【実施例】
【0064】
実施例1 発光分光法
本発明は、目的が、未知の化学試料中の原子種および分子種を励起し、光を生成することである、発光分光計(OES)で使用されてもよい。プラズマが発した光の分光分析は、試料中に存在する化学物質のタイプおよび量を決定するために使用される。プラズマ特性は、プラズマを消滅させることなく水性溶媒または有機溶媒中の試料を処理する能力、安全性および経済性を改善するために様々なプラズマガスで動作する能力、様々な種類の化学物質を検出する能力、非常に広範囲の被分析物濃度を正確に測定する能力、極めて低い濃度の被分析物を検出する能力、多くの試料を短時間で処理する能力、長時間にわたって測定が繰り返される場合に、安定した結果を生む能力などの点において、OESの分析性能に大いに影響を及ぼす。
【0065】
本出願の典型的なプラズマ源は、本設計によって実施されるはるかに高い周波数を有する40MHzより高い無線周波数で動作してもよい。あるいは、本設計は、大量のマイクロ波電力源としてマグネトロン装置を使用して、915MHzまたは2,450MHzなどのマイクロ波周波数でプラズマを提供してもよい。プラズマ発生器の既存の設計は、容量結合が支配的であり、または、プラズマ源に深刻な悪影響を及ぼすかなりの量の寄生容量結合を保持し、または、分光計の残りの部分への従来の機械的、光学的、化学的インタフェースを著しく修正する必要があるであろう形状因子を有する。インタフェースは、当分野において長年にわたる無線周波数OESの動作でその能力を証明している。
【0066】
対照的に、本設計のプラズマ源は、従来の無線周波数誘導結合プラズマ源の動作をマイクロ波周波数まで広げ、分光計の残りの部分との確立された機械的、光学的、化学的インタフェースを最小限修正する必要があるが、従来の設計を制限している寄生容量結合を実際に排除し得る。さらに、新規な電場印加装置の損失が極めて低いために、流体冷却システムを完全になくすことができるため、分光計の寸法、コストおよび複雑さを低減させることができる。
【0067】
ここで
図17を参照すると、円形環の形をした高密度アルミナ(Al203)セラミックで作られた本発明の誘電体共振器12を使用する発光分光法102用マイクロ波誘導結合プラズマ源。誘電体共振器12は、アルミニウムなどの金属からなる円筒状無線周波数シールド42内に支持されてもよく、それぞれが、アルミニウム管状延長部110、112および114それぞれで囲まれた複数の円形開口部104、106および108を有する。管状延長部110〜114は、シールド42外部のマイクロ波エネルギーの漏れを最小化するため、マイクロ波技術でよく理解されるように、切断部の下方に円筒導波管を形成するのに十分小さい直径、および十分長い長さを有し、延長チューブを通してマイクロ波の伝播を大きく減衰させるように設計される。
【0068】
マグネトロン120と連通している導波管89からのマイクロ波電力118は、2,450MHzの周波数で供給され、カプラ124によってシールド42の矩形開口部90を通して、誘電体共振器12に印加される。誘電体共振器12の共振周波数は、アルミニウムリングの形に作られ、かつ、誘電体共振器12のリングと同軸上に位置付けされた同調素子44の軸方向の場所を変えることによって、微調整することができる。
【0069】
3軸マニホールド125は、開口部104内の中心にあり、かつ誘電体共振器12の内径と位置合わせされた軸14に沿って方向付けられ、石英またはアルミナ管状材料で作られる。プラズマ冷却ガス126は3軸マニホールド125の外リングに適用され、一方、プラズマ補助ガス128は次の内リングに適用され、中心孔は、分析すべき試料源132から、溶解された分析試料130を受け取る。試料130は、プラズマ40中に直接導入され得る、エアロゾルの形をしている。
【0070】
