(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
第一の弾性フィルムと第二の弾性フィルムとの間に使用者の手を挟んだ状態で、前記手の輪郭の外側の位置において、前記第一の弾性フィルムと前記第二の弾性フィルムを溶着及び切断する溶着切断手段を有し、
前記溶着切断手段は、1本の溶着切断用熱線、または、溶着用熱線と切断用熱線とで構成されている、手袋製造装着装置。
前記第一の枠状部材と前記第二の枠状部材は、前記第一の枠状部材と前記第二の枠状部材が接近するときに、前記使用者の手から所定の距離を有する位置において、最も接近するように構成されている、
請求項2に記載の手袋製造装着装置。
前記溶着切断手段は、前記第一の弾性フィルムと前記第二の弾性フィルムとの間に使用者の手を挟んだ状態で、前記手の輪郭の外側の位置において、使用者の手の輪郭と相似形に前記第一の弾性フィルムと前記第二の弾性フィルムを溶着及び切断するように構成されており、
前記溶着切断手段が、前記第一の弾性フィルムと前記第二の弾性フィルムを溶着及び切断する部分の外側において、四辺形状に前記第一の弾性フィルムと前記第二の弾性フィルムを切断する外側切断手段を有し、
前記外側切断手段は、前記第一の弾性フィルム及び前記第二の弾性フィルムの巻取り方向と垂直な方向において、前記第一の弾性フィルム及び前記第二の弾性フィルムの両端部及び中央部を残すように切断するように構成されている、
請求項1または請求項2に記載の手袋製造装着装置。
前記第一の弾性フィルム及び前記第二の弾性フィルムの巻取り方向において、前回の手袋製造装着のときの前記四辺形状に切断された部分の上端を構成する辺が、今回の手袋製造装着のときに前記四辺形状に切断された部分の下端の位置に配置されるように、前記第一の弾性フィルム及び前記第二の弾性フィルムが巻き取られるように構成されている、
請求項5に記載の手袋製造装着装置。
前記外側切断手段は、前記第一の弾性フィルム及び前記第二の弾性フィルムの巻取り方向において、前記上端を構成する辺が前記下端を構成する辺よりも長くなるように、前記第一の弾性フィルム及び前記第二の弾性フィルムを切断するように構成されている、
請求項6に記載の手袋製造装着装置。
前記溶着切断手段は、前記第一部材または前記第二部材に形成された溝部の底部に配置されている、または、前記第一部材と前記第二部材のいずれかにおいて、両部材が対向する側の面と略同一の高さにおいて配置されている、請求項2に記載の手袋製造装着装置。
前記溶着切断手段による前記第一の弾性フィルムと前記第二の弾性フィルムの溶着及び切断に先立って、前記第一の弾性フィルム及び前記第二の弾性フィルムを延伸させるための延伸手段を有する、
請求項1または請求項2に記載の手袋製造装着装置。
使用者の手が前記溶着切断手段に接したことによる圧力を検知し、使用者の安全を確保するための第一緊急動作を実施するための第一緊急対応手段を有する、請求項2に記載の手袋製造装着装置。
前記第一の手格納部と前記第二の手格納部以外の位置において、前記第一部材と前記第二部材との間に使用者の手が挟み込まれたことを検知し、使用者の安全を確保するための第二緊急動作を実施するための第二緊急対応手段を有する、請求項13に記載の手袋製造装着装置。
前記第一の手格納部及び/または前記第二の手格納部に、使用者の手が正常に格納されていないことを検知し、使用者の安全を確保するための第三緊急動作を実施するための第三緊急対応手段を有する、請求項14に記載の手袋製造装着装置。
第一の弾性フィルムと第二の弾性フィルムとの間に使用者の手を挟んだ状態で、前記手の輪郭の外側の位置において、前記第一の弾性フィルムと前記第二の弾性フィルムを溶着及び切断することで、製造され、かつ、使用者の手に装着される手袋製造装着方法であって、
一本の溶着切断用熱線、または、溶着用熱線と切断用熱線によって、前記第一の弾性フィルムと前記第二の弾性フィルムの溶着及び切断を実施する手袋製造装着方法。
第一の弾性フィルムが配置される第一部材と第二の弾性フィルムが配置される第二部材とによって、使用者の手を挟むように前記第一部材と前記第二部材を移動させる移動ステップと、
前記第一の弾性フィルムと前記第二の弾性フィルムとの間に前記手を挟んだ状態で、前記手の輪郭の外側の位置である第一外側位置において、前記第一の弾性フィルムと前記第二の弾性フィルムを溶着し、前記第一外側位置のさらに外側の位置である第二外側位置において、前記第一の弾性フィルムと前記第二の弾性フィルムを切断する、溶着切断ステップと、
を有する方法によって製造され、かつ、使用者の手に装着された手袋。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、図面に基づき本発明の好適な実施形態を説明する。なお、当業者が適宜実施できる構成については説明を省略し、本発明の基本的な構成についてのみ説明する。
【0028】
<第一の実施形態>
手袋製造装着装置1(以下、「装置1」と呼ぶ。)の概要を説明する。
図1及び
図2に示すように、装置1は、上側部材10、下側部材30及び4つの回転柱80を有する。回転柱80は、上側部材10及び下側部材30の四隅に配置される。上側部材10及び下側部材30の外形は、扁平な直方体である。上側部材10には弾性フィルム100が配置され、下側部材30には弾性フィルム102が配置される。装置1は手袋製造装着装置の一例であり、上側部材10は第一部材の一例であり、弾性フィルム100は第一の弾性フィルムの一例であり、下側部材30は第二部材の一例であり、弾性フィルム102は第二の弾性フィルムの一例である。
【0029】
弾性フィルム100及び弾性フィルム102は、弾性を有するプラスチックフィルムであり、例えば、低密度ポリエチレンフィルム(low density polyethylene films)、無延伸ポリプロピレンフィルム(cast polypropylene films)、延伸ポリプロピレンフィルム(oriented polypropylene films)、エチレン酢酸ビニル共重合体フィルム(ethylene−vinyl acetate copolymer films)等である。これらのプラスチックフィルムが単層として、あるいは、複数層として、弾性フィルム100及び弾性フィルム102が形成される。
【0030】
本明細書において、上側部材10の方向を上方向、下側部材30の方向を下方向と呼ぶ。また、上側部材10の側面10c及び下側部材30の側面30cの方向を右方向と呼び、その反対の方向を左方向と呼ぶ。上側部材10の前面10b及び下側部材30の前面30bの方向を手前方向と呼び、その反対の方向を奥手方向と呼ぶ。なお、本実施形態とは異なり、上側部材10及び下側部材30の外形は、扁平な直方体に限らず、立方体でもよいし、丸みを帯びた形状でもよい。
【0031】
図1及び
図2に示すように、上側部材10の奥手方向側の側面にはフィルムホルダー12が配置されており、下側部材30の奥手方向側の側面にはフィルムホルダー32が配置されている。フィルムホルダー12及びフィルムホルダー32は、それぞれ、弾性フィルム100及び弾性フィルム102を引き出し可能な状態で保持するための構成である。
【0032】
図3に示すように、フィルムホルダー12は、筐体12a及び回転軸12bで構成されている。筐体12aには開口部であるフィルム出口12cが形成されている。弾性フィルム100は、回転軸12bに巻かれた状態で、筐体12aに格納されており、フィルム出口12cから外部に引き出すことができるように構成されている。フィルムホルダー32の構成は、フィルムホルダー12の構成と同様である。
【0033】
図8は、上側部材10を下側部材30の方向から見た部分概略図である。
図8に示すように、上側部材10において、上面10aと反対側の面である下面10dの手前方向側の部分には、フィルム固定部14が配置されている。同様に、
図1に示すように、下側部材30の上面30aの手前方向側の部分には、フィルム固定部34が配置されている。フィルム固定部14とフィルム固定部34は、それぞれ、弾性フィルム100及び弾性フィルム102を固定するための構成である。フィルム固定部14とフィルム固定部34は、弾性フィルム100及び弾性フィルム102を固定できる材料で形成されており、例えば、シリコーンゴム(silicone rubber)で形成されている。
【0034】
図2に示すように、フィルムホルダー12から引き出された弾性フィルム100は、ガイド18を通って、手前方向に引き出され、その端部がフィルム固定部14(
図8参照)に固定される。同様に、フィルムホルダー32から引き出された弾性フィルム102は、ガイド74を通って、手前方向に引き出され、その端部がフィルム固定部34(
図5参照)に固定される。
【0035】
図1に示すように、上側部材10の上面10aには、ディスプレイ装置16が配置されており、装置1の各部の状態を含む所定の文字列を表示するようになっている。下側部材30の上面30aには、異物センサー72が配置されている。異物センサー72は、例えば、赤外線センサーであり、赤外線を上側部材10の下面10dの受信装置(図示せず)に向けて送信し、上側部材10の受信装置において赤外線の受信状態に異常がある場合には、異常を示す文字列をディスプレイ装置16に表示するようになっている。
【0036】
下側部材30には、電源スイッチ70が配置されており、装置1全体の起動及び停止を行うことができるように構成されている。
【0037】
上側部材10は、下側部材30に対して、
図1の矢印Z1方向(上下方向)に往復移動(昇降)する。
図4に、上側部材10の昇降機構の一例を概念的に示す。
図4には、上側部材10の一部分(一本の回転柱80の近傍の部分)及び下側部材30の内部の一部を示す。
図4に示すように、上側部材10には、貫通孔部11が形成され、貫通孔部11には、雌螺子が形成されている。下側部材30にも、貫通孔部(図示せず)が形成されているが、下側部材30の貫通孔部には、螺子は形成されていない。回転柱80には雄螺子が形成されており、回転柱80が回転することによって、上側部材10が下側部材30に対して昇降するようになっている。回転柱80の下方には、歯車80aが形成されている。歯車80aは、下側部材30の内部に配置される。歯車80aは、下側部材30の内部に配置された、歯車13a、ベルト13b等の動力伝達手段を介して、モーター13cに接続されている。モーター13cの回転軸が回転することによって、回転柱80も回転するように構成されている。モーター13cの回転軸は、正転方向R1、逆転方向R2に回転し、回転柱80も正逆両方向に回転するようになっている。回転柱80がこのように回転することによって、上側部材10が昇降する。モーター13c、動力伝達手段及び回転柱80は、移動手段(昇降手段)の一例である。
【0038】
図1に示すように、下側部材30の上面30aには、手の形状の陥没部36が形成されている。陥没部36は、右手用と左手用に、それぞれ形成されている。陥没部36は、上面30aにおいて、凹状に陥没している。陥没部36は、第二の手格納部の一例である。陥没部36の周囲には、弾性フィルム100と弾性フィルム102を溶着及び切断するための溶着切断部38が配置されている。
【0039】
図5に示すように、下側部材30の陥没部36は、使用者の手の平と五本の指を格納することができる形状(以下、「手の形状」という。)に形成されている。使用者の手の平が格納される部分を「手の平対応部分」、親指が格納される部分を「親指対応部分」、人差指が格納される部分を「人差指対応部分」、中指が格納される部分を「中指対応部分」、薬指が格納される部分を「薬指対応部分」、小指が格納される部分を「小指対応部分」と呼ぶ。右手が格納される陥没部36の人差指対応部分の先端近傍部には、操作スイッチ40が配置されている。操作スイッチ40によって、モーター13c(
