷120の消費電力の実績値に基づいて生成されてもよい。或いは、消費エネルギー予測情報は、負荷120の消費電力のモデルであってもよい。
【0054】
或いは、各種サーバは、例えば、PV131の発電量を予測するための情報(以下、PV発電量予測情報)を格納する。PV発電予測情報は、PV131に照射される日射量の予測値であってもよい。或いは、PV発電予測情報は、天気予報、季節、日照時間などであってもよい。
【0055】
(ネットワーク構成)
以下において、第1実施形態に係るネットワーク構成について説明する。図3は、第1実施形態に係るネットワーク構成を示す図である。
【0056】
図3に示すように、ネットワークは、負荷120、PV装置130、蓄電池装置140、燃料電池装置150、貯湯装置160、EMS200及びユーザ端末300によって構成される。ユーザ端末300は、ユーザ端末310及びユーザ端末320を含む。
【0057】
ユーザ端末310は、EMS200と接続されており、各機器(負荷120、PV装置130、蓄電池装置140、燃料電池装置150、貯湯装置160)の消費エネルギーを可視化するための情報(以下、可視化情報)をウェブブラウザによって表示する。このようなケースにおいて、EMS200は、HTML等の形式で可視化情報を生成して、生成された可視化情報をユーザ端末310に送信する。ユーザ端末310とEMS200との間の接続形式は、有線であってもよく、無線であってもよい。ユーザ端末310は、例えば、パーソナルコンピュータである。
【0058】
ユーザ端末320は、EMS200と接続されており、可視化情報をアプリケーションによって表示する。このようなケースにおいて、EMS200は、各機器の消費エネルギーを示す情報をユーザ端末320に送信する。ユーザ端末320のアプリケーションは、EMS200から受信する情報に基づいて可視化情報を生成して、生成された可視化情報を表示する。ユーザ端末320とEMS200との間の接続形式は、有線であってもよく、無線であってもよい。ユーザ端末320は、例えば、スマートフォンである。
【0059】
上述したように、第1実施形態では、燃料電池装置150及び貯湯装置160が給湯ユニット170を構成する。従って、貯湯装置160は、EMS200と通信を行う機能を有していなくてもよい。このようなケースでは、燃料電池装置150は、貯湯装置160を代理して、貯湯装置160に関するメッセージの通信をEMS200と行う。
【0060】
第1実施形態において、EMS200と各機器(負荷120、PV装置130、蓄電池装置140、燃料電池装置150、貯湯装置160)との間の通信は、所定プロトコルに従って方式で行われる。所定プロトコルとしては、例えば、“ECHONET Lite”又は“ECHONET”と呼ばれるプロトコルが挙げられる。しかしながら、実施形態は、これに限定されるものではなく、所定プロトコルは、“ECHONET Lite”及び“ECHONET”以外のプロトコルであってもよい。
【0061】
(適用ケース)
以下において、第1実施形態に係る適用ケースについて説明する。図4は、第1実施形態に係る適用ケースを示す図である。図4では、PV装置130、蓄電池装置140、EMS200及びユーザ端末300によって構成されるネットワークについて主として説明する。
【0062】
ここで、図4では、ユーザ端末300として、ユーザ端末310及びユーザ端末320に加えて、ユーザ端末330及びユーザ端末340が設けられている。ユーザ端末330は、ユーザ端末320と同様に、可視化情報を表示するアプリケーションを有するタブレット端末である。ユーザ端末340は、ユーザ端末310と同様に、可視化情報を表示するウェブブラウザを有するディスプレイである。
【0063】
図4に示すように、ネットワークは、不変アドレス(例えば、グローバルIPアドレス)が割当てられるルータ500を有する。ルータ500には、DHCP(Dynamic Host Configuration Protocol)サーバとして機能し、PV装置130、蓄電池装置140、EMS200及びユーザ端末300に対して、動的アドレス(例えば、ローカルIPアドレス)を割り当てる。図3に示すネットワークでは、ルータ500によって割当てられた動的アドレスを用いて通信が行われる。動的アドレスを用いて通信が行われるネットワークは、上述したように、“ECHONET Lite”又は“ECHONET”などの所定プロトコルに準拠している。但し、EMS200とユーザ端末300との間の通信は、“ECHONET Lite”又は“ECHONET”などの所定プロトコルに準拠していなくてよい。
