【実施例】
【0098】
以下、具体的な実施例及び比較例を挙げて本実施形態をより具体的に説明するが、本実施形態はその要旨を超えない限り、以下の実施例及び比較例によって何ら限定されるものではない。実施例及び比較例における、ポリイソシアネート組成物の物性は、以下のとおり測定した。なお、特に明記しない場合は、「部」及び「%」は、「質量部」及び「質量%」を意味する。
【0099】
(物性1)イソシアネート基含有率
ポリイソシアネート組成物を試料として、イソシアネート基含有率の測定は、JIS K7301−1995(熱硬化性ウレタンエラストマー用トリレンジイソシアネート型プレポリマー試験方法)に記載の方法に従って実施した。以下に、より具体的なイソシアネート基含有率の測定方法を示す。
【0100】
(1)試料1gを200mL三角フラスコに採取し、該フラスコにトルエン20mLを添加し、試料を溶解させた。
(2)その後、上記フラスコに2.0Nのジ−n−ブチルアミン・トルエン溶液20mLを添加し、15分間静置した。
(3)上記フラスコに2−プロパノール70mLを添加し、溶解させて溶液を得た。
(4)上記(3)で得られた溶液について、1mol/L塩酸を用いて滴定を行い、試料滴定量を求めた。
(5)試料を添加しない場合にも、上記(1)〜(3)と同様の方法で測定を実施し、ブランク滴定量を求めた。
上記で求めた試料滴定量及びブランク滴定量から、イソシアネート基含有率を以下の計算方法により算出した。
イソシアネート基含有率(質量%)=(ブランク滴定量−試料滴定量)×42/[試料質量(g)×1,000]×100%。
【0101】
(物性2)ポリイソシアネートの数平均分子量
ポリイソシアネート組成物を試料として、ポリイソシアネート組成物中の変性ポリイソシアネートと未反応ポリイソシアネートとを含むポリイソシアネートの数平均分子量は、以下の装置及び条件を用いてゲルパーミエーションクロマトグラフ(GPC)によりポリスチレン基準の数平均分子量を測定した。
装置:東ソー(株)製 HLC−8120GPC(商品名)
カラム:東ソー(株)製 TSKgelSuperH1000(商品名)×1本、TSKgelSuperH2000(商品名)×1本、TSKgelSuperH3000(商品名)×1本、
キャリアー:テトラヒドロフラン
検出方法:示差屈折計
【0102】
(物性3)平均イソシアネート官能基数
ポリイソシアネート組成物を試料として、平均イソシアネート官能基数は、ポリイソシアネート1分子が統計的に有するイソシアネート官能基の数であり、(物性2)で測定したポリイソシアネートの数平均分子量と(物性1)で測定したイソシアネート基含有率とから以下のとおり算出した。
平均官能基数=ポリイソシアネートの数平均分子量×イソシアネート基含有率(質量%)/100%/42
【0103】
(物性4)不揮発分
ポリイソシアネート組成物を試料として、溶剤希釈をした場合には、アルミニウム製カップの質量を精秤し、試料約1gを入れて、加熱乾燥前のカップ質量を精秤した。上記試料を入れたカップを105℃の乾燥機中で3時間加熱した。上記加熱後のカップを室温まで冷却した後、再度カップの質量を精秤した。試料中の乾燥残分の質量%を不揮発分とした。不揮発分の計算方法は以下のとおりである。なお、溶剤希釈なしの場合には、不揮発分は実質的に100%であるとして扱った。
不揮発分(質量%)=(加熱乾燥後のカップ質量−アルミニウム製カップ質量)/(加熱乾燥前のカップ質量−アルミニウム製カップ質量)×100%。
【0104】
(物性5)ポリイソシアネートの水分散粒子径
ポリイソシアネート組成物を試料として、ポリイソシアネート組成物中の変性ポリイソシアネートと未反応ポリイソシアネートとを含むポリイソシアネートの水分散粒子径は、レーザー回折・散乱式粒子径分布測定装置を用いて積算分布曲線より、50%径(d50)の値を測定した。
装置:日機装株式会社製 マイクロトラック ナノトラック UPA−EX150
粒子透過性:透過
粒子形状:非球形
粒子屈折率:1.81
溶媒屈折率:1.33
解析範囲:0.95nmから6540nm
サンプル測定時間:120秒
バックグラウンド測定時間:120秒
【0105】
(物性6)ポリイソシアネート組成物中のポリアルキレングリコールアルキルエーテルのnの平均数
ポリイソシアネート組成物を試料として、nの平均数は、以下の装置及び条件を用いてプロトン核磁気共鳴(NMR)により求めた。ここでは、アルキレン基に対応する相対強度の積分値とアルキル基に対応する相対強度の積分値を対応させることにより、ポリイソシアネート組成物中のポリアルキレングリコールアルキルエーテルのnの平均数を求めた。
NMR装置:Bruker Biospin Avance600(商品名)
観測核:
1H
周波数:600MHz
溶媒:CDCl
3
積算回数:256回
【0106】
(物性7)原料ポリアルキレングリコールアルキルエーテルのnの平均数
原料のポリアルキレングリコールアルキルエーテルを試料として、nの平均数は、下記の水酸基価から算出した。
水酸基価の測定は、JIS K 0070−1992(化学製品の酸価,けん化価,エステル価,よう素価,水酸基価及び不けん化物の試験方法)及び、JIS K 1557−1(プラスチック?ポリウレタン原料ポリオール試験方法?第1部:水酸基価の求め方)に記載の方法に従って実施した。
上記で求めた水酸基価から、ポリアルキレングリコールアルキルエーテルの分子量を求め、その値を用いてnの平均数を以下の計算方法により算出した。
nの平均数=(ポリアルキレングリコールアルキルエーテルの分子量−アルキル基の分子量−水酸基の分子量)/(アルキレンオキサイドの分子量)
ポリアルキレングリコールアルキルエーテルの分子量=56.1×1000/[水酸基価(mgKOH/g)]
例えば、使用したポリアルキレングリコールアルキルエーテルがポリエチレングリコール(モノ)メチルエーテルだった場合、以下のように求められる。
nの平均数=(ポリエチレングリコール(モノ)メチルエーテルの分子量−メチル基の分子量(15)−水酸基の分子量(17))/(エチレンオキサイドの分子量(44))
【0107】
(物性8)ポリアルキレングリコールアルキルエーテルが変性された割合(変性率)
ポリイソシアネート組成物を試料として、変性率は、原料のポリイソイソシアネートのイソシアネート基100当量に対して、ポリアルキレングリコールアルキルエーテルが変性された割合であり、液体クロマトグラフィー(LC)の220nmにおける、未変性イソシアヌレート3量体、1変性イソシアヌレート3量体、2変性イソシアヌレート3量体、及び3変性イソシアヌレート3量体のピーク面積比から求めた。用いた装置及び条件は以下のとおりである。
LC装置:Waters社製、UPLC(商品名)、
カラム:Waters社製、ACQUITY UPLC HSS T3 1.8μm C18 内径2.1mm×長さ50mm
