特許第6411105号(P6411105)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6411105
(24)【登録日】2018年10月5日
(45)【発行日】2018年10月24日
(54)【発明の名称】レール切断装置
(51)【国際特許分類】
   B23D 29/02 20060101AFI20181015BHJP
   B23D 23/00 20060101ALI20181015BHJP
【FI】
   B23D29/02 C
   B23D23/00 B
【請求項の数】8
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2014-143192(P2014-143192)
(22)【出願日】2014年7月11日
(65)【公開番号】特開2016-16503(P2016-16503A)
(43)【公開日】2016年2月1日
【審査請求日】2017年7月5日
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 展示会名 第40回 ジャンボびっくり見本市 開催場所 住 所 大阪府大阪市住之江区南港北1−5−102 インテックス大阪6号館C・Dゾーン 開催日 平成26年4月11日〜12日 2日間
(73)【特許権者】
【識別番号】000181572
【氏名又は名称】篠原電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100148138
【弁理士】
【氏名又は名称】森本 聡
(72)【発明者】
【氏名】篠原 基一郎
【審査官】 山本 忠博
(56)【参考文献】
【文献】 特開平09−010449(JP,A)
【文献】 実開平01−148223(JP,U)
【文献】 特開2009−285749(JP,A)
【文献】 特開平08−047812(JP,A)
【文献】 実開昭57−170920(JP,U)
【文献】 特開平06−297235(JP,A)
【文献】 実開昭56−076319(JP,U)
【文献】 特開昭63−185512(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B23D 29/00−29/02,
23/00−23/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1ハンドル(1)および第2ハンドル(2)と、第1ハンドル(1)のハンドル端に設けた第1刃ホルダー(4)と、第1刃ホルダー(4)に設けたせん断支軸(3)で揺動可能に支持される第2刃ホルダー(5)と、第1刃ホルダー(4)に固定される第1せん断刃(6)と、第2刃ホルダー(5)に固定される第2せん断刃(7)とを備えており、
第1、第2の両せん断刃(6・7)には、それぞれレール(R)を装着するための装着穴(25・35)がせん断支軸(3)の軸中心と平行な向きに形成されており、
第2ハンドル(2)は、第1ハンドル(1)に対して接近ないし離反する向きへ相対揺動できるよう、第1刃ホルダー(4)に第1軸(16)で揺動可能に連結されており、
第2ハンドル(2)と第2刃ホルダー(5)とは、第2ハンドル(2)の揺動動作を第2刃ホルダー(5)に伝える操作リンク(15)で連結されて、操作リンク(15)の一端が第2軸(17)で第2ハンドル(2)に連結され、操作リンク(15)の他端が第3軸(18)で第2刃ホルダー(5)に連結されており、
操作リンク(15)の第2軸(17)と第3軸(18)の中心間距離(L1)が、第2刃ホルダー(5)のせん断支軸(3)と第3軸(18)の中心間距離(L3)より大きく設定されて、操作リンク(15)と第2刃ホルダー(5)とが倍力リンク対を構成しており、
第1刃ホルダー(4)と、第1せん断刃(6)と、第2せん断刃(7)と、第2刃ホルダー(5)の4者が、記載順に隣接配置されてせん断支軸(3)で連結されており、
第1せん断刃(6)および第2せん断刃(7)の上下端が、ボルト(26・36)とせん断支軸(3)で、第1刃ホルダー(4)および第2刃ホルダー(5)に締結固定されており、
第1ハンドル(1)と第2ハンドル(2)を開き位置から切断位置へ相対揺動操作する状態において、第1せん断刃(6)および第2せん断刃(7)の装着穴(25・35)に差込み装着されたレール(R)を、両せん断刃(6・7)でせん断することを特徴とするレール切断装置。
【請求項2】
第1ハンドル(1)と第2ハンドル(2)を開き位置から切断位置へ相対揺動操作した状態において、第1軸(16)の中心と第3軸(18)の中心とが近傍に位置して、第2ハンドル(2)と第1刃ホルダー(4)とが逆V状に折畳まれ、操作リンク(15)と第2刃ホルダー(5)とが逆V状に折畳まれている請求項1に記載のレール切断装置。
【請求項3】
