(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記回転部材は、形状および材質の少なくとも一方が異なる複数種類が準備され、前記支承部材の支承箇所に交換可能に支承される請求項1〜5のいずれか一項に記載の基板搬送装置。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明の実施形態の基板搬送装置1について、
図1〜
図7を参考にして説明する。まず、実施形態の基板搬送装置1が組み込まれた部品実装装置9の全体構成について概略説明する。
図1は、2台の実施形態の基板搬送装置1が組み込まれた部品実装装置9の全体構成を示す平面図である。部品実装装置9は、2台の基板搬送装置1、部品供給装置92、93、部品移載装置95、部品カメラ装置96、97などが機台91に組み付けられて構成されている。
図1の紙面左右方向は、基板Kを搬送する搬送方向であり、X軸方向と称される。また、
図1の紙面上下方向は、搬送方向と直交する幅方向であり、Y軸方向と称される。
【0012】
2台の基板搬送装置1は、部品実装装置9の長手方向(Y軸方向)の中央付近に配設されている。2台の基板搬送装置1は、それぞれ搬送方向(X軸方向)に延在し、相互に平行配置されている。各基板搬送装置1は、上流側(
図1の左側)から基板K(
図1では便宜的にハッチングを付して示す)を搬入し、搬入方向の中間付近に設定された部品装着位置に位置決め保持する。さらに、各基板搬送装置1は、電子部品が装着された基板Kを下流側(
図1の右側)に搬出する。
【0013】
2台の部品供給装置92、93は、基板搬送装置1を間に挟んだ機台91の前側および後側(
図1の紙面上側および下側)に、互いに向かい合うように配設されている。各部品供給装置92、93は、Y軸方向に延在する扁平なカセット式フィーダ941がX軸方向に複数配列されて構成されている。各カセット式フィーダ941は、電子部品が封入されたテープを部品供給リール942から先端部の部品供給位置943に繰り出して、電子部品を順次供給する。
【0014】
部品移載装置95は、Y軸スライダ951(一点鎖線示)、X軸スライダ952(一点鎖線示)、装着ヘッド953、および図示省略のY軸レール、Y軸駆動機構、X軸駆動機構などで構成されている。装着ヘッド953は、2台の部品供給装置92、93の間で基板Kよりも高い位置をX軸方向およびY軸方向に駆動される。装着ヘッド953は、吸着ノズル954、基板認識用カメラ955、およびノズル認識用カメラ956などを有する。吸着ノズル954は、下向きに設けられており、負圧を利用して下端のノズル開口部に電子部品を吸着採取する。部品移載装置95は、部品供給装置92、93の部品供給位置943に供給された電子部品を吸着採取し、基板K上の装着位置まで搬送して装着する。
【0015】
2台の部品カメラ装置96、97はそれぞれ、基板搬送装置1と部品供給装置92、93との間に上向きに設けられている。各部品カメラ装置96、97は、吸着ノズル954が部品供給装置92、93から基板K上に移動する途中で、吸着採取されている電子部品を撮像して画像データを取得する。画像データの画像処理によって、電子部品の吸着姿勢の誤差や回転角のずれなどが判定される。判定によって使用できなくなった電子部品は、部品カメラ装置96、97に隣接して配設された廃棄ボックス98、99に廃棄される。
【0016】
実施形態の基板搬送装置1の詳細な説明に移る。
図2は、実施形態の基板搬送装置1の斜視図である。基板搬送装置1は、固定支持部21、可動支持部22、一対の基板搬送部31、32、一対の基板ガイド部41、42、支承部材51、52、回転部材6、幅調整部7、およびバックアップ機構8などで構成されている。
図3も、実施形態の基板搬送装置1の斜視図であり、
図2から一部の部材が省略されてバックアップ機構8が見やすくなっている。
【0017】
また、
図4は、
図2の白抜き矢印A1方向からみた支承部材5および回転部材6などの正面図である。
