(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記高温加熱部から前記第1高温蓄熱部及び前記第2高温蓄熱部へ向かう経路に設けられ、前記高温加熱部で前記作動流体を加熱して降温した前記第1高温熱媒体と前記第2高温熱媒体とを貯留する熱媒戻りタンクと、
前記熱媒戻りタンクを収納する第2コンテナと
を備える、請求項14に記載の圧縮流体貯蔵発電装置。
前記単一のコンテナは、前記第1高温蓄熱部と前記第2高温蓄熱部と前記低温蓄熱部と、前記熱媒戻りタンクとを分けて収納するよう、内部に仕切りを備える、請求項17に記載のコンテナ型圧縮流体貯蔵発電装置。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施の形態を図面に従って説明する。
【0011】
(第1実施形態)
図1は本発明の第1実施形態に係る圧縮流体貯蔵発電装置10を示す。
図2は第1実施形態に係る圧縮流体貯蔵発電装置10の低温熱媒体系統を示す。圧縮流体貯蔵発電装置10は、圧縮機11での作動流体圧縮時に作動流体である空気を圧縮し、圧縮した空気を蓄圧タンク(蓄圧部)12にて貯蔵し、発電機13での発電時に蓄圧タンク12で貯蔵した圧縮空気を発電機13に供給して発電する発電装置である。圧縮流体貯蔵発電装置10では、圧縮機本体22,24から蓄圧タンク12に流れる空気から高温熱回収部(インタークーラ23,アフタークーラ25)で熱が回収され、この回収された熱によって蓄圧タンク12から膨張機28,32に流れる空気が高温加熱部(プレヒータ27,インターヒータ31)で加熱される。また、圧縮機11と発電機13のそれぞれの低温熱回収部で低温熱媒体に回収された電力ロス等の熱である低温発熱部からの熱によって、圧縮流体貯蔵発電装置10を流れる作動流体が低温加熱部(吸気プレヒータ21,ロス回収熱プレヒータ26,ロス回収熱インターヒータ29)で加熱される。これらにより、圧縮作動流体の熱と、圧縮作動流体以外の低温熱源からの熱とを回収して熱効率を向上させ発電効率を向上させる。
【0012】
圧縮流体貯蔵発電装置10は、空気系統20と、第1高温熱媒体系統40と、第2高温熱媒体系統50と、低温熱媒体系統60とを備えている。
【0013】
(空気系統)
図1を参照すると、空気系統20には、空気の流れに沿って、吸気プレヒータ(第1低温プレヒータ)21、低圧段圧縮機本体22、インタークーラ23、高圧段圧縮機本体24、アフタークーラ25、蓄圧タンク12、ロス回収熱プレヒータ(第2低温プレヒータ)26、プレヒータ27、高圧段膨張機28、ロス回収熱インターヒータ(第3低温プレヒータ)29、インターヒータ31、低圧段膨張機32、及びアフタークーラ(発電機側アフタークーラ)36が順に配置されている。
【0014】
吸気プレヒータ21は、低圧段圧縮機本体22の上流に設けられている。吸気プレヒータ21は、外部から低圧段圧縮機本体22に吸い込まれる空気と、圧縮機11、及び発電機13の低温熱回収部で電力ロス等の熱が回収された低温熱媒体系統60の低温熱媒体(油循環流路70a,80aから流入した油)とを熱交換させる熱交換器である。吸気プレヒータ21は低温加熱部を構成する。
【0015】
本実施形態では、低圧段圧縮機本体22は容積型のスクリュ圧縮機本体である。低圧段圧縮機本体22は、制御装置(図示せず)の制御によって電動機(駆動源)34により駆動され、吸気プレヒータ21で加熱された空気を吸入して圧縮する。
図3に示すユニットの低圧段圧縮機本体22は、圧縮機11の構成要素である。圧縮機11は、低圧段圧縮機本体22の回転数を制御するインバータ(図示せず)を備えた電動機34を備えている。
【0016】
インタークーラ23は、
図1、
図3乃至
図5に示すように、空気系統20の空気入口23aから導入され空気出口23bから導出される圧縮空気と、第1高温熱媒体系統40の熱媒体入口23cから導入され熱媒体出口23dから導出される第1高温熱媒体(油)とを熱交換させる熱交換器である。インタークーラ23は、高温熱回収部を構成する。
【0017】
図1を参照すると、本実施形態では、高圧段圧縮機本体24は、容積型のスクリュ圧縮機本体である。高圧段圧縮機本体24は、制御装置(図示せず)の制御によって電動機34により駆動され、インタークーラ23で冷却された圧縮空気を吸入して圧縮する。
図3に示すユニットの高圧段圧縮機本体24は、圧縮機11の構成要素である。空気系統20の高圧段圧縮機本体24の吐出側には、吐出された圧縮空気の温度Tを検出する圧縮空気温度センサ37が設けられている。
【0018】
図1、
図3及び
図4に示すように、アフタークーラ25は、空気系統20の空気入口25aから導入され空気出口25bから導出される圧縮空気と、第2高温熱媒体(油)とを熱交換させる熱交換器である。第2高温熱媒体(油)は、後述する熱媒供給ポンプ41と三方弁46との間の第1高温熱媒体系統40から分岐する第2高温熱媒体系統50の熱媒体入口25cから導入される。第2高温熱媒体(油)は、熱媒体出口25dから導出される。アフタークーラ25の第2高温熱媒体(油)の温度は第1高温熱媒体(油)の温度よりも高温である。アフタークーラ25は、高温熱回収部を構成する。
【0019】
図1を参照すると、蓄圧タンク12は、圧縮機11での作動流体圧縮時に低圧段圧縮機本体22と高圧段圧縮機本体24とで圧縮した空気を貯蔵する。すなわち、蓄圧タンク12では、低圧段圧縮機本体22と高圧段圧縮機本体24とで圧縮した空気によって蓄圧される。また、発電機13での発電時に蓄圧タンク12で貯蔵した圧縮空気を発電機13に供給する。蓄圧タンク12の入口(図示せず)及び出口(図示せず)には、それぞれ入口弁(図示せず)、及び出口弁(図示せず)が設けられている。圧縮機11での作動流体圧縮時、制御装置(図示せず)によって、蓄圧タンク12の入口弁(図示せず)が開弁される。また、発電機13での発電時、蓄圧タンク12の出口弁(図示せず)が開弁される。なお、作動流体圧縮時と発電時を除いては、蓄圧タンク12の入口弁(図示せず)、及び出口弁(図示せず)は共に閉弁される。
【0020】
ロス回収熱プレヒータ26は、空気系統20の空気入口から導入され空気出口から導出される圧縮空気と、低温熱媒体系統60の熱媒体入口((
図1中のA2で示した接続部)から導入され熱媒体出口((
図1中のB2で示した接続部)から導出される低温熱媒体(油)とを熱交換させる熱交換器である。ロス回収熱プレヒータ26は低温加熱部を構成する。
【0021】
図1、
図6及び
図7に示すように、プレヒータ27は、空気系統20の空気入口27aから導入され空気出口27bから導出される圧縮空気と、第1高温熱媒体系統40の第1高温熱媒体(油)とを熱交換させる熱交換器である。第1高温熱媒体(油)は、第1高温熱媒体系統40の熱媒体入口27cから導入される。第1高温熱媒体(油)は、第1高温熱媒体系統40の熱媒体出口27dから導出される。プレヒータ27は、高温加熱部を構成する。
【0022】
図1及び
図7を参照すると、本実施形態では、高圧段膨張機28は容積型のスクリュタービンである。高圧段膨張機28は、蓄圧タンク12から供給された圧縮空気により駆動される。高圧段膨張機28が駆動されることにより、発電機本体35が駆動される。高圧段膨張機28は、発電機13の構成要素である。
【0023】
図1を参照すると、ロス回収熱インターヒータ29は、空気系統20の空気入口から導入され空気出口から導出される圧縮空気と、低温熱媒体系統60の熱媒体入口(
図1中のA3で示した接続部)から導入され熱媒体出口(
図1中のB3で示した接続部)から導出される低温熱媒体とを熱交換させる熱交換器である。ロス回収熱インターヒータ29は低温加熱部を構成する。
【0024】
図1、
図6、及び
図7に示すように、インターヒータ31は、空気系統20の空気入口31aから導入され空気出口31bから導出される圧縮空気と、第2高温熱媒体系統50の熱媒体入口31cから導入され熱媒体出口31dから導出される第2高温熱媒体(油)とを熱交換させる熱交換器である。インターヒータ31では、アフタークーラ25で回収された熱が、第2高温熱媒体(油)を介して、ロス回収熱インターヒータ29で加熱された後の圧縮空気に移動され、圧縮空気がさらに加熱される。インターヒータ31は、高温加熱部を構成する。
【0025】
