特許第6411449号(P6411449)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6411449誘電体共振器を使用するプラズマ発生器、光学分光計、質量分析計、およびプラズマ発生方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6411449
(24)【登録日】2018年10月5日
(45)【発行日】2018年10月24日
(54)【発明の名称】誘電体共振器を使用するプラズマ発生器、光学分光計、質量分析計、およびプラズマ発生方法
(51)【国際特許分類】
   H05H 1/46 20060101AFI20181015BHJP
   H05H 1/54 20060101ALI20181015BHJP
   H05H 1/30 20060101ALI20181015BHJP
   H05H 1/26 20060101ALI20181015BHJP
   H01J 49/26 20060101ALI20181015BHJP
   H01J 49/10 20060101ALI20181015BHJP
   H01L 21/3065 20060101ALI20181015BHJP
   H01L 21/31 20060101ALI20181015BHJP
   C23C 16/507 20060101ALI20181015BHJP
   G01N 21/73 20060101ALI20181015BHJP
   G01N 27/62 20060101ALI20181015BHJP
   G01N 27/68 20060101ALI20181015BHJP
   H01S 3/038 20060101ALI20181015BHJP
   F03H 1/00 20060101ALN20181015BHJP
【FI】
   H05H1/46 L
   H05H1/54
   H05H1/46 C
   H05H1/30
   H05H1/26
   H01J49/26
   H01J49/10
   H01L21/302 101C
   H01L21/302 101D
   H01L21/31 C
   C23C16/507
   G01N21/73
   G01N27/62 G
   G01N27/68 Z
   H01S3/038 B
   !F03H1/00 A
【請求項の数】18
【全頁数】25
(21)【出願番号】特願2016-501492(P2016-501492)
(86)(22)【出願日】2014年3月12日
(65)【公表番号】特表2016-522533(P2016-522533A)
(43)【公表日】2016年7月28日
(86)【国際出願番号】US2014024306
(87)【国際公開番号】WO2014159588
(87)【国際公開日】20141002
【審査請求日】2017年3月8日
(31)【優先権主張番号】61/779,557
(32)【優先日】2013年3月13日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】515252097
【氏名又は名称】ラドム コーポレイション
【氏名又は名称原語表記】RADOM CORPORATION
(74)【代理人】
【識別番号】100107364
【弁理士】
【氏名又は名称】斉藤 達也
(72)【発明者】
【氏名】ジェヴティック,ジョヴァン
(72)【発明者】
【氏名】メノン,アショク
(72)【発明者】
【氏名】ピケルジャ,ヴェリボー
【審査官】 藤本 加代子
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第03/096769(WO,A1)
【文献】 特表2016−520797(JP,A)
【文献】 韓国公開特許第10−2009−0112360(KR,A)
【文献】 特開2006−185923(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05H 1/00−1/54
G01N 27/60−27/70
G01N 27/92
G01N 21/62−21/74
H01J 40/00−49/48
H01L 21/302
H01L 21/3065
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
中心軸を有する誘電体共振器構造と、
前記中心軸の周りの前記誘電体共振器構造の固有共振周波数で交流分極電流の流れを促進し、隣接するガス中にプラズマを発生させるために、前記誘電体共振器構造に電気的に結合された無線周波数電源と
を備えるプラズマ発生器。
【請求項2】
前記誘電体共振器構造が、100より大きい品質係数を有する、請求項1に記載のプラズマ発生器。
【請求項3】
前記誘電体共振器構造が、1×1010Ω・cmより大きい電気抵抗率を有する、請求項1に記載のプラズマ発生器。
【請求項4】
前記誘電体共振器構造が、銅の融点より高い融点を有する、請求項1に記載のプラズマ発生器。
【請求項5】
誘電体共振器構造が、損失正接が0.01未満の誘電率を有する、請求項1に記載のプラズマ発生器。
【請求項6】
前記誘電体共振器構造が、5より大きい誘電率を有する、請求項1に記載のプラズマ発生器。
【請求項7】
前記誘電体共振器構造が、アルミナ(Al)およびチタン酸カルシウム(CaTiO)からなる群から選択される、請求項1に記載のプラズマ発生器。
【請求項8】
前記誘電体共振器構造が、前記中心軸に沿った中央開口部を有するリングである、請求項1に記載のプラズマ発生器。
【請求項9】
前記リングが、直径が少なくとも1ミリメートル、または少なくとも12.7ミリメートルの中央開口部を有する、請求項8に記載のプラズマ発生器。
【請求項10】
前記リングの軸に沿って前記リング内にガスを導入するガスポートさらに含む、請求項8に記載のプラズマ発生器。
【請求項11】
前記無線周波数電源が、前記誘電体共振器構造の前記固有共振周波数で無線周波数電力を出力するために、前記誘電体共振器構造の前記固有共振周波数を自動的に求める、請求項1に記載のプラズマ発生器。
【請求項12】
前記無線周波数電源が、マグネトロンである、請求項1に記載のプラズマ発生器。
【請求項13】
前記無線周波数電源は、20メガヘルツ〜1000メガヘルツの範囲にある電を出力する、請求項1に記載のプラズマ発生器。
【請求項14】
前記無線周波数電源は、13.56MHz、27MHz、40MHz、60MHz、430MHz、915MHz、2450MHzからなる群から選択される少なくとも1つの周波数を含む範囲にある電力を出力する、請求項1に記載のプラズマ発生器。
【請求項15】
光学レーザ、プラズマトーチ、ロケットエンジン、電子サイクロトロンプラズマまたはイオン源、半導体処理用誘導結合プラズマ源、およびイオンサイクロトロンプラズマヒータの構造のうちのいずれかに組み込まれた、請求項1〜14のいずれか一項に記載のプラズマ発生器。
【請求項16】
誘電体共振器構造と、前記誘電体共振器構造の中心軸の周りの前記誘電体共振器構造の固有共振周波数で交流分極電流の流れを促進し、隣接するガス中にプラズマを発生させるために、前記誘電体共振器構造に電気的に結合された無線周波数電源とを含むプラズマ発生器と、
前記プラズマ発生器によって発生したプラズマ中に、ガス、および調べるべき材料を導入するための導入器ノズルと、
前記プラズマによって加熱された時に、前記材料が発した光の周波数を測定するための光センサと
を備える光学分光計。
【請求項17】
誘電体共振器構造と、前記誘電体共振器構造の中心軸の周りの前記誘電体共振器構造の固有共振周波数で交流分極電流の流れを促進し、隣接するガス中にプラズマを発生させるために、前記誘電体共振器構造に電気的に結合された無線周波数電源とを含むプラズマ発生器と、
