特許第6411669号(P6411669)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6411669携帯端末、消費電力制御プログラム、及び消費電力制御方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6411669
(24)【登録日】2018年10月5日
(45)【発行日】2018年10月24日
(54)【発明の名称】携帯端末、消費電力制御プログラム、及び消費電力制御方法
(51)【国際特許分類】
   H04M 1/73 20060101AFI20181015BHJP
   H04M 1/00 20060101ALI20181015BHJP
【FI】
   H04M1/73
   H04M1/00 R
【請求項の数】10
【全頁数】24
(21)【出願番号】特願2017-545430(P2017-545430)
(86)(22)【出願日】2016年9月12日
(86)【国際出願番号】JP2016076817
(87)【国際公開番号】WO2018047346
(87)【国際公開日】20180315
【審査請求日】2017年8月25日
(73)【特許権者】
【識別番号】399037405
【氏名又は名称】楽天株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000958
【氏名又は名称】特許業務法人 インテクト国際特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100120189
【弁理士】
【氏名又は名称】奥 和幸
(72)【発明者】
【氏名】友田 和宏
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 恒二
【審査官】 吉村 伊佐雄
(56)【参考文献】
【文献】 特開2005−292873(JP,A)
【文献】 特開2012−105237(JP,A)
【文献】 特開2006−332807(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F19/00
G06F1/26−1/32
19/00
G06Q10/00−10/10
30/00−30/08
50/00−50/20
50/26−99/00
H04B7/24−7/26
H04M1/00
1/24−1/82
99/00
H04W4/00−99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
バッテリーを備える携帯端末であって、
前記携帯端末の特定機能の実行予定となる地点を含む範囲における、人に関係する混雑状況を示す混雑度を取得する混雑度取得手段と、
前記混雑状況が示す混雑度に基づいて、前記携帯端末が前記地点に到着する前に前記バッテリーの消費電力を抑制するための抑制処理を行う抑制処理手段と、
を備えることを特徴とする携帯端末。
【請求項2】
前記携帯端末の現在位置を示す位置情報を取得する位置情報取得手段を更に備え、
前記抑制処理手段は、前記位置情報が示す現在位置が前記地点から所定距離内にある場合に限り、前記抑制処理を行うことを特徴とする請求項1に記載の携帯端末。
【請求項3】
前記携帯端末が前記地点から伸びる行列の最後尾に到着したか否かを判定する判定手段を更に備え、
前記抑制処理手段は、前記判定手段により前記携帯端末が前記地点から伸びる行列の最後尾に到着したと判定された場合に限り、前記抑制処理を行うことを特徴とする請求項1に記載の携帯端末。
【請求項4】
前記抑制処理手段は、前記抑制処理において、前記携帯端末の特定機能以外の複数の機能のうち、前記混雑状況が示す混雑度に応じた何れかの前記機能を制限することを特徴とする請求項1乃至3の何れか一項に記載の携帯端末。
【請求項5】
前記抑制処理手段は、前記消費電力の抑制が継続しているときに、前記携帯端末が前記地点の近傍範囲として設定された範囲内に入った場合に前記消費電力の抑制を解除することを特徴とする請求項1乃至4の何れか一項に記載の携帯端末。
【請求項6】
前記抑制処理手段は、前記混雑状況が示す混雑度に応じて異なるタイミングで前記抑制処理を実行することを特徴とする請求項1乃至5の何れか一項に記載の携帯端末。
【請求項7】
前記抑制処理手段は、前記混雑状況が示す混雑度が閾値以上である場合に、前記抑制処理を行うことを特徴とする請求項1乃至6の何れか一項に記載の携帯端末。
【請求項8】
前記携帯端末の機能の利用履歴を取得する利用履歴取得手段と、
前記利用履歴に基づいて、前記地点での前記特定機能の実行予定時刻を含む時間帯における前記バッテリーの残電力量を予測する予測手段と、
前記予測手段により予測された残電力量が小さいほど、前記閾値を小さく設定する設定手段と、
を備えることを特徴とする請求項7に記載の携帯端末。
【請求項9】
バッテリーを備える携帯端末に含まれるコンピュータを、
前記携帯端末の特定機能の実行予定となる地点を含む範囲における、人に関係する混雑状況を示す混雑度を取得する混雑度取得手段と、
前記混雑状況が示す混雑度に基づいて、前記携帯端末が前記地点に到着する前に前記バッテリーの消費電力を抑制するための抑制処理を行う抑制処理手段として機能させることを特徴とする消費電力制御プログラム。
【請求項10】
バッテリーを備える携帯端末により実行される消費電力制御方法であって、
前記携帯端末の特定機能の実行予定となる地点を含む範囲における、人に関係する混雑状況を示す混雑度を取得する混雑度取得ステップと、
前記混雑状況が示す混雑度に基づいて、前記携帯端末が前記地点に到着する前に前記バッテリーの消費電力を抑制するための抑制処理を行う抑制処理ステップと、
を含むことを特徴とする消費電力制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、バッテリーを備える携帯端末の省電力化の技術分野に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、携帯端末の消費電力を抑制する技術が知られている。例えば、特許文献1には、携帯端末の特定機能の消費電力を推測し、当該携帯端末の残電力量が、当該消費電力で特定機能を特定時間実行させるために必要な消費電力量以下になった際に、当該特定機能の利用可能時間を表示したり、当該携帯端末を省電力モードに切替える技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−32239号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、携帯端末の特定機能が利用される地点の周辺範囲における人の混雑状況によっては、省電力モードで電力を確保したとしても、上記地点において特定機能を利用しようとした時に電力不足で利用できなくなるという問題がある。例えば特許文献1に開示されるように省電力モードに切り替えて電力を確保するようにしても、上記地点の周辺範囲における人が混雑していれば(例えば、人の待ち行列が長い等)、当該地点で特定機能を利用する時に電力不足で利用できなくなる可能性がある。一方、上記地点の周辺範囲における人が混雑していなければ、特に、省電力モードに切り替えなくても、当該地点で特定機能を利用する時に電力不足にならない可能性もある。
【0005】
そこで、本発明は、上記点等に鑑みてなされたものであり、携帯端末の特定機能が利用される地点を含む範囲の混雑状況に応じて、バッテリーの消費電力を柔軟に抑制することが可能な携帯端末、消費電力制御プログラム、及び消費電力制御方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、請求項1に記載の発明は、バッテリーを備える携帯端末であって、前記携帯端末の特定機能の実行予定となる地点を含む範囲における、人に関係する混雑状況を示す混雑度を取得する混雑度取得手段と、前記混雑状況が示す混雑度に基づいて、前記携帯端末が前記地点に到着する前に前記バッテリーの消費電力を抑制するための抑制処理を行う抑制処理手段と、を備えることを特徴とする。
【0007】
この発明によれば、携帯端末の特定機能が利用される地点を含む範囲の混雑状況に応じて、バッテリーの消費電力を柔軟に抑制することができる。
【0008】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の携帯端末において、前記携帯端末の現在位置を示す位置情報を取得する位置情報取得手段を更に備え、前記抑制処理手段は、前記位置情報が示す現在位置が前記地点から所定距離内にある場合に限り、前記抑制処理を行うことを特徴とする。
【0009】
この発明によれば、携帯端末の利便性が低下することを極力回避しつつ、上記混雑状況に応じて携帯端末の特定機能を利用するための電力を確保することができる。
【0010】
請求項3に記載の発明は、請求項1に記載の携帯端末において、前記携帯端末が前記地点から伸びる行列の最後尾に到着したか否かを判定する判定手段を更に備え、前記抑制処理手段は、前記判定手段により前記携帯端末が前記地点から伸びる行列の最後尾に到着したと判定された場合に限り、前記抑制処理を行うことを特徴とする。
【0011】
この発明によれば、携帯端末の利便性が低下することを極力回避しつつ、上記混雑状況に応じて携帯端末の特定機能を利用するための電力を確保することができる。
【0012】
