(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記信号比較部は、前記検出光の強さが切り替えられてから前記受光信号の1周期以上の時間が経過した後に、前記受光信号の比較を行うことを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の回転計。
前記アダプタの前記反射面は、反射率が異なる明領域及び暗領域により構成され、前記明領域及び前記暗領域が周方向に交互に配置され、前記明領域が周方向に一定の間隔で配置されることを特徴とする請求項1〜8のいずれかに記載の回転計。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して説明する。本明細書では、便宜上、アダプタの計測軸の方向を上下方向として説明するが、本発明による回転計の使用時における姿勢を限定するものではない。
【0016】
まず、本発明が前提とする回転計の概略構成について、
図1〜
図5を用いて以下に説明する。
【0017】
<回転計1>
図1は、本発明の実施の形態による回転計1の一構成例を示した図であり、アダプタ2が着脱可能に取り付けられるハンドヘルド型の回転計1が示されている。この図には、測定器筐体10の前面が示されている。回転計1は、被測定体の回転速度を光学的に計測する測定器であり、測定器筐体10、アダプタ取付部11、表示部12及び操作キー13〜17により構成される。
【0018】
測定器筐体10は、上下方向を長手方向とする直方体形状を有し、上面にアダプタ取付部11が設けられ、前面に表示部12及び操作キー13〜17が設けられている。例えば、測定器筐体10は、片方の手で保持することが可能な形状及びサイズである。
【0019】
アダプタ取付部11は、アダプタ2が着脱可能に取り付けられる取付部であり、測定器筐体10の上面から突出する形状を有する。表示部12は、計測結果などの各種情報を表示する表示装置であり、矩形の表示画面を有する。例えば、測定値を示す文字列又はグラフが計測結果として表示される。また、表示画面には、計測用の光源が点灯しているか否かと、反射光を受光しているか否かと、アダプタ2の有無と、測定単位とが表示される。
【0020】
操作キー13〜17は、押下型の接点式スイッチにより構成される。操作キー13は、電源をオン状態及びオフ状態間で切り替え、或いは、計測処理を実行させる操作キーである。例えば、電源がオン状態では、操作キー13を押下している期間が計測期間であり、計測期間内に計測処理が行われる。計測処理は、計測用の光源を点灯させ、被測定体によって反射された検出光を受光して受光信号を解析することにより、回転速度が求められる。
【0021】
操作キー14〜17には、各種機能が割り当てられる。例えば、操作キー14〜17は、計測方式及び計測条件を指定するのに使用される。計測方式は、接触方式及び非接触方式間で切り替えられる。計測条件には、後述する反射部材の貼付枚数、計測レンジ、計測結果を表示する際の単位などがある。
【0022】
アダプタ2は、各種の接触子3を回転計1に着脱可能に取り付けるための中継部材であり、有蓋円筒形状の本体部21と、本体部21の上面から突出する計測軸22とにより構成される。本体部21は、計測軸22を回転可能に支持する支持部材であり、回転計1のアダプタ取付部11に固定される。計測軸22は、上下方向に延びる円柱形状を有し、上端に接触子3が着脱可能に取り付けられる。この計測軸22は、上下方向に延びる直線を中心として、被測定体とともに回転する。
【0023】
接触子3は、被測定体に接触させるアタッチメントであり、アダプタ2の計測軸22に固定される。例えば、接触子3には、円錐形状、じょうご形状及びホイール形状の接触子がある。図示した接触子3は、円錐形状の接触子であり、被測定体の回転中心部が凹状である場合に使用される。じょうご形状の接触子は、被測定体の回転中心部が凸状である場合に使用される。ホイール形状の接触子は、ベルト状の被測定体の移動速度又は移動距離を計測する場合に使用される。
【0024】
<アダプタ取付部11>
図2は、
図1の回転計1のアダプタ取付部11を示した図であり、アダプタ取付部11を上方から見た場合が示されている。アダプタ取付部11は、アダプタ2の計測軸22と同心の円筒形状の突出部であり、内側に投光用開口部41及び受光用開口部42が配置されている。投光用開口部41及び受光用開口部42は、いずれも測定器筐体10の上面に形成される。
