特許第6411020号(P6411020)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6411020
(24)【登録日】2018年10月5日
(45)【発行日】2018年10月24日
(54)【発明の名称】3Dマップと蛍光透視画像との統合
(51)【国際特許分類】
   G01B 21/00 20060101AFI20181015BHJP
   G01B 15/00 20060101ALI20181015BHJP
   G01B 7/00 20060101ALI20181015BHJP
   A61B 6/00 20060101ALI20181015BHJP
   A61B 6/12 20060101ALI20181015BHJP
【FI】
   G01B21/00 E
   G01B15/00 Z
   G01B7/00 103M
   A61B6/00 390A
   A61B6/12
   A61B6/00 350P
【請求項の数】16
【外国語出願】
【全頁数】21
(21)【出願番号】特願2013-217073(P2013-217073)
(22)【出願日】2013年10月18日
(65)【公開番号】特開2014-89186(P2014-89186A)
(43)【公開日】2014年5月15日
【審査請求日】2016年8月25日
(31)【優先権主張番号】61/715,935
(32)【優先日】2012年10月19日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】14/045,246
(32)【優先日】2013年10月3日
(33)【優先権主張国】US
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】511099630
【氏名又は名称】バイオセンス・ウエブスター・(イスラエル)・リミテッド
【氏名又は名称原語表記】Biosense Webster (Israel), Ltd.
(74)【代理人】
【識別番号】100088605
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 公延
(74)【代理人】
【識別番号】100130384
【弁理士】
【氏名又は名称】大島 孝文
(72)【発明者】
【氏名】メイル・バル−タル
(72)【発明者】
【氏名】タミル・デムリ
(72)【発明者】
【氏名】タル・ハイム・バル−オン
(72)【発明者】
【氏名】エリアフ・ジーノ
(72)【発明者】
【氏名】ラン・グレイザー
(72)【発明者】
【氏名】ギル・ジゲルマン
(72)【発明者】
【氏名】ドロール・バーマン
【審査官】 池田 剛志
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許出願公開第2012/0201421(US,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2011/0015519(US,A1)
【文献】 特開2012−130703(JP,A)
【文献】 特開2003−299642(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2010/0137707(US,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2002/0041655(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01B 7/00− 7/34
15/00−15/08
21/00−21/32
A61B 6/00− 6/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
座標系位置合わせシステムであって、
交流磁場を伝達するように構成された磁場伝達パッドと、
座標系位置合わせモジュールと、を備え、
前記座標系位置合わせモジュールは、
固定した所定のパターンに配置された放射線不透過性要素であって、蛍光透視画像を生成する前記放射線不透過性要素に応答して、基準の蛍光透視座標系内での前記座標系位置合わせモジュールの位置を規定するように構成されている前記放射線不透過性要素と、
前記座標系位置合わせモジュールを前記磁場伝達パッドに関連して所定の位置及び配向で前記磁場伝達パッドに固定的に接続して、前記磁場伝達パッドにより規定される基準の磁気座標系内での前記座標系位置合わせモジュールの位置を特徴付けるように構成されている1つ又は2つ以上の接続部と、を含み、
前記座標系位置合わせモジュールが、対称軸を規定する一対の平行板を含み、前記放射線不透過性要素が、前記対称軸に関して対称的に分布された複数の放射線不透過性マーカーを含む、座標系位置合わせシステム。
【請求項2】
記放射線不透過性要素が、前記対称軸に中心を置き、かつ前記対称軸に直交する放射線不透過性の所定の二次元形状を含む、請求項1に記載の座標系位置合わせシステム。
【請求項3】
前記所定の二次元形状が、ディスク及び矩形を含む群から選択される、請求項に記載の座標系位置合わせシステム。
【請求項4】
交流磁場を伝達するように構成された磁場伝達パッドと、
座標系位置合わせモジュールと、を備えた座標系位置合わせシステムにおいて、
座標系を位置合わせするための方法であって、
放射線不透過性要素を、前記座標系位置合わせモジュール内で、固定した所定のパターンに配置することと、
前記放射線不透過性要素の蛍光透視画像を生成することと、
前記蛍光透視画像に応答して、基準の蛍光透視座標系内での前記座標系位置合わせモジュールの蛍光透視位置を評価することと、
前記座標系位置合わせモジュールを前記磁場伝達パッドに関連して所定の位置及び配向で前記磁場伝達パッドに固定的に接続して、前記磁場伝達パッドにより規定される基準の磁気座標系内での前記座標系位置合わせモジュールの磁気位置を特徴付けることと、
前記座標系位置合わせモジュールの前記蛍光透視位置を前記座標系位置合わせモジュールの前記磁気位置と一致させることにより、前記蛍光透視座標系を前記磁気座標系と位置合わせすることと、を含み、
前記座標系位置合わせモジュールが、対称軸を規定する一対の平行板を含み、前記放射線不透過性要素が、前記対称軸に関して対称的に分布された複数の放射線不透過性マーカーを含む、方法。
【請求項5】
記放射線不透過性要素が、前記対称軸に中心を置き、かつ前記対称軸に直交する放射線不透過性の所定の二次元形状を含む、請求項に記載の方法。
【請求項6】
前記所定の二次元形状が、ディスク及び矩形を含む群から選択される、請求項に記載の方法。
【請求項7】
前記座標系を位置合わせすることが、前記基準の蛍光透視装置座標系を、基準の位置合わせモジュール座標系に関連付ける第1の変換、及び前記基準の位置合わせモジュール座標系を前記基準の磁気座標系に関連付ける第2の変換を生成することと、前記第1の変換及び第2の変換の合成物を含む合成変換を生成することと、を含む、請求項に記載の方法。
【請求項8】
前記座標系を位置合わせすることが、前記合成変換を更新することを含み、前記合成変換を更新することが、前記座標系の位置合わせにおける変化に応答して、前記第2の変換を不変のまま維持すると共に前記第1の変換を更新することを含む、請求項に記載の方法。
