(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、1つの車両に対して作成された複数の配線図データの検査を行う場合に、複数の配線図データ間のワイヤーハーネスの接続(仮想的な接続)によって形成される全ての導通経路を表す配線情報を作成し、この配線情報を検査することが考えられる。この検査は、各配線図データの作成に使用された車載システムのシステム配線図に誤りがないことを前提にして、システム配線図における車載部品間の導通経路が表された配線仕様情報に基づいて行われる。
【0006】
この検査方法では、複数の配線図データに含まれる膨大な数のワイヤーハーネスの情報を用いて配線情報が作成されるため、多くの処理量が必要となる。例えば車両の複数のモデル毎に作成された配線図データの検査で、従来の検査方法のようにモデル毎に全ての処理を別々に行う場合、モデル毎に配線情報を作成することになり、多くの処理量が必要となってしまう。
【0007】
本発明は、車両の複数のモデル毎に作成された配線図データの検査における処理量を削減することができる配線図データの検査方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
第1の発明は、検査対象に使用される車載システムにおける車載部品間の導通経路が表された配線仕様情報に基づき、車両の複数の配線エリア毎に作成される配線図データを検査する検査方法であって、複数の検査対象に対し作成された複数の前記配線図データを取得し、複数の配線図データに含まれる複数のワイヤーハーネスの接続端子及び接続先を特定する情報に基づいて、前記複数の配線図データ間のワイヤーハーネスの接続によって形成される全ての導通経路を表す一次配線情報を予め作成するステップと、検査対象となるワイヤーハーネスの組み合わせを取得し、取得したワイヤーハーネスの組み合わせに含まれないワイヤーハーネスを含む導通経路を表す情報を、予め作成された一次配線情報から削除して二次配線情報を作成するステップと、配線仕様情報に含まれる導通経路を表す情報と、二次配線情報に含まれる導通経路を表す情報との比較に基づき、二次配線情報におけるワイヤーハーネスの接続の誤りを検査するステップと、二次配線情報を作成するステップと、ワイヤーハーネスの接続の誤りを検査するステップとを、検査対象となるワイヤーハーネスの全ての組み合わせに対して繰り返し行う。
【0009】
第1の発明では、複数の配線図データ間のワイヤーハーネスの接続によって形成される全ての導通経路を表す一次配線情報が、予め作成される。その後、検査対象となるワイヤーハーネスの組み合わせが取得され、そのワイヤーハーネスの組み合わせに含まれないワイヤーハーネスを含む導通経路を表す情報が、一次配線情報から削除され、二次配線情報が作成される。続いて、二次配線情報におけるワイヤーハーネスの接続の誤りが検査される。そして、検査対象となるワイヤーハーネスの全ての組み合わせに対して、二次配線情報を作成するステップと、ワイヤーハーネスの接続の誤りを検査するステップとが繰り返し行われる。例えば車両の複数のモデル毎に作成された配線図データの検査を行う場合に、一次配線情報が予め作成された後に、各モデルに使用されるワイヤーハーネスの組み合わせを検査対象として、二次配線情報を作成するステップと、ワイヤーハーネスの接続の誤りを検査するステップとがそれぞれ行われる。
【発明の効果】
【0010】
第1の発明では、車両の複数のモデル毎に作成された配線図データの検査を行う場合に、一次配線情報を作成するステップを複数のモデルで一括して行うことができる。多くの処理量が必要なこのステップを複数回行う必要がない。従って、複数のモデル毎に作成された配線図データの検査における処理量を削減することができ、処理時間を短縮することができる。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、
図1−
図6を参照しながら、実施の形態について詳細に説明する。本実施の形態は、車両の複数の配線エリア毎に作成された配線図データ(ワイヤーハーネスの配線図のデータ)の検査方法である。
【0013】
[概要]
配線図データの検査方法は、車載システムにおける車載部品間の導通経路が表された配線仕様情報に基づき、配線図データを検査する方法である。この検査方法は、複数の配線図データ間のワイヤーハーネスの接続(仮想的な接続)によって形成される全ての導通経路を表す配線情報を作成するステップを、複数の車両のモデル(検査対象)で一括して行う。
