特許第6411151号(P6411151)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6411151
(24)【登録日】2018年10月5日
(45)【発行日】2018年10月24日
(54)【発明の名称】光学ユニット及び撮像装置
(51)【国際特許分類】
   G02B 7/02 20060101AFI20181015BHJP
   G03B 17/08 20060101ALI20181015BHJP
【FI】
   G02B7/02 D
   G02B7/02 Z
   G03B17/08
【請求項の数】9
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2014-194817(P2014-194817)
(22)【出願日】2014年9月25日
(65)【公開番号】特開2016-65982(P2016-65982A)
(43)【公開日】2016年4月28日
【審査請求日】2017年5月17日
(73)【特許権者】
【識別番号】000001225
【氏名又は名称】日本電産コパル株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100137947
【弁理士】
【氏名又は名称】石井 貴文
(72)【発明者】
【氏名】町田 卓也
【審査官】 井亀 諭
(56)【参考文献】
【文献】 実開昭53−091551(JP,U)
【文献】 特開平10−239747(JP,A)
【文献】 特開平03−247425(JP,A)
【文献】 特開平08−050323(JP,A)
【文献】 実開平04−048527(JP,U)
【文献】 特開2003−133754(JP,A)
【文献】 実開平5−4672(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 7/02
G03B 17/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
開口部を有するハウジングと、前記開口部を覆うべく前記ハウジングに配置される窓部材と、前記窓部材の外周縁部と前記ハウジングの内壁の間に介在する第1環状シール部材と、前記第1環状シール部材を前記内壁に向けて押圧する押圧部材と、前記ハウジング内で前記窓部材の後方に配置される光学要素と、を含む光学ユニットであって、
前記ハウジングの内壁と前記第1環状シール部材の間に介在するよう設けられた第2環状シール部材を備え
前記第1環状シール部材は、前記窓部材の外周縁部を嵌め込む環状凹部を含むと共に前記光学要素の光軸方向に圧縮されて配置され、
前記第2環状シール部材は、前記第1環状シール部材に密接しつつ前記光軸方向に圧縮されて、前記第1環状シール部材の光軸方向前方に配置されている、
ことを特徴とする光学ユニット。
【請求項2】
前記第1環状シール部材は、前記窓部材に接して配置されており、
前記第2環状シール部材は、前記窓部材に接しないよう配置されている、
請求項1に記載の光学ユニット。
【請求項3】
前記第1環状シール部材は、前記第2環状シール部材と圧縮されつつ密接する側にのみ複数の環状突起を有し、
前記第2環状シール部材は、前記第1環状シール部材及び前記ハウジングの内壁とそれぞれ密接する環状平面を有する、
ことを特徴とする請求項2に記載の光学ユニット。
【請求項4】
前記第1環状シール部材は、前記第2環状シール部材と圧縮されつつ密接する環状平面を有し、
前記第2環状シール部材は、断面が略円形をなすOリングとして形成されている、
ことを特徴とする請求項に記載の光学ユニット。
【請求項5】
前記第2環状シール部材は、前記開口部により規定される光路から逸脱するように後退した領域に配置されている、
ことを特徴とする請求項1ないし4いずれか一つに記載の光学ユニット。
【請求項6】
前記第1環状シール部材は、黒色のゴム材料により形成されている、
ことを特徴とする請求項1ないし5いずれか一つに記載の光学ユニット。
【請求項7】
前記第2環状シール部材は、圧縮方向における肉厚が前記第1環状シール部材よりも薄く形成されている、
