特許第6411863号(P6411863)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6411863
(24)【登録日】2018年10月5日
(45)【発行日】2018年10月24日
(54)【発明の名称】テーブルゲームのカード廃棄装置
(51)【国際特許分類】
   A63F 1/06 20060101AFI20181015BHJP
【FI】
   A63F1/06 Z
【請求項の数】5
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2014-223628(P2014-223628)
(22)【出願日】2014年10月14日
(65)【公開番号】特開2016-77834(P2016-77834A)
(43)【公開日】2016年5月16日
【審査請求日】2017年10月12日
(73)【特許権者】
【識別番号】000103301
【氏名又は名称】エンゼルプレイングカード株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】230104019
【弁護士】
【氏名又は名称】大野 聖二
(74)【代理人】
【識別番号】230120651
【弁護士】
【氏名又は名称】山口 裕司
(74)【代理人】
【識別番号】100106840
【弁理士】
【氏名又は名称】森田 耕司
(74)【代理人】
【識別番号】100131451
【弁理士】
【氏名又は名称】津田 理
(74)【代理人】
【識別番号】100167933
【弁理士】
【氏名又は名称】松野 知紘
(74)【代理人】
【識別番号】100174137
【弁理士】
【氏名又は名称】酒谷 誠一
(74)【代理人】
【識別番号】100184181
【弁理士】
【氏名又は名称】野本 裕史
(72)【発明者】
【氏名】重田 泰
【審査官】 金子 和孝
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2013/172038(WO,A1)
【文献】 特開2006−189957(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A63F 1/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ディーリングシューによりゲームテーブルに配られたカードを、ゲーム使用後に廃棄するカード廃棄装置であって、
廃棄するカードを受け入れる排出口と、
前記排出口より受け入れたカードの枚数をカウントし記憶する枚数カウンタと、
前記排出口に投入されたカードを受け入れる廃棄カードストッカと、
前記排出口に投入された全てのカードが所定のデック数分の枚数だけ揃っているか否かを判定するデック検査手段と、を備え、
前記廃棄カードストッカは、複数のパーティションにより区分された複数のポケットを備えており、前記各ポケットは、前記ディーリングシューから配布されゲームに使用され回収されたカードを順次受け入れるとともに、前記ディーリングシュー内に使用されずに残ったカードを全て受入れ可能な構造であり、
記デック検査手段は、前記枚数カウンタによりカウントされた各回のゲームに使用されたカードの枚数と、前記ディーリングシュー内に使用されずに残ったカードの枚数とを総合計数し、廃棄されたカードが所定のデック数分の枚数だけ揃っているか否かを判定するものであり、
前記廃棄カードストッカの複数のポケットは、装置の本体に対して相対的移動が可能で、異なるカードのセットがそれぞれ受け入れ可能な構造であり、さらに装置の本体に対して着脱可能な構造を有するものである、カード廃棄装置。
【請求項2】
シャッフルされた複数デッキのカードが包装されたパッケージの状態で提供され、前記包装にはそれぞれに異なるバーコードが設けられ、前記バーコードから個別のカードのセットを特定するID情報を読み取る読取り装置をさらに備えた、請求項1に記載のカード廃棄装置。
【請求項3】
前記廃棄カードストッカの区分された複数のポケットは、前記バーコードも前記ポケットに収納可能である、請求項2に記載のカード廃棄装置。
【請求項4】
前記廃棄カードストッカは、廃棄されるべきカードの取出しを防止するロック装置を更に備える、請求項1から3のいずれかに記載のカード廃棄装置。
【請求項5】
