(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、本発明を実施するための形態について図面を参照しつつ説明する。なお、以下で説明する実施形態では、車両の乗降口の閉鎖時に、一対のドアリーフの端部同士の間、或いは1つのドアリーフの端部と車両の車体との間を密閉する車両ドア用シール、及びその車両ドア用シールを備える車両ドアを例に挙げて説明したが、これに限らず、本発明は、その他のドアにも適用することができる。
【0027】
(第1実施形態)
[車両ドア]
図1は、本発明の第1実施形態に係る車両ドア用シール1及び車両ドア2について、車両100の一部とともに示す模式図である。車両ドア2は、鉄道車両等の車両100に設置され、一対のドアリーフ(11、12)を有する構成の両開きの引き分け式のドア構造として構成されている。
【0028】
尚、
図1は、車両100の内側から見た模式図である。
図1では、車両ドア2が二点鎖線で図示され、車両100の床面100aの位置が破線で図示されている。また、
図1において矢印A1、矢印A2で示される方向は、一対のドアリーフ(11、12)の開方向を示している。
図1において矢印B1、矢印B2で示される方向は、一対のドアリーフ(11、12)の閉方向を示している。
図1において矢印Cで示される方向は、上下方向を示している。尚、一対のドアリーフ(11、12)の開閉方向は、車両100の前後方向と平行な方向である。車両100の前後方向は、車両100の進行方向に平行な方向である。
【0029】
図1に示す車両ドア2は、一対のドアリーフ(11、12)と、車両ドア用シール1と、を備えて構成されている。一対のドアリーフ(11、12)は、車両100の乗降口101に設置される。そして、一対のドアリーフ(11、12)は、乗降口101を開放又は閉鎖するための両開きの引き分け式のドアリーフとして設けられている。尚、本実施形態では、一対のドアリーフ(11、12)は、乗降口101に対して車両100の幅方向における内側に配置されている。また、ドアリーフ11には、ガラス板等が取り付けられる窓11aが設けられている。ドアリーフ12には、ガラス板等が取り付けられる窓12aが設けられている。
【0030】
[ドア駆動装置、ドアハンガー]
一対のドアリーフ(11、12)は、ドア駆動装置103によって開閉駆動される。ドア駆動装置103は、例えば、図示が省略された電動モータ、駆動プーリ、従動プーリ、駆動ベルト等を備えて構成されている。
【0031】
電動モータは、駆動プーリを駆動する。駆動プーリは、例えば、電動モータの出力軸に連結され、電動モータの出力軸とともに回転する。従動プーリは、駆動ベルトを介して駆動プーリの駆動力が伝達され、駆動プーリの回転に伴って回転する。駆動ベルトは、駆動プーリ及び従動プーリに対して巻き掛けられた環状の周回ベルトとして設けられている。駆動プーリ及び従動プーリに巻き掛けられた駆動ベルトは、駆動プーリと従動プーリとの間において、車両の前後方向に対して略平行に延びるように配置されている。
【0032】
一対のドアリーフ(11、12)は、一対のドアハンガー(104a、104b)を介して、ドア駆動装置103に連結されている。ドアハンガー104aは、ドアリーフ11を吊り下げた状態で支持する。ドアハンガー104aは、ドア駆動装置103とドアリーフ11とを連結する部材として設けられている。ドアハンガー104bは、ドアリーフ12を吊り下げた状態で支持する。ドアハンガー104bは、ドア駆動装置103とドアリーフ12とを連結する部材として設けられている。
【0033】
ドアハンガー104aは、その一方の端部がドア駆動装置103の駆動ベルトに連結され、その他方の端部がドアリーフ11に連結されている。そして、ドアハンガー104aは、駆動ベルトに対して、駆動プーリ及び従動プーリの間で平行に延びる一対の帯状部分の一方において、固定されている。
【0034】
ドアハンガー104bは、その一方の端部がドア駆動装置103の駆動ベルトに連結され、その他方の端部がドアリーフ12に連結されている。そして、ドアハンガー104bは、駆動ベルトに対して、駆動プーリ及び従動プーリの間で平行に延びる一対の帯状部分の他方において、固定されている。
【0035】
ドア駆動装置103は、上述した構成を備えていることにより、ドアリーフ(11、12)を開閉駆動可能に構成されている。即ち、ドア駆動装置103の作動の際には、電動モータが作動することで、駆動プーリが回転し、駆動プーリ及び従動プーリに巻き掛けられた駆動ベルトが周回方向に変位する。これに伴い、駆動ベルトに連結された一対のドアハンガー(104a、104b)が、車両の前後方向に沿って互いに逆向きに移動する。そして、一対のドアハンガー(104a、104b)とともに、一対のドアリーフ(11、12)も移動する。これにより、ドアリーフ(11、12)の開閉動作が行われることになる。
【0036】
尚、乗降口101の開放時には、一対のドアリーフ(11、12)は、ドア駆動装置103によって、互いに離間する方向に駆動される。即ち、乗降口101の開放時には、ドアリーフ11は、矢印A1方向に駆動され、ドアリーフ12は、矢印A2方向に駆動される。一方、乗降口101の閉鎖時には、一対のドアリーフ(11、12)は、ドア駆動装置103によって、互いに接近する方向に駆動される。即ち、乗降口101の閉鎖時には、ドアリーフ11は、矢印B1方向に駆動され、ドアリーフ12は、矢印B2方向に駆動される。
【0037】
また、例えば、ドア駆動装置103には、図示が省略された一対のガイドレールが設けられている。そして、例えば、各ドアハンガー(104a、104b)又は各ドアリーフ(11、12)には、各ガイドレールに沿って転動するローラが設けられている。
【0038】
各ガイドレールは、各ドアハンガー(104a、104b)の移動方向をガイドするレール部材として設けられている。一対のガイドレールのうちの一方のガイドレールは、ドアハンガー104a及びドアリーフ11に対応して設けられている。一対のガイドレールのうちの他方のガイドレールは、ドアハンガー104b及びドアリーフ12に対応して設けられている。
【0039】
各ガイドレールには、車両の前後方向に沿って直線状に延びる直線レール部と、直線レール部に対して湾曲する湾曲レール部とが設けられている。湾曲レール部は、直線レール部に連続するとともに直線レール部に対して車両100の幅方向に湾曲するように設けられる。各ガイドレールにおける湾曲レール部は、車両100の前後方向において、乗降口101の中央側に配置されている。そして、各ガイドレールの湾曲レール部は、例えば、直線レール部に対して、車両100の幅方向の外側に向かって湾曲するように設けられている。
【0040】
各ドアハンガー(104a、104b)又は各ドアリーフ(11、12)に設けられるローラは、ガイドレールに対して直線レール部及び湾曲レール部に沿って転動するように、設置されている。ドア駆動装置103によってドアリーフ(11、12)が開閉駆動される際、上記の各ローラが、直線レール部及び湾曲レール部に沿って転動しながら移動する。これにより、各ドアリーフ(11、12)の移動方向がガイドされ、各ドアリーフ(11、12)も直線レール部及び湾曲レール部に沿って移動する。
【0041】
また、乗降口101の閉鎖時には、一対のドアリーフ(11、12)の端部同士が、後述する車両ドア用シール1を介して密着するように、互いに押し付けられる。更に、乗降口101の閉鎖時には、各ローラが各ガイドレールの湾曲レール部に沿って移動することで、各ドアリーフ(11、12)が、車両の内側から車両100の幅方向の外側に向かって車両100に対して押し付けられる。即ち、乗降口101の閉鎖時には、各ドアリーフ(11、12)は、車両100に対して、乗降口101の縁部分において、押し付けられる。
【0042】