【請求項9】
更なる放射線不透過性要素を有する校正要素を、前記蛍光透視画像を生成する蛍光透視装置により照射されるテーブル上に配置することと、
前記校正要素の更なる蛍光透視画像を生成することと、
前記更なる蛍光透視画像に応答して、前記テーブルの動作を校正することと、を含む、請求項に記載の方法。
【請求項10】
前記校正要素が、前記テーブルに対して既知の角度で配置された定規を含む、請求項に記載の方法。
【請求項11】
前記基準の磁気座標系内での物体の三次元マップを生成することと、前記基準の蛍光透視座標系内での前記物体を含む二次元蛍光透視画像を生成することと、前記蛍光透視座標系と前記磁気座標系との位置合わせに応答して、前記二次元蛍光透視画像を前記三次元マップに関連して整合及び配置することと、を含む、請求項に記載の方法。
【請求項12】
前記物体の前記三次元マップを生成することが、前記物体の第1の配向における前記マップを生成することと、前記物体の第2の配向における前記二次元蛍光透視画像を生成することと、を含み、前記二次元蛍光透視画像を前記三次元マップに関連して整合及び配置することが、前記マップと前記画像とが整合するように前記マップ及び前記画像の一方を変更することを含む、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
座標系位置合わせシステムであって、
交流磁場を伝達するように構成された磁場伝達パッドと、
座標系校正ジグと、を備え、
前記座標系校正ジグは、
固定した所定のパターンに配置された放射線不透過性要素であって、蛍光透視画像を生成する前記放射線不透過性要素に応答して、基準の蛍光透視座標系内での前記ジグの位置を規定するように構成されている前記放射線不透過性要素と、
前記ジグに関連してそれぞれの所定の固定した位置及び配向において磁気センサを受容し、それにより前記センサを横切る磁場に応答した前記磁気センサからの信号が、前記磁場により規定される基準の磁気座標系内での前記ジグの位置を特徴付けるように構成されている、1つ又は2つ以上のコネクタと、を含み、
前記所定のパターンが、様々な周期長を有するらせんを含む、座標系位置合わせシステム。
【請求項14】
記らせんが、前記らせんの各周期内に異なる数の要素を有する、請求項13に記載の座標系位置合わせシステム。
【請求項15】
交流磁場を伝達するように構成された磁場伝達パッドと、
座標系校正ジグと、を備えた座標系位置合わせシステムにおいて、
座標系を位置合わせするための方法であって、
放射線不透過性要素を固定した所定のパターンに配置することと、
蛍光透視画像を生成する前記放射線不透過性要素に応答して、基準の蛍光透視座標系内でのジグの位置を規定することと、
1つ又は2つ以上のコネクタを、前記ジグに関連してそれぞれの所定の固定した位置及び配向において磁気センサを受容し、それにより前記センサを横切る磁場に応答した前記磁気センサからの信号が、前記磁場により規定される基準の磁気座標系内での前記ジグの位置を特徴付けるように構成することと、を含み、
前記所定のパターンが、様々な周期長を有するらせんを含む、方法。
【請求項16】
記らせんが、前記らせんの各周期内に異なる数の要素を有する、請求項15に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本願は、参照により本明細書に組み込まれる、2012年10月19日出願の米国特許仮出願第61/715,935号による利益を主張する。
【0002】
(発明の分野)
本発明は、概して画像の組み合わせ、より詳細には、二次元蛍光透視画像と三次元マップとの組み合わせに関する。
【背景技術】
【0003】
現在の心臓カテーテル法のシステムでは、システムを操作する医師は、多くの場合、2つの異なるスクリーン(胸郭の2D蛍光透視画像及び心臓の3Dマップ上)で、2つの異なる画像を同時に観察する必要がある。このような3Dは、例えば、心臓内でカテーテル先端の磁気追跡を使用することにより生成され得る。蛍光透視画像及び3Dマップの両方がそのカテーテルを示すが、異なる角度及び視点からである。蛍光透視と3D表示との間の自動的な位置合わせ及び調整が存在しないため、医師はディスプレイ間を行きつ戻りつ注目し、ディスプレイが含む異なる情報を思考によって位置合わせする必要がある。
【0004】
蛍光透視画像を3Dマップと自動的に位置合わせする様々な方法が、特許文献にて既知である。そのような方法は、例えば、その開示が参照により本明細書に組み込まれる米国特許第6,314,310号に記載されている。
【0005】
参照により本特許出願に組み込まれる文書は、組み込まれた文書内の用語が、本明細書で明示的又は暗黙的に行われる定義と相反するように定義される場合を除き、本出願の一体部分と見なされるべきであり、本明細書における定義のみが検討されるべきである。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の実施形態は、座標系位置合わせモジュールを提供し、前記モジュールは、
固定した所定のパターンに配置された放射線不透過性要素であって、蛍光透視画像を生成する放射線不透過性要素に応答して、基準の蛍光透視座標系内でのモジュールの位置を規定するように構成されている放射線不透過性要素と、
モジュールを磁場伝達パッドに関連して所定の位置及び配向で前記パッドに固定的に接続して、磁場伝達パッドにより規定される基準の磁気座標系内での位置合わせモジュールの位置を特徴付けるように構成されている1つ又は2つ以上の接続部と、を含む。
【0007】
開示された実施形態では、モジュールは、対称軸を規定する一対の平行板を含み、放射線不透過性要素は、対称軸に関して対称的に分布された複数の放射線不透過性マーカーを含む。
【0008】
開示された代替的な実施形態では、モジュールは、対称軸を規定する一対の平行板を含み、放射線不透過性要素は、対称軸に中心を置き、かつ該軸に直交する、放射線不透過性の所定の二次元形状を含む。一般に、この所定の形状は、ディスク及び矩形を含む群から選択される。
【0009】
本発明の一実施形態によれば、座標系を位置合わせするための方法が更に提供され、前記方法は、
放射線不透過性要素を、位置合わせモジュール内で、固定した所定のパターンに配置することと、
放射線不透過性要素の蛍光透視画像を生成することと、
蛍光透視画像に応答して、基準の蛍光透視座標系内での位置合わせモジュールの蛍光透視位置を評価することと、
位置合わせモジュールを磁場伝達パッドに関連して所定の位置及び配向で前記パッドに固定的に接続して、磁場伝達パッドにより規定される基準の磁気座標系内での位置合わせモジュールの磁気位置を特徴付けることと、
位置合わせモジュールの蛍光透視位置を位置合わせモジュールの磁気位置と一致させることにより、蛍光透視座標系を磁気座標系と位置合わせすることと、を含む。
【0010】
一般に、モジュールは、対称軸を規定する一対の平行板を含み、放射線不透過性要素は、対称軸に関して対称的に分布された複数の放射線不透過性マーカーを含む。
【0011】
代替又は追加として、モジュールは、対称軸を規定する一対の平行板を含み、放射線不透過性要素は、対称軸に中心を置き、かつ該軸に直交する、放射線不透過性の所定の二次元形状を含む。所定の形状は、ディスク及び矩形を含む群から選択されてもよい。
