(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記ロックアウト組立体は、第1の係合機構と、第2の係合機構と、を備え、該第1の係合機構は、前記近位方向に提示される壁部を含む、請求項1に記載のエンドエフェクタ。
前記弾性部材は、開口部を備え、前記ブレード組立体は、第2のタブを備え、該第2のタブは、前記ブレード組立体が未発射の状態にある際、前記弾性部材の該開口部内に位置付けられるように構成されている、請求項1に記載のエンドエフェクタ。
前記弾性部材は、前記ブレード組立体が遠位方向に移動する際、前記ブレード組立体の前記第2のタブに係合するように構成され、前記弾性部材は、前記弾性部材が前記第2のタブに係合する際、横断方向経路に沿って前記ブレード組立体を押すように構成されている、請求項4に記載のエンドエフェクタ。
前記ロックアウト組立体は、前記ブレード組立体が横断方向に偏向された位置にある際、前記ブレード組立体の前記第1のタブに係合し、前記ブレード組立体が前記第1のつかみ具内を遠位方向に移動するのを防止するように構成されている、請求項5に記載のエンドエフェクタ。
【発明を実施するための形態】
【0007】
本発明の特定の例の以下の説明は、本発明の範囲を限定するために用いられるべきではない。本発明の他の例、特徴、態様、実施形態、及び利点が以下の説明から当業者には明らかとなろう。以下の説明は、実例として、本発明を実施するために企図される最良の形態の1つである。明らかになるように、本発明は、本発明から逸脱することなく、他の様々な明白な態様が可能である。したがって、図面及び説明は、制限的なものではなく、例示的な性質のものとしてみなすべきである。
【0008】
I.例示の外科用ステープラー
図1〜
図7は、外科的処置を行うために、
図1に描写されるような非関節動作状態で、トロカールカニューレを通って患者内の手術部位まで挿入するように寸法決めされている、例示の外科用ステープル留め及び切断器具(10)を示している。単なる例示として、患者の腹部内に、患者の2本の肋骨の間に、又はその他の部位に、かかるトロカールを挿入してもよい。一部の状況では、器具(10)は、トロカールなしで使用される。例えば、開胸又は他の種類の切開によって、器具(10)を直接挿入してもよい。本発明の例の器具(10)は、シャフト(22)に結合しているハンドル部分(20)を含む。シャフト(22)は、関節動作ジョイント(11)内で遠位方向に終端し、関節動作ジョイント(11)は、エンドエフェクタ(12)と更に連結されている。本明細書では、「近位」及び「遠位」といった用語は、器具(10)のハンドル部分(20)を握っている臨床医を基準として使用されていることを理解されたい。したがって、エンドエフェクタ(12)は、より近位にあるハンドル部分(20)に対して遠位である。便宜上、また説明を明確にするため、本明細書では「垂直」及び「水平」といった空間的な用語を図面に対して使用する点も更に認識されるであろう。しかしながら、外科用器具は、多くの配向及び姿勢で使用され、これらの用語は、制限的かつ絶対的でないことが意図されている。
【0009】
一部の形態においては、シャフト(22)は、本件と同日に出願され、その開示が参照により本明細書に組み込まれている、「Surgical Instrument with Multi−Diameter Shaft」と題される米国特許出願第号[代理人整理番号END7181USNP.0599180]の少なくとも一部の教示に従って構築される。シャフト(22)の他の好適な構成は、本明細書の教示を鑑みれば当業者には明らかになるであろう。
【0010】
関節動作ジョイント(11)及びエンドエフェクタ(12)が、トロカールのカニューレ通路を通って一旦挿入されると、関節動作ジョイント(11)は、
図1に幻影で描写されるように、関節動作制御部(13)によって遠隔に操作され、関節動作することができ、エンドエフェクタ(12)を、シャフト(22)の長手方向軸線(LA)から所望の角度(α)に偏向することができる。エンドエフェクタ(12)は、そのようにして、所望の角度から又は他の理由のために、臓器の背後に到達する又は組織に近付くことができる。一部の形態においては、関節動作ジョイント(11)は、単一の平面に沿ってエンドエフェクタ(12)を偏向することができる。その他の形態においては、関節動作ジョイント(11)は、2つ以上の平面に沿ってエンドエフェクタを偏向することができる。関節動作ジョイント(11)及び関節動作制御部(13)は、本明細書で引用される多数の引用文献のうちのいずれかの教示に従って、構成されてもよい。あるいは、関節動作ジョイント(11)及び/又は関節動作制御部(13)は、他の任意の好適な構成を有していてもよい。単なる例示として、関節動作制御部(13)は、シャフト(22)の長手方向軸線(LA)に直交する軸を中心に回転するノブとして代わりに構成されてもよい。
【0011】
一部の形態においては、関節動作ジョイント(11)及び/又は関節動作制御部(13)は、本件と同日に出願され、その開示が参照により本明細書に組み込まれている、「Surgical Instrument End Effector Articulation Drive with Pinion and Opposing Racks」と題される米国特許出願第号[代理人整理番号END7174USNP.0599176]の少なくとも一部の教示に従って、構築され、動作可能である。関節動作ジョイント(11)はまた、その開示が参照により本明細書に組み込まれている、米国特許出願第号[代理人整理番号END7181USNP.0599180]の少なくとも一部の教示に従って、構築され、動作可能である。関節動作ジョイント(11)及び関節動作制御部(13)が取り得る他の好適な形態は、本明細書の教示を鑑みれば当業者には明らかになるであろう。
【0012】
本発明の例のエンドエフェクタ(12)は、下部つかみ具(16)及び枢動可能アンビル(18)を含む。一部の形態においては、下部つかみ具(16)は、本件と同日に出願され、その開示が参照により本明細書に組み込まれている、「Installation Features for Surgical Instrument End Effector Cartridge」と題される米国特許出願第号[代理人整理番号END7182USNP.0599227]の少なくとも一部の教示に従って構築される。アンビル(18)は、本件と同日に出願され、その開示が参照により本明細書に組み込まれている、「Integrated Tissue Positioning and Jaw Alignment Features for Surgical Stapler」と題される米国特許出願第号[代理人整理番号END7176USNP.0599177]の少なくとも一部の教示、本件と同日に出願され、その開示が参照により本明細書に組み込まれている、「Jaw Closure Feature for End Effector of Surgical Instrument」と題される米国特許出願第号[代理人整理番号END7177USNP.0599225]の少なくとも一部の教示、及び/又は本件と同日に出願され、その開示が参照により本明細書に組み込まれている、「Staple Forming Features for Surgical Stapling Instrument」と題される米国特許出願第号[代理人整理番号END7180USNP.0599175]の少なくとも一部の教示に従って構築することができる。下部つかみ具(16)及びアンビル(18)が取り得る他の好適な形態は、本明細書の教示を鑑みれば当業者には明らかになるであろう。
【0013】
ハンドル部分(20)は、ピストル把持部(24)及び閉鎖トリガー(26)を含む。閉鎖トリガー(26)は、ピストル把持部(24)に向かって枢動可能であり、エンドエフェクタ(12)の下部つかみ具(16)に向かってアンビル(18)のクランプ又は閉鎖を行うことができる。かかるアンビル(18)の閉鎖は、閉鎖管(32)及び閉鎖用リング(33)を介してもたらされ、その両方とも、ピストル把持部(24)に対する閉鎖トリガー(26)の枢動に応じてハンドル部分(20)に対して長手方向に移動する。閉鎖管(32)は、シャフト(22)の長さに沿って延在し、閉鎖用リング(33)は、関節動作ジョイント(11)より遠位に位置付けられる。関節動作ジョイント(11)は、閉鎖管(32)から閉鎖用リング(33)までの長手方向の運動を伝達/伝動するように動作可能である。
【0014】
ハンドル部分(20)はまた、発射トリガー(28)を含む。細長部材(136)(
図11に図示)は、シャフト(22)を通って長手方向に延在し、発射トリガー(28)の作動に応じて、ハンドル部分(20)から発射ビーム(14)まで長手方向の発射動作を伝達する。以下で更に詳細に説明されるように、発射ビーム(14)が遠位に移動することにより、エンドエフェクタ(12)においてクランプされた組織のステープル留め及び切断が行われる。その後、トリガー(26、28)を解放し、エンドエフェクタ(12)から組織を解放することができる。
【0015】
図3〜
図6は、数多くの機能を実行するためにEビーム形態の発射ビーム(14)を取り入れているエンドエフェクタ(12)を示す。Eビーム形態は、単なる例示としての一例であることを理解されたい。発射ビーム(14)は、他の好適な形態を有していてもよく、非Eビーム形態も含まれるが、これに限定されるものではない。
図4A及び
