(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0022】
本発明に係る情報処理装置は、表示部、タッチセンサ、及び制御部を備える。本発明に係る情報処理装置は、1つの筐体で構成した装置であってもよいし、上記表示部及びタッチセンサが本体(制御部側)と別筐体で構成された装置であってもよい。本発明に係る情報処理装置としては、例えば設置型のPC(Personal Computer)、モバイルPC、タブレット型の端末装置(以下、タブレット端末)、携帯電話機(スマートフォンと呼ばれるものも含む)などが挙げられる。
【0023】
(第1の実施形態)
本発明の第1の実施形態について、
図1〜
図3Bを参照しながら説明する。
図1は、本実施形態に係る情報処理装置の一構成例を示すブロック図である。本実施形態に係る情報処理装置1は、その全体を制御する制御部10と、タッチセンサ12と、画像を表示する表示部13と、を備えている。表示部13は、画像を表示する表示パネルを有する。表示パネルとしては、液晶ディスプレイや有機エレクトロルミネッセンスディスプレイ等、様々な表示方式のパネルが挙げられる。
【0024】
その他、ここで例示する情報処理装置1は、表示対象の画像ファイル等を記憶する記憶部11と、表示対象の画像ファイル等をサーバ装置等の外部機器から取得するための通信部14と、を備えている。なお、通信部14としては、例えば有線LAN(Local Area Network)のルータを介して外部機器と通信するインターフェースが挙げられる。無論、このルータに限らず、移動体通信システムの基地局、無線LANのアクセスポイントなどを介して通信するインターフェースであってもよい。
【0025】
また、情報処理装置1は、電源キーを備えると共に、ユーザ操作を受け付けるために、電源キー以外のハードウェアキー(音量調整キー等)、キーボード、マウス等のポインティングデバイス、ジョイスティック、タッチパッド、トラックボール、キーボードなどのうち、いずれか1又は複数を具備するようにしてもよい。
【0026】
以下、本発明の主な構成となる制御部10及びタッチセンサ12について詳細に説明する。制御部10は、プログラム保存領域に格納された制御プログラムを動作させ、各種制御を行う。例えば制御部10は、CPU(Central Processing Unit)又はMPU(Micro Processing Unit)、作業領域としてのRAM(Random Access Memory)、及び記憶装置などの制御デバイスで構成され、その一部又は全部を集積回路/ICチップセットとして搭載することもできる。この記憶装置には、上記制御プログラム(本発明に係る処理を実行するプログラムを含む)をはじめ、各種設定内容などが記憶される。この記憶装置としては、フラッシュROM(Read Only Memory)、EEPROM(Electrically Erasable and Programmable ROM)等が挙げられる。また、この記憶装置としては記憶部11を採用することができる。
【0027】
タッチセンサ12は、表示部13の表示領域(全表示領域)上でのタッチ操作及びホバー操作を検出するセンサであり、シングルタッチのみ対応のセンサであってもマルチタッチ対応のセンサであってもよい。
【0028】
ここで、ホバー操作とは、ポインティングデバイスによりカーソルを特定要素に合わせる操作に対応する操作を指し、タッチセンサ12においてはタッチ操作に至る手前の状態(操作主体を浮かせたホバー状態)にする操作を指す。ホバー状態とは、操作主体が表示画面と所定の距離以下にあり且つ操作主体と表示画面とが接触していない状態、つまり操作主体を近接させた状態を指す。
【0029】
