(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、上記の事情に鑑みて成されたものであり、その目的とするところは、構造の簡素化、耐久性の向上等を図りつつ、開口部を開閉する羽根部材の走行完了時の衝撃を効率よく緩和でき、又、衝撃に伴うバウンド等も防止ないし抑制でき、部品の摩耗や破損等を防止でき、組付け時のバラツキ等を調整でき、シャッタ動作終了のバラツキを防止できるフォーカルプレンシャッタ及びカメラを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のフォーカルプレンシャッタは、開口部を有する地板と、開口部を開閉する羽根部材と、羽根部材を駆動する駆動部材と、駆動部材の一部に当接するゴム製の緩衝部材と、駆動部材の移動を制動するべく付勢された制動部材と、を備えたフォーカルプレンシャッタであって、上記緩衝部材は、駆動部材の一部に当接し得るように制動部材に設けられ、上記制動部材は、地板に設けられたストッパにより移動範囲が規制されている、ことを特徴としている。
この構成によれば、羽根部材が駆動部材により駆動されてシャッタ動作を行う際に、駆動部材は、緩衝部材に当接した後に制動部材を付勢する付勢力に抗しつつ緩衝部材と一緒に制動部材を押圧して移動させ、制動部材がストッパに当接した時点で停止し、羽根部材によるシャッタ動作が完了する。
このように、駆動部材は、緩衝部材に当接すると共に緩衝部材及び制動部材を付勢力に抗しつつ移動させることにより、シャッタ動作に伴う駆動部材の衝撃力が、緩衝部材による緩衝作用と制動部材の付勢力による緩衝作用とが同時に作用して緩和されるため、構造の簡素化、耐久性の向上等を達成しつつ、羽根部材の走行完了時の衝撃を効率よく緩和でき、又、駆動部材(の一部)は制動部材と直接接触しないため、衝撃力による部品の摩耗や破損等を防止でき、又、シャッタ動作終了のバラツキを防止できる。
【0007】
上記構成において、ストッパは、制動部材の停止位置を調整し得る調整部材を含む、構成を採用することができる。
この構成によれば、調整部材を用いて制動部材の停止位置を調整することにより、制動部材に当接して停止する駆動部材を介して羽根部材の停止位置を調整できるため、組付け時のバラツキ等を適宜調整して、羽根部材が開口部(又は地板)に対して所望の位置に停止するように調整することができる。
【0008】
上記構成において、調整部材は、羽根部材が開口部を閉鎖して停止する閉鎖側の停止位置を調整するように配置されている、構成を採用することができる。
この構成によれば、調整部材を用いて制動部材の停止位置を調整することにより、制動部材に当接して停止する駆動部材を介して羽根部材が開口部を閉鎖して停止する閉鎖側の停止位置を調整できるため、組付け時のバラツキ等を適宜調整して、羽根部材が開口部を確実に閉鎖するように(又は、地板に羽根部材を当接させる緩衝ゴム等が配置されている場合は、その緩衝ゴムとの当接状態を最適にするように)調整することができる。
【0009】
上記構成において、調整部材は、地板に回動自在に連結される軸部と、軸部の中心線から偏芯して制動部材の一部に係合し得る偏芯係合部を含む、構成を採用することができる。
この構成によれば、調整部材として軸部及び偏芯係合部を含む(偏芯)部材を採用するため、構造の簡素化等を達成しつつ、単に軸部回りの回転調整を行って制動部材に係合する偏芯係合部の係合位置を変えるだけで、制動部材の停止位置(すなわち、駆動部材を介した羽根部材の停止位置)を簡単に調整することができる。
【0010】
上記構成において、駆動部材は、所定の軸線回りに回動自在に形成され、制動部材は、所定の軸線回りに回動自在に形成されている、構成を採用することができる。
この構成によれば、駆動部材が所定の軸線回りに回転して、羽根部材がシャッタ動作を行う際に、駆動部材が所定角度回転して緩衝部材に当接すると、制動部材を付勢する付勢力に抗しつつ、緩衝部材と一緒に制動部材を押圧して所定の軸線回りに回転させ、制動部材がストッパに当接した時点で停止し、羽根部材によるシャッタ動作が完了する。
このように、駆動部材及び制動部材として、それぞれ、所定の軸線回りに回動する形態(例えば、所定の軸線回りに回動するアームやレバーの形態をなす部材)を採用するため、単に直線的に往復動する部材に比べて、部品相互の集約化、小型化等を達成しつつ、所望のシャッタ動作を得ることができる。
【0011】