【0012】
代替的な実施形態では、座標系を位置合わせすることは、基準の蛍光透視装置座標系を、基準の位置合わせモジュール座標系に関連付ける第1の変換、基準の位置合わせモジュール座標系を基準の磁気座標系に関連付ける第2の変換を生成することと、第1の変換及び第2の変換の合成物からなる合成変換(compound transformation)を生成することと、を含む。
【0013】
一般に、座標系を位置合わせすることは、合成変換を更新することを含み、合成変換を更新することは、座標系の位置合わせにおける変化に応答して、第2の変換を不変のまま維持すると共に第1の変換を更新することを含む。
【0014】
更なる代替的な実施形態では、方法は、
更なる放射線不透過性要素を有する校正要素を、蛍光透視画像を生成する蛍光透視装置により照射されるテーブル上に配置することと、
校正要素の更なる蛍光透視画像を生成することと、
更なる蛍光透視画像に応答して、テーブルの動作を校正することと、を含む。
【0015】
校正要素は、テーブルに対して既知の角度で配置された定規を含んでもよい。
【0016】
また更なる代替的な実施形態では、方法は、基準の磁気座標系内での物体の三次元マップを生成することと、基準の蛍光透視座標系内での物体を含む二次元蛍光透視画像を生成することと、蛍光透視座標系と磁気座標系との位置合わせに応答して、二次元蛍光透視画像を三次元マップに関連して整合及び配置することと、を含む。
【0017】
一般に、物体の三次元マップを生成することは、物体の第1の配向におけるマップを生成することと、物体の第2の配向における二次元蛍光透視画像を生成することと、を含み、二次元蛍光透視画像を三次元マップに関連して整合及び配置することは、マップと画像とが整合するようにマップ及び画像の一方を変更することを含む。
【0018】
本発明の一実施形態によれば、更に座標系校正ジグが提供され、前記ジグは、
固定した所定のパターンに配置された放射線不透過性要素であって、蛍光透視画像を生成する放射線不透過性要素に応答して、基準の蛍光透視座標系内でのジグの位置を規定するように構成されている、放射線不透過性要素と、
ジグに関連してそれぞれの所定の固定した位置及び配向において磁気センサを受容し、それによりセンサを横切る磁場に応答した磁気センサからの信号が、磁場により規定される基準の磁気座標系内でのジグの位置を特徴付けるように構成されている1つ又は2つ以上のコネクタと、を含む。
【0019】
所定のパターンは、様々な周期長を有するらせんを含んでもよい。
【0020】
代替又は追加として、所定のパターンは、らせんを含み、前記らせんは、らせんの各周期内に異なる数の要素を有する。
【0021】
本発明の一実施形態によれば、方法は、
放射線不透過性要素を固定した所定のパターンに配置することと、
蛍光透視画像を生成する放射線不透過性要素に応答して、基準の蛍光透視座標系内でのジグの位置を規定することと、
1つ又は2つ以上のコネクタを、ジグに関連してそれぞれの所定の固定した位置及び配向において磁気センサを受容し、それによりセンサを横切る磁場に応答した磁気センサからの信号が、磁場により規定される基準の磁気座標系内でのジグの位置を特徴付けるように構成することと、を更に含む。
【0022】
本開示は、以下のより詳細な実施形態と、その図面の記述により、より完全に理解され得る。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】本発明の一実施形態による、校正段階における蛍光透視画像及び磁気マッピング統合システムを示す概略図。
図2】本発明の一実施形態による、校正段階において使用されるらせん校正ジグの概略斜視図。
図3】本発明の一実施形態による位置合わせモジュールの概略斜視図。
図4】本発明の一実施形態による、蛍光透視装置システムのパラメータをモデリングする工程の流れ図。
図5】本発明の一実施形態による、磁気追跡座標系を蛍光透視装置座標系と位置合わせする工程の流れ図。
図6】本発明の一実施形態による、操作段階における図1のシステムを示す概略図。
図7】本発明の一実施形態による、磁気追跡座標系マップを蛍光透視装置座標系画像と組み合わせる工程の流れ図を示す。
図8】本発明の一実施形態による、図7の画像とマップとを組み合わせる方法を示す概略図。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下の記載において、図面中の同様の要素は同様の数字により識別され、同様の要素は、必要に応じて識別数字に文字を添えることにより区別される。
【0025】
図1は、本発明の一実施形態による、校正段階における蛍光透視画像及び磁気マッピング統合システム20を示す概略図である。システム20は、磁気追跡システム22により獲得された身体器官の三次元(3D)マップを、蛍光透視装置24により獲得された患者の二次元(2D)蛍光透視画像と組み合わせて、組み合わされたディスプレイ26を形成し、ディスプレイ26はスクリーン28上でシステム20の操作者に提示される図1に示すシステム20の校正段階では、患者が存在しない。図5に示す、続くシステム20の操作段階では、患者はシステム20のテーブル30上に横たわると想定され、磁気追跡システム22及び蛍光透視装置24が、下記により詳細に記載するように、患者の3Dマップ及び2D画像を獲得する。一般に、蛍光透視装置により獲得される2D画像は、患者の胸部の画像であり、磁気追跡システムによりマッピングされる身体器官は、患者の心臓を含む。
【0026】
実際には、システム22及びシステム24は、一般に、別個の制御ユニットを有する別個の物理的ユニットとして構成され得るが、本記載では、簡素化のために、システム20は単一の制御ユニット32で操作されると想定する。
【0027】
制御ユニット32は、蛍光透視装置を操作する蛍光透視装置コントローラ34と、磁気追跡システムを操作する磁気システムコントローラ36とを含み、このユニットはシステムプロセッサ38の全般的な制御下にあり、このシステムプロセッサ38はとりわけ、組み合わされたディスプレイ26をスクリーン28上に生成するプロセッサである。プロセッサ38用のソフトウェアは、例えば、ネットワークを介して電子形式でプロセッサにダウンロードされてもよく、又は、それに代わって、若しくはそれに加えて、磁気的、光学的、又は電子的メモリなどの非一時的な有形のコンピュータ読み取り可能な媒体上に提供及び/又は記憶されてもよい。
【0028】
蛍光透視装置24は、X線源40及び検出器42を含み、放射体及び検出器は、C−アーム44の互いに反対側の端部に装着され、本明細書では円の弧を含むと想定する。C−アーム44は、一般にL−アーム46の下端45に保持され、L−アームは、その上端が手術室の天井に取り付けられ、又は、その下端が手術室床に取り付けられている。C−アーム44は、図面では紙面内に存在する水平枢動軸線PAの周りに回転してもよい。C−アーム44はまたC−アーム軸線CAの周囲に回転してもよく、軸線CAは紙面に直交し、かつC−アーム円の中心を通過する。名目上、2つの軸線は、アイソセンターとも称されるC−アームの回転中心にて交差し、互いに直交する。システム20の操作者は、蛍光透視装置コントローラ34を使用して、軸線PA及びCAの周囲での蛍光透視装置24の回転を調整すると共に、蛍光透視装置の他の幾何学的パラメータを調整することが可能である。(下記により詳細に記載するように、校正段階は、上記に例示したものなどの蛍光透視装置24の名目特性の調整を提供する。)