前記排出口に投入されたカードにボイド穴もしくはボイドマークを付すボイド手段を更に備えた、請求項1から4のいずれかに記載のカード廃棄装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カードゲームにおいて使用済のカードが不正に持ち出されることを防止し、所定の枚数分確実に廃棄されたか否かの検出を行う機能を備えたテーブルゲームのカード廃棄装置に関し、特に廃棄されるべきカードを確実に廃棄カードストッカに収納できるようにする装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ゲームテーブルにおいて、カードをゲーム中にすり替えて自己に有利なゲームにする不正が行われることが考えられるが、この種の不正の防止装置の一つは、国際公開2013/172038に開示されている。同文献では、テーブルゲームに登場したカードと毎回のゲームに使用されたカードの枚数が一致しているか否かを判定するとともに、テーブルゲームに登場したカードを排出口に投入するようにし、使用されたカードにボイド穴もしくは切欠きを付すとともに、ボイドしたカードを廃棄カードカートンに受け入れ廃棄するものであった(特許文献1)。
【0003】
テーブルゲームで使用されたカードにボイド穴もしくは切欠きを付すとともに、ボイドしたカードを個別の廃棄カードカートンに受け入れ廃棄する場合には、前記カートンの入れ替えや、カートン毎の廃棄に手間がかかり、カートン毎の廃棄が確実に行われるように管理する手間がかかるという問題が存在していた。
【先行技術文献】
【0004】
【特許文献1】 国際公開2013/172038
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来装置は、ゲームテーブル上でディーリングシューに収納された所定のデック数分のカード(例えば8デッキを使用する場合には52枚×8デッキの416枚)が揃っていたか否かを確認し、それらのカードを廃棄カードカートンに入れて廃棄するものであったため、前記カートンの入れ替えや、カートン毎の廃棄に手間がかかり、カートン毎の廃棄が確実に行われるようにカートン毎の管理をする手間がかかるという問題が存在していた。
【0006】
本発明はこのような背景の下でなされたものであり、その目的は、ゲームテーブル上で使用された後に廃棄されるカードが、所定の枚数(例えば8デッキを使用する場合には52枚×8デッキの416枚)分揃っているか否かを検証した上で、カード廃棄装置の廃棄カードストッカの複数ポケットに順次収納される構造とし、複数のパーティションにより区分された複数のポケットにより完全な廃棄作業を実現するカード廃棄装置を提供することにある。また枚数チェックした後でカードが再使用できないように廃棄カードストッカにはロック装置を備えることでカードの不正な再使用を完全に封じることができる。
【課題を解決するための手段】
【0007】
従来の課題を解決するため、本発明のカード廃棄装置は、ディーリングシューによりゲームテーブルに配られたカードを、ゲーム使用後に廃棄するカード廃棄装置であって、
廃棄するカードを受け入れる排出口と、
前記排出口より受け入れたカードの枚数をカウントし記憶する枚数カウンタと、
前記排出口に投入されたカードを受け入れる廃棄カードストッカと、
前記排出口に投入された全てのカードが所定のデック数分の枚数だけ揃っているか否かを判定するデック検査手段と、を備え、
前記廃棄カードストッカは、複数のパーティションにより区分された複数のポケットを備えており、前記各ポケットは、前記ディーリングシューから配布されゲームに使用され回収されたカードを順次受け入れるとともに、前記ディーリングシュー内に使用されずに残ったカードを全て受入れ可能な構造であり、
前記カードデック検査手段は、前記枚数カウンタによりカウントされた各回のゲームに使用されたカードの枚数と、前記ディーリングシュー内に使用されずに残ったカードの枚数とを総合計数し、廃棄されたカードが所定のデック数分の枚数だけ揃っているか否かを判定するものであり、
前記廃棄カードストッカの複数のポケットは、装置の本体に対して相対的移動が可能で、異なるカードのセットがそれぞれ受け入れ可能な構造であり、さらに装置の本体に対して着脱可能な構造を有するものである。
【発明の効果】
【0008】
本発明のテーブルゲームのカード廃棄装置によれば、複数のパーティションにより区分された複数のポケットにより個別カートンの管理が不要で、廃棄すべきカードの完全な廃棄作業を実現するカード廃棄装置を提供する。また枚数チェックした後でカードが再使用できないように廃棄カードストッカにはロック装置を備えることでカードの不正な再使用を完全に封じることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】 本発明の実施の形態におけるテーブルゲームシステムの平面図。