第1刃ホルダー(4)および第2刃ホルダー(5)が鋼板材で形成され、第2ハンドル(2)と操作リンク(15)が帯鋼材で形成され、第1せん断刃(6)と第2せん断刃(7)のそれぞれが、工具鋼を素材とする板状ブロックで形成してある請求項1または2に記載のレール切断装置。
【請求項4】
第1刃ホルダー(4)と第2刃ホルダー(5)のそれぞれの板面に、装着穴(25・35)の外郭線を囲むガイド部(24・34)が設けられており、
レール(R)をガイド部(24・34)で案内しながら装着穴(25・35)に差込み装着できる請求項1から3のいずれかひとつに記載のレール切断装置。
【請求項5】
切断位置において第2せん断刃(7)を受止める閉じストッパー(41)が第1せん断刃(6)に設けられており、
開き位置において第2刃ホルダー(5)を受止める開きストッパー(40)が、第1ハンドル(1)ないし第1刃ホルダー(4)に設けてある請求項1から4のいずれかひとつに記載のレール切断装置。
【請求項6】
第1刃ホルダー(4)の側から第1せん断刃(6)にねじ込んだボルト(26)が、第1せん断刃(6)の第2せん断刃(7)との摺動面から突出されて閉じストッパー(41)として機能しており、
第1刃ホルダー(4)を第1ハンドル(1)のハンドル端に締結固定するボルト(9)の操作頭部が、第2刃ホルダー(5)の揺動軌跡に臨んで配置されて、開きストッパー(40)として機能している請求項5に記載のレール切断装置。
【請求項7】
第2刃ホルダー(5)の周囲に突設した調整腕(33)に、開きストッパー(40)で受止められる調整ボルト(42)がねじ込み装着されており、
調整ボルト(42)の調整腕(33)に対するねじ込み量を調整して、第2刃ホルダー(5)の開き位置を調整できる請求項6に記載のレール切断装置。
【請求項8】
第1軸(16)と第2軸(17)の中心間距離(L2)と、第2軸(17)と第3軸(18)の中心間距離(L1)とが同じに設定されており、
せん断支軸(3)と第3軸(18)の中心間距離(L3)が、せん断支軸(3)と第1軸(16)の中心間距離(L4)よりわずかに大きく設定してある請求項1から7のいずれかひとつに記載のレール切断装置
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、金属製のレールを切断するためのレール切断装置に関する。本発明に係るレール切断装置は、主に配電盤や分電盤の内部に組付けられるDIN規格の配線用レールを切断対象としている。
【背景技術】
【0002】
この種のレール切断装置として、本出願人は特許文献1に係るレール切断装置を先に提案している。そこでは、チャンネル材からなるベースの一端に支持ブロックを固定し、支持ブロックの上側に固定刃と可動刃を配置し、固定刃に設けた支軸で可動刃を回動可能に軸支している。固定刃および可動刃にはそれぞれ連結腕が固定してあり、固定刃側の連結腕にハンドルの支点部が連結され、可動刃側の連結腕にハンドルの作用点部が繭形の倍力リンクを介して連結してある。固定刃および可動刃には、レール断面と同じ形の装着穴が各刃を左右に横断する状態で形成してあり、装着穴にレールを差し込んだ状態でハンドルを押下げることにより、レールを切断することができる。
【0003】
特許文献2には電動式のレールカッターが開示されている。そこでは、ばねで復帰付勢されるダイス部と、ダイス部をばねの付勢力に抗して移動操作する「へ」字状のリンク対と、リンク対の連結部分を押下げ操作するカムと、カムを回転駆動するモーターなどでレールカッターを構成している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009−285749号公報(段落番号0026、図1
【特許文献2】特開平11−320244号公報(段落番号0006〜0012、図1
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1の押切型のレール切断装置は、ハンドルの長さと、固定刃および可動刃に固定される連結腕の長さを大きくして切断時のモーメントを大きくし、さらにハンドルと倍力リンクのトッグル作用によってハンドルに加わる切断力を増幅して、より小さな力でレール切断を行えるようにしている。しかし、せん断モーメントを大きくするためのハンドルとベースの長さが大きく、しかも全体重量が大きいため、全体装置を手で持った状態でレール切断を行うことが難しく、さらに、レール切断装置をレールの組立現場へ携行することが難しい。そのため多くの場合は、レール切断装置が設置してある場所でレールを所定の寸法に切断したのち、切断されたレールを配電盤や分電盤の設置現場へ運んで、盤内部に組付けている。こうした作業手順では、切断されたレールの長さが長かった場合に、レールの組立現場でレール長さを修正することができない不便がある。また、レールの組立現場において、新たなレールを追加する必要が生じたとしても、即座に対応できない不利がある。