図1及び
図7を参照すると、本実施形態では、低圧段膨張機32は容積型のスクリュタービンである。低圧段膨張機32は、蓄圧タンク12から供給された圧縮空気により駆動される。低圧段膨張機32が駆動されることにより、発電機本体35が駆動される。低圧段膨張機32は、発電機13を構成する。
【0026】
アフタークーラ36は、低圧段膨張機32の下流に設けられている。アフタークーラ36は、低圧段膨張機32から流入する空気と、低温熱媒体系統60の入口であるB点(
図1参照)から点A4を通って流入する低温熱媒体とを熱交換させる熱交換器である。アフタークーラ36内部の空気系統(作動流体流路)20は、低温発熱部を構成する。アフタークーラ36内部の低温熱媒体系統(低温熱媒体流路)60は、低温熱回収部を構成する。
【0027】
(第1高温熱媒体系統)
図1を参照すると、第1高温熱媒体系統40には、第1高温熱媒体(油)の流れに沿って、熱媒供給ポンプ41、三方弁46、インタークーラ23、第1熱媒タンク(第1高温蓄熱部)42、プレヒータ27、第1熱媒回収ポンプ43、熱媒戻りタンク44、及び第1熱交換器45が配置されている。第1熱交換器45を通過した第1高温熱媒体(油)は熱媒供給ポンプ41に戻され、第1高温熱媒体系統40を循環する。
【0028】
熱媒供給ポンプ41は、第1熱交換器45から送流された第1高温熱媒体(油)を送流する。熱媒供給ポンプ41は、圧縮機11での作動流体圧縮時に作動する。熱媒供給ポンプ41の回転数は、制御装置(図示せず)によって、電動機入力電力に比例させて制御される。
【0029】
三方弁46は、熱媒供給ポンプ41からインタークーラ23へ通じる流路と、熱媒供給ポンプ41からインタークーラ23をバイパスして第1熱媒タンク42へ通じる流路とを切換可能に配置されている。三方弁46と、インタークーラ23と第1熱媒タンク42との間の第1高温熱媒体系統40とを接続する流路は、バイパス流路47である。三方弁46の連通は、圧縮空気温度センサ37の検出値に応じて切り換えられるようになっている。すなわち、三方弁46は、高圧段圧縮機本体24の吐出温度の許容設定値Td℃を一定に制御するように、流路を切り替える。
【0030】
図1、
図3、及び
図4に示すように、上述のインタークーラ23では、第1高温熱媒体系統40の熱媒体入口23cから導入され熱媒体出口23dから導出される第1高温熱媒体(油)が、空気系統20の圧縮空気との熱交換により加熱される。
【0031】
図1を参照すると、第1熱媒タンク42は、インタークーラ23で加熱された第1高温熱媒体(油)を貯蔵する。すなわち、第1熱媒タンク42は、インタークーラ23で回収した熱を蓄熱する。
【0032】
上述のプレヒータ27では、インタークーラ23で回収された熱が第1高温熱媒体(油)を介して圧縮空気に移動されるため、第1高温熱媒体(油)は冷却される。
【0033】
第1熱媒回収ポンプ43は、プレヒータ27からの第1高温熱媒体(油)を熱媒戻りタンク44へ送流する。第1熱媒回収ポンプ43は、制御装置(図示せず)によって、発電機13での発電時に作動する。第1熱媒回収ポンプ43の回転数は、制御装置(図示せず)によって、発電機出力電力に比例させて制御される。
【0034】
熱媒戻りタンク44は、第1熱媒回収ポンプ43により送流された第1高温熱媒体(油)を貯蔵する。
【0035】
図1及び
図3に示すように、第1熱交換器45は、外部から供給される冷却水が流れる冷却水流路と、第1高温熱媒体系統40の第1高温熱媒体(油)とを熱交換させる熱交換器である。第1熱交換器45では、冷却水との熱交換により、第1高温熱媒体(油)が冷却され、熱媒供給ポンプ41へ流れる第1高温熱媒体(油)の温度が一定に維持されている。
【0036】
(第2高温熱媒体系統)
図1を参照すると、第2高温熱媒体系統50には、第2高温熱媒体(油)の流れに沿って、熱媒供給ポンプ41、アフタークーラ25、第2熱媒タンク(第2高温蓄熱部)51、インターヒータ(高温加熱部)31、第2熱媒回収ポンプ52、熱媒戻りタンク44、第1熱交換器45が配置されている。第1熱交換器45を通過した第2高温熱媒体(油)は熱媒供給ポンプ41に戻され、第2高温熱媒体系統50を循環する。本実施形態では、第2高温熱媒体系統50の熱媒供給ポンプ41、熱媒戻りタンク44、及び第1熱交換器45は、第1高温熱媒体系統40の熱媒供給ポンプ41、熱媒戻りタンク44、及び第1熱交換器45と共通である。すなわち、第2高温熱媒体系統50は、熱媒供給ポンプ41と三方弁46との間の第1高温熱媒体系統40から分岐し、第1熱媒回収ポンプ43と熱媒戻りタンク44との間の第1高温熱媒体系統40に合流する。
【0037】
熱媒供給ポンプ41は、第1高温熱媒体系統40の熱媒供給ポンプ41と共通である。
【0038】
上述のアフタークーラ25では、第2高温熱媒体系統50の第2高温熱媒体(油)が、空気系統20の圧縮空気との熱交換により加熱される。
【0039】
第2熱媒タンク51は、アフタークーラ25で加熱された第2高温熱媒体(油)を貯蔵する。すなわち、第2熱媒タンク51は、アフタークーラ25で回収した熱を蓄熱する。
【0040】
上述のインターヒータ31では、アフタークーラ25で回収された熱が第2高温熱媒体(油)を介して圧縮空気に移動されるため、第2高温熱媒体(油)は冷却される。
【0041】
第2熱媒回収ポンプ52は、インターヒータ31からの第2高温熱媒体(油)を熱媒戻りタンク44へ送流する。第2熱媒回収ポンプ52は、制御装置(図示せず)によって、発電機13での発電時に作動する。第2熱媒回収ポンプ52の回転数は、制御装置(図示せず)によって、発電機出力電力に比例させて制御される。
【0042】
熱媒戻りタンク44は、第1高温熱媒体系統40の熱媒戻りタンク44と共通である。
【0043】
第1熱交換器45は、第1高温熱媒体系統40の第1熱交換器45と共通である。
【0044】
(低温熱媒体系統)
図1及び
図2を参照すると、低温熱媒体系統60は、圧縮機側低温熱媒体系統70と発電機側低温熱媒体系統80とを備えている。本実施形態では、低温熱媒体系統60は、低温熱回収部と低温加熱部21,26,29との間で低温熱媒体(油)を循環させる油循環流路70a,80aである。ここで、低温熱回収部は、後述する低温発熱部72A,72B,73,74,75A,75B,81A,81B,82,83,84,85A,85Bが配置されている範囲とオイルポンプ77,87が配置されている範囲の油循環流路70a,80a、及びアフタークーラ36である。低温熱媒体系統60は、後述する第2熱交換器71の上流から分岐し、後述する三方弁78の下流で合流するバイパス流路104が設けられている。バイパス流路104には弁105が設けられている。弁105は、後述するタービン潤滑油タンク86の油面センサ108が検出した油面に応じて開閉が制御されるようになっている。
【0045】
図2に示すように、圧縮機側低温熱媒体系統70では、低温熱媒体(油)の流れに沿って、第2熱交換器71、低圧段圧縮機本体摩擦熱発熱部72A、高圧段圧縮機本体摩擦熱発熱部72B、インバータ発熱部73、電動機発熱部74、高圧段圧縮機本体ケーシング発熱部75A、及び低圧段圧縮機本体ケーシング発熱部75B、圧縮機潤滑油タンク(低温蓄熱部)76、オイルポンプ77、及び三方弁78が順に配置されている。本実施形態では、圧縮機側低温熱媒体系統70の第2熱交換器71、及び三方弁78は、発電機側低温熱媒体系統80の第2熱交換器71、及び三方弁78と共通である。すなわち、発電機側低温熱媒体系統80は、第2熱交換器71と低圧段圧縮機本体摩擦熱発熱部72Aとの間の圧縮機側低温熱媒体系統70から分岐し、三方弁78で圧縮機側低温熱媒体系統70と合流する。
【0046】
低温熱媒体系統60は、三方弁78の下流側の流路が3つに分岐している。各流路の端部は
図1に示したA1〜A3である。A1〜A3には、それぞれ、弁102、111、112が設けられている。また、
図1及び
図2に示すように、低温熱媒体系統60には、上流側のBとアフタークーラ36の熱媒体入口A4との間を接続し、アフタークーラ36の熱媒体出口B4とタービン潤滑油タンク86のB4とを接続する流路106が設けられている。圧縮機側低温熱媒体系統70は、低温加熱部21,26,29,36の熱媒体入口(
図1のA1〜A4)と接続されている。
