特許第6411577号(P6411577)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6411577キャビティが分離可能なモジュール化ハイブリッドマイクロ波加熱システム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6411577
(24)【登録日】2018年10月5日
(45)【発行日】2018年10月24日
(54)【発明の名称】キャビティが分離可能なモジュール化ハイブリッドマイクロ波加熱システム
(51)【国際特許分類】
   H05B 6/64 20060101AFI20181015BHJP
   A47J 27/14 20060101ALI20181015BHJP
【FI】
   H05B6/64 D
   A47J27/14 H
【請求項の数】5
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2017-87844(P2017-87844)
(22)【出願日】2017年4月27日
【審査請求日】2017年4月27日
(73)【特許権者】
【識別番号】517149678
【氏名又は名称】合默麟機械股▲ふん▼有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】110002262
【氏名又は名称】TRY国際特許業務法人
(74)【代理人】
【識別番号】100130111
【弁理士】
【氏名又は名称】新保 斉
(72)【発明者】
【氏名】張 鴻義
(72)【発明者】
【氏名】秦 光澤
(72)【発明者】
【氏名】游 雅純
(72)【発明者】
【氏名】謝 榮貴
(72)【発明者】
【氏名】林 建鴻
【審査官】 根本 徳子
(56)【参考文献】
【文献】 特開2001−135474(JP,A)
【文献】 特表2000−503452(JP,A)
【文献】 特表2013−525745(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05B 6/02−6/80
A47J 27/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
被加熱物に対して加熱加工を行うために用いるキャビティが分離可能なモジュール化複合マイクロ波加熱システムであって、伝導加熱ユニットと、マイクロ波加熱ユニットと、密封容器と、伝導セミキャビティと、マイクロ波セミキャビティと、自転回転盤とを含み、
前記伝導加熱ユニットが接触熱源を提供し、
前記マイクロ波加熱ユニットがマイクロ波を提供し、
前記密封容器に前記被加熱物が充填され、
前記伝導セミキャビティが、伝導セミキャビティ内壁を備えた伝導セミキャビティ本体と、前記伝導セミキャビティ内壁で構成された収容空間と、マイクロ波を透過可能な材質で成り、かつ前記収容空間を被覆する伝導セミキャビティ上蓋を含み、前記収容空間に前記密封容器が収容され、かつ前記伝導セミキャビティ内壁、前記伝導セミキャビティ上蓋が前記密封容器に緊密に当接され、前記伝導セミキャビティ本体の前記伝導セミキャビティ上蓋から遠い一面が前記接触熱源に接触され、
前記マイクロ波セミキャビティが、導波管と、マイクロ波セミキャビティスリーブと、マイクロ波セミキャビティ本体を含み、前記マイクロ波セミキャビティが前記伝導セミキャビティと上下に緊密に閉じ合わされてマイクロ波共振キャビティを形成し、前記マイクロ波加熱ユニットが発生するマイクロ波が前記導波管を介して前記マイクロ波共振キャビティ内に導入され、前記マイクロ波を前記被加熱物に作用させ
前記自転回転盤は、前記マイクロ波共振キャビティを積載して回動する、ことを特徴とする、キャビティが分離可能なモジュール化ハイブリッドマイクロ波加熱システム。
【請求項2】
前記伝導セミキャビティ本体が強磁性金属材質で構成されることを特徴とする、請求項1に記載のキャビティが分離可能なモジュール化ハイブリッドマイクロ波加熱システム。
【請求項3】
前記伝導加熱ユニットが、電磁誘導、ガス加熱、電熱モジュールのいずれかから選択されることを特徴とする、請求項1に記載のキャビティが分離可能なモジュール化ハイブリッドマイクロ波加熱システム。
