特許第6411704号(P6411704)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6411704内視鏡用フラッシングチューブおよび内視鏡フラッシング装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6411704
(24)【登録日】2018年10月5日
(45)【発行日】2018年10月24日
(54)【発明の名称】内視鏡用フラッシングチューブおよび内視鏡フラッシング装置
(51)【国際特許分類】
   A61B 1/12 20060101AFI20181015BHJP
【FI】
   A61B1/12 510
【請求項の数】5
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2018-539442(P2018-539442)
(86)(22)【出願日】2018年3月15日
(86)【国際出願番号】JP2018010283
【審査請求日】2018年7月27日
(31)【優先権主張番号】特願2017-74529(P2017-74529)
(32)【優先日】2017年4月4日
(33)【優先権主張国】JP
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000000376
【氏名又は名称】オリンパス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100076233
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 進
(74)【代理人】
【識別番号】100101661
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 靖
(74)【代理人】
【識別番号】100135932
【弁理士】
【氏名又は名称】篠浦 治
(72)【発明者】
【氏名】石塚 達也
【審査官】 門田 宏
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2016/189985(WO,A1)
【文献】 特表平8−510812(JP,A)
【文献】 特開2004−169905(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 1/12
F16L 11/12
G01L 7/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
送液装置に装着される装着部と、
内視鏡に接続される内視鏡接続部と、
前記装着部および前記内視鏡接続部をつなぐ管状部と、
前記装着部と前記管状部との間、前記内視鏡接続部と前記管状部との間、または前記管状部の少なくとも一部に配置され、内圧の上昇に応じて膨脹する膨脹部と、
前記膨脹部の外周に配置され、前記膨脹部の外周とは異なる色を有するカバー部と、
を含み、
前記カバー部は、前記膨脹部が膨脹状態にあるときに前記膨脹部の外周を露出する
ことを特徴とする内視鏡用フラッシングチューブ。
【請求項2】
前記カバー部は隣り合うように複数個配置されており、
記複数のカバー部の間に設けられたスリットを備える指標を含み、
前記スリットは、前記膨脹部の内圧が所定の値以上である場合に、前記膨脹部の外周が外部に露出するように幅が拡大する
ことを特徴とする請求項1に記載の内視鏡用フラッシングチューブ。
【請求項3】
前記カバー部は少なくとも1個であり、
記カバー部に設けられた分割溝を備える指標を含み、
前記カバー部は、前記膨脹部の内圧が所定の値以上である場合に、前記分割溝が設けられた部分において破断する
ことを特徴とする請求項1に記載の内視鏡用フラッシングチューブ。
【請求項4】
前記膨脹部は、内圧が所定の値以上であり膨脹した場合の外径が、内圧が大気圧であり膨脹していない場合の外径の1.2倍超であることを特徴とする請求項1に記載の内視鏡用フラッシングチューブ。
【請求項5】
請求項1に記載の内視鏡用フラッシングチューブの前記装着部が装着され、前記装着部から前記内視鏡接続部に向かって移送するポンプを含むことを特徴とする内視鏡フラッシング装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、内視鏡の管路に接続される内視鏡用フラッシングチューブおよび内視鏡フラッシング装置に関する。