また、車両100には、乗降口101の縁部分において、乗降口用シール102が取り付けられている。乗降口用シール102は、ゴム製或いは樹脂製のシール部材として設けられている。そして、乗降口用シール102は、乗降口101の縁部分に沿って、略矩形の形状に沿って環状に延びるシール部材として設けられている。乗降口用シール102は、車両100の内側に取り付けられている。そして、乗降口用シール102における車両100の幅方向の内側の端面は、平坦な面として設けられている。乗降口101の閉鎖時には、各ドアリーフ(11、12)及び後述の車両ドア用シール1が、乗降口用シール102における車両100の幅方向の内側の平坦な端面に対して押し付けられる。
【0043】
[車両ドア用シール]
次に、本発明の第1実施形態に係る車両ドア用シール1について詳しく説明する。
図1に示す車両ドア用シール1は、車両の乗降口101の閉鎖時に、一対のドアリーフ(11、12)の端部同士の間を密閉するシールとして設けられている。車両ドア用シール1は、一対のドアリーフ(11、12)の端部に設置される。そして、車両ドア用シール1は、第1シール部材21と第2シール部材22とを備えて構成されている。
【0044】
図2は、
図1に示す車両ドア用シール1の断面及び車両ドア2の一部の断面を示す模式図である。また、
図2は、
図1のD−D線矢視位置に対応する位置において、車両ドア用シール1の第1シール部材21及び第2シール部材22が離間した状態を示す図である。
【0045】
[第1シール部材]
図1及び
図2に示す第1シール部材21は、直線状に延びるゴムとして設けられる。例えば、第1シール部材21は、エチレンプロピレンゴム(EPDM)、クロロプレン(CR)などのゴム材料を素材として構成されている。尚、樹脂材料を素材として構成された第1シール部材21が実施されてもよい。
【0046】
第1シール部材21は、本実施形態の第1のドアリーフであるドアリーフ11にその閉方向の端部側である戸先側の端部にて設置されている。また、第1シール部材21には、その直線状に延びる長手方向に沿って延びる取り付け部21aが設けられている。そして、ドアリーフ11における戸先側の端部には、上下方向に沿って延びるとともに取り付け部21aが嵌め込まれてこの取り付け部21aに係合する取り付け溝11bが設けられている。第1シール部材21は、取り付け部21aが取り付け溝11bに嵌め込まれることで、ドアリーフ11の戸先側の端部に取り付けられている。これにより、第1シール部材21は、ドアリーフ11に対して、上下方向に亘って延びるように設置されている。取り付け溝11bの底部は、ドアリーフ12の戸先と対向する対向面として設けられている。
【0047】
また、第1シール部材21における車両100の幅方向における外側の表面である第1外表面21bは、車両100の前後方向及び上下方向に平行に配置される平坦な面として設けられている。尚、
図2では、車両100の幅方向(以下、「車幅方向」とも称する)が両端矢印Eで図示されている(
図3も同様)。第1外表面21bは、第1シール部材21の車幅方向の外側で上下方向に亘って延びるように設けられている。
【0048】
また、第1シール部材21の第1外表面21bには、ドアリーフ11の戸先側の端部における車幅方向の外側の面の縁部分に対して車幅方向における外側で重ね合わされる外表面縁部分21cが設けられている。また、ドアリーフ11には、車幅方向の外側の面における窓11aを除く部分を覆うように、薄い板状に形成された外側プレート11cが取り付けられている。そして、外側プレート11cの縁部と外表面縁部分21cとの間の隙間は、コーキング材11dが充填されている。尚、コーキング材11dとしては、隙間に充填可能な充填材であればよく、種々の充填材を用いることができる。また、コーキング材は、シーリング材と称されてもよい。また、外側プレート11cは、車幅方向の外側の面における窓11aを除く部分の全体に亘って設けられていなくてもよい。外側プレート11cは、第1シール部材21の外表面縁部分21cとの間で段差が生じないようにするために設けられている。このため、外側プレート11cは、ドアリーフ11において、少なくとも乗降口用シール102に接触する部分に設けられていればよい。
【0049】
[第2シール部材]
図1及び
図2に示す第2シール部材22は、直線状に延びるゴムとして設けられる。例えば、第2シール部材22は、エチレンプロピレンゴム(EPDM)、クロロプレン(CR)などのゴム材料を素材として構成されている。尚、樹脂材料を素材として構成された第2シール部材22が実施されてもよい。
【0050】
第2シール部材22は、本実施形態の第2のドアリーフであるドアリーフ12にその閉方向の端部側である戸先側の端部にて設置されている。また、第2シール部材22には、その直線状に延びる長手方向に沿って延びる取り付け部22aが設けられている。そして、ドアリーフ12における戸先側の端部には、上下方向に沿って延びるとともに取り付け部22aが嵌め込まれてこの取り付け部22aに係合する取り付け溝12bが設けられている。第2シール部材22は、取り付け部22aが取り付け溝12bに嵌め込まれることで、ドアリーフ12の戸先側の端部に取り付けられている。これにより、第2シール部材22は、ドアリーフ12に対して、上下方向に亘って延びるように設置されている。取り付け溝12bの底部は、ドアリーフ11の戸先と対向する対向面として設けられている。
【0051】
また、第2シール部材22における車幅方向における外側の表面である第2外表面22bは、車両100の前後方向及び上下方向に平行に配置される平坦な面として設けられている。第2外表面22bは、第2シール部材22の車幅方向の外側で上下方向に亘って延びるように設けられている。
【0052】
また、第2シール部材22の第2外表面22bには、ドアリーフ12の戸先側の端部における車幅方向の外側の面の縁部分に対して車幅方向における外側で重ね合わされる外表面縁部分22cが設けられている。また、ドアリーフ12には、車幅方向の外側の面における窓12aを除く部分を覆うように、薄い板状に形成された外側プレート12cが取り付けられている。そして、外側プレート12cの縁部と外表面縁部分22cとの間の隙間は、コーキング材12dが充填されている。尚、コーキング材12dとしては、隙間に充填可能な充填材であればよく、種々の充填材を用いることができる。また、コーキング材は、シーリング材と称されてもよい。また、外側プレート12cは、車幅方向の外側の面における窓12aを除く部分の全体に亘って設けられていなくてもよい。外側プレート12cは、第2シール部材22の外表面縁部分22cとの間で段差が生じないようにするために設けられている。このため、外側プレート12cは、ドアリーフ12において、少なくとも乗降口用シール102に接触する部分に設けられていればよい。
【0053】
図3は、一対のドアリーフ(11、12)が閉じられて第1シール部材21及び第2シール部材22が接触した状態を示す図である。即ち、
図3は、乗降口101の閉鎖時における
図1のD−D線矢視位置での車両ドア用シール1の断面及び車両ドア2の一部の断面を示す模式図である。
図3に示すように、第1外表面21bと第2外表面22bとは、乗降口101の閉鎖時には、車両100の前後方向及び上下方向に平行な同一の平面に沿って配置される。
【0054】
また、
図2及び
図3に示すように、第1シール部材21及び第2シール部材22には、第1シール機構23及び第2シール機構24が設けられている。第1シール機構23は、第2シール機構24に対して、車幅方向における外側に配置されている。
【0055】
[第1シール機構]