【請求項4】
さらに自転モーターを含み、前記自転回転盤が外環歯車を備え、前記自転モーターが歯車を介して前記外環歯車に噛合されることを特徴とする、請求項に記載のキャビティが分離可能なモジュール化ハイブリッドマイクロ波加熱システム。
【請求項5】
前記伝導加熱ユニットの加熱工率が、伝導加熱工率コントローラにより調整され、前記マイクロ波加熱ユニット、前記マイクロ波セミキャビティ、前記伝導加熱ユニット、前記伝導加熱工率コントローラ、前記自転回転盤、前記自転モーターが共同で1セットの複合加熱モジュールとして組み立てられ、前記複合加熱モジュールと前記伝導セミキャビティが複数あり、前記複数の複合加熱モジュールが旋回装置上に環状に配列して設置され、前記複数の伝導セミキャビティが順に前記複数の複合加熱モジュール上に出入されることを特徴とする、請求項に記載のキャビティが分離可能なモジュール化ハイブリッドマイクロ波加熱システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は被加熱物の加工に関し、特に、キャビティが分離可能なモジュール化ハイブリッドマイクロ波加熱システムに関する。
【背景技術】
【0002】
加熱は基本的な食品と工業の加工手段であり、その原理に基づき接触加熱(火加熱、電熱管加熱、セラミック加熱)、マイクロ波加熱、(電磁)誘導加熱等がある。接触加熱は従来の加熱方式であり、被加熱物の温度が外部から上昇を開始し、徐々に内部まで伝導され、必要な加熱時間が比較的長い。マイクロ波は電磁波の一種であり、特定周波数のマイクロ波が被加熱物の分子(例えば水)に共振を発生させ、その内部から迅速に加熱を開始するが、マイクロ波が被加熱物に作用するときの強度分布が異なるマイクロ波生成器、共振キャビティ及び被加熱物等の要因の相互作用により変化が発生し、局部的位置の加熱が不均等になる現象が生じやすい。
【0003】
マイクロ波の加熱均一度を高めるため、かつ連続生産または殺菌の用途のために、多くの特許が熱流体(熱水、熱風)を補助加熱媒体として使用しており(US7119313B2、4962298)、被加熱物を事前に密封容器内に装填し、密封容器を高圧流体が充填されたマイクロ波キャビティ内に入れると、密封容器内の被加熱物がマイクロ波および包み込んでいる流体と一緒に加熱され、密封容器内の被加熱物の温度が上昇したとき、内部の蒸気と体積が膨張して生じる外側への拡張圧力により、密封容器に破損を生じる可能性があるため、マイクロ波キャビティ内を加圧してキャビティ内の圧力と密封容器の拡張圧力を相殺する必要があるが、加熱初期の密封容器内は膨張圧力がないため、キャビティ圧力が過大になるとまだ加熱されていない密封容器がつぶれてしまうが、キャビティ圧力が小さすぎても密封容器の加熱後の拡張圧力に抵抗するには不十分となり、密封容器に漏洩が発生してしまう。このことから分かるように、このようなシステムの操作温度と圧力は相互に影響し合い、加熱プロセスの設計に顕著な制限を形成しており、同時にこのようなシステムは大型のマイクロ波共振キャビティが必要で、このキャビティは流体の高圧に耐えられなければならず、密封容器がキャビティを出入りするとき、適切な加減圧手順が必要となり、隨意にキャビティから出して温度測定やモニタリングを行うことができず、また加熱時は被加熱物が高圧熱水または熱蒸気中に置かれ、マイクロ波電磁?に暴露されるため、やはり一般の従来の計器と方法で被加熱物の温度と品質の変化を容易に測定することができない。このためプロセスの調整が困難で、柔軟性に欠けるだけでなく、このようなシステムは運用時の熱水と熱蒸気が廃熱汚染と工率の損失を引き起こしやすい。
【0004】
接触加熱の作用条件は熱エネルギーが被加熱物に伝導されるように被加熱物が熱源に接していなければならず、マイクロ波加熱は被加熱物を入れる適切な共振キャビティを用意し、マイクロ波がこのキャビティ内で被加熱物に対して加熱作用を生じることができるようにする必要がある。多くの特許がすでに以上の2つの加熱方式を複合的に使用しているが(US4900884、US6864468B2、US5548101、US5177333)、そのキャビティはいずれも固定構造であり、その接触加熱方式は単に常圧で被加熱板または被加熱皿内に置かれているだけであり、被加熱物を熱源にしっかり接触させるための特別な手段は講じられていない。