【0006】
その点、特許文献2のレールカッターによれば、レールカッターをレールの組立現場へ搬入することにより、レール長さを修正し、あるいは新たなレールを切断できるであろう。しかし、モーターおよびダイス部の重量が大きいので、特許文献1のレール切断装置と同様に、レールカッターの搬入に手間を要し手軽に使用しにくいうえ、モーターを含む駆動構造の分だけレールカッターの導入コストが嵩む不利がある。
【0007】
本発明の目的は、より小さな力でレール切断を行えるにも拘らず、全体装置をコンパクト化し軽量化して、レールの組立現場へ手軽に携行することができ、従って、レールの組立現場におけるレール長さの修正や、新たなレールの追加を適宜行うことができるレール切断装置を提供することにある。
本発明の目的は、ハンドルを両手で持ってレール切断を手軽に行うことができ、しかも、モーターを駆動源とする切断装置に比べて低コストで提供できる、手持式のレール切断装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係るレール切断装置は、第1ハンドル1および第2ハンドル2と、第1ハンドル1のハンドル端に設けた第1刃ホルダー4と、第1刃ホルダー4に設けたせん断支軸3で揺動可能に支持される第2刃ホルダー5と、第1刃ホルダー4に固定される第1せん断刃6と、第2刃ホルダー5に固定される第2せん断刃7とを備えている。第1、第2の両せん断刃6・7には、それぞれレールRを装着するための装着穴25・35がせん断支軸3の軸中心と平行な向きに形成してある。第2ハンドル2は、第1ハンドル1に対して接近ないし離反する向きへ相対揺動できるよう、第1刃ホルダー4に第1軸16で揺動可能に連結する。第2ハンドル2と第2刃ホルダー5とは、第2ハンドル2の揺動動作を第2刃ホルダー5に伝える操作リンク15で連結する。操作リンク15の一端は第2軸17で第2ハンドル2に連結し、操作リンク15の他端は第3軸18で第2刃ホルダー5に連結する。操作リンク15の第2軸17と第3軸18の中心間距離L1が、第2刃ホルダー5のせん断支軸3と第3軸18の中心間距離L3より大きく設定されて、操作リンク15と第2刃ホルダー5とが倍力リンク対を構成している。第1刃ホルダー4と、第1せん断刃6と、第2せん断刃7と、第2刃ホルダー5の4者を、記載順に隣接配置してせん断支軸3で連結する。第1せん断刃6および第2せん断刃7の上下端を、ボルト26・36とせん断支軸3で、第1刃ホルダー4および第2刃ホルダー5に締結する。第1ハンドル1と第2ハンドル2を開き位置から切断位置へ相対揺動操作する状態において、第1せん断刃6および第2せん断刃7の装着穴25・35に差込み装着されたレールRを、両せん断刃6・7でせん断することを特徴とする。
【0009】
第1ハンドル1と第2ハンドル2を開き位置から切断位置へ相対揺動操作した状態において、第1軸16の中心と第3軸18の中心とが近傍に位置して、第2ハンドル2と第1刃ホルダー4とが逆V状に折畳まれ、操作リンク15と第2刃ホルダー5とが逆V状に折畳まれる。
【0010】
第1刃ホルダー4および第2刃ホルダー5を鋼板材で形成し、第2ハンドル2と操作リンク15を帯鋼材で形成し、第1せん断刃6と第2せん断刃7のそれぞれを、工具鋼を素材とする板状ブロックで形成する。
【0011】
第1刃ホルダー4と第2刃ホルダー5のそれぞれの板面に、装着穴25・35の外郭線を囲むガイド部24・34を設ける。レールRをガイド部24・34で案内しながら装着穴25・35に差込み装着する。
【0013】
切断位置において第2せん断刃7を受止める閉じストッパー41を第1せん断刃6に設ける。開き位置において第2刃ホルダー5を受止める開きストッパー40を、第1ハンドル1ないし第1刃ホルダー4に設ける。
【0014】
第1刃ホルダー4の側から第1せん断刃6にねじ込んだボルト26は、第1せん断刃6の第2せん断刃7との摺動面から突出して閉じストッパー41として機能している。第1刃ホルダー4を第1ハンドル1のハンドル端に締結固定するボルト9の操作頭部は、第2刃ホルダー5の揺動軌跡に臨んで配置されて、開きストッパー40として機能している。
【0015】
第2刃ホルダー5の周囲に突設した調整腕33に、開きストッパー40で受止められる調整ボルト42をねじ込み装着する。調整ボルト42の調整腕33に対するねじ込み量を調整して、第2刃ホルダー5の開き位置を調整できるようにする。
【0016】
第1軸16と第2軸17の中心間距離L2と、第2軸17と第3軸18の中心間距離L1とは同じに設定してある。せん断支軸3と第3軸18の中心間距離L3は、せん断支軸3と第1軸16の中心間距離L4よりわずかに大きく設定してある。
【発明の効果】
【0018】
