(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
マッサージ対象箇所を押す押圧手段を一又は複数有してマッサージ対象箇所を含む上肢又は下肢の所定範囲を取り囲むように装着される押圧部と、当該押圧部の押圧手段をプログラムの設定に基づき作動させる装置本体部とを備えるマッサージ装置において、
前記プログラムは、空気給排機構を作動させる作動期間と、空気給排機構を作動させない休止期間が割り当てられて、前記休止期間は前記作動期間より11倍以上となる十分に長い時間となるように設定され、
前記押圧部が、少なくともマッサージ対象箇所を押してマッサージする状態で、前記上肢又は下肢の所定範囲の外周位置で周方向に連続して前記所定範囲周囲への装着状態を維持可能な形態とされてなり、
前記装置本体部に加速度センサを配設し、使用者のマッサージ対象箇所の動きを検出可能とした上で、制御部で検出結果に基づいて使用者の運動量を求め、得られた使用者の運動量の情報を前記作動期間と、休止期間の割り当てに反映させるようにすることを特徴とするマッサージ装置。
【発明を実施するための形態】
【0018】
(本発明の第1の実施形態)
以下、本発明の第1の実施形態に係るマッサージ装置を前記
図1ないし
図14に基づいて説明する。本実施形態においては、脚のふくらはぎをマッサージ対象として脚の膝下部分に巻回装着されるマッサージ装置の例について説明する。
【0019】
前記各図において本実施形態に係るマッサージ装置1は、マッサージ対象のふくらはぎを押す押圧手段としてのエアバッグ12、13を複数有してふくらはぎを含む脚70の膝下部分に巻回可能に配設される押圧部10と、この押圧部10のエアバッグ12、13を作動させる装置本体部15とを備える構成である。
【0020】
前記押圧部10は、複数のエアバッグを有して、マッサージ対象箇所であるふくらはぎを含む脚70の膝下部分を取り囲むように巻回可能な帯状体とされる構成である。押圧部10は、脚70の膝下部分に巻回され、巻回状態で一端部10eを他部位に重ねて最外層に位置させると共に、重なる内面と外面の所定箇所同士を面ファスナー等の係合手段で着脱可能に係合させることで、脚70の膝下部分の外周位置で周方向に連続して膝下部分周囲への配設状態を維持可能な筒状形態とされる。この状態で、押圧部10は各エアバッグにより、マッサージ対象箇所を押してマッサージを行える仕組みである。
【0021】
エアバッグ12、13は、押圧部10が脚70を取り囲んで巻回された状態で、ふくらはぎ後方とふくらはぎの左右で、ふくらはぎをU字状に取り囲むように複数配設される。
ふくらはぎの左右に位置することとなる第一のエアバッグ12は、左エアバッグ部12aと、右エアバッグ部12bと、左右を連通させる中間流路部12cと、装置本体部15の給排機構と連通する接続部12dとを備える構成である。中間流路部12cを介して連通する左右のエアバッグ部12a、12bは、同時に膨縮して同じタイミングでふくらはぎの左右のマッサージ対象箇所を押すこととなり、ふくらはぎを手で掴むような押圧刺激を与えることができる。
【0022】
ふくらはぎの後方に位置することとなる第二のエアバッグ13は、エアバッグ部13aと、装置本体部15の給排機構と連通する接続部13bと、エアバッグ部13aと接続部とを連通させる流路部13cとを備える構成である。押圧部10の展開状態で、第二のエアバッグ13のエアバッグ部13aは、第一のエアバッグ12の左右のエアバッグ部12a、12bに挟まれた中間に位置することとなる(
図3参照)。
【0023】
押圧部10が脚70を取り囲んで巻回された状態で、第一のエアバッグ12の左エアバッグ部12aが、第二のエアバッグ13の流路部13c下側に位置し、第一のエアバッグ12の中間流路部12cが、第二のエアバッグ13のエアバッグ部13aの下側に位置することとなる。第一のエアバッグ12の接続部12dも、第二のエアバッグ13の接続部13bより下側に配置される。
【0024】
各エアバッグの接続部12d、13bは、装置本体部15と重なる配置とされ、装置本体部15の空気給排機構とそれぞれ空気流通可能に直接接続されており、各エアバッグ12、13はその給排気系統を別々のものとされ、互いに独立して膨縮可能とされる仕組みである。
【0025】
使用者が各エアバッグをふくらはぎに対し上下の向きを反転させることなく、且つ周方向について適切な位置に位置させた状態で押圧部10を脚70に巻回、装着できるよう、使用者の位置決め用に、押圧部10の上側を示すと共に、ふくらはぎ後方に位置させる第二のエアバッグ13の中心を示すマーク(目印)10fを押圧部外面に設けるのが好ましい。
【0026】
なお、押圧部10が脚を取り囲んで巻回された状態で、第一のエアバッグ12の左エアバッグ部12aが、第二のエアバッグ13の流路部13c下側に位置し、第一のエアバッグ12の中間流路部12cが、第二のエアバッグ13のエアバッグ部13aの下側に位置するようにしているが、これに限らず、第一のエアバッグ12の左エアバッグ部12aが、第二のエアバッグ13の流路部13c上側に位置し、第一のエアバッグ12の中間流路部12cが、第二のエアバッグ13のエアバッグ部13aの上側に位置する配置構成とすることもできる。
【0027】
押圧部10は、エアバッグを外側から被覆して水分や汚れ等から保護する可撓性素材製のカバー10aを備える。カバー10aは、使用者や他物体との接触、摩擦や各エアバッグ12、13からの圧力が加わっても破損しない丈夫な可撓性素材製のシート状体で形成され、エアバッグ12、13と共に、装置本体部15もまとめて被覆し保護する略袋形状とされる構成である。カバー10aは、所定の係合手段(スライドファスナー)で開閉可能な端部の開口部からエアバッグ12、13及び装置本体部15を出し入れして着脱可能に被覆する仕組みである。このカバー10aのうち、装置本体部15の外側にあたる部分には、装置本体部15の操作部15aを外部に露出させる開口部10bを設けられると共に、装置本体部15に内蔵された電池19を交換するために装置本体部15を一部開放する際に、この装置本体部15の一部開放に対応して、カバー10aの一部を必要に応じ開口状態とするためのファスナー等の係合手段が設けられる。
【0028】
押圧部10の巻回状態で最も内側で脚70に直接触れる部分は、着脱可能な内カバー部10cとなっており、重なる押圧部10の他部分と面ファスナー等の係合手段で容易に着脱可能に係合させるようにすることで、必要に応じて取り外して交換したり、洗って再使用することができる。
【0029】
押圧手段としての第一のエアバッグ12及び第二のエアバッグ13は、エアバッグごとに電磁弁17a、17bを介してポンプ部16と接続される。
電磁弁17a、17bは、ポンプ部16に連通する第1のポートと、エアバッグに連通する第2のポートと、外部に連通する第3のポートを有し、制御部18による制御に応じて、第1のポートと第2のポートを連通させ、且つ第3のポートを閉じて、ポンプ部16からエアバッグへの給気を行える状態と、第2のポートと第3のポートを連通させ、且つ第1のポートを閉じて、エアバッグの空気を外部に排気させる状態と、第1のポート、第2のポート、及び第3のポートをいずれも相互に連通させないようにして、エアバッグの内部圧力を維持できる状態、の三つの状態を切替可能とする公知の三方弁であり、詳細な説明を省略する。
【0030】
なお、各ポートを相互連通させないようにして電磁弁のみでエアバッグの内部圧力を維持可能とする構成の他に、ポンプ部16と電磁弁との間にエアポンプから電磁弁側への空気流通のみ許容する逆止弁を設けて、第1のポートと第2のポートを連通させ、且つ第3のポートを閉じて、ポンプ部16からエアバッグへの給気を行える状態で、ポンプ部16による給気を停止した場合に、逆止弁によりエアバッグの内部圧力を維持する状態を得る構成とすることもできる
【0031】
これらポンプ部16と電磁弁17a、17bが、各エアバッグの空気給排機構をなし、制御部18が、ポンプ部16を作動させると共に、電磁弁17a、17bの連通状態を調整制御することで、所望のエアバッグについて給気、排気、又は圧力維持を図り、エアバッグを膨張、収縮させ、又は所定の膨張状態で維持できる仕組みである。エアバッグの膨張時には脚のエアバッグ当接部分に対する押圧力を発生させる一方、収縮時には押圧が解除されることで、各エアバッグ位置で変化に富んだマッサージ効果を与えることができる。
【0032】
