特許第6410947号(P6410947)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6410947製品の塗布を調節するための頭髪処理用装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6410947
(24)【登録日】2018年10月5日
(45)【発行日】2018年10月24日
(54)【発明の名称】製品の塗布を調節するための頭髪処理用装置
(51)【国際特許分類】
   A45D 1/00 20060101AFI20181015BHJP
【FI】
   A45D1/00 C
   A45D1/00 501Z
   A45D1/00 503A
【請求項の数】19
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2017-535003(P2017-535003)
(86)(22)【出願日】2015年12月24日
(65)【公表番号】特表2018-501886(P2018-501886A)
(43)【公表日】2018年1月25日
(86)【国際出願番号】EP2015081252
(87)【国際公開番号】WO2016107828
(87)【国際公開日】20160707
【審査請求日】2017年8月29日
(31)【優先権主張番号】1463436
(32)【優先日】2014年12月30日
(33)【優先権主張国】FR
(73)【特許権者】
【識別番号】391023932
【氏名又は名称】ロレアル
(73)【特許権者】
【識別番号】594034072
【氏名又は名称】セブ ソシエテ アノニム
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(72)【発明者】
【氏名】バプティスト・ボンメール
(72)【発明者】
【氏名】マルシアル・メゾヌーヴ
(72)【発明者】
【氏名】ファビアン・ノルマン
(72)【発明者】
【氏名】レジス・フェレール
(72)【発明者】
【氏名】グザヴィエ・ヴァシェロン
(72)【発明者】
【氏名】サンディ・ラピーズ
(72)【発明者】
【氏名】ギャバン・ヴィク
(72)【発明者】
【氏名】ステファニア・ヌッツォ
(72)【発明者】
【氏名】エドゥアール・メサジェ
【審査官】 長清 吉範
(56)【参考文献】
【文献】 特開2008−272505(JP,A)
【文献】 特表2005−530581(JP,A)
【文献】 実開昭63−139802(JP,U)
【文献】 特公昭52−19509(JP,B2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A45D 1/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
頭髪を処理するための装置(2)であって、
− 2つのアーム(5、6)であって、頭髪を処理するための寄せられた形態と、双方のアーム間に処理すべき頭髪を差し挟むための離間した形態との間で、互いに相対移動することができる、2つのアーム(5、6)、および
− 製品を塗布するための塗布システム(18)であって、前記製品を塗布するためのアプリケータ部材(26)を備え、前記塗布システム(18)は、前記2つのアームのうちの一方(5)に取り付けられ、当該装置(2)を使用して頭髪が処理されている間、処理すべき頭髪に対する前記アプリケータ部材(26)の相異なるそれぞれの塗布圧力を生成する少なくとも2つの位置間を、前記塗布システム(18)を担持する前記アーム(5)と相対移動することができる、塗布システム(18)
を備える、装置(2)。
【請求項2】
前記少なくとも2つの位置のうちの1つの位置が、前記製品を塗布するための寄せられた位置であり、他の位置が、処理すべき頭髪から離間した位置であって、前記アプリケータ部材(26)が、処理すべき頭髪から離間されている、離間した位置である、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記塗布システム(18)が、頭髪を処理するための当該装置の使用中、任意の中間位置を取ることが可能である、請求項1または2に記載の装置。
