(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6411204
(24)【登録日】2018年10月5日
(45)【発行日】2018年10月24日
(54)【発明の名称】プロジェクタ利用ピッキング装置
(51)【国際特許分類】
B65G 1/137 20060101AFI20181015BHJP
【FI】
B65G1/137 F
【請求項の数】6
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2014-259527(P2014-259527)
(22)【出願日】2014年12月22日
(65)【公開番号】特開2016-117581(P2016-117581A)
(43)【公開日】2016年6月30日
【審査請求日】2016年12月14日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】502380361
【氏名又は名称】トーヨーカネツソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100110559
【弁理士】
【氏名又は名称】友野 英三
(72)【発明者】
【氏名】渡辺 一人
【審査官】
土田 嘉一
(56)【参考文献】
【文献】
特開平07−309409(JP,A)
【文献】
特開2008−222386(JP,A)
【文献】
特許第2799445(JP,B2)
【文献】
特開2012−250857(JP,A)
【文献】
特開2011−213482(JP,A)
【文献】
特開平01−296502(JP,A)
【文献】
特開2001−060406(JP,A)
【文献】
特開2012−232837(JP,A)
【文献】
特開2007−182290(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65G 1/00−1/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
個別商品の識別子情報が付与されたピッキング対象物及び前記ピッキング対象物の近傍の少なくとも一方に対してピッキングされるべき対象物を特定するための第1の映像を投影し、前記ピッキング対象物が投入される容器識別子が付与された容器に対して前記対象物を投入すべき出荷容器を特定するための第2の映像を投影する投影装置であって前記第1及び第2の映像の投影の方向及び位置を装置単体として変動可能な投影装置と、
前記容器識別子の位置情報を読み取ることで容器位置情報を得る識別子認識装置と、
前記投影装置による前記第1及び第2の映像の投影を制御しつつ前記識別子認識装置により読み取られた前記容器位置情報に基づいて前記第2の映像を前記容器の移動に追尾して移動投影するように前記投影装置の投影の方向及び位置を変動させるように前記投影装置を制御する制御装置と
を具備した投影装置利用ピッキング装置。
【請求項2】
前記投影装置は前記ピッキング対象物を一時仮置きする仮置き台に更に第3の映像を投影し、
前記制御装置は、前記投影装置による前記第1及び第2並びに第3の映像の投影を制御することを特徴とする請求項1記載の投影装置利用ピッキング装置。
【請求項3】
前記第1及び/もしくは第2の映像は、前記制御装置から指示された前記ピッキング対象物を特定するための紐付けされた映像であることを特徴とする請求項1記載の投影装置利用ピッキング装置。
【請求項4】
前記第1及び/もしくは第2の映像は、前記ピッキング対象物の映像及び/若しくは前記ピッキング対象物を特定するための識別マーク、文字、図形、記号、色彩の少なくともいずれかを含む映像情報であって、数量、大きさ、色、濃淡、点滅の少なくともいずれかが選択され、複数の前記ピッキング対象物について同時に投影されることを特徴とする請求項1乃至3のうちいずれか1項に記載の投影装置利用ピッキング装置。
【請求項5】
前記第1及び/もしくは第2の映像は、前記ピッキング対象物のピッキング作業及び/若しくは前記容器への投入作業の終了のアクションを催促するための映像情報及び/若しくは商品個別情報を含むことを特徴とする請求項1乃至4のうちいずれか1項に記載の投影装置利用ピッキング装置。
【請求項6】
前記制御装置に連接した画像認識装置及び/若しくは音声認識装置を更に具備し、