図4Bに最もわかりやすく示されるように、発射ビーム(14)は、横断方向に配向された上方ピン(38)と、発射ビームキャップ(44)と、横断方向に配向された中間ピン(46)と、遠位方向に提示された切断縁部(48)と、を含む。上方ピン(38)は、アンビル(18)の長手方向アンビルスロット(42)内に位置付けられ、長手方向アンビルスロット(42)内を移動可能である。発射ビームキャップ(44)は、下部つかみ具(16)を通って形成された下部つかみ具スロット(45)(
図4Bに図示)を通って延在する発射ビーム(14)を有することによって、下部つかみ具(16)の下面に摺動可能に係合する。中間ピン(46)は、発射ビームキャップ(44)と協働する下部つかみ具(16)の上面に摺動可能に係合する。これにより、発射ビーム(14)は、発射中に、エンドエフェクタ(12)の間隔を肯定的に取る。
【0016】
一部の非Eビーム形態の発射ビーム(14)は、上方ピン(38)、中間ピン(46)、及び/又は発射ビームキャップ(44)が欠けていてもよい。器具(10)のかかる形態のいくつかは、閉鎖用リング(33)又はその他の機構に単に依存し、発射ビーム(14)が遠位位置へと前進する間、閉鎖位置までアンビル(18)を枢動させ、閉鎖位置でアンビル(18)を留めておいてもよい。発射ビーム(14)のための種々の例示の代替の構成要素、構成、及び操作性は、以下で更に詳細に説明される。発射ビーム(14)が取り得る他の好適な形態は、本明細書の教示を鑑みれば当業者には明らかになるであろう。
【0017】
図3は、近位に位置付けられている本発明の例の発射ビーム(14)と、開放位置まで枢動され、下部つかみ具(16)のチャネル内に、未使用のステープルカートリッジ(37)を着脱可能に装着できるようにするアンビル(18)と、を示す。
図5及び
図6に最もわかりやすく示されるように、この例のステープルカートリッジ(37)は、上部デッキ(72)を提示し、下部カートリッジトレー(74)と連結されている、カートリッジ本体(70)を含む。
図3に最もわかりやすく示されるように、垂直スロット(49)は、ステープルカートリッジ(37)の一部を通って形成されている。
図3にまた最もわかりやすく示されるように、3列のステープル開口部(51)は、垂直スロット(49)の片側の上部デッキ(72)を通って形成され、垂直スロット(49)の他方の側の上部デッキ(72)を通って、他の1組の3列のステープル開口部(51)が形成される。勿論、任意の他の好適なステープルの列数(例えば、2列、4列、その他の列数)が提供されてもよい。再度、
図4A〜
図6を参照すると、楔形スレッド(41)及び複数のステープルドライバ(43)は、カートリッジ本体(70)とトレー(74)との間に捕捉されており、楔形スレッド(41)は、ステープルドライバ(43)よりも近位に位置する。楔形スレッド(41)は、ステープルカートリッジ(37)内を長手方向に可動であり、一方、ステープルドライバ(43)は、ステープルカートリッジ(37)内を垂直方向に可動である。ステープル(47)もまた、カートリッジ本体(70)内に、対応するステープルドライバ(43)の上に位置付けられる。特に、それぞれのステープル(47)は、ステープルドライバ(43)によってカートリッジ本体(70)内を垂直方向に駆動され、関連するステープル開口部(51)を通ってステープル(47)を外へと駆動する。
図4A、
図4B、及び
図6に最もわかりやすく示されるように、楔形スレッド(41)は、楔形スレッド(41)がステープルカートリッジ(37)を通って遠位方向に駆動されるにつれてステープルドライバ(43)を上方に促す、傾斜したカム表面を提示する。
【0018】
一部の形態においては、ステープルカートリッジ(37)は、その開示が参照により本明細書に組み込まれている、米国特許出願第号[代理人整理番号END7176USNP.0599177]の少なくとも一部の教示に従って、構築され、動作可能である。追加的にあるいは代替的に、ステープルカートリッジ(37)は、その開示が参照により本明細書に組み込まれている、米国特許出願第号[代理人整理番号END7182USNP.0599227]の少なくとも一部の教示に従って、構築され、動作可能である。ステープルカートリッジ(37)が取り得る他の好適な形態は、本明細書の教示を鑑みれば当業者には明らかになるであろう。
【0019】
図4A及び
図4Bに描写されるように、閉鎖管(32)及び閉鎖用リング(33)を遠位方向に前進させることによってエンドエフェクタ(12)が閉鎖された状態で、発射ビーム(14)は、次いで、上方ピン(38)を長手方向アンビルスロット(42)に入れることによって、アンビル(18)と係合して前進する。プッシャブロック(80)(
図5に図示)は、発射ビーム(14)の遠位端に位置し、かつ、発射トリガー(28)が作動した際、発射ビーム(14)がステープルカートリッジ(37)を通って遠位方向に前進するにつれてプッシャブロック(80)が楔形スレッド(41)を遠位方向に押すように、楔形スレッド(41)と係合するように構成されている。かかる発射中に、発射ビーム(14)の切断縁部(48)は、ステープルカートリッジ(37)の垂直スロット(49)に入り、ステープルカートリッジ(37)とアンビル(18)との間にクランプされている組織を切断する。
図4A及び
図4Bに示すように、中間ピン(46)及びプッシャブロック(80)は共に、ステープルカートリッジ(37)内の垂直スロット(49)内に入ることによって、ステープルカートリッジ(37)を作動させ、楔形スレッド(41)をステープルドライバ(43)との上向きのカム接触へと駆動すると、ステープル(47)は、ステープル開口部(51)を通って外へと駆動され、アンビル(18)の内面のステープル成形ポケット(53)(
図3に図示)との成形接触へと駆動される。
図4Bは、組織の切断及びステープル留めが完了した後、遠位方向に完全に移動した発射ビーム(14)を示す。ステープル成形ポケット(53)は、
図4A及び
図4Bの図から意図的に省略されているが、
図3に図示されていることを理解されたい。また、アンビル(18)は、
図5の図から意図的に省略されていることも理解されたい。
【0020】
図7は、組織(90)を貫通する1回のストロークを介して作動しているエンドエフェクタ(12)を示す。図示されるように、切断縁部(48)(
図7では不明瞭)は、組織(90)を切断しており、一方、ステープルドライバ(43)は、切断縁部(48)が作り出した切断線の各側で、組織(90)を通ってステープル(47)の3本の交互の列を駆動している。この例では、全てのステープル(47)が切断線とほぼ平行に配向されているが、ステープル(47)は、任意の好適な配向で位置付けられてもよいことを理解されたい。本発明の例では、第1のストロークが完了した後にエンドエフェクタ(12)をトロカールから後退させ、使用済みのステープルカートリッジ(37)を新しいステープルカートリッジと交換し、その後に、エンドエフェクタ(12)を再びトロカールを通って挿入して、ステープル留めする部位に到達し、更なる切断及びステープル留めを行う。所望の量の切断及びステープル(47)が提供されるまで、このプロセスを繰り返すことができる。トロカールを通って挿入及び後退を可能にするためにアンビル(18)を閉鎖する必要があり得、ステープルカートリッジ(37)の交換を可能にするためにアンビル(18)を開放する必要があり得る。
【0021】
各作動ストローク中に、ステープル(47)が組織を通って駆動されているのとほぼ同時に、切断縁部(48)が組織を切断することができることを理解されたい。本発明の例では、切断縁部(48)は、ステープル(47)の駆動にごくわずかに遅れて進むので、ステープル(47)は、切断縁部(48)が組織の同じ領域を通過する直前に組織を通って駆動されるが、この順序を逆にすることができること、又は、切断縁部(48)が、隣接するステープルと直接同期されてもよいことを理解されたい。
図7は、2層(92、94)の組織(90)で作動しているエンドエフェクタ(12)を示しているが、エンドエフェクタ(12)は、単層の組織(90)を通って作動してもよく、又は2層(92、94)以上の組織を通って作動してもよいことを理解されたい。また、切断縁部(48)が作り出した切断線に隣接するステープル(47)の成形及び位置決めにより、切断線で組織を実質的に封着することができ、したがってその切断線での出血及び/又は他の体液の漏出を低減又は防止することができることも理解されたい。また、
図7は、ほぼ扁平で、付着された平面な2層(92、94)の組織で作動しているエンドエフェクタ(12)を示しているが、エンドエフェクタ(12)は、血管、胃腸管の一部分などの筒状構造に交差して作動してもよいことを理解されたい。したがって、
図7は、エンドエフェクタ(12)の企図される使用方法の制限について説明しているものとして考慮されるべきではない。器具(10)が使用され得る種々の好適な状況及び処置は、本明細書の教示を鑑みれば当業者には明らかになるであろう。
【0022】