図4参照)への電力供給を制御し、上側部材10と下側部材30の相対位置を調整する。具体的には、装置1の使用者は、手を陥没部36に配置した状態で、操作スイッチ40を操作して、上側部材10の下降及び上昇を行う。
【0040】
左右の陥没部36において、根本部分36aと中指対応部分の先端部36bを結ぶ直線L1及びL2は、下側部材30の上面30aの最も手前方向の部分を画する直線30Lに対して、垂直ではなく、角度θ1だけ傾いている。角度θ1は、例えば、60度乃至80度の範囲の角度である。直線L1及びL2が直線30Lに対して角度θ1だけ傾いていることによって、使用者が人間工学的に自然な状態で両手を陥没部36に配置することができるようになっている。
【0041】
図6に示すように、陥没部36の外側に、溶着切断部38が形成されている。溶着切断部38は、溶着切断手段の一例である。溶着切断部38は、溶着用熱線38a、切断用熱線38b及び溝部38cで構成される。溶着用熱線38aは溶着手段の一例であり、切断用熱線38bは切断手段の一例である。手の形状に形成された陥没部36の外側において、手の形状を取り囲むように溝部38cが形成されている。溝部38cの底部に、溶着用熱線38a及び切断用熱線38bが配置されている。溶着用熱線38aは陥没部36側に配置され、切断用熱線38bは溶着用熱線38aの外側に配置されている。
図6は、右手302(
図11参照)が格納される陥没部36を示しているが、左手300(
図11参照)が格納される陥没部36の構成は、操作スイッチ40が配置されていない点を除いて、右手302が配置される陥没部36の構成と同様である。
【0042】
使用者が右手302を陥没部36に配置すると、溶着用熱線38aは右手302の輪郭の外側(第一外側位置)に位置し、切断用熱線38bはその位置のさらに外側(第二外側位置)に位置する。溝部38c内の溶着用熱線38aが配置される陥没部36の外側の位置は第一外側位置の一例である。溝部38c内の切断用熱線38bが配置される溶着用熱線38aの外側の位置は第二外側位置の一例である。
【0043】
溶着用熱線38aと切断用熱線38bは、例えば、ニクロム(Nichrome)線であり、火傷などの問題を防止するための安全措置が施されている。例えば、酸化マグネシウム(magnesium oxide)などの絶縁物質で包んでステンレスなどの金属パイプに封入されている。切断用熱線38bは、弾性フィルム100及び弾性フィルム102を切断するために必要十分な温度で発熱し、例えば、摂氏60度から150度の温度範囲で発熱する。切断用熱線38bは、好ましくは、摂氏80度から120度の温度範囲で発熱する。溶着用熱線38aは、弾性フィルム100と弾性フィルム102を溶着するために十分な温度で発熱し、その発熱温度は切断用熱線38bの発熱温度以下であり、例えば、摂氏40度から110度の温度範囲で発熱する。溶着用熱線38aは、好ましくは、摂氏50度から70度の温度範囲で発熱する。本実施形態において、切断用熱線38bは摂氏110度で0.5秒(s)発熱し、溶着用熱線38aは摂氏65度で0.5秒乃至1秒発熱する。溶着用熱線38aと切断用熱線38bの発熱温度と発熱を継続する時間は、弾性フィルム100及び102の特性によって調整する。なお、溶着用熱線38aと切断用熱線38bとを同一の発熱温度で発熱させ、溶着用熱線38aが発熱を継続する時間が切断用熱線38bが発熱を継続する時間よりも短くするようにしてもよい。
【0044】
右手用の陥没部36において、人差指対応部の先端近傍には、操作スイッチ40が配置されており、モーター13c(
図4参照)への電力供給を制御して、上側部材10の昇降移動を操作できるようになっている。
【0045】
図6に示すように、陥没部36の外側の奥手方向側の部分には、弾性フィルム100及び102を直線的に切断するための切断用熱線44が配置されている。切断用熱線44によって、弾性フィルム100及び102を切断することによって、手袋を製造するために必要十分なだけの弾性フィルム100及び102を使用することができる。
【0046】
図5に示すように、下側部材30には接触センサー42aが配置され、
図8に示すように、上側部材10には接触感知用部材42bが配置されている。接触センサー42aの構成は、接触感知用部材42bの接触を感知できるものであればよいが、例えば、接触センサー42aにおいて電気回路が2つの部分に分かれており、接触感知用部材42bに配置された導電部材の接触によって、その2つの部分が接続され、電流が流れる構成としたものである。
【0047】
次に、
図7を参照して、陥没部36と溶着切断部38について、詳細に説明する。陥没部36と溶着切断部38の構成は、手の形状の輪郭のどの部分においても同様であるが、
図6に示す小指対応部の近傍領域A1を一例として説明する。
【0048】
図7に示すように、陥没部36の外側の上面30aには、弾性フィルム102の滑りを防止するための滑り止め部材46が配置されている。滑り止め部材46は、弾性フィルム102の滑りを防止できる材料で形成されており、例えば、シリコーンゴム(silicone rubber)で形成されている。滑り止め部材46の位置は、陥没部36と溝部38cの外側の上面30a上の位置である。言い換えると、溝部38cを陥没部36と滑り止め部材46とで挟む位置関係になっている。滑り止め部材46は、溝部38cを取り囲むように配置されている。滑り止め部材46は第二の滑り防止手段の一例である。
【0049】
図8に示すように、上側部材10の下面10d側には、手の形状の陥没部20が形成されている。陥没部20の外側において、陥没部20を取り囲むように、突条部22が形成されている。突条部22は、上側部材10と下側部材30が接近すると、下側部材30の凹状の溝部38cに入り込むようになっている。陥没部20は、第一の手格納部の一例である。突条部22が溝部38cの底部近傍まで入り込むと、溶着用熱線38a及び切断用熱線38bと、突条部22の先端部分とで、弾性フィルム100及び弾性フィルム102を挟み込み、加圧する状態(以下、「加圧状態」と呼ぶ)になる。加圧状態において、溶着用熱線38aによって、弾性フィルム100と弾性フィルム102が溶着される。また、加圧状態において、切断用熱線38bによって、弾性フィルム100と弾性フィルム102が切断される。弾性フィルム100及び弾性フィルム102は、使用者の手の輪郭と相似形に溶着及び切断される。
【0050】
図9を参照して、装置1の機能ブロックを説明する。装置1は、CPU(Central Processing Unit)200、記憶部202、昇降モーター部204、溶着熱線部206、切断熱線部208、温度センサー部210、上下部材接触センサー部212、タイマー部214、異物センサー部216及び電源部230を有する。
【0051】
記憶部202には、装置1全体の動作を制御するプログラムやデータが格納される。昇降モーター部204は、モーター13c(
図4参照)の回転を制御し、回転柱80の回転、すなわち、上側部材10の昇降を制御する。溶着熱線部206は、溶着用熱線38aへの電力供給を制御する。切断熱線部208は、切断用熱線38bへの電力供給を制御する。温度センサー部210は、溶着用熱線38a及び切断用熱線38bの近傍に配置された温度センサー(図示せず)から温度を示す信号を受信する。上下部材接触センサー部212は、下側部材30に配置された接触センサー42a(
図5参照)と上側部材10に配置された接触感知用部材42b(
図8参照)との接触を示す信号を受信する。タイマー部214は、上下部材接触センサー部212よって検出された上側部材10と下側部材30が接触している状態が継続する時間を計測する。
【0052】
使用者によって、弾性フィルム100及び弾性フィルム102が、それぞれ、上側部材10及び下側部材30に配置され、電源スイッチ70が押圧されると、装置1は、溶着熱線部206及び切断熱線部208によって、溶着用熱線38a及び切断用熱線38bへの電力供給を開始する。装置1は、温度センサー部210が受信した信号によって、溶着用熱線38a及び切断用熱線38bによる発熱が弾性フィルム100及び弾性フィルム102の溶着及び切断可能な温度に達したと判断すると、ディスプレイ装置16に、例えば、「使用可能な温度になりました」という準備完了を示す文字列を表示する。準備完了を示す文字列を視認した使用者によって、弾性フィルム102の上から陥没部36に両手が押し込まれ、操作スイッチ40が押圧されると、昇降モーター部204によって、上側部材10を下降させる。
【0053】
装置1は、上下部材接触センサー部212によって、上側部材10と下側部材30が接触したと判断すると、タイマー部214によって時間の計測を開始する。装置1は、上側部材10と下側部材30が接触して、所定時間t1が経過すると、昇降モーター部204によって、上側部材10を上昇させる。所定時間t1は、溶着用熱線38a及び切断用熱線38bによって、弾性フィルム100及び弾性フィルム102を溶着及び切断するために必要十分な時間であり、例えば、2秒(s)である。
【0054】
異物センサー部216は、異物センサー72(
図1参照)からの信号を受信する。
【0055】
続いて、
図10乃至
図15を参照して、装置1を使用して手袋を製造及び装着する方法を説明する。装置1の使用者は、まず、
図10に示すように、フィルムホルダー12から弾性フィルム100をガイド18(
図2参照)を通過させて、上側部材10の下面10d(下側部材30に対向する側の面)に沿って手前方向に引き出し、フィルム固定部14(
図8参照)に固定する。そして、フィルムホルダー32から弾性フィルム102をガイド74を通過させて、下側部材30の上面30a(上側部材10に対向する側の面)に沿って手前方向に引き出し、フィルム固定部34に固定する。
【0056】
続いて、使用者は、電源スイッチ70(
図1参照)を押圧し、装置1を起動する。装置1は、溶着用熱線38a及び切断用熱線38bによる発熱が弾性フィルム100及び102の溶着及び切断が可能な温度に達したと判断すると、例えば、「使用可能な温度になりました」という準備完了を示す文字列をディスプレイ装置16に表示する。
【0057】
続いて、使用者は、
図11に示すように、両手を弾性フィルム102の上に乗せ、陥没部36に押し込む。この動作によって、弾性フィルム102は、使用者の手における手の平側の形状に変形している。
【0058】
この状態で、操作スイッチ40(
図6参照)を押すと、
図12に示すように、上側部材10が下側部材30に向かって下降する。そして、
図13に示すように、上側部材10の下面10dが下側部材30の上面30aに接触し、上側部材10の陥没部20と下側部材30の陥没部36とで形成される空間に手が格納される。すなわち、上側部材10と下側部材30とで使用者の手を挟んだ状態において、手の一方の面(手の甲側の面)が弾性フィルム100に接し、手の他方の面(手の平側の面)が弾性フィルム102に接し、使用者の手が陥没部20と陥没部36とで形成される空間に格納される。
【0059】
上側部材10が弾性フィルム100と共に下降する過程において、弾性フィルム100は、使用者の手における手の甲側の形状に変形する。上側部材10と下側部材30が接触した状態において、所定時間t1が経過すると、上側部材10は上昇する(
図14参照)。所定時間t1が経過した時点で、弾性フィルム100と弾性フィルム102とは、溶着され、かつ、切断されている。弾性フィルム100及び弾性フィルム102が手袋の形状に切断された後は、手袋を構成する部分と手袋を構成しない部分に分かれる。手袋を構成する部分を弾性フィルム100a及び弾性フィルム102aとし、手袋を構成しない部分を不要部分100b及び102bとする。