【0025】
投光用開口部41は、計測用の検出光を被測定体に向けて投光するための投光窓である。受光用開口部42は、検出光を被測定体に照射した際に、被測定体によって反射された反射光を受光するための受光窓である。受光用開口部42は、アダプタ取付部11よりも径方向の内側の中央に配置される。投光用開口部41は、アダプタ取付部11の内周面と受光用開口部42との間に配置される。検出光の光軸は、計測軸22と平行である。
【0026】
<アダプタ2>
図3は、
図1のアダプタ2を示した斜視図であり、接触子3が取り付けられたアダプタ2を斜め下方から見た場合が示されている。アダプタ2は、計測軸22とともに回転する円形状の回転板23を備える。
【0027】
回転板23は、検出光を反射させる反射部材であり、計測軸22と同軸に配置され、本体部21の内側に収容される。回転板23は、計測軸22に固定される。回転板23の下面は、被測定体とともに回転し、かつ、検出光を反射する反射面である。
【0028】
例えば、回転板23の下面は、光の反射率が異なる明領域231及び暗領域232により構成され、明領域231及び暗領域232が周方向に交互に配置される。明領域231は、暗領域232よりも反射率が高い領域であり、周方向に一定の間隔で配置される。
【0029】
図示したアダプタ2の場合、明領域231及び暗領域232は、いずれも回転板23と同心の扇状領域により構成され、互いに隣接して配置される。この例では、反射面が周方向に16分割され、8つの明領域231が等間隔に配置されている。例えば、回転板23は、板部材にシート状の反射部材を貼付することにより、形成される。なお、回転板23は、表面加工、印刷又は塗装によって反射率が異なる領域を形成するような構成であっても良い。
【0030】
アダプタ2の本体部21は、回転板23の下面を投光用開口部41に対向させた状態で、回転計1のアダプタ取付部11に装着される。回転計1では、非接触方式で被測定体の回転速度を計測するための光学系を利用して、接触方式の計測が行われる。この接触方式の計測は、アダプタ2を回転計1のアダプタ取付部11に取り付けた状態で行われ、検出光をアダプタ2の回転板23に照射し、回転板23によって反射された反射光を受光することにより、被測定体の回転速度が計測される。
【0031】
図4は、被測定体5の回転速度を非接触方式で計測する場合を示した斜視図であり、ユーザの右手8に保持された回転計1と、回転する被測定体5とが描画されている。被測定体5の検出面51には、検出光7を反射させるためのシート状の反射部材6が貼付される。被測定体5には、1〜5枚の反射部材6が貼付される。図示した被測定体5には、5枚の反射部材6が回転軸を中心とする周方向に一定の間隔で配置されている。
【0032】
非接触方式の計測は、アダプタ2を回転計1から取り外した状態で行われ、回転計1から検出光7を被測定体5に向けて照射し、被測定体5によって反射された反射光を受光することにより、回転速度が計測される。例えば、回転速度は、予め定められた時間当たりの反射回数を計数することにより求められる。
【0033】
図5は、被測定体5の回転速度を接触方式で計測する場合を示した斜視図であり、ユーザの右手8に保持された回転計1と、回転する被測定体5とが描画されている。接触方式の計測は、アダプタ2を回転計1に取り付けた状態において、接触子3を被測定体5の検出面51に接触させることにより行われる。
【0034】
アダプタ2の計測軸22は、接触子3を被測定体5の回転中心に押し付けることにより、被測定体5の回転に同期する。計測軸22の回転は、回転板23に伝達されることから、回転板23の回転速度を計測することにより、被測定体5の回転速度が求められる。回転板23の回転速度は、検出光を回転板23に照射し、回転板23によって反射された反射光を受光することにより計測される。例えば、回転速度は、予め定められた時間当たりの反射回数を計数することにより求められる。
【0035】
次に、本発明による回転計1の特徴部分の構成について、
図6〜
図10を用いて以下に説明する。
【0036】
図6は、
