特許第6411491号(P6411491)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6411491多環式カルバモイルピリドン化合物およびHIV感染症を処置するためのその使用
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6411491
(24)【登録日】2018年10月5日
(45)【発行日】2018年10月24日
(54)【発明の名称】多環式カルバモイルピリドン化合物およびHIV感染症を処置するためのその使用
(51)【国際特許分類】
   C07D 471/18 20060101AFI20181015BHJP
   A61P 31/18 20060101ALI20181015BHJP
   A61K 45/00 20060101ALI20181015BHJP
   A61K 45/06 20060101ALI20181015BHJP
   A61K 31/7088 20060101ALI20181015BHJP
   A61K 31/7076 20060101ALI20181015BHJP
   A61K 31/675 20060101ALI20181015BHJP
   A61K 31/513 20060101ALI20181015BHJP
   A61K 31/553 20060101ALI20181015BHJP
   A61K 31/4995 20060101ALI20181015BHJP
   C07D 498/18 20060101ALI20181015BHJP
【FI】
   C07D471/18CSP
   A61P31/18
   A61K45/00
   A61K45/06
   A61K31/7088
   A61K31/7076
   A61K31/675
   A61K31/513
   A61K31/553
   A61K31/4995
   C07D498/18
【請求項の数】40
【全頁数】80
(21)【出願番号】特願2016-525819(P2016-525819)
(86)(22)【出願日】2014年7月11日
(65)【公表番号】特表2016-527217(P2016-527217A)
(43)【公表日】2016年9月8日
(86)【国際出願番号】US2014046413
(87)【国際公開番号】WO2015006731
(87)【国際公開日】20150115
【審査請求日】2017年7月11日
(31)【優先権主張番号】61/845,806
(32)【優先日】2013年7月12日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】501362319
【氏名又は名称】ギリアード サイエンシス インコーポレーテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100086771
【弁理士】
【氏名又は名称】西島 孝喜
(74)【代理人】
【識別番号】100088694
【弁理士】
【氏名又は名称】弟子丸 健
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100084663
【弁理士】
【氏名又は名称】箱田 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100093300
【弁理士】
【氏名又は名称】浅井 賢治
(74)【代理人】
【識別番号】100119013
【弁理士】
【氏名又は名称】山崎 一夫
(74)【代理人】
【識別番号】100123777
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 さつき
(74)【代理人】
【識別番号】100196405
【弁理士】
【氏名又は名称】小松 邦光
(72)【発明者】
【氏名】ジ ミンジュ
(72)【発明者】
【氏名】レイザーウィズ スコット イー
(72)【発明者】
【氏名】ピュン ヒュン−ジュン
【審査官】 山本 吾一
(56)【参考文献】
【文献】 特表2008−540343(JP,A)
【文献】 国際公開第2014/100323(WO,A1)
【文献】 国際公開第2015/039348(WO,A1)
【文献】 国際公開第2015/006733(WO,A1)
【文献】 国際公開第2014/200880(WO,A1)
【文献】 国際公開第2013/054862(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07D
A61K
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下の式(I)を有する化合物またはその立体異性体もしくは薬学的に許容される塩。
【化1】
(I)
[式中、
1およびY2は、それぞれ独立して、水素、C1-3アルキルまたはC1-3ハロアルキルであり、
1は、1〜3個のハロゲン原子により置換されているフェニルであり、
Xは、−O−、−NR2−、−CHR3−または結合であり、
2およびR3は、それぞれ独立して、水素またはC1-3アルキルであり、
Lは、−C(Ra2C(Ra2−であり、
接する炭素原子上の2つのRa基は、それらが結合している炭素原子と一緒になって、以下の構造
【化2】
(式中、Rbはそれぞれ、独立して、水素またはハロである
を有する炭素環式環を形成する。
【請求項2】
以下の式(Ia)を有する請求項1に記載の化合物、またはその立体異性体もしくは薬学的に許容される塩。
【化3】
(Ia)
[式中、
1およびY2は、それぞれ独立して、水素、C1-3アルキルまたはC1-3ハロアルキルであり、
1は、1〜3個のハロゲン原子により置換されているフェニルであり、
Xは、−O−、−NR2−、−CHR3−または結合であり、
2およびR3は、それぞれ独立して、水素またはC1-3アルキルであり、
Lは、−C(Ra2C(Ra2−であり、
接する炭素原子上の2つのRa基は、それらが結合している炭素原子と一緒になって、以下の構造
【化4】
(式中、Rbはそれぞれ、独立して、水素またはハロである
を有する炭素環式環を形成する。
【請求項3】
以下の式(Ib)を有する請求項1に記載の化合物、またはその立体異性体もしくは薬学的に許容される塩。
【化5】
(Ib)
[式中、
1およびY2は、それぞれ独立して、水素、C1-3アルキルまたはC1-3ハロアルキルであり、
1は、1〜3個のハロゲン原子により置換されているフェニルであり、
Xは、−O−、−NR2−、−CHR3−または結合であり、
2およびR3は、それぞれ独立して、水素またはC1-3アルキルであり、
Lは、−C(Ra2C(Ra2−であり、
接する炭素原子上の2つのRa基は、それらが結合している炭素原子と一緒になって、以下の構造
【化6】
(式中、Rbはそれぞれ、独立して、水素またはハロである
を有する炭素環式環を形成する。
【請求項4】
以下の式(Ic)を有する請求項1に記載の化合物、またはその立体異性体もしくは薬学的に許容される塩。
【化7】
(Ic)
[式中、
1およびY2は、それぞれ独立して、水素、C1-3アルキルまたはC1-3ハロアルキルであり、
1は、1〜3個のハロゲン原子により置換されているフェニルであり、
Xは、−O−、−NR2−、−CHR3−または結合であり、
2およびR3は、それぞれ独立して、水素またはC1-3アルキルであり、
Lは、−C(Ra2C(Ra2−であり、
接する炭素原子上の2つのRa基は、それらが結合している炭素原子と一緒になって、以下の構造
【化8】
(式中、Rbはそれぞれ、独立して、水素またはハロである
を有する炭素環式環を形成する。
【請求項5】
以下の式(Id)を有する請求項1に記載の化合物、またはその立体異性体もしくは薬学的に許容される塩。
【化9】
(Id)
[式中、
1およびY2は、それぞれ独立して、水素、C1-3アルキルまたはC1-3ハロアルキルであり、
1は、1〜3個のハロゲン原子により置換されているフェニルであり、
Xは、−O−、−NR2−、−CHR3−または結合であり、
2およびR3は、それぞれ独立して、水素またはC1-3アルキルであり、
Lは、−C(Ra2C(Ra2−であり、
接する炭素原子上の2つのRa基は、それらが結合している炭素原子と一緒になって、以下の構造
【化10】
(式中、Rbはそれぞれ、独立して、水素またはハロである
を有する炭素環式環を形成する。
【請求項6】
以下の式(Ie)を有する請求項1に記載の化合物、またはその立体異性体もしくは薬学的に許容される塩。
【化11】
(Ie)
[式中、
1およびY2は、それぞれ独立して、水素、C1-3アルキルまたはC1-3ハロアルキルであり、
1は、1〜3個のハロゲン原子により置換されているフェニルであり、
Xは、−O−、−NR2−、−CHR3−または結合であり、
2およびR3は、それぞれ独立して、水素またはC1-3アルキルであり、
Lは、−C(Ra2C(Ra2−であり、
接する炭素原子上の2つのRa基は、それらが結合している炭素原子と一緒になって、以下の構造
【化12】
(式中、Rbはそれぞれ、独立して、水素またはハロである
を有する炭素環式環を形成する。
【請求項7】
Xが、−O−である、請求項1から6までのいずれか1項に記載の化合物。
【請求項8】
Xが、−NH−である、請求項1から6までのいずれか1項に記載の化合物。
【請求項9】
Xが、−CH2−である、請求項1から6までのいずれか1項に記載の化合物。
【請求項10】
Xが、結合である、請求項1から6までのいずれか1項に記載の化合物。
【請求項11】
1がC1-4アルキルであり、Y2が水素である、請求項1から10までのいずれか1項に記載の化合物。
【請求項12】
1がメチルであり、Y2が水素である、請求項11に記載の化合物。
【請求項13】
1がC1-4ハロアルキルであり、Y2が水素である、請求項1から5までのいずれか1項に記載の化合物。
【請求項14】
1がCF3であり、Y2が水素である、請求項13に記載の化合物。
【請求項15】
1が水素、メチルまたはCF3であり、Y2が水素である、請求項1から11までのいずれか1項に記載の化合物。
【請求項16】
1およびY2が両方とも水素である、請求項1から11までのいずれか1項に記載の化合物。
【請求項17】
1が1個のハロゲンにより置換されている、請求項1から16までのいずれか1項に記載の化合物。
【請求項18】
1が4−フルオロフェニルまたは2−フルオロフェニルである、請求項17に記載の化合物。
【請求項19】
1が2個のハロゲンにより置換されている、請求項1から16までのいずれか1項に記載の化合物。
【請求項20】
1が、2,4−ジフルオロフェニル、2,3−ジフルオロフェニル、2,6−ジフルオロフェニル、3−フルオロ−4−クロロフェニル、3,4−ジフルオロフェニル、2−フルオロ−4−クロロフェニルまたは3,5−ジフルオロフェニルである、請求項19に記載の化合物。
【請求項21】
1が2,4−ジフルオロフェニルである、請求項20に記載の化合物。
【請求項22】
1が3個のハロゲンにより置換されている、請求項1から16までのいずれか1項に記載の化合物。
【請求項23】
1が、2,4,6−トリフルオロフェニル、2,3,4−トリフルオロフェニルまたは2,4,5−トリフルオロフェニルである、請求項22に記載の化合物。
【請求項24】
1が、2,4,6−トリフルオロフェニルまたは2,3,4−トリフルオロフェニルである、請求項22に記載の化合物。
【請求項25】
1が、2,4,6−トリフルオロフェニルである、請求項24に記載の化合物。
【請求項26】
1が、2,4,5−トリフルオロフェニルである、請求項24に記載の化合物。
【請求項27】
bがそれぞれ、独立して水素である、請求項1から26までのいずれか1項に記載の化合物。
【請求項28】
bがそれぞれ、独立してハロゲンである、請求項1から26までのいずれか1項に記載の化合物。
【請求項29】
bがそれぞれ、フルオロである、請求項28に記載の化合物。
【請求項30】
【化13】
【化14】
である、請求項1に記載の化合物。
【請求項31】
【化15】
である、請求項1に記載の化合物。
【請求項32】
請求項1から31までのいずれか1項に記載の化合物、またはその立体異性体もしくは薬学的に許容される塩、および薬学的に許容される担体、希釈剤または賦形剤を含む、医薬組成物。
【請求項33】
1〜3種の追加の治療剤をさらに含む、請求項32に記載の医薬組成物。
【請求項34】
前記1〜3種の追加の治療剤が、抗HIV剤である、請求項33に記載の医薬組成物。
【請求項35】
前記1〜3種の追加の治療剤が、HIVプロテアーゼ阻害剤、逆転写酵素のHIV非ヌクレオシド阻害剤、逆転写酵素のHIVヌクレオシドまたはヌクレオチド阻害剤、およびそれらの組合せからなる群から選択される、請求項33に記載の医薬組成物。
【請求項36】
アバカビル硫酸塩、テノホビル、テノホビルジソプロキシルフマル酸塩、テノホビルアラフェナミドおよびテノホビルアラフェナミドヘミフマル酸塩からなる群から選択される第1の追加の治療剤、ならびにエムトリシチビンおよびラミブジンからなる群から選択される第2の追加の治療剤をさらに含む、請求項32に記載の医薬組成物。
【請求項37】
治療有効量の請求項1から31までのいずれか1項に記載の化合物または請求項32から36までのいずれか1項に記載の医薬組成物を含む、HIV感染症を有しているまたはそれを有するリスクがあるヒトにおいて、HIV感染症を処置するための医薬。
【請求項38】
HIV感染症を有しているまたはそれを有するリスクがあるヒトにおいて、HIV感染症を処置するのに使用する医薬の製造のための、請求項1から31までのいずれか1項に記載の化合物または請求項32から36までのいずれか1項に記載の医薬組成物の使用。
【請求項39】
医学的治療法において使用するための、請求項1から31までのいずれか1項に記載の化合物、もしくはその薬学的に許容される塩、または請求項32から36までのいずれか1項に記載の医薬組成物。
【請求項40】
HIV感染症の予防的または治療的処置において使用するための、請求項1から31までのいずれか1項に記載の化合物、もしくはその薬学的に許容される塩、または請求項32から36までのいずれか1項に記載の医薬組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、その開示の全体が参照により本明細書に組み込まれる、2013年7月12日出願の米国仮特許出願第61/845,806号の利益を主張する。
【背景技術】
【0002】
(分野)
ヒト免疫不全ウイルス(HIV)感染症の処置のための化合物、組成物、および方法が開示される。特に、新規多環式カルバモイルピリドン化合物、およびそれらの調製方法、および治療剤または予防剤としての使用が開示される。
(従来技術の説明)
ヒト免疫不全ウイルス感染症および関連疾患は、公衆衛生上の世界的に大きな問題である。ヒト免疫不全ウイルス1型(HIV−1)は、ウイルス複製に必要な3種の酵素:逆転写酵素、プロテアーゼ、およびインテグラーゼをコードする。逆転写酵素およびプロテアーゼを標的とする薬物が幅広く使用され、特に組み合わせて使用する場合に有効性が示されているが、毒性および耐性株の発生により、それらの有効性が制限されている(Palella, et al. N. Engl. J Med. (1998) 338:853-860、Richman, D. D. Nature (2001) 410:995-1001)。
抗レトロウイルス療法の目標は、HIV感染患者におけるウイルス抑制を達成することである。米国保健福祉省により発行されている現在の処置の指針は、ウイルス抑制の実現には、併用療法、すなわち、少なくとも2種以上のクラスの薬物からのいくつかの薬物の使用が必要であると提示している(成人および若年者に対する抗レトロウイルス指針に関するパネル。HIV−1に感染している成人および若年者における抗レトロウイルス剤の使用に関する指針。米国保健福祉。http://aidsinfo.nih.gov/ContentFiles/AdultandAdolescentGL.pdfにおいて入手可能である。2013年3月14日にアクセスした項目)。さらに、HIV感染患者の処置に関する決定は、患者が他の医学的状態に対する処置を必要とする場合、複雑である(同文献、E−12)。HIVを抑制するため、および患者が受けている最中である可能性がある他の状態を処置するため、標準治療は複数の異なる薬物の使用を必要とするので、薬物が相互作用する可能性が、薬物レジメンの選択基準となる。したがって、薬物の相互作用の可能性を低減する抗レトロウイルス療法が必要とされている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
したがって、HIVの複製を阻害し、かつ他の薬物と共投与した場合の薬物−薬物相互作用の可能性を最少化する新規薬剤が必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明は、抗ウイルス活性を有する新規多環式カルバモイルピリドン化合物(その立体異性体および薬学的に許容される塩を含む)、およびHIV感染症の処置におけるこうした化合物の使用を対象としている。本発明の化合物は、HIVインテグラーゼ活性を阻害するために使用することができ、HIV複製を低減するために使用することができる。
本発明の一実施形態では、以下の式(I)を有する化合物、またはその立体異性体もしくは薬学的に許容される塩が提供される。
【化1】
(I)
[式中、
1およびY2は、それぞれ独立して、水素、C1-3アルキルまたはC1-3ハロアルキルであり、
1は、1〜3個のハロゲンにより置換されているフェニルであり、
Xは、−O−、−NR2−、−CHR3−または結合であり、
2およびR3は、それぞれ独立して、水素またはC1-3アルキルであり、
Lは、−C(Ra2C(Ra2−であり、
aはそれぞれ、独立して、水素、ハロ、ヒドロキシルまたはC1-4アルキルであり、
隣接する炭素原子上の2つのRa基は、それらが結合している炭素原子と一緒になって、以下の構造を有する炭素環式環を形成する
【0005】
【化2】
(式中、Rbはそれぞれ、独立して、水素またはハロである)]
【0006】
本発明の別の実施形態では、以下の式(I)を有する、抗ウイルス活性を有する化合物、またはその立体異性体もしくは薬学的に許容される塩が提供される。
【0007】
【化3】
(I)
[式中、
1およびY2は、それぞれ独立して、水素、C1-3アルキルまたはC1-3ハロアルキルであるか、またはY1とY2は、それらが結合している炭素原子と一緒になって、3〜6個の環原子を有する炭素環式環または3〜6個の環原子を有する複素環式環を形成し、炭素環式環または複素環式環は、1つまたは複数のRcにより置換されていてもよく、
cはそれぞれ、独立して、水素、ハロ、ヒドロキシルまたはC1-4アルキルであるか、または2つのRc基は、それらが結合している炭素原子と一緒になって、C=Oを形成し、
1は、置換されていてもよいアリールまたは置換されていてもよいヘテロアリールであり、
Xは、−O−、−NR2−、−CHR3−または結合であり、
2およびR3は、それぞれ独立して、水素またはC1-3アルキルであり、
Lは、−C(Ra2C(Ra2−であり、
aはそれぞれ、独立して、水素、ハロ、ヒドロキシルまたはC1-4アルキルであり、
隣接する炭素原子上の2つのRa基は、それらが結合している炭素原子と一緒になって、以下の構造を有する炭素環式環を形成する
【0008】
【化4】
(式中、Rbはそれぞれ、独立して、水素またはハロである)]
【0009】
本発明の一実施形態では、以下の式(Ia)を有する化合物、またはその立体異性体もしくは薬学的に許容される塩が提供される。
【化5】
(Ia)
[式中、
1およびY2は、それぞれ独立して、水素、C1-3アルキルまたはC1-3ハロアルキルであり、
1は、1〜3個のハロゲン原子により置換されているフェニルであり、
Xは、−O−、−NR2−、−CHR3−または結合であり、
2およびR3は、それぞれ独立して、水素またはC1-3アルキルであり、
Lは、−C(Ra2C(Ra2−であり、
aはそれぞれ、独立して、水素、ハロ、ヒドロキシルまたはC1-4アルキルであり、
隣接する炭素原子上の2つのRa基は、それらが結合している炭素原子と一緒になって、以下の構造を有する炭素環式環を形成する
【0010】
【化6】
(式中、Rbはそれぞれ、独立して、水素またはハロである)]
【0011】
本発明の一実施形態では、以下の式(Ib)を有する化合物、またはその立体異性体もしくは薬学的に許容される塩が提供される。
【化7】
(Ib)
[式中、
1およびY2は、それぞれ独立して、水素、C1-3アルキルまたはC1-3ハロアルキルであり、
1は、1〜3個のハロゲン原子により置換されているフェニルであり、
Xは、−O−、−NR2−、−CHR3−または結合であり、
2およびR3は、それぞれ独立して、水素またはC1-3アルキルであり、
Lは、−C(Ra2C(Ra2−であり、
aはそれぞれ、独立して、水素、ハロ、ヒドロキシルまたはC1-4アルキルであり、
隣接する炭素原子上の2つのRa基は、それらが結合している炭素原子と一緒になって、以下の構造を有する炭素環式環を形成する
【0012】
【化8】
(式中、Rbはそれぞれ、独立して、水素またはハロである)]
【0013】
本発明の一実施形態では、以下の式(Ic)を有する化合物、またはその立体異性体もしくは薬学的に許容される塩が提供される。
【化9】
(Ic)
[式中、
1およびY2は、それぞれ独立して、水素、C1-3アルキルまたはC1-3ハロアルキルであり、
1は、1〜3個のハロゲン原子により置換されているフェニルであり、
Xは、−O−、−NR2−、−CHR3−または結合であり、
2およびR3は、それぞれ独立して、水素またはC1-3アルキルであり、
Lは、−C(Ra2C(Ra2−であり、
aはそれぞれ、独立して、水素、ハロ、ヒドロキシルまたはC1-4アルキルであり、
隣接する炭素原子上の2つのRa基は、それらが結合している炭素原子と一緒になって、以下の構造を有する炭素環式環を形成する
【0014】
【化10】
(式中、Rbはそれぞれ、独立して、水素またはハロである)]
【0015】
本発明の一実施形態では、以下の式(Id)を有する化合物、またはその立体異性体もしくは薬学的に許容される塩が提供される。
【化11】
(Id)
[式中、
1およびY2は、それぞれ独立して、水素、C1-3アルキルまたはC1-3ハロアルキルであり、
1は、1〜3個のハロゲン原子により置換されているフェニルであり、
Xは、−O−、−NR2−、−CHR3−または結合であり、
2およびR3は、それぞれ独立して、水素またはC1-3アルキルであり、
Lは、−C(Ra2C(Ra2−であり、
aはそれぞれ、独立して、水素、ハロ、ヒドロキシルまたはC1-4アルキルであり、
隣接する炭素原子上の2つのRa基は、それらが結合している炭素原子と一緒になって、以下の構造を有する炭素環式環を形成する
【0016】
【化12】
(式中、Rbはそれぞれ、独立して、水素またはハロである)]
【0017】
本発明の一実施形態では、以下の式(Ie)を有する化合物、またはその立体異性体もしくは薬学的に許容される塩が提供される。
【化13】
(Ie)
[式中、
1およびY2は、それぞれ独立して、水素、C1-3アルキルまたはC1-3ハロアルキルであり、
1は、1〜3個のハロゲン原子により置換されているフェニルであり、
Xは、−O−、−NR2−、−CHR3−または結合であり、