【請求項4】
前記2つのアーム(5、6)はそれぞれ、当該装置を保持するためのハーフハンドル(10、11)と、前記2つのアーム(5、6)の前記寄せられた形態において処理すべき頭髪と接触するジョー(3、4)とを備え、前記塗布システム(18)が、前記塗布システム(18)を担持する前記アーム(5)の前記ジョー(3)に沿って延びる、請求項1から3のいずれか一項に記載の装置。
【請求項5】
前記塗布システム(18)が、前記塗布システム(18)を担持する前記アーム(5)の前記ジョー(3)だけに沿って延びる、請求項4に記載の装置。
【請求項6】
2つの加熱要素であって、頭髪と接触するようにそれぞれ意図され、かつそれぞれが、アーム(5、6)に配設される、2つの加熱要素を備える、請求項1から5のいずれか一項に記載の装置。
【請求項7】
前記塗布システム(18)が、前記塗布システム(18)を担持する前記アーム(5)の陥凹部(23)に取り付けられる、請求項1から6のいずれか一項に記載の装置。
【請求項8】
前記塗布システム(18)が、前記塗布システム(18)を担持する前記アーム(5)に取り付けられているホルダ(22)と、前記ホルダ(22)に取り付けられ、前記アプリケータ部材(26)を備えるリフィル(20)とを備える、請求項1から7のいずれか一項に記載の装置。
【請求項9】
前記リフィル(20)が、着脱可能であり、相補的な形状によって固定される、請求項8に記載の装置。
【請求項10】
前記リフィル(20)が、前記塗布システム(18)を担持する前記アーム(5)の形態および前記塗布システム(18)の位置に関わらず、アクセス可能である、請求項8または9に記載の装置。
【請求項11】
前記リフィル(20)は、前記2つのアーム(5、6)が、前記寄せられた形態にあるのか、それとも前記離間した形態にあるのかに関わらず、前記塗布システム(18)の前記少なくとも2つの位置のそれぞれにおいて着脱可能である、請求項8から10のいずれか一項に記載の装置。
【請求項12】
前記塗布システム(18)が、前記少なくとも2つの位置間で前記塗布システム(18)を移動させるためのレバー(50)またはプッシャ(72)を備える、請求項1から11のいずれか一項に記載の装置。
【請求項13】
前記塗布システム(18)を前記少なくとも2つの位置のうちの1つに保つための復帰ばね(70)を備える、請求項1から12のいずれか一項に記載の装置。
【請求項14】
前記塗布システム(18)を前記少なくとも2つの位置のうちの1つに保つように、前記塗布システム(18)をロックするための少なくとも1つのロッキング装置(29)を備える、請求項1から13のいずれか一項に記載の装置。
【請求項15】
前記ロッキング装置(29)が、スライダ(30)を備え、前記スライダ(30)が、前記塗布システム(18)を担持する前記アーム(5)に取り付けられ、かつ前記塗布システム(18)を前記少なくとも2つの位置のうちの1つにロックする、請求項14に記載の装置。
【請求項16】
前記ロッキング装置(29)が、少なくとも2つの相異なる位置に前記塗布システム(18)をロックすることを可能にする、請求項14または15に記載の装置。
【請求項17】
前記塗布システム(18)が、枢支連結を介して、前記塗布システム(18)を担持する前記アーム(5)に取り付けられる、請求項1から16のいずれか一項に記載の装置。
【請求項18】
前記塗布システム(18)を担持する前記アームが、長手方向軸(X)を有し、前記枢支連結により、前記塗布システム(18)は、前記塗布システム(18)を担持する前記アームの前記長手方向軸(X)に平行な回転軸(Y)周りに回転することが可能になる、請求項17に記載の装置。
【請求項19】
頭髪を処理するための方法であって、請求項1から18のいずれか一項に記載の装置(2)が使用され、前記塗布システム(18)の位置が、前記塗布システム(18)を担持する前記アーム(5)に対して変化させられる、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、頭髪処理用の装置に関し、より詳細には、これに限定するものではないが、頭髪を形付けるように意図されたもの、特に、頭髪をストレートにする、カールさせる、またはウェーブさせるように意図されたものに関する。