【背景技術】
【0002】
日本国特開2012−50707号公報の図1に示されているように、内視鏡の管路内に液体を送り込む送液装置が知られている。日本国特開2012−50707号公報に開示されている送液装置の用途は、生体内の観察に使用中の内視鏡の先端部に液体を送ることであるが、同様の技術は使用後の内視鏡の管路内を洗浄する際に用いられる内視鏡フラッシング装置にも適用されている。内視鏡フラッシング装置を用いた内視鏡の管路内の洗浄は、シンクや桶等の容器内に内視鏡を配置した状態で行われる。
【0003】
内視鏡フラッシング装置を用いて内視鏡の管路内の洗浄を適切に行うには、当該管路に詰まりが発生していないことが必要である。しかしながら、従来の内視鏡フラッシング装置は、自動内視鏡洗浄消毒装置の様に送液状態を検知するセンサを有していないことから、自動的に管路の詰まりを検出することができない。
【0004】
例えば、内視鏡フラッシング装置を用いた内視鏡の管路内の洗浄時において、内視鏡に設けられた管路の開口からの液体の吐出を使用者が目視により確認すれば、使用者は管路の詰まりの有無を判断することが可能である。しかしながら、容器内において内視鏡が液体中に沈められた状態である場合には、管路の開口からの液体の吐出を目視することが困難となる。
【0005】
本発明は、上述した問題点を解決するものであって、内視鏡の管路内の詰まりの有無を確認可能な内視鏡用フラッシングチューブおよび内視鏡フラッシング装置を提供することを目的とする。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様による内視鏡用フラッシングチューブは、送液装置に装着される装着部と、内視鏡に接続される内視鏡接続部と、前記装着部および前記内視鏡接続部をつなぐ管状部と、前記装着部と前記管状部との間、前記内視鏡接続部と前記管状部との間、または前記管状部の少なくとも一部に配置され、内圧の上昇に応じて膨脹する膨脹部と、前記膨脹部の外周に配置され、前記膨脹部の外周とは異なる色を有するカバー部と、を含み、前記カバー部は、前記膨脹部が膨脹状態にあるときに前記膨脹部の外周を露出する。また、本発明の一態様による内視鏡フラッシング装置は、前記内視鏡用フラッシングチューブの前記装着部が装着され、前記装着部から前記内視鏡接続部に向かって移送するポンプを含む。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】第1の実施形態の内視鏡フラッシング装置および内視鏡用フラッシングチューブを示す図である。
図2】第1の実施形態の内視鏡フラッシング装置から内視鏡用フラッシングチューブを取り外した状態を示す図である。
図3】第1の実施形態の膨脹部の拡大図である。
図4図3のIV-IV断面図である。
図5】第1の実施形態の膨脹部が膨脹した状態を示す拡大図である。
図6図5のVI-VI断面図である。
図7】第1の実施形態の内視鏡用フラッシングチューブの変形例を示す図である。
図8】第2の実施形態の内視鏡フラッシング装置および内視鏡用フラッシングチューブを示す図である。
図9】第2の実施形態の内視鏡用フラッシングチューブの変形例を示す図である。
図10】第3の実施形態の内視鏡用フラッシングチューブの膨脹部および指標を示す図である。
図11】第3の実施形態の内視鏡用フラッシングチューブの膨脹部および指標を示す図である。
図12】第4の実施形態の内視鏡用フラッシングチューブの膨脹部および指標を示す図である。
図13】第4の実施形態の指標の変形例を示す図である。
図14】第5の実施形態の内視鏡用フラッシングチューブの膨脹部および指標を示す図である。
図15】第5の実施形態の内視鏡用フラッシングチューブの膨脹部および指標を示す図である。
図16】第6の実施形態の内視鏡用フラッシングチューブの膨脹部および指標を示す図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