図4には、基板Kが一対の基板搬送部31、32によって搬送されつつ、回転部材6によって支持される状態が示されている。
図5は、搬入された基板Kをバックアップ機構8が部品装着位置に位置決め保持した状態を示す斜視図である。さらに、
図6は、
図3の白抜き矢印A2方向からみたバックアップ機構8などの正面図であり、位置決め保持された基板Kが示されている。
図6においても、一部の部材が省略されている。
【0018】
図2、
図3、および
図5に示されるように、固定支持部21は、2個の固定ブラケット211、212、および固定板材213からなる。2個の固定ブラケット211、212は、部品実装装置9の機台91上のX軸方向に互いに離れた位置に起立して固定されている。固定板材213は、X軸方向に延在する長い板状の部材である。固定板材213は、2個の固定ブラケット211、212の上部に架け渡されており、板幅方向を上下にして固定されている。
【0019】
可動支持部22は、2個の可動ブラケット221、222、および可動板材223からなる。可動支持部22は、固定支持部21に対し離隔して平行配置される。2個の可動ブラケット221、222は、機台91上のX軸方向に互いに離れた位置に配置され、Y軸方向において2個の固定ブラケット211、212と対向配置される。2個の可動ブラケット221、222は、機台91の上面を滑動することにより、あるいは幅調整部7に支持されて機台91の上方空間を移動することにより、Y軸方向に移動可能とされている。可動板材223は、概ね固定板材213と同形同大の板状の部材である。可動板材223は、2個の可動ブラケット221、222の上部に架け渡されており、板幅方向を上下にしている。可動板材223は、可動ブラケット221、222とともにY軸方向に移動する。
【0020】
固定支持部21および可動支持部22の上流端ならびに下流端には、それぞれ光到達型の基板検出センサ23、23が設けられている。基板検出センサ23は、固定板材213および可動板材223の一方に設けられた投光部231と、他方に設けられた受光部232とを含む。基板検出センサ23は、投光部231から受光部232に到達していた光が遮断されると基板Kの先端の通過を判定し、光が再度到達するようになると基板Kの後端の通過を判定する。
【0021】
一対の基板搬送部31、32は、主に、固定支持部21および可動支持部22の向かい合う内側に配設されている。一対の基板搬送部31、32は相互に鏡面対称の構造であるので、
図2および
図3では、見えている可動支持部22側の基板搬送部32に符号を付して説明する。また、
図4および
図6では、両方の基板搬送部31、32に符号を付して説明する。各基板搬送部31、32は、レール部材321、コンベアベルト312、322、2個の駆動プーリ314、323、324、図略の複数の搬送プーリなどにより構成されている。
【0022】
レール部材321は、X軸方向に細長い部材であり、固定板材213および可動板材223に沿って配設されている。レール部材321のX軸方向の中間付近に、部品装着位置が設定されている(
図2、
図3示)。無端環状のコンベアベルト312、322は、レール部材311、321を長さ方向に周回しつつ部分的に拡がって輪転可能に張架されている。駆動プーリ314、323、324は、各固定ブラケット211、212、および各可動ブラケット221、222に近接して配置され、コンベアベルト312、322の拡がった部分に係合している。
【0023】
上流側の固定ブラケット211の近傍の駆動プーリ、および上流側の可動ブラケット221の近傍の駆動プーリ323は、スプライン軸315に回転連結されている(
図3示)。スプライン軸315は、固定ブラケット211および可動ブラケット221に軸承されている。スプライン軸315は、可動ブラケット221の外方に配設された上流側搬送モータ316により回転駆動される。同様に、下流側の固定ブラケット212の近傍の駆動プーリ314、および下流側の可動ブラケット222の近傍の駆動プーリ324は、第2のスプライン軸317に回転連結されている(
