(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6411429
(24)【登録日】2018年10月5日
(45)【発行日】2018年10月24日
(54)【発明の名称】人形玩具の肩関節構造及び人形玩具
(51)【国際特許分類】
A63H 3/46 20060101AFI20181015BHJP
A63H 3/36 20060101ALI20181015BHJP
【FI】
A63H3/46 A
A63H3/36 D
A63H3/36 G
【請求項の数】2
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2016-205325(P2016-205325)
(22)【出願日】2016年10月19日
(62)【分割の表示】特願2014-209374(P2014-209374)の分割
【原出願日】2014年10月10日
(65)【公開番号】特開2017-6781(P2017-6781A)
(43)【公開日】2017年1月12日
【審査請求日】2017年10月6日
(73)【特許権者】
【識別番号】000135748
【氏名又は名称】株式会社バンダイ
(72)【発明者】
【氏名】寺野 彰
【審査官】
宇佐田 健二
(56)【参考文献】
【文献】
特開2011−041855(JP,A)
【文献】
特開平06−327841(JP,A)
【文献】
特開2011−024670(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2002/0045401(US,A1)
【文献】
米国特許第06267640(US,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A63H 3/36− 3/52
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
胴部材と、
前記胴部材の肩部に中間パーツを介して取り付けられる腕部材と、
前記胴部材に設けられた軸部材と、
を備え、
前記中間パーツの外形は人体における腕の付け根周りや肩周辺の筋肉の形状とされており、また、前記中間パーツの前面の少なくとも一部は胴部材に設けられた開口から露出しており、
前記軸部材は取付部にて前記胴部材に取り付けられ、かつ、前記取付部から延びる支軸を有しており、
前記胴部材と前記中間パーツとは、前記支軸の先端に設けられるボール、及び前記中間パーツに設けられ、前記ボールを回動可能に収容する収容部を含むボールジョイントによって回動可能に連結されており、
前記ボールジョイントは、前記胴部材の幅方向に延びる中心線より前方の位置に設けられる人形玩具の肩関節構造。
【請求項2】
請求項1記載の肩関節構造を備える人形玩具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、人形玩具の肩関節構造及び人形玩具に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に記載された人形玩具は、腕部材の可動範囲を広げる目的で、胴部材と腕部材とを関節部材を介して連結した肩関節構造を備える。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第3261369号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載された人形玩具では、関節部材が、人形玩具の上下方向に突設された支軸によって胴部材に支持されており、支軸まわりにのみ回転可能であって、上下方向と直交する二軸まわりに回転させることができず、腕部材の回動範囲を広げるうえで改善の余地があった。
【0005】
本発明は、上述した事情に鑑みなされたものであり、腕部材の回動範囲を広げることが可能な人形玩具の肩関節構造及び人形玩具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る人形玩具の肩関節構造は、胴部材と、前記胴部材の肩部に中間パーツを介して取り付けられる腕部材と、を備え、前記胴部材と前記中間パーツとは、前記胴部材及び前記中間パーツのいずれか一方に設けられるボール、及び前記胴部材及び前記中間パーツのいずれか他方に設けられ、前記ボールを回動可能に収容する収容部を含むボールジョイントによって回動可能に連結されており、前記ボールジョイントは、前記胴部材の幅方向に延びる中心線より前方の位置に設けられることを特徴とする。また、本発明にかかる人形玩具の肩関節構造は、胴部材と、前記胴部材の肩部に中間パーツを介して取り付けられる腕部材と、前記胴部材に設けられた軸部材と、を備え、前記軸部材は取付部にて前記胴部材に取り付けられ、かつ、前記取付部から延びる支軸を有しており、前記胴部材と前記中間パーツとは、前記支軸の先端に設けられるボール、及び前記中間パーツに設けられ、前記ボールを回動可能に収容する収容部を含むボールジョイントによって回動可能に連結されており、前記ボールジョイントは、前記胴部材の幅方向に延びる中心線より前方の位置に設けられることを特徴とする。
また、本発明にかかる人形玩具の肩関節構造は、胴部材と、前記胴部材の肩部に中間パーツを介して取り付けられる腕部材と、前記胴部材に設けられた軸部材と、を備え、前記中間パーツの外形は人体における腕の付け根周りや肩周辺の筋肉の形状とされており、また、前記中間パーツの前面の少なくとも一部は胴部材に設けられた開口から露出しており、前記軸部材は取付部にて前記胴部材に取り付けられ、かつ、前記取付部から延びる支軸を有しており、前記胴部材と前記中間パーツとは、前記支軸の先端に設けられるボール、及び前記中間パーツに設けられ、前記ボールを回動可能に収容する収容部を含むボールジョイントによって回動可能に連結されており、前記ボールジョイントは、前記胴部材の幅方向に延びる中心線より前方の位置に設けられることを特徴とする。
【0007】
また、本発明に係る人形玩具の肩関節構造においては、前記中間パーツに前記ボールジョイントの前記収容部が設けられ、前記肩部に前記ボールジョイントの前記ボールが配置されてもよい。
【0008】
