特許第6411110号(P6411110)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6411110
(24)【登録日】2018年10月5日
(45)【発行日】2018年10月24日
(54)【発明の名称】電動トルクレンチ
(51)【国際特許分類】
   B25B 21/02 20060101AFI20181015BHJP
【FI】
   B25B21/02 D
【請求項の数】2
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2014-150527(P2014-150527)
(22)【出願日】2014年7月24日
(65)【公開番号】特開2016-22569(P2016-22569A)
(43)【公開日】2016年2月8日
【審査請求日】2017年4月12日
(73)【特許権者】
【識別番号】591045323
【氏名又は名称】瓜生製作株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100102211
【弁理士】
【氏名又は名称】森 治
(72)【発明者】
【氏名】中西 悟
【審査官】 須中 栄治
(56)【参考文献】
【文献】 特開2015−033733(JP,A)
【文献】 特開2011−183507(JP,A)
【文献】 特開2012−030296(JP,A)
【文献】 特開2011−183505(JP,A)
【文献】 特開昭59−047167(JP,A)
【文献】 特開2007−044845(JP,A)
【文献】 特開2002−254336(JP,A)
【文献】 特開2001−088051(JP,A)
【文献】 特開2002−321162(JP,A)
【文献】 特許第4195270(JP,B2)
【文献】 特許第3456949(JP,B2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B25B21/00−21/02
B25B23/14
B25D17/24
B25F5/00−5/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
本体ケーシング内に本体部分が収容された電動モータの回転軸から出力されるパルス状のトルクによってねじを締め付けるようにした電動トルクレンチにおいて、本体ケーシングに対し電動モータの本体部分を本体継手を介して回転軸線回りに相対回転可能に支持するようにし、本体ケーシング及び本体継手の一方にピンを植設し、本体ケーシング及び本体継手の他方に前記ピンが差し込まれる弾性体嵌込穴を形成し、該弾性体嵌込穴に、本体ケーシングに対する電動モータの本体部分の相対回転に抗するように制振ゴムからなる弾性体を弾性体嵌込穴とピンとの間のピンの全外周に存在する隙間を埋めるように配設して、ねじ締付時における電動モータの本体部分からの反力を弾性体が受けて弾性変形するようにしたことを特徴とする電動トルクレンチ。
【請求項2】
弾性体は、本体ケーシングに対する電動モータの本体部分の相対回転方向に沿って延びる形状としたことを特徴とする請求項1記載の電動トルクレンチ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電動モータの回転軸から出力されるパルス状のトルクによってねじを締め付けるようにした電動トルクレンチに関し、特に、ねじ締付時の反力を吸収する機能を備えたハンディタイプの電動トルクレンチに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、ボルトやナットを所定のトルクで締め付けるために、電動トルクレンチが用いられている。
携帯性と作業性の観点から、電動トルクレンチを片手持ちで操作できることが望まれるので、ピストル形状のハンディタイプのものが多く使用されている。
【0003】
ハンディタイプの電動トルクレンチにおいて、特に、電動モータの回転軸を連続的に回転させてねじを締め付けるようにしたものでは、締付トルクの反力を受ける作業者の負担が大きいため、打撃トルク発生装置で発生させた打撃トルクによってねじを締め付けるようにするとともに、打撃トルクの発生によって生じる反力を、クラッチ機構を切ることにより吸収するようにしたものが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