流速:0.3mL/min
移動相:A=10mM酢酸アンモニウム水溶液、B=アセトニトリル
グラジェント条件:初期の移動相組成はA/B=98/2で、試料注入後Bの比率を直線的に上昇させ、10分後にA/B=0/100とした。
検出方法:フォトダイオードアレイ検出器、測定波長は220nm
【0108】
(物性9)ポリアルキレングリコールアルキルエーテルに由来する部分の含有率
ポリイソシアネート組成物を試料として、ポリイソシアネート組成物中の、変性ポリイソシアネートのポリアルキレングリコールアルキルエーテルに由来する部分の含有率は、(物性1)で測定したイソシアネート基含有率と、(物性6)で求めたポリアルキレングリコールアルキルエーテルのnの平均数から算出されるポリアルキレングリコールアルキルエーテルの分子量と、(物性8)で求めた変性率とから以下のとおり算出した。
含有率(%)=イソシアネート基含有率(質量%)/100%/42/(100−変性率(%))×変性率(%)×ポリアルキレングリコールアルキルエーテルの分子量×100%
例えば、使用したポリアルキレングリコールアルキルエーテルがポリエチレングリコール(モノ)メチルエーテルだった場合、以下のように求められる。
ポリエチレングリコール(モノ)メチルエーテルの分子量=メチル基の分子量(15)+水酸基の分子量(17)+(エチレンオキサイドの分子量(44)×nの平均数)
【0109】
(物性10)ポリアルキレングリコールアルキルエーテルの分子量分布の分散比
原料のポリアルキレングリコールアルキルエーテルを試料として、ポリアルキレングリコールアルキルエーテルの分子量分布の分散比(1)を求めた。また、ポリイソシアネート組成物を試料として、未反応のポリアルキレングリコールアルキルエーテルの分子量分布の分散比(2)を求めた。ポリイソシアネート組成物中の変性ポリイソシアネートの、ポリアルキレングリコールアルキルエーテルに由来する部分の分子量分布の分散比(3)は、分子量分布の分散比(2)と同一であるとした。
原料のポリアルキレングリコールアルキルエーテルを試料としたとき、ポリアルキレングリコールアルキルエーテルの反応性は、分子量に依存せず同等であった。よって、表1に記載の通り、原料として用いた仕込みのポリアルキレングリコールアルキルエーテルの分子量分布の分散比(1)と、ポリイソシアネート組成物中から検出される未反応のポリアルキレングリコールアルキルエーテルの分子量分布の分散比(2)は一致した。このため、ポリイソシアネートと反応して得られた変性ポリイソシアネートの、ポリアルキレングリコールアルキルエーテルに由来する部分の分子量分布の分散比(3)は、分子量分布の分散比(1)及び(2)と同一であると判断した。なお、表1における、分子量分布の分散比(1)及び(2)における差分は、測定誤差の範囲内のものである。
用いた装置及び条件は以下のとおりである。
LC装置:Waters社製、UPLC(商品名)、
カラム:Waters社製、ACQUITY UPLC HSS T3 1.8μm C18 内径2.1mm×長さ50mm
流速:0.3mL/min
移動相:a=10mM酢酸アンモニウム水溶液、b=アセトニトリル
グラジェント条件:初期の移動相組成比はa/b=98/2で、試料注入後bの比率を直線的に上昇させ、10分後にa/b=0/100とした。
検出方法1:フォトダイオードアレイ検出器、測定波長は220nm
検出方法2:質量分析装置、Waters社製、Synapt G2(商品名)
イオン化モード:エレクトロスプレーイオン化、正イオン検出
スキャンレンジ:m/z 100から2000
【0110】
上記の装置及び条件で測定した。液体クロマトグラフィーにより成分を分離した後に、質量分析で検出される上記ポリアルキレングリコールアルキルエーテル由来のイオンにおいて、質量電荷比(m/z)から求まる分子量と、イオンの相対強度とから、以下の式により分子量分布の分散比を計算した。
分子量分布の分散比=B/A
A=ΣM
iI
i/ΣI
i
B=ΣM
i2I
i/ΣM
iI
i
(M
iは各成分の質量電荷比(m/z)から求めた分子量、I
iは各成分のイオンの相対強度を示す)
【0111】
(物性11)ヒンダードフェノール系化合物の含有率
ポリイソシアネート組成物を試料として、ポリイソシアネート組成物中のヒンダードフェノール系化合物の含有率は、以下の装置及び条件を用いてゲルパーミエーションクロマトグラフ(GPC)により、紫外線(UV)波長280nmで検出されるヒンダードフェノール系化合物のピーク面積から算出した。
装置:東ソー(株)製 HLC−8120GPC(商品名)
カラム:東ソー(株)製 TSKgelSuperH1000(商品名)×1本、TSKgelSuperH2000(商品名)×1本、TSKgelSuperH3000(商品名)×1本、
キャリアー:テトラヒドロフラン
検出方法:示差UV計
算出方法:ヒンダードフェノール系化合物が既知の割合で含有されているポリイソシアネートを測定し、ヒンダードフェノール系化合物の面積(mV×秒)で検量線を作成した。その後、実施例及び比較例のポリイソシアネート組成物から検出された面積(mV×秒)からヒンダードフェノール系化合物の含有率を求めた。
【0112】
[製造例1]ポリイソシアネート組成物(1)
攪拌機、温度計、還流冷却管、窒素吹き込み管、滴下ロートを取り付けた四つ口フラスコの内部を窒素置換し、HDI1000部と2−エチルヘキサノール30部を仕込み、攪拌下80℃で2時間ウレタン化反応を行った。イソシアヌレート化及びアロファネート化触媒としてテトラメチルアンモニウムカプリエートを0.04部添加し、約3時間反応させ、リン酸の固形分85%水溶液0.075部を加えて反応を停止した。反応液をろ過した後、薄膜蒸発缶を用いて未反応のHDIを除去し、ポリイソシアネート組成物(1)を得た。
【0113】
[製造例2]ポリイソシアネート組成物(2)
撹拌機、温度計、還流冷却管、窒素吹き込み管、滴下ロートを取り付けた四つ口フラスコ内を窒素雰囲気にし、HDIを600部、3価アルコールである分子量300のポリカプロラクトン系ポリエステルポリオール(ダイセル化学株式会社製、商品名「プラクセル303」)30部を仕込み、撹拌下反応器内温度を90℃1時間保持しウレタン化反応を行った。その後反応器内温度を60℃に保持し、イソシアヌレート化触媒としてテトラメチルアンモニウムカプリエートを加え、収率が48%になった時点で燐酸を添加し反応を停止した。反応液をろ過した後、薄膜蒸発缶を用いて未反応のHDIを除去し、ポリイソシアネート組成物(2)を得た。
【0114】
[製造例3]ポリエチレングリコールモノメチルエーテル(1)