前記プラズマ発生器によって発生したプラズマ中に、ガス、および調べるべき材料を導入するための導入器ノズルと、
前記プラズマによって加熱された時に、前記材料の生成されたイオンの質量電荷比を測定するためのイオンセンサと
を備える質量分析計。
【請求項18】
誘電体共振器構造と、前記誘電体共振器構造の中心軸の周りの前記誘電体共振器構造の固有共振周波数で交流分極電流の流れを促進し、隣接するガス中にプラズマを発生させるために、前記誘電体共振器構造に電気的に結合された無線周波数電源とを含むプラズマ発生器を使用してプラズマを発生させる方法であって、
(a)前記誘電体共振器構造に隣接する領域内にガスを導入するステップと、
(b)導入した前記ガス中にプラズマを発生させるために、固有共振周波数で前記誘電体共振器構造を励振するステップと、
を含む方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2013年3月13日付けで出願され、かつ本明細書によって援用される米国仮特許出願第61/779,557号明細書の利益を主張する。
【0002】
本発明は、一般に、電気アンテナ、特に、プラズマ発生などのための効率的かつ均一な電磁場を発生させるアンテナに関する。
【背景技術】
【0003】
プラズマ発生用高周波電場では、メガヘルツからギガヘルツの範囲で振動するAC電流によって駆動される導電性コイル(「電場印加装置」)を使用し得る。コイル内のガスは、ガスをプラズマ状態に励起する誘導結合によって、コイルからエネルギーを受け取る。
【0004】
プラズマを発生させるためのそのような誘導結合技術には、数多くの大きな問題がある。第1に、通常、導電性コイルは複数の「巻き」を有していなければならず、各巻きは、プラズマイオンの不均一な速度、軌道および密度として明示され得る場(ひいてはプラズマ)を生じさせるループの隣接する巻きとの相互キャパシタンスを示す。プラズマ中の不均一性は、均一なプラズマが要求される用途(例えば、集積回路産業でのエッチング用)に悪影響を及ぼし得、望ましくないプラズマ工程でエネルギーを浪費し得る。相互キャパシタンスはまた、導電性コイルの巻きの間で誘電破壊せずにコイルに印加され得る電圧を制限する。
【0005】
第2に、導電性コイルに流す必要がある大量の電力ひいては大量の電流は、複雑または嵩高い冷却構造を必要とする著しい抵抗加熱をもたらす。銅などの高導電性材料を使用することで抵抗損失を低減することはできるが、銅および同様の金属を使用することは、そのような高導電性材料がプラズマの過酷な環境で腐食および溶融されやすいことで複雑になる。
【0006】
第3に、導電性ループを効率的に駆動するには、ループが、同調コンデンサをコイル回路内に配置することによって実装される共振構造の一部となる必要がある。本目的に適したコンデンサは高価で嵩高い。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、誘電体アンテナを使用することによってプラズマを発生させるためのアンテナ構造を提供する。本発明者は、そのようなアンテナは、誘電率が高く、誘電損失が低い材料で製造される場合、電力消散が少ない高電場強度を与えるように共振時に操作することができることを明らかにしている。
【0008】
発明者は特定の理論に縛られることを望まないが、本発明によって、従来のコイル中の電子の「伝導」電流が誘電材料中の電子の「分極」電流に取って代わられることを理解する。分極電流は、電場の影響下で誘電材料の分子に束縛された素電荷のわずかな移動に起因する。両方のタイプの電流(伝導電流および分極電流)は、同じ電磁気の法則によって、磁場および誘導電場を生成する。しかしながら、誘電材料は、それ自体のコンデンサであると同時にインダクタでもあるため、誘電体の内部、および誘電体の周りの空間のあらゆるところで電位はちょうど0である。したがって、寄生容量結合は完全に除去され、電場は誘導によってのみ生成される。さらに、分極電流とは異なり、伝導電流の流れをリング構造の最外部に集中させる、誘電材料中の「皮膚」効果がないことで改善された電流分布が得られるとさらに考えられている。
【0009】
次いで具体的には、本発明は、プラズマ発生器であって、中心軸を有する誘電体共振器構造と、軸の周りの誘電体共振器構造の固有共振周波数で交流分極電流の流れを促進し、隣接するガス中にプラズマを発生させるために、誘電体共振器構造に電気的に結合された無線周波数電源とを有するプラズマ発生器を提供する。
【0010】
したがって、プラズマ生成用の強いが均一な電場を発生させるための改善された無線周波数アンテナを提供することは、本発明の少なくとも1つの実施形態の特徴である。
【0011】
誘電体共振器は、100より大きい品質係数、1×1010Ω・cmより大きい電気抵抗率、損失正接が0.01未満の誘電率、および5より大きい誘電率のうちの任意の1つまたは複数の品質を有し得る。
【0012】
したがって、冷却およびエネルギー損失の問題を最小化するために、無線周波数場での極低損失および高電力レベルをもたらす誘電材料を提供することは、本発明の少なくとも1つの実施形態の特徴である。
【0013】
誘電体共振器は、銅の融点より高い融点を有する材料からなってもよい。
【0014】
したがって、プラズマの超高温に対して頑強な材料を提供することは、本発明の少なくとも1つの実施形態の特徴である。
【0015】
誘電材料は、例えば、アルミナ(Al)またはチタン酸カルシウム(CaTiO)であってもよい。
【0016】
したがって、比較的一般的で製造可能な材料から構成され得る装置を提供することは、本発明の少なくとも1つの実施形態の特徴である。
【0017】
誘電体共振器は、軸に沿った中央開口部を有するリングであってもよい。
【0018】
したがって、製造するのが比較的単純な誘電体共振器を提供することは、本発明の少なくとも1つの実施形態の特徴である。
【0019】
リングは、直径が少なくとも1ミリメートル、または少なくとも2分の1インチの中央開口部を有してもよい。
【0020】
したがって、流れるガス中でのプラズマ形成に容易に適用可能な誘電体共振器を提供することは、本発明の少なくとも1つの実施形態の特徴である。
【0021】
この目的のために、プラズマ発生器は、リングの軸に沿ってリング内にガスを導入するガスポートを含んでもよい。
【0022】
したがって、分光用途または他の用途にプラズマトーチの要素を提供することは、本発明の少なくとも1つの実施形態の特徴である。
【0023】
無線周波数電源は、誘電体共振器構造の固有共振周波数で無線周波数電力を出力するために、誘電体共振器構造の固有共振周波数を自動的に求めてもよい。
【0024】
したがって、誘電共振材料またはその環境の変化に自動的に適応し得るプラズマ発生器を提供することは、本発明の少なくとも1つの実施形態の特徴である。
【0025】
無線周波数電源は、マグネトロン、固体発振器または真空管発振器であってもよい。
【0026】
したがって、超高周波プラズマの発生を可能にすることは、本発明の少なくとも1つの実施形態の特徴である。
【0027】
これら特定の目的および利点は、特許請求の範囲内にあるいくつかの実施形態にのみ適用され得るため、本発明の範囲を定義しない。
【図面の簡単な説明】
【0028】
図1】本発明の一実施形態における、リング誘電体共振器を使用するプラズマ発生器の部分切欠斜視図である。
図2】分極電流の流れの向きを示す、図1のリング誘電体共振器の上面図である。
図3図2のリング誘電体共振器内の電場を示すモデルである。