2およびR3は、それぞれ独立して、水素またはC1-3アルキルであり、
Lは、−C(Ra2C(Ra2−であり、
aはそれぞれ、独立して、水素、ハロ、ヒドロキシルまたはC1-4アルキルであり、
隣接する炭素原子上の2つのRa基は、それらが結合している炭素原子と一緒になって、以下の構造を有する炭素環式環を形成する
【0018】
【化14】
(式中、Rbはそれぞれ、独立して、水素またはハロである)]
【0019】
別の実施形態では、式(I)、(Ia)、(Ib)、(Ic)、(Id)、(Ie)を有する化合物、またはそれらの立体異性体もしくは薬学的に許容される塩、および薬学的に許容される担体、希釈剤または賦形剤を含む、医薬組成物が提供される。
【0020】
本発明はまた、感染症を有しているまたはそれを有するリスクがあるヒトにおいて、HIV感染症を処置するための、本明細書の上に記載されている医薬組成物の使用も提供する。
さらに別の実施形態では、以下の構造を有する化合物が提供される。
【化15】
【化16】
【化17】
【0021】
別の実施形態では、治療法において式(I)、(Ia)、(Ib)、(Ic)、(Id)または(Ie)を有する化合物を使用する方法が提供される。特に、哺乳動物(例えば、ヒト)において、HIVウイルスの増殖を処置する、AIDSを処置する、またはAIDSもしくはARCの症状の発生を遅延させる方法であって、式(I)、(Ia)、(Ib)、(Ic)、(Id)もしくは(Ie)を有する化合物、またはそれらの立体異性体もしくは薬学的に許容される塩、および薬学的に許容される担体、希釈剤または賦形剤を、哺乳動物に投与する工程を含む、方法が提供される。
別の実施形態では、感染症を有しているまたはそれを有するリスクがあるヒトにおいて、HIV感染症を処置するための、本明細書に記載されている式(I)、(Ia)、(Ib)、(Ic)、(Id)もしくは(Ie)の化合物、または薬学的に許容されるそれらの塩の使用が開示される。
【0022】
別の実施形態では、感染症を有しているまたはそれを有するリスクがあるヒトにおいて、HIV感染症を処置する医薬を製造するための、本明細書に記載されている式(I)、(Ia)、(Ib)、(Ic)、(Id)もしくは(Ie)の化合物、または薬学的に許容されるそれらの塩の使用が開示される。
【0023】
別の実施形態では、HIV感染症を処置するのに有効な組成物を含む製造物品、およびHIVによる感染症を処置するために使用することができる組成物を記したラベルを含む包装用材料が開示される。例示的な組成物は、本発明による式(I)、(Ia)、(Ib)、(Ic)、(Id)もしくは(Ie)の化合物、または薬学的に許容されるそれらの塩を含む。
【0024】
また別の実施形態では、HIVの複製を阻害する方法が開示される。この方法は、HIVの複製が阻害される条件下で、有効量の式(I)、(Ia)、(Ib)、(Ic)、(Id)、(Ie)の化合物、またはそれらの塩をウイルスに曝露させる工程を含む。
別の実施形態では、HIVインテグラーゼ酵素の活性を阻害する、式(I)、(Ia)、(Ib)、(Ic)、(Id)または(Ie)の化合物の使用が開示される。
別の実施形態では、HIVの複製を阻害する、式(I)、(Ia)、(Ib)、(Ic)、(Id)、(Ie)の化合物、またはそれらの塩の使用が開示される。
他の実施形態、目的、特徴および利点は、後に続く実施形態の詳細な説明において説明され、一部は、その記載から明らかになるか、または特許請求された発明の実施により教示され得る。これらの目的および利点は、記載されている説明およびその特許請求の範囲において特に指摘されている方法および組成物によって、実現されかつ達成される。上の要約は、簡潔なものと見なされるべきであるという理解を伴ってなされ、本明細書において開示されている実施形態の一部の一般的な概略は、単に読者の利益および都合のために提供されたものであり、添付の特許請求の範囲が法的に権利を与えられている範囲、または均等物の領域を決して限定するものではない。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下の説明において、本発明の様々な実施形態の完全な理解をもたらすために、ある種の特定の詳細が説明される。しかし、当業者は、これらの詳細がなくても本発明を行い得ることを理解するであろう。いくつかの実施形態の以下の説明は、本開示が特許請求されている主題の例示と見なすべきであるという理解を伴ってなされ、例示されている特定の実施形態に対する添付の特許請求の範囲を限定することを意図するものではない。本開示全体を通じて使用される見出しは、便宜上、提示されているに過ぎず、特許請求の範囲を決して限定するものと解釈されるべきではない。いかなる見出しの下で例示されている実施形態も、他の任意の見出しの下で例示されている実施形態と組み合わされてもよい。
【0026】
定義
特に文脈が要求しない限り、本明細書および特許請求の範囲全体を通して、語「含む(comprise)」および「含む(comprises)」、および「含んでいる(comprising)」などのその派生語は、すなわち「を含むが、以下に限定されない」としてのオープンな包括的な意味で解釈されるべきである。
本明細書全体を通して、「一実施形態」または「実施形態」と言う場合、実施形態に関連して記載される、特定の特質、構造または特徴が、本発明の少なくとも1つの実施形態に含まれることを意味する。すなわち、本明細書全体を通して、様々な位置において「一実施形態では」または「実施形態では」という言い回しが出現しても、必ずしも、すべてが同じ実施形態を言及しているわけではない。さらに、特定の特質、構造または特徴が、1つまたは複数の実施形態では、任意の適切な方法で組み合わされてもよい。
「アミノ」とは、−NH2ラジカルを指す。
「シアノ」とは、−CNラジカルを指す。
「ヒドロキシ」または「ヒドロキシル」とは、−OHラジカルを指す。
「イミノ」とは、=NH置換基を指す。
「ニトロ」とは、−NO2ラジカルを指す。
「オキソ」とは、=O置換基を指す。
「チオオキソ」とは、=S置換基を指す。
【0027】
「アルキル」とは、炭素原子および水素原子だけからなる直鎖または分岐の炭化水素鎖ラジカルであって、飽和または不飽和(すなわち、1つまたは複数の二重結合および/または三重結合を含有する)であり、1〜12個の炭素原子(C1−C12アルキル)、好ましくは1〜8個の炭素原子(C1−C8アルキル)または1〜6個の炭素原子(C1−C6アルキル)を有し、例えば、メチル、エチル、n−プロピル、1−メチルエチル(イソ−プロピル)、n−ブチル、n−ペンチル、1,1−ジメチルエチル(t−ブチル)、3−メチルヘキシル、2−メチルヘキシル、エテニル、プロパ−1−エニル、ブタ−1−エニル、ペンタ−1−エニル、ペンタ−1,4−ジエニル、エチニル、プロピニル、ブチニル、ペンチニル、ヘキシニルなどの、単結合によって分子の残りの部分に結合している炭化水素鎖ラジカルを指す。ある種の実施形態では、「アルキル」とは、炭素原子および水素原子だけからなる直鎖または分岐の炭化水素鎖ラジカルであって、飽和であり、1〜12個の炭素原子(C1−C12アルキル)または1〜8個の炭素原子(C1−C8アルキル)または1〜6個の炭素原子(C1−C6アルキル)または1〜4個の炭素原子(C1−C4アルキル)を有し、単結合によって分子の残りの部分に結合している炭化水素鎖ラジカルを指す。特に具体的に明記しない限り、本明細書において、アルキル基は、置換されていてもよい。
【0028】
「アルキレン」または「アルキレン鎖」とは、炭素および水素だけからなる、分子の残りの部分とラジカル基とを連結する直鎖または分岐の二価の炭化水素鎖であって、飽和または不飽和(すなわち、1つまたは複数の二重結合および/または三重結合を含有する)であり、1〜12個の炭素原子を有する炭化水素鎖、例えば、メチレン、エチレン、プロピレン、n−ブチレン、エテニレン、プロペニレン、n−ブテニレン、プロピニレン、n−ブチニレンなどを指す。アルキレン鎖は、単結合または二重結合により、分子の残りの部分に、および単結合または二重結合によりラジカル基に結合している。アルキレン鎖の分子の残りの部分およびラジカル基への結合点は、鎖内の1個の炭素または任意の2個の炭素を介することができる。本明細書において特に具体的に明記しない限り、アルキレン鎖は、置換されていてもよい。
【0029】
「アルコキシ」とは、式−ORAのラジカルを指し、RAは、1〜12個の炭素原子を含有する、上で定義されているアルキルラジカルである。本明細書において特に具体的に明記しない限り、アルコキシ基は置換されていてもよい。
「アルキルアミノ」とは、式−NHRAまたは−NRAAのラジカルを指し、RAはそれぞれ、独立して、1〜12個の炭素原子を含有する、上で定義されているアルキルラジカルである。本明細書において特に具体的に明記しない限り、アルキルアミノ基は置換されていてもよい。
「チオアルキル」とは、式−SRAのラジカルを指し、RAは、1〜12個の炭素原子を含有する、上で定義されているアルキルラジカルである。本明細書において特に具体的に明記しない限り、チオアルキル基は置換されていてもよい。
【0030】
「アリール」とは、水素、6〜18個の炭素原子、および少なくとも1つの芳香族環を含む、炭化水素環系ラジカルを指す。本発明の目的の場合、アリールラジカルは、単環式、二環式、三環式または四環式環系とすることができ、これらの環系は、縮合または架橋環系を含むことができる。好ましい実施形態では、アリールラジカルは、単環式環系である。アリールラジカルには、以下に限定されないが、アセアントリレン、アセナフチレン、アセフェナントリレン、アントラセン、アズレン、ベンゼン、クリセン、フルオランテン、フルオレン、as−インダセン、s−インダセン、インダン、インデン、ナフタレン、フェナレン、フェナントレン、プレイアデン、ピレン、およびトリフェニレンから誘導されるアリールラジカルが含まれる。本明細書において特に具体的に明記しない限り、用語「アリール」または接頭語の「アラ(ar−)」(アラルキルにおけるものなど)は、置換されていてもよいアリールラジカルを含むことが意図される。
「アラルキル」とは、式−RB−RCのラジカルであり、RBは、上で定義されているアルキレン鎖であり、RCは、上で定義されている1つまたは複数のアリールラジカルであり、例えば、ベンジル、ジフェニルメチルなどである。本明細書において特に具体的に明記しない限り、アラルキル基は置換されていてもよい。
【0031】
「シクロアルキル」または「炭素環式環」とは、炭素原子および水素原子だけからなる、安定な非芳香族単環式または多環式炭化水素ラジカルであって、縮合または架橋環系を含んでよく、3〜15個の炭素原子、好ましくは3〜10個の炭素原子を有し、飽和もしくは不飽和であり、単結合により分子の残りの部分に結合している非芳香族単環式または多環式炭化水素ラジカルを指す。ある種の好ましい実施形態では、「シクロアルキル」または「炭素環式環」とは、炭素原子および水素原子だけからなる安定な非芳香族単環式炭化水素ラジカルであって、3〜15個の炭素原子を有する、または3〜10個の炭素原子を有する、または3〜8個の炭素原子を有し、飽和または不飽和であり、単結合により分子の残りの部分に結合している、非芳香族単環式炭化水素ラジカルを指す。単環式ラジカルには、例えば、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、およびシクロオクチルが含まれる。多環式ラジカルには、例えば、アダマンチル、ノルボルニル、デカリニル、7,7−ジメチル−ビシクロ[2.2.1]ヘプタニルなどが含まれる。本明細書において特に具体的に明記されない限り、シクロアルキル基は置換されていてもよい。
【0032】
「シクロアルキルアルキル」とは、式−RBDのラジカルであって、RBは、上で定義されているアルキレン鎖であり、RDは、上で定義されているシクロアルキルラジカルであるラジカルを指す。本明細書において特に具体的に明記しない限り、シクロアルキルアルキル基は置換されていてもよい。
「縮合している」とは、本発明の化合物中に存在している環構造に縮合している、本明細書に記載されている任意の環構造を指す。縮合環がヘテロシクリル環またはヘテロアリール環である場合、縮合ヘテロシクリル環または縮合ヘテロアリール環の一部になる存在する環構造上の任意の炭素原子が、窒素原子により置きかえられていてもよい。
「ハロ」または「ハロゲン」とは、ブロモ、クロロ、フルオロまたはヨードを指す。
【0033】
「ハロアルキル」とは、上で定義されている1つまたは複数のハロラジカルにより置換されている、上で定義されているアルキルラジカル、例えば、トリフルオロメチル、ジフルオロメチル、トリクロロメチル、2,2,2−トリフルオロエチル、1,2−ジフルオロエチル、3−ブロモ−2−フルオロプロピル、1,2−ジブロモエチルなどを指す。本明細書において特に具体的に明記しない限り、ハロアルキル基は置換されていてもよい。
【0034】
「ヘテロシクリル」または「複素環式環」とは、2〜12個の炭素原子、ならびに窒素、酸素および硫黄からなる群から選択される1〜6個のヘテロ原子からなる、安定な3〜18員の非芳香族環ラジカルを指す。本明細書において特に具体的に明記しない限り、ヘテロシクリルラジカルは単環式、二環式、三環式または四環式環系とすることができ、これらの環系は縮合または架橋環系を含むことができ、ヘテロシクリルラジカル中の窒素、炭素または硫黄原子は、酸化されていてもよい。窒素原子は四級化されていてもよい。ヘテロシクリルラジカルは部分飽和または完全に飽和であってもよい。こうしたヘテロシクリルラジカルの例には、以下に限定されないが、ジオキソラニル、チエニル[1,3]ジチアニル、デカヒドロイソキノリル、イミダゾリニル、イミダゾリジニル、イソチアゾリジニル、イソオキサゾリジニル、モルホリニル、オクタヒドロインドリル、オクタヒドロイソインドリル、2−オキソピペラジニル、2−オキソピペリジニル、2−オキソピロリジニル、オキサゾリジニル、ピペリジニル、ピペラジニル、4−ピペリドニル、ピロリジニル、ピラゾリジニル、キヌクリジニル、チアゾリジニル、テトラヒドロフリル、トリチアニル、テトラヒドロピラニル、チオモルホリニル、チアモルホリニル、1−オキソ−チオモルホリニル、および1,1−ジオキソ−チオモルホリニルが含まれる。本明細書において特に具体的に明記しない限り、ヘテロシクリル基は置換されていてもよい。
【0035】
「N−ヘテロシクリル」とは、少なくとも1個の窒素を含有する、上で定義されているヘテロシクリルラジカルであり、ヘテロシクリルラジカルの分子の残りの部分への結合点は、ヘテロシクリルラジカル中の窒素原子を介している。本明細書において特に具体的に明記しない限り、N−ヘテロシクリル基は置換されていてもよい。
「ヘテロシクリルアルキル」とは、式−RBEのラジカルであって、RBは上で定義されているアルキレン鎖であり、REは上で定義されているヘテロシクリルラジカルであり、ヘテロシクリルが窒素含有ヘテロシクリルである場合、ヘテロシクリルは、窒素原子においてアルキルラジカルに結合し得るラジカルを指す。本明細書において特に具体的に明記しない限り、ヘテロシクリルアルキル基は置換されていてもよい。
【0036】
「ヘテロアリール」とは、水素原子、1〜13個の炭素原子、窒素、酸素および硫黄からなる群から選択される1〜6個のヘテロ原子、および少なくとも1つの芳香族環を含む、5〜14員の環系ラジカルを指す。本発明の目的のために、ヘテロアリールラジカルは単環式、二環式、三環式または四環式環系とすることができ、これらの環系は縮合または架橋環系を含むことができる。ヘテロアリールラジカル中の窒素、炭素または硫黄原子は、酸化されていてもよい。窒素原子は四級化されていてもよい。ある種の好ましい実施形態では、ヘテロアリールラジカルは単環式環系とすることができる。ヘテロアリールラジカル中の窒素、炭素または硫黄原子は、酸化されていてもよく、窒素原子は四級化されていてもよい。例には、以下に限定されないが、アゼピニル、アクリジニル、ベンゾイミダゾリル、ベンゾチアゾリル、ベンゾインドリル、ベンゾジオキソリル、ベンゾフラニル、ベンゾオキサゾリル、ベンゾチアゾリル、ベンゾチアジアゾリル、ベンゾ[b][1,4]ジオキセピニル、1,4−ベンゾジオキサニル、ベンゾナフトフラニル、ベンゾオキサゾリル、ベンゾジオキソリル、ベンゾジオキシニル、ベンゾピラニル、ベンゾピラノニル、ベンゾフラニル、ベンゾフラノニル、ベンゾチエニル(ベンゾチオフェニル)、ベンゾトリアゾリル、ベンゾ[4,6]イミダゾ[1,2−a]ピリジニル、カルバゾリル、シンノリニル、ジベンゾフラニル、ジベンゾチオフェニル、フラニル、フラノニル、イソチアゾリル、イミダゾリル、インダゾリル、インドリル、インダゾリル、イソインドリル、インドリニル、イソインドリニル、イソキノリル、インドリジニル、イソオキサゾリル、ナフチリジニル、オキサジアゾリル、2−オキソアゼピニル、オキサゾリル、オキシラニル、1−オキシドピリジニル、1−オキシドピリミジニル、1−オキシドピラジニル、1−オキシドピリダジニル、1−フェニル−1H−ピロリル、フェナジニル、フェノチアジニル、フェノキサジニル、フタラジニル、プテリジニル、プリニル、ピロリル、ピラゾリル、ピリジニル、ピラジニル、ピリミジニル、ピリダジニル、キナゾリニル、キノキサリニル、キノリニル、キヌクリジニル、イソキノリニル、テトラヒドロキノリニル、チアゾリル、チアジアゾリル、トリアゾリル、テトラゾリル、トリアジニル、およびチオフェニル(すなわち、チエニル)が含まれる。本明細書において特に具体的に明記しない限り、ヘテロアリール基は置換されていてもよい。
【0037】
「N−ヘテロアリール」とは、少なくとも1個の窒素を含有する、上で定義されているヘテロアリールラジカルであって、その分子の残りの部分への結合点は、ヘテロアリールラジカル中の窒素原子を介しているヘテロアリールラジカルを指す。本明細書において特に具体的に明記しない限り、N−ヘテロアリール基は置換されていてもよい。
「ヘテロアリールアルキル」とは、式−RBFのラジカルであって、RBは、上で定義されているアルキレン鎖であり、RFは、上で定義されているヘテロアリールラジカルであるラジカルを指す。本明細書において特に具体的に明記しない限り、ヘテロアリールアルキル基は置換されていてもよい。
【0038】
本明細書で使用される用語「置換されている」とは、上の基のいずれか(すなわち、アルキル、アルキレン、アルコキシ、アルキルアミノ、チオアルキル、アリール、アラルキル、シクロアルキル、シクロアルキルアルキル、ハロアルキル、ヘテロシクリル、N−ヘテロシクリル、ヘテロシクリルアルキル、ヘテロアリール、N−ヘテロアリールおよび/またはヘテロアリールアルキル)であって、少なくとも1個の水素原子が、結合により、以下に限定されないが、F、Cl、BrおよびIなどのハロゲン原子;ヒドロキシル基、アルコキシ基およびエステル基などの基中の酸素原子;チオール基、チオアルキル基、スルホン基、スルホニル基およびスルホキシド基などの基中の硫黄原子;アミン、アミド、アルキルアミン、ジアルキルアミン、アリールアミン、アルキルアリールアミン、ジアリールアミン、N−オキシド、イミドおよびエナミンなどの基中の窒素原子;トリアルキルシリル基、ジアルキルアリールシリル基、アルキルジアリールシリル基およびトリアリールシリル基などの基中のケイ素原子、および様々な他の基中の他のヘテロ原子などの非水素原子に置きかえられている、上記の基のいずれかを意味する。「置換されている」はまた、1個または複数の水素原子が、高次結合(例えば、二重結合または三重結合)により、オキソ、カルボニル、カルボキシルおよびエステル基中の酸素、ならびにイミン、オキシム、ヒドラゾンおよびニトリルなどの基中の窒素などのヘテロ原子に置きかえられている、上の基のいずれかを意味する。例えば、「置換されている」は、1個または複数の水素原子がNRGH、−NRGC(=O)RH、−NRGC(=O)NRGH、−NRGC(=O)ORH、−NRGC(=NRg)NRGH、−NRGSO2H、−OC(=O)NRGH、−ORG、−SRG、−SORG、−SO2G、−OSO2G、−SO2ORG、=NSO2G、および−SO2NRGHにより置きかえられている、上の基のいずれかを含む。「置換されている」はまた、1個または複数の水素原子が、−C(=O)RG、−C(=O)ORG、−C(=O)NRGH、−CH2SO2G、−CH2SO2NRGHにより置きかえられている、上の基のいずれかを意味する。上において、RGおよびRHは、同一または異なっており、独立して、水素、アルキル、アルコキシ、アルキルアミノ、チオアルキル、アリール、アラルキル、シクロアルキル、シクロアルキルアルキル、ハロアルキル、ヘテロシクリル、N−ヘテロシクリル、ヘテロシクリルアルキル、ヘテロアリール、N−ヘテロアリールおよび/またはヘテロアリールアルキルである。「置換されている」はさらに、1個または複数の水素原子が、結合により、アミノ、シアノ、ヒドロキシル、イミノ、ニトロ、オキソ、チオオキソ、ハロ、アルキル、アルコキシ、アルキルアミノ、チオアルキル、アリール、アラルキル、シクロアルキル、シクロアルキルアルキル、ハロアルキル、ヘテロシクリル、N−ヘテロシクリル、ヘテロシクリルアルキル、ヘテロアリール、N−ヘテロアリールおよび/またはヘテロアリールアルキル基により置きかえられている、上の基のいずれかを意味する。さらに、上の置換基のそれぞれはまた、1つまたは複数の上の置換基により、置換されていてもよい。
【0039】
用語「保護基」は、本明細書で使用する場合、合成手順の間の望ましくない反応に対して、ヒドロキシル基およびアミノ基を非限定的に含む反応性基を保護するために、当分野で公知の変換し易い(labile)化学部分を指す。保護基により保護されたヒドロキシル基およびアミノ基は、本明細書において、それぞれ、「保護ヒドロキシル基」および「保護アミノ基」と呼ばれる。保護基は、通常、選択的および/または直交して使用され、他の反応性部位での反応の間、部位を保護し、次に、除去されてそのまま、またはさらなる反応に利用可能な保護されていない基にされる。当分野において公知の保護基は、Greene and Wuts, Protective Groups in Organic Synthesis, 3rd edition, John Wiley & Sons, New York (1999)に一般に記載されている。一般に、基は保護されるか、または適切な時間、それらの最終的な基へと変換するために親分子の他の領域を修飾する反応に対して不活性となる前駆体として存在する。さらなる代表的な保護基または前駆体の基は、Agrawal, et al., Protocols for Oligonucleotide Conjugates, Eds, Humana Press; New Jersey, 1994; Vol. 26 pp. 1-72において議論されている。「ヒドロキシル保護基」の例には、以下に限定されないが、t−ブチル、t−ブトキシメチル、メトキシメチル、テトラヒドロピラニル、1−エトキシエチル、1−(2−クロロエトキシ)エチル、2−トリメチルシリルエチル、p−クロロフェニル、2,4−ジニトロフェニル、ベンジル、2,6−ジクロロベンジル、ジフェニル−メチル、p−ニトロベンジル、トリフェニルメチル、トリメチルシリル、トリエチルシリル、t−ブチルジメチルシリル、t−ブチルジフェニルシリル(TBDPS)、トリフェニルシリル、ベンゾイルホルメート、アセテート、クロロアセテート、トリクロロアセテート、トリフルオロ酢酸塩、ピバロエート、ベンゾエート、p−フェニルベンゾエート、9−フルオレニルメチルカルボネート、メシレートおよびトシレートが含まれる。「アミノ保護基」の例には、以下に限定されないが、2−トリメチルシリルエトキシカルボニル(Teoc)、1−メチル−1−(4−ビフェニルイル)エトキシカルボニル(Bpoc)、t−ブトキシカルボニル(BOC)、アリルオキシカルボニル(Alloc)、9−フルオレニルメチルオキシカルボニル(Fmoc)およびベンジルオキシカルボニル(Cbz)などのカルバメート保護基;ホルミル、アセチル、トリハロアセチル、ベンゾイルおよびニトロフェニルアセチルなどのアミド保護基;2−ニトロベンゼンスルホニルなどのスルホンアミド保護基;ならびにフタルイミドおよびジチアスクシノイルなどのイミンおよび環式イミド保護基が含まれる。
