(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、石油等の移送ラインが長距離化(例えば、数km程度)した場合には、マリンホースの長さも必然的に長くなる。また、マリンホースの敷設時にマリンホースを船上や陸上で搬送する場合には、上述した特許文献2に記載されたように、ホースリールに巻き取った状態にしておくことが好ましい。
【0005】
しかしながら、移送ラインが長距離化した場合、その全長を形成するマリンホースをホースリールに巻き取ろうとすると、マリンホース自体が重量物となってしまう、ホースリールが大型化・重量化してしまう、マリンホースを二層以上に重ねて巻いた場合にはマリンホースが潰れてしまう等の問題が生じる。かかる問題は、マリンホースを敷設する場合及び回収する場合の両方の場面において生じ得る。
【0006】
本発明は、上述した問題点に鑑み創案されたものであり、石油等の移送ラインが長距離化した場合であっても、マリンホースを水上で効率よく展張又は回収することができる、マリンホースの連結方法、回収方法及び連結・回収装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明によれば、水上施設から貯蔵施設まで液体を移送する流路を形成するマリンホースの連結方法であって、新規マリンホースを巻き取ったホースリールを搭載した船舶を用意する準備工程と、一端が前記水上施設又は前記貯蔵施設に接続され他端が水上に放出された状態にある既設マリンホースの前記他端に前記船舶を接近させる移動工程と、前記既設マリンホースの前記他端を前記船舶上に移載する移載工程と、前記既設マリンホースの前記他端を前記船舶上に固定する固定工程と、前記既設マリンホースの前記他端に前記新規マリンホースの一端を連結する連結工程と、前記既設マリンホースと前記新規マリンホースの連結部を水上に戻す搬出工程と、前記船舶を停船位置から移動させながら前記新規マリンホースを前記ホースリールから送り出して水上に前記新規マリンホースを展張する展張工程と、前記新規マリンホースの他端を封止した状態で水上に放出する放出工程と、を有することを特徴とするマリンホースの連結方法が提供される。
【0008】
また、本発明によれば、水上施設から貯蔵施設まで液体を移送する流路を形成するマリンホースの回収方法であって、空のホースリールを搭載した船舶を用意する準備工程と、一端が前記水上施設又は前記貯蔵施設に接続され他端が水上に放出された状態にある既設マリンホースの前記他端に前記船舶を接近させる移動工程と、前記既設マリンホースの前記他端を前記船舶上に移載する移載工程と、前記既設マリンホースの前記他端を前記ホースリールに接続する接続工程と、前記船舶を停船位置から移動させながら前記既設マリンホースの一部を前記ホースリールに巻き取って前記船舶上に回収する回収工程と、前記既設マリンホースを分離位置で前記船舶上に固定する固定工程と、前記既設マリンホースを前記ホースリールに巻き取った回収部と巻き取らなかった残部とに分離する分離工程と、前記既設マリンホースの残部を封止した状態で水上に放出する放出工程と、を有することを特徴とするマリンホースの回収方法が提供される。
【0009】
また、本発明によれば、水上施設から貯蔵施設まで液体を移送する流路を形成するマリンホースの連結・回収装置であって、作業場所まで移動可能な船舶と、該船舶上に配置され前記マリンホースを巻き取り可能又は送り出し可能なホースリールと、前記船舶上に配置され水上に放出された前記マリンホースを前記船舶上に移載可能又は前記船舶上の前記マリンホースを水上に搬出可能なクレーン装置と、前記マリンホースを前記船舶上で固定可能な固定手段と、を有
し、前記クレーン装置は、先端に吊り下げられ水上で展張可能な回収ネットを有する、ことを特徴とするマリンホースの連結・回収装置が提供される。
【0010】
前記マリンホースの連結・回収装置は、前記マリンホースを前記船舶上で搬送可能な搬送手段を有していてもよい。
【0011】
また、前記回収ネットは、前記回収ネットを水中に沈めるための錘を有していてもよい。また、前記回収ネットは、吊り下げ部の一部を解放して前記回収ネット上の物体を放出可能なリリースフックを有していてもよい。