以下に、本発明の好ましい形態について図面を参照して説明する。なお、以下の説明に用いる各図においては、各構成要素を図面上で認識可能な程度の大きさとするため、構成要素毎に縮尺を異ならせてあるものであり、本発明は、これらの図に記載された構成要素の数量、構成要素の形状、構成要素の大きさの比率、および各構成要素の相対的な位置関係のみに限定されるものではない。
【0009】
(第1の実施形態)
図1に、本実施形態の内視鏡フラッシング装置10および内視鏡用フラッシングチューブ1を示す。内視鏡フラッシング装置10は、図示しない内視鏡が備える管路内に液体を送り込み、管路内を洗浄する装置である。
【0010】
内視鏡フラッシング装置10は、内視鏡の管路に接続される内視鏡用フラッシングチューブ1と、内視鏡用フラッシングチューブ1を経由して液体を管路内に送り込むポンプ11と、を備える。
【0011】
詳しくは後述するが、内視鏡用フラッシングチューブ1は、内視鏡の管路に接続される内視鏡接続部4と、内視鏡フラッシング装置10に装着される装着部3と、内視鏡接続部4および装着部3をつなぐ管状部2と、を備える。また、図示しないが、内視鏡フラッシング装置10は、ポンプ11を駆動するモーターおよび電源装置を備える。
【0012】
内視鏡フラッシング装置10は、内視鏡の管路内に液体を送出する液体の一部または全部を貯留する容器を備える構成であってもよいし、このような容器を備えていない構成であってもよい。内視鏡フラッシング装置10が液体を貯留する容器を備えていない場合には、内視鏡フラッシング装置10は、他の容器に貯留されている液体をポンプ11により吸い出して内視鏡の管路内に送出する構成を備える。
【0013】
本実施形態では一例として、内視鏡フラッシング装置10は、液体が貯留されたシンクや桶等の容器内から液体を吸い出して内視鏡の管路内に送出する。また、本実施形態では、液体が貯留された容器内には、内視鏡が液体中に浸漬された状態で配置されている。したがって、本実施形態では、ポンプ11の動作時において、容器内の液体は、容器内から吸い出された後に内視鏡の管路内を通って容器内に戻るように流れる。
【0014】
内視鏡フラッシング装置10が内視鏡の管路内に送出する液体の種類は特に限定されるものではない。内視鏡フラッシング装置10が送出する液体は、水であってもよいし、洗浄液と水との混合液であってもよい。また、内視鏡フラッシング装置10は、液体に限らず、空気を送出してもよい。内視鏡フラッシング装置10により空気を送出すれば、内視鏡の管路内に残った水を除水することが可能となる。
【0015】
ポンプ11の構成は特に限定されるものではない。本実施形態では一例として、ポンプ11は、ローラーポンプである。ローラーポンプは、チューブポンプ、ペリスタルティックポンプ等とも称される。ローラーポンプは、弾性を有する材料からなるチューブの一部を押しつぶすローラーを備え、当該ローラーにより押しつぶす位置をチューブの長手方向に移動させることにより、チューブ内の流体を移動させる。ローラーポンプの構成は公知であるため、詳細な説明は省略する。なお、ポンプ11の構成は、他の形式であってもよい。
【0016】
本実施形態では一例として、ポンプ11は、ローラーが内視鏡用フラッシングチューブ1の一部である管状の装着部3を直接的に押しつぶすように構成されている。言い換えれば、内視鏡用フラッシングチューブ1の装着部3は、ローラーポンプであるポンプ11によって押しつぶされる部位である。内視鏡用フラッシングチューブ1は、図2に示すように、ポンプ11から取り外すことが可能である。
【0017】
本実施形態の内視鏡用フラッシングチューブ1は、弾性を有する樹脂からなる管状部2を備えている。装着部3は、管状部2の一部である。管状部2の任意の位置を装着部3とすることが可能であるが、本実施形態では、管状部2の中ほどが装着部3である。なお、管状部2の外表面には、印刷やシール等により、装着部3の位置を示す指標が設けられていてもよい。
【0018】
管状部2の一方の端には、内視鏡の管路に接続される内視鏡接続部4が設けられている。内視鏡接続部4は、内視鏡の管路が開口する口金に接続可能なコネクタを備える。なお、内視鏡接続部4は、内視鏡が備える複数の管路に接続可能であってもよい。
【0019】
管状部2の他方の端には、吸引部5が設けられている。吸引部5は、容器内に貯留されている液体を管状部2内に吸い込む開口を備える。吸引部5は、単純に管状部2が切り落とされた端であってもよいし、吸い込む液体をろ過するフィルタが設けられていてもよい。