なお、押圧部10に設けられるエアバッグの数は前記二組に限られるものではなく、使用態様に応じて適宜設定できる。また、エアバッグの配置も、左右のエアバッグ部の中間に後方のエアバッグ部が挟まれる配置に限らず、エアバッグを上下方向にも複数並べたり、各エアバッグの形状や大きさをふくらはぎのマッサージ対象箇所の性質に応じて大きく異ならせ、押圧部においてエアバッグの形状や大きさに応じて並べた配置にする構成とすることもできる。
【0033】
前記装置本体部15は、所定圧力で空気を送給するポンプ部16と、エアバッグ12、13とポンプ部16又は外部空間との連通・非連通を切替える電磁弁17a、17bと、ポンプ部16の駆動及び電磁弁17a、17bの開閉動作の制御を実行して各エアバッグに対する空気の給排を調節する制御部18と、ポンプ部16等へ給電する電源としての電池19とを備え、これらを一まとまりのユニットとして一つの筐体に内蔵する構造とされるものである。この装置本体部15は、互いに略直交する複数の面のある略箱状の外形を有し、使用者が指でつまんで保持できる程度の大きさとされ、所定の面を取付面として前記押圧部10に一体に取り付けられる。
【0034】
また、装置本体部15は、前記取付面と略直交する面で、且つ、取付面との交線の向きが、脚70に巻回されて周方向に連続する筒状形態における押圧部10の筒長手方向と略平行となる面を有し、この面に使用者の操作を受け付ける操作部15aを設けられる構成である。この操作部15aはカバー10aを貫通して操作可能に外部に露出する状態とされる。
【0035】
この装置本体部15は、押圧部10における前記一端部10e近傍の、巻回状態で外側に一端部10eが重ならない箇所に取り付けられており、押圧部10が一端部10eを脚70の前側に位置させるようにして脚70を取り囲んで巻回された状態で、脚70側方の前寄り部分に位置する配置とされる構成である。そして、この装置本体部15の操作部15aを設けられる面が、装置本体部15における押圧部10の一端部10e側を向いた面とされることから、装置本体部15が脚70の側方前寄りに位置する状態では、操作部15aは脚に対し斜め前方を向いた位置関係となり、使用者が操作部15aを見ながら容易に操作を行える。加えて、脚70の側方前寄りに位置する適度な大きさの装置本体部15を前後から手の指でつまんで保持しながら、そのまま指先で前面の操作部15aに対する操作を行えることとなり、装置本体部15を安定させた状態で操作部15aに対する操作が行え、且つ操作する力を確実に操作部側に向けられ、常に適切な操作が行える仕組みである。
【0036】
さらに、使用者は押圧部10のうち最外層に位置させる一端部10eを保持して脚70周囲に巻回して装着するようになることから、この巻回、装着の後、押圧部10の一端部10e近くに存在する操作部15aを速やかに操作することができ、スムーズにマッサージの実行状態に移行できる。
【0037】
前記装置本体部15は、前記押圧部のエアバッグを作動させるポンプ部16や電磁弁17a、17bその他の電源として、電池19を交換可能に内蔵する。
こうして電源となる電池19が装置本体部15に内蔵されて、外部から給排機構その他を作動させるための電力を導入せずに済むようにしていることから、使用にあたって装置本体部と外部の電源とをケーブル等で接続する作業を行わずに済み、使用者の煩わしさを解消できる。また、装置本体部と電源等とを接続するケーブル等の部品を省略でき、使用の際に使用者がこうしたケーブル等による拘束を受けずに済み、取り扱いの自由度を高められる。電池としては、活物質が電池内に保持される一般的な乾電池(マンガン電池、アルカリ電池等)や二次電池(ニッケル水素電池、リチウムイオン電池等)の他、活物質を補充可能な燃料電池のうち小型のものを用いることもできる。
【0038】
前記制御部18は、空気給排機構をなすポンプ部16、電磁弁17a、17bに対し、あらかじめ記録設定されたマッサージの内容の情報に基づいて、適切なマッサージの実行のための制御を行うものである。
【0039】
この制御部18は、そのハードウェア構成として、CPUやメモリ、入出力インターフェース等を備えるコンピュータとなっており、メモリ等に格納されるプログラムにより、コンピュータを制御部18として動作させる仕組みである。この制御部18をなすコンピュータは、CPUやメモリ、ROM等を一体的に形成されたマイクロコンピュータとされており、装置本体部15に問題なく内蔵可能とされる。
【0040】
次に、本実施形態に係るマッサージ装置の使用者の脚へのマッサージ状態について説明する。前提として、マッサージ装置の押圧部10を使用者の脚70の膝下部分に巻回して装着し、エアバッグ12、13のうち第一のエアバッグ12がふくらはぎの左右側方に位置すると共に、第二のエアバッグ13がふくらはぎの後方に位置し、また、装置本体部15は操作部15aを斜め前方に向けて脚の側方前寄りに位置しており、さらに、電池19からの電力供給が正常になされて、制御部18の制御によりポンプ部16及び電磁弁17a、17bが適切に作動可能な状態となっているものとする。
【0041】
使用者の装置本体部15の操作部15aへの操作で電源が入とされ、さらに使用者によりマッサージモード等の指示が入力操作されると、制御部18が作動制御を開始し、制御部18は空気給排機構としてのポンプ部16及び電磁弁17a、17bに対し制御指令を送出して、これらを作動させ、第一のエアバッグ12と、第二のエアバッグ13をそれぞれ膨縮させることとなる。
【0042】
エアバッグの膨縮にあたっては、あらかじめ複数の膨縮パターンが設定されており、マッサージ実行の際には一又は複数の膨縮パターンに従ってエアバッグを膨縮させ、且つこれを繰り返して、エアバッグによる押圧状態を様々に変化させて所望のマッサージ効果が得られるようにしている。
【0043】
(第1の膨縮パターン)
はじめに、第1の膨縮パターンとして、エアバッグ12、13全てを一様に膨張させる場合について説明する。
【0044】
まず、制御部18は、エアバッグ12、13の空気給排機構としてのポンプ部16及び電磁弁17a、17bに対し制御指令を送出して、第一のエアバッグ12と、第二のエアバッグ13の両方に対し、給気を行い、各エアバッグをそれぞれ膨張させて、脚のふくらはぎを押圧する(
図8参照)。給気は所定時間(例えば12秒)継続され、押圧状態も継続する。
【0045】
こうして二つのエアバッグ12、13を膨張させることで、ふくらはぎ全体を締めるように押圧することができる。そして、これにより、ふくらはぎにおいて、牛の乳搾りのように周囲から圧迫し締めて血流を生じさせる(いわゆるミルキング)状態を生じさせることができる。
【0046】
所定時間経過後、制御部18は、空気給排機構に対し給気停止、圧力保持の制御指令を送出して、各エアバッグ12、13への給気を停止する一方、排気はまだ行わないようにして、各エアバッグの膨張状態をさらに所定時間(例えば4秒)保持する。この後、制御部18は、空気給排機構に対し新たな制御指令を送出し、排気状態に移行させて、所定時間(例えば10秒)にわたる排気で各エアバッグを収縮させて、一連の膨縮過程を終了する。
【0047】
(第2の膨縮パターン)
続いて、第2の膨縮パターンとして、第一のエアバッグ12を膨張させた後、第二のエアバッグ13を膨張させる場合について説明する。
【0048】
まず、制御部18は、空気給排機構としてのポンプ部16及び電磁弁17a、17bに対し制御指令を送出して、第一のエアバッグ12のみに対し、給気を行い、エアバッグ12を膨張させて、ふくらはぎの左右を押圧する(
図9(A)、(B)参照)。給気は所定時間(例えば15秒)継続され、押圧状態も継続する。
【0049】
所定時間経過後、制御部18は、新たな制御指令を送出し、第一のエアバッグ12に対しては給気停止、圧力保持としてエアバッグ12による押圧状態を維持したまま、さらに、第二のエアバッグ13に対し、給気を行い、第二のエアバッグ13を膨張させて、新たにふくらはぎの後側を押圧する(
図9(C)参照)。給気は所定時間(例えば5秒)継続され、押圧状態も継続する。
こうして二つのエアバッグ12、13を時間をずらして膨張させることで、ふくらはぎ全体を締めるのに変化を与えることができる。
【0050】
所定時間経過後、制御部18は、空気給排機構に対し給気停止、圧力保持の制御指令を送出して、各エアバッグ12、13への給気を停止する一方、排気はまだ行わないようにして、各エアバッグの膨張状態をさらに所定時間(例えば4秒)保持する。この後、制御部18は、空気給排機構に対し新たに制御指令を送出し、排気状態に移行させて、所定時間(例えば10秒)にわたる排気で各エアバッグを収縮させて、一連の膨縮過程を終了する。
【0051】
(第3の膨縮パターン)