また、本発明に係る人形玩具の肩関節構造においては、前記ボールジョイントの前記ボールは、前記胴部材の幅方向に延びる軸部材の先端に設けられていてもよい。
【0009】
また、本発明に係る人形玩具は、上記の肩関節構造を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、腕部材の回動範囲を広げることが可能な人形玩具の肩関節構造及び人形玩具を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本発明の実施形態を説明するための、人形玩具の全体構成を示す斜視図である。
【
図2】
図1の人形玩具の肩関節構造の分解斜視図である。
【
図4】
図2の肩関節構造の組み立て平面断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
[本発明の実施の形態]
本実施の形態では、人形玩具の肩関節構造について説明する。
【0013】
図1は、本発明の実施形態を説明するための、人形玩具の全体構成を示す斜視図である。
【0014】
図1に示す人形玩具1は、頭部材2と、胴部材3と、腰部材4と、上腕部材5と、下腕部材6と、手部材7と、大腿部材8と、脚部材9と、足部材10とを有する。
【0015】
胴部材3と上腕部材5との連結部(肩関節部)には、中間パーツ11が設けられており、この中間パーツ11を介して、上腕部材5は胴部材3の肩部に回動自在に取り付けられている。
【0016】
図2は、
図1の人形玩具1の肩関節構造の分解斜視図である。
【0017】
胴部材3は、二つ割りに形成された前胴部材31及び後胴部材32とから構成される。前胴部材31及び後胴部材32には、それらが接合されることにより1つの開口部が形成される円弧状の凹部31a、32aがそれぞれ形成されている。凹部31a、32aは、前胴部材31及び後胴部材32が一体的に接合されることによって、胴部材3の肩部に略楕円状の開口部を形成する。
【0018】
前胴部材31の内側面には、前後方向に向かって円筒状の取付軸31bが突設形成され、後胴部材32の内側面には、前後方向に向かって取付軸31bを挿通する円筒状の取付孔32bが突設形成されている。
【0019】
中間パーツ11は、凹部31a、32aによって胴部材3の肩部に形成される開口部に配置され、ボールジョイントによって胴部材3に回動可能に連結される。ボールジョイントは、ボール12cと、ボール12cを回動可能に収容する収容部11aを含んで構成され、図示の例では、ボール12cが胴部材3(本実施形態においては胴部材3の肩部に形成される凹部31a、32aの内部)に設けられ、収容部11aが中間パーツ11に設けられている。なお、中間パーツ11の外形を、人体における腕の付け根周りや肩周辺の筋肉の形状とすると、胴体から上腕への筋肉の繋がりを違和感なく表現することが可能となる。
【0020】
また、図示の例では、上腕部材5もまた、ボール5a及び収容部11bを含んで構成されるボールジョイントによって中間パーツ11に回動可能に連結されている。
【0021】
胴部材3には、ボール12cを有する軸部材12が設けられている。軸部材12は、取付軸31b及び取付孔32bに取り付けられる取付部12aと、取付部12aから胴部材3の左右方向に延びる支軸12bとを有し、支軸12bの先端部にボール12cが設けられている。
【0022】
中間パーツ11の一側面には、ボール12cを収容するための収容部11aが形成され、また、他側面にも、ボール5aを収容するための収容部11bが形成されている。
【0023】
図3は、
図2の肩関節構造の組み立て斜視図である。
【0024】
図3に示すように、中間パーツ11及び中間パーツ11に連結された上腕部材5は、ボールジョイントを介した胴部材3と中間パーツ11との連結により、ボール12cを通って胴部材3の上下方向に延びるZ軸に加え、Z軸に直交する二軸(X軸及びY軸)まわりに回転させることができる。それにより、上腕部材5の回動範囲を広げることが可能となる。
【0025】
図4は、
図2の肩関節構造の組み立て平面断面図である。
【0026】
図4に示すように、胴部材3と中間パーツ11とを連結するボールジョイントのボール12cは、胴部材3の前後方向に、頭部材2が接続される頸部3aの中心を通る胴部材3の幅方向の中心線cより前方の位置fに設けられている。
【0027】
胴部材3と中間パーツ11とを連結するボールジョイントのボール12cを胴部材3の前寄りの位置に設けることにより、上腕部材5の回動範囲を前方にシフトさせることができ、それにより、例えば腕組みなどの人の動作を模した動きが可能となる。
【0028】
また、胴部材3と中間パーツ11とを連結するボールジョイントのボール12cが胴部材3に設けられ、ボール12cを収容する収容部11aが中間パーツ11に設けられており、中間パーツ11にボールを設け、ボールを収容する収容部を胴部材3に設ける場合に比べて、中間パーツ11と胴部材3との干渉を回避することができる。それにより、中間パーツ11の回動範囲を広げ、ひいては上腕部材5の回動範囲を広げることが可能となる。特に、本実施形態においては、収容部11a、ボール12cからなるボールジョイントは中間パーツ11の側面に設けられているので、中間パーツ11と胴部材3(具体的には肩部に形成される開口部の周縁)との干渉をより回避し易い構造となっている。また、ボール12cが軸部材12の左右方向に延びる支軸12bの先端に設けられていることでも、干渉をより一層回避することが可能となっている。これらの構造の組み合わせにより、中間パーツ11の外表面と胴部材3の肩部に形成される開口部の周縁との間の隙間を小さくしても、中間パーツ11または上腕部材5と胴部材3(具体的には肩部に形成される開口部の周縁)とが干渉するまでの、中間パーツ11および上腕部材5の胴部材3に対する可動範囲を比較的大きく出来るので、中間パーツ11の外表面と胴部材3の肩部に形成される開口部の周縁との間の隙間が小さくて見栄えが良く、かつ、可動範囲が比較的大きい肩関節構造とすることができる。
【0029】
今回開示された実施形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0030】
1 人形玩具
3 胴部材
5 上腕部材
11 中間パーツ
11a 収容部
12c ボール