【0064】
第1実施形態では、PCS132及びPCS142は、インタフェース411によって接続される。PCS142及びEMS200は、インタフェース412によって接続される。インタフェース411及びインタフェース412は、有線インタフェースであり、蓄電池装置140(或いは、PV装置130)の設計者によって定義される。
【0065】
ルータ500及びPCS142は、無線回線421によって接続される。ルータ500及びユーザ端末300(ここでは、ユーザ端末310、ユーザ端末320及びユーザ端末330)は、無線回線422によって接続される。無線回線421及び無線回線422は、有線ケーブルに置き換えられてもよい。
【0066】
EMS200及びルータ500は、有線ケーブル431によって接続される。ルータ500及びユーザ端末300(ここでは、ユーザ端末340)は、有線ケーブル432によって接続される。有線ケーブル431及び有線ケーブル432は、無線回線によって置き換えられてもよい。
【0067】
このようなケースにおいて、比較的に短い間隔で伝達する必要がある情報は、インタフェース411及びインタフェース412を介して、PCS132からEMS200に送信されることが好ましい。同様に、比較的に短い間隔で伝達する必要がある情報は、インタフェース411及びインタフェース412を介して、PCS132からEMS200に送信されることが好ましい。例えば、PV装置130のステータス(出力電力など)を示す情報は、インタフェース411及びインタフェース412を介して、PCS132からEMS200に送信されることが好ましい。蓄電池装置140のステータス(充電電力又は放電電力など)を示す情報は、インタフェース412を介して、PCS142からEMS200に送信される。
【0068】
一方で、比較的に長い間隔で伝達することが許容される情報は、無線回線421を介して、EMS200からPCS142に送信されることが好ましい。蓄電池装置140の動作(充電又は放電など)を指示するコマンドは、無線回線421及び有線ケーブル431を介して、EMS200からPCS142に送信される。或いは、蓄電池装置140の運転モードを指示するコマンドは、無線回線421及び有線ケーブル431を介して、EMS200からPCS142に送信される。
【0069】
蓄電池装置140の運転モードは、系統連系状態の運転モードと、自立運転状態の運転モードとを含む。系統連系状態は、蓄電池装置140と系統とが並列された状態である。一方で、自立運転状態は、蓄電池装置140と系統とが解列された状態である。自立運転状態の一例としては、例えば、停電が生じた状態が考えられる。
【0070】
系統連系状態の運転モードは、(a)PV装置130によって発電された電力の売電(逆潮流)を優先するように、蓄電池141の充放電を制御する運転モード(太陽光買電優先モード)、(b)PV装置130によって発電された電力を蓄電池141に充電するように、蓄電池141の充放電を制御する運転モード(太陽光充電モード)、(c)系統から供給される電力が一定値を超えないように、蓄電池141の充放電を制御する運転モード(ピークカットモード)、(d)系統から供給される電力の単価が閾値よりも低い期間(例えば、夜間)において、系統から供給される電力を蓄電池141に充電するように、蓄電池141の充放電を制御する運転モード(深夜電力活用モード)、(e)蓄電池141に電力を強制的に蓄積する運転モード(強制蓄電モード)、(f)蓄電池141に蓄積された電力を強制的に放電する運転モード(強制放電モード)などである。
【0071】
ここで、(a)太陽光買電優先モード及び(b)太陽光充電モードにおいては、蓄電池装置140は、電流計182によって計測される電流を監視して、PV装置130の発電量に応じて、蓄電池141の充放電を制御する必要がある。PV装置130の発電量は、時々刻々と変化するため、これらの運転モードは、蓄電池装置140によって制御されることが好ましい。