【0047】
三方弁78と吸気プレヒータ21との間には、弁102が設けられている。弁102は、作動流体圧縮時(作動流体圧縮時かつ発電時を含む)、かつ低温熱媒体による回収熱量が余剰である時に開弁する。
【0048】
図1に示すように、低温熱媒体系統60は、後述する第2熱交換器71の上流側の流路が3つに分岐している。各流路の端部はB1〜B3である。低温熱媒体系統70は、低温加熱部21,26,29の熱媒体出口(
図1のB1〜B3)と接続されている。
【0049】
図2に示すように、第2熱交換器71は、外部から供給される冷却水が流れる冷却水流路と、低温加熱部21,26,29からの圧縮機側低温熱媒体系統70であり、かつ発電機側低温熱媒体系統80の低温熱媒体(油)とが内部で熱交換する熱交換器である。第2熱交換器71では、冷却水との熱交換により、低温熱媒体(油)が冷却され、低温発熱部72A,72B,73,74,75A,75Bへ流れる低温熱媒体(油)の温度が一定(本実施形態では40℃)に維持されている。
【0050】
低圧段圧縮機本体摩擦熱発熱部72Aは、低温発熱部を構成する。低圧段圧縮機本体摩擦熱発熱部72Aは、電動機34と圧縮機本体22の軸受、歯車(圧縮機本体増速ギヤ)のそれぞれで発生する摩擦により発熱する部分である。摩擦により発生した熱はメカニカルロスである。低圧段圧縮機本体摩擦熱発熱部72Aの外面は低温熱回収部を構成する。
【0051】
高圧段圧縮機本体摩擦熱発熱部72Bは、低温発熱部を構成する。高圧段圧縮機本体摩擦熱発熱部72Bは、電動機34と圧縮機本体24の軸受、歯車(圧縮機本体増速ギヤ)のそれぞれで発生する摩擦により発熱する部分である。摩擦により発生した熱はメカニカルロスである。高圧段圧縮機本体摩擦熱発熱部72Bの外面は低温熱回収部を構成する。
【0052】
インバータ発熱部73は、低温発熱部を構成する。
図8に示すように、インバータ発熱部73は、電動機34の回転数を制御するIGBT素子を有するインバータのケーシング73aに設けられたヒートシンクである。インバータのケーシング73aのヒートシンクは、低温熱媒体が流通される低温熱媒体系統70の油循環流路70aに隣接するように配置されている。ヒートシンクにおいて、インバータのケーシング73aの内部から移動してきた熱と油循環流路70aの低温熱媒体(油)とが熱交換する。ヒートシンクは低温熱回収部を構成する。
【0053】
電動機発熱部74は、低温発熱部を構成する。
図9に示すように、電動機発熱部74は、電動機34のケーシング34aに設けられた冷却ジャケット34bである。電動機34のケーシング34aの冷却ジャケット34bは、内部を油循環流路70aの低温熱媒体(油)が流通するように配置されている。冷却ジャケット34bにおいて、電動機34のケーシング34aの内部から移動してきた熱と油循環流路70aの低温熱媒体(油)とが熱交換する。冷却ジャケット34bは、低温熱回収部を構成する。
【0054】
高圧段圧縮機本体ケーシング発熱部75Aは、低温発熱部を構成する。
図10に示すように、高圧段圧縮機本体ケーシング発熱部75Aは、高圧段圧縮機本体24のケーシング24aに設けられた冷却ジャケット24bである。高圧段圧縮機本体24のケーシング24aの冷却ジャケット24bは、内部を油循環流路70aの低温熱媒体(油)が流通するように配置されている。冷却ジャケット24bにおいて、高圧段圧縮機本体24のケーシング24aの内部から移動してきた熱と油循環流路70aの低温熱媒体(油)とが熱交換する。冷却ジャケット24bは、低温熱回収部を構成する。
【0055】
低圧段圧縮機本体ケーシング発熱部75Bは、低温発熱部を構成する。
図10に示すように、低圧段圧縮機本体ケーシング発熱部75Bは、低圧段圧縮機本体22のケーシング22aに設けられた冷却ジャケット22bである。低圧段圧縮機本体22のケーシング22aの冷却ジャケット22bは、内部を油循環流路70aの低温熱媒体(油)が流通するように配置されている。冷却ジャケット22bにおいて、低圧段圧縮機本体22のケーシング22aの内部から移動してきた熱と油循環流路70aの低温熱媒体(油)とが熱交換する。冷却ジャケット22bは、低温熱回収部を構成する。
【0056】
圧縮機潤滑油タンク76は、圧縮機側低温熱媒体系統70の各低温発熱部で熱を回収した後の低温熱媒体(油)を貯蔵する。すなわち、圧縮機潤滑油タンク76は、圧縮機側低温熱媒体系統70の各低温発熱部72A,72B,73,74,75A,75Bで回収した熱を蓄熱する。本実施形態では、圧縮機潤滑油タンク76で蓄熱される低温熱媒体(油)の温度は75℃である。
【0057】
圧縮機潤滑油タンク76とタービン潤滑油タンク86との間には連通路79が設けられている。連通路79には、圧縮機潤滑油タンク76からタービン潤滑油タンク86への流れのみを許容する逆止弁79aが設けられている。
【0058】
オイルポンプ77は、電動機34への入力電力、油温に基づいて、制御装置(図示せず)によって回転数が制御される。オイルポンプ77は、圧縮機11での作動流体圧縮時に作動し、圧縮機潤滑油タンク76からの低温熱媒体(油)を三方弁78を通して、低温加熱部21,26,29へ送流する。オイルポンプ77は、作動流体圧縮終了後、一定時間経過後に停止する。
【0059】
三方弁78は、圧縮機側低温熱媒体系統70と、発電機側低温熱媒体系統80の一方または両方と、低温加熱部21,26,29側への流路とを連通させる弁である。三方弁78は、作動流体圧縮時に圧縮機側低温熱媒体系統70側の弁と前記流路側への弁とが開弁し、発電時に発電機側低温熱媒体系統80側の弁と前記流路側への弁とが開弁する。
【0060】
図2に示すように、発電機側低温熱媒体系統80では、低温熱媒体の流れに沿って、第2熱交換器71、高圧段タービン摩擦熱発熱部81A、低圧段タービン摩擦熱発熱部81B、コンバータ発熱部82、インバータ発熱部83、発電機本体発熱部84、高圧段タービンケーシング発熱部85A、低圧段タービンケーシング発熱部85B、タービン潤滑油タンク86、オイルポンプ87、及び三方弁78が順に配置されている。
【0061】
第2熱交換器71は、上述したように、圧縮機側低温熱媒体系統70の第2熱交換器71と共通である。
【0062】
高圧段タービン摩擦熱発熱部81Aは、低温発熱部を構成する。高圧段タービン摩擦熱発熱部81Aは、発電機本体35と膨張機28の軸受、歯車のそれぞれで発生する摩擦により発熱する部分である。摩擦により発生した熱はメカニカルロスである。高圧段タービン摩擦熱発熱部81Aの外面は低温熱回収部を構成する。
【0063】
低圧段タービン摩擦熱発熱部81Bは、低温発熱部を構成する。低圧段タービン摩擦熱発熱部81Bは、発電機本体35と膨張機32の軸受、歯車のそれぞれで発生する摩擦により発熱する部分である。摩擦により発生した熱はメカニカルロスである。低圧段タービン摩擦熱発熱部81Bの外面は低温熱回収部を構成する。
【0064】
コンバータ発熱部82は、低温発熱部を構成する。
図8に示すように、コンバータ発熱部82は、発電機本体35のコンバータのケーシング82aに設けられたヒートシンクである。コンバータのケーシング82aのヒートシンクは、低温熱媒体が流通される油循環流路80aに隣接するように配置されている。ヒートシンクにおいて、コンバータのケーシング82aの内部から移動してきた熱と油循環流路80aの低温熱媒体(油)とが熱交換する。ヒートシンクは低温熱回収部を構成する。
【0065】
インバータ発熱部83は、低温発熱部を構成する。
図8に示すように、インバータ発熱部83は、コンバータで変換された発電電力を再変換するインバータのケーシング83aに設けられたヒートシンクである。インバータのケーシング83aのヒートシンクは、低温熱媒体が流通される油循環流路70aに隣接するように配置されている。ヒートシンクにおいて、インバータのケーシング83aの内部から移動してきた熱と油循環流路70aの低温熱媒体(油)とが熱交換する。ヒートシンクは低温熱回収部を構成する。
【0066】
発電機本体発熱部84は、低温発熱部を構成する。
図9に示すように、発電機本体発熱部84は、発電機本体35のケーシング35aに設けられた冷却ジャケット35bである。発電機本体35のケーシング35aの冷却ジャケット35bは、内部を油循環流路80aの低温熱媒体(油)が流通するように配置されている。冷却ジャケット35bにおいて、発電機本体35のケーシング35aの内部から移動してきた熱と油循環流路80aの低温熱媒体(油)とが熱交換する。冷却ジャケット35bは、低温熱回収部を構成する。