1000mLオートクレーブの反応器内を窒素置換した後、メタノール128g(4.0mol)及び水酸化カリウム0.56g(10.0mmol)を仕込んだ。110℃に昇温した後、この温度を保ちながらエチレンオキサイド880g(28.0mol)を加圧下で2.5時間かけて反応させ、さらに1時間熟成を行った。得られた反応混合物に、85質量%のリン酸1.16g(10.0mmol)を加え中和し、析出したリン酸のカリウム塩を濾過で除き、エチレンオキサイド繰返単位の平均数:7.0のポリエチレングリコールモノメチルエーテル(1)を得た。分散比を測定したところ、1.03であった。
【0115】
[製造例4]ポリエチレングリコールモノメチルエーテル(2)
1000mLオートクレーブの反応器内を窒素置換した後、メタノール128g(4.0mol)及び水酸化カリウム0.56g(10.0mmol)を仕込んだ。110℃に昇温した後、この温度を保ちながらエチレンオキサイド1056g(24.0mol)を加圧下で2.5時間かけて反応させ、さらに1時間熟成を行った。得られた反応混合物に、85質量%のリン酸1.16g(10.0mmol)を加え中和し、析出したリン酸のカリウム塩を濾過で除き、エチレンオキサイド繰返単位の平均数:6.0のポリエチレングリコールモノメチルエーテル(2)を得た。分散比を測定したところ、1.04であった。
【0116】
[調製例1]ポリエチレングリコールモノメチルエーテル(3)
エチレンオキサイド繰返単位の平均数:3.0のトリエチレングリコールモノメチルエーテルと、エチレンオキサイド繰返単位の平均数:9.0のポリエチレングリコールモノメチルエーテル(日本乳化剤株式会社製、商品名「MPG−130」)を、質量比で2.1:10.9になるように混合し、エチレンオキサイド繰返単位の平均数:7.0のポリエチレングリコールモノメチルエーテル(3)を得た。分散比を測定したところ、1.06であった。
【0117】
[調製例2]ポリエチレングリコールモノメチルエーテル(4)
エチレンオキサイド繰返単位の平均数:4.2のポリエチレングリコールモノメチルエーテル(日本乳化剤株式会社製、商品名「MPG」)と、エチレンオキサイド繰返単位の平均数:9.0のポリエチレングリコールモノメチルエーテル(日本乳化剤株式会社製、商品名「MPG−130」)を、質量比で130:55になるように混合し、エチレンオキサイド繰返単位の平均数:5.0のポリエチレングリコールモノメチルエーテル(4)を得た。分散比を測定したところ、1.13であった。
【0118】
[調製例3]ポリエチレングリコールモノメチルエーテル(5)
エチレンオキサイド繰返単位の平均数:9.0のポリエチレングリコールモノメチルエーテル(日本乳化剤株式会社製、商品名「MPG−130」)と、平均分子量1000のポリエチレングリコールモノメチルエーテル(日本油脂株式会社製、商品名「ユニオックスM−1000(エチレンオキサイド繰返単位の平均数:22)」)を、質量比で5.7:11.3になるように混合し、エチレンオキサイド繰返単位の平均数:15.0のポリエチレングリコールモノメチルエーテル(5)を得た。分散比を測定したところ、1.20であった。
【0119】
[調製例4]ポリエチレングリコールモノメチルエーテル(6)
エチレンオキサイド繰返単位の平均数:4.2のポリエチレングリコールモノメチルエーテル(日本乳化剤株式会社製、商品名「MPG」)と、エチレンオキサイド繰返単位の平均数:9.0のポリエチレングリコールモノメチルエーテル(日本乳化剤株式会社製、商品名「MPG−130」)を、質量比で16:19になるように混合し、エチレンオキサイド繰返単位の平均数:6.0のポリエチレングリコールモノメチルエーテル(6)を得た。分散比を測定したところ、1.11であった。
【0120】
[調製例5]ポリエチレングリコールモノメチルエーテル(7)
製造例4で得られたエチレンオキサイド繰返単位の平均数:6.0のポリエチレングリコールモノメチルエーテル(2)と、平均分子量550のポリエチレングリコールモノメチルエーテル(日本油脂株式会社製、商品名「ユニオックスM−550(エチレンオキサイド繰返単位の平均数:11.8)」)を、質量比で1:2になるように混合し、エチレンオキサイド繰返単位の平均数:9.0のポリエチレングリコールモノメチルエーテル(7)を得た。分散比を測定したところ、1.10であった。
【0121】
[調製例6]ポリエチレングリコールモノメチルエーテル(8)
エチレンオキサイド繰返単位の平均数:9.0のポリエチレングリコールモノメチルエーテル(日本乳化剤株式会社製、商品名「MPG−130」)と、エチレンオキサイド繰返単位の平均数:15のポリエチレングリコールモノメチルエーテル(日本乳化剤株式会社製、商品名「MPG−081」)を、質量比で6.8:11.0になるように混合し、エチレンオキサイド繰返単位の平均数:12.0のポリエチレングリコールモノメチルエーテル(8)を得た。分散比を測定したところ、1.12であった。
【0122】
[調製例7]ポリエチレングリコールモノメチルエーテル(9)
エチレンオキサイド繰返単位の平均数:4.2のポリエチレングリコールモノメチルエーテル(日本乳化剤株式会社製、商品名「MPG」と、エチレンオキサイド繰返単位の平均数:9.0のポリエチレングリコールモノメチルエーテル(日本乳化剤株式会社製、商品名「MPG−130」を、質量比で12.5:3.5になるように混合し、エチレンオキサイド繰返単位の平均数:4.8のポリエチレングリコールモノメチルエーテル(9)を得た。分散比を測定したところ、1.17であった。
【0123】
[調製例8]ポリエチレングリコールモノメチルエーテル(10)
調製例4で得られたポリエチレングリコールモノメチルエーテル(6)に、2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール(BHT)を200質量ppm添加し、40℃で2時間撹拌して混合し、ポリエチレングリコールモノメチルエーテル(10)を得た。
【0124】
[調製例9]ポリエチレングリコールモノメチルエーテル(11)
調製例4で得られたポリエチレングリコールモノメチルエーテル(6)に、2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール(BHT)を400質量ppm添加し、40℃で2時間撹拌して混合し、ポリエチレングリコールモノメチルエーテル(11)を得た。
【0125】
[調製例10]ポリイソシアネート組成物(3)
市販のポリイソシアネート組成物(旭化成ケミカルズ株式会社製、商品名「TPA−100」)に、2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール(BHT)を500質量ppm添加し、40℃で2時間撹拌して混合し、ポリイソシアネート組成物(3)を得た。
【0126】
[調製例11]ポリエチレングリコールモノメチルエーテル(12)