図2】 本発明の実施の形態におけるカットカードの平面図。
図3】 同実施の形態におけるテーブルゲームシステムのカード廃棄装置の斜視図。
図4】 本発明の実施の形態におけるカード廃棄装置の側断面図。カードの情報として印刷されたマークMで構成されるコードとカード情報取得センサの2つのUVセンサの出力波形の関係を示す図。
図5】 (a)(b)(c)同カード廃棄装置のウエイトの機能を示す斜視図。
図6】 同実施の形態における廃棄カードストッカの蓋を取り除いた平面図。
図7】 同実施の形態における廃棄カードストッカの蓋の平面図。
図8】 本発明の実施の形態1におけるカードの平面図。
図9】 ボイド手段(穿孔装置)によりボイド穴が設けられた状態のカードを示す平面図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
(実施の形態1)
本発明の実施の形態1について図面を参照しながら説明する。図1において、本発明の実施の形態1におけるテーブルゲームのカード廃棄装置のカード廃棄装置1は、ゲームテーブル2上に設置されるかもしくはゲームテーブル2の側面に配置される。図1に示すゲームテーブル2は簡略化した図で示されており、通常のバカラゲーム用のものであり、周知のように、バカラゲームにおいては、プレーヤとバンカーによりプレーされる。ゲームテーブル2には、ディーリングシュー200が設けられている。ディーリングシュー200は、カード3の提供源であり、ディーリングシュー200から繰り出されたカード3がプレーヤに配られる。そして、ゲームの終了後に、カード3はカード廃棄装置1により廃棄処理される。本実施の形態1は、ゲームテーブル2上に載せられたディーリングシュー200に収納されゲームテーブル2上にディーラー等により手動で配られるカード3を、ゲーム使用後に廃棄するカード廃棄装置であって、ディーリングシュー200に収納される複数デッキのカード3のセット(通常は6、8もしくは12デッキ)と、回収したカード3aを廃棄するカード廃棄装置1とを基本構成として有するカード廃棄装置である。
【0011】
カード3のセット3sには、ゲームテーブル2のディーリングシュー200にセットされる前にカットカード3cが挿入されている。カットカード3cは、カード3のセット3sをゲームに使用する際、カード3のセット3sの後半部分(残りが4分の1あるいは5分の1程度)に挿入されるもので、ゲーム中に配布された各カードのランクがプレーヤによりカウントされ、残り少ないカードのランクが予測されるのを防止するため約20枚から40枚カード3をディーリングシュー200に残した状態でそのゲームテーブル2のゲームを終了するために使用される(図13参照)。カットカード3cの平面図を図2に示す。
【0012】
カード廃棄装置1は、各回のゲームに使用され回収されたカード3aを順次受け入れるとともに、ディーリングシュー200からカットカード3cが出てきた時以降に所定のタイミング(カットカード3cが引き出された後の次ゲームまたは2−3ゲームの後でゲームが中止された時に、ディーリングシュー200内に使用されずに残ったカード3rを全て受入れ可能な構造をとなっている。カード廃棄装置1は、後述するカードデック検査手段により、各回のゲームに使用された後のカード3aの枚数と、ディーリングシュー200からカットカード3cが出てきた時以降のディーリングシュー200内に使用されずに残ったカード3rの枚数とを総合計数し、廃棄されたカードの全てが所定のデック数分の枚数だけ揃っているか否かを判定する。
【0013】
次に、カード廃棄装置1の詳細について図3−7により説明する。カード廃棄装置1は、各回のゲームのためにゲームテーブル2上に配布され、後にゲーム後のカード3aを廃棄するための排出口4を備えている。カード廃棄装置1は、排出口4から廃棄対象のカード3aを受け入れる廃棄カード受け台5と、排出口4に投入されたカード3aから数(ランク)と種類(スート)の情報を取得する廃棄カード情報取得手段6と、廃棄するカード3aより組情報を取得する組情報取得手段7と、排出口4に投入され廃棄するカード3aの枚数をカウントする枚数計測手段としてのカードの枚数カウンタ8と、組情報取得手段7より得たカードの組情報を所定の組情報と比較し、カードの組情報が所定の組情報と一致するか否かを判定する真偽判定手段9と、判定手段の判定結果を出力する出力手段10とを備えた構成を有する。廃棄カード情報取得手段6より得た情報と、枚数カウンタ8の情報を統合してカード3の少なくとも数(ランク)毎にそれらの枚数を計測して、排出口4に投入されたカード3の数が所定の枚数だけ揃っているか否かを判定するデック検査手段13を備える。カード廃棄装置1は、全体の動作を制御する制御装置14を備えており、上記の各手段も制御装置14に配置され、各動作を制御する。制御装置14は、マイクロコンピュータおよびメモリ等を含む電子回路で構成され、CPU、ROM、RAM等の通常のコンピュータの構成を有する。制御装置14は、ROM他のメモリに記憶したプログラムを実行することで、装置の全体を制御し、必要な処理を行う。