【0060】
上側部材10が上昇すると、
図15(a)及び(b)に示すように、弾性フィルム100a及び弾性フィルム102aは、その弾性回復力によって、使用者の手に密着し、手袋400が製造され、かつ、右手302に装着される。同様に、左手300についても、手袋400が製造され、かつ、装着される。
【0061】
以下、
図16乃至
図23を参照して、弾性フィルム100及び弾性フィルム102が手の形状に変形する過程を詳細に説明する。
図16に示すように、弾性フィルム102が下側部材30に配置されると、弾性フィルム102は、滑り止め部材46に接する。
【0062】
図17に示すように、小指302aによって弾性フィルム102が陥没部36に押し入れられると、弾性フィルム102において、滑り止め部材46の左側、すなわち、矢印X1方向に位置する部分は、小指302aの圧力によって弾性変形する。一方、滑り止め部材46の右側、すなわち、矢印X2に示す方向に位置する弾性フィルム102の部分は、小指302aが押し入れられたことによる圧力の影響を受けず、変形しない。すなわち、滑り止め部材46の技術的効果として、滑り止め部材46の右側の部分は変形せず、左側の部分、すなわち、小指302a側の部分だけが、小指302aの形状に応じて弾性変形するようになっている。これにより、手袋を製造及び装着する最終工程において、十分な弾性回復力を生じさせることができる。
【0063】
小指302aが弾性フィルム102を陥没部36に押し入れるときに、他の指及び手の平も同様に、弾性フィルム102を陥没部36に押し入れる。その状態で、使用者が操作スイッチ40を押圧すると、
図18に示すように、上側部材10が弾性フィルム100と共に下降してくる。上側部材10の下面10dには、陥没部20を取り囲むように突条部22が形成されている。突条部22は、下側部材30の溝部38cと係合するようになっている。下面10dにおける突条部22の外側(陥没部20と反対側)の周囲には、弾性フィルム100の滑りを防止するための滑り止め部材24が配置されている。滑り止め部材24の位置は、陥没部20と突条部22の外側の下面10d上の位置である。言い換えると、突条部22を陥没部20と滑り止め部材24とで挟む位置関係になっている。滑り止め部材24は、弾性フィルム100の滑りを防止できる材料で構成されており、例えば、シリコーンゴム(silicone rubber)で形成されている。
【0064】
以下、上側部材10が下側部材30に対して移動する状態を
図19乃至23の概念図を参照して説明する。
図19等は、弾性フィルム100及び102を引き出す方向と垂直方向の概略断面を観念的に示す図である。
図19の状態は、
図18の状態と同様であり、下側部材30に配置された弾性フィルム102において、滑り止め部材46から小指302aの方向に位置する部分は、小指302aによる押圧によって弾性変形している。これに対して、上側部材10に配置された弾性フィルム100は、変形していない。
【0065】
図20に示すように、上側部材10の突条部22の先端部が小指302aの上端部の位置よりも低い位置まで下降すると、弾性フィルム100は、小指302aの存在によって、弾性変形する。弾性フィルム100においても、滑り止め部材24を基準として、小指302aの方向に位置する部分のみが弾性変形する。
【0066】
上側部材10がさらに下降すると、
図21に示すように、突条部22は溝部38cに入り込み、弾性フィルム100及び弾性フィルム102を、突条部22の先端部と溶着用熱線38a及び切断用熱線38bの間に挟み、かつ、押圧する状態(加圧状態)となる。このとき、下側部材30の接触センサー42aと上側部材10の接触感知用部材42bが接するようになっている。すなわち、接触センサー42aによって、加圧状態に至ったか否かを判断できるようになっている。
【0067】
図21の状態で所定時間t1が経過すると、
図22に示すように、弾性フィルム100及び弾性フィルム102は、切断用熱線38bによって、切断される。このとき、手袋を形成する弾性フィルム100a及び弾性フィルム102aは、溶着用熱線38aによる加熱によって、互いに溶着している。
【0068】
図21の状態から所定時間経過すると、
図22の状態になり、
図22の状態になると、
図23に示すように、上側部材10は上昇する。このとき、溶着用熱線38a及び切断用熱線38bへの電力供給は停止される。上側部材10が上昇すると、弾性フィルム100a及び102aは、加圧状態から解放され、自由に変形可能な状態になる。加圧状態において、弾性フィルム100a及び弾性フィルム102aには、
図24(a)の矢印B1〜B4に示すように、弾性回復力が作用している。上側部材10が上昇すると、加圧状態が解消し、弾性フィルム100a及び弾性フィルム102aは自由に変形可能な状態になるから、弾性回復力によって、
図24(b)に示すように、小指302aに密着するように変形する。
【0069】
次に、
図25及び
図26のフローチャートを参照して、装置1による手袋の製造装着方法を概括する。使用者は、上側部材10に弾性フィルム100を配置し、下側部材30に弾性フィルム102を配置し(
図25のステップST1)、電源スイッチ70を押圧して装置1を起動する。続いて、ディスプレイ装置16の表示によって溶着用熱線38a及び切断用熱線38bによる加熱の準備が完了したことを確認すると、両手を弾性フィルム102の上側から下側部材30の二つの陥没部36にそれぞれ配置する(ステップST2)。そうすると、下側の弾性フィルム102は変形する(ステップST3)。
【0070】
続いて、使用者によって、操作スイッチ40が押圧されると、装置1は、上側部材10を下降させる(ステップST4)。ステップST4は移動ステップの一例である。上側部材10が下降すると、上側部材10に配置された弾性フィルム100が手の甲側に接触し(ステップST5)、変形する(ステップST6)。続いて、上側部材10と下側部材30が接触し(ステップST7)、突条部22と溶着用熱線38a及び切断用熱線38bによって、弾性フィルム100及び102が加圧されつつ加熱される(ステップST8)。ステップST8は、溶着切断ステップの一例である。
【0071】
装置1は、溶着及び切断に必要十分な所定時間t1が経過したと判断すると(ステップST9)、上側部材10を上昇させる(ステップST10)。所定時間t1が経過した段階で、弾性フィルム100及び102は手の形状の輪郭形状に溶着され、かつ、切断されている。
【0072】
続いて、使用者が、下側部材30から手を外すと、弾性フィルム100及び102が収縮し(ステップST11)、手に密着し(ステップST12)、手袋が製造され、かつ、装着される(ステップST13)。
【0073】
<第二の実施形態>
図27を使用して、第二の実施形態を説明する。なお、第一の実施形態と共通する事項については、説明を省略する。第二の実施形態においては、装置1の構成は第一の実施形態と同様であるが、弾性フィルム100の弾性回復力が、弾性フィルム102の弾性回復力よりも大きい。このため、弾性フィルム100及び102の溶着及び切断工程が完了した直後において、
図27(a)に示すように、弾性フィルム100aには相対的に大きな弾性回復力B1+及びB2+が作用しており、弾性フィルム102aには相対的に小さな弾性回復力B3及びB4が作用している。
【0074】
弾性フィルム100a及び102aが加圧状態から解放されて、自由に変形できる状態になると、
図27(b)に示すように、弾性フィルム100a及び102aは小指302aに密着するように変形するのであるが、弾性フィルム100aの弾性回復力は弾性フィルム102aの弾性回復力よりも大きいため、弾性フィルム100aと102aの接続部Sは、小指302aにおいて上側、すなわち、指の背側(指において爪が存在する側)に移動する。手による作業は、ほとんどが、指の腹側(指において指紋が存在する側)が物に接触することによって実施されるのであるが、接続部Sが指の背側に移動することによって、接続部Sが指の腹側によって行う作業の障害となることを防止することができる。
【0075】
さらに、弾性フィルム100aと弾性フィルム102aとの間の弾性回復力の相違によって、弾性フィルム100aと弾性フィルム102aとの溶着部S1は、
図27(b)に示すように、弾性フィルム100a側、すなわち、小指302aの背側に湾曲する。これにより、溶着部S1の存在が、使用者の小指302aの腹側で実施される作業の障害になることを一層効果的に防止することができる。上述のように製造された手袋について説明すると、手の形状に形成された弾性フィルム100a及び弾性フィルム102aを有し、弾性フィルム100aと弾性フィルム102aとは、使用者の手首に接する部分以外の周縁部において溶着されており、弾性フィルム100aの弾性回復力は、弾性フィルム102aの弾性回復力よりも大きく構成されている。
【0076】
<第三の実施形態>
図28乃至
図33を参照して、第三の実施形態を説明する。なお、第一の実施形態と共通する事項については、説明を省略する。
図28に示すように、装置1Aの上側部材10には、外部の空気を上側部材10内に取り込むための空気吸入口26が配置されている。上側部材10の下面10dを下側部材30の方向から見ると、
図29に示すように、陥没部20内に、送風装置27及び網状の発熱部材28が配置されている。
【0077】
発熱部材28は、例えば、ニクロム線で構成される。送風装置27は、複数の羽根を有するファンがモーターの回転軸に接続された構造である。
図30は、空気吸入口26、送風装置27及び発熱部材28の位置関係を示す概略図である。
図30に示すように、送風装置27の羽根が回転すると、空気吸入口26を介して矢印Y1に示すように外部から空気が取り入れられ、発熱中の発熱部材28を通過して加熱されて温度の高い空気となり、矢印Y2に示すように、下方向に送られる。装置1Aにおいて、弾性フィルム100は、熱収縮性を有するフィルム(以下、「熱収縮性フィルム」と呼ぶ。)が使用される。熱収縮性フィルムの材料は、例えば、ポリ塩化ビニル(polyvinyl chloride)、ポリスチレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリオレフィンである。弾性フィルム100は、これらの材料で形成した単層、あるいは、他の弾性フィルムを組み合わせた複層で形成される。他の弾性フィルムは、例えば、低密度ポリエチレンフィルム(low density polyethylene films)、無延伸ポリプロピレンフィルム(cast polypropylene films)、延伸ポリプロピレンフィルム(oriented polypropylene films)、エチレン酢酸ビニル共重合体フィルム(ethylene−vinyl acetate copolymer films)等である。弾性フィルム100と弾性フィルム102との溶着性を確保するように、双方の弾性フィルムの材料の選択や多層構造に構成するなどの調整が行われる。
【0078】
図31に示すように、装置1Aは、送風モーター部218及び空気加熱部220を有する。送風モーター部218は、送風装置27のモーターの回転を制御する。空気加熱部220は、発熱部材28への電力供給を制御する。
【0079】
次に、
図32を参照して、装置1Aによる手袋の製造装着方法を説明する。弾性フィルム100及び弾性フィルム102の溶着及び切断工程までは、第一の実施形態と同様であるから説明を省略する。弾性フィルム100及び弾性フィルム102の溶着及び切断が完了すると、装置1Aは、上側部材10を上昇させ、弾性フィルム100に対して、加熱した空気を送風する(