続いて、第3の膨縮パターンとして、エアバッグ12、13全てを一様に膨張させつつ、膨張を段階をおいて徐々に進行させる場合について説明する。
【0052】
まず、制御部18は、空気給排機構としてのポンプ部16及び電磁弁17a、17bに対し制御指令を送出して、第一のエアバッグ12と、第二のエアバッグ13の両方に対し、給気を行い、各エアバッグをそれぞれ膨張させて、脚のふくらはぎを押圧する(
図10(A)参照)。給気は所定時間(例えば8秒)継続され、押圧状態も継続する。
【0053】
所定時間経過後、制御部18は、新たな制御指令を送出し、各エアバッグ12、13に対して給気停止、圧力保持として、各エアバッグ12、13への給気を停止する一方、排気はまだ行わないようにして、各エアバッグ12、13の膨張状態を所定時間(例えば2.5秒)保持する。先の給気実行で、二つのエアバッグ12、13は膨張しているものの、給気量がエアバッグを完全に膨張させるまでに至っていないことで、この段階では、ふくらはぎに対する押圧力は少し弱いものとなっており、ふくらはぎ全体を緩やかに締めるように押圧することとなる。
【0054】
所定時間経過後、制御部18は、先ほどの各エアバッグの膨張とそれに続く圧力保持状態を同様に繰り返すようにする制御指令を送出する。すなわち、制御部18は空気給排機構にあらためて制御指令を送出して、第一のエアバッグ12と、第二のエアバッグ13の両方に対し、給気を行い、各エアバッグ12、13をさらに膨張させて、脚のふくらはぎをより強く押圧する(
図10(B)参照)。給気は前記同様所定時間(例えば8秒)継続される。さらに、この所定時間経過後、制御部18は、また制御指令を送出し、各エアバッグ12、13に対して給気停止、圧力保持として、各エアバッグ12、13への給気を停止する一方、排気は行わないようにして、各エアバッグ12、13の膨張状態を前記同様所定時間(例えば2.5秒)保持する。この段階でも、二つのエアバッグ12、13への給気量はエアバッグを完全に膨張させるまでに至っていないが、先ほどと比べ、ふくらはぎに対する押圧力は若干強くなっており、ふくらはぎ全体を少し強く締めるように押圧することとなる。
【0055】
所定時間経過後、制御部18は空気給排機構に新たな制御指令を送出して、第一のエアバッグ12と、第二のエアバッグ13の両方に対し、給気を行い、各エアバッグ12、13をより一層膨張させて、脚のふくらはぎをさらに強く押圧する(
図10(C)参照)。給気は所定時間(例えば8秒)継続される。この段階で、二つのエアバッグ12、13への給気量はエアバッグを完全に膨張させる程度に達することとなり、最終的に、膨張した二つのエアバッグ12、13により、ふくらはぎ全体を前段階に比べ強く締めるように押圧することができる。
【0056】
所定時間経過後、制御部18は、空気給排機構に対し給気停止、圧力保持の制御指令を送出して、各エアバッグ12、13への給気を停止する一方、排気はまだ行わないようにして、各エアバッグの膨張状態をさらに所定時間(例えば4秒)保持する。この後、制御部18は、空気給排機構に対し新たに制御指令を送出し、排気状態に移行させて、所定時間(例えば10秒)にわたる排気で各エアバッグを収縮させて、一連の膨縮過程を終了する。
【0057】
(第4の膨縮パターン)
続いて、第4の膨縮パターンとして、エアバッグ12、13を交互に膨張させつつ、膨張を段階をおいて徐々に進行させる場合について説明する。
【0058】
まず、制御部18は、空気給排機構としてのポンプ部16及び電磁弁17a、17bに対し制御指令を送出して、第一のエアバッグ12のみに対し、給気を行い、エアバッグ12を膨張させて、ふくらはぎの左右を押圧する(
図11(A)、(B)参照)。給気は所定時間(例えば6秒)継続され、押圧状態も継続する。この時、第二のエアバッグ13については、給気も排気もない圧力保持状態となっている。
【0059】
所定時間経過後、制御部18は、新たな制御指令を送出し、第一のエアバッグ12に対しては給気停止、圧力保持としてエアバッグ12による押圧状態を維持したまま、さらに、第二のエアバッグ13に対し、給気を行い、第二のエアバッグ13を膨張させて、新たにふくらはぎの後側を押圧する(
図11(C)参照)。給気は所定時間(例えば6秒)継続され、押圧状態も継続する。この段階で、二つのエアバッグ12、13が膨張しているものの、給気量がエアバッグを完全に膨張させるまでに至っていないことで、ふくらはぎに対する押圧力は少し弱いものとなっている。
【0060】
所定時間経過後、制御部18は、先ほどの一方のエアバッグの膨張と他方のエアバッグの圧力保持を同様に繰り返すようにする制御指令を送出する。すなわち、制御部18は空気給排機構にあらためて制御指令を送出して、第二のエアバッグ13については給気及び排気のない圧力保持状態とする一方、第一のエアバッグ12に対し給気を行い、エアバッグ12をさらに膨張させて、脚のふくらはぎ左右をより強く押圧する(
図12(A)参照)。給気は前記同様所定時間(例えば6秒)継続される。さらに、この所定時間経過後、制御部18は、また制御指令を送出し、第一のエアバッグ12に対して給気停止、圧力保持として、エアバッグ12による押圧状態を維持したまま、第二のエアバッグ13に対し給気を行い、第二のエアバッグ13を膨張させて、ふくらはぎの後側をより強く押圧する(
図12(B)参照)。第二のエアバッグ13への給気は前記同様所定時間(例えば6秒)継続される。この段階でも、二つのエアバッグ12、13への給気量はエアバッグを完全に膨張させるまでに至っていないが、先ほどと比べ、ふくらはぎに対する押圧力は若干強くなっている。
【0061】
所定時間経過後、制御部18は空気給排機構に新たな制御指令を送出して、第一のエアバッグ12と、第二のエアバッグ13の両方に対し、給気を行い、各エアバッグ12、13をより一層膨張させて、脚のふくらはぎをさらに強く押圧する(
図12(C)参照)。給気は所定時間(例えば6秒)継続される。この段階で、二つのエアバッグ12、13への給気量はエアバッグを完全に膨張させる程度に達することとなり、最終的に、膨張した二つのエアバッグ12、13により、ふくらはぎ全体を前段階に比べ強く締めるように押圧することができる。
【0062】
所定時間経過後、制御部18は、空気給排機構に対し給気停止、圧力保持の制御指令を送出して、各エアバッグ12、13への給気を停止する一方、排気はまだ行わないようにして、各エアバッグの膨張状態をさらに所定時間(例えば4秒)保持する。この後、制御部18は、空気給排機構に対し新たに制御指令を送出し、排気状態に移行させて、所定時間(例えば10秒)にわたる排気で各エアバッグを収縮させて、一連の膨縮過程を終了する。
【0063】
(第5の膨縮パターン)
続いて、第5の膨縮パターンとして、二つのエアバッグ12、13を断続的に膨張させる場合について説明する。
【0064】
まず、制御部18は、空気給排機構としてのポンプ部16及び電磁弁17a、17bに対し制御指令を送出して、第一のエアバッグ12と、第二のエアバッグ13の両方に対し、給気を行い、各エアバッグをそれぞれ膨張させて、脚のふくらはぎを押圧する(
図13(A)参照)。給気は所定時間(例えば10秒)継続され、押圧状態も継続する。
【0065】
所定時間経過後、制御部18は、新たな制御指令を送出し、各エアバッグ12、13に対して給気停止、圧力保持として、各エアバッグ12、13への給気を停止する一方、排気はまだ行わないようにして、各エアバッグ12、13の膨張状態を所定時間(例えば2秒)保持する。先の給気実行で、二つのエアバッグ12、13は膨張しているものの、給気量がエアバッグを完全に膨張させるまでに至っていないことで、この段階では、ふくらはぎに対する押圧力は少し弱いものとなっており、ふくらはぎ全体を緩やかに締めるように押圧することとなる。
【0066】
所定時間経過後、制御部18は空気給排機構にあらためて制御指令を送出して、第一のエアバッグ12と、第二のエアバッグ13の両方に対し、給気を行い、各エアバッグ12、13を膨張させる状態(第1の状態)を得る。この第1の状態は所定時間(例えば8秒)継続される。これにより、脚のふくらはぎをより強く押圧できることとなる(
図13(B)参照)。
【0067】
この所定時間経過後、制御部18は、また制御指令を送出し、各エアバッグ12、13に対し排気が行われるようにして、各エアバッグ12、13を収縮させる状態(第2の状態)を得る。この第2の状態は所定時間(例えば2秒)継続される。この段階では、二つのエアバッグ12、13の収縮により、ふくらはぎ全体が押圧される状態から解放されることとなる(
図13(C)参照)。
【0068】