【0029】
磁気追跡システム22は位置パッド50を含み、位置パッド50は一般に、該パッド上に固定的に装着された略類似したコイルの3つの組52を有する。コイルの各組52は、一般に、直角に配向した3つのコイルを含むため、パッド50には合計で9個のコイルが固定的に取り付けられている。パッド50はテーブル30の下面に固定的に取り付けられ、コイルは、磁気システムコントローラ36の制御下で、パッドに近接したベッド上方の領域54内に交流磁場を伝達する。本明細書ではカテーテルを含むと想定される、領域54内の存在物を追跡するために、カテーテルに1つ又は2つ以上のコイルが取り付けられる。
【0030】
1つ又は2つ以上のカテーテルコイルは、該コイルにより受信された磁場に応答して信号を生成し、コントローラ36は、コイルから該信号を獲得し、信号を処理して、位置パッド50に関連したカテーテルコイルの位置を決定する。磁気追跡システム22と類似したシステムは、Diamond Bar,CAのBiosense Webster Inc.により製造されているCarto(商標)システムである。磁気追跡システム22は、カテーテルなどの物体の追跡に加えて、身体器官の3Dマップ、又は、身体器官に関するパラメータを生成するように使用されてもよい。例えば、システム22は、例えば、参照により本明細書に組み込まれる、Govariに付与された米国特許第6,400,981号に記載されているように、患者の心臓の表面上の電極電位の3Dマップを生成してもよい。
【0031】
磁気追跡システム22及び蛍光透視装置システム24の座標系又は基準系(frames of reference)を位置合わせするために、システム20は、その校正段階において1つ又は2つ以上の位置合わせ要素を使用する。所定の位置合わせ要素は、その位置及び配向が両方の座標系にて同時に決定できる特性を有する。本発明の実施形態は、第1の位置合わせ要素としてらせん校正ジグ60を使用し、第2の位置合わせ要素として位置パッドの位置合わせモジュール62を使用する。本明細書でジグ60とも称されるらせん校正ジグ60は、図2を参照してより詳細に記載される。位置合わせモジュール62は、図3を参照してより詳細に記載される。
【0032】
上記に言及した磁気追跡座標系及び蛍光透視装置座標系に加えて、位置パッド50に基づいた座標系、及び位置合わせモジュール62に基づいた座標系が、システム20に存在する。これらの系は、下記により詳細に記載するように、磁気追跡座標系と蛍光透視装置座標系との位置合わせにおいて仲介物として使用される。
【0033】
図2は、本発明の一実施形態によるらせん校正ジグ60の概略斜視図である。以下の記載から明らかとなるように、ジグ60は蛍光透視装置システム内で、該システム内でのその位置が決定できる範囲内で「可視」であり、加えて、ジグは磁気システム内で追跡可能であるため、磁気追跡システム内でのその位置は既知である。ジグ60は、プラスチックシリンダ70として形成され、取り付けられた支持物72を使用して、シリンダの軸線がテーブルに平行となるようにテーブル30上に配置される。シリンダ70は、該シリンダに埋め込まれた金属球体74を有する。金属球体74は、検出器42において良好なコントラストのジグ60中の球体の蛍光透視画像を提供する。球体74は、シリンダ内にらせんパターン76にて配置され、らせんパターンは様々な周期長を有するように構成されている。加えて、各周期内に、異なる数の球体が存在する。らせんパターンは、らせんの球体74を接続する破線によって図示されている。
【0034】
開示された本発明の実施形態では、シリンダ70は120mmのおよその直径を有し、らせんパターン76全体の長さは、およそ200mmである。開示された実施形態では、球体74は、6つの周期を画定するように配置され、下記の表Iは、シリンダ70の軸線に平行な方向における各周期の例示的な長さと、各周期内の球体74の例示的な数とを提供する。一般に、球体74は、各周期内で一様に分布される。
【0035】
【表1】
【0036】
らせんパターン76の球体に更なる球体74を追加してもよい。例えば、より多数の球体74が追加されて球体の直線78及び80を形成し、直線78はらせん周期の末端に対応し、直線80は周期の中間点に対応する。
【0037】
らせんパターン周期の異なる長さは、各周期内の球体74の異なる数と共に、蛍光透視装置コントローラ34が各球体74を一意的に同定することを可能にする。上述したように、らせんパターンに更なる球体を追加することによって、コントローラ34による球体74の同定が更に容易となる。球体74の同定は、下記に記載するように、蛍光透視装置を用いた磁気システムの位置合わせに使用される。
【0038】
いくつかの実施形態において、シリンダ70は、再帰反射器90を含み、取り外し可能なボール92が配置されていてもよい。一般に、再帰反射器は、テーブル30に平行な面内においてシリンダ70内に対称的に配置され、レーザーの援助により使用されて、テーブル30上のジグ60の位置を追跡することができる。代替的な実施形態では、球体74に略類似した他の金属球体をジグ60に追加して、ジグ60の位置決めを更に援助してもよい。
【0039】
シリンダはまた、シリンダ70中に埋め込まれた金属球体74を有することに加えて、既知の位置及び既知の配向でシリンダに固定的に取り付けられた多数の磁気センサ82を有することができるように構成される。例として、シリンダ70に取り付けられ得る6個のセンサ82が存在する。各センサ82は、一般に一組の3つの直交コイルを含むため、位置パッド50内のコイルの組52と略類似している。しかしながら、別の実施形態では、センサ82は3つよりも少数のコイルを含み、及び/又はコイルではなくHall検出器などの磁気検出器を含んでもよい。
【0040】
シリンダ70は、カテーテルホルダ94も含む。ホルダ94は、センサ82に類似した磁気センサを有するカテーテル96を、シリンダ70に関連して既定の位置及び既定の配向で固定的に配置することが可能である。カテーテルのセンサから磁気システムコントローラ36への接続は、カテーテルを通して送られる。センサ82からの接続部100も、図1に示すように、磁気システムコントローラに結合されている。
【0041】
図3は、本発明の一実施形態による位置合わせモジュール62の概略斜視図である。ジグ60とは対照的に、モジュール62は磁気センサを有さず、したがって磁気追跡システム内で追跡可能ではなく、位置パッド50に関連したモジュールの位置は、磁気測定により決定することができない。この場合、モジュール62は、位置パッドに関連して既知の位置及び配向で固定的に接続されるように構成されている。この固定的な接続は、一般に、所定の機械的測定値を有するように、このモジュールを位置パッド50にボルトで締めることにより達成される。位置パッド50に対するモジュール62の固定的な接続により、磁気追跡システム内でのモジュールの位置及び配向が既知であることができる。