ことを特徴とする請求項1ないし6いずれか一つに記載の光学ユニット。
【請求項8】
前記押圧部材は、前記光学要素を取り付けて保持する保持部を含む、
ことを特徴とする請求項1ないし7いずれか一つに記載の光学ユニット。
【請求項9】
請求項1ないし8いずれか一つに記載の光学ユニットと、前記ハウジング内において前記光学要素の後方に配置された撮像素子を含む、
ことを特徴とする撮像装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、撮影用の開口部を覆う窓部材及び内部に配置されたレンズ等の光学要素を含む光学ユニット及びそれを搭載した撮像装置に関し、特に、車載カメラ、監視カメラ等として野外環境下において使用される光学ユニット及び撮像装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の光学ユニットとしては、監視カメラや車載カメラに適用されるべく、撮影用の開口部を有するフロントケース、開口部を覆うように配置されるフロントガラス(窓部材)、フロントガラスの外周に嵌め込まれると共にフロントケースの内壁に密接して配置されるパッキン、パッキンをフロントケースの内壁に向けて圧縮しつつ押える押え板等を備え、フロントケースの段差形状に適合するようにパッキンに段差形状を設け、防水効果を高めるようにしたカメラの防水構造が知られている(例えば、特許文献1を参照)。
【0003】
しかしながら、この光学ユニットにおいては、フロントガラスをシールするパッキンが単一の部材からなるため、洗浄の際の高圧水等がフロントガラスに吹き付けられると、フロントガラスが内側へ押し込まれ、フロントガラスの移動に追従してパッキンも内側へ移動し、二段構造のシール面を有すると云えどもシール性が低下して、確実に防水作用が得られるものではなかった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平10−239747号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、上記従来技術の事情に鑑みて成されたものであり、その目的とするところは、構造の簡素化、組付け作業の容易化等を図りつつ、フロントガラス等の窓部材に対して外部から高圧洗浄水等の外力が加わっても、高防水性及び耐久性等を確保でき、所望の光学特性が得られる光学ユニット及びそれを搭載した撮像装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の光学ユニットは、開口部を有するハウジングと、開口部を覆うべくハウジングに配置される窓部材と、窓部材の外周縁部とハウジングの内壁の間に介在する第1環状シール部材と、第1環状シール部材をハウジングの内壁に向けて押圧する押圧部材と、ハウジング内において窓部材の後方に配置される光学要素と、を含む光学ユニットであって、上記ハウジングの内壁と第1環状シール部材の間に介在する第2環状シール部材を設けた、ことを特徴としている。
この構成によれば、ハウジング内に配置された窓部材は、その外周縁部と内壁の間において、押圧部材により押圧されると共に窓部材に接触する第1環状シール部材と、第1環状シール部材により押圧されると共に第1環状シール部材と内壁の間に介在する第2環状シール部材とにより、ハウジングの外部と内部を遮断するように密封(シール)されている。このように、シール部材として、第1環状シール部材とは別個に独立した第2環状シール部材を設けたことにより、例えば、窓部材が開口部を通して(例えば高圧の洗浄水等の)外力を受けることにより、第1環状シール部材が窓部材を介してその外力の影響を受けたとしても、第2環状シール部材はその外力の影響を直接的に受けないため、依然として高いシール性能が維持され、構造の簡素化、組付け作業の容易化等を達成しつつ、高防水性、耐久性等を確保することができる。
【0007】
上記構成において、窓部材は、平板状に形成され、第1環状シール部材は、窓部材の外周縁部を嵌め込む環状凹部を含むと共に光学要素の光軸方向に圧縮されて配置され、第2環状シール部材は、光軸方向において第1環状シール部材に密接しつつ圧縮されて配置されている、構成を採用することができる。