しかし、上記特許文献1に記載のものでは、クラッチ機構が、ギヤケース、ブレーキシュ及びインターナルギヤを組み合わせ、スプリングによりインターナルギヤの外周面とブレーキシュの内周面とを当接する円錐型クラッチ機構で構成するものとされているため、機構が複雑になる。
【0005】
そこで、クラッチ機構によることなく作業者の反力を低減するものとして、電動モータの作動を、電流が連続的に流れる連続運転ではなく、パルス状の電流による間欠運転としたものが提案されている(例えば、特許文献2参照)。
すなわち、電流パルスがオンの際に作業者の持つハンドル部に瞬間的にトルクが加わるが、電動トルクレンチを締付方向とは逆の方向に加速するエネルギーが単位時間当たり微小であるため、加速エネルギーはその後の電流パルスがオフの間に作業者の手で吸収されることとなり、これを連続的に繰り返して、トルクの発生と吸収時間との差によって作業者の負担を軽減するようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特許第4195270号公報
【特許文献2】特許第3456949号公報
【0007】
しかしながら、上記特許文献2に記載のものでは、電流パルスのオン時において作業者に対し瞬間的に作用する反力そのものは実質的に低減されないため、長時間の使用に伴う作業者の疲労を効果的に軽減することができないという問題があった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、上記従来の電動トルクレンチの有する問題点に鑑み、パルス状のトルクによってねじを締め付ける際に作業者が受ける反力を実質的に低減して、長時間の使用に伴う作業者の疲労を効果的に軽減することができる電動トルクレンチを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するため、本発明の電動トルクレンチは、本体ケーシング内に本体部分が収容された電動モータの回転軸から出力されるパルス状のトルクによってねじを締め付けるようにした電動トルクレンチにおいて、本体ケーシングに対し電動モータの本体部分を本体継手を介して回転軸線回りに相対回転可能に支持するようにし、本体ケーシング及び本体継手の一方にピンを植設し、本体ケーシング及び本体継手の他方に前記ピンが差し込まれる弾性体嵌込穴を形成し、該弾性体嵌込穴に、本体ケーシングに対する電動モータの本体部分の相対回転に抗するように制振ゴムからなる弾性体を弾性体嵌込穴とピンとの間のピンの全外周に存在する隙間を埋めるように配設して、ねじ締付時における電動モータの本体部分からの反力を弾性体が受けて弾性変形するようにしたことを特徴とする。
【0010】
この場合において、弾性体は、本体ケーシングに対する電動モータの本体部分の相対回転方向に沿って延びる形状とすることができる。
【発明の効果】
【0012】
本発明の電動トルクレンチによれば、パルス状のトルクによってねじを締め付ける際の電動モータの本体部分からの反力を弾性体が受けて弾性変形することにより、電動モータの本体部分からの反力が弾性体で吸収されるので、パルス状のトルクによってねじを締め付ける際に作業者が受ける反力を実質的に低減することができ、長時間の使用に伴う作業者の疲労を効果的に軽減することができる。
【0013】
また、弾性体は、本体ケーシングに対する電動モータの本体部分の相対回転方向に沿って延びる形状とすることにより、電動モータの本体部分からの反力を弾性体でより効果的に吸収することができる。
【0014】
また、弾性体が、制振ゴムからなるようにすることにより、電動モータの本体部分からの反力を弾性体でより効果的に吸収することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明の一実施形態に係る電動トルクレンチを示す図で、(a)は一部を破断して表す側面図、(b)は(a)のA部拡大図である。
図2図1のB−B線断面図で、(a)は電動モータが中立位置にある状態図、(b)は電動モータが第1相対角度位置にある状態図、(c)は電動モータが第2相対角度位置にある状態図である。
図3図1のC−C線断面図で、(a)は本体継手が中立位置にある状態図、(b)は本体継手がねじ締付時の相対回転位置にある状態図、(c)は本体継手がねじ緩め時の相対回転位置にある状態図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