エチレンオキサイド繰返単位の平均数:4.2のポリエチレングリコールモノメチルエーテル(日本乳化剤株式会社製、商品名「MPG」)と、エチレンオキサイド繰返単位の平均数:9.0のポリエチレングリコールモノメチルエーテル(日本乳化剤株式会社製、商品名「MPG−130」)を、質量比で46:27になるように混合し、エチレンオキサイド繰返単位の平均数:5.3のポリエチレングリコールモノメチルエーテル(12)を得た。分散比を測定したところ、1.13であった。
【0127】
[調製例12]ポリエチレングリコールモノメチルエーテル(13)
エチレンオキサイド繰返単位の平均数:4.2のポリエチレングリコールモノメチルエーテル(日本乳化剤株式会社製、商品名「MPG」)と、エチレンオキサイド繰返単位の平均数:9.0のポリエチレングリコールモノメチルエーテル(日本乳化剤株式会社製、商品名「MPG−130」)を、質量比で30:22になるように混合し、エチレンオキサイド繰返単位の平均数:5.5のポリエチレングリコールモノメチルエーテル(13)を得た。分散比を測定したところ、1.12であった。
【0128】
[実施例1]
市販のポリイソシアネート組成物(旭化成ケミカルズ株式会社製、商品名「TKA−100」)87質量部に、調製例1で得られたエチレンオキサイド繰返単位の平均数:7.0のポリエチレングリコールモノメチルエーテル(3)を13質量部添加し、窒素下、120℃で3時間攪拌して反応を行った。反応終了後、変性ポリイソシアネートを含むポリイソシアネート組成物を得た。
【0129】
得られたポリイソシアネート組成物は、不揮発分:100%、水分散粒子径は180nmであり、イソシアネート基含有率:17.3質量%、数平均分子量:760、平均イソシアネート官能基数:3.1であった。NMRから検出されたエチレンオキサイド繰返単位の平均数は7.1であり、得られた組成物中のポリエチレングリコールモノメチルエーテルの分散比を求めると、1.06であった。得られた組成物中の変性率は8.4%であり、よって、ポリエチレングリコールモノメチルエーテルの含有率は13.0%と算出された。
【0130】
[実施例2]
市販のポリイソシアネート組成物(旭化成ケミカルズ株式会社製、商品名「TPA−100」)84質量部に、調製例2で得られたエチレンオキサイド繰返単位の平均数:5.0のポリエチレングリコールモノメチルエーテル(4)16質量部を添加し、窒素下、90℃で8時間攪拌して反応を行った。反応終了後、変性ポリイソシアネートを含むポリイソシアネート組成物を得た。
【0131】
得られたポリイソシアネート組成物は、不揮発分:100%、水分散粒子径は190nmであり、イソシアネート基含有率:16.5質量%、数平均分子量:700、平均イソシアネート官能基数:2.8であった。NMRから検出されたエチレンオキサイド繰返単位の平均数は5.0であり、得られた組成物中のポリエチレングリコールモノメチルエーテルの分散比を求めると、1.14であった。得られた組成物中の変性率は14.0%であり、よって、ポリエチレングリコールモノメチルエーテルの含有率は16.1%と算出された。
【0132】
[実施例3]
市販のポリイソシアネート組成物(旭化成ケミカルズ株式会社製、商品名「24A−100」)83質量部、調製例3で得られたエチレンオキサイド繰返単位の平均数:15のポリエチレングリコールモノメチルエーテル(5)17質量部を添加し、窒素下、90℃で6時間攪拌して反応を行った。反応終了後、変性ポリイソシアネートを含むポリイソシアネート組成物を得た。
【0133】
得られたポリイソシアネート組成物は、不揮発分:100%、水分散粒子径:80nmであり、イソシアネート基含有率:18.6質量%、数平均分子量:720、平均イソシアネート官能基数:3.2であった。NMRから検出されたエチレンオキサイド繰返単位の平均数は15.0であり、得られた組成物中のポリエチレングリコールモノメチルエーテルの分散比を求めると、1.21であった。得られた組成物中の変性率は5.2%であり、よって、ポリエチレングリコールモノメチルエーテルの含有率は16.8%と算出された。
【0134】
[実施例4]
製造例1で得られたポリイソシアネート組成物(1)83質量部、調製例4で得られたエチレンオキサイド繰返単位の平均数:6.0のポリエチレングリコールモノメチルエーテル(6)17質量部を添加し、窒素下、110℃で3時間攪拌して反応を行った。反応終了後、変性ポリイソシアネートを含むポリイソシアネート組成物を得た。
【0135】
得られたポリイソシアネート組成物は、不揮発分:100%、水分散粒子径:50nmであり、イソシアネート基含有率:14.8質量%、数平均分子量:670、平均イソシアネート官能基数:2.4であった。NMRから検出されたエチレンオキサイド繰返単位の平均数は6.1であり、得られた組成物中のポリエチレングリコールモノメチルエーテルの分散比を求めると、1.11であった。得られた組成物中の変性率は13.9%であり、よって、ポリエチレングリコールモノメチルエーテルの含有率は17.1%と算出された。
【0136】
[実施例5]
市販のポリイソシアネート組成物(旭化成ケミカルズ株式会社製、商品名「TKA−100」)84質量部に、1,3−ブタンジオール(表中、「1,3−BD」と表記する。)を3質量部添加し、窒素下、80℃2時間撹拌して反応を行った。その後、調製例5で得られたエチレンオキサイド繰返単位の平均数:9.0のポリエチレングリコールモノメチルエーテル(7)を13質量部添加し、窒素下、120℃で3時間攪拌して反応を行った。反応終了後、変性ポリイソシアネートを含むポリイソシアネート組成物を得た。
【0137】
得られたポリイソシアネート組成物は、不揮発分:100%、水分散粒子径は100nmであり、イソシアネート基含有率:14.0質量%、数平均分子量:1070、平均イソシアネート官能基数:3.6であった。NMRから検出されたエチレンオキサイド繰返単位の平均数は9.0であり、得られた組成物中のポリエチレングリコールモノメチルエーテルの分散比を求めると、1.10であった。得られた組成物中の変性率は8.4%であり、よって、ポリエチレングリコールモノメチルエーテルの含有率は13.1%と算出された。
【0138】
[実施例6]
製造例1で得られたポリイソシアネート組成物(1)90質量部、調製例5で得られたエチレンオキサイド繰返単位の平均数:9.0のポリエチレングリコールモノメチルエーテル(7)10質量部を添加し、窒素下、110℃で3時間攪拌して反応を行った。反応終了後、変性ポリイソシアネートを含むポリイソシアネート組成物を得た。
【0139】
得られたポリイソシアネート組成物は、不揮発分:100%、水分散粒子径:160nmであり、イソシアネート基含有率:17.6質量%、数平均分子量:620、平均イソシアネート官能基数:2.6であった。NMRから検出されたエチレンオキサイド繰返単位の平均数は9.1であり、得られた組成物中のポリエチレングリコールモノメチルエーテルの分散比を求めると、1.11であった。得られた組成物中の変性率は5.3%であり、よって、ポリエチレングリコールモノメチルエーテルの含有率は10.0%と算出された。
