(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記支持基材の表面、前記凹部に装着された前記カード部の表面、および前記装着部に装着された前記ICモジュールの表面は、同一平面を形成する、請求項1に記載のICカード。
前記凹部を含むとともに前記支持基材内に前記支持基材の厚さと同一の厚さを有する部位が形成され、前記部位の境界の少なくとも一部にカット部またはスリット部が設けられた第2のカード部を備える、
請求項1または請求項2に記載のICカード。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、
参考形態および実施形態のICカード、ICカードの製造方法、およびICカード基材を、図面を参照して説明する。
【0008】
参考形態のICカード10は、
図1および
図2に示すように、カード状の支持基材11と、ICモジュール13と、支持基材11内に設けられた第1カード部15、第2カード部17、および第3カード部19と、を備えている。このICカード10は、いわゆる接触型のICカードである。
なお、ICカード10において、ICモジュール13以外の構成要素、つまり支持基材11、第1カード部15、第2カード部17、および第3カード部19は、ICカード基材10aを構成する。
【0009】
支持基材11の外形は、適宜の規格に応じた形状(例えば、ISO/IEC 7810で規定されるID−1の矩形板状など)に形成されている。支持基材11は、例えば、ポリ塩化ビニル、非結晶コポリエステル、およびABS樹脂などの何れかによって形成されている。
【0010】
第1カード部15、第2カード部17、および第3カード部19の各々は、支持基材11の一部を構成している。第1カード部15、第2カード部17、および第3カード部19の各々の大きさは、互いに異なる大きさに形成されている。第1カード部15の厚さと、第2カード部17および第3カード部19の各々の厚さとは、異なる厚さに形成されている。
【0011】
第1カード部15の外形は、適宜の規格に応じた形状(例えば、ETSI TS 102 221で規定される4FFの矩形板状など)に形成されている。第1カード部15の厚さは、支持基材11、第2カード部17、および第3カード部19の各々の厚さよりも薄く形成されている。第1カード部15の厚さは、例えば、支持基材11に比べて100μm程度薄く形成されている。
第1カード部15は、ICモジュール13が装着される装着部21を備えている。装着部21は、第1カード部15の表面15a上に設けられた凹溝などである。装着部21の形状は、ICモジュール13の外形とほぼ同一の形状に形成されている。装着部21は、例えば、ミリング加工などによって形成されている。装着部21は、支持基材11に形成されるICカードが適宜の規格(例えば、ISO/IEC 7816−2など)に応じた形状および位置の端子を有するように、支持基材11の所定位置に配置されている。装着部21に装着されたICモジュール13の表面13aと、第1カード部15の表面15aとは、同一平面を形成する。
【0012】
第2カード部17は、支持基材11内で第1カード部15を含んでいる。第2カード部17の外形は、適宜の規格に応じた形状(例えば、ETSI TS 102 221で規定されるMini−UICCの矩形板状など)に形成されている。第2カード部17の厚さは、支持基材11の厚さと同一に形成されている。第2カード部17は、
図3に示すように、支持基材11を厚さ方向に貫通するカット部31によって支持基材11に形成される貫通部33に取り出し可能に装着されている。カット部31は、第2カード部17の周縁に沿った境界に全周に亘って設けられている。カット部31は、例えば、支持基材11を厚さ方向に打ち抜く打ち抜き加工によって形成されている。第2カード部17の大きさは、貫通部33の大きさとほぼ同一に形成されている。貫通部33に装着された第2カード部17は、貫通部33の内壁によって支持されている。第2カード部17は、支持基材11の裏面側または表面側から厚さ方向に向かう力が作用する際に、貫通部33から取り出される。
【0013】
第2カード部17は、
図1および
図2に示すように、第1カード部15が装着される凹部35を表面17a上に備えている。凹部35の形状は、ICモジュール13が装着部21に装着された際の第1カード部15の外形とほぼ同一の形状に形成されている。凹部35の深さは、第1カード部15の厚さとほぼ同一に形成されている。凹部35は、例えば、ミリング加工などによって形成されている。装着部21に装着されたICモジュール13の表面13aと、凹部35に装着された第1カード部15の表面15aと、第2カード部17の表面17aとは、同一平面を形成する。