前記第1及び/もしくは第2の映像について、特定の前記ピッキング対象物のピッキング作業及び/若しくは前記容器への投入作業の終了の情報を前記制御装置及び/若しくは前記画像認識装置及び/若しくは前記音声認識装置が認識した後、投影が終了されることを特徴とする請求項1乃至5のうちいずれか1項に記載の投影装置利用ピッキング装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、商品物流保管倉庫における物品(商品)の出荷において、物品を出荷先別に仕分け容器投入するピッキングシステムに係り、特にプロジェクタ投影映像を用いたピッキング作業補助に関する。
【背景技術】
【0002】
一般的に、商品入出庫及び保管倉庫においては、商品の出荷の際、多種多量の商品を効率よく入荷又は保管した上でそれらの商品を出荷先別に選択して取り出し、出荷先別容器等に振分け投入して出荷する。特に商品配送センターにおいては、出荷される商品は個別商品棚に配置され、作業者がそれらの商品を出荷情報に基づいて選択ピッキングし、コンベア上を流れる出荷先別容器に投入して、最終的に集品された容器が顧客先へと出荷される。このように個別商品を選択し出荷先別に仕分けて容器に投入する作業を総合してピッキング作業と称する。
【0003】
ピッキング作業は、商品に貼付されたバーコード等の識別表示をバーコードリーダ等の装置を用いて読み取り、表示された出荷先情報に従ってその出荷用容器やケース又はオリコン等に投入するという基本的な作業であり、このような旧来の方法は煩雑な作業であるため様々な技術開発により見直しが成されている。現在では、商品配送センタ
ー他の入出庫管理システムの出荷情報に連動したランプの点灯表示等の指示に従い作業者は商品棚から商品をピッキングし、同様にランプ点灯表示されたコンベア上の出荷容器に投入するというピッキングミスを最小限にした単純作業化された出荷システムが採用されている。
【0004】
しかし、多品種の商品を出荷先別にピッキングする作業は、作業者による手作業が介在するため、簡単な作業ではあるものの単純継続作業であることから選択投入ミス(以降、「ピッキングミス」と称する。)も発生し易い。近年では、ピッキングミスを防止するための様々な技術が開発されており、下記に挙げるような参考文献によっても各種技術思想の提案がなされている。
【0005】
例えば、特許文献1では、商品投入容器のある棚開口の周囲に囲うように蛍光管を設置して点灯させることにより、商品の出荷先別の棚を作業者が間違えることなく投入できるようにした技術思想が開示されている。上記商品は全てバーコード等で出荷先が設定されており、情報管理装置によって管理されているため、その商品の出荷先の容器開口の蛍光管だけを点灯させることができ、作業者はそのライトに従って商品を投入すればよい。また開口の前面には数量表示なども点灯しているため、投入する商品の数もその数量表示に従えばよい。
【0006】
しかしこのようなシステムの場合、全ての投入容器に点灯するライト及び数の表示器等の設備の設置が必要であり、それらの設備は全て入出庫管理システムと連動していなければならない。おびただしい種類の商品を的確に選択し顧客別の配送容器に正確に投入することを要求される商品出荷配送センターにおいて、このようなシステムを投入することは膨大な設備投資を伴うことは言うまでもない。
【0007】
例えば、特許文献2では、装置組立作業支援の一手法として、作業順番に則り作業者が作業部品格納箱から取り出すべき部品の位置を、プロジェクタから投影される映像を介して指示する作業支援装置の技術思想が開示されている。映像による部品の指定及び映像を介した作業指示を行う作業支援方法は、作業者の単純ミスを回避するために有効である。
【0008】
しかし特許文献2においては、その作業が
的確に成されたか否かについての判断は、部品取り出しにおける作業者の手の動きによる遮光のみをセンサーで感知する仕組みとなっており、その後の組立作業行為そのもの
の的確性については言及がされていない。つまり、課題においても装置を組み立てる製造工程においての限られた部品を正確に取り出すことに限定されており、組立作業行為自体の正確性を支援又は追求するものではない。
【0009】
前述のように、商品配送センターにおけるおびただしい種類の物品の選択ピッキング及びそれらの
的確な配送容器への投入(上記作業行為そのもの)の両方の
的確性を支援するという本発明の課題とは趣旨を異にするものと言える。