上記構成において、駆動部材及び制動部材は、共通の軸線回りに回動自在に配置されている、構成を採用することができる。
この構成によれば、駆動部材と制動部材とが共通の軸線回りに回動する形態を採用するため、駆動部材が一方向に回転して緩衝部材に当接しつつ制動部材を押圧して回転させる際に、駆動部材と緩衝部材との干渉(当接)領域において、滑りや滑りに伴う摩耗等を防止でき、効率の良い緩衝作用を得ることができる。
【0012】
上記構成において、駆動部材のシャッタ動作による移動完了時にその反動を規制する規制機構を含む、構成を採用することができる。
この構成によれば、シャッタ動作による移動完了時に、制動部材がストッパに当接した反発力により、制動部材を介して駆動部材が反動(バウンド)しようとする場合は、規制機構により、これらの反動(バウンド)が規制(防止ないし抑制)されるため、駆動部材に連動する羽根部材の不要な移動を防止でき、所望のシャッタ動作を行わせることができる。
【0013】
上記構成において、羽根部材をシャッタ動作前のセット位置に位置決めするべく駆動部材をセットするセット部材を含み、規制機構は、駆動部材の移動完了時に駆動部材の一部と係合することにより弾性変形しつつ反動を規制する向きに付勢力を及ぼすべくセット部材に一体的に形成された弾性片、又は、セット部材の移動に連動すると共に駆動部材の移動完了時に駆動部材の一部と係合することにより弾性変形しつつ反動を規制する向きに付勢力を及ぼすべく地板に設けられた弾性部材を含む、構成を採用することができる。
この構成によれば、規制機構として、セット部材に一体的に形成された弾性片、又は、地板に設けられてセット部材の移動に連動する弾性部材を採用することにより、構造の簡素化、部品点数の削減等を達成しつつ、所望のタイミングで反動(バウンド)現象を防止ないし抑制するように設定することができる。
【0014】
本発明のカメラは、上記構成をなすフォーカルプレンシャッタのうちのいずれか一つのフォーカルプレンシャッタを含む、ことを特徴としている。
この構成によれば、構造の簡素化、耐久性の向上等を達成しつつ、開口部を開閉する羽根部材の走行完了時の衝撃を効率よく緩和でき、又、衝撃に伴うバウンド等も防止ないし抑制でき、部品の摩耗や破損等を防止でき、組付け時のバラツキ等を防止でき、シャッタ動作終了のバラツキを防止でき、所望の撮影画像を得ることができる。
【発明の効果】
【0015】
上記構成をなすフォーカルプレンシャッタによれば、構造の簡素化、耐久性の向上等を達成しつつ、開口部を開閉する羽根部材の走行完了時の衝撃を効率よく緩和でき、又、衝撃に伴うバウンド等も抑制でき、部品の摩耗や破損等を防止でき、組付け時のバラツキ等を防止でき、シャッタ動作終了のバラツキを防止できる。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の実施形態について、添付図面を参照しつつ説明する。
この実施形態に係るフォーカルプレンシャッタは、
図1ないし
図6に示すように、地板10、地板10の裏側に配置された裏板20、地板10と裏板20の間に配置された中間板30、地板10と中間板30の間に配置されて地板10に対して移動自在に設けられた羽根部材としての先羽根40、中間板30と裏板20の間に配置されて地板10に対して移動自在に設けられた羽根部材としての後羽根50、先羽根40を駆動する先羽根駆動機構60(先羽根駆動レバー61、電磁石62)、後羽根50を駆動する後羽根駆動機構70(後羽根駆動レバー71、電磁石72)、地板10に対して回動自在に設けられた第1制動部材80及び付勢バネ81、第1制動部材80に設けられると共に先羽根駆動レバー61の一部(駆動ピン61a)に当接し得る第1緩衝部材90、地板10に対して回動自在に設けられた第2制動部材100及び付勢バネ101、第2制動部材100に設けられると共に後羽根駆動レバー71の一部(駆動ピン71a)に当接し得る第2緩衝部材110、先羽根40及び後羽根50(すなわち、先羽根駆動レバー61及び後羽根駆動レバー71)をシャッタ動作前のセット位置にセットすると共に規制機構としての弾性片123を有するセット部材120、地板10に設けられた規制機構としての弾性部材130、セット部材120を駆動する駆動機構(不図示)等を備えている。
【0018】
地板10は、
図1ないし