図1の回転計1内の機能構成を示したブロック図である。回転計1は、表示部12、制御部100、駆動回路101、発光素子102、受光素子103、受光回路104、パルス変換部105及び操作部106により構成される。
【0037】
制御部100は、ユーザ操作に基づいて、駆動回路101及び表示部12を制御し、計測方式を切り替え、或いは、計測条件を変更するコントローラであり、アダプタ判定部110及び速度計測部120を備える。アダプタ判定部110は、発光制御部111、信号比較部112及び判定処理部113を備え、アダプタ2の有無を検出する。
【0038】
発光素子102は、検出光7を生成する計測用光源である。駆動回路101は、発光素子102に駆動電流を供給する。例えば、発光素子102は、LED(発光ダイオード)であり、赤色のレーザー光が検出光7として生成される。
【0039】
受光素子103は、反射光を受光し、受光信号を生成する光電変換素子である。受光回路104は、受光素子103の受光信号を電圧変換によって増幅し、アダプタ判定部110の信号比較部112へ出力する電圧変換部である。
【0040】
パルス変換部105は、受光素子103の受光信号をレベル変換によってパルス状に整形し、制御部100の速度計測部120へ出力する。例えば、受光信号の電圧レベルを二値化することにより、受光パルスが生成される。操作部106は、操作キー13〜17の押下操作に基づいて、操作信号を生成し、制御部100へ出力する。
【0041】
速度計測部120は、パルス変換部105によるレベル変換後の受光信号に基づいて、被測定体の回転速度を求め、計測結果として表示部12へ出力する回転速度算出部である。被測定体の回転速度は、ユーザが指示した計測期間中の受光信号に基づいて、求められる。表示部12には、計測結果を示す測定値が表示される。
【0042】
例えば、速度計測部120は、受光パルスを計数し、計測期間内のパルス数を反射部材の数で除算することにより、計測期間中の回転数を求める。回転速度は、上記回転数を計測期間に相当する時間で除算することにより、求められる。接触方式が計測方式として指定されている場合、上記反射部材の数は、アダプタ2の明領域231の数である。一方、非接触方式が計測方式として指定されている場合、上記反射部材の数は、被測定体に貼付された反射部材の数に相当し、計測条件として指定された貼付枚数である。
【0043】
なお、被測定体の回転速度は、受光パルスを計数しながら受光信号の周期を加算し、反射部材の数だけ周期を加算した積算値に基づいて求めても良い。この積算値は、1回転に要する時間であることから、積算値の逆数から回転速度を求めることができる。
【0044】
発光制御部111は、駆動回路101を制御することにより、検出光7の強さを切り替える。例えば、発光制御部111は、2段階で検出光7の強さを切り替える。すなわち、発光制御部111は、強状態と強状態よりも強度が弱い弱状態との間で、検出光7の強さを切り替える。光源の明るさを調整することにより、検出光7の強さが切り替えられる。
【0045】
信号比較部112は、検出光7の強さの切り替え前後における受光信号を比較し、比較結果を判定処理部113へ出力する。判定処理部113は、信号比較部112による比較結果に基づいて、アダプタ2の有無を検出し、検出結果を表示部12へ出力する。
【0046】
例えば、判定処理部113は、受光信号の振幅を比較した比較結果に基づいて、アダプタ2が装着されているか否かを判別する。具体的には、検出光7の強さが弱状態である場合の受光電圧の振幅と、検出光7の強さが強状態である場合の受光電圧の振幅とを求め、強度切替の前後における振幅の変化率が算出される。アダプタ2の有無は、この変化率を判定用閾値と比較することによって判別される。例えば、判定処理部113は、振幅の変化率が判定用閾値よりも大きければ、アダプタが装着されていると判別する。一方、振幅の変化率が判定用閾値以下である場合には、アダプタが装着されていないと判別される。
【0047】
或いは、判定処理部113は、受光信号の平均値を比較した比較結果に基づいて、アダプタ2が装着されているか否かを判別する。具体的には、検出光7の強さが弱状態である場合の受光電圧の平均値と、検出光7の強さが強状態である場合の受光電圧の平均値とを求め、強度切替の前後における平均値の変化量が算出される。アダプタ2の有無は、この変化量を判定用閾値と比較することによって判別される。例えば、判定処理部113は、平均値の変化量が判定用閾値よりも大きければ、アダプタが装着されていると判別する。一方、平均値の変化量が判定用閾値以下である場合には、アダプタが装着されていないと判別される。