第1シール機構23は、第1シール部材21及び第2シール部材22の少なくともいずれかにおいて上下方向に亘って延びるとともに凸状に設けられる第1凸部(25、26)を有している。本実施形態の第1シール機構23では、第1凸部は、第1シール部材21及び第2シール部材22の両方に設けられている。第1シール部材21に第1凸部25が設けられている。第2シール部材22に第1凸部26が設けられている。第1凸部25は、一方のドアリーフ11に設けられる第1シール部として設けられている。第1凸部26は、乗降口の閉鎖時(すなわち、ドアリーフ(11,12)が閉じられたとき)に、第1シール部としての第1凸部25と接触する第2シール部として設けられている。
【0056】
第1凸部25は、第1シール部材21において取り付け部21a側と反対側に設けられている。そして、第1凸部25は、第1シール部材21における車幅方向の外側で、戸先側に向かって、即ち、ドアリーフ12側に向かって、凸状に膨らんだ部分として設けられている。更に、第1凸部25は、第1シール部材21の長手方向に亘って延びるように設けられている。また、第1シール部材21における第1凸部25の内部には、空間25aが区画されている。空間25aは、第1シール部材21の長手方向に沿って第1凸部25に対応して延びるように設けられている。
【0057】
第1凸部26は、第2シール部材22において取り付け部22a側と反対側に設けられている。そして、第1凸部26は、第2シール部材22における車幅方向の外側で、戸先側に向かって、即ち、ドアリーフ11側に向かって、凸状に膨らんだ部分として設けられている。更に、第1凸部26は、第2シール部材22の長手方向に亘って延びるように設けられている。また、第2シール部材22における第1凸部26の内部には、空間26aが区画されている。空間26aは、第2シール部材22の長手方向に沿って第1凸部26に対応して延びるように設けられている。
【0058】
また、第1凸部26には、ドアリーフ11側に向かって最も凸状に膨らんだ先端側の部分において、更にドアリーフ11側に向かって小さく突出した突起部26bが設けられている。突起部26bは、第2シール部材22の長手方向に亘って延びるように設けられている。
【0059】
また、
図3に示すように、第1シール機構23は、乗降口101の閉鎖時に、第1シール部材21と第2シール部材22とを第1凸部(25、26)において接触させることで、第1シール部材21と第2シール部材22との間を密閉するように構成されている。即ち、一対のドアリーフ(11、12)が閉じられて乗降口101が閉鎖された時には、第1シール部材21に設けられた第1凸部25と第2シール部材22に設けられた第1凸部26の突起部26bとが、互いに当接し、第1シール部材21と第2シール部材22との間が密閉される。
【0060】
第1シール部材21に設けられた第1凸部25と第2シール部材22に設けられた第1凸部26とが、互いに当接すると、第1凸部25及び第1凸部26は、弾性変形する。このとき、第1凸部25は、ドアリーフ11側に向かって圧縮される。そして、第1凸部25において、空間25aを区画する部分が、他の部分よりも大きく変形する。一方、第1凸部26は、ドアリーフ12側に向かって圧縮される。そして、第1凸部26において、空間26aを区画する部分が、他の部分よりも大きく変形する。このように、第1凸部25及び第1凸部26が弾性変形することで、第1シール部材21と第2シール部材22とが、車両100の前後方向において、より強く密着することになる。そして、このとき、
図3に示すように、第1凸部25,26の接触部分、及び第1凸部25と突起部26bとの接触部分により、第1接触面30aが形成される。この第1接触面30aは、その方向d1(第1接触面30aが広がる方向に対して垂直な方向)が、ドアリーフ11,12の移動方向(車両の前後方向)に沿う方向となる。
【0061】
[第2シール機構]
第2シール機構24は、第2凸部27と凹部28とを有している。第2凸部27は、第1シール部材21及び第2シール部材22の一方に設けられている。凹部28は、第1シール部材21及び第2シール部材22の他方に設けられている。本実施形態の第2シール機構24では、第2凸部27が、第2シール部材22に設けられ、凹部28が、第1シール部材21に設けられている。凹部28は、一方のドアリーフ11に設けられる第3シール部として設けられている。第2凸部27は、乗降口の閉鎖時(すなわち、ドアリーフ(11,12)が閉じられたとき)に、第3シール部としての凹部28と接触する第4シール部として設けられている。
【0062】
第2凸部27は、第2シール部材22において取り付け部22a側と反対側に設けられている。そして、第2凸部27は、第2シール部材22における車幅方向の内側で、戸先側に向かって、即ち、ドアリーフ11側に向かって、凸状に突出するように膨らんだ部分として設けられている。更に、第2凸部27は、第2シール部材22の長手方向に亘って延びるように設けられている。即ち、第2凸部27は、上下方向に亘って延びるように設けられている。
【0063】
尚、第2凸部27は、第2シール部材22において、第1凸部26に対して、車幅方向における内側に配置されている。そして、第2凸部27は、第1凸部26よりも、ドアリーフ11側に向かって大きく突出するように設けられている。また、第2凸部27におけるドアリーフ11側に向かって突出した先端側の部分の上下方向に垂直な断面の外形は、円弧状に形成されている。そして、第2凸部27において、車幅方向における両側の面(側面)は、ドアリーフ11側に向かってテーパ状に窄まるテーパ面(27b、27c)として形成されている。
【0064】
また、第2シール部材22における第2凸部27の内部には、ドアリーフ11側に向かって突出する先端側において、空間27aが区画されている。空間27aは、第2シール部材22の長手方向に沿って第2凸部27に対応して延びるように設けられている。
【0065】
凹部28は、第1シール部材21において取り付け部21a側と反対側に設けられている。そして、凹部28は、第1シール部材21における車幅方向の内側で、取り付け部21a側に向かって、即ち、ドアリーフ11側に向かって、溝状に凹んだ部分として設けられている。更に、凹部28は、第1シール部材21の長手方向に亘って溝状に延びるように設けられている。即ち、凹部28は、上下方向に亘って溝状に延びるように設けられている。
【0066】
尚、凹部28は、第1シール部材21において、第1凸部25に対して、車幅方向における内側に配置されている。また、凹部28において、車幅方向における両側の側面である内壁面(28a、28b)は、取り付け部21a側に向かって互いに接近して凹部28の内側の領域を徐々に狭くするように形成されている。即ち、凹部28の入口側(ドアリーフ12側)が広く、凹部28の奥側(ドアリーフ11側)が狭くなるように形成されている。尚、内壁面(28a、28b)は、車両の前後方向に対して、凹部28の奥側で小さく傾き、凹部28の入口側で大きく傾くように形成されている。
【0067】
また、
図3に示すように、第2シール機構24は、乗降口101の閉鎖時に、第2凸部27が凹部28の内側で凹部28に接触することで、第2凸部27と凹部28との間を密閉するように構成されている。即ち、一対のドアリーフ(11、12)が閉じられて乗降口101が閉鎖された時には、第1シール部材21に設けられた凹部28と第2シール部材22に設けられた第2凸部27とが、互いに接触し、第1シール部材21と第2シール部材22との間が密閉される。
【0068】
また、乗降口101の閉鎖時には、第2凸部27は、ドアリーフ11側に向かって突出する先端側の部分が、凹部28の内側に挿入される。更に、乗降口101の閉鎖時には、第2凸部27は、車幅方向における両側の2箇所で凹部28に接触する。より具体的には、乗降口101の閉鎖時には、第2凸部27における車幅方向の外側のテーパ面27bが凹部28における車幅方向の外側の内壁面28aに接触する。そして、第2凸部27における車幅方向の内側のテーパ面27cが凹部28における車幅方向の内側の内壁面28bに接触する。尚、第2凸部27は、テーパ面27bにおける、車幅方向において空間27aに並ぶ箇所において、凹部28の内壁面28aに接触することが好ましい。同様に、第2凸部27は、テーパ面27cにおける、車幅方向において空間27aに並ぶ箇所において、凹部28の内壁面28bに接触することが好ましい。