図3に示すように、略矩形の平板状に形成されており、略矩形をなす露光用の開口部10a、円弧部分及び矩形部分が連続する長孔10b及び長孔10c、第1制動部材80の移動(回動)範囲を規制するストッパとしての壁部10d,10d´、ピン10e、第2制動部材100の移動(回動)範囲を規制するストッパとしての壁部10f,10f´、ピン10g、先羽根40を回動自在に支持する支軸10h,10i、後羽根50を回動自在に支持する支軸10j,10k、先羽根駆動レバー61を回動自在に支持する軸線を画定する支軸10m、後羽根駆動レバー71を回動自在に支持する軸線を画定する支軸10n、セット部材120を回動自在に支持する支軸10p、第1制動部材80を回動自在に支持する円筒状の支軸10q、第2制動部材100を回動自在に支持する円筒状の支軸10r、弾性部材130を保持する保持部10s,10t等を備えている。
尚、地板10と同様に、裏板20は略矩形をなす露光用の開口部及び長孔等を備え、中間板30は略矩形をなす露光用の開口部等を備えているが、詳細については省略する。
【0019】
先羽根40は、
図1ないし
図3に示すように、3枚の羽根本体41,42,43、羽根本体41,42,43を連結する2つのアーム44,45により構成されている。
アーム44は、支軸10hにより回動自在に支持されると共に、その一部が先羽根駆動レバー61の駆動ピン61aに連結されている。
アーム45は、支軸10iにより回動自在に支持されている。
そして、アーム44が、
図1に示すように、先羽根駆動レバー61により図中の上方に向けて(反時計回りに)駆動されることにより、3枚の羽根本体41,42,43が展開して開口部10aを閉鎖し、一方、
図2及び
図3に示すように、先羽根駆動レバー61により図中の下方に向けて(時計回りに)駆動されることにより、3枚の羽根本体41,42,43が重なり合って開口部10aを開放するようになっている。
【0020】
後羽根50は、
図1ないし
図3に示すように、3枚の羽根本体51,52,53、羽根本体51,52,53を連結する2つのアーム54,55により構成されている。
アーム54は、支軸10jにより回動自在に支持されると共に、その一部が後羽根駆動レバー71の駆動ピン71aに連結されている。
アーム55は、支軸10kにより回動自在に支持されている。
そして、アーム54が、
図1に示すように、後羽根駆動レバー71により図中の上方に向けて(反時計回りに)駆動されることにより、3枚の羽根本体51,52,53が重なり合って開口部10aを開放し、一方、
図2及び
図3に示すように、後羽根駆動レバー71により図中の下方に向けて(時計回りに)駆動されることにより、3枚の羽根本体51,52,53が展開して開口部10aを閉鎖するようになっている。
【0021】
先羽根駆動機構60は、
図1ないし
図3に示すように、先羽根駆動レバー61、先羽根駆動レバー61をシャッタ動作前のセット位置に保持する電磁石62、先羽根駆動レバー61を時計回りに回転付勢する付勢バネ(不図示)等を備えている。
先羽根駆動レバー61は、アーム44が連結される駆動ピン61a、セット部材120が係合して反時計回りに回転力が及ぼされる係合部61b、電磁石62により吸着される磁性部61c、セット部材120の弾性片123に係合し得る係合部61d等を備えており、支軸10mにより回動自在に支持されている。
電磁石62は、地板10に固定された他の保持板(不図示)に保持されており、セット部材120により反時計回りに回転させられた先羽根駆動レバー61の磁性部61cと対向して、通電により電磁力を発生して磁性部61cに吸着力を及ぼすようになっている。
そして、先羽根駆動レバー61は、支軸10mにより回動自在に支持されると共に付勢バネにより時計回りに回転付勢され、駆動ピン61aが長孔10bに挿入されて先羽根40のアーム44に連結されており、休止状態で付勢バネにより時計回りに回転させられて先羽根40を開放位置に移動させ、一方、セット部材120により反時計回りに回転させられて先羽根40を閉鎖位置に移動させ、電磁石62の通電により磁性部61cが吸着されてシャッタ動作前のセット位置に保持され、電磁石62を非通電とすることにより磁力による吸着が解除されて、付勢バネの付勢力により時計回りに回転させられて先羽根40を開放位置に移動させるようになっている。
このように、駆動部材として、所定の軸線回りに回動する先羽根駆動レバー61すなわちレバー形態をなす部材を採用するため、単に直線的に往復動する部材に比べて、部品相互の集約化、小型化等を達成しつつ、所望のシャッタ動作を得ることができる。
【0022】
後羽根駆動機構70は、
図1ないし