【0048】
或いは、判定処理部113は、受光信号のピーク値を比較した比較結果に基づいて、アダプタ2が装着されているか否かを判別する。具体的には、検出光7の強さが弱状態である場合の受光電圧のピーク値と、検出光7の強さが強状態である場合の受光電圧のピーク値とを求め、強度切替の前後におけるピーク値の変化率が算出される。受光電圧のピーク値には、信号波形の山の電圧値、すなわち、極大値を複数の周期にわたって平均化した平均値と、谷の電圧値、すなわち、極小値を複数の周期にわたって平均化した平均値とがある。
【0049】
アダプタ2の有無は、この様なピーク値の変化率を判定用閾値と比較することによって判別される。例えば、判定処理部113は、ピーク値の変化率が判定用閾値よりも大きければ、アダプタが装着されていると判別する。一方、ピーク値の変化率が判定用閾値以下である場合には、アダプタが装着されていないと判別される。
【0050】
回転計1では、上述した判別方法のいずれか一つがアダプタ2の判定種別として予め指定される。或いは、ユーザがアダプタ2の判定種別を任意に指定することができるような構成であっても良い。
【0051】
発光制御部111は、計測期間の開始時に発光素子102を点灯させ、受光信号の1周期以上の時間が経過した後に、検出光7の強さを弱状態から強状態へ切り替える。この様に構成することにより、個別の操作を必要とすることなく、回転速度の計測期間を指示するだけで、アダプタ2の有無を判定させることができる。また、ユーザが指示した計測期間の開始時に検出光7の強さを変化させてアダプタ判定を行うため、計測期間の開始後の短時間に正確な回転速度を取得することができる。
【0052】
信号比較部112は、検出光7の強さが切り替えられてから受光信号の1周期以上の時間が経過した後に、受光信号の比較を行う。このため、検出光強度の切り替え時の受光素子103とアダプタ2又は被測定体5との相対的な位置関係に影響されることなく、アダプタ2の有無を検知することができる。
【0053】
表示部12には、アダプタ2の有無が検出結果として表示される。例えば、判定処理部113は、現在設定されている計測方式とアダプタ2の検出結果とに基づいて、警告メッセージを表示部12に表示する。
【0054】
具体的には、非接触方式が指定されているにもかかわらず、アダプタ2が装着されている場合と、接触方式が指定されているにもかかわらず、アダプタ2が装着されていない場合とに、計測方式の切り替えミスを示す文字列が警告メッセージとして表示される。この様に構成することにより、計測方式の切り替えミスをユーザに認識させることができる。
【0055】
また、速度計測部120は、判定処理部113によるアダプタ2の検出結果に基づいて、計測方式を接触方式及び非接触方式間で切り替える。この様に構成することにより、ユーザが手動で計測方式を切り替える必要がないため、計測方式の切り替えミスに起因して誤検知が生じるのを防止することができる。
【0056】
図7は、
図6の回転計1における受光電圧の時間変化を示した図であり、アダプタ2が装着されている場合が示されている。図中には、計測開始後の時間t
1において、検出光の強さが弱状態から強状態へ切り替えられる場合の信号波形が示されている。
【0057】
検出光の強さが弱状態である場合の信号波形は、上側ピーク値がV1bであり、下側ピーク値がV1cであり、平均値V1aがV1a=(V1b+V1c)/2であり、振幅A1がA1=(V1b−V1c)である。また、検出光の強さが強状態である場合の信号波形は、上側ピーク値がV2bであり、下側ピーク値がV2cであり、平均値V2aがV2a=(V2b+V2c)/2であり、振幅A2がA2=(V2b−V2c)である。
【0058】
受光電圧は、検出光の強さに応じて変化する。このため、強状態の信号波形は、弱状態の信号波形に比べ、上側ピーク値、下側ピーク値、平均値及び振幅が大きい。上側ピーク値は、極大値の平均値である。下側ピーク値は、極小値の平均値である。
【0059】