請求項4に記載の発明は、請求項1乃至3の何れか一項に記載の携帯端末において、前記抑制処理手段は、前記抑制処理において、前記携帯端末の特定機能以外の複数の機能のうち、前記混雑状況が示す混雑度に応じた何れかの前記機能を制限することを特徴とする。
【0013】
この発明によれば、携帯端末の複数の機能のうち上記混雑状況が示す混雑度に応じた機能を制限することで、バッテリーの消費電力を、より効率良く抑制することができる。
【0014】
請求項5に記載の発明は、請求項1乃至4の何れか一項に記載の携帯端末において、前記抑制処理手段は、前記消費電力の抑制が継続しているときに、前記携帯端末が前記地点の近傍範囲として設定された範囲内に入った場合に前記消費電力の抑制を解除することを特徴とする。
【0015】
この発明によれば、携帯端末が上記特定機能が利用される地点の近傍に至ったときに、ユーザに対して解除操作負担を課することなく、当該特定機能の実行に備えてバッテリーの消費電力の抑制が自動的に解除することができる。
【0016】
請求項6に記載の発明は、請求項1乃至5の何れか一項に記載の携帯端末において、前記抑制処理手段は、前記混雑状況が示す混雑度に応じて異なるタイミングで前記抑制処理を実行することを特徴とする。
【0017】
この発明によれば、携帯端末の利便性が低下することを極力回避しつつ、上記混雑状況に応じて携帯端末の特定機能を利用するための電力を確保することができる。
【0018】
請求項7に記載の発明は、請求項1乃至6の何れか一項に記載の携帯端末において、前記抑制処理手段は、前記混雑状況が示す混雑度が閾値以上である場合に、前記抑制処理を行うことを特徴とする。
【0019】
この発明によれば、上記混雑状況が示す混雑度が閾値以上と大きい場合に限り、上記抑制処理を実行させることができる。
【0020】
請求項8に記載の発明は、請求項7に記載の携帯端末において、前記携帯端末の機能の利用履歴を取得する利用履歴取得手段と、前記利用履歴に基づいて、前記地点での前記特定機能の実行予定時刻を含む時間帯における前記バッテリーの残電力量を予測する予測手段と、前記予測手段により予測された残電力量が小さいほど、前記閾値を小さく設定する設定手段と、を備えることを特徴とする。
【0021】
この発明によれば、携帯端末の機能の利用履歴に基づいて予測された残電力量が小さいほど、上記混雑状況に応じた上記抑制処理の実行頻度を高めることができる。
【0022】
請求項9に記載の発明は、バッテリーを備える携帯端末に含まれるコンピュータを、前記携帯端末の特定機能の実行予定となる地点を含む範囲における、人に関係する混雑状況を示す混雑度を取得する混雑度取得手段と、前記混雑状況が示す混雑度に基づいて、前記携帯端末が前記地点に到着する前に前記バッテリーの消費電力を抑制するための抑制処理を行う抑制処理手段として機能させることを特徴とする。
【0023】
請求項10に記載の発明は、バッテリーを備える携帯端末により実行される消費電力制御方法であって、前記携帯端末の特定機能の実行予定となる地点を含む範囲における、人に関係する混雑状況を示す混雑度を取得する混雑度取得ステップと、前記混雑状況が示す混雑度に基づいて、前記携帯端末が前記地点に到着する前に前記バッテリーの消費電力を抑制するための抑制処理を行う抑制処理ステップと、を含むことを特徴とする。
【発明の効果】
【0024】
本発明によれば、携帯端末の特定機能が利用される地点を含む範囲の混雑状況に応じて、柔軟に電力を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1】(A)は、携帯端末1の概要構成例を示す図であり、(B)は、制御部19の機能ブロック例を示す図である。
図2】(A)は、制限対象機能の対応付けテーブルの一例を示す図であり、(B),(C)は、実行タイミングの対応付けテーブルの一例を示す図である。
図3】実施例1において携帯端末1の制御部19により実行される消費電力制御処理の一例を示すフローチャートである。
図4】(A),(B)は、図3に示すステップS3における抑制処理の詳細を示すフローチャートである。
図5】(A),(B)は、図3に示すステップS3における抑制処理の詳細を示すフローチャートである。
図6】(A),(B)は、携帯端末1と特定機能の実行予定地点との位置関係を示す概念図である。
図7】実施例2において携帯端末1の制御部19により実行される消費電力制御処理の一例を示すフローチャートである。
図8】(A)は、携帯端末1の現在位置が特定機能の実行予定地点から所定距離内にない場合を示す概念図であり、(B)は、携帯端末1の現在位置が特定機能の実行予定地点から所定距離内にある場合を示す概念図である。
図9】実施例3において携帯端末1の制御部19により実行される消費電力制御処理の一例を示すフローチャートである。
図10】(A)は、携帯端末1が特定機能の実行予定地点から伸びる待ち行列の最後尾に到着していない場合を示す概念図であり、(B)は、携帯端末1が特定機能の実行予定地点から伸びる待ち行列の最後尾に到着した場合を示す概念図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、図面を参照して本発明の実施形態について説明する。
【0027】
[1.携帯端末1の機能概要及び構成等]
先ず、本実施形態に係る携帯端末1の機能概要について説明する。本実施形態に係る携帯端末1は、蓄電可能なバッテリーを備え、ユーザが携帯して持ち運び可能な携帯型端末装置である。なお、携帯端末1には、例えば、スマートフォン、携帯電話機、タブレット、PDA(Personal Digital Assistant)、または携帯ゲーム機などが適用可能である。携帯端末1は、当該携帯端末1の特定機能の実行予定となる地点(以下、「実行予定地点」という)を含む範囲(以下、「観測範囲」という)における混雑状況を示す混雑度を取得し、当該取得した混雑状況が示す混雑度に基づいて、当該携帯端末1が上記実行予定地点に到着する前にバッテリーの消費電力を抑制するための抑制処理を行う。
【0028】
ここで、携帯端末1の特定機能の例として、特定の電子データに応じた情報を表示または音声出力する機能、特定の電子データを上記実行予定地点に設置された機器へ無線送信する機能、または、特定の電子データを上記実行予定地点に設置された機器から受信する機能などが挙げられる。これらの特定機能は、例えば携帯端末1にインストールされ、オペレーティングシステム(以下、「OS」という)上で動作するアプリケーションプログラム(以下、「APP」という)により実行(実現)することができる。APPにより実行される機能を、以下、「APP機能」という。携帯端末1には、特定機能以外のAPP機能も搭載される。なお、特定機能は、OSにより実現される機能であってもよい。
【0029】
また、電子データの例として、電子チケットデータ、電子証明データ、または電子バリューデータなどが挙げられる。電子チケットデータは、例えば、携帯端末1のユーザの購入対象となるチケット(例えば、入場券、利用券、または搭乗券)をデジタルデータとして実現したものである。電子証明データは、例えば、携帯端末1のユーザの身分証明書をデジタルデータとして実現したものである。電子バリューデータは、例えば、貨幣価値を有するマネー(つまり、電子マネー)をデジタルデータとして実現したものである。
【0030】
また、上記特定機能の実行予定地点は、当該特定機能が利用される地点であり、例えば、施設の入口(例えば、改札口)である。当該実行予定地点の位置を示す地点位置情報(例えば、経度及び緯度)は、所定の装置により管理される。施設の例として、店舗、遊園地、庭園、映画館、博物館、美術館、動物園、野球場、球技場、または駅などが挙げられる。なお、施設は、コンサート等のイベントが開催されるイベント会場であってもよい。例えば、施設の入口において、携帯端末1に予め格納された電子チケットデータに応じた電子チケット情報が上記特定機能により表示または音声出力される。これにより、当該電子チケットデータの真贋が施設側のスタッフにて確認される。そして、電子チケットデータが真であれば当該施設への入場が許可される。なお、上記特定機能により画面に表示された電子チケット情報に対して施設側のスタッフが所定の入力操作(例えば、フリック操作)を行うことで、当該電子チケット情報の表示態様が変化し、当該電子チケットデータの真贋が確認されてもよい。また、電子チケットデータは2次元バーコードであってもよく、この場合、当該2次元バーコードが正常に読取器により読み取られることで当該電子チケットデータの真贋が確認される。また、携帯端末1に予め格納された電子チケットデータが上記特定機能により当該入口に設置された機器(例えば、確認装置)へ無線送信されることで当該電子チケットデータの真贋の確認が行われてもよい。また、携帯端末1に予め格納された電子バリューデータが特定機能により当該入口に設置された機器(例えば、決済装置)へ無線送信されることで決済処理が行われてもよい。この場合、正常に決済が行われれば施設への入場が許可される(例えば、当該入口のゲートが開かれる)。
【0031】
また、上記特定機能の実行予定地点は、施設内の部屋等の区画の入口であってもよい。この場合、例えば、携帯端末1に予め格納された電子証明データが上記特定機能により当該入口に設置された機器(例えば、認証装置)へ無線送信されることで認証が行われる。そして、正常に認証が行われれば当該部屋への入室が許可される(例えば、当該入口のドアの鍵が解放される)。また、上記特定機能の実行予定地点は、上記チケットを発行(発券)する発行所であってもよい。この場合、例えば、携帯端末1に予め格納された電子バリューデータが上記特定機能により発行所に設置された機器(例えば、自動販売機)へ無線送信されることで決済処理が行われる。そして、正常に決済が行われれば当該自動販売機により電子チケットデータが発行され、携帯端末1に無線送信される。こうして送信された電子チケットデータが上記特定機能により受信される。また、上記発行所のスタッフ、または自動販売機が携帯端末1のユーザから電子チケットデータの購入代金(現金)を受け付けたときに、電子チケットデータが発行され、携帯端末1に無線送信されてもよい。