図3に示すように、後羽根駆動レバー71、後羽根駆動レバー71をシャッタ動作前のセット位置に保持する電磁石72、後羽根駆動レバー71を時計回りに回転付勢する付勢バネ(不図示)等を備えている。
後羽根駆動レバー71は、アーム54が連結される駆動ピン71a、セット部材120が係合して反時計回りに回転力が及ぼされる係合部71b、電磁石72により吸着される磁性部71c、セット部材120に連動する弾性部材130(の他端部132)に係合し得る係合部71d等を備えており、支軸10nにより回動自在に支持されている。
電磁石72は、地板10に固定された他の保持板(不図示)に保持されており、セット部材120により反時計回りに回転させられた後羽根駆動レバー71の磁性部71cと対向して、通電により電磁力を発生して磁性部71cに吸着力を及ぼすようになっている。
そして、後羽根駆動レバー71は、支軸10nにより回動自在に支持されると共に付勢バネにより時計回りに回転付勢され、駆動ピン71aが長孔10cに挿入されて後羽根50のアーム54に連結されており、休止状態で付勢バネにより時計回りに回転させられて後羽根50を閉鎖位置に移動させ、一方、セット部材120により反時計回りに回転させられて後羽根50を開放位置に移動させ、電磁石72の通電により磁性部71cが吸着されてシャッタ動作前のセット位置に保持され、電磁石72を非通電とすることにより磁力による吸着が解除されて、付勢バネの付勢力により時計回りに回転させられて後羽根50を閉鎖位置に移動させるようになっている。
このように、駆動部材として、所定の軸線回りに回動する後羽根駆動レバー71すなわちレバー形態をなす部材を採用するため、単に直線的に往復動する部材に比べて、部品相互の集約化、小型化等を達成しつつ、所望のシャッタ動作を得ることができる。
【0023】
第1制動部材80は、
図1ないし
図6に示すように、支軸10qにより回動自在に支持されたアーム状をなし、自由端側において第1緩衝部材90を嵌め込んで固定する固定部80a、支軸10q寄りにおいて付勢バネ81の一端部81bを掛止する掛止部80b、ストッパとしての壁部10dに当接し得る当接部80c、ストッパとしての壁部10d´に当接し得る当接部80d等を備えている。
付勢バネ81は、
図1ないし
図6に示すように、コイル部81a、一端部81b、及び他端部81cを有するコイル状の捩りバネであり、コイル部81aが支軸10qのネジ孔に捩じ込まれる段付きのネジBの周りに嵌め込まれて保持され、一端部81bが第1制動部材80の掛止部80bに掛止され、他端部81cが地板10のピン10eに掛止されている。
そして、第1制動部材80は、付勢バネ81により時計回りに回転付勢されて、当接部80dが壁部10d´に当接して一方側回転端に停止し、一方、先羽根駆動レバー61の駆動ピン61aが第1緩衝部材90に当接しつつ回転付勢力を及ぼすことにより反時計回りに回転させられて、当接部80cが壁部10dに当接して他方側回転端に停止し、先羽根駆動レバー61が反時計回りに回転して第1緩衝部材90から離脱すると、付勢バネ81の付勢力により時計回りに自動的に回転して、一方側回転端に復帰するようになっている。
このように、制動部材として、所定の軸線回りに回動する第1制動部材80すなわちレバー形態をなす部材を採用するため、単に直線的に往復動する部材に比べて、部品相互の集約化、小型化等を達成しつつ、所望のシャッタ動作及び制動性能を得ることができる。
【0024】
第1緩衝部材90は、
図1ないし
図6に示すように、駆動ピン61aが当接する部分を円弧状に湾曲させてゴム材料により形成されており、第1制動部材80の固定部80aに嵌め込まれて固定されている。
そして、第1緩衝部材90は、先羽根駆動レバー61の駆動ピン61aが当接すると、弾性変形して衝撃力を緩和するような弾力性をもつように形成されている。
【0025】
第2制動部材100は、
図1ないし
図3、
図6に示すように、支軸10rにより回動自在に支持されたアーム状をなし、自由端側において第2緩衝部材110を嵌め込んで固定する固定部100a、支軸10r寄りにおいて付勢バネ101の一端部101bを掛止する掛止部100b、ストッパとしての壁部10fに当接し得る当接部100c、ストッパとしての壁部10f´に当接し得る当接部100d等を備えている。
付勢バネ101は、
図1ないし
図6に示すように、コイル部101a、一端部101b、及び他端部101cを有するコイル状の捩りバネであり、コイル部101aが支軸10rのネジ孔に捩じ込まれる段付きのネジBの周りに嵌め込まれて保持され、一端部101bが第2制動部材100の掛止部100bに掛止され、他端部101cが地板10のピン10gに掛止されている。