次に、本発明の電動トルクレンチの実施の形態を、図面に基づいて説明する。
【0017】
<電動トルクレンチの概略説明>
図1(a)に示される電動トルクレンチ1は、蓄電池2が着脱自在に装着されるハンドル部3aを有する本体ケーシング3と、この本体ケーシング3内に本体部分が収容される電動モータ4とを備え、ハンドル部3aを手で握ったときに人差し指が掛け易い位置に配設されたトリガー5を引くことにより、蓄電池2を電源として図示されない電気回路を経て電動モータ4にパルス状の電流が供給され、これによって電動モータ4の回転軸4aからパルス状のトルクが出力されるようになっている。
【0018】
<電動モータの説明>
電動モータ4としては、例えば、三相のACサーボモータを好適に用いることができるが、正逆の回転が可能であって、停止時にフリーの状態となり、かつ回転速度の制御が可能なものであれば、単相のACサーボモータ、誘導モータ、DCモータなどの種々のモータを採用することができる。
【0019】
<電動モータの本体部分の支持構造の説明>
電動モータ4の本体部分を構成する電動モータ本体4bは、円筒状のハウジング内に回転子や固定子等が収容されてなり、該電動モータ本体4bが、本体ケーシング3に形成された電動モータ収容部3bに嵌挿されることにより、本体ケーシング3に対し電動モータ本体4bが回転軸4aの軸線Os(以下「回転軸線Os」と称する。)の回りに相対回転可能に支持されている。
【0020】
図2(a)に示されるように、電動モータ本体4bの基端部には、複数(本例では4本)のピン6が周方向に等角度間隔で植設され、各ピン6に対応するようにピン係合孔7が本体ケーシング3に穿設されている。
図1(b)に示されるように、ピン係合孔7は、電動モータ4の回転軸線Osに沿う方向にピン6を挟むように対向配置される第1係合面7a及び第2係合面7bを有している。
第1係合面7a及び第2係合面7bは、ピン6の周面にぴったりと接触されており、これらの係合面7a,7bでピン6が挟まれることによって、電動モータ本体4bの回転軸線Os方向の移動が拘束される。
【0021】
図2(a)に示されるように、ピン係合孔7は、回転軸線Os(図2(a)中記号「O」で示される点において紙面を垂直に貫く方向に延びる線)の回りの周方向にピン6を挟むように対向配置される第3係合面7c及び第4係合面7dを有している。
第3係合面7c及び第4係合面7dは、ピン6がそれら係合面7c,7dの間の中間位置にあるとき、ピン6の周面との間に所定の隙間を有して配されており、これらの係合面7c,7dでピン6が挟まれることによって、第1相対角度位置と第2相対角度位置との間で電動モータ本体4bが本体ケーシング3に対し相対回転することができるようになっている。
ここで、第1相対角度位置とは、図2(b)に示されるように、本体ケーシング3に対して電動モータ本体4bが回転軸線Os回りの一方向に回転し、ピン6が第3係合面7cと接触してその回転が止められたときの本体ケーシング3に対する電動モータ本体4bの回転軸線Os回りの相対角度位置のことである。
また、第2相対角度位置とは、図2(c)に示されるように、本体ケーシング3に対して電動モータ本体4bが回転軸線Os回りの他方向に回転し、ピン6が第4係合面7dと接触してその回転が止められたときの本体ケーシング3に対する電動モータ本体4bの回転軸線Os回りの相対角度位置のことである。
【0022】
こうして、電動モータ本体4bに植設されたピン6を本体ケーシング3に穿設されたピン係合孔7に係合させるようにして本体ケーシング3に対し電動モータ本体4bを回転軸線Os回りに相対回転可能に支持させる構造の採用により、本体ケーシング3に対し電動モータ本体4bは、回転軸線Os方向の移動が拘束されるとともに、回転軸線Os回りの第1相対角度位置(図2(b)参照)と第2相対角度位置(図2(c)参照)との間の所定の角度範囲において相対回転することができるようにされている。
【0023】
<トルクセンサの説明>
図1(a)に示されるように、電動モータ本体4bの先端面には、トルクセンサ10が装着されている。
トルクセンサ10は、電動モータ4の回転軸線Osと同軸心をなして電動モータ本体4bの先端面にボルト締結によって固定されるドラム状のセンサ本体10aを備え、このセンサ本体10aの胴部外周面に歪ゲージ10bが固着されて構成されている。