器具(10)は、米国特許第4,805,823号、米国特許第5,415,334号、米国特許第5,465,895号、米国特許第5,597,107号、米国特許第5,632,432号、米国特許第5,673,840号、米国特許第5,704,534号、米国特許第5,814,055号、米国特許第6,978,921号、米国特許第7,000,818号、米国特許第7,143,923号、米国特許第7,303,108号、米国特許第7,367,485号、米国特許第7,380,695号、米国特許第7,380,696号、米国特許第7,404,508号、米国特許第7,434,715号、米国特許第7,721,930号、米国特許公開第2010/0264193号、及び/又は同第2012/0239012号のうちいずれかの教示に従って構成され、動作可能であることを理解されたい。上述のように、それらの特許及び公報のそれぞれの開示は、参照により本明細書に組み込まれている。器具(10)に提供することができる更なる例示の修正例は、以下により詳細に記載する。以下の教示が器具(10)に組み込むことができる種々の好適な方法は、当業者には明らかであろう。同様に、以下の教示を本明細書で引用される特許/公報の様々な教示と組み合わせることができる種々の好適な方法は、当業者には明らかであろう。また、以下の教示が、本明細書で引用される特許に教示された器具(10)又は装置に限定されないことも理解されたい。以下の教示は、外科用ステープラーとして分類されない器具を含む様々な他の種類の器具に容易に適用することができる。以下の教示を適用することができる種々の他の好適な装置及び状況は、本明細書の教示を鑑みれば当業者には明らかになるであろう。
【0023】
II.例示の電動駆動機構
本発明の例では、器具(10)は、発射ビーム(14)の電動制御を提供する。
図8〜
図11は、発射ビーム(14)の電動制御を提供するために使用されてもよい、例示の構成要素を示す。特に、
図8は、電池パック(104)(
図1及び
図2にも図示)からの電力を電動モーター(102)に供給するために使用されてもよい、例示の制御回路(100)を示す。以下で更に詳細に説明されるように、電動モーター(102)は、発射ビーム(14)を長手方向に移動させるように動作可能である。モーター(102)及び電池パック(104)を含む制御回路(100)全体を、ハンドル部分(20)内に収容することが可能であることを理解されたい。
図8は、オープンスイッチとして発射トリガー(28)を示しているが、このスイッチは、発射トリガー(28)が作動しているときは閉じられていることを理解されたい。この例の回路(100)はまた、回路(100)を完了するために閉じられなければならない安全スイッチ(106)を含むが、安全スイッチ(106)は単なる任意選択的な構成要素であることを理解されたい。安全スイッチ(106)は、別装のボタン、スライダ、又はハンドル部分(20)の他の機構を作動することによって閉じることができる。
【0024】
本発明の例の回路(100)はまた、ロックアウトスイッチ(108)を含み、そのスイッチは、初期設定では閉じられているが、ロックアウト状態に応じて自動的に開くように構成されている。単なる例示として、ロックアウト状態は、下部つかみ具(16)にカートリッジ(37)がない状態、下部つかみ具(16)に使用済み(例えば、以前に発射された)カートリッジ(37)がある状態、アンビル(18)が十分に閉鎖されていない状態、器具(10)がすでに何度も発射されていると判断された状態、及び/又は任意の他の好適な状態のうち、1つ又は2つ以上の状態を含んでいてもよい。ロックアウト状態を検知するために使用されてもよい様々なセンサ、アルゴリズム、及び他の機構は、本明細書の教示を鑑みれば当業者には明らかになるであろう。同様に、本明細書の教示を鑑みれば、他の好適な種類のロックアウト状態も、当業者には明らかになるであろう。回路(100)が開いており、ロックアウトスイッチ(108)が開いている際は、モーター(102)は動作不可能であることを理解されたい。ロックアウト指示器(110)(例えば、LEDなど)は、ロックアウトスイッチ(108)の状態の視覚的指標を提供するように動作可能である。単なる例示として、ロックアウトスイッチ(108)、ロックアウト指示器(110)、及び関連する構成要素/機能性は、その開示が参照により本明細書に組み込まれている、2010年1月12日発行の「Electronic Lockouts and Surgical Instrument Including Same」と題される米国特許第7,644,848号の少なくとも一部の教示に従って構成することができる。
【0025】
一旦発射ビーム(14)が最遠位位置(例えば、切断ストロークの終わり)に到達すると、ストローク終了スイッチ(112)は自動的に閉鎖位置に切り替わり、モーター(102)に適用される電圧の極性を反転させる。これにより、モーター(102)の回転方向は反転するが、操作者は動作のこの段階で、発射トリガー(28)を解放しているだろう点が理解されるべきである。この動作状態において、電流は、逆方向指示器(114)(例えば、LEDなど)を通って流れ、モーター(102)の回転が反転したことを操作者に伝える視覚的指標を提供する。発射ビーム(14)が最遠位位置に到達した際、ストローク終了スイッチ(112)が自動的に閉鎖位置に切り替わる種々の好適な方法は、本明細書の教示を鑑みれば当業者には明らかになるであろう。同様に、逆方向指示器(114)が取り得る種々の好適な形態は、本明細書の教示を鑑みれば当業者には明らかになるであろう。
【0026】
本発明の例のハンドル部分(20)はまた、手動戻りスイッチ(116)を含んでおり、そのスイッチは、回路(100)内にも図示されている。手動戻りスイッチ(116)は、「緊急救済(bailout)」機能として動作するように構成されており、操作者は、発射ストローク中、発射ビーム(14)の近位方向への縮退を即座に開始することができる。つまり、手動戻りスイッチ(116)は、発射ビーム(14)が部分的にしか遠位方向に前進していない場合、手動で作動できる。手動戻りスイッチ(116)は、ストローク終了スイッチ(112)と同様の機能性を提供し、モーター(102)に適用される電圧の極性を反転させ、それにより、モーター(102)の回転方向を反転させてもよい。この場合もまた、反転したことは、逆方向指示器(114)を通じて視覚的に表示される。
【0027】
一部の形態においては、1つ又は2つ以上のスイッチ(28、106、108、112、116)は、マイクロスイッチの形態をしている。他の好適な形態は、本明細書の教示を鑑みれば当業者には明らかになるであろう。前述に加えて又は前述の代わりに、少なくとも回路(100)の一部は、その開示が参照により本明細書に組み込まれている、2012年7月3日発行の「Motor−Driven Surgical Instrument」と題される米国特許第8,210,411号の少なくとも一部の教示に従って構成することができる。
【0028】
図9〜
図11は、発射ビーム(14)の電動移動を提供するために使用されてもよい種々の機械的構成要素を示す。特に、
図9は、ハンドル部分(20)のピストル把持部(24)に収容されたモーター(102)を示す。電池パック(104)(
図1及び
図2に図示)は、ピストル把持部(24)(例えば、モーター(102)の下)及び/又はハンドル部分(20)内の他の場所に位置していてもよいことを理解されたい。モーター(102)は、歯車組立体(122)と連結されている駆動軸(120)を有する。歯車組立体(122)は、外部筐体(図示せず)を有しており、
図10に示すように、上部歯車(126)を駆動するように動作可能である。上部歯車(126)は、ハンドル部分(20)に固定されたピン(129)に回転可能に支持されているピニオン(128)に噛合する。それゆえに、モーター(102)の起動により、最終的にハンドル部分(20)内でピニオン(128)が回転することを理解されたい。
【0029】
図9及び
図10にも示すように、移動ラック(130)は、ピニオン(128)に噛合する歯(132)を含み、ラック(130)は、ピニオン(128)が回転する際、長手方向に移動する。
図11に示すように、ラック(130)は、細長部材(136)に連結されており、細長部材(136)は、シャフト(22)を通って延在し、発射ビーム(14)の近位端に連結する遠位端(138)を含む。細長部材(136)は、シャフト(22)内を移動し、細長部材(136)は、ラック(130)の長手方向動作を発射ビーム(14)に伝達する。それゆえに、モーター(102)の起動により、最終的に発射ビーム(14)がエンドエフェクタ(12)内を移動することを理解されたい。特に、モーター(102)は、発射ビーム(14)を遠位方向に駆動し、組織(90)を切断、かつ組織(90)内にステープル(47)を駆動させてもよい。スイッチ作動アーム(134)は、ラック(130)から横方向に延在し、かつ、発射ビーム(14)が最遠位位置(例えば、組織(90)が切断され、ステープル(47)が組織(90)内に駆動された後)に到達した際、ストローク終了スイッチ(112)に係合するように位置付けられている。上述のように、このストローク終了スイッチ(112)の係合により、モーター(102)は自動的に反転して、発射ビーム(14)を最遠位位置から近位位置へと戻し、それにより、アンビル(18)は、下部つかみ具(16)から離れるように枢動され、組織(90)を解放する。
【0030】
「枢動する」という用語(及び「枢動」を基体とした類義語)の使用は、必ずしも固定軸を中心とした枢動運動を必要とすると理解されるべきではない。一部の形態においては、アンビル(18)は、アンビル(18)が下部つかみ具(16)に向かって動く際、細長スロット又はチャネルに沿ってスライドするピン(又は同様の機構)によって画定される軸を中心として枢動する。かかる形態においては、枢軸がスロット又はチャネルによって画定される経路に沿って移動する一方で、アンビル(18)も同時にその枢軸を中心として枢動する。追加的にあるいは代替的に、まず枢軸がスロット/チャネルに沿ってスライドし、次いで枢軸がスロット/チャネルに沿ってある一定の距離をスライドした後、アンビル(18)が枢軸を中心として枢動してもよい。かかるスライドする/移動するという枢動運動は、「枢動する(pivot、pivots)」、「枢動の(pivotal)」、「枢動可能な(pivotable)」、「枢動している(pivoting)」などの用語に包含されていることを理解されたい。勿論、一部の形態は、固定かつスロット又はチャネル内を移動しない軸を中心としたアンビル(18)の枢動運動を提供してもよい。