そして、第2制動部材100は、付勢バネ101により時計回りに回転付勢されて、当接部100dが壁部10f´に当接して一方側回転端に停止し、一方、後羽根駆動レバー71の駆動ピン71aが第2緩衝部材110に当接しつつ回転付勢力を及ぼすことにより反時計回りに回転させられて、当接部100cが壁部10fに当接して他方側回転端に停止し、後羽根駆動レバー71が反時計回りに回転して第2緩衝部材110から離脱すると、付勢バネ101の付勢力により時計回りに自動的に回転して、一方側回転端に復帰するようになっている。
このように、制動部材として、所定の軸線回りに回動する第2制動部材100すなわちレバー形態をなす部材を採用するため、単に直線的に往復動する部材に比べて、部品相互の集約化、小型化等を達成しつつ、所望のシャッタ動作及び制動性能を得ることができる。
【0026】
第2緩衝部材110は、
図1ないし
図3、
図6に示すように、駆動ピン71aが当接する部分を円弧状に湾曲させてゴム材料により形成されており、第2制動部材100の固定部100aに嵌め込まれて固定されている。
そして、第2緩衝部材110は、後羽根駆動レバー71の駆動ピン71aが当接すると、弾性変形して衝撃力を緩和するような弾力性をもつように形成されている。
【0027】
セット部材120は、
図1ないし
図3、
図7ないし
図9に示すように、支軸10pにより回動自在に支持されると共に付勢バネ(不図示)により反時計回りに回転付勢されており、先羽根駆動レバー61の係合部61bに係合し得る係合部121、後羽根駆動レバー71の係合部71bに係合し得る係合部122、先羽根駆動レバー61の係合部61dに係合して弾性変形し得る弾性片123、弾性部材130の一端部131に係合して弾性部材130の向き及び付勢力に変化を及ぼす円弧状の係合部124、回転駆動力を及ぼす駆動機構(不図示)の一部が連結される連結部(不図示)等を備えている。
そして、セット部材120は、
図3に示す状態から時計回りに回転させられると、係合部121が係合部61bに回転力を及ぼしかつ係合部122が係合部71bに回転力を及ぼして、
図1に示すように、先羽根駆動レバー61及び後羽根駆動レバー71をそれぞれの付勢バネの回転付勢力に抗しつつ反時計回りに回転させて、シャッタ動作前のセット位置に保持し、一方、セット位置において先羽根駆動レバー61が電磁石62により保持されかつ後羽根駆動レバー71が電磁石72により保持された状態で、反時計回りに回転させられると、係合部121が係合部61bから離脱しかつ係合部122が係合部71bから離脱して、先羽根駆動レバー61及び後羽根駆動レバー71の時計回りの回転を許容する状態となる。
【0028】
規制機構は、セット部材120に設けられた弾性片123と、地板10に設けられた弾性部材130により構成されている。
弾性片123は、
図7に示すように、セット部材120が時計回りに回転しかつ先羽根駆動レバー61が反時計回りに回転してセット位置に位置するとき係合部61dから離脱しており、セット部材120が反時計回りに回転して休止位置に復帰し、
図8に示すように、電磁石62の電磁力による吸着から解放された先羽根駆動レバー61が時計回りに回転して第1緩衝部材90に当接し始めの状態においても係合部61dから離脱しており、
図9に示すように、先羽根駆動レバー61がさらに時計回りに回転して第1制動部材80を反時計回りに回転させてストッパに当接させる(当接部80cが壁部10dに当接する)際に、係合部61dに接触して弾性変形させられつつ係合部61dに当接して、先羽根駆動レバー61の移動完了時におけるその反動(バウンド)を規制する(防止ないし抑制する)ように作用する。
このように、先羽根駆動レバー61の移動完了時に先羽根駆動レバー61の一部(係合部61d)と係合することにより弾性変形しつつ反動を規制する向きに付勢力を及ぼすべくセット部材120に一体的に形成された弾性片123を採用することにより、構造の簡素化、部品点数の削減等を達成しつつ、所望のタイミングで反動(バウンド)現象を防止ないし抑制するように設定することができる。
【0029】
弾性部材130は、セット部材120の係合部124に摺動自在に係合する一端部131、後羽根駆動レバー71の係合部71dに離脱可能に係合する他端部132を有すると共に、その中間領域が地板10の保持部10s,10tにより所定の角度範囲を移動可能に保持された板バネである。