【0020】
以上のように、本実施形態では、ポンプ11は管状部2を直接的に押しつぶすローラーポンプの構成を有しており、1本の管状部2により吸引部5と内視鏡接続部4を接続している。したがって、本実施形態では、ポンプ11と内視鏡用フラッシングチューブ1とを接続するコネクタが不要である。また、本実施形態では、1本の管状部2により内視鏡用フラッシングチューブ1を構成することができる。したがって本実施形態では、内視鏡フラッシング装置10および内視鏡用フラッシングチューブ1を構成する部品の点数を少なくすることができる。
【0021】
次に、内視鏡用フラッシングチューブ1の構成の詳細を説明する。内視鏡用フラッシングチューブ1は、前述した内視鏡接続部4、装着部3および管状部2の他に、膨脹部6および指標7を備える。
【0022】
膨脹部6は、管状部2の装着部3と内視鏡接続部4との間の区間の少なくとも一部に配置され、内圧が所定の値以上となると膨脹する。すなわち膨脹部6は、内視鏡フラッシング装置10の使用時において、ポンプ11よりも下流側に配置されている。
【0023】
膨脹部6は、弾性を有する樹脂等の材料からなり、管状部2の内部と連通する内部空間6aを有する。膨脹部6の内部空間6a内の圧力は、管状部2の装着部3と内視鏡接続部4との間の区間内の圧力と同一となる。
【0024】
図3は、内圧が基準圧力P0である状態の膨脹部6を拡大した図である。図4は、図3のIV-IV断面図である。図5は、内圧が所定の値以上である状態の膨脹部6を示す図である。図6は、図5のVI-VI断面図である。
【0025】
本実施形態では一例として、膨脹部6は、管状部2の装着部3と内視鏡接続部4との間の区間の少なくとも一部により構成されている。すなわち、図3および図4に示すように、本実施形態の膨脹部6は管状である。また、膨脹部6および管状部2の内圧が大気圧である場合には、膨脹部6および管状部2の外径は同一である。なお、管状部2の全体が膨脹部6であってもよい。
【0026】
膨脹部6の位置は特に限定されるものではないが、容器中において液体中に沈められた内視鏡の管路に内視鏡接続部4を接続した状態において、膨脹部6は、少なくとも一部が液体の液面上に露出することが好ましい。
【0027】
ここで、内視鏡接続部4に何も接続されていない状態でポンプ11を運転した場合における、膨脹部6の内部空間6aの圧力Pを基準圧力P0であるとする。そして内部空間6aの圧力Pが基準圧力P0である場合の膨脹部6の外径をD0とする。
【0028】
膨脹部6は、内部空間6aの圧力Pが基準圧力P0より高い所定の圧力P1である場合に、外径がD0より大きいD1以上となるように膨脹する。圧力P1は、例えば、内視鏡接続部4に接続されている内視鏡の管路に狭窄が生じている状態でポンプ11を運転した場合における、膨脹部6の内部空間6aの圧力である。
【0029】
外径D0と外径D1との比率は特に限定されるものではない。本実施形態では一例として、膨脹時の膨脹部6の外径D1は、圧力Pが基準圧力P0である場合の外径D0の1.2倍超である。
【0030】
指標7は、膨脹部6の外周に設けられている。指標7は、膨脹部6の外周に配置された複数のカバー部7aを備える。複数のカバー部7aは、それぞれの間に切れ目であるスリット7bが設けられた状態で、膨脹部6の外周に配列されている。個々のカバー部7aは、膜状または薄板状である。また、カバー部7aの外周の色は、膨脹部6の外周の色と異なっている。
【0031】
カバー部7aの構成は特に限定されるものではないが、本実施形態では一例として、カバー部7aは、膨脹部6の外周に印刷技術により付加されるインクにより構成される。なお、カバー部7aは、膨脹部6の外周に接着剤により貼り付けられたシート状の部材であってもよい。
【0032】
また、本実施形態では一例として、膨脹部6は白色の半透明の樹脂からなり、カバー部7aの外周の色は例えば黒色または灰色である。
【0033】
本実施形態の複数のカバー部7aは、管状である膨脹部6の外周の周方向に沿って、膨脹部6の周方向全体に配列されている。また、本実施形態では、複数のカバー部7aの間に設けられているスリット7bは、膨脹部6の外径がD0である場合において、人の肉眼による視認が困難な幅である。すなわち、膨脹部6の外径がD0である場合には、複数のカバー部7aは膨脹部6を覆う連続した一つの膜のように見える。