【0069】
また、第2シール機構24は、乗降口101の閉鎖時に、第2凸部27におけるドアリーフ11側に向かって突出する先端部分が凹部28に対して隙間29を介して対向するように構成されている。
【0070】
第2シール部材22に設けられた第2凸部27と第1シール部材21に設けられた凹部28とが、互いに当接すると、第2凸部27が、凹部28よりも大きく弾性変形する。このとき、第2凸部27は、テーパ面(27b、27c)において、凹部28の内壁面(28a、28b)から荷重が作用することで、車幅方向に沿って第2凸部27の内側に向かって圧縮される。尚、テーパ面27bは、内壁面28aから車幅方向の内側に向かって押圧される。テーパ面27cは、内壁面28bから車幅方向の外側に向かって押圧される。そして、第2凸部27において、空間27aを区画する部分が、他の部分よりも大きく変形する。このように、とくに第2凸部27が弾性変形することで、第1シール部材21と第2シール部材22とが、車幅方向において、より強く密着することになる。そして、このとき、
図3に示すように、第2凸部27と凹部28との接触部分により、第2接触面30bが形成される。この第2接触面30bは、その方向d2(第2接触面30bが広がる方向に対して垂直な方向)が、ドアリーフ11,12の移動方向(車両の前後方向)に約90°で交差する方向となる。
【0071】
また、乗降口101の閉鎖時には、前述のように、各ドアリーフ(11、12)及び車両ドア用シール1が、乗降口用シール102における車幅方向の内側の平坦な端面に対して押し付けられる。このとき、第1シール部材21は、平坦な第1外表面21bにおいて、乗降口用シール102における車幅方向の内側の平坦な面に対して押し付けられる。そして、第2シール部材22は、平坦な第2外表面22bにおいて、乗降口用シール102における車幅方向の内側の平坦な面に対して押し付けられる。
【0072】
[車両ドア用シール及び車両ドアの作用効果]
以上説明したように、本実施形態によると、乗降口101の閉鎖時には、第1シール機構23の第1凸部(25、26)において第1シール部材21と第2シール部材22とが接触することで、それらの間が密閉される。このため、少なくとも、車両100の外側と内側との気圧差が十分に小さい状況においては、車内の気圧の急激な上昇及び下降が発生することはない。そして、本実施形態によると、第1シール部材21及び第2シール部材22には、第1シール機構23に加えて第2シール機構24も設けられている。
【0073】
第2シール機構24は、乗降口101の閉鎖時に、第2凸部27が車幅方向における両側の2箇所で凹部28に接触し、第2凸部27と凹部28との間を密閉する。このため、車両100の外側と内側との気圧差が急激に増大する状況が発生した場合であっても、気圧の高い側から低い側に向かって第2凸部27が凹部28に強く押し付けられることになる。そして、第2凸部27と凹部28との間を空気が通過してしまうことが効率よく抑制される。これにより、車内の気圧の急激な上昇及び下降が発生してしまうことが抑制されることになる。そして、車内に存在している人の耳に不快な感じを生じさせる状態が発生することが抑制される。
【0074】
更に、第2シール機構24においては、乗降口101の閉鎖時に、第2凸部27の先端部分が凹部28に対して隙間29を介して対向する。このため、乗降口101の閉鎖時には、確実に、第2凸部27が車幅方向における両側の2箇所で凹部28に接触することが可能になる。
【0075】
また、本実施形態によると、2つのシール機構(第1シール機構23及び第2シール機構24)がドアの幅方向に別々に設けられており、一方のシール機構23,24の変形が他方のシール機構24,23の変形に影響を及ぼさないため、ドアの密着性を高めることができる。
【0076】
また、本実施形態によると、第1シール機構23が有する第1凸部25,26の接触面である第1接触面30aと、第2シール機構24が有する第2凸部27と凹部28との接触面である第2接触面30bとは、方向が異なっている。これにより、例えば、ドアの内側と外側との気圧の関係上、一方の接触面30a,30bの密閉性が維持されにくい状況であっても、他方の接触面30b,30aで密閉性を確保することができる。
【0077】
以上のように、本実施形態によると、車両100の外側と内側との気圧差が急激に増大する状況が発生した場合であっても、車内の気圧の急激な上昇及び下降が発生してしまうことを抑制することができる、車両ドア用シール1及び車両ドア2を提供することができる。
【0078】
また、本実施形態によると、第1接触面30aの方向d1がドアの移動方向に沿う方向であり、第2接触面30bの方向d2がドアの移動方向に交差する方向であるため、ドアが閉鎖する力により第1接触面30aにおいて一定の密閉性が確保できるようになるとともに、仮に第1接触面30aにおいてごみなどの異物等の挟み込みにより密閉性が維持しにくい状況となったとしても、第2接触面30bにおいて密閉性を確実に確保することができる。
【0079】
また、本実施形態によると、第1凸部(25、26)において接触して第1シール部材21と第2シール部材22との間を密閉する第1シール機構23が、第2シール機構24に対して、車幅方向における外側に配置される。このため、車両100の乗降口101が閉鎖した状態において、車両100の外側から異物等が入り込んでしまうことをより確実に防止することができる。
【0080】
また、本実施形態によると、第1シール部材21の平坦な第1外表面21bと第2シール部材22の平坦な第2外表面22bとが、車両100の乗降口101の閉鎖時に、同一の平面に沿って配置される。このため、車両100の乗降口101と第1シール部材21及び第2シール部材22との間において、隙間を生じ難くすることができる。とくに、ドアリーフ(11、12)が車両100の乗降口101に対して押し付けられる構成である本実施形態のドア構造の場合、車両100の乗降口101と第1シール部材21及び第2シール部材22との間をより効率よく密閉することができる。
【0081】
また、本実施形態によると、外気が第2凸部27と凹部28との間に形成された隙間に沿って流れようとするため、ドアの厚みを厚くすることなく、空気の流路を長くすることができ、いわゆる管路抵抗を増大することができる。これにより、ドアの厚みに影響を与えることなく、ドアの密閉性を高めることができる。
【0082】
尚、本実施形態によると、第2シール機構24は、乗降口101の閉鎖時に、第2凸部27が車幅方向における両側の2箇所で凹部28に接触する。このため、乗降口101の閉鎖時において、第1シール部材21の第1外表面21bと第2シール部材22の第2外表面22bとの位置決めを容易に行うことができる。即ち、第1外表面21bと第2外表面22bとをより確実に同一の平面に沿って配置することができる。
【0083】
(第2実施形態)
[車両ドア]
次に、本発明の第2実施形態に係る車両ドア用シール3及び車両ドア4について説明する。
図4は、車両ドア用シール3の断面及び車両ドア4の一部の断面を示す模式図である。尚、以下の説明では、第1実施形態と同様に構成される要素については、第1実施形態と同じ符号を図面において付すことで、或いは第1実施形態と同じ符号を引用することで、説明を適宜省略する。
【0084】
車両ドア4は、鉄道車両等の車両100に設置され、一対のドアリーフ(11、12)を有する構成の両開きの引き分け式のドア構造として構成されている。車両ドア4は、一対のドアリーフ(11、12)と、車両ドア用シール3と、を備えて構成されている。一対のドアリーフ(11、12)は、第1実施形態と同様に構成されている。そして、一対のドアリーフ(11、12)は、ドア駆動装置103によって開閉駆動される。また、一対のドアリーフ(11、12)は、一対のドアハンガー(104a、104b)を介して、ドア駆動装置103に連結されている。