【0031】
前述に加えて又は前述の代わりに、発射ビーム(14)を駆動するように動作可能な機構は、その開示が参照により本明細書に組み込まれている、米国特許公開第2012/0239012号の少なくとも一部の教示に従って、かつ/又はその開示もまた参照により本明細書に組み込まれている、米国特許公報第2012/0239012号の少なくとも一部の教示に従って、構成することができる。発射ビーム(14)の電動化を提供するための他の好適な構成要素、機構、及び構成は、本明細書の教示を鑑みれば当業者には明らかになるであろう。また、他の形態において、発射ビーム(14)のマニュアル駆動が提供され、モーターが省かれてもよいことも理解されたい。単なる例示として、発射ビーム(14)は、本明細書で引用されるその他の特許/特許公報の参照の少なくとも一部の教示に従って作動することができる。
【0032】
III.例示のエンドエフェクタロックアウト機構
場合によっては、つかみ具(216、218)の間に位置付けられた組織がステープル留めされずに切断されることのないように、エンドエフェクタ(12)に対してロックアウト機構を提供し、発射ビーム(14)及び切断縁部(48)の不用意の発射(すなわち、遠位への前進)を防止することが所望され得る。例えば、ステープルカートリッジ(37)がエンドエフェクタ(12)内に未搭載である場合に、又はステープル(47)がステープルカートリッジ(37)から駆動された後に、発射ビーム(14)及び切断縁部(48)が発射しないようにすることが所望され得る。したがって、発射ビーム(14)及び切断縁部(48)の不用意の発射を防止するために、エンドエフェクタ(12)内にロックアウト機構が提供されてもよい。以下の例には、エンドエフェクタ(12)に容易に導入することができるロックアウト機構のいくつかの単なる例示の形態が含まれる。
【0033】
図12及び
図13は、器具(10)に容易に組み入れることができる例示のエンドエフェクタ(212)を示す。エンドエフェクタ(212)は、エンドエフェクタ(12)の下部つかみ具(16)、アンビル(18)、及び閉鎖用リング(33)と類似の、下部つかみ具(216)、枢動可能アンビル(218)、及び閉鎖用リング(233)を備える。ステープルカートリッジ(237)は、下部つかみ具(216)のチャネル内に、着脱可能に装着されてもよい。本発明の例のステープルカートリッジ(237)は、エンドエフェクタ(12)のステープルカートリッジ(37)と類似している。
図13に最もわかりやすく示されるように、ステープルカートリッジ(237)は、下部カートリッジトレー(247)と連結されているカートリッジ本体(240)を備える。楔形スレッド(290)及び複数のステープルドライバ(243)は、カートリッジ本体(240)とトレー(247)との間に捕捉されており、楔形スレッド(290)は、ステープルドライバ(243)より近位に位置する。ステープル(47)と類似のステープルは、明瞭さのために
図13からは省略されているが、ステープル(47)は、ステープルドライバ(243)の真上に位置付けられるであろうことを理解されたい。楔形スレッド(290)及びステープルドライバ(243)は、エンドエフェクタ(12)の楔形スレッド(41)及びステープルドライバ(243)と類似しており、楔形スレッド(290)は、楔形スレッド(290)がステープルカートリッジ(237)を通って遠位方向に駆動され、ステープル(
図13には図示せず)を垂直に、つかみ具(216、218)の間に位置付けられている組織内に駆動する際、ステープルドライバ(243)を上方に促すように構成されている。本発明の例の楔形スレッド(290)は、楔形スレッド(290)の近位に位置付けられているブレード組立体(250)によって、遠位方向に駆動される。ビーム(223)は、ブレード組立体(250)に(例えば、溶接によって)連結される。ビーム(223)は、ビーム(14)に類似しており、ブレード組立体(250)を遠位方向及び/又は近位方向に駆動するように構成されている。弾性部材(280)は、ブレード組立体(250)より近位にあり、ブレード組立体(250)に着脱可能に係合するように構成されている。ブレード組立体(250)及び弾性部材(280)は、フレーム部材(270)内に位置付けられる。フレーム部材(270)は、閉鎖用リング(233)内に位置付けられ、フレーム部材(270)がシャフト(222)の関節動作ジョイント(211)と連結するように、下部つかみ具(216)の近位端に連結される。
【0034】
関節動作ジョイント(211)及びシャフト(222)は、関節動作ジョイント(11)及びシャフト(22)に類似している。単なる例示として、関節動作ジョイント(211)及び/又はシャフト(222)は、その開示が本明細書に参照により組み込まれている、米国特許出願第号[代理人整理番号END7174USNP.0599176]、及び/又はその開示が本明細書に参照により組み込まれている、U U.S.特許出願第号[代理人整理番号END7181USNP.0599180]の少なくとも一部の教示に従って構築することができる。あるいは、関節動作ジョイント(211)及び/又はシャフト(222)は、任意の他の好適な構成を有していてもよい。
【0035】
図14及び
図15は、ブレード組立体(250)を更に詳細に示す。ブレード組立体(250)は、切断縁部(252)、上部延伸部(260)、及び下部延伸部(255)を備える。ブレード組立体(250)が下部つかみ部(216)を通って遠位に移動する際、切断縁部(252)が組織を切断するように、切断縁部(252)は、ブレード組立体(250)の上部遠位部分上に位置付けられる。上部延伸部(260)は、切断縁部(252)から近位方向に延在する。上部延伸部(260)は、上部延伸部(260)の下面上に壁部(261、262、263、264、265、266)を備える。壁部(261)は、壁部(262)まで近位方向に延在する。壁部(262)は、壁部(263)まで上方に傾斜する。壁部(263)は、壁部(264)まで近位方向に延在し、壁部(264)は、壁部(265)まで下方へと延在する。壁部(262、263、264)は共に、ノッチを形成する。壁部(265)は、壁部(266)まで近位方向に延在し、壁部(266)は、上方に傾斜する。壁部(264、265、266)は、上部延伸部(260)から下方に延在するタブ(268)を形成する。以下で更に詳細に説明されるように、ステープルカートリッジ(237)が搭載されていない状態でタブ(268)及びブレード組立体(250)が遠位方向に前進することをフレーム部材(270)が防止できるように、タブ(268)は、フレーム部材(270)に係合するように構成されている。
【0036】
下部延伸部(255)は、切断縁部(252)の下から近位方向に延在する。遠位先端(254)及び遠位壁部(251)は、下部延伸部(255)の遠位部分上に位置付けられている。以下で更に詳細に説明されるように、遠位先端(254)が楔形スレッド(290)の上面に係合するように構成されるように、遠位先端(254)は、下部延伸部(255)から遠位方向かつ下方に延在する。また、以下で更に詳細に説明されるように、遠位壁部(251)が楔形スレッド(290)の近位表面に係合するように構成されるように、遠位壁部(251)は、遠位先端(254)の下にある下部延伸部(255)の遠位部分上に垂直に位置付けられる。したがって、ブレード組立体(250)が下部つかみ具(216)内を遠位方向に移動し、それによって下部つかみ具(216)内で楔形スレッド(290)が遠位方向に駆動される際、遠位先端(254)及び遠位壁部(251)は、楔形スレッド(290)に解放可能に係合する。丸みを帯びたタブ(256)は、下部延伸部(255)の近位部分から上方に延在する。タブ(256)は、ブレード組立体(250)のタブ(268)がフレーム部材(270)に係合し、タブ(268)及びブレード組立体(250)がステープルカートリッジ(237)が搭載されていない状態で遠位方向に前進するのを防止するように、弾性部材(280)がタブ(256)及びブレード組立体(250)を下方に付勢できるように、弾性部材(280)に係合するように構成されている。
【0037】
突起(258)は、下部延伸部(255)から下方に延在し、下部つかみ具(216)のスロット(214)内を移動するように構成されている。突起(258)は、下部延伸部(255)ほど幅が広くないため、下部延伸部(255)の下面上の突起(258)と下部延伸部(255)との間に棚部(253)が形成される。したがって、棚部(253)は、下部つかみ具(216)のスロット(214)内でブレード組立体(250)を垂直位置に保持する。棚部(253)は、ブレード組立体(250)の全体的な厚みを越える付加部分又は延伸部分を必要としない保持方法をもたらす。突起(258)は、壁部(242)に向かって勾配をなしている傾斜壁部(241)を備える。壁部(242)は、壁部(248)まで近位方向に延在し、壁部(248)は、壁部(244)まで下方に傾斜する。壁部(244)は、壁部(245)まで近位方向に延在し、壁部(245)は、下部延伸部(255)まで上方に傾斜する。壁部(248、244、245)は、突起(258)から下方に延在するタブ(259)を形成する。
【0038】
上述したように、ブレード組立体(250)は、モーター(102)及び発射ビーム(223)を駆動するための発射トリガー(28)の作動に基づいて、下部つかみ具(216)内で近位方向及び/又は遠位方向に移動するように構成されている。