【0005】
マイクロ波の連続加熱機構における応用はすでに多くの公開技術(US2009/0230124A1、US2012/0103976A1)があり、その機構はマイクロ波を複数の加熱空間内に導入し、被加熱物を連続して加熱機構に出入させることができるが、キャビティ自体は固定されており、被加熱物は事前に密封されておらず、また伝導加熱の実施も考慮されていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】米国特許第7119313B2号明細書
【特許文献2】米国特許第4962298号明細書
【特許文献3】米国特許第4900884号明細書
【特許文献4】米国特許第6864468B2号明細書
【特許文献5】米国特許第5548101号明細書
【特許文献6】米国特許第5177333号明細書
【特許文献7】米国特許第2009/0230124A1号明細書
【特許文献8】米国特許第2012/0103976A1号明細書
【0007】
以上の説明を総合すると分かるように、現有のマイクロ波加熱システムには次の技術的特徴がある。一、固定構造の共振キャビティは、モジュール化して増減することはできない。二、補助加熱媒体を使用しないと、密封容器が伝導熱源にしっかり接触されず、熱伝導効率が低下する。三、補助加熱媒体を使用するとき加圧キャビティを使用する必要があり、キャビティ圧力、加熱温度、密封容器耐圧程度が相互に影響し合い、加工条件が制限される。四、システムの設計がマイクロ波環境中で被加熱物の温度変化を測定しにくくなっており、これに基づいて被加熱物の加熱過程における温度と時間の変化関係を調整することができず、このため食品の調理や殺菌など多くの特定の加熱プロセスの要件を満たすことができない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の主な目的は、システムを常圧で操作し、別途蒸気または水等で構成された高圧キャビティを必要とせず、同時にキャビティがモジュール化されており、上下に分離できる設計となっているため、加熱、保温、冷却等の工率の大きさと時間の長さを柔軟に調整できるとともに、即時に被加熱物の品質を測定し、各種加熱プロセスのニーズを満たすことができる、キャビティが分離可能なモジュール化ハイブリッドマイクロ波加熱システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、マイクロ波セミキャビティと、伝導セミキャビティと、伝導加熱ユニットと、マイクロ波加熱ユニットと、密封容器を含み、そのうち、前記伝導加熱ユニットが接触熱源を提供し、前記マイクロ波加熱ユニットがマイクロ波を提供し、前記密封容器に被加熱物が装填され、前記マイクロ波セミキャビティと前記伝導セミキャビティが上下に組み立てられて密閉されたマイクロ波共振キャビティを形成し、加工したい前記被加熱物が前記密封容器内に密封された後、さらに前記マイクロ波共振キャビティに入れられ、前記マイクロ波セミキャビティがマイクロ波導入装置(例えば導波管等)を備え、前記マイクロ波加熱ユニットが発生したマイクロ波を前記マイクロ波共振キャビティ内に導入し、マイクロ波に前記密封容器内の被加熱物を加熱させることができ、前記伝導セミキャビティがマイクロ波を透過させることができる伝導セミキャビティ上蓋を備え、前記密封容器を前記伝導セミキャビティ内に緊密に当接させて、前記密封容器をその内壁に緊密に貼付させるために用いられ、前記伝導セミキャビティが熱伝導性に優れた材質で成り、前記伝導加熱ユニットによる加熱を受けて、熱エネルギーが伝導方式で前記密封容器内の被加熱物を加熱し、被加熱物が加熱により発生した熱蒸気または体積膨張により前記密封容器に外側への拡張圧力を形成させ、前記伝導セミキャビティ上蓋と前記伝導セミキャビティが充分な機械強度を備え、前記密封容器の構造変形に抵抗し、漏洩を回避することができる。
【発明の効果】
【0010】