【0014】
なお、複数のモデルは、車名が同じであり、グレードまたはオプション機能の有無等の仕様が互いに異なる。以下では、第1モデルの複数の配線エリア毎に作成された配線図データと、第2モデルの複数の配線エリア毎に作成された配線図データとの検査について説明を行う。
【0015】
[配線検査装置、及び、配線図データの検査方法に使用する各種情報]
本実施の形態の配線図データの検査方法は、配線検査装置20によって行われる。配線検査装置20は、
図1に示すように、接続部21と削除部22と検査部23とを備える。また、配線検査装置20は、CPU、メモリ、及び入出力インターフェース等を有するコンピュータである。メモリに格納された配線検査用プログラムをCPUが実行することにより、接続部21と削除部22と検査部23の各機能ブロックが実現される。以下では、配線図データの検査方法について説明する前に、当該検査方法で使用される情報について説明する。
【0016】
メモリには、第1モデルの全配線エリアの配線図データと、第2モデルの全配線エリアの配線図データと、第1モデルの全車載システムのシステム配線図のデータと、第2モデルの全車載システムのシステム配線図のデータと、ハーネス一覧情報とが格納されている。各配線図データは、例えばCADデータである。各車載システムのシステム配線図のデータは、車載システムにおける車載部品間の導通経路が表された配線仕様情報を含む。メモリには、第1モデルの全車載システムの配線仕様情報と、第2モデルの全車載システムの配線仕様情報とが格納されている。
【0017】
まず、配線図データについて、
図2を参照して説明する。第1モデル及び第2モデルの各車両は、第1の配線エリア11、第2の配線エリア12、及び、第3の配線エリア13に区分けされる。
図2(a)は第1モデルの配線図データを模式的に表し、
図2(b)は第2モデルの配線図データを模式的に表す。
図2では、ワイヤーハーネス及び接続端子に加えて、電子制御ユニット(ECU1、ECU2)、センサ(SSR1、SSR2)、及びインジケータ(Ind)が記載されている。配線図データは、ワイヤーハーネスの配線図に表される複数のワイヤーハーネスに対応する複数のハーネス情報を含む。各ハーネス情報は、ワイヤーハーネスを特定する識別子、ワイヤーハーネスの各接続端子を特定する端子情報、及び、各接続端子の接続先を特定する接続先情報を含む。
【0018】
図2では、符号X1〜X3、Y1〜Y3、Z1〜Z3がワイヤーハーネスの識別子を表し、符号x11〜x13、x21〜x23、y11〜y13、y21〜y23、z11〜z13、z21〜23が接続端子の端子情報を表し、各接続端子に破線で繋がった接続端子の符号が接続端子の接続先情報を表す。ワイヤーハーネスX1について説明すると、このワイヤーハーネスX1のハーネス情報は、識別子X1、左側の端子の端子情報x11、この端子情報x11に対応付けられた接続先情報L1、右側の端子の端子情報x21、及び、この端子情報x21に対応付けられた接続先情報y11をそれぞれ含む。他のワイヤーハーネスのハーネス情報については説明を省略する。
【0019】
ワイヤーハーネスの識別子には、例えばワイヤーハーネスの部位等を表す記号が用いられ、ワイヤーハーネス毎に異なる記号が割り当てられている。接続端子の端子情報には、例えば接続端子の部位等を表す記号が用いられ、接続端子毎に異なる記号が割り当てられている。接続端子の接続先情報は、接続先となる接続端子に割り当てられた端子情報である。接続端子毎に、端子情報に対して接続先情報が対応付けられている。第1モデルと第2モデルの間では、同じワイヤーハーネス及び同じ接続端子に対して同じ記号が割り当てられている。
【0020】
第1モデルの各配線エリア11〜13の配線図データは、2つのワイヤーハーネスのハーネス情報を含む。また、第2モデルの各配線エリア11〜13の配線図データは、3つのワイヤーハーネスのハーネス情報を含む。
図2(a)と
図2(b)の両方に記載されたワイヤーハーネスX1、X2、Y1、Y2、Z1、Z2は、第1モデルと第2モデルの両方に存在する。
図2(b)だけに記載されたワイヤーハーネスX3、Y3、Z3は、第2モデルだけに存在する。
【0021】
次に、配線仕様情報について、
図3を参照して説明する。
図3(a)は、第1モデルの1つの車載システムの配線仕様情報を模式的に表す。