この後、制御部18により、前記第1の状態と第2の状態とが交互に所定回数(例えば6回)繰返され、ふくらはぎ全体を締めるように押圧する状態と、ふくらはぎが押圧から解放される状態とが交互に入れ替り、ふくらはぎに押圧刺激を繰返し与えられることとなる。
【0069】
前記第1の状態と第2の状態とが交互に所定回数(例えば6回)繰返された後、制御部18は空気給排機構に新たな制御指令を送出して、第一のエアバッグ12と、第二のエアバッグ13の両方に対し、給気を行い、各エアバッグ12、13を膨張させて、脚のふくらはぎを押圧する。給気は所定時間(例えば8秒)継続される。そしてこの後、制御部18は、空気給排機構に対し新たに制御指令を送出し、排気状態に移行させて、所定時間(例えば10秒)にわたる排気で各エアバッグを収縮させて、一連の膨縮過程を終了する。
【0070】
(第6の膨縮パターン)
続いて、第6の膨縮パターンとして、二つのエアバッグ12、13をそれぞれの膨張する期間をずらしつつ断続的に膨張させる場合について説明する。
【0071】
まず、制御部18は、空気給排機構としてのポンプ部16及び電磁弁17a、17bに対し制御指令を送出して、第一のエアバッグ12と、第二のエアバッグ13の両方に対し、給気を行い、各エアバッグをそれぞれ膨張させて、脚のふくらはぎを押圧する(
図14(A)参照)。給気は所定時間(例えば6秒)継続され、押圧状態も継続する。
【0072】
所定時間経過後、制御部18は、新たな制御指令を送出し、第一のエアバッグ12に対して給気を継続し、これによる押圧状態を維持する一方、第二のエアバッグ13に対し排気が行われるようにして、第二のエアバッグ13を収縮させる状態(第1の状態)を得る。この第1の状態は所定時間(例えば10秒)継続される。これにより、ふくらはぎの左右のみを押圧できることとなる(
図14(B)参照)。
【0073】
所定時間経過後、制御部18は空気給排機構にあらためて制御指令を送出して、第一のエアバッグ12と、第二のエアバッグ13の両方に対し、給気を行い、各エアバッグ12、13を膨張させる状態(第2の状態)を得る。この第2の状態は所定時間(例えば4秒)継続される。これにより、ふくらはぎ全体を締めるように押圧できることとなる(
図14(A)参照)。
【0074】
所定時間経過後、制御部18は、また制御指令を送出し、第一のエアバッグ12に対し排気が行われるようにして、第一のエアバッグ12を収縮させる一方、第二のエアバッグ13に対して給気を継続し、これによる押圧状態を維持する状態(第3の状態)を得る。この第3の状態は所定時間(例えば10秒)継続される。これにより、ふくらはぎの後側のみを押圧できることとなる(
図14(C)参照)。
【0075】
所定時間経過後、制御部18は空気給排機構に新たに制御指令を送出して、第一のエアバッグ12と、第二のエアバッグ13の両方に対し、給気を行い、各エアバッグ12、13を膨張させる状態(第4の状態)を得る。この第4の状態は所定時間(例えば4秒)継続される。これにより、再度ふくらはぎ全体を締めるように押圧できることとなる(
図14(A)参照)。
【0076】
この後、制御部18により、前記第1の状態、第2の状態、第3の状態、及び第4の状態がそのまま所定回数(例えば4回)繰返され、ふくらはぎを左右から押圧する状態と、ふくらはぎを後ろ側から押圧する状態とが、ふくらはぎ全体を締めるように押圧する状態を間に挟みながら入れ替って、ふくらはぎに他と異なる押圧刺激を繰返し与えられることとなる。
【0077】
前記第1ないし第4の状態が所定回数(例えば4回)繰返された後、制御部18は、空気給排機構に対し新たに制御指令を送出し、排気状態に移行させて、所定時間(例えば10秒)にわたる排気で各エアバッグを収縮させて、一連の膨縮過程を終了する。
【0078】
あらかじめ設定されたマッサージモードでは、前記第1ないし第6の膨縮パターンの中から複数の膨縮パターンが適宜選択されて所定の順序で組み合わされており、こうしたマッサージモードを使用者が選択すると、制御部18がマッサージモードに従ってエアバッグ12、13の膨縮を実行するようにしていることで、使用者は特別な操作を要求されることなく、各エアバッグによる効果的な押圧の組み合わせを容易に生じさせることができ、効率的なマッサージを受けることができる。
【0079】
マッサージモードとして設定される膨縮パターンの組み合わせとしては、例えば、押圧が持続するものを中心に組み合わせたものとして、第1の膨縮パターン(2回)、第2の膨縮パターン(2回)、第3の膨縮パターン、第4の膨縮パターン、第3の膨縮パターン、第4の膨縮パターン、の順で膨縮を実行する例が挙げられる。この他、押圧が断続的に繰り返されるものを中心に組み合わせたものとして、第1の膨縮パターン、第5の膨縮パターン、第6の膨縮パターン、の順で膨縮を実行する例が挙げられる。マッサージモードとしては、こうした膨縮パターンの組み合わせをさらに複数回繰り返すようにしてもよい。
【0080】
このように、本実施形態に係るマッサージ装置は、押圧部10がマッサージ対象箇所を含む脚70の所定範囲を取り囲んでエアバッグ12、13でのマッサージを可能とする状態で、エアバッグ12、13を作動させる装置本体部15が、押圧部10への取付面と略直交すると共に押圧部10の筒長手方向と略平行となる面に操作部15aを有して、操作部15aを使用者の取り扱いやすい向きに配置できることから、使用者が操作部15aを操作する際に、使用者が操作部15aを見ながら確実に操作できると共に、装置本体部15を保持しながら操作部15aに対する操作を行え、操作部15aを操作する力が脚のある側に向かわないことで、装置本体部15を安定させた状態で操作部15aに対する操作が行え、操作性を向上させて常に適切に操作できる。
【0081】
なお、前記実施形態に係るマッサージ装置において、押圧部10における、第二のエアバッグ13のエアバッグ部13aの下側に位置する、第一のエアバッグ12の中間流路部12cについては、第一のエアバッグ12の左エアバッグ部12aと右エアバッグ部12bとを連通させてこれらの間で空気をスムーズに流通可能とし、各エアバッグ部12a、12bが同時に膨縮するようにすることを主目的としており、中間流路部12c自体は、給気がなされてもふくらはぎを押圧するような膨張を想定しない構成としているが、これに限らず、
図15、
図16に示すように、中間流路部12cも給気により左エアバッグ部12aや右エアバッグ部12bと同様に膨縮し、ふくらはぎ後部を下方から押圧可能な構成とすることもできる。
【0082】
この場合、ふくらはぎの押圧にあたり、第一のエアバッグ12を第二のエアバッグ13より先に膨張させるようにすれば、まず第一のエアバッグ12における、左エアバッグ部12aと右エアバッグ部12bが膨張してふくらはぎを左右から挟むように押圧すると共に、中間流路部12cが膨張してふくらはぎ後部を下方から押圧する状態となった後、中間流路部12cの上に位置する、第二のエアバッグ13のエアバッグ部13aが膨張して、ふくらはぎ後部の中間流路部12cから押圧された箇所の上側部位を押圧することで、ふくらはぎを左右から押圧して締めた状態で、さらにふくらはぎ後部で縦方向の押圧位置の移動が生じることとなり、これに基づく効率的な血液のポンピング作用をふくらはぎに付与でき、マッサージ効果を高められる。
【0083】
この他、第一のエアバッグ12の中間流路部12cが、第二のエアバッグ13のエアバッグ部13aの上側に位置する場合についても、中間流路部12cが給気により左エアバッグ部12aや右エアバッグ部12bと同様に膨縮し、ふくらはぎ後部の上部を押圧可能な構成とするようにしてよい。この場合、
図17、
図18に示すように、ふくらはぎの押圧にあたり、第二のエアバッグ13を第一のエアバッグ12より先に膨張させるようにすれば、まず第二のエアバッグ13のエアバッグ部13aが膨張して、ふくらはぎ後部の下側部位を押圧する状態となった後、第一のエアバッグ12における、左エアバッグ部12aと右エアバッグ部12bが膨張してふくらはぎを左右から挟むように押圧すると共に、第二のエアバッグ13のエアバッグ部13aの上に位置する、中間流路部12cが膨張してふくらはぎ後部の上側部位を押圧することで、ふくらはぎ後部を押圧した状態で、さらにふくらはぎを左右から押圧して締めつつ、ふくらはぎ後部で縦方向の押圧位置の移動を生じさせることとなり、これに基づく効率的な血液のポンピング作用をふくらはぎに付与でき、マッサージ効果を高められる。
【0084】
上記各場合の中間流路部12cの構造としては、給気の際に膨張が十分に生じるように、その大きさを広げたり、複層構造としたり、軟質素材製とするようにしてもよい。
【0085】