【0002】
本発明は、より詳細には、2つのアームを備える装置に関し、これらのアームは、互いに対して移動することができ、前記アーム間に毛束を差し込むための離間した形態と、毛束を処理するための寄せられた形態とを取ることができ、アームは、この寄せられた形態では、毛束に沿って移動することができる。そのような装置においては、アームは、装置の使用中に頭髪が接触する2つの加熱要素を載せていることが多い。
【背景技術】
【0003】
時としてストレートアイロンとしても知られているこのタイプの多数の装置は、すでに提案されており、頭髪へのヘアケア製品の塗布を実施している。
【0004】
通常、ヘアストレートナ(hair straightener)は、2つのアームであって、前記アームの開閉を可能にするヒンジの助けを得て一緒に連結されている、2つのアームと、アームに配設された少なくとも1つの加熱要素とから構成される。頭髪の毛束をスタイリングする作業中、前記毛束は、開放位置で2つのアーム間に差し込まれ、次いで、2つのアームが、頭髪の毛束の上に手動で閉じられる。頭髪の毛束は、次いで、2つのアームが開かれて頭髪の毛束が取り除かれるまで、加熱要素によって産出される熱を受ける。
【0005】
特許文献1は、ヘアスタイリング器具について記載しており、この器具は、器具の開閉を可能にするように一緒に連結されている2つのアームと、少なくとも1つの加熱部材と、頭髪処理装置を収容するための少なくとも1つの台座とを備え、頭髪処理装置は、作業中、ヘアケア製品の分注を可能にする。頭髪処理装置は、ヘアケア製品を含浸させた、単回使用に適した担体材料から成る。
【0006】
特許文献2は、頭髪を処理するための装置について記載しており、この装置は、器具の開閉を可能にするように一緒に連結されている2つのアームと、塗布すべき製品を収容しているリザーバと、製品を塗布するためのアプリケータ部材と、頭髪を蒸気に曝すための蒸気出口とを備える。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】国際公開第2009/078046号パンフレット
【特許文献2】国際公開第2014/064660号パンフレット
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ユーザが、装置を使用しながら美容用製品の塗布を容易に調節することができるように、ヘアケア製品を塗布するための装置をさらに改善する必要がある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の対象は、その態様のうちの第1の態様によれば、頭髪を処理するための装置であり、この装置は、
− 2つのアームであって、頭髪を処理するための寄せられた形態と、前記アーム間に処理すべき頭髪を差し挟むための離間した形態との間で、互いに相対移動することができる、2つのアーム、および
− 製品を塗布するためのシステムであって、製品を塗布するためのアプリケータ部材を備え、この塗布システムは、アームのうちの一方に取り付けられ、装置を使用して頭髪が処理されている間、処理すべき頭髪に対するアプリケータ部材の相異なるそれぞれの塗布圧力を生成する少なくとも2つの位置間を前記アームと相対移動することができる、塗布システム
を備える。
【0010】
本発明は、ユーザが、装置を使用している間、特に、2つのアームが寄せられた形態にあるとき、製品をより多くまたはより少なく塗布するために、塗布システムの前記位置のうちの一方または他方を選択することを可能にする。
【0011】
好ましくは、2つの位置は、塗布システムの末端位置である。
【0012】
好ましくは、位置のうちの一方は、製品を塗布するために処理すべき頭髪に向かって移動する位置であり、他方は、処理すべき頭髪から離間した位置であって、アプリケータ部材が、処理すべき頭髪から離間され、特に、アプリケータ部材が、アームの寄せられた形態において処理すべき頭髪と接触しないように十分に離間された、位置である。これにより、ユーザは、装置の使用中はいつでも、塗布を停止する、または開始することを選択することが可能になる。ユーザは、たとえば、頭髪の特定の毛束のみに製品を塗布することを選択することができ、そのとき、ユーザは、頭髪の処理中、装置を交換する、またはアプリケータ部材を取り外す必要はない。ユーザが、頭髪の特定の毛束を処理している間、塗布システムを塗布位置に置くこと、および塗布システムを他の毛束のために離間した位置に置くことは容易である。ユーザはまた、頭髪の一部、特に、頭髪の端部のみに製品を塗布することを選択することもできる。