タッチセンサ12としては、例えば表面型又は投射型の静電容量方式、電磁誘導方式、赤外線方式、表面弾性波方式、抵抗膜方式など、様々な方式のセンサが適用できる。また、ホバー操作を検出するための検出部を、タッチ操作の検出方式とは別の検出方式で設けることもできる。なお、タッチセンサ12は、表示部(表示パネル)13の表面に重ねるようにパネルとして設けられるものが多く、単体で若しくは表示パネルと合わせて、タッチパネルとも呼ばれる。
【0030】
タッチセンサ12は、タッチ操作やホバー操作を検出するとその検出位置を特定する情報(入力座標情報)を制御部10に渡す。若しくは、制御部10が、ポーリング処理等によりタッチセンサ12に対するタッチ操作やホバー操作の入力を監視し、検出された場合に入力座標情報を得る。
【0031】
タッチセンサ12では、タッチ操作やホバー操作として、ユーザの指での操作、スタイラスペンでの操作、ペン入力装置での操作のうち、いずれの操作も受け付け可能にしておけばよい。但し、ペン入力装置での操作を受け付けるモード(ペン入力モードと呼ぶ)とそれ以外での操作を受け付けるモード(通常タッチ入力モードと呼ぶ)とを用意しておき、制御部10にてユーザ操作に基づきモードの切り替えが可能に構成しておくか、若しくはペン入力装置の近接を検知してペン入力モードに切り替えるように構成しておくことが好ましい。また、タッチ操作は双方のモードで受け付ければよいが、ホバー操作はペン入力モードでのみ受け付けるようにしてもよい。
【0032】
ペン入力装置について、タッチセンサ12が電磁誘導方式でペン入力装置によるタッチ操作やホバー操作(近接操作)を検出する例を挙げて説明する。
図1で例示するペン入力装置2は、その全体を制御する制御部20と共に、ペン信号発生部21及びボタン22を備えている。
【0033】
ペン信号発生部21は、コイルを有し、制御部20からの制御に基づきペン信号として所定の電磁波を出力させる。一般的に、制御部20はペン信号を絶えず発信するような制御を行っている。ペン入力装置2がタッチセンサ12に近接した場合(つまり表示部13に近接した場合)にタッチセンサ12側のコイルがそのペン信号を検出する。なお、ペン信号が検出された場合、ペン信号発生部21側ではそれを検知することができる。
【0034】
制御部20は、タイマを有し、一定期間(例えば1分など)、タッチセンサ12との近接がない場合に、スリープモードに移行しペン信号の発生をストップさせる。スリープモードからの復帰は、一般的にペン入力装置2のペン先をタップするか、具備されたボタン22を押すことで実行される。
【0035】
ボタン22は、例えばクリック動作など、予め決められた動作の割り当てに用いられ、ボタン22が押下された場合にはその動作に応じて変調された電磁波がペン信号発生部21から出力される。なお、ボタン22が押下された場合、別途設けた無線通信部、又は有線通信部及び接続ケーブルにより、情報処理装置1側に押下を示す信号を送信するような構成を採用することもできる。
【0036】
なお、アクティブ方式の場合を前提として説明しているが、ペナブル・テクノロジー方式等のパッシブ方式を採用することもできる。パッシブ方式の場合、ペン入力装置2側は電源を必要とせず、タッチセンサ12側のコイルから電磁誘導でペン信号発生部21に電力を供給し、その電力を受けてペン信号発生部21におけるコイルが上記所定の電磁波を出力し、タッチセンサ12がそれを検出することになる。
【0037】
制御部10は、上述のようなタッチセンサ12によりホバー操作が検出された場合、上記入力座標情報が示す検出位置に対応する表示部13の表示領域上の位置に、ホバーマークを表示させる制御を行う。このホバーマークは、ホバー操作の位置を示すポインタである。なお、ホバーマークを表示すると共に、ホバーの座標を中心とし所定距離の半径をもつ円内に含まれるオブジェクトの詳細な情報を表示するなど、他の処理を併せて実行するようにしてもよい。
【0038】