図3示)。第2のスプライン軸317は、固定ブラケット212および可動ブラケット222に軸承されている。第2のスプライン軸317は、可動ブラケット222の外方に配設された下流側搬送モータ318により回転駆動される。また、図略の複数の搬送プーリは、コンベアベルト312、322にテンションを与えている。
【0024】
上記した構成により、一対のコンベアベルト312、322は、等しい速さで輪転駆動される。そして、上流側から基板Kが供給されると、一対のコンベアベルト312、322はその上面に基板Kの両側の縁部をそれぞれ支持して、部品装着位置まで搬入する。また、基板Kへの電子部品の装着が終わると、一対のコンベアベルト312、322はその上面に基板Kの両側の縁部をそれぞれ支持して、部品装着位置から下流側に搬出する。なお、上流側搬送モータ316および下流側搬送モータ318の一方は、省略することも可能である。
【0025】
図4および
図6に示されるように、一対の基板ガイド部41、42は、基板搬送部31と固定板材213との間、および基板搬送部32と可動板材223との間に配置されている。基板ガイド部41、42は、概ね基板Kの幅方向寸法だけ相互に離隔して配置され、X軸方向に延在している。基板ガイド部41、42は、搬送される基板Kの両側の側面をそれぞれガイドして、横振れが生じないようにする。
【0026】
図2に示されるように、支承部材51、52は、一対の基板搬送部31、32の間に配置され、上流側と下流側とに2分割されている。分割された2個の支承部材51、52のそれぞれは、4本の固定ピン53、固定板54、2枚の支承板55、および結合板56などで構成されている。4本の固定ピン53は、機台91の上流端寄りおよび下流端寄りに、長方形の4頂点の配置で垂直に立設されている。固定板54は、Y軸方向に長い長方形の板材であり、4本の固定ピン53の頂部に水平固定されている。
【0027】
2枚の支承板55は、X軸方向に延在し、板幅方向を上下とする長い板状の部材である。
図4に示されるように、2枚の支承板55は、長方形の結合板56が挟み込まれて結合され、相互に離隔して平行配置される。結合板56は、固定板54の上面に固定されている。上流側の支承部材51の支承板55は、固定板54から上流端方向にわずかに張り出すとともに、反対の部品装着位置の方向に大きく張り出している。一方、下流側の支承部材52の支承板55は、固定板54から下流端方向にわずかに張り出すとともに、反対の部品装着位置の方向に大きく張り出している。上流側および下流側の支承部材51、52の支承板55のY軸方向の位置は、相互に一致している。各支承板55の上縁のX軸方向に沿って概ね等間隔に複数の支承溝57が形成されている。支承溝57は、回転部材6を支承する本発明の支承箇所に相当する。
【0028】
平行配置された2枚の支承板55は、Y軸方向の配置位置が可変とされている。つまり、機台91に対する固定ピン53の配置、固定ピン53に対する固定板54の配置、および固定板54に対する結合板56の配置のうち少なくとも1配置が可変に調整される。支承部材51、52の構造は、上述に限定されない。例えば、上流側および下流側に分割されている支承板55に代えて、上流側から下流側まで延在する一体品の支承板を用いることができる。
【0029】
図4に示されるように、回転部材6は、2個のローラ部材61、連結軸62、および2箇所の被支承部63などで構成されている。2個のローラ部材61は、Y軸方向に延びる回転軸を有する厚い円板状の部材であり、Y軸方向に相互に離隔して配置されている。連結軸62は、2個のローラ部材61の回転軸を連結している。連結軸62のローラ部材61から突き出た両端に、それぞれ被支承部63が形成されている。被支承部63は、支承部材51、52の支承板55の支承溝57に支承されている。したがって、ローラ部材61、連結軸62、および被支承部63は一体回転し、回転部材6は、搬送方向(X軸方向)に自由回転する。回転部材6は、本発明の連結ローラ部材に相当する。
【0030】