【0010】
以上のように、多品種多種類の商品を顧客である仕向け先に配送するための物流拠点におけるピッキング作業においては、指定された商品を必要な数だけ
的確に選択し、ピッキングし、且つコンベア上を移動する配送容器に正確に投入するというすべての作業行為に対して、単純ミスであるピッキングミスを発生させることなく、早く、継続して作業をさせる支援技術が望まれている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】特開2012−240765号公報
【特許文献2】特開2008−222386号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
このように、商品物流保管倉庫での物品(商品)の出荷の際の出荷先別ピッキング作業において、作業のスピードアップを図りつつ作業者の単純ミスを最小限にするピッキングシステム及びその装置の開発が望まれていた。
【0013】
初心者でもわかり易く、間違えなく必要な商品を商品棚から選択して取り出し、コンベア上を流れる顧客別の指定された配送容器に確実に投入するというピッキング作業を、作業者に出来るならば考える余地を与えずに単純に継続して、しかも早く作業させるための
的確な支援システムが望まれている。また、その作業指示は商品物流センターにおける入出庫管理システム及び倉庫保管管理システムと連動し、受注出荷情報に基づく顧客別配送管理システムの一環でなくてはならない。
【0014】
本発明はこうした従来技術上の問題点を解決することを企図したものであり、ピッキング作業の作業性を格段に向上させつつ、経済効率も格段に向上させることの可能な物品ダイレクトピッキングシステムを提供することをその課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
かかる課題を解決するため、本発明に係るプロジェクタ利用ピッキング装置は、
ピッキング対象物及び/若しくは前記ピッキング対象物を投入する容器に映像を投影する投影装置(プロジェクタ)と、
前記ピッキング対象物の商品棚と、
前記ピッキング対象物を投入する出荷容器と、
前記ピッキング対象物を投入する出荷容器が運ばれるコンベアと、
前記ピッキング対象物の出荷情報処理装置と、
前記ピッキング対象物出荷情報処理装置と連動した前記投影装置の制御装置と
を具備して構成される。
【0016】
本発明のプロジェクタ利用ピッキング装置の前記映像は、前記出荷情報処理装置から前記ピッキング対象物の出荷に伴い伝達され、前記投影装置の制御装置から指示された前記ピッキング対象物を特定するための紐付けされた映像であって、前記ピッキング対象物及び/若しくはその近傍の前記商品棚に投影され、及び/若しくは前記ピッキング対象物を投入する出荷容器に投影され、及び/若しくは前記コンベア近傍の仮置き棚に投影される映像であることを特徴とする。
【0017】
本発明のプロジェクタ利用ピッキング装置の前記映像は、特定された前記ピッキング対象物を投入する容器であって前記コンベアの移動と共に移動する容器を追随して投影される映像であることを特徴とする。
【0018】
また、本発明のプロジェクタ利用ピッキング装置の前記映像は、前記ピッキング対象物の映像及び/若しくは前記ピッキング対象物を特定する情報映像(識別マーク、文字、図形、記号、色彩)であって、数量、大きさ、色、濃淡、点滅が選択され、複数の前記ピッキング対象物について同時に投影されることを特徴とする。
【0019】
つまり、本発明のプロジェクタ利用ピッキング装置は、出荷情報処理装置から発せられた特定商品の出荷指示に従い、投影装置の制御装置が、その特定商品の映像を選択し且つその特定商品の商品棚位置情報と共に投影装置に伝達し、その映像を商品棚の特定商品に投影させる。同様に、その特定商品の出荷容器のコンベア上の位置情報を受け、特定商品の映像を出荷容器上に投影する。
【0020】
例えば従来は、商品棚においても商品別に又は商品カテゴリ間口別に点灯ランプ又は表示板等の設置が必要であり、それらは全て出荷管理情報に電気的に接続される必要があるため、ピッキング作業の現場全体に係る設備投資が必要であったが、本発明のプロジェクタ利用ピッキング装置においては、プロジェクタ装置によって映像投影できる範囲であれば全て対応できるため設備投資はわずかである。プロジェクタ装置の数は必要に応じて増やして併設すればよい。