図32のステップST101)。弾性フィルム100は熱収縮性フィルムであるから、熱収縮する(ステップST102)。そうすると、弾性フィルム100と弾性フィルム102の接続部Sが上方へ移動しつつ(ステップST103)、弾性フィルム100と弾性フィルム102が手に密着し(ステップST12)、手袋が完成する(ステップST13)。
【0080】
弾性フィルム100及び102の溶着・切断工程が完了した直後において、
図33(a)に示すように、弾性フィルム100aには弾性回復力B1及びB2が作用しており、弾性フィルム102aには弾性回復力B3及びB4が作用している。
【0081】
上側部材10が上昇した段階で、弾性フィルム100aに加熱された空気が当てられると、弾性フィルム100aには、収縮力B1α及びB2αも作用する。そうすると、
図33(b)に示すように、弾性フィルム100a及び102aは小指302aに密着するように変形するのであるが、弾性フィルム100aには弾性回復力B1及びB2のほかに収縮力B1α及びB2αが作用するため、弾性フィルム100aと102aの接続部は、小指302aにおいて上側、すなわち、指の背側に移動する。手による作業は、ほとんどが、指の腹側が物に接触することによって実施するのであるが、接続部Sが指の背側に移動することによって、接続部Sが指の腹側によって行う作業の障害となることを防止することができる。
【0082】
さらに、弾性フィルム100aが熱収縮性を有することによって、弾性フィルム100aと弾性フィルム102aとの溶着部S1は、
図33(b)に示すように、弾性フィルム100a側、すなわち、小指302aの背側に湾曲する。これにより、溶着部S1の存在が、使用者の小指302aの腹側で実施される作業の障害になることを一層効果的に防止することができる。上述のように製造された手袋について説明すると、熱収縮性を弾性フィルム100aによって製造されるのであるが、本実施形態とは異なり、弾性フィルム100aと弾性フィルム102aの双方が熱収縮性を有するものとして構成してもよい。さらに、本実施形態とは異なり、手袋製造時には使用者の手を装置1Aに配置せずに、手袋の形状を実際の使用者の手の形状よりも大きく形成して製造しておいて、使用者が実際に手袋を使用する際に、手袋を装着した状態で熱収縮性を有する弾性フィルムに加熱した空気を当てることによって、使用者の手に密着させる構成としてもよい。
【0083】
<第四の実施形態>
図34及び
図35を参照して、第四の実施形態を説明する。なお、第一の実施形態と共通する事項については、説明を省略する。第四の実施形態においては、
図34及び
図35に示すように、フィルムホルダー12及びフィルムホルダー32は、それぞれ、上側部材10の側面10c及び下側部材30の側面30cに配置されている。そして、弾性フィルム100及び弾性フィルム102は、右から左へ向かう方向(矢印C1方向)に引き出され、それぞれ、上側部材10の下面10d及び下側部材30の上面30a上に配置される。
【0084】
<第五の実施形態>
図36及び
図37を参照して、第五の実施形態を説明する。なお、第三の実施形態と共通する事項については、説明を省略する。第五の実施形態の装置1Cにおいては、陥没部36に、操作スイッチ40及び操作スイッチ41が配置されている。使用者の右手が配置される陥没部36において、人差指対応部に、上側部材10を昇降させるための操作スイッチ40が配置されている。陥没部36において、中指対応部に、送風装置27及び発熱部材28を制御するための操作スイッチ41が配置されている。
【0085】
装置1Cは、加圧状態に達して所定時間t1が経過すると、ディスプレイ装置16に、例えば、「溶着切断が完了しましたので、送風を実施して下さい」という、加熱した空気を弾性フィルム100aに当てる操作を指示する文字列を表示する。使用者は、その文字列を視認して、操作スイッチ41を押圧し、送風装置27及び発熱部材28を稼働させる。
【0086】
<第六の実施形態>
第六の実施形態を説明する。なお、第一の実施形態と共通する事項については、説明を省略する。第六の実施形態においては、装置1は、電源スイッチ70が押圧された後、温度センサー部210が受信した信号によって、溶着用熱線38aによる発熱が溶着準備温度Pm1、切断用熱線38bによる発熱が切断準備温度Pc1に達したと判断すると、ディスプレイ装置16に、例えば、「使用可能な温度になりました」という準備完了を示す文字列を表示する。溶着準備温度Pm1は、弾性フィルム100と弾性フィルム102とを溶着可能な温度である溶着温度Pm2よりも低い温度であり、例えば、溶着温度Pm2の50%の温度である。切断準備温度Pc1は、弾性フィルム100と弾性フィルム102とを切断可能な温度である切断温度Pc2よりも低い温度であり、例えば、切断温度Pc2の50%の温度である。
【0087】
使用者によって操作スイッチ40が押圧され、上側部材10が下降し、上下部材接触センサー部212が、接触センサー42a(
図5参照)と上側部材10に配置された接触感知用部材42b(
図8参照)との接触を示す信号を受信すると、装置1は、溶着用熱線38aの発熱温度を溶着温度Pm2まで上昇させ、切断用熱線38bの発熱温度を切断温度Pc2まで上昇させる。タイマー部214は、溶着温度Pm2及び切断温度Pc2に達した後の経過時間を計測する。経過時間が所定時間t1を経過すると、装置1は、上側部材10を上昇させる。
【0088】
<第七の実施形態>
図38乃至
図41を参照して、第七の実施形態を説明する。なお、第一の実施形態と共通する事項については、説明を省略する。
【0089】
図38及び
図39に示すように、装置1の溶着切断部38の溝部38cには、溶着切断用熱線38dが配置されている。溶着切断用熱線38dによって、弾性フィルム100と弾性フィルム102の溶着と切断の双方を実施するように構成されている。
【0090】
図40(a)は、第一の実施形態における手袋を構成する弾性フィルム100aと弾性フィルム102aの一部を示す概略図である。第一の実施形態の装置1によって製造される手袋は、切断部100c及び102cと乖離した位置に溶着部MP1が形成される。これに対して、
図40(b)に示すように、第七の実施形態においては、切断部100c及び102cと連続した位置、あるいは、近接した位置に溶着部MP2が形成される。
【0091】
次に、
図41を参照して、本実施形態の装置1による手袋の製造装着方法を概括する。使用者は、上側部材10に弾性フィルム100を配置し、下側部材30に弾性フィルム102を配置し(
図41のステップST1)、電源スイッチ70を押圧して装置1を起動する。続いて、ディスプレイ装置16の表示によって溶着切断用熱線38dによる加熱の準備が完了したことを確認すると、両手を弾性フィルム102の上側から下側部材30の二つの陥没部36にそれぞれ配置する(ステップST2)。そうすると、下側の弾性フィルム102は変形する(ステップST3)。
【0092】
続いて、使用者によって、操作スイッチ40が押圧されると、装置1は、上側部材10を下降させる(ステップST4)。上側部材10が下降すると、上側部材10に配置された弾性フィルム100が手の甲側に接触し(ステップST5)、変形する(ステップST6)。続いて、上側部材10と下側部材30が接触し(ステップST7)、突条部22と溶着切断用熱線38dによって、弾性フィルム100及び102が加圧されつつ加熱される(ステップST8A)。ステップST8Aは、溶着切断ステップの一例である。
【0093】
装置1は、溶着及び切断に必要十分な所定時間t1が経過したと判断すると(ステップST9)、上側部材10を上昇させる(ステップST10)。所定時間t1が経過した段階で、弾性フィルム100及び102は手の形状の輪郭形状に溶着され、かつ、切断されている。ステップST10以降は、第一の実施形態と同様であるから、説明を省略する。
【0094】
<第八の実施形態>
図42乃至
図46を参照して、第八の実施形態を説明する。なお、第一の実施形態と共通する事項については、説明を省略する。
【0095】
図42に示すように、装置1Dにおいて、下側部材30の上面30aの左右両端近傍部には、それぞれ、細長い矩形の溝部30d(以下、「傾斜溝部30d」という。)が形成されている。傾斜溝部30dには、突条部材35が配置されている。上側部材10の下面10dにも、同様に、傾斜溝部10e及び突条部材25(
図43参照)が配置されている。
【0096】
図43は、下側部材30の傾斜溝部30d及び突条部材35、及び、上側部材10の傾斜溝部10e及び突条部材25を手前方向から視た概略断面図である。
【0097】
図43(a)に示すように、左側の傾斜溝部30dは、上面30aから下方に垂直に向かう方向に対して、左方向に傾斜しており、右側の傾斜溝部30dは、上面30aから下方に垂直に向かう方向に対して、右方向に傾斜している。すなわち、左右の傾斜溝部30dは、それぞれ、外側に向かって傾斜している。
【0098】
突条部材35は、滑り止め部35a、直立部35b及び傾斜部35cから構成される。滑り止め部35aは、弾性フィルム102を固定できる材料で形成されており、例えば、シリコーンゴム(silicone rubber)で形成されている。直立部35bは、上面30aに対して、略垂直に配置される。傾斜部35cは、傾斜溝部30d内において、傾斜溝部30dの傾斜方向に摺動する。傾斜部35cは、傾斜溝部30dの底部に配置されたバネ部材30eによって、傾斜溝部30dの外側に向かう方向、すなわち、傾斜溝部30dから押し出される方向に付勢されている。
【0099】
左側の傾斜溝部10eは、下面10dから上方に垂直に向かう方向に対して、左方向に傾斜しており、右側の傾斜溝部10eは、下面10dから上方に垂直に向かう方向に対して、右方向に傾斜している。すなわち、左右の傾斜溝部10eは、それぞれ、外側に向かって傾斜している。
【0100】
突条部材25は、滑り止め部25a、直立部25b及び傾斜部25cから構成される。滑り止め部25aは、弾性フィルム100を固定できる材料で形成されており、例えば、シリコーンゴム(silicone rubber)で形成されている。直立部25bは、下面10dに対して、略垂直に配置される。傾斜部25cは、傾斜溝部10e内において、傾斜溝部10eの傾斜方向に摺動する。傾斜部25cは、傾斜溝部10eの底部に配置されたバネ部材10fによって、傾斜溝部10eの外側に向かう方向、すなわち、傾斜溝部10eから押し出される方向に付勢されている。
【0101】
図43(a)は、上側部材10が下側部材30に向かって下降し、突条部材35と突条部材25の間に弾性フィルム100と弾性フィルム102を挟み込んで固定する瞬間を示している。このとき、突条部材35の直立部35b及び突条部材25の直立部25bは、P1の位置にある。この状態で上側部材10が、矢印Z2方向に下降すると、傾斜部35c及び傾斜部25cが、それぞれ、傾斜溝部30d及び傾斜溝部10eの底部の方向へ移動する。そうすると、左側の直立部35b及び25bは矢印X1方向へ移動し、右側の直立部35b及び25bは矢印X2方向へ移動し、
図43(b)に示すように、突条部材35の直立部35b及び突条部材25の直立部25bは、P2の位置に移動する。
【0102】
弾性フィルム100及び弾性フィルム102は、滑り止め部35a及び滑り止め部25aによって挟み込まれた状態で、矢印X1方向及び矢印X2方向に引っ張られ、延伸する。手袋が完成した後に、この延伸(以下、「第一延伸」という。)による収縮力も作用して、手袋と使用者の手との密着度が向上する。傾斜溝部30d及び突条部材35、傾斜溝部10e及び突条部材25は、延伸手段の一例である。