【0085】
[車両ドア用シール]
次に、本発明の第2実施形態に係る車両ドア用シール3について詳しく説明する。
図4に示す車両ドア用シール3は、車両100の乗降口101の閉鎖時に、一対のドアリーフ(11、12)の端部同士の間を密閉するシールとして設けられている。車両ドア用シール3は、一対のドアリーフ(11、12)の端部に設置される。そして、車両ドア用シール3は、第1シール部材31と第2シール部材32とを備えて構成されている。尚、
図4は、上下方向に垂直な断面において、第1シール部材31及び第2シール部材32が離間した状態を示す図である。
【0086】
[第1シール部材]
図4に示す第1シール部材31は、直線状に延びるゴムとして設けられる。例えば、第1シール部材31は、エチレンプロピレンゴム(EPDM)、クロロプレン(CR)などのゴム材料を素材として構成されている。尚、樹脂材料を素材として構成された第1シール部材31が実施されてもよい。
【0087】
第1シール部材31は、本実施形態の第1のドアリーフであるドアリーフ11にその閉方向の端部側である戸先側の端部にて設置されている。また、第1シール部材31には、その直線状に延びる長手方向に沿って延びる取り付け部31aが設けられている。取り付け部31aは、第1実施形態の第1シール部材21の取り付け部21aと同様に構成されている。そして、取り付け部31aは、ドアリーフ11の取り付け溝11bに嵌め込まれることで、ドアリーフ11の戸先側の端部に取り付けられている。これにより、第1シール部材31は、ドアリーフ11に対して、上下方向に亘って延びるように設置されている。
【0088】
また、第1シール部材31における車両100の幅方向における外側の表面である第1外表面31bは、車両100の前後方向及び上下方向に平行に配置される平坦な面として設けられている。尚、
図4では、車両100の幅方向(以下、「車幅方向」とも称する)が両端矢印Eで図示されている(
図5乃至
図7も同様)。第1外表面31bは、第1シール部材31の車幅方向の外側で上下方向に亘って延びるように設けられている。
【0089】
また、第1シール部材31の第1外表面31bには、ドアリーフ11の戸先側の端部における車幅方向の外側の面の縁部分に対して車幅方向における外側で重ね合わされる外表面縁部分31cが設けられている。そして、外表面縁部分31cと外側プレート11cの縁部との間の隙間は、コーキング材11dが充填されている。尚、外側プレート11cは、第1シール部材31の外表面縁部分31cとの間で段差が生じないようにするために設けられている。このため、外側プレート11cは、ドアリーフ11において、少なくとも乗降口用シール102に接触する部分に設けられていればよい。
【0090】
[第2シール部材]
図4に示す第2シール部材32は、直線状に延びるゴムとして設けられる。例えば、第2シール部材32は、エチレンプロピレンゴム(EPDM)、クロロプレン(CR)などのゴム材料を素材として構成されている。尚、樹脂材料を素材として構成された第2シール部材32が実施されてもよい。
【0091】
第2シール部材32は、本実施形態の第2のドアリーフであるドアリーフ12にその閉方向の端部側である戸先側の端部にて設置されている。また、第2シール部材32には、その直線状に延びる長手方向に沿って延びる取り付け部32aが設けられている。取り付け部32aは、第1実施形態の第2シール部材22の取り付け部22aと同様に構成されている。そして、取り付け部32aは、ドアリーフ12の取り付け溝12bに嵌め込まれることで、ドアリーフ12の戸先側の端部に取り付けられている。これにより、第2シール部材32は、ドアリーフ12に対して、上下方向に亘って延びるように設置されている。
【0092】
また、第2シール部材32における車幅方向における外側の表面である第2外表面32bは、車両100の前後方向及び上下方向に平行に配置される平坦な面として設けられている。第2外表面32bは、第2シール部材32の車幅方向の外側で上下方向に亘って延びるように設けられている。
【0093】
また、第2シール部材32の第2外表面32bには、ドアリーフ12の戸先側の端部における車幅方向の外側の面の縁部分に対して車幅方向における外側で重ね合わされる外表面縁部分32cが設けられている。そして、外表面縁部分32cと外側プレート12cの縁部との間の隙間は、コーキング材12dが充填されている。尚、外側プレート12cは、第2シール部材32の外表面縁部分32cとの間で段差が生じないようにするために設けられている。このため、外側プレート12cは、ドアリーフ12において、少なくとも乗降口用シール102に接触する部分に設けられていればよい。
【0094】
図5は、一対のドアリーフ(11、12)が閉じられて第1シール部材31及び第2シール部材32が接触した状態を示す図である。即ち、
図5は、乗降口101の閉鎖時における車両ドア用シール3の断面及び車両ドア4の一部の断面を示す模式図である。
図5に示すように、第1外表面31bと第2外表面32bとは、乗降口101の閉鎖時には、車両100の前後方向及び上下方向に平行な同一の平面に沿って配置される。尚、
図5は、第1シール部材31及び第2シール部材32が接触した状態の一例を示す図である。
【0095】
また、
図4及び
図5に示すように、第1シール部材31及び第2シール部材32には、第1シール機構33及び第2シール機構34が設けられている。第1シール機構33は、第2シール機構34に対して、車幅方向における外側に配置されている。
【0096】
[第1シール機構]
第1シール機構33は、第1シール部材31及び第2シール部材32の少なくともいずれかにおいて上下方向に亘って延びるとともに凸状に設けられる第1凸部35を有している。本実施形態の第1シール機構33では、第1凸部35は、第1及び第2シール部材(31、32)の一方である第2シール部材32に設けられている。また、第1シール機構33は、第2シール部材32に設けられた第1凸部35に加え、第1シール部材31に設けられた平坦部36も有している。平坦部36は、一方のドアリーフ11に設けられる第1シール部として設けられている。第1凸部35は、乗降口の閉鎖時(すなわち、ドアリーフ(11,12)が閉じられたとき)に、第1シール部としての平坦部36と接触する第2シール部として設けられている。
【0097】
第1凸部35は、第2シール部材32において取り付け部32a側と反対側に設けられている。そして、第1凸部35は、第2シール部材32における車幅方向の外側で、戸先側に向かって、即ち、ドアリーフ11側に向かって、凸状に膨らんだ部分として設けられている。更に、第1凸部35は、第2シール部材32の長手方向に亘って延びるように設けられている。また、第2シール部材32における第1凸部35の内部には、空間35aが区画されている。空間35aは、第2シール部材32の長手方向に沿って第1凸部35に対応して延びるように設けられている。
【0098】
平坦部36は、第1シール部材31において取り付け部31a側と反対側に設けられている。そして、平坦部36は、第1シール部材31における車幅方向の外側で、車両100の前後方向に垂直な面であって平坦な面として設けられている。更に、平坦部36は、第1シール部材31の長手方向に亘って延びるように設けられている。また、平坦部36は、第1シール部材31において、乗降口101の閉鎖時に第2シール部材32の第1凸部35に接触する部分として設けられている。
【0099】
また、
図5に示すように、第1シール機構33は、乗降口101の閉鎖時に、第1シール部材31と第2シール部材32とを第1凸部35において接触させることで、第1シール部材31と第2シール部材32との間を密閉するように構成されている。即ち、一対のドアリーフ(11、12)が閉じられて乗降口101が閉鎖された時には、第1シール部材31に設けられた平坦部36と第2シール部材32に設けられた第1凸部35とが、互いに当接し、第1シール部材31と第2シール部材32との間が密閉される。