当技術分野において既知の方法による光134の周波数成分を決定し得る分析コンピュータ138に結合された光センサ136によって分析するために、軸14に対して半径方向のプラズマ40から発した光134が、管状延長部112内を通過する。あるいはまたは同時に、いわゆる軸方向OESの目的のために、軸14の軸方向におけるプラズマ40が発した光140は、同様の光センサ136(明瞭には図示せず)によってさらに分光分析を行うために、管状延長部110を通して移送される。管状延長部110はまた、高温プラズマガスおよび化学製品142を排気換気システム(図示せず)に方向付ける。開口部108および管状延長部114は、空気の自然対流または強制流動によってプラズマ発生器12の空気冷却を可能にする。
【0071】
実施例2 質量分析
本発明は、発光分光法および質量分析(MS)の両方において同様の利点があり、質量分析用途のさらなる利点は、イオン速度の制御が改善され、イオン収集効率が高まり、サンプルコーンのスパッタリングが低減されることである。
【0072】
図18によると、質量分析200用マイクロ波誘導結合プラズマ源は、リングの形をした高密度アルミナ(Al203)セラミックで作られた、本発明の電場印加装置12を使用する。MS200用マイクロ波誘導結合プラズマ源は、
図17に示すOES102用マイクロ波誘導結合プラズマ源と共通した多くの構成要素を有し、同様の構成要素は、同じ参照符号を有する。
図18に示した追加の構成要素について、ここで説明する。サンプルコーン201は小オリフィス202を有し、スキマコーン203は小オリフィス204を有する。サンプルコーン201とスキマコーン203との間の領域は、真空ポンプ(図示せず)でガス205を排気することによって、低圧で維持される。イオン化された試料206は、オリフィス202を通って、サンプルコーンとスキマコーンとの間の低圧領域に入る。イオン207は、オリフィス204を通って、質量分析計の高真空領域内にさらに移送される。質量分析計は、少なくとも1つのイオン集束素子を備えるイオン集束構成要素209と、質量分析器210と、イオン検出器211とを備える。質量分析計内に配置された2段以上のポンピング(図示せず)があってもよい。質量分析計は、好ましくはコンピュータである制御部(図示せず)によって制御される。イオン検出器211からの検出された信号は、好ましくはまたコンピュータを使用して記録され、このコンピュータは、制御部として使用されるのと同じコンピュータであってもよい。オリフィス202に浸透していない加熱されたプラズマガス208は、RFシールド42とサンプルコーン201との間の環状領域から排気される。
【0073】
実施例3 対流冷却マイクロ波ガス放電レーザ
本発明のプラズマ発生器は、数百ワットの光パワーの高品質ビームを生成する小型中電力ガス放電レーザを構成するために使用されてもよい。本設計は、対流冷却、およびマイクロ波振動数での純粋な誘導結合の気体放電に基づく。
【0074】
図19aおよび
図19bはそれぞれ、本発明の誘電体共振器12に基づく中電力小型ガス放電レーザ300の断面図および上面図を示す。誘電体共振器12は、中心軸方向孔70および外周切欠部72(
図7参照)を有する、軸14を備えた細長い管68の形をしている。誘電体共振器12は、高密度アルミナ(Al2O3)から作られてもよい。円筒状RFシールド42は、プラズマガス入口302およびプラズマガス出口304を含む。低温ガス306は、ガス入口302を通って入り、中心軸方向孔70を通って流れて、加熱されたガス308としてガス出口304を通って出る。当技術分野においてよく知られているように、入口302および出口304は、送風機と、ガスを冷却するための熱交換器とを含むガス循環システム(図示せず)に接続される。2,450MHzのマグネトロン(図示せず)によって提供されたようなマイクロ波電力118は、1対の絞り94によって画定された開口部90を有するRFシールド42内の導波管ポート124によってレーザ300に結合される。誘導結合プラズマ40は、誘電体共振器12の内部孔70内に形成される。円筒状シールド42の平坦端部は、光キャビティを形成する反射球面ミラー310および半透過球面ミラー312を支持する。プラズマ40は、ミラー310および312によって形成された光キャビティ内部の光利得媒体であり、適した外部光学部品(図示せず)によって非常に小さい寸法の点に集束させることができる数百ワットの高品質の軸対称光ビーム314を放射する。金属シールド42と接触している誘電体共振器12の表面は、金属メッキされることが好ましい。