【0013】
塗布システムは、頭髪を処理するための装置の使用中、任意の中間位置を取るように構成され得る。位置のうちの一方から他方への移行は、とりわけ、特定の量の製品を塗布するための中間位置に塗布システムを保つことをユーザが選択することができるように、連続的に行うことができる。
【0014】
2つの位置間の塗布システムの移動は、処理を停止させる必要なく、装置が頭髪において使用されている間、行うことができる。
【0015】
好ましくは、アームはそれぞれ、装置を保持するためのハーフハンドルと、アームの寄せられた形態において処理すべき頭髪と接触するジョー(jaw)とを備える。好ましくは、塗布システムは、塗布システムを担持するアームのジョーに沿って延びる。好ましくは、塗布システムは、ジョーだけに沿って延びる。
【0016】
塗布システムは、塗布システムを担持するアームの陥凹部に、特に、塗布システムを担持するジョーの陥凹部に取り付けられ得る。陥凹部は、塗布システムを担持するジョーおよび塗布システムによって形成される組立体の幅が、他方のジョーの幅に多かれ少なかれ等しいようなものとすることができる。
【0017】
塗布システムは、塗布システムを担持するアームに取り付けられているホルダと、ホルダに取り付けられ、アプリケータ部材を備えるリフィルとを備えることができる。
【0018】
リフィルは、着脱可能とすることができ、リフィルは、相補的な形状によって固定され得、特に、ホルダの対応する溝の中で摺動することができるリブを備えることができる。
【0019】
ホルダおよび/またはリフィルは、リフィルをホルダにロックするためのロッキング部材を備えることができ、前記リフィルがホルダから誤って離脱することが防止される。リフィルは、塗布システムの位置およびアームの形態に関わらず、アクセス可能とすることができる。リフィルは、アームが、寄せられた形態にあるのか、それとも離間した形態にあるのかに関わらず、塗布システムの位置のそれぞれにおいて着脱可能とすることができる。
【0020】
上面図においては、リフィル、ホルダ、およびそれらを担持するアームを見ることができる。「上面図においては(in top view)」という表現は、装置が、処理すべき頭髪と接触する側から離れたジョーの側から観察されることを意味する。
【0021】
塗布システムは、前記位置間で、好ましくは手動で、塗布システムを移動させるためのレバーまたはプッシャを備えることができる。
【0022】
装置は、塗布システムを前記位置のうちの1つに、特に離間した位置に保つための復帰ばねを備えることができる。
【0023】
装置は、塗布システムを前記位置のうちの1つに、特に塗布位置に保つように、塗布システムをロックするための少なくとも1つの装置を備えることができる。
【0024】
ロッキング装置は、スライダを備えることができ、スライダは、塗布システムを担持するアームに取り付けられ、かつ特に、塗布システムの、特には、ホルダのノッチに挿入されることによって塗布システムを前記位置のうちの1つにロックする。
【0025】
ロッキング装置は、少なくとも2つの相異なる位置に塗布システムをロックすることを可能にすることができる。たとえば、塗布システム、特にホルダは、塗布システムの位置、特に塗布位置と、前記位置間の中間位置、特に低減塗布位置とにそれぞれ対応する2つの別個のノッチを備えることができる。
【0026】
装置は、塗布システムをロックするための少なくとも2つの装置を備えることができ、このロッキング装置のうちの一方は、前記位置のうちの1つ、特に塗布位置にシステムを保つことを可能にし、ロッキング装置のうちの他方は、前記位置間の中間位置、特に低減塗布位置にシステムを保つことを可能にする。
【0027】