【0042】
ジグ60に関しては、モジュール62は、球体74と類似した放射線不透過性マーカー102を含み、放射線不透過性マーカー102は、既定のパターンで2つの放射線透過性の板104及び106中に組み込まれている。板104及び106は互いに平行であり、2つの板を連結するコネクタ108によって規定される固定距離により分離されている。開示した実施形態では、マーカーは、板により規定される対称軸LOSに関して対称的に分布されている。このモジュールを位置パッドに接続するボルト(図示せず)は、コネクタ108を横切ってもよい。モジュール62は、マーカー102に加えて、板104中に埋め込まれた放射線不透過性ディスク110を含む。開示された実施形態では、ディスク110の中心は対称軸LOS上に存在し、ディスクはこの線に対して直角に配向されている。一般に、蛍光透視装置コントローラ34は、検出器42が獲得した蛍光透視画像内のディスク110の位置、及びその形状の歪み(丸形から楕円形へ)によって、蛍光透視装置システム内のモジュールの位置及び配向を正確に決定することができる。モジュール62の設計の利点は、全てのマーカー102が蛍光透視画像内で可視でない場合であっても、蛍光透視画像がモジュールの位置及び配向を正確に決定できることである。代替的な実施形態では、ディスク110は、任意の所定の2D形状、一般に矩形などの対称的な形状により置き換えられてもよい。
【0043】
システム20を操作するために、システムはテーブル30上に患者の存在を有さずに校正される。校正に含まれるプロセスは、下記の図4及び5の流れ図に記載されている。
【0044】
図4は、本発明の一実施形態による、蛍光透視装置システム24のパラメータをモデリングする工程の流れ図200である。流れ図により生成されるモデルは、検出器42により獲得された物体の画像を、蛍光透視装置座標系内の既知の位置に予想することが可能な関数を提供する。このモデルはまた、逆関数を生成し得、即ち、検出器42により獲得された物体の画像から、蛍光透視装置座標系内での物体の位置を予想することが可能であり得る関数を生成し得る。
【0045】
明確さのために、以下の記載では、蛍光透視装置座標系は、C−アーム44に固定され、かつ枢動軸線PA及びC−アーム軸線CA(図1)に基づいた一組のxyz直交軸線を含むと想定する。軸線の配向は、以下の通りであると想定する。
z−軸線は、CA及びPA軸線に直交し、
x−軸線は、CA軸線に平行であり、
y−軸線は、x及びz軸線に直交する。
【0046】
軸線の原点は、PA軸線のz−軸線方向のCA軸線上への投影であると想定し得るが、任意の他の都合のよい原点を使用してもよい。
【0047】
蛍光透視装置座標系に関する軸線の上記の組の定義は例示であり、当業者には軸線の他の組が明らかとなろう。そのような軸線の全部の組は、本発明の範囲内に含まれることが想定される。
【0048】
流れ図により提供されるモデルは、蛍光透視装置の幾何学的パラメータの名目値との差異、及びパラメータ間の名目関係との差異を校正する。モデルにて校正される要素のいくつかの例を、表IIに提供する。
【0049】
【表2】
【0050】
テーブルIIに例示されているもの以外の幾何学的パラメータも流れ図200のプロセスにて校正され、そのようなパラメータは、当業者に明らかであろう。
【0051】
位置パッド50及び位置合わせモジュール62が存在しない初期工程202において、ジグ60がほぼX線源40と検出器42との間の線上にあるように、ジグ60を、テーブル30上に配置する。この配置は再帰反射器90を使用して検査され、また検出器が獲得した画像を使用して正確な補正配置を確認してもよい。初期工程では、ジグ60は、上述した蛍光透視装置座標系軸線に関連して任意の位置に存在する。
【0052】
C−アーム校正工程204では、C−アームを、蛍光透視装置コントローラによって、軸線CA及びPAの周囲において様々な既定の配向に回転させる。各配向において、検出器42はジグ60中の球体74の画像を獲得する。蛍光透視装置コントローラ34はまた、C−アーム、又はその構成要素に、他の既定の動作を適用してもよい。例えば、検出器42を、検出器の面に直交する軸線の周囲に回転させてもよい。検出器42は、各既定の配向又は動作に関してジグ60の画像を獲得する。
【0053】
テーブル校正工程206では、ジグ60を除去してもよく、本明細書で定規を含むと想定される、放射線不透過性マーキングを有する校正要素61(図1)を、テーブル30上に配置する。検出器42により獲得される画像が定規の画像を含むように、定規をテーブルに対して既知の角度で、一般にテーブルの対称軸に対しておよそ平行又はおよそ直角に配向させる。軸線CA及びPAの選択された配向、一般に軸線の周囲の回転が名目上ゼロである配向に関して、蛍光透視装置コントローラ34は、テーブル30を既定の並進及び回転にて移動する。各動作後、検出器42は定規の画像を獲得する。既定の並進は、一般にテーブルの長さに平行であり、該長さに直角であり、テーブルの面に直交する。回転は、並進により規定される軸線の周りに回転されてもよい。
【0054】
工程204及び206で適用される並進及び配向は、ジグ60又は定規を、蛍光透視装置座標系内で、それらの初期の任意の位置及び配向から移動させる。工程204及び206中、ジグ60及び定規はテーブル30に対して移動しないため、蛍光透視装置座標系内でジグ及び定規の位置を変更するのは、既知である蛍光透視装置24の並進及び配向のみである。
【0055】
その結果、最後の蛍光透視装置モデリング工程208では、コントローラ34は、工程204及び206で獲得した画像を、各画像に関して既知であるそれぞれの蛍光透視装置の並進及び配向の値と共に使用して、蛍光透視装置投影関数と、工程204及び工程206で使用した幾何学的パラメータ、即ち、蛍光透視装置の動き及びテーブルの動きとの関連性をモデリングする。このモデル関連性により、物体が蛍光透視装置座標系内で所定の位置及び配向にあると想定して、蛍光透視装置コントローラ34により行われる、検出器42上の物体の画像の予想が可能となる。このモデルはまた、コントローラ34が、検出器42により獲得された画像から、検出器42により撮像された物体の位置及び配向を決定することを可能にする。この決定は、位置合わせ画像に基づいて、蛍光透視装置座標系と位置パッド座標系との間の位置合わせを行うのに使用される。
【0056】
工程202〜208を考慮すると、工程208で生成されるモデル関連性は、磁気測定を使用しないことが示される。更に、このモデルは、ジグ及び定規内の放射線不透過性要素の不変性のみに依存し、またジグ及び定規はいずれも、工程にて行われる操作中にテーブル30上で移動しないという事実に依存している。
【0057】
図5は、本発明の一実施形態による、磁気追跡座標系を蛍光透視装置座標系と位置合わせする工程の流れ図300である。流れ図300の記載では、流れ図200は既に実行され、モデル関連性が生成されていることが想定される。
【0058】
