(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
タッチパネル付き表示パネルでは、画像又は文字の情報を表示する表示パネルの表示領域面上にタッチパネルを重ねて使用するが、従来のタッチパネル付き表示パネルでは、タッチパネルと、表示パネルをそれぞれ別々に製造し、重ねて組み合わせて最終製品としている。そのため、従来のタッチパネル付き表示パネルでは、別々に製造したタッチパネルと、表示パネルを積み重ねる必要があるため、タッチパネル付き表示パネルが厚くなることと、積み重ねる際の重ね合わせずれ対策が必要となるという問題があった。
【0005】
本発明の目的は、タッチパネルを内蔵させることにより、従来よりも薄くでき、かつ、重ね合わせずれ対策が必要ないタッチパネル内蔵型表示装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
(1)本発明に係るタッチパネル内蔵型液晶表示装置は、液晶材料と、前記液晶材料を挟む第1基板及び第2基板と、前記第1基板及び前記第2基板の間に形成された画素電極と、前記第1基板及び前記第2基板の間に形成されたコモン電極と、前記第1基板に形成された検出電極と、前記コモン電極に電気的に接続するように前記第2基板に形成された複数の共通配線と、を有し、前記画素電極及び前記コモン電極の間に形成される電界で前記液晶材料を駆動し、前記検出電極及び前記コモン電極の間に形成される電界を遮る物質の有無による静電容量の差によってタッチの有無を検出し、前記コモン電極は、横方向に延びて縦方向に隣同士が並ぶ複数の分割電極部を含み、前記複数の共通配線のそれぞれは、少なくとも1つの前記分割電極部に電気的に接続し、前記複数の共通配線は、前記コモン電極の前記横方向に隣の領域を通り、長さに対して直交する幅方向に隣同士が並び、相互に前記幅が異なり、前記長さが長いほど前記幅が広くなるように形成されていることを特徴とする。本発明によれば、第1基板、検出電極及びコモン電極によってタッチパネルが構成され、タッチパネルが内蔵されているので、従来よりも薄くでき、かつ、重ね合わせずれ対策が必要ない。また、複数の共通配線は、長さが長いほど幅が広くなるように形成されているので、長さの違いによる抵抗値の差を小さくすることができる。
【0007】
(2)(1)に記載されたタッチパネル内蔵型液晶表示装置において、前記複数の共通配線は、それぞれ、前記コモン電極の前記横方向に隣の前記領域に、一方の端部を有し、前記一方の端部から前記縦方向の一方である延長方向に延び、最も長い前記共通配線から最も短い前記共通配線への順に、前記一方の端部の位置が、前記延長方向にずれていることを特徴としてもよい。
【0008】
(3)(2)に記載されたタッチパネル内蔵型液晶表示装置において、前記コモン電極から前記横方向に最も近い側に最も短い前記共通配線が配置され、前記コモン電極から前記横方向に最も遠い側に最も長い前記共通配線が配置され、前記複数の共通配線は、前記長さが長いほど、前記コモン電極から前記横方向に離れていることを特徴としてもよい。
【0009】
(4)(3)に記載されたタッチパネル内蔵型液晶表示装置において、少なくとも最も短い前記共通配線を除き、それぞれの前記共通配線は、長さ方向に前記幅が異なるように複数の部分を有し、前記複数の共通配線の数はnであり、短い方からm(1≦m)番目の前記共通配線の前記一方の端部に、前記延長方向と反対側で隣接して前記幅方向に拡がる縦側領域には、(m+1)番目からn番目の前記共通配線が並列し、短い方からm(1≦m)番目の前記共通配線の前記一方の端部に、前記横方向に隣接する横側領域には、(m+1)番目からn番目の前記共通配線が並列し、前記縦側領域は、前記横側領域よりも、前記横方向に広くなっており、(m+1)番目からn番目の前記共通配線は、前記縦側領域に位置する部分の幅が、前記横側領域に位置する部分の幅よりも広いことを特徴としてもよい。
【0010】