図16に示すように、下部つかみ具(216)は、近位部分(215)及び遠位部分(213)を有するスロット(214)を備える。近位部分(215)は、遠位部分(213)より幅が広い。近位部分(215)は、カム表面(217)を介して遠位部分(213)に移行する。
図17は、ブレード組立体(250)が近位かつ未発射位置にある場合の、下部つかみ具(216)のスロット(214)内に位置付けられているブレード組立体(250)を示す。スロット(214)は、突起(258)が下部つかみ具(216)のスロット(214)内を移動するように、ブレード組立体(250)の突起(258)を受け入れる。下部延伸部(255)は、スロット(214)上に位置付けられる。ブレード組立体(250)がスロット(214)の遠位部分(213)内に位置付けられる際、棚部(253)がスロット(214)の遠位部分(213)を越えて横方向に延在し、ブレード組立体(250)の垂直方向の整列又は垂直位置を維持するように、スロット(214)の遠位部分(213)は、突起(258)の横幅に対応するように寸法決めされた横幅を有する。ブレード組立体(250)がステープルカートリッジ(237)を搭載することなく前進した場合、突起(258)及び下部延伸部(255)がスロット(214)の近位部分(215)内に収まるように、スロット(214)の近位部分(215)は、ブレード組立体(250)の下部延伸部(255)の横幅に対応するように寸法決めされた横幅を有する。
【0039】
スロット(214)は、下部つかみ具(216)内で連続的に延在し、ブレード組立体(250)が近位及び/又は遠位に移動する際、下部つかみ具(216)内のブレード組立体(250)の位置を可視化させることができる。閉鎖用リング(233)は、下部つかみ具(216)に連結し、ブレード組立体(250)の可視化を更に可能とする。本発明の例では、
図22に示すように、閉鎖用リング(233)は、開口部(235)を備える。閉鎖用リング(233)が遠位位置に前進し、アンビル(218)を下部つかみ具(216)に対して閉鎖する際、開口部(235)がスロット(214)の近位部分(215)に隣接するように、閉鎖用リング(233)は、下部つかみ具(216)と摺動可能に連結する。突起(258)及び下部延伸部(255)がスロット(214)の近位部分(215)内に収まった場合、閉鎖用リング(233)がタブ(259)の可視化を可能にするように、開口部(235)は、ブレード組立体(250)のタブ(259)に対応するよう寸法決めされる。
【0040】
図18及び
図19に示すように、下部つかみ具(216)の近位端は、フレーム部材(270)に連結されている。フレーム部材(270)は、チャネル(278)、旋回軸(279)、及び歯車(292)を備える。
図19に示すように、第1の係合機構(272)及び第2の係合機構(274)は、チャネル(278)内に位置付けられる。係合機構(272、274)は、ブレード組立体(250)の上部延伸部(260)に係合するように構成されている。第1の係合機構(272)は、チャネル(278)内に上方に延在する壁部(275)を備える。壁部(275)は、壁部(273)へと移行し、壁部(273)は、壁部(271)まで遠位方向に延在する。壁部(271)は、遠位方向に下方に勾配をなす。第2の係合機構(274)は、第1の係合機構(272)より近位にある。第2の係合機構(274)の上面は、壁部(276)まで遠位方向に延在する壁部(277)を備え、壁部(276)は、遠位方向に下方に勾配をなす。第2の係合機構(274)の下面は、壁部(294)まで近位方向に下方に勾配をなす壁部(293)を備える。壁部(294)は、壁部(295)まで近位方向に延在し、壁部(295)は、壁部(294)から上方へと延在する。
図23Aに示すように、第2の係合機構(274)の下面は、弾性部材(280)に係合するように構成されている。歯車(292)は、歯を有し、係合機構(274)より近位にある。旋回軸(279)は、歯車(292)から上方に延在する。エンドエフェクタ(212)がシャフト(222)に対して所望の角度(α)に枢動できるように、旋回軸(279)及び歯車(292)は、シャフト(222)の関節動作ジョイント(211)と回転可能に連結するように構成されている。単なる例示として、歯車(292)及び/又は関節動作ジョイント(211)の他の機構は、その開示が本明細書に参照により組み込まれている、米国出願第号[代理人整理番号END7174USNP.0599176]、及び/又は本件と同日に出願され、その開示が本明細書に参照により組み込まれている、「Surgical Instrument with Articulation Lock Having a Detenting Binary Spring」と題される、米国出願第号[代理人整理番号END7178USNP.0599232]の少なくとも一部の教示に従って構築することができる。
【0041】
図20及び
図21は、弾性部材(280)を更に詳細に示す。弾性部材(280)は、遠位部分(282)及び近位部分(285)を備える。遠位部分(282)は、ブレード組立体(250)の下部延伸部(255)のタブ(256)を受け入れるように構成されている開口部(283)を備える。遠位部分(282)は、近位方向に下方に勾配をなす傾斜部分(284)を介して、近位部分(285)に移行する。傾斜部分(284)は、柔軟であり、遠位部分(282)を下方に弾性的に付勢するように構成されている。壁部(287)は、近位部分(285)の近位端から上方に延在する。壁部(287)は、フレーム部材(270)が弾性部材(280)を軸方向に保持するように構成されるように、フレーム部材(270)の壁部(295)に係合する。
【0042】
A.例示のロックアウトシーケンス
図23A及び
図23Bは、ステープルカートリッジ(237)を適切に搭載することなく、ブレード組立体(250)を発射する試みを示す。例えば、器具(10)は、つかみ具(216、218)が閉鎖された状態で、非関節動作状態で手術部位に挿入され得る。一旦、関節動作ジョイント(211)及びエンドエフェクタ(212)が患者内の所望の部位に挿入されると、アンビル(218)は、開放したエンドエフェクタ(212)へ下部つかみ具(216)から離れるように枢動され、つかみ具(216、218)は、組織に対して位置付けられ得る。関節動作ジョイント(211)は、関節動作制御部(13)によって遠隔に操作され、関節動作することができ、エンドエフェクタ(212)を、所望の角度(α)に偏向することができる。次いで、閉鎖トリガー(26)は、ピストル把持部(24)に向かって作動し、アンビル(218)を下部つかみ具(216)に向かって閉鎖することができる。かかるアンビルの閉鎖は、閉鎖管(32)及び閉鎖用リング(233)を介してもたらされ、その両方とも、ピストル把持部(24)に対する閉鎖トリガー(26)の枢動に応じて、ハンドル部分(20)及び下部つかみ具(216)に対して長手方向に移動する。関節動作ジョイント(211)は、閉鎖管(32)から閉鎖用リング(233)へ長手方向の動作を伝達するように動作可能である。
【0043】
図23Aは、下部つかみ具(216)内にステープルカートリッジ(237)が無い状態で、つかみ具(216、218)が閉鎖した直後の、初期位置におけるエンドエフェクタ(212)を示す。初期位置においては、ブレード組立体(250)の上部延伸部(260)は、フレーム部材(270)の係合機構(272、274)上に位置付けられる。上部延伸部(260)の壁部(261)は、第1の係合機構(272)の壁部(273)上にあり、一方、上部延伸部(260)のタブ(268)は、第2の係合機構(274)の壁部(277)上にある。弾性部材(280)は、下部つかみ具(216)とフレーム部材(270)との間に位置付けられる。弾性部材(280)の壁部(287)は、壁部(295)が弾性部材(280)を軸方向に保持するように構成されるように、フレーム部材(270)の壁部(295)と係合される。弾性部材の開口部(283)は、下部延伸部(255)のタブ(256)が弾性部材(280)の開口部(283)内に位置付けられるように、ブレード組立体(250)の下部延伸部(255)上に位置付けられる。下部延伸部(255)の突起(258)は、下部つかみ具(216)のスロット(214)の近位部分(215)内に位置付けられる。突起(258)は、棚部(253)がスロット(214)上に位置付けられるように、スロット(214)内で垂直方向に整列する。したがって、ブレード組立体(250)は、初期位置から発射される準備が整っている。
【0044】
しかしながら、本発明の例では、ステープルカートリッジ(237)は、エンドエフェクタ(212)に適切に搭載されていない。したがって、遠位先端(254)及び遠位壁部(251)は、スレッド(290)と係合していない。