【0014】
更にカード廃棄装置1の詳細について説明する。ゲーム使用後のカード3は、排出口4に挿入されて廃棄される。廃棄対象のカード3を受け入れる廃棄カード受け台5の上部にはウエイト56が配置されている。このウエイト56は、廃棄対象のカード3がゲーム中に折曲げられたりしていた場合においても、カード3を廃棄カード受け台5に押し付けて確実にカード3を繰出しローラ15に向けて繰り出されることを補助するために設けられ、ウエイトローラ57,58によりカード3の前後を下方に押さえ付けるように構成している。ウエイト56は、図5(a)に示すようにカード3を矢印Pに示す方向から排出口4に受け入れるが、カード3が束の状態でも受け入れられるように上方に移動できる(図5(b)と(c)にこの状態示す)構造になっている。
【0015】
廃棄カード受け台5の下方には、廃棄カード受け台5に手で載せられた廃棄するカード3を一枚ずつ繰出すため繰出しローラ15が設けられている。繰出しローラ15は駆動モータ16により回転駆動される。この駆動モータ16はステッピングモータを使用している。廃棄カード受け台5上にカード3が載せられると、カードセンサ17がこれを検出して、制御装置14は駆動モータ16を制御して、繰出しローラ15が回転する。このようにして、繰出しローラ15により廃棄カード受け台5にあるカード3が繰出される。繰出しローラ15から繰出したカード3は、さらに一対の送出しローラ18により廃棄カードストッカ19の方向(矢印D)に向けて送出される。前記送出しローラ18は送出モータ16fにより駆動制御され、繰出しローラ15より送出されるカード3の速度より早い速度でカード3を送出すよう、駆動速度が設定されているので、カード3は送出しローラ18により引っ張られるようにして、確実に廃棄カードストッカ19の方(矢印D)へ送られる。送出されるカード3は、送り出しの途中で組情報取得センサ20と2つのカード情報取得センサ21を通過し、ここでカード3の情報が検出取得される。
【0016】
組情報取得センサ20は、カード3から組情報を取得する組情報取得手段7に接続されている。また、カード情報取得センサ21はカード3より数(ランク)の情報を取得する廃棄カード情報取得手段6に接続され、数(ランク)の情報が取得される。廃棄カードストッカ19へ送られるカード3はカードセンサ17に接続された枚数カウンタ8で検出され、通過するカード3の枚数がカウントされる。組情報取得センサ20の信号は、組情報取得手段7に伝えられ、組情報取得手段7により得られたカード3の組情報は、真偽判定手段9により予め記憶された所定の組情報と比較され、カード3の組情報が所定の組情報と一致するか否かが判定される。真偽判定手段9によりカード3の組情報が所定の組情報と一致しないときは偽カードであると判定し、制御装置14は判定結果を出力する出力手段10を介して表示ランプ22を点灯し、カジノ等の管理部門等400に偽カードの存在を通信回線406を介して送信する。
【0017】
真偽判定手段9によりカード3が偽カードであると判定されると、制御装置14によりボイド手段36にその情報が伝えられるカード3に不良であることを示す特殊なボイド穴Hまたはボイド穴Hが2個穿孔される。真偽判定手段9により判定の済んだカード3は開口19Mを介して廃棄カードストッカ19へと送られる。カード3は廃棄カードストッカ19の廃棄カード用のポケット19cに至るまでの間で、カードの取出しが出来ないように閉じた廃棄カード通路構造を有する。また、廃棄されるカード3hは他に流用されないようにボイド穴Hが穿孔され、ボイド屑とともに廃棄カード用のポケット19c内に落ちる。
【0018】