【0140】
[実施例7]
市販のHDI系ポリイソシアネート組成物(旭化成ケミカルズ株式会社製、商品名「TKA−100」)24.7質量部、市販のIPDI系ポリイソシアネート組成物(エボニックジャパン株式会社製、商品名「T1890/100」)57.5質量部に、調製例6で得られたエチレンオキサイド繰返単位の平均数:12.0のポリエチレングリコールモノメチルエーテル(8)17.8質量部、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート40質量部を添加し、窒素下、100℃で6時間攪拌して反応を行った。反応終了後、変性ポリイソシアネートを含むポリイソシアネート組成物を得た。
【0141】
得られたポリイソシアネート組成物は、不揮発分:72.0%、水分散粒子径:50nmであり、不揮発分を100%として計算したイソシアネート基含有率(溶剤込の状態でイソシアネート基含有率を求め、その値を不揮発分比率で割り、計算した):13.5質量%、数平均分子量:880、平均イソシアネート官能基数:2.8であった。NMRから検出されたエチレンオキサイド繰返単位の平均数は12.0であった。得られた組成物中のポリエチレングリコールモノメチルエーテルの分散比を求めると、1.12であった。得られた組成物中の変性率は9.0%であり、よって、ポリエチレングリコールモノメチルエーテルの含有率は17.8%と算出された。
【0142】
[実施例8]
市販のポリイソシアネート組成物(旭化成ケミカルズ株式会社製、商品名「TPA−100」)26.5質量部、製造例1で得られたポリイソシアネート組成物(1)43.0質量部、数平均分子量6400のポリプロピレングリコール(旭硝子株式会社製、商品名「エクセノール840」、表中「Ex840」と表記する。)10.0質量部に、調製例2で得られたエチレンオキサイド繰返単位の平均数:5.0のポリエチレングリコールモノメチルエーテル(4)17.2質量部を添加し、窒素下、120℃で6時間攪拌して反応を行った。反応終了後、変性ポリイソシアネートを含むポリイソシアネート組成物を得た。
【0143】
得られたポリイソシアネート組成物は、不揮発分:100%、水分散粒子径:80nmであり、イソシアネート基含有率:12.3質量%、数平均分子量:820、平均イソシアネート官能基数:2.4であった。NMRから検出されたエチレンオキサイド繰返単位の平均数は5.0であり、得られた組成物中のポリエチレングリコールモノメチルエーテルの分散比を求めると、1.13であった。得られた組成物中の変性率は19.5%であり、よって、ポリエチレングリコールモノメチルエーテルの含有率は17.9%と算出された。
【0144】
[実施例9]
市販のHDI系ポリイソシアネート組成物(旭化成ケミカルズ株式会社製、商品名「TKA−100」)59.5質量部、市販のIPDI系ポリイソシアネート組成物(エボニックジャパン株式会社製、商品名「T1890/100」)25.5質量部に、調製例5で得られたエチレンオキサイド繰返単位の平均数:9.0のポリエチレングリコールモノメチルエーテル(7)15.0質量部、酢酸ブチル40質量部を添加し、窒素下、100℃で6時間攪拌して反応を行った。反応終了後、変性ポリイソシアネートを含むポリイソシアネート組成物を得た。
【0145】
得られたポリイソシアネート組成物は、不揮発分:72.5%、水分散粒子径:80nmであり、不揮発分を100%として計算したイソシアネート基含有率(溶剤込の状態でイソシアネート基含有率を求め、その値を不揮発分比率で割り、計算した):15.5質量%、数平均分子量:810、平均イソシアネート官能基数:3.0であった。NMRから検出されたエチレンオキサイド繰返単位の平均数は9.0であり、得られた組成物中のポリエチレングリコールモノメチルエーテルの分散比を求めると、1.09であった。得られた組成物中の変性率は8.7%であり、よって、ポリエチレングリコールモノメチルエーテルの含有率は15.1%と算出された。
【0146】
[実施例10]
市販のポリイソシアネート組成物(旭化成ケミカルズ株式会社製、商品名「TPA−100」)84質量部に、調製例4で得られたエチレンオキサイド繰返単位の平均数:6.0のポリエチレングリコールモノメチルエーテル(6)16.0質量部を添加し、窒素下、120℃で3時間攪拌して反応を行った。反応終了後、変性ポリイソシアネートを含むポリイソシアネート組成物を得た。
【0147】
得られたポリイソシアネート組成物は、不揮発分:100%、水分散粒子径は140nmであり、イソシアネート基含有率:16.9質量%、数平均分子量:700、平均イソシアネート官能基数:2.8であった。NMRから検出されたエチレンオキサイド繰返単位の平均数は6.0であり、得られた組成物中のポリエチレングリコールモノメチルエーテルの分散比を求めると、1.11であった。得られた組成物中の変性率は11.8%であり、よって、ポリエチレングリコールモノメチルエーテルの含有率は15.9%と算出された。
【0148】
[実施例11]
調製例4で得られたポリエチレングリコールモノメチルエーテル(6)の代わりに、調製例8で得られたポリエチレングリコールモノメチルエーテル(10)を用いた以外は実施例10と同様に操作し、変性ポリイソシアネートを含むポリイソシアネート組成物を得た。
【0149】
得られたポリイソシアネート組成物は、不揮発分:100%、水分散粒子径は140nmであり、イソシアネート基含有率:16.9質量%、数平均分子量:700、平均イソシアネート官能基数:2.8であった。NMRから検出されたエチレンオキサイド繰返単位の平均数は6.0であり、得られた組成物中のポリエチレングリコールモノメチルエーテルの分散比を求めると、1.11であった。得られた組成物中の変性率は11.8%であり、よって、ポリエチレングリコールモノメチルエーテルの含有率は15.9%と算出された。また、BHTの含有率は0.003%であった。
【0150】
[実施例12]
調製例4で得られたポリエチレングリコールモノメチルエーテル(6)の代わりに、調製例9で得られたポリエチレングリコールモノメチルエーテル(11)を用いた以外は実施例10と同様に操作し、変性ポリイソシアネートを含むポリイソシアネート組成物を得た。
【0151】
得られたポリイソシアネート組成物は、不揮発分:100%、水分散粒子径は140nmであり、イソシアネート基含有率:16.9質量%、数平均分子量:700、平均イソシアネート官能基数:2.8であった。NMRから検出されたエチレンオキサイド繰返単位の平均数は6.0であり、得られた組成物中のポリエチレングリコールモノメチルエーテルの分散比を求めると、1.11であった。得られた組成物中の変性率は11.8%であり、よって、ポリエチレングリコールモノメチルエーテルの含有率は15.9%と算出された。また、BHTの含有率は0.006%であった。