【0034】
なお、膨脹部6の外径がD0である場合におけるスリット7bの幅の具体的な数値は特に限定されるものではない。膨脹部6の外径がD0である場合におけるスリット7bの幅は、例えば指標7から0.5m以上離れた位置からの視認が困難であればよい。また、膨脹部6の外径がD0である場合におけるスリット7bの幅はゼロであってもよい。
【0035】
そして、膨脹部6の外径がD1に膨脹した場合には、図5および図6に示すように、スリット7bの幅が拡大し、スリット7bは人の肉眼による視認が容易な幅となる。すなわち、スリット7bの幅は、膨脹部6の内圧が所定の値P1以上である場合に、膨脹部6の外周が外部に露出するように拡大する。
【0036】
したがって、本実施形態の内視鏡用フラッシングチューブ1では、膨脹部6の内圧が所定の値P1以上である場合に、複数のカバー部7aの間に、スリット7bを通してカバー部7aとは異なる色である膨脹部6の外周が見えるようになる。
【0037】
以上に説明した構成を有する内視鏡フラッシング装置10および内視鏡用フラッシングチューブ1を用いて内視鏡の管路内を洗浄する場合には、まず、内視鏡用フラッシングチューブ1の装着部3を内視鏡フラッシング装置10に装着し、内視鏡接続部4を内視鏡の管路に接続する。そして、内視鏡および内視鏡用フラッシングチューブ1の吸引部5を、容器に貯留された液体中に沈め、ポンプ11の運転を開始する。
【0038】
以上の操作により、容器に貯留されている液体は、吸引部5から吸い出された後に、内視鏡の管路内に送り込まれる。このとき、内視鏡の管路内に狭窄や閉塞等の詰まりが発生していなければ、管路の流動抵抗が小さいため、膨脹部6の内部空間6aの圧力Pは、基準圧力P0と概ね同程度となる。一方、内視鏡の管路内に狭窄や閉塞等の詰まりが発生している場合には、膨脹部6の内部空間6aの圧力Pは、所定の圧力P1以上となる。
【0039】
すなわち、本実施形態の内視鏡フラッシング装置10および内視鏡用フラッシングチューブ1では、内視鏡の管路内に液体を送り込む動作の実行中において、内視鏡の管路内に詰まりが発生していなければ、スリット7bの幅は狭く、指標7において膨脹部6の外周は視認できない状態となる。一方、本実施形態において、内視鏡の管路内に詰まりが発生していれば、スリット7bの幅が拡大し、指標7において複数のカバー部7aの間に膨脹部6の外周が視認可能となる。
【0040】
カバー部7aの色は、膨脹部6の外周の色と異なることから、スリット7bを通して複数のカバー部7aの間に膨脹部6の外周が見えているか否かは、使用者によって容易に判別が可能である。
【0041】
したがって、本実施形態の内視鏡フラッシング装置10および内視鏡用フラッシングチューブ1によれば、指標7において膨脹部6の外周が露出しているかどうかを視認することによって、内視鏡の管路内の詰まりの有無を確認することができる。
【0042】
また、本実施形態の内視鏡フラッシング装置10および内視鏡用フラッシングチューブ1は、圧力センサや流量センサ等を備えた電子回路を用いずに内視鏡の管路内の詰まりの有無を確認することができ、安価に構成可能である。
【0043】
なお、本実施形態では、膨脹部6は管状部2に設けられているが、図7に変形例として示すように、膨脹部6は、内視鏡接続部4と管状部2との間に設けられていてもよい。
【0044】
(第2の実施形態)
以下に、本発明の第2の実施形態を説明する。以下では第1の実施形態との相違点のみを説明するものとし、第1の実施形態と同様の構成要素については同一の符号を付し、その説明を適宜に省略する。
【0045】
図7は、第2の実施形態の内視鏡フラッシング装置10および内視鏡用フラッシングチューブ1を示す図である。第1の実施形態では、容器内から液体を吸い出す吸引部から内視鏡接続部まで1本の管状部によりつながれているが、本変形例ではこれがポンプ11の前後で2本の管状部に分割されている。
【0046】
すなわち、本実施形態の内視鏡フラッシング装置10は、一方の端に容器内から液体を吸い出す吸引部13が設けられ、他方の端がポンプ11に接続される吸引チューブ12を備える。
【0047】