カード3は、廃棄カードストッカ19の方へ送られる際にカード情報取得センサ21と組情報取得センサ20とによりそれぞれ情報が取得され、真正なカード3であると判定された後に、カード3を今後使用出来ないようにするボイド穴Hがボイド手段26によりカード3に開けられる。このため廃棄カードストッカ19の方へ送られるカード3はボイド手段26を通過する。ボイド手段26は、カード3に穴あけ手段(ポンチとダイなど)等によりボイド穴Hを開ける。ボイド穴Hを開けられたカード3hは、廃棄カードストッカ19の廃棄カード用のポケット19c内に落ちる。本実施例では、ボイド手段26によりボイド穴Hを開ける構成であるが、カード3の角に切り欠きを設けるか、公知のスタンプやレーザを用いた印字手段によるボイドマークを付与する構成としてもよい。これにより廃棄処理およびチェックした後でカードを再使用できないようにカードにボイド穴もしくはボイドマークを設けて、カードの不正な再使用を完全に封じている。
【0019】
なお、廃棄カードストッカ19には、後に廃棄カード3hの取出しを可能にする蓋19fが設けられている。蓋19fには廃棄カードロック手段27が設けられており、廃棄カードストッカ19の移動中に不正に廃棄カード3hを取り出すことを防いでいる。また、廃棄カードストッカ19をカード廃棄装置1本体から取り外す場合には、カード廃棄装置1の上部に設けた取出し用のカバー28を開けて行う。カバー28の操作を制限する不正防止装置25がカバー28に設けられており、職権のある作業者のみが鍵等を用いてカバー28を開けることができるように制御装置14が不正防止装置25を制御している。廃棄カードロック手段27は、蓋19fの開閉をロック制御しており、職権のある作業者のみが鍵等を用いて蓋19fを開けることができ、廃棄カード3hの廃棄カードストッカ19からの不正な取出しを防止している。廃棄カードストッカ19の本他側と蓋19fの間には、送出しローラ18により送り出されるカード3hを受け入れてポケット19cに入れることができるように隙間Rが生じるように蓋19fの形状が設計されている。
【0020】
次にデック検査手段13について説明する。ゲームテーブル2上に載せられたディーリングシュー200(電子シュー)には、通常複数デッキ(4,6もしくは8デッキ)のカードがセットされる。カードのセット3sは、シャッフルされた複数デッキのカードが包装された状態(パッケージ404)で提供され、前記パッケージ404にはそれぞれに異なるバーコード403が設けられている(図6参照)。ゲームテーブル2に配置された読取り装置100によって、このバーコード403から個別のカードのセット3sを特定するID情報が読み取られ、これからゲームに使用するカードのセット3sが特定される。そして、カードのセット3sがディーリングシュー200内にセットされ、各回のゲームに提供される。ディーリングシュー200内にセットされたカードのセット3sは、その全てが使用されることはない。すべてのゲームのはじめに、ゲームのセキュリティ上の理由でカットカード(図2.3c)が複数デッキ(4,6もしくは8デッキ)のカードのセット3sの中に挿入され、そのカットカード3cが現れたら、ディーリングシュー200内の残りのカード3rはそれ以上使用されない。残った全てのカード3rは、廃棄するため排出口4に投入される。
【0021】
これら残った全てのカード3rは、廃棄するための排出口4に投入され、残りのカード3rから廃棄カード情報取得手段6により数(ランク)の情報が取得される。デック検査手段13は、残りのカード3rから廃棄カード情報取得手段6により得た数(ランク)の情報と、既に各回のゲームに使用された各カード3aより得られた少なくとも数(ランク)の情報とを合わせて、枚数計測手段としてのカードの枚数カウンタ8の情報と総合し、カードの数(ランク)毎にカード枚数を計測し、前記ゲームテーブル上に載せられて排出口4に投入された全てのカードに対して数(ランク)毎に所定のデック数分の枚数だけ揃っているか(エースからキングまで416枚(例:4種×8デッキ)否かを判定する。
【0022】
テーブルゲームにおいて使用されるカード3の総枚数は、カジノ等において予め決められており(通常は4,6、8、10、12デッキのいずれか)例えば8デッキの場合には、52枚×8デッキの416枚のカード3で、同じスート、ランクのカードが各8枚使われる。デック検査手段13では、制御装置14によりこれらが各枚数揃っているかを判定し、結果を出力する出力手段10により結果により表示ランプ22の異なる色を点灯し、また、同時にカジノ等の管理部門等400にカード3の計数結果を通信手段406により送信する。
【0023】