【0072】
同様に、(c)ピークカットモードにおいては、蓄電池装置140は、電流計181及び電流計182によって計測される電流を監視して、系統から供給される電力量に応じて、蓄電池141の充放電を制御する必要がある。系統から供給される電力量は、電流計181によって計測される電力から電流計182によって計測された電力を除いた値である。PV装置130の発電量及び負荷120の消費電力は、時々刻々と変化するため、この運転モードは、蓄電池装置140によって制御されることが好ましい。
【0073】
第1実施形態において、(a)太陽光買電優先モード、(b)太陽光充電モード及び(c)ピークカットモードは、蓄電池141以外のPV131と蓄電池141が連携する運転モードの一例である。
【0074】
自立運転状態の運転モードは、(g)PV装置130によって発電された電力を蓄積する運転モード(以下、自立蓄電モード)、(h)蓄電池装置140に設けられた自立コンセントに接続された負荷120に電力を供給する運転モード(以下、自立供給モード)、(i)PV装置130によって発電された電力を蓄積しながら、蓄電池装置140に設けられた自立コンセントに接続された負荷120に電力を供給する運転モード(以下、自立蓄電供給モード)などである。
【0075】
(EMSの構成)
以下において、第1実施形態に係るEMSについて説明する。図5は、第1実施形態に係るEMS200を示すブロック図である。
【0076】
図5に示すように、EMS200は、受信部210と、送信部220と、制御部230とを有する。
【0077】
受信部210は、信号線を介して接続された装置から各種信号を受信する。例えば、受信部210は、PV131の発電量を示す情報をPV装置130から受信してもよい。受信部210は、蓄電池141の蓄電量を示す情報を蓄電池装置140から受信してもよい。受信部210は、燃料電池151の発電量を示す情報を燃料電池装置150から受信してもよい。受信部210は、貯湯装置160の貯湯量を示す情報を貯湯装置160から受信してもよい。
【0078】
第1実施形態において、受信部210は、エネルギー料金情報、消費エネルギー予測情報及びPV発電量予測情報を、ネットワーク60を介して各種サーバから受信してもよい。但し、エネルギー料金情報、消費エネルギー予測情報及びPV発電量予測情報は、予めEMS200に記憶されていてもよい。
【0079】
例えば、第1実施形態では、受信部210は、設計者によって定義されるインタフェース(インタフェース412)を介して、PV装置130及び蓄電池装置140のステータスを示す情報を受信する。
【0080】
第1実施形態において、受信部210は、所定プロトコルに準拠するネットワーク(無線回線421)を介して、蓄電池装置140の種別を示す種別メッセージ(以下、インスタンスリスト)を受信する。受信部210は、所定プロトコルに準拠するネットワーク(無線回線421)を介して、蓄電池装置140を識別する識別情報を含む識別情報通知メッセージを受信する。識別情報は、蓄電池装置140に割当てられる動的アドレス(例えば、ローカルIPアドレス)とは別に定義される不変の情報である。識別情報は、例えば、蓄電池装置140の設計者によって割当てられるランダムな文字列であって、機器個別に割り当てられるユニークな文字列である。また、識別情報には様々な情報が含まれるよう規定されていてもよい。たとえば、識別情報の上位数桁には機器のメーカーコード、次の桁には設計者によって定義されるインタフェース(インタフェース412)の有無、といった情報が含まれているとより利便性が高い。
【0081】
送信部220は、信号線を介して接続された装置に各種信号を送信する。例えば、送信部220は、PV装置130、蓄電池装置140、燃料電池装置150及び貯湯装置160を制御するための信号を各装置に送信する。送信部220は、負荷120を制御するための制御信号を負荷120に送信する。
【0082】
例えば、第1実施形態では、送信部220は、所定プロトコルに準拠するネットワーク(無線回線421)を介して、蓄電池装置140の動作を示すコマンドを送信する。或いは、送信部220は、所定プロトコルに準拠するネットワーク(無線回線421)を介して、蓄電池装置140の運転モードを示すコマンドを送信する。