そして、弾性部材130の他端部132は、
図7に示すように、セット部材120が時計回りに回転しかつ後羽根駆動レバー71が反時計回りに回転してセット位置に位置するとき係合部71dから離脱しており、セット部材120が反時計回りに回転して休止位置に復帰し、
図8に示すように、電磁石72の電磁力による吸着から解放された後羽根駆動レバー71が時計回りに回転して第2緩衝部材110に当接し始めの状態においても係合部71dから離脱しており、
図9に示すように、後羽根駆動レバー71がさらに時計回りに回転して第2制動部材100を反時計回りに回転させてストッパに当接させる(当接部100cが壁部10fに当接する)際に、係合部71dに接触して弾性変形させられつつ係合部71d(の凹み)に係合し、後羽根駆動レバー71の移動完了時におけるその反動(バウンド)を規制する(防止ないし抑制する)ように作用する。
このように、セット部材120の移動に連動する(一端部131が係合部124を摺動しつつその角度位置が変わる)と共に後羽根駆動レバー71の移動完了時に後羽根駆動レバー71の一部(係合部71d)と他端部132が係合することにより弾性変形しつつ反動を規制する向きに付勢力を及ぼすべく地板10に設けられた弾性部材130を採用することにより、構造の簡素化、部品点数の削減等を達成しつつ、所望のタイミングで反動(バウンド)現象を防止ないし抑制するように設定することができる。
【0030】
次に、このフォーカルプレンシャッタの動作について、
図1ないし
図3、
図7ないし
図9を参照しつつ説明する。
先ず、シャッタ動作完了後の休止状態においては、
図3及び
図9に示すように、セット部材120は反時計回りに回転して休止位置に位置し、先羽根駆動レバー61は時計回りに回転して、駆動ピン61aが第1緩衝部材90に当接すると共に第1制動部材80を押圧して反時計回りに回転させてその当接部80cが壁部10dに当接して停止し、先羽根40は開口部10aを開放した位置に位置し、又、後羽根駆動レバー71は時計回りに回転して、駆動ピン71aが第2緩衝部材110に当接すると共に第2制動部材100を押圧して反時計回りに回転させてその当接部100cが壁部10fに当接して停止し、後羽根50は開口部10aを閉鎖した位置に位置している。
【0031】
ここで、レリーズ動作等により、シャッタ動作の準備指令が発せられると、
図1及び
図7に示すように、セット部材120が時計回りに回転して、係合部121が係合部61bに係合して先羽根駆動レバー61を反時計回りに回転させてシャッタ動作前のセット位置(開口部10aを閉鎖した状態)に位置付け、係合部122が係合部71bに係合して後羽根駆動レバー71を反時計回りに回転させてシャッタ動作前のセット位置(開口部10aを開放した状態)に位置付け、第1緩衝部材90を一体的に保持した第1制動部材80は付勢バネ81の付勢力により時計回りに回転して休止位置(当接部80dが壁部10d´に当接して停止する位置)に復帰し、第2緩衝部材110を一体的に保持した第2制動部材100は付勢バネ101の付勢力により時計回りに回転して休止位置(当接部100dが壁部10f´に当接して停止する位置)に復帰する。
【0032】
続いて、電磁石62が通電されると、磁性部61cを吸着して先羽根駆動レバー61を時計回りに回転付勢する付勢バネの付勢力に抗してセット位置に保持し、電磁石72が通電されると、磁性部71cを吸着して後羽根駆動レバー71を時計回りに回転付勢する付勢バネの付勢力に抗してセット位置に保持する。
そして、セット部材120が反時計回りに回転すると、係合部121が係合部61bから離脱しかつ係合部122が係合部71bから離脱して、先羽根駆動レバー61及び後羽根駆動レバー71の時計回りの回転を規制する状態が解除される。
【0033】
続いて、所望のタイミングで、電磁石62の通電が断たれると、
図2に示すように、先羽根駆動レバー61が付勢バネの付勢力により時計回りに回転し、その駆動ピン61aが第1緩衝部材90に当接し、
図3に示すように、第1緩衝部材90を押圧しつつ第1制動部材80を反時計回りに回転させて、当接部80cが壁部10dに当接して停止すると共に先羽根40が開口部10aを開放し、
図8に示す状態を経て
図9に示すように、係合部61dが弾性片123により押し付けられて、先羽根駆動レバー61が反時計回りに回転しようとする反動(バウンド)が防止される。
また、電磁石62の通電を断った後の所定のタイミングにおいて、電磁石72の通電が断たれると、