既に廃棄カードストッカ19のポケット19cに廃棄したカード3hと、ゲームに使われずにまとめて排出口4の廃棄カード受け台5に置かれたカード3r(これも廃棄カードストッカ19のポケット19cに保管される)とを総合すると、ディーリングシュー200に初めにセットされた52枚×8デッキの416枚がポケット19cにすべて保管されることにとなる。デック検査手段13は、8デックのカードのセット3sでは、52枚×8デッキの416枚の全てから得た情報より、同じランク13種のカードが各32枚(トータルで416)存在するか否かを検査する。このようにしてデック検査手段13により416枚のカードが揃っていることが確認される。
【0024】
ディーリングシュー200内に入っていたカードのセット(例えば8デック)は使用が終了し、上述のようにすべてポケット19cにすべて保管される。この後、ポケット19cに入っているカードのセット3sを特定するため、カードのセット3sを包んでいたパッケージ404に付けられたバーコード403がポケット19cに挿入される。この場合バーコード403だけでなく、パッケージ404もポケット19cに挿入されてもよい。パッケージ404とバーコード403が同じポケット19cに挿入されるとカジノのテーブル周りにごみが発生せず整理面で利点がある。パッケージ404とバーコード403は、取出し用のカバー28に形成したスリット28sと蓋19fに設けたスリット19sを通ってポケット19cに入る。取出し用のカバー28は鍵を開けて上に開く構造とし、パッケージ404とバーコード403をスリット19sを介してポケット19cに入れてもよい。このようにして、ディーリングシュー200内に入っていたカードのセット(例えば8デック)は使用が終了し、ポケット19cにすべて保管され、カードのセット3sが特定のために使われたバーコード403も同じポケット19cに入れられることになる。
【0025】
ディーリングシュー200内に入っていたカードのセット(例えば8デック)のすべてがポケット19cに保管され、バーコード403が入れられると、ディーラーが回転装置28(ステッピングモータ等)をスイッチ(図示しない)等で作動させ、廃棄カードストッカ19は回転軸19rを中心に40度回転(矢印W)される。廃棄カードストッカ19には9個のポケット19cが区画されて設けられており、40度回転(矢印W)されると隣の空のポケット19c(図6参照)が次の廃棄されるカードのセット3sの受け入れを可能な位置に位置決めされる。
【0026】
廃棄カードストッカ19は、複数のパーティションにより区分された複数のポケット19cを備えており、前記各ポケット19cは、前記ディーリングシューから配布されゲームに使用され回収されたカード3h(例えば416枚)を順次受け入れることができる大きさになっている。そして、所定のタイミングでゲームが中止された時に、ディーリングシュー200内のカードのセット3sのすべてとバーコード403が入れられる、廃棄カードストッカ19は回転軸28rを中心にして回転され、隣の空いたポケット19cが廃棄カード3hを受け入れる位置(図4の状態)に着く。順次ポケット19cが廃棄されるカードのセット3sを受け入れ、9セットまで受け入れ可能な構造となっている。廃棄カードストッカ19の中央には、回転軸28rを受け入れる軸穴19hが設けられており、軸穴19hをガイドにして、廃棄カードストッカ19は回転する。
【0027】
廃棄カードストッカ19をカード廃棄装置1本体から取り外す場合には、カード廃棄装置1の上部に設けた取出し用のカバー28を開けて軸穴19hをガイドにして廃棄カードストッカ19を上方に取り出す。カバー28の操作を制限する不正防止装置25がカバー28に設けられているので、職権のある作業者のみが取出しを行うことができる。カード廃棄装置1本体から取り外したカードストッカ19は、蓋19f(図7(b))で上部の解放部分19xが覆われているので廃棄されるカード3hは取り出せない。廃棄カードロック手段27が、蓋19fをカードストッカ19にロックしており、職権のある作業者のみが鍵等を用いて蓋19fを開けることができ、廃棄カード3hの廃棄が可能となる。
【0028】
次に、本発明の実施の形態におけるテーブルゲームに使用するカード3について図8により説明する。カード3には、カード3の数がコード化され通常では目に見えないマークMで構成されるコード102が、カード3の上辺と、下辺に点対称に設けられている。このコード102は、昼光下で目に見えない赤外線反応インク、もしくは紫外線反応インクで印刷された複数のマークMの数および配置の組合せて構成されている。また、カード3にはカードの真偽を表す情報をコード化して通常では目に見えない状態(例えば紫外線反応インク)で印刷等により配置された真偽判定コードとして使われる組コード情報103が設けられている。コード102と組コード情報103とは、少なくともカード3の2か所に配置され、カード3の中心に関して点対称の位置に配置される。