塗布システムは、回転軸周りに回転することができ得る。塗布システムは、枢支連結を介して、特にヒンジの助けを得て、塗布システムを担持するアームに取り付けられ得る。枢支連結は、アーム、特にジョーと、ホルダとの間の連結とすることができる。連結部は、塗布システムを担持するジョーの陥凹部に隣接していても、またはその中に配設されてもよい。枢支連結により、好ましくは、塗布システムは、回転軸周りに回転することが可能になる。回転軸は、塗布システムを担持するアームの長手方向軸に平行であっても、または垂直であってもよい。好ましくは、回転軸は、塗布システムを担持するアームの長手方向軸に平行である。
【0028】
一変形形態においては、塗布システムは、軸、特に、処理すべき頭髪と接触するアプリケータ部材の塗布表面に垂直な軸に沿って、移動、特に並進移動することができる。
【0029】
美容用製品を塗布するためのアプリケータ部材は、前記位置のうちの少なくとも1つで処理すべき頭髪と接触する。美容用製品を塗布するためのアプリケータ部材は、好ましくは、多孔質でかつ弾性的に圧縮可能であり、特に、実質的にすべて同じ向きを有し得る繊維を含むフェルトである。アプリケータ部材には、それが装置に取り付けられる前に、製品を染み込ませていることが好ましい。
【0030】
アプリケータ部材を担持するジョーとは反対側のジョーは、対抗支持表面を画定することができ、それにより、塗布システムの前記位置のうちの少なくとも1つにおいては、頭髪は、対抗支持表面によって、一定の圧力によりアプリケータ部材に押し付けられる。対抗支持表面は、対向するジョーのハウジングの中に配設された押圧要素、特に、ハウジングと着脱可能な押圧要素によって形成され得る。
【0031】
好ましくは、特に頭髪をストレートにしようとするとき、装置は、頭髪と接触するように意図されている1つの加熱要素、より好ましくは、2つの加熱要素を備え、2つの加熱要素は、頭髪と接触するように意図され、かつそれぞれが、アームに、特に、アームの寄せられた形態において互いに向き合うように配設される。この、またはこれらの加熱要素はそれぞれ、頭髪と接触させるための高温表面を画定する、優れた熱伝導体である材料から作製されたプレートを含むことができ、前記表面の温度は、たとえば、95℃以上、より好ましくは、90℃から230℃の間である。
【0032】
アームのうちの一方、好ましくは、塗布システムを担持するアームとは反対側のアームは、蒸気出口、および/または櫛を有することができる。
【0033】
好ましくは、製品は、蒸気を当てること、および/もしくは髪を梳くこと、ならびに/または加熱要素によってストレートにすることに先立って、装置の中に差し込まれる頭髪の毛束に塗布される。したがって、アーム間に差し込まれる頭髪は、毛束が装置のアーム間を移動している間に、櫛、蒸気、および加熱要素に曝される前に、アプリケータ部材と接触することができる。
【0034】
好ましくは、本発明による頭髪を処理するための装置は、特に、閉鎖位置で互いに接触する少なくとも2つの平坦な加熱要素を備えるストレートナである。
【0035】
本発明のさらなる対象は、頭髪を処理するための方法であり、ここでは、本発明による装置が使用され、塗布システムの位置は、塗布システムを担持するアームに対して、特に、製品の塗布を開始するため、製品の塗布を停止するため、または製品の塗布中に頭髪に対してアプリケータ部材によって加えられる圧力を修正するために、変化させられる。
【0036】
塗布システムの位置は、処理を停止する必要なく、装置が頭髪に使用されながら変更可能である。
【0037】
本発明は、その限定していない例示的な実施形態の以下の詳細な説明を読むことにより、および添付の図面を検討することにより、より良く理解され得る。
【図面の簡単な説明】
【0038】
図1】塗布システムが塗布位置にある、装置の1つの例の概略的斜視図である。
図2図1の装置のIIに沿う前面図である。
図3図1の装置のIIIに沿う部分的上面図である。
図4】リフィルの1つの例の概略的斜視図である。
図5】ホルダの1つの例の概略的斜視図である。
図6】処理すべき頭髪から離間された位置における、塗布システムを担持するアームの一例を概略的に示す図である。
図7】塗布システムが中間位置にある、図4によるアームを示す図である。