【0067】
高圧段タービンケーシング発熱部85Aは、低温発熱部を構成する。
図10に示すように、高圧段タービンケーシング発熱部85Aは、高圧段膨張機28のケーシング28aに設けられた冷却ジャケット28bである。高圧段膨張機28のケーシング28aの冷却ジャケット28bは、内部を油循環流路80aの低温熱媒体(油)が流通するように配置されている。冷却ジャケット28bにおいて、高圧段膨張機28のケーシング28aの内部から移動してきた熱と油循環流路80aの低温熱媒体(油)とが熱交換する。冷却ジャケット28bは、低温熱回収部を構成する。
【0068】
低圧段タービンケーシング発熱部85Bは、低温発熱部を構成する。
図10に示すように、低圧段タービンケーシング発熱部85Bは、低圧段膨張機32のケーシング32aに設けられた冷却ジャケット32bである。低圧段膨張機32のケーシング32aの冷却ジャケット32bは、内部を油循環流路80aの低温熱媒体(油)が流通するように配置されている。冷却ジャケット32bにおいて、低圧段膨張機32のケーシング32aの内部から移動してきた熱と油循環流路80aの低温熱媒体(油)とが熱交換する。冷却ジャケット32bは、低温熱回収部を構成する。
【0069】
タービン潤滑油タンク86は、発電機側低温熱媒体系統80の各低温発熱部で熱を回収した後の低温熱媒体(油)を貯蔵する。すなわち、タービン潤滑油タンク86は、発電機側低温熱媒体系統80の各低温発熱部81A,81B,82,83,84,85A,85Bで回収した熱を蓄熱する。本実施形態では、タービン潤滑油タンク86で蓄熱される低温熱媒体(油)の温度は81℃である。タービン潤滑油タンク86には、アフタークーラ36の熱媒体出口からB4を通って低温熱媒体が流入する流路が設けられている。タービン潤滑油タンク86には、油面を検出する油面センサ108が設けられている。油面センサ108により、タービン潤滑油タンク86の油面が予め決められた下限に到達したことが検出されると、制御装置(図示せず)はバイパス流路104の弁105を開弁する。
【0070】
オイルポンプ87は、発電機13の発電電力、油温に基づいて、制御装置(図示せず)によって回転数が制御される。オイルポンプ87は、発電機13での発電時に作動し、タービン潤滑油タンク86からの低温熱媒体(油)を三方弁78を通して、低温加熱部21,26,29へ送流する。オイルポンプ87は、発電終了後、一定時間経過後に停止する。
【0071】
三方弁78は、上述したように、圧縮機側低温熱媒体系統70の三方弁78と共通である。
【0072】
以上の構成からなる圧縮流体貯蔵発電装置10の動作について説明する。
【0073】
図1を参照すると、作動流体圧縮時、制御装置(図示せず)の油温または入力電力による制御により、電動機34が作動して、低圧段圧縮機本体22、及び高圧段圧縮機本体24を駆動される。蓄圧タンク12の入口弁(図示せず)が開弁する。熱媒供給ポンプ41が作動し、圧縮機側低温熱媒体系統70のオイルポンプ77が作動する。三方弁78は、圧縮機側低温熱媒体系統70が連通するように開弁する。
【0074】
低圧段圧縮機本体22の駆動により、低圧段圧縮機本体22は外部から吸気プレヒータ21を通して空気を吸い込む。その際、吸気プレヒータ21において、油循環流路70aからオイルポンプ77によって送られた圧縮機潤滑油タンク76からの低温熱媒体(油)との熱交換によって空気が加熱される(圧縮空気温度:70℃)。低圧段圧縮機本体22に吸い込まれた空気は低圧段圧縮機本体22で圧縮され、インタークーラ23の空気入口23aに送られる(圧縮空気温度:176〜210℃)。
【0075】
インタークーラ23の空気入口23aから流入した圧縮空気は、インタークーラ23の内部で、熱媒供給ポンプ41によって送られた第1高温熱媒体(油)と熱交換して冷却され(圧縮空気温度:115℃)、空気出口23bから流出して、高圧段圧縮機本体24に送られる。なお、熱媒供給ポンプ41によってインタークーラ23に送られる第1高温熱媒体(油)は、第1熱交換器45を通過する際、冷却水流路の冷却水と熱交換して冷却されている。インタークーラ23で圧縮空気から熱回収した第1高温熱媒体(油)は、加熱され(165℃〜200℃)、第1熱媒タンク42に貯蔵され蓄熱される。
【0076】
高圧段圧縮機本体24では、インタークーラ23からの圧縮空気が圧縮され、低圧段圧縮機本体22の吐出側の圧縮空気よりもさらに高温高圧となって吐出される(圧縮空気温度、圧力:250℃,0.6MPa)。高圧段圧縮機本体24から吐出された圧縮空気は、アフタークーラ25に送られる。
【0077】
アフタークーラ25の空気入口25aから流入した圧縮空気は、アフタークーラ25の内部で、熱媒供給ポンプ41によって送られた第2高温熱媒体系統50の第2高温熱媒体(油)と熱交換して冷却され(圧縮空気温度:90℃)、空気出口25bから流出して蓄圧タンク12に送られる。蓄圧タンク12では、作動流体圧縮時に圧縮機11で圧縮された圧縮空気が供給される。圧縮流体貯蔵発電装置10では、作動流体圧縮終了後、発電までの間、蓄圧タンク12の入口弁(図示せず)、及び出口弁(図示せず)は閉弁され、圧縮空気が貯蔵され蓄圧される。アフタークーラ25で圧縮空気から熱回収した第2高温熱媒体(油)は、240℃まで加熱され、第2熱媒タンク51に貯蔵され蓄熱される。電動機34は停止して、低圧段圧縮機本体22、及び高圧段圧縮機本体24は停止する。蓄圧タンク12の入口弁(図示せず)は閉弁する。熱媒供給ポンプ41は停止し、圧縮機側低温熱媒体系統70のオイルポンプ77は一定時間経過後、停止する。蓄圧タンク12の圧縮空気は、放熱により大気温度30℃まで冷却される。
【0078】
一方、圧縮機11の圧縮機側低温熱媒体系統70において、オイルポンプ77の作動、及び弁102の開弁により、圧縮機潤滑油タンク(低温蓄熱部)76から低温熱媒体が送流され、三方弁78を通って、吸気プレヒータ21へと流れる。低温熱媒体は、弁111,112の閉弁により、ロス回収熱プレヒータ(第2低温プレヒータ)26と、回収熱インターヒータ(第3低温プレヒータ)29には流れない。この状態では、低温熱媒体に余剰の熱回収があるため、弁102が開弁される。吸気プレヒータ21では、低圧段圧縮機本体22へ吸い込まれる空気が圧縮機側低温熱媒体系統70の低温熱媒体と熱交換する。これにより、空気が加熱され、低温熱媒体が冷却される。
【0079】
その後、吸気プレヒータ21で冷却された油循環流路70aの低温熱媒体(油)は、B1、Bを通って第2熱交換器71に流入し、冷却水流路の冷却水と熱交換して第2熱交換器71で冷却される。その後、低温熱媒体(油)は、第2熱交換器71を通過し、低圧段圧縮機本体摩擦熱発熱部72Aと、高圧段圧縮機本体摩擦熱発熱部72Bで、回転によって発生した摩擦熱を有する軸受、歯車から熱を回収する。低圧段圧縮機本体摩擦熱発熱部72Aと、高圧段圧縮機本体摩擦熱発熱部72Bで軸受、歯車から熱を回収した低温熱媒体(油)は、
図8に示すインバータ発熱部73であるヒートシンクを通過する際、インバータのケーシング73aと熱交換する。その後、低温熱媒体(油)は、電動機発熱部74で、
図9に示す電動機34のケーシング34aの冷却ジャケット34bに流入し、冷却ジャケット34bを介して電動機34のケーシング34aから熱回収する。その後、低温熱媒体(油)は、高圧段圧縮機本体ケーシング発熱部75A、及び低圧段圧縮機本体ケーシング発熱部75Bである圧縮機本体22,24のケーシング22a,24aの冷却ジャケット22b,24bに流入し、冷却ジャケット22b,24bを介して圧縮機本体22,24のケーシング22a,24aから熱回収する。圧縮機本体22,24のケーシング22a,24aから熱回収した低温熱媒体(油)は、圧縮機潤滑油タンク76に流入し貯蔵される。すなわち、圧縮機潤滑油タンク76に低温熱媒体(油)を貯蔵することにより低温熱媒体(油)の熱が蓄熱される。低温熱媒体(油)は、圧縮機側低温熱媒体系統70で循環し、作動流体圧縮後、オイルポンプ77を一定時間経過後、停止させ、低温熱媒体の循環を終了する。
【0080】