また、制御部10は、タッチ操作が検出された場合、上記入力座標情報が示す検出位置に対応する表示部13の表示領域上の位置にあるアイコン等の画像の選択など、表示部13での表示に応じた処理等を行う。なお、アイコンは、例えばOSの基本画面の画像に配置されており、アイコンを選択する操作がなされることで、そのアイコンに関連付けられたアプリケーションやファイル等を開くことが可能になっている。
【0039】
そして、本実施形態の主たる特徴として、制御部10は、上記表示領域に表示されたアイコンの上でホバー操作が検出された場合、ホバーマークの表示サイズをそのアイコンの大きさに応じて変更する変更制御を、表示部13に対して行う。つまり、表示部13はホバーマークを、その位置にあるアイコンの大きさに応じて適切にサイズ変更した状態で表示することになる。なお、アイコンの大きさ自体はアイコン毎に既知であり、実際、アイコンの選択を可能にするために、各アイコンの選択領域が座標で定められている。
【0040】
次に、ペン入力装置2を用いた本実施形態の入力方法について、
図2〜
図3Bを参照しながら実際の使用場面を例に挙げて説明する。
図2は、情報処理装置1におけるペン入力方法の一例を説明するためのフロー図で、
図3A及び
図3Bは、
図2のペン入力方法の一例を説明するための概略図である。
【0041】
まず、制御部10は、タッチセンサ12がペン信号を受信したか否かを判定し(ステップS1)、受信するまで(YESとなるまで)待つ。ペン信号を受信した場合、制御部10は、そのペン信号の検出位置を示す入力座標情報を得ることになるが、さらに表示部13に対し、その検出位置に対応する表示位置にホバーマークを表示するよう指示して、表示部13がその表示を実行する(ステップS2)。なお、タッチセンサ12がタッチ操作を検出した場合にはそれを示すタッチ信号を制御部10へ伝送し、制御部10がタッチ信号に対応する処理(ペン信号だけを受信したときとは異なる処理)を行うことになる。
【0042】
次いで、制御部10は、表示させたホバーマークがアイコンの上にあるか否かを、表示中の各アイコンの選択領域の座標とホバーマークの表示座標(つまり入力座標情報が示す検出位置の座標)と比較することで判定する(ステップS3)。ステップS3でNOの場合にはそのまま処理を終了する。
【0043】
一方、ステップS3でYESの場合、制御部10は、ホバーマークの表示と重なるアイコンについて、そのサイズをその選択領域の座標から算出することで検知する(ステップS4)。その後、制御部10は、そのアイコンのサイズに合うようにホバーマークの表示サイズを決定し、その表示サイズになるように表示部13に指示し、表示部13がそのような表示変更(つまり表示サイズの補正)を行い(ステップS5)、処理を終了する。
【0044】
一例として、
図3Aのように表示部13にファイル管理アプリケーションのウインドウ31があり、その中にフォルダを示すアイコンが複数表示されており、そのうちの1つのアイコンをホバー操作する場合について説明する。
【0045】
まず、ユーザは、ペン入力装置2を表示部13の表示領域の或る位置に近接させると、
図3Aで例示するようにその位置でペン信号が検出され、ホバーマーク30aが表示される。なお、ホバー操作の検出に際し、表示画面と操作主体であるペン入力装置2のペン先との距離(表示画面に垂直な方向の距離)も検出するようにしてもよく、その場合、この距離(ホバー距離)が長い程、ホバーマーク30aを大きくするようにしてもよい。
【0046】
図3Aの状態からユーザがペン入力装置2を移動させて「ビデオ」アイコンの表示領域(アイコン選択領域)32にホバーマーク30aを移動させた場合、それが
図3Bに示すようにアイコン選択領域32に合った表示サイズのホバーマーク30bに変更される。なお、OSやアプリケーションによってアイコン選択領域32の範囲は異なり、必ずしもアイコンが表示されている部分だけが選択領域とは限らず、例えば
図3Aでいうところの「ビデオ」アイコンだけでなく、その隣の「システムフォルダ」といった文字列やそれらの間の空間もアイコン選択領域として認識される場合もある。
【0047】