本発明に係るレール切断装置においては、第1ハンドル1および第2ハンドル2と、第1刃ホルダー4および第2刃ホルダー5と、各刃ホルダー4・5に固定される第1せん断刃6および第2せん断刃7などでレール切断装置を構成するようにした。また、第2ハンドル2を第1刃ホルダー4に第1軸16で連結し、ハンドル2の揺動動作を、操作リンク15を介して第2刃ホルダー5に伝えるようにして、操作リンク15と第2刃ホルダー5とが倍力リンク対を構成するようにした。詳しくは、操作リンク15の第2軸17と第3軸18の中心間距離L1を、第2刃ホルダー5のせん断支軸3と第3軸18の中心間距離L3より大きく設定して、第2ハンドル2の操作力を十分に増幅した状態で、第2刃ホルダー5に伝えるようにした。こうしたレール切断装置によれば、レールRを切断する際には、第1せん断刃6および第2せん断刃7に設けた装着穴25・35にレールRを差込み装着し、切断位置を決定したのち、第1ハンドル1と第2ハンドル2を開き位置から切断位置へ相対揺動操作することにより、両せん断刃6・7の摺動面でレールRをせん断することができる。
【0019】
上記のように構成した本発明のレール切断装置によれば、従来の押切型のレール切断装置や、電動式のレールカッターに比べて、全体装置をコンパクト化し軽量化しながら、より小さな力でレール切断を行うことができる。これに伴い、レール切断装置をレールRの組立現場へ手軽に携行することができるのはもちろん、レールRの組立現場におけるレール長さの修正や、新たなレールRの追加を手軽に行うことができる、使い勝手に優れたレール切断装置が得られる。さらに、本発明によれば、第1ハンドル1および第2ハンドル2を手に持った状態でレール切断を手軽に行うことができる、手持式のレール切断装置を提供できる。さらに、モーターを駆動源とするレールカッターに比べて、手工具として構成されたレール切断装置をより低コストで提供できる。
【0020】
第1ハンドル1と第2ハンドル2を切断位置に操作した状態では、第2ハンドル2と第1刃ホルダー4とが逆V状に折畳まれ、操作リンク15と第2刃ホルダー5とが逆V状に折畳まれる。さらに、切断位置における両ハンドル1・2は、概ね平行な姿勢に折畳まれているので、従来の押切型のレール切断装置に比べて、両ハンドル1・2を切断位置に操作したときのレール切断装置の外形寸法を著しく小さくすることができる。従って、レール切断装置をさらに小形化しコンパクト化した状態で容易に持ち運ぶことができ、携行時のレール切断装置が嵩張るのを解消できる。
【0021】
第1刃ホルダー4および第2刃ホルダー5を鋼板材で形成し、第2ハンドル2と操作リンク15を帯鋼材で形成し、第1せん断刃6と第2せん断刃7のそれぞれを、工具鋼を素材とする板状ブロックで形成すると、各部材の必要強度を満足しながら、せん断構造を構成する各部材を極力薄く形成して重量を軽減し、極限まで軽量化することができる。従って、手持ち状態でレールRを切断する場合に、レール切断装置が持重りするのを避けながら、両ハンドル1・2に腕の力を効果的に作用させることができ、レール切断をさらに軽快に行うことができる。
【0022】
第1刃ホルダー4と第2刃ホルダー5に、装着穴25・35の外郭線を囲むガイド部24・34を設けると、レールRをガイド部24・34で案内しながら装着穴25・35に差込み装着することができる。従って、レールRを装着穴25・35に直接に差込み装着する場合に比べて、両せん断刃6・7に対するレールRの装着作業を簡便に、しかも的確に行うことができ、レールRのセッティングからせん断に至る一連の作業を速やかに行うことができる。
【0023】
第1刃ホルダー4と、第1せん断刃6と、第2せん断刃7と、第2刃ホルダー5の4者を、記載順に隣接配置してせん断支軸3で連結すると、両せん断刃6・7と第2刃ホルダー5を第1刃ホルダー4に対して、1個のせん断支軸3のみで適正に位置決めした状態で
連結できる。また、第1せん断刃6および第2せん断刃7の上下端を、ボルト26・36とせん断支軸3で締結すると、各せん断刃6・7の上端寄りおよび下端寄りを、各ホルダー4・5に対して強硬に締結できるので、組付け状態におけるせん断構造の堅牢度を向上し、レール切断装置の信頼性を向上できる。
【0024】
第1せん断刃6に閉じストッパー41を設け、第1ハンドル1ないし第1刃ホルダー4に開きストッパー40を設けると、使用時に第1ハンドル1と第2ハンドル2が、不必要に揺動操作されるのを規制して、両ハンドル1・2を切断位置および開き位置において適正に位置保持できる。従って、レール切断時のハンドル操作を常に適正に行うことができ、例えば、各ハンドル1・2が過剰に揺動操作されて、各ハンドル1・2のグリップ8・10を握っている手指が勢い余って衝突するなどの不具合を解消できる。
【0025】