発電時、制御装置(図示せず)の系統へ送電する発電電力に応じた回転数制御により、蓄圧タンク12の出口側の弁(図示せず)が開弁され、蓄圧タンク12から発電機13に圧縮空気が供給される(圧縮空気温度:30℃)。第1熱媒回収ポンプ43が作動し、第2熱媒回収ポンプ52が作動する。発電機側低温熱媒体系統80のオイルポンプ87が作動する。三方弁78は、発電機側低温熱媒体系統80が連通するように開弁する。
【0081】
蓄圧タンク12の出口弁(図示せず)の開弁により蓄圧タンク12から流れる圧縮空気は、ロス回収熱プレヒータ26に送られる。ロス回収熱プレヒータ26では、圧縮空気は、発電機側低温熱媒体系統80の油循環流路80aからオイルポンプ87によって送られたタービン潤滑油タンク86からの低温熱媒体(油)との熱交換によって加熱される。一方、低温熱媒体(油)は冷却され、発電機側低温熱媒体系統80の低温発熱部に流れる。ロス回収熱プレヒータ26で加熱された圧縮空気は、プレヒータ27に送られる(圧縮空気温度:70℃)。
【0082】
プレヒータ27では、圧縮空気は、第1熱媒回収ポンプ43の作動により流動する第1高温熱媒体系統40の第1高温熱媒体(油)と熱交換して加熱される(圧縮空気温度:155℃)。一方、第1高温熱媒体(油)は冷却され、熱媒戻りタンク44に流れる。プレヒータ27で加熱された圧縮空気は、高圧段膨張機28に送られる。
【0083】
プレヒータ27から送られた圧縮空気によって、高圧段膨張機28は駆動され発電機本体35が駆動される。この発電機本体35の駆動によって、発電機13において発電され、発電電力が図示しない系統に送電される。高圧段膨張機28を通過した圧縮空気は、ロス回収熱インターヒータ29に送られる(圧縮空気温度、圧力:25℃,0.2MPa)。
【0084】
ロス回収熱インターヒータ29では、圧縮空気は、発電機側低温熱媒体系統80の油循環流路80aからオイルポンプ87によって送られたタービン潤滑油タンク86からの低温熱媒体(油)との熱交換によって加熱される。一方、低温熱媒体(油)は冷却され、B3、Bを通って発電機側低温熱媒体系統80の低温発熱部に流れる。ロス回収熱インターヒータ29で加熱された圧縮空気は、インターヒータ31に送られる(圧縮空気温度:71℃)。
【0085】
インターヒータ31では、圧縮空気は、第2熱媒回収ポンプ52の作動により流動する第2高温熱媒体系統50の第2高温熱媒体(油)と熱交換して加熱される。一方、第2高温熱媒体(油)は冷却され(油温度:80℃)、熱媒戻りタンク44に流れる。インターヒータ31で加熱された圧縮空気は、低圧段膨張機32に送られる(圧縮空気温度:230℃)。
【0086】
インターヒータ31から送られた圧縮空気によって、低圧段膨張機32は駆動され発電機本体35が駆動される。この発電機本体35の駆動によって、発電機13において発電され、発電電力が図示しない系統に送電される。低圧段膨張機32を通過した圧縮空気は、アフタークーラ36へ流れる。
【0087】
アフタークーラ36では、圧縮空気は、BからA4を通って流入する低温熱媒体(油)と熱交換して冷却され、45℃程度の温度で大気に放出される。一方、低温熱媒体(油)は、圧縮空気と熱交換して加熱される。加熱された80℃程度の低温熱媒体(油)は、B4を通ってタービン潤滑油タンク86へ戻る(
図1、2参照)。
【0088】
一方、発電機13の発電機側低温熱媒体系統80において、オイルポンプ87の作動、及び弁111,112の開弁により、タービン潤滑油タンク(低温蓄熱部)86から低温熱媒体が送流され、三方弁78を通って、ロス回収熱プレヒータ(第2低温プレヒータ)26と、回収熱インターヒータ(第3低温プレヒータ)29へと流れる。ロス回収熱プレヒータ26、回収熱インターヒータ29のいずれにおいても、圧縮空気が加熱され、低温熱媒体が冷却される。なお、弁102は閉弁され、低温熱媒体は吸気プレヒータ(第1低温プレヒータ)21へ送られない。
【0089】
その後、ロス回収熱プレヒータ26と、回収熱インターヒータ29で冷却された油循環流路80aの低温熱媒体(油)は、B2、B3を通って第2熱交換器71に流入し、冷却水流路の冷却水と熱交換して第2熱交換器71で冷却される。その後、低温熱媒体(油)は、第2熱交換器71を通過し、高圧段タービン摩擦熱発熱部81Aと、低圧段タービン摩擦熱発熱部81Bで、回転によって発生した摩擦熱を有する軸受、歯車から熱を回収する。高圧段タービン摩擦熱発熱部81Aと、低圧段タービン摩擦熱発熱部81Bで軸受、歯車から熱を回収した低温熱媒体(油)は、
図8に示すコンバータ発熱部82であるヒートシンク、インバータ発熱部83であるヒートシンクを通過する際、コンバータ発熱部82のケーシング82a、及びインバータ発熱部83のケーシング83aと熱交換する。
【0090】
その後、低温熱媒体(油)は、発電機本体発熱部84で、
図9に示す発電機本体35のケーシング35aの冷却ジャケット35bに流入し、冷却ジャケット35bを介して発電機本体35のケーシング35aから熱回収する。その後、低温熱媒体(油)は、高圧段タービンケーシング発熱部85A、及び低圧段タービンケーシング発熱部85Bである膨張機28,32のケーシング28a,32aの冷却ジャケット28b,32bに流入し、冷却ジャケット28b,32bを介して膨張機28,32のケーシング28a,32aから熱回収する。膨張機28,32のケーシング28a,32aから熱回収した低温熱媒体(油)は、タービン潤滑油タンク86に流入し貯蔵される。すなわち、タービン潤滑油タンク86に低温熱媒体(油)を貯蔵することにより低温熱回収部で回収した低温熱媒体(油)の熱が蓄熱される。低温熱媒体(油)は、発電機側低温熱媒体系統80で循環し、発電後、オイルポンプ87を一定時間経過後、停止させ、低温熱媒体の循環を終了する。
【0091】
上記では、作動流体圧縮時の動作、及び発電時の動作のそれぞれについて説明したが、作動流体圧縮の動作、及び発電の動作を同時に実行することも可能である。
【0092】
作動流体圧縮のみの実行、発電のみの実行、作動流体圧縮及び発電の実行、及び作動流体圧縮及び発電の停止のいずれの場合においても、油面センサ108により、タービン潤滑油タンク86の油面が予め決められた下限に到達したことが検出されると、制御装置(図示せず)はバイパス流路104の弁105を開弁する。
【0093】
本発明によれば、インタークーラ23、及びアフタークーラ25において蓄圧タンク12に流れる圧縮空気から回収した熱により、プレヒータ27、及びインターヒータ31において蓄圧タンク12から膨張機28,32に流れる圧縮空気を加熱することができるので、熱効率を向上させることができる。また、圧縮機11と発電機13のうちの少なくとも一方の低温発熱部36,72A,72B,73,74,75A,75B,77,81A,81B,82,83,84,85A,85B,87から低温熱回収部で回収した熱により、吸気プレヒータ21と、ロス回収熱プレヒータ26と、ロス回収熱インターヒータ29とで圧縮空気を加熱することができるので、熱効率をさらに向上させることができる。したがって、圧縮流体貯蔵発電装置10において、低温熱源の熱の再利用による発電効率の向上を実現できる。すなわち、圧縮流体貯蔵発電装置10において、発電に利用されずに低温発熱部36,72A,72B,73,74,75A,75B,77,81A,81B,82,83,84,85A,85B,87で廃棄される熱を最小限にとどめ、熱効率を向上させ発電効率を向上させることができる。
【0094】
上記構成によれば、変動電力の充電・変動必要電力の送電に対応できる。すなわち、再生可能エネルギーである太陽光発電・風力発電の変動発電電力の平滑化が可能となる。
【0095】
圧縮機側低温熱媒体系統70、及び発電機側低温熱媒体系統80と、吸気プレヒータ21、ロス回収熱プレヒータ26、ロス回収熱インターヒータ29との間で油を循環させる油循環流路70a,80aを備えている。そのため、圧縮機11の発熱部72A,72B,73,74,75A,75B,77の熱、及び発電機13の発熱部36,81A,81B,82,83,84,85A,85B,87の熱を油循環流路70a,80aの油を介して確実に回収できる。また、電気ロス・放熱ロス・メカニカルロスの回収熱により、発電行程で大気温近くまで温度低下した圧縮空気をより高温例えば70℃程度まで上昇させることができ、圧縮空気の保有エンタルピーを高めることが可能になり、蓄積圧縮熱のみで再加熱するA―CAESより加熱熱量を多くすることが可能となってより多いエアータービン膨張仕事を得ることができ、より高い充放電効率を得ることができる。