図2に示すように、後羽根駆動レバー71が付勢バネの付勢力により時計回りに回転し、その駆動ピン71aが第2緩衝部材110に当接し、
図3に示すように、第2緩衝部材110を押圧しつつ第2制動部材100を反時計回りに回転させて、当接部100cが壁部10fに当接して停止すると共に後羽根50が開口部10aを閉鎖し、
図8に示す状態を経て
図9に示すように、係合部71dが弾性部材130(の他端部132)により押し付けられて、後羽根駆動レバー71が反時計回りに回転しようとする反動(バウンド)が防止される。
以上により、先羽根40及び後羽根50により、開口部10aの開閉動作が行われて、シャッタ動作が完了する。
【0034】
上記のように、駆動部材(先羽根駆動レバー61、後羽根駆動レバー71)は、緩衝部材(第1緩衝部材90、第2緩衝部材110)に当接すると共に緩衝部材(90,110)及び制動部材(第1制動部材80、第2制動部材100)を付勢力に抗しつつ移動させることにより、シャッタ動作に伴う駆動部材(61、71)の衝撃力は、緩衝部材(90、110)による緩衝作用と制動部材(80、100)の付勢力による緩衝作用とが同時に作用して緩和されるため、構造の簡素化、耐久性の向上等を達成しつつ、羽根部材(先羽根40、後羽根50)の走行完了時の衝撃を効率よく緩和でき、又、駆動部材(先羽根駆動レバー61及び後羽根駆動レバー71の駆動ピン61a、71a)は制動部材(80、100)と直接接触しないため、衝撃力による部品の摩耗や破損等を防止でき、シャッタ動作をバラツキ無く所望のタイミングで終了させることができる。
また、駆動部材(61、71)のシャッタ動作による移動完了時にその反動を規制する規制機構(弾性片123、弾性部材130)を含むため、シャッタ動作による移動完了時に、制動部材(80、100)がストッパ(壁部10d、10f)に当接した反発力により、制動部材(80、100)を介して駆動部材(61、71)が反動(バウンド)しようとする場合は、規制機構(123、130)により、これらの反動(バウンド)が規制(防止ないし抑制)されるため、駆動部材(61、71)に連動する羽根部材(先羽根40、後羽根50)の不要な移動を防止でき、羽根部材(先羽根40、後羽根50)に所望のシャッタ動作を行わせることができる。
【0035】
図10ないし
図12は、本発明に係るフォーカルプレンシャッタの他の実施形態を示すものであり、第1制動部材80´が回動する軸線を先羽根駆動レバー61が回動する軸線(支軸10m)と共通(同軸)にし、第2制動部材100´が回動する軸線を後羽根駆動レバー71が回動する軸線(支軸10n)と共通(同軸)にし変更した以外は、前述の実施形態と同一であり、同一の構成については同一の符号を付して説明を省略する。
この実施形態において、第1制動部材80´は、先羽根駆動レバー61の支軸10mと同軸上において回動自在に支持され、付勢バネ81´も支軸10mの周りに配置されている。また、第2制動部材100´は、後羽根駆動レバー71の支軸10nと同軸上において回動自在に支持され、付勢バネ101´も支軸10nの周りに配置されている。
【0036】
上記構成をなすフォーカルプレンシャッタの動作は、前述の実施形態と基本的に同一であり、
図10に示すように、先羽根駆動レバー61(先羽根40)及び後羽根駆動レバー71(後羽根50)がシャッタ動作前のセット位置にある状態から、
図11及び
図12に示すように、シャッタ動作が行われる。
ここでは、
図11及び
図12に示すように、先羽根駆動レバー61の駆動ピン61aが第1緩衝部材90に当接して第1制動部材80´を時計回りに回転させ、又、後羽根駆動レバー71の駆動ピン71aが第2緩衝部材110に当接して第2制動部材100´を時計回りに回転させる際に、先羽根駆動レバー61及び第1制動部材80´が共通の軸線(支軸10m)回りに回動自在に配置され、後羽根駆動レバー71及び第2制動部材100´が共通の軸線(支軸10n)回りに回動自在に配置されているため、駆動ピン61aと第1緩衝部材90との干渉(当接)領域及び駆動ピン71aと第2緩衝部材110との干渉(当接)領域において、滑りや滑りに伴う摩耗等を防止でき、効率の良い緩衝作用を得ることができる。
【0037】
図13及び
図14(a),(b)は、本発明に係るフォーカルプレンシャッタのさらに他の実施形態を示すものであり、ここでは、第1制動部材80の停止位置を調整する調整部材140を採用した以外は、前述の
図1ないし