この構成によれば、窓部材は、その外周縁部が第1環状シール部材の環状凹部に嵌め込まれた状態で、ハウジングの内壁→第2環状シール部材→第1環状シール部材(及び窓部材)→押圧部材の順序で配列され、押圧部材により光軸方向の押圧力が及ぼされることにより、第1環状シール部材が光軸方向に圧縮され、第2環状シール部材が第1環状シール部材と内壁に挟まれて圧縮される。これにより、例えば、(高圧洗浄水等の)外力が開口部を通して窓部材に及ぼされ、窓部材が内側に押し込まれると、窓部材と一緒に第1環状シール部材も内側に変位(変形)するものの、第2環状シール部材が内壁と第1環状シール部材の間において所望のシール作用を果たすため、全体として高いシール性能を維持することができる。
【0008】
上記構成において、第1環状シール部材は、第2環状シール部材と圧縮されつつ密接する側において複数の環状突起を有し、第2環状シール部材は、第1環状シール部材及びハウジングの内壁とそれぞれ密接する環状平面を有する、構成を採用することができる。
この構成によれば、第1環状シール部材と第2環状シール部材との接触領域において、第1環状シール部材の複数の環状突起が第2環状シール部材の環状平面と密接するため、接触面圧を高めることができ、その分だけシール性能を高めることができる。
【0009】
上記構成において、第1環状シール部材は、第2環状シール部材と圧縮されつつ密接する環状平面を有し、第2環状シール部材は、断面が略円形をなすOリングとして形成されている、構成を採用することができる。
この構成によれば、第2環状シール部材がOリングとして形成されていることにより、第2環状シール部材の凸状湾曲面と第1環状シール部材の環状平面とが密接するため、接触面圧を高めることができ、その分だけシール性能を高めることができる。
【0010】
上記構成において、第2環状シール部材は、開口部により規定される光路から逸脱するように後退した領域に配置されている、構成を採用することができる。
この構成によれば、開口部を通して内部に進入する被写体光が、第2環状シール部材により遮られるのを防止でき、所望の光学特性を確保することができる。
【0011】
上記構成において、第1環状シール部材は、黒色のゴム材料により形成されている、構成を採用することができる。
この構成によれば、開口部を通して内部に進入する被写体光が、第1環状シール部材に達した場合に、乱反射等の影響を防止でき、所望の光学特性を確保することができる。
【0012】
上記構成において、第2環状シール部材は、圧縮方向における肉厚が第1環状シール部材よりも薄く形成されている、構成を採用することができる。
この構成によれば、押圧部材とハウジングの内壁との間で、第1環状シール部材と圧縮量と第2環状シール部材の圧縮量の比率がそれぞれ設定されるが、第2環状シール部材の肉厚を薄くすることで、圧縮によるヘタリ等を防止しつつ所望のシール機能を確保することができる。
【0013】
上記構成において、押圧部材は、光学要素を取り付けて保持する保持部を含む、構成を採用することができる。
この構成によれば、押圧部材が光学要素を保持する機能を兼ねるため、構造の簡素化、部品点数の削減等を達成することができる。
【0014】
本発明の撮像装置は、上記構成をなすいずれかの光学ユニットと、ハウジング内において光学要素の後方に配置された撮像素子を含む、ことを特徴としている。
この構成によれば、構造の簡素化、組付け作業の容易化等を達成しつつ、(フロントガラス等の)窓部材に対して外部から高圧洗浄水等の外力が加わっても、高防水性及び耐久性等を確保でき、所望の光学特性、撮像特性を得ることができる。
【発明の効果】
【0015】
上記構成をなす光学ユニットによれば、構造の簡素化、組付け作業の容易化等を達成しつつ、フロントガラス等の窓部材に対して外部から高圧洗浄水等の外力が加わっても、高防水性及び耐久性等を確保でき、所望の光学特性が得られる光学ユニットを得ることができ、又、この光学ユニットを搭載した撮像装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明に係る光学ユニットを搭載した撮像装置の一実施形態を示す外観斜視図である。