また、本実施形態の内視鏡フラッシング装置10は、ポンプ11の運転時において液体を吐出する口である吐出コネクタ11aを備える。そして、本実施形態の内視鏡用フラッシングチューブ1の装着部3は、管状部2の内視鏡接続部4とは反対の端に設けられた、吐出コネクタ11aに接続可能なコネクタである。
【0048】
以上に説明した本実施形態は、内視鏡用フラッシングチューブ1を内視鏡フラッシング装置10に装着するための構成のみが第1の実施形態と異なる。したがって、本実施形態の内視鏡フラッシング装置10および内視鏡用フラッシングチューブ1においても、第1の実施形態と同様に、内視鏡の管路内に液体を送り込む動作の実行中において、内視鏡の管路内に詰まりが発生していなければ、スリット7bの幅は狭く、指標7において膨脹部6の外周は視認できない状態となる。一方、本実施形態において、内視鏡の管路内に詰まりが発生していれば、スリット7bの幅が拡大し、指標7において複数のカバー部7aの間に膨脹部6の外周が視認可能となる。
【0049】
したがって、本実施形態の内視鏡フラッシング装置10および内視鏡用フラッシングチューブ1によれば、指標7において膨脹部6の外周が露出しているかどうかを視認することによって、内視鏡の管路内の詰まりの有無を確認することができる。
【0050】
なお、本実施形態においても、図7に示す第1の実施形態の変形例のように、膨脹部6は、内視鏡接続部4と管状部2との間に設けられていてもよい。また、図9に示す本実施形態の変形例として示すように、膨脹部6は、装着部3と管状部2との間に設けられていてもよい。
【0051】
(第3の実施形態)
以下に、本発明の第3の実施形態を説明する。以下では第1および第2の実施形態との相違点のみを説明するものとし、第1および第2の実施形態と同様の構成要素については同一の符号を付し、その説明を適宜に省略する。
【0052】
本実施形態は、内視鏡用フラッシングチューブ1の指標7の構成が第1の実施形態と異なる。前述した第1の実施形態では、指標7の複数のカバー部7aが管状である膨脹部6の外周において周方向に配列されているが、複数のカバー部7aの配列方法は第1の実施形態に限られるものではない。
【0053】
図10および図11に示すように、本実施形態の指標7の複数のカバー部7aは、膨脹部6の外周において膨脹部6の長さ方向に配列されている。膨脹部6は、内圧の上昇に伴い、径方向だけでなく長さ方向にも膨脹する。
【0054】
複数のカバー部7aの間にはスリット7bが設けられている。第1の実施形態と同様に、膨脹部6の内圧が基準圧力P0である場合には、スリット7bは人の肉眼による視認が困難な幅である。したがって、膨脹部6の内圧が基準圧力P0である場合には、図10に示すように、複数のカバー部7aは膨脹部6を覆う連続した一つの膜のように見える。一方、膨脹部6の内圧が基準圧力P0である場合よりも高い所定の圧力P1である場合には、膨脹部6が膨脹し、図11に示すように、スリット7bの幅が視認可能な状態となるまで拡大する。
【0055】
以上に説明したように、本実施形態の内視鏡フラッシング装置10および内視鏡用フラッシングチューブ1では、内視鏡の管路内に液体を送り込む動作の実行中において、内視鏡の管路内に詰まりが発生していなければ、スリット7bの幅は狭く、指標7において膨脹部6の外周は視認できない状態となる。一方、本実施形態において、内視鏡の管路内に詰まりが発生していれば、スリット7bの幅が拡大し、指標7において複数のカバー部7aの間に膨脹部6の外周が視認可能となる。
【0056】
したがって、本実施形態の内視鏡フラッシング装置10および内視鏡用フラッシングチューブ1によれば、指標7において膨脹部6の外周が露出しているかどうかを視認することによって、内視鏡の管路内の詰まりの有無を確認することができる。
【0057】
なお、本実施形態においても、図7に示す第1の実施形態の変形例のように、膨脹部6は、内視鏡接続部4と管状部2との間に設けられていてもよい。また、図9に示す第2の実施形態の変形例のように、膨脹部6は、装着部3と管状部2との間に設けられていてもよい。
【0058】
(第4の実施形態)
以下に、本発明の第4の実施形態を説明する。以下では第3の実施形態との相違点のみを説明するものとし、第3の実施形態と同様の構成要素については同一の符号を付し、その説明を適宜に省略する。
【0059】