【0083】
第1実施形態において、送信部220は、所定プロトコルに準拠するネットワーク(無線回線421)を介して、蓄電池装置140を識別する識別情報を要求する識別情報要求メッセージを送信する。
【0084】
制御部230は、負荷120、PV装置130、蓄電池装置140、燃料電池装置150及び貯湯装置160を制御する。
【0085】
具体的には、制御部230は、所定プロトコルに準拠するネットワークにおいて、蓄電池装置140の識別情報に基づいて、蓄電池装置140を管理する。詳細には、制御部230は、蓄電池装置140の種別を蓄電池装置140の識別情報と対応付けて管理する。さらに、制御部230は、蓄電池装置140の種別及び蓄電池装置140の識別情報を、蓄電池装置140に割当てられる動的アドレス(例えば、ローカルIPアドレス)と対応付けて管理することが好ましい。また制御部230は、識別情報にメーカーコードあるいは設計者によって定義されるインタフェース(インタフェース412)の有無、といった情報が含まれている可能性が有るため、これを抽出する。これらの情報が抽出された場合、制御部230は蓄電池装置140の種別の情報に含めて管理する。
【0086】
第1実施形態において、制御部230は、EMS200に新たに接続された蓄電池装置140の検出に応じて表示すべき設定画面(以下、初期設定画面)の表示制御を行う。ここで、制御部230は、インタフェース412を介して蓄電池装置140が接続されることによって、新たに接続された蓄電池装置140を検出する。
【0087】
初期設定画面は、蓄電池装置140を識別する識別情報をEMS200に登録するための画面であり、蓄電池装置140の識別情報を確認するための画像を含む。
【0088】
ここで、制御部230は、識別情報要求メーセージの送信によって蓄電池装置140の識別情報を取得して、蓄電池装置140の識別情報を自動的に表示するように、初期設定画面の表示制御を行ってもよい。或いは、制御部230は、蓄電池装置140の識別情報の入力を促す画像を含むように、初期設定画面の表示制御を行ってもよい。
【0089】
このようなケースにおいて、初期設定画面の表示制御とは、上述したユーザ端末300上に初期設定画面を表示することを含む。或いは、初期設定画面の表示制御とは、EMS200にディスプレイが設けられている場合には、ディスプレイ上に初期設定画面を表示することを含む。
【0090】
第1実施形態において、制御部230は、蓄電池装置140の設定を行うための設定画面の表示制御を行う。設定画面は、所定プロトコルに準拠するネットワークを介して蓄電池装置140と通信を行うことが可能である場合に、所定ネットワークを介して送信されるコマンドによって設定可能な第1項目を含む。
【0091】
第1項目は、例えば、上述した運転モードを指定するための項目である。ここで、第1項目は、設計者によって定義されるインタフェース(インタフェース412)を介して送信されるコマンドである第2項目とは異なる。第2項目は、例えば、蓄電池装置140の具体的な動作(充電又は放電など)を指定するための項目である。また、識別情報によってメーカーコードが抽出された場合には、対応するメーカー名を第1項目の一つとして表示してもよい。
【0092】
ここで、第1項目は、設計者によって定義されるインタフェース(インタフェース412)を介して送信される複数のコマンドの組合せによって設定可能な項目である。組合せとは、時間軸上において充電及び放電を切り替えることを意味する。或いは、他の機器(負荷120、PV装置130、燃料電池装置150又は貯湯装置160)の状態に応じて、充電及び放電を切り替えることを意味する。つまりこの例において、第1項目はモードの指示、第2項目は具体的な単一の動作指示である。
【0093】
設定画面は、所定プロトコルに準拠するネットワークを介して蓄電池装置140と通信を行うことが可能である場合(つまりECHONET Liteに対応している場合)に、第1項目及び第2項目の双方を含んでもよい。このようなケースにおいて、制御部230は、第1項目に対応する項目を第2項目から省略するように、設定画面の表示制御を行うことが好ましい。また、ECHONET Liteに対応していない場合には、第2項目だけが設定画面に含まれる。