【0032】
また、上記特定機能の実行予定地点を含む観測範囲における混雑状況は、人に関係する混雑状況である。人に関係する混雑状況には、人の混雑状況と、人が乗車する車両(例えば自転車等)の混雑状況とが該当する。このような混雑状況は、例えば上記特定機能の実行予定地点を含む観測範囲に存在する人の数(人が乗る車両の数でもよい)、当該実行予定地点から伸びる行列(待ち行列)の長さ(距離)、当該待ち行列の移動速度、または、当該待ち行列における待ち時間などの情報により特定することができる。このような混雑状況を定量的に示す情報として混雑度が用いられる。当該混雑度は、例えば上記特定機能の実行予定地点を含む観測範囲に存在する人の数(または人が乗る車両の数)が多いほど高く(大きく)なる。また、当該混雑度は、上記特定機能の実行予定地点から伸びる待ち行列をなす人の数(または人が乗る車両の数)が多いほど(言い換えれば、当該待ち行列の長さが長いほど)高くなる。また、当該混雑度は、当該待ち行列の移動速度が遅いほど高くなり、当該待ち行列における待ち時間が長いほど高くなる。なお、上記特定機能の実行予定地点を含む観測範囲は、人の数、待ち行列の長さ、当該待ち行列の移動速度、または、当該待ち行列を特定可能な範囲であり、予め設定されることが望ましい。
【0033】
このような混雑度に基づいてバッテリーの消費電力を抑制するための抑制処理の例として、携帯端末1のAPP機能を制限する処理、携帯端末1の無線通信機能を制限する処理、携帯端末1のGPS(Global Positioning System)機能(つまり、複数のGPS衛星から発信される電波を利用して現在位置を検出する機能)を制限する処理、または、携帯端末1の省電力モードへの切り替えメッセージをユーザに通知する処理などが挙げられる(詳細は後述)。
【0034】
次に、図1(A)及び図1(B)を参照して、本実施形態に係る携帯端末1の構成等について説明する。図1(A)は、携帯端末1の概要構成例を示す図である。図1(A)に示すように、携帯端末1は、バッテリー11、移動体無線通信部12、無線LAN通信部13、近距離無線通信部14、GPS受信部15、操作・表示部16、記憶部17、セキュアエレメント18、及び制御部19等を備えて構成される。なお、携帯端末1は、音声処理部及びスピーカを備えてもよい。
【0035】
バッテリー11は、携帯端末1の電源であり、携帯端末1を動作させるための電力を外部から充電可能になっている。バッテリー11は、制御部19の制御の下、携帯端末1が備える携帯端末1の各部に電力を供給する。なお、バッテリー11の電力消費状況は、制御部19により監視される。例えば、制御部19は、バッテリー11の出力電流値に基づいて現在の電流消費率を測定することによって電力消費状況を監視する。また、制御部19は、バッテリー11の残電力量(例えば、バッテリー残存率)を監視する。
【0036】
移動体無線通信部12は、移動体通信ネットワークを利用した無線通信機能(以下、「移動体無線通信機能」という)を有する。移動体通信ネットワークは、例えば、電話用回線交換ネットワーク、及びインターネットに接続するためのデータ通信用パケット交換ネットワークを含む。移動体無線通信部12は、アンテナを介して、最寄りの基地局との間で無線通信を行い、当該基地局及び移動体通信ネットワークを介して他の携帯端末やサーバとの間で通信を行う。なお、移動体無線通信部12は、無線通信の待ち受け時において、一つの基地局がカバーするセルのうち、最適な(例えば、最大受信レベルの)のセルを検出するセルサーチを所定時間間隔で行う。このようなセルサーチの時間間隔は、制御部19により制御される。セルサーチの時間間隔が短いほど消費電力は大きい。
【0037】
無線LAN通信部13は、例えばWi-Fi(登録商標)規格(IEEE 802.11)に基づく無線通信機能(以下、「無線LAN通信機能」という)を有する。無線LAN通信部13は、アンテナを介して、無線LANアクセスポイントとの間で無線通信を行い、当該無線LANアクセスポイント及びインターネットを介して他の携帯端末やサーバとの間で通信を行う。無線LAN通信部13の無線LAN通信機能は、制御部19によりオン/オフ切り替え可能になっている。
【0038】
近距離無線通信部14は、例えばBluetooth(登録商標)規格(IEEE 802.15.1)に基づく無線通信機能(以下、「近距離無線通信機能」という)を有する。近距離無線通信部14は、アンテナを介して、近距離無線通信機能を有する他の無線通信機器との間で無線通信を行う。さらに、近距離無線通信部14は、Bluetooth(登録商標)4.0規格の一部であるBLE(Bluetooth Low Energy)に基づく近距離無線通信機能を有し、当該近距離無線通信機能を有する他の無線通信機器から発信されたBLE信号(ビーコン信号)を受信する。近距離無線通信部14の近距離無線通信機能は、制御部19によりオン/オフ切り替え可能になっている。なお、近距離無線通信部14は、ZigBee規格や、NFC(Near field radio communication)規格などに基づく近距離無線通信機能を有してもよい。
【0039】
GPS受信部15は、複数のGPS衛星から出力されるGPS信号(航法電波)を、アンテナを介して受信し携帯端末1の現在位置を検出し、検出した現在位置を示す現在位置情報(例えば、経度及び緯度)を制御部19へ出力する。なお、現在位置の検出方法には、3つのGPS衛星からのGPS信号に基づいて現在位置を検出する第1の検出方法と、4つのGPS衛星からのGPS信号に基づいて現在位置を検出する第2の検出方法とがある。第2の検出方法は、第1の検出方法に比べて位置検出精度が高いが消費電力は大きい。第1の検出方法と第2の検出方法とは、制御部19により切り替え可能になっている。
【0040】
操作・表示部16は、例えば、ユーザの指やペン等による操作指示を受け付ける入力機能と、情報を表示する画面を有するタッチパネルとを備える。操作・表示部16は、ユーザからの操作指示を受け付け、その操作指示に応じた信号を制御部19へ出力する。
【0041】
記憶部17は、例えば不揮発性メモリから構成され、OS及びAPP等を格納する。OSまたはAPPには、本発明の消費電力制御プログラムが含まれる。なお、当該消費電力制御プログラムは、所定のサーバから携帯端末1にダウンロードされてもよいし、CD、DVDなどの記録媒体に記録(コンピュータにより読み取り可能に記録)され、当該記録媒体から読み込まれて記憶部17に格納されるようにしてもよい。また、記憶部17には、携帯端末1の機能の利用履歴が記憶される。利用履歴には、携帯端末1の機能の利用時刻、及び当該利用された機能による電力消費状況等の情報が含まれる。
【0042】
セキュアエレメント18は、外部からの解析攻撃に耐えられるようにデータを安全に格納するセキュアメモリを搭載したICモジュール(例えばICチップ)により構成される。セキュアエレメント18には、セキュアエレメント18に固有の情報であるセキュアIDが格納されている。また、セキュアエレメント18には、セキュアメモリに格納されるデータを管理するアプレット(例えば、Java(登録商標)APP)が搭載される。セキュアメモリに格納されるデータには、上述した電子データが含まれる。
【0043】
制御部19は、CPU(Central Processing Unit),ROM(Read Only Memory),及びRAM(Random Access Memory)等を備える。図1(B)は、制御部19の機能ブロック例を示す図である。制御部19(制御部19内のプロセッサ)は、上記消費電力制御プログラムに従って、図1(B)に示すように、混雑度取得部191、抑制処理部192、利用履歴取得部193、残電力量予測部194、閾値設定部195、位置情報取得部196、及び最後尾判定部197等として機能し、後述する消費電力制御処理を行う。ここで、混雑度取得部191は、本発明における混雑度取得手段の一例である。抑制処理部192は、本発明における抑制処理手段の一例である。利用履歴取得部193は、本発明における利用履歴取得手段の一例である。残電力量予測部194は、本発明における予測手段の一例である。閾値設定部195は、本発明における設定手段の一例である。位置情報取得部196は、本発明における位置情報取得手段の一例である。最後尾判定部197は、本発明における判定手段の一例である。
【0044】
混雑度取得部191は、携帯端末1の特定機能の実行予定地点を含む観測範囲における混雑状況を示す混雑度を取得する。当該混雑度は、上述したように、例えば上記特定機能の実行予定地点を含む観測範囲に存在する人の数(人が乗る車両の数でもよい)、当該実行予定地点から伸びる待ち行列の長さ(待ち行列をなす人の数でもよい)、当該待ち行列の移動速度、または、当該待ち行列における待ち時間に基づいて算出することができる。例えば、当該混雑度は、人の数、待ち行列の長さ、待ち行列の移動速度の逆数、または、待ち時間に所定の係数(例えば、人の数が多いほど、相対的に大きくなる係数)を乗算することで数値として算出される。或いは、当該混雑度は、人の数、待ち行列の長さ、待ち行列の移動速度、または待ち時間に従ってランク(言い換えれば、レベル)分けすることで当該ランクとして算出されてもよい。例えば、A,B,Cというランク(大,中,小というランクでもよい)で表す場合、人の数が30人以上60人未満はCランク、60人以上100人未満はBランク、100人以上はAランクというように算出される。なお、当該混雑度は、人の数、待ち行列の長さ、待ち行列の移動速度、及び待ち時間のうちの2つ以上の組合せに基づいて算出されてもよい。