【0040】
本明細書において開示されている本発明はまた、異なる原子量または質量数を有する原子によって置き換えられている、1個または複数の原子を有することにより同位体標識されている、式(I)、(Ia)、(Ib)、(Ic)、(Id)および(Ie)の薬学的に許容される化合物のすべてを包含することが意図される。開示化合物に組み込むことができる同位体の例には、それぞれ、2H、3H、11C、13C、14C、13N、15N、15O、17O、18O、31P、32P、35S、18F、36Cl、123Iおよび125Iなどの水素、炭素、窒素、酸素、リン、フッ素、塩素およびヨウ素の同位体が含まれる。これらの放射標識されている化合物は、例えば、作用部位もしくは作用様式、または作用の薬理学的に重要な部位への結合親和力を特徴付けることによる、化合物の有効性の決定または測定の手助けに有用となり得る。式(I)、(Ia)、(Ib)、(Ic)、(Id)および(Ie)のある種の同位体標識化合物、例えば放射活性同位体を取り込んだ化合物は、薬物および/または基質組織の分布研究において有用である。放射活性同位体であるトリチウム、すなわち3H、および炭素−14、すなわち14Cは、それらの取込みの容易さ、および検出手段が既にあるという観点から、本目的に特に有用である。
ジュウテリウム、すなわち2Hなどのより重い同位体による置換は、より大きな代謝安定性に起因する、ある種の治療的利点をもたらすことがある。例えば、インビボ半減期が増加することがあるか、または投与必要量が低減されることがある。したがって、より重い同位体は、一部の環境において好ましいことがある。
11C、18F、15Oおよび13Nなどのポジトロン放出同位体による置換は、基質受容体占有率を試験するためのポジトロン断層法(PET)検討に有用となり得る。式(I)、(Ia)、(Ib)、(Ic)、(Id)および(Ie)の同位体標識化合物は、一般に、以前に使用された非標識試薬の代わりに、適切な同位体標識試薬を用いて、当業者に公知の従来の技法により、または以下に説明されている実施例において記載されているものと類似の方法により調製することができる。
【0041】
本明細書において開示されている本発明はまた、開示化合物のインビボ代謝産物を包含することも意図される。こうした産物は、主に酵素過程による、例えば、投与された化合物の酸化、還元、加水分解、アミド化、エステル化などから生じ得る。したがって、本発明には、その代謝産物を生じるのに十分な時間、本発明の化合物を哺乳動物に投与する工程を含む方法により産生される化合物が含まれる。こうした産物は、通常、本発明の放射標識化合物を、検出可能な用量でラット、マウス、モルモット、サルなどの動物、またはヒトに投与することにより特定され、これにより、代謝が起こる時間が十分になり、尿、血液または他の生物的試料から、その変換産物を単離することができる。
【0042】
「安定な化合物」および「安定な構造」は、反応混合物から有用な程度の純度での単離、および効力のある治療剤への製剤化の際に分解しない(survive)ほど十分に頑強な化合物を示すことが意図される。
「哺乳動物」には、ヒト、ならびに実験動物および家庭で飼育されるペット(例えば、ネコ、イヌ、ブタ、ウシ、ヒツジ、ヤギ、ウマ、ウサギ)と野生動物などの非家庭動物の両方が含まれる。
「してもよい(optional)」または「してもよい(optionally)」とは、続いて記載されている状況の事象が行われてもよく、または行われなくてもよいこと、ならびにその記載したことが、前記事象または状況が行われる場合および行われない場合を含むことを意味する。例えば、「置換されていてもよいアリール」とは、アリールラジカルが、置換されていてもよく、または置換されていなくてもよいこと、およびこの記載は、置換されているアリールラジカルと置換基を有さないアリールラジカルの両方を含む。
【0043】
「薬学的に許容される担体、希釈剤または賦形剤」には、非限定的に、米国食品医薬品局により、ヒトまたは家庭動物における使用が許容されているものとして承認されている、任意のアジュバント、担体、賦形剤、流動促進剤、甘味剤、希釈剤、保存剤、色素/着色剤、フレーバー増強剤、界面活性剤、湿潤剤、分散剤、懸濁剤、安定剤、等張剤、溶媒、または乳化剤が含まれる。
【0044】
本明細書において開示されている化合物の「薬学的に許容される塩」の例には、アルカリ金属(例えば、ナトリウム)、アルカリ土類金属(例えば、マグネシウム)、アンモニウムおよびNX4+(式中、XはC1−C4アルキルである)などの適切な塩基から誘導される塩が含まれる。窒素原子またはアミノ基の薬学的に許容される塩には、例えば、酢酸、安息香酸、乳酸、フマル酸、酒石酸、マレイン酸、マロン酸、リンゴ酸、イセチオン酸、ラクトビオン酸およびコハク酸などの有機カルボン酸;メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸およびp−トルエンスルホン酸などの有機スルホン酸;塩酸、臭化水素酸、硫酸、リン酸およびスルファミン酸などの無機酸の塩が含まれる。ヒドロキシ基の化合物の薬学的に許容される塩には、Na+およびNX4+(ここで、Xは、HまたはC1−C4アルキル基から独立して選択される)などの適切な陽イオンと組み合わせた、前記化合物の陰イオンが含まれる。
【0045】
治療的使用の場合、本明細書において開示されている化合物の活性成分の塩は、通常、薬学的に許容されるものであり、すなわちそれらは、生理的に許容される酸または塩基から誘導される塩となる。しかし、薬学的に許容されない酸または塩基の塩も、例えば、式(I)、(Ia)、(Ib)、(Ic)、(Id)、(Ie)の化合物もしくは本発明の別の化合物の調製または精製において有用となり得る。生理的に許容される酸または塩基から誘導されたか否かに関わらず、すべての塩が本発明の範囲内にある。
金属塩は、通常、金属水酸化物を本発明の化合物と反応させることにより調製される。この方法で調製される金属塩の例は、Li+、Na+およびK+を含有する塩である。適切な金属化合物の添加により、より可溶な塩の溶液からより可溶性に乏しい金属塩を沈殿させることができる。
【0046】
さらに、塩は、ある種の有機酸および無機酸、例えば、HCl、HBr、H2SO4、H3PO4または有機スルホン酸の塩基性中心、通常アミンへの酸付加から形成され得る。最終的に、本明細書における組成物は、本明細書において開示されている化合物を、それらの非イオン化形態および両性イオン形態で、および水和物の場合のように化学量論量の水と組み合わせて含むことを理解されたい。
結晶化により、本発明の化合物の溶媒和物が生成することが多い。本明細書で使用する場合、用語「溶媒和物」は、1つまたは複数の溶媒分子を有する本発明の化合物の1つまたは複数の分子を含む凝集体を指す。この溶媒は、水であってもよく、この場合、溶媒和物は水和物とすることができる。あるいは、溶媒は有機溶媒であってもよい。したがって、本発明の化合物は、一水和物、二水和物、半水和物、セスキ水和物、三水和物、四水和物などを含む水和物として、および対応する溶媒和されている形態として存在し得る。本発明の化合物は真の溶媒和物であってもよいが、他の場合、本発明の化合物は、単に、偶発的な水を保持していてもよく、または水とある偶発的な溶媒との混合物であってもよい。
【0047】
「医薬組成物」は、本発明の化合物の製剤、および一般に、生物活性な化合物を哺乳動物、例えばヒトに送達するために当分野で許容されている媒体を指す。こうした媒体には、そのための薬学的に許容される担体、希釈剤または賦形剤のすべてが含まれる。
「有効量」または「治療有効量」とは、それを必要とする患者に投与すると、化合物が有用性を示す疾患状況、状態または障害に対する処置を行うのに十分な、本発明による化合物の量を指す。こうした量は、組織系、または研究者もしくは臨床医により求められた患者の生物的または医学的応答を引き出すのに十分なものである。治療有効量を構成する本発明による化合物の量は、化合物およびその生物活性、投与に使用される組成物、投与時間、投与経路、化合物の排出速度、処置期間、処置される疾患状況または障害のタイプおよびその重症度、本発明の化合物と組み合わせてまたは同時に使用される薬物、ならびに患者の年齢、体重、一般的な健康、性別および食事などの要因に応じて変化する。こうした治療有効量は、当業者自身の知識、現状の技術、および本開示を考慮して、当業者により決まった手順で決定され得る。
【0048】
用語「処置」とは、本明細書で使用する場合、患者において、HIV感染症の症状を緩和もしくは排除する、および/またはウイルス負荷を軽減するために、本発明による化合物または組成物を投与することを意味することが意図される。用語「処置」はまた、疾患の症状の発現を予防するためおよび/またはウイルスが血液中に検出可能なレベルに到達するのを予防するため、個体がウイルスに曝露した後ではあるが、疾患の症状が発現する前、および/または血液中にウイルスが検出される前に、本発明による化合物または組成物を投与すること、ならびに母体から乳児へのHIVの周産期感染を予防するため、出産前に母体におよび生後1日目以内にその乳児に投与することによって、本発明による化合物または組成物を投与することも包含する。
【0049】
用語「抗ウイルス剤」とは、本明細書で使用する場合、以下に限定されないが、宿主かヒトにおけるウイルスの形成および/または複製に必要なウイルスメカニズムのどちらか一方を妨害する薬剤を含む、ヒトにおいて、ウイルスの形成および/または複製を阻害するのに有用な薬剤(化合物または生物剤)を意味することが意図される。
用語「HIV複製の阻害剤」とは、本明細書で使用する場合、インビトロ、エクスビボまたはインビボのいずれかに関わらず、宿主細胞においてHIVが複製する能力を低減または排除することが可能な薬剤を意味することが意図される。
【0050】
本発明の化合物またはそれらの薬学的に許容される塩は、1つまたは複数の不斉中心を含有することがあり、したがって、(R)−もしくは(S)−、またはアミノ酸の場合(D)−もしくは(L)−として、絶対立体化学に関して定義することができる、鏡像異性体、ジアステレオマー、および他の立体異性体が生じることがある。本発明は、こうした考えられる異性体のすべて、ならびにそれらのラセミ体および光学的に純粋な形態を含むことが意図される。光学的に活性な(+)および(−)、(R)−および(S)−、または(D)−および(L)−異性体は、キラルシントンまたはキラル試薬を使用して調製することができるか、または従来の技法、例えば、クロマトグラフィーおよび分別結晶化を使用して分割することができる。個々の鏡像異性体の調製/単離に関する従来の技法には、適切な光学的に純粋な前駆体からのキラル合成、または例えばキラル高圧液体クロマトグラフィー(HPLC)を使用する、ラセミ体(または、塩もしくは誘導体のラセミ体)の分割が含まれる。本明細書に記載されている化合物が、オレフィン性二重結合または他の幾何的な不斉中心を含有する場合、特に指定しない限り、化合物は、EおよびZ幾何異性体の両方を含むことが意図される。同様に、互変異性体のすべても、含まれることが意図される。
【0051】
「立体異性体」とは、同じ結合により結合されている同じ原子から構成されるが、異なる三次元構造を有する化合物であって、互換可能ではない化合物を指す。本発明は、その様々な立体異性体および混合物を企図し、その分子が互いに重ね合わせることができない鏡像である2つの立体異性体を指す、「鏡像異性体」を含む。
「互変異性体」とは、プロトンが分子の1個の原子から同じ分子の別の原子に移動することを指す。本発明は、いずれの前記化合物の互変異性体も含む。
【0052】
化合物
上記の通り、本発明の一実施形態では、以下の式(I)を揺有する、抗ウイルス活性を有する化合物、またはその立体異性体もしくは薬学的に許容される塩が提供される。
【化18】
(I)
[式中、
1およびY2は、それぞれ独立して、水素、C1-3アルキルまたはC1-3ハロアルキルであり、
1は、1〜3個のハロゲンにより置換されているフェニルであり、
Xは、−O−、−NR2−、−CHR3−または結合であり、
2およびR3は、それぞれ独立して、水素またはC1-3アルキルであり、
Lは、−C(Ra2C(Ra2−であり、
aはそれぞれ、独立して、水素、ハロ、ヒドロキシルまたはC1-4アルキルであり、
隣接する炭素原子上の2つのRa基は、それらが結合している炭素原子と一緒になって、以下の構造を有する炭素環式環を形成する
【0053】
【化19】
(式中、Rbはそれぞれ、独立して、水素またはハロである)]
【0054】
本発明の一実施形態では、以下の式(Ia)を有する化合物、またはその立体異性体もしくは薬学的に許容される塩が提供される。
【化20】
(Ia)
【0055】
[式中、
1およびY2は、それぞれ独立して、水素、C1-3アルキルまたはC1-3ハロアルキルであり、
1は、1〜3個のハロゲン原子により置換されているフェニルであり、
Xは、−O−、−NR2−、−CHR3−または結合であり、
2およびR3は、それぞれ独立して、水素またはC1-3アルキルであり、
Lは、−C(Ra2C(Ra2−であり、
aはそれぞれ、独立して、水素、ハロ、ヒドロキシルまたはC1-4アルキルであり、
隣接する炭素原子上の2つのRa基は、それらが結合している炭素原子と一緒になって、以下の構造を有する炭素環式環を形成する
【0056】
【化21】
(式中、Rbはそれぞれ、独立して、水素またはハロである)]
【0057】
本発明の一実施形態では、以下の式(Ib)を有する化合物、またはその立体異性体もしくは薬学的に許容される塩が提供される。
【化22】
(Ib)
[式中、
1およびY2は、それぞれ独立して、水素、C1-3アルキルまたはC1-3ハロアルキルであり、
1は、1〜3個のハロゲン原子により置換されているフェニルであり、
Xは、−O−、−NR2−、−CHR3−または結合であり、
2およびR3は、それぞれ独立して、水素またはC1-3アルキルであり、
Lは、−C(Ra2C(Ra2−であり、
aはそれぞれ、独立して、水素、ハロ、ヒドロキシルまたはC1-4アルキルであり、
隣接する炭素原子上の2つのRa基は、それらが結合している炭素原子と一緒になって、以下の構造を有する炭素環式環を形成する
【0058】
【化23】
(式中、Rbはそれぞれ、独立して、水素またはハロである)]
【0059】
本発明の一実施形態では、以下の式(Ic)を有する化合物、またはその立体異性体もしくは薬学的に許容される塩が提供される。
【化24】
(Ic)
[式中、
1およびY2は、それぞれ独立して、水素、C1-3アルキルまたはC1-3ハロアルキルであり、
1は、1〜3個のハロゲン原子により置換されているフェニルであり、
Xは、−O−、−NR2−、−CHR3−または結合であり、
2およびR3は、それぞれ独立して、水素またはC1-3アルキルであり、
Lは、−C(Ra2C(Ra2−であり、
aはそれぞれ、独立して、水素、ハロ、ヒドロキシルまたはC1-4アルキルであり、
隣接する炭素原子上の2つのRa基は、それらが結合している炭素原子と一緒になって、以下の構造を有する炭素環式環を形成する
【0060】
【化25】
(式中、Rbはそれぞれ、独立して、水素またはハロである)]
【0061】
本発明の一実施形態では、以下の式(Id)を有する化合物、またはその立体異性体もしくは薬学的に許容される塩が提供される。
【化26】
(Id)
【0062】
[式中、
1およびY2は、それぞれ独立して、水素、C1-3アルキルまたはC1-3ハロアルキルであり、
1は、1〜3個のハロゲン原子により置換されているフェニルであり、
Xは、−O−、−NR2−、−CHR3−または結合であり、
2およびR3は、それぞれ独立して、水素またはC1-3アルキルであり、
Lは、−C(Ra2C(Ra2−であり、
aはそれぞれ、独立して、水素、ハロ、ヒドロキシルまたはC1-4アルキルであり、
隣接する炭素原子上の2つのRa基は、それらが結合している炭素原子と一緒になって、以下の構造を有する炭素環式環を形成する
【0063】
【化27】
(式中、Rbはそれぞれ、独立して、水素またはハロである)]
【0064】
本発明の一実施形態では、以下の式(Ie)を有する化合物、またはその立体異性体もしくは薬学的に許容される塩が提供される。
【化28】
(Ie)
[式中、
1およびY2は、それぞれ独立して、水素、C1-3アルキルまたはC1-3ハロアルキルであり、
1は、1〜3個のハロゲン原子により置換されているフェニルであり、
Xは、−O−、−NR2−、−CHR3−または結合であり、
2およびR3は、それぞれ独立して、水素またはC1-3アルキルであり、
Lは、−C(Ra2C(Ra2−であり、
aはそれぞれ、独立して、水素、ハロ、ヒドロキシルまたはC1-4アルキルであり、
隣接する炭素原子上の2つのRa基は、それらが結合している炭素原子と一緒になって、以下の構造を有する炭素環式環を形成する
【0065】
【化29】
(式中、Rbはそれぞれ、独立して、水素またはハロである)]
別の実施形態では、Xは、−O−である。別の実施形態では、Xは、−NH−である。別の実施形態では、Xは、−CH2−である。別の実施形態では、Xは、結合である。
【0066】
別の実施形態では、Y1はC1-4アルキルであり、Y2は水素である。別の実施形態では、Y1はメチルであり、Y2は水素である。別の実施形態では、Y1はC1-4ハロアルキルであり、Y2は水素である。別の実施形態では、Y1は、CF3であり、Y2は水素である。別の実施形態では、Y1は水素、メチルまたはCF3であり、Y2は水素である。別の実施形態では、Y1およびY2は両方とも水素である。
別の実施形態では、R1は1個のハロゲンにより置換されている。さらなる実施形態では、R1は、4−フルオロフェニルまたは2−フルオロフェニルである。
別の実施形態では、R1は2個のハロゲンにより置換されている。さらなる実施形態では、R1は、2,4−ジフルオロフェニル、2,3−ジフルオロフェニル、2,6−ジフルオロフェニル、3−フルオロ−4−クロロフェニル、3,4−ジフルオロフェニル、2−フルオロ−4−クロロフェニルまたは3,5−ジフルオロフェニルである。またさらなる実施形態では、R1は2,4−ジフルオロフェニルである。
別の実施形態では、R1は3個のハロゲンにより置換されている。さらなる実施形態では、R1は、2,4,6−トリフルオロフェニルまたは2,3,4−トリフルオロフェニルである。またさらなる実施形態では、R1は、2,4,6−トリフルオロフェニルである。
別の実施形態では、Rbはそれぞれ、独立して水素である。別の実施形態では、Rbはそれぞれ、独立してハロゲンである。さらなる実施形態では、Rbはそれぞれ、フルオロである。
【0067】
一実施形態では、式(I)、(Ia)、(Ib)、(Ic)、(Id)、(Ie)の化合物、またはそれらの立体異性体もしくは薬学的に許容される塩、および薬学的に許容される担体、希釈剤または賦形剤を含む、医薬組成物が提供される。
治療有効量の式(I)、(Ia)、(Ib)、(Ic)、(Id)、(Ie)の化合物、またはそれらの医薬組成物をヒトに投与することによる、HIV感染症を有しているまたはそれを有するリスクがあるヒトにおいて、HIV感染症を処置または予防する方法を含む、別の実施形態が提供される。
別の実施形態では、HIV感染症を有しているまたはそれを有するリスクがあるヒトにおいて、HIV感染症を処置または予防するための、式(I)、(Ia)、(Ib)、(Ic)、(Id)、(Ie)の化合物またはそれらの医薬組成物の使用。
【0068】
上でさらに明記されている通り、本発明の別の実施形態では、以下の式(I)を有する、抗ウイルス活性を有する化合物、またはその立体異性体もしくは薬学的に許容される塩が提供される。
【化30】
(I)
【0069】
[式中、
1およびY2は、それぞれ独立して、水素、C1-3アルキルまたはC1-3ハロアルキルであるか、またはY1とY2は、それらが結合している炭素原子と一緒になって、3〜6個の環原子を有する炭素環式環または3〜6個の環原子を有する複素環式環を形成し、炭素環式環または複素環式環は、1つまたは複数のRcにより置換されていてもよく、
cはそれぞれ、独立して、水素、ハロ、ヒドロキシルまたはC1-4アルキルであるか、または2つのRc基が、それらが結合している炭素原子と一緒になって、C=Oを形成し、
1は、置換されていてもよいアリールまたは置換されていてもよいヘテロアリールであり、
Xは、−O−、−NR2−、−CHR3−または結合であり、
2およびR3は、それぞれ独立して、水素またはC1-3アルキルであり、
Lは、−C(Ra2C(Ra2−であり、
aはそれぞれ、独立して、水素、ハロ、ヒドロキシルまたはC1-4アルキルであり、
隣接する炭素原子上の2つのRa基は、それらが結合している炭素原子と一緒になって、以下の構造を有する炭素環式環を形成する
【0070】
【化31】
(式中、Rbはそれぞれ、独立して、水素またはハロである)]
【0071】
別の実施形態では、以下の式(II−A)、(II−B)、(II−C)または(II−D)の1つを有する化合物が提供される。
【化32】
【0072】
別の実施形態では、以下の式(II−E)、(II−F)、(II−G)または(II−H)の1つを有する化合物が提供される。
【化33】
【0073】
別の実施形態では、Xは、−O−である。別の実施形態では、Xは、−NH−である。別の実施形態では、Xは、−CH2−である。別の実施形態では、Xは、結合である。
別の実施形態では、R1はフェニルである。別の実施形態では、R1はピリジニルである。
別の実施形態では、R1は少なくとも1個のハロゲンにより置換されている。
別の実施形態では、R1は1個のハロゲンにより置換されている。さらなる実施形態では、R1は、4−フルオロフェニルまたは2−フルオロフェニルである。
【0074】
別の実施形態では、R1は2個のハロゲンにより置換されている。さらなる実施形態では、R1は、2,4−ジフルオロフェニル、2,3−ジフルオロフェニル、2,6−ジフルオロフェニル、3−フルオロ−4−クロロフェニル、3,4−ジフルオロフェニル、2−フルオロ−4−クロロフェニルまたは3,5−ジフルオロフェニルである。またさらなる実施形態では、R1は2,4−ジフルオロフェニルである。
別の実施形態では、R1は3個のハロゲンにより置換されている。さらなる実施形態では、R1は、2,4,6−トリフルオロフェニルまたは2,3,4−トリフルオロフェニルである。またさらなる実施形態では、R1は、2,4,6−トリフルオロフェニルである。
別の実施形態では、Rbはそれぞれ、独立して水素である。別の実施形態では、Rbはそれぞれ、独立してハロゲンである。さらなる実施形態では、Rbはそれぞれ、フルオロである。