第1せん断刃6にねじ込んだボルト26がストッパー41を兼ね、第1刃ホルダー4を締結固定するボルト9の操作頭部が開きストッパー40を兼ねるようにすると、各ストッパー40・41を別途設ける場合に比べて、せん断部構造を簡素化して、その分だけコストを削減できる。さらに、各ストッパー40・41を別途設ける場合に比べて、せん断部構造を軽量化して、手持ち状態でレールRを切断する際のせん断操作をさらに軽快に行うことができる。
【0026】
第2刃ホルダー5の調整腕33に、開きストッパー40で受止められる調整ボルト42をねじ込み装着すると、調整ボルト42のねじ込み量を調整することで、第2刃ホルダー5の開き位置を調整することができる。従って、開き位置における両せん断刃6・7の装着穴25・35の位置調整をより的確に行って、レールRの装着穴25・35に対する装着を的確に行うことができる。
【0027】
中心間距離L2と中心間距離L1とを同じに設定し、中心間距離L3を中心間距離L4よりわずかに大きく設定するのは、操作リンク15とリンク連結腕30とのリンク比を大きくしながら、両ハンドル1・2が揺動するとき、常に第3軸18を第1軸16の周りに揺動させて、とくに第2ハンドル2の回動操作を確実化するためである。因みに、中心間距離L3と中心間距離L4が同じである場合には、第3軸18と第1軸16の中心位置が変化しないので、第2ハンドル2を揺動操作しても第2刃ホルダー5は揺動しない。また、中心間距離L1を中心間距離L2より大きく設定することは可能であるが、その場合には、切断位置において操作リンク15およびリンク連結腕30の上部が、せん断構造の上側に突出するため、その分だけ外形寸法が大きくなるのを避けられない。さらに、開き位置において第3軸18の中心が思案点(死点)を越えるおそれがあり、その場合に第2ハンドル2の回動操作が不確実になり、あるいはぎくしゃくする。中心間距離L1を中心間距離L2より小さく設定することも可能であるが、その場合には、操作リンク15とリンク連結腕30とのリンク比が小さくなり、その分だけレールRに作用するせん断力が小さくなる。以上の理由から、中心間距離L2と中心間距離L1とを同じに設定し、中心間距離L3を中心間距離L4よりわずかに大きく設定している。
【図面の簡単な説明】
【0029】
図1】本発明に係るレール切断装置のせん断部構造を示す正面図である。
図2】本発明に係るレール切断装置の正面図、およびレールの斜視図である。
図3】本発明に係るせん断部構造の分解斜視図である。
図4】操作リンクと第2刃ホルダーを分離した状態の分解正面図である。
図5】第2ハンドルを開き操作した状態のせん断部構造の正面図である。
図6図5におけるA−A線断面図である。
図7】せん断部の構造の一部を変更した別実施例を示す分解正面図である。
図8】切断位置に折畳まれたレール切断装置の外観六面図である。
図9】開き位置に開放されたレール切断装置の外観六面図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
(実施例) 図1ないし図6は、本発明に係るレール切断装置の実施例を示す。図2において、レール切断装置は、第1ハンドル1と、第2ハンドル2と、第1ハンドル1のハンドル端に設けた第1刃ホルダー4と、第1刃ホルダー4に設けたせん断支軸3で揺動可能に支持される第2刃ホルダー5と、第1刃ホルダー4に固定される第1せん断刃6と、第2刃ホルダー5に固定される第2せん断刃7などを備えている。レール切断装置は、第1ハンドル1の側に設けられる第1刃ホルダー4および第1せん断刃6と、第2ハンドル2に連動する第2刃ホルダー5、第2せん断刃7、および操作リンク15が非対称になっている。軽量化のために、第1ハンドル1は金属製の中空パイプを素材にして形成してあり、その下端にプラスチック製のグリップ8が固定され、その上端に第1刃ホルダー4が2個の六角穴付きボルト(ボルト)9で締結固定してある。
【0031】
図2に示すように、切断対象であるレールRはDIN規格の配線用レールであって、断面コ字状のレール本体12と、レール本体12の開口縁から張出されるフランジ壁13とを一体に備えた、ハット形断面のアルミニウム条材からなり、レール本体12の底壁には給電線や信号線を出し入れするための長穴14が一定間隔おき、開口してある。レール本体12の対向する側壁の下部外面に、底壁に連続して短寸のリブ壁が突設してある配線用レールも切断対象とすることができる。
【0032】
図3において、第2ハンドル2は帯鋼(帯鋼材)を素材とする棒体からなり、その下端にプラスチック製のグリップ10が固定してある。第2ハンドル2は、第1ハンドル1に対して接近ないし離反する向きへ相対揺動できるよう、第1刃ホルダー4に第1軸16で揺動可能に連結されている。第1ハンドル1のグリップ8が直線状に形成してあるのに対して、第2ハンドル2のグリップ10は、その中途部が外突状に湾曲させてある。これは、開き操作された第1ハンドル1と第2ハンドル2を、互いに接近する向きへ相対揺動操作するとき、第2ハンドル2をユーザーの体幹方向へ引寄せ操作しやすくするためである。