(5)(4)に記載されたタッチパネル内蔵型液晶表示装置において、前記縦側領域と前記横側領域の前記横方向の幅の差は、前記m番目の前記共通配線の前記一方の端部の前記横方向の幅に等しいことを特徴としてもよい。
【0011】
(6)(5)に記載されたタッチパネル内蔵型液晶表示装置において、(m+1)番目からn番目の前記共通配線が有する前記縦側領域に位置する前記部分の前記幅の合計と、前記横側領域に位置する前記部分の前記幅の合計との差は、前記m番目の前記共通配線の前記一方の端部の前記横方向の幅に等しいことを特徴としてもよい。
【0012】
(7)(1)から(6)のいずれか1項に記載されたタッチパネル内蔵型液晶表示装置において、前記複数の共通配線のそれぞれは、2つ以上の前記分割電極部に電気的に接続することを特徴としてもよい。
【0013】
(8)(1)から(6)のいずれか1項に記載されたタッチパネル内蔵型液晶表示装置において、前記複数の共通配線のそれぞれは、1つの前記分割電極部に電気的に接続することを特徴としてもよい。
【0014】
(9)(1)から(8)のいずれか1項に記載されたタッチパネル内蔵型液晶表示装置において、前記複数の共通配線のそれぞれと前記少なくとも1つの前記分割電極部とは、少なくとも1つの接続部によって電気的に接続されることを特徴としてもよい。
【0015】
(10)(9)に記載されたタッチパネル内蔵型液晶表示装置において、前記少なくとも1つの接続部の数は、電気的に接続される1つの前記共通配線の長さが長いほど、多くなることを特徴としてもよい。
【0016】
(11)(9)又は(10)に記載されたタッチパネル内蔵型液晶表示装置において、前記少なくとも1つの接続部の長さは、電気的に接続される1つの前記共通配線の長さが短いほど、長くなることを特徴としてもよい。
【0017】
(12)(9)から(11)のいずれか1項に記載されたタッチパネル内蔵型液晶表示装置において、前記少なくとも1つの接続部は、電気的に接続される1つの前記共通配線の長さが短いほど、細くなることを特徴としてもよい。
【0018】
(13)(1)から(12)のいずれか1項に記載されたタッチパネル内蔵型液晶表示装置において、前記第2基板は、回路をさらに有し、前記複数の共通配線は、前記回路と重なるように形成されていることを特徴としてもよい。
【0019】
(14)(1)から(13)のいずれか1項に記載されたタッチパネル内蔵型液晶表示装置において、前記画素電極及び前記コモン電極は前記第2基板に形成され、前記画素電極及び前記コモン電極の間に形成される前記電界は、横電界であることを特徴としてもよい。
【発明を実施するための形態】
【0021】
図1は、本発明の実施形態に係るタッチパネル内蔵型液晶表示装置の断面図である。タッチパネル内蔵型液晶表示装置は、第1基板10及び第2基板12を有する。第1基板10及び第2基板12の間に液晶材料14が配置されている。第1基板10及び第2基板12との間であって液晶材料14を挟む位置にそれぞれ配向膜16が形成されている。
【0022】
第1基板10は、光透過性材料(例えばガラス)からなる。第1基板10は、カラーフィルタ基板であり、図示を省略した着色層及びブラックマトリクスが形成されている。第1基板10には、配向膜16が形成されている。配向膜16は、図示を省略した着色層及びブラックマトリクスの上に形成される。
【0023】
第2基板12は、光透過性材料(例えばガラス)からなる。第2基板12は、薄膜トランジスタ18(Thin Film Transistor)が形成されていることからTFT基板ともよばれる。薄膜トランジスタ18は、ポリシリコンなどの半導体膜20と、半導体膜20を覆うゲート絶縁膜22と、ゲート絶縁膜22を介して半導体膜20の上方に配置されたゲート電極24と、ゲート絶縁膜22を貫通して半導体膜20に電気的に接続するソース電極26及びドレイン電極28と、を含む。
【0024】
ソース電極26及びドレイン電極28の一方は、画素電極30に電気的に接続されている。また、絶縁膜32を介して画素電極30とは異なる層位置にコモン電極34が形成されている。