図8】ホルダをロックするための装置の一例の概略図である。
図9】2つの位置のうちの一方における変形形態の塗布システムを概略的に示す部分的横断面図である。
図10】2つの位置のうちの他方における図9による塗布システムを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0039】
説明の残りの部分においては、同一のもしくは類似する要素、または同一のもしくは類似する機能を有する要素は、別段、明記されない限り、図の中の同じ参照符号を有する。
【0040】
図1図3は、本発明による、頭髪を処理するための装置の一例のハンドピース2を示している。
【0041】
このハンドピース2は、2つのジョー3および4を有し、ジョー3および4は、前記ジョー間に頭髪の毛束を差し込むための離間した形態(図示せず)と、処理するための寄せられた形態との間を互いに対して移動することができる。
【0042】
ジョー3および4は、上側アーム5および下側アーム6によってそれぞれ担持され、上側アーム5および下側アーム6は、検討中の例においては、関節部8によって一方の端部において一緒に連結され、したがって、ハンドピース2は、トングを形成する。
【0043】
上側アーム5および下側アーム6はそれぞれ、ユーザがジョー3および4を移動させるために押すことができるそれぞれのハーフハンドル10および11を関節部8とジョー3および4との間に画定する、好ましくは、22cmから40cmの間、特に、約31cmの全長を有する。
【0044】
上側アーム5および下側アーム6は、ジョーの3および4が閉じているとき、好ましくは互いに平行であるそれぞれの長手方向軸XおよびXに沿って延びる。
【0045】
弾性復帰部材(図示せず)が、好ましくは、ジョー3および4を、離間した形態に戻すために設けられ、この弾性復帰部材は、たとえば、関節ピン8を中心として配設されるばねである。
【0046】
本発明は、上側アーム5および下側アーム6を一緒に連結するという特定の形に限定されず、ジョー3および4が、本発明の範囲から逸脱することなく、何らかの他の方式で移動することができるようにされてもよい。しかしながら、それが提供する人間工学のためには、関節部の存在が、おしなべて好ましい。
【0047】
ジョー3および4は、頭髪を処理するための領域を互いの間に画定し、前記領域は、処理すべき頭髪の毛束を受け入れるように意図されており、ハンドピース2は、処理中、前記毛束に沿って、たとえば、頭髪の根元から端部の方向に移動する。
【0048】
検討中の例においては、ハンドピース2は、美容用製品を塗布し、次いで、櫛13に通すことによって頭髪を梳き、頭髪を蒸気によって処理し、次いで、2つの高温表面15および16との接触によって頭髪の熱処理を行うように構成されている。
【0049】
図2に示されている、頭髪の上をハンドピース2が移動する方向Dは、好ましくは、上側アーム5および下側アーム6に実質的に垂直である。
【0050】
ハンドピース2は、検討中の例においては、処理中は固定され、本線に接続されているベースステーション(図示せず)に、線によって接続されている。
【0051】
このベースステーションは、ハンドピース2に電源を供給し、また水も供給して、蒸気を生成し、ハンドピース2から受信した電気信号を処理する追加の機能も行うことができる。したがって、ハンドピース2をベースステーションに接続する線18は、様々な導電体および給水管を備えることができる。
【0052】
ユーザインターフェース(図には示されていない)が、ハンドピース2に存在して、たとえば、ユーザが、ハンドピース2の特定のコンポーネントを起動する、または起動させないことを可能にすることができる。
【0053】
美容用製品は、美容用製品を収容するリフィル20と、リフィル20を担持し、2つのアーム5または6のうちの一方、この場合には、上側アーム5に取り付けられているホルダ22とを備える塗布システム18によって塗布される。塗布システム18は、アーム5の陥凹部23の中に収納されている。
【0054】
リフィル20は、美容用製品を収容し、かつ処理すべき頭髪と接触することができる、アプリケータ部材26を備える。
【0055】