【0100】
第1シール部材31に設けられた平坦部36と第2シール部材32に設けられた第1凸部35とが、互いに当接すると、第1凸部35が、平坦部36よりも大きく弾性変形する。このとき、第1凸部35は、ドアリーフ12側に向かって圧縮される。そして、第1凸部35において、空間35aを区画する部分が、他の部分よりも大きく変形する。このように、とくに第1凸部35が弾性変形することで、第1シール部材31と第2シール部材32とが、車両100の前後方向において、より強く密着することになる。そして、このとき、
図5に示すように、第1凸部35と平坦部36との接触部分により、第1接触面30cが形成される。この第1接触面30cは、その方向d3(第1接触面30cが広がる方向に対して垂直な方向)が、ドアリーフ11,12の移動方向(車両の前後方向)に沿う方向となる。
【0101】
[第2シール機構]
第2シール機構34は、第2凸部37と凹部38とを有している。第2凸部37は、第1シール部材31及び第2シール部材32の一方に設けられている。そして、凹部38は、第1シール部材31及び第2シール部材32の他方に設けられている。本実施形態の第2シール機構34では、第2凸部37が、第1シール部材31に設けられ、凹部38が、第2シール部材32に設けられている。第2凸部37は、一方のドアリーフ11に設けられる第3シール部として設けられている。凹部38は、乗降口の閉鎖時(すなわち、ドアリーフ(11,12)が閉じられたとき)に、第3シール部としての第2凸部37と接触可能な第4シール部として設けられている。
【0102】
第2凸部37は、第1シール部材31において取り付け部31a側と反対側に設けられている。そして、第2凸部37は、第1シール部材31における車幅方向の内側で、戸先側に向かって、即ち、ドアリーフ12側に向かって、凸状に突出するように膨らんだ部分として設けられている。更に、第2凸部37は、第1シール部材31の長手方向に亘って延びるように設けられている。即ち、第2凸部37は、上下方向に亘って延びるように設けられている。
【0103】
尚、第2凸部37は、第1シール部材31において、平坦部36に対して、車幅方向における内側に配置されている。また、第2凸部37におけるドアリーフ12側に向かって突出した先端側の部分の上下方向に垂直な断面の外形は、円弧状に形成されている。そして、第2凸部37において、車幅方向における両側の面は、ドアリーフ12側に向かってテーパ状に窄まるテーパ面(37b、37c)として形成されている。
【0104】
また、第2シール部材32における第2凸部37の内部には、空間37aが区画されている。空間37aは、第1シール部材31の長手方向に沿って第2凸部37に対応して延びるように設けられている。また、第2凸部37は、例えば、上下方向に垂直な断面において、外形の形状と空間37aを区画する内面の形状とが、略相似形となるように、構成されている。
【0105】
凹部38は、第2シール部材32において取り付け部32a側と反対側に設けられている。そして、凹部38は、第2シール部材32における車幅方向の内側で、取り付け部32a側に向かって、即ち、ドアリーフ12側に向かって、溝状に凹んだ部分として設けられている。更に、凹部38は、第2シール部材32の長手方向に亘って溝状に延びるように設けられている。即ち、凹部38は、上下方向に亘って溝状に延びるように設けられている。
【0106】
尚、凹部38は、第2シール部材32において、第1凸部35に対して、車幅方向における内側に配置されている。また、凹部38において、車幅方向における両側の内壁面(38a、38b)は、取り付け部32a側に向かって互いに接近して凹部38の内側の領域を徐々に狭くするように形成されている。即ち、凹部38の入口側(ドアリーフ11側)が広く、凹部38の奥側(ドアリーフ12側)が狭くなるように形成されている。尚、内壁面(38a、38b)は、車両100の前後方向に対して、第2凸部37のテーパ面(37a、37b)よりも少しだけ大きく傾くように形成されている。
【0107】
図6は、乗降口101が閉鎖した状態において第1シール部材31及び第2シール部材32が接触した状態の例を示す図であって、
図5の例とは異なる他の例を示す図である。また、
図7は、乗降口101が閉鎖した状態において第1シール部材31及び第2シール部材32が接触した状態の例を示す図であって、
図5の例及び
図6の例とは異なる更に他の例を示す図である。
【0108】
図6又は
図7に示すように、第2シール機構34は、乗降口101が閉鎖した状態において、第2凸部37が凹部38の内側で凹部38に接触することで、第2凸部37と凹部38との間を密閉するように構成されている。以下、一対のドアリーフ(11、12)が閉じられて乗降口101が閉鎖された状態における
図5乃至
図7の各状態について説明する。
【0109】
乗降口101が閉鎖されると、
図5に示すように、第2凸部37は、ドアリーフ12側に向かって凹部28の内側に挿入される。
図5に示す状態では、第2凸部37は、凹部38に接触していない。第2凸部37の側面と前記凹部38の側面との間の隙間は、例えば、約0.5mm〜1mmである。この状態から、車両100の外側と内側との気圧差が急激に増大する状況が発生すると、第2シール機構34は、
図5に示す状態から
図6又は
図7に示す状態に移行する。
【0110】
例えば、車両100が高速で運転中であって、車両100がトンネル内に高速で進入するような場合、車両100の外側の空気の気圧が内側の空気の気圧に比して急激に増大する可能性がある。このような状況が発生した場合、第1シール機構33を通過して作用する高圧の空気が、第2凸部37における車幅方向の外側の部分に作用する。即ち、車両100の外側からの高圧の空気が、第2凸部37におけるテーパ面37b側に作用する。
【0111】
上記により、第2凸部37が車幅方向の内側に向かって少し撓むように弾性変形する。そして、
図6に示すように、第2凸部37の車幅方向の内側の部分が、凹部38の内側で凹部38に接触することになる。更に、車両100の外側からの高圧の空気が第2凸部37に作用することで、第2凸部37の車幅方向の内側の部分が、凹部38の内側における車幅方向の内側の部分に対して、強く押し付けられることになる。このとき、第2凸部37は、テーパ面37c側において、凹部38の内壁面38bに対して強く密着することになる。そして、このとき、
図6に示すように、第2凸部37の側面(テーパ面37c)と凹部38の側面(内壁面38b)との接触部分により、第2接触面30dが形成される。この第2接触面30dは、その方向d4(第2接触面30dが広がる方向に対して垂直な方向)が、ドアリーフ11,12の移動方向(車両の前後方向)に約45°で交差する方向となる。
【0112】
また、例えば、車両100が高速で運転中であって、車両100がトンネルから高速で抜け出るような場合、車両100の外側の空気の気圧が内側の空気の気圧に比して急激に低下する可能性がある。このような状況が発生した場合、車両100の内側から作用する高圧の空気が、第2凸部37における車幅方向の内側の部分に作用する。即ち、車両100の内側からの高圧の空気が、第2凸部37におけるテーパ面37c側に作用する。
【0113】
上記により、第2凸部37が車幅方向の外側に向かって少し撓むように弾性変形する。そして、
図7に示すように、第2凸部37の車幅方向の外側の部分が、凹部38の内側で凹部38に接触することになる。更に、車両100の内側からの高圧の空気が第2凸部37に作用することで、第2凸部37の車幅方向の外側の部分が、凹部38の内側における車幅方向の外側の部分に対して、強く押し付けられることになる。このとき、第2凸部37は、テーパ面37b側において、凹部38の内壁面38aに対して、強く密着することになる。そして、このとき、