【0096】
低温熱回収部の低温発熱部は圧縮機本体、膨張機28,32、電動機34、発電機本体35の回転部分で摩擦熱を発生させる摩擦熱発熱部(軸受摩擦熱発熱部、歯車摩擦熱発熱部)である。低温熱回収部72A,72B,73,74,75A,75B,77,81A,81B,82,83,84,85A,85B,87を設けることで、圧縮機本体22,24、膨張機28,32、電動機34、発電機本体35から摩擦熱として大気に放出される廃熱を回収でき、熱効率を向上させることができる。
【0097】
駆動源は回転数を制御するインバータを備えた電動機34である。発熱部は電動機34の熱の発生部分である電動機発熱部74、及びインバータの熱の発生部分であるインバータ発熱部73を有する。そのため、電動機34のケーシング34a、及びインバータのケーシング73aから大気に放出される廃熱を回収でき、熱効率を向上させることができる。
【0098】
低温熱媒体(油)は、圧縮機本体22,24のケーシング22a,24aの冷却ジャケット22b,24bに流入することにより、冷却ジャケット22b,24bを介して圧縮機本体22,24のケーシング22a,24aから熱回収することができる。
【0099】
低温熱媒体(油)は、発電機本体35のケーシング35aの冷却ジャケット35bに流入することにより、冷却ジャケット35bを介して発電機本体35のケーシング35aから熱回収することができる。
【0100】
発電機本体35の発電電力を変換するコンバータと、コンバータで変換した変換電力を再変換するインバータとを備える。また、低温発熱部は、発電機本体35の熱の発生部分である発電機本体発熱部84、コンバータの熱の発生部分であるコンバータ発熱部82、及びインバータの熱の発生部分であるインバータ発熱部83を有する。そのため、発電機本体35、コンバータ、及びインバータから大気に放出される廃熱を回収でき、熱効率を向上させることができる。
【0101】
低温熱媒体(油)は、膨張機28,32のケーシング28a,32aの冷却ジャケット28b,32bに流入することにより、冷却ジャケット28b,32bを介して膨張機28,32のケーシング28a,32aから熱回収することができる。
【0102】
インバータ発熱部73はインバータのケーシング73aであり、圧縮機側低温熱媒体系統70はインバータのケーシング73aに設けられたヒートシンクを有する。これにより、インバータのケーシング73aの熱をヒートシンクを通じて回収でき、熱効率を向上させることができる。
【0103】
コンバータ発熱部82はコンバータのケーシング82aであり、インバータ発熱部83はインバータのケーシング83aであり、発電機側低温熱媒体系統80はコンバータのケーシング82aと、インバータのケーシング83aのそれぞれに設けられたヒートシンクを有する。そのため、コンバータと、インバータのケーシング82a,83aの熱をヒートシンクを通じて回収でき、熱効率を向上させることができる。
【0104】
圧縮機本体22,24は低圧段圧縮機本体22と高圧段圧縮機本体24とを備え、膨張機28,32は高圧段膨張機28と低圧段膨張機32とを備えている。低温加熱部は、第1低温プレヒータ21と、第2低温プレヒータ26と、第3低温プレヒータ29のうちの少なくとも1つを備えている。この構成によれば、高圧段膨張機28、及び低圧段膨張機32の駆動力を増加させることができる。これにより発電効率を向上させることができる。
【0105】
第1熱媒タンク42と第2熱媒タンク51と低温蓄熱部76,86とを備えているので、加熱源として、3つの異なる温度の熱媒体を使い分けることができる。これにより、発電効率を高めることができる。
【0106】
発電機ロス、発電機用インバータロス、コンバータロスを潤滑油冷却構造として熱回収し、潤滑油ポンプの消費電力を潤滑油温度上昇として発生電力ロスを全て熱回収し空気タービンへの給気を再加熱することができる。
【0107】
電気ロスの占める充放電効率への影響は20%を超え、熱回収することで充放電効率を大きく向上させることが出来る。メカニカルロスは機種により5〜10%充放電効率に影響を与える。放熱ロスは5%程度充放電効率に影響を与える。これらの低温度熱ロスを回収し、タービン給気前加熱に利用できると最大30%程度充放電効率を改善できる。
【0108】
なお、本発明では、液体である潤滑油または冷却水を低温熱媒体として使用しているので、ケーシング22a,24a,35a全体の温度差を小さくできる。したがって、圧縮機本体22,24と、発電機本体35のケーシング35aの内部で温度差が生じてケーシング22a,24a,35aが変形することを回避できる。
【0109】
熱回収する発熱部によって、発熱温度が異なり、潤滑油で蓄熱する場合は80℃程度を限度となる。また低圧段空気圧縮機22は吸気を加熱しない限り、160℃程度の温度帯となる。高圧段吐出温度はインタークーラ冷却度合の調整により250℃程度まで高められる。温度帯により、3種の蓄熱タンク42,51,76(86)とすることにより空気タービン発電の給気加熱、中間排気加熱の必要温度条件に応じて、加熱源を使い分けることにより、発電効率を向上させることができる。
【0110】
(第2実施形態)
図11は、本発明の第2実施形態に係る圧縮流体貯蔵発電装置10を示す。
図12は本発明の第2実施形態に係る圧縮流体貯蔵発電装置10の低温熱媒体系統60を示す。冷却水を低温熱媒体として用いる低温熱回収部と低温熱媒体系統60を除く他の構成は第1実施形態と実質的に同一である。
【0111】
低温熱媒体系統60は、冷却水で低温発熱部の熱を回収する冷却水系統60aと、潤滑油で低温発熱部の熱を回収する潤滑油系統60dとを有する。
【0112】
冷却水系統60aは、低温熱回収部と低温加熱部21,26,29,36とを通る冷却水の水循環流路であり、中間部分で圧縮機11側に分岐し三方弁97に接続される圧縮機側冷却水系統60bと、発電機13側に分岐し三方弁97に接続される発電機側冷却水系統60cとを備える。
【0113】
圧縮機側冷却水系統60bには、第2熱交換器71、第3熱交換器(油水熱交換器)91、インバータ発熱部73、電動機発熱部74、高圧段圧縮機本体ケーシング発熱部75A、低圧段圧縮機本体ケーシング発熱部75B、温水タンク92,水ポンプ93、三方弁97が順に配置されている。圧縮機側冷却水系統60bの低温発熱部は、インバータ発熱部73、電動機発熱部74、高圧段圧縮機本体ケーシング発熱部75A、低圧段圧縮機本体ケーシング発熱部75B、水ポンプ93である。本実施形態のインバータ発熱部73、電動機発熱部74、高圧段圧縮機本体ケーシング発熱部75A、及び低圧段圧縮機本体ケーシング発熱部75Bは第1実施形態のものと同一である。
【0114】
第2熱交換器71は、第1実施形態の第2熱交換器71と同一である。
【0115】
第3熱交換器(油水熱交換器)91は、冷却水系統60aの冷却水と潤滑油系統60dの潤滑油とを熱交換させる熱交換器である。
【0116】
温水タンク92は、第1実施形態の圧縮機潤滑油タンク76に対応する。
【0117】
水ポンプ93は、第1実施形態のオイルポンプ77に対応する。
【0118】
三方弁97は、第1実施形態の三方弁78と同一である。
【0119】
発電機側冷却水系統60cは、第2熱交換器71、第3熱交換器(油水熱交換器)91、コンバータ発熱部82、インバータ発熱部83、発電機本体発熱部84、高圧段タービンケーシング発熱部85A、低圧段タービンケーシング発熱部85B、温水タンク94,水ポンプ95、三方弁97が順に配置されている。発電機側冷却水系統60cの低温発熱部は、コンバータ発熱部82、インバータ発熱部83、発電機本体発熱部84、高圧段タービンケーシング発熱部85A、低圧段タービンケーシング発熱部85Bである。本実施形態のコンバータ発熱部82、インバータ発熱部83、発電機本体発熱部84、高圧段タービンケーシング発熱部85A、低圧段タービンケーシング発熱部85Bは第1実施形態のものと同一である。
【0120】
第2熱交換器71は、圧縮機側冷却水系統60bの第2熱交換器71と共通である。