図1の例では、コモン電極34の上方(第2基板12から離れた側)に画素電極30が位置しているが、上下逆の配置であってもよい。
【0025】
以上の部品から液晶表示パネル36が構成され、画素電極30及びコモン電極34の間に形成される電界で液晶材料14を駆動する。画素電極30及びコモン電極34は第2基板12に形成されているので、画素電極30及びコモン電極34の間に形成される電界は横電界である。あるいは、画素電極30を第2基板12に形成し、コモン電極34を第1基板10に形成し、縦電界によって液晶材料14を駆動してもよい。いずれの構成であっても、画素電極30及びコモン電極34は、第1基板10及び第2基板12の間に配置される。
【0026】
タッチパネル内蔵型液晶表示装置は、第1基板10に形成された検出電極38を有する。
図1の例では、第1基板10の、液晶材料14とは反対側の面に検出電極38が配置されている。検出電極38とコモン電極34にそれぞれ異なる電圧を印加して両者間(詳しくは対向領域の外側)に電界(フリンジ電界)を形成する。検出電極38及びコモン電極34の間に形成される電界を遮る物質(例えば指40)の有無による静電容量の差によってタッチの有無を検出する。つまり、第1基板10、検出電極38及びコモン電極34によってタッチパネル42が構成される。タッチパネル42には、粘着層44を介してフロントパネル46が貼り付けられて補強されている。本実施形態によれば、タッチパネル42が内蔵されているので、装置を従来よりも薄くすることができる。また、液晶表示パネル36及びタッチパネル42は、第1基板10を共有するので、両者の重ね合わせずれ対策が必要ない。
【0027】
図2は、本発明の実施形態に係るタッチパネル内蔵型液晶表示装置の主要部の分解斜視図である。第1基板10は、長方形の平面形状を有し、長辺に沿った縦方向に複数の検出電極38が延びている。第1基板10には、検出電極38と外部との電気的接続のためにフレキシブル配線基板48が取り付けられている。第2基板12には、液晶の駆動回路を内蔵する集積回路チップ50が搭載されており、外部との電気的接続のためにフレキシブル配線基板52が取り付けられている。
【0028】
図3は、第2基板12の詳細を示す斜視図である。コモン電極34は、横方向に延びて縦方向に隣同士が並ぶ複数の分割電極部54を含む。第2基板12は、長方形の平面形状を有し、短辺に沿った横方向に複数の分割電極部54が延びている。複数の分割電極部54が延びる方向と、複数の検出電極38(
図2)が延びる方向は交差(例えば直交)する。
【0029】
図4は、液晶表示パネル36に画像を表示するための回路を示す図である。画像表示領域56には画素電極30が形成されている。複数の画素電極30によって画素が形成されるので、複数の画素電極30を囲む領域が画像表示領域56である。画像表示領域56には、複数の分割電極部54を含むコモン電極34が形成されている。分割電極部54は基準電位(例えばGND)に設定され、画素電極30には、画素の明るさに応じた電圧が印加される。画素電極30とコモン電極34の間に生じる電界を利用した光の制御(例えば液晶材料14の駆動)で画像が表示される。
【0030】
コモン電極34は共通配線58に電気的に接続し、画素電極30は、信号線60に電気的に接続されている。画素電極30と信号線60との間にスイッチング素子62(例えば
図1に示す薄膜トランジスタ18)が接続されており、画素電極30と信号線60の電気的な導通及び遮断を行えるようになっている。スイッチング素子62は、図示しない走査回路から引き出された走査線64に接続されており、走査線64に入力される走査信号によって駆動(オン/オフ)される。
【0031】
図5は、コモン電極34と共通配線58の詳細を示す図である。
図6は、
図5に示す共通配線58のVI−VI線断面を示す図である。
【0032】
コモン電極34は、ITO(IndiumTin Oxide)などの透明導電材料からなる。コモン電極34は、複数の分割電極部54を含むが、2つ以上(