【0033】
第2ハンドル2と第2刃ホルダー5とは、第2ハンドル2の揺動動作を第2刃ホルダー5に伝える操作リンク15で連結されている。詳しくは、操作リンク15の下端が第2軸17で第2ハンドル2のグリップ端寄りに連結され、その上端が第3軸18で第2刃ホルダー5に連結してある。操作リンク15は、帯鋼(帯鋼材)を素材とする棒体からなる。
【0034】
図4に示すように、操作リンク15における第2軸17と第3軸18の中心間距離L1は、第2ハンドル2の第1軸16と第2軸17の中心間距離L2と同じに設定してある。また、操作リンク15の第2軸17と第3軸18の中心間距離L1を、第2刃ホルダー5のせん断支軸3と第3軸18の中心間距離L3より大きく設定することにより、操作リンク15と第2刃ホルダー5のリンク連結腕30とで倍力リンク対を構成している。さらに、せん断支軸3と第3軸18の中心間距離L3は、せん断支軸3と第1軸16の中心間距離L4よりわずかに大きく設定してある。上記のように、中心間距離L2と中心間距離L1を同じに設定し、中心間距離L3を中心間距離L4よりわずかに大きく設定すると、操作リンク15とリンク連結腕30とのリンク比を大きくしながら、両ハンドル1・2が揺動するとき、常に第3軸18を第1軸16の周りに揺動させて、とくに第2ハンドル2の回動操作を確実化することができる。
【0035】
因みに、中心間距離L2と中心間距離L1とが同じで、中心間距離L3と中心間距離L4が同じである場合には、第3軸18と第1軸16の中心位置が変化しないので、第2ハンドル2を揺動操作しても第2刃ホルダー5は揺動しない。また、中心間距離L1を中心間距離L2より大きく設定した場合には、切断位置において操作リンク15およびリンク連結腕30の上部が、せん断構造の上側に突出するため、その分だけレール切断装置の外形寸法が大きくなるのを避けられない。加えて、開き位置において第3軸18の中心が思案点(死点)を越えて、第2ハンドル2の回動操作が不確実になり、あるいはぎくしゃくするおそれがある。上記とは逆に、中心間距離L1を中心間距離L2より小さく設定することも可能である。しかし、その場合には、操作リンク15とリンク連結腕30とのリンク比が小さくなり、その分だけレールRに作用するせん断力が小さくなる。以上の理由から、中心間距離L2と中心間距離L1とを同じに設定し、中心間距離L3を中心間距離L4よりわずかに大きく設定している。
【0036】
図3において第1刃ホルダー4は、構造用鋼板(鋼板材)をレーザーで切断して形成してあり、せん断支軸3を組付けるための第1基端ボス部19と、同ボス部19から上向きに突設されるハンドル連結腕20と、ハンドル連結腕20から横向きに突設される第1締結座21およびガイド腕22と、第1基端ボス部19の下部に連続する連結座23とを一体に備えている。ガイド腕22の上縁に沿って、レールRを差込み案内するコ字状のガイド部24が、装着穴25の外郭線を囲む状態で形成してある。ハンドル連結腕20の先端に第2ハンドル2が第1軸16で連結されており、第1ハンドル1の側からねじ込んだ六角穴付ボルト9を連結座23にねじ込むことにより、第1刃ホルダー4が第1ハンドル1と一体化してある。
【0037】
第1せん断刃6は、工具鋼をレーザーで切断して形成した三角形状の板状ブロックからなり、その板面の上下中途部にレールRを装着するための装着穴25が、せん断支軸3の軸中心と平行な向きに形成してある。第1せん断刃6は、その下側の頂部に挿通されるせん断支軸3と、第1締結座21の側から上側の頂部にねじ込まれる六角穴付ボルト(ボルト)26で締結されて、第1刃ホルダー4と一体化してある。第1せん断刃6を第1刃ホルダー4に固定した状態では、図4に示すように装着穴25の周囲がガイド部24で囲まれて、ガイド部24の底面が装着穴25の下縁に臨んでいる。
【0038】
第2刃ホルダー5は、構造用鋼板(鋼板材)をレーザーで切断して形成してあり、せん断支軸3を組付けるための第2基端ボス部29と、同ボス部29から上向きに突設されるリンク連結腕30と、リンク連結腕30の下部から横向きに突設されるガイド腕31と、ガイド腕31の突端から上向きに突設される第2締結座32と、第2基端ボス部29の下周面に突設される調整腕33とを一体に備えている。ガイド腕31の上縁に沿って、レールRを差込み案内するコ字状のガイド部34が、装着穴35の外郭線を囲む状態で形成してある。リンク連結腕30の先端に操作リンク15が第3軸18で連結される。
【0039】