一実施形態では、式(I)、(Ia)、(Ib)、(Ic)、(Id)、(Ie)、(II−A)、(II−B)、(II−C)、(II−D)、(II−E)、(II−F)、(II−G)および(II−H)のいずれか1つの化合物、またはその立体異性体もしくは薬学的に許容される塩、および薬学的に許容される担体、希釈剤または賦形剤を含む、医薬組成物が提供される。
【0075】
治療有効量の式(I)、(Ia)、(Ib)、(Ic)、(Id)、(Ie)、(II−A)、(II−B)、(II−C)、(II−D)、(II−E)、(II−F)、(II−G)および(II−H)のいずれか1つの化合物、またはそれらの医薬組成物をヒトに投与することによる、HIV感染症を有しているまたはそれを有するリスクがあるヒトにおいて、HIV感染症を処置または予防する方法を含む、別の実施形態が提供される。
別の実施形態では、HIV感染症を有しているまたはそれを有するリスクがあるヒトにおいて、HIV感染症を処置または予防するための、式(I)、(Ia)、(Ib)、(Ic)、(Id)、(Ie)、(II−A)、(II−B)、(II−C)、(II−D)、(II−E)、(II−F)、(II−G)および(II−H)のいずれか1つの化合物またはそれらの医薬組成物の使用。
【0076】
上で説明されている式(I)、(Ia)、(Ib)、(Ic)、(Id)、(Ie)、(II−A)、(II−B)、(II−C)、(II−D)、(II−E)、(II−F)、(II−G)および(II−H)のいずれか1つの化合物のいずれかの実施形態、および上で説明されている式(I)、(Ia)、(Ib)、(Ic)、(Id)または(Ie)の化合物におけるR1、R2、R3、Ra、Rb、Rc、X、Y1、Y2またはL基に関する本明細書において説明されているいかなる具体的な置換基も、他の実施形態、および/または式(I)、(Ia)、(Ib)、(Ic)、(Id)、(Ie)、(II−A)、(II−B)、(II−C)、(II−D)、(II−E)、(II−F)、(II−G)および(II−H)のいずれか1つの化合物の置換基と独立して組み合わせ、具体的に上で説明されていない本発明の実施形態を形成することができることが理解される。さらに、特定の実施形態および/または特許請求の範囲において、いかなる具体的なR1、R2、R3、Ra、Rb、Rc、X、Y1、Y2またはLに関して、置換基の一覧が列挙されている場合、個々の置換基それぞれが、特定の実施形態および/または特許請求の範囲から除くことができること、および置換基の残りの一覧が本発明の範囲内にあると見なされることが理解される。
【0077】
医薬組成物
投与の目的のために、ある種の実施形態では、本明細書に記載されている化合物は、原料化学品として投与されるか、または医薬組成物として製剤化される。本発明の医薬組成物は、式(I)、(Ia)、(Ib)、(Ic)、(Id)、(Ie)の化合物、および薬学的に許容される担体、希釈剤または賦形剤を含む。式(I)、(Ia)、(Ib)、(Ic)、(Id)、(Ie)の化合物は、目的の特定の疾患または状態を処置するのに有効な量で、組成物中に存在している。式(I)、(Ia)、(Ib)、(Ic)、(Id)、(Ie)の化合物の活性は、例えば、以下の実施例において記載されている通り、当業者によって決定することができる。適切な濃度および投与量は、当業者により容易に決定することができる。
【0078】
純粋な形態にある、または適切な医薬組成物中の本発明の化合物またはそれらの薬学的に許容される塩の投与は、類似の利用性を果たす薬剤の容認されている投与形式のいずれかによって行うことができる。本発明の医薬組成物は、本発明の化合物と適切な薬学的に許容される担体、希釈剤または賦形剤を組み合わせることにより調製することができ、錠剤、カプセル剤、散剤、顆粒剤、軟膏剤、液剤、座剤、注射剤、吸入剤、ゲル剤、マイクロスフィアおよびエアゾールなどの、固体、半固体、液体または気体の形態にある調製物に製剤化することができる。こうした医薬組成物を投与する典型的な経路には、非限定的に、経口、局所、経皮、吸入、非経口、舌下、口腔内、直腸、膣内および鼻内が含まれる。本発明の医薬組成物は、その中に含有している活性成分が、患者に組成物を投与した際に、生体利用可能となるように、製剤化される。対象または患者に投与されることになる組成物は、1つまたは複数の投与単位の形態をとり、この場合、例えば、錠剤は単回投与単位であってもよく、エアゾールにおける本発明の化合物の容器は、複数の投与単位を保持することができる。こうした剤形を調製する実際の方法は、当業者に公知であるかまたは明らかである。例えば、Remington: The Science and Practice of Pharmacy, 20th Edition (Philadelphia College of Pharmacy and Science, 2000)を参照されたい。投与される組成物は、いかなる場合においても、本発明の教示にしたがって、目的の疾患または状態を処置するための、治療有効量の本発明の化合物またはその薬学的に許容される塩を含有する。
【0079】
本発明の医薬組成物は、医薬品分野において周知の方法により調製することができる。例えば、注射により投与されるよう意図されている医薬組成物は、液剤を形成するよう、本発明の化合物と滅菌蒸留水とを組み合わせることによって調製することができる。界面活性剤を添加して、均一溶液または懸濁液の形成を促進することができる。界面活性剤は、水性送達系において化合物の溶解または均一な懸濁を容易にするよう、本発明の化合物と非共有結合により相互作用する化合物である。
本発明の化合物またはその薬学的に許容される塩は、治療有効量で投与され、この治療有効量は、使用される具体的な化合物の活性、化合物の代謝安定性および作用期間、患者の年齢、体重、一般的な健康、性別および食事、投与形式および時間、排出速度、薬物組合せ、特定の障害または状態の重症度、および対象が受けている治療法を含む、様々な要因に応じて変化する。
【0080】
併用療法
一実施形態では、HIV感染症を有しているまたはそれを有するリスクがあるヒトにおいて、HIV感染症を処置または予防する方法であって、治療有効量の本明細書において開示されている化合物またはその薬学的に許容される塩を、治療有効量の1種または複数(例えば、1種、2種、3種、1種もしくは2種、または1〜3種)の追加の治療剤と組み合わせてヒトに投与する工程を含む方法が提供される。一実施形態では、HIV感染症を有しているまたはそれを有するリスクがあるヒトにおいて、HIV感染症を処置する方法であって、治療有効量の本明細書において開示されている化合物またはその薬学的に許容される塩を、治療有効量の1種または複数(例えば、1種、2種、3種、1種もしくは2種、または1〜3種)の追加の治療剤と組み合わせてヒトに投与する工程を含む方法が提供される。
【0081】
一実施形態では、本明細書において開示されている化合物またはその薬学的に許容される塩を、1種または複数(例えば、1種、2種、3種、1種もしくは2種、または1〜3種)の追加の治療剤、および薬学的に許容される担体、希釈剤または賦形剤と組み合わせて含む、医薬組成物が提供される。
【0082】
一実施形態では、本明細書において開示されている化合物またはその薬学的に許容される塩を、1種または複数(例えば、1種、2種、3種、1種もしくは2種、または1〜3種)の追加の治療剤と組み合わせて含む、組合せ医薬品が提供される。
【0083】
上記の実施形態では、追加の治療剤は抗HIV剤とすることができる。例えば、一部の実施形態では、追加の治療剤は、HIVプロテアーゼ阻害剤、逆転写酵素のHIV非ヌクレオシド阻害剤、逆転写酵素のHIVヌクレオシドまたはヌクレオチド阻害剤、HIVインテグラーゼ阻害剤、HIV非触媒部位(また、アロステリック)インテグラーゼ阻害剤、侵入阻害剤(例えば、CCR5阻害剤、gp41阻害剤(すなわち、融合阻害剤)およびCD4結合阻害剤)、CXCR4阻害剤、gp120阻害剤、G6PDおよびNADH−オキシダーゼ阻害剤、HIVカプシド(「カプシド阻害剤」、例えば、WO2013/006738(Gilead Sciences)、US2013/0165489(University of Pennsylvania)、およびWO2013/006792(Pharma Resources)において開示されているものなどのカプシド重合阻害剤またはカプシド撹乱化合物)を標的とする化合物、薬物動態学的増強剤、およびHIVを処置するための他の薬物、ならびにそれらの組合せからなる群から選択される。さらなる実施形態では、追加の治療剤は、
(1)アンプレナビル、アタザナビル、ホサンプレナビル、インジナビル、ロピナビル、リトナビル、ネルフィナビル、サキナビル、チプラナビル、ブレカナビル、ダルナビル、TMC−126、TMC−114、モゼナビル(DMP−450)、JE−2147(AG1776)、L−756423、RO0334649、KNI−272、DPC−681、DPC−684、GW640385X、DG17、PPL−100、DG35およびAG1859からなる群から選択されるHIVプロテアーゼ阻害剤、
(2)カプラビリン、エミビリン、デラビリジン、エファビレンズ、ネビラピン、(+)カラノリドA、エトラビリン、GW5634、DPC−083、DPC−961、DPC−963、MIV−150、TMC−120、リルピビレン、BILR355BS、VRX840773、レルシビリン(UK−453061)、RDEA806、KM023およびMK−1439からなる群から選択される逆転写酵素のHIV非ヌクレオシド阻害剤または非ヌクレオチド阻害剤、
(3)ジドブジン、エムトリシタビン、ジダノシン、スタブジン、ザルシタビン、ラミブジン、アバカビル、アバカビル(abavavir)硫酸塩、アムドキソビル、エルブシタビン、アロブジン、MIV−210、±−FTC、D−d4FC、エムトリシタビン、ホスファジド、ホジブジンチドキシル、アプリシチビン(AVX754)、KP−1461、GS−9131(Gilead Sciences)およびホサルブジンチドキシル(以前はHDP99.0003)、テノホビル、テノホビルジソプロキシルフマル酸塩、テノホビルアラフェナミド(Gilead Sciences)、テノホビルアラフェナミドヘミフマル酸塩(Gilead Sciences)、GS−9148(Gilead Sciences)、アデホビル、アデホビルジピボキシル、CMX−001(Chimerix)またはCMX−157(Chimerix)からなる群から選択される逆転写酵素のHIVヌクレオシドまたはヌクレオチド阻害剤、
(4)クルクミン、クルクミンの誘導体、チコリ酸、チコリ酸の誘導体、3,5−ジカフェオイルキナ酸、3,5−ジカフェオイルキナ酸の誘導体、アウリントリカルボン酸、アウリントリカルボン酸の誘導体、コーヒー酸フェネチルエステル、コーヒー酸フェネチルエステルの誘導体、チルホスチン、チルホスチンの誘導体、ケルセチン、ケルセチンの誘導体、S−1360、AR−177、L−870812およびL−870810、ラルテグラビル、BMS−538158、GSK364735C、BMS−707035、MK−2048、BA011、エルビテグラビル、ドルテグラビルおよびGSK−744からなる群から選択されるHIVインテグラーゼ阻害剤、
【0084】
(5)以下に限定されないが、BI−224436、CX0516、CX05045、CX14442、それらのそれぞれの全体が、参照により本明細書に組み込まれる、WO2009/062285(Boehringer Ingelheim)、WO2010/130034(Boehringer Ingelheim)、WO2013/159064(Gilead Sciences)、WO2012/145728(Gilead Sciences)、WO2012/003497(Gilead Sciences)、WO2012/003498(Gilead Sciences)に開示されている化合物を含む、HIV非触媒部位またはアロステリックインテグラーゼ阻害剤(NCINI)、
(6)エンフビルチド、シフビルチド、アルブビルチド、FB006MおよびTRI−1144からなる群から選択されるgp41阻害剤
(7)CXCR4阻害剤であるAMD−070、
(8)侵入阻害剤であるSP01A、
(9)gp120阻害剤であるBMS−488043、
(10)G6PDおよびNADH−オキシダーゼ阻害剤であるイミュニチン、
【0085】
(11)アプラビロック、ビクリビロック、マラビロック、セニクリビロック、PRO−140、INCB15050、PF−232798(Pfizer)およびCCR5mAb004からなる群から選択されるCCR5阻害剤
(12)イバリズマブ(TMB−355)およびBMS−068(BMS−663068)からなる群から選択されるCD4結合阻害剤、
(13)コビシスタットおよびSPI−452からなる群から選択される薬物動態学的増強剤、
(14)BAS−100、SPI−452、REP9、SP−01A、TNX−355、DES6、ODN−93、ODN−112、VGV−1、PA−457(ベビリマット)、HRG214、VGX−410、KD−247、AMZ0026、CYT99007A−221HIV、DEBIO−025、BAY50−4798、MDX010(イピリムマブ)、PBS119、ALG889およびPA−1050040(PA−040)からなる群から選択される、HIVを処置するための他の薬物
の1つまたは複数のもの、
およびそれらの組合せから選択される。
【0086】
ある種の実施形態では、本明細書において開示されている化合物またはその薬学的に許容される塩は、1つ、2つ、3つ、4つまたはそれ超の追加の治療剤と組み合わされる。ある種の実施形態では、本明細書において開示されている化合物またはその薬学的に許容される塩は、2つの追加の治療剤と組み合わされる。他の実施形態では、本明細書において開示されている化合物またはその薬学的に許容される塩は、3つの追加の治療剤と組み合わされる。さらなる実施形態では、本明細書において開示されている化合物またはその薬学的に許容される塩は、4つの追加の治療剤と組み合わされる。2つ、3つ、4つまたはそれ超の追加の治療剤は、同じクラスの治療剤から選択される異なる治療剤とすることができるか、またはそれらは、異なるクラスの治療剤から選択することができる。特定の実施形態では、本明細書において開示されている化合物またはその薬学的に許容される塩は、逆転写酵素のHIVヌクレオシドまたはヌクレオチド阻害剤、および逆転写酵素のHIV非ヌクレオシド阻害剤と組み合わされる。別の特定の実施形態では、本明細書において開示されている化合物またはその薬学的に許容される塩は、逆転写酵素のHIVヌクレオシドまたはヌクレオチド阻害剤、およびHIVプロテアーゼ阻害化合物と組み合わされる。さらなる実施形態では、本明細書において開示されている化合物またはその薬学的に許容される塩は、逆転写酵素のHIVヌクレオシドまたはヌクレオチド阻害剤、逆転写酵素のHIV非ヌクレオシド阻害剤、およびHIVプロテアーゼ阻害化合物と組み合わされる。追加的な実施形態では、本明細書において開示されている化合物またはその薬学的に許容される塩は、逆転写酵素のHIVヌクレオシドまたはヌクレオチド阻害剤、逆転写酵素のHIV非ヌクレオシド阻害剤、および薬物動態学的増強剤と組み合わされる。別の実施形態では、本明細書において開示されている化合物またはその薬学的に許容される塩は、逆転写酵素のHIVヌクレオシドまたはヌクレオチド阻害剤の2つと組み合わされる。
【0087】
特定の実施形態では、本明細書において開示されている化合物またはその薬学的に許容される塩は、アバカビル硫酸塩、テノホビル、テノホビルジソプロキシルフマル酸塩、テノホビルアラフェナミド、またはテノホビルアラフェナミドヘミフマル酸塩と組み合わされる。
特定の実施形態では、本明細書において開示されている化合物またはその薬学的に許容される塩は、テノホビル、テノホビルジソプロキシルフマル酸塩、テノホビルアラフェナミド、またはテノホビルアラフェナミドヘミフマル酸塩と組み合わされる。
特定の実施形態では、本明細書において開示されている化合物またはその薬学的に許容される塩は、アバカビル硫酸塩、テノホビル、テノホビルジソプロキシルフマル酸塩、テノホビルアラフェナミド、およびテノホビルアラフェナミドヘミフマル酸塩からなる群から選択される第1の追加の治療剤、およびエムトリシチビンおよびラミブジンからなる群から選択される第2の追加の治療剤と組み合わされる。
特定の実施形態では、本明細書において開示されている化合物またはその薬学的に許容される塩は、テノホビル、テノホビルジソプロキシルフマル酸塩、テノホビルアラフェナミド、およびテノホビルアラフェナミドヘミフマル酸塩からなる群から選択される第1の追加の治療剤、および第2の追加の治療剤と組み合わされ、第2の追加の治療剤は、エムトリシチビンである。
【0088】
ある種の実施形態では、本明細書において開示されている化合物が、上記の1つまたは複数の追加の治療剤と組み合わされる場合、組成物の構成成分は、同時、または逐次レジメンとして投与される。逐次投与の場合、組合せは、2回以上の投与で投与されてもよい。
ある種の実施形態では、本明細書において開示されている化合物は、患者への同時投与のため、1つまたは複数の追加の治療剤を単位剤形で、例えば、経口投与向けの固形剤形として組み合わされる。
【0089】
ある種の実施形態では、本明細書において開示されている化合物は、1つまたは複数の追加の治療剤と共に投与される。本明細書において開示されている化合物と、1つまたは複数の追加の治療剤との共投与は、一般に、治療有効量の本明細書において開示されている化合物および1つまたは複数の追加の治療剤の両方が患者の体内に存在するよう、本明細書において開示されている化合物と1つまたは複数の追加の治療剤との同時投与または逐次投与を指す
【0090】
共投与には、単位投与量の1つまたは複数の追加の治療剤の投与の前またはその後の、単位投与量の本明細書において開示されている化合物の投与、例えば、1つまたは複数の追加の治療剤の投与の数秒、数分または数時間以内に、本明細書において開示されている化合物の投与が含まれる。例えば、一部の実施形態では、単位用量の本明細書において開示されている化合物が初めに投与され、続いて、数秒または数分以内に単位用量の1つまたは複数の追加の治療剤が投与される。あるいは、他の実施形態では、単位用量の1つまたは複数の追加の治療剤が初めに投与され、続いて、数秒または数分以内に単位用量の本明細書において開示されている化合物が投与される。一部の実施形態では、単位用量の本明細書において開示されている化合物が初めに投与され、続いて、ある時間の後(例えば、1〜12時間)に単位用量の1つまたは複数の追加の治療剤が投与される。他の実施形態では、単位用量の1つまたは複数の追加の治療剤が初めに投与され、続いて、ある時間の後(例えば、1〜12時間)に単位用量の本明細書において開示されている化合物が投与される。
【0091】
以下の実施例は、本発明の化合物、すなわち式(I)の化合物を作製する様々な方法を例示している。
【化34】
(I)
(式中、R1、X、W、Y1、Y2またはLは、上で定義されている通りである)当業者は、類似の方法により、または当業者に公知の他の方法を組み合わせることにより、これらの化合物を作製することができ得ることが理解される。当業者であれば、適切な出発構成成分を使用し、必要とされる合成パラメーターを修正することによって、以下に具体的に例示されていない式(I)、(Ia)、(Ib)、(Ic)、(Id)、(Ie)の他の化合物を、以下に記載されている類似の方法で作製することができることも理解される。一般に、出発構成成分は、Sigma Aldrich、Lancaster Synthesis,Inc.、Maybridge、Matrix Scientific、TCIおよびFluorochem USAなどの供給元から得ることができるか、または当業者に公知の情報源に従い合成することができる(例えば、Advanced Organic Chemistry: Reactions, Mechanisms, and Structure, 5th edition (Wiley, December 2000)を参照されたい)か、または本明細書に記載されている通り調製することができる。
以下の実施例は、例示目的で提示されており、限定目的ではない。
【実施例】
【0092】
代表化合物
(例1)
化合物1の調製
(1aS,2S,3aR,12R,12aR)−N−((S)−1−(2,4−ジフルオロフェニル)−2,2,2−トリフルオロエチル)−9−ヒドロキシ−8,10−ジオキソ−1a,2,3a,4,8,10,12,12a−オクタヒドロ−1H−2,12−メタノシクロプロパ[e]ピリド[1’,2’:4,5]ピラジノ[2,1−b][1,3]オキサアゼピン−7−カルボキサミド
【0093】
【化35】
【0094】
工程1
50mLの1つ口丸底フラスコに、アセトニトリル(1.5mL)および酢酸(0.2mL)中の反応物1−A(0.11g、0.22mmol)を投入し、メタンスルホン酸(0.05mL)により処理して、黄色いキャップで密封し、70℃に加熱した。16時間後、混合物を冷却すると、中間体1−Bの粗製溶液が得られた。LCMS-ESI+(m/z):[M+H]+C18H19F2N2O7の計算値:481;実測値:481。
【0095】
工程2
前の工程からの粗製混合物は、アセトニトリル(1.5mL)および酢酸(0.2mL)中に反応物1−Bを含有している。この反応混合物に、1−C(WO2013090929、0.032g、0.22mmol)およびK2CO3(0.15g、1.1mmol)を加えた。この反応混合物を密封し、70℃に加熱した。3時間後、この反応混合物をEtOAc(50mL)により希釈し、飽和NaHCO3で洗浄し、Na2SO4で脱水した。濃縮後、粗製物をヘキサン−EtOAcによるシリカゲル上のカラムクロマトグラフィーにより精製すると、1−Dが得られた。LCMS-ESI+(m/z):[M+H]+C21H20F2N3O5の計算値:526;実測値:526。
【0096】
工程3
50mLの1つ口丸底フラスコに、アセトニトリル(2mL)中の反応物1−D(0.02g、0.038mmol)および臭化マグネシウム(0.02g、0.10mmol)を投入した。反応混合物を50℃に加熱した。10分後、反応混合物を0℃に冷却し、1N塩酸(0.5mL)を加え入れた。一部固体が形成し、フラスコ壁に付着した。さらなる水(約5mL)を加えた。固体をろ過して、水により洗浄した。次に、固体をバーコード付きバイアルに移し、凍結乾燥下、一晩で化合物1が得られた。1H NMR (400 MHz, クロロホルム-d)δ12.38 (s, 1H), 11.25 (d, J = 9.3 Hz, 1H), 8.24 (s, 1H), 7.48 (q, J = 7.8 Hz, 1H), 7.06 - 6.69 (m, 2H), 6.30 - 5.98 (m, 1H), 5.85 (s, 1H), 4.18 (s, 1H), 3.93 (d, J = 34.6 Hz, 2H), 2.04 - 1.35 (m, 5H), 0.80 (d, J = 7.3 Hz, 1H), 0.63 - 0.43 (m, 1H). 19F NMR (377 MHz, クロロホルム-d)δ-75.29 (t, J = 7.5 Hz, 3 F), -107.18 - -109.52 (m, 1F), -113.01 (m, 1F). LCMS-ESI+ (m/z): [M+H]+ C21H20F2N3O5の計算値: 512.; 実測値: 512.