図4】支持構造への熱伝導経路および空気の流れのためのスタンドオフを有するリング誘電体共振器における代替実施形態の斜視図である。
図5】個々のセクタから製造されたリング誘電体共振器の斜視図であり、そのようなセクタを1つ示す。
図6】複数の積層リングから製造された誘電体共振器の斜視図である。
図7】周溝および中心軸方向孔を有するロッドから製造された誘電体共振器の部分切欠斜視図である。
図8】外部プラズマ領域を示す、ディスク誘電体共振器の部分切欠斜視図である。
図9】軸方向円盤状プラズマを生成するために段差面ディスクを提供するディスク誘電体共振器の部分切欠斜視図である。
図10】プラズマ切断および溶接、またはプラズマスラスタで使用するためのノズルの部分切欠斜視図である。
図11】誘電体共振器に電力を誘導結合するための、図1に示すシステムに類似したループ電力結合システムの断片図である。
図12】マイクロ波導波管を使用する結合システムを示す、図11に類似した図である。
図13】同調するために互いに対して移動可能な2つの同一のリング状誘電体共振器の斜視図である。
図14】同調のために、一方の誘電体共振器が他方の誘電体共振器上に嵌合し得る代替同調構造を示す、図13に類似した図である。
図15】誘電体共振器と、誘電体共振器の外表面と直接接触するRFシールドとの部分切欠斜視図である。
図16】2つの同軸セラミックリングの形をした誘電体共振器と、2つのRFシールドとの部分切欠斜視図である。
図17】本発明の誘電体共振器を組み込む分光計の簡略化された断面図である。
図18】本発明の誘電体共振器を組み込む質量分析計の簡略化された概略断面図である。
図19a-b】本発明のプラズマシステムを使用する小型マイクロ波ガス放電レーザの簡略化された断面図である。
図20】本発明による拡散冷却同軸マイクロ波ガス放電レーザの簡略化された断面図である。
図21】本発明による対流冷却同軸マイクロ波ガス放電レーザの簡略化された断面図である。
図22】本発明の教示を使用する電子サイクロトロン共鳴プラズマ源の簡略化された断面図である。
図23】本発明による大面積、高密度、かつ均一なプラズマ源の簡略化された断面図である。
図24】本発明による超大面積、高密度、かつ均一なプラズマ源の簡略化された断面図である。
図25】本発明を使用するマイクロ波プラズマトーチの簡略化された断面図である。
図26】ロケットエンジンの基礎を形成し得るようなマイクロ波プラズマトーチの簡略化された断面図である。
図27a-b】図27aは、イオンサイクロトロン共鳴プラズマ加熱システムの上面断面図であり、図27bは、イオンサイクロトロン共鳴プラズマ加熱システムの側面断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
ここで図1を参照すると、本発明のプラズマ発生器10は、本実施形態では軸14を中心とする円筒環である誘電体共振器12を設け得る。
【0030】
当技術分野で理解されるように、誘電材料は、直流に対して実質的に絶縁体であるが(すなわち、誘電体が電場中に配置された時に、電荷は、導体中で流れるように材料中を自由に流れない)、材料中の束縛電子または束縛イオンの平衡位置がわずかに移動することで生じる分極電流を与えることができる。
【0031】
本実施形態では、誘電体共振器12は、アルミナ(Al)からなってもよく、外径が2インチ、内径が1インチ、軸14に沿った長さが0.75インチで、約2.45ギガヘルツの電気的共振を有する円形環であってもよい。この材料は、品質係数が5000より大きく、比誘電率が9.8であり、摂氏1000度を超える温度でその電気特性および物理的完全性を保持する。
【0032】
誘電体共振器12の代替材料は、外径が3.13インチ、内径が2.34インチ、長さが1.12インチで、約430メガヘルツで共振するチタン酸カルシウム(CaTiO)であってもよい。このリングは、品質係数が5000を超え、比誘電率が200である。
【0033】
多くのタイプの最新技術セラミックはこれらの要件を満たすが、同様の電気特性を有する他の誘電材料が代わりに使用されてもよい。
【0034】
より一般的には、誘電体共振器12の誘電材料は、(a)0.01未満の損失正接、(b)100より大きい品質係数、(c)5より大きい比誘電率の特性を有し得る。あるいは、品質係数は、1000より大きくなるべきである。
【0035】
誘電材料は、1×1010オームセンチメートルより大きく、典型的には1×1014オームセンチメートルより大きい抵抗率を有し得ることが望ましい。誘電材料は、銅または他の同等の導電性金属より高い融点を有し得ることが望ましい。誘電率は、好ましくは5より大きく、より望ましく9より大きい。これらの例は、限定するものではない。
【0036】
リングの3つの寸法がすべて同じ係数によって変更される場合、リングの共振周波数は、比誘電率の平方根にほぼ反比例し、リングの線形寸法にほぼ反比例し、これらの例を他の寸法に容易に修正することができる。
【0037】
誘電体共振器12は、今度は無線周波電源18に取り付けられた結合アンテナ16の近くに位置付けされ、無線周波電源18は、誘電体共振器12の共振周波数で結合アンテナ16を励振する高周波電流を生成してもよい。無線周波数電源18の周波数出力を誘電体共振器12の共振周波数に整合させることは、周波数設定を調整することによって手動で、または例えば、共振に関連するインピーダンスの変化を検出するフィードバックシステムを使用することによって自動的に行われてもよい。自動同調はまた、感知アンテナ19からのフィードバックを使用して「自己共振」によって施されてもよく、感知アンテナ19の出力は、増幅器として働く無線周波数電源18を駆動する。自己共振は、当技術分野で一般に理解されるような必要なループ移相を確実にすることによって施される。無線周波数電源18は、電力21、例えば、従来の電源からの線電流を受け取る。
【0038】
無線周波数電源は、誘電体共振器に電気的に結合され得る。磁場もまた存在するため、無線周波数電源は、誘電体共振器構造に電気的に結合され、かつ磁気結合され得る。したがって、無線周波数電源は、誘電体共振器構造に電磁結合されると言え得る。この結合によって、誘電体共振器構造の固有共振周波数で交流分極電流の流れが促進される。一般に、無線周波数電源は、その固有共振周波数で誘電体共振器構造に少なくともいくらかの電力を結合するのに十分な周波数または周波数範囲(広帯域など)で駆動される。無線周波数電源は、誘電体共振器構造の固有共振周波数に関連する周波数で駆動されることが好ましい。無線周波数電源は、誘電体共振器が負荷される場合、誘電体共振器構造の共振周波数の2つの半値全幅(FWHM)帯域幅内にある周波数で駆動されることがより好ましい。無負荷の誘電体共振器の帯域幅は、非常に狭く、プラズマで負荷された時に100倍広がり得る。
【0039】
ここで図1および図14を参照すると、誘電体共振器12の共振周波数は、誘電体共振器12の寸法を変更することだけではなく、第2の誘電体同調素子44を誘電体共振器12に近接して配置することによっても調整され得る。図14のこの例では、同調素子44は、誘電体共振器12の外径より大きい円筒環であり、軸14と位置合わせされる。同調素子44は、機構46(例えば、ラックピニオン親ねじなど)に取り付けられ、移動方向を表す矢印50で示すように、軸に沿って同調素子44を移動させ、同調素子44と誘電体共振器12との誘導結合を変更し、それによって誘電体共振器12の共振周波数を変更することができる。同調素子44は誘電体共振器12の周りに嵌合し得るため、感度の良い同調を得るために密結合が確立され得る。同調素子44の移動は、フィードバック制御に応じて、例えば上で説明したような感知インピーダンスに応じて、手動または自動であってもよい。