【0045】
ここで、人の数、待ち行列の長さ、または、待ち行列の移動速度は、例えば上記観測範囲内に設置された計測装置がカメラにより当該観測範囲内を撮影することで特定(つまり、撮影画像の解析により特定)される。或いは、人の数は、上記計測装置がレーザスキャナにより当該観測範囲内の地面から十数cmの水平面をスキャンすることで特定されてもよい。或いは、人の数は、上記計測装置が当該観測範囲内の地面に埋め込まれた圧力センサーにより圧力を測定することで特定されてもよい。或いは、人の数は、単位時間あたりにゲートを通過した人の数であってもよい。この場合、例えば、上記計測装置が当該観測範囲内のゲートに設置された人感センサーにより単位時間あたりにゲートを通過した人の数を特定する。また、待ち行列における待ち時間は、当該待ち行列の長さを当該待ち行列の移動速度で除算することで特定される。或いは、当該待ち時間は、待ち行列をなす人の数に、一人あたりの推定待ち時間を乗算することで特定してもよい。一人あたりの推定待ち時間は、例えば、過去の履歴などから特定される。
【0046】
このように特定された人の数、待ち行列の長さ、待ち行列の移動速度、及び待ち時間のうちの少なくとも1つの情報は、例えば、上記実行予定地点の地点位置情報と共に、上記計測装置から所定の情報収集サーバに送信され、当該情報収集サーバから移動体通信ネットワークを介して携帯端末1に送信されるとよい。この場合、当該情報収集サーバからの情報は、移動体無線通信部12により受信される。そして、混雑度取得部191は、受信された人の数、待ち行列の長さ、待ち行列の移動速度、及び待ち行列のうちの少なくとも1つの情報に基づいて当該実行予定地点を含む観測範囲における混雑状況を示す混雑度を算出して取得する。なお、携帯端末1が上記混雑度に基づく抑制処理を上記実行予定地点から比較的狭い範囲(例えば、上記実行予定地点から100m以内の範囲)で行う場合、上記人の数、待ち行列の長さ、待ち行列の移動速度、及び待ち時間のうちの少なくとも1つの情報は、上記実行予定地点の地点位置情報と共に、上記計測装置から無線通信機器により発信される無線信号(例えばBLE信号)に含まれてもよい。この場合、当該無線通信機器から発信される無線信号(例えば、BLE信号)を受信可能な最大通信範囲(最大通信距離)は、100m程度に設定(無線通信機器で設定)される。当該無線通信機器からの情報は、近距離無線通信部14により受信される。
【0047】
或いは、上記計測装置が、特定した人の数、待ち行列の長さ、待ち行列の移動速度、及び待ち時間のうちの少なくとも1つの情報に基づいて上記混雑度を算出してもよい。この場合、当該算出された混雑度は、上記実行予定地点の地点位置情報と共に、上記計測装置から上記情報収集サーバに送信され、当該情報収集サーバから移動体通信ネットワークを介して携帯端末1に送信されるとよい。これにより、混雑度取得部191は、移動体無線通信部12を介して当該混雑度を取得する。或いは、上記特定された人の数、待ち行列の長さ、待ち行列の移動速度、及び待ち時間のうちの少なくとも1つの情報は、上記実行予定地点の地点位置情報と共に、上記計測装置から上記情報収集サーバに送信され、当該情報収集サーバにより混雑度が算出されてもよい。この場合、当該算出された混雑度は、当該情報収集サーバから移動体通信ネットワークを介して携帯端末1に送信され、混雑度取得部191により取得される。なお、上述したように、携帯端末1が上記混雑度に基づく抑制処理を上記実行予定地点から比較的狭い範囲で行う場合、上記算出された混雑度は、上記実行予定地点の地点位置情報と共に、当該計測装置から無線通信機器により発信される無線信号に含まれてもよい。
【0048】
或いは、上記混雑度は、上記発行所における一定時間あたりの発行数に基づいて算出されてもよい。これは、一定時間あたりの発行数が多いほど混雑度が大きいと言えるからである。一定時間あたりの発行数は、例えば、発行所に設置された発行装置によりカウントされる。そして、カウントされた発行数は、上記実行予定地点の地点位置情報と共に、上記発行装置から所定の情報収集サーバに送信され、当該情報収集サーバから移動体通信ネットワークを介して携帯端末1に送信されるとよい。この場合、混雑度取得部191は、移動体無線通信部12により受信された発行数に基づいて当該実行予定地点を含む観測範囲における混雑状況を示す混雑度を算出して取得する。例えば、当該発行数に所定の係数(例えば、発行数の数が多いほど、相対的に大きくなる係数)が乗算されることで算出される。なお、上述したように、携帯端末1が上記混雑度に基づく抑制処理を上記実行予定地点から比較的狭い範囲で行う場合、上記発行数は、上記実行予定地点の地点位置情報と共に、当該発行装置から無線通信機器により発信される無線信号に含まれてもよい。
【0049】
或いは、上記発行装置が、上記発行数に基づいて上記混雑度を算出してもよい。この場合、当該算出された混雑度は、上記実行予定地点の地点位置情報と共に、上記発行装置から上記情報収集サーバに送信され、当該情報収集サーバから移動体通信ネットワークを介して携帯端末1に送信されるとよい。これにより、混雑度取得部191は、移動体無線通信部12を介して当該混雑度を取得する。或いは、上記発行数は、上記実行予定地点の地点位置情報と共に、上記発行装置から上記情報収集サーバに送信され、当該情報収集サーバにより混雑度が算出されてもよい。この場合、当該算出された混雑度は、当該情報収集サーバから移動体通信ネットワークを介して携帯端末1に送信され、混雑度取得部191により取得される。なお、上述したように、携帯端末1が上記混雑度に基づく抑制処理を上記実行予定地点から比較的狭い範囲で行う場合、上記算出された混雑度は、上記実行予定地点の地点位置情報と共に、当該発行装置から無線通信機器により発信される無線信号に含まれてもよい。
【0050】
抑制処理部192は、混雑度取得部191により取得された混雑度に基づいて、携帯端末1が上記特定機能の実行予定地点に到着する前にバッテリー11の消費電力を抑制するための抑制処理を行う。これにより、当該特定機能の実行予定地点を含む観測範囲の混雑状況に応じて、バッテリー11の消費電力を柔軟に抑制することができる。例えば、抑制処理部192は、混雑度取得部191により取得された混雑度が閾値以上である場合に、携帯端末1のAPP機能の全部または一部を制限する処理、携帯端末1の無線通信機能の全部または一部を制限する処理、携帯端末1のGPS機能の全部または一部を制限する処理、及び携帯端末1の省電力モードへの切り替えメッセージをユーザに通知する処理のうちの少なくとも何れか1つの処理を実行する。すなわち、上記混雑状況が示す混雑度が閾値以上と大きい場合に限り、上記抑制処理を実行させる。なお、上記混雑度が閾値以上である場合に、どの処理を実行するかは、例えば、上記消費電力制御プログラム上で予め設定されてもよいし、携帯端末1のユーザにより操作・表示部16から予め指定されてもよい。
【0051】
ここで、携帯端末1のAPP機能の全部を制限する処理の例として、上記特定機能以外の全てのAPP機能を停止(例えば、バックグラウンドで実行中のAPPを全て停止)する処理が挙げられる。このように、上記抑制処理において、携帯端末1のAPP機能の全部を制限することで、バッテリー11の消費電力を、より効率良く抑制することができる。また、携帯端末1のAPP機能の一部を制限する処理の例として、APP機能により表示される画面の明るさ(照度や輝度)を低下させる処理、APP機能により表示される画面の表示態様を簡易化させる(例えば、アニメーションなどの動きのある視覚効果を停止させる)処理、APPの自動更新をロックする処理、または、APPを実行するCPUのクロック周波数を低下させる処理が挙げられる。このように、上記抑制処理において、携帯端末1のAPP機能の一部を制限することで、当該APP機能の利用を最低限確保しつつ、バッテリー11の消費電力を柔軟に抑制することができる。なお、携帯端末1のAPP機能の一部を制限する処理において、APP機能により表示される画面の明るさを低下させる処理、APP機能により表示される画面の表示態様を簡易化させる処理、APPの自動更新をロックする処理、及びAPPを実行するCPUのクロック周波数を低下させる処理のうち何れか2つ以上の処理が行われてもよい。また、携帯端末1のAPP機能の一部を制限する処理の別の例として、上記特定機能以外の複数のAPP機能のうち一部のAPP機能を停止(例えば、バックグラウンドで実行中の3つのAPPのうち、何れか2つのAPPを停止)する処理が挙げられる。
【0052】