また、前記固定手段は、例えば、前記クレーン装置のジブに揺動可能に配置されたゴム製の板状部品である。
【0012】
また、本発明によれば、水上施設から貯蔵施設まで液体を移送する流路を形成するマリンホースの連結・回収装置であって、作業場所まで移動可能な船舶と、該船舶上に配置され前記マリンホースを巻き取り可能又は送り出し可能なホースリールと、前記船舶上に配置され水上に放出された前記マリンホースを前記船舶上に移載可能又は前記船舶上の前記マリンホースを水上に搬出可能なクレーン装置と、前記マリンホースを前記船舶上で固定可能な固定手段と、を有し、前記固定手段は、前記クレーン装置のジブに揺動可能に配置されたゴム製の板状部品である、ことを特徴とするマリンホースの連結・回収装置が提供される。
【発明の効果】
【0013】
上述した本発明に係るマリンホースの連結方法、回収方法及び連結・回収装置によれば、水上に放出されたマリンホースの端部を船上に回収してマリンホースを船上で連結又は分離することができ、石油等の移送ラインが長距離化した場合であっても、複数のマリンホースを容易に船上で継ぎ足したり切り離したりすることができ、効率よくマリンホースを展張又は回収することができる。また、本発明を使用することにより、敷設するマリンホースを任意の位置で分割することができ、マリンホースを二層以上に巻く必要性を低減することができ、一回に搬送するマリンホースの重量を軽減することができ、ホースリールの小型化及び軽量化を図ることができる。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施形態に係るマリンホースの連結方法について、
図1〜
図2を用いて説明する。ここで、
図1は、本発明の実施形態に係るマリンホースの連結方法を示す説明図であり、(A)は準備工程、(B)は移動工程、(C)は移載工程、(D)は固定工程、(E)は連結工程、を示している。
図2は、本発明の実施形態に係るマリンホースの連結方法を示す説明図であり、(A)は搬出工程、(B)は展張工程、(C)は放出工程、(D)は敷設完了状態、を示している。
【0016】
本発明の実施形態に係るマリンホースの連結方法は、
図1(A)〜
図2(D)に示したように、新規マリンホース1を巻き取ったホースリール21を搭載した船舶2を用意する準備工程と、一端が水上施設101に接続され他端が水上に放出された状態にある既設マリンホース11の他端に船舶2を接近させる移動工程と、既設マリンホース11の他端を船舶2上に移載する移載工程と、既設マリンホース11の他端を船舶2上に固定する固定工程と、既設マリンホース11の他端に新規マリンホース1の一端を連結する連結工程と、既設マリンホース11と新規マリンホース1の連結部を水上に戻す搬出工程と、船舶2を停船位置から移動させながら新規マリンホース1をホースリール21から送り出して水上に新規マリンホース1を展張する展張工程と、新規マリンホース1の他端を封止した状態で水上に放出する放出工程と、を有し、水上施設101から貯蔵施設102まで液体を移送する流路を形成する。
【0017】
本実施形態では、海上にある、石油プラットホーム、石油リグ、FPSO、FSO、タンカー等の水上施設101から陸上の貯蔵施設102に石油や原油等の液体を移送する流路(移送ライン)を形成する場合について説明しているが、かかる移送ラインに限定されるものではなく、複数の水上施設101間における液体の移送にも適用することができる。また、本実施形態は、陸上の貯蔵施設102から水上施設101に流路(移送ライン)を形成する場合についても適用することができる。
【0018】
準備工程は、
図1(A)に示したように、船舶2に新規マリンホース1を積載する工程である。船舶2には、例えば、作業船やバージが使用される。船舶2は、例えば、新規マリンホース1を巻き取り可能又は送り出し可能なホースリール21と、水上に放出された既設マリンホース11の端部を船舶2上に移載可能又は船舶2上のマリンホース(新規マリンホース1又は既設マリンホース11)を搬出可能なクレーン装置22と、既設マリンホース11を船舶2上で固定可能な固定手段と、を有している。このホースリール21には、新規マリンホース1が巻き取られている。新規マリンホース1は、例えば、10m程度のマリンホースを複数本連結したものであり、ホースリール21に一層巻き可能な全長(例えば、100〜1000m程度)を有している。