図9に示す実施形態と同一であり、同一の構成については同一の符号を付して説明を省略する。
この実施形態において、第1制動部材80の近傍には、地板10の円孔10u回りに回動自在に嵌め込まれたストッパとして機能する調整部材140が配置されている。
【0038】
調整部材140は、
図13及び
図14(a),(b)に示すように、地板10の円孔10uに嵌合される軸部141、軸部141の中心線C1から所定量偏倚した中心線C2を中心とする円板状の偏芯係合部142、軸部141の先端側に嵌め込まれて軸部141のカシメ処理により押圧付勢力を及ぼすバネワッシャ143等を備えている。
偏芯係合部142は、その外周において、第1制動部材80の当接部80cと離脱可能に係合する係合面142a、その上端面において、調整部材140を適宜回転調整する際の工具を連結するスリ割り状の連結部142b等を有する。
ここでは、調整部材140は、
図13に示すように、軸部141を地板10の円孔10uに通した後にバネワッシャ143を嵌め込んでカシメ処理を施すことで、偏芯係合部142とバネワッシャ143とが地板10を挟み込む挟持力(所定の押圧付勢力)が得られるようになっている。これによれば、調整部材140を適宜回転させて、第1制動部材80の停止位置を調整した場合、第1制動部材80が当接しても、その調整位置が(位置ずれを生じることなく)維持されるようになっている。
【0039】
すなわち、
図14(a),(b)に示すように、調整部材40を適宜回転させて、第1制動部材80の停止位置を調整することにより、第1制動部材80に当接して停止する先羽根駆動レバー61を介して先羽根40が開口部10aを閉鎖して停止する閉鎖側の停止位置が調整される。
これにより、組付け時のバラツキ等を適宜調整して、先羽根40が開口部10aを確実に閉鎖するように(又は、地板10に先羽根40を当接させる緩衝ゴム等が配置されている場合は、その緩衝ゴムとの当接状態を最適にするように)調整することができる。
ここでは、調整部材として、軸部141及び偏芯係合部142を含む調整部材140を採用するため、構造の簡素化等を達成しつつ、単に軸部141回りの回転調整を行って第1制動部材80に係合する偏芯係合部142の係合位置を変えるだけで、第1制動部材80の停止位置(すなわち、先羽根駆動レバー61を介した先羽根40の停止位置)を簡単に調整することができる。
【0040】
上記実施形態においては、先羽根40及び後羽根50を備えた構成において、先羽根駆動レバー61及び後羽根駆動レバー71に対して、それぞれ第1緩衝部材90を保持した第1制動部材80,80´及び第2緩衝部材110を保持した第2制動部材100,100´を採用した、すなわち二つの羽根部材を採用した場合を示したが、これに限定されるものではなく、例えば、一つの羽根部材を備え、単に開口部を開放した状態から閉鎖した状態に移動することでシャッタ動作を行う構成において本願発明を採用することもできる。
【0041】
上記実施形態においては、先羽根駆動レバー61及び後羽根駆動レバー71を時計回りに回転付勢する付勢バネの力量と第1制動部材80、80´及び第2制動部材100、100´を時計回りに回転付勢する付勢バネ81、81´、101、101´の力量との関係は、
図3及び
図12に示すようにシャッタ動作が完了した状態では、先羽根駆動レバー61及び後羽根駆動レバー71を回転付勢する付勢バネの力量が付勢バネ81、81´、101、101´の力量よりも十分大きく設定された構成になっているが、これに限定されるものではなく、先羽根40及び後羽根50による所望のシャッタ動作が保証される限りにおいて、相互の力量を調整することができる。
【0042】
上記実施形態においては、制動部材の停止位置を調整し得るストッパとしての調整部材として、軸部141及び偏芯係合部142を含む偏芯形状の調整部材140を採用した場合を示したが、これに限定されるものではなく、制動部材の停止位置を調整し得るものであれば、その他の形態をなす調整部材を採用することができる。
また、上記実施形態においては、調整部材140を、先羽根40(及び先羽根駆動レバー61)に対応する第1制動部材80に対して設けた場合を示したが、これに限定されるものではなく、後羽根50(及び後羽根駆動レバー71)に対応する第2制動部材100に対して設けてもよく、あるいは、一つの羽根部材を備え、単に開口部を開放した状態から閉鎖した状態に移動することでシャッタ動作を行う構成において、一つの羽根部材に対応する制動部材に対して設けてもよい。