図23Bに示すように、発射トリガー(28)が、ステープルカートリッジ(237)が適切に搭載されていない状態で、発射ビーム(223)及びブレード組立体(250)を遠位に駆動するように作動した場合、ブレード組立体(250)は、エンドエフェクタ(212)内で下方に収まり、フレーム部材(270)の係合機構(272、274)に係合し、ブレード組立体(250)が下部つかみ具(216)内を更に遠位方向に移動するのを防止する。ステープルカートリッジ(237)を適切に搭載することなくブレード組立体(250)が遠位方向に押される際、ブレード組立体(250)の下部延伸部(255)のタブ(256)は、弾性部材(280)の開口部(283)から遠位方向に移動する。タブ(256)は、次いで、弾性部材(280)の遠位部分(282)に係合する。弾性部材(280)の遠位部分(282)が下方に付勢されるため、弾性部材(280)は、ブレード組立体(250)のタブ(256)を下方に押す。これにより、ブレード組立体(250)の上部延伸部(255)のタブ(268)は、係合機構(272、274)の間に下方に収まることになる。したがって、タブ(268)の壁部(264)は、第1の係合機構(272)の壁部(275)に係合し、ブレード組立体(250)が更に遠位方向に移動するのを防止し、ブレード組立体(250)をエンドエフェクタ(212)内で係止する。前述のロックアウトは、使用済みのステープルカートリッジ(237)がエンドエフェクタ内に搭載されているときに、操作者が発射ビーム(233)を近位位置から遠位位置に前進させようとする場合にも起こり得ることを理解されたい。したがって、ロックアウト機構は、ステープルカートリッジ(237)がエンドエフェクタ(212)内に搭載されていない場合に、かつエンドエフェクタ(212)内にあるカートリッジ(237)が既に発射され、発射ビーム(233)が近位位置に後退済みである場合に、発射ビーム(233)の前進を防止する。
【0045】
ブレード組立体(250)が
図23Bに示される係止位置へと下方に収まる際、ブレード組立体の下部延伸部(255)及び突起(258)は、下部つかみ具(216)のスロット(214)の近位部分(215)内に収まる。したがって、突起(258)のタブ(259)は、スロット(214)の近位部分(215)を通って、かつ、閉鎖用リング(233)の開口部(235)を通って、延在する。これにより、
図24A及び
図24Bに示すように、ブレード組立体(250)がロックアウト位置にあるという視覚的指標が提供される。
図24Aにおいて、ブレード組立体(250)は、初期位置にあり、タブ(259)は、閉鎖用リング(233)の開口部(235)上にあるスロット(214)内に位置付けられている。ブレード組立体(250)が、
図24Bに示すように、ロックアウト位置へと下方に収まる際、タブ(259)は、閉鎖用リング(233)の開口部(235)を通って延在し、ロックアウトの視覚的指標を提供する。閉鎖用リング(233)のスペース内にロックアウト機構及び視覚的指標を提供することにより、関節動作ジョイント(211)の全体的な長さを最小化することができる。
【0046】
ブレード組立体(250)が
図23Bのロックアウト位置にあった後、ブレード組立体(250)は、
図23Aの初期位置に戻ることができる。例えば、モーター(102)は、ビーム(223)及びブレード組立体(250)を近位方向に引っ張り、ブレード組立体(250)を
図23Aの初期位置に戻すように、作動されてもよい。ブレード組立体(250)が近位方向に移動する際、ブレード組立体(250)の上部延伸部(260)の傾斜壁部(262、266)は、係合機構(272、274)の傾斜壁部(271、276)に対して近位方向にスライドする。上部延伸部(260)が係合機構(272、274)に対して近位方向に移動する際、係合機構(272、274)の壁部(271、276)は、カム作用を介して上部延伸部(260)及びブレード組立体(250)を上方に押す。ブレード組立体(250)のタブ(256)もまた、上方に移動し、弾性部材(280)の開口部(283)内に再度位置付けられる。これにより、
図23Aに示すように、ブレード組立体(250)は、初期位置に戻る。
【0047】
B.例示の発射シーケンス
図25A〜
図25Fは、ステープルカートリッジ(237)を適切に搭載して発射されているブレード組立体(250)を示す。例えば、器具(10)は、つかみ具(216、218)が閉鎖された状態で、非関節動作状態で手術部位に挿入されることがある。一旦、関節動作ジョイント(211)及びエンドエフェクタ(212)が患者内の所望の部位に挿入されると、アンビル(218)は、エンドエフェクタ(212)を開放するために下部つかみ具(216)から離れるように枢動し、つかみ具(216、218)は、組織に対して位置付けられ得る。関節動作ジョイント(211)は、関節動作制御部(13)によって遠隔に操作され、関節動作することができ、エンドエフェクタ(212)を、所望の角度(α)に偏向することができる。次いで、閉鎖トリガー(26)は、ピストル把持部(24)に向かって作動し、アンビル(218)を下部つかみ具(216)に向かって閉鎖することができる。かかるアンビルの閉鎖は、閉鎖管(32)及び閉鎖用リング(233)を介してもたらされ、その両方とも、ピストル把持部(24)に対する閉鎖トリガー(26)の枢動に応じて、ハンドル部分(20)及び下部つかみ具(216)に対して長手方向に移動する。関節動作ジョイント(211)は、閉鎖管(32)から閉鎖用リング(233)へ長手方向の動作を伝達するように動作可能である。
【0048】
図25Aは、ステープルカートリッジ(237)を適切に搭載した状態で、つかみ具(216、218)が閉鎖した直後の、初期位置におけるエンドエフェクタ(212)を示す。初期位置においては、ブレード組立体(250)の上部延伸部(260)は、フレーム部材(270)の係合機構(272、274)上に位置付けられる。上部延伸部(260)の壁部(261)は、第1の係合機構(272)の壁部(273)上にあり、一方、上部延伸部(260)のタブ(268)は、第2の係合機構(274)の壁部(277)上にある。弾性部材(280)は、下部つかみ具(216)とフレーム部材(270)との間に位置付けられる。弾性部材(280)の壁部(287)は、壁部(295)が弾性部材(280)を軸方向に保持するように構成されるように、フレーム部材(270)の壁部(295)と係合される。弾性部材の開口部(283)は、下部延伸部(255)のタブ(256)が弾性部材(280)の開口部(283)内に位置付けられるように、ブレード組立体(250)の下部延伸部(255)上に位置付けられる。下部延伸部(255)の突起(258)は、下部つかみ具(216)のスロット(214)の近位部分(215)内に位置付けられる。突起(258)は、棚部(253)がスロット(214)上に位置付けられるように、スロット(214)内で垂直方向に整列する。ブレード組立体(250)の遠位先端(254)は、スレッド(290)上に位置付けられる。したがって、ブレード組立体(250)は、
図25Aに示される初期位置から発射される準備が整っている。
【0049】
発射トリガー(28)は、発射ビーム(223)及びブレード組立体(250)を駆動するように作動することができる。
図25Bに示すように、ブレード組立体(250)が遠位方向に駆動される際、ブレード組立体(250)の遠位先端(254)は、スレッド(290)の上面(292)に係合し、かつブレード組立体(250)の遠位壁部(251)は、スレッド(290)の近位端(294)に係合する。これにより、ブレード組立体が下部つかみ具(216)のスロット(214)の近位部分(215)内に位置付けられる際、ブレード組立体(250)の垂直位置が維持される。ブレード組立体(250)が更に遠位に移動する際、ブレード組立体(250)のタブ(256)は、タブ(256)が弾性部材(280)の遠位部分(282)に係合するように、弾性部材(280)の開口部(283)から遠位方向に移動する。それにより、タブ(256)は、
図25Cに示すように、弾性部材(280)の遠位部分(282)を上方に押す。スレッド(290)がブレード組立体(250)の垂直位置を維持するため、
図25Dに示すように、タブ(268)が係合機構(272、274)の間に収まってブレード組立体(250)の遠位方向への動きを防止することなく、ブレード組立体(250)のタブ(268)は、フレーム部材(270)の係合機構(272、274)の上を遠位方向に移動する。したがって、ブレード組立体(250)は、この段階においてロックアウト位置を乗り越える。弾性部材(280)の遠位部分(282)は、次いで、
図25Eに示すように、タブ(256)が弾性部材(280)から遠位方向に移動する際、ブレード組立体(250)のタブ(256)の近位の、基準位置へと下方に付勢する。ブレード組立体(250)の突起(258)は、次いで、
図25Fに示すように、下部つかみ具(216)のスロット(214)の遠位部分(213)に入る。ブレード組立体(250)の棚部(253)は、次いで、スロット(214)上に位置付けられ、上部延伸部(260)のタブ(268)は、第1の係合機構(272)上になる。ブレード組立体(250)は、次いで、遠位方向に更に移動し、つかみ具(216、218)の間に位置付けられた組織を切断し、ステープル留めする。
【0050】
ブレード組立体(250)が遠位方向に発射された後、ブレード組立体(250)は、下部つかみ具(216)内で近位方向に後退することができる。例えば、発射トリガー(28)の第2の作動、及び/又は別の作動に反応し、発射ストロークの完了を検出した際のモーター(102)の自動反転によって、ビーム(223)がブレード組立体(250)を後退させてもよい。ブレード組立体(250)が後退する際、ブレード組立体(250)は、スレッド(290)から係合解除される。スレッド(250)が無いと、ブレード組立体(250)が発射された後に後退した際、ブレード組立体(250)は、
図23Bのロックアウト位置へと下方に収まり得る。ブレード組立体(250)が
図23Bのロックアウト位置にきた後、ブレード組立体(250)は、