【0040】
ここで図13を参照すると、代替実施形態では、2つの同一の誘電体共振器12aおよび12bが使用され得、誘電体共振器12bは同調素子44として働く。2つの同一構成要素を使用すると、同調範囲が非常に広がり、均一な電場の領域が拡張される。誘電体共振器12aおよび誘電体共振器12bのうちの1つまたは両方は、プラズマを発生させる電場を提供し得る。
【0041】
あるいは、上記例のどちらかでは、同様の同調効果を与えるために、同調素子44は、アルミニウム、銅または銀メッキ銅などの金属であり得る。
【0042】
また図2および図11を参照すると、この例では、結合アンテナ16は、電源18に繋がる同軸ケーブル22で終端し、かつ、軸14に略平行である軸24を有する単一のループ20であり、ループ20と、磁束線26を有する誘電体共振器12との間で電力を誘導結合し得る。単一ループ20は、結合度を制御し、かつ軸14と適切に位置合わせするように、回転方向を表す矢印43で示すように調整されてもよい。結果として、誘電体共振器12の共振周波数で軸14の周りを円周方向に振動する誘電体共振器12内に、分極電流の流れ27(図2に示す)ができる。
【0043】
ここで図3を参照すると、所与の瞬間での誘電体共振器12内の電場28は、寄生容量結合が実質的に除去されている純粋な誘導場を示す誘電体共振器12の内周および外周周辺に実質的に接している。誘電体共振器は、それ自体のコンデンサであると同時にインダクタでもあるために、誘電体共振器12の内部、および誘電体共振器12の周りの空間のあらゆるところで電位はちょうど0であるため、電場28はそのように高品質なものであると考えられている。
【0044】
再び図1を参照すると、ガス源32、例えばアルゴン系プラズマ用アルゴンは、レギュレータ34を通って、誘電体共振器12の中心を通る軸14に沿ってガスを方向付けるガスポート36に供給され得る。誘電体共振器12内では、高電場によりガスが、軸14に沿って流れ得るプラズマ40に変わる。流れる距離は、プラズマ励起の寿命によって決定される。誘電体共振器12は、電磁エネルギーの放射による電力損失を低減し、高強度非電離放射線への人体暴露を最小化し、かつ電磁干渉を制御するために、無線周波数シールド42内に配置されてもよい。シールド42は、同軸ケーブル22の戻りに接続されてもよい。
【0045】
増幅器によって直接駆動される伝導性金属の複数または単一ループコイルの代わりに、誘電体共振器12を使用すると、以下を含む複数の利点がもたらされる。
【0046】
a)誘電体共振器12のエネルギー損失は、従来のコイルの伝導損失より1〜2桁低い。多くの用途では、これによって、流体冷却が完全に不要となり、プラズマ源の寸法、コストおよび複雑さが非常に低減され得る。半導体処理用途では、環境を破壊する誘電冷却流体を不要とすることが可能になり得る。
【0047】
b)電力がプラズマに吸収されない場合、誘電体共振器12のエネルギー損失が極めて低いことは、プラズマ点火段階中の電場強度が非常に大きいこと意味する。これは、プラズマ放電をより容易、かつより確実に点火するのに役立つ。
【0048】
c)誘電体共振器12の自己共振の性質によって、誘電体共振器12と電源18との間の外部インピーダンス整合ネットワークが非常に単純化され、または不要となるため、プラズマ源の寸法、コストおよび複雑さが低減される。
【0049】
d)プラズマへの結合を改善し、またはプラズマ源に利用可能な限られた空間を収容するために、誘電体共振器12内にアルミナなどのセラミック材料を使用することによって、真空チャンバ内部に直接配置することができる超高真空工程に適合するプラズマ発生器が提供される。
【0050】
e)高い熱伝導率を有するアルミナなどのセラミック材料から誘電体共振器12を作ると、伝導による迅速な熱除去が可能となる。誘電体共振器12がプラズマと直接接触する場合、ガス放電レーザ用途において特に重要な特徴である、プラズマガスの効率的な冷却を可能にすることができる。
【0051】
f)誘電体共振器用アルミナなどのセラミック材料を使用すると、摂氏1,000度を超える超高温で、良好な機械的および電気的特性が維持され、これにより、誘電体共振器12は、高温大気プラズマに関する用途によく適するようになる。
【0052】
g)本設計で可能な純粋な誘導場、極低損失、高温動作、および高い熱伝導率のすべてによって、従来の誘導結合プラズマ技術で今日可能なことを大幅に上回る電力レベルでの動作が可能となる。
【0053】
ここで図4を参照すると、代替構成では、誘電体共振器12は、例えば、図1に示した管状シールド42などの支持構造に対して誘電体共振器12を支持し得る放射状に延在するスタンドオフ52を設け得る。スタンドオフ54の端部は、金属筐体への熱抵抗を低減し、誘電体共振器12の冷却を助けるために金属でメッキされてもよく、誘電体共振器12は、スタンドオフ52の周りの空気の自然対流または強制流動によって冷却もされ得る。
【0054】
ここで図5を参照すると、特に、より大きい誘電体共振器12の場合、誘電体共振器12は、金属メッキ端部表面62の当接部である継目60に共に配置された複数の環状セクタ58から組み立てられ得る。少量の非誘電材料は、誘電体の利点に著しくは影響を及ぼさない。
【0055】
ここで図6を参照すると、誘電体共振器12は、薄い絶縁スペーサ66によって離して保持され、かつ共通軸14に沿って位置合わせされた複数の薄いリング64から構成され得る。より小さいリングは、より製造および輸送しやすくなり得、端部表面62同士の間隔によって、軸方向における誘電分極電流の望ましくない流れを防ぎながら、冷却を改善し得る。
【0056】
ここで図7を参照すると、中心軸方向孔70と、軸方向の分極電流を防ぐ役目をする外周切欠部72とを有する細長いチューブ68の形をした誘電体共振器12を製造することによって、同様の結果が達成され得る。
【0057】
ここで図8を参照すると、誘電体共振器12はリングである必要はなく、トロイダルプラズマ40が、ディスク74の形をした誘電体共振器12の外周の周りに発生し得ることが理解される。プラズマ40の環状体は、ディスク74の対称軸である軸14を中心とし得る。共振モードを適切に選択することによって、ディスク74の共振時における主要な円周方向の電流成分27が確実となる。
【0058】
ここで図9を参照すると、ディスク74の中心に向かって移動するにつれ、高さが増す一連の円形段差76を確立することによって、プラズマ40は、誘電体共振器12のディスク74の対向面に移動し得る。段差76の背後にある考えは、単純なリングまたはディスク中で、電場が軸上では0であり、外半径に向かってほぼ直線的に増加することに対応することである。電場およびプラズマは、リングの近くで最も強い。軸と外半径との間で誘導電場がより均一になるように、段差は、より小さい半径での分極電流を増加させる役目をする(厚みを増加させることによって)。これにより、半径方向のプラズマの均一性が改善され得ると考えられる。プラズマの移動に関する限り、ディスクの反対側のプラズマは、例えば、高真空またはより高いガス圧力によって抑えられなければならないであろう。
【0059】
ここで図10を参照すると、一実施形態では、誘電体共振器12は、プラズマ切断および溶接、またはロケットエンジンなどの用途で、高温亜音速プラズマ流80を超音波プラズマ流82に加速するために、中細ノズルを設け得る。この場合、誘電体共振器12は、例えば、プラズマ発生位置にラバールノズルを生成するために、より小さい直径84に向かって内側にくびれる中央孔70を含む。
【0060】