【0094】
さらに、識別情報からメーカーコードが抽出され、蓄電池装置140が制御部230にてECHONET Liteに対応していると判断可能なメーカーのものであると判定される場合には、第1項目と第2項目との双方を表示するよう制御する。また、コマンド体系を把握しているメーカーの者であると判断される場合には、より詳細な情報を第1項目に含めてもよい。
【0095】
ここで、設定画面の表示制御とは、上述したユーザ端末300上に設定画面を表示することを含む。或いは、設定画面の表示制御とは、EMS200にディスプレイが設けられている場合には、ディスプレイ上に設定画面を表示することを含む。
【0096】
初期設定画面又は設定画面は、ユーザ端末320が有するウェブブラウザによって表示されてもよい。このようなケースでは、制御部230は、初期設定画面又は設定画面をHTML等の形式に変換して、変換されたデータをユーザ端末320に送信する。或いは、初期設定画面又は設定画面は、ユーザ端末320が有するアプリケーションによって表示されてもよい。このようなケースでは、制御部230は、初期設定画面又は設定画面を構成するために必要なデータをユーザ端末320に送信し、ユーザ端末320が有するアプリケーションは、初期設定画面又は設定画面を生成する。
【0097】
(蓄電池装置の構成)
以下において、第1実施形態に係る蓄電池装置について説明する。図6は、第1実施形態に係る蓄電池装置140を示すブロック図である。
【0098】
図6に示すように、蓄電池装置140は、受信部145と、送信部146と、制御部147とを有する。第1実施形態では、受信部145、送信部146及び制御部147は、PCS142に設けられる。
【0099】
受信部145は、EMS200から各種情報を受信する。受信部145は、設計者によって定義されるインタフェース(インタフェース411)を介して、PV装置130のステータスを示す情報を受信する。
【0100】
第1実施形態において、受信部145は、所定プロトコルに準拠するネットワーク(無線回線421)を介して、蓄電池装置140を識別する識別情報を要求する識別情報要求メッセージを受信する。
【0101】
送信部146は、EMS200から各種情報を送信する。例えば、送信部146は、設計者によって定義されるインタフェース(インタフェース412)を介して、PV装置130及び蓄電池装置140のステータスを示す情報を送信する。
【0102】
第1実施形態において、送信部146は、所定プロトコルに準拠するネットワーク(無線回線421)を介して、蓄電池装置140の種別を示す種別メッセージ(以下、インスタンスリスト)を送信する。具体的には、送信部146は、所定トリガに応じて、インスタンスリストを送信する。ここで、所定トリガは、蓄電池装置140の電源が投入されること、蓄電池装置140に割当てられる動的アドレスが変更されることなどである。送信部146は、所定期間に亘って繰り返してインスタンスリストを送信することが好ましい。
【0103】
送信部146は、所定プロトコルに準拠するネットワーク(無線回線421)を介して、蓄電池装置140を識別する識別情報を含む識別情報通知メッセージを送信する。送信部146は、識別情報要求メッセージに応じて、識別情報通知メッセージを送信する。
【0104】
制御部147は、蓄電池装置140を制御する。具体的には、制御部147は、ユーザによって入力されたコマンドに基づいてPCS142を制御する。或いは、制御部147は、EMS200からPCS142が受信するコマンドに基づいてPCS142を制御する。
【0105】
(画面の構成例)
以下において、第1実施形態に係る画面の構成例について説明する。図7図9は、第1実施形態の画面の構成例を示す図である。
【0106】
第1に、初期設定画面の構成例について、図7を参照しながら説明する。図7に示すように、初期設定画面は、所定プロトコル(ここでは、ECHONET Lite)に準拠するネットワークを利用するか否かのチェックボックスと、蓄電池装置140の識別情報を確認するための画像とを含む。
【0107】
蓄電池装置140の識別情報を確認するための画像として、蓄電池装置140の識別情報が自動的に表示されてもよい。或いは、蓄電池装置140の識別情報を確認するための画像として、蓄電池装置140の識別情報の入力を促す画像が表示されてもよい。