(本発明の第2の実施形態)
本発明の第2の実施形態に係るマッサージ装置を前記
図19ないし
図23に基づいて説明する。本実施形態においては、手の各部をマッサージ対象として手に巻回装着されるマッサージ装置の例について説明する。
【0086】
前記各図において本実施形態に係るマッサージ装置2は、マッサージ対象の手80の各部を押す押圧手段としてのエアバッグを複数有して、手80に巻回可能に配設される押圧部20と、この押圧部20のエアバッグを作動させる装置本体部25とを備える構成である。
【0087】
前記押圧部20は、複数のエアバッグ22、23を有して、手80を取り囲むように巻回可能な帯状体とされる構成である。押圧部20は、手80に巻回され、巻回状態で一端部を他部位に重ねて最外層に位置させると共に、重なる内面と外面の所定箇所同士を面ファスナー等の係合手段で着脱可能に係合させることで、手の外周位置で周方向に連続して手周囲への配設状態を維持可能な筒状形態とされる。この状態で、押圧部20は各エアバッグ22、23により、マッサージ対象箇所を押してマッサージを行える仕組みである。
【0088】
エアバッグ22、23は、押圧部20が手80を取り囲んで巻回された状態で、手の甲と掌をそれぞれ押圧可能に配設されると共に、手の指を手の甲側と掌側からそれぞれ押圧可能に配設され、手の甲側と掌側から手を取り囲むように複数配設される。
【0089】
手の甲と掌の各外側に位置することとなる第一のエアバッグ22は、甲側エアバッグ部22aと、掌側エアバッグ部22bと、これらを連通させると共に装置本体部25の給排機構と連通する中間流路部22cとを備える構成である。中間流路部22cを介して連通する甲側と掌側のエアバッグ部22a、22bは、同時に膨縮して同じタイミングで手の甲と掌のマッサージ対象箇所を押すこととなり、手を周囲から締めるような押圧刺激を与えることができる。
【0090】
手の甲側エアバッグ部22aは、横方向の中間部に溶着や縫製による仕切り部を形成されて、仕切り部を挟む両側で分かれて膨張が生じることで、手の甲に沿って広がった膨張形態を得ることができ、より適切で違和感なく心地よい押圧刺激を与えられる。こうした第一のエアバッグ22の各エアバッグ部22a、22b、特に、掌側エアバッグ部22bには、膨張時に手に与える刺激を強化するための突起部22dを設けるようにしてもよい。
【0091】
手の指の外側に位置することとなる第二のエアバッグ23は、甲側エアバッグ部23aと、掌側エアバッグ部23bと、これらを連通させると共に装置本体部25の給排機構と連通する中間流路部23cとを備える構成である。押圧部20の展開状態では、第一のエアバッグ22と第二のエアバッグ23のいずれも、甲側エアバッグ部と掌側エアバッグ部との間に中間流路部が配置される形状とされる。
【0092】
押圧部20が手80を取り囲んで巻回された状態で、第一のエアバッグ22と第二のエアバッグ23は一部重なり、重なり部分で第一のエアバッグ22がより手に近い内側に位置することとなる。
【0093】
各エアバッグの中間流路部22c、23cは、装置本体部25と重なる配置とされ、装置本体部25の空気給排機構とそれぞれ空気流通可能に直接接続されており、各エアバッグ22、23はその給排気系統を別々のものとされ、互いに独立して膨縮可能とされる仕組みである。
【0094】
押圧部20は、エアバッグを外側から被覆して水分や汚れ等から保護する可撓性素材製のカバー20aを備える。このカバー20aは、使用者や他物体との接触、摩擦や各エアバッグ22、23からの圧力が加わっても破損しない丈夫な可撓性素材製のシート状体で形成され、エアバッグ22、23と共に、装置本体部25もまとめて被覆し保護する略袋形状とされる構成である。カバー20aは、所定の係合手段(スライドファスナー)で開閉可能な端部の開口部からエアバッグ22、23及び装置本体部25を出し入れして着脱可能に被覆する仕組みである。このカバー20aのうち、装置本体部25の外側にあたる部分には、装置本体部25の操作部25aを外部に露出させる開口部20bを設けられると共に、装置本体部25に内蔵された電池19を交換するために装置本体部25を一部開放する際に、この装置本体部25の一部開放に対応して、カバー20aの一部を必要に応じ開口状態とするためのファスナー等の係合手段が設けられる。
【0095】
押圧部20の巻回状態で最も内側で手に直接触れる部分は、着脱可能な内カバー部20cとなっており、重なる押圧部20の他部分と面ファスナー等の係合手段で容易に着脱可能に係合させるようにすることで、必要に応じて取り外して交換したり、洗って再使用することができる。
【0096】
押圧手段としての第一のエアバッグ22及び第二のエアバッグ23は、エアバッグごとに電磁弁17a、17bを介してポンプ部16と接続される。
電磁弁17a、17bは、前記第1の実施形態同様、制御部18による制御に応じて、ポンプ部16からエアバッグへの給気を行える状態と、エアバッグの空気を外部に排気させる状態と、エアバッグの内部圧力を維持できる状態、の三つの状態を切替可能とする公知の三方弁であり、詳細な説明を省略する。
【0097】
これらポンプ部16と電磁弁17a、17bが、各エアバッグの空気給排機構をなし、制御部18が、ポンプ部16を作動させると共に、電磁弁17a、17bの連通状態を調整制御することで、所望のエアバッグについて給気、排気、又は圧力維持を図り、エアバッグを膨張、収縮させ、又は所定の膨張状態で維持できる仕組みである。エアバッグの膨張時には手のエアバッグ内側に位置する部分に対する押圧力を発生させる一方、収縮時には押圧が解除されることで、各エアバッグ位置で変化に富んだマッサージ効果を与えることができる。
【0098】
なお、押圧部20に設けられるエアバッグの数は前記二組に限られるものではなく、使用態様に応じて適宜設定できる。また、エアバッグの配置も、二つのエアバッグ部が一部重なるようにした配置に限らず、エアバッグを重ねずに複数並べたり、各エアバッグの形状や大きさを手のマッサージ対象箇所の性質に応じて大きく異ならせ、押圧部においてエアバッグの形状や大きさに応じて並べた配置にする構成とすることもできる。
【0099】
前記装置本体部25は、前記第1の実施形態同様、ポンプ部16と、電磁弁17a、17bと、制御部18と、電池19とを備え、これらを一まとまりのユニットとして一つの筐体に内蔵する構造とされる。そして、前記第1の実施形態と同様、装置本体部25は、互いに略直交する複数の面のある略箱状の外形を有し、所定の面を取付面として押圧部20に一体に取り付けられるものであり、詳細な説明を省略する。
【0100】
この装置本体部25は、前記取付面と略直交する面で、且つ、取付面との交線の向きが、手80に巻回されて周方向に連続する筒状形態における押圧部20の筒長手方向と略平行となる面を有し、この面に使用者の操作を受け付ける操作部25aを設けられる構成である。この操作部25aはカバー20aを貫通して操作可能に外部に露出する状態とされる。
【0101】
この装置本体部25は、押圧部20における前記一端部近傍の、巻回状態で外側に一端部が重ならない箇所に取り付けられており、押圧部20が手80を取り囲んで巻回された状態で、手80の側方に位置する配置とされる構成である。そして、この装置本体部25の操作部25aを設けられる面が、装置本体部25における押圧部20の一端部側を向いた面とされることから、装置本体部25が、押圧部20の巻回で手80の側方に位置すると共に、使用者が手の甲を上に向けてリラックスした姿勢をとっている状態では、操作部25aは上方を向く位置関係となる。
【0102】
こうして押圧部20が手80を取り囲んでエアバッグ22、23でのマッサージを可能とする巻回状態で、装置本体部25が、取付面と略直交する面で、且つ、取付面との交線の向きが、筒状形態の押圧部20の筒長手方向と略平行となる面に操作部25aを有して、操作部25aを使用者の取り扱いやすい上向きに配置できることから、使用者が操作部25aを操作する際に、使用者が操作部25aを見ながら確実に操作できると共に、操作部25aを操作する力が手のある側に向かわないことで、装置本体部25を安定させ、且つ手に違和感を与えない状態で操作部25aに対する操作が行える。特に、マッサージ装置2が机やテーブル等の上に置かれて、装置本体部25が机等の上面に接して支持される場合には、装置本体部25を安定させた状態で操作部25aに対する操作が行え、且つ操作する力を確実に操作部側に与えられるなど、操作性を向上させられる。
【0103】