ここでは、制御部10が、上記変更制御として、ホバーマーク30bの表示サイズをアイコン(アイコン選択領域32)の縦方向及び横方向の長さに合わせるように変更した例を挙げた。但し、ホバーマーク30bは、アイコン選択領域32と縦横の長さが完全に同じになるようにしなくてもよく、例えば、アイコン選択領域32の縦横90%の表示サイズであってもよい。さらに、ホバーマーク30bをアイコン選択領域32の縦方向の長さだけに合わせ、例えば縦100%且つ横70%の表示サイズや縦90%且つ横は元のままの表示サイズにしてもよい。同様に、横方向の長さだけに合わせ、例えば縦70%且つ横100%の表示サイズや横90%且つ縦は元のままの表示サイズにしてもよい。
【0048】
無論、制御部10は、ステップS2の処理を経ずに、ステップS5でアイコンのサイズに合うようにホバーマークの表示サイズを決定し、その表示サイズでホバーマークを表示させるように表示部13に指示してもよい。例えば、ユーザがいきなりアイコン選択領域32上でホバー操作を行った場合にはホバーマーク30aを表示させることなくアイコン選択領域32のサイズに合ったホバーマーク30bを表示させればよい。
【0049】
また、ホバーマークを、背景となるアイコンの画像とのαブレンディングなどにより半透明にすることは、ホバーマークの表示サイズを変更することから特に好ましいと言える。また、ホバーマークの表示サイズが所定のサイズ未満である場合にはそのまま表示させ、所定サイズ以上になった場合に半透明にするようにしてもよい。また、ホバーマークの表示サイズだけでなく、デザインもアイコンの大きさ(例えば縦横比)に応じて変更するようにしてもよい。これにより、表示部13において、縦長のアイコンに合ったデザインや横長のアイコンに合ったデザインのホバーマークを表示させることができる。
【0050】
以上、本実施形態によれば、このようにしてホバーマークの表示サイズを変更することにより、タッチセンサ12がもつ検出精度を生かしホバーマークを小さく表示させた上で、ユーザにとってホバー状態からアイコンが選択し易くなる。なお、このような表示変更を行った状態から、ユーザがタッチ操作によりアイコンを選択した場合には、そのアイコン選択領域の色を反転させるなどすればよい。
【0051】
なお、ペン入力装置2を用いた場合についてのみ具体例を挙げたが、ユーザの指やスタイラスペンによる入力時にも同様にホバー操作時における上記変更制御を適用することができる。但し、ペン入力モードと通常タッチ入力モードの双方でホバー操作を受け付ける場合には、ペン入力モードである場合に限り、上述のような変更制御を実行するようにしてもよい。指で選択できるようなアイコンを選択しようとしていることが想定されるためである。その際、指によるホバー操作の検出領域は広くなることが想定されるため、指によるホバー操作が検出された場合にはその検出領域に合致したホバーマークを表示するようにしておいてもよい。
【0052】
(第2の実施形態)
本発明の第2の実施形態について、
図4及び
図5を併せて参照しながら説明する。
図4は、情報処理装置1におけるペン入力方法の他の例を説明するためのフロー図で、
図5は、
図4のペン入力方法の一例を説明するための概略図である。本実施形態について、第1の実施形態との相違点を中心に説明するが、第1の実施形態で説明した様々な応用例も同様に適用できる。
【0053】
本実施形態における情報処理装置1は、タッチセンサ12がペン入力装置によってなされたタッチ操作及びホバー操作を検出する機能をもつ。つまり、本実施形態では、
図1で例示したペン入力装置2のようなペン入力装置が必要となる。但し、このペン入力装置は、上記変更制御を解除するための操作(変更解除操作)を受け付けるボタン(以下、第1ボタンと呼ぶ)を有するものとする。この第1ボタンとしては、ボタン22が適用できるが、ボタン22の押下が他の動作に割り当てられている場合には、変更解除操作についてはボタン22の長押しや2回連続押下などで受け付ければよい。