【0103】
図44(a)に示すように、手袋が製造された直後には、弾性フィルム100a及び102aが小指302aによって延伸されたことによる収縮力B1乃至B4に加えて、上述の第一延伸による収縮力C1乃至C4も作用する。これにより、上側部材10が上昇した後は、
図44(b)に示すように、弾性フィルム100a及び102aは、小指302aに密着する。
【0104】
図45に示すように、装置1Dの溝部38cには、耐熱性繊維で生成された耐熱性マット38fが配置されている。耐熱性繊維は、例えば、ポリイミド繊維である。溶着用熱線38a及び切断用熱線38bは、耐熱性マット38f上に配置されている。
【0105】
耐熱性マット38fには、圧力センサー39が埋め込まれている。ここで、下側部材30の接触センサー42a(
図5参照)と上側部材10の接触感知用部材42b(
図8参照)が接触した状態を「接触状態」という。装置1Dは、接触状態以外において、溶着用熱線38a及び切断用熱線38bに使用者の手や指が接触した場合には、その圧力を感知し、異常が生じたと判断することができる。圧力センサー39が、接触状態以外において、使用者の手や指が接触したことを感知した場合には、使用者の安全を確保するための第一緊急動作を実施する。第一緊急動作は、例えば、溶着用熱線38a及び切断用熱線38bへの通電を停止する、ディスプレイ装置16へ警告を表示する、スピーカー(図示せず)で警告音を発生させる、上側部材10を上昇させるなどの動作である。
【0106】
なお、使用者の手や指が配置される部分と溶着用熱線38a及び切断用熱線38bとが配置される部分は、陥没部36と溝部38cとの間の壁部381(
図45参照)によって隔離されているから、本来、使用者の手や指が溶着用熱線38a及び切断用熱線38bと接触することはない。このため、上述の圧力センサー39は、安全をより確実にするための構成である。壁部381は、隔離手段の一例である。
【0107】
図46に示すように、装置1Dは、圧力センサー部222を有する。圧力センサー部222は、圧力センサー39からの出力(圧力値)を受信する。
【0108】
記憶部202には、第一緊急対応プログラムが格納されている。CPU200と緊急対応プログラムは、第一緊急対応手段の一例である。装置1Dは、緊急対応プログラムによって、接触状態以外において、圧力センサー部222によって圧力値を受信すると、装置1Dの各部を制御し、上述の第一緊急動作を実施させる。
【0109】
また、
図46に示すように、装置1Dは、挟み込み検知部224を有する。挟み込み検知部224は、モーター13c(
図4参照)に流れる電流値(以下、「負荷電流値」という。)を検知している。
【0110】
記憶部202には、第二緊急対応プログラムが格納されている。CPU200と第二緊急対応プログラムは、第二緊急対応手段の一例である。記憶部202には、以下の負荷電流値が記憶されている。第一に、上側部材10が抵抗なく下降するときのモーター13cの負荷電流値i1である。第二に、突条部材35及び突条部材25によって弾性フィルム100及び弾性フィルム102を挟み込みながら上側部材10が下降する状態と、弾性フィルム100が使用者の手に接して変形しながら上側部材10が下降する状態とが同時に生じているときの負荷電流値i2である。第三に、上側部材10と下側部材30が接触したときの負荷電流値ifである。負荷電流値i2は負荷電流値i1よりも大きく、負荷電流値ifは負荷電流値i2よりも大きいという関係にある。すなわち、i1<i2<ifである。
【0111】
装置1Dは、下側部材30の接触センサー42a(
図5参照)と上側部材10の接触感知用部材42b(
図8参照)が接触した状態(接触状態)において、負荷電流値がifになるのは正常であると判断する。装置1Dは、接触状態以外において、モーター13cの負荷電流値がi2よりも大きくなった場合には、異常があると判断し、第二緊急動作を実施する。接触状態以外において、モーター13cの負荷電流値がi2よりも大きくなる場合には、使用者の手や指が下側部材30と上側部材10の間に挟みこまれている可能性があるからである。第二緊急動作は、例えば、溶着用熱線38a及び切断用熱線38bへの通電を停止する、ディスプレイ装置16へ表示する、スピーカー(図示せず)で警告音を発生させる、上側部材10を上昇させるなどの動作である。なお、使用者の手や指の挟み込みの検知の方法は、本実施態様の方法に限らず、例えば、接触センサーを使用するなどの方法を利用してもよい。
【0112】
また、使用者自身においても、緊急事態において、操作スイッチ40を押圧することによって、下降中の上側部材10を上昇させることができる。
【0113】
<第九の実施形態>
図47を参照して、第九の実施形態を説明する。なお、第八の実施形態と共通する事項については、説明を省略する。
【0114】
図47に示すように、第九の実施形態の装置1Eにおいては、下側部材30の左右両端近傍部に加えて、手前側及び奥手側にも傾斜溝部30d及び突条部材35が配置されている。同様に、上側部材10にも、傾斜溝部10e及び突条部材25が、左右両端近傍部に加えて、手前側及び奥手側にも配置されている。これにより、第一延伸が、矢印X1方向及び矢印X2方向に加えて、これと直交する方向である矢印Y1方向及び矢印Y2方向にも行われる。これにより、手袋を構成する弾性フィルム100a及び102aと使用者の手の密着度がより一層大きくなる。
【0115】
<第十の実施形態>
図48及び
図49を参照して、第十の実施形態を説明する。なお、第一の実施形態と共通する事項については、説明を省略する。
【0116】
第十の実施形態の装置1Fと、第一の実施形態の装置1との相違は、上側部材10の昇降機構である。
図48及び
図49に示すように、下側部材30の側面30cには、溝30fが形成されており、上側部材10の側面10cには、溝10gが形成されている。溝30f及び溝10gには、伸縮部材81の端部が移動可能な形態で接続されている。伸縮部材81は、パンタグラフ型の部材であり、細長い矩形状の板状部材81a及び81bで構成され、板状部材81aと板状部材81bは、中心軸部81cで、互いに回動可能に固定されている。
【0117】
板状部材81aの端部81aaと板状部材81bの端部81baが、
図48の状態から矢印W2方向へ移動すると、端部81ab及び端部81bbも矢印W2方向へ移動し、上側部材10が上昇し、
図49に示す状態になる。そして、
図49の状態において、板状部材81aの端部81aaと板状部材81bの端部81baが、矢印W1方向へ移動すると、端部81ab及び端部81bbが矢印W1方向へ移動し、上側部材10が下降し、
図48に示す状態になる。板状部材81aの端部81aaと板状部材81bの端部81baを矢印W1方向及びW2方向に移動させるための駆動機構は、下側部材30の内部に配置されている。
【0118】
<第十一の実施形態>
図50を参照して、第十一の実施形態を説明する。なお、第一の実施形態と共通する事項については、図示及び説明を省略する。
【0119】
第十一の実施形態の装置1Gが、第一の実施形態の装置1と異なる点は、第一の実施形態の上側部材10及び下側部材30に代えて、同様の機能を有する構成として、左側部材51L及び右側部材51Rが配置されている点である。
【0120】
左側部材51L及び右側部材51Rは、基板部材50の上面50aに、矢印X1方向及び矢印X2方向に移動可能な態様で、配置されている。上面50aの手前側及び奥手側には、左右方向に細長く、基板部材50の内部まで貫通する矩形状の孔部50b及び孔部50cが形成されている。左側部材51L及び右側部材51Rの下面には、孔部50b及び孔部50cと摺動可能に係合するための突部(図示せず)が形成されており、基板部材50の内部には、突部を矢印X1方向及び矢印X2方向に移動させるための駆動機構が配置されている。
【0121】
左側部材の内側面51Lbには、陥没部36Lが形成されている。同様に、右側部材の内側面51Rbにも手の形状の陥没部(図示せず)が形成されている。
【0122】
右側部材51Rの外側面51Raには、回動部材52が配置されている。回動部材52は、軸部52bを中心に、棒状部52aが回転するようになっている。同様に、左側部材51Lの外側面51Laにも、回動部材52が配置されている。
【0123】
右側部材51Rの回動部材52を矢印U1方向に回転させると、右側部材51Rを矢印X1方向に移動させるように、基板部材50の内部の駆動機構が作動するようになっている。右側部材51Rの回動部材52を矢印U2方向に回転させると、右側部材51Rを矢印X2方向に移動させるように、基板部材50の内部の駆動機構が作動するようになっている。左側部材51Lについても同様である。
【0124】
使用者は、例えば、左側部材51Lのフィルムホルダー53から弾性フィルム100を引き出して内側面51Lbに固定し、右側部材51Rのフィルムホルダー53から弾性フィルム102を引き出して内側面51Rbに固定し、左手の甲側を左側部材51Lの陥没部36Lに配置する。この状態で、右手で右側部材51Rの回動部材52を矢印U1方向に回転させることによって、弾性フィルム100と弾性フィルム102の間に左手が挟まれる。この状態で、弾性フィルム100及び弾性フィルム102の溶着及び切断を行うことによって、手袋が左手に製造及び装着される。
【0125】
そして、使用者は、左側部材51Lのフィルムホルダー53から弾性フィルム100を引き出して内側面51Lbに固定し、右側部材51Rのフィルムホルダー53から弾性フィルム102を引き出して内側面51Rbに固定し、右手の甲側を右側部材51Rの陥没部に配置する。この状態で、左手で左側部材51Lの回動部材52を矢印U1方向に回転させることによって、弾性フィルム100と弾性フィルム102の間に右手が挟まれる。この状態で、弾性フィルム100及び弾性フィルム102の溶着及び切断を行うことによって、手袋が右手に製造及び装着される。
【0126】
上述のように、装置1Gにおいては、左側部材51L及び右側部材51Rにおいて、手の形状の陥没部が、それぞれ、1か所で足りる。
【0127】
<第十二の実施形態>
図51及び
図52を参照して、第十二の実施形態を説明する。なお、第一の実施形態と共通する事項については、図示及び説明を省略する。
【0128】
第一の実施形態の装置1においては、下側部材30に対して上側部材10が昇降するが、第十二の実施形態の装置1Hにおいては、下側部材60に対して、上側部材76は、軸76aを中心に、矢印U1及び矢印U2に示す方向に回動する。すなわち、装置1Hにおいては、下側部材60に対して上側部材76が本を閉じたり開いたりするのと同様の態様で移動する。
【0129】
下側部材60の上面60aには、手の形状の陥没部62L及び62Rが形成されている。同様に、上側部材76にも陥没部(図示せず)が形成されている。下側部材60の手前側の側面60bには、細長い矩形状であり、下側部材60の内部にまで貫通する孔部60cが形成されている。孔部60cには、細長い矩形の板状部材68の一方の端部68aが矢印X1方向及び矢印X2方向に移動可能な状態で接続されている。板状部材68の他方の端部60bは、上側部材76の手前側の側面76bに回転可能な状態で接続されている。側面60b及び側面76bと反対側の側面も、同様の構造である。
【0130】