図1図3に示されている例においては、アプリケータ部材26は、アームのうちの他方のアーム6のハウジングの中に担持される押圧要素28と向かい合い、アプリケータ部材26は、この押圧要素28に、処理すべき頭髪を押し付けることができる。押圧要素28は、処理すべき頭髪が接触するアプリケータ部材26の塗布表面と相補的な形状を有する、頭髪と接触するための表面を有する。押圧要素28は、着脱可能とすることができ、特に、そのハウジングから押圧要素28を取り外すことを可能にするハンドルを備えることができる。
【0056】
図4に示されているように、リフィル20は、レリーフ、特に、溝42、この場合にはT形状の溝を備え、このレリーフは、ホルダ22上の対応するレリーフと協働し、特に、図5に示されている、溝42に対応するリブ44の中で摺動し、リフィル20をホルダ22に取り付けることが可能になる。
【0057】
リフィル20はまた、ホルダ22上のロッキング部材の雌部48と協働する、ロッキング部材の雄部46を備え、このことは、装置2の向きに関わらず、リフィル20をロッキング部材に保持することを可能にする。
【0058】
一変形形態においては、リフィルは、ロッキング部材の雌部を備え、ホルダは、対応する雄部を備える。
【0059】
ホルダ22は、アプリケータ部材26が、処理すべき毛束から離間されている開放位置と、アプリケータ部材26が、処理すべき頭髪と接触することができる閉鎖位置との間で、上側アーム5の長手方向軸Xに実質的に平行に配向される回転軸Y周りで関節接合される。
【0060】
たとえば、ホルダ22は、ハンドピース2が使用されている間、ジョー3として機能するアーム5の遠位部に、図1図3、ならびに図6および図7に示されているようにヒンジ28を介して関節接合される。ホルダ22は、寄せられた形態のアームのうちの他方のアーム6とアプリケータ部材26の塗布表面がほぼ平行となる、寄せられた塗布位置から、アプリケータ部材26の塗布表面が頭髪から離間されている、離間した位置まで枢動することができる。
【0061】
図6に示されているホルダ22の最大角度移動量αmaxは、アプリケータ部材26を、処理すべき頭髪から離れて置くために、図6に示されているように、有利には、少なくとも45°、より好ましくは、少なくとも90°である。図7に示されているように、ホルダ22はまた、寄せられた塗布位置と離間した位置との間の任意の中間位置を取ってもよい。
【0062】
図1図8に示されている例においては、ホルダ22は、レバー50を備え、このレバー50は、ホルダ22から横方向に突出する。レバー50により、ユーザは、ホルダ22をその回転軸Y周りに枢動させることができる。レバー50は、ホルダ22の側壁に連結されている角度付きの部分52と、回転軸Yに平行な軸に実質的に沿って延びる直線部分54とを有する。
【0063】
ホルダ22の閉鎖または開放運動は、ヒンジ28の領域の中に配設される弾性復帰部材、たとえば、螺旋ばねまたは板ばねによって、適宜、補助され得る。この復帰部材は、ホルダ22をその開放位置に向かうように付勢することができる。
【0064】
そのような復帰部材の使用は、図8に示されているように、装置がまた、ホルダ22を閉鎖位置にロックするための装置29を備えているとき、特に有利である。この場合においては、ユーザがホルダ22をロック解除するようにこのロッキング装置29に働きかけると、ホルダ22は、有利にはその完全に開放位置のところまで、または一変形形態においては、開放移動量の一部のみにわたって、自動的に開放され得る。
【0065】
図8に示されているように、ロッキング装置29は、支持部22を担持するアーム5に取り付けられた、特に、アーム5の少なくとも2つのガイド34に挿入されたスライダ30と、スライダ30に、特に、アーム5のガイド34間に固定された操作部材32と、アーム上に、特に、2つのガイド34間に存在する阻止レリーフ36とを備える。スライダ30は、ホルダ22を閉鎖位置にロックするために、ホルダ22のノッチ40に挿入されるように意図されている。操作部材32は、2つのガイド34間を移動し、ガイド34に当接し得る。操作部材32は、スライダ30に固着され、その結果、2つのガイド34間を操作部材32が移動することにより、スライダ30をガイド34内で移動させることになり、それによって、前記スライダをノッチ40に挿入する、またはノッチ40から取り出すことが可能になる。阻止レリーフ36は、ロック位置においては操作部材32が阻止レリーフ36とガイド34のうちの一方との間でロックされるように、アーム5に配設される。これにより、たとえば、ハンドピース2が落下した場合、誤ってホルダ22が開く危険性を抑えることができる。