【0075】
実施例4 拡散冷却同軸マイクロ波ガス放電レーザ
本発明のプラズマ発生器は、数キロワットの光パワーを有する高品質光ビームを生成することができる、スケーラブル設計の大電力ガス放電レーザを構成するために使用されてもよい。光学設計では、当技術分野においてよく知られている同軸拡散冷却構成が採用される。拡散レーザは、送風機を必要とせず、最少量のガスを消費する。しかしながら、従来の同軸レーザ中のプラズマは、内側同軸電極と外側同軸電極との間の純粋な容量性RF放電によって維持され、これにより容量結合プラズマに固有の放電不安定性に起因して極限電力が設定される。一方、本発明では、より簡便で小型かつ効率的な電源として大電力マグネトロンを使用することができるマイクロ波振動数で同時に操作しながら、誘導結合プラズマを使用して、より高い電力レベルで安定した放電を得る。さらに、レーザ気体と直接接触しているセラミック電場印加装置の熱伝導率が高いために、拡散冷却の効率は保たれる。
【0076】
図20は、セラミックリング12cおよび12dの形をした本発明の誘電体共振器を使用する大電力拡散冷却同軸レーザ400の断面を示す。円筒状RFシールドは、共通軸14を備えた、より大きい直径の金属管42aおよびより小さい直径の金属管42bからなる。管42aと42bとの間の空間は、平坦端部板42cおよび42dで気密密閉され、二酸化炭素(CO2)、窒素(N2)およびヘリウム(He)の混合物などのレイジングガスで充填される。反射トーリックミラー402および半透過トーリックミラー404はそれぞれ、板42dおよび42cの上に取り付けられ、同軸光キャビティを形成する。内側RFシールド42bは、水入口408および水出口410を含む水ジャケット406に囲まれる。冷水412が入口408に入り、加熱された水414が水出口410を通じて除去される。外側RFシールド42aは、水入口418および水出口420を含む水ジャケット416に囲まれる。冷水422が入口418に入り、加熱された水424が出口420を通じて除去される。断面AA’と断面BB’との間に示された部分は、レーザの出力ビームパワーを高めるために、軸方向14に1回または複数回繰り返すことができるモジュール組立体を形成する。
図18に示すそのような3つの同一モジュールのうちの1つについて、ここで説明する。外側RFシールド42aはまた、対の絞り94によって画定された開口部90を備えた導波管ポート124を含む。マイクロ波電力118は、工業加熱用途に通常使用される大電力915MHzまたは2,450MHzマグネトロンからなどの別個のマイクロ波源(図示せず)によって、導波管ポート124のそれぞれに供給することができる。誘電体共振器は、高密度アルミナ(Al2O3)などのセラミック材料から作られた、外リング12cおよび内リング12dの2つのリングからなる。ガスからセラミックリング12cおよび12dまで熱拡散によって熱を効率的に伝達することができるように、内リング12dの外表面と外リング12cの内表面との間隙は、たった数ミリメートルの幅である。セラミックリングの高熱伝導率により、プラズマガスから、冷却ジャケット406および416内部を流れる水に熱が迅速に伝達される。純粋な誘導結合によって維持されたプラズマ40は、トーリックミラー402および404によって形成された光キャビティ内部の光利得媒体を形成する。これにより、当技術分野においてよく知られているように、外部光学部品(図示せず)によって小さい寸法の点に集束させることができる、大電力で、円筒対称の高品質同軸光ビーム426が放射される。金属リング428および430は、モジュール間の誘導結合を最小化し、かつガスから冷却ジャケット406および416内部を流れる水への熱の拡散伝達を容易にする役目をする。リングの厚さが、リングの外径と内径との差として画定される場合には、
図20は、ほぼ同一の厚さを有するようなリング12cおよび12dの両方を示す。しかしながら本発明は、等しい厚さのリングに限定されない。
【0077】
実施例5 対流冷却同軸マイクロ波ガス放電レーザ