【0152】
[実施例13]
市販のポリイソシアネート組成物(旭化成ケミカルズ株式会社製、商品名「TPA−100」)の代わりに、調製例10で得られたポリイソシアネート組成物(3)を用いた以外は実施例10と同様に操作し、変性ポリイソシアネートを含むポリイソシアネート組成物を得た。
【0153】
得られたポリイソシアネート組成物は、不揮発分:100%、水分散粒子径は140nmであり、イソシアネート基含有率:16.9質量%、数平均分子量:700、平均イソシアネート官能基数:2.8であった。NMRから検出されたエチレンオキサイド繰返単位の平均数は6.0であり、得られた組成物中のポリエチレングリコールモノメチルエーテルの分散比を求めると、1.11であった。得られた組成物中の変性率は11.8%であり、よって、ポリエチレングリコールモノメチルエーテルの含有率は15.9%と算出された。また、BHTの含有率は0.04%であった。
【0154】
[実施例14]
市販のポリイソシアネート組成物(旭化成ケミカルズ株式会社製、商品名「TPA−100」)84質量部に、調製例4で得られたエチレンオキサイド繰返単位の平均数:6.0のポリエチレングリコールモノメチルエーテル(6)16.0質量部、BHT0.1質量部を添加し、窒素下、120℃で3時間攪拌して反応を行った。反応終了後、変性ポリイソシアネートを含むポリイソシアネート組成物を得た。
【0155】
得られたポリイソシアネート組成物は、不揮発分:100%、水分散粒子径は140nmであり、イソシアネート基含有率:16.9質量%、数平均分子量:700、平均イソシアネート官能基数:2.8であった。NMRから検出されたエチレンオキサイド繰返単位の平均数は6.0であり、得られた組成物中のポリエチレングリコールモノメチルエーテルの分散比を求めると、1.11であった。得られた組成物中の変性率は11.8%であり、よって、ポリエチレングリコールモノメチルエーテルの含有率は15.9%と算出された。また、BHTの含有率は0.10%であった。
【0156】
[実施例15]
市販のポリイソシアネート組成物(旭化成ケミカルズ株式会社製、商品名「TPA−100」)82.5質量部に、調製例11で得られたエチレンオキサイド繰返単位の平均数:5.3のポリエチレングリコールモノメチルエーテル(12)17.5質量部を添加し、窒素下、120℃で3時間攪拌して反応を行った。反応終了後、変性ポリイソシアネートを含むポリイソシアネート組成物を得た。
【0157】
得られたポリイソシアネート組成物は、不揮発分:100%、水分散粒子径は150nmであり、イソシアネート基含有率:16.2質量%、数平均分子量:700、平均イソシアネート官能基数:2.7であった。NMRから検出されたエチレンオキサイド繰返単位の平均数は5.2であり、得られた組成物中のポリエチレングリコールモノメチルエーテルの分散比を求めると、1.13であった。得られた組成物中の変性率は14.7%であり、よって、ポリエチレングリコールモノメチルエーテルの含有率は17.3%と算出された。
【0158】
[実施例16]
市販のポリイソシアネート組成物(旭化成ケミカルズ株式会社製、商品名「TPA−100」)83.0質量部に、調製例12で得られたエチレンオキサイド繰返単位の平均数:5.5のポリエチレングリコールモノメチルエーテル(13)17.0質量部を添加し、窒素下、120℃で3時間攪拌して反応を行った。反応終了後、変性ポリイソシアネートを含むポリイソシアネート組成物を得た。
【0159】
得られたポリイソシアネート組成物は、不揮発分:100%、水分散粒子径は150nmであり、イソシアネート基含有率:16.4質量%、数平均分子量:700、平均イソシアネート官能基数:2.7であった。NMRから検出されたエチレンオキサイド繰返単位の平均数は5.4であり、得られた組成物中のポリエチレングリコールモノメチルエーテルの分散比を求めると、1.12であった。得られた組成物中の変性率は13.8%であり、よって、ポリエチレングリコールモノメチルエーテルの含有率は16.9%と算出された。
【0160】
[比較例1]
市販のポリイソシアネート組成物(旭化成ケミカルズ株式会社製、商品名「TKA−100」)87質量部に、製造例3で得られたエチレンオキサイド繰返単位の平均数:7.0のポリエチレングリコールモノメチルエーテル(1)13.0質量部を添加し、窒素下、120℃で3時間攪拌して反応を行った。反応終了後、変性ポリイソシアネートを含むポリイソシアネート組成物を得た。
【0161】
得られたポリイソシアネート組成物は、不揮発分:100%、水分散粒子径は240nmであり、イソシアネート基含有率:17.4質量%、数平均分子量:760、平均イソシアネート官能基数:3.1であった。NMRから検出されたエチレンオキサイド繰返単位の平均数は7.0であり、得られた組成物中のポリエチレングリコールモノメチルエーテルの分散比を求めると、1.03であった。得られた組成物中の変性率は8.4%であり、よって、ポリエチレングリコールモノメチルエーテルの含有率は12.9%と算出された。
【0162】
[比較例2]
市販のHDI系ポリイソシアネート組成物(旭化成ケミカルズ株式会社製、商品名「TKA−100」)59.5質量部、市販のIPDI系ポリイソシアネート組成物(エボニックジャパン株式会社製、商品名「T1890/100」)25.5質量部に、エチレンオキサイド繰返単位の平均数:9.0のポリエチレングリコールモノメチルエーテル(日本乳化剤株式会社製、商品名「MPG−130」、分子量分布の分散比:1.04)15.0質量部、酢酸ブチル40質量部を添加し、窒素下、100℃で6時間攪拌して反応を行った。反応終了後、変性ポリイソシアネートを含むポリイソシアネート組成物を得た。
【0163】
得られたポリイソシアネート組成物は、不揮発分:72.0%、水分散粒子径:200nmであり、不揮発分を100%として計算したイソシアネート基含有率(溶剤込の状態でイソシアネート基含有率を求め、その値を不揮発分比率で割り、計算した):15.6質量%、数平均分子量:800、平均イソシアネート官能基数:3.0であった。NMRから検出されたエチレンオキサイド繰返単位の平均数は9.0であり、得られた組成物中のポリエチレングリコールモノメチルエーテルの分散比を求めると、1.04であった。得られた組成物中の変性率は8.6%であり、よって、ポリエチレングリコールモノメチルエーテルの含有率は15.0%と算出された。
【0164】
[比較例3]
市販のポリイソシアネート組成物(旭化成ケミカルズ株式会社製、商品名「TPA−100」)84質量部に、製造例4で得られたエチレンオキサイド繰返単位の平均数:6.0のポリエチレングリコールモノメチルエーテル(2)16.0質量部を添加し、窒素下、120℃で3時間攪拌して反応を行った。反応終了後、変性ポリイソシアネートを含むポリイソシアネート組成物を得た。