上記の図に示すその多くの変形例が様々な方法で組み合わされてもよいことが理解される。例えば、熱除去を容易にするために図4のスタンドオフ52は、図10のロケットノズルと組み合わせることができ、または、所望の電流の流れパターンを促進するために、図7に示す切欠部72を、図8および図9のディスク内に、ディスク74の表面のうちの1つへ下方に切り取られた周溝の形で実装することができる。
【0061】
ここで図12を参照すると、例えば、マイクロ波源によって駆動され、軸14に略垂直に方向付けられた導波管89の端部に誘電体共振器12を配置して、誘電体共振器12を励振して共振させる他の方法が用いられ得る。導波管89の開口部90は、マイクロ波源と誘電体共振器12との結合度を制御するために、矢印92で示す絞り94を開閉し得る絞り機構によって制御されてもよい。
【0062】
ここで図15を参照すると、RFシールド42は、誘電体共振器12の外表面と直接接触し得る。この構成では、寸法が小さくなり、RFシールド42に熱がより良好に伝達されるという利点がある。RFシールド42と接触しているセラミックリング12の表面は、金属でメッキされてもよい。
【0063】
ここで図16を参照すると、プラズマ40は、2つの同心セラミックリング12cと12dとの環状隙間内に形成され得る。大きい方のリング12cの外表面は、外側RFシールド42aと直接接触している。小さい方のリング12dの内表面は、内側RFシールド42bと直接接触している。同心リング12cと12dとの環状隙間は、電場強度が最大である半径に、またはその半径の近くに位置付けられることが好ましい。
【実施例】
【0064】
実施例1 発光分光法
本発明は、目的が、未知の化学試料中の原子種および分子種を励起し、光を生成することである、発光分光計(OES)で使用されてもよい。プラズマが発した光の分光分析は、試料中に存在する化学物質のタイプおよび量を決定するために使用される。プラズマ特性は、プラズマを消滅させることなく水性溶媒または有機溶媒中の試料を処理する能力、安全性および経済性を改善するために様々なプラズマガスで動作する能力、様々な種類の化学物質を検出する能力、非常に広範囲の被分析物濃度を正確に測定する能力、極めて低い濃度の被分析物を検出する能力、多くの試料を短時間で処理する能力、長時間にわたって測定が繰り返される場合に、安定した結果を生む能力などの点において、OESの分析性能に大いに影響を及ぼす。
【0065】
本出願の典型的なプラズマ源は、本設計によって実施されるはるかに高い周波数を有する40MHzより高い無線周波数で動作してもよい。あるいは、本設計は、大量のマイクロ波電力源としてマグネトロン装置を使用して、915MHzまたは2,450MHzなどのマイクロ波周波数でプラズマを提供してもよい。プラズマ発生器の既存の設計は、容量結合が支配的であり、または、プラズマ源に深刻な悪影響を及ぼすかなりの量の寄生容量結合を保持し、または、分光計の残りの部分への従来の機械的、光学的、化学的インタフェースを著しく修正する必要があるであろう形状因子を有する。インタフェースは、当分野において長年にわたる無線周波数OESの動作でその能力を証明している。
【0066】
対照的に、本設計のプラズマ源は、従来の無線周波数誘導結合プラズマ源の動作をマイクロ波周波数まで広げ、分光計の残りの部分との確立された機械的、光学的、化学的インタフェースを最小限修正する必要があるが、従来の設計を制限している寄生容量結合を実際に排除し得る。さらに、新規な電場印加装置の損失が極めて低いために、流体冷却システムを完全になくすことができるため、分光計の寸法、コストおよび複雑さを低減させることができる。
【0067】
ここで図17を参照すると、円形環の形をした高密度アルミナ(Al203)セラミックで作られた本発明の誘電体共振器12を使用する発光分光法102用マイクロ波誘導結合プラズマ源。誘電体共振器12は、アルミニウムなどの金属からなる円筒状無線周波数シールド42内に支持されてもよく、それぞれが、アルミニウム管状延長部110、112および114それぞれで囲まれた複数の円形開口部104、106および108を有する。管状延長部110〜114は、シールド42外部のマイクロ波エネルギーの漏れを最小化するため、マイクロ波技術でよく理解されるように、切断部の下方に円筒導波管を形成するのに十分小さい直径、および十分長い長さを有し、延長チューブを通してマイクロ波の伝播を大きく減衰させるように設計される。
【0068】
マグネトロン120と連通している導波管89からのマイクロ波電力118は、2,450MHzの周波数で供給され、カプラ124によってシールド42の矩形開口部90を通して、誘電体共振器12に印加される。誘電体共振器12の共振周波数は、アルミニウムリングの形に作られ、かつ、誘電体共振器12のリングと同軸上に位置付けされた同調素子44の軸方向の場所を変えることによって、微調整することができる。
【0069】
3軸マニホールド125は、開口部104内の中心にあり、かつ誘電体共振器12の内径と位置合わせされた軸14に沿って方向付けられ、石英またはアルミナ管状材料で作られる。プラズマ冷却ガス126は3軸マニホールド125の外リングに適用され、一方、プラズマ補助ガス128は次の内リングに適用され、中心孔は、分析すべき試料源132から、溶解された分析試料130を受け取る。試料130は、プラズマ40中に直接導入され得る、エアロゾルの形をしている。
【0070】
当技術分野において既知の方法による光134の周波数成分を決定し得る分析コンピュータ138に結合された光センサ136によって分析するために、軸14に対して半径方向のプラズマ40から発した光134が、管状延長部112内を通過する。あるいはまたは同時に、いわゆる軸方向OESの目的のために、軸14の軸方向におけるプラズマ40が発した光140は、同様の光センサ136(明瞭には図示せず)によってさらに分光分析を行うために、管状延長部110を通して移送される。管状延長部110はまた、高温プラズマガスおよび化学製品142を排気換気システム(図示せず)に方向付ける。開口部108および管状延長部114は、空気の自然対流または強制流動によってプラズマ発生器12の空気冷却を可能にする。
【0071】
実施例2 質量分析
本発明は、発光分光法および質量分析(MS)の両方において同様の利点があり、質量分析用途のさらなる利点は、イオン速度の制御が改善され、イオン収集効率が高まり、サンプルコーンのスパッタリングが低減されることである。
【0072】
図18によると、質量分析200用マイクロ波誘導結合プラズマ源は、リングの形をした高密度アルミナ(Al203)セラミックで作られた、本発明の電場印加装置12を使用する。MS200用マイクロ波誘導結合プラズマ源は、図17に示すOES102用マイクロ波誘導結合プラズマ源と共通した多くの構成要素を有し、同様の構成要素は、同じ参照符号を有する。図18に示した追加の構成要素について、ここで説明する。サンプルコーン201は小オリフィス202を有し、スキマコーン203は小オリフィス204を有する。サンプルコーン201とスキマコーン203との間の領域は、真空ポンプ(図示せず)でガス205を排気することによって、低圧で維持される。イオン化された試料206は、オリフィス202を通って、サンプルコーンとスキマコーンとの間の低圧領域に入る。イオン207は、オリフィス204を通って、質量分析計の高真空領域内にさらに移送される。質量分析計は、少なくとも1つのイオン集束素子を備えるイオン集束構成要素209と、質量分析器210と、イオン検出器211とを備える。質量分析計内に配置された2段以上のポンピング(図示せず)があってもよい。質量分析計は、好ましくはコンピュータである制御部(図示せず)によって制御される。イオン検出器211からの検出された信号は、好ましくはまたコンピュータを使用して記録され、このコンピュータは、制御部として使用されるのと同じコンピュータであってもよい。オリフィス202に浸透していない加熱されたプラズマガス208は、RFシールド42とサンプルコーン201との間の環状領域から排気される。