図2図1に示す撮像装置の分解斜視図である。
図3図1に示す撮像装置の内部を示す断面図である。
図4図3に示す撮像装置において、その一部を拡大した部分拡大断面図である。
図5】本発明に係る光学ユニットを搭載した撮像装置の他の実施形態を示す部分拡大断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の実施形態について、添付図面を参照しつつ説明する。
この撮像装置は、車体の外部に設けられる車載カメラとして適用されるものであり、図1ないし図3に示すように、外輪郭を画定するハウジング10、ハウジング10の内部に配置されて開口部11aを覆う窓部材20、窓部材20(の外周縁部23)に直接嵌め込まれる第1環状シール部材30、第1環状シール部材30(の前側)に隣接して配置される第2環状シール部材40、第1環状シール部材30(の後側)に隣接して配置される押圧部材50、光学要素としての光軸LをもつレンズG等を収容すると共に押圧部材50に保持されるレンズ鏡筒60、レンズ鏡筒60の後方に配置される撮像素子70、撮像素子70を実装する基板80等を備えている。
【0018】
ハウジング10は、金属材料又は樹脂材料等を用いて形成されており、図2及び図3に示すように、前側ハウジング11と、後側ハウジング12とに分割される二分割構成をなし、両者はネジ等を用いて着脱自在に連結されるようになっている。
前側ハウジング11は、図2ないし図4に示すように、略矩形の開口部11a、開口部11aの周りで内側に形成された環状凹部11b、環状凹部11bの一部を画定すると共に第2環状シール部材40を密接させる内壁としての当接面11c、押圧部材50を当接させる当接面11d、ネジBを捩じ込む4つのネジ穴11e、押圧部材50を位置決めする2つの位置決めピン(不図示)等を備えている。
後側ハウジング12は、図2及び図3に示すように、外部の配線等を連結するコネクタ12a、コネクタ12aに接続された配線等を備えた基板12b等を備えている。
【0019】
開口部11aは、図1ないし3に示すように、略矩形状に形成されており、外部からの被写体光が進入する際の光路範囲を規定するようになっている。
環状凹部11bは、図3及び図4に示すように、窓部材20を嵌め込んだ第1環状シール部材30及び第2環状シール部材40を光軸L方向の後方から前方に向けて積層した状態で嵌め込み可能な寸法に形成されている。
当接面11cは、第2環状シール部材40の前側の環状平面41を光軸L方向において密接させるように環状の平面に形成されている。
当接面11dは、押圧部材50をネジBで締結することにより第1環状シール部材30及び第2環状シール部材40を光軸L方向に圧縮する際に、押圧部材50を当接させてそれ以上の移動を規制し、所定の圧縮代を設定する役割をなすものである。
【0020】
窓部材20は、ガラス材料又は透明の樹脂材料等を用いて、略矩形をなす平板状に形成されており、図2ないし図4に示すように、前面21、後面22、外周縁部23等を備えている。
そして、窓部材20は、その外周縁部23が第1環状シール部材30の環状凹部31に嵌め込まれて第1環状シール部材30により保持された状態で、ハウジング10の内部に配置されて開口部11aを覆うようになっている。
【0021】
第1環状シール部材30は、黒色のゴム材料を用いて略矩形の環状をなすように形成されており、図2ないし図4に示すように、窓部材20の外周縁部23を嵌め込む環状凹部31、第2環状シール部材40と対面する側の環状平面32、環状平面32上に突出して形成された複数(ここでは3つ)の環状突起33、押圧部材50と接する側の環状平面34、略矩形の内縁部35等を備えている。
内縁部35は、開口部11aにより規定される光路範囲から光軸Lに垂直な方向に逸脱するように後退した領域に位置するように形成されている。
【0022】
そして、第1環状シール部材30は、図3及び図4に示すように、窓部材20(の外周縁部23)を環状凹部31に嵌め込んで保持した状態で、ハウジング10の環状凹部11bに嵌め込まれ、光軸L方向において、環状平面32及び複数の環状突起33が第2環状シール部材40と密接すると共に環状平面34が押圧部材50に接して、押圧部材50による光軸L方向の圧縮力を受けるようになっている。