また、携帯端末1の無線通信機能の全部を制限する処理の例として、全ての無線通信機能を停止する(つまり、無線通信機能をオフにする)処理が挙げられる。このように、上記抑制処理において、携帯端末1の無線通信機能の全部を制限することで、バッテリー11の消費電力を、より効率良く抑制することができる。また、携帯端末1の無線通信機能の一部を制限する処理の例として、移動体無線通信部12によるセルサーチの時間間隔を低下させる処理が挙げられる。また、携帯端末1の無線通信機能の一部を制限する処理の別の例として、複数の無線通信機能のうち一部の無線通信機能を停止(例えば、移動体無線通信機能、無線LAN通信機能、及び近距離無線通信機能のうち何れか2つの無線通信機能を停止)する処理が挙げられる。このように、上記抑制処理において、携帯端末1の無線通信機能の一部を制限することで、当該無線通信機能の利用を最低限確保しつつ、バッテリー11の消費電力を柔軟に抑制することができる。また、携帯端末1のGPS機能の全部を制限する処理の例として、GPS機能を停止する(つまり、GPS機能をオフにする)処理が挙げられる。このように、上記抑制処理において、携帯端末1のGPS機能の全部を制限することで、バッテリー11の消費電力を、より効率良く抑制することができる。また、携帯端末1のGPS機能の一部を制限する処理の例として、現在位置の検出に利用するGPS衛星の数を減らす(例えば、上述した第2の検出方法から第1の検出方法に切り替える)処理が挙げられる。また、携帯端末1の省電力モードへの切り替えメッセージは、例えば画面に表示されてもよいし或いは音声出力されてもよい。このように、上記抑制処理において、携帯端末1のGPS機能の一部を制限することで、当該GPS機能の利用を最低限確保しつつ、バッテリー11の消費電力を柔軟に抑制することができる。
【0053】
また、上記混雑度と比較される閾値は、例えば、上記消費電力制御プログラム上で予め設定されてもよいし、携帯端末1のユーザにより操作・表示部16から予め指定されてもよい。或いは、上記特定機能の実行予定時刻が取得可能な場合、バッテリー11の残電力量に応じて設定されてもよい。この場合、利用履歴取得部193は、携帯端末1の機能の利用履歴を例えば記憶部17から取得する。残電力量予測部194は、利用履歴取得部193により取得された利用履歴に基づいて、上記実行予定地点での上記特定機能の実行予定時刻を含む時間帯(例えば、5分〜10分程度の時間帯)におけるバッテリー11の残電力量を予測する。言い換えれば、残電力量予測部194は、利用履歴取得部193により取得された利用履歴から、バッテリー11の充電または放電スケジュールを特定することで、当該実行予定時刻を含む時間帯におけるバッテリー11の残電力量を予測する。ここで、実行予定時刻として、例えば基準時刻の数分前の時刻が設定される。この基準時刻の例として、開場予定時刻、開演予定時刻、搭乗予定時刻、または出発予定時刻などが挙げられる。これらの基準時刻は、例えば、セキュアエレメント18のセキュアメモリに格納された電子チケットデータから取得されてもよいし、上述した計測装置または情報収集サーバから人の数や混雑度等と共に取得されてもよい。或いは、実行予定時刻は、携帯端末1のユーザにより操作・表示部16から予め指定されてもよい。そして、閾値設定部195は、残電力量予測部194により予測された残電力量に応じて、上記混雑度と比較される閾値を設定する。例えば、閾値設定部195は、残電力量予測部194により予測された残電力量が小さいほど、当該閾値を小さく設定する。これにより、携帯端末1の機能の利用履歴に基づいて予測された残電力量が小さいほど、上記混雑状況に応じた上記抑制処理の実行頻度を高めることができる。
【0054】
また、抑制処理部192は、上記抑制処理において、上記特定機能以外の複数の上記機能のうち、上記混雑度に応じた何れかの機能を制限するとよい。これにより、携帯端末1の複数の機能のうち上記混雑状況が示す混雑度に応じた機能を制限することで、バッテリー11の消費電力を、より効率良く抑制することができる。つまり、携帯端末1に備えられた機能(例えば、汎用的に設けられた機能)を上記混雑度に応じて段階的に制限することで、バッテリー11の消費電力を抑制するために特別な機構を設けるなどの改変を要することなく、バッテリー11の消費電力を、より柔軟に抑制することができる。この場合、抑制処理部192は、例えば、互いに異なる複数の数値範囲(またはランク)それぞれに対して制限対象となる機能(言い換えれば、当該機能を制限する処理)を対応付けて登録するテーブル(以下、「制限対象機能の対応付けテーブル」という)を用いて、上記混雑度が属する数値範囲(またはランク)を判定する。図2(A)は、制限対象機能の対応付けテーブルの一例を示す図である。このようなテーブルは、例えば上記消費電力制御プログラムのインストール時に作成され記憶部17に記憶される。なお、どの数値範囲(またはランク)に対して、どの機能を対応付けるかは、例えば、上記消費電力制御プログラム上で予め設定されてもよいし、携帯端末1のユーザにより操作・表示部16から予め指定されてもよい。
【0055】
図2(A)の例では、10(閾値)以上20未満の数値範囲に対してAPP機能が対応付けられている。また、20以上30未満の数値範囲に対してAPP機能、無線LAN通信機能、及び近距離無線通信機能が対応付けられている。また、30以上の数値範囲に対してAPP機能、無線LAN通信機能、近距離無線通信機能、及びGPS機能が対応付けられている。例えば、混雑度取得部191により取得された混雑度が「25」である場合、当該混雑度が属する数値範囲(20以上30未満)に対応付けられたAPP機能、無線LAN通信機能、及び近距離無線通信機能が当該混雑度に応じた機能として制限対象機能の対応付けテーブルから特定され、当該特定された機能を制限する処理が実行される。図2(A)に示す対応付けはあくまで一例であり、ユーザが頻繁に使う機能や、電力消費をする要因が高い機能などの観点から対応付けがなされてもよい。例えば、混雑度が相対的に低い数値範囲(10以上20未満の数値範囲)には、電力消費をする要因が低い機能(例えば、近距離無線通信機能)を対応付ける一方、混雑度が相対的に高い数値範囲(30以上の数値範囲)には、電力消費をする要因が高い機能(例えば、GPS機能)を対応付けるように構成してもよい。また、数値範囲(またはランク)に対して、携帯端末1のAPP機能の一部、無線通信機能の一部、またはGPS機能の一部を対応付けるように構成してもよい。この場合、例えば、10以上20未満の数値範囲に対してAPP機能により表示される画面の明るさを低下させる処理が対応付けられる。
【0056】
また、抑制処理部192は、上記混雑度に応じて異なるタイミング(以下、「実行タイミング」という)で上記抑制処理を実行してもよい。これにより、上記混雑度に応じた適切なタイミングで上記抑制処理を実行させることができるので、上記抑制処理により携帯端末1の利便性が低下することを極力回避しつつ、上記混雑状況に応じて携帯端末1の特定機能を利用するための電力を確保することができる。この場合、抑制処理部192は、例えば、互いに異なる複数の数値範囲(またはランク)それぞれに対して実行タイミングを対応付けて登録する(以下、「実行タイミングの対応付けテーブル」という)を用いて、上記混雑度が属する数値範囲(またはランク)を判定する。図2(B),(C)は、実行タイミングの対応付けテーブルの一例を示す図である。このようなテーブルは、例えば上記消費電力制御プログラムのインストール時に作成され記憶部17に記憶される。なお、どの数値範囲(またはランク)に対して、どの実行タイミングを対応付けるかは、例えば、上記消費電力制御プログラム上で予め設定されてもよいし、携帯端末1のユーザにより操作・表示部16から予め指定されてもよい。
【0057】
図2(B)の例では、10以上20未満の数値範囲に対して「実行予定地点から100m以内」が対応付けられている。また、20以上30未満の数値範囲に対して「実行予定地点から300m以内」が対応付けられている。また、30以上の数値範囲に対して「実行予定地点から500m以内」が対応付けられている。図2(B)に示すテーブルによれば、混雑度が大きいほど(つまり、より混雑しているほど)、実行予定地点から、より離れた位置で上記抑制処理が行われることになる。例えば、混雑度取得部191により取得された混雑度が「25」である場合、当該混雑度が属する数値範囲(20以上30未満)に対応付けられた「実行予定地点から300m以内」が当該混雑度に応じた実行タイミングとして実行タイミングの対応付けテーブル1から特定され、当該特定された実行タイミングで上記抑制処理が実行される。つまり、この場合、携帯端末1が上記実行予定地点から300m以内に入ったときに上記抑制処理が実行される。ここで、携帯端末1が上記実行予定地点から所定距離(例えば、300m)以内に入ったか否かの判定にあたり、携帯端末1の現在位置情報が位置情報取得部196によりGPS受信部15から取得される。或いは、当該現在位置情報は、移動体無線通信部12が通信している基地局の位置情報に基づいて携帯端末1の現在位置を検出する位置検出サーバから移動体無線通信部12を介して取得されてもよい。
【0058】
一方、図2(C)の例では、10以上20未満の数値範囲に対して、「基準時刻(17時30分)の10分前」が対応付けられている。ここで、基準時刻は、上述したように、開場予定時刻、開演予定時刻、搭乗予定時刻、または出発予定時刻などである。また、20以上30未満の数値範囲に対して「基準時刻(17時30分)の30分前」が対応付けられている。また、30以上の数値範囲に対して「基準時刻(17時30分)の50分前」が対応付けられている。図2(C)に示すテーブルによれば、混雑度が大きいほど(つまり、より混雑しているほど)、基準時刻から、より離れた時間で上記抑制処理が行われることになる。例えば、混雑度取得部191により取得された混雑度が「25」である場合、当該混雑度が属する数値範囲(20以上30未満)に対応付けられた「基準時刻(17時30分)の30分前」が当該混雑度に応じた実行タイミングとして実行タイミングの対応付けテーブル2から特定され、当該特定された実行タイミングで(この場合、現在時刻が17時30分の30分前になったときに)、上記抑制処理が実行される。