図51に示すように、板状部材68が直立した状態においては、上側部材76は下側部材60に対して開いている。これに対して、板状部材68の端部68aが孔部60cを矢印X1方向に移動し、板状部材68が傾くと、上側部材76は下側部材60に向かって、矢印U1方向に回動する。上側部材は、所定重量を有しており、板状部材68が傾くと、緩やかに矢印U1方向に回動するように構成されている。所定重量は、例えば、5キログラム(kg)である。板状部材68は、陥没部62R内に配置されたスイッチ64が押圧されると、矢印X2方向に移動するように構成されている。
【0131】
下側部材60において、手の形状の陥没部62L及び62Rの指先側の部分には、細長い矩形状の溝部60dが形成されており、溝部60d内に、フィルムホルダー66が配置されている。
図52(a)に示すように、フィルムホルダー66には、弾性フィルム250が巻かれて格納されている。
【0132】
図52(a)に示すように、弾性フィルム250は、所定の長さで容易に切断できるように、点線状の切断部分252が形成されている。
図52(b)に示すように、弾性フィルム250は、上側フィルム250a及び下側フィルム250bで構成される。上側フィルム250aと下側フィルム250bとの間には隙間250cが形成されるようになっており、使用者は隙間250cに手を差し入れることによって、上側フィルム250aと下側フィルム250bとの間に手を入れた状態にすることができる。すなわち、これにより、上側フィルム250aと下側フィルム250bとの間に手が挟まれた状態になる。
【0133】
装置1Hで、手袋を製造装着するためには、
図51に示すように、上側部材76を開いた状態で、フィルムホルダー66から弾性フィルム250を引き出し、上側フィルム250aと下側フィルム250bとの間に手を差し入れた状態で、左右の手を、それぞれ、陥没部62L及び陥没部62Rに配置する。そしてスイッチ64を押圧すると、上側部材76がゆっくりと矢印U1方向に移動する。上側部材76が閉じると、溶着切断部(図示せず)による溶着及び切断が実施され、手袋が製造及び装着される。手袋の製造及び装着が完了すると、使用者は、両手を持ち上げるようにすれば、上側部材76は矢印U2方向に回動し、開くようになっている。
【0134】
<第十三の実施形態>
図53乃至
図58を参照して、第十三の実施形態を説明する。なお、第一の実施形態と共通する事項については、図示及び説明を省略する。
【0135】
図53に示すように、第十三の実施形態の装置1Iは、陥没部36の手の形状の外周に沿って、上側部材10から下側部材30に対して、赤外線Gが照射されるようになっている。
【0136】
図54に示すように、下側部材30には、陥没部36の手の形状において、各指部分の指先、各指部分の長さ方向における中間地点近傍の両側、2つの指部分の間の付け根部分等に赤外線受光器92が配置されている。すなわち、赤外線受光器92は、使用者の手や指が陥没部36からはみ出した場合に、使用者の手や指によって少なくとも一部が覆われる位置に配置されている。赤外線受光器92は、例えば、フォトダイオードやフォトトランジスタなどのフォトセンサーで構成される。なお、
図53においては、赤外線受光器92は、一部のみを記載している。
【0137】
図55に示すように、上側部材10には、陥没部20の手の形状において、各指部分の指先、各指部分の長さ方向における中間地点近傍の両側、2つの指部分の間の付け根部分等に赤外線投光器90が配置されている。赤外線投光器90は、例えば、赤外線発光ダイオードや赤外線レーザーダイオードで構成される。
【0138】
上側部材10に配置された各赤外線投光器90から照射された赤外線が、下側部材30の対応する位置に配置された赤外線受光器92に受信される。赤外線投光器90及び赤外線受光器92は、はみ出し検知手段の一例である。
【0139】
図56(a)に示すように、赤外線受光器92は、溝部38cと陥没部36とを隔離する壁部381の上面381aに配置されている。
【0140】
図56(b)は、
図56(a)の赤外線受光器92近傍領域Aを手前方向から視た概略断面図である。
図56(b)に示すように、上面381aには、凹部381aaが形成されている。凹部381aa内に、赤外線受光器92が配置されている。
【0141】
図57に示すように、赤外線投光器90は、上側部材10の下面10dであって、陥没部20と突条部22との間の面10deに配置されている。面10deには、凹部が(図示せず)が形成されており、その凹部内に赤外線投光器90が配置されている。
【0142】
上述のように、赤外線受光器92及び赤外線投光器90が凹部内に配置されていることによって、下側部材30の面381aと上側部材10の面10deとの接触に干渉しないようになっている。
【0143】
図53に示すように、上側部材10に配置された複数の赤外線投光機90と下側部材30に配置された複数の赤外線受光器92は、一つの赤外線投光器90から送信された赤外線Gが、対応する位置にある一つの赤外線受光器92に受信されるようになっている。なお、本実施形態とは異なり、一つの赤外線投光器90から送信された赤外線Gを複数の赤外線受光器92で受信する構成としてもよい。
【0144】
使用者の手が、陥没部36からはみ出した場合には、そのはみ出した手によって赤外線Gが一部または全部が遮断されるから、少なくとも一つの赤外線受光器92が受信する赤外線Gの状況に異常を生じる。これにより、装置1Iは、使用者の手が陥没部36からはみ出していることを検知し、例えば、上側部材10の下降を開始しない、あるいは、上側部材10の下降を停止するなどの制御を行う。
【0145】
図58に示すように、装置1Iは、はみ出し検知部226を有する。はみ出し検知部226によって、各赤外線受光器92が、対応する赤外線投光器90から受信する赤外線Gの受信態様を検知する。
【0146】
記憶部202には、第三緊急対応プログラムが格納されている。CPU200と第三緊急対応プログラムは、第三緊急対応手段の一例である。装置1Iは、はみ出し検知部226によって、いずれかの赤外線受光器92による赤外線Gの受信態様に異常が生じたことを検知すると、第三緊急動作を実施する。第三緊急動作は、例えば、溶着用熱線38a及び切断用熱線38bへの通電を停止する、あるいは、通電を実施しない、ディスプレイ装置16へ警告を表示する、スピーカー(図示せず)で警告音を発生させる、上側部材10を上昇させるなどの動作である。
【0147】
<第十四の実施形態>
図59及び
図60を参照して、第十四の実施形態を説明する。なお、第一の実施形態と共通する事項については、図示及び説明を省略する。
【0148】
図59に示すように、第十四の実施形態において、溶着用熱線38a及び切断用熱線38bは、薄板状の電熱部材である。溶着用熱線38a及び切断用熱線38bは、例えば、高さh1が5ミリメートル(mm)、幅j1が0.4ミリメートル(mm)の薄板状のニクロム線(ニクロム箔板)である。
【0149】
溶着用熱線38a及び切断用熱線38bの上端面38ae及び38beは、下側部材30の上面30aと同一の高さである。すなわち、第一の実施形態とは異なり、本実施形態においては、溶着用熱線38a及び切断用熱線38は、溝部に配置されているのではない。
【0150】
図60に示すように、第一の実施形態とは異なり、本実施形態の上側部材20には、突条部が存在しない。本実施形態においては、弾性フィルム100及び102を、溶着用熱線38a及び切断用熱線38bと上側部材10の下面10dとで挟んだ状態で、溶着及び切断するように構成されている。
【0151】
<第十五の実施形態>
図61を参照して、第十五の実施形態を説明する。なお、第十四の実施形態と共通する事項については、図示及び説明を省略する。
【0152】
第十五の実施形態においては、溶着用熱線38a及び切断用熱線38bの上端面38ae及び38beは、下側部材30の上面30aよりもわずかに高い。すなわち、溶着用熱線38a及び切断用熱線38bの上端面38ae及び38beは、下側部材30の上面30aからわずかに突出している。その突出している部分の高さは、例えば、0.1ミリメートル(mm)である。
【0153】
<第十六の実施形態>
図62を参照して、第十六の実施形態を説明する。なお、第十四の実施形態と共通する事項については、図示及び説明を省略する。
【0154】
図62に示すように、第十六の実施形態においては、溶着用熱線38a及び切断用熱線38bの上端面38ae及び38beは、下側部材30の上面30aよりもわずかに低い。すなわち、溶着用熱線38a及び切断用熱線38bの上端面38ae及び38beは、下側部材30の上面30aに対して、わずかに陥没している。その陥没の程度は、例えば、0.1ミリメートル(mm)である。
【0155】
<第十七の実施形態>
図63を参照して、第十七の実施形態を説明する。なお、第十四の実施形態と共通する事項については、図示及び説明を省略する。
【0156】
図63に示すように、第十七の実施形態においては、下側部材30の上面30aには、溶着切断用熱線38dが配置されている。溶着切断用熱線38dは、薄板状のニクロム線である。溶着切断用熱線38dは、例えば、高さh1が5ミリメートル(mm)、幅j1が0.4ミリメートル(mm)である。溶着切断用熱線38dによって、第七の実施形態と同様に、弾性フィルム100と弾性フィルム102の溶着及び切断を実施するようになっている。
【0157】
溶着切断用熱線38dの上端面38deは、下側部材30の上面30aと同一の高さである。すなわち、第七の実施形態とは異なり、本実施形態においては、溶着切断用熱線38dは、溝部に配置されているのではない。なお、本実施形態とは異なり、溶着切断用熱線38dの上端面38deは、下側部材30の上面30aよりもわずかに、例えば、0.1ミリメートルだけ、突出してもよいし、あるいは、陥没してもよい。
【0158】
<第十八の実施形態>
図64乃至
図77を参照して、第十八の実施形態を説明する。なお、第一の実施形態と共通する事項については、図示及び説明を省略する。
【0159】
図64に示すように、第十八の実施形態の装置1Jは、下側部材30において、手格納部37L及び37Rが形成されている。また、上側部材において、手格納部21L及び21Rが形成されている。手格納部21L及び21Rは第一の手格納部の一例であり、手格納部37L及び37Rは第二の手格納部の一例である。
【0160】
下側部材30の手格納部37L及び37Rは、枠状部材150L及び150Rと上面30aによって形成される。枠状部材150L及び150Rは、第二の枠状部材の一例である。枠状部材150L及び150Rは、手の平(指の形状を含む)及び手首の輪郭の形状に構成されている。枠状部材150L及び150Rの上面150uには、溶着用熱線151a及び切断用熱線151b(
図69参照)が配置されている。溶着用熱線151a及び切断用熱線151bは溶着切断手段の一例である。
【0161】
上側部材10の手格納部21L及び21Rは、枠状部材160L及び160Rと下面10dによって形成される。枠状部材160L及び160Rは、第一の枠状部材の一例である。枠状部材160L及び160Rは、手の平(指の形状を含む)及び手首の輪郭の形状に構成されている。枠状部材160L及び160Rの下面160u(
図66参照)には、弾性フィルム100及び102を溶着用熱線151a及び切断用熱線151b(
図69参照)に押圧するための押圧部材161(
図67及び
図68参照)が配置されている。押圧部材161は、押圧手段の一例である。
【0162】
上側部材10は、中央部分10aaが、透明部材で構成されており、使用者が、下側部材30の枠状部材150L及び150R、上側部材10の枠状部材160L及び160R、及び、自分自身の手を視認することができるように構成されている(
図64参照)。
【0163】