【0073】
実施例3 対流冷却マイクロ波ガス放電レーザ
本発明のプラズマ発生器は、数百ワットの光パワーの高品質ビームを生成する小型中電力ガス放電レーザを構成するために使用されてもよい。本設計は、対流冷却、およびマイクロ波振動数での純粋な誘導結合の気体放電に基づく。
【0074】
図19aおよび図19bはそれぞれ、本発明の誘電体共振器12に基づく中電力小型ガス放電レーザ300の断面図および上面図を示す。誘電体共振器12は、中心軸方向孔70および外周切欠部72(図7参照)を有する、軸14を備えた細長い管68の形をしている。誘電体共振器12は、高密度アルミナ(Al2O3)から作られてもよい。円筒状RFシールド42は、プラズマガス入口302およびプラズマガス出口304を含む。低温ガス306は、ガス入口302を通って入り、中心軸方向孔70を通って流れて、加熱されたガス308としてガス出口304を通って出る。当技術分野においてよく知られているように、入口302および出口304は、送風機と、ガスを冷却するための熱交換器とを含むガス循環システム(図示せず)に接続される。2,450MHzのマグネトロン(図示せず)によって提供されたようなマイクロ波電力118は、1対の絞り94によって画定された開口部90を有するRFシールド42内の導波管ポート124によってレーザ300に結合される。誘導結合プラズマ40は、誘電体共振器12の内部孔70内に形成される。円筒状シールド42の平坦端部は、光キャビティを形成する反射球面ミラー310および半透過球面ミラー312を支持する。プラズマ40は、ミラー310および312によって形成された光キャビティ内部の光利得媒体であり、適した外部光学部品(図示せず)によって非常に小さい寸法の点に集束させることができる数百ワットの高品質の軸対称光ビーム314を放射する。金属シールド42と接触している誘電体共振器12の表面は、金属メッキされることが好ましい。
【0075】
実施例4 拡散冷却同軸マイクロ波ガス放電レーザ
本発明のプラズマ発生器は、数キロワットの光パワーを有する高品質光ビームを生成することができる、スケーラブル設計の大電力ガス放電レーザを構成するために使用されてもよい。光学設計では、当技術分野においてよく知られている同軸拡散冷却構成が採用される。拡散レーザは、送風機を必要とせず、最少量のガスを消費する。しかしながら、従来の同軸レーザ中のプラズマは、内側同軸電極と外側同軸電極との間の純粋な容量性RF放電によって維持され、これにより容量結合プラズマに固有の放電不安定性に起因して極限電力が設定される。一方、本発明では、より簡便で小型かつ効率的な電源として大電力マグネトロンを使用することができるマイクロ波振動数で同時に操作しながら、誘導結合プラズマを使用して、より高い電力レベルで安定した放電を得る。さらに、レーザ気体と直接接触しているセラミック電場印加装置の熱伝導率が高いために、拡散冷却の効率は保たれる。
【0076】
図20は、セラミックリング12cおよび12dの形をした本発明の誘電体共振器を使用する大電力拡散冷却同軸レーザ400の断面を示す。円筒状RFシールドは、共通軸14を備えた、より大きい直径の金属管42aおよびより小さい直径の金属管42bからなる。管42aと42bとの間の空間は、平坦端部板42cおよび42dで気密密閉され、二酸化炭素(CO2)、窒素(N2)およびヘリウム(He)の混合物などのレイジングガスで充填される。反射トーリックミラー402および半透過トーリックミラー404はそれぞれ、板42dおよび42cの上に取り付けられ、同軸光キャビティを形成する。内側RFシールド42bは、水入口408および水出口410を含む水ジャケット406に囲まれる。冷水412が入口408に入り、加熱された水414が水出口410を通じて除去される。外側RFシールド42aは、水入口418および水出口420を含む水ジャケット416に囲まれる。冷水422が入口418に入り、加熱された水424が出口420を通じて除去される。断面AA’と断面BB’との間に示された部分は、レーザの出力ビームパワーを高めるために、軸方向14に1回または複数回繰り返すことができるモジュール組立体を形成する。図18に示すそのような3つの同一モジュールのうちの1つについて、ここで説明する。外側RFシールド42aはまた、対の絞り94によって画定された開口部90を備えた導波管ポート124を含む。マイクロ波電力118は、工業加熱用途に通常使用される大電力915MHzまたは2,450MHzマグネトロンからなどの別個のマイクロ波源(図示せず)によって、導波管ポート124のそれぞれに供給することができる。誘電体共振器は、高密度アルミナ(Al2O3)などのセラミック材料から作られた、外リング12cおよび内リング12dの2つのリングからなる。ガスからセラミックリング12cおよび12dまで熱拡散によって熱を効率的に伝達することができるように、内リング12dの外表面と外リング12cの内表面との間隙は、たった数ミリメートルの幅である。セラミックリングの高熱伝導率により、プラズマガスから、冷却ジャケット406および416内部を流れる水に熱が迅速に伝達される。純粋な誘導結合によって維持されたプラズマ40は、トーリックミラー402および404によって形成された光キャビティ内部の光利得媒体を形成する。これにより、当技術分野においてよく知られているように、外部光学部品(図示せず)によって小さい寸法の点に集束させることができる、大電力で、円筒対称の高品質同軸光ビーム426が放射される。金属リング428および430は、モジュール間の誘導結合を最小化し、かつガスから冷却ジャケット406および416内部を流れる水への熱の拡散伝達を容易にする役目をする。リングの厚さが、リングの外径と内径との差として画定される場合には、図20は、ほぼ同一の厚さを有するようなリング12cおよび12dの両方を示す。しかしながら本発明は、等しい厚さのリングに限定されない。
【0077】
実施例5 対流冷却同軸マイクロ波ガス放電レーザ
本発明のプラズマ発生器は、数十キロワットの電力を有する高品質光ビームを生成することができる、スケーラブル設計の超大電力ガス放電レーザを構成するために使用されてもよい。本設計では、当技術分野においてよく知られている同軸対流冷却構成が採用される。しかしながら、従来の同軸レーザ中のプラズマは、内側同軸電極と外側同軸電極との間の純粋な容量性RF放電によって維持され、これにより、容量結合プラズマに固有の放電不安定性に起因して極限電力が設定される。一方、本発明では、より簡便で小型かつ効率的な電源として大電力マグネトロンを使用することができるマイクロ波振動数で同時に操作しながら、誘導結合プラズマを使用して、より高い電力レベルで安定した放電を得る。
【0078】