【0054】
本実施形態の入力方法について
図4に沿って説明する。この入力方法においても、
図2のステップS1,S2,S3,S4,S5の処理と同様の処理を行う(ステップS11,S12,S13,S15,S16)が、ステップS13の後に、制御部10は第1ボタン(変更解除ボタン)が押下されていないか否かを判定する(ステップS14)。
【0055】
ステップS14でNOの場合には、そのまま処理を終了し、結果として
図5に示すように、
図3Aのホバーマーク30aと同じ表示サイズのままのホバーマーク50が表示された状態となる。一方、ステップS14でYESの場合には、ステップS15,S16の処理に進んでホバーマークの補正が施され、結果として
図3Aのホバーマーク30aが
図3Bのホバーマーク30bに変更されることになる。
【0056】
また、ステップS16の後にステップS14の判定処理を適用することもできる。その際、第1ボタンが押下されないままでは
図3Bのホバーマーク30bが表示された状態が続き、第1ボタンが押下された段階で
図3Bのホバーマーク30bが表示された状態から
図5のホバーマーク50が表示された状態に変わることになる。
【0057】
以上のように、本実施形態に係る情報処理装置1では、第1の実施形態の効果に加え、上記変更制御を解除することもできるため、ユーザの好みに合った表示を行うことができる。
【0058】
(第3の実施形態)
本発明の第3の実施形態について、
図6〜
図8Cを併せて参照しながら説明する。本実施形態について、第1,第2の実施形態との相違点を中心に説明するが、第1,第2の実施形態で説明した様々な応用例も同様に適用できる。
【0059】
本実施形態における情報処理装置1では、制御部10が次のような移動制御を表示部13に対して行う。この移動制御とは、ホバー操作の検出位置がアイコンの上以外でその検出位置とそのアイコンとが所定の近接条件を満たす場合、ホバーマークをそのアイコンの上に移動させる制御を指す。
【0060】
また、本実施形態における情報処理装置1は、タッチセンサ12がペン入力装置によってなされたタッチ操作及びホバー操作を検出する機能をもつことが好ましい。但し、このペン入力装置には、上記移動制御を解除するための操作(移動解除操作)を受け付けるボタン(以下、第2ボタンと呼ぶ)を有するものとする。この場合、
図1で例示したペン入力装置2のようなペン入力装置が必要となる。これにより、上記移動制御を解除することもできるため、ユーザの好みに合った表示を行うことができる。
【0061】
この第2ボタンとしては、ボタン22が適用できるが、ボタン22の押下が他の動作に割り当てられている場合には、移動解除操作についてはボタン22の長押しや2回連続押下などで受け付ければよい。なお、第2ボタンは第1ボタンと兼ねてもよく、その操作も同じであってもよい。無論、第2ボタンは第1ボタンと別に設けてもよいし、兼ねる場合でも操作方法(例えば前者が連続する2回の押下で、後者が長押しなど)を異ならせてもよい。さらには1回目の長押しで変更解除操作を受け付け、2回目の長押しで移動解除操作を受け付けるようにしてもよく、また1回目と2回目とで受け付ける順序を入れ換えてもよい。
【0062】
次に、ペン入力装置2を用いた本実施形態の入力方法について、
図6〜
図8Aを参照しながら実際の使用場面を例に挙げて説明する。
図6は、
図1の情報処理装置1におけるペン入力方法の他の例を説明するためのフロー図である。
図7A及び
図7Bは、
図6のペン入力方法の一例を説明するための概略図で、
図7Cは、
図6のペン入力方法の他の例を説明するための概略図である。
図8Aは、
図6のペン入力方法における認知エリアとアイコンとの位置関係の一例を説明するための概略図である。
【0063】
まず、制御部10は、
図2のステップS1,S2と同様にペン信号の受信を待ち(ステップS21)、
図7Aで例示するようにホバーマーク70aを表示させる(ステップS22)。