【0097】
(例2)
化合物2の調製
(1aR,2R,3aS,12S,12aS)−N−((S)−1−(2,4−ジフルオロフェニル)−2,2,2−トリフルオロエチル)−9−ヒドロキシ−8,10−ジオキソ−1a,2,3a,4,8,10,12,12a−オクタヒドロ−1H−2,12−メタノシクロプロパ[e]ピリド[1’,2’:4,5]ピラジノ[2,1−b][1,3]オキサアゼピン−7−カルボキサミド
【化36】
【0098】
工程1
50mLの1つ口丸底フラスコに、アセトニトリル(1.5mL)および酢酸(0.2mL)中の反応物1−A(0.11g、0.22mmol)を投入し、メタンスルホン酸(0.05mL)により処理して、黄色いキャップで密封し、70℃に加熱した。16時間後、混合物を冷却すると、中間体1−Bの粗製溶液が得られた。LCMS-ESI+(m/z):[M+H]+C18H19F2N2O7の計算値:481;実測値:481。
【0099】
工程2
前の工程からの粗製混合物は、アセトニトリル(1.5mL)および酢酸(0.2mL)中に反応物1−Bを含有している。この反応混合物に、2−A(0.032g、0.22mmol)およびK2CO3(0.15g、1.1mmol)を加えた。この反応混合物を密封し、70℃に加熱した。3時間後、この反応混合物をEtOAc(50mL)により希釈し、飽和NaHCO3で洗浄し、Na2SO4で脱水した。濃縮後、粗製物をヘキサン−EtOAcによるシリカゲル上のカラムクロマトグラフィーにより精製すると、2−Bが得られた。LCMS-ESI+(m/z):[M+H]+C21H20F2N3O5の計算値:526;実測値:526。
【0100】
工程3
50mLの1つ口丸底フラスコに、アセトニトリル(2mL)中の反応物2−B(0.03g、0.058mmol)および臭化マグネシウム(0.03g、0.15mmol)を投入した。反応混合物を50℃に加熱した。10分後、反応混合物を0℃に冷却し、1N塩酸(0.5mL)を加え入れた。一部固体が形成し、フラスコ壁に付着した。さらなる水(約5mL)を加えた。固体をろ過して、水により洗浄した。次に、固体をバーコード付きバイアルに移し、凍結乾燥下、一晩で化合物2が得られた。1H NMR (400 MHz, クロロホルム-d)δ12.44 (s, 1H), 11.32 (d, J = 9.4 Hz, 1H), 8.29 (s, 1H), 7.81 - 7.39 (m, 1H), 7.19 - 6.67 (m, 2H), 6.42 - 6.04 (m, 1H), 5.94 (d, J = 9.3 Hz, 1H), 4.84 - 4.43 (m, 1H), 4.26 (d, J = 12.6 Hz, 1H), 4.02 (t, J = 10.5 Hz, 1H), 2.08 - 1.38 (m, 5H), 0.88 (q, J = 7.2 Hz, 1H), 0.60 (dd, J = 6.3, 3.3 Hz, 1H). 19F NMR (377 MHz, クロロホルム-d)δ-75.25 (t, J = 6.5 Hz, 3 F), -106.94 - -109.63 (m, 1F), -112.11 (m, 1F). LCMS-ESI+ (m/z): [M+H]+ C21H20F2N3O5の計算値: 512.; 実測値: 512.
【0101】
(例3)
化合物3の調製
(1aS,2S,3aR,12R,12aR)−N−((R)−1−(2,4−ジフルオロフェニル)エチル)−9−ヒドロキシ−8,10−ジオキソ−1a,2,3a,4,8,10,12,12a−オクタヒドロ−1H−2,12−メタノシクロプロパ[e]ピリド[1’,2’:4,5]ピラジノ[2,1−b][1,3]オキサアゼピン−7−カルボキサミド
【化37】
【0102】
工程1
50mLの1つ口丸底フラスコに、アセトニトリル(1.5mL)および酢酸(0.2mL)中の反応物3−A(0.11g、0.24mmol)を投入し、メタンスルホン酸(0.05mL)により処理して、黄色いキャップで密封し、70℃に加熱した。16時間後、混合物を冷却すると、中間体3−Bの粗製溶液が得られた。LCMS-ESI+(m/z):[M+H]+C18H19F2N2O7の計算値:427;実測値:427。
【0103】
工程2
前の工程からの粗製混合物は、アセトニトリル(1.5mL)および酢酸(0.2mL)中に反応物3−Bを含有している。この反応混合物に、1−C(0.036g、0.24mmol)およびK2CO3(0.167g、1.2mmol)を加えた。この反応混合物を密封し、70℃に加熱した。3時間後、この反応混合物をEtOAc(50mL)により希釈し、飽和NaHCO3で洗浄し、Na2SO4で脱水した。濃縮後、粗製物をヘキサン−EtOAcによるシリカゲル上のカラムクロマトグラフィーにより精製すると、3−Cが得られた。LCMS-ESI+(m/z):[M+H]+C21H20F2N3O5の計算値:472;実測値:472。
【0104】
工程3
50mLの1つ口丸底フラスコに、アセトニトリル(2mL)中の反応物3−C(0.03g、0.058mmol)および臭化マグネシウム(0.03g、0.15mmol)を投入した。反応混合物を50℃に加熱した。10分後、反応混合物を0℃に冷却し、1N塩酸(0.5mL)を加え入れた。一部固体が形成し、フラスコ壁に付着した。さらなる水(約5mL)を加えた。固体をろ過して、水により洗浄した。次に、固体をバーコード付きバイアルに移し、凍結乾燥下、一晩で化合物3が得られた。1H NMR (400 MHz, クロロホルム-d)δ12.35 (s, 1H), 10.57 (s, 1H), 8.26 (s, 1H), 7.61 - 7.28 (m, 1H), 7.00 - 6.65 (m, 2H), 5.89 (s, 1H), 5.45 (d, J = 10.2 Hz, 1H), 5.34 - 5.13 (m, 1H), 4.58 (d, J = 2.0 Hz, 1H), 4.20 (s, 1H), 4.02 (d, J = 7.2 Hz, 2H), 2.12 - 1.43 (m, 6H), 0.87 (d, J = 7.5 Hz, 1H), 0.60 (s, 1H).. 19F NMR (376 MHz, メタノール-d4)δ-113.03 (m, 1F), -114.92 (m, 1F). LCMS-ESI+ (m/z): [M+H]+ C21H20F2N3O5の計算値: 458.; 実測値: 458.
【0105】
(例4)
化合物4の調製
(1aR,2R,3aS,12S,12aS)−N−((R)−1−(2,4−ジフルオロフェニル)エチル)−9−ヒドロキシ−8,10−ジオキソ−1a,2,3a,4,8,10,12,12a−オクタヒドロ−1H−2,12−メタノシクロプロパ[e]ピリド[1’,2’:4,5]ピラジノ[2,1−b][1,3]オキサアゼピン−7−カルボキサミド
【0106】
【化38】
【0107】
工程1
50mLの1つ口丸底フラスコに、アセトニトリル(1.5mL)および酢酸(0.2mL)中の反応物3−A(0.11g、0.24mmol)を投入し、メタンスルホン酸(0.05mL)により処理して、黄色いキャップで密封し、70℃に加熱した。16時間後、混合物を冷却すると、中間体3−Bの粗製溶液が得られた。LCMS-ESI+(m/z):[M+H]+C18H19F2N2O7の計算値:427;実測値:427。
【0108】
工程2
前の工程からの粗製混合物は、アセトニトリル(1.5mL)および酢酸(0.2mL)中に反応物3−Bを含有している。この反応混合物に、2−A(0.036g、0.24mmol)およびK2CO3(0.167g、1.2mmol)を加えた。この反応混合物を密封し、70℃に加熱した。3時間後、この反応混合物をEtOAc(50mL)により希釈し、飽和NaHCO3で洗浄し、Na2SO4で脱水した。濃縮後、粗製物をヘキサン−EtOAcによるシリカゲル上のカラムクロマトグラフィーにより精製すると、4−Aが得られた。LCMS-ESI+(m/z):[M+H]+C21H20F2N3O5の計算値:472;実測値:472。
【0109】
工程3
50mLの1つ口丸底フラスコに、アセトニトリル(2mL)中の反応物4−A(0.03g、0.058mmol)および臭化マグネシウム(0.03g、0.15mmol)を投入した。反応混合物を50℃に加熱した。10分後、反応混合物を0℃に冷却し、1N塩酸(0.5mL)を加え入れた。一部固体が形成し、フラスコ壁に付着した。さらなる水(約5mL)を加えた。固体をろ過して、水により洗浄した。次に、固体をバーコード付きバイアルに移し、凍結乾燥下、一晩で化合物4が得られた。1H NMR (400 MHz, クロロホルム-d)δ12.35 (s, 1H), 10.56 (s, 1H), 8.26 (s, 1H), 7.37 (s, 1H), 7.00 - 6.63 (m, 2H), 5.89 (s, 1H), 5.45 (d, J = 11.0 Hz, 1H), 5.34 - 5.00 (m, 1H), 4.58 (d, J = 2.4 Hz, 1H), 4.21 (s, 1H), 4.03 (s, 2H), 2.10 - 1.43 (m, 6H), 0.87 (d, J = 7.5 Hz, 1H), 0.60 (s, 1H). 19F NMR (376 MHz, クロロホルム-d)δ-113.00 (m, 1F), -115.00 (m, 1F). LCMS-ESI+ (m/z): [M+H]+ C21H20F2N3O5の計算値: 458.; 実測値: 458.
【0110】
(例5)
化合物5の調製
(1aR,2R,12S,12aS)−N−(2,4−ジフルオロベンジル)−1,1−ジフルオロ−9−ヒドロキシ−8,10−ジオキソ−1a,2,3a,4,8,10,12,12a−オクタヒドロ−1H−2,12−メタノシクロプロパ[e]ピリド[1’,2’:4,5]ピラジノ[2,1−b][1,3]オキサアゼピン−7−カルボキサミド
【0111】
【化39】
【0112】
工程1
DIAD(3.0mL、15.24mmol)を添加しながら、THF(75mL)中の化合物5−A(1252mg、6.796mmol)、フタルイミド(1631mg、11.09mmol)およびPPh3(3939mg、15.02mmol)の混合物を0℃の浴で撹拌した。添加後、混合物を室温で撹拌した。3時間後、混合物を濃縮し、0℃の浴で残留物をエチルエーテル(約100mL)で10分間磨砕し、ろ過した。ろ液を濃縮し、残留物をエチルエーテル(約50ml)に再度溶解し、不溶物質をろ別した。ろ液を濃縮し、溶離液としてヘキサン−酢酸エチルを使用するCombiFlashにより残留物を精製すると、化合物5−Bが得られた。1H NMR (400 MHz, CDCl3)δ7.91 - 7.75 (m, 2H), 7.75 - 7.64 (m, 2H), 6.06 (dt, J = 5.8, 2.0 Hz, 1H), 5.99 (dt, J = 5.7, 1.7 Hz, 1H), 5.64 (ddq, J = 7.4, 5.5, 1.6 Hz, 1H), 5.25 (tq, J = 6.7, 2.1 Hz, 1H), 2.90 (dt, J = 13.6, 8.1 Hz, 1H), 2.22 - 2.00 (m, 1H), 1.21 (d, J = 1.3 Hz, 9H).
【0113】
工程2
FSO2CF2COOTMS(0.95mL、4.821mmol)を5時間かけて、シリンジドライブを使用して添加しながら、トルエン(1mL)中の化合物5−B(750mg、2.394mmol)およびNaF(1.0mg、0.024mmol)の混合物を110℃で撹拌した。反応混合物をNaHCO3溶液により処理し、有機可溶物質をCH2Cl2(×2)により抽出した。合わせた抽出物を乾燥(Na2SO4)して濃縮した後、溶離液としてヘキサン−酢酸エチルを使用するCombiflashにより残留物を分離すると、ある程度純度の高い(partially pure)化合物5−Cおよび反応物が得られた。
【0114】
FSO2CF2COOTMS(3mL、15.22mmol)を15時間かけて、シリンジドライブを使用して添加しながら、トルエン(1mL)中の回収した反応物(577mg)をNaF(1.0mg、0.024mmol)と一緒に、110℃で再度撹拌した。反応混合物を先に記載した通り後処理し、溶離液としてヘキサン−酢酸エチルを使用するCombiflashにより残留物を精製すると、ある程度純度が高い化合物5−C(205mg)が得られた。2つのある程度純度が高い化合物5−Cを合わせ、溶離液としてヘキサン−酢酸エチルを使用するCombiFlashにより、再度精製すると化合物5−Cが得られた。1H NMR (400 MHz, CDCl3)δ7.95 - 7.81 (m, 2H), 7.82 - 7.67 (m, 2H), 5.26 (d, J = 6.5 Hz, 1H), 4.99 - 4.84 (m, 1H), 2.67 (ddd, J = 35.4, 14.5, 8.0 Hz, 3H), 2.13 - 1.91 (m, 1H), 1.15 (d, J = 0.9 Hz, 9H). 19F NMR (376 MHz, クロロホルム-d)δ-126.81 (dt, J = 170.9, 14.5 Hz, 1 F), -129.43 - -130.54 (m, 0.15F), -137.42 - -138.86 (m, 0.15F), -148.12 (dt, J = 171.0, 4.2 Hz, 1 F), -150.85 〜 -152.25 (m, 0.15F).
【0115】
工程3
化合物5−C(330mg、0.908mmol)およびヒドラジン水和物(0.18mL、3.7mmol)のエタノール(10mL)中溶液を70℃の浴で2時間撹拌した。混合物を室温まで冷却した後、エチルエーテル(30mL)により希釈し、固体をろ別した。ろ液を濃縮した後、残留物をCH2Cl2により磨砕し、存在する一部の固体をろ別した。ろ液を濃縮した後、化合物5−Dが得られた。1H NMR (400 MHz, CDCl3)δ5.29 - 5.24 (m, 1H), 3.65 - 3.51 (m, 1H), 2.41 - 2.09 (m, 4H), 1.93 - 1.52 (m, 2H), 1.21 (s, 9H). 19F NMR (376.1 MHz, CDCl3)δ-124.67 (dt, J = 172.1, 15.1 Hz, 1F), -126.97 (d, J = 14.8 Hz, 0.1F), -129.38 (dt, J = 150.2, 11.8 Hz, 0.1F), -147.22 (dt, J = 172.2, 4.6 Hz, 1F), -155.11 (dd, J = 149.9, 2.6 Hz, 0.1F). LCMS-ESI+ (m/z): [M+H]+ C11H18F2NO2の計算値: 234.13; 実測値: 233.9.
【0116】
工程4
1N KOH(3mL)、THF(3mL)および水(3mL)中の化合物5−D(205mg、0.879mmol)の溶液を50℃で16時間撹拌した後、濃縮して約1/3の体積にした。得られた溶液を0℃に冷却し、1N HCl(約3.2mL)により中和した。溶液を飽和NaHCO3(3mL)およびTHF(5mL)により希釈し、Boc2O(613mg、2.809mmol)を加えながら、0℃で撹拌した。2時間後、追加のBoc2O(450mg、2.062mmol)を加えた。0℃でさらに1.5時間後、混合物を水により希釈し、酢酸エチル(×2)により抽出した。抽出物を水により洗浄(×1)し、合わせて、乾燥(Na2SO4)し、濃縮した。溶離液としてヘキサン−酢酸エチルを使用するCombiFlashにより残留物を精製すると、化合物5−Eが得られた。1H NMR (400 MHz, CDCl3)δ5.27 (br, 1H), 4.51 - 4.38 (d, J = 7.4 Hz, 1H), 4.17 (d, J = 7.4 Hz, 1H), 2.88 (br, 1H), 2.24 (m, 3H), 1.84 - 1.70 (m, 1H), 1.44 (s, 9H). 19F NMR (376.1 MHz, CDCl3)δ-125.18 (d, J = 172.5 Hz, 1F), -147.57 (d, J = 171.8 Hz, 1F). LCMS-ESI+ (m/z): [M+H]+ C11H18F2NO2の計算値: 234.13; 実測値: 233.9.
【0117】
工程5
ジオキサン中の4N HCl(2mL)を加えながら、化合物5−E(173mg、0.694mmol)のCH2Cl2(2mL)中溶液を室温で撹拌した。1時間後、追加のジオキサン中の4N HCl(2mL)を加え、得られた混合物を室温で1時間撹拌した。混合物を濃縮し、残留物をトルエンにより共蒸発(×1)させた後、高真空で1時間、乾燥した。
得られた残留物である化合物5−F(285mg、0.691mmol)、およびK2CO3(191mg、1.382mmol)のMeCN(2.7mL)およびAcOH(0.3mL)中の混合物を90℃の浴で撹拌した。2時間後、反応混合物を0℃で撹拌し、1N HCl(約4mL)でクエンチして水により希釈した後、CH2Cl2(×3)により抽出した。合わせた抽出物を乾燥(Na2SO4)して濃縮した。分取HPLCにより残留物を精製すると、ある程度精製された環式生成物が67mg得られた。
【0118】
このある程度精製された環式生成物のMeCN(3mL)中溶液に、MgBr2(65mg、0.353mmol)を加え、得られた混合物を50℃で1時間、撹拌し、0℃に冷却した後、1N HClを添加した。混合物を水により希釈した後、生成物をCH2Cl2(×3)により抽出し、合わせた抽出物を乾燥(Na2SO4)して濃縮した。分取HPLCにより残留物を精製し、生成物を含有する画分を凍結乾燥すると、化合物5がTFAとの1:1混合物として得られた。1H NMR (400 MHz, CDCl3)δ10.48 (t, J = 6.0 Hz, 1H), 8.49 (s, 1H), 7.43 - 7.29 (m, 1H), 6.91 - 6.73 (m, 2H), 5.80 (dd, J = 9.8, 4.0 Hz, 1H), 5.47 (t, J = 3.6 Hz, 1H), 4.80 (s, 1H), 4.72 - 4.52 (m, 2H), 4.35 (dd, J = 13.0, 4.1 Hz, 1H), 4.09 (dd, J = 12.9, 9.8 Hz, 1H), 2.50 (dd, J = 14.7, 7.3 Hz, 1H), 2.40 - 2.29 (m, 1H), 2.11 (dq, J = 13.9, 3.4 Hz, 1H), 2.03 - 1.89 (m, 1H). 19F NMR (376.1 MHz, CDCl3)δ-76.38 (s, 3F), -111.32 (p, J = 7.8 Hz, 1F), -114.54 (q, J = 8.6 Hz, 1F), -117.70 (dt, J = 174.1, 14.5 Hz, 1F), -139.72 〜 -142.02 (m, 1F). LCMS-ESI+ (m/z): [M+H]+ C22H18F4N3O5の計算値: 480.12; 実測値: 480.2.
【0119】
(例6)
化合物6の調製
(1aR,2R,3aS,12S,12aS)−N−(2,4−ジフルオロベンジル)−9−ヒドロキシ−8,10−ジオキソ−1a,2,3a,4,8,10,12,12a−オクタヒドロ−1H−2,12−メタノシクロプロパ[e]ピリド[1’,2’:4,5]ピラジノ[2,1−b][1,3]オキサアゼピン−7−カルボキサミド
【0120】
【化40】
【0121】
工程1
ジイソプロピルアゾジカルボキシレート(11.9mL、60.439mmol)を5分間かけて加えながら、化合物6−A(4.272g、30.053mmol)、PPh3(15.785g、60.18mmol)およびピバル酸(3.5mL、30.446mmol)のTHF(200mL)溶液を0℃で撹拌した。10分後、混合物を室温まで温め、30分間撹拌した。混合物を濃縮し、得られたシロップをエチルエーテルに溶解した。混合物をろ別してろ液を濃縮した後、CombiFlashにより残留物を精製すると、化合物6−Bが得られた。1H NMR (400 MHz, CDCl3)δ6.11 (s, 2H), 5.80 (m, 2H), 2.29 - 2.11 (m, 2H), 2.04 (s, 3H), 1.17 (s, 9H).
【0122】
工程2
メタノール(100mL)中の化合物6−B(4.875g、21.545mmol)およびK2CO3(3.265g、23.623mmol)の懸濁液を室温で2時間撹拌した。反応混合物をCH2Cl2(約150mL)により希釈した後、この混合物をろ過して、ろ液を濃縮した。残留物をCH2Cl2により磨砕し、上澄み液をCombiFlashにより精製すると、化合物6−Cが得られた。1H NMR (400 MHz, CDCl3)δ6.11 (br d, J = 5.7Hz, 1H), 6.02 (br d, J = 5.7 Hz, 1H), 5.82 - 5.72 (m, 1H), 5.14 - 4.98 (m, 1H), 2.28 - 2.06 (m, 2H), 1.57 (s, 1H), 1.17 (s, 9H).
【0123】
工程3
1MのZnEt2のトルエン(9mL)中溶液を加えながら、化合物6−C(1.503g、8.158mmol)のCH2Cl2(50mL)中溶液を0℃で撹拌した。15分後、CH22(1.45mL、18mmol)続いて1MのZnEt2のトルエン(9mL)中溶液を加えた。混合物を30分間撹拌した後、追加のCH22(1.45mL、18mmol)を加えた。30分後、混合物を室温まで温め、2時間撹拌した後、追加の1MのZnEt2のトルエン(9mL)中溶液およびCH22(1.45mL、18mmol)を加えた。得られた混合物を室温で18時間撹拌した。反応混合物を0℃の冷飽和NH4Clに注ぎ入れ、生成物を酢酸エチル(×2)により抽出した。合わせた抽出物を乾燥(Na2SO4)して濃縮した後、CombiFlashにより精製すると、化合物6−Dが得られた。1H NMR (400 MHz, CDCl3)δ5.12 (d, J = 5.2 Hz, 1H), 4.78 (td, J = 8.3, 4.6 Hz, 1H), 2.00 - 1.87 (m, 1H), 1.75 - 1.65 (m, 1H), 1.56 (s, 1H), 1.51 (m, 1H), 1.38 (m, 1H), 1.19 (s, 9H), 0.58 (m, 2H).
【0124】
工程4
DIAD(2.9mL、14.73mmol)を添加しながら、THF(70mL)中の化合物6−D(1291mg、6.512mmol)およびPPh3(3794mg、14.47mmol)の混合物を0℃の浴で撹拌した。添加後、混合物を0℃で30分間、次に室温で一晩撹拌した。混合物を濃縮してシロップにし、エーテル(約70mL)に溶解し、0℃の浴で約1時間撹拌した後、ろ過した。ろ液を濃縮した後、溶離液としてヘキサン−酢酸エチルを使用するCombiFlashにより残留物を精製すると、化合物6−Eが得られた。1H NMR (400 MHz, クロロホルム-d)δ7.81 (dd, J = 5.4, 3.0 Hz, 2H), 7.70 (dd, J = 5.5, 3.0 Hz, 2H), 5.15 (d, J = 5.8 Hz, 1H), 4.70 - 4.57 (m, 1H), 2.24 〜 2.08 (m, 2H), 1.92 (dt, J = 8.6, 4.4 Hz, 1H), 1.84 (d, J = 16.3 Hz, 1H), 1.05 (s, 9H), 0.81 (tdd, J = 8.6, 5.9, 1.3 Hz, 1H), 0.11 (dt, J = 6.0, 4.0 Hz, 1H).