第1カード部15は、
図4に示すように、凹部35に取り出し可能に装着されている。凹部35に装着された第1カード部15は、凹部35によって支持されている。凹部35に装着された第1カード部15は、例えば、第2カード部17が外力により撓んだ際などに凹部35から取り出される。
【0014】
第3カード部19は、
図1および
図2に示すように、支持基材11内で第2カード部17を含んでいる。第3カード部19の外形は、適宜の規格に応じた形状(例えば、ETSI TS 102 221で規定されるPlug−in UICCの矩形板状など)に形成されている。第3カード部19の厚さは、支持基材11の厚さと同一に形成されている。第3カード部19の周縁に沿った境界は、支持基材11を厚さ方向に貫通するスリット部41によって取り囲まれている。スリット部41は、例えば、支持基材11を厚さ方向に打ち抜く打ち抜き加工によって形成されている。第3カード部19は、スリット部41の一部を跨ぐように設けられた複数(例えば、2つ)のブリッジ部43によって支持基材11に接続されている。複数のブリッジ部43の各々には、第3カード部19との境界において表面および裏面の各々から厚さ方向の内部に向かい切り込むように形成されたハーフカット部45が設けられている。ハーフカット部45は、例えば、打ち抜き加工用などの切刃による切り込み加工などによって形成されている。ハーフカット部45は、第3カード部19の周縁に連続するように設けられている。第3カード部19は、
図5に示すように、複数のブリッジ部43の各々がハーフカット部45において切断されることによって、支持基材11から切り離される。
【0015】
以下、
参考形態のICカード10の製造方法について説明する。
図6および
図7に示すように、先ず、カード状の支持基材11に対して、打ち抜き加工および切り込み加工を行う(ステップS01)。打ち抜き加工は、支持基材11を厚さ方向に打ち抜くことによって、支持基材11にカット部31、スリット部41、および複数のブリッジ部43を形成する。切り込み加工は、支持基材11の表面および裏面の各々から厚さ方向の内部に向かい切り込むことによって、支持基材11に複数のハーフカット部45を形成する。
次に、支持基材11においてカット部31によって取り囲まれた部位に対して、ミリング加工を行う(ステップS02)。ミリング加工は、支持基材11の表面上に凹部35を形成する。
【0016】
次に、ICモジュール13が装着される装着部21が設けられた第1カード部15を凹部35に装着する(ステップS03)。装着部21が設けられた第1カード部15は、
図8に示すように、射出成型加工により形成される。
次に、ICモジュール13を装着部21に装着する(ステップS04)。そして、一連の処理を終了する。
【0017】
以上説明した
参考形態によれば、第1カード部15の外形とほぼ同一の形状に形成された凹部35が設けられた支持基材11を持つことにより、支持基材11よりも薄い基材を必要とせずに、支持基材11よりも薄い第1カード部15を容易に得ることができる。さらに、第1カード部15を含む第2カード部17および第2カード部17を含む第3カード部19を持つことにより、1つの支持基材11から複数の異なる大きさおよび厚さのカードを容易に得ることができる。第2カード部17および第3カード部19と同一の厚さの支持基材11を流用して、より薄い第1カード部15を容易に得ることができる。
【0018】
また、ICカード10の製造時においては、予め装着部21が設けられた第1カード部15を、支持基材11の表面上に形成した凹部35に装着するので、支持基材11内で装着部21を形成する場合に比べて、容易に加工を行うことができる。
また、第1カード部15を射出成型加工により形成するので、予め装着部21が設けられた複数の第1カード部15を容易に作成することができる。
【0019】
以下、変形例について説明する。
上述した
参考形態では、装着部21が設けられた第1カード部15は、射出成型加工により形成されるとしたが、これに限定されない。
装着部21が設けられた第1カード部15は、
図9に示すように、第1カード部15の厚さと同一の厚さを有するカード状の基材51に対するミリング加工および打ち抜き加工により形成されてもよい。ミリング加工は、基材51の表面上における複数の部位の各々において装着部21を形成する。打ち抜き加工は、基材51において複数の装着部21の各々を含む部位を厚さ方向に打ち抜くことによって、複数の第1カード部15を形成する。