【0023】
ここでは、複数の環状突起33が設けられているため、第2環状シール部材50(の環状平面42)との間で高い接触面圧(シール圧)を得ることができる。
また、第1環状シール部材30が、黒色のゴム材料により形成されることにより、開口部11aを通して内部に進入する被写体光の乱反射等の影響を防止でき、所望の光学特性を確保することができる。
さらに、内縁部35が開口部11aから光軸Lに垂直な方向に後退して形成されているため、開口部11aを通して内部に進入する被写体光が第1環状シール部材30により遮られるのを防止でき、所望の光学特性を確保することができる。
尚、第1環状シール部材30の材料としては、ニトリルゴム、シリコーンゴム、ブチルゴム、スチレンブタジエンゴム、フッ素ゴム、エチレンプロピレンゴム等を使用することができる。
【0024】
第2環状シール部材40は、ゴム材料を用いて略矩形の環状をなすように形成されており、図2ないし図4に示すように、ハウジング10の当接面11cと対面する側の環状平面41、第1環状シール部材30の環状平面32及び複数の環状突起33と対面する側の環状平面42、略矩形の内縁部43等を備えている。
内縁部43は、開口部11aにより規定される光路範囲から光軸Lに垂直な方向に逸脱するように後退した領域に位置するように形成されている。
【0025】
そして、第2環状シール部材40は、図3及び図4に示すように、ハウジング10の環状凹部11bに嵌め込まれ、光軸L方向において、環状平面41が当接面11cに密接し、環状平面42が第1環状シール部材30の環状平面32及び複数の環状突起33と密接し、第1環状シール部材30を介して押圧部材50による光軸L方向の圧縮力を受けるようになっている。
ここで、第2環状シール部材40が、黒色のゴム材料により形成されると、開口部11aを通して内部に進入する被写体光の乱反射等の影響を防止でき、所望の光学特性を確保することができる。
また、内縁部43が開口部11aから光軸Lに垂直な方向に後退して形成されているため、開口部11aを通して内部に進入する被写体光が第2環状シール部材40により遮られるのを防止でき、所望の光学特性を確保することができる。
【0026】
さらに、第2環状シール部材40は、圧縮方向(光軸L方向)における肉厚が第1環状シール部材30よりも薄く形成されている。
これによれば、押圧部材50とハウジング10の当接面11c(内壁)との間で、第1環状シール部材30と圧縮量と第2環状シール部材40の圧縮量の比率がそれぞれ設定されるが、第2環状シール部材40の肉厚を薄くすることで、圧縮によるヘタリ等を防止しつつ所望のシール機能を確保することができる。
尚、第2環状シール部材40の材料としては、ニトリルゴム、シリコーンゴム、ブチルゴム、スチレンブタジエンゴム、フッ素ゴム、エチレンプロピレンゴム等を使用することができる。
【0027】
押圧部材50は、樹脂材料又は金属材料を用いて、図2ないし図4に示すように、略矩形をなす平板状に形成されており、光路を規定する円形の開口部51、第1環状シール部材30(の環状平面33)及びハウジング10の当接面11dに当接する前側面52、レンズ鏡筒60を取り付けて保持する保持部53、ハウジング10のネジ穴11eに捩じ込むネジBを通す4つの貫通孔54、ハウジング10の位置決めピンが嵌め込まれる2つの位置決め部55等を備えている。
【0028】
そして、押圧部材50は、図3及び図4に示すように、ハウジング10環状凹部11bに第2環状シール部材40及び(窓部材20を嵌め込んだ)第1環状シール部材30を嵌め込んだ後に、第1環状シール部材30(の環状平面33)に当接するように、光軸L方向の後方側から配置されて、ネジBを貫通孔54に通してネジ穴11eに捩じ込むことにより、第1環状シール部材30及び第2環状シール部材40を光軸L方向の前方(当接面11c)に向けて押圧し、前側面52が当接面11dに当接すると、それ以上の圧縮移動が規制されて、第1環状シール部材30及び第2環状シール部材40を所望の圧縮代に圧縮するようになっている。