【0019】
移動工程は、
図1(B)に示したように、新規マリンホース1を連結する場所まで搬送する工程である。具体的には、一端が水上施設101に接続された既設マリンホース11の他端が水上に放置されている場所まで、船舶2を接近させる。既設マリンホース11は、1単位のマリンホースであってもよいし、既に複数のマリンホースが連結された状態であってもよい。なお、水上に放置された既設マリンホース11の他端は、水が浸入しないように封止されている。
【0020】
移載工程は、
図1(C)に示したように、既設マリンホース11の他端を船舶2上に移載する工程である。例えば、船舶2に配置されたクレーン装置22を操作して、水上の既設マリンホース11の他端をピックアップし、デッキ上に揚上する。なお、既設マリンホース11の他端をピックアップする際には、後述する連結・回収装置を使用してもよいし、既設マリンホース11の他端に配置された金具をクレーン装置22のフック等で引っ掛けるようにしてもよい。
【0021】
固定工程は、
図1(D)に示したように、既設マリンホース11の他端を船舶2上で固定する工程である。例えば、船舶2に配置されたクレーン装置22を傾倒させて、既設マリンホース11をデッキ上に押し付けることによって固定する。回収した既設マリンホース11を船上で固定することにより、船舶2が揺動した場合であっても船上における既設マリンホース11の位置を保持することができる。なお、既設マリンホース11の固定手段は、クレーン装置22を利用したものに限定されず、既設マリンホース11を船上で挟持する手段や固縛する手段であってもよい。
【0022】
連結工程は、
図1(E)に示したように、新規マリンホース1を既設マリンホース11に連結する工程である。具体的には、新規マリンホース1の一端をホースリール21から送り出しながら、船上に固定された既設マリンホース11の他端まで移動させ、新規マリンホース1の一端と既設マリンホース11の他端とを連結する。新規マリンホース1を既設マリンホース11に連結した後、既設マリンホース11の固定は解除される。なお、新規マリンホース1を移動させる際には、例えば、デッキ上に配置された搬送ローラ上で新規マリンホース1を移動させることにより、新規マリンホース1の破損を抑制することができる。
【0023】
搬出工程は、
図2(A)に示したように、新規マリンホース1と既設マリンホース11との連結部1aを水上に戻す工程である。一般に、マリンホースは、端部に配置されたフランジ部を他のマリンホースのフランジ部と突き合わせた状態でボルト等の締結具によって連結される。この連結部1aが船舶2上の設備と接触した場合には、マリンホースや設備が破損する可能性があることから、クレーン装置22を利用して水上に搬出することが好ましい。
【0024】
展張工程は、
図2(B)に示したように、船舶2を水上施設101から離隔させながら新規マリンホース1をホースリール21から送り出す工程である。かかる展張工程により、水上に新規マリンホース1を展張することができる。なお、新規マリンホース1を送り出す際には、例えば、デッキ上に配置された搬送ローラ上で新規マリンホース1を移動させることにより、新規マリンホース1の破損を抑制することができる。
【0025】
放出工程は、
図2(C)に示したように、新規マリンホース1の他端を水上に放出する工程である。このとき、新規マリンホース1の他端を蓋部材やシール部材で封止することにより、新規マリンホース1への水の浸入を抑制することができ、新規マリンホース1の沈降を抑制することができる。また、新規マリンホース1の放出には、送り出しながらそのまま放出してもよいし、クレーン装置22を使用して新規マリンホース1の他端を水上に搬出するようにしてもよい。
【0026】
そして、上述した、準備工程、移動工程、移載工程、固定工程、連結工程、搬出工程、展張工程及び放出工程を、必要な回数だけ繰り返し、
図2(D)に示したように、最終的に新規マリンホース1を陸上の貯蔵施設102に接続することにより、水上施設101と貯蔵施設102との間にマリンホースが敷設される。なお、水上施設101や貯蔵施設102へのマリンホースの連結は、例えば、流路(移送ライン)に亘って展張されたマリンホースの一端にメッセンジャーワイヤを連結し、これを水上施設101や貯蔵施設102に受け渡し、マリンホースの端部を手繰り寄せて水上施設101や貯蔵施設102に連結するようにすればよい。