次に、本実施形態に係るマッサージ装置の使用者の手へのマッサージ状態について説明する。前提として、マッサージ装置の押圧部20を使用者の手80に巻回して装着し、エアバッグ22、23のうち第一のエアバッグ22が手の甲と掌の各外側に位置すると共に、第二のエアバッグ23が手の指の外側に位置し、また、装置本体部25は操作部25aを上方に向けて手の側方に位置しており、さらに、電池19からの電力供給が正常になされて、制御部18の制御によりポンプ部16及び電磁弁17a、17bが適切に作動可能な状態となっているものとする。
【0104】
使用者の装置本体部25の操作部25aへの操作で電源が入とされ、さらに使用者によりマッサージモード等の指示が入力操作されると、制御部18が作動制御を開始し、制御部18は空気給排機構としてのポンプ部16及び電磁弁17a、17bに対し制御指令を送出して、これらを作動させ、第一のエアバッグ22と、第二のエアバッグ23をそれぞれ膨縮させることとなる。
【0105】
エアバッグ22、23全てを一様に膨張させる場合、制御部18は、空気給排機構としてのポンプ部16及び電磁弁17a、17bに対し制御指令を送出して、第一のエアバッグ22と、第二のエアバッグ23の両方に対し、所定時間給気を行い、各エアバッグをそれぞれ膨張させて、手の甲及び掌、手の指を押圧する。
【0106】
こうして二つのエアバッグ22、23を膨張させることで、手全体を一様に締めるように押圧することができる。特に、二つのエアバッグ22、23が重なる部分では、エアバッグ22、23の膨張も重なることで押圧の強度を高くしており、この重なり部分の内側となる手の指の付け根部分を強く締めるような押圧刺激を与えることができる。
【0107】
所定時間経過後、制御部18は、空気給排機構に対し給気停止、圧力保持の制御指令を送出して、各エアバッグ22、23への給気を停止する一方、排気はまだ行わないようにして、各エアバッグの膨張状態をさらに所定時間保持する。この後、制御部18は、空気給排機構に対し新たな制御指令を送出し、排気状態に移行させて、所定時間にわたる排気で各エアバッグを収縮させる。以上の一連の膨縮過程を、必要に応じて複数回繰り返すようにすることもできる。
【0108】
この他、二つのエアバッグ22、23の膨張タイミングをずらす場合、例えば、第二のエアバッグ23を膨張させた後、第一のエアバッグ22を膨張させる場合には、制御部18は、空気給排機構としてのポンプ部16及び電磁弁17a、17bに対し制御指令を送出して、第二のエアバッグ23のみに対し、所定時間給気を行い、エアバッグ23を膨張させて、手の指を手の甲側と掌側からそれぞれ押圧する。
【0109】
所定時間経過後、制御部18は、新たな制御指令を送出し、第二のエアバッグ23に対しては給気停止、圧力保持としてエアバッグ23による押圧状態を維持したまま、さらに、第一のエアバッグ22に対し、所定時間給気を行い、第一のエアバッグ22を膨張させて、新たに手の甲及び掌を押圧する。
こうして二つのエアバッグ22、23を時間をずらして膨張させることで、手全体を締めるのに指側から締めていくようにするなどの変化を与えることができる。
【0110】
所定時間経過後、制御部18は、空気給排機構に対し給気停止、圧力保持の制御指令を送出して、各エアバッグ22、23への給気を停止する一方、排気はまだ行わないようにして、各エアバッグの膨張状態をさらに所定時間保持する。この後、制御部18は、空気給排機構に対し新たに制御指令を送出し、排気状態に移行させて、所定時間にわたる排気で各エアバッグを収縮させる。以上の一連の膨縮過程を、必要に応じて複数回繰り返すようにすることもできる。
【0111】
このように、本実施形態に係るマッサージ装置は、手80を取り囲む押圧部20のエアバッグ22、23が、手の甲と掌の各外側に位置すると共に、手の指の外側にこれを押圧可能に位置し、且つ、手の甲と掌の各外側の第一のエアバッグ22と手の指の外側の第二のエアバッグ23とが給排気系統を別にされ、空気の給排で、第一のエアバッグ22と第二のエアバッグ23とが、同時、又はタイミングをずらして、それぞれ所定の強さで手各部を押圧することから、エアバッグ22で手の甲と掌を締め付けるように押圧する状態と、エアバッグ23で指を締め付けるように押圧する状態とを適宜組み合わせて、手の甲と掌を締め付けるように押圧するマッサージや、手全体を周囲から一様に締め付けるように押圧するマッサージ、手の甲と掌に対する周囲からの押圧と指に対する周囲からの押圧とが、所定の時間差をおいて加わったり、押圧の強さを異ならせて加わるマッサージ等をそれぞれ実行でき、手各部を適切に押圧して所望のマッサージ効果を与えることができる。
【0112】
(本発明の第3の実施形態)
本発明の第3の実施形態に係るマッサージ装置を前記
図24ないし
図29に基づいて説明する。本実施形態においては、足の各部をマッサージ対象として足に巻回装着されるマッサージ装置の例について説明する。
【0113】
前記各図において本実施形態に係るマッサージ装置3は、マッサージ対象の足90の各部を押す押圧手段としてのエアバッグを複数有して、足90に巻回可能に配設される押圧部30と、この押圧部30のエアバッグを作動させる装置本体部35とを備える構成である。
【0114】
前記押圧部30は、複数のエアバッグ32、33を有して、足90の足甲から足裏にわたる部位を取り囲むように巻回可能な帯状体とされる構成である。押圧部30は、足90に巻回され、巻回状態で一端部を他部位に重ねて最外層に位置させると共に、重なる内面と外面の所定箇所同士を面ファスナー等の係合手段で着脱可能に係合させることで、足90の足甲から足裏に及ぶ外周位置で周方向に連続して足周囲への配設状態を維持可能な筒状形態とされる。この状態で、押圧部30は各エアバッグ32、33により、マッサージ対象箇所を押してマッサージを行える仕組みである。
【0115】
また、押圧部30は、踵寄りとなる端部から所定長さ突出する踵固定部31を一体に有してなり、押圧部30の足への巻回状態で、踵固定部31も足の踵側面及び踵後面を取り囲むようにされる。
【0116】
エアバッグ32、33は、押圧部30が足90を取り囲んで巻回された状態で、足指付け根部下面とこの足指付け根部の左側面部分をそれぞれ押圧可能に配設されると共に、足の残りの左側面部分及び足右側面部分と踵下面をそれぞれ押圧可能に配設され、足の足甲から足裏に及ぶ周囲から足90を取り囲むように複数配設される。
【0117】
足90の足指付け根部下面とこの足指付け根部の左側面部分の各外側に位置することとなる第一のエアバッグ32は、足指付け根部の左側面部分の外側に位置する部位で、装置本体部35の給排機構と連通する構成である。第一のエアバッグ32における足指付け根部下面の外側に位置する部位と、足指付け根部の左側面部分の外側に位置する部位は一体となっており、同時に膨縮して同じタイミングで足の足指付け根部下面とこの足指付け根部の左側面部分を押すこととなる。第一のエアバッグ32における足指付け根部下面の外側に位置する部位には、膨張時に足指付け根部下面に与える刺激を強化するための突起部を設けるようにしてもよい。
【0118】
足90の残りの左側面部分、足右側面部分、及び踵下面の各外側に位置することとなる第二のエアバッグ33は、左側面側エアバッグ部33aと、踵下面側エアバッグ部33bと、右側面側エアバッグ部33cとを備え、これらが相互に隣接して連通する構成である。このうち、左側面側エアバッグ部33aは、押圧部30から突出する踵固定部31まで延伸させて設けられており、足の踵側面及び踵後面をマッサージ対象箇所として押すことができる仕組みである。
【0119】
第一のエアバッグ32における足指付け根部の左側面部分の外側に位置する部位と、第二のエアバッグ33の左側面側エアバッグ部33aは、装置本体部25と重なる配置とされ、装置本体部25の空気給排機構とそれぞれ空気流通可能に直接接続されており、各エアバッグ32、33はその給排気系統を別々のものとされ、互いに独立して膨縮可能とされる仕組みである。
【0120】
押圧部30は、エアバッグを外側から被覆して水分や汚れ等から保護する可撓性素材製のカバー30aを備える。
このカバー30aは、使用者や他物体との接触、摩擦や各エアバッグ32、33からの圧力が加わっても破損しない丈夫な可撓性素材製のシート状体で形成され、エアバッグ32、33と共に、装置本体部35もまとめて被覆し保護する略袋形状とされる構成である。カバー30aは、所定の係合手段(スライドファスナー)で開閉可能な足先側の端部の開口部からエアバッグ32、33及び装置本体部35を出し入れして着脱可能に被覆する仕組みである。このカバー30aのうち、装置本体部35の外側にあたる部分には、装置本体部35の操作部35aを外部に露出させる開口部30bを設けられると共に、装置本体部35に内蔵された電池19を交換するために装置本体部35を一部開放する際に、この装置本体部35の一部開放に対応して、カバー30aの一部を必要に応じ開口状態とするためのファスナー等の係合手段が設けられる。