【0059】
そして、バッテリー11の消費電力の抑制が継続しているときに携帯端末1が上記実行予定地点の近傍範囲として設定された範囲内に入った場合、抑制処理部192は、当該消費電力の抑制を解除する(例えば、上記機能の制限を解除して元に戻す)。これにより、携帯端末1が上記特定機能の実行予定地点の近傍に至ったときに、携帯端末1のユーザに対して解除操作負担を課することなく、当該特定機能の実行に備えてバッテリー11の消費電力の抑制を自動的に解除することができる。そのため、当該特定機能を迅速に実行させることができる。ここで、実行予定地点の近傍範囲として設定された範囲とは、例えば、当該実行予定地点を中心として半径数m程度と比較的近い範囲である。この近傍範囲は、例えば、上記消費電力制御プログラム上で予め設定されてもよいし、実行予定地点に設置された無線通信機器から発信される抑制解除用無線信号(例えば、抑制解除を示すコードを含むBLE信号)の最大通信範囲として設定(無線通信機器で設定)されてもよい。上記近傍範囲が消費電力制御プログラム上で予め設定される場合、位置情報取得部196により取得された現在位置情報と、上記実行予定地点の地点位置情報とに基づいて、携帯端末1が当該実行予定地点の近傍範囲として設定された範囲内に入ったか否かが判定される。一方、上記近傍範囲が抑制解除用無線信号の最大通信範囲として設定される場合、抑制解除用無線信号の受信有無に基づいて、携帯端末1が当該実行予定地点の近傍範囲として設定された範囲内に入ったか否かが判定される。
【0060】
なお、上記混雑度が閾値以上である否かに関わらず、上記抑制処理は所定の実行条件を満たす場合に限り行われるように構成してもよい。これにより、消費電力の抑制の必要性が高い場合に限り上記抑制処理を行わせることができるので、上記抑制処理により携帯端末1の利便性が低下することを極力回避しつつ、上記混雑状況に応じて携帯端末1の特定機能を利用するための電力を確保することができる。この実行条件の例として、携帯端末1の現在位置が上記実行予定地点から所定距離内にあること、または携帯端末1が当該実行予定地点から伸びる待ち行列の最後尾に到着したことなどが挙げられる。このような実行条件は、上記消費電力制御プログラム上で予め設定されてもよいし、携帯端末1のユーザにより操作・表示部16から予め指定されてもよい。携帯端末1の現在位置が上記実行予定地点から所定距離内にあることを実行条件とする場合、抑制処理部192は、携帯端末1の現在位置が上記実行予定地点から所定距離内にあるか否かを判定する。そして、抑制処理部192は、携帯端末1の現在位置が上記実行予定地点から所定距離内にある場合に限り、上記抑制処理を行う。一方、携帯端末1が上記実行予定地点から伸びる待ち行列の最後尾に到着したことを実行条件とする場合、最後尾判定部197は、携帯端末1が上記実行予定地点から伸びる待ち行列の最後尾に到着したか否かを判定する。そして、抑制処理部192は、最後尾判定部197により携帯端末1が上記実行予定地点から伸びる待ち行列の最後尾に到着したと判定された場合に限り、上記抑制処理を行う。なお、バッテリー11の現在の残電力量が閾値以下であることを実行条件としてもよい。この場合、抑制処理部192は、バッテリー11の現在の残電力量が閾値以下である場合(つまり、残電力量が少ない場合)に限り、上記抑制処理を行うことになる。
【0061】
[2.携帯端末1の動作]
次に、本実施形態に係る携帯端末1において特定機能の実行予定地点に到着する前に行われる動作について、実施例1〜実施例3に分けて説明する。
【0062】
(実施例1)
先ず、図3図6を参照して、実施例1に係る携帯端末1の動作について説明する。図3は、実施例1において携帯端末1の制御部19により実行される消費電力制御処理の一例を示すフローチャートである。図4(A),(B)と図5(A),(B)は、図3に示すステップS3における抑制処理の詳細を示すフローチャートである。なお、図4(A),(B),図5(A),(B)のうちの何れか1つの処理が実行対象として予め設定される。図6(A),(B)は、携帯端末1と特定機能の実行予定地点との位置関係を示す概念図である。
【0063】
図3に示す消費電力制御処理は、例えばユーザからの上記消費電力制御プログラムの起動指示に応じて開始される。図3に示す消費電力制御処理が開始されると、制御部19は、携帯端末1の特定機能の実行予定地点の地点位置情報を取得する(ステップS1)。ここで、実行予定地点の地点位置情報は、例えば、消費電力制御処理が開始されたときに操作・表示部16に表示された地図画面上で携帯端末1のユーザからの指定に応じて地図データから取得される。或いは、実行予定地点の地点位置情報は、消費電力制御処理が開始されたときに操作・表示部16に表示された地点リスト(例えば、特定機能の実行予定地点を登録するリスト)画面上で携帯端末1のユーザからの指定に応じて当該地点リストから取得されてもよい。或いは、消費電力制御処理が開始されたときに操作・表示部16に表示されたチケットリスト(例えば、特定機能の実行予定地点で利用される電子チケットデータを登録するリスト)画面上で携帯端末1のユーザからの指定に応じて当該チケットリストから取得されてもよい。
【0064】
次いで、制御部19(混雑度取得部191)は、ステップS1で取得された地点位置情報が示す実行予定地点を含む観測範囲における混雑状況を示す混雑度を取得する(ステップS2)。例えば、制御部19(混雑度取得部191)は、ステップS1で取得された地点位置情報をキーとして混雑度を上記情報収集サーバに問い合わせることで、当該混雑度を情報収集サーバから移動体無線通信部12を介して取得する。或いは、制御部19(混雑度取得部191)は、ステップS1で取得された地点位置情報をキーとして人の数等の情報を上記情報収集サーバに問い合わせることで、当該情報を情報収集サーバから移動体無線通信部12を介して取得し、取得した情報に基づいて混雑度を算出して取得してもよい。或いは、制御部19(混雑度取得部191)は、上述したように、近距離無線通信部14により受信された無線信号から、ステップS1で取得された地点位置情報と一致する地点位置情報と共に含まれる混雑度を取得してもよい。或いは、制御部19(混雑度取得部191)は、近距離無線通信部14により受信された無線信号から、ステップS1で取得された地点位置情報と一致する地点位置情報と共に含まれる人の数等の情報を取得し、取得した情報に基づいて混雑度を算出して取得してもよい。なお、ステップS2では、上述した基準時刻が取得される場合もある。
【0065】
次いで、制御部19(抑制処理部192)は、ステップS2で取得された混雑度に基づいて、図4(A),(B),図5(A),(B)の何れかに示すように、ステップS1で取得された地点位置情報が示す実行予定地点に到着する前にバッテリー11の消費電力を抑制するための抑制処理を行う(ステップS3)。
【0066】
図4(A)に示す抑制処理では、制御部19(抑制処理部192)は、ステップS2で取得された混雑度が、予め設定された閾値以上であるか否かを判定する(ステップS311)。制御部19(抑制処理部192)は、上記混雑度が閾値以上でないと判定した場合(ステップS311:NO)、図4(A)に示す抑制処理を終了する。この場合、制御部19は、ステップS311の判定から所定時間後に、ステップS2に戻り、ステップS311の判定を再試行してもよい。
【0067】
一方、制御部19(抑制処理部192)は、上記混雑度が閾値以上であると判定した場合(ステップS311:YES)、上述したように、携帯端末1のAPP機能の全部または一部を制限する処理、携帯端末1の無線通信機能の全部または一部を制限する処理、携帯端末1のGPS機能の全部または一部を制限する処理、及び携帯端末1の省電力モードへの切り替えメッセージをユーザに通知する処理のうちの少なくとも何れか1つの処理を実行し(ステップS312)、図3に示す処理に戻る。
【0068】
また、図4(B)に示す抑制処理では、制御部19(利用履歴取得部193)は、携帯端末1の機能の利用履歴を例えば記憶部17から取得する(ステップS321)。次いで、制御部19(利用履歴取得部193)は、携帯端末1の時計機能により取得された現在時刻から、上記特定機能の実行予定時刻(例えば、上記基準時刻の数分前の時刻)までの時間に対応する利用履歴(つまり、利用時刻が当該時間に含まれる利用履歴)を、ステップS321で取得された利用履歴から特定する(ステップS322)。
【0069】
次いで、制御部19(残電力量予測部194)は、バッテリー11の現在の残電力量から、ステップS322で特定された利用履歴に含まれる電力消費状況(つまり、利用された機能による電力消費状況)が示す消費電力を減算することで、上記特定機能の実行予定時刻を含む時間帯におけるバッテリー11の残電力量を予測する(ステップS323)。なお、上記利用履歴が複数特定された場合、それぞれの電力消費状況が示す消費電力の総和が、バッテリー11の現在の残電力量から減算されることでバッテリー11の残電力量が予測される。
【0070】