下側部材30には、フィルムホルダー32及び33が配置されている。フィルムホルダー33は前面30bに配置されており、フィルムホルダー33の外周部の上端が、前面30bと上面30aとの接線の位置よりも下方向に位置するように配置される。これにより、使用者の手を枠状部材150L及び150Rに配置するときに、フィルムホルダー33が使用者の手と干渉することがないようになっている。フィルムホルダー33内に配置され、弾性フィルム102を巻き付ける回転軸は、下側部材30内に配置されたモーター(図示せず)と接続されており、モーターの動力によって回転するようになっている。フィルムホルダー32に格納されている弾性フィルム102をフィルムホルダー33によって巻き取って、上面30aに配置するようになっている。すなわち、奥手方向から手前方向が、巻取り方向である。また、フィルムホルダー33は、手袋の製造後には、使用後の弾性フィルム102を巻き取って格納するようになっている。
【0164】
上側部材10には、フィルムホルダー12及び13が配置されている。フィルムホルダー13の外周部の下端が、前面10bと下面10dとの接線の位置よりも上方向に位置するように配置される。これにより、使用者の手が枠状部材160L及び160Rに格納されるときに、フィルムホルダー13が使用者の手と干渉することがないようになっている。フィルムホルダー12に格納されている弾性フィルム100をフィルムホルダー13によって巻き取って、下面10dに配置するようになっている。また、フィルムホルダー13は、手袋の製造後には、使用後の弾性フィルム100を巻き取って格納するようになっている。
【0165】
図65(a)は、下側部材30の上面30aを示す概略図である。上面30aには、手の形状に形成された枠状部材150L及び150Rをそれぞれ四辺形に囲むように、矩形切断用熱線35L及び35Rが配置されている。言い換えると、溶着用熱線151a及び切断用熱線151bが弾性フィルム100及び102を溶着及び切断する部分の外側において、四辺形状に弾性フィルム100及び102を切断するように、矩形切断用熱線35L及び35Rが配置されている。矩形切断用熱線35L及び35Rは、外側切断手段の一例である。
【0166】
図65(b)は、矩形切断用熱線35L及び35Rを示す概略図である。矩形切断用熱線35L及び35Rは、左辺、右辺及び上辺で構成されており、下辺(手前方向の辺)は存在しない。すなわち、左辺の端部35aと右辺の端部35bとの間は接続されていない。また、上面30aにおいて、矩形切断用熱線35Lと35Rとの間には所定の距離があり、また、矩形切断用熱線35Lと弾性フィルム102の左方向の端部との間には所定の距離があり、矩形切断用熱線35Rと弾性フィルム102の右方向の端部との間には所定の距離があるように配置されている。矩形切断用熱線35L及び35Rは、弾性フィルム100及び弾性フィルム102の巻取り方向と垂直な方向において、弾性フィルム100及び弾性フィルム102の両端部及び中央部を残すように切断するように構成されている。
【0167】
図66は、上側部材10の下面10dを示す概略図である。
図66に示すように、下面10dには、枠状部材160L及び160Rをそれぞれ四辺形に囲むように、矩形押圧部材11L及び11Rが配置されている。矩形押圧部材11L及び11Rも、左辺、右辺及び上辺で構成されており、下辺は存在しない。すなわち、左辺の端部11aと右辺の端部11bとの間は接続されていない。また、下面10dにおいて、矩形押圧部材11Lと11Rとの間には所定の距離があり、また、矩形押圧部材11Lと弾性フィルム100の左方向の端部との間には所定の距離があり、矩形押圧部11Rと弾性フィルム100の右方向の端部との間には所定の距離があるように配置されている。
【0168】
上側部材10が下降すると、弾性フィルム100及び102を矩形切断用熱線35L及び35Rと矩形押圧部材11L及び11Rとで挟み込んだ状態で、押圧しつつ加熱し、弾性フィルム100及び102を四辺形に切断するようになっている。
【0169】
図67及び
図68を参照して、上側部材10の枠状部材160L及び160Rを詳細に説明する。
図67及び
図68は、枠状部材160L(R)の一部を示す概略拡大図である。
図67(a)に示すように、枠状部材160L(R)は、上面160a、上面160aと垂直に形成された側面160b、側面160bと連続する曲面160c、及び凹部160dで構成される。
図66に示す上面160uは、曲面160c、及び凹部160dに該当する。曲面160cは、左側部160cLと右側部160cRの外側の面である。曲面160cにより、下方に向かうに連れて、左側部160cLと右側部160cRの外側面の間隔が狭くなるように形成されている。左側部160cLと右側部160cRの内側面は上面160aと垂直に形成されており、天井面160daとで凹部160dを構成している。凹部160dには、押圧部材161(
図67(b)参照)が固定される(
図68参照)。押圧部材161は、耐熱性の弾性材料で形成されている。耐熱性の弾性材料は、例えば、シリコーンゴムである。
【0170】
枠状部材160L(R)の高さH1は、例えば、30mm(ミリメートル)である。左側部160cL及び右側部160cRの高さ、すなわち、凹部160dの高さ(深さ)H2は、例えば、3mmである。押圧部材161の高さH3は、例えば、9mmである。押圧部材161の上面161bが凹部160dの天井面160daと接し、押圧部材161が凹部160dに固定された状態(
図68参照)において、押圧部材161が凹部160dから突出する高さH4は、後述の枠状部材150L(R)の凹部150dの深さよりも大きく規定されており、例えば、6mmである。枠状部材160L(R)の幅W1は、例えば、9mmである。凹部160dの幅W2は、例えば、3mmであり、押圧部材161の幅と等しい。
【0171】
図69は、枠状部材150L(R)の一部を示す概略拡大図である。枠状部材150L(R)は、下面150a、下面150aと垂直に形成された側面150b、側面150bと連続する曲面150c、及び凹部150dで構成される。曲面150cは、左側部150cLと右側部150cRの外側の面である。曲面150cにより、上方に向かうに連れて、左側部150cLと右側部150cRの外側面の間隔が狭くなるように形成されている。左側部150cLと右側部150cRの内側面は下面150aと垂直に形成されており、凹部150dの底面150daとで凹部150dを構成している。凹部150dの底面150daには、溶着用熱線151a及び切断用熱線151bが固定されている。
【0172】
枠状部材150L(R)の高さH5は、例えば、30mmであり、枠状部材160L(R)本体部の高さH1と等しい。左側部150cL及び右側部150cRの高さ、すなわち、凹部150dの高さ(深さ)H6は、例えば、4mmである。枠状部材150の幅W3は、例えば、9.5mmである。凹部150dの幅W4は、例えば、3.5mmであり、押圧部材161の幅W2よりも大きい。
【0173】
上述のように、押圧部材161が凹部160dから突出する高さH4は、先述の枠状部材150L(R)の凹部150dの深さよりも大きく規定されているから。押圧部材161が、凹部150dに入り込み、溶着用熱線151a及び切断用熱線151bに接する状態(
図73参照)において、枠状部材150L(R)と枠状部材160L(R)が直接接することはない。上述のように、押圧部材161が凹部160dから突出する高さH4が6mmであり、凹部150dの高さが4mmであれば、押圧部材161が溶着用熱線151a及び切断用熱線151bに接する状態(
図73参照)において、枠状部材150L(R)の上端部と枠状部材160L(R)の下端部は、少なくとも、2mm乖離している。
【0174】
上側部材10が下側部材30に向かって下降すると、押圧部材161は、凹部150dに入り込み、押圧部材161の先端部161aは、凹部150dの底面150daに配置された溶着用熱線151a及び切断用熱線151bと接し、かつ、押圧することができる。枠状部材150L(R)の上部は曲面部150cとなっており、枠状部材160L(R)の下部は曲面部160cとなっているから、枠状部材150L(R)と枠状部材160L(R)との間に、使用者の指が挟みこまれることはない。言い換えると、枠状部材150L(R)と枠状部材160L(R)の形状は、使用者の手(指)から所定の距離を有する位置において、最も接近するように構成されているから、使用者の指が挟みこまれることはない。
【0175】
図70及び
図71を参照して、溶着用熱線151a及び切断用熱線151bについて説明する。溶着用熱線151a及び切断用熱線151bは、薄板状の熱線であり、電流が流れることによって、発熱する。溶着用熱線151a及び切断用熱線151bは、例えば、発熱特性に優れるステンレスで形成される。溶着用熱線151aは、所定の幅W5を有するように形成され、例えば、波型状に形成される。幅W5は、例えば、2mmである。これにより、弾性フィルム100と102を強固に溶着することができる。一方、切断用熱線51aは、弾性フィルム100と102を切断するための構成であり、直線状に形成される。
【0176】
図71(a)及び(b)に示すように、溶着用熱線151a及び切断用熱線151bは、熱線本体151cが、耐熱性フィルム151dに挟まれ、上部に離型用フィルム151eが配置されて構成される。耐熱フィルム151dは、熱線本体151cによる熱が直接的に下側部材30に伝わることを防止するための構成である。離型用フィルム151eは、弾性フィルム100及び102が押圧部材161によって押圧されつつ、溶着用熱線151a及び切断用熱線151bによって溶着及び切断された後に、押圧部材161が溶着及び切断された弾性フィルム100と容易に乖離するための構成である。耐熱フィルム151dは、例えば、耐熱セロファンである。離型用フィルム151eは、例えば、耐熱性を有するフッ素テープである。
【0177】
図72は、上側部材10の枠状部材160L(R)が、下側部材30の枠状部材150L(R)に向かって(矢印Z1a方向に)下降する状態を示す。枠状部材150L(R)には、使用者の手が配置されており、そのうち、小指302aが配置される部分だけを示している。下側部材30に配置された弾性フィルム102は、小指302aの下方に位置する。
図72(a)の状態から、上側部材10に配置された弾性フィルム100は、押圧部材161の先端と接しつつ、下降し、弾性フィルム102と接する(
図72(b))。
【0178】
図72(b)の状態から、枠状部材160L(R)が、枠状部材150L(R)に向かって(矢印Z1a方向に)さらに下降すると、押圧部材161が弾性フィルム100及び102を凹部150dに押し込み、弾性フィルム100及び102を凹部150dの底面150daに固定された接着用熱線151a及び切断用熱線151bに押し付ける(
図73参照)。
図73の状態で、弾性フィルム100及び102は、使用者の手の形状(厳密には、手の形状の相似形)で溶着され、かつ、切断される。
【0179】
図74乃至
図76を参照して、弾性フィルム100及び102が装置1Jに配置される状態を説明する。使用者が手袋を製造及び装着するときには、
図74(a)に示すように、下側部材30のフィルムホルダー32と33の間に、弾性フィルム102がわずかな張力を有する状態において、配置される。この状態において、弾性フィルム102は、矩形切断用熱線35L及び35Rの内側の部分、及び、枠状部材150L(150R)の内側の部分も覆っている。弾性フィルム100は、上側部材10において、弾性フィルム102と同様に配置される。
【0180】