本発明のシステムは、マイクロ波と従来の加熱方式を別々に、または同時に使用して被加熱物を加熱することができ、マイクロ波の加熱で前記密封容器内の被加熱物の温度を迅速に上昇させ、かつ体積の膨張を生じさせて前記伝導セミキャビティに緊密に貼付させることができるため、伝導加熱効率を大幅に高め、前記伝導加熱ユニットにより被加熱物を効果的に加熱することができ、前記密封容器の外側への拡張圧力に抵抗する手段が従来の高圧水または水蒸気等と異なるため、常圧の設計が可能であり、かつこの圧力抵抗設計で前記密封容器が未加熱で膨張していないときはそれに対して圧力が加えられないため、未加熱の前記密封容器に変形が生じることがなく、かつ圧力抵抗強度が機械構造に由来するため、圧力抵抗強度を高めることができ、このため加熱温度を大幅に高め、殺菌やその他加熱プロセスのニーズを満たすことができる。
【0011】
プロセス中前記伝導セミキャビティと前記マイクロ波セミキャビティを結合したときマイクロ波加熱共振キャビティが形成され、分離したとき前記伝導セミキャビティが前記密封容器とともにマイクロ波環境を離れるため、一般的な設備で前記密封容器内の被加熱物の温度や色等の品質を測定でき、動態的に加熱プロセスをモニタリング、記録、調整することができる。前記伝導セミキャビティと前記マイクロ波セミキャビティが分離可能なモジュール化設計となっているため、後続の保温、冷却等のプロセスを柔軟に手配し、加工ニーズを満たすことができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明のキャビティ構造の分解図である。
図2】本発明のシステムの立体分解図である。
図3】本発明のシステムの組み立て後立体外観図である。
図4】本発明の連続循環加熱を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明の詳細説明と技術内容について、以下で説明する。
【0014】
図1図2図3に示すように、本発明の実施例1において、キャビティが分離可能なモジュール化ハイブリッドマイクロ波加熱システムは、被加熱物(図示しない)に対して加熱加工を行うために用いられ、システムが、マイクロ波セミキャビティ30、伝導セミキャビティ40、伝導加熱ユニット20、マイクロ波加熱ユニット70、密封容器10を含み、そのうち、前記密封容器10に前記被加熱物が装填され、前記伝導加熱ユニット20は電磁加熱、ガス加熱、赤外線ランプ、電熱線等のいずれかから選択することができ、前記伝導セミキャビティ40を加熱できればよい。好ましくは電磁誘導加熱で、高周波電磁波により前記伝導セミキャビティ40の伝導セミキャビティ本体41を誘導加熱することができ、前記伝導加熱ユニット20の加熱工率は伝導加熱工率コントローラ80により調整することができる。
【0015】
前記伝導セミキャビティ40は伝導セミキャビティ本体41と、伝導セミキャビティ上蓋42を含み、そのうち、前記伝導セミキャビティ本体41が伝導セミキャビティ内壁411と、前記伝導セミキャビティ内壁411で構成される収容空間412と、伝導セミキャビティ外壁413を備え、前記伝導セミキャビティ上蓋42がマイクロ波を透過させることができる材質で成り、前記伝導セミキャビティ上蓋42と前記伝導セミキャビティ本体41が可動的なロック構造を備え、前記伝導セミキャビティ上蓋42を前記伝導セミキャビティ本体41上で繰り返しロックおよび開放させることができる。
【0016】
前記密封容器10は前記収容空間412に配置され、前記伝導セミキャビティ上蓋42が前記密封容器10に緊密に当接され、被加熱物が加熱によって体積の膨張または蒸気を発生すると、前記密封容器10の体積もそれに伴って膨張し、前記伝導セミキャビティ内壁411に緊密に貼付される。前記密封容器10の体積膨張圧力は前記伝導セミキャビティ上蓋42と前記伝導セミキャビティ本体41の機械強度により押さえられ、破損や漏洩を生じる恐れがないため、大幅に加熱温度を高めることができる。
【0017】
前記伝導セミキャビティ本体41の材質は金属が好ましく、その材質はマイクロ波(例えば2.45GHz、915MHz等のマイクロ波)を透過させることができず、かつ良好な強磁性金属材質で構成され、高周波電磁波に対して渦電流を発生し、誘導加熱することができる(例えば10KHz〜200KHz)。前記伝導セミキャビティ40は前記伝導加熱ユニット20上に配置され、従来の熱源を受け取って前記伝導セミキャビティ本体41を加熱する。