センサ本体10aの先端部には、径方向外向きに張り出すように歯車11が一体的に形成される一方、基端部には、外向きのフランジ12が一体的に形成され、このフランジ12には、ギヤケーシング13が螺着されている。
【0024】
センサ本体10aの内部には、該センサ本体10aを貫通するように中間軸14が配設されている。
中間軸14は、センサ本体10aと電動モータ本体4bとの境界部に組み込まれる軸受15によって回転自在に支持された状態で、その基端部が電動モータ4の回転軸4aに動力伝達可能に接続されるとともに、その先端部が遊星歯車機構16を介して主軸17に動力伝達可能に接続されている。
【0025】
なお、遊星歯車機構16におけるアウターギヤ16aと、センサ本体10aにおける歯車11とは、噛み合わされており、アウターギヤ16aに加わるトルクがセンサ本体10aを歪ませ、この歪が歪ゲージ10bによって電気信号に変換され、この電気信号に基づいてねじ締付動作時の締付トルクが検出されるようになっている。
【0026】
ギヤケーシング13は、トルクセンサ10や中間軸14、遊星歯車機構16等を収容するとともに、主軸17を回転自在に支持する役目をし、センサ本体10aを介して電動モータ本体4bに固定されている。
このギヤケーシング13と本体ケーシング3との間には、本体継手20が配設されている。
【0027】
<本体継手の説明>
本体継手20は、電動モータ本体4bの先端部外周に嵌合・装着されるリング状部20aと、本体ケーシング3におけるトリガー5の取付部の上方部位と対向するようにリング状部20aから一体的に突設される突出部20bとを備えている。
リング状部20aは、本体ケーシング3及びギヤケーシング13のそれぞれの突き合せ部分に対していんろうのはめあい関係とされて本体ケーシング3及びギヤケーシング13のそれぞれに対し回転軸線Os回りに相対回転可能とされている。
【0028】
図3(a)に示されるように、リング状部20aには、複数(本例では4個)のねじ孔21が周方向に等角度間隔で設けられ、各ねじ孔21には、六角穴付きの止めねじ22が螺合され、電動モータ本体4bには、各ねじ孔21に対応して止めねじ22が差し込み可能な差込穴23が設けられ、4本の止めねじ22をねじ込んで対応する差込穴23の奥面に押し付けることにより、本体継手20が電動モータ本体4bに固定されるようになっている。
こうして、本体継手20は、回転軸線Os回りの第1相対角度位置(図2(b)参照)と第2相対角度位置(図2(c)参照)との間の所定の角度範囲において、電動モータ本体4bと一体となって本体ケーシング3に対し相対回転可能とされている。
【0029】
突出部20bにおける本体ケーシング3との対向面には、所定深さの有底の弾性体嵌込穴25が形成されている。
弾性体嵌込穴25は、本体ケーシング3に対する電動モータ本体4bの相対回転方向に沿って延びる角丸四角形状の穴であり、言い換えれば、回転軸線Os上の点Oを中心として突出部20bにおける本体ケーシング3との対向面上に描かれる所定径の仮想円Mの周方向に沿って、より正確に言えば、その仮想円M上の接線Lに沿って延びる角丸四角形状の穴である。
弾性体嵌込穴25は、接線L方向に比較的大きい間隔をあけて対向配置される一対の湾曲状端壁面25a,25bと、接線L方向と直交する方向に一対の湾曲状端壁面25a,25bの間隔よりも小さい間隔をあけてそれら湾曲状端壁面25a,25bと連続するように対向配置される一対の平坦状側壁面25c,25dとを有している。
【0030】
<本体ケーシングに植設されるピンの説明>
図1(a)に示されるように、本体ケーシング3におけるトリガー5の取付部の上方部位には、弾性体嵌込穴25に差し込み可能なピン26が植設されている。
図3(a)に示されるように、ピン26は、弾性体嵌込穴25における一対の湾曲状端壁面25a,25bに対して十分に広い隙間を有する一方で、一対の平坦状側壁面25c,25dに対してやや狭い隙間を有し、弾性体嵌込穴25の奥壁面に近接する位置まで延びるような形状寸法で配設されている。
【0031】
<弾性体の説明>
弾性体嵌込穴25には、一対の湾曲状端壁面25a,25b及び一対の平坦状側壁面25c,25dとピン26との間の隙間を埋めるように介在される弾性体30が嵌め込まれている。