図7に示すように、第2凸部37の側面(テーパ面37b)と凹部38の側面(内壁面38a)との接触部分により、第2接触面30eが形成される。この第2接触面30eは、その方向d5(第2接触面30eが広がる方向に対して垂直な方向)が、ドアリーフ11,12の移動方向(車両の前後方向)に約45°で交差する方向となる。
【0114】
上記のように、第2シール機構34は、乗降口101の閉鎖時に、第2凸部37が、車両100の外側と内側との気圧差に応じて弾性変形して車両100の幅方向における両側のうちの一方側で凹部38に接触可能に凹部38に対向するように、構成されている。そして、第2シール機構34は、乗降口101の閉鎖時において、車両100の外側と内側との気圧差が急激に増大する状況が発生した場合には、第2凸部37が凹部38の内側で凹部38に接触することで、第2凸部37と凹部38との間を密閉するように構成されている。即ち、上記の場合には、第1シール部材31に設けられた第2凸部37と第2シール部材32に設けられた凹部38とが、互いに接触し、第1シール部材31と第2シール部材32との間が密閉される。
【0115】
また、
図5乃
図7に示すように、第2シール機構34は、乗降口101の閉鎖時に、第2凸部37におけるドアリーフ12側に向かって突出する先端部分が凹部38に対して隙間39を介して対向するように構成されている。
【0116】
また、乗降口101の閉鎖時には、各ドアリーフ(11、12)及び車両ドア用シール3が、乗降口用シール102における車幅方向の内側の平坦な端面に対して押し付けられる。このとき、第1シール部材31は、平坦な第1外表面31bにおいて、乗降口用シール102における車幅方向の内側の平坦な面に対して押し付けられる。そして、第2シール部材32は、平坦な第2外表面32bにおいて、乗降口用シール102における車幅方向の内側の平坦な面に対して押し付けられる。
【0117】
[車両ドア用シール及び車両ドアの作用効果]
以上説明したように、本実施形態によると、乗降口101の閉鎖時には、第1シール機構33の第1凸部35において第1シール部材31と第2シール部材32とが接触することで、それらの間が密閉される。このため、少なくとも、車両100の外側と内側との気圧差が十分に小さい状況においては、車内の気圧の急激な上昇及び下降が発生することはない。そして、本実施形態によると、第1シール部材31及び第2シール部材32には、第1シール機構33に加えて第2シール機構34も設けられている。
【0118】
第2シール機構34は、乗降口101の閉鎖時に、第2凸部37が車両100の外側と内側との気圧差に応じて弾性変形して車両100の幅方向における両側のうちの一方側で凹部38に接触して第2凸部37と凹部38との間を密閉可能なように、構成される。このため、車両100の外側と内側との気圧差が急激に増大する状況が発生した場合であっても、気圧の高い側から低い側に向かって第2凸部37が凹部38に強く押し付けられることになる。そして、第2凸部37と凹部38との間を空気が通過してしまうことが効率よく抑制される。これにより、車内の気圧の急激な上昇及び下降が発生してしまうことが抑制されることになる。そして、車内に存在している人の耳に不快な感じを生じさせる状態が発生することが抑制される。
【0119】
更に、第2シール機構34においては、乗降口101の閉鎖時に、第2凸部37の先端部分が凹部38に対して隙間39を介して対向する。このため、乗降口101の閉鎖時には、確実に、第2凸部37が車両100の外側と内側との気圧差に応じて弾性変形して車両100の幅方向における両側のうちの一方側で凹部38に接触することが可能になる。
【0120】
以上のように、本実施形態によると、車両100の外側と内側との気圧差が急激に増大する状況が発生した場合であっても、車内の気圧の急激な上昇及び下降が発生してしまうことを抑制することができる、車両ドア用シール3及び車両ドア4を提供することができる。
【0121】
また、本実施形態によると、第1凸部35において接触して第1シール部材31と第2シール部材32との間を密閉する第1シール機構33が、第2シール機構34に対して、車幅方向における外側に配置される。このため、車両100の乗降口101が閉鎖した状態において、車両100の外側から異物等が入り込んでしまうことをより確実に防止することができる。
【0122】
また、本実施形態によると、第1シール部材31の平坦な第1外表面31bと第2シール部材32の平坦な第2外表面32bとが、車両100の乗降口101の閉鎖時に、同一の平面に沿って配置される。このため、車両100の乗降口101と第1シール部材31及び第2シール部材32との間において、隙間を生じ難くすることができる。とくに、ドアリーフ(11、12)が車両100の乗降口101に対して押し付けられる構成である本実施形態のドア構造の場合、車両100の乗降口101と第1シール部材31及び第2シール部材32との間をより効率よく密閉することができる。
【0123】
また、本実施形態によると、第2シール機構34に作用する外力(例えば、外気と内気との気圧差)が大きくなって第2シール機構34が変形したときに、第2凸部37のテーパ面37b,37cと凹部38の内壁面38a,38bとが接触する。これにより、ドアの開閉時には第2シール機構34の第2凸部37のテーパ面37b,37cと凹部38の内壁面38a,38bとが接触しないため、第2シール機構34の耐久性を向上することができる。
【0124】
(第3実施形態)
[車両ドア]
次に、本発明の第3実施形態に係る車両ドア用シール5及び車両ドア6について説明する。
図8は、車両ドア用シール5及び車両ドア6について、車両105の一部とともに示す模式図である。車両ドア6は、鉄道車両等の車両105に設置され、1つのドアリーフ40を有する構成の片引きのドア構造として構成されている。
【0125】
尚、
図8は、車両105の内側から見た模式図である。
図8では、車両ドア6が二点鎖線で図示され、車両105の床面105aの位置が破線で図示されている。また、
図8において矢印A1で示される方向は、ドアリーフ40の開方向を示している。
図8において矢印B1で示される方向は、ドアリーフ40の閉方向を示している。
図8において矢印Cで示される方向は、上下方向を示している。ドアリーフ40の開閉方向は、車両105の前後方向と平行な方向である。車両105の前後方向は、車両105の進行方向に平行な方向である。
【0126】
図8に示す車両ドア6は、1つのドアリーフ40と、車両ドア用シール5と、を備えて構成されている。ドアリーフ40は、車両105の乗降口106に設置される。そして、ドアリーフ40は、乗降口106を開放又は閉鎖するための片引きのドアリーフとして設けられている。尚、本実施形態では、ドアリーフ40は、乗降口106に対して車両105の幅方向における内側に配置されている。また、ドアリーフ40には、ガラス板等が取り付けられる窓40aが設けられている。
【0127】
[ドア駆動装置、ドアハンガー]
ドアリーフ40は、ドア駆動装置108によって開閉駆動される。ドア駆動装置108は、例えば、図示が省略された電動モータ、駆動プーリ、従動プーリ、駆動ベルト等を備えて構成されている。
【0128】
電動モータは、駆動プーリを駆動する。駆動プーリは、例えば、電動モータの出力軸に連結され、電動モータの出力軸とともに回転する。従動プーリは、駆動ベルトを介して駆動プーリの駆動力が伝達され、駆動プーリの回転に伴って回転する。駆動ベルトは、駆動プーリ及び従動プーリに対して巻き掛けられた環状の周回ベルトとして設けられている。駆動プーリ及び従動プーリに巻き掛けられた駆動ベルトは、駆動プーリと従動プーリとの間において、車両105の前後方向に対して略平行に延びるように配置されている。