【0018】
前記マイクロ波セミキャビティ30は、導波管31とマイクロ波セミキャビティスリーブ32、マイクロ波セミキャビティ本体33を含み、前記マイクロ波セミキャビティスリーブ32が前記伝導セミキャビティ外壁413に被着され、その組み立て後の構造の外観は図3に示すとおりである。このとき、前記マイクロ波セミキャビティ本体33内部と前記収容空間412が完全なマイクロ波共振キャビティを形成し、前記マイクロ波共振キャビティ内に被加熱物を入れた前記密封容器10と前記伝導セミキャビティ上蓋42が収容され、前記伝導セミキャビティ上蓋42と前記密封容器10がいずれもマイクロ波を透過可能な材質で成るため、前記マイクロ波共振キャビティ内で実際にマイクロ波を受け取り、加熱されるのは前記密封容器10内に入れられた被加熱物のみである。またマイクロ波の外部への漏洩を防ぐために、前記マイクロ波セミキャビティスリーブ32と前記伝導セミキャビティ外壁413を相互に連結するインターフェイスに絶縁金属リングまたはマイクロ波減衰構造等の従来のマイクロ波漏洩防止装置または構造を設置することができる。
【0019】
前記マイクロ波加熱ユニット70はマイクロ波発生装置であり、マイクロ波熱源を提供し、かつ前記導波管31を介してマイクロ波を前記マイクロ波共振キャビティ内へ導入する。前記マイクロ波加熱ユニット70はマイクロ波強度調整機能を備え、動態的にマイクロ波加熱工率の時間と大きさを調整することができる。
【0020】
かつ加熱加工の均一度を高めるために、本発明はさらに前記伝導セミキャビティ40を積載して回動する自転回転盤50と、自転モーター51を含んでもよく、前記自転回転盤50は外環歯車501を備え、前記自転モーター51は歯車52を前記外環歯車501に噛合することで前記自転回転盤50を回動させ、前記伝導セミキャビティ40を自転させることができる。これにより、前記被加熱物を装填した前記密封容器10を自転させ、従来のマイクロ波の加熱が不均一になる問題を改善することができる。
【0021】
本発明のシステムの実際の実施例を図4に示す。そのうち、前記マイクロ波加熱ユニット70、前記マイクロ波セミキャビティ30、前記伝導加熱ユニット20、前記伝導加熱工率コントローラ80、前記自転回転盤50、前記自転モーター51が共同で1セットの複合加熱モジュール60として組み立てられる。本実施例は複数の前記複合加熱モジュール60が旋回装置61上に環状に配列して設置される。前記旋回装置61は回転盤または円形に配置されたコンベアベルトとすることができ、被加熱物を前記密封容器10に装填した後、前記密封容器10が前記伝導セミキャビティ40内に入れられ、ロックされる。前記密封容器10が入れられた前記伝導セミキャビティ40は、一側から順に対応する前記複合加熱モジュール60に入れられ、かつ前記マイクロ波セミキャビティ30と上下に結合されて前記マイクロ波共振キャビティが形成される。前記複合加熱モジュール60が前方へ回動される過程において、前記マイクロ波加熱ユニット70及び前記伝導加熱工率コントローラ80の出力工率を適宜調整し、被加熱物に対して加熱を行う。加熱プロセスの完了後、前記伝導セミキャビティ40が他方の一側から順に前記複合加熱モジュール60内より取り出され、取り出された後の前記伝導セミキャビティ40はすでにマイクロ波環境にないため、測定システムがマイクロ波の干渉または影響を受けることなく、被加熱物に対して必要な品質(例えば温度、色等)の測定を簡単に行うことができる。このほか、前記密封容器10前記伝導セミキャビティ40は必要に応じて再加熱、保温または冷却等のプロセスを実施でき、被加熱物の違いやプロセスの必要性に応じて生産ラインを柔軟に調整し、例えば食品の調理や殺菌等、産業の加工ニーズを満たすことができる。
【0022】
上述のように、従来の技術と比較して、本発明には次のような利点がある。
【0023】
1.より高い加熱温度:密封容器が機械強度で伝導セミキャビティ内に押さえられるため、より高い膨張圧力に抵抗することができ、被加熱物をより高い温度まで加熱することができる。