次いで、制御部19(閾値設定部195)は、ステップS323で予測された残電力量が小さいほど、上記混雑度と比較される閾値を小さく設定する(ステップS324)。例えば、閾値は、上記予測された残電力量に所定の係数(残電力量が小さいほど、相対的に小さくなる係数)が乗算されることで算出される。次いで、制御部19(抑制処理部192)は、ステップS2で取得された混雑度が、ステップS324で設定された閾値以上であるか否かを判定する(ステップS325)。その後、図4(A)に示す抑制処理と同様に処理が行われる。
【0071】
また、図5(A)に示す抑制処理では、制御部19(抑制処理部192)は、制限対象機能の対応付けテーブル(例えば、図2(A)に示すテーブル)を例えば記憶部17から取得する(ステップS331)。次いで、制御部19(抑制処理部192)は、ステップS331で取得されたテーブルを参照して、ステップS2で取得された混雑度が属する数値範囲があるか否かを判定する(ステップS332)。制御部19(抑制処理部192)は、当該混雑度が属する数値範囲がないと判定した場合(ステップS332:NO)、図5(A)に示す抑制処理を終了する。この場合、制御部19は、ステップS332の判定から所定時間後に、ステップS2に戻り、ステップS332の判定を再試行してもよい。
【0072】
一方、制御部19(抑制処理部192)は、当該混雑度が属する数値範囲があると判定した場合(ステップS332:YES)、当該混雑度が属する数値範囲に対応付けられた機能を特定する(ステップS333)。次いで、制御部19(抑制処理部192)は、ステップS333で特定された機能を制限する処理を実行し(ステップS334)、図3に示す処理に戻る。
【0073】
また、図5(B)に示す抑制処理では、制御部19(抑制処理部192)は、実行タイミング対応付けテーブル(例えば、図2(B)または図2(C)に示すテーブル)を例えば記憶部17から取得する(ステップS341)。次いで、制御部19(抑制処理部192)は、ステップS341で取得されたテーブルを参照して、ステップS2で取得された混雑度が属する数値範囲があるか否かを判定する(ステップS342)。制御部19(抑制処理部192)は、当該混雑度が属する数値範囲がないと判定した場合(ステップS342:NO)、図5(B)に示す抑制処理を終了する。この場合、制御部19は、ステップS342の判定から所定時間後に、ステップS2に戻り、ステップS342の判定を再試行してもよい。
【0074】
一方、制御部19(抑制処理部192)は、当該混雑度が属する数値範囲があると判定した場合(ステップS342:YES)、当該混雑度が属する数値範囲に対応付けられた実行タイミングを上記テーブルから特定する(ステップS343)。次いで、制御部19(抑制処理部192)は、ステップS343で特定された実行タイミングが到来したか否かを判定する(ステップS344)。例えば、制御部19(抑制処理部192)は、図2(B)に示すテーブルを用いる場合、位置情報取得部196により所定周期で取得される現在位置情報と、上記実行予定地点の地点位置情報とに基づいて、携帯端末1が上記実行予定地点から所定距離(例えば、300m)以内に入ったか否かを判定する。より具体的には、制御部19(抑制処理部192)は、携帯端末1の現在位置と上記実行予定地点の位置との間の距離を算出し、算出した距離が上記所定距離以下であるか否かを判定する。当該算出された距離が上記所定距離以下である場合、携帯端末1が上記実行予定地点から所定距離以内に入ったと判定される。一方、制御部19(抑制処理部192)は、図2(C)に示すテーブルを用いる場合、携帯端末1の時計機能により取得される現在時刻と、上記基準時刻とに基づいて、当該現在時刻が当該基準時刻の所定時間(例えば、30分)前になったか否かを判定する。
【0075】
そして、制御部19(抑制処理部192)は、当該実行タイミングが到来していないと判定した場合(ステップS344:NO)、新たな現在位置情報または現在時刻を取得して、ステップS344の判定を繰り返す。一方、制御部19(抑制処理部192)は、当該実行タイミングが到来した(例えば、携帯端末1が上記実行予定地点から所定距離以内に入った、または、現在時刻が上記基準時刻の所定時間前になった)と判定した場合(ステップS344:YES)、次いで、制御部19(抑制処理部192)は、ステップS312と同様の処理を実行し(ステップS345)、図3に示す処理に戻る。なお、制御部19(抑制処理部192)は、互いに異なる複数の数値範囲(またはランク)それぞれに対して実行タイミングと制限対象となる機能とを対応付けて登録するテーブルを用いてもよい。この場合、ステップS345において、制御部19(抑制処理部192)は、ステップS2で取得された混雑度が属する数値範囲に対応付けられた機能を制限する処理を実行する。
【0076】
図3に示す処理に戻り、ステップS4では、制御部19(抑制処理部192)は、上記抑制処理によりバッテリー11の消費電力の抑制が継続しているか否かを判定する。例えば、上記抑制処理により、携帯端末1のAPP機能、無線通信機能、及びGPS機能の少なくとも何れかの機能が制限されている場合(当該制限の継続中の場合)、バッテリー11の消費電力の抑制が継続していると判定される。このように、制御部19(抑制処理部192)は、上記抑制処理によりバッテリー11の消費電力の抑制が継続していると判定した場合(ステップS4:YES)、処理をステップS5へ進める。一方、上記抑制処理により、携帯端末1の省電力モードへの切り替えメッセージがユーザに通知された場合、バッテリー11の消費電力の抑制が継続していないと判定される。このように、制御部19(抑制処理部192)は、上記抑制処理によりバッテリー11の消費電力の抑制が継続していないと判定した場合(ステップS4:NO)、図3に示す消費電力制御処理を終了する。こうして、消費電力制御処理が終了した後、携帯端末1が上記実行予定地点に到着した時に携帯端末1の特定機能が実行されることになる。
【0077】
ステップS5では、制御部19(抑制処理部192)は、携帯端末1が当該実行予定地点の近傍範囲として設定された範囲内に入ったか否かを判定する。より具体的には、制御部19(抑制処理部192)は、位置情報取得部196により所定周期で取得される現在位置情報と、上記実行予定地点の地点位置情報とに基づいて、携帯端末1の現在位置と上記実行予定地点の位置との間の距離を算出し、算出した距離が上記近傍範囲に対応する距離(例えば、当該近傍範囲の中心から外縁までの距離)以下であるか否かを判定する。当該算出された距離が当該近傍範囲に対応する距離以下である場合、携帯端末1が上記実行予定地点の近傍範囲に入ったと判定される。或いは、制御部19(抑制処理部192)は、近距離無線通信部14により、上述した抑制解除用無線信号が受信されたか否かを判定する。この場合、近距離無線通信部14により抑制解除用無線信号が受信された場合、携帯端末1が上記実行予定地点の近傍範囲に入ったと判定される。
【0078】
そして、制御部19(抑制処理部192)は、携帯端末1が上記実行予定地点の近傍範囲として設定された範囲内に入っていないと判定した場合(ステップS5:NO)、新たな現在位置情報を取得して、ステップS5の判定を繰り返す。この場合、図6(A)に示すように、携帯端末1が実行予定地点の近傍範囲(図6(A)の破線内)に入っていないので、消費電力の抑制は解除されない。一方、制御部19(抑制処理部192)は、図6(B)に示すように、携帯端末1が当該実行予定地点の近傍範囲として設定された範囲内に入ったと判定した場合(ステップS5:YES)、バッテリー11の消費電力の抑制を解除し(ステップS6)、図3に示す消費電力制御処理を終了する。こうして、消費電力制御処理が終了した後、携帯端末1が上記実行予定地点に到着した時に携帯端末1の特定機能が実行されることになる。
【0079】
以上説明したように、上記実施例1によれば、携帯端末1の特定機能の実行予定地点を含む観測範囲における混雑状況を示す混雑度を取得し、当該取得した混雑状況が示す混雑度に基づいて、当該携帯端末1が上記実行予定地点に到着する前にバッテリー11の消費電力を抑制するための抑制処理を行うように構成したので、携帯端末の特定機能が利用される実行予定地点を含む範囲の混雑状況に応じて、バッテリー11の消費電力を柔軟に抑制することができる。その結果、上記実行予定地点において携帯端末1の特定機能を利用するための電力を確保することができ、上記実行予定地点の周辺範囲における人が混雑していることで当該実行予定地点で上記特定機能を利用する時に電力不足で利用できなくなることを防ぐことができる。例えば、イベント会場の入口から伸びる待ち行列に並んでいるユーザ(携帯端末1を持つユーザ)が当該入口に辿り着く前に、当該携帯端末1が電力不足(電池切れ)となってしまうことで、電子チケットデータに応じた電子チケット情報を表示させる機能(特定機能の一例)を作動させることができなくなり、イベント運営が適切にできないという事態を回避することができる。なお、例えば運営者側で携帯端末1のバッテリー11を充電するための設備を準備するという対処方法も考えられるが、運営側のコストが大きくなってしまう。
【0080】
さらに、上記実施例1によれば、バッテリー11の消費電力の抑制が継続している場合に、携帯端末1が上記実行予定地点の近傍範囲内に入ったとき、当該消費電力の抑制を解除するように構成したので、携帯端末1のユーザに対して解除操作負担を課することなく、当該特定機能の実行に備えてバッテリー11の消費電力の抑制を自動的に解除することができる。そのため、当該特定機能を迅速に実行させることができる。
【0081】
(実施例2)