図2において、上流側および下流側の支承部材51、52は、それぞれ7個の回転部材6を支承している。つまり、回転部材6の搬送方向に並ぶ直列個数は14個である。しかしながら、すべての支承溝57に回転部材6を配置する必要は無い。つまり、搬送する基板Kの種類に応じて、回転部材6を支承する支承溝57を取捨選択し、回転部材6の直列個数を13個以下にしてもよい。例えば、各支承部材51、52において、ひとつおきに4個の支承溝57を選択して回転部材6を配置し、合計で回転部材6の直列個数を8個にしてもよい。
【0031】
ここで、2個のローラ部材61の上限高さ位置がコンベアベルト312、322の上面高さ位置と一致するように、支承部材51、52および回転部材6の寸法が適宜設定されている。したがって、
図4に示されるように、回転部材6の2個のローラ部材61は、搬送される基板Kの下面を支持しつつ搬送方向に自由回転する。これにより、基板Kは、基板搬送部31、32によって支持される両側の縁部の他に、X軸方向の中間部分の2箇所が支持される。
【0032】
さらに、回転部材6は、ローラ部材61の材質が異なる複数種類が準備されていてもよい。基板Kに直接的に触れるローラ部材61の材質は、基板Kの材質などの性状を考慮し、ストレスを与えないなどの目安に基づいて選択されることが好ましい。ローラ部材61の材質として、金属、フッ素樹脂やアセタール樹脂、天然ゴムなどを例示できる。また、静電気対策に適するローラ部材61の材質として、導電性樹脂を例示できる。
【0033】
幅調整部7は、搬送する基板のY軸方向の幅寸法に合わせて、一対の基板搬送部31、32の相互間の離隔距離を調整する。幅調整部7は、2組のねじ送り機構71、72からなる。各ねじ送り機構71、72は、Y軸方向に対向する固定ブラケット211、212から可動ブラケット221、222にかけてそれぞれ設けられている。各ねじ送り機構71、72は、幅調整軸73、送りナット74、および幅調整用モータ75などで構成されている。以下、
図2および
図4などを参照しながら、下流側のねじ送り機構72について詳述する。
【0034】
下流側のねじ送り機構72の幅調整軸73は、Y軸方向に延在している。幅調整軸73の外周面には、雄ねじが刻設されている。幅調整軸73の一方の端部は、固定ブラケット212に穿設された軸承部214によって、軸長方向に移動不能かつ回転可能に軸承されている。幅調整軸73の他方の端部寄りは、可動ブラケット222に穿設された貫通孔224を貫通している。幅調整軸73の他方の端部は、可動ブラケット222の外方に配置された幅調整用モータ75によって回転駆動される。送りナット74は、可動ブラケット222の貫通孔224の外側に固設されている。送りナット74に刻設された雌ねじには、幅調整軸73の雄ねじが螺合している。
【0035】
2組のねじ送り機構71、72の各幅調整用モータ75は、同じ方向に同じ回転量だけ揃って動作する。すると、2本の幅調整軸73が回転し、2個の送りナット74が幅調整軸73に対して螺進または螺退する。これにより、可動ブラケット221、222が固定ブラケット211、212に対して相対移動し、固定板材213と可動板材223との平行が維持されつつ離隔距離が調整される。これは、一対の基板搬送部31、32の相互間の離隔距離が調整されることに等しい。
【0036】
図5および
図6に示されるように、バックアップ機構8は、搬入した基板Kを部品装着位置に位置決め保持する。バックアップ機構8は、一対のクランプ支持部材81、バックアップ部材82、昇降駆動機構84、一対のクランプ部材85、および4個の支持部材86などで構成されている。
【0037】
図3、
図5、および
図6に示されるように、一対のクランプ支持部材81は、一対の基板ガイド部41、42の部品装着位置の範囲に設けられ、X軸方向に延在している。一対のクランプ支持部材81は、Y軸方向において基板ガイド部41、42の上部から相互に接近するように内側に突き出している。このため、一対のクランプ支持部材81の相互間の離隔距離は、基板ガイド部41、42の相互間の離隔距離よりも小さい。したがって、基板Kの両側の縁部付近の上面は、それぞれクランプ支持部材81に当接可能となっている。