【0066】
ホルダ22を閉鎖位置にロックするためには、ユーザは、特に、レバー50の助けを得て、ホルダ22を閉鎖位置に手動で保持し、阻止レリーフ36の上を越えて、ホルダ22に最も近いガイド34に当てるように操作部材32を移動させる。ホルダ22をロック解除するためには、ユーザは、阻止レリーフ36の上を元に戻るように越えて、ホルダ22から最も遠いガイド34に当てるように操作部材32を移動させる。
【0067】
ホルダ22は、複数のノッチ40を備えることができ、各ノッチ40は、ホルダ22を特定の角度移動量αに保つことを可能にし、たとえば、ノッチ40のうちの1つは、ホルダ22を寄せられた塗布位置に保つことを可能にし、ノッチ40のうちの別のノッチは、図7に示されているように、ホルダ22を半開放位置に保つことを可能にする。
【0068】
ヒンジ28が弾性復帰部材を備えている場合、ホルダ22に移動リターダを設けることが可能である。
【0069】
図9および図10に示されている例は、塗布システム18の形状によって、図1図8の例とは異なる。
【0070】
図9および図10に示されている例においては、塗布システム18は、アプリケータ部材26の塗布表面に垂直な軸Zに沿って移動することができるリフィル20と、アーム5の軸Xに平行な軸Pに沿って移動することができるホルダ22とを備える。リフィルは、軸Pに沿って固定され、ホルダ22は、軸Zに沿って固定される。リフィル20は、ホルダ22の相補的な凹部64の中に収納されている突出部62を備える。突出部62は、リフィル20の長手方向軸Rに対して5°から60°の間の角度βを成す実質的に平坦な面66を有する。面66は、長手方向軸Rに対する同じ角度βで、対応する凹部64の実質的に平坦な壁部68と接触する。この方式においては、図10に示されているように、ホルダ22の軸Pに沿う移動は、面66を壁部68に対して摺動させ、そのことにより、軸Zに沿ってリフィル20を移動させることになる。
【0071】
したがって、アプリケータ部材26は、処理すべき頭髪に塗布される美容用製品の量を調節できるようにするために、アームのうちの他方のアーム6から離間される、またはそれに向かって移動することができる。
【0072】
ホルダ22は、位置のうちの1つ、特に、処理すべき頭髪から離間された位置にホルダ22を戻すことを可能にする復帰部材70を備える。
【0073】
ホルダ22は、レリーフ74を有するプッシャ72を備える。レリーフ74は、ユーザが、指でプッシャ72を把持することを可能にする。
【0074】
本発明は、説明したばかりの例示的な実施形態に限定されず、様々な例の特徴は、示されていない変形形態内で互いに組合せ可能である。
【0075】
「備える、含む(comprising)」という表現は、逆に指定しない限りは、「少なくとも1つを備える、含む(comprising at least one)」と同義であると理解すべきである。
【符号の説明】
【0076】
2 ハンドピース
3、4 ジョー
5、6 アーム
8 関節部、関節ピン
10、11 ハーフハンドル
13 櫛
15、16 高温表面
18 塗布システム
18 線
20 リフィル
22 ホルダ
23 陥凹部
26 アプリケータ部材
28 押圧要素
28 ヒンジ
29 ロッキング装置
30 スライダ
32 操作部材
34 ガイド
36 阻止レリーフ
40 ノッチ
42 溝
44 リブ
46 雄部
48 雌部
50 レバー
52 角度付きの部分
54 直線部分
62 突出部
64 凹部
66 平坦な面
68 壁部
70 復帰部材
72 プッシャ
74 レリーフ
D 方向
P 軸
R 長手方向軸
、X 長手方向軸
Y 回転軸
Z 軸
α 角度移動量
αmax 最大角度移動量
β 角度
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10