本実施形態は、内視鏡用フラッシングチューブ1の指標7の構成が第3の実施形態と異なる。図12に示すように、本実施形態の指標7の複数のカバー部7aは、膨脹部6の外周において、周方向および長さ方向に配列されている。すなわち、スリット7bは、網目状である。膨脹部6は、内圧の上昇に伴い、径方向および長さ方向に膨脹する。
【0060】
スリット7bが、第3の実施形態と同様に、膨脹部6の内圧が基準圧力P0である場合には、スリット7bは人の肉眼による視認が困難な幅である。また、膨脹部6の内圧が基準圧力P0である場合よりも高い所定の圧力P1である場合には、膨脹部6が膨脹し、スリット7bの幅が視認可能な状態となるまで拡大する。
【0061】
本実施形態の内視鏡フラッシング装置10および内視鏡用フラッシングチューブ1では、内視鏡の管路内に液体を送り込む動作の実行中において、内視鏡の管路内に詰まりが発生していなければ、スリット7bの幅は狭く、指標7において膨脹部6の外周は視認できない状態となる。一方、本実施形態において、内視鏡の管路内に詰まりが発生していれば、スリット7bの幅が拡大し、指標7において複数のカバー部7aの間に膨脹部6の外周が視認可能となる。
【0062】
したがって、本実施形態の内視鏡フラッシング装置10および内視鏡用フラッシングチューブ1によれば、指標7において膨脹部6の外周が露出しているかどうかを視認することによって、内視鏡の管路内の詰まりの有無を確認することができる。
【0063】
なお、本実施形態においても、図7に示す第1の実施形態の変形例のように、膨脹部6は、内視鏡接続部4と管状部2との間に設けられていてもよい。また、図9に示す第2の実施形態の変形例のように、膨脹部6は、装着部3と管状部2との間に設けられていてもよい。
【0064】
また、個々のカバー部7aの形状は平行四辺形に限られるものではなく、図13に示すように、個々のカバー部7aの形状は、六角形であってもよい。この変形例では、スリット7bは、蜂の巣状となる。
【0065】
(第5の実施形態)
以下に、本発明の第5の実施形態を説明する。以下では第1および第2の実施形態との相違点のみを説明するものとし、第1および第2の実施形態と同様の構成要素については同一の符号を付し、その説明を適宜に省略する。
【0066】
本実施形態は、内視鏡用フラッシングチューブ1の指標7の構成が第1の実施形態と異なる。図14および図15に示す本実施形態の指標7は、膨脹部6の外周に配置され、膨脹部6の外周とは異なる色を有する1つまたは複数のカバー部7cと、カバー部7cに設けられた分割溝7dと、を備える。
【0067】
カバー部7cは、膜状または薄板状である。本実施形態のカバー部7cは、管状である膨脹部6の外周の周方向に沿って、膨脹部6の周方向全体を覆っている。カバー部7cの構成は特に限定されるものではないが、本実施形態では一例として、カバー部7cは、膨脹部6の外周に印刷技術により付加されるインクにより構成される。なお、カバー部7cは、膨脹部6の外周に接着剤により貼り付けられたシート状の部材であってもよい。
【0068】
また、本実施形態では一例として、膨脹部6は白色の半透明の樹脂からなり、カバー部7cの外周の色は例えば黒色または灰色である。
【0069】
分割溝7dは、膨脹部6が膨脹して膨脹部6の外周の表面積が拡大した際に、カバー部7cが破断する部分となる薄肉部を形成するためのものである。分割溝7dの断面形状は、カバー部7cの破断を促す形状であれば特に限定されるものではない。分割溝7dは、V字状の溝であってもよい。また分割溝7dは、ミシン目状に一部においてカバー部7cを貫通する形状であってもよい。
【0070】
本実施形態では、膨脹部6の内圧が基準圧力P0である場合には、図14に示すように、カバー部7cは繋がった状態である。そして、膨脹部6の内圧基準圧力P0である場合よりも高い所定の圧力P1である場合には、図15に示すように、膨脹部6が膨脹し、カバー部7cは分割溝7dの部分で破断し複数に分裂する。したがって、本実施形態では、膨脹部6が膨脹すると、指標7において膨脹部6の外周を露出させるスリット7bが発生する。
【0071】
以上に説明した本実施形態の内視鏡フラッシング装置10および内視鏡用フラッシングチューブ1によれば、第1および第2の実施形態と同様に、指標7において膨脹部6の外周が露出しているかどうかを視認することによって、内視鏡の管路内の詰まりの有無を確認することができる。