【0129】
ドアリーフ40は、ドアハンガー109を介して、ドア駆動装置108に連結されている。ドアハンガー109は、ドアリーフ40を吊り下げた状態で支持する。ドアハンガー109は、ドア駆動装置108とドアリーフ40とを連結する部材として設けられている。ドアハンガー109は、その一方の端部がドア駆動装置108の駆動ベルトに連結され、その他方の端部がドアリーフ40に連結されている。
【0130】
ドア駆動装置108は、上述した構成を備えていることにより、ドアリーフ40を開閉駆動可能に構成されている。即ち、ドア駆動装置108の作動の際には、電動モータが作動することで、駆動プーリが回転し、駆動プーリ及び従動プーリに巻き掛けられた駆動ベルトが周回方向に変位する。これに伴い、駆動ベルトに連結されたドアハンガー109が、車両105の前後方向に沿って移動する。そして、ドアハンガー109とともに、ドアリーフ40も移動する。これにより、ドアリーフ40の開閉動作が行われることになる。尚、乗降口106の開放時には、ドアリーフ40は、矢印A1方向に駆動される。乗降口101の閉鎖時には、ドアリーフ40は、矢印B1方向に駆動される。
【0131】
また、例えば、ドア駆動装置108において、第1実施形態と同様の構成のガイドレールが1つ設けられていてもよい。そして、ドアハンガー109又はドアリーフ40において、上記のガイドレールに沿って転動するローラが設けられていてもよい。
【0132】
また、乗降口106の閉鎖時には、ドアリーフ40の端部と車両105の車体とが、後述する車両ドア用シール5を介して密着するように、互いに押し付けられる。更に、上記のガイドレール及びローラが設けられている場合は、乗降口101の閉鎖時には、ドアリーフ40が、車両105に対して、乗降口106の縁部分において、押し付けられる。
【0133】
また、車両105には、乗降口106の縁部分において、乗降口用シール107が取り付けられている。乗降口用シール107は、ゴム製或いは樹脂製のシール部材として設けられている。そして、乗降口用シール107は、乗降口106の縁部分に沿って、略矩形の形状に沿って環状に延びるシール部材として設けられている。乗降口用シール107は、車両105の内側に取り付けられている。そして、乗降口用シール107における車両105の幅方向の内側の端面は、平坦な面として設けられている。上述のガイドレール及びローラが設けられている場合は、乗降口106の閉鎖時には、例えば、ドアリーフ40及び後述の車両ドア用シール1の第1シール部材21が、乗降口用シール107における車両105の幅方向の内側の平坦な端面に対して押し付けられる。
【0134】
[車両ドア用シール]
車両ドア用シール5は、車両の乗降口101の閉鎖時に、1つのドアリーフ40の端部と車両105の車体との間を密閉するシールとして設けられている。車両ドア用シール5は、ドアリーフ40の端部と車両105の車体とに設置される。そして、車両ドア用シール5は、第1シール部材21と第2シール部材22とを備えて構成されている。
【0135】
車両ドア用シール5の第1シール部材21は、第1実施形態の車両ドア用シール1の第1シール部材21と同様に構成される。そして、車両ドア用シール5の第2シール部材22は、第1実施形態の車両ドア用シール1の第2シール部材22と同様に構成される。但し、車両ドア用シール5の第1シール部材21及び第2シール部材22は、第1実施形態の車両ドア用シール1の第1シール部材21及び第2シール部材22とは、設置形態において異なっている。以下、車両ドア用シール5について、第1実施形態とは異なる設置形態のみについて説明する。
【0136】
車両ドア用シール5は、片引きのドア構造において、1つのドアリーフ40の端部と車両105の車体とに設置される。車両ドア用シール5の第1シール部材21は、本実施形態の第1のドアリーフであるドアリーフ40にその閉方向の端部側である戸先側の端部にて設置されている。そして、第1シール部材21は、ドアリーフ40に対して、上下方向に亘って延びるように設置されている。
【0137】
一方、車両ドア用シール5の第2シール部材22は、乗降口106の近傍において、車両105の車体に設置される。例えば、乗降口106における車両105の前後方向の一方側の端部の近傍において、第2シール部材22が、車両105の車体に設置される。そして、第2シール部材22は、車両105の車体に対して、上下方向に亘って延びるように設置されている。また、第2シール部材22は、車両105の車体において、ドアリーフ40が乗降口106を閉鎖した状態で、第1シール部材21に当接可能なように、設置されている。
【0138】
[車両ドア用シール及び車両ドアの作用効果]
上述した車両ドア用シール5及び車両ドア6によると、第1実施形態と同様の第1シール部材21及び第2シール部材22が備えられる。そして、第1シール部材21及び第2シール部材22には、第1実施形態で説明した構成の第1シール機構23及び第2シール機構24が設けられる。
【0139】
よって、車両ドア用シール5及び車両ドア6によると、第1実施形態と同様の効果を奏することができる。即ち、車両ドア用シール5及び車両ドア6によると、車両105の外側と内側との気圧差が急激に増大する状況が発生した場合であっても、車内の気圧の急激な上昇及び下降が発生してしまうことを抑制することができる。
【0140】
[変形例]
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上述の実施の形態に限られるものではなく、請求の範囲に記載した限りにおいて様々に変更して実施することができる。例えば、次のように変更して実施してもよい。
【0141】
(1)前述の実施例では、各接触面30a、30cの方向d1、d3がドアリーフ11,12の移動方向(車両の前後方向)に沿う方向であり、各接触面30b、30d、30eの方向d2、d4、d5とドアリーフ11,12の移動方向(車両の前後方向)との間の角度が、90°又は45°である場合の例を挙げて説明したが、これに限らず、2つのシール機構の一方が他方のシール機構の変形に影響を及ぼさない角度であればよく、例えば、各接触面30b、30d、30eの方向d2、d4、d5とドアリーフ11,12の移動方向(車両の前後方向)との間の角度が80°、60°、30°であってもよい。
【0142】
更に、各接触面30a、30cの方向d1、d3がドアリーフ11,12の移動方向(車両の前後方向)に沿う方向でなくてもよく、各接触面30a、30cの方向d1、d3と、各接触面30b、30d、30eの方向d2、d4、d5が交差するようになっていればよい。
【0143】
(2)前述の実施形態では、第1シール機構が車両の幅方向における外側に配置され、第2シール機構が車両の幅方向に内側に配置される形態を例にとって説明したが、この通りでなくてもよい。第1シール機構が車両の幅方向における内側に配置され、第2シール機構が車両の幅方向における外側に配置される形態が実施されてもよい。
【0144】
(3)前述の実施形態では、ドア駆動装置として、電動モータ、駆動プーリ、従動プーリ、駆動ベルト、ガイドレール、を備えた形態を例にとって説明したが、この通りでなくてもよい。例えば、ドア駆動装置として、電動モータ、ラックアンドピニオン機構、を備える装置が用いられてもよい。或いは、ドア駆動装置として、電動モータ、スクリュー軸及びナット部材を有する機構、を備える装置が用いられてもよい。或いは、ドア駆動装置として、空気式アクチュエータ又は油圧式アクチュエータを備える装置が用いられてもよい。
【0145】
(4)第1凸部、第2凸部、凹部の断面形状については、前述の実施形態の通りでなくてもよく、請求の範囲に記載した限りにおいて、種々変更してもよい。また、前述の実施形態では、第1凸部及び第2凸部において、内部に空間が区画された形態を例にとって説明したが、空間が設けられていない第1凸部及び第2凸部が実施されてもよい。