本発明のプラズマ発生器は、数十キロワットの電力を有する高品質光ビームを生成することができる、スケーラブル設計の超大電力ガス放電レーザを構成するために使用されてもよい。本設計では、当技術分野においてよく知られている同軸対流冷却構成が採用される。しかしながら、従来の同軸レーザ中のプラズマは、内側同軸電極と外側同軸電極との間の純粋な容量性RF放電によって維持され、これにより、容量結合プラズマに固有の放電不安定性に起因して極限電力が設定される。一方、本発明では、より簡便で小型かつ効率的な電源として大電力マグネトロンを使用することができるマイクロ波振動数で同時に操作しながら、誘導結合プラズマを使用して、より高い電力レベルで安定した放電を得る。
【0078】
図21は、セラミックリング12cおよび12dの形をした本発明の誘電体共振器を使用する対流冷却誘導結合同軸ガス放電レーザ500の断面を示す。RFシールドは、共通軸14を備えた外側金属管42aおよび内側金属管42bによって形成される。管42aと42bとの間の空間は、平坦板42cおよび42dで気密密閉され、平坦板42cおよび42dは、反射トーリックミラー402および半透過トーリックミラー404を支持する。高電力ガス放電レーザの技術分野においてよく知られているように、ミラー402および404は、同軸光キャビティを形成する。断面AA’と断面BB’との間に示された部分は、レーザの出力ビームパワーを高めるために、軸方向14に1回または複数回繰り返すことができるモジュール組立体を形成する。
図19に示すそのような3つの同一モジュールのうちの1つについて、ここで説明する。外側RFシールド42aには、ガス入口302およびガス出口304が設けられる。低温プラズマガス306は入口302を通ってレーザ500に入り、加熱されたプラズマガス308は、出口304を通って出る。当技術分野においてよく知られているように、入口302および出口304は、超高流量送風機と、ガスを冷却するための熱交換器とを含むガス循環システム(図示せず)に接続される。ガス流の方向は、矢印502によって示される。外側RFシールド42aはまた、対の絞り94によって画定された開口部90を備えた導波管ポート124を含む。マイクロ波電力118は、工業マイクロ波加熱用途に通常使用される大電力915MHzマグネトロンからなどの別個のマイクロ波源(図示せず)によって、ポート124のそれぞれに供給することができる。誘電体共振器は、高密度アルミナ(Al2O3)などのセラミック材料から作られた、外リング12cおよび内リング12dの2つのリングからなる。熱除去の目的でプラズマガスの高流速に対して十分な断面積を与えるように、内リング12dの外表面と外リング12cの内表面との間隙は、約1cm〜2cmの幅である。純粋な誘導結合によって維持されたプラズマ40は、トーリックミラー402および404によって形成された光キャビティ内部に光利得媒体を形成する。これにより、当技術分野においてよく知られているように、外部光学部品(図示せず)によって小さい寸法の点に集束させることができる、大電力で、円筒対称の高品質同軸光ビーム426が放射される。丸みを帯びた縁部を備えた金属リング504および506は、リング12cおよび12dによって占有された領域に電場を拘束すること、隣接するモジュール間の誘導結合を最小化すること、ならびに、プラズマガス306および308の高速流を案内するのを支援することの3つの目的を有する。金属シールド42aおよび42bと接触しているセラミックリング12cおよび12dの表面は、金属メッキされることが好ましい。リングの厚さが、リングの外径と内径との差として画定される場合には、
図21は、ほぼ同一の厚さを有するようなリング12cおよび12dの両方を示す。しかしながら本発明は、等しい厚さのリングに限定されない。
【0079】
実施例6 電子サイクロトロン共鳴プラズマ源
本発明のプラズマ発生器は、電子サイクロトロン共鳴プラズマ源を構成するために使用されてもよい。この電子サイクロトロン共鳴プラズマ源は、イオン源、または宇宙推進用のイオンスラスタとして半導体ウェハのプラズマ処理に使用されてもよい。
【0080】