【0072】
なお、本実施形態においても、図7に示す第1の実施形態の変形例のように、膨脹部6は、内視鏡接続部4と管状部2との間に設けられていてもよい。また、図9に示す第2の実施形態の変形例のように、膨脹部6は、装着部3と管状部2との間に設けられていてもよい。
【0073】
また、本実施形態の分割溝7dは、第1の実施形態のように、カバー部7cを周方向に複数に分割させるように設けられていてもよいし、第3の実施形態のようにカバー部7cを長さ方向に複数に分割させるように設けられていてもよい。また、本実施形態の分割溝7dは、第4の実施形態のように、カバー部7cを周方向および長さ方向に分割させるように設けられていてもよい。
【0074】
(第6の実施形態)
以下に、本発明の第6の実施形態を説明する。以下では第1および第2の実施形態との相違点のみを説明するものとし、第1および第2の実施形態と同様の構成要素については同一の符号を付し、その説明を適宜に省略する。
【0075】
図16に示す本実施形態の内視鏡用フラッシングチューブ1の指標7は、膨脹部6の外周を覆う透明管7eと、膨脹部6および透明管7eの間に介装された感圧層7fと、を備える。
【0076】
透明管7eは、透明または半透明の樹脂からなる。使用者は、透明管7eの外側から感圧層7fを視認することができる。透明管7eは、膨脹部6よりも剛性が高い。透明管7eの内径は、膨脹部6の内圧が基準圧力P0である場合の膨脹部6の外径D0と同じである。
【0077】
感圧層7fは、透明管7eの内周に所定の圧力で押し付けられた場合に、外周の色が変化する。感圧層7fは、例えばノーカーボン複写紙と同様の技術を用いることができる。
【0078】
本実施形態では、膨脹部6が膨脹すれば、膨脹部6の外周によって感圧層7fが透明管7eの内周に押し付けられる。
【0079】
膨脹部6の内圧が基準圧力P0である場合には、膨脹部6が感圧層7fに加える圧力が小さいため、感圧層7fは変色しない。そして、膨脹部6の内圧が基準圧力P0である場合よりも高い所定の圧力P1である場合には、感圧層7fが変色する。
【0080】
本実施形態の内視鏡フラッシング装置10および内視鏡用フラッシングチューブ1では、内視鏡の管路内に液体を送り込む動作の実行中において、内視鏡の管路内に詰まりが発生していなければ、感圧層7fは変色しない。一方、本実施形態において、内視鏡の管路内に詰まりが発生していれば、感圧層7fが変色する。
【0081】
したがって、本実施形態の内視鏡フラッシング装置10および内視鏡用フラッシングチューブ1によれば、指標7において感圧層7fが変色しているかどうかを視認することによって、内視鏡の管路内の詰まりの有無を確認することができる。
【0082】
なお、本実施形態においても、図7に示す第1の実施形態の変形例のように、膨脹部6は、内視鏡接続部4と管状部2との間に設けられていてもよい。また、図9に示す第2の実施形態の変形例のように、膨脹部6は、装着部3と管状部2との間に設けられていてもよい。
【0083】
本発明は、前述した実施形態に限られるものではなく、請求の範囲および明細書全体から読み取れる発明の要旨或いは思想に反しない範囲で適宜変更可能であり、そのような変更を伴う内視鏡フラッシング装置および内視鏡用フラッシングチューブもまた本発明の技術的範囲に含まれるものである。
【0084】
本出願は、2017年4月4日に日本国に出願された特願2017−074529号を優先権主張の基礎として出願するものであり、上記の開示内容は、本願明細書、請求の範囲、図面に引用されたものとする。
【要約】
内視鏡用フラッシングチューブは、送液装置に装着される装着部(3)と、内視鏡に接続される内視鏡接続部(4)と、前記装着部および前記内視鏡接続部をつなぐ管状部(2)と、前記装着部と前記管状部との間、前記内視鏡接続部と前記管状部との間、または前記管状部の少なくとも一部に配置され、内圧の上昇に応じて膨脹する膨脹部(6)と、を含む。
図1
図2
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図5
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図16