【0021】
出荷容器には出荷先別の識別子が付されており、コンベア上を移動する出荷容器の位置は識別子画像認識装置によって認識され、設定されたコンベアスピードに則って位置情報が投影装置の制御装置に伝達されるため、コンベアと共に移動している出荷容器に合せて映像を移動投影する。その技術は周知技術の範囲で十分対応できる。本発明は投影のための個別技術を限定するものではない。
【0022】
ピッキング作業者は、映像が投影された商品を商品棚から選択し、同様に映像が投影された出荷容器に投入するだけでピッキング作業が終了する。映像による指示は、作業者にとって非常に簡単でわかり易く、且つ視覚を通して強く印象に残る情報であるためピッキングミスが激減し、長時間の継続作業が容易となる。
【0023】
商品の映像は、その商品ごとに予め作成された映像情報であり、前記識別マーク、文字、図形等を含めて映像の内容に制限はない。ピッキングすべき数も指定できる。その他、作業者に伝達すべき特定商品の付随情報についても映像の中に含めることができるため、視覚認知できる情報であればあらゆる情報を作業者に伝達及び指示することができる。
【0024】
本発明のプロジェクタ利用ピッキング装置の前記映像は、前記ピッキング対象物のピッキング作業及び/若しくは仮置き台への移動作業及び/若しくは前記容器への投入作業の終了のアクションを催促するための映像情報及び/若しくは商品個別情報を含むことを特徴とする。
【0025】
本発明のプロジェクタ利用ピッキング装置の前記映像は、特定の前記ピッキング対象物のピッキング作業及び/若しくは仮置き台への移動作業及び/若しくは前記容器への投入作業の終了の情報を前記投影装置の制御装置及び/若しくは前記投影装置の制御装置に連接した画像認識装置及び/若しくは音声認識装置が認識した後、当該特定の前記映像の投影が終了されることを特徴とする。
【0026】
つまり商品の映像の中には、作業終了の際、作業者がアクションすべき方法も情報として含めることができる。商品選択作業、コンベア待ち時間を調整するための仮置き作業、出荷容器投入作業など各々の作業において、作業終了時に作業者が返信伝達すべきアクションを、映像を介して作業者が認知することができる。そして作業者は、作業終了後そのアクションを実施すればよい。もちろんそのアクションの方法は、電気スイッチ操作であってもよく、集音マイクを介した音声送信又は無線送信手段、身体のアクションであってもよい。これらのアクションは、本発明のプロジェクタ利用ピッキング装置が感知し、その作業の終了を認知する。身体のアクション等は、プロジェクタに画像認識装置(画像撮像認識装置)が有れば周知技術によって対応できる。
【0027】
また、取り扱う商品の大きさや出荷配送センターの広さ等によって制限を受けるに様々な異なるピッキング作業現場においても、本発明のプロジェクタ利用ピッキング装置は対応できる。例えば非常に長いコンベア上を出荷容器が移動するのであれば、それに応じたプロジェクタの数を併設すればよい。当然ながら本システムの指示情報は全て連接され、必要な範囲で必要なプロジェクタが映像を投影すればよい。
【発明の効果】
【0028】
本発明によれば、多品種多種類の商品を顧客である仕向け先に配送するための物流拠点のピッキング作業において、ピッキング作業者が、指定された商品を必要な数だけ適格に選択し、ピッキングし、且つコンベア上を移動する配送容器に正確に投入するというすべての作業行為に対して、単純なピッキングミスを発生させることなく、早く、継続して作業をすることができる。
【0029】
また、商品棚やコンベア隣接部等に出荷管理システムと連動した個別のランプ点灯設備などの設備投資は不要であり、安全性と作業性を格段に向上させつつ、経済効率も格段に向上させることの可能な商品出荷システムが実現される。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【
図1】本発明の一実施形態に係るプロジェクタ利用ピッキング装置の全体イメージを示した斜視概念図である。
【
図2】本発明の一実施形態に係るプロジェクタ利用ピッキング装置の商品棚投影イメージを示した斜視概念図である。
【
図3】本発明の一実施形態に係るプロジェクタ利用ピッキング装置のコンベア側出荷容器への投影イメージを示した概念図である。
【
図4】本発明の一実施形態に係るプロジェクタ利用ピッキング装置の出荷容器への複数映像の投影イメージを示した概念図である。