【0121】
第3熱交換器(油水熱交換器)91は、圧縮機側冷却水系統60bの第3熱交換器(油水熱交換器)91と共通である。
【0122】
温水タンク94は、第1実施形態のタービン潤滑油タンク86に対応する。
【0123】
水ポンプ95は、第1実施形態のオイルポンプ87に対応する。
【0124】
潤滑油系統60dは油循環流路であり、潤滑油系統60dの低温発熱部72A,72B,81A,81B,98,99を通って油を循環させる流路である。潤滑油系統60dは、圧縮機側潤滑油系統60eと発電機側潤滑油系統60fとを備えている。圧縮機側潤滑油系統60eと発電機側潤滑油系統60fのそれぞれは、第3熱交換器(油水熱交換器)91の流路入口と流路出口に接続されている。すなわち、潤滑油系統60dの油は、圧縮機側潤滑油系統60eと発電機側潤滑油系統60fのそれぞれで循環する。
【0125】
圧縮機側潤滑油系統60eでは、第3熱交換器(油水熱交換器)91、低圧段圧縮機本体摩擦熱発熱部72A、高圧段圧縮機本体摩擦熱発熱部72B、オイルポンプ98が順に配置されている。本実施形態の低圧段圧縮機本体摩擦熱発熱部72A、高圧段圧縮機本体摩擦熱発熱部72Bは第1実施形態のものと同一である。第3熱交換器(油水熱交換器)91は、冷却水系統60aの第3熱交換器(油水熱交換器)91と共通である。オイルポンプ98は、圧縮機11での作動流体圧縮時に作動し、圧縮機側潤滑油系統60eの油を循環させる。
【0126】
発電機側潤滑油系統60fでは、第3熱交換器(油水熱交換器)91、低圧段タービン摩擦熱発熱部81B、高圧段タービン摩擦熱発熱部81A、オイルポンプ99が順に配置されている。本実施形態の低圧段タービン摩擦熱発熱部81B、高圧段タービン摩擦熱発熱部81Aは第1実施形態のものと同一である。第3熱交換器(油水熱交換器)91は、冷却水系統60aの第3熱交換器(油水熱交換器)91と共通である。オイルポンプ99は、発電機13での発電時に作動し、発電機側潤滑油系統60fの油を循環させる。
【0127】
圧縮機11での作動流体圧縮時、制御装置(図示せず)によって、電動機入力電力に比例させて制御される。電動機入力電力に応じた回転数制御により、圧縮機側潤滑油系統60eのオイルポンプ98が作動する。これにより、圧縮機側潤滑油系統60eでは、潤滑油の循環によって低温発熱部72A,72Bから熱が回収される。また、オイルポンプ98の熱が潤滑油によって回収される。
【0128】
一方、低温熱媒体系統60の水循環流路60aでは、弁102が開弁され、冷却水が吸気プレヒータ21から流入し、第2熱交換器71で冷却水流路の冷却水と熱交換して冷却される。第2熱交換器71を通過した冷却水は、第3熱交換器91で、潤滑油系統60eで既に熱が回収された潤滑油と熱交換し加熱される。その際、潤滑油系統60eの油は冷却され、第3熱交換器91から流出する。第3熱交換器91では、油循環流路60eの油を介して油系統低温熱回収部72A,72B,98で回収した熱を水循環流路60aの水に移動させて回収する。
【0129】
第3熱交換器91を通過した水は、圧縮機側冷却水系統60bの低温熱回収部を通過して熱を回収し、温水タンク(低温蓄熱部)92で蓄熱される。温水タンク92の水は、水ポンプ93の作動により、三方弁97を通過し、吸気プレヒータ21に送られる。なお、発電機28、32で発電を行っていないので、弁111,112の閉弁により、低温熱媒体はロス回収熱プレヒータ26、ロス回収熱インターヒータ29に送られない。この状態では、低温熱媒体に余剰の熱回収があるため、上述したように、弁102が開弁され、低温熱媒体は吸気プレヒータ(第1低温プレヒータ)21へ送られる。吸気プレヒータ21では、低圧段圧縮機本体22へ吸い込まれる空気が圧縮機側低温熱媒体系統70の低温熱媒体と熱交換する。これにより、空気が加熱され、低温熱媒体が冷却される。
【0130】
発電機13での発電時、低温熱媒体系統60の潤滑油系統60dでは、潤滑油によって低圧段タービン摩擦熱発熱部81Bと高圧段タービン摩擦熱発熱部81Aとから熱が回収される。また、オイルポンプ99の熱が潤滑油によって回収される。
【0131】
一方、低温熱媒体系統60の水循環流路60aでは、弁111,112の開弁により、冷却水がロス回収熱プレヒータ26、ロス回収熱インターヒータ29から流入し、第2熱交換器71で冷却水流路の冷却水と熱交換して冷却される。第2熱交換器71を通過した冷却水は、第3熱交換器91で、潤滑油系統60fで既に熱が回収された潤滑油と熱交換し加熱される。その際、潤滑油系統60fの油は冷却され、第3熱交換器91から流出する。第3熱交換器91では、潤滑油系統60fの油を介して油系統低温熱回収部81A,82B,99で回収した熱を水循環流路60aの水に移動させて回収する。
【0132】
第3熱交換器91を通過した水は、発電機13側の水循環流路60a(発電機側冷却水系統60c)の低温熱回収部82,83,84,85A,85Bを通過して熱を回収し、温水タンク(低温蓄熱部)94で蓄熱される。温水タンク94の水は、水ポンプ95の作動により、三方弁97を通過し、ロス回収熱プレヒータ26、ロス回収熱インターヒータ29に送られ、ロス回収熱プレヒータ26、ロス回収熱インターヒータ29で圧縮空気と熱交換して冷却され、低温熱媒体系統60の低温熱回収部側へ送られる。なお、弁102は閉弁され、低温熱媒体(水)は吸気プレヒータ(第1低温プレヒータ)21へ送られない。
【0133】
上記では、作動流体圧縮時の動作、及び発電時の動作のそれぞれについて説明したが、作動流体圧縮の動作、及び発電の動作を同時に実行することも可能である。
【0134】
作動流体圧縮のみの実行、発電のみの実行、作動流体圧縮及び発電の実行、及び作動流体圧縮及び発電の停止のいずれの場合においても、油面センサ108により、タービン潤滑油タンク86の油面が予め決められた下限に到達したことが検出されると、制御装置(図示せず)はバイパス流路104の弁105を開弁する。
【0135】
本発明によれば、圧縮機11と、発電機13の低温発熱部36,72A,72B,73,74,75A,75B,81A,81B,82,83,84,85A,85B,93,95,98,99の熱を、潤滑油系統60dの油と、水循環流路60aの冷却水を介して確実に回収できる。これにより、熱効率を向上させることができる。したがって、圧縮流体貯蔵発電装置10において、低温熱源の熱の再利用による発電効率の向上を実現できる。すなわち、圧縮流体貯蔵発電装置10において、発電に利用されずに低温発熱部36,72A,72B,73,74,75A,75B,81A,81B,82,83,84,85A,85B,93,95,98,99で廃棄される熱を最小限にとどめ、熱効率を向上させ発電効率を向上させることができる。
【0136】
(第3実施形態)
図13は本発明の第3実施形態に係る圧縮流体貯蔵発電装置10を示す。
図14は本発明の第3実施形態に係る圧縮流体貯蔵発電装置10の低温熱媒体系統60を示す。なお、
図13においては、低温熱媒体系統60の記載を省略している。
【0137】
本実施形態における構成は、空気系統20のアフタークーラ25と蓄圧タンク12との間にサブアフタークーラ88を設けるとともに、低温熱媒体系統60から分岐し、低温熱媒体系統60に合流する低温熱回収流路101を設けた点を除いて、第1実施形態の構成と同一である。低温熱回収流路101の一端は、低温熱媒体系統60の圧縮機側低温熱媒体系統70と発電機側低温熱媒体系統80の分岐部分に接続され、他端は、圧縮機側低温熱媒体系統70の圧縮機潤滑油タンク76に接続されている。
図13のCで示した接続部と、
図14のCで示した接続部とが接続され、
図13のDで示した接続部と、
図14のDで示した接続部とが接続される。)
【0138】
サブアフタークーラ88は、空気系統20の圧縮空気と、低温熱回収流路101の低温熱媒体とを熱交換させる熱交換器である。
【0139】
作動流体圧縮時、空気系統20では、第1実施形態と同様に、圧縮空気が流れている。一方、低温熱媒体系統60では、第2熱交換器71を通過した低温熱媒体が、圧縮機側低温熱媒体系統70と発電機側低温熱媒体系統80と低温熱回収流路101とに流れる。
【0140】