具体的な計測値を例示すれば、V1b=0.530(V)、V1c=0.370(V)、V1a=0.450(V)、A1=0.160、V2b=0.780(V)、V2c=0.520(V)、V2a=0.650(V)、A2=0.260である。従って、振幅の変化率ΔAは、ΔA=(A2−A1)/A1=63%であり、平均値の変化量ΔVaは、ΔVa=(A2a−A1a)=0.200(V)である。
【0060】
図8及び
図9は、
図6の回転計1における受光電圧の時間変化を示した図である。
図8には、アダプタ2が未装着であり、かつ、被測定体5までの距離が遠い場合が示されている。
図9には、アダプタ2が未装着であり、かつ、被測定体5までの距離が近い場合が示されている。
【0061】
図中には、計測開始後の時間t
1において、検出光の強さが弱状態から強状態へ切り替えられる場合の信号波形が示されている。また、
図8及び
図9では、被測定体5に貼付される反射部材6の反射率がアダプタ2の回転板23よりも高い場合が示されている。
【0062】
受光電圧は、光の伝搬における減衰現象により、被測定体5までの距離に応じて変化する。このため、信号波形の上側ピーク値、下側ピーク値、平均値及び振幅は、回転計1から被測定体5までの距離が遠いほど、小さくなる。
【0063】
回転計1から被測定体5までの距離が近い場合について、具体的な計測値を例示すれば、V1b=0.420(V)、V1c=0.080(V)、V1a=0.250(V)、A1=0.340、V2b=0.560(V)、V2c=0.120(V)、V2a=0.340(V)、A2=0.440である。従って、振幅の変化率ΔAは、29%であり、平均値の変化量ΔVaは、0.090(V)である。
【0064】
図7と
図9とを比較すれば、反射部材の反射率が異なることから、検出光の強さが弱状態における受光電圧と強状態における受光電圧とのいずれか一方の計測だけでは、アダプタ2の有無を正確に判定するのは難しいことが判る。
【0065】
アダプタ装着時における回転計1から回転板23までの距離は、アダプタ非装着時における回転計1から被測定体5までの距離に比べて十分に短い。また、光源から反射対象物までの距離が短くなるほど、光源の明るさの影響は大きくなる。本実施の形態による回転計1では、この様な光学系の特性を利用し、検出光の強度を変化させた際の受光電圧を比較することにより、アダプタ2の有無が正確に判定される。
【0066】
例えば、アダプタ装着時における振幅の変化率ΔAが63%であるのに対し、アダプタ非装着時における振幅の変化率ΔAは29%である。また、アダプタ装着時における平均値の変化量ΔVaが0.200(V)であるのに対し、アダプタ非装着時における平均値の変化量ΔVaは0.090(V)である。判定用閾値をこの様な計測結果に基づいて設定することにより、振幅の変化率ΔA又は平均値の変化量ΔVaに基づいて、アダプタ2の有無を検出することができる。
【0067】
図10のステップS101〜S109は、
図6の回転計1の計測時の動作を示したフローチャートである。まず、制御部100は、操作キー13が押下されれば、駆動回路101を制御して検出光7の投光を開始し、受光回路104から受光電圧を取得する(ステップS101,S102)。
【0068】
発光制御部111は、投光開始から受光信号の1周期以上の時間が経過すれば、検出光7の強さを弱状態から強状態へ切り替える(ステップS103,S104)。次に、信号比較部112は、受光回路104から受光電圧を取得し(ステップS105)、発光強度の切替から受光信号の1周期以上の時間が経過すれば、受光電圧の比較を行い、振幅の変化率を算出する(ステップS106,S107)。
【0069】
判定処理部113は、振幅の変化率を判定用閾値と比較し、比較結果に基づいてアダプタ2の有無を判定する(ステップS108)。この判定結果は、表示部12に表示される。次に、速度計測部120は、受光パルスを計数することにより、被測定体の回転速度を算出する(ステップS109)。
【0070】
本実施の形態による回転計1では、検出光7の強さを変化させた際の受光信号を比較することにより、アダプタ2の有無が検出される。この様なアダプタ2の検出結果を利用すれば、計測方式を接触方式及び非接触方式間で自動的に切り替え、或いは、計測方式の切り替えをユーザに促すことができる。このため、計測方式の切り替えミスに起因して回転速度の誤検知が生じるのを抑制させることができる。