【0108】
第2に、所定プロトコル(ここでは、ECHONET Lite)を利用しないケースにおける設定画面の構成例について、図8を参照しながら説明する。図8に示すように、設定画面は、設計者によって定義されるインタフェース(インタフェース412)を介して送信されるコマンドによって設定可能な第2項目を含む。
【0109】
第2項目は、蓄電池装置140を設定するための項目(蓄電池装置設定)および具体的な動作指示(電源on/off指示等)のための項目の他、例えば、電流計180、電流計181及び電流計182などを設定するための項目(スマートセンサ設定)、PV装置130を設定するための項目(PV装置設定)、IPアドレスを設定するための項目(IP設定)、無線LANを設定するための項目(WLAN設定)などを含む。第2項目は、燃料電池装置150を設定するための項目、貯湯装置160を設定するための項目をさらに含んでもよい。
【0110】
第3に、所定プロトコル(ここでは、ECHONET Lite)を利用するケースにおける設定画面の構成例について、図9を参照しながら説明する。図9に示すように、設定画面は、第1項目と第2項目とを含む。第1項目は、所定プロトコルに準拠するネットワークを介して送信されるコマンドによって設定可能な項目であり、この例においてはECHONET Liteに対応する場合に使用可能な項目となる。また、上述の識別情報に含まれるメーカーコードの取得によっても表示する項目を変更してもよい。また、第2項目は、設計者によって定義されるインタフェース(インタフェース412)を介して送信されるコマンドによって指示可能な項目であり、単純な動作指示(電源on/off指示等)である。
【0111】
具体的には、第1項目には、例えば、蓄電池装置140の運転モードを指定するための項目(モード設定)が含まれる。設計者によって定義されるインタフェース(インタフェース412)を介して送信される複数のコマンドの組合せによって設定可能な項目である。言い換えると、第1項目は、第2項目よりも高度なコマンド指示機能を有する点で第2項目とは異なっている。もちろん第1項目には第2項目で指示可能な項目が含まれていてもよい。
【0112】
このようなケースにおいて、第1項目と第2項目とが同時に表示されることとなるため、第1項目に第2項目と重複する項目(蓄電池装置設定)が含まれる場合には、第2項目から重複する項目については省略されることに留意すべきである。
【0113】
(管理方法)
以下において、第1実施形態に係る管理方法について説明する。図10図11は、第1実施形態の管理方法を示すシーケンス図である。図10図11では、所定プロトコルを利用するケースにおけるシーケンスが示されている。
【0114】
第1に、初期設定画面の表示について、図10を参照しながら説明する。図10に示すように、ステップ10において、蓄電池装置140が設置される。
【0115】
ステップ20において、EMS200は、EMS200に新たに接続された蓄電池装置140を検出する。一例としては、EMS200は、インタフェース412を介して蓄電池装置140が接続されたことによって、新たに接続された蓄電池装置140を検出する。
【0116】
ステップ30において、EMS200は、蓄電池装置140を識別する識別情報を要求する識別情報要求メッセージを同報送信で送信する。同報送信は、ブロードキャストであってもよく、マルチキャストであってもよい。また、インタフェース412を介して蓄電池装置140が接続されないような場合を想定し、EMS200が自発的かつ定期的に識別情報要求メッセージを同報送信で送信するよう構成してもよい。
【0117】
ステップ40において、蓄電池装置140は、識別情報要求メッセージの送信元アドレスに基づいて、EMS200の動的アドレス(例えば、ローカルIPアドレス)を取得する。続いて、蓄電池装置140は、蓄電池装置140を識別する識別情報を含む識別情報通知メッセージをEMS200に送信する。ここで、蓄電池装置140は、EMS200の動的アドレスを用いて、識別情報通知メッセージをEMS200にユニキャストで送信する。
【0118】