低温熱回収流路101を流れる低温熱媒体はサブアフタークーラ88の熱媒体入口から流入し、熱媒体出口から流出する。サブアフタークーラ88では、流入した熱媒体が、空気系統20の圧縮空気との熱交換により加熱される。サブアフタークーラ88で加熱された低温熱媒体は、低温熱回収流路101を通って、圧縮機潤滑油タンク76に流れて貯蔵される。すなわち、圧縮機潤滑油タンク76に低温熱媒体(油)を貯蔵することにより低温熱媒体(油)の熱が蓄熱される。空気系統20の圧縮空気は、前記熱交換により、大気温度に近い温度まで冷却され、蓄圧タンク(蓄圧部)12に流れる。
【0141】
この構成によれば、蓄圧タンク12への投入する圧縮空気の温度を大気温度に近付け、蓄圧タンク12での放熱ロスを低減するとともに、残存圧縮熱を低温熱媒体(油)へ回収することができる。
【0142】
本発明によれば、蓄圧タンク12で貯蔵する圧縮空気をさらに冷却できる。これにより、蓄圧タンク12から圧縮空気の熱が放熱することを回避できる。また、圧縮空気の圧力低下を抑制できる。蓄圧タンク12において、圧縮空気の温度低下に伴うドレンの発生量を減少させることができる。
【0143】
(第4実施形態)
図15A及び
図15Bは本発明の第4実施形態に係る圧縮流体貯蔵発電装置10の蓄熱タンク群を示す。
図15Aは平面図、
図15Bは正面図である。
【0144】
本実施形態の圧縮流体貯蔵発電装置10は、例えば長さが20フィートであるコンテナ120を備える。コンテナ120に蓄熱タンク群、熱交換器群、及びポンプ群が収納されている。この点を除いて本実施形態の構成は、第1実施形態(
図1から
図10参照)と実質的に同一である。
【0145】
蓄熱タンク群とは、第1熱媒タンク42、第2熱媒タンク51、圧縮機潤滑油タンク76、タービン潤滑油タンク86、及び熱媒戻りタンク44を含む。コンテナ120は、内側に断熱材を設けた断熱コンテナ(サーマルコンテナともいう。)であることが好ましい。
【0146】
熱交換器群は、第1熱交換器45及び第2熱交換器71を含む。なお、第1熱交換器45は、
図15Bの第2熱媒回収ポンプ52よりも奥に位置しているため、
図15A,
図15Bには示されていない。
【0147】
ポンプ群は、第1熱媒回収ポンプ43、第2熱媒回収ポンプ52、熱媒供給ポンプ41、オイルポンプ77,87を含む。なお、第1熱媒回収ポンプ43は、
図15Bの第2熱媒回収ポンプ52よりも奥に位置しているため、
図15A,
図15Bには示されていない。
【0148】
コンテナ120に収容することにより、蓄熱タンク群における放熱による熱損失を防止し、発電効率の低下を防止できる。また、コンテナ型であることで運搬及び現地施工が容易であり、蓄熱タンク群がコンテナ120内に収容されているためこれらが風雨にさらされることが無くなり屋外での設置が可能である。また、断熱コンテナであれば、より確実に放熱を防止できる。
【0149】
本実施形態では、第1熱交換器45、第1熱媒回収ポンプ43、第2熱媒回収ポンプ52、熱媒供給ポンプ41、第2熱交換器71、オイルポンプ77、及びオイルポンプ87は、蓄熱タンク群と共通のコンテナ120内に収納されている。しかし、これらの熱交換器群及びポンプ群は、必ずしも蓄熱タンク群と同じコンテナ120に収納されている必要はない。即ち、コンテナ120とは別のコンテナに収納されてもよいし、外部に配置されてもよい。好ましくは、運搬及び現地施工が容易となるため、コンテナ120内に配置されている方がよい。
【0150】
蓄熱タンク群についての熱媒体を流動させる配管及び接続構成は第1実施形態と同様である。
【0151】
また、
図16に示すように、本実施形態のコンテナ120は、第1熱媒タンク42と第2熱媒タンク51と圧縮機潤滑油タンク76とタービン潤滑油タンク86と、熱媒戻りタンク44とを分けて収納するよう内部に仕切り121を備えることが好ましい。第1熱媒タンク42と第2熱媒タンク51と圧縮機潤滑油タンク76とタービン潤滑油タンク86と、熱媒戻りタンク44とでは、内部に貯蔵する熱媒体の温度が異なっている。具体的には前者の温度が高く、後者の温度が低い。従って、これらの間に仕切り121を設けることで空間を分けることができ、特に前者の放熱による熱損失を防止できる。また、仕切り121を断熱材により構成することでさらに熱損失を防止することもできる。なお、コンテナ120は、第1熱媒タンク42と第2熱媒タンク51と圧縮機潤滑油タンク76とタービン潤滑油タンク86とを収納する第1コンテナ122と、熱媒戻りタンク44を収納する第2コンテナ123とを備えてもよい。
【0152】
なお、本発明は、前記実施形態の構成に限定されるものではなく、以下に例示するように、変更が可能である。
【0153】
以上の実施形態では、圧縮機本体22,24が容積型のスクリュ圧縮機本体であり、かつ膨張機28,32が容積型のスクリュ膨張機である構成を説明したが、これに限定されない。例えば、圧縮機本体22,24が容積型のスクリュ圧縮機本体であり、かつ膨張機28,32が速度型の膨張機であってもよいし、圧縮機本体22,24が速度型の圧縮機本体であり、かつ膨張機28,32が容積型のスクリュ膨張機であってもよい。
【0154】
容積型圧縮機本体22,24がオイルフリースクリュ空気圧縮機本体であり、容積型タービン28,32がオイルフリースクリュタービンであってもよい。この構成によれば、油冷スクリュ空気圧縮機本体の吐出温度と比較して、オイルフリースクリュ空気圧縮機本体22,24の吐出温度を大幅に上昇させることができるとともに、膨張機28,32へ供給する作動流体の加熱温度を大幅に上昇させることができる。作動流体中に油分が混入する可能性を排除できるので、蓄圧部12の内部で油分が劣化する可能性を排除できる。すなわち、蓄圧部12の内部で油分の酸化反応が生じることによる自然発火の危険性を排除できる。
【0155】
圧縮機11側の低温熱媒体系統60と発電機13側の低温熱媒体系統60とを別々に設けてもよい。また、圧縮機11側の低温熱回収部と発電機13側の低温熱回収部の一方のみを設けてもよい。
【0156】
低温発熱部は低温熱回収部に少なくとも1つ含まれていればよい。
【0157】
上記実施形態では、低圧段膨張機32からの圧縮空気をそのまま大気に放出せずにアフタークーラ36で熱回収した後、大気に放出するようにしたが、低圧段膨張機32からの圧縮空気の熱回収は、これに限らない。ロス回収熱プレヒータ26で低温熱媒体の替わりに低圧段膨張機32からの圧縮空気を用いることによって、蓄圧タンク12から膨張機28に流れる空気と圧縮空気との熱交換によって圧縮空気の熱が回収された後、放気サイレンサを介して放出してもよい。また、アフタークーラ36とロス回収熱プレヒータ26の両方で低圧段膨張機からの圧縮空気の熱回収を行なってもよい。
【0158】
上記実施形態では、空気圧縮機11も空気発電機13も二段式を採用しているが、一段式を採用してもよい。
【0159】
第1高温熱媒タンク42と第2高温熱媒タンク51と低温熱媒タンク76(92),86(94)のうち、2種のタンクを1つのタンクで共用してもよい。
【0160】
蓄圧タンク12は、鋼製タンクや、坑道を利用したタンクや、水中に沈めた袋体のタンクであってもよい。また、鋼製タンクは地下に埋設したものであってもよい。
【0161】
上記実施形態では、空気圧縮機と空気発電機とはそれぞれ一台である例を示したが、複数台並列に接続したものであってもよい。入力される電力量、出力される電力量(kW)に応じて台数を選択すればよい。
【0163】
本発明においては、低温熱媒体系統60は、前記3つの低温加熱部21,26,29の少なくとも1つと接続されていればよく、前記3つの低温加熱部21,26,29全てと接続されていなくてもよい。
【0164】
上記実施形態では、低温蓄熱部として圧縮機潤滑油タンク76とタービン潤滑油タンク86をコンテナ120に収納するものを例示したが、コンテナ120に収納する低温蓄熱部は、これに限らない。コンテナ120に収納する低温蓄熱部は温水タンク92,94であってもよい。
【0165】
上記実施形態では、同じ空間内に高温蓄熱部と低温蓄熱部を収納する第1コンテナを例示したが、第1コンテナは、これに限らない。第1コンテナは、高温蓄熱部を収納する空間と低温蓄熱部を収納する空間とに分ける仕切りを備えてもよく、高温蓄熱部および低温蓄熱部を複数に分けて収納するような複数のコンテナからなるものであってもよい。