【0064】
次に、制御部10は、ホバーマーク70aの認知エリア(所定範囲の領域)71内にアイコンが存在するか否かを、アイコン選択領域の座標に基づき判定し(ステップS23)、NOであれば処理を終了する。ステップS23では、上記所定の近接条件として、検出位置を含む所定範囲の領域71にアイコンの少なくとも一部が表示されている(含まれる)ことを挙げ、この条件を満たすか否かを判定している。
【0065】
所定範囲の領域71は、ホバーマーク70aを中心とする所定長の縦辺、同じ又は異なる所定長の横辺でなる長方形である。但し、所定範囲の領域はこれに限らず、円形であってもよい。例えば
図8Aに示すように、ホバー位置(ホバーマークを表示させる位置)81aを中心に半径rの円82内を上記所定範囲の領域と定めるなど、中心からの距離で定めてもよい。
図8Aの例では、円82内にアイコン選択領域80と重なる領域83aが存在するため、上記所定の近接条件を満たすと判定される。
【0066】
ステップS23でYESの場合、制御部10は、認知エリア71に複数のアイコン(アイコン選択領域)が存在するか否かを判定する(ステップS24)。存在しない場合(ステップS24でNOの場合)には、第2ボタン(移動解除ボタン)が押下されていないか否かを判定する(ステップS26)。
【0067】
ステップS26でNOの場合には、そのまま処理を終了し、結果として
図7Aのホバーマーク70aが表示されたままとなる。一方、ステップS26でYESの場合には、ホバーマークを対象となったアイコンの位置に補正し(ステップS27)、処理を終了する。ステップS27のようなホバーマーク70aの自動誘導により、結果として
図7Bに示すように、ペン入力装置2の位置は変わらないのにも拘わらずそのアイコンの位置(好ましくはアイコン選択領域72の中心位置)にホバーマーク70bが表示される。
図8Aの例で説明すると、アイコン選択領域80の位置にホバーマーク84aが表示された状態となる。
【0068】
このように、制御部10は、ホバー操作が検出された位置(検出位置)を含む(好ましくはこの位置を中心とする)認知エリアにアイコンの少なくとも一部が含まれた場合、ホバーマークをそのアイコンの上に移動させる移動制御を行う。なお、上記検出位置にアイコンが存在した場合には、そのアイコンの中心(例えば重心、或いは縦方向の中心縦座標且つ横方向の中心横座標など)に移動させればよい。無論、アイコンの中心にホバー検出位置が存在した場合には、移動は不要となる。
【0069】
一方、ステップS24でYESの場合、制御部10は、複数のアイコンのうち最も大きなサイズのアイコンをアイコン選択領域の座標から算出(検出)し、それを対象のアイコンとする(ステップS25)。ステップS25の代わりに、最も認知エリアと重なる面積が大きなアイコンを対象のアイコンとして検出してもよいし、アイコン上への自動誘導を行わないように(つまり対象のアイコン無しにするように)してもよい。ステップS25の処理後は、ステップS26へ進み、ステップS26でYESの場合に制御部10はホバーマークをステップS25で対象となったアイコンの位置に補正し(ステップS27)、処理を終了する。
【0070】
また、ステップS27の後にステップS26の判定処理を適用することもできる。その際、第2ボタンが押下されないままでは
図7Bのホバーマーク70bが表示された状態が続き、第2ボタンが押下された段階で
図7Aのホバーマーク70aが表示された状態に戻ることになる。なお、本実施形態では第2ボタンは必須ではなく、第2ボタンを具備しない場合には
図6においてステップS26の処理を除けばよい。
【0071】
無論、制御部10は、ステップS22の処理を経ずに、ステップS27でアイコンの位置にホバーマークを表示させるように表示部13に指示してもよい。例えば、ユーザがいきなりアイコン選択領域72上でホバー操作を行った場合にはホバーマーク70aを表示させることなくアイコン選択領域72の位置にホバーマーク70bを表示させればよい。