初期工程302では、磁気追跡座標系を、本明細書で位置パッド座標系と呼ばれる、位置パッド50の機械的構造により規定される機械的座標系と位置合わせする。位置合わせは、一般に、位置パッドをシステム20内に設置する前に行われ、位置パッドの製造中に行われてもよい。位置合わせは、一般に、位置パッドを含むコイルの3つの組52の位置に関して位置パッド座標系を規定する工程と、一般にカテーテル内に存在するセンサコイルの位置及び配向を位置パッド座標系に関連して測定する工程と、センサコイルからの信号を、測定された位置及び配向に関連付ける工程と、を含む。この工程で行われる位置合わせは、名目位置合わせであり、流れ図の後の工程において、この名目位置合わせの補正が行われ得る。
【0059】
位置合わせモジュール取り付け工程304では、上述したように、モジュール62を位置パッド50に物理的に取り付ける。この物理的取り付けは、一般に、位置パッドと、位置パッドに取り付けられた位置合わせモジュール62とをシステム20内に設置する前に行われる。物理的取り付けは、位置合わせモジュールを位置パッドに関連した既定の名目位置及び配向内に整合し、したがって、位置合わせモジュール座標系と呼ばれる、位置合わせモジュールに基づいた座標系は、位置パッド座標系と名目上位置合わせされ得る。この工程で提供される名目位置合わせも、流れ図の後の工程で補正され得る。
【0060】
位置合わせ工程306では、組み合わされた位置パッド及び位置合わせモジュールを単一のユニットとしてテーブル30の下に挿入し、テーブルに固定的に取り付ける。加えて、ジグ60を、位置合わせモジュールの上方にてテーブル上に配置し、検出器42により獲得される画像が位置合わせモジュール及びジグの放射線不透過性要素の画像を含むようにテーブルを移動する。
【0061】
磁気センサ82は、それらの既知の位置及び配向にてジグ60に固定され、位置パッド内のコイルが励起される。位置パッドコイルにより照射された磁場に応答して生成された、センサからの信号は、磁気システムコントローラ36により受信され、コントローラは、信号を解析して、磁気座標系内でのジグの位置及び配向を決定する。
【0062】
同時に、蛍光透視装置コントローラ34は、検出器42により獲得された画像を解析し、流れ図200で生成されたモデルを使用して、蛍光透視装置座標系内でのジグ60の位置及び配向を決定する。
【0063】
一般に、矢印310で示すように、ジグ60は、ジグをテーブル30上で移動し、及び/又はテーブル30を移動することにより、他の位置に移動される。ジグの新たな各位置に関して、両方の座標系におけるジグの位置及び配向がコントローラ34及び36により決定される。この工程の多数のジグ位置にて獲得された画像は、続く工程で生成される変換の正確性を増大させる。
【0064】
変換生成工程312では、システムプロセッサ38は、工程306で設定された多数の位置における、2つの座標系内でのジグの位置及び配向の結果を受信する。プロセッサ38はこの結果を使用して、2つの座標系の間の変換[T]を生成する。プロセッサ38は、変換[T]の正確性を検査し、また既知の位置内の他の磁気センサを使用して、変換の要素の値を調整してもよい。例えば、カテーテル96(磁気センサを有する)をホルダ94(図2)内に挿入してもよく、2つのシステム内で測定されたカテーテル位置の共有性を検証してもよい。
【0065】
最後の工程314では、プロセッサ38は、変換[T]が、等式(1)に従った、2つの副変換の合成物であることを想定する。
【数1】
式中、
【数2】
は、蛍光透視装置座標系と、位置合わせモジュールにより規定される座標系との間の変換であり、
【数3】
は、位置合わせモジュール座標系と磁気座標系との間の変換である。
【0066】
蛍光透視装置座標系内での位置合わせモジュールの位置及び配向は、検出器42により獲得されたモジュールの画像から既知であり、これらはプロセッサ38による
【数4】
の評価を可能にする。磁気座標系内でのモジュールの名目位置及び配向座標は既知であるが(したがって、変換
【数5】
は名目上既知であるが)、位置合わせモジュールを位置パッドに装着する仕様書からの逸脱により、名目値からの逸脱が生じる。その結果、プロセッサ38は等式(1)を適用して(ここで変換
【数6】
は既知である)、変換
【数7】
に関する実際の式を見出す。この式は、下記に説明するように、システム20の操作段階に使用される。
【0067】
図6は、本発明の一実施形態による、操作段階におけるシステム20を示す概略図である。下記に記載する相違とは別に、操作段階におけるシステム20の操作は、校正段階におけるシステムの操作と概ね類似し、図1及び図6の両方にて同一の参照数字により示される要素の構造及び操作は、概ね類似する。
【0068】
操作段階中、ジグ60を除去し、患者400をテーブル30上に配置し、磁気センサを有するカテーテル402を、センサが領域54内に存在するように患者内に挿入する。例として、患者は頭部先頭(head first)仰臥位(HFS)配向で配置されると想定する。テーブル上の患者の配置は、テーブルと、テーブルに取り付けられた位置パッド50及び位置合わせモジュール62とを、位置パッドにより生成される場の磁気座標系がもはや流れ図300の工程により達成された蛍光透視装置座標系と位置合わせされ得ないように、その校正段階の状態から移動し得る。テーブル30の動作、及び/又はテーブルに関連した位置パッドの動作などの、校正段階からの他の変更が生じる場合があり、したがって工程314で生成された変換[T]は、もはや正確ではない可能性がある。
【0069】
本発明の実施形態は、図7の流れ図500に関連して下記により詳細に記載するように、位置合わせモジュール62の画像を使用して、磁気座標系を蛍光透視装置座標系と再位置合わせする。
【0070】
図7は、本発明の一実施形態による、磁気追跡座標系マップを蛍光透視装置座標系画像と組み合わせる工程の流れ図500を示す。流れ図500の記載では、流れ図200及び300の工程が既に実行されていることが想定される。流れ図500の工程は、システム20の操作段階に対応する。患者が存在しないシステムの校正段階とは対照的に、操作段階では患者が存在するため、患者のX線暴露は最小限にする必要がある。
【0071】
初期工程502では、患者400をテーブル30上に配置する。上述したように、テーブル上の患者の配置は、位置パッドの物理的位置を、変換[T]を見出す際に使用された位置から変更するため、2つのシステム間の位置合わせが変化し、したがって変換はもはや正確に適用されない可能性がある。
【0072】
位置パッドの物理的位置の変化を補償するために、撮像工程504では、検出器42によって位置合わせモジュールの単一の画像を蛍光透視装置システム内で獲得する。位置合わせモジュールの蛍光透視装置システム内での位置が変化している一方、位置合わせモジュールは位置パッドに物理的に接続されているため、流れ図300の工程314で決定された磁気座標系内のモジュール位置は変化していない。換言すれば、変換
【数8】
は尚有効である。
【0073】
再位置合わせ工程506では、プロセッサ38は、工程504で獲得した画像を使用して、蛍光透視装置システムと位置合わせモジュールとの間の更新された変換
【数9】
を計算する。次いで、プロセッサは更新された変換を適用して、等式(2)に従って変換[T](これは、更新された変換[T]である)を計算する。
【数10】
【0074】
等式(2)は、テーブル30の全動作に関する
【数11】