【0027】
上述した本実施形態に係るマリンホースの連結方法によれば、水上に放出された既設マリンホース11の端部を船上に回収して新規マリンホース1を船上で連結することができ、石油等の移送ラインが長距離化した場合であっても、複数のマリンホースを容易に船上で継ぎ足すことができ、効率よくマリンホースを展張することができる。また、本実施形態の連結方法を使用することにより、敷設するマリンホースを任意の位置で分割することができ、マリンホースを二層以上に巻く必要性を低減することができ、一回に搬送するマリンホースの重量を軽減することができ、ホースリールの小型化及び軽量化を図ることができる。
【0028】
次に、上述したマリンホースの連結方法及び後述するマリンホースの回収方法において使用されるマリンホースの連結・回収装置について、
図3〜
図5を参照しつつ説明する。ここで、
図3は、本発明の実施形態に係るマリンホースの連結・回収装置を示す側面図である。
図4は、
図3に示した連結・回収装置を示す説明図であり、(A)は正面図、(B)はマリンホースの固定状態、を示している。
図5は、
図3に示した回収ネットを示す説明図であり、(A)は展張状態の斜視図、(B)はリリース状態の側面図、を示している。なお、必要に応じて、
図1(A)〜
図2(D)を参照する。
【0029】
本実施形態に係るマリンホースの連結・回収装置10は、作業場所まで移動可能な船舶2と、船舶2上に配置されマリンホースを巻き取り可能又は送り出し可能なホースリール21と、船舶2上に配置され水上に放出されたマリンホースを船舶2上に移載可能又は船舶2上のマリンホースを水上に搬出可能なクレーン装置22と、マリンホースを船舶2上で固定可能な固定手段と、マリンホースを船舶2上で搬送可能な搬送手段と、を有している。以下、説明の便宜上、連結・回収装置10を上述したマリンホースの連結方法で使用する場合について説明するが、後述するマリンホースの回収方法で使用することができることは勿論である。
【0030】
船舶2は、ホースリール21、クレーン装置22、固定手段23及びホース搬送手段24を有していれば、船種や大きさは任意であり、作業船やバージであってもよい。例えば、マリンホースの連結作業を船尾側のデッキ上で行う場合には、船尾側にクレーン装置22や固定手段23が配置され、船首側に操舵室を含む居住区25が配置される。なお、船舶2は、船首側にクレーン装置22や固定手段23を有し、船尾側に操舵室を含む居住区25を有していてもよい。
【0031】
ホースリール21は、例えば、
図1(A)に示したように、船舶2の中間部に配置される。ホースリール21は、新規マリンホース1を巻き取った状態で船舶2上に移載してもよいし、船舶2上で新規マリンホース1を巻き取るようにしてもよい。
【0032】
例えば、石油等の移送ラインが長距離化(例えば、数km程度)した場合には、マリンホースの長さも必然的に長くなる。そこで、数百mごとにマリンホースを分割し、水上でマリンホースを連結する必要がある。また、連結場所までマリンホースを搬送する必要もある。ホースリール21は、例えば、数百m程度の新規マリンホース1を一層に巻き取ることが可能な構造を有している。
【0033】
クレーン装置22は、例えば、
図3及び
図4(A)に示したように、船舶2のデッキD上に配置された一対のレール26と、レール26上に移動可能に配置されたAフレーム構造体22aと、Aフレーム構造体22aに回動可能に配置された一対のジブ22bと、Aフレーム構造体22a及びジブ22bに回動可能に連結された伸縮アーム22cと、を有している。
【0034】
Aフレーム構造体22aは、クレーン装置22を支える本体部であり、レール26上を転動する車輪(図示せず)を有し、駆動モータ22dにより駆動される。
図4(A)に示したように、一対のジブ22bは、先端部がクロスバー22eにより連結されており、クロスバー22eにはウインチ22fが配置されている。伸縮アーム22cは、例えば、油圧シリンダにより構成され、伸縮アーム22cを縮めることによりジブ22bを起こすことができ、伸縮アーム22cを伸ばすことによりジブ22bを寝かせることができる。