この変形例によれば、1つの基材51において複数回のミリング加工および打ち抜き加工を連続的に行なうことができ、複数の第1カード部15を形成する際の加工効率を向上させることができる。
【0020】
以下、第1の変形例について説明する。
上述した
参考形態のICカード10の製造方法では、装着部21が設けられた第1カード部15を凹部35に装着する(ステップS03)としたが、これに限定されない。
第1カード部15とほぼ同一の厚さおよび大きさの外形を有するカード部材53を凹部35に装着した後に、カード部材53の表面上に装着部21を形成してもよい。
【0021】
以下、第1の変形例のICカード10の製造方法について説明する。
図10および
図11に示すように、先ず、カード状の支持基材11に対して、打ち抜き加工および切り込み加工を行う(ステップS11)。打ち抜き加工は、支持基材11を厚さ方向に打ち抜くことによって、支持基材11にカット部31、スリット部41、および複数のブリッジ部43を形成する。切り込み加工は、支持基材11の表面および裏面の各々から厚さ方向の内部に向かい切り込むことによって、支持基材11に複数のハーフカット部45を形成する。
次に、支持基材11においてカット部31によって取り囲まれた部位に対して、ミリング加工を行う(ステップS12)。ミリング加工は、支持基材11の表面上に凹部35を形成する。
【0022】
次に、第1カード部15とほぼ同一の厚さおよび大きさの外形を有するカード部材53を凹部35に装着する(ステップS13)。カード部材53は、射出成型加工またはカード部材53の厚さと同一の厚さを有するカード状の基材に対する打ち抜き加工などにより形成される。
次に、凹部35に装着されたカード部材53に対して、ミリング加工を行う(ステップS14)。ミリング加工は、カード部材53の表面上に装着部21を形成する。
次に、ICモジュール13を装着部21に装着する(ステップS15)。そして、一連の処理を終了する。
【0023】
以下、
実施形態である第2の変形例について説明する。
第2の変形例のICカード10は、
図12に示すように、貫通孔55が設けられた底部57を有する凹部35と、貫通孔55に取り出し可能に充填された充填部材59と、を備える点において、上述した
参考形態のICカード10とは構成が異なる。
貫通孔55は、底部57の一部を厚さ方向に貫通している。充填部材59の外形は、貫通孔55とほぼ同一の形状に形成されている。貫通孔55に装着された充填部材59は、貫通孔55の内壁によって支持されている。
【0024】
第2の変形例において、凹部35に装着された第1カード部15は、支持基材11の裏面側から充填部材59を介して表面側に向かう力が作用する際に、充填部材59が貫通孔55から取り外されることに伴って、凹部35から取り出される。
第2の変形例において、第2カード部17は、支持基材11の裏面側または表面側から厚さ方向に向かう力が作用する際に、凹部35における底部57の貫通孔55に充填部材59が充填された状態で貫通部33から取り出される。
【0025】
第2の変形例によれば、凹部35における底部57の貫通孔55に取り出し可能に充填された充填部材59を持つことにより、第2カード部17を撓ませる必要無しに、第1カード部15を凹部35から容易に取り出すことができる。さらに、適宜の規格に応じた形状を有する第2カード部17、第3カード部19、およびICカード10の各々の外形を変更すること無しに、第1カード部15を凹部35から取り出し易くすることができる。
【0026】
以下、第3の変形例について説明する。
上述した
参考形態および実施形態では、第2カード部17を形成するカット部31が省略されてもよい。
上述した
参考形態および実施形態では、
図13および
図14に示すように、第3カード部19を形成するスリット部41およびハーフカット部45が省略されてもよい。
【0027】
以下、第4の変形例について説明する。
第4の変形例のICカード10は、
図15および
図16に示すように、第3カード部19が省略されている点において、上述した
参考形態および実施形態のICカード10とは構成が異なる。
第4の変形例のICカード10は、カット部31の代わりに、スリット部61、ブリッジ部63、およびハーフカット部65を備える点において、
図13および
図14に示す第3の変形例のICカード10とは構成が異なる。