の新たな値を見出すことによっても適用される(位置パッドを移動させる)。新たな値は、流れ図200のテーブル校正工程206で決定されたテーブル校正結果に基づくものである。
【0075】
ディスプレイ生成工程508では、プロセッサ38は変換[T]を使用して、2つのシステム内で決定された位置を有する要素を位置合わせし、得られた組み合わされた画像を、磁気座標系マップ上の蛍光透視装置座標系画像の重ね合わせとしてスクリーン28上に提示する。画像とマップとを組み合わせる方法は、図8を参照して下記に記載するように、一般に各システム内で画像及びマップを生成するのに使用される異なる方法を考慮する。画像とマップとを組み合わせる方法は、一般に、画像及びマップ内に存在する要素にも依存する場合がある。
【0076】
図8は、本発明の一実施形態による、図7の画像とマップとを組み合わせる方法を示す概略図である。源40は、「錐体」600を通して照射するX線の点源として機能し、したがって蛍光透視装置システム内で検出器42により獲得された錐体内の3D関心領域601の2D画像は、源が投影の起源として機能し、かつ投影線(図に示さず)が源から検出器に照射する透視投影に対応する。しかしながら、磁気システム内に提示される、3D関心領域の2Dディスプレイは、一般に透視投影とは異なる。例えば、関心領域が心臓である、上記に言及したCartoシステムでは、心臓の3D電極電位マップは、一般に正射影としてスクリーン28上に提供され、心臓を通した投影線は、互いに平行である。
【0077】
本発明の実施形態は、システム20の操作者が錐体600内において検出器42に平行な「有効な面」602を選択することを可能にし、これは、蛍光透視装置システム内での透視投影を磁気システム内での正投影と整合し及び位置付けるのに使用される。選択される面は、3D関心領域内の面である。面の3つの例は、関心領域が心臓電極電位マップに対応すると想定して、図面に示されているが、他の面も使用することができる。面602Aは、マップ上に投影された際の、電極電位マップの重心を通した面であり、面602Bはマップ内の関心項目604を通した面であり、面602Cは蛍光透視装置システムの回転中心CORを通した面である。画像内での地点と、対応させるべきマップ内での地点とを決定することにより、異なる面が選択され、その後、透視投影の倍率を調整する。
【0078】
磁気システムは、一般に、システムにより追跡されるカテーテルの位置及び配向の両方を決定する。それ故、例えば、関心項目604がカテーテルの遠位先端に一致する場合、カテーテルのアイコンが、スクリーン28上に提示される組み合わされたディスプレイ内に使用されてもよく、アイコン画像を変更してカテーテルの位置及び配向の両方を表してもよい。
【0079】
上記の記載は、蛍光透視装置システムの透視投影が磁気システムの正投影に組み込まれることを想定した。しかしながら、この記載は、変更するべきところは変更して、磁気システムの正投影を透視投影に転換することに適用されてもよい。次いで、蛍光透視装置システムの透視投影が磁気透視投影に組み込まれてもよい。
【0080】
画像生成工程508(図7)に戻って、一旦変換[T]が立てられたら、この変換は、システム操作者により所望される、スクリーン28上の実質的に任意のディスプレイに適用されてもよい。更に、変換は、選択されたディスプレイに完全に自動的に適用されてもよく、またリアルタイムの撮像、及び画像の記憶に適用されてもよい。
【0081】
一般に、プロセッサ38は、蛍光透視装置により生成される全画像をインポート及び記憶してもよい。次いで、プロセッサは、蛍光透視画像を処理して所望の画像面座標を(磁気システム内に)誘導し、これらの座標と共に画像を保管してもよい。次いで、この画像は、磁気系マップと整合され及び該マップとの重ね合わせで視認されてもよい。
【0082】
同様に、操作者が磁気系マップを回転させて異なる表示を見る際、またこの表示角度が蛍光透視画像が以前に捕捉及び保管した投影角度に対応する場合、プロセッサは、対応する画像を自動的に回収し、該画像をマップと共に表示する。代替又は追加として、現在のマップ視認角度にて蛍光透視画像が獲得及び保管されていない場合、プロセッサ38は、この角度で磁気系マップと共に表示する画像を獲得するよう蛍光透視装置に自動的に指示してもよい。
【0083】
更なる選択肢として、操作者は、所定の角度で蛍光透視画像を獲得した後(又は以前獲得した画像を表示した後)にプロセッサ38がマップの投影角度が蛍光透視画像の投影角度と一致するように磁気系マップを自動的に回転させるよう、磁気マッピングシステムを設定してもよい。この技術は、任意の時間に表示される磁気系マップ投影及び蛍光透視投影が、適切な位置合わせにあることを確実にし、操作者が手技を行う際の誤りを防止することを助ける。
【0084】
上述した技術は、蛍光透視画像全体を磁気マッピングシステム内にインポート及び位置合わせするために使用されるのみでなく、蛍光透視画像内で分割され得る、特定の解剖学的構造及び機構などの特定の物体をインポート及び位置合わせすることもできる。物体が撮影される蛍光透視画像の位置合わせに基づいて、それらの物体のそれぞれは、磁気座標系内で位置及び配向を有するであろう。それ故、使用者により選択された物体は、使用者が実際の位置合わせプロセスに殆ど又は全く関与することなく、磁気マップ上に位置合わせされ及び重ね合わされることができる。
【0085】
プロセッサはまた、蛍光透視画像を180°反転させることもできる。例えば、蛍光透視画像がHFS表示で撮影され、磁気系マップの配向もHFSである場合、蛍光透視画像は磁気系マップ上に表示されることができる。一方、磁気系マップ配向が反転された場合、プロセッサは蛍光透視画像をHFS表示から反転させることができるため、蛍光透視画像を磁気システム画像との適切な位置合わせにて表示し続けることができる。心房細動の処置中、例えば、操作者は、通常、磁気システム配向をHFS表示から反転させて設定して、切除中に静脈を見る。操作者はまた、反転表示を用いて、蛍光透視装置自体が画像をこの配向で捕捉できない場合でも、蛍光透視画像の反転表示を見ることができるであろう。
【0086】
システムが蛍光透視画像を磁気系マップと位置合わせする能力、及び、磁気系マップの各投影角度における適切な蛍光透視画像を正確に提示する能力は、様々な他の方法にて使用されて、カテーテル処置の手技中の可視化を向上させることができる。例えば、磁気系マップを回転させてもよく、対応する蛍光透視画像を表示して、操作者が動脈とカテーテル先端との距離を検証することを可能にすることができる。
【0087】
磁気系マップと位置合わせされた蛍光透視画像は、CT(コンピュータ断層撮像)又はMRI(磁気共鳴撮像)画像などの他の画像を、磁気系マップに整合し及び該マップと位置合わせするのを補助するのに使用することもできる。
【0088】
蛍光透視画像を上述した方法で磁気マップと位置合わせすることは、患者が暴露されるX線線量を低減するのに有用であり得る。例えば、操作者は、予め獲得した位置合わせ蛍光透視画像を使用することによって、同時のX線撮像を行うことなく、カテーテル挿入を行うことができる。同様に、予め獲得した異なる角度からの一対の位置合わせ蛍光透視画像を使用して、同時のX線撮像を必要とすることなく、操作者が磁気マップに基づいて、カテーテルを所定の位置(冠状静脈洞などの)に挿入することを補助することができる。蛍光透視シネループも上述した方法で位置合わせされ、次いで磁気マッピング及び処置中、適切な位置合わせにて再生されてもよい。