【0165】
得られたポリイソシアネート組成物は、不揮発分:100%、水分散粒子径は210nmであり、イソシアネート基含有率:16.9質量%、数平均分子量:700、平均イソシアネート官能基数:2.8であった。NMRから検出されたエチレンオキサイド繰返単位の平均数は6.0であり、得られた組成物中のポリエチレングリコールモノメチルエーテルの分散比を求めると、1.04であった。得られた組成物中の変性率は12.0%であり、よって、ポリエチレングリコールモノメチルエーテルの含有率は16.2%と算出された。
【0166】
[比較例4]
市販のポリイソシアネート組成物(旭化成ケミカルズ株式会社製、商品名「TPA−100」)84質量部に、調製例7で得られたエチレンオキサイド繰返単位の平均数:4.8のポリエチレングリコールモノメチルエーテル(9)16.0質量部を添加し、窒素下、90℃で8時間攪拌して反応を行った。反応終了後、変性ポリイソシアネートを含むポリイソシアネート組成物を得た。
【0167】
得られたポリイソシアネート組成物は、不揮発分:100%、水分散粒子径は250nmであり、イソシアネート基含有率:16.3質量%、数平均分子量:700、平均イソシアネート官能基数:2.7であった。NMRから検出されたエチレンオキサイド繰返単位の平均数は4.8であり、得られた組成物中のポリエチレングリコールモノメチルエーテルの分散比を求めると、1.16であった。得られた組成物中の変性率は14.6%であり、よって、ポリエチレングリコールモノメチルエーテルの含有率は16.1%と算出された。
【0168】
[比較例5]
製造例2で得られたポリイソシアネート組成物(2)85質量部に、調製例5で得られたエチレンオキサイド繰返単位の平均数:9.0のポリエチレングリコールモノメチルエーテル(7)15質量部、酢酸ブチル40質量部を添加し、窒素下、120℃で4時間攪拌して反応を行った。反応終了後、変性ポリイソシアネートを含むポリイソシアネート組成物を得た。
【0169】
得られたポリイソシアネート組成物は、不揮発分:72.5%、水分散粒子径:500nm以上であり、不揮発分を100%として計算したイソシアネート基含有率(溶剤込の状態でイソシアネート基含有率を求め、その値を不揮発分比率で割り、計算した):14.5質量%、数平均分子量:1300、平均イソシアネート官能基数:4.5であった。NMRから検出されたエチレンオキサイド繰返単位の平均数は8.9であり、得られた組成物中のポリエチレングリコールモノメチルエーテルの分散比を求めると、1.10であった。得られた組成物中の変性率は9.2%であり、よって、ポリエチレングリコールモノメチルエーテルの含有率は14.8%と算出された。
【0170】
[比較例6]
製造例1で得られたポリイソシアネート組成物(1)91質量部、調製例5で得られたエチレンオキサイド繰返単位の平均数:9.0のポリエチレングリコールモノメチルエーテル(7)9質量部を添加し、窒素下、110℃で3時間攪拌して反応を行った。反応終了後、変性ポリイソシアネートを含むポリイソシアネート組成物を得た。
【0171】
得られたポリイソシアネート組成物は、不揮発分:100%、水分散粒子径:210nmであり、イソシアネート基含有率:18.0質量%、数平均分子量:620、平均イソシアネート官能基数:2.7であった。NMRから検出されたエチレンオキサイド繰返単位の平均数は9.0であり、得られた組成物中のポリエチレングリコールモノメチルエーテルの分散比を求めると、1.11であった。得られた組成物中の変性率は4.6%であり、よって、ポリエチレングリコールモノメチルエーテルの含有率は8.8%と算出された。
【0172】
[比較例7]
製造例2で得られたポリイソシアネート組成物(2)91質量部に、エチレンオキサイド繰返単位の平均数:4.2のポリエチレングリコールモノメチルエーテル(日本乳化剤株式会社製、商品名「MPG」、分子量分布の分散比:1.01)9質量部、酢酸ブチル40質量部を添加し、窒素下、120℃で4時間攪拌して反応を行った。反応終了後、変性ポリイソシアネートを含むポリイソシアネート組成物を得た。
【0173】
得られたポリイソシアネート組成物は、不揮発分:72.1%、水分散粒子径:500nm以上であり、不揮発分を100%として計算したイソシアネート基含有率(溶剤込の状態でイソシアネート基含有率を求め、その値を不揮発分比率で割り、計算した):15.6質量%、数平均分子量:1210、平均イソシアネート官能基数:4.5であった。NMRから検出されたエチレンオキサイド繰返単位の平均数は4.2であり、得られた組成物中のポリエチレングリコールモノメチルエーテルの分散比を求めると、1.01であった。得られた組成物中の変性率は10.0%であり、よって、ポリエチレングリコールモノメチルエーテルの含有率は8.9%と算出された。
【0174】
実施例1〜16、及び比較例1〜7で得られた変性ポリイソシアネートを含むポリイソシアネート組成物の評価は、以下のとおり行った。評価結果を表1に示す。
【0175】
(評価1)水分散性
(1)100mLフラスコと、吉野紙との質量を測定した。
(2)変性ポリイソシアネートを含むポリイソシアネート組成物を、固形分換算で16gとなるように100mLフラスコに採取し、脱イオン水24gを添加した。
(3)プロペラ羽を使用し、200rpmで3分間、100mLフラスコ内の溶液を撹拌した後、(1)で秤量した吉野紙で濾過した。
(4)吉野紙に残った濾過残渣と、100mLフラスコに残った残渣とを合わせて105℃の乾燥機中で1時間加熱し、質量(g)を求めた。
(5)以下の計算方法で、変性ポリイソシアネートを含む組成物が水へ分散した割合を求めた。
水へ分散した割合(質量%)=100%−((4)で求めた残渣を含む100mLフラスコと吉野紙との合計質量(g)−(1)で測定した100mLフラスコと吉野紙との合計質量(g))/((2)で採取した変性ポリイソシアネートを含むポリイソシアネート組成物の質量(g)×不揮発分(質量%))×100%
判定方法は以下のとおりとした。
A:80質量%以上
B:60質量%以上80質量%未満
C:60質量%未満
【0176】
(評価2)水分散安定性
200mLフラスコに、変性ポリイソシアネートを含むポリイソシアネート組成物0.1gと、脱イオン水100gを量り取り、プロペラ羽を使用し、600rpmで5分間、200mLフラスコ内の溶液を撹拌し、水分散液を得た。その後、50mLのガラス瓶に移し替え、分散状態を肉眼で観察した。
判定方法は以下のとおりとした。
A:3時間経過後も変化が見られなかった。
B:3時間経過後にわずかに沈殿又は分離が見られた。
C:3時間以内に沈殿又は分離が見られた。
【0177】
(評価3)イソシアネート基の保持性