【
図5】本発明の一実施形態に係るプロジェクタ利用ピッキング装置を構成する機能ブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
以下、図面を参照して本発明を実施するための形態について説明する。なお、以下では本発明の目的を達成するための説明に必要な範囲を模式的に示し、本発明の該当部分の説明に必要な範囲を主に説明することとし、説明を省略する箇所については公知技術によるものとする。
【0032】
図1は、本発明の一実施形態に係るプロジェクタ利用ピッキング装置の全体イメージを示した斜視概念図である。同図に示すように、一般的にピッキング作業現場では、多種類の出荷用商品を個別商品17ごとに配膳された商品棚16の前を出荷用容器14と共に流れるコンベア13が配置されている。その間はピッ
キング作業を行う作業者15が介在する。本発明の一実施形態に係るプロジェクタ利用ピッキング装置においては、その前方上部に投影装置であるプロジェクタ11が設置され
ており、プロジェクタ11は、プロジェクタ制御装置12で制御されている。
【0033】
商品棚16の個別商品17はその識別ID(例えばバーコード等の識別子情報)により、商品棚16の間口や配膳位置(保管住所)がすべて決定されており、その位置通りに配膳されている。また、コンベア13によって流れる個別の出荷容器14も、その識別ID(例えばバーコード等の識別子情報)によって出荷先や投入されるべき商品が全て予め決定されている。
【0034】
図1に示すように、プロジェクタ11からは様々な映像が、商品棚16の個別商品17及びコンベア13の上を流れる出荷容器14等に向かって投影されている。個別商品17への投影映像は、商品の上への直接投影であってもよく、また商品近傍の商品棚間口であってもよい。出荷容器14に投影された投影映像19は、コンベア13及び出荷容器14の移動に伴い出荷容器14を追尾するように移動する。
【0035】
詳細は後述するが、商品配送センターの商品入出荷管理情報システムに連動するプロジェクタ制御装置が、作業者がピッキングすべき商品棚16の個別商品17に個別映像を投影し、作業者15はその商品をピッキングする。また同様に、商品配送センターの商品入出荷管理情報システムに連動するプロジェクタ制御装置12が、その個別商品を投入すべき出荷容器14に個別映像を投影し、作業者15は、その商品をその容器に投入する。
【0036】
出荷容器14に投影された投影映像19は、コンベアの速度及び個別出荷容器ID認識装置によって、その位置及び移動速度等の情報が商品入出荷管理情報システムを経由してプロジェクタ制御装置12に伝達されるため、その情報に従いプロジェクタ11が個別出荷容器への投影映像19を同速度で移動させることによって、出荷容器には同一投影映像が追尾して投影される。
【0037】
作業者は投影映像の指示に従い商品を商品棚から選択ピッキングし投影映像の指示に従ってその商品を出荷容器に投入すればよい。映像情報は作業者にとって視覚認識し易く、わかり易く且つ印象的で意識に残るため、非常に単純でわかり易い作業となる。ピッキングミスの発生を激減させることができる。
【0038】
図2は、本発明の一実施形態に係るプロジェクタ利用ピッキング装置の商品棚投影イメージを示した斜視概念図である。同図に示すように、商品棚16の個別商品17に対して、上部に設置されたプロジェクタ11が投影映像19を投影する。投影映像は、ピッキングすべき商品に直接投影されてもよいし、又はその近傍間口に投影されてもよい。個別商品の投影映像19は、前方のコンベア13上を流れる出荷容器14の接近するタイミングに従い、商品個別識別ID情報に則りその商品の配膳された棚位置に逐次移動して投影される。
【0039】
図2に示すように、プロジェクタ11は、支柱20を介して方向及び位置を変動させるシステムを用いてもよい。また、プロジェクタ11は
図2に示すように、商品棚16の上方に設置されていてもよいし、
図1のようにコンベア側の前面上方に設置されていてもよい。また複数台のプロジェクタ11を並列仕様で稼働させてもよい。これらは従来の技術によって対応できる。
【0040】