図5では6つ)の分割電極部54が端部で相互に電気的に接続されている。コモン電極34は、分割電極部54から引き出された接続部66を含む。接続部66は、分割電極部54と同じ材料で一体的連続的に形成されている。
【0033】
第2基板12には、例えば金属からなる複数の共通配線58が形成されている。
図6に示すように、共通配線58の上に第1無機パッシベーション膜68及び有機パッシベーション膜70が順に積層されている。有機パッシベーション膜70の上に、分割電極部54と一体化した接続部66が配置されている。接続部66及び有機パッシベーション膜70を覆うように第2無機パッシベーション膜72が形成されている。
【0034】
第1無機パッシベーション膜68は、共通配線58を露出させる開口78を有する。有機パッシベーション膜70は、開口78に連通するように、開口78よりも大きい貫通穴74を有する。第2無機パッシベーション膜72は、有機パッシベーション膜70の貫通穴74の内面にも設けられているが、第1無機パッシベーション膜68の開口78を塞がない。第2無機パッシベーション膜72は、接続部66を露出させる開口76を有する。
【0035】
第2無機パッシベーション膜72の上に導電膜80が形成されている。導電膜80は、開口76の内側にも延びて接続部66と導通する。導電部80は、開口78の内側にも延びて共通配線58と導通する。導電膜80は、開口76の内側から開口78の内側まで連続的に延びている。導電膜80は、画素電極30(
図1参照)と同じ材料(例えばITO
(Indium Tin Oxide))で画素電極30と同時に形成される。導電膜80によって、共通配線58と接続部66が電気的に接続する。そして、共通配線58はコモン電極34に電気的に接続する(
図5参照)。
【0036】
図5に示すように、複数の共通配線58のそれぞれは、少なくとも1つ(例えば2つ以上)の分割電極部54に電気的に接続する。複数の共通配線58のそれぞれと少なくとも1つ(
図5で6つ)の分割電極部54とは、少なくとも1つ(
図5では1つ)の接続部66によって電気的に接続される。
【0037】
複数の共通配線58は、コモン電極34が延びる方向(横方向)に隣の領域を通る。複数の共通配線58は、長さに対して直交する幅方向に隣同士が並ぶ。
図3に示すように、コモン電極34から横方向に最も近い側に最も短い共通配線58aが配置される。また、コモン電極34から横方向に最も遠い側に最も長い共通配線58bが配置される。複数の共通配線58は、長さが長いほど、コモン電極34から横方向に離れている(
図3参照)。
【0038】
図5に示すように、複数の共通配線58は、それぞれ、コモン電極34の横方向(
図5では右側)に隣の領域に、一方の端部を有する。共通配線58は、一方の端部から縦方向の一方である延長方向(
図5では下方向)に延びる。
図3に示すように、複数の共通配線58は、最も長い共通配線58bから最も短い共通配線58aへの順に、一方の端部の位置が延長方向(
図5では下方向)にずれている。
【0039】
図5に示すように、短い方からm(1≦m)番目の共通配線58の一方の端部に、延長方向と反対側で隣接して幅方向に拡がる縦側領域RLには、(m+1)番目からn番目(nは共通配線58の数)の共通配線58が並列する。例えば、m=1の場合を例にとると、短い方から1番目の共通配線58の一方の端部に、延長方向と反対側で隣接して幅方向に拡がる縦側領域RL
1には、2番目からn番目(nは共通配線58の数)の共通配線58が並列する。m=2の場合を例にとると、短い方から2番目の共通配線58の一方の端部に、延長方向と反対側で隣接して幅方向に拡がる縦側領域RL
2には、3番目からn番目(nは共通配線58の数)の共通配線58が並列する。
【0040】
短い方からm(1≦m)番目の共通配線58の一方の端部に横方向に隣接する横側領域RWには、(m+1)番目からn番目の共通配線58が並列する。例えば、m=1の場合を例にとると、短い方から1番目の共通配線58の一方の端部に横方向に隣接する横側領域RW