ここでは、押圧部材50が、その保持部53でレンズ鏡筒60を保持するように形成されている、すなわち、押圧部材50が光学要素としてのレンズ鏡筒60を保持する機能を兼ねるため、構造の簡素化、部品点数の削減等を達成することができる。
【0029】
レンズ鏡筒60は、図2及び図3に示すように、ハウジング10内において、窓部材20の後方に配置されるものであり、光学要素としての複数のレンズGを保持する筒部61、押圧部材50の保持部53に取り付けられる取付け部62、基板80を取り付ける取付け部63等を備えている。
【0030】
撮像素子70は、図3に示すように、光学要素としての複数のレンズGの後方に配置されており、例えば、CCDセンサやCMOSセンサ等の固体撮像素子であり、基板80に対して実装された後に、基板80と一緒にレンズ鏡筒60の取付け部63に取り付けられることにより、ハウジング10内において、光軸L方向における窓部材20及び光学要素(複数のレンズG)の後方に配置されるようになっている。
基板80は、図3に示すように、略矩形の平板状をなし、撮像素子70、その他の電子部品を実装するように形成されており、レンズ鏡筒60の取付け部63に対してネジ等を用いて締結固定されるようになっている。
【0031】
次に、上記構成をなす光学ユニット及び撮像装置の組付け作業について説明する。
先ず、ハウジング10(前側ハウジング11、後側ハウジング12)、窓部材20、第1環状シール部材30、第2環状シール部材40、押圧部材50、レンズ鏡筒60、撮像素子70等を実装した基板80等を準備する。
続いて、レンズ鏡筒60の取付け部63に対して撮像素子70の光軸合わせを行いつつ基板80を組み付ける。
【0032】
続いて、窓部材20の外周縁部23を第1環状シール部材30の環状凹部31に嵌め込んで、窓部材20を第1環状シール部材30に一体的に組み込む。
続いて、第2環状シール部材40を前側ハウジング11の環状凹部11bに組み込み、その後方から窓部材20を嵌め込んだ第1環状シール部材30を組み込む。
続いて、第1環状シール部材30の後方から押圧部材50を位置決めしつつ前側ハウジング11に組み込み、ネジBを貫通孔53に通して、前側面52が当接面11dに当接するまでネジ穴11eに捩じ込む。
これにより、押圧部材50が光軸L方向における所定の押圧力を及ぼし、第1環状シール部材30が光軸L方向に圧縮され、第2環状シール部材40が第1環状シール部材30と当接面11c(内壁)に挟まれて圧縮された状態となる。
【0033】
続いて、基板80を取り付けたレンズ鏡筒60を、押圧部材50の後方から取付け部63にネジ等を用いて締結固定する。
その後、後側ハウジング12を後方から近づけて、前側ハウジング11と接合しネジ等により締結固定する。
以上により、光学ユニットと撮像素子70を備えた撮像装置が得られる。尚、上記組み付け手順は一例であって、その他の手順で組み付けてもよい。
【0034】
上記構成をなす撮像装置によれば、シール部材として、第1環状シール部材30とは別個に独立した第2環状シール部材40を設けたことにより、例えば、窓部材20が開口部11aを通して(例えば高圧の洗浄水等の)外力を受けることにより、第1環状シール部材30が窓部材20を介してその外力の影響を受けたとしても、第2環状シール部材40はその外力の影響を直接的に受けないため、依然として高いシール性能が維持され、構造の簡素化、組付け作業の容易化等を達成しつつ、高防水性、耐久性等を確保することができる。
【0035】
図5は、本発明に係る光学ユニットを搭載した撮像装置の他の実施形態を示すものであり、第1環状シール部材及び第2環状シール部材の形状、ハウジングの一部を変更した以外は前述の実施形態と同一であり、前述の実施形態と同一の構成については同一の符号を付して説明を省略する。
この実施形態に係る撮像装置において、前側ハウジング11に替えて前側ハウジング11´が採用され、第1環状シール部材30に替えて第1環状シール部材30´が採用され、第2環状シール部材40に替えて第2環状シール部材40´が採用されている。
【0036】
前側ハウジング11´には、当接面11cに替えて凹状をなす当接面11c´が形成されている。