図21は、セラミックリング12cおよび12dの形をした本発明の誘電体共振器を使用する対流冷却誘導結合同軸ガス放電レーザ500の断面を示す。RFシールドは、共通軸14を備えた外側金属管42aおよび内側金属管42bによって形成される。管42aと42bとの間の空間は、平坦板42cおよび42dで気密密閉され、平坦板42cおよび42dは、反射トーリックミラー402および半透過トーリックミラー404を支持する。高電力ガス放電レーザの技術分野においてよく知られているように、ミラー402および404は、同軸光キャビティを形成する。断面AA’と断面BB’との間に示された部分は、レーザの出力ビームパワーを高めるために、軸方向14に1回または複数回繰り返すことができるモジュール組立体を形成する。図19に示すそのような3つの同一モジュールのうちの1つについて、ここで説明する。外側RFシールド42aには、ガス入口302およびガス出口304が設けられる。低温プラズマガス306は入口302を通ってレーザ500に入り、加熱されたプラズマガス308は、出口304を通って出る。当技術分野においてよく知られているように、入口302および出口304は、超高流量送風機と、ガスを冷却するための熱交換器とを含むガス循環システム(図示せず)に接続される。ガス流の方向は、矢印502によって示される。外側RFシールド42aはまた、対の絞り94によって画定された開口部90を備えた導波管ポート124を含む。マイクロ波電力118は、工業マイクロ波加熱用途に通常使用される大電力915MHzマグネトロンからなどの別個のマイクロ波源(図示せず)によって、ポート124のそれぞれに供給することができる。誘電体共振器は、高密度アルミナ(Al2O3)などのセラミック材料から作られた、外リング12cおよび内リング12dの2つのリングからなる。熱除去の目的でプラズマガスの高流速に対して十分な断面積を与えるように、内リング12dの外表面と外リング12cの内表面との間隙は、約1cm〜2cmの幅である。純粋な誘導結合によって維持されたプラズマ40は、トーリックミラー402および404によって形成された光キャビティ内部に光利得媒体を形成する。これにより、当技術分野においてよく知られているように、外部光学部品(図示せず)によって小さい寸法の点に集束させることができる、大電力で、円筒対称の高品質同軸光ビーム426が放射される。丸みを帯びた縁部を備えた金属リング504および506は、リング12cおよび12dによって占有された領域に電場を拘束すること、隣接するモジュール間の誘導結合を最小化すること、ならびに、プラズマガス306および308の高速流を案内するのを支援することの3つの目的を有する。金属シールド42aおよび42bと接触しているセラミックリング12cおよび12dの表面は、金属メッキされることが好ましい。リングの厚さが、リングの外径と内径との差として画定される場合には、図21は、ほぼ同一の厚さを有するようなリング12cおよび12dの両方を示す。しかしながら本発明は、等しい厚さのリングに限定されない。
【0079】
実施例6 電子サイクロトロン共鳴プラズマ源
本発明のプラズマ発生器は、電子サイクロトロン共鳴プラズマ源を構成するために使用されてもよい。この電子サイクロトロン共鳴プラズマ源は、イオン源、または宇宙推進用のイオンスラスタとして半導体ウェハのプラズマ処理に使用されてもよい。
【0080】
図22は、リングの形をした本発明の誘電体共振器12を使用する電子サイクロトロン共鳴プラズマ源600を示す。誘電体共振器12は、比誘電率が大きく、誘電損失が非常に少ない、チタン酸カルシウム(CaTiO3)セラミックなどの最新技術セラミックス材料から作られる。ECRプラズマ源の技術分野においてよく知られているように、電子サイクロトロン共鳴(ECR)プラズマを生成するのに適した静磁場を作るために、ステンレス鋼などの非磁性材料から作られた円筒状RFシールド42が、1組の電磁石または永久磁石602に囲まれる。無線周波数電力150は、結合ループ20で終端する同軸伝送線路22を介して供給される。結合ループ20の一端部は同軸ケーブル22の中央導体に接続され、ループの他端部はRFシールド42に接続される。残りのプラズマ源が大気圧でありながら、石英管604内部の空間を低圧で維持することができるように、石英管604およびRFシールド42は気密筐体を形成する。冷気または冷却流体606は、電場印加装置12、石英管604およびRFシールド42から熱を除去し、加熱された空気または流体608として排気される。低圧プラズマガス610は石英管604に入り、そこでプラズマ40に変換される。プラズマは、電場印加装置12の純粋な誘導RF場と、電磁石または永久磁石602の静磁場との複合作用によって維持される。使用済ガス612は、真空容器614に接続された真空ポンプ(図示せず)の作用によって除去される。宇宙推進用イオンスラスタでは、容器614は惑星間空間の真空に置き換えられるであろう。イオン源の技術分野においてよく知られているように、イオン616は、外部DC電源(図示せず)によって様々な静電位で保持されたグリッド電極618のシステムによってプラズマ40から抽出される。
【0081】
図22に示すECRプラズマ源600の前述の説明では、RFエネルギーの形態の励起150を仮定する。しかしながら、本発明の誘電体共振器12は、広範囲の周波数にわたる動作に採用されてもよい。例えば、電場印加装置12の材料を高密度アルミナ(Al2O3)に変更することによって、電磁石602の静磁場が周波数に比例して増加すると、図22のECRプラズマ源は、マイクロ波振動数で動作するように作ることができるであろう。マイクロ波振動数での動作では、同軸ケーブル22およびループカプラ20はそれぞれ、導波管および絞りカプラに置き換えられていてもよい。
【0082】
イオン616の源として図22に示すECRプラズマ源600の主要機能は、単に例示目的のためだけに選択されている。グリッド電極618を除去し、プラズマ40を真空容器614内に直接浸透させることによって、化学蒸着、プラズマエッチング、プラズマアッシング、真空イオンポンプなどの多くの他の用途にECRプラズマ源600を使用することが可能になる。
【0083】
用途によっては、電磁石602を用いずに、図22に示すプラズマ源600を操作することが有利になり得る。そのような場合には、ECR効果によるプラズマ密度の増大はないが、本発明の電場印加装置12の高効率で純粋な誘導結合によって、従来のRF誘導結合源より優れた高密度で均一なプラズマ40をさらに生成することができるであろう。
【0084】
実施例7 大面積、高密度かつ均一なプラズマ源
本発明のプラズマ発生器は、半導体ウェハの処理に適した高密度、かつ均一なプラズマ源を構成するために使用されてもよい。
【0085】
図23は、スペーサ66によって離して保持され、積み上げられた1つまたは複数のセラミックリング64の形に作られた本発明の誘電体共振器を使用するプラズマ源700を示す。円筒状RFシールド42は、冷却水ジャケット416を有する。冷水422はRFシールド42から熱を除去し、加熱された水424は、閉じた冷却システムの一部である冷却装置(図示せず)に熱を伝達する。冷却水はアースされたRFシールド42とのみ接触するため、従来の誘導結合プラズマ源のコイルを冷却する時に必要とされるであろう環境を破壊する誘電冷却流体を使用する必要はない。RFシールド42の内部に発生した熱は、外側円筒面がRFシールド42と直接接触している誘電体共振器リング64の高熱伝導性セラミック材料によって、RFシールドの壁に伝導される。RF電力150は、ループカプラ20で終端する同軸伝送線路22を介して印加され、ループカプラ20は、RFシールド42と気密嵌合を形成する石英またはセラミックキャップ704によって過酷なプラズマ環境から保護される。低圧プラズマガス610は、積み上げられた誘電体共振器64の作用によってプラズマ40に励起され、使用済ガス612は、ターボ分子真空ポンプ(図示せず)によって除去される。プラズマ40は、チャック708上に保持された半導体ウェハ706のプラズマ処理を容易にする。チャック708は、一般に異なる周波数形式においてプラズマを維持するために使用されるRF電力150であるRF電力714が、同軸伝送線路712によって供給されるRFバイアス電極710を含んでもよい。
【0086】
実施例8 超大面積、高密度、かつ均一なプラズマ源