【0125】
工程5
化合物6−E(890mg、2.719mmol)およびヒドラジン水和物(0.53mL、10.89mmol)のエタノール(15mL)中溶液を70℃の浴で2時間撹拌した。混合物を室温まで冷却した後、エチルエーテル(50mL)により希釈し、得られた混合物を0℃の浴で1時間撹拌した後、固体をろ過した。ろ液を濃縮した後、残留物をCH2Cl2により磨砕し、存在する一部の固体をろ別した。ろ液を濃縮後、化合物6−Fが得られた。1H NMR (400 MHz, CDCl3)δ5.15 (d, J = 5.2 Hz, 1H), 3.33 (d, J = 6.2 Hz, 1H), 1.90 (br, 2H), 1.77 (dt, J = 15.8, 5.7 Hz, 1H), 1.64 - 1.55 (m, 2H), 1.55 - 1.47 (m, 1H), 1.20 (s, 9H), 0.60 - 0.48 (m, 1H), -0.01 (dt, J = 5.9, 3.8 Hz, 1H).
【0126】
工程6
1N KOH(9.1mL)、THF(9mL)および水(9mL)中の化合物6−F(522mg、2.646mmol)の溶液を50℃で15時間、および70℃で7時間撹拌した後、濃縮して約1/3の体積にした。得られた溶液を0℃に冷却し、1N HCl(約9.2mL)により中和した。溶液を飽和NaHCO3(10mL)およびTHF(10mL)により希釈し、Boc2O(1846mg、8.412mmol)を加えながら、溶液を0℃で撹拌した。1時間後、混合物を室温まで温め、15時間撹拌した後、Boc2O(1846mg、8.412mmol)を添加した。6時間後、混合物を水により希釈し、酢酸エチル(×2)により抽出した。抽出物を水により洗浄(×1)し、合わせて乾燥(Na2SO4)し、濃縮した。溶離液としてヘキサン−酢酸エチルを使用するCombiFlashにより残留物を精製すると、化合物6−Gが得られた。1H NMR (400 MHz, CDCl3)δ5.3 (br, 1H), 4.26 (d, J = 4.4 Hz, 1H), 4.03 (d, J = 6.3 Hz, 1H), 2.5 (br, 1H), 1.64 (ddd, J = 15.5, 6.4, 4.6 Hz, 1H), 1.59 - 1.49 (m, 3H), 1.42 (s, 9H), 0.60 - 0.37 (m, 1H), -0.08 (dt, J = 5.9, 3.7 Hz, 1H).
【0127】
工程7
ジオキサン中の4N HCl(5.5mL)を加えながら、化合物6−G(457mg、2.143mmol)のCH2Cl2(5.5mL)中溶液を室温で撹拌した。1時間後、追加のジオキサン中の4N HCl(5.5mL)を加え、得られた混合物を室温で1時間撹拌した。混合物を濃縮し、残留物を高真空で一晩、乾燥した。
【0128】
得られた残留物(320mg)、化合物5−F(881mg、2.137mmol)およびK2CO3(592mg、4.183mmol)のMeCN(10mL)およびAcOH(1mL)中の混合物を65℃の浴で撹拌した。3時間後、反応混合物を0℃で撹拌し、1N HCl(約2mL)でクエンチして、水により希釈した後、CH2Cl2(×3)により抽出した。合わせた抽出物を乾燥(Na2SO4)して、濃縮した。溶離液としてヘキサン−酢酸エチル−20%MeOH/酢酸エチルを用いてCombiFlash(40gカラム)により残留物を精製すると、ある程度精製された環式生成物が433mg得られた。
ある程度精製された環式生成物のMeCN中溶液(5mL)に、MgBr2(453mg、2.46mmol)およびMeCN(2mL)を室温で加えた。得られた混合物を50℃で20分間、撹拌し、0℃に冷却した後、1N HClを添加した。混合物を水により希釈した後、生成物をCH2Cl2(×3)により抽出し、合わせた抽出物を乾燥(Na2SO4)して、濃縮した。溶離液としてCH2Cl2−20%MeOH/CH2Cl2を使用するCombiFlashにより残留物を精製した。生成物を含有している合わせた画分を濃縮した後、残留物をMeCN(5mL)により15分間磨砕し、ろ過して、集めた固体を真空で乾燥すると、化合物6が得られた。1H NMR (400 MHz, CDCl3)δ10.51 (t, J = 6.0 Hz, 1H), 8.47 (s, 1H), 7.40 - 7.29 (m, 1H), 〜7 (br, 1H), 6.90 - 6.76 (m, 2H), 5.94 (dd, J = 9.8, 4.0 Hz, 1H), 5.21 (d, J = 3.8 Hz, 1H), 4.63 (dd, J = 5.9, 2.7 Hz, 2H), 4.61 - 4.53 (m, 1H), 4.32 (dd, J = 13.0, 4.1 Hz, 1H), 4.04 (dd, J = 12.9, 9.9 Hz, 1H), 1.86 - 1.64 (m, 2H), 1.61 (p, J = 4.0 Hz, 1H), 1.52 (dt, J = 13.6, 3.4 Hz, 1H), 0.87 (q, J = 7.5 Hz, 1H), 0.60 (dt, J = 6.7, 3.4 Hz, 1H). 19F NMR (376.1 MHz, CDCl3)δ-76.43 (s, 3F), -111.61 (p, J = 7.7 Hz, 1F), -114.58 (q, J = 8.5 Hz, 1F). LCMS-ESI+ (m/z): [M+H]+ C22H20F2N3O5の計算値: 444.14; 実測値: 444.2.
【0129】
(例7)
化合物7の調製
(1aS,2S,3aR,12R,12aR)−N−(2,4−ジフルオロベンジル)−9−ヒドロキシ−8,10−ジオキソ−1a,2,3a,4,8,10,12,12a−オクタヒドロ−1H−2,12−メタノシクロプロパ[e]ピリド[1’,2’:4,5]ピラジノ[2,1−b][1,3]オキサアゼピン−7−カルボキサミド
【0130】
【化41】
【化42】
【0131】
工程1
500mLの1つ口丸底フラスコに、反応物7−A(5.0g、35mmol)およびDCM(100ml)を投入した。反応混合物を撹拌しながら0℃に冷却した。反応混合物にヘキサン中の1Nジエチル亜鉛(39ml)をゆっくりと加えた。反応混合物を0℃で15分間撹拌した。ジヨードメタン(4.25mL)、次いでヘキサン中の1Nジエチル亜鉛(39mL)を加えた。さらに15分間撹拌した後、反応混合物に追加のジヨードメタン(4.25ml)を加えた。次に、反応混合物を室温まで温め、一晩撹拌した。反応混合物を冷却したNH4Cl水溶液上に注ぎ入れ、酢酸エチルにより抽出した。有機層を乾燥して、真空で蒸発させた。残留物をヘキサン−EtOAcによるシリカゲル上のカラムクロマトグラフィーにより精製すると、7−Bが得られた。1H NMR (400 MHz, クロロホルム-d)δ5.34 - 5.02 (m, 1H), 4.45 (ddd, J = 8.7, 7.7, 4.7 Hz, 1H), 2.31 (dt, J = 13.4, 7.8 Hz, 1H), 2.02 (s, 3H), 1.84 - 1.59 (m, 2H), 1.25 - 1.07 (m, 2H), 0.92 (dt, J = 5.4, 3.9 Hz, 1H), 0.54 (td, J = 7.7, 5.5 Hz, 1H).
【0132】
工程2
500mLの1つ口丸底フラスコに、反応物7−B(5.5g、35mmol)、トリフェニルホスフィン(20.3g、77mmol)、フタルイミド(8.3g、56mmol)およびTHF(200ml)を投入した。反応混合物を撹拌しながら0℃に冷却した。反応混合物にジイソプロピルアゾジカルボキシレート(DIAD)(15.3ml、77mmol)をゆっくりと加えた。反応混合物を室温で一晩撹拌した。反応混合物を濃縮して体積を小さくし、エーテルに再溶解して、10分間0℃で撹拌した。固体(トリフェニルホスフィンオキシド)をろ過して除いた。ろ液を濃縮して、ヘキサン−EtOAcによるシリカゲル上のカラムクロマトグラフィーにより精製すると、7−Cが得られた。1H NMR (400 MHz, アセトニトリル-d3)δ8.06 - 7.61 (m, 4H), 5.84 (d, J = 5.1 Hz, 1H), 4.88 - 4.50 (m, 1H), 2.29 (dd, J = 15.1, 8.7 Hz, 1H), 2.01(s, 3 H), 1.98 (m, 1H), 1.94 (d, J = 2.4 Hz, 1H), 1.49 (m, 1H), 0.68 (td, J = 8.2, 5.5 Hz, 1H), 0.56 (s, 1H).
【0133】
工程3および4
250mLの1つ口丸底フラスコに、反応物7−C(1.0g、3.5mmol)、ヒドラジン一水和物(約2ml)およびEtOH(20ml)を投入した。反応混合物を70℃で30分間撹拌した。反応混合物を高真空下で1時間、濃縮すると、7−Dが得られた。粗反応混合物をTHF(20mL)に再溶解した。飽和NaHCO3(20mL)および ジ−tert−ブチルジカーボネート(8g、36.7mmol)を加え、反応混合物を24時間かけて撹拌した。反応混合物をEtOAcにより抽出(2×100mL)し、Na2SO4で脱水した。濃縮後、ヘキサン−EtOAcによるシリカゲル上のカラムクロマトグラフィーにより粗製物を精製すると、7−Eが得られた。1H NMR (400 MHz, クロロホルム-d)δ4.63 (td, J = 8.3, 4.6 Hz, 1H), 4.01 - 3.81 (m, 1H), 2.17 (s, 1H), 1.81 (dd, J = 14.4, 7.8 Hz, 1H), 1.55 (ddt, J = 8.0, 5.6, 4.2 Hz, 1H), 1.39 (s, 9H), 1.38 - 1.31 (m, 2H), 0.68 - 0.33 (m, 2H).
【0134】
工程5
100mLの1つ口丸底フラスコに、反応物7−E(0.5g、2.34mmol)、トリフェニルホスフィン(1.35g、5.1mmol)、安息香酸(0.46g、3.8mmol)およびTHF(20ml)を投入した。反応混合物を撹拌しながら0℃に冷却した。反応混合物にDIAD(1.01ml、5.1mmol)をゆっくりと加えた。反応混合物を室温で一晩撹拌した。反応混合物を濃縮して体積を小さくし、エーテルに再溶解して、10分間0℃で撹拌した。固体(トリフェニルホスフィンオキシド)をろ過して除いた。ヘキサン−EtOAcによるシリカゲル上のカラムクロマトグラフィーにより粗製物を精製すると、7−Fが得られた。1H NMR (400 MHz, クロロホルム-d)δ8.16 - 7.77 (m, 2H), 7.58 (dd, J = 7.1, 1.6 Hz, 1H), 7.54 - 7.36 (m, 2H), 4.99 - 4.76 (m, 1H), 4.02 (dt, J = 8.7, 3.2 Hz, 1H), 1.70 (d, J = 3.3 Hz, 1H), 1.62 (ddd, J = 8.7, 5.1, 3.6 Hz, 1H), 1.53 - 1.44 (m, 1H), 1.30 (s, 9H), 0.96 (dd, J = 6.3, 2.6 Hz, 2H), 0.63 - 0.47 (m, 1H), 0.00 (dd, J = 6.3, 3.4 Hz, 1H).
【0135】
工程6
100mLの1つ口丸底フラスコに、7−F(0.7g、2.2mmol)、THF(10mL)およびMeOH(5mL)を投入した。反応混合物に、1N KOH(4.4mL)を加えた。反応混合物を室温で30分間撹拌した。1N HClにより酸性にして、pH=4にした後、反応混合物をEtOAcにより抽出(2×50ml)した。合わせた有機層をNa2SO4により乾燥した。濃縮後、この粗製物をヘキサン−EtOAcによるシリカゲル上のカラムクロマトグラフィーにより精製すると、Boc保護生成物が得られた。ジオキサン中の4N HClを5.5mL加え入れながら、DCM中のBoc保護生成物を室温で撹拌した。室温で2時間撹拌した後、反応混合物を濃縮し、残留物を高真空下で、一晩乾燥した。得られた7−Gを、さらに精製することなく、次の反応に使用した。
【0136】
工程7
100mLの1つ口丸底フラスコに、7−G(0.22g、1.47mmol)、H(0.60g、1.47mmol)、炭酸カリウム(0.40g、2.90mmol)、酢酸(0.71g、11.83mmol)およびアセトニトリル(10mL)を投入した。反応混合物を65℃の浴で2時間撹拌した。反応混合物を室温まで冷却した後、EtOAc(100mL)により希釈し、飽和NaHCO3で洗浄し、Na2SO4で脱水した。濃縮後、粗製物をヘキサン−EtOAcによるシリカゲル上のカラムクロマトグラフィーにより精製すると、7−Iが得られた。[M+H]+C21H20F2N3O5の計算値:458;実測値:458。
【0137】
工程8
50mLの1つ口丸底フラスコに、7−I(0.20g、0.44mmol)、臭化マグネシウム(0.21g、1.14mmol)、およびアセトニトリル(5mL)を投入した。得られた混合物を50℃で10分間撹拌した。次に、混合物を0℃の浴で撹拌し、1N HCl(約4mL)、次いで水(約5mL)を加えた。この固体をろ過して、水により洗浄した。高真空下で一晩乾燥した後、化合物7が得られた。1H NMR (400 MHz, クロロホルム-d)δ12.33 (s, 1H), 10.36 (s, 1H), 8.29 (s, 1H), 7.44 - 7.30 (m, 1H), 6.89 - 6.66 (m, 2H), 5.89 (d, J = 10.0 Hz, 1H), 5.25 - 5.13 (m, 1H), 4.75 - 4.43 (m, 3H), 4.20 (s, 1H), 4.10 - 3.84 (m, 1H), 1.90 - 1.30 (m, 4 H), 0.86 (t, J = 7.5 Hz, 1H), 0.58 (dd, J = 6.6, 3.3 Hz, 1H). 19F NMR (376 MHz, クロロホルム-d)δ-112.30 , -114.74 . [M+H]+ C21H20F2N3O5の計算値: 444; 実測値: 444.
【0138】
(例8)
化合物8の調製
(1aS,2S,10aS,11R,11aR)−N−(2,4−ジフルオロベンジル)−5−ヒドロキシ−4,6−ジオキソ−1a,2,4,6,10,10a,11,11a−オクタヒドロ−1H−2,11−メタノシクロプロパ[4,5]ピリド[1,2−a]ピリド[1,2−d]ピラジン−7−カルボキサミド
【0139】
【化43】
【0140】
工程1
エーテル中のジアゾメタン(10mL)を約3分間かけて添加しながら、エーテル(15mL)中の化合物8−A(1.002g、3.894mmol)およびPd(OAc)2(15.0mg、0.067mmol)の混合物を0℃で撹拌した。0℃で30分後、追加のエーテル中のジアゾメタン(10mL)を加え、混合物を0℃で30分間撹拌した。混合物をセライトパッドによりろ過し、濃縮した。溶離液としてヘキサン−酢酸エチルを使用するCombiflash(40gカラム)により残留物を精製すると、化合物8−Bが得られた。1H NMR (400 MHz, クロロホルム-d)δ7.35 - 7.28 (m, 2H), 7.26 - 7.21 (m, 2H), 7.21 - 7.14 (m, 1H), 3.82 (d, J = 1.8 Hz, 1H), 3.78 (q, J = 6.7 Hz, 1H), 3.28 (s, 3H), 2.64 (s, 1H), 2.44 (d, J = 2.0 Hz, 1H), 1.63 (d, J = 11.1 Hz, 1H), 1.48 ( m, 1H), 1.46 (d, J = 6.5 Hz, 3H), 1.08 (d, J = 11.1 Hz, 1H), 1.01 (t, J = 6.9 Hz, 1H), 0.54 (dt, J = 6.1, 3.0 Hz, 1H), 0.18 (q, J = 7.0 Hz, 1H). LCMS-ESI+ (m/z): [M+H]+ C17H22NO2の計算値: 272.17; 実測値: 272.1.
【0141】
工程2
EtOH(60mL)中の化合物8−B(3720mg、11.7mmol)および10%Pd/C(711mg)の混合物を、H2雰囲気下で撹拌した。20時間後、混合物をセライトによりろ過し、ろ液を濃縮して、残留物をBoc保護に使用した。LCMS-ESI+(m/z):[M+H]+C9H14NO2の計算値:168.10;実測値:168.0。
Boc2O(6.00g、27.49mmol)およびDIEA(6mL、34.45mmol)を添加しながら、残留物をTHF(50mL)中、室温で撹拌した。約30分後、反応混合物を濃縮して約1/3の体積にし、酢酸エチルにより希釈して水により洗浄(2回)した。水性画分を酢酸エチルにより抽出した後、有機画分を合わせ、乾燥(Na2SO4)して濃縮した。溶離液としてヘキサン−酢酸エチルを使用するCombiFlash(120gカラム)により残留物を精製すると、化合物8−Cが得られた。1H NMR (400 MHz, クロロホルム-d)δ4.39 (s, 0.5H), 4.25 (s, 0.5H), 3.86 (s, 0.5H), 3.77 (s, 0.5H), 3.73 (s, 1.5H), 3.71 (s, 1.5H), 2.74 (m, 1H), 1.48 (s, 4.5H), 1.44 - 1.42 (m, 1H), 1.41 (s, 4.5H), 1.36 - 1.21 (m, 1H), 1.06 (m, 2H), 0.50 (dt, J = 5.9, 3.0 Hz, 1H), 0.27 (qd, J = 7.2, 2.8 Hz, 1H). LCMS-ESI+ (m/z): [M+H]+ C14H22NO4の計算値: 268.15; 実測値: 267.7.
【0142】
工程3
THF中の2.0M LiBH4(1.5mL)を加えながら、化合物8−C(400mg、1.496mmol)のTHF(3mL)中溶液を0℃で撹拌した。5分後、混合物を室温で撹拌した。66時間後、反応混合物を酢酸エチルにより希釈し、水をゆっくりと加えた。2つの相を分離した後、水性画分を酢酸エチルにより抽出し、2つの有機画分を水により洗浄し、合わせて、乾燥(Na2SO4)し、濃縮した。溶離液としてヘキサン−酢酸エチルを使用するCombiFlash(40gカラム)により残留物を精製すると、化合物8−Dが得られた。1H NMR (400 MHz, クロロホルム-d)δ4.14 (dd, J = 2.3, 1.3 Hz, 1H), 3.68 - 3.53 (m, 2H), 3.50 - 3.41 (m, 1H), 2.61 (s, 1H), 2.39 (d, J = 2.1 Hz, 1H), 1.49 (s, 9H), 1.30 (td, J = 6.8, 6.2, 2.3 Hz, 1H), 1.16 (dt, J = 11.1, 1.8 Hz, 1H), 1.10 - 1.03 (m, 1H), 0.99 (td, J = 7.0, 3.0 Hz, 1H), 0.46 (dt, J = 6.5, 3.2 Hz, 1H), 0.22 (q, J = 7.1 Hz, 1H). LCMS-ESI+ (m/z): [M+H]+ C13H22NO3の計算値: 240.16; 実測値: 239.7.
【0143】
工程4
DIAD(0.65mL、3.301mmol)を添加しながら、化合物8−D(345mg、1.442mmol)、フタルイミド(351mg、2.386mmol)およびPPh3(852mg、3.248mmol)のTHF(20mL)中溶液を0℃で撹拌した。添加後、混合物を0℃で30分間、次に室温で撹拌した。16時間後、溶液を濃縮してシロップにし、残留物をエーテル(50mL)中、0℃で1.5時間撹拌した後、ろ過した。ろ液を濃縮し、溶離液としてヘキサン−酢酸エチルによるCombiFlash(40gのカラム)を使用して残留物を精製すると、化合物8−Eが得られた。1H NMR (400 MHz, クロロホルム-d)δ7.84 (ddt, J = 10.3, 7.8, 3.8 Hz, 2H), 7.78 - 7.61 (m, 2H), 4.23 (s, 0.5H), 4.11 (m, 0.5H), 3.99 (dd, J = 13.1, 4.1 Hz, 0.5H), 3.88 (dd, J = 12.7, 6.7 Hz, 0.5H), 3.73 - 3.43 (m, 2H), 2.41 (d, J = 2.1 Hz, 1H), 1.49 (s, 4.5H), 1.49 - 1.2 (m, 2H), 1.31 (s, 4.5H), 1.09 (d, J = 11.5 Hz, 1H), 0.94 - 0.86 (m, 0.5H), 0.85 - 0.77 (m, 0.5H), 0.44 (m, 1H), 0.17 (m, 1H). LCMS-ESI+ (m/z): [M+H]+ C21H25N2O4の計算値: 369.18; 実測値: 368.9.
【0144】
工程5および工程6
化合物8−E(516mg、1.401mmol)のEtOH(30mL)中溶液に、ヒドラジン水和物(0.29mL)を室温で加え、得られた溶液を70℃で撹拌した。4.5時間後、混合物を室温まで冷却して、エチルエーテル(30mL)により希釈し、0℃で30分間撹拌した後、ろ過した。ろ液を濃縮し、残留物をCH2Cl2に溶解した後、ろ過し、一部の不溶性物質を除去した。得られたろ液を濃縮すると、粗製化合物8−Fが得られた。LCMS-ESI+(m/z):[M+H]+C13H23N2O2の計算値:239.18;実測値:238.9。
【0145】
粗製化合物8−F、化合物8−G(341mg、1.408mmol)およびNaHCO3(240mg、2.857mmol)の水(4mL)およびEtOH(4mL)中の混合物を室温で撹拌した。15時間後、混合物を水により希釈し、酢酸エチル(2回)により抽出した。抽出物を水により洗浄し、合わせて、乾燥(Na2SO4)し、濃縮した。CH2Cl2(5mL)中の粗製残留物に、室温でジオキサン中の4N HCl(10mL)を加え、得られた混合物を室温で2時間撹拌した。混合物を濃縮して、トルエンにより共蒸発させ、真空下で30分間、乾燥した。
【0146】
トルエン(10mL)中の残留物およびDBU(1.06mL、7.088mmol)の懸濁液を110℃の浴で撹拌した。30分後、混合物を濃縮し、残留物をCH2Cl2(約50mL)に溶解し、水性NH4Cl(2回)により洗浄した。水性画分をCH2Cl2により抽出(2回)した後、3つの有機画分を合わせ、乾燥(Na2SO4)して、濃縮した。溶離液として酢酸エチル−20%MeOH/酢酸エチルを使用するCombiFlash(24gカラム)により残留物を精製すると、化合物8−Hが得られた。1H NMR (400 MHz, クロロホルム-d)δ8.17 (s, 1H), 5.04 (s, 1H), 4.09 (s, 1H), 4.08 (s, 3H), 3.91 (s, 3H), 3.86 - 3.71 (m, 2H), 2.73 (d, J = 1.8 Hz, 1H), 1.43 - 1.21 (m, 2H), 1.13 (d, J = 12.1 Hz, 2H), 0.60 (dt, J = 6.7, 3.1 Hz, 1H), 0.40 (q, J = 7.3 Hz, 1H). LCMS-ESI+ (m/z): [M+H]+ C17H19N2O5の計算値: 331.13; 実測値: 331.2.