第2せん断刃7は、工具鋼を素材とする五角形状の板状ブロックからなり、その板面の上下中途部に、レールRを装着するための装着穴35がせん断支軸3の軸中心と平行な向きに形成してある。第2せん断刃7は、その下側の頂部に挿通されるせん断支軸3と、第2締結座32の側から上隅の頂部にねじ込まれる六角穴付ボルト(ボルト)36で締結されて、第2刃ホルダー5と一体化してある。第2せん断刃7を第2刃ホルダー5に固定した状態では、図4に示すように装着穴35の周囲がガイド部34で囲まれて、ガイド部34の底面が装着穴35の下縁に臨んでいる。第2刃ホルダー5および第2せん断刃7は、せん断支軸3で揺動可能に支持されている。図4において符号37は、せん断支軸3に平座金を介してねじ込まれるナットである。
【0040】
第2ハンドル2をハンドル連結腕20に第1軸16で連結し、操作リンク15を第2軸17で第2ハンドル2に連結し、操作リンク15を第3軸18で第2刃ホルダー5のリンク連結腕30に連結し、第1刃ホルダー4と、第1せん断刃6と、第2せん断刃7と、第2刃ホルダー5の4者をせん断支軸3で連結することにより、各部材を一体化できる。この組立て状態における第1せん断刃6と第2せん断刃7は、それぞれの上下端が六角穴付きボルト26・36とせん断支軸3で連結されるので、両せん断刃6・7を強固に固定することができる。
【0041】
図4において、第1刃ホルダー4におけるせん断支軸3の中心と、六角穴付きボルト26の中心と、第1軸16の中心を結ぶ形状は、せん断支軸3の中心と第1軸16の中心を結ぶ直線を底辺とし、六角穴付きボルト26の中心を頂部とする扁平な三角形状に形成されている。また、第2刃ホルダー5におけるせん断支軸3の中心と、六角穴付きボルト36の中心と、第3軸18の中心を結ぶ形状は、せん断支軸3の中心と第3軸18の中心を結ぶ直線を底辺とし、六角穴付きボルト36の中心を頂部とする扁平な三角形状に形成されている。第1刃ホルダー4と第1せん断刃6、および第2せん断刃7と第2刃ホルダー5の4者は、図6に示すように記載順に隣接配置されて、第2せん断刃7が第1せん断刃6に対して摺動しながら揺動する。
【0042】
詳しくは、第1ハンドル1と第2ハンドル2は、図2に実線で示す切断位置と、想像線で示す開き位置との間で相対揺動操作することができ、相対揺動時の第2ハンドル2の第1軸16の周りの揺動角度は80度から100度の範囲内に設定することが好ましい。第2ハンドル2の揺動角度が100度を越えると、開き位置における各ハンドル1・2のグリップ8・10の間隔が大きくなるので、開き位置において両ハンドル1・2をユーザーの体幹方向へ引寄せ操作する力が両ハンドル1・2に伝わりにくく、操作しづらくなる。また、第2ハンドル2の揺動角度が80度未満であると、両ハンドル1・2を開き位置から切断位置まで相対揺動したときの、第1せん断刃6と第2せん断刃7の交差角度が小さくなるので、両せん断刃6・7をせん断支軸3から離れた位置に設けて、交差量を増加する必要があり、レールRをせん断するのに、より大きな力が必要になってしまう。この実施例では、相対揺動時の第2ハンドル2の第1軸16の周りの揺動角度を90度に設定して、引寄せ操作力を両ハンドル1・2に的確に伝えながら、より小さなせん断力でレールRをせん断できるようにした。
【0043】
開き位置を越えて両ハンドル1・2が開き操作されるのを規制し、さらに、切断位置を越えて両ハンドル1・2が閉じ操作されるのを規制するために、開きストッパー40と閉じストッパー41を設けている。図5に示すように開きストッパー40は、第2刃ホルダー4の調整腕33の揺動軌跡に臨む、第1ハンドル1にねじ込んだ上側の六角穴付きボルト9の操作頭部が兼ねており、第2刃ホルダー5の調整腕33にねじ込んだ調整ボルト42のねじ端部を操作頭部で受止めることにより、両ハンドル1・2の開き限界を規定している。調整ボルト42にはロックナット43がねじ込んであり、ロックナット43を緩めて調整ボルト42のねじ込み量を加減することにより、開き限界位置を調整することができる。
【0044】
閉じストッパー41は、第1せん断刃6にねじ込まれた六角穴付きボルト26が兼ねており、図1に示すように、そのねじ軸部で第1せん断刃6の周側面を受止めて、両ハンドル1・2の閉じ限界を規定している。このように、第1せん断刃6の摺動面から突出する六角穴付きボルト26のねじ軸を、閉じストッパー41として利用すると、別途閉じストッパー41を設ける必要がないので、レール切断装置のせん断部構造を簡素化でき、軽量化にも寄与できる。
【0045】
両ハンドル1・2を切断位置に揺動操作した状態では、第1軸16の中心と第3軸18の中心とが近傍に位置して、第2ハンドル2と第1刃ホルダー4とが逆V状に折畳まれ、操作リンク15と第2刃ホルダー5とが逆V状に折畳まれている。このようにレール切断装置は、両ハンドル1・2がコンパクトに折畳まれた状態で、工具箱内の発泡プラスチック材で形成した保形体に収納した状態で出荷される。特許文献1に係るレール切断装置の重量が5kgであったのに対し、上記のレール切断装置は1.5kgと大幅に軽量化され、さらに装置全体がコンパクト化されているので、レールの組立現場へ手軽に携行することができる。因みに、切断位置に折畳まれた状態のレール切断装置の全長寸法は33cm、全幅寸法は15cm、厚み寸法は5cmに過ぎない。