第2カード部17の周縁に沿った境界は、支持基材11を厚さ方向に貫通するスリット部61によって取り囲まれている。スリット部61は、例えば、支持基材11を厚さ方向に打ち抜く打ち抜き加工によって形成されている。第2カード部17は、スリット部61を跨ぐように設けられた複数(例えば、2つ)のブリッジ部63によって支持基材11に接続されている。複数のブリッジ部63の各々には、第2カード部17との境界において表面および裏面の各々から厚さ方向の内部に向かい切り込むように形成されたハーフカット部65が設けられている。ハーフカット部65は、例えば、打ち抜き加工用などの切刃による切り込み加工などによって形成されている。ハーフカット部65は、第2カード部17の周縁に連続するように設けられている。第2カード部17は、複数のブリッジ部63の各々がハーフカット部65において切断されることによって、支持基材11から切り離される。
【0028】
以下、他の変形例について説明する。
上述した
参考形態、実施形態および各変形例において、装着部21の大きさは、相対的にICモジュール13の大きさと同一またはICモジュール13の大きさよりも僅かに大きく形成されてもよい。
上述した
参考形態、実施形態および各変形例において、凹部35の大きさは、相対的に第1カード部15の大きさと同一または第1カード部15の大きさよりも僅かに大きく形成されてもよい。
上述した
参考形態、実施形態および各変形例において、貫通部33の大きさは、相対的に第2カード部17の大きさと同一または第2カード部17の大きさよりも僅かに大きく形成されてもよい。
【0029】
上述した
参考形態、実施形態および各変形例において、凹部35の底部の少なくとも一部は、凹部35に装着された第1カード部15の底面(凹部35の底部に対向する面)が支持基材11の裏面側から透けて見える透光性を有してもよい。例えば、第2の変形例のICカード10において、充填部材59が透光性を有してもよい。
この変形例によれば、支持基材11の裏面側から第1カード部15の底面が透けて見える凹部35を持つことにより、第1カード部15の底面に印刷などによって各種の情報が表示されている場合に、凹部35に装着した状態で視認可能とすることができる。これにより第1カード部15の底面で表示する各種の情報(例えば、ICモジュール13の固有情報など)を、第2カード部17および第3カード部19の各々に対して支持基材11の裏面に設ける必要を無くすことができる。
【0030】
上述した
参考形態、実施形態および各変形例において、凹部35の形状は、支持基材11の厚さ方向において裏面側から表面側に向かうことに伴い、凹部35の大きさが増大傾向に変化するように形成されてもよい。凹部35は、例えば、支持基材11の厚さ方向において裏面側から表面側に向かうことに伴い、凹部35の幅が増大傾向に変化するテーパ状などの内壁を備えてもよい。これにより支持基材11の表面側において第1カード部15を凹部35から取り出し易くすることができる。
【0031】
上述した
参考形態、実施形態およびいくつかの変形例において、第2カード部17の周縁に沿った境界に全周に亘って設けられるカット部31を備えるとしたが、これに限定されない。
カット部31は、第2カード部17の周縁に沿った境界に断続的に設けられてもよい。
カット部31の代わりに、折り取り可能なハーフカット部を備えてもよいし、スリット部およびスリット部の一部を跨ぐように設けられる折り取り可能なブリッジ部を備えてもよい。
【0032】
上述した
参考形態、実施形態およびいくつかの変形例において、第3カード部19の周縁に沿った境界を取り囲むスリット部41およびスリット部41の一部を跨ぐように設けられる複数のブリッジ部43を備えるとしたが、これに限定されない。
スリット部41および複数のブリッジ部43の代わりに、第3カード部19の周縁に沿った境界に全周に亘って、または断続的に設けられるカット部を備えてもよいし、折り取り可能なハーフカット部を備えてもよい。
【0033】
以上説明した少なくともひとつの
参考形態または実施形態によれば、第1カード部15の外形とほぼ同一の形状に形成された凹部35が設けられた支持基材11を持つことにより、支持基材11よりも薄い第1カード部15を容易に得ることができる。さらに、第1カード部15を含む第2カード部17または第3カード部19を持つことにより、1つの支持基材11から複数の異なる大きさおよび厚さのカードを容易に得ることができる。第2カード部17または第3カード部19と同一の厚さの支持基材11を流用して、より薄い第1カード部15を容易に得ることができる。
【0034】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。