図23Aの初期位置に戻ることができる。ブレード組立体(250)がモーター(102)によって近位方向に駆動される際、ブレード組立体(250)の上部延伸部(260)の傾斜壁部(262、266)は、係合機構(272、274)の傾斜壁部(271、276)に対して近位方向にスライドする。上部延伸部(260)が係合機構(272、274)に対して近位方向に移動する際、係合機構(272、274)の壁部(271、276)は、カム作用を介して上部延伸部(260)及びブレード組立体(250)を上方に押す。ブレード組立体(250)のタブ(256)もまた、上方に移動し、弾性部材(280)の開口部(283)内に再度位置付けられる。これにより、
図23Aに示すように、ブレード組立体(250)は、初期位置に戻る。
【0051】
一旦、つかみ具(216、218)の間に位置付けられた組織が切断されステープル留めされると、エンドエフェクタ(212)は、関節動作制御部(13)によって非関節動作位置へと枢動して戻り、つかみ具(216、218)を閉鎖した状態で、手術部位から取り外されてもよい。あるいは、つかみ具(216、218)は、エンドエフェクタ(212)を枢動する前に開放され、つかみ具(216、218)の間の任意の組織を解放してもよい。つかみ具(216、218)は、次いで、手術部位からエンドエフェクタ(212)を取り外す前に、再度閉鎖されてもよい。エンドエフェクタ(212)は、次いで、開放され、ステープルカートリッジ(237)を新しいステープルカートリッジと交換してもよい。エンドエフェクタ(212)を開放するために、閉鎖トリガー(26)をピストル把持部(24)から離れるように解放してもよい。ステープルカートリッジ(237)は、新しいステープルカートリッジと交換されてもよく、かつエンドエフェクタ(212)は、更なる切断及びステープル留めのために手術部位に再度挿入されてもよい。
【0052】
IV.その他
本明細書で述べる教示、表現、実施形態、実施例などのうちのいずれか1つ又は2つ以上は、本明細書で述べるその他の教示、表現、実施形態、実施例などのうちいずれか1つ又は2つ以上と組み合わせることができることを理解されたい。したがって、上記の教示、表現、実施形態、実施例などは、互いに対して分離して考慮されるべきではない。本明細書の教示を組み合わせることができる種々の好適な方法は、本明細書の教示を考慮することで当業者には明らかであろう。かかる修正及び変形は、特許請求の範囲内に含まれることを意図する。
【0053】
理解されたいこととして、参照により本明細書に組み込まれると述べられた任意の特許、公報、又は他の開示資料は、部分的にあるいは全体的に、その組み込まれた資料が既存の定義、記載内容、又は本開示に示した他の開示資料と矛盾しない範囲で本明細書に組み込まれる。このように及び必要な範囲で、本明細書に明瞭に記載されている開示は、参照により本明細書に援用される任意の矛盾する事物に取って代わるものとする。本明細書に参照により組み込まれるものとされているが、既存の定義、見解、又は本明細書に記載された他の開示内容と矛盾する全ての内容、又はそれらの部分は、組み込まれた内容と既存の開示内容との間にあくまで矛盾が生じない範囲でのみ援用するものとする。
【0054】
上述の装置の変形例は、医療専門家によって行われる従来の治療及び医療処置での用途だけでなく、ロボット支援された治療及び医療処置での用途も有することができる。単なる例示として、本明細書の様々な教示は、ロボットによる外科用システム、例えばIntuitive Surgical,Inc.(Sunnyvale,California)によるDAVINCI(商標)システムに容易に組み込まれ得る。同様に、本明細書の様々な教示は、以下の様々な教示のいずれかと容易に組み合わせることができることが当業者には理解されるであろう。その開示が参照により本明細書に組み込まれている、1998年8月11日発行の「Articulated Surgical Instrument For Performing Minimally Invasive Surgery With Enhanced Dexterity and Sensitivity」と題される米国特許第5,792,135号、その開示が参照により本明細書に組み込まれている、1998年10月6日発行の「Remote Center Positioning Device with Flexible Drive」と題される米国特許第5,817,084号、その開示が参照により本明細書に組み込まれている、1999年3月2日発行の「Automated Endoscope System for Optimal Positioning」と題される米国特許第5,878,193号、その開示が参照により本明細書に組み込まれている、2001年5月15日発行の「Robotic Arm DLUS for Performing Surgical Tasks」と題される米国特許第6,231,565号、その開示が参照により本明細書に組み込まれている、2004年8月31日発行の「Robotic Surgical Tool with Ultrasound Cauterizing and Cutting Instrument」と題される米国特許第6,783,524号、その開示が参照により本明細書に組み込まれている、2002年4月2日発行の「Alignment of Master and Slave in a Minimally Invasive Surgical Apparatus」と題される米国特許第6,364,888号、その開示が参照により本明細書に組み込まれている、2009年4月28日発行の「Mechanical Actuator Interface System for Robotic Surgical Tools」と題される米国特許第7,524,320号、その開示が参照により本明細書に組み込まれている、2010年4月6日発行の「Platform Link Wrist Mechanism」と題される米国特許第7,691,098号、その開示が参照により本明細書に組み込まれている、2010年10月5日発行の「Repositioning and Reorientation of Master/Slave Relationship in Minimally Invasive Telesurgery」と題される米国特許第7,806,891号、その開示が参照により本明細書に組み込まれている、2013年1月10日公開の「Automated End Effector Component Reloading System for Use with a Robotic System」と題される米国特許公開第2013/0012957号、その開示が参照により本明細書に組み込まれている、2012年8月9日公開の「Robotically−Controlled Surgical Instrument with Force−Feedback Capabilities」と題される米国特許公開第2012/0199630号、その開示が参照により本明細書に組み込まれている、2012年5月31日公開の「Shiftable Drive Interface for Robotically−Controlled Surgical Tool」と題される米国特許公開第2012/0132450号、その開示が参照により本明細書に組み込まれている、2012年8月9日公開の「Surgical Stapling Instruments with Cam−Driven Staple Deployment Arrangements」と題される米国特許公開第2012/0199633号、その開示が参照により本明細書に組み込まれている、2012年8月9日公開の「Robotically−Controlled Motorized Surgical End Effector System with Rotary Actuated Closure Systems Having Variable Actuation Speeds」と題される米国特許公開第2012/0199631号、その開示が参照により本明細書に組み込まれている、2012年8月9日公開の「Robotically−Controlled Surgical Instrument with Selectively Articulatable End Effector」と題される米国特許公開第2012/0199632号、その開示が参照により本明細書に組み込まれている、2012年8月9日公開の「Robotically−Controlled Surgical End Effector System」と題される米国特許公開第2012/0203247号、2012年8月23日公開の「Drive Interface for Operably Coupling a Manipulatable Surgical Tool to a Robot」と題される米国特許公開第2012/0211546号、その開示が参照により本明細書に組み込まれている、2012年6月7日公開の「Robotically−Controlled Cable−Based Surgical End Effectors」と題される米国特許公開第2012/0138660号、及び/又はその開示が参照により本明細書に組み込まれている、2012年8月16日公開の「Robotically−Controlled Surgical End Effector System with Rotary Actuated Closure Systems」と題される米国特許公開第2012/0205421号。
【0055】