【0072】
次に、
図8B,
図8Cを参照しながら認知エリアとアイコンとの位置関係の他の例について説明する。
図8B、
図8Cはいずれも、
図6のペン入力方法における認知エリアとアイコンとの位置関係の他の例を説明するための概略図である。
【0073】
上記所定の近接条件は、
図8Bに示すようにアイコン(アイコン選択領域80)を含む所定範囲の領域85に上記検出位置81が存在することを含むようにしてもよい。所定範囲の領域85は、アイコンを含むアイコン近接領域を指す。アイコン近接領域85は、アイコン選択領域80の高さ(縦の長さ)Hに対して所定割合の長さhだけ上下に広げ、アイコン選択領域80の幅(横の長さ)Wに対して同じ又は異なる所定割合の長さwだけ左右に広げた領域としている。但し、アイコン近接領域の定義はこれに限ったものではない。
【0074】
このように、制御部10は、アイコン近接領域85の上でホバー操作が検出された場合にも、ホバーマークをそのアイコンの上(アイコン選択領域80の位置)に移動させ、ホバーマーク84bを表示させた状態にしてもよい。
【0075】
また、上記所定の近接条件として、上記検出位置を含む所定範囲の領域にアイコンの少なくとも一部が表示されていることを含む場合も併せて採用する場合について説明する。この場合、
図8Cで例示するように、円82内にアイコン近接領域85と重なる領域83cが存在すれば、上記所定の近接条件を満たすと判定され、アイコン選択領域80の位置にホバーマーク84cを表示させればよい。
【0076】
以上のように、本実施形態に係る情報処理装置1では、このようにしてホバーマークの表示位置をアイコンの上に移動させることにより、タッチセンサ12がもつ検出精度を生かしホバーマークを小さく表示させた上で、ユーザにとってホバー状態からアイコンが選択し易くなる。
【0077】
また、ペン入力装置を用いずユーザの指やスタイラスペンによる入力時にも、同様にホバー操作時における上記移動制御を適用することができる。但し、ペン入力モードと通常タッチ入力モードの双方でホバー操作を受け付ける場合には、ペン入力モードである場合に限り、上述のような移動制御を実行するようにしてもよい。指で選択できるようなアイコンを選択しようとしていることが想定されるためである。その際、指によるホバー操作の検出領域は広くなることが想定されるため、指によるホバー操作が検出された場合にはその検出領域に合致したホバーマークを表示するようにしておいてもよい。
【0078】
また、
図6の処理例では、第1又は第2の実施形態との組み合わせについて述べなかったように、上記移動制御は上記変更制御を適用しない情報処理装置にも適用することができる。
【0079】
本実施形態を第1又は第2の実施形態と組み合わせる場合について簡単に説明する。
組み合わせの一例としては、
図6のステップS27の処理後(アイコン選択領域72にホバーマーク70bが移動後)、
図2のステップS4,S5の処理又は
図4のステップS14〜16の処理を実行し、
図7Cに示すようなアイコンサイズに合ったホバーマーク70cを表示させればよい。これにより、第1,第2のいずれかの実施形態の効果に加え、ユーザにとってホバー状態からアイコンがさらに選択し易くなる。
【0080】
別の組み合わせ例としては、
図6のステップS23の判定に先立ち、
図2のステップS3又は
図4のステップS13の判定を行い、ステップS3又はステップS13でYESの場合にステップS4,S5の処理又はステップS14〜S16の処理を実行し、その後、ステップS23の処理に進むようにしておけばよい。
【0081】
(その他)
以上、本発明に係る情報処理装置について説明したが、処理の流れを説明したように、本発明は、画像を表示する表示部と、上記表示部の表示領域上でのタッチ操作及びホバー操作を検出するタッチセンサと、を備えた情報処理装置における入力方法や、その入力方法をコンピュータ(情報処理装置)に実行させるためのプログラムとしての形態も採り得る。