【0071】
また、この回転計1では、計測に用いる光学系を利用して、アダプタ2が回転計1のアダプタ取付部11に装着されているか否かが検知される。このため、アダプタ検知用の別部品を追加する必要がない。従って、部品点数を増大させることなく、また、構造を複雑化させることもなく、アダプタ2の有無を検知することができる。
【0072】
検出光7を被測定体5に照射した際の受光信号の波形は、被測定体5までの距離が遠くなるほど、振幅が小さくなり、検出光7の強さを変化させた際の振幅の変化率も小さくなる。この様な光学系の特性を利用することにより、アダプタ2の有無を正確に判定することができる。
【0073】
また、アダプタ2の反射面を反射率が異なる明領域231及び暗領域232により構成し、明領域231及び暗領域232を周方向に交互に配置することにより、受光信号が正弦波状になるため、アダプタ2を被測定体に接触させて回転速度を計測する場合の測定精度を向上させることができる。
【0074】
また、アダプタ2を1回転以上回転させて回転速度を取得することにより、アダプタ2の反射面に周方向のばらつきがあっても、平均化によってばらつきの影響を抑制させることができる。このため、アダプタ2を被測定体に接触させて回転速度を計測する場合の測定精度をさらに向上させることができる。
【0075】
なお、本実施の形態では、1つの発光素子102に対し、発光強度を調整することにより、検出光7の強さが切り替えられる場合の例について説明したが、本発明は、検出光強度の制御方法をこれに限定するものではない。例えば、回転計1は、2以上の発光素子102を備え、発光制御部111が、点灯させる発光素子102を異ならせることにより、検出光7の強さを切り替えるような構成であっても良い。この様に構成すれば、発光素子102の寿命が長くなるため、回転計1の耐久性を向上させることができる。
【0076】
また、本実施の形態では、1つの受光素子103から受光信号を取得して回転速度が計測される場合の例について説明したが、本発明は、光学系の構成をこれに限定するものではない。例えば、回転計1は、応答速度が異なる2以上の受光素子103を備え、速度計測部120が、ユーザが指定した計測レンジに基づいて、検出光7を受光させる受光素子103を選択するような構成であっても良い。この様に構成すれば、ユーザが指定した計測レンジに応じた応答速度の受光素子103が選択されるため、回転速度の測定精度を向上させることができる。
【0077】
また、本実施の形態では、アダプタ2の反射面が8つの明領域231により構成される場合の例について説明した。回転計1には、明領域231の数が異なる各種のアダプタ2を取り付けることができる。本発明は、受光信号を利用してアダプタ2の種別を自動判別して計測条件を変更するような構成の回転計1にも適用することができる。
【0078】
例えば、アダプタ2の回転板23の反射率を異ならせることにより、受光信号の電圧レベルに基づいてアダプタ2の種別を判別することができる。このとき、速度計測部120は、明領域231の数に応じて受光信号の周期を加算した積算値に基づいて、回転速度を求める。この様に構成することにより、計測条件の切り替えミスに起因する誤検知を防止することができる。
【0079】
また、本実施の形態では、検出光の強さの切り替え前後における受光信号を比較することによってアダプタ2の有無が検出される場合の例について説明したが、本発明は、受光信号の平均値、最大値又は最小値に基づいてアダプタ2の有無を判定する回転計1にも適用することができる。
【0080】
例えば、検出光の強さが弱状態である場合の受光信号の平均値を判定用閾値と比較することにより、アダプタ2の有無が判定される。この様な判定方法と、検出光の強さの切り替え前後における受光信号を比較してアダプタ2の有無を判定する判定方法とを組み合わせることにより、アダプタ検出の精度を向上させることができる。特に、受光電圧によってアダプタ2の有無を判定する方法では、受光信号の1周期分の時間が経過するのを待たなくてもアダプタ2の有無が判定可能であることから、被測定体の回転速度が遅い場合の検出精度を向上させ、また、アダプタ検出に要する時間を短縮させることができる。