【0147】
工程7
1N KOH(1mL)を添加しながら、THF(1mL)およびMeOH(1mL)中の化合物8−H(40mg、0.121mmol)の混合物を室温で撹拌した。30分後、反応混合物を1N HCl(約1.1mL)により酸性にし、濃縮して約2mLにし、ブラインにより希釈した後、CH2Cl2(×3)により抽出した。合わせた抽出物を乾燥(Na2SO4)し、濃縮した。
粗製酸の溶液に、室温で2,4−ジフルオロベンジルアミン(26mg、0.182mmol)およびHATU(56mg、0.147mmol)、次いでDIEA(0.32mL、1.835mmol)を加えた。1時間後、追加の2,4−ジフルオロベンジルアミン(26mg、0.182mmol)およびHATU(56mg、0.147mmol)を加えた。1時間後、反応混合物を水により希釈し、生成物をCH2Cl2(×2)により抽出した。抽出物を水により洗浄し、合わせて、乾燥(Na2SO4)し、濃縮した。
【0148】
溶離液として酢酸エチル−20%MeOH/酢酸エチルを使用するCombiFlash(24gカラム)により残留物を精製すると、化合物8−Iが得られた。1H NMR (400 MHz, クロロホルム-d)δ10.44 (t, J = 6.0 Hz, 1H), 8.36 (s, 1H), 7.34 (td, J = 8.6, 6.8 Hz, 1H), 6.87 - 6.69 (m, 2H), 5.02 (s, 1H), 4.60 (qd, J = 15.2, 5.9 Hz, 2H), 4.16 - 4.07 (m, 1H), 4.04 (s, 3H), 3.83 (t, J = 12.0 Hz, 1H), 3.76 (dd, J = 12.2, 2.7 Hz, 1H), 2.72 (d, J = 1.7 Hz, 1H), 1.39 - 1.21 (m, 2H), 1.18 - 1.07 (m, 2H), 0.59 (dt, J = 6.6, 3.2 Hz, 1H), 0.39 (q, J = 7.3 Hz, 1H). 19F NMR (376 MHz, クロロホルム-d)δ-112.08 (p, J = 7.7 Hz), -114.77 (q, J = 8.6 Hz). LCMS-ESI+ (m/z): [M+H]+ C23H22F2N3O4の計算値: 442.16; 実測値: 442.3.
【0149】
工程8
MgBr2(49mg、0.266mmol)を添加しながら、MeCM(2mL)中の化合物8−I(47mg、0.106mmol)の懸濁液を50℃で撹拌した。30分後、反応混合物を0℃で撹拌し、1N HClを加えて、混合物を溶液(約2mL)にした。混合物をCH2Cl2および水により希釈し、2つの画分を分離して、水性画分をCH2Cl2(2回)により抽出した。合わせた有機画分を乾燥(Na2SO4)して、濃縮した。溶離液としてCH2Cl2、およびCH2Cl2中の20%MeOHを使用するCombiFlash(24gカラム)により残留物を精製すると、化合物8が得られた。残留物をMeCN中、0℃で30分間磨砕し、ろ過した。集めた固体を真空で乾燥すると、追加の化合物8が得られた。1H NMR (400 MHz, クロロホルム-d)δ11.68 (s, 1H), 10.43 (s, 1H), 8.28 (s, 1H), 7.36 (td, J = 8.6, 6.4 Hz, 1H), 6.86 - 6.75 (m, 2H), 4.96 (s, 1H), 4.64 (d, J = 6.0 Hz, 2H), 4.12 (d, J = 7.9 Hz, 1H), 3.81 (d, J = 7.6 Hz, 2H), 2.79 (d, J = 1.7 Hz, 1H), 1.42 (d, J = 11.0 Hz, 2H), 1.17 (d, J = 12.3 Hz, 2H), 0.65 (dt, J = 6.7, 3.2 Hz, 1H), 0.46 (q, J = 7.3 Hz, 1H). 19F NMR (376 MHz, クロロホルム-d)δ-112.36 (p, J = 7.5 Hz), -114.76 (q, J = 8.6 Hz). LCMS-ESI+ (m/z): [M+H]+ C22H20F2N3O4の計算値: 428.14; 実測値: 428.3.
【0150】
(例9)
化合物9の調製
(1aS,2S,10aS,11R,11aR)−5−ヒドロキシ−4,6−ジオキソ−N−(2,4,6−トリフルオロベンジル)−1a,2,4,6,10,10a,11,11a−オクタヒドロ−1H−2,11−メタノシクロプロパ[4,5]ピリド[1,2−a]ピリド[1,2−d]ピラジン−7−カルボキサミド
【0151】
【化44】
【0152】
工程1
1N KOH(1mL)を添加しながら、THF(2mL)およびMeOH(2mL)中の化合物8−H(84mg、0.254mmol)の混合物を室温で撹拌した。30分後、反応混合物を約2mLまで濃縮し、1N HCl(約1.1mL)により酸性にし、濃縮して約2mLにし、ブラインにより希釈した後、CH2Cl2(×3)により抽出した。合わせた抽出物を乾燥(Na2SO4)し、溶液を次の反応に使用した。
【0153】
粗製酸溶液に、室温で2,4,6−トリフルオロベンジルアミン(57mg、0.354mmol)およびHATU(157mg、0.413mmol)、次いでDIEA(0.31mL、1.780mmol)を加えた。約30分後、追加のDIEA(0.31mL、1.78mmol)を加えた。1時間後、反応混合物を飽和NH4Clおよび水により洗浄した。水性画分をCH2Cl2により抽出(2回)した後、2つの有機画分を合わせ、乾燥(Na2SO4)して、濃縮した。溶離液として酢酸エチル−20%MeOH/酢酸エチルを使用するCombiFlash(24gカラム)により残留物を精製すると、化合物9−Aが得られた。1H NMR (400 MHz, クロロホルム-d)δ10.37 (t, J = 5.7 Hz, 1H), 8.36 (s, 1H), 6.74 - 6.57 (m, 2H), 5.03 (s, 1H), 4.64 (qd, J = 14.5, 5.7 Hz, 2H), 4.11 - 4.06 (m, 1H), 4.04 (s, 3H), 3.83 (t, J = 12.0 Hz, 1H), 3.76 (dd, J = 12.2, 2.8 Hz, 1H), 2.74 (d, J = 1.8 Hz, 1H), 1.33 (dd, J = 13.7, 2.8 Hz, 2H), 1.19 - 1.08 (m, 2H), 0.60 (dt, J = 6.6, 3.1 Hz, 1H), 0.40 (q, J = 7.2 Hz, 1H). 19F NMR (376 MHz, クロロホルム-d)δ-108.39 - -109.90 (m, 1F), -111.99 (t, J = 6.9 Hz, 2F). LCMS-ESI+ (m/z): [M+H]+ C23H21F3N3O4の計算値: 460.15; 実測値: 460.3.
【0154】
工程2
MeCM(4mL)中の化合物9−A(106mg、0.231mmol)の懸濁液を50℃で撹拌し、MgBr2(107mg、0.581mmol)を加えた。30分後、反応混合物を0℃で撹拌し、1N HClを加えて、溶液(約2mL)を得た。混合物をCH2Cl2および水により希釈し、2つの画分を分離して、水性画分をCH2Cl2(2回)により抽出した。合わせた有機画分を乾燥(Na2SO4)して、濃縮した。溶離液としてCH2Cl2、およびCH2Cl2中の20%MeOHを使用するCombiFlash(12gカラム)により残留物を精製すると、化合物12が85mg得られた。残留物をMeCN中、0℃で30分間磨砕し、ろ過した。集めた固体を真空で乾燥すると、化合物9が得られた。1H NMR (400 MHz, クロロホルム-d)δ10.35 (s, 1H), 8.27 (s, 1H), 6.65 (dd, J = 8.7, 7.6 Hz, 2H), 4.96 (s, 1H), 4.66 (dd, J = 5.7, 4.0 Hz, 2H), 4.09 (d, J = 8.3 Hz, 1H), 3.80 (d, J = 8.1 Hz, 2H), 2.79 (s, 1H), 1.41 (d, J = 11.1 Hz, 2H), 1.18 (t, J = 10.6 Hz, 2H), 0.65 (dt, J = 6.8, 3.2 Hz, 1H), 0.46 (q, J = 7.3 Hz, 1H). 19F NMR (376 MHz, クロロホルム-d)δ-109.13 - -109.32 (m, 1F), -111.99 (t, J = 7.0 Hz, 2F). LCMS-ESI+ (m/z): [M+H]+ C22H19F3N3O4の計算値: 446.13; 実測値: 446.3.
【0155】
(例10)
化合物10の調製
(1aS,2S,3aR,12R,12aR)−9−ヒドロキシ−8,10−ジオキソ−N−(2,4,6−トリフルオロベンジル)−1a,2,3a,4,8,10,12,12a−オクタヒドロ−1H−2,12−メタノシクロプロパ[e]ピリド[1’,2’:4,5]ピラジノ[2,1−b][1,3]オキサアゼピン−7−カルボキサミド
【0156】
【化45】
【0157】
工程1
100mLの1つ口丸底フラスコに、7−G(0.26g、1.74mmol)、10−A(0.8g、1.74mmol)、炭酸カリウム(0.97g、7.03mmol)、酢酸(2.55g、42.5mmol)およびアセトニトリル(30mL)を投入した。反応混合物を65℃で2時間撹拌した。反応混合物を室温まで冷却して戻した後、EtOAc(100mL)により希釈し、飽和NaHCO3で洗浄し、Na2SO4で脱水した。濃縮後、ヘキサン−EtOAcによるシリカゲル上のカラムクロマトグラフィーにより、粗製物を精製すると、10−Bが得られた。[M+H]+C21H20F2N3O5の計算値:476;実測値:476。
【0158】
工程2
50mLの1つ口丸底フラスコに、10−B(0.30g、0.63mmol)、臭化マグネシウム(0.30g、1.63mmol)およびアセトニトリル(5mL)を投入した。得られた混合物を50℃で10分間撹拌した。次に、1N HCl(約4mL)を加えながら、混合物を0℃で撹拌した。追加の水(約5mL)を加えて、フラスコ壁に形成している固体を洗い落とした。得られた固体をろ過して、水により洗浄した。高真空下で一晩、乾燥した後、化合物10が得られた。1H NMR (400 MHz, クロロホルム-d)δ12.31 (s, 1H), 10.32 (s, 1H), 8.31 (s, 1H), 6.83 - 6.54 (m, 2H), 5.90 (d, J = 9.2 Hz, 1H), 5.22 (d, J = 3.9 Hz, 1H), 4.79 - 4.47 (m, 4H), 4.22 (s, 1H), 4.08 - 3.86 (m, 1H), 1.92 - 1.64 (m, 2H), 1.65 - 1.43 (m, 2H), 0.86 (q, J = 7.4 Hz, 1H), 0.59 (dt, J = 6.6, 3.2 Hz, 1H). 19F NMR (376 MHz, クロロホルム-d)δ-109.17 , -111.95 . [M+H]+ C21H20F2N3O5の計算値: 462; 実測値: 462.
【0159】
(例11)
化合物11の調製
(1aR,2R,10aR,11S,11aS)−5−ヒドロキシ−4,6−ジオキソ−N−(2,4,6−トリフルオロベンジル)−1a,2,4,6,10,10a,11,11a−オクタヒドロ−1H−2,11−メタノシクロプロパ[4,5]ピリド[1,2−a]ピリド[1,2−d]ピラジン−7−カルボキサミド
【0160】
【化46】
【0161】
工程1
DIEA(2mL、11.48mmol)を添加しながら、CH2Cl2(15mL)中の化合物11−A(965mg、3.061mmol)、2,4,6−トリフルオロベンジルアミン(493mg、3.06mmol)およびHATU(1402mg、3.688mmol)の懸濁液を0℃で撹拌した。
【0162】
0℃で1.5時間後、反応混合物を酢酸エチルにより希釈し、水により洗浄(2回)した。水性画分を酢酸エチルにより抽出した後、有機画分を合わせ、乾燥(Na2SO4)して、濃縮した。溶離液としてヘキサン−酢酸エチルを使用するCombiFlash(40gカラム)により残留物を精製すると、化合物11−Bが得られた。1H NMR (400 MHz, クロロホルム-d)δ10.30 (t, J = 5.9 Hz, 1H), 8.40 (s, 1H), 6.79 - 6.51 (m, 2H), 4.65 (d, J = 5.6 Hz, 2H), 4.48 (t, J = 4.8 Hz, 1H), 4.01 (d, J = 4.8 Hz, 2H), 3.97 (s, 3H), 3.94 (s, 3H), 3.38 (s, 6H). 19F NMR (376 MHz, クロロホルム-d)δ-109.07 - -109.35 (m, 1F), -111.93 (t, J = 6.9 Hz, 2F). LCMS-ESI+ (m/z): [M+H]+ C20H22F3N2O7の計算値: 459.14; 実測値: 459.2.
【0163】
工程2
化合物11−B(300mg、0.654mmol)およびメタンスルホン酸(63mg、0.655mmol)のMeCN(3mL)および酢酸(0.3mL)中の混合物を75℃で2時間、加熱した。この溶液を冷却した後、アミノアルコール11−D(98mg、0.655mmol)およびK2CO3(272mg、1.968mmol)を加え、混合物をMeCN(10mL)により希釈し、65℃で21時間撹拌した。反応混合物を濃縮して、大部分のMeCNを除去し、水(約30mL)により希釈して、酢酸エチル(約30mL、2回)により抽出した。抽出物を水により洗浄し、合わせて、乾燥(Na2SO4)し、濃縮した。溶離液としてヘキサン−酢酸エチルを使用するCombiFlash(40gカラム)により残留物を精製すると、化合物11−Eが得られた。1H NMR (400 MHz, クロロホルム-d)δ10.27 (t, J = 5.7 Hz, 1H), 8.37 (s, 1H), 6.73 - 6.56 (m, 2H), 5.81 (dd, J = 9.9, 3.8 Hz, 1H), 5.25 (d, J = 3.9 Hz, 1H), 4.71 - 4.57 (m, 2H), 4.53 - 4.48 (m, 1H), 4.21 (dd, J = 12.8, 3.8 Hz, 1H), 4.02 (s, 3H), 3.98 (dd, J = 12.7, 9.9 Hz, 1H), 1.67 (dt, J = 13.5, 1.1 Hz, 2H), 1.54 (ddd, J = 7.5, 5.4, 3.6 Hz, 1H), 1.48 (dt, J = 13.5, 3.4 Hz, 1H), 0.79 (td, J = 8.0, 6.7 Hz, 1H), 0.54 (dt, J = 6.7, 3.4 Hz, 1H). 19F NMR (376 MHz, クロロホルム-d)δ-108.89 - -109.13 (m, 1F), -111.96 (t, J = 7.0 Hz, 2F). LCMS-ESI+ (m/z): [M+H]+ C23H21F3N3O5の計算値: 476.14; 実測値: 476.3.
【0164】
工程3
MeCM(4mL)中の化合物11−E(151mg、0.318mmol)の懸濁液を50℃で撹拌し、MgBr2(146mg、0.793mmol)を加えた。30分後、反応混合物を0℃で撹拌し、1N HClを加えて、溶液(約2mL)を得た。溶液を水により希釈し、生成物をCH2Cl2(3回)により抽出した。合わせた有機抽出物を乾燥(Na2SO4)し、濃縮した。溶離液としてCH2Cl2、およびCH2Cl2中の20%MeOHを使用するCombiFlash(24gカラム)により残留物を精製し、次にMeOH(約2mL)中で磨砕することによりさらに精製した。混合物を冷凍庫で保管し、固体をろ過して、MeOHにより洗浄した。集めた固体を真空で乾燥すると、化合物11が得られた。1H NMR (400 MHz, クロロホルム-d)δ12.28 (s, 1H), 10.29 (t, J = 5.7 Hz, 1H), 8.27 (s, 1H), 6.72 - 6.58 (m, 2H), 5.89 (dd, J = 9.8, 4.1 Hz, 1H), 5.22 (d, J = 3.9 Hz, 1H), 4.73 - 4.59 (m, 2H), 4.59 - 4.54 (m, 1H), 4.19 (dd, J = 12.8, 4.1 Hz, 1H), 3.99 (ddd, J = 12.7, 9.9, 0.7 Hz, 1H), 1.79 - 1.74 (m, 1H), 1.72 (d, J = 13.5 Hz, 1H), 1.63 - 1.59 (m, 1H), 1.51 (dt, J = 13.6, 3.5 Hz, 1H), 0.90 - 0.81 (m, 1H), 0.59 (dt, J = 6.7, 3.4 Hz, 1H). 19F NMR (376 MHz, クロロホルム-d)δ-109.21 (tt, J = 8.8, 6.3 Hz, 1F), -111.98 (t, J = 6.9 Hz, 2F). LCMS-ESI+ (m/z): [M+H]+ C22H19F3N3O5の計算値: 462.13; 実測値: 462.3.
【0165】
(例12)
化合物12の調製
(1aR,2R,10aR,11S,11aS)−5−ヒドロキシ−4,6−ジオキソ−N−(2,4,6−トリフルオロベンジル)−1a,2,4,6,10,10a,11,11a−オクタヒドロ−1H−2,11−メタノシクロプロパ[4,5]ピリド[1,2−a]ピリド[1,2−d]ピラジン−7−カルボキサミド
【0166】
【化47】
【化48】
【0167】
工程1
MeOH中の2,2−ジヒドロキシ酢酸(12−A)を24時間、還流した。反応物を室温まで冷却して真空下で濃縮した後、DCM(25mL)により希釈して再度濃縮すると、2−ヒドロキシ−2−メトキシ酢酸メチル(12−B)が得られた。
1H NMR (400 MHz, クロロホルム-d)δ4.86 (s, 1H), 3.82 (s, 3H), 3.48 (s, 3H).
【0168】
工程2
化合物12−Bのトルエン中溶液をN2下、0℃に冷却した。L(−)−アルファ−メチルベンジルアミン、99+%、(99%ee)をシリンジによりゆっくりと加えた。反応物を室温まで温め、1.5時間撹拌した。出発原料の存在を薄層クロマトグラフィー(TLC)によりモニタリングした。
反応を水によりクエンチし、水層と有機層とを分離した。水層をEtOAcにより抽出した。有機層を合わせ、ブラインにより洗浄し、乾燥(Na2SO4)して、濃縮すると、化合物12−Cが得られた。
【0169】
工程3
化合物12−CのN,N−ジメチルホルムアミド中溶液をN2下、−15℃に冷却した。シリンジにより、15分間かけてゆっくりとTFAを加えた。10分間撹拌した後、新しく熱分解して生成した(cracked)シクロペンタジエン(6.76g、0.102mol)をシリンジにより10分間かけて加えた。反応物を−15〜−10℃で1.5時間撹拌し、TLCおよびLCMSによりモニタリングした。
反応混合物をヘプタン(100mL)により希釈し、飽和水性Na2CO3によりクエンチして、10分間撹拌した。層を分離して、有機層をブラインにより洗浄して、乾燥(MgSO4)し、濃縮した。0〜50%EtOAc/ヘキサンを用いるシリカゲル上のCombiFlashにより、有機層から粗製混合物を精製すると、化合物12−Dが得られた。
1H NMR (400 MHz, クロロホルム-d)δ7.32 - 7.11 (m, 5H), 6.42 (ddd, J = 5.6, 3.1, 1.3 Hz, 1H), 6.27 (dd, J = 5.6, 1.9 Hz, 1H), 4.31 (q, J = 1.6 Hz, 1H), 3.35 (s, 3H), 3.03 (q, J = 6.5 Hz, 1H), 2.93 - 2.88 (m, 1H), 2.22 (s, 1H), 1.42 (t, J = 5.8 Hz, 4H).
【0170】
工程4
エーテル中のジアゾメタン(新しく作製)(10mL)をゆっくりと添加しながら、エーテル(30mL)中の12−D(1.77g、6.878mmol)およびPd(OAc)2(31mg、0.138mmol)の混合物を0℃で撹拌した。添加後、混合物を約30分間、撹拌し、TLCにより、出発原料と生成物の混合物であることが示された。出発原料がTLCにより検出されなくなるまで、追加のジアゾメタンを30分毎に加えた。反応を0℃でAcOH(5mL)によりクエンチし、約20分間撹拌して、濃縮し、溶離液としてヘキサン−EtOAcによりシリカゲルカラムを使用するCombiflashにより精製すると、化合物12−Eが得られた。
1H NMR (400 MHz, クロロホルム-d)δ7.36 - 7.10 (m, 5H), 3.88 - 3.67 (m, 2H), 3.26 (s, 3H), 2.63 (s, 1H), 2.47 - 2.36 (m, 1H), 1.68 - 1.54 (m, 1H), 1.45 (d, J = 6.5 Hz, 4H), 1.13 - 0.94 (m, 2H), 0.54 (dt, J = 6.2, 3.1 Hz, 1H), 0.17 (q, J = 7.1 Hz, 1H).
【0171】
工程5
EtOH(150mL)中の化合物12−E(1g、3.7mmol)および10%Pd/C(1g)の混合物を、H2雰囲気下で36時間撹拌した。反応混合物をセライトによりろ過し、ろ液を濃縮した。
Boc2O(1.7g、7.7mmol)およびDIPEA(2mL、11.6mmol)を加えながら、上の水素化から得られた残留物を、THF(20mL)中、室温で撹拌し、1時間、継続した。反応混合物を濃縮し、溶離液としてヘキサン−EtOAcを使用するシリカゲルカラム上のCombiFlashにより得られた残留物を精製すると、化合物12−Fが得られた。LCMS:m/z=267.6。
LCMS-ESI+ (m/z): [M+H]+ calculated for Chemical Formula: C14H21NO4, 分子量: 267.32; 実測値: 267.67.