【0035】
また、クレーン装置22は、
図4(A)及び
図5(A)に示したように、先端に吊り下げられ水上で展張可能な回収ネット27を有している。回収ネット27は、水上で平面上に展張され、既設マリンホース11の他端を載置可能な大きさに形成されたネット本体27aを有している。ネット本体27aの四隅は、支持ワイヤ27bを介して支持フレーム27cに連結されている。また、支持フレーム27cは、ウインチ22fに連結された吊りワイヤ27dにより支持されている。
【0036】
また、回収ネット27は、ネット本体27aを水中に沈めるための錘27eを有していてもよい。錘27eは、例えば、ネット本体27aの四隅に接続される。かかる錘27eを接続することにより、水上でネット本体27aを展張した際に、ネット本体27aを平面展開した状態で水中に沈めることができ、既設マリンホース11の他端をネット本体27a上に配置することができる。
【0037】
また、回収ネット27は、吊り下げ部の一部を解放してネット本体27a上の物体を放出可能なリリースフック27fを有していてもよい。リリースフック27fには、市販されているものを適宜使用することができ、支持ワイヤ27bの中間部又は支持フレーム27cに配置される。かかるリリースフック27fを配置することにより、荷揚げ時にはリリースフック27fを係合状態にしておき、
図4(B)に示したように、荷卸し時にはリリースフック27fを解放状態にすることにより、連結したマリンホースを水上に放出することができる。なお、
図4(B)では、説明の便宜上、錘27eの図を省略してある。
【0038】
固定手段23は、
図4(A)及び(B)に示したように、例えば、クレーン装置22のジブ22bに揺動可能に配置されたゴム製の板状部品23aである。板状部品23aの表面は、
図3に示したように、波形状の凹凸が形成されており、弾性力によってマリンホースを拘束できるように構成されている。板状部品23aは、ジブ22b間に配置された支持軸23bに接続されており、ジブ22bの中間部に配置されている。このとき、支持軸23bに対して板状部品23aが揺動可能に接続されていてもよいし、ジブ22bに対して支持軸23bが揺動可能に接続されていてもよい。
【0039】
このように、固定手段23をジブ22bの中間部に配置することにより、ジブ22bを傾斜させてデッキDに接近させることによって、
図3(一点鎖線の状態を参照)及び
図4(B)に示したように、マリンホース(例えば、既設マリンホース11)をホース搬送手段24と板状部品23aとの間で挟み込むことができる。なお、ホース搬送手段24は、例えば、船舶2のデッキ上に配置された搬送ローラにより構成される。
【0040】
上述したマリンホースの連結・回収装置10によれば、
図1(A)に示したように、新規マリンホース1を船舶2上に積載することができ、
図1(B)に示したように、新規マリンホース1を作業場所まで搬送することができ、
図1(C)に示したように、既設マリンホース11を船舶2上に回収することができ、
図1(D)に示したように、回収した既設マリンホース11を船舶2上で固定することができ、
図1(E)に示したように、新規マリンホース1を既設マリンホース11に連結することができ、
図2(A)に示したように、連結したマリンホースを水上に搬出することができ、
図2(B)に示したように、新規マリンホース1を水上に展張することができ、
図2(C)に示したように、新規マリンホース1の他端を水上に放出することができる。
【0041】
また、水上で新規マリンホース1を複数回連結する場合には、複数の船舶2に新規マリンホース1を積載し、順に作業場所まで新規マリンホース1を搬送することにより、マリンホースの敷設作業の効率化を図ることができる。
【0042】
上述したマリンホースの連結・回収装置10では、固定手段23をクレーン装置22に接続するようにしているが、かかる構成に限定されるものではなく、クレーン装置22とは別個に固定手段23を船舶2上に配置するようにしてもよい。この場合、板状部品23aを上下に昇降可能な昇降装置をデッキD上に配置するようにすればよい。
【0043】
次に、本発明の実施形態に係るマリンホースの回収方法について、