第1環状シール部材30´は、図5に示すように、環状凹部31、第2環状シール部材40´と対面する側の環状平面32´、押圧部材50と接する側の環状平面34、略矩形の内縁部35等を備えている。
第2環状シール部材40´は、図5に示すように、断面が略円形をなすOリングとして形成されている。
これによれば、第2環状シール部材40´がOリングとして形成されていることにより、第2環状シール部材40´の凸状湾曲面が、前側ハウジング11´の当接面11c´と第1環状シール部材30´の環状平面32´とが密接するため、接触面圧を高めることができ、その分だけシール性能を高めることができる。
【0037】
この実施形態においても、前述実施形態と同様に、シール部材として、第1環状シール部材30´とは別個に独立した第2環状シール部材40´を設けたことにより、例えば、窓部材20が開口部11aを通して(例えば高圧の洗浄水等の)外力を受けることにより、第1環状シール部材30´が窓部材20を介してその外力の影響を受けたとしても、第2環状シール部材40´はその外力の影響を直接的に受けないため、依然として高いシール性能が維持され、構造の簡素化、組付け作業の容易化等を達成しつつ、高防水性、耐久性等を確保することができる。
【0038】
上記実施形態においては、第1環状シール部材として、窓部材20を嵌め込む環状凹部31を含む第1環状シール部材30,30´を採用した場合を示したが、これに限定されるものではなく、窓部材20を一体的に組み込む構成であれば、その他の形態をなす第1環状シール部材を採用することができる。
上記実施形態においては、第2環状シール部材として、平板状の第2環状シール部材40及びOリングをなす第2環状シール部材40´を採用した場合を示したが、これに限定されるものではなく、別個に向けられるシール部材でれば、その他の形態をなす第2環状シール部材を採用することができる。
【0039】
また、上記実施形態においては、第1環状シール部材及び第2環状シール部材として、略矩形状の窓部材20に適合するべく、略矩形の外輪郭をなす第1環状シール部材30,30´及び第2環状シール部材40,40´を示したが、これに限定されるものではなく、窓部材が円形の窓部材であれば、それに適合するべく外輪郭が円形環状をなす第1環状シール部材及び第2環状シール部材を採用することができ、その他、窓部材の輪郭に適合する外輪郭をなす第1環状シール部材及び第2環状シール部材を採用することができる。
上記実施形態においては、第1環状シール部材30に複数の環状突起33を設け、第2環状シール部材40を環状平面42に形成した場合を示したが、これに限定されるものではなく、逆に、第1環状シール部材を環状平面とし、第2環状シール部材に複数の環状突起を設けてもよい。
上記実施形態においては、窓部材として平板状の窓部材20を示したが、これに限定されるものではなく、外側に向けて凸状又は凹状をなす窓部材を採用してもよい。
【産業上の利用可能性】
【0040】
以上述べたように、本発明の光学ユニットは、構造の簡素化、組付け作業の容易化等を達成しつつ、フロントガラス等の窓部材に対して外部から高圧洗浄水等の外力が加わっても、高防水性及び耐久性等を確保でき、所望の光学特性が得られるため、車載カメラ、監視カメラ等として野外環境下において使用される撮像装置の光学ユニットとして適用できるのは勿論のこと、その他の激しい環境下で使用される撮像装置の光学ユニットとしても有用である。
【符号の説明】
【0041】
10 ハウジング
11 前側ハウジング
11a 開口部
11b 環状凹部
11c,11c´ 当接面(内壁)
11d 当接面
11e ネジ穴
12 後側ハウジング
20 窓部材
23 外周縁部
30,30´ 第1環状シール部材
31 環状凹部
32,32´ 環状平面
33 環状突起
34 環状平面
35 内縁部
40,40´ 第2環状シール部材
41 環状平面
42 環状平面
43 内縁部
50 押圧部材
51 開口部
52 前側面
53 保持部
54 貫通孔
60 レンズ鏡筒
G レンズ(光学要素)
L 光軸
70 撮像素子
80 基板
B ネジ
図1
図2
図3
図4
図5