1H NMR (400 MHz, クロロホルム-d)δ4.32 (dd, J = 55.7, 2.2 Hz, 1H), 3.82 (d, J = 43.3 Hz, 1H), 3.72 (d, J = 3.6 Hz, 3H), 2.78 - 2.68 (m, 1H), 1.52 - 1.36 (m, 11H), 1.29 (dq, J = 20.6, 7.0, 6.5 Hz, 1H), 1.13 - 0.97 (m, 1H), 0.50 (dt, J = 5.5, 3.0 Hz, 1H), 0.33 - 0.21 (m, 1H).
【0172】
工程6
THF中の2.0M LiBH4(3.2mL、6.4mmol)を加えながら、THF(6mL)中の化合物12−F(850mg、3.18mmol)を0℃で撹拌した。5分後、温度を室温まで上げ、反応を7時間、進行させた。反応を氷によりクエンチし、EtOAcおよび飽和NH4Clにより希釈した。水相と有機相とを分離した。水性画分をEtOAcにより抽出し、2つの有機画分を水により洗浄し、合わせて、乾燥(Na2SO4)し、濃縮した。粗生成物のアルコールを、そのまま次の工程に使用した。
LCMS-ESI+(m/z):[M+H]+理論化学式:C13H21NO3
分子量:239.31;実測値:239.72。
【0173】
DIAD(1.3mL、6.36mmol)を添加しながら、上のアルコール(760mg、3.18mmol)、フタルイミド(701mg、4.77mmol)およびPPh3(1.67g、6.36mmol)のTHF(20mL)中溶液を0℃で撹拌した。添加後、混合物を0℃で30分間、次に室温で一晩撹拌した。反応物をEtOAcにより希釈し、飽和NH4Clにより2回洗浄した。水相と有機相とを分離した後、水性画分をEtOAcにより抽出し、2つの有機画分を合わせて、乾燥(Na2SO4)し、濃縮した。溶離液として0〜50%EtOAc/ヘキサンによるCombiFlash(シリカゲルカラム)を用いて粗生成物を精製すると、化合物12−Gが得られた。1H NMRにより、2つの回転異性体の混合物であることが示された。
LCMS-ESI+ (m/z): [M+H]+ calculated for Chemical Formula: C21H24N2O4, 分子量: 368.43; 実測値: 368.81.
1H NMR (400 MHz, クロロホルム-d)δ7.95 - 7.58 (m, 4H), 4.32 - 4.05 (m, 1H), 4.07 - 3.79 (m, 1H), 3.66 (s, 2H), 2.42 (d, J = 2.2 Hz, 1H), 1.65 - 1.15 (m, 11H), 1.10 (d, J = 11.5 Hz, 1H), 0.87 (d, J = 40.7 Hz, 1H), 0.45 (dt, J = 6.5, 3.2 Hz, 1H), 0.18 (q, J = 7.0 Hz, 1H).
【0174】
工程7
化合物12−GのEtOH中溶液に室温でヒドラジン水和物を加えた。反応物を75℃で約3時間撹拌した。得られた混合物を室温まで冷却し、エチルエーテル(30mL)により希釈し、0℃で60分間撹拌した後、ろ過した。得られたろ液を濃縮すると、化合物12−Hが得られた。LCMS-ESI+(m/z):[M+H]+理論化学式:C13H22N2O2、分子量:238.33;実測値:238.87。
【0175】
工程8
12−H(2.85mmol)、12−I(913mg、2.87mmol)およびNaHCO3(482mg、5.74mmol)の水(10mL)およびEtOH(20mL)中の混合物を室温で一晩撹拌した。混合物をブラインにより希釈し、EtOAcにより抽出(2回)した。抽出物を合わせて、乾燥(MgSO4)し、濃縮して、真空下で30分間乾燥した。
上の粗製反応物(1.6g)のCH2Cl2(10mL)溶液に、ジオキサン中の4N HCl(10mL)を加えた。反応物を約2時間撹拌し、濃縮乾固して、トルエンと共蒸発させ、真空下で30分間乾燥した。
MeOH(30mL)中の上記の粗製反応物(2.87mmol)およびDBU(4.3mL、28.7mmol)の混合物を60℃の浴で120分間撹拌した。混合物を濃縮し、溶離液として0〜20%MeOH/EtOAcを使用するシリカゲル上のCombiFlashにより残留物を精製すると、12−Jが得られた。
1H NMR (400 MHz, クロロホルム-d)δ8.05 (s, 1H), 7.65 (s, 1H), 7.34 (s, 2H), 5.56 (d, J = 9.7 Hz, 1H), 5.14 (d, J = 9.9 Hz, 1H), 5.02 (s, 1H), 4.39 (d, J = 7.2 Hz, 2H), 3.96 (d, J = 11.6 Hz, 1H), 3.74 (d, J = 29.1 Hz, 1H), 2.68 (s, 1H), 2.04 (s, 1H), 1.56 (d, J = 4.6 Hz, 2H), 1.45 - 1.20 (m, 4H), 1.11 (d, J = 14.1 Hz, 2H), 0.58 (s, 1H), 0.38 (s, 1H).
LCMS-ESI+ (m/z): [M+H]+ calculated for Chemical Formula: C24H24N2O5, 分子量: 420.46; 実測値: 421.29.
【0176】
工程9
1N KOH(3.75mL)を添加しながら、THF(4mL)およびMeOH(4mL)中の12−J(752mg、1.841mmol)の混合物を室温で撹拌した。1時間後、反応混合物を3N HCl(1mL)により酸性にし、ブラインにより希釈した後、EtOAcにより抽出した。合わせた抽出物を乾燥(Na2SO4)し、濃縮した。
DCM(4mL)中の上記粗製反応物(158mg、0.403mmol)の混合物に、室温で2,4,6−トリフルオロベンジルアミン(85mg、0.52mmol)およびHATU(230mg、0.604mmol)、次いでDIPEA(0.3mL、1.6mmol)を加えた。約60分後、反応混合物をDCMにより希釈し、飽和NaHCO3により洗浄して、乾燥(MgSO4)し、濃縮した。0〜20%MeOH/EtOAcを使用するシリカゲル上のCombiFlashにより残留物を精製すると、化合物12−Hが得られた。
【0177】
工程10
化合物12−H(174mg、0.325mmol)を室温でTFA(2mL)に溶解し、30分間撹拌した。溶液を濃縮し、CH2Cl2中の0〜20%MeOHを使用するCombiFlash(シリカゲルカラム)により残留物を精製すると、化合物12が得られた。
1H NMR (400 MHz, クロロホルム-d)δ10.37 (t, J = 5.5 Hz, 1H), 8.29 (s, 1H), 6.65 (dd, J = 8.8, 7.4 Hz, 2H), 4.94 (s, 1H), 4.65 (d, J = 5.7 Hz, 2H), 4.13 (s, 1H), 3.81 (d, J = 5.2 Hz, 2H), 2.79 (s, 1H), 1.40 (d, J = 10.9 Hz, 2H), 1.18 (d, J = 12.5 Hz, 2H), 0.64 (dt, J = 6.7, 3.1 Hz, 1H), 0.45 (q, J = 7.3 Hz, 1H).
19F NMR (376 MHz, cdcl3)δ-109.13〜-109.21 (1F), -111.98〜-112.02 (2F).
LCMS-ESI+ (m/z): [M+H]+ calculated for Chemical Formula: C22H18F3N3O4, 分子量: 445.39.; 実測値: 446.26.
【0178】
(例13)
化合物13の調製
(1aR,2R,10aR,11S,11aS)−5−ヒドロキシ−4,6−ジオキソ−N−(2,4,5−トリフルオロベンジル)−1a,2,4,6,10,10a,11,11a−オクタヒドロ−1H−2,11−メタノシクロプロパ[4,5]ピリド[1,2−a]ピリド[1,2−d]ピラジン−7−カルボキサミド
【化49】
【0179】
工程1
1N KOH(3.75mL)を添加しながら、THF(4mL)およびMeOH(4mL)中の12−J(752mg、1.841mmol)の混合物を室温で撹拌した。1時間後、反応混合物を3N HCl(1mL)により酸性にし、ブラインにより希釈した後、EtOAcにより抽出した。合わせた抽出物を乾燥(Na2SO4)して、濃縮した。
【0180】
DCM(4mL)中の上記粗製反応物(158mg、0.403mmol)の混合物に、室温でベンジルアミン(85mg、0.52mmol)およびHATU(230mg、0.604mmol)、次いでDIPEA(0.3mL、1.6mmol)を加えた。約60分後、反応混合物をDCMにより希釈し、飽和NaHCO3により洗浄して、乾燥(MgSO4)し、濃縮した。0〜20%MeOH/EtOAcを使用するシリカゲル上のCombiFlashにより残留物を精製すると、化合物13−Aが得られた。
【0181】
工程2
化合物13−A(118mg、0.22mmol)を室温でTFA(2mL)に溶解し、30分間撹拌した。この溶液を濃縮し、CH2Cl2中の0〜20%MeOHを使用するCombiFlash(シリカゲルカラム)により残留物を精製すると、化合物13が得られた。
1H NMR (400 MHz, クロロホルム-d)δ11.74 (s, 1H), 10.45 (s, 1H), 8.29 (s, 1H), 7.25 - 7.16 (m, 1H), 6.90 (td, J = 9.5, 6.4 Hz, 1H), 4.95 (s, 1H), 4.60 (d, J = 6.0 Hz, 2H), 4.23 - 4.05 (m, 1H), 3.84 (dd, J = 4.2, 2.4 Hz, 2H), 2.80 (d, J = 3.2 Hz, 2H), 1.42 (d, J = 10.9 Hz, 2H), 1.29 - 1.12 (m, 2H), 0.65 (dt, J = 6.8, 3.2 Hz, 1H), 0.46 (q, J = 7.3 Hz, 1H).
19F NMR (376 MHz, cdcl3)δ-120.67, -136.05, -143.22〜 -143.36.
LCMS-ESI+ (m/z): [M+H]+ calculated for Chemical Formula: C22H18F3N3O4, 分子量: 445.39.; 実測値: 446.29.
【0182】
抗ウイルスアッセイ
(例14)
MT4細胞における抗ウイルスアッセイ
MT4細胞を利用する抗ウイルスアッセイの場合、384ウェルのアッセイ用プレート(10種の濃度)の各ウェル中の細胞成長培地(RPMI1640、10%FBS、1%ペニシリン/ストレプトマイシン、1%L−グルタミン、1%HEPES)40μLに、四連で、DMSO中で3倍に段階希釈した化合物の189X試験濃度のものを0.4μLを加えた。
一定分量1mLとなる2×106個のMT4細胞に、細胞成長培地(モック感染)またはHIV−IIIb濃縮ABI保存溶液を新しく1:250に希釈したもの(MT4細胞に対して0.004m.o.i.)のどちらか一方を25μL(MT4)、それぞれ1時間および3時間、37℃で事前感染させた。感染および非感染細胞を細胞成長培地に希釈し、アッセイ用プレートの各ウェルに、2000個(MT4の場合)の細胞35μLを加えた。
【0183】
次に、アッセイ用プレートをインキュベータ中、37℃でインキュベートした。5日間のインキュベート後、アッセイ用プレートの各ウェルに、2Xの濃CellTiter−Glo(商標)試薬(カタログ番号G7573、Promega Biosciences,Inc.、Madison、WI)25μLを加えた。室温で2〜3分間インキュベートすることにより細胞溶解を行い、次に、化学発光をEnvision読取装置(PerkinElmer)を使用して読み取った。
本発明の化合物は、以下の表1に示されている通り、本アッセイにおいて抗ウイルス活性を実証している。したがって、本発明の化合物は、HIVウイルスの増殖の処置、AIDSの処置、またはAIDSもしくはARCの症状の発生遅延に有用となり得る。
【0184】
【表1】
表1中のデータは、各化合物の経時的な平均値を表す。ある種の化合物の場合、本プロジェクトの全期間にわたって、複数のアッセイを実施した。
【0185】
本明細書において言及されている米国特許、米国特許出願公開、米国特許出願、外国特許、外国特許出願、および非特許公開はすべて、それらの全体が、本説明と矛盾することがない程度に、参照により本明細書に組み込まれる。
【0186】
上記から、本発明の特定の実施形態は、例示目的で本明細書に記載されているが、本発明の趣旨および範囲から逸脱することなく、様々な変更がなされてもよいことが理解されよう。したがって、本発明は、添付の特許請求の範囲によって定める以外、限定されない。
本発明のまた別の態様は、以下のとおりであってもよい。
〔1〕以下の式(I)を有する化合物またはその立体異性体もしくは薬学的に許容される塩。
【化50】
(I)
[式中、
1およびY2は、それぞれ独立して、水素、C1-3アルキルまたはC1-3ハロアルキルであり、
1は、1〜3個のハロゲン原子により置換されているフェニルであり、
Xは、−O−、−NR2−、−CHR3−または結合であり、
2およびR3は、それぞれ独立して、水素またはC1-3アルキルであり、
Lは、−C(Ra2C(Ra2−であり、
aはそれぞれ、独立して、水素、ハロ、ヒドロキシルまたはC1-4アルキルであり、
隣接する炭素原子上の2つのRa基は、それらが結合している炭素原子と一緒になって、以下の構造を有する炭素環式環を形成する。
【化51】
(式中、Rbはそれぞれ、独立して、水素またはハロである。)]
〔2〕以下の式(Ia)を有する前記〔1〕に記載の化合物、またはその立体異性体もしくは薬学的に許容される塩。
【化52】
(Ia)
[式中、
1およびY2は、それぞれ独立して、水素、C1-3アルキルまたはC1-3ハロアルキルであり、
1は、1〜3個のハロゲン原子により置換されているフェニルであり、
Xは、−O−、−NR2−、−CHR3−または結合であり、
2およびR3は、それぞれ独立して、水素またはC1-3アルキルであり、
Lは、−C(Ra2C(Ra2−であり、
aはそれぞれ、独立して、水素、ハロ、ヒドロキシルまたはC1-4アルキルであり、
隣接する炭素原子上の2つのRa基は、それらが結合している炭素原子と一緒になって、以下の構造を有する炭素環式環を形成する。
【化53】
(式中、Rbはそれぞれ、独立して、水素またはハロである。)]
〔3〕以下の式(Ib)を有する前記〔1〕に記載の化合物、またはその立体異性体もしくは薬学的に許容される塩。
【化54】
(Ib)
[式中、
1およびY2は、それぞれ独立して、水素、C1-3アルキルまたはC1-3ハロアルキルであり、
1は、1〜3個のハロゲン原子により置換されているフェニルであり、
Xは、−O−、−NR2−、−CHR3−または結合であり、
2およびR3は、それぞれ独立して、水素またはC1-3アルキルであり、
Lは、−C(Ra2C(Ra2−であり、
aはそれぞれ、独立して、水素、ハロ、ヒドロキシルまたはC1-4アルキルであり、
隣接する炭素原子上の2つのRa基は、それらが結合している炭素原子と一緒になって、以下の構造を有する炭素環式環を形成する。
【化55】
(式中、Rbはそれぞれ、独立して、水素またはハロである。)]
〔4〕以下の式(Ic)を有する前記〔1〕に記載の化合物、またはその立体異性体もしくは薬学的に許容される塩。
【化56】
(Ic)
[式中、
1およびY2は、それぞれ独立して、水素、C1-3アルキルまたはC1-3ハロアルキルであり、
1は、1〜3個のハロゲン原子により置換されているフェニルであり、
Xは、−O−、−NR2−、−CHR3−または結合であり、
2およびR3は、それぞれ独立して、水素またはC1-3アルキルであり、
Lは、−C(Ra2C(Ra2−であり、
aはそれぞれ、独立して、水素、ハロ、ヒドロキシルまたはC1-4アルキルであり、
隣接する炭素原子上の2つのRa基は、それらが結合している炭素原子と一緒になって、以下の構造を有する炭素環式環を形成する。
【化57】
(式中、Rbはそれぞれ、独立して、水素またはハロである。)]
〔5〕以下の式(Id)を有する前記〔1〕に記載の化合物、またはその立体異性体もしくは薬学的に許容される塩。
【化58】
(Id)
[式中、
1およびY2は、それぞれ独立して、水素、C1-3アルキルまたはC1-3ハロアルキルであり、
1は、1〜3個のハロゲン原子により置換されているフェニルであり、
Xは、−O−、−NR2−、−CHR3−または結合であり、
2およびR3は、それぞれ独立して、水素またはC1-3アルキルであり、
Lは、−C(Ra2C(Ra2−であり、
aはそれぞれ、独立して、水素、ハロ、ヒドロキシルまたはC1-4アルキルであり、
隣接する炭素原子上の2つのRa基は、それらが結合している炭素原子と一緒になって、以下の構造を有する炭素環式環を形成する。
【化59】
(式中、Rbはそれぞれ、独立して、水素またはハロである。)]
〔6〕以下の式(Ie)を有する前記〔1〕に記載の化合物、またはその立体異性体もしくは薬学的に許容される塩。
【化60】
(Ie)
[式中、
1およびY2は、それぞれ独立して、水素、C1-3アルキルまたはC1-3ハロアルキルであり、
1は、1〜3個のハロゲン原子により置換されているフェニルであり、
Xは、−O−、−NR2−、−CHR3−または結合であり、
2およびR3は、それぞれ独立して、水素またはC1-3アルキルであり、
Lは、−C(Ra2C(Ra2−であり、
aはそれぞれ、独立して、水素、ハロ、ヒドロキシルまたはC1-4アルキルであり、
隣接する炭素原子上の2つのRa基は、それらが結合している炭素原子と一緒になって、以下の構造を有する炭素環式環を形成する。
【化61】
(式中、Rbはそれぞれ、独立して、水素またはハロである。)]
〔7〕Xが、−O−である、前記〔1〕から〔6〕までのいずれか1項に記載の化合物。
〔8〕Xが、−NH−である、前記〔1〕から〔6〕までのいずれか1項に記載の化合物。
〔9〕Xが、−CH2−である、前記〔1〕から〔6〕までのいずれか1項に記載の化合物。
〔10〕Xが、結合である、前記〔1〕から〔6〕までのいずれか1項に記載の化合物。
〔11〕Y1がC1-4アルキルであり、Y2が水素である、前記〔1〕から〔10〕までのいずれか1項に記載の化合物。
〔12〕Y1がメチルであり、Y2が水素である、前記〔11〕に記載の化合物。
〔13〕Y1がC1-4ハロアルキルであり、Y2が水素である、前記〔1〕から〔5〕までのいずれか1項に記載の化合物。
〔14〕Y1がCF3であり、Y2が水素である、前記〔13〕に記載の化合物。
〔15〕Y1が水素、メチルまたはCF3であり、Y2が水素である、前記〔1〕から〔11〕までのいずれか1項に記載の化合物。
〔16〕Y1およびY2が両方とも水素である、前記〔1〕から〔11〕までのいずれか1項に記載の化合物。
〔17〕R1が1個のハロゲンにより置換されている、前記〔1〕から〔16〕までのいずれか1項に記載の化合物。
〔18〕R1が4−フルオロフェニルまたは2−フルオロフェニルである、前記〔17〕に記載の化合物。
〔19〕R1が2個のハロゲンにより置換されている、前記〔1〕から〔16〕までのいずれか1項に記載の化合物。
〔20〕R1が、2,4−ジフルオロフェニル、2,3−ジフルオロフェニル、2,6−ジフルオロフェニル、3−フルオロ−4−クロロフェニル、3,4−ジフルオロフェニル、2−フルオロ−4−クロロフェニルまたは3,5−ジフルオロフェニルである、前記〔19〕に記載の化合物。
〔21〕R1が2,4−ジフルオロフェニルである、前記〔20〕に記載の化合物。
〔22〕R1が3個のハロゲンにより置換されている、前記〔1〕から〔16〕までのいずれか1項に記載の化合物。
〔23〕R1が、2,4,6−トリフルオロフェニル、2,3,4−トリフルオロフェニルまたは2,4,5−トリフルオロフェニルである、前記〔22〕に記載の化合物。
〔24〕R1が、2,4,6−トリフルオロフェニルまたは2,3,4−トリフルオロフェニルである、前記〔22〕に記載の化合物。
〔25〕R1が、2,4,6−トリフルオロフェニルである、前記〔24〕に記載の化合物。
〔26〕R1が、2,4,5−トリフルオロフェニルである、前記〔24〕に記載の化合物。
〔27〕Rbがそれぞれ、独立して水素である、前記〔1〕から〔26〕までのいずれか1項に記載の化合物。
〔28〕Rbがそれぞれ、独立してハロゲンである、前記〔1〕から〔26〕までのいずれか1項に記載の化合物。
〔29〕Rbがそれぞれ、フルオロである、前記〔28〕に記載の化合物。
〔30〕
【化62】
【化63】
である、前記〔1〕に記載の化合物。
〔31〕
【化64】
である、前記〔1〕に記載の化合物。
〔32〕前記〔1〕から〔31〕までのいずれか1項に記載の化合物、またはその立体異性体もしくは薬学的に許容される塩、および薬学的に許容される担体、希釈剤または賦形剤を含む、医薬組成物。
〔33〕1〜3種の追加の治療剤をさらに含む、前記〔32〕に記載の医薬組成物。
〔34〕前記1〜3種の追加の治療剤が、抗HIV剤である、前記〔33〕に記載の医薬組成物。
〔35〕前記1〜3種の追加の治療剤が、HIVプロテアーゼ阻害剤、逆転写酵素のHIV非ヌクレオシド阻害剤、逆転写酵素のHIVヌクレオシドまたはヌクレオチド阻害剤、およびそれらの組合せからなる群から選択される、前記〔33〕に記載の医薬組成物。
〔36〕アバカビル硫酸塩、テノホビル、テノホビルジソプロキシルフマル酸塩、テノホビルアラフェナミドおよびテノホビルアラフェナミドヘミフマル酸塩からなる群から選択される第1の追加の治療剤、ならびにエムトリシチビンおよびラミブジンからなる群から選択される第2の追加の治療剤をさらに含む、前記〔32〕に記載の医薬組成物。
〔37〕治療有効量の前記〔1〕から〔31〕までのいずれか1項に記載の化合物または前記〔32〕から〔36〕までのいずれか1項に記載の医薬組成物をヒトに投与することによる、感染症を有しているまたはそれを有するリスクがあるヒトにおいて、HIV感染症を処置する方法。
〔38〕感染症を有しているまたはそれを有するリスクがあるヒトにおいて、HIV感染症を処置するための、前記〔1〕から〔31〕までのいずれか1項に記載の化合物または前記〔32〕から〔36〕までのいずれか1項に記載の医薬組成物の使用。
〔39〕医学的治療法において使用するための、前記〔1〕から〔31〕までのいずれか1項に記載の化合物、もしくはその薬学的に許容される塩、または前記〔32〕から〔36〕までのいずれか1項に記載の医薬組成物。
〔40〕HIV感染症の予防的または治療的処置において使用するための、前記〔1〕から〔31〕までのいずれか1項に記載の化合物、もしくはその薬学的に許容される塩、または前記〔32〕から〔36〕までのいずれか1項に記載の医薬組成物。