本発明のプラズマ発生器は、大型半導体ウェハおよび太陽電池パネルの処理に適した超大面積にわたる均一なプラズマを生成する高密度プラズマ源を構成するために使用されてもよい。
【0087】
図24は、可変厚さの段差76を備えたセラミックディスク74の形をした本発明の誘電体共振器を使用するプラズマ源800を示す。段差76の厚さは、最も均一なプラズマ40を生じる誘電体の内部に誘電分極電流を半径方向に分布させるように最適化されてもよい。円筒状RFシールド42は、冷却水ジャケット416を有する。冷水422はRFシールド42から熱を除去し、加熱された水424は、閉じた冷却システムの一部である冷却装置(図示せず)に熱を伝達する。RFシールド42の内部に発生した熱は、外側円筒面がRFシールド42と直接接触している誘電体共振器74の高熱伝導性セラミック材料によって、RFシールドの壁に伝導される。RF電力150は、ループカプラ20で終端する同軸伝送線路22を介して印加される。プラズマガス610は、ディスク74上方の空間に進入し、ディスク74の表面にわたって均一に分布した狭いキャピラリ穴802を通って流れ、シャワヘッド効果を生む。狭い穴にわたる圧力降下により、ディスク74上方の圧力は、プラズマ源800のこの部分にプラズマが生じないくらい十分高い。ディスク74の底部から外に流れるプラズマガス610は、大面積、高密度、かつ均一なプラズマ40に励起され、使用済ガス612はターボ分子真空ポンプ(図示せず)によって除去される。プラズマ40は、チャック708上に保持された、直径が大きい半導体ウェハまたは太陽電池パネル706のプラズマ処理を容易にする。チャック708は、一般に異なる周波数形式においてプラズマを維持するために使用されるRF電力150であるRF電力714が、同軸伝送線路712によって供給されるRFバイアス電極710を含んでもよい。
【0088】
実施例9 マイクロ波プラズマトーチ
本発明のプラズマ発生器は、誘導結合マイクロ波エネルギーで駆動する、電極のない大気プラズマトーチを構成するために使用されてもよい。そのようなトーチは、高度な製造、環境、化学合成、宇宙および科学の用途で使用されてもよい。
【0089】
図25は、本発明の誘電体共振器12を使用するプラズマ源に基づく大気マイクロ波プラズマトーチ850を示す。円筒状RFシールド42は、冷水422の入口および加熱された水424の出口を備えた水冷ジャケット416に囲まれる。誘電体共振器12は、熱を効率的に除去するために、外側円筒面がRFシールド42と直接接触しているセラミックリングの形で作られる。RFシールド42はまた、1対の絞り94によって画定された開口部90を備えた導波管ポート124を含む。マイクロ波電力118は、マグネトロン(図示せず)から導波管ポート124に供給することができる。アルミナセラミックまたは石英からなる3軸マニホールド852は、冷却ガス854、補助ガス856および噴霧すべき材料858の粒子を、誘電体共振器リング12の中央開口部を通して案内する。高温大気圧プラズマ40は、材料858を溶かし、表面処理を受ける対象物862の表面上に注入または蒸着される溶融材料860の噴霧を生成する。大気プラズマトーチの技術分野においてよく知られているように、図23に示すプラズマ溶射用途は、高温プラズマ処理を受ける様々な物質858および対象物862を使用することにより実現され得る多くの可能な用途のうちのたった1つである。
【0090】
図26は、中細ノズル111を形成するために、より小さい直径84に向かって内側にくびれる中央孔70を備えた誘電体共振器12に基づくマイクロ波プラズマトーチ870を示す。円筒状RFシールド42は、冷水422の入口および加熱された水424の出口を備えた水冷ジャケット416に囲まれる。誘電体共振器12の外表面は、熱を効率的に伝達するためにRFシールド42と直接接触している。RFシールド42はまた、1対の絞り94によって画定された開口部90を備えた導波管ポート124を含む。マイクロ波電力118は、マグネトロン(図示せず)から導波管ポート124に供給することができる。アルミナまたは石英から作られた2軸マニホールド872は、冷却ガス854およびプラズマガス874を中央孔70内に案内する。プラズマガス874はプラズマに変換され、マイクロ波エネルギー118を吸収することによって高温に加熱され、それにより、高温亜音速流80を形成する。亜音速流80の大きい熱エネルギーは、中細ノズル111の作用によって超音速流82の運動エネルギーに変換される。超音速流82は、宇宙推進用熱ロケット同様に、プラズマ溶接およびプラズマ切断などの高度な製造用途で使用することができる。
【0091】
実施例10 イオンサイクロトロン共鳴プラズマ加熱
本発明のプラズマ発生器は、宇宙推進用核融合反応炉または比推力可変型プラズマ推進機(VASIMR)などの用途のイオンサイクロトロン加熱(ICRH)アンテナを構成するために使用されてもよい。
【0092】
図27aおよび図27bはそれぞれ、本発明の誘電体共振器12を使用するトカマク核融合炉900の断面A−Aおよび断面B−Bを示す。真空容器42はまた、RFシールドとしての役目をし、プラズマ40の磁気閉込めのためのトロイダル静磁場を生成する超電導電磁石902に囲まれる。誘電体共振器12は、比誘電率が大きい誘電体セラミック材料から、リングの形で作られる。ICRHの典型的な10MHz〜100MHzの周波数における約数百万ワットのRF電力150が、RFシールド42の一部を形成するキャビティ904の内部に位置するループカプラ20で終端する同軸伝送線路22を介して供給される。
【0093】
特定の用語は、参照のみの目的で本明細書において使用され、したがって限定するものではない。例えば、「上部の」、「下部の」、「上方に」「下方に」などの用語は、参照される図面中の方向を指す。「正面の」、「背部の」、「後部の」、「底部の」および「側面の」などの用語は、論じている構成要素を説明する本文および関連図面を参照することによって明らかとなる、一貫しているが任意の基準枠内の構成要素の部分の向きを説明している。そのような用語は、具体的に上で言及した単語、その派生語および同様の輸入語を含んでもよい。同様に、「第1の」、「第2の」という用語、および構造を指す他のそのような数の用語は、文脈で明確に示さない限り、シーケンスまたは順序を示唆しない。
【0094】
本開示および例示的実施形態の要素または特徴を導入する場合、「1つの」および「前記」という冠詞は、そのような要素または特徴が1つまたは複数存在することを意味するものである。「備える」、「含む」および「有する」という用語は、包括的なものであり、具体的に記述するもの以外の追加の要素または特徴が存在し得ることを意味する。本明細書で説明した方法ステップ、工程、および操作は、実行順序として具体的に特定しない限り、議論または説明した特定の順序でそれらの実行を必ず要求するものとして解釈されるべきではないことをさらに理解されるべきである。また、追加または代替のステップを用いてもよいことも理解されるべきである。
【0095】
「リング」という用語は、一般に特質的なトポロジカルな表面を意味し、特に明示しない限り、例えば、円形形状、放射対称、または直径対高さの特定のアスペクト比を要求も排除もしないことを理解されたい。
【0096】
本発明は、本明細書に含まれる実施形態および例示に限定されないことが特に意図され、特許請求の範囲は、以下の特許請求の範囲内にあるような実施形態の一部を含む修正形式の実施形態、および異なる実施形態の要素の組合せを含むことを理解されたい。特許および非特許公報を含む、本明細書で説明した刊行物のすべては、それら全内容が本明細書に援用される。
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図27b