【0038】
バックアップ部材82は、部品装着位置の範囲よりも少し小さめの長方形の部材である。バックアップ部材82は、固定板材213および可動板材223よりも下方に配設されている。バックアップ部材82の4隅は、ばね部材83を用いて昇降可能に機台91に保持されている。バックアップ部材82と機台91との間に、昇降駆動機構84が配置されている(
図2示)。昇降駆動機構84は、バックアップ部材82の水平姿勢を維持しつつ昇降駆動する。バックアップ部材82は、上昇位置において支承部材51、52に干渉しない、換言すると、支承部材51、52の支承板55は、上昇したバックアップ部材82と干渉しない上方位置に配置されている。
【0039】
昇降駆動機構84は、例えば、昇降駆動用モータと、昇降駆動用モータに駆動されてバックアップ部材82の4隅をそれぞれ昇降させる4組のねじ送り機構とを組み合わせて構成できる。本願出願人は、この種の昇降駆動機構84の構成例を特願2012−277846号に開示済みである。
【0040】
図2および
図3に示されるように、一対のクランプ部材85は、部品装着位置の範囲内でX軸方向に延在する細長い板状の部材である。一対のクランプ部材85は、バックアップ部材82の上側の固定板材213および可動板材223に近い縁部に配置されている。一対のクランプ部材85は、一対のクランプ支持部材81の真下に位置する。一対のクランプ部材85は、バックアップ部材82に一体的に設けられてもよいし、別体であってもよい。
【0041】
4個の支持部材86は、部品装着位置の範囲内でX軸方向に延在する細長い棒状の部材である。4個の支持部材86は、X軸方向に2個並び、Y軸方向にも2個並ぶように配置される。各支持部材86は、2本の脚部87を用いてバックアップ部材82の上面に固定されている(
図3、
図6示)。各支持部材86の上面の高さ位置は、一対のクランプ部材85の上面の高さ位置に一致している。
【0042】
昇降駆動機構84によって上昇駆動されたバックアップ部材82は、一対のクランプ部材85および4個の支持部材86を一緒に上昇駆動する。これにより、一対のクランプ部材85および4個の支持部材86は、基板Kの下面に同時に当接する。さらに、上昇するクランプ部材85は基板Kの縁部を押し上げ、上昇する支持部材86は基板Kの幅方向の中間部分の2箇所を押し上げる。これにより、基板Kは、
図4に示される搬送高さから
図6に示される位置決め高さまで上昇する。最終的に、一対のクランプ部材85は、一対のクランプ支持部材81との間に基板Kの縁部を挟持して、位置決め保持する。このとき、4個の支持部材86はクランプ部材85と同じ高さ位置まで上昇して、基板Kの下面に接し水平に保持する。
【0043】
なお、4個の支持部材86は、着脱による有無の変更ができるようになっている。さらに、支持部材86は、位置の変更、個数の変更、ならびに交換による形状および材質の変更が可能とされている。これにより、位置決め保持する基板Kの幅寸法や剛性などの性状を考慮して、適切な支持方法を採用できる。
【0044】
次に、形状の異なる別種の回転部材6Aについて説明する。例えば、基板Kの下面に予め電子部品Pが実装済みで、
図4に示される回転部材6のローラ部材61が電子部品Pに当接してしまう場合が有る。この場合、
図4に示される回転部材6は使用できず、例えば
図7に示される別種の回転部材6Aに交換する。
図7は、形状の異なる別種の回転部材6Aを例示する図であって、
図2の白抜き矢印A1方向からみた図である。
【0045】
図7に示されるように、別種の回転部材6Aは、1個のローラ部材61A、連結軸62A、および2箇所の被支承部63などで構成されている。ローラ部材61Aの形状は、
図4に示されたローラ部材61と同じである。連結軸62Aは、ローラ部材61Aの回転中心を貫いて延在している。連結軸62Aの両端に、
図4と同じ被支承部63が形成されている。2つの被支承部63とローラ部材61Aとの距離は、左右で一致している。別種の回転部材6Aでは、ローラ部材61Aの幅方向(Y軸方向)の配置位置を