【0121】
押圧部30の巻回状態で最も内側で足に直接触れる部分は、着脱可能な内カバー部30cとなっており、重なる押圧部30の他部分と面ファスナー等の係合手段で容易に着脱可能に係合させるようにすることで、必要に応じて取り外して交換したり、洗って再使用することができる。
【0122】
押圧手段としての第一のエアバッグ32及び第二のエアバッグ33は、エアバッグごとに電磁弁17a、17bを介してポンプ部16と接続される。
電磁弁17a、17bは、前記第1の実施形態同様、制御部18による制御に応じて、ポンプ部16からエアバッグへの給気を行える状態と、エアバッグの空気を外部に排気させる状態と、エアバッグの内部圧力を維持できる状態、の三つの状態を切替可能とする公知の三方弁であり、詳細な説明を省略する。
【0123】
これらポンプ部16と電磁弁17a、17bが、各エアバッグの空気給排機構をなし、制御部18が、ポンプ部16を作動させると共に、電磁弁17a、17bの連通状態を調整制御することで、所望のエアバッグについて給気、排気、又は圧力維持を図り、エアバッグを膨張、収縮させ、又は所定の膨張状態で維持できる仕組みである。エアバッグの膨張時には足のエアバッグ内側に位置する部分に対する押圧力を発生させる一方、収縮時には押圧が解除されることで、各エアバッグ位置で変化に富んだマッサージ効果を与えることができる。
【0124】
なお、押圧部30に設けられるエアバッグの数は前記二組に限られるものではなく、使用態様に応じて適宜設定できる。また、エアバッグの配置も、二つのエアバッグ部が足前後方向に並んだ配置に限らず、エアバッグを一部重ねて並べたり、各エアバッグの形状や大きさを足のマッサージ対象箇所の性質に応じて大きく異ならせ、押圧部においてエアバッグの形状や大きさに応じて並べた配置にする構成とすることもできる。
【0125】
前記装置本体部35は、前記第1の実施形態同様、ポンプ部16と、電磁弁17a、17bと、制御部18と、電池19とを備え、これらを一まとまりのユニットとして一つの筐体に内蔵する構造とされる。そして、前記第1の実施形態と同様、装置本体部35は、互いに略直交する複数の面のある略箱状の外形を有し、所定の面を取付面として押圧部30に一体に取り付けられるものであり、詳細な説明を省略する。
【0126】
この装置本体部35は、前記取付面と略直交する面で、且つ、取付面との交線の向きが、足90に巻回されて周方向に連続する筒状形態における押圧部30の筒長手方向と略平行となる面を有し、この面に使用者の操作を受け付ける操作部35aを設けられる構成である。この操作部35aはカバー30aを貫通して操作可能に外部に露出する状態とされる。
【0127】
この装置本体部35は、押圧部30における前記一端部近傍の、巻回状態で外側に一端部が重ならない箇所に取り付けられており、押圧部30が足90を取り囲んで巻回された状態で、足90の側方に位置する配置とされる構成である。そして、この装置本体部35の操作部35aを設けられる面が、装置本体部35における押圧部30の一端部側を向いた面とされることから、装置本体部35が、押圧部30の巻回で足90の側方に位置すると共に、使用者が足裏を下に向けてリラックスした姿勢をとっている状態では、操作部35aは上方を向く位置関係となる。
【0128】
こうして押圧部30が足90を取り囲んでエアバッグ32、33でのマッサージを可能とする巻回状態で、装置本体部35が、取付面と略直交する面で、且つ、取付面との交線の向きが、筒状形態の押圧部30の筒長手方向と略平行となる面に操作部35aを有して、操作部35aを使用者の取り扱いやすい上向きに配置できることから、使用者が操作部35aを操作する際に、使用者が操作部35aを見ながら確実に操作できると共に、操作部35aを操作する力が足のある側に向かわないことで、装置本体部35を安定させ、且つ足に違和感を与えない状態で操作部35aに対する操作が行える。特に、マッサージ装置3が床等の上に置かれて、装置本体部35が床面等に接して支持される場合には、装置本体部35を安定させた状態で操作部35aに対する操作が行え、且つ操作する力を確実に操作部側に与えられるなど、操作性を向上させられる。
【0129】
次に、本実施形態に係るマッサージ装置の使用者の足へのマッサージ状態について説明する。前提として、マッサージ装置の押圧部30を使用者の足90に巻回して装着し、また踵固定部31を足の踵側面及び踵後面を取り囲むように装着し、エアバッグ32、33のうち第一のエアバッグ32が足の足指付け根部下面とこの足指付け根部の左側面部分の各外側に位置すると共に、第二のエアバッグ33が足の残りの左側面部分、足右側面部分、踵下面、及び踵後面の各外側に位置し、また、装置本体部35は操作部35aを上方に向けて足90の側方に位置しており、さらに、電池19からの電力供給が正常になされて、制御部18の制御によりポンプ部16及び電磁弁17a、17bが適切に作動可能な状態となっているものとする。
【0130】
使用者の装置本体部35の操作部35aへの操作で電源が入とされ、さらに使用者によりマッサージモード等の指示が入力操作されると、制御部18が作動制御を開始し、制御部18は空気給排機構としてのポンプ部16及び電磁弁17a、17bに対し制御指令を送出して、これらを作動させ、第一のエアバッグ32と、第二のエアバッグ33をそれぞれ膨縮させることとなる。
【0131】
エアバッグ32、33全てを一様に膨張させる場合、制御部18は、空気給排機構としてのポンプ部16及び電磁弁17a、17bに対し制御指令を送出して、第一のエアバッグ32と、第二のエアバッグ33の両方に対し、所定時間給気を行い、各エアバッグをそれぞれ膨張させて、足の足指付け根部から踵にかけての下面と左右側面部分、踵後面を押圧する。
【0132】
こうして二つのエアバッグ32、33を膨張させることで、足全体を一様に締めるように押圧することができる。
【0133】
所定時間経過後、制御部18は、空気給排機構に対し給気停止、圧力保持の制御指令を送出して、各エアバッグ32、33への給気を停止する一方、排気はまだ行わないようにして、各エアバッグの膨張状態をさらに所定時間保持する。この後、制御部18は、空気給排機構に対し新たな制御指令を送出し、排気状態に移行させて、所定時間にわたる排気で各エアバッグを収縮させる。以上の一連の膨縮過程を、必要に応じて複数回繰り返すようにすることもできる。
【0134】
この他、二つのエアバッグ32、33の膨張タイミングをずらす場合、例えば、第一のエアバッグ32を膨張させた後、第二のエアバッグ33を膨張させる場合には、制御部18は、空気給排機構としてのポンプ部16及び電磁弁17a、17bに対し制御指令を送出して、第一のエアバッグ32のみに対し、所定時間給気を行い、第一のエアバッグ32を膨張させて、足の足指付け根部下面とこの足指付け根部の左側面部分をそれぞれ押圧する。
【0135】
所定時間経過後、制御部18は、新たな制御指令を送出し、第一のエアバッグ32に対しては給気停止、圧力保持としてエアバッグ32による押圧状態を維持したまま、さらに、第二のエアバッグ33に対し、所定時間給気を行い、第二のエアバッグ33を膨張させて、新たに足の残りの左側面部分、足右側面部分、踵下面、及び踵後面を押圧する。
こうして二つのエアバッグ32、33を時間をずらして膨張させることで、足全体を締めるのに指側から締めていくようにするなどの変化を与えることができる。
【0136】
所定時間経過後、制御部18は、空気給排機構に対し給気停止、圧力保持の制御指令を送出して、各エアバッグ32、33への給気を停止する一方、排気はまだ行わないようにして、各エアバッグの膨張状態をさらに所定時間保持する。この後、制御部18は、空気給排機構に対し新たに制御指令を送出し、排気状態に移行させて、所定時間にわたる排気で各エアバッグを収縮させる。以上の一連の膨縮過程を、必要に応じて複数回繰り返すようにすることもできる。
【0137】