図3(b)は、第2モデルの1つの車載システムの配線仕様情報を模式的に表す。配線仕様情報は、上述したように、車載システムにおける車載部品間の導通経路が表された情報である。配線仕様情報は、
図3に示す電子制御ユニット、センサ又はインジケータ等の車載部品の端子間を結ぶ導通経路の情報を含む。導通経路は、複数のワイヤーハーネスの結線によって形成される。各導通経路の情報は、導通経路を構成する複数のワイヤーハーネスの識別子と、複数のワイヤーハーネスの接続端子の端子情報と、導通経路の両端の接続端子(車載部品の接続端子)の端子情報を含む。
【0022】
導通経路X1、X2、X3について説明すると、この導通経路の情報は、識別子X1、Y1、Z1と、ワイヤーハーネスの接続端子の端子情報(図示省略)と、導通経路の左側の接続端子L1の端子情報、及び、右側の端子の端子情報R1を含む。導通経路の左側の接続端子L1は、ワイヤーハーネスの接続端子の端子情報x11に対応付けられている。導通経路の右側の接続端子R1は、ワイヤーハーネスの接続端子の端子情報z21に対応付けられている。
図3(a)と
図3(b)の両方に記載された導通経路X1、X2、X3と、接続ラインX2、Y2、Z2とは、第1モデルと第2モデルの両方に存在する。
図3(b)だけに記載された導通経路X3、Y3、Z3は、第2モデルだけに存在する。
【0023】
次に、ハーネス一覧情報について説明する。ハーネス一覧情報は、第1モデル及び第2モデルの各々に対して作成されたハーネス組合せ情報を含む。各ハーネス組合せ情報は、対応するモデルの配線エリア11〜13に使用されるワイヤーハーネスの組合せを表す。第1モデルのハーネス組合せ情報は、第1の配線エリア11に対して使用されるワイヤーハーネスの識別子X1、X2と、第2の配線エリア12に対して使用されるワイヤーハーネスの識別子Y1、Y2と、第3の配線エリア13に対して使用されるワイヤーハーネスの識別子Z1、Z2とを含む。第2モデルのハーネス組合せ情報は、第1の配線エリア11に対して使用されるワイヤーハーネスの識別子X1、X2、X3と、第2の配線エリア12に対して使用されるワイヤーハーネスの識別子Y1、Y2、Y3と、第3の配線エリア13に対して使用されるワイヤーハーネスの識別子Z1、Z2、Z3とを含む。
【0024】
[配線図データの検査方法]
次に、
図4を参照して、配線図データの検査方法について説明する。
【0025】
ステップS11において、接続部21が一次配線情報の作成を行う。ステップS11では、まず、接続部21が、配線エリア11〜13毎に第1モデルの全ての配線図データ及び第2モデルの全ての配線図データに含まれるワイヤーハーネスの識別子を参照して、全部位のワイヤーハーネスのハーネス情報を抽出する。この抽出では、第1モデル及び第2モデルの両方に存在するワイヤーハーネスX1、X2、Y1、Y2、Z1、Z2のハーネス情報と、第1モデル又は第2モデルの一方に存在するワイヤーハーネスX3、Y3、Z3のハーネス情報とが抽出される。
図5の上側の図には、ハーネス情報が抽出された全てのワイヤーハーネスが記載されている。そして、抽出された全てのハーネス情報に含まれる端子情報及び接続先情報に基づいて、互に接続される接続端子を対応付けて、複数の配線図データ間のワイヤーハーネスの接続によって形成される全ての導通経路を表す一次配線情報が作成される。
図5に示すように、各導通経路は、隣り合う配線エリア11〜13間でワイヤーハーネスが接続されている。一次配線情報は、メモリに格納される。尚、一次配線情報は、仮想的な配線図を表し、コンピュータ上で図化されない。
【0026】
図5を参照して、ステップS11のうち、互に接続される接続端子を対応付ける際に行われる接続先検索について説明する。接続先検索は接続端子毎に行われる。
【0027】
第1の配線エリア11のワイヤーハーネスX1の接続端子x21の接続先検索では、接続端子x21に対応付けられた接続先情報が使用され、この接続先情報が割り当てられた接続端子y11が、第2の配線エリア12の接続端子の中から検索される。そして、接続端子x21と接続端子y11とが対応付けられる。さらに、第2の配線エリア12のワイヤーハーネスY1の接続端子y21の接続先検索では、接続端子y21に対応付けられた接続先情報が使用され、この接続先情報が割り当てられた接続端子z11が、第3の配線エリア13の接続端子の中から検索される。そして、接続端子y21と接続端子z11とが対応付けられる。これにより、