図4から変更することで、電子部品Pへの当接を回避できる。
【0046】
なお、別種の回転部材として、多様な形状が考えられる。例えば、
図4においてローラ部材61が幅方向に並ぶ並列個数は2個であり、
図7においてローラ部材61Aの並列個数は1個である。これらに限定されず、幅方向の並列個数を3個以上としてもよい。並列個数を増加させれば、当然ながら基板Kの幅方向の支持箇所数を増やすことができる。また例えば、
図7において、2つの被支承部63とローラ部材61Aとの距離を左右で異なるものにでき、さらには、ローラ部材61Aの厚み自体を変更してもよい。
【0047】
さらになお、回転部材6、6Aを交換するのでなく、同じ回転部材6、6Aを用いつつ幅方向の配置位置を調整して電子部品Pへの当接を回避してもよい。この場合、前述したように支承部材51、52の2枚の支承板55の幅方向(Y軸方向)の配置位置を変更する。
【0048】
また、回転部材6、6Aの交換作業や幅方向の配置位置の調整作業は、電子部品Pへの当接を回避するときに限定されず、生産する基板Kの種類の変更に対応して適宜実施することができる。例えば、基板Kの幅方向の寸法が変更になるとき、幅方向の支持箇所が等間隔に並ぶように回転部材6、6Aの配置位置を調整することが好ましい。また例えば、幅寸法が特に大きな基板や剛性の特に小さな基板では、幅方向の支持箇所数を増やすように回転部材6、6Aを増加または交換することが好ましい。これらの回転部材6、6Aに関する作業は、基板Kの種類を変更するときの段取り作業のなかで、幅調整部7による基板搬送部31、32の相互間の離隔距離の調整に合わせて実施することができる。
【0049】
次に、実施形態の基板搬送装置1の作用について、従来構成と比較して説明する。
図8は、従来構成の基板搬送装置1Xによる基板KXの搬送状況を示す斜視図である。従来構成の基板搬送装置1Xは、支承部材51、52および回転部材6を有さない。このため、一対の基板搬送部31、32により基板Kを搬送するとき、基板Kは幅方向の縁部の2箇所のみが支持される。したがって、
図8に示されるように、基板KXは、幅方向の中間部分が下方に撓んでしまう。すると、基板KXが、搬送途中でコンベアベルト322から外れてしまったり、バックアップ機構に干渉したりして、搬送不能となる問題が生じ得る。
【0050】
これに対して実施形態の基板搬送装置1では、基板Kは、
図4に示される状態で搬送される。つまり、基板Kは、基板搬送部31、32によって支持される両側の縁部の他に、X軸方向の中間部分の2箇所が支持される。また、実施形態の基板搬送装置1で、基板Kは、
図5および
図6に示される状態で位置決め保持される。つまり、基板Kは、クランプ支持部材81およびクランプ部材85によって挟持される両側の縁部の他に、4個の支持部材86により幅方向(X軸方向)の中間部分の2箇所が支持される。
【0051】
実施形態の基板搬送装置1は、基板Kを搬送する搬送方向に延在し相互に離隔して平行配置され、基板Kの両側の縁部をそれぞれ支持して搬送する一対の基板搬送部31、32と、各基板搬送部31、32に並べて配置され、搬送される基板Kの両側の側面をそれぞれガイドする一対の基板ガイド部41、42と、一対の基板搬送部31、32の間に配置された支承部材51、52と、支承部材51、52に支承され、搬送される基板Kの下面を支持しつつ搬送方向に自由回転する回転部材6と、を備えた。
【0052】
これによれば、基板Kの両側の縁部が基板搬送部31、32によって支持されるのに加えて、基板Kの幅方向の中間部分が回転部材6によって支持される。このため、薄くて撓みやすい基板Kであっても、撓み量を低減できて確実な搬送が可能になる。さらに、従来構成に追加する支承部材51、52および回転部材6は簡易な構造であるので、基板搬送装置1のイニシャルコストの増加はわずかである。一方、工程数および生産時間の増加を招く搬送用治具は不要であり、ランニングコストは増加しない。したがって、総合的にみて基板Kの生産コストの上昇が抑制される。