上述の装置の変形例は、1回の使用後に処分するように設計されることができ、又はそれらは、複数回使用するように設計することができる。諸変形例は、いずれの場合も、少なくとも1回の使用後に再利用のために再調整することができる。再調整されることは、装置を分解する工程、それに続いて特定の部片を洗浄又は交換する工程、並びにその後に再組み立てする工程の任意の組み合わせを含み得る。特に、装置の変形例によっては分解されてもよく、また、装置の任意の数の特定の部片又は部品が、任意の組み合わせで選択的に交換されるか、あるいは取り外されてもよい。特定の部品の洗浄及び/又は交換の際、装置の変形例によっては、再調整用の施設で、又は処置の直前にユーザーによって、その後の使用のために再組み立てされてよい。当業者であれば、装置の再調整において、分解、洗浄/交換、及び再組み立てのための様々な技術を使用できる点は理解されるであろう。かかる技術の使用、及びその結果として得られる再調整された装置は、すべて、本出願の範囲内にある。
【0056】
単なる例示として、本明細書で説明した形態は、処置の前及び/又は後に滅菌してもよい。1つの滅菌技術では、装置は、プラスチック又はTYVEKバッグなど、閉じて密閉された容器に入れられる。次いで、容器及び装置は、γ放射線、X線、又は高エネルギー電子など、容器を貫通することができる放射線場に設置されてよい。放射線は、装置上及び容器内の細菌を死滅させることができる。次に、滅菌された装置は、後の使用のために、滅菌した容器内に保管されてもよい。装置はまた、限定されるものではないが、β若しくはγ放射線、エチレンオキシド、又は蒸気を含む、当該技術分野で既知の他の任意の手法を使用して滅菌されてもよい。
【0057】
本発明の様々な実施形態について図示し説明したが、本明細書で説明した方法及びシステムの更なる改変が、当業者による適切な変更により、本発明の範囲を逸脱することなく達成され得る。そのような考えられる修正のいくつかが述べられており、また、その他の修正が当業者には明らかであろう。例えば、上で議論した例、実施形態、幾何学的形状、材料、寸法、比率、工程などは、例示的なものであり、必須ではない。したがって、本発明の範囲は以下の特許請求の範囲において考慮されるべきものであり、本明細書及び図面において図示及び説明した構造及び動作の細部に限定されないものとして理解されるべきである。
【0058】
〔実施の態様〕
(1) 外科用器具での使用のためのエンドエフェクタであって、該エンドエフェクタは、
(a)第1のつかみ具であって、該第1のつかみ具は、ステープルカートリッジと着脱可能に連結するように構成されている、第1のつかみ具と、
(b)該第1のつかみ具と可動に連結されている第2のつかみ具と、
(c)該第1のつかみ具に対して移動するように構成されているブレード組立体であって、該ブレード組立体は、
(i)切断縁部と、
(ii)遠位方向に提示される壁部を有する第1のタブであって、該遠位方向に提示される壁部は、該切断縁部よりも近位にある、第1のタブと、を備える、ブレード組立体と、
(d)ロックアウト組立体であって、
(i)弾性部材と、
(ii)近位方向に提示される壁部であって、該弾性部材は、該ブレード組立体をロックアウト位置へと付勢するように構成され、近位方向に提示される壁部は、該ロックアウト位置において該第1のタブの該遠位方向に提示される壁部に係合し、該ブレード組立体が該第1のつかみ具に対して遠位方向に移動するのを防止するように構成されている、近位方向に提示される壁部と、を備える、ロックアウト組立体と、を備える、エンドエフェクタ。
(2) 前記ロックアウト組立体は、第1の係合機構と、第2の係合機構と、を備え、該第1の係合機構は、前記近位方向に提示される壁部を含む、実施態様1に記載のエンドエフェクタ。
(3) 前記ブレード組立体の前記第1のタブは、前記第1の係合機構と前記第2の係合機構との間に下方に延在する、実施態様2に記載のエンドエフェクタ。
(4) 前記第1のつかみ具は、スロットを備え、前記ブレード組立体は、前記第1のつかみ具の該スロット内を移動するように構成されている、実施態様1に記載のエンドエフェクタ。
(5) 前記弾性部材は、開口部を備え、前記ブレード組立体は、第2のタブを備え、該第2のタブは、前記ブレード組立体が未発射の状態にある際、前記弾性部材の該開口部内に位置付けられるように構成されている、実施態様1に記載のエンドエフェクタ。
【0059】
(6) 前記弾性部材は、前記ブレード組立体が遠位方向に移動する際、前記ブレード組立体の前記第2のタブに係合するように構成され、前記弾性部材は、前記弾性部材が前記第2のタブに係合する際、横断方向経路に沿って前記ブレード組立体を押すように構成されている、実施態様5に記載のエンドエフェクタ。
(7) 前記ロックアウト組立体は、前記ブレード組立体が横断方向に偏向された位置にある際、前記ブレード組立体の前記第1のタブに係合し、前記ブレード組立体が前記第1のつかみ具内を遠位方向に移動するのを防止するように構成されている、実施態様6に記載のエンドエフェクタ。
(8) 前記ブレード組立体は、前記ブレード組立体から延在する突起を備える、実施態様7に記載のエンドエフェクタ。
(9) 前記第1のつかみ具の前記スロットは、近位部分を備え、該近位部分は、前記ブレード組立体が下方の位置にある際、前記ブレード組立体の前記突起を受け入れるように構成されている、実施態様8に記載のエンドエフェクタ。
(10) 閉鎖用リングを更に備え、該閉鎖用リングは、開口部を備え、前記ブレード組立体の前記突起は、前記ブレード組立体が下方の位置にある際、該閉鎖用リングの該開口部を通って延在する、実施態様9に記載のエンドエフェクタ。
【0060】
(11) 視覚的指示器を更に備え、該視覚的指示器は、前記ブレード組立体がいつ下方の位置に来たのかを指示するように動作可能である、実施態様9に記載のエンドエフェクタ。
(12) 前記ブレード組立体は、遠位先端を備える、実施態様1に記載のエンドエフェクタ。
(13) 移動可能なスレッドを更に備え、前記ブレード組立体の前記遠位先端は、該スレッドに解放可能に係合するように構成されている、実施態様12に記載のエンドエフェクタ。
(14) 前記ブレード組立体は、前記ブレード組立体が遠位方向に移動する際、前記弾性部材を上方に駆動するように構成されている、実施態様13に記載のエンドエフェクタ。
(15) 前記第1のつかみ具は、スロットを備え、前記ブレード組立体は、下部延伸部と、該下部延伸部から下方に延在する突起と、を備え、該突起は、前記第1のつかみ具の該スロット内を移動するように構成されている、実施態様1に記載のエンドエフェクタ。
【0061】
(16) 前記第1のつかみ具の前記スロットは、近位部分と、遠位部分と、を備え、該近位部分は、該遠位部分よりも幅が広い、実施態様15に記載のエンドエフェクタ。
(17) 前記ブレード組立体の前記下部延伸部は、前記突起よりも幅が広く、前記下部延伸部及び前記突起は、棚部を形成する、実施態様16に記載のエンドエフェクタ。
(18) 前記下部延伸部は、前記突起が前記スロットの前記遠位部分内に位置付けられている際、前記第1のつかみ具の前記スロットを越えて延在する、実施態様17に記載のエンドエフェクタ。
(19) 外科用器具での使用のためのエンドエフェクタであって、該エンドエフェクタは、
(a)第1のつかみ具であって、該第1のつかみ具は、ステープルカートリッジと着脱可能に連結するように構成されている、第1のつかみ具と、
(b)該第1のつかみ具と可動に連結されている第2のつかみ具と、
(c)該第1のつかみ具に対して移動するように構成されているブレード組立体であって、該ブレード組立体は、近位位置から遠位位置へと移動するように構成されている、ブレード組立体と、
(d)関節動作区域であって、
(i)第1の部分と、
(ii)第2の部分であって、該第2の部分は、該第1の部分に対して枢動可能であり、該第2の部分は、該第2のつかみ具内に固定されており、該ブレード組立体は、該第2の部分内に形成されているチャネルを通って移動するように構成されている、第2の部分と、を備える、関節動作区域と、
(e)弾性部材と、該関節動作区域の該第2の部分の該チャネル内に形成されている係合機構と、を備える、ロックアウト組立体であって、該弾性部材は、該ブレード組立体が該近位位置から該遠位位置へと移動する際、該ブレード組立体に係合するように構成され、該弾性部材は、該ブレード組立体を付勢し、該係合機構に係合させ、該ブレード組立体が更に遠位方向に移動するのを防止するように構成されている、ロックアウト組立体と、を備える、エンドエフェクタ。
(20) 外科用器具での使用のためのエンドエフェクタであって、該エンドエフェクタは、
(a)第1のつかみ具であって、該第1のつかみ具は、ステープルカートリッジと着脱可能に連結するように構成されている、第1のつかみ具と、
(b)該第1のつかみ具と可動に連結されている第2のつかみ具と、
(c)該第1のつかみ具に対して移動するように構成されているブレード組立体であって、該ブレード組立体は、近位位置から遠位位置へと移動するように構成され、該ブレード組立体は、
(i)切断縁部と、
(ii)該切断縁部より近位に形成されているノッチと、を備える、ブレード組立体と、
(d)ロックアウト組立体であって、該ロックアウト組立体は、該ブレード組立体の該ノッチに嵌合するように構成されている係合機構を備え、該ロックアウト組立体は、該ブレード組立体が該近位位置から該遠位位置へ移動する間、該ブレード組立体を付勢し、該係合機構を該ノッチ内に位置付けるように構成され、それによって、該ブレード組立体の移動を制限する、ロックアウト組立体と、
(e)該第1のつかみ具と該ブレード組立体とに連結するように構成されているステープルカートリッジであって、該ステープルカートリッジは、該ブレード組立体が該近位位置から該遠位位置へ移動する間、該ノッチが該係合機構を受け入れるのを防止するように構成されている、ステープルカートリッジと、を備える、エンドエフェクタ。