【0029】
コード102は、カード情報取得センサ21を構成する2つのカード情報取得センサ21により読み取られる。カード情報取得センサ21はマークMを検出すると出力信号を出すように構成されている(公知の紫外線反応光センサ等が使用されている)。2つのUVセンサのオン信号の出力と(マークMで構成されるコード102を読み取った時の電気信号出力)とマークMの関係を図8に示す。マークMで構成されるコード102に対する2つのUVセンサのオン信号の出力の相対変化の比較結果に基づいて、マークMの所定の組み合わせが特定できる。結果としては、図8に示す実施例では、上下2列のマークMの組み合わせとして4種、これを4列印刷すると、4種の4乗で256種のコードが構成可能となる。トランプカードの52種のカードを256種のコードのどれかにそれぞれ割り当てて、これを対照表としてメモリあるいはプログラムで記憶おき廃棄カード情報取得手段6は、各コード102を特定することで、あらかじめ定めた対照表(図示せず)から少なくともカード3の数(ランク)を特定することができる構成としている。コード102は、紫外光を受けることにより可視化される塗料で印刷され、カード3の種類表記301やインデックス302と重ならない位置に印刷されていることが望ましい。またコード102と組コード情報103コードとカード3の端との間に空白部303が設けられている。また、組コード情報103は、コード102の中に組コード情報を表すインクで一緒に同じ所に印刷してもよい。
【0030】
次に、カード3の真偽に関する情報からカードの真偽を判定する真偽判定手段9について説明する。真偽検査の対象であるカード3には、上述のように、カード3の真偽を表す情報をコード化して通常では目に見えない状態(例えば紫外線反応インク)で構成される組情報としての組コード情報103が設けられている。組コード情報103は、コードとして異なる波長の光に対して異なる波長スペクトルの光を発光する物質もしくは材料そのもの(例えばインクや塗料など)で構成されている。真偽判定手段9では、組情報取得センサ20が組コード情報103に異なる波長の目に見えない波長の光を照射し、組コード情報103より発光する光の少なくとも2つの異なる波長における光を受けて、これら光の強度の比が同じか否かを真偽判定手段9が判定してカード3の真偽判定を行う機能を備えている。異なる波長スペクトルの光を受けてより複雑な2つ以上の波長の光を分析してもよい。
【0031】
組コード情報103を読み取る際には、組情報取得センサ20が2種の紫外線を発してカード3上に印刷された組コード情報103に照射し、組コード情報103が発光する異なる波長スペクトルの光を組情報取得センサ20が受光する。真偽判定手段9を含む制御装置14は、マイクロコンピュータおよびメモリ等を含む電子回路で構成され、CPU、ROM、RAM等の通常のコンピュータの構成を有し、組コード情報103の真偽を判定する処理を行う。
【0032】
以下の機能について実施の形態の改良として、本願発明の一部をなす。
1)各回のゲームに使用するためにゲームテーブル上に配られた数枚のカードセットのそれぞれのカードの少なくとも数(ランク)と枚数の情報を得る手段(ディーリングシュー)を備え、カード廃棄装置とディーリングシューとは通信装置で接続される点。
2)カード配布装置(ディーリングシュー)より得たカードセットの各カードのランク情報とカード廃棄装置が読んだ廃棄カードの各カードの情報とを比較し、前記両情報が一致するか否かを検査することにより廃棄カードにおける各ゲーム毎の異常を検査する不正検査技術。
3)ゲームテーブル上に載せられた後各回のゲームに使用されずに残ったカードから前記廃棄カード情報取得手段により数(ランク)の情報を取得し、各回のゲームに使用された各カードセットの既に得られたカードの数(ランク)の情報と合わせて、カードの数(ランク)毎にカード枚数を計測し、前記排出口に投入された全てのカードが数(ランク)毎に所定のデック数分の枚数だけ揃っているか否かを判定するデック検査手段、
【0033】
以上、本発明の各種の実施の形態を説明したが、上述の実施の形態は、本発明の範囲内で当業者により変形可能なことはもちろんである。例えば、本発明により、バカラ以外のゲームにおける不正が検出されてもよい。このとき、適用されるゲームでの必要に応じて、本実施の形態の装置が適当に変形されてよい。
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