図5の真ん中の図(一次配線情報)に示すように、ワイヤーハーネスX1とワイヤーハーネスY1とワイヤーハーネスZ1とが接続された導通経路の情報が作成される。同様にして、ワイヤーハーネスX2とワイヤーハーネスY2とワイヤーハーネスZ2とが接続された導通経路の情報が作成される。ワイヤーハーネスX3とワイヤーハーネスY3とワイヤーハーネスZ3とが接続された導通経路の情報が作成される。これらの導通経路の情報によって一次配線情報が構成される。
【0028】
続いて、ステップS12において、削除部22が、メモリからハーネス一覧情報を取得する。
【0029】
続いて、ステップS13において、削除部22が、ハーネス一覧情報から、モデル情報を1つ取得する。1回目のステップS13では、モデル情報として第1モデルを表す情報が取得される。なお、後述するステップS17の後に行われる2回目のステップS13では、モデル情報として第2モデルを表す情報が取得される。
【0030】
続いて、ステップS14において、削除部22が、ステップS13で取得したモデル情報に対応するハーネス組合せ情報を用いて、二次配線データの作成を行う。1回目のステップS14では、ハーネス一覧情報に含まれる第1モデルのハーネス組合せ情報が用いられる。また、メモリには、一次配線情報のコピーが作成される。そして、第1モデルのハーネス組合せ情報に基づいて、一次配線情報に含まれる導通経路の情報の中から、第1モデルのハーネス組合せ情報に含まれないワイヤーハーネスを含む導通経路の情報が削除される。
図5の下図では、検査対象に含まれない導通経路(X3、Y3、Z3)の情報が削除されている。これにより、第1モデルに対応した二次配線情報が作成される。
図5では、点線が、削除された導通経路を表す。二次配線情報は、一次配線情報と同様に、仮想的な配線図を表し、コンピュータ上で図化されない。
【0031】
続いて、ステップS15において、検査部23が、メモリから、第1モデルの全ての配線仕様情報を取得する。
【0032】
続いて、ステップS16において、検査部23が、ステップS14で作成された二次配線情報の検査を行う。ステップS16では、ステップS15で取得した各配線仕様情報に含まれる導通経路(以下、「比較対象経路」という。)を表す情報と、二次配線情報に含まれる導通経路(以下、「検査対象経路」という。)を表す情報との比較に基づいて、二次配線情報におけるワイヤーハーネスの接続の誤りが検査される。検査対象経路の各接続端子に対応付けられた接続先情報が、比較対象経路の各接続端子の端子情報と比較され、ワイヤーハーネスの接続の誤りが検査される。検査対象経路の各接続端子に対応付けられた接続先情報が、比較対象経路の各接続端子の端子情報に一致した場合、ワイヤーハーネスの接続の誤りに誤りはないと判定される。
図6において上側に記載された検査対象経路は、各接続端子x11、z21に対応付けられた接続先情報L1、R1が、比較対象経路の各接続端子の端子情報L1、R1に一致するため、ワイヤーハーネスの接続の誤りはないと判定される。
【0033】
続いて、ステップS17において、配線検査装置20が、ワイヤーハーネス一覧表の中に、配線図データの検査が行われていないモデル情報があるか否かを判定する。配線図データの検査が行われていないモデル情報がある場合、ステップS13に戻る。1回目のステップS17では、配線図データの検査が行われていない第2モデルがあると判定されて、ステップS13に戻り、第2モデルに対して、ステップS13〜S16の処理が行われる。
【0034】
2回目のステップS14では、ハーネス一覧情報に含まれる第2モデルのハーネス組合せ情報が用いて、
図6(b)の右図に示す二次配線情報が作成され、次のステップS15で第2モデルの全ての配線仕様情報が取得される。続いて、ステップS16で、
図6(b)に示すように、各配線仕様情報に含まれる導通経路を表す情報と、二次配線情報に含まれる導通経路を表す情報との比較に基づいて、二次配線情報に含まれるワイヤーハーネスの接続の誤りが検査される。そして、ステップS17で、配線図データの検査が行われていないモデル情報がないと判定されて、
図4に示すフローは終了する。
【0035】
[実施の形態の効果]
本実施の形態では、車両の複数のモデル毎に作成された配線図データの検査を行う場合に、一次配線情報を作成するステップを複数のモデルで一括して行うことができる。多くの処理量が必要なこのステップを複数回行う必要がない。従って、複数のモデル毎に作成された配線図データの検査における処理量を削減することができ、処理時間を短縮することができる。