【0046】
以上のように構成したレール切断装置は、以下のようにしてレール切断を行う。まず、第1ハンドル1と第2ハンドル2を開き操作して、図5に示すように第1せん断刃6と第2せん断刃7の装着穴25・35の外郭線を一致させ連続させる。次に例えば、第2刃ホルダー5のガイド部34で案内しながら、レールRを両装着穴25・35に差込み、第1せん断刃6あるいは第2せん断刃7からレール端までの寸法を計測して切断位置を決める。この状態で、第1ハンドル1と第2ハンドル2を互いに近づく側へ引寄せ操作して、レールRを両せん断刃6・7の摺動面において切断する。
【0047】
レール切断時には、操作リンク15の長さとリンク連結腕30の長さの比の分だけ、第2ハンドル2に作用する切断力が増幅されて第2刃ホルダー5に伝えられ、さらに、リンク連結腕30の長さと、せん断支軸3から第2せん断刃7のせん断部までの長さの比の分だけ、第2せん断刃7に作用する切断力が増幅される。従って、小形でコンパクトであるにも関わらず、ハンドルを両手で持った手持ち状態のまま、より小さな力でレール切断を行える。このときの第2せん断刃7は、せん断支軸3から離れるほど揺動量が大きいので、レールRの破断面はせん断支軸3から遠い側のフランジ壁13の突端から、レール本体12の側壁および底壁を介して、せん断支軸3に遠い側のフランジ壁13へと成長する。そのため、切断抵抗を減少してより小さな力でレールRを切断できる。
【0048】
先に説明したようにレール切断装置は1.5kgと大幅に軽量化されているが、その要因は、せん断部構造の構成部品を可能な限り薄くしている点にある。詳しくは、第1せん断刃6および第2せん断刃7を、厚みが5.5mmの薄い板状ブロックで形成し、第1、第2の両刃ホルダー4・5を、厚みが6.4mmの板状体で形成し、さらに、第2ハンドル2と操作リンク15を、厚みが4・5mmの帯鋼で形成することにより、せん断部構造を軽量化している。全体がコンパクト化され軽量化されているので、レールの組立現場へレール切断装置を手軽に携行することができ、従って、レールの組立現場におけるレール長さの修正や、新たなレールの追加を適宜行うことができる。
【0049】
図7は、第1刃ホルダー4と第2刃ホルダー5の構造を変更した実施例を示す。そこでは、ガイド腕22を第1締結座21に連続させて、第1刃ホルダー4の構造強度を向上した。ガイド部24は装着穴25の周囲を無端状に囲む状態で、隅が丸められた四角形状に形成した。同様に、第2締結座32をリンク連結腕30に連続させて、第2刃ホルダー5の構造強度を向上した。ガイド部34は装着穴35の周囲を無端状に囲む状態で、隅が丸められた横長四角形状に形成した。他は先の実施例と同じであるので、同じ部材に同じ符号を付して、その説明を省略する。
【0050】
上記の実施例以外に、第1ハンドル1と第1刃ホルダー4は一体に形成してあってもよい。閉じストッパー41と開きストッパー40は、専用の部品として六角穴付きボルト9・26とは別に設けることができる。また、開きストッパー40は第1ハンドル1に設ける以外に、第1刃ホルダー4に設けてあってもよい。中心間距離L1は中心間距離L2と同じである必要はないが、その場合でも、操作リンク15およびリンク連結腕30の上部が、せん断構造の上側に大きく突出しないこと、開き位置において第3軸18に中心が思案点を越えないこと、を満足できるように両中心間距離L1・L2を設定すべきである。また、中心間距離L1を中心間距離L2より小さく設定する場合には、操作リンク15とリンク連結腕30とのリンク比が小さくなることを考慮して、レールRの作用するせん断力が小さくなるのを避けるようにするとよい。装着穴25・35は実施例で説明した位置に形成するのが好適であるが、各刃ホルダー4・5の形状の違いや、各せん断刃6・7の形状の違いなど応じて形成位置を変更し、あるいは装着穴25・35の傾斜度合を変更することができる。
【産業上の利用可能性】
【0051】
本発明のレール切断装置は、専らDIN規格の配線用レールを切断するのに好適であるが、アルミニウム製の上下寸法が小さな戸車用のガイドレールを切断する用途に適用することにより、配線用レールを切断する場合と同様の作用効果を発揮することができる。さらに、薄鋼板製のチャンネル材を切断する用途に適用してもよい。
【符号の説明】
【0052】
1 第1ハンドル
2 第2ハンドル
3 せん断支軸
4 第1刃ホルダー
5 第2刃ホルダー
6 第1せん断刃
7 第2せん断刃
15 操作リンク
16 第1軸
17 第2軸
18 第3軸
24・34 ガイド部
25・35 装着穴
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9