図74(a)の状態において、下側部材30の手前方向の端部であって、矩形切断用熱線35L(R)の下辺である部分の下方と、フィルムホルダー33の間には弾性フィルム102は存在せず、空間S1及びS2となっている。上側部材10に配置される弾性フィルム100についても同様である。これにより、弾性フィルム100及び102が、使用者の手の形状に溶着及び切断されて手袋が製造及び装着されたときに、手袋は、手袋を形成していない弾性フィルム100及び102の部分と切り離される。
【0181】
図74(a)の状態に続いて、使用者の左手300及び右手302が、弾性フィルム102の上から枠状部材150L及び150Rの内側に配置される(
図74(b)参照)。
図74(b)の状態において、弾性フィルム102は左手300及び右手302の手の平側に位置する。続いて、上側部材10が下降し、弾性フィルム100が、使用者の左手300及び右手302の手の甲側に配置される(
図75(a)参照)。なお、
図75(a)においては、上側部材10は省略し、弾性フィルム100のみを示している。弾性フィルム100は、弾性フィルム102と重なっている。
【0182】
図75(a)の状態で、弾性フィルム100及び102が手の形状に溶着され、かつ、切断される。その後、上側部材10が上昇すると、使用者の左手300及び右手302には、手袋が装着された状態になる(
図75(b)参照)。
図75(b)において、弾性フィルム100及び102は、左手300及び右手302の形状に切断及び溶着されている。また、弾性フィルム100及び102は、四辺形に切断されている。弾性フィルム102に着目すると、手袋を形成する部分、四辺形に切断されている部分、及び、弾性フィルム102の他の部分と連続している部分とに区別される。弾性フィルム100においても同様に部分が区別される。
【0183】
図75(b)の状態で、左手300及び右手302を装置1Jから外すと、手袋が装着された状態になる。手袋の部分及び四辺形に切断された部分を外すと、
図76(a)に示す状態になる。
図76(a)に示す状態において、弾性フィルム102は、矩形切断用熱線35L(R)の内側には存在しない。上側部材10においても同様である。
【0184】
次回の装置1Jの使用時には、弾性フィルム102が矢印B1方向に巻き取られて、枠状部材150L及び150R上に弾性フィルム102が配置される(
図76(b)参照)。上側部材10においても同様である。前回、手袋を製造及び装着したときに、弾性フィルム100及び102が、その巻取り方向と垂直な方向に完全に切断されるのではなく、矩形切断用熱線35L(R)が存在しない部分(つまり、切断されない部分)の弾性フィルム100及び102の領域が残存し、フィルムホルダー33(正確には、回転軸)との接続を維持していることにより、次回の装置1Jの使用時のために、弾性フィルム100及び102を矢印B1方向に巻き取ることを可能にしている。
【0185】
次回の装置1Jの使用時には、弾性フィルム102が矢印B1方向に巻き取られると、前回の手袋製造装着時の弾性フィルム102における矩形切断用熱線35L及び35Rの奥手側境界線E1(
図76(a))参照)の部分が、下側部材30の手前側境界線E2の位置に移動するように制御される(
図76(b)参照)。言い換えると、前回の手袋製造装着のときの上端(E1)を構成する辺が、今回の手袋製造装着のときに下端(E2)の位置に配置されるように、弾性フィルム100及び弾性フィルム102が巻き取られるように構成されている。これにより、弾性フィルム102が、枠状部材150L(R)を覆い、かつ、空間S1及びS2を形成するようになっている。上側部材10においても同様である。
【0186】
図77に示すように、装置1Jは、複数の大きさの枠状部材150L(R)を備える。具体的には、大型の枠状部材150LL(
図77(a)参照)、中型の枠状部材150LM(
図77(b)参照)、及び、小型の枠状部材150LS(
図77(c)参照)を備える。
図77においては、枠状部材150Lのみを示しているが、枠状部材150Rについても同様であり、上側部材10に配置される枠状部材160L(R)についても同様である。また、
図77においては、枠状部材の概略を示しており、その上面の形状や凹部、溶着用熱線、及び、切断用熱線は省略している。
【0187】
枠状部材150LL,150LM及び150LSは、その外径の長さHH1は同一であり、また、外形の幅HW1も同一である。ただし、内側の形状は、枠状部材150LLが最も大きく、次に、枠状部材150LMが大きく、枠状部材150LSが最も小さい。例えば、枠状部材150LLの手首部幅HW2aよりも、枠状部材150LMの手首部幅HW2bが小さく、さらに、手首部幅HW2bよりも、枠状部材150LSの手首部幅HW2cが小さい。すなわち、複数の大きさの枠状部材150L(R)は、その外径が同一であるから、一組の接続部153の位置も共通である。接続部153は、螺子孔が形成された金属製の突出部である。このため、下側部材30の螺子孔も、一組でよい。接続部153の螺子孔と下側部材30の螺子孔に雄螺子が螺合することで、枠状部材150LL,150LM及び150LSは下側部材30に固定される。この構成は、上側部材10の枠状部材についても同様である。
【0188】
<第十九の実施形態>
第十九の実施形態について、第十八の実施形態と異なる点を説明する。
図78に示すように、第十九の実施形態においては、枠状部材150LL,150LM及び150LSは、その外径の幅も内側の形状に応じて異なる。すなわち、枠状部材150LLの外形(長さHH1及び幅HW1)は最も大きく、次いで、枠状部材150LMの外形(長さHH2及び幅HW2)が大きく、枠状部材150LSの外形(長さHH3及び幅HW3)が最も小さい。そして、枠状部材150LLの枠厚(HW1−HW2a)/2、枠状部材150LMの枠厚(HW2−HW2b)/2、及び、枠状部材150LSの枠厚(HW3−HW2c)/2は等しい。枠状部材150LL,150LM及び150LSには、それぞれ、長さが異なる接続部153a,153b及び153cが接続される。接続部153aの長さをLk1,接続部153bの長さをLk2、接続部153cの長さをLk3とすると、Lk1<Lk2<Lk3という大小関係になる。枠状部材150LL,150LM及び150LSの外形は異なるが、接続部153a,153b及び153cの長さを上記のように規定することで、下側部材30に対して、接続部153a,153b及び153cの螺子孔の位置は変わらないようになっている。このため、下側部材30の螺子孔が一組であっても、各枠状部材150LL,150LM及び150LSを下側部材30に固定できる。なお、本実実施形態とは異なり、枠状部材150LL,150LM及び150LSの枠厚を、例えば、枠状部材150LLが最も厚くなるようにするなど、異なるようにしてもよく、この場合、接続部153a,153b及び153cの長さLk1,Lk2及びLk3を調整し、下側部材30に対して、接続部153a,153b及び153cの螺子孔の位置は変わらないように構成すればよい。
【0189】
<第二十の実施形態>
図79乃至
図81を参照して、第二十の実施形態を説明する。なお、第十八の実施形態と共通する事項については、図示及び説明を省略する。
【0190】
図79に示すように、矩形切断用熱線35L及び35Rは、奥手側(フィルムホルダー32側)の辺が、手前側(フィルムホルダー33側)の辺よりも長い台形状に形成されている。言い換えると、矩形切断用熱線35L及び35Rは、弾性フィルム100及び弾性フィルム102の巻取り方向において、上端を構成する辺が下端を構成する辺よりも長い台形状に、弾性フィルム100及び弾性フィルム102を切断するように構成されている。すなわち、指先側の幅L1は手首側の幅L2よりも長い。なお、矩形切断用熱線35L及び35R自体は、手前側の辺には存在しない(
図79(b)参照)。
【0191】
図80に示すように、上側部材10の下面10dに配置される矩形押圧部材11L及び11Rも台形状に構成されている。なお、矩形押圧部材11L及び11R自体は、手前側の辺には存在しない(
図80(b)参照)。
【0192】
使用者が手袋の製造及び装着を完了すると、下側部材30の上面30aは、
図81(a)に示す状態になる。この状態で矢印B1方向に弾性フィルム102を引っ張ると、矩形に切断された形状の奥手側端部(仮想直線E1に位置する部分)には、矢印V1及びV2に示すように、内側に縮小しようとする力が働く。この点、弾性フィルム102は、奥手側の辺が手前側の辺よりも長い台形状に切断されているから、手前側に引っ張ることによって、奥手側の辺が収縮しても、手前側の辺と同様の長さになるようになっている(
図81(b)参照)。これにより、左手300及び右手302の手首が位置する部分の端部31eにおいて、弾性フィルム102が存在しないようになっている。このことは、上側部材10においても同様である。
【0193】
<第二十一の実施形態>
図82参照して、第二十一の実施形態を説明する。なお、第二十の実施形態と共通する事項については、図示及び説明を省略する。
【0194】
第二十一の実施形態においては、枠状部材150L(R)の内側の垂直壁部が、使用者の手の形状に合わせて曲面で形成されている。言い換えると、枠状部材150L(R)において、使用者の手と接する部分の形状は、個別の使用者の手の形状に整合するように構成されている。枠状部材160L(R)も同様に構成されている。例えば、
図82に示すように、下側部材の枠状部材150L(R)において、外側の壁部150bbは、上面30aに垂直であるが、内側の面150baは、使用者の手の形状に合わせて曲面で形成されている。これは、上側部材10の枠状部材160L(R)においても同様である。これにより、使用者の手の形状に、一層合致する手袋を製造装着することができる。
【0195】
なお、本発明の手袋製造装着装置は、上記実施形態に限らず、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加えることができる。例えば、第三の実施形態において、弾性フィルム100と弾性フィルム102の双方を熱収縮性フィルムで形成してもよい。そして、弾性フィルム100の弾性回復力を弾性フィルム102の弾性回復力よりも大きくする、あるいは、弾性フィルム100の熱収縮率を弾性フィルム102の熱収縮率よりも大きく形成することによって、接続部Sが指の背側に移動する効果を得ることができる。また、弾性フィルム100及び弾性フィルム102を、手の形状に切断する手段、直線状に切断する手段(
図4の切断用熱線44参照)及び/または、矩形に切断する手段としては、熱線に限らず、例えば、カッターナイフの刃のような鋭利な刃状部材等、レーザーを照射するためのレーザー照射装置、または、超音波を照射するための超音波照射装置等、他の手段でもよい。また、弾性フィルム100及び弾性フィルム102を、手の形状に溶着する手段は、熱線に限らず、レーザー照射装置、または、超音波照射装置等、他の手段でもよい。また、本発明の「手袋」を「全身スーツ」に変更し、例えば、頭部、手首、足首以外の身体を包むための「全身スーツ」を製造及び装着するようにしてもよい。また、本発明の「手袋」を「足袋」に変更し、例えば、足首から下の足を包む「足袋」を製造及び装着するようにしてもよい。あるいは、技術的な矛盾が生じない限り、各実施形態を組み合わせることもできる。
発明は、個人の手の形状に適合する手袋を製造し、しかも、手に装着することができる手袋製造装着装置、手袋製造装着方法を提供するものである。手袋製造装着装置(1)は、第一の弾性フィルム(100)と第二の弾性フィルム(102と)の間に使用者の手を挟んだ状態で、手の輪郭の外側の位置において、第一の弾性フィルム(100)と第二の弾性フィルム(102)を溶着及び切断する溶着切断手段を有する。