【0082】
この入力方法の一つ(第1入力方法と呼ぶ)は、第1の実施形態で説明したように、上記タッチセンサが上記ホバー操作を検出する検出ステップと、上記情報処理装置の制御部が、上記検出ステップで検出された位置に対応する上記表示領域上の位置にホバーマークを表示させる制御を行う表示制御ステップと、を有する。そして、上記表示制御ステップは、上記検出ステップにおいて上記表示領域に表示されたアイコンの上で上記ホバー操作が検出された場合、上記ホバーマークの表示サイズを上記アイコンの大きさに応じて変更するステップを有する。その他の応用例については、情報処理装置について第1〜第3の実施形態で説明した通りであり、その説明を省略する。
【0083】
上記プログラム(第1プログラムと呼ぶ)は、換言すると、この第1入力方法を、上記表示部及び上記タッチセンサを備えたコンピュータに実行させるためのプログラムである。すなわち、この第2プログラムは、上記コンピュータに、上記タッチセンサにより上記ホバー操作を検出する検出ステップと、上記検出ステップで検出された位置に対応する上記表示領域上の位置にホバーマークを表示させる制御を行う表示制御ステップと、を実行させるためのプログラムである。そして、上記表示制御ステップは、上記検出ステップにおいて上記表示領域に表示されたアイコンの上で上記ホバー操作が検出された場合、上記ホバーマークの表示サイズを上記アイコンの大きさに応じて変更するステップを有する。その他の応用例については、情報処理装置について第1〜第3の実施形態で説明した通りであり、その説明を省略する。
【0084】
情報処理装置における他の入力方法(第2入力方法と呼ぶ)は、第3の実施形態で説明したように、上記タッチセンサが上記ホバー操作を検出する検出ステップと、上記情報処理装置の制御部が、上記検出ステップで検出された位置に対応する上記表示領域上の位置にホバーマークを表示させる制御を行う表示制御ステップと、を有する。そして、上記表示制御ステップは、上記検出ステップで検出された上記ホバー操作の検出位置が上記アイコンの上以外で上記検出位置と上記アイコンとが所定の近接条件を満たす場合、上記ホバーマークを上記アイコンの上に移動させるステップを有する。その他の応用例については、情報処理装置について説明した通りであり、その説明を省略する。
【0085】
上記プログラム(以下、第2プログラムと呼ぶ)は、換言すると、この第2入力方法を、上記表示部及び上記タッチセンサを備えたコンピュータに実行させるためのプログラムである。すなわち、この第2プログラムは、上記コンピュータに、上記タッチセンサにより上記ホバー操作を検出する検出ステップと、上記検出ステップで検出された位置に対応する上記表示領域上の位置にホバーマークを表示させる制御を行う表示制御ステップと、を実行させるためのプログラムである。そして、上記表示制御ステップは、上記検出ステップで検出された上記ホバー操作の検出位置が上記アイコンの上以外で上記検出位置と上記アイコンとが所定の近接条件を満たす場合、上記ホバーマークを上記アイコンの上に移動させるステップを有する。その他の応用例については、情報処理装置について第3の実施形態で説明した通りであり、その説明を省略する。
【0086】
また、上記第1プログラム及び/又は上記第2プログラムをコンピュータにより読み取り可能な非一時的な記録媒体に記録したプログラム記録媒体としての形態についても容易に理解することができる。このコンピュータとしては、汎用のPCに限らず、マイクロコンピュータやプログラム可能な汎用の集積回路/チップセットなど、様々な形態のコンピュータが適用できる。また、このプログラムは、可搬の記録媒体を介して流通させるに限らず、インターネット等のネットワークを介して、また放送波を介して流通させることもできる。ネットワークを介して受信するとは、外部サーバの記憶装置などに記録されたプログラムを受信することを指す。