ここで、蓄電池装置140が所定プロトコルに準拠していれば、ステップ40で識別情報通知メッセージが蓄電池装置140から送信される。一方で、蓄電池装置140が所定プロトコルに準拠していなければ、ステップ40で識別情報通知メッセージが蓄電池装置140から送信されない。
【0119】
ステップ50において、EMS200は、初期設定画面をユーザ端末300上に表示するためのデータを含む初期設定画面メッセージをユーザ端末300に送信する。
【0120】
ここで、識別情報通知メッセージを受信することができた場合には、初期設定画面メッセージは、蓄電池装置140の識別情報を含む。一方で、識別情報通知メッセージを受信することができなかった場合には、初期設定画面メッセージは、蓄電池装置140の識別情報の入力を促す画像を表示するためのデータを含む。
【0121】
ステップ60において、ユーザ端末300は、初期設定画面メッセージに応じて、初期設定画面を表示する。
【0122】
ステップ70において、ユーザ端末300は、所定プロトコルを利用するか否かを示す情報及び蓄電池装置140を識別するための識別情報を含む初期設定メッセージをEMS200に送信する。
【0123】
ステップ80において、EMS200は、EMS200は、蓄電池装置140の識別情報に基づいて、蓄電池装置140の種別を管理する。EMS200は、識別情報通知メッセージを受信することができた場合には、蓄電池装置140の種別及び蓄電池装置140の識別情報を、蓄電池装置140に割当てられる動的アドレス(例えば、ローカルIPアドレス)と対応付けて管理してもよい。
【0124】
第2に、設定画面の表示について、図11を参照しながら説明する。図11では、所定プロトコルを利用するケースについて説明する。具体的には、設定画面を用いて蓄電池装置140の運転モードが指定されるケースについて説明する。
【0125】
図11に示すように、ステップ110において、ユーザ端末300は、設定画面を表示するためのデータを要求する設定画面要求メッセージをEMS200に送信する。
【0126】
ステップ120において、EMS200は、設定画面をユーザ端末300上に表示するためのデータを含む設定画面メッセージをユーザ端末300に送信する。ここでは、EMS200は、図9に示す設定画面を表示するためのデータを含む設定画面メッセージをユーザ端末300に送信する。
【0127】
ここで、ユーザ端末300が有するアプリケーションが設定画面を表示するためのデータを既に取得している場合には、ステップ110及びステップ120の処理は省略されてもよい。
【0128】
ステップ130において、ユーザ端末300は、設定画面メッセージに応じて、設定画面を表示する。
【0129】
ステップ140において、ユーザ端末300は、蓄電池装置140の運転モードを指定する項目を含む設定メッセージをEMS200に送信する。
【0130】
ステップ150において、EMS200は、蓄電池装置140を識別する識別情報を要求する識別情報要求メッセージを同報送信で送信する。同報送信は、ブロードキャストであってもよく、マルチキャストであってもよい。
【0131】
ステップ160において、蓄電池装置140は、識別情報要求メッセージの送信元アドレスに基づいて、EMS200の動的アドレス(例えば、ローカルIPアドレス)を取得する。続いて、蓄電池装置140は、蓄電池装置140を識別する識別情報を含む識別情報通知メッセージをEMS200に送信する。ここで、蓄電池装置140は、EMS200の動的アドレスを用いて、識別情報通知メッセージをEMS200にユニキャストで送信する。
【0132】
ステップ170において、EMS200は、蓄電池装置140を認識する。具体的には、EMS200は、蓄電池装置140の識別情報に基づいて、蓄電池装置140の種別を特定する。EMS200は、蓄電池装置140の種別及び蓄電池装置140の識別情報を、蓄電池装置140に割当てられる動的アドレス(例えば、ローカルIPアドレス)と対応付けて管理する。
【0133】
ここで、蓄電池装置140に割当てられた最新の動的アドレスをEMS200が既に取得している場合には、ステップ150〜ステップ170の処理は省略されてもよい。
【0134】
ステップ180において、EMS200は、蓄電池装置140の運転モードを指示するコマンドを含むモード指示メッセージを蓄電池装置140に送信する。