このように、本実施形態に係るマッサージ装置は、足90を取り囲む押圧部30のエアバッグ32、33が、足の足指付け根部下面とこの足指付け根部の左側面部分の各外側に位置すると共に、足の残りの左側面部分、足右側面部分、踵下面、及び踵後面の各外側に位置し、且つ、足の足指付け根部下面とこの足指付け根部の左側面部分の各外側の第一のエアバッグ32と足の残りの左側面部分、足右側面部分、踵下面、及び踵後面の各外側の第二のエアバッグ33とが給排気系統を別にされ、空気の給排で、第一のエアバッグ32と第二のエアバッグ33とが、同時、又はタイミングをずらして、それぞれ所定の強さで足各部を押圧することから、エアバッグ32で足の指側を主に締め付けるように押圧する状態と、エアバッグ33で足の他部位を主に締め付けるように押圧する状態とを適宜組み合わせて、足の指側を締め付けるように押圧するマッサージや、足全体を周囲から一様に締め付けるように押圧するマッサージ、足の指側に対する周囲からの押圧とその他の部位に対する周囲からの押圧とが、所定の時間差をおいて加わったり、押圧の強さを異ならせて加わるマッサージ等をそれぞれ実行でき、足各部を適切に押圧して所望のマッサージ効果を与えることができる。
【0138】
なお、前記実施形態に係るマッサージ装置において、足90に巻回装着される押圧部30は、足への巻回状態で重なる内面と外面の所定箇所同士を面ファスナー等の係合手段で着脱可能に係合させて、最終的に足周囲への配設状態を維持可能な筒状形態とされる構成としているが、これに限らず、
図30に示すように、押圧部30に足への仮止め用の筒状部30dを形成可能にする構成とすることもできる。
【0139】
筒状部30dは、押圧部30の一方の端部を押圧部内面側の装置本体部35近傍にあたる位置に所定の係合手段(スライドファスナーなど)で着脱可能に係合することで得られ、押圧部30を足90へ巻回状態とするのに先立って、まず筒状部30dを生じさせ、この筒状部30dに足90を挿入してから、足のサイズに合わせて押圧部30を締めて固定し、巻回状態を得ることとなる。一旦筒状部30dに足を挿入することで、押圧部30が足からずれにくく、以降の押圧部30の足への巻回作業が容易となり、使い勝手を向上させられる。
【0140】
この他、筒状部30dを形成するための係合手段の近傍に位置する押圧部の所定範囲を、伸縮性に優れた素材製とすることもでき、使用者の足のサイズが大きい場合にも筒状部が変形して対応可能となり、足への仮止めとしての機能を確実に果たせることとなる。
【0141】
また、前記第1ないし3の実施形態に係るマッサージ装置において、押圧部は、脚70や手80、足90などの、上肢又は下肢の所定範囲を取り囲むように巻回される帯状体とされ、こうした上肢又は下肢に巻回、装着されてはじめて、周方向に連続して上肢又は下肢の外周位置から容易に離脱せず、この装着状態を維持可能な筒状形態をとる構成とされているが、これに限らず、押圧部を当初から周方向に連続する筒状の形態とし、上肢又は下肢を筒内に通すようにすることでこれらへの装着を行う構成としてもかまわない。
【0142】
(本発明の第4の実施形態)
前記第1ないし第3の実施形態に係るマッサージ装置において、使用者が装置本体部の操作部への操作で、具体的なエアバッグの膨縮状態や既定のマッサージモード等を指示すると、制御部が空気給排機構としてのポンプ部及び電磁弁の作動を制御して、エアバッグの給気による膨張、排気による収縮、給気と排気の停止による圧力保持、の各状態を適宜組み合わせたエアバッグの膨縮プロセスを間隔を置かずに連続して一回又は複数回の繰り返しで実行させる構成としているが、この他、第4の実施形態として、使用者の指示操作に基づいて、作動期間としてあらかじめ設定された所定時間(例えば、5分間)は、マッサージモード等としてあらかじめ設定された、エアバッグの給気による膨張、排気による収縮、給気と排気の停止による圧力保持、の各状態を適宜組み合わせた膨縮プロセスを制御部が実行させる一方、前記所定時間が経過して作動期間が終了すると、制御部が空気給排機構を一切作動させない休止期間に移行し、この休止期間としてあらかじめ設定された所定時間(例えば、55分間)が経過すると、あらためて前記同様の作動期間に移行して制御部が膨縮プロセスを実行させ、以降、作動期間と前記同様の休止期間を交互に繰り返し、作動期間として経過した時間の合計が既定の限界時間(例えば、20分)に達したら、休止期間を挟みながらの一連の作動期間の断続的な継続を終了する(
図31参照)、制御プログラムに従って制御を行うようにする構成とすることもできる。
【0143】
この場合、実際に作動期間として前記膨縮プロセスが実行された時間は限界時間程度に収まるものの、制御プログラム全体で対象とする時間は、継続した作動期間と途中の休止期間の合計時間となり、一つの制御プログラムで所定時間間隔でのエアバッグの膨縮に基づくマッサージの実行を長時間にわたり管理でき、使用者の選択可能な一種の長時間モードを実現しつつ、長時間にわたる制御を簡略化してコストを抑えられる。
【0144】
さらに、他の制御プログラムとして、所定の起動時刻に使用者が装置を起動すると、作動期間として、制御部が前記同様あらかじめ設定された所定時間、膨縮プロセスを実行させた後、休止期間に移行し、以降は原則として作動期間と休止期間を交互に繰り返すように制御を行い、計画的に与えられる作動期間に使用者にマッサージを受けさせるようにする中、起動時刻を起点とした計算で、各作動期間が、一般的に人が他にすべきことを有してマッサージを行う余裕がない時間帯(例えば、昼食や夕食の時間や、仕事の繁忙時間帯、通勤時間帯など)と重ならないように、休止期間の長さを適宜調整し、各作動期間を使用者に適した時間帯に割り振る機能を有するようにすることもできる(
図32参照)。この場合も、作動期間として経過した時間の合計が既定の限界時間(例えば、30分)に達したら、休止期間を挟みながらの一連の作動期間の断続的な継続を終了するようにして、実際に作動期間として前記膨縮プロセスが実行された時間は限界時間程度に収められることに加え、作動期間を使用者が確実にマッサージを行える時間帯に割り当てることができ、プログラムで管理された定期的なマッサージを無理なく実行してその効果を確実なものとすることができる。
【0145】
そして、この制御プログラムの使用にあたり、使用者の運動量を把握し、使用者ごとに運動量に対応する作動期間の割り当てなど、最適な作動制御が行えるよう、携帯可能な本装置の特性を生かして、装置本体部に加速度センサ18aを配設し(
図33参照)、使用者の動きを検出可能とした上で、制御部で検出結果に基づいて使用者の運動量を求め、得られた情報をプログラムの設定に反映させるようにすることもできる。
【0146】
(本発明の第5の実施形態)
前記第1ないし第3の実施形態に係るマッサージ装置においては、マッサージ対象箇所を押す押圧手段として、空気の給排により膨縮するエアバッグを用いる構成としているが、これに限らず、他の押圧手段を用いることができ、例えば、熱を加えると変形する形状記憶合金等を用いることができる。特に、第5の実施形態として、
図34に示すように、マッサージ対象箇所を含む上肢又は下肢、例えば、脚70の所定範囲を取り囲むように巻回される帯状の押圧部40に設けられた形状記憶合金41が、通常の温度では巻回する上肢又は下肢の表面部分に沿わない形状とされ、巻回状態では押圧部40による締め付けで弾性変形し、その反力で上肢又は下肢を締めるようにされる一方、熱を加えると変形して上肢又は下肢の表面部分に沿う形状となり、通常の温度の場合のような反力が消失して、上肢又は下肢を締めない状態となるものであるようにすれば、押圧手段として上肢又は下肢を締めて押圧する際に、加熱する必要がなく、上肢又は下肢を締めて押圧する時間を長く設定する場合に、これに合わせて形状記憶合金の加熱期間を長くするようなことは必要なくなり、加熱に要するエネルギーを削減できる。
【0147】
この場合、形状記憶合金41を通電加熱等により加熱可能とすると共に、形状記憶合金41を保温状態として熱が外部に逃げにくい構造とすれば、形状記憶合金41を加熱して上肢又は下肢を締めない状態に移行させた後、加熱を停止してから放熱により形状記憶合金41が常温に戻り、上肢又は下肢を押圧する状態となるまでの時間をさらに長くすることができる。
【0148】
このため、マッサージ装置の押圧手段として、前記形状記憶合金41を用いるようにすると、形状記憶合金41の加熱停止で得られる所定の押圧状態を所定時間継続した後、制御部の制御で形状記憶合金41が押圧を行わないように形状記憶合金41を短時間加熱し、加熱停止後の保温された形状記憶合金41が自然放熱で上肢又は下肢を押圧する状態となるまでの時間は十分長いことから、この押圧状態となるまでの時間を、加熱のための機構をほぼ作動させない休止期間とすることができ、前記押圧状態が加熱等の制御を行わないことで無理なく長い時間継続させられることと合わせて、休止期間を挟んで長めの押圧を繰り返し実行して長時間に及ぶマッサージのモード(一種の長時間モード)を、投入するエネルギーを抑えつつ実現できることとなる(
図35参照)。