図6〜
図7を用いて説明する。ここで、
図6は、本発明の実施形態に係るマリンホースの回収方法を示す説明図であり、(A)は準備工程、(B)は移動工程、(C)は移載工程、(D)は固定工程、を示している。
図7は、本発明の実施形態に係るマリンホースの回収方法を示す説明図であり、(A)は回収工程、(B)は固定工程、(C)は分離工程、(D)は放出工程、を示している。
【0044】
本発明の実施形態に係るマリンホースの回収方法は、
図6(A)〜
図7(D)に示したように、空のホースリール21を搭載した船舶2を用意する準備工程と、一端が水上施設101に接続され他端が水上に放出された状態にある既設マリンホース11の他端に船舶2を接近させる移動工程と、既設マリンホース11の他端を船舶2上に移載する移載工程と、既設マリンホース11の他端をホースリール21に接続する接続工程と、船舶2を停船位置から移動させながら既設マリンホース11の一部をホースリール21に巻き取って船舶2上に回収する回収工程と、既設マリンホース11を分離位置で船舶2上に固定する固定工程と、既設マリンホース11をホースリール21に巻き取った回収部と巻き取らなかった残部とに分離する分離工程と、既設マリンホース11の残部を封止した状態で水上に放出する放出工程と、を有し、水上施設101から貯蔵施設102まで液体を移送する流路(移送ライン)を形成するマリンホースを回収する。
【0045】
かかるマリンホースの回収方法は、基本的に、上述したマリンホースの連結方法を逆の手順で処理するものであり、連結方法と重複する部分については、詳細な説明を適宜省略する。なお、本実施形態では、貯蔵施設102から水上施設101に向かってマリンホースを回収する場合について説明しているが、水上施設101から貯蔵施設102に向かってマリンホースを回収するようにしてもよいし、水上施設101間のマリンホースを回収する場合にも適用することができる。
【0046】
準備工程は、
図6(A)に示したように、船舶2上のホースリール21を、マリンホースを巻き取っていない空の状態にしておく工程である。移動工程は、
図6(B)に示したように、既設マリンホース11を回収する場所までホースリール21を搬送する工程である。移載工程は、
図6(C)に示したように、既設マリンホース11の他端をクレーン装置22により船舶2上に移載する工程である。接続工程は、
図6(D)に示したように、既設マリンホース11の他端を手繰り寄せてホースリール21に接続する工程である。
【0047】
回収工程は、
図7(A)に示したように、船舶2を水上施設101に接近させながら既設マリンホース11をホースリール21に巻き取る工程である。かかる回収工程により、水上に展張された既設マリンホース11の一部を船舶2上に回収することができる。
【0048】
固定工程は、
図7(B)に示したように、既設マリンホース11の連結部11aを船舶2上で固定する工程である。この固定には、例えば、上述した連結・回収装置10を使用することができる。また、既設マリンホース11を巻き取って連結部11aを超えた位置で既設マリンホース11を固定することにより、巻き取った既設マリンホース11を分離した後であっても、船上における既設マリンホース11の位置を保持することができる。
【0049】
分離工程は、
図7(C)に示したように、巻き取った既設マリンホース11を連結部11aで移送ラインから分離する工程である。放出工程は、
図7(D)に示したように、未回収の既設マリンホース11の他端を水上に放出する工程である。このとき、既設マリンホース11の他端を蓋部材やシール部材で封止することにより、既設マリンホース11への水の浸入を抑制することができ、既設マリンホース11の沈降を抑制することができる。
【0050】
そして、上述した、準備工程、移動工程、移載工程、接続工程、回収工程、固定工程、分離工程及び放出工程を、必要な回数だけ繰り返し、最終的に既設マリンホース11を水上施設101から分離することにより、水上施設101と貯蔵施設102との間に敷設されたマリンホースが回収される。
【0051】
本発明は上述した実施形態に限定されず、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変更が可能であることは勿論である。