図2に示すように、プロジェクタから投影される投影映像は、個別商品のみに映像投影されているように図には描かれているが、例えば投影映像は商品棚16の間口前面側をすべて一画面として投影するものであって、個別商品部分のみが必要映像であり、その他の部分は白色又は無色、黒色等の映像のない投影であってもよい。これらはプロジェクタ投影方式の従来技術の選択の問題であり、それは全て本願の技術思想に含まれる。加えて本願の特徴は、個別商品の位置を明確に指示するための映像を作業者に示すために、必要な情報と共に商品位置情報として投影することにある。
【0041】
図3は、本発明の一実施形態に係るプロジェクタ利用ピッキング装置のコンベア側出荷容器への投影イメージを示した概念図である。同図に示すように、プロジェクタ11はコンベア13の上を流れる出荷容器14に投影映像19を投影する。商品棚16から個別商品をピッキングした作業者15は、その商品を投入すべき投影映像19の投影された出荷容器14にその商品を投入する。投影された各々の映像は、全て各々の個別作業のための異なる個別映像であり、作業者が作業を間違えることはない。もちろん作業の優先順位をも映像情報の中には含まれる。
【0042】
商品入出庫管理情報システムと連動したコンベア稼働システムと出荷容器14に付された個別出荷容器IDの定位置識別読取り等の情報により、その個別出荷容器がコンベア13のどの位置をどのような速度で移動しているか等の個別出荷容器の位置情報はプロジェクタ制御装置に伝達される。その情報に基づいてプロジェクタ11は、投入すべき商品の個別映像をその個別出荷容器14に追尾して投影する。
【0043】
図3に示すように、プロジェクタ11から投影される映像は、個別商品の識別IDと出荷容器識別IDに従い、ピッキングすべき商品の位置及び時間、投影すべき個別商品の投影映像そして作業すべき作業者15が決定されるため、その情報に従いプロジェクタ制御装置12及びプロジェクタ11が映像を投影する。そして複数の個別商品の複数の投影映像が、複数の作業者に対して同時並行で複数の出荷容器に投影させることができる。
【0044】
また、同一の作業者に対しても、複数の個別商品の個別投影映像を複数の出荷容器に投影することもできる。これらの複数の投影映像は、例えば投影映像の色、濃淡、番号表示等によって作業者に作業順番を指示することもできる。また、出荷容器の到着待ち時間を有効に活用するため商品を一時仮置き棚18に仮置くための仮置き指示を表示することもできる。投影映像に数の表示を用いて複数の商品を同一出荷容器に投入することも可能である。
【0045】
図4は、本発明の一実施形態に係るプロジェクタ利用ピッキング装置の出荷容器への複数映像の投影イメージを示した概念図である。同図に示すように、コンベア13の上を流れる出荷容器14に投影映像19が投影されている。例えば、投影映像19は、出荷先の決定された個別の出荷容器14に投影された特定の商品の映像であり、商品棚16に投影された投影映像19aは、その特定商品の上又はその近傍に投影された特定商品をピッキングするための投影映像である。
【0046】
また、例えばその特定商品を投入すべき出荷容器14がコンベア13の上流にある場合は、その出荷容器にも特定商品の投影映像(待ち時間を有する出荷容器への投影映像)19cが投影される。そして待ち時間を有する出荷容器への投影映像19cに投入されるべき特定商品は一時的に仮置き棚18の上に投影映像19bが投影されて、その上に作業者によって待ち時間を有する出荷容器への投影映像19c
が投影された出荷容器が来るまで仮置きされる(仮置き作業)。商品棚の特定商品に投影された投影映像19aに投影された数値「3」は例えばピッキングすべき特定商品の数であり、投影映像19の数値「2」に従い2個投入される。そして投影映像19cの数値「1」はその出荷容器へ投入する特定商品の数であり、投仮置き棚18の投影映像19bの指示「1」の通り仮置き棚に1個が仮置きされる。
【0047】
このように本発明の一実施形態に係るプロジェクタ利用ピッキング装置によれば、投影映像によってピッキングする商品や商品数のみならず、仮置き等の特殊作業の指示も作業者に簡易に伝達することができる。これらの指示の詳細は、全て投影映像の中に盛り込むことができる。つまり投影映像の文字、図形、記号、画像形状、模様、色彩、濃淡等の違いを利用して様々な情報及び指示を作業者に伝達することができる。作業者は投影映像の指示及び指示順番等に従い単純作業をミスのないように実行することにより、ピッキング作業は論理的に最も早く実施することができるようになる。つまり作業者の作業ロス時間が最小になるように全ての作業順番及び作業組合せを論理的に予め設定することができる。もちろん作業者同士の作業の配分も作業者のスキルに応じて予め設定することができるため同様に論理的対応することが可能である。