【0053】
さらに、実施形態の基板搬送装置1において、回転部材6は、幅方向(X軸方向)に延びる回転軸を有する円板状の2個のローラ部材61が一体回転するように連結された連結ローラ部材を含んで形成されている。これによれば、基板Kの幅方向の中間部分の2箇所が回転部材6によって支持される。このため、薄くて撓みやすい基板Kであっても、撓み量を格段に低減できて確実な搬送が可能になる。
【0054】
さらに、実施形態の基板搬送装置1において、回転部材6は、搬送方向と直交する幅方向の配置位置が可変とされている。これによれば、生産する基板の幅寸法が変更されたときに、回転部材6の幅方向の配置位置を調整して、基板Kの幅方向の適切な箇所を支持できる。このため、薄くて撓みやすい基板Kであっても、各位置における撓み量のばらつきを抑制しつつ低減できて確実な搬送が可能になる。
【0055】
さらに、実施形態の基板搬送装置1は、一対の基板搬送部31、32の相互間の離隔距離を調整する幅調整部7をさらに備え、回転部材6は、幅調整部7による離隔距離の調整に合わせて幅方向の配置位置が調整可能とされている。これによれば、生産する基板の種類を変更するときの段取り作業のなかで、幅調整部7の調整作業に合わせて回転部材6の配置位置の調整作業を効率良く行える。
【0056】
さらに、実施形態の基板搬送装置1において、回転部材6が幅方向(Y軸方向)に並ぶ並列個数、および回転部材6が搬送方向(X軸方向)に並ぶ直列個数が可変とされ、加えて、複数の回転部材6の少なくとも一部が着脱可能とされている。これによれば、基板Kの幅寸法や剛性などの性状に合わせて回転部材6の数量を調整できるので、基板Kの撓み量を適正に低減できて確実な搬送が可能になる。
【0057】
さらに、実施形態の基板搬送装置1において、回転部材6、6Aは、形状および材質の少なくとも一方が異なる複数種類が準備され、支承部材51、52の
支承溝57(支承箇所)に交換可能に支承される。これによれば、基板Kの幅寸法や剛性、材質などの性状に合わせて回転部材6、6Aの形状や材質を選択できる。したがって、基板Kにストレスを与えることなく撓み量を低減できて、確実な搬送が可能になる。
【0060】
さらに、実施形態の基板搬送装置1は、一対の基板ガイド部41、42に設けられ、基板Kの両側の縁部付近の上面がそれぞれ当接可能な一対のクランプ支持部材81と、一対の基板ガイド部41、42の下方に配置されて昇降駆動されるバックアップ部材82と、バックアップ部材82の上側に配置されてバックアップ部材82の上昇により駆動され、基板Kの両側の縁部付近の下面をそれぞれ押し上げクランプ支持部材81との間に基板Kを位置決め保持する一対のクランプ部材85と、バックアップ部材82の上側に配置されてバックアップ部材82の上昇により駆動され、上昇して基板Kの下面を支持する支持部材86と、を有するバックアップ機構8をさらに備え、支承部材51、52は、上昇したバックアップ部材82と干渉しない上方位置に配置されている。
【0061】
これによれば、基板Kは、クランプ支持部材81およびクランプ部材85に挟持される両側の縁部の他に、4個の支持部材86によって幅方向(X軸方向)の中間部分の2箇所が支持される。このため、薄くて撓みやすい基板であっても、撓み量を低減できて確実に電子部品を装着できる。
【0062】
さらに、実施形態の基板搬送装置1において、支持部材86は、有無の変更、位置の変更、個数の変更、ならびに交換による形状および材質の変更が可能とされている。これによれば、位置決め保持する基板Kの幅寸法や剛性などの性状を考慮して、適切な支持方法を採用でき、より一層確実に電子部品を装着できる。
【0063】
なお、回転部材6、6Aは、実施形態の形状に限定されず、例えば、球体であってもよい。また、実施形態の基板搬送装置1は、部品実装装置9以外の基板生産装置、例えば半田印刷装置に組み込むこともできる。さらに、本発明は、バックアップ機構8を備えない搬送機能のみの基板搬送装置としても実施することができる。本発明は、その他にも様々な応用や変形が可能である。