【0089】
上述した実施形態は一例として記載されたものであり、本発明は、本明細書において上に具体的に図示及び説明した内容に限定されないことが明らかとなろう。むしろ本発明の範囲には、上記に述べた様々な特徴の組み合わせ及び下位の組み合わせ、並びに当業者であれば上記の説明文を読むことで想到されるであろう、先行技術に開示されていないそれらの変更及び改変が含まれるものである。
【0090】
〔実施の態様〕
(1) 座標系位置合わせモジュールであって、
固定した所定のパターンに配置された放射線不透過性要素であって、蛍光透視画像を生成する前記放射線不透過性要素に応答して、基準の蛍光透視座標系内での前記モジュールの位置を規定するように構成されている前記放射線不透過性要素と、
前記モジュールを磁場伝達パッドに関連して所定の位置及び配向で前記パッドに固定的に接続して、前記磁場伝達パッドにより規定される基準の磁気座標系内での前記位置合わせモジュールの位置を特徴付けるように構成されている1つ又は2つ以上の接続部と、を含む、モジュール。
(2) 前記モジュールが、対称軸を規定する一対の平行板を含み、前記放射線不透過性要素が、前記対称軸に関して対称的に分布された複数の放射線不透過性マーカーを含む、実施態様1に記載のモジュール。
(3) 前記モジュールが、対称軸を規定する一対の平行板を含み、前記放射線不透過性要素が、前記対称軸に中心を置き、かつ前記対称軸に直交する放射線不透過性の所定の二次元形状を含む、実施態様1に記載のモジュール。
(4) 前記所定の形状が、ディスク及び矩形を含む群から選択される、実施態様3に記載のモジュール。
(5) 座標系を位置合わせするための方法であって、
放射線不透過性要素を、位置合わせモジュール内で、固定した所定のパターンに配置することと、
前記放射線不透過性要素の蛍光透視画像を生成することと、
前記蛍光透視画像に応答して、基準の蛍光透視座標系内での前記位置合わせモジュールの蛍光透視位置を評価することと、
前記位置合わせモジュールを磁場伝達パッドに関連して所定の位置及び配向で前記パッドに固定的に接続して、前記磁場伝達パッドにより規定される基準の磁気座標系内での前記位置合わせモジュールの磁気位置を特徴付けることと、
前記位置合わせモジュールの前記蛍光透視位置を前記位置合わせモジュールの前記磁気位置と一致させることにより、前記蛍光透視座標系を前記磁気座標系と位置合わせすることと、を含む、方法。
【0091】
(6) 前記モジュールが、対称軸を規定する一対の平行板を含み、前記放射線不透過性要素が、前記対称軸に関して対称的に分布された複数の放射線不透過性マーカーを含む、実施態様5に記載の方法。
(7) 前記モジュールが、対称軸を規定する一対の平行板を含み、前記放射線不透過性要素が、前記対称軸に中心を置き、かつ前記対称軸に直交する放射線不透過性の所定の二次元形状を含む、実施態様5に記載の方法。
(8) 前記所定の形状が、ディスク及び矩形を含む群から選択される、実施態様7に記載の方法。
(9) 前記座標系を位置合わせすることが、前記基準の蛍光透視装置座標系を、基準の位置合わせモジュール座標系に関連付ける第1の変換、及び前記基準の位置合わせモジュール座標系を前記基準の磁気座標系に関連付ける第2の変換を生成することと、前記第1の変換及び第2の変換の合成物を含む合成変換を生成することと、を含む、実施態様5に記載の方法。
(10) 前記座標系を位置合わせすることが、前記合成変換を更新することを含み、前記合成変換を更新することが、前記座標系の位置合わせにおける変化に応答して、前記第2の変換を不変のまま維持すると共に前記第1の変換を更新することを含む、実施態様9に記載の方法。
【0092】
(11) 更なる放射線不透過性要素を有する校正要素を、前記蛍光透視画像を生成する蛍光透視装置により照射されるテーブル上に配置することと、
前記校正要素の更なる蛍光透視画像を生成することと、
前記更なる蛍光透視画像に応答して、前記テーブルの動作を校正することと、を含む、実施態様5に記載の方法。
(12) 前記校正要素が、前記テーブルに対して既知の角度で配置された定規を含む、実施態様11に記載の方法。
(13) 前記基準の磁気座標系内での物体の三次元マップを生成することと、前記基準の蛍光透視座標系内での前記物体を含む二次元蛍光透視画像を生成することと、前記蛍光透視座標系と前記磁気座標系との位置合わせに応答して、前記二次元蛍光透視画像を前記三次元マップに関連して整合及び配置することと、を含む、実施態様5に記載の方法。
(14) 前記物体の前記三次元マップを生成することが、前記物体の第1の配向における前記マップを生成することと、前記物体の第2の配向における前記二次元蛍光透視画像を生成することと、を含み、前記二次元蛍光透視画像を前記三次元マップに関連して整合及び配置することが、前記マップと前記画像とが整合するように前記マップ及び前記画像の一方を変更することを含む、実施態様13に記載の方法。
(15) 座標系校正ジグであって、
固定した所定のパターンに配置された放射線不透過性要素であって、蛍光透視画像を生成する前記放射線不透過性要素に応答して、基準の蛍光透視座標系内での前記ジグの位置を規定するように構成されている前記放射線不透過性要素と、
前記ジグに関連してそれぞれの所定の固定した位置及び配向において磁気センサを受容し、それにより前記センサを横切る磁場に応答した前記磁気センサからの信号が、前記磁場により規定される基準の磁気座標系内での前記ジグの位置を特徴付けるように構成されている、1つ又は2つ以上のコネクタと、を含む、ジグ。
【0093】
(16) 前記所定のパターンが、様々な周期長を有するらせんを含む、実施態様15に記載のジグ。
(17) 前記所定のパターンが、らせんを含み、前記らせんが、前記らせんの各周期内に異なる数の要素を有する、実施態様15に記載のジグ。
(18) 放射線不透過性要素を固定した所定のパターンに配置することと、
蛍光透視画像を生成する前記放射線不透過性要素に応答して、基準の蛍光透視座標系内でのジグの位置を規定することと、
1つ又は2つ以上のコネクタを、前記ジグに関連してそれぞれの所定の固定した位置及び配向において磁気センサを受容し、それにより前記センサを横切る磁場に応答した前記磁気センサからの信号が、前記磁場により規定される基準の磁気座標系内での前記ジグの位置を特徴付けるように構成することと、を含む、方法。
(19) 前記所定のパターンが、様々な周期長を有するらせんを含む、実施態様18に記載の方法。
(20) 前記所定のパターンが、らせんを含み、前記らせんが、前記らせんの各周期内に異なる数の要素を有する、実施態様18に記載の方法。
図1
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図3
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図5
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図8