【0048】
図5は、本発明の一実施形態に係るプロジェクタ利用ピッキング装置を構成する機能ブロック図である。同図に示されるように、本システムは商品配送センターの入出庫管理等を総合して管理する商品配送センター管理システム101に連動している。商品出荷管理情報システム110には、出荷商品ID情報111、出荷容器ID情報112、商品棚情報113が含まれている。商品容器ID情報112は、出荷容器コンベア位置情報150に連接している。その他、個別商品投影映像情報120、ピッキング作業プログラム160、仮置き等特殊作業プログラム130、終了情報認知システム140等のシステムとも連動している。
【0049】
本発明の一実施形態に係るプロジェクタ利用ピッキング装置100では、商品出荷管理情報システム110の商品出荷情報に基づいて、出荷商品ID情報111の中の特定出荷商品IDと出荷容器ID情報112の中の特定出荷容器ID及び商品棚情報113(特定商品位置情報)が紐付けされる。コンベア上を流れる出荷容器コンベア位置情報150が同様に紐付けされる。そして特定出荷商品IDに基づいて個別商品投影映像情報120の中から特定商品投影画像が選択される。ピッキング作業プログラム160、仮置き等特殊作業プログラム130によって、ピッキング作業現場に投影される映像情報がプロジェクタ制御装置12に伝達され、指示された投影映像をプロジェクタ11が投影する。
【0050】
終了情報認知システム140は、ピッキング作業のそれぞれの作業行為の終了情報を得て、各々の作業に係る投影映像の投影終了をプロジェクタ制御装置12に指示し、投影映像の投影を終了する。作業者による商品の商品棚からのピッキング作業及び出荷容器への商品投入作業そして仮置き等の特殊作業においては、それらの作業を終了した際、作業者はその作業終了の情報をプロジェクタ利用ピッキング装置に伝達する。
【0051】
上記の終了情報の伝達方法は、例えば作業者が装着したマイクによる音声情報入力であってもよいし、同様に装着した携帯通信機器のスイッチ入力であってもよい。または商品棚、コンベア近傍にあるボタンスイッチであってもフットスイッチであってもよい。又は特定の作業アクションをプロジェクタ11に併設された画像認識装置で画像認識する方法であってもよい。
【0052】
これらの終了情報を得て、本システムからは次の作業指示のための投影映像が投影されることになる。また、特定出荷容器には指示通りの特定商品が投入されたことを商品配送センター管理システム101が認知して、商品の出荷へと配送手順が進行される。これらの一連の作業は全て商品配送センター管理システム101によって管理することが可能である。
【0053】
なお、本発明は上述した実施形態に限定されるものではなく、本発明の主旨を逸脱しない範囲内で種々変更して実施することが可能であり、特許請求の範囲と均等の範囲内での全ての変更が含まれることが意図される。例えば、出荷容器が複数のコンベア上を流れる場合や、特殊容器への投入の場合又は出荷容器のないコンベア上の特定位置への投入(配置)の場合など全て本システムによる対応が可能である。これらはいずれもすべて、本技術思想の一部である。
【産業上の利用可能性】
【0056】
上述したように、本プロジェクタ利用ピッキング装置に係る発明によれば、中間物流拠点である商品配送センターにおける作業者の商品ピッキング作業が格段に速くなり作業ミスも激減するため、経済効率も格段に向上させることが可能である。
【0057】
また本発明は、その適応作業を商品のピッキング作業に限定されることなく、あらゆる物品のピッキング用途に対しても利用・適用可能である。よって本願は、商品物流産業の他、製造業、サービス業等各種産業に対して大きな有益性をもたらすものであり、産業の利用可能性は非常に大きい。
【符号の説明】
【0058】
1 プロジェクタ利用ピッキング装置
11 プロジェクタ(投影装置)
12 プロジェクタ制御装置
13 コンベア
14 出荷容器
15 作業者
16 商品棚
17 個別商品(間口)
18 仮置き棚
19 投影映像
19a 商品棚への投影映像
19b 仮置き棚への投影映像
19c 待ち時間を有する出荷容器への投影映像
20 支柱