次に、図7及び図8を参照して、実施例2に係る携帯端末1の動作について説明する。実施例2は、携帯端末1の現在位置が特定機能の実行予定地点から所定距離内にあることを実行条件として実施例1に追加した例である。図7は、実施例2において携帯端末1の制御部19により実行される消費電力制御処理の一例を示すフローチャートである。図8(A)は、携帯端末1の現在位置が特定機能の実行予定地点から所定距離内にない場合を示す概念図であり、図8(B)は、携帯端末1の現在位置が特定機能の実行予定地点から所定距離内にある場合を示す概念図である。
【0082】
図7に示す消費電力制御処理は、図3と同様、例えばユーザからの上記消費電力制御プログラムの起動指示に応じて開始される。図7に示す消費電力制御処理が開始されると、制御部19は、携帯端末1の特定機能の実行予定地点の地点位置情報を取得する(ステップS11)。次いで、制御部19(位置情報取得部196)は、携帯端末1の現在位置情報を取得する(ステップS12)。ここで、携帯端末1の現在位置情報は、GPS受信部15から取得されることが望ましい。
【0083】
次いで、制御部19(抑制処理部192)は、ステップS11で取得された地点位置情報と、ステップS12で取得された現在位置情報とに基づいて、携帯端末1の現在位置が上記実行予定地点から所定距離(例えば、1000m)内にあるか否かを判定する(ステップS13)。より具体的には、制御部19(抑制処理部192)は、携帯端末1の現在位置と上記実行予定地点の位置との間の距離を算出し、算出した距離が当該所定距離以下であるか否かを判定する。当該算出された距離が当該所定距離以下である場合、携帯端末1の現在位置が上記実行予定地点から所定距離内にあると判定(言い換えれば、携帯端末1が所定距離内に入ったと判定)される。或いは、制御部19(抑制処理部192)は、上記実行予定地点を基準とする一定距離(例えば、当該実行予定地点を中心する半径1000m)の範囲を決定し、決定した範囲内に上記現在位置情報が示す現在位置が含まれるか否かを判定する。当該範囲内に現在位置が含まれる場合、携帯端末1の現在位置が上記実行予定地点から所定距離内にあると判定される。
【0084】
そして、制御部19(抑制処理部192)は、図8(A)に示すように、携帯端末1の現在位置が上記実行予定地点から所定距離内(図8(A)の一点鎖線内)にないと判定した場合(ステップS13:NO)、ステップS12に戻り現在位置情報を取得して、ステップS13の判定を繰り返す。この場合、上記実行条件を満たさないので、上記抑制処理は行われない。一方、制御部19(抑制処理部192)は、図8(B)に示すように、携帯端末1の現在位置が上記実行予定地点から所定距離内にあると判定した場合(ステップS13:YES)、処理をステップS14へ進める。なお、ステップS12において携帯端末1の現在位置情報がGPS受信部15から取得された場合において、ステップS14以降は携帯端末1のGPS機能は必要なくなるので(図2(B)に示すテーブルを用いて上記抑制処理を行う場合を除く)、携帯端末1のGPS機能を優先して制限してもよい。
【0085】
ステップS14では、実施例1と同様、上記地点位置情報が示す実行予定地点を含む観測範囲における混雑状況を示す混雑度が取得される。そして、ステップS15では、当該混雑度に基づいて、図4(A),(B),図5(A),(B)の何れかに示すように、実施例1と同様の抑制処理が行われる。なお、図7に示すステップS16〜S18の処理は、図3に示すステップS4〜S6の処理と同様である。
【0086】
以上説明したように、上記実施例2によれば、携帯端末1の現在位置が上記実行予定地点から所定距離内にある場合(例えば、携帯端末1が実行予定地点から最も近い駅の改札口を通過した場合)に限り、実施例1と同様の抑制処理を行うように構成したので、当該抑制処理により携帯端末1の利便性が低下することを極力回避しつつ、上記混雑状況に応じて携帯端末1の特定機能を利用するための電力を確保することができる。
【0087】
(実施例3)
次に、図9及び図10を参照して、実施例3に係る携帯端末1の動作について説明する。実施例3は、携帯端末1が特定機能の実行予定地点から伸びる待ち行列の最後尾に到着したことを実行条件として実施例1に追加した例である。図9は、実施例3において携帯端末1の制御部19により実行される消費電力制御処理の一例を示すフローチャートである。図10(A)は、携帯端末1が特定機能の実行予定地点から伸びる待ち行列の最後尾に到着していない場合を示す概念図であり、図10(B)は、携帯端末1が特定機能の実行予定地点から伸びる待ち行列の最後尾に到着した場合を示す概念図である。
【0088】
図9に示す消費電力制御処理は、図3と同様、例えばユーザからの上記消費電力制御プログラムの起動指示に応じて開始される。図9に示す消費電力制御処理が開始されると、制御部19は、携帯端末1の特定機能の実行予定地点の地点位置情報を取得する(ステップS21)。
【0089】
次いで、制御部19は、上記実行予定地点から伸びる待ち行列の最後尾の位置を示す最後尾位置情報を取得する(ステップS22)。ここで、最後尾の位置は、例えば上記観測範囲内に設置された計測装置がカメラにより当該観測範囲内を撮影することで特定することができる。そして、最後尾位置情報は、上記混雑度と同様、例えば、上記計測装置から所定の情報収集サーバに送信され、当該情報収集サーバから移動体通信ネットワークを介して携帯端末1に送信されるとよい。例えば、制御部19は、ステップS21で取得された地点位置情報をキーとして最後尾位置情報を上記情報収集サーバに問い合わせることで、当該最後尾位置情報を情報収集サーバから移動体無線通信部12を介して取得する。或いは、制御部19は、上記混雑度と同様、近距離無線通信部14により受信された無線信号から、ステップS1で取得された地点位置情報と一致する地点位置情報と共に含まれる最後尾位置情報を取得してもよい。
【0090】
次いで、制御部19(位置情報取得部196)は、携帯端末1の現在位置情報を取得する(ステップS23)。次いで、制御部19(最後尾判定部197)は、ステップS22で取得された最後尾位置情報と、ステップS23で取得された現在位置情報とに基づいて、携帯端末1が上記実行予定地点から伸びる待ち行列の最後尾に到着したか否かを判定する(ステップS24)。より具体的には、制御部19(最後尾判定部197)は、携帯端末1の現在位置と上記待ち行列の最後尾の位置との間の距離を算出し、算出した距離が所定距離(例えば、1m程度)以下であるか否かを判定する。当該算出された距離が当該所定距離以下である場合、携帯端末1が最後尾に到着したと判定される。
【0091】
そして、制御部19(最後尾判定部197)は、図10(A)に示すように、携帯端末1が上記実行予定地点から伸びる待ち行列の最後尾に到着していないと判定した場合(ステップS24:NO)、ステップS22に戻り最後尾位置情報及び現在位置情報を取得して、ステップS24の判定を繰り返す。この場合、上記実行条件を満たさないので、上記抑制処理は行われない。一方、制御部19(最後尾判定部197)は、図10(B)に示すように、携帯端末1が上記実行予定地点から伸びる待ち行列の最後尾に到着したと判定した場合(ステップS24:YES)、処理をステップS25へ進める。
【0092】
なお、ステップS24において、制御部19(最後尾判定部197)は、携帯端末1の移動速度に基づいて、携帯端末1が上記実行予定地点から伸びる待ち行列の最後尾に到着したか否かを判定してもよい。例えば、制御部19(最後尾判定部197)は、携帯端末1の移動速度が閾値以上であることが一定時間継続した後(例えば、携帯端末1が一定時間移動した後)、閾値未満になった(つまり、携帯端末1が待ち行列の最後尾に到着したことによる)か否かを判定することで、携帯端末1が当該待ち行列の最後尾に到着したか否かを判定する。なお、携帯端末1の移動速度は、例えば、携帯端末1の現在位置情報、または基地局との間の無線通信に基づいて公知の方法により検出することができる。また、携帯端末1が加速度センサーを備える場合、加速度センサーにより得られた加速度情報に基づいて、携帯端末1の移動速度が検出されてもよい。
【0093】
ステップS25では、実施例1と同様、上記地点位置情報が示す実行予定地点を含む観測範囲における混雑状況を示す混雑度が取得される。そして、ステップS26では、当該混雑度に基づいて、図4(A),(B),図5(A),(B)の何れかに示すように、実施例1と同様の抑制処理が行われる。なお、図9に示すステップS27〜S29の処理は、図3に示すステップS4〜S6の処理と同様である。
【0094】
以上説明したように、上記実施例3によれば、携帯端末1が上記実行予定地点から伸びる待ち行列の最後尾に到着したと判定された場合に限り、実施例1と同様の抑制処理を行うように構成したので、当該抑制処理により携帯端末1の利便性が低下することを極力回避しつつ、上記混雑状況に応じて携帯端末1の特定機能を利用するための電力を確保することができる。
【符号の説明】
【0095】
1 携帯端末
11 バッテリー
12 移動体無線通信部
13 無線LAN通信部
14 近距離無線通信部
15 GPS受信部
16 操作・表示部
17 記憶部
18 セキュアエレメント
19 制御部
191 混雑度取得部
192 抑制処理部
193 利用履歴取得部
194 残電力量予測部
195 閾値設定部
196 位置情報取得部
197 最後尾判定部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10