2.高効率の伝導加熱:従来技術は高圧熱水または熱蒸気等の流体を補助熱源として使用しないと、伝導加熱効率が優れないが、本発明は加熱の初期段階からマイクロ波で密封容器内の被加熱物に直接作用し、密封容器の体積が膨張して伝導セミキャビティ内壁に緊密に貼付されると、伝導加熱ユニットの伝導セミキャビティ本体に作用する熱工率をより高い効率で被加熱物に伝導させることができる。
3.常圧キャビティの構築と操作コストが低い:従来の熱水または熱蒸気補助加熱媒体を用いる高圧キャビティの設計と異なり、本発明はより高い加熱温度で操作できる一方で常圧キャビティを使用すればよく、廃熱損失等の問題もないため、システムの構築と操作コストを大幅に抑えることができる。
4.モジュール化キャビティ設計で生産ラインを柔軟に形成できる:従来の固定されたキャビティマイクロ波加熱システムは、生産ラインのキャパシティを変えるためには往々にしてキャビティ体積を変動する必要があり、その際マイクロ波共振分布とパラメータをすべて設計しなおさなければならないが、本発明の複合加熱モジュールはモジュール化設計であるため、各モジュールがすべて独立したキャビティで、相互に影響しないため、その数量を生産ラインに基づいて適宜増減でき、システムのマイクロ波キャビティ設計に影響しない。
5.連続式生産に適しており、バッチ作業の必要がない:本発明の回転盤式生産ラインの設計は、密封容器を装填した伝導セミキャビティを連続出入させ、連続生産の目的を達することができ、バッチごとにキャビティを出入させる必要がない。
6.プロセス中で被加熱物をマイクロ波環境から離脱させて品質測定を行うことができる:大部分の電子計測機器と部件はマイクロ波干渉で焼きついたり動作できなくなったりするため、マイクロ波キャビティ内で一般の計器を用いて被加熱物の品質測定を行うことが困難であるが、本システムは密封容器を装填した伝導セミキャビティを容易に、かつ繰り返し複合加熱モジュールに出入させることができるため、加熱プロセスを複数のセクションに分けることができ、各セクション間では密封容器を装填した伝導セミキャビティがマイクロ波キャビティをすでに離脱しているため、一般的な計器と部材で被加熱物の品質特性を測定することができ、かつそれに基づいて後続セクションの加熱工率等を調整し、被加熱物の最終的な加工品質を確約することができる。
7.マイクロ波加熱と伝導加熱のハイブリッド加熱プロセスを柔軟に組み合わせることができる:従来のマイクロ波加熱方法は冷点と熱点の温度差を生じやすく、従来の伝導加熱は冷点と熱点の温度の問題はないが、加熱効率が悪く、加熱時間が長い。本発明は被加熱物の特性に応じてマイクロ波加熱と伝導加熱の使用時間を適宜調整できる。
8.キャビティは自転機能を備え、温度の均一性を高めることができる:本発明は自転回転盤等の機構を装備しており、被加熱物がマイクロ波キャビティ内で自転してマイクロ波加熱が円周方向において生じる温度差を低減することができる。
【符号の説明】
【0024】
10 密封容器
20 伝導加熱ユニット
30 マイクロ波セミキャビティ
31 導波管
32 マイクロ波セミキャビティスリーブ
33 マイクロ波セミキャビティ本体
40 伝導セミキャビティ
41 伝導セミキャビティ本体
411 伝導セミキャビティ内壁
412 収容空間
413 伝導セミキャビティ外壁
42 伝導セミキャビティ上蓋
50 自転回転盤
501 外環歯車
51 自転モーター
52 歯車
60 複合加熱モジュール
61 旋回装置
70 マイクロ波加熱ユニット
80 伝導加熱工率コントローラ
【要約】      (修正有)
【課題】生産ラインのモジュール数量を柔軟に増減できるモジュール化ハイブリッドマイクロ波加熱システムの提供。
【解決手段】上下2部分に分離でき被加熱物を内部に収容するマイクロ波共振キャビティを備え、上半部のマイクロ波セミキャビティ30がマイクロ波導入装置を備え、マイクロ波をキャビティ内に導入し、下半部が伝導セミキャビティ40であり、従来の熱源加熱による熱を受け取ることができ、上下を結合したときマイクロ波共振キャビティが構成され、被加熱物が密封容器に装填された後マイクロ波共振キャビティ内に配置され、マイクロ波が被加熱物に対して加熱を行い、密封容器が被加熱物の加熱による膨張の拡張圧力に抵抗することができるマイクロ波共振キャビティが独立したモジュール化構造とした。
【選択図】図2
図1
図2
図3
図4