弾性体30は、本体ケーシング3に対する電動モータ本体4bの相対回転方向に沿って延びる、ピン26の挿通孔を有する断面角丸四角形状で、言い換えれば、仮想円Mの周方向に沿って、より正確に言えば、仮想円M上の接線L方向に沿って延びる、ピン26の挿通孔を有する断面角丸四角形状で、弾性体嵌込穴25の奥壁面に到達して接する奥行寸法に形成されている。
弾性体30としては、衝撃・振動吸収性に優れ、外力を受けてもほとんど反発せず、エネルギーを吸収する特性を有するものであればよく、例えば、低反発性の制振ゴム(例えば、内外ゴム株式会社製の制振ゴム「ハネナイト」(登録商標))等を好適に用いることができる。
なお、本実施形態においては、弾性体嵌込穴25を本体継手20側に、ピン26を本体ケーシング3側に、それぞれ設けるようにしたが、弾性体嵌込穴25を本体ケーシング3側に、ピン26を本体継手20側に、それぞれ設けるようにすることもでき、また、弾性体嵌込穴25及びピン26を設ける箇所を、2箇所以上、好ましくは、回転軸線Os上の点Oを回転対称として2箇所以上とすることもできる。
【0032】
<ねじの締付動作の説明>
以上に述べたように構成される電動トルクレンチ1によるねじ締付動作は、次のようにして行われる。
主軸17の先端部にソケットSを装着し、装着したソケットSを、締付対象であるボルトやナットに嵌め込み、ハンドル部3aをしっかりと握りしめてトリガー5を引く。
これにより、電動モータ4にパルス状の電流が供給され、これによって電動モータ4の回転軸4aからパルス状のトルクが出力され、該トルクが中間軸14、遊星歯車機構16及び主軸17を介してソケットSに伝達されてボルトやナットが締め付けられる。
【0033】
上記のねじ締付動作においては、ねじ締付方向の反対方向に電動モータ本体4bを回転軸線Os回りに回転させるような反力が発生し、かかる反力によって電動モータ本体4bと一体となって本体継手20がねじ締付方向の反対方向に回転する。
これにより、図3(b)に示されるように、弾性体30は、一方の湾曲状端壁面25aとピン26とで挟まれた部分が圧縮されて弾性変形する。
なお、上記のねじ締付動作の反対の動作であるねじ緩め動作においては、ねじ緩め方向の反対方向に電動モータ本体4bを回転軸線Os回りに回転させるような反力が発生し、かかる反力によって電動モータ本体4bと一体となって本体継手20がねじ緩め方向の反対方向に回転する。
これにより、図3(c)に示されるように、弾性体30は、他方の湾曲状端壁面25bとピン26とで挟まれた部分が圧縮されて弾性変形する。
【0034】
<作用効果の説明>
本実施形態の電動トルクレンチ1によれば、パルス状のトルクによってねじを締め付ける際(ねじを緩める際)の電動モータ本体4bからの反力を弾性体30が受けて弾性変形することにより、電動モータ本体4bからの反力が弾性体30で吸収されるので、パルス状のトルクによってねじを締め付ける際(ねじを緩める際)に作業者が受ける反力を実質的に低減することができ、長時間の使用に伴う作業者の疲労を効果的に軽減することができる。
また、弾性体30は、本体ケーシング3に対し電動モータ本体4bが相対回転する方向に沿って延びる形状とされているので、電動モータ本体4bからの反力を弾性体30でより効果的に吸収することができる。
【0035】
以上、本発明の電動トルクレンチについて、一実施形態に基づいて説明したが、本発明は上記実施形態に記載した構成に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲において適宜その構成を変更することができるものである。
【0036】
上記実施形態においては、弾性体30を1箇所だけ配設する例を示したが、上記実施形態と同要領で弾性体30を複数個所配設するようにしてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0037】
本発明の電動トルクレンチは、パルス状のトルクによってねじを締め付ける際に作業者が受ける反力を実質的に低減して、長時間の使用に伴う作業者の疲労を効果的に軽減することができるという特性を有していることから、携帯性と作業性に優れるピストル形状のハンディタイプの電動トルクレンチに適用されて好適である。
【符号の説明】
【0038】
1 電動トルクレンチ
3 本体ケーシング
4 電動モータ
4a 回転軸
4b 電動モータ本体
20 本体継手
26 ピン
30 弾性体
図1
図2
図3