図22は、リングの形をした本発明の誘電体共振器12を使用する電子サイクロトロン共鳴プラズマ源600を示す。誘電体共振器12は、比誘電率が大きく、誘電損失が非常に少ない、チタン酸カルシウム(CaTiO3)セラミックなどの最新技術セラミックス材料から作られる。ECRプラズマ源の技術分野においてよく知られているように、電子サイクロトロン共鳴(ECR)プラズマを生成するのに適した静磁場を作るために、ステンレス鋼などの非磁性材料から作られた円筒状RFシールド42が、1組の電磁石または永久磁石602に囲まれる。無線周波数電力150は、結合ループ20で終端する同軸伝送線路22を介して供給される。結合ループ20の一端部は同軸ケーブル22の中央導体に接続され、ループの他端部はRFシールド42に接続される。残りのプラズマ源が大気圧でありながら、石英管604内部の空間を低圧で維持することができるように、石英管604およびRFシールド42は気密筐体を形成する。冷気または冷却流体606は、電場印加装置12、石英管604およびRFシールド42から熱を除去し、加熱された空気または流体608として排気される。低圧プラズマガス610は石英管604に入り、そこでプラズマ40に変換される。プラズマは、電場印加装置12の純粋な誘導RF場と、電磁石または永久磁石602の静磁場との複合作用によって維持される。使用済ガス612は、真空容器614に接続された真空ポンプ(図示せず)の作用によって除去される。宇宙推進用イオンスラスタでは、容器614は惑星間空間の真空に置き換えられるであろう。イオン源の技術分野においてよく知られているように、イオン616は、外部DC電源(図示せず)によって様々な静電位で保持されたグリッド電極618のシステムによってプラズマ40から抽出される。
【0081】
図22に示すECRプラズマ源600の前述の説明では、RFエネルギーの形態の励起150を仮定する。しかしながら、本発明の誘電体共振器12は、広範囲の周波数にわたる動作に採用されてもよい。例えば、電場印加装置12の材料を高密度アルミナ(Al2O3)に変更することによって、電磁石602の静磁場が周波数に比例して増加すると、
図22のECRプラズマ源は、マイクロ波振動数で動作するように作ることができるであろう。マイクロ波振動数での動作では、同軸ケーブル22およびループカプラ20はそれぞれ、導波管および絞りカプラに置き換えられていてもよい。
【0082】
イオン616の源として
図22に示すECRプラズマ源600の主要機能は、単に例示目的のためだけに選択されている。グリッド電極618を除去し、プラズマ40を真空容器614内に直接浸透させることによって、化学蒸着、プラズマエッチング、プラズマアッシング、真空イオンポンプなどの多くの他の用途にECRプラズマ源600を使用することが可能になる。
【0083】
用途によっては、電磁石602を用いずに、
図22に示すプラズマ源600を操作することが有利になり得る。そのような場合には、ECR効果によるプラズマ密度の増大はないが、本発明の電場印加装置12の高効率で純粋な誘導結合によって、従来のRF誘導結合源より優れた高密度で均一なプラズマ40をさらに生成することができるであろう。
【0084】
実施例7 大面積、高密度かつ均一なプラズマ源
本発明のプラズマ発生器は、半導体ウェハの処理に適した高密度、かつ均一なプラズマ源を構成するために使用されてもよい。
【0085】
図23は、スペーサ66によって離して保持され、積み上げられた1つまたは複数のセラミックリング64の形に作られた本発明の誘電体共振器を使用するプラズマ源700を示す。円筒状RFシールド42は、冷却水ジャケット416を有する。冷水422はRFシールド42から熱を除去し、加熱された水424は、閉じた冷却システムの一部である冷却装置(図示せず)に熱を伝達する。冷却水はアースされたRFシールド42とのみ接触するため、従来の誘導結合プラズマ源のコイルを冷却する時に必要とされるであろう環境を破壊する誘電冷却流体を使用する必要はない。RFシールド42の内部に発生した熱は、外側円筒面がRFシールド42と直接接触している誘電体共振器リング64の高熱伝導性セラミック材料によって、RFシールドの壁に伝導される。RF電力150は、ループカプラ20で終端する同軸伝送線路22を介して印加され、ループカプラ20は、RFシールド42と気密嵌合を形成する石英またはセラミックキャップ704によって過酷なプラズマ環境から保護される。低圧プラズマガス610は、積み上げられた誘電体共振器64の作用によってプラズマ40に励起され、使用済ガス612は、ターボ分子真空ポンプ(図示せず)によって除去される。プラズマ40は、チャック708上に保持された半導体ウェハ706のプラズマ処理を容易にする。チャック708は、一般に異なる周波数形式においてプラズマを維持するために使用されるRF電力150であるRF電力714が、同軸伝送線路712によって供給されるRFバイアス電極710を含んでもよい。