100mLフラスコに、変性ポリイソシアネートを含むポリイソシアネート組成物15gと、脱イオン水45gを量り取り、プロペラ羽を使用し、600rpmで10分間、100mLフラスコ内の溶液を撹拌し、水分散液を得た。この水分散液におけるイソシアネート基の保持率を、以下のように評価した。
【0178】
イソシアネート基の濃度変化は、日本分光株式会社製FT/IR−4200typeA(商品名)を用いた赤外吸収スペクトル測定(検出器:TGS、積算回数:16回、分解:4cm
−1)において、イソシアヌレートの吸収ピーク(波数1686cm
−1付近)に対するイソシアネートの吸収ピーク(波数2271cm
−1付近)の強度比から算出した。
【0179】
水分散液作製直後を0時間とし、そのときのイソシアネートの吸収ピーク強度/イソシアヌレートの吸収ピーク強度=X
0とし、n時間後のピーク強度比=X
nを求め、イソシアネート基の保持率=X
n/X
0を算出し、4時間後の保持率を評価した。判定方法は以下の通りとした。
A:80%以上
C:80%未満
【0180】
【表1】
【0181】
[製造例6(水性エマルジョンの製造)]
反応器として、撹拌機、温度計、還流冷却管、窒素吹き込み管、滴下ロートを取り付けた4ツ口のセパラブルフラスコを用いた。水675gとエマノールNC(アニオン界面活性剤、35%水溶液、花王株式会社製)4.3gを入れ、80℃に加熱し、開始剤として過硫酸アンモニウム(2%水溶液)8gを入れた。次に、フラスコ内に下記の混合物を4時間かけて滴下し、滴下終了後1時間80℃に保った。
2−ヒドロキシメチルメタクリレート 25g(3.5質量%)
アクリル酸 10g(1.4質量%)
アクリルアミド 2g(0.3質量%)
グリシジルメタアクリレート 27g(3.8質量%)
メチルメタアクリレート 353g(49.0質量%)
ブチルアクリレート 293g(40.7質量%)
スチレン 9g(1.3質量%)
水 400g
過硫酸アンモニウム(2%水溶液) 31g
エレミノールJS−2(注1) 38g
エマルゲン920(注2) 9g
(注1)反応性乳化剤、39%水溶液、三洋化成株式会社製
(注2)ノニオン界面活性剤、25%水溶液、花王株式会社
得られた水性エマルジョンは乳白色、不揮発分38%の安定な分散液であり、粒子径は100nmであった。計算から求められた水酸価15.0mgKOH/g、酸価10.8m
gKOH/g、ガラス転移点温度15.7℃であった。
【0182】
[実施例17〜32、比較例8〜14]
実施例1〜16、及び比較例1〜7で得られた変性ポリイソシアネートを含むポリイソシアネート組成物を用いて、下記のようにコーティング組成物(1)及び(2)をそれぞれ作製した。作製したコーティング組成物(1)は、下記の(評価4)の評価に用い、コーティング組成物(2)は、下記の(評価5)〜(評価8)の評価に用いた。
【0183】
[コーティング組成物(1)の作製]
製造例6で作製したポリオール水分散体40g容器に計り取り、変性ポリイソシアネートを含むポリイソシアネート組成物中のイソシアネート基とポリオール水分散体中のヒドロキシル基とのモル比が、NCO/OH=1.25になるように、変性ポリイソシアネートを含むポリイソシアネート組成物を加えて混合物を得た。更に上記混合物に、コーティング組成物の固形分が38質量%となるように脱イオン水を加え、プロペラ羽を使用し、200rpmで3分間撹拌し、コーティング組成物を作製した。作製したコーティング組成物を用いて、以下の(評価4)の塗膜評価を行った。評価結果を表2に示す。
【0184】
(評価4)塗膜の外観
上記のコーティング組成物(1)を用いて、ガラス板上に、厚さ40μmの塗膜を塗装し、23℃/50%RHの雰囲気下で7日間乾燥させた。得られた塗膜をBYK Garder社製、商品名「haze−gloss version3.40」を用いて、屈折率が1.567の黒色ガラス標準板での測定結果を100グロスユニットとして、20°の光沢値を測定した。なお、塗装に用いたガラス板単体の20°の光沢値は174であった。判定方法は以下のとおりとした。
AAA:160以上
AA:150以上160未満
A:130以上150未満
B:100以上130未満
C:100未満
【0185】
[コーティング組成物(2)の作製]
200rpmで3分間の撹拌を600rpmで10分間に変更した以外はコーティング組成物(1)の作製と同様に行い、コーティング組成物を作製した。作製したコーティング組成物を用いて、以下の(評価5)〜(評価8)の塗膜評価を行った。ただし、塗膜外観が著しく悪いものは、(評価6)〜(評価8)の結果を評価不可とした。評価結果を表2に示す。
【0186】
(評価5)塗膜の架橋性
上記のコーティング組成物(2)を用いて、PP板上に、厚さ40μmの塗膜を塗装し、23℃/50%RHの雰囲気下で24時間乾燥させた。得られた塗膜をアセトンに23℃で24時間浸漬させた後に取り出し、塗膜を乾燥させた。塗膜の架橋性を以下の計算方法により算出した。
塗膜の架橋性(%)=(溶解せずに残った塗膜の質量)/(アセトン浸漬前の塗膜の質量)×100%
判定方法は以下のとおりとした。
A:85%以上
B:80%以上85%未満
C:80%未満
【0187】
(評価6)塗膜の硬度
上記のコーティング組成物(2)を用いて、ガラス板上に、厚さ40μmの塗膜を塗装し、23℃/50%RHの雰囲気下で7日間乾燥させた。得られた塗膜をケーニッヒ硬度計(BYK Garder社製、商品名「Pendulum hardness tester」)を用いて測定した。判定方法は以下のとおりとした。
A:100以上
C:100未満
【0188】
(評価7)塗膜の耐溶剤性
上記のコーティング組成物(2)を用いて、ガラス板上に、厚さ40μmの塗膜を塗装し、23℃/50%RHの雰囲気下で7日間乾燥させた。得られた塗膜上にキシレンを1g含ませた直径10mmのコットンボールを10分間置き、表面に残ったキシレンを除いた後の塗膜の様子を観察した。判定方法は以下のとおりとした。
ただし、塗膜外観が悪いものは目視評価が不可能のため、測定不可とした。
A:透明、凹みなし
B:やや白濁、又はやや凹みあり
C:白濁、又は凹みあり
【0189】
(評価8)塗膜の耐水性
上記のコーティング組成物(2)を用いて、PP板上に、厚さ40μmの塗膜を塗装し、23℃/50%RHの雰囲気下で7日間乾燥させた。得られた塗膜を40℃の水に4時間浸漬させた後に取り出し、塗膜の様子を観察した。判定方法は以下のとおりとした。
ただし、塗膜外観が悪いものは目視評価が不可能のため、測定不可とした。
A:変化なし
B:やや白濁が発生
C:白濁が発生、又は塗膜が溶解
【0190】
【表2】
【0191】
本出願は、2015年2月4日に日本国特許庁へ出願された日本特許出願(特願2015−020671号)に基づくものであり、その内容はここに参照として取り込まれる。