1には、2番目からn番目の共通配線58が並列する。m=2の場合を例にとると、短い方から2番目の共通配線58の一方の端部に横方向に隣接する横側領域RW
2には、3番目からn番目の共通配線58が並列する。
【0041】
縦側領域RLは、横側領域RWよりも、横方向に広くなっている。m番目の共通配線58の隣にある縦側領域RLと横側領域RWの横方向の幅の差は、m番目の共通配線58の一方の端部の横方向の幅に等しい。例えば、1番目の共通配線58の隣にある縦側領域RL
1と横側領域RW
1の横方向の幅の差は、1番目の共通配線58の一方の端部の横方向の幅W
1に等しい。
【0042】
複数の共通配線58は、相互に幅が異なり、長さが長いほど幅が広くなるように形成されている。
図5に示す例では、W
1<W
2<…<W
nが成立する。
【0043】
少なくとも最も短い共通配線58を除き、それぞれの共通配線58は、長さ方向に幅が異なるように複数の部分を有する。最も短い共通配線58は、長さ方向に幅が異なるように複数の部分を有していてもよいし、有していなくてもよい。
【0044】
(m+1)番目からn番目の共通配線58のそれぞれは、m番目の共通配線58の隣にある縦側領域RLに位置する部分の幅が、m番目の共通配線58の隣にある横側領域RWに位置する部分の幅よりも広い。
【0045】
例えば、m=1の場合を例にとると、2番目の共通配線58は、1番目の共通配線58の隣の縦側領域RL
1に位置する部分の幅W
22が、1番目の共通配線58の隣の横側領域RW
1に位置する部分の幅W
2よりも広い。また、3番目の共通配線58は、1番目の共通配線58の隣の縦側領域RL
1に位置する部分の幅W
32が、1番目の共通配線58の隣の横側領域RW
1に位置する部分の幅W
3よりも広い。n番目の共通配線58は、1番目の共通配線58の隣の縦側領域RL
1に位置する部分の幅W
n2が、1番目の共通配線58の隣の横側領域RW
1に位置する部分の幅W
nよりも広い。
【0046】
m=2の場合を例にとると、3番目の共通配線58は、2番目の共通配線58の隣の縦側領域RL
2に位置する部分の幅W
33が、2番目の共通配線58の隣の横側領域RW
2に位置する部分の幅W
32よりも広い。
【0047】
図5の例では、次の式を満たす。
W
2<W
22、W
3<W
32<W
33、…、W
n<W
n2…<W
nn
【0048】
(m+1)番目からn番目の共通配線58がm番目の共通配線58の隣にある縦側領域RLに有する部分の幅の合計と、(m+1)番目からn番目の共通配線58がm番目の共通配線58の隣にある横側領域RWに有する部分の幅の合計との差は、m番目の共通配線58の一方の端部の横方向の幅に等しい。
【0049】
例えば、m=1の場合を例にとると、2番目からn番目の共通配線58が1番目の共通配線58の隣の縦側領域RL
1に有する部分の幅W
22,W
32,…,W
n2の合計と、1番目の共通配線58の隣の横側領域RW
1に有する部分の幅W
2,W
3,…,W
nの合計との差は、1番目の共通配線58の一方の端部の横方向の幅W
1に等しい。つまり次の式を満たす。
(W
22−W
2)+(W
32−W
3)+…+(W
n2−W
n)=W
1
【0050】
本実施形態によれば、複数の共通配線58は、長さが長いほど幅が広くなるように形成されているので、長さの違いによる抵抗値の差を小さくすることができる。
【0051】
[変形例]
図7は、本発明の実施形態の変形例1を示す図である。この例では、共通配線158の上に無機膜の一例として無機パッシベーション膜182が形成されている。無機パッシベーション膜182は、共通配線158を露出させる貫通穴184を有する。貫通穴184を介して共通配線158と導通するように、無機パッシベーション膜182上に、コモン電極の一部である接続部166が形成されている。接続部166によって、共通配線158はコモン電極に電気的に接続する。この例は、
図6に示す構造の変形例であり、その他の詳細は、上記実施形態で説明した内容が該当する。
【0052】