【0086】
実施例8 超大面積、高密度、かつ均一なプラズマ源
本発明のプラズマ発生器は、大型半導体ウェハおよび太陽電池パネルの処理に適した超大面積にわたる均一なプラズマを生成する高密度プラズマ源を構成するために使用されてもよい。
【0087】
図24は、可変厚さの段差76を備えたセラミックディスク74の形をした本発明の誘電体共振器を使用するプラズマ源800を示す。段差76の厚さは、最も均一なプラズマ40を生じる誘電体の内部に誘電分極電流を半径方向に分布させるように最適化されてもよい。円筒状RFシールド42は、冷却水ジャケット416を有する。冷水422はRFシールド42から熱を除去し、加熱された水424は、閉じた冷却システムの一部である冷却装置(図示せず)に熱を伝達する。RFシールド42の内部に発生した熱は、外側円筒面がRFシールド42と直接接触している誘電体共振器74の高熱伝導性セラミック材料によって、RFシールドの壁に伝導される。RF電力150は、ループカプラ20で終端する同軸伝送線路22を介して印加される。プラズマガス610は、ディスク74上方の空間に進入し、ディスク74の表面にわたって均一に分布した狭いキャピラリ穴802を通って流れ、シャワヘッド効果を生む。狭い穴にわたる圧力降下により、ディスク74上方の圧力は、プラズマ源800のこの部分にプラズマが生じないくらい十分高い。ディスク74の底部から外に流れるプラズマガス610は、大面積、高密度、かつ均一なプラズマ40に励起され、使用済ガス612はターボ分子真空ポンプ(図示せず)によって除去される。プラズマ40は、チャック708上に保持された、直径が大きい半導体ウェハまたは太陽電池パネル706のプラズマ処理を容易にする。チャック708は、一般に異なる周波数形式においてプラズマを維持するために使用されるRF電力150であるRF電力714が、同軸伝送線路712によって供給されるRFバイアス電極710を含んでもよい。
【0088】
実施例9 マイクロ波プラズマトーチ
本発明のプラズマ発生器は、誘導結合マイクロ波エネルギーで駆動する、電極のない大気プラズマトーチを構成するために使用されてもよい。そのようなトーチは、高度な製造、環境、化学合成、宇宙および科学の用途で使用されてもよい。
【0089】
図25は、本発明の誘電体共振器12を使用するプラズマ源に基づく大気マイクロ波プラズマトーチ850を示す。円筒状RFシールド42は、冷水422の入口および加熱された水424の出口を備えた水冷ジャケット416に囲まれる。誘電体共振器12は、熱を効率的に除去するために、外側円筒面がRFシールド42と直接接触しているセラミックリングの形で作られる。RFシールド42はまた、1対の絞り94によって画定された開口部90を備えた導波管ポート124を含む。マイクロ波電力118は、マグネトロン(図示せず)から導波管ポート124に供給することができる。アルミナセラミックまたは石英からなる3軸マニホールド852は、冷却ガス854、補助ガス856および噴霧すべき材料858の粒子を、誘電体共振器リング12の中央開口部を通して案内する。高温大気圧プラズマ40は、材料858を溶かし、表面処理を受ける対象物862の表面上に注入または蒸着される溶融材料860の噴霧を生成する。大気プラズマトーチの技術分野においてよく知られているように、
図23に示すプラズマ溶射用途は、高温プラズマ処理を受ける様々な物質858および対象物862を使用することにより実現され得る多くの可能な用途のうちのたった1つである。
【0090】