【0135】
以上説明したように、第1実施形態では、EMS200は、EMS200に新たに接続された蓄電池装置140の検出に応じて、蓄電池装置140の識別情報を確認するための画像を含む初期設定画面を表示する。これによって、動的アドレスとは別に定義される不変の情報である識別情報に基づいて蓄電池装置140を管理することができる。従って、蓄電池装置140に割り当てられる動的アドレス(例えば、ローカルIPアドレス)が変更される可能性が存在する場合であっても、蓄電池装置140を適切に管理することができる。
【0136】
第1実施形態では、EMS200は、所定プロトコルに準拠するネットワークを介して蓄電池装置140と通信を行うことが可能である場合に、所定プロトコルに準拠するネットワークを介して送信されるコマンドによって設定可能な第1項目を含む設定画面の表示制御を行う。これによって、所定ネットワークを介して蓄電池装置140と通信を行うことが可能であるか否かに応じて、適切な設定画面を表示することができる。
【0137】
[その他の実施形態]
本発明は上述した実施形態によって説明したが、この開示の一部をなす論述及び図面は、この発明を限定するものであると理解すべきではない。この開示から当業者には様々な代替実施形態、実施例及び運用技術が明らかとなろう。
【0138】
EMS200は、HEMS(Home Energy Management System)であってもよく、SEMS(Store Energy Management System)であってもよく、BEMS(Building Energy Management System)であってもよく、FEMS(Factory Energy Management System)であってもよい。
【0139】
実施形態では、機器の一例として、蓄電池装置140を例に挙げた。しかしながら、実施形態は、これに限定されるものではない。機器は、PV装置130及び燃料電池装置150などの分散電源であってもよい。或いは、機器は、冷蔵庫、冷凍庫、照明、エアーコンディショナーなどの負荷120であってもよい。或いは、機器は、貯湯装置160であってもよい。
【0140】
実施形態では特に触れていないが、EMS200が有する構成は、複数の機器のいずれかに設けられていてもよい。
【0141】
上述した実施形態では特に触れていないが、EMS200が行う各処理をコンピュータに実行させるプログラムが提供されてもよい。また、プログラムは、コンピュータ読取り可能媒体に記録されていてもよい。コンピュータ読取り可能媒体を用いれば、コンピュータにプログラムをインストールすることが可能である。ここで、プログラムが記録されたコンピュータ読取り可能媒体は、非一過性の記録媒体であってもよい。非一過性の記録媒体は、特に限定されるものではないが、例えば、CD−ROMやDVD−ROM等の記録媒体であってもよい。
【0142】
或いは、EMS200が行う各処理を実行するためのプログラムを記憶するメモリ及びメモリに記憶されたプログラムを実行するプロセッサによって構成されるチップが提供されてもよい。EMS200が行う各処理を実行するためのプログラムを記憶するメモリ及びメモリに記憶されたプログラムを実行する通信処理デバイスが提供されてもよい。
【符号の説明】
【0143】
10…需要家、20…CEMS、30…変電所、31…配電線、40…スマートサーバ、50…発電所、51…送電線、60…ネットワーク、100…エネルギー管理システム、110…分電盤、120…負荷、130…PV装置、131…PV、132…PCS、140…蓄電池装置、141…蓄電池、142…PCS、145…受信部、146…送信部、147…制御部、150…燃料電池装置、151…燃料電池、152…PCS、160…貯湯装置、170…給湯装置、180、181、182…電流計、200…EMS、210…受信部、220…送信部、230…制御部、300、310、320、330、340…ユーザ端末、411、412…インタフェース、421、422…無線回線、431、432…有線ケーブル、500…ルータ
図1
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