図8は、本発明の実施形態の変形例2を示す図である。この例では、接続部266は、電気的に接続される共通配線258の長さが短いほど、細くなっている。上記実施形態で説明したように、共通配線258は、コモン電極234に近いほど短くなっている。コモン電極234に最も近い共通配線258aに接続する接続部266aは最も細くなっている。接続部266は、電気的に接続される共通配線258がコモン電極234に近いほど細くなっている。接続部266を細くすることでその抵抗値を高くすることができる。共通配線258の長さが短いほどその抵抗値が低いので、低抵抗の共通配線258aに高抵抗の接続部266aを接続することで、他の共通配線258から分割電極部254に至るまでの抵抗値との差を小さくすることができる。
【0053】
また、接続部266の長さは、電気的に接続される共通配線258の長さが短いほど、長くなっている。接続部266は、屈曲した形状にすることで長くなる。屈曲形状を変えることで長さを変えることができる。接続部266を長くすることでその抵抗値を高くすることができる。共通配線258の長さが短いほどその抵抗値が低いので、低抵抗の共通配線258aに高抵抗の接続部266aを接続することで、他の共通配線258から分割電極部254に至るまでの抵抗値との差を小さくすることができる。その他の詳細は、上記実施形態で説明した内容が該当する。
【0054】
図9は、本発明の実施形態の変形例3を示す図である。この例では、複数の共通配線358のそれぞれは、1つの分割電極部354に電気的に接続する。あるいは、
図9に示す分割電極部354は、
図5に示す分割電極部54よりも幅が広くなっている。または、
図9に示す1つの分割電極部354は、
図5に示す複数の分割電極部54を一体化した形状になっている。その他の詳細は、上記実施形態で説明した内容が該当する。
【0055】
図10は、本発明の実施形態の変形例4を示す図である。この例では、共通配線458に接続する接続部466の数は、共通配線458の長さが長いほど多くなっている。コモン電極434に最も近い共通配線458aに接続する接続部466aの数が最も少ない。
接続部466の数を多くすることでその抵抗値を低くすることができる。共通配線458が長いほどその抵抗値が高いので、合成抵抗値が低い複数の接続部466bを高抵抗の共通配線458bに接続することで、共通配線458aから分割電極部454aに至るまでの抵抗値との差を小さくすることができる。その他の詳細は、上記実施形態で説明した内容が該当する。
【0056】
図11は、本発明の実施形態の変形例5を示す図である。
図12は、
図11に示す共通配線のXII−XII線断面を示す図である。この例では、第2基板512は、走査回路などの回路586を有する。回路586は、第2基板12上に積層した膜から構成されている。例えば、第2基板12上には、
図12に示すように、ポリシリコンなどからなる半導体膜520が形成され、絶縁膜588を介して半導体膜520の上方に第1金属膜590が形成されている。図示しない位置で第1金属膜590はゲート電極を構成しており、これらを含む積層膜から薄膜トランジスタが構成される。回路586は、薄膜トランジスタなどの能動素子を含む。
【0057】
複数の共通配線558は、回路586と重なるように形成されている。例えば、ゲート電極を構成するための第1金属膜590の上に層間絶縁膜592が形成され、その上に、共通配線558を構成するための第2金属膜594が形成されている。第2金属膜594の上には、第1無機パッシベーション膜568及び有機パッシベーション膜570が順に積層されている。有機パッシベーション膜570の上に、コモン電極を構成するための透明導電膜580が形成され、その上に第2無機パッシベーション膜572が形成されている。透明導電膜580はITO(Indium Tin Oxide)などからなる。その他の詳細は、上記実施形態で説明した内容が該当する。
【0058】
図13は、
図12に示す例をさらに変形した構造を示す図である。この例では、透明導電膜580の下に接触して金属膜596が形成されている。金属膜596は、画像表示領域556(