図26は、中細ノズル111を形成するために、より小さい直径84に向かって内側にくびれる中央孔70を備えた誘電体共振器12に基づくマイクロ波プラズマトーチ870を示す。円筒状RFシールド42は、冷水422の入口および加熱された水424の出口を備えた水冷ジャケット416に囲まれる。誘電体共振器12の外表面は、熱を効率的に伝達するためにRFシールド42と直接接触している。RFシールド42はまた、1対の絞り94によって画定された開口部90を備えた導波管ポート124を含む。マイクロ波電力118は、マグネトロン(図示せず)から導波管ポート124に供給することができる。アルミナまたは石英から作られた2軸マニホールド872は、冷却ガス854およびプラズマガス874を中央孔70内に案内する。プラズマガス874はプラズマに変換され、マイクロ波エネルギー118を吸収することによって高温に加熱され、それにより、高温亜音速流80を形成する。亜音速流80の大きい熱エネルギーは、中細ノズル111の作用によって超音速流82の運動エネルギーに変換される。超音速流82は、宇宙推進用熱ロケット同様に、プラズマ溶接およびプラズマ切断などの高度な製造用途で使用することができる。
【0091】
実施例10 イオンサイクロトロン共鳴プラズマ加熱
本発明のプラズマ発生器は、宇宙推進用核融合反応炉または比推力可変型プラズマ推進機(VASIMR)などの用途のイオンサイクロトロン加熱(ICRH)アンテナを構成するために使用されてもよい。
【0092】
図27aおよび
図27bはそれぞれ、本発明の誘電体共振器12を使用するトカマク核融合炉900の断面A−Aおよび断面B−Bを示す。真空容器42はまた、RFシールドとしての役目をし、プラズマ40の磁気閉込めのためのトロイダル静磁場を生成する超電導電磁石902に囲まれる。誘電体共振器12は、比誘電率が大きい誘電体セラミック材料から、リングの形で作られる。ICRHの典型的な10MHz〜100MHzの周波数における約数百万ワットのRF電力150が、RFシールド42の一部を形成するキャビティ904の内部に位置するループカプラ20で終端する同軸伝送線路22を介して供給される。
【0093】
特定の用語は、参照のみの目的で本明細書において使用され、したがって限定するものではない。例えば、「上部の」、「下部の」、「上方に」「下方に」などの用語は、参照される図面中の方向を指す。「正面の」、「背部の」、「後部の」、「底部の」および「側面の」などの用語は、論じている構成要素を説明する本文および関連図面を参照することによって明らかとなる、一貫しているが任意の基準枠内の構成要素の部分の向きを説明している。そのような用語は、具体的に上で言及した単語、その派生語および同様の輸入語を含んでもよい。同様に、「第1の」、「第2の」という用語、および構造を指す他のそのような数の用語は、文脈で明確に示さない限り、シーケンスまたは順序を示唆しない。
【0094】
本開示および例示的実施形態の要素または特徴を導入する場合、「1つの」および「前記」という冠詞は、そのような要素または特徴が1つまたは複数存在することを意味するものである。「備える」、「含む」および「有する」という用語は、包括的なものであり、具体的に記述するもの以外の追加の要素または特徴が存在し得ることを意味する。本明細書で説明した方法ステップ、工程、および操作は、実行順序として具体的に特定しない限り、議論または説明した特定の順序でそれらの実行を必ず要求するものとして解釈されるべきではないことをさらに理解されるべきである。また、追加または代替のステップを用いてもよいことも理解されるべきである。
【0095】
「リング」という用語は、一般に特質的なトポロジカルな表面を意味し、特に明示しない限り、例えば、円形形状、放射対称、または直径対高さの特定のアスペクト比を要求も排除もしないことを理解されたい。
【0096】
本発明は、本明細書に含まれる実施形態および例示に限定されないことが特に意図され、特許請求の範囲は、以下の特許請求の範囲内にあるような実施形態の一部を含む修正形式の実施形態、および異なる実施形態の要素の組合せを含むことを理解されたい。特許および非特許公報を含む、本明細書で説明した刊行物のすべては、それら全内容が本明細書に援用される。