図11参照)を避けて、走査回路などの回路586と重なる位置に形成されている。透明導電膜580によって構成されるコモン電極534の一部(例えば接続部)が、画像表示領域556の外側に位置しており、その部分(接続部など)に金属膜596が重なることで、共通配線558から分割電極部554までの抵抗値を下げられるようになっている。
【実施例】
【0059】
図14は、共通配線の抵抗値を説明するための図である。図示しないコモン電極に最も近いものからm番目の共通配線658
mの端部と、m−1番目の共通配線658
m−1の端部が示されている。m−1番目の共通配線658
m−1の端部までのD
1の長さを有する第1領域A
1と、第1領域A
1に隣接してm番目の共通配線658
mの端部までのD
2の長さを有する第2領域A
2とを例に挙げて説明する。
【0060】
m番目の共通配線658
mの第1領域A
1での幅をW
1Aとし、第2領域A
2での幅をW
1Bとする。なお、
図14に示す例では、第2領域A
2には幅W
1Bよりも幅の小さい部分があるが、これによる抵抗値の増加は無視できるものとする。そして、m−1番目の共通配線658
m−1の第1領域A
1での幅をW
2とする。共通配線658
m,658
m−1は同じ膜厚の金属からなり、これらのシート抵抗をいずれもR
metalとする。
【0061】
共通配線658
m,658
m−1には、コモン電極の一部である接続部666
m,666
m−1が接続されている。接続部666
m,666
m−1は、ITO(Indium Tin Oxide)からなり、これらの幅W
ito1,W
ito2は同じであるものとする。また、接続部666
m,666
m−1は、共通配線658
m,658
m−1の位置がずれていることに伴って長さが異なるが、その長さの差W
minの部分の抵抗値は無視できるものとし、第1領域A
1及び第2領域A
2の長さD
1,D
2がいずれも長さDに等しいものとする。つまり、W
min≒0D
1=D
2=Dである。
【0062】
以上の条件で、m番目の共通配線658
mの抵抗値R
mは、R
m={(D×R
metal)/W
1A}+{(D×R
metal)/W
1B}となり、m−1番目の共通配線658
m−1の抵抗値R
m−1は、R
m-1={(D×R
metal)/W
2}となる。
【0063】
ここで、m番目の共通配線658
mが第2領域A
2で幅を拡大したことによって、全てを第1領域A
1の幅W
1Aと同じ幅で形成した場合と比較して、減少する抵抗値R
decreaseは、R
decrease=[{(D×R
metal)/W
1A}+{(D×R
metal)/W
1A}]−[{(D×R
metal)/W
1A}+{(D×R
metal)/W
1B}]={(D×R
metal)/W
1A}−{(D×R
metal)/W
1B}=D×R
metal×(1/W
1A−1/W
1B)=D×R
metal×{(W
1B−W
1A)/W
1A×W
1B}…(1)となる。
【0064】
第2領域A
2に存在しない共通配線658
m−1の幅W
2と同じだけ、第2領域A
2でm番目の共通配線658
mの幅を拡大させてあれば、W
1B−W
1A≒ W2であるから、これを(1)式に代入して、R
decrease=D1×R
metal×{W2/(W
1A×W
1B)}となる。
【0065】
上記関係を使用して、第1領域A
1又は第2領域A
2あるいは共通配線658
m,658
m−1の端子(図示しないフレキシブル配線基板などが接続される部分)までの領域で、隣同士の共通配線658
m,658
m−1の抵抗値が等しくなるようにこれらを設計することができる。
【0066】
本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく種々の変形が可能である。例えば、実施形態で説明した構成は、実質的に同一の構成、同一の作用効果を奏する構成又は同一の目的を達成することができる構成で置き換えることができる。