特許第6412042号(P6412042)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6412042
(24)【登録日】2018年10月5日
(45)【発行日】2018年10月24日
(54)【発明の名称】レーザ発振器
(51)【国際特許分類】
   H01S 5/024 20060101AFI20181015BHJP
   H01S 5/022 20060101ALI20181015BHJP
【FI】
   H01S5/024
   H01S5/022
【請求項の数】3
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2016-66594(P2016-66594)
(22)【出願日】2016年3月29日
(65)【公開番号】特開2017-183429(P2017-183429A)
(43)【公開日】2017年10月5日
【審査請求日】2017年5月19日
(73)【特許権者】
【識別番号】390008235
【氏名又は名称】ファナック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100106002
【弁理士】
【氏名又は名称】正林 真之
(74)【代理人】
【識別番号】100165157
【弁理士】
【氏名又は名称】芝 哲央
(74)【代理人】
【識別番号】100160794
【弁理士】
【氏名又は名称】星野 寛明
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼實 哲久
【審査官】 百瀬 正之
(56)【参考文献】
【文献】 特開2010−283197(JP,A)
【文献】 特開2002−353388(JP,A)
【文献】 特開2003−258361(JP,A)
【文献】 実開昭50−099873(JP,U)
【文献】 特開2004−177655(JP,A)
【文献】 特開2014−098867(JP,A)
【文献】 特開平11−202166(JP,A)
【文献】 特開2005−093507(JP,A)
【文献】 特開2004−170809(JP,A)
【文献】 特開2005−311239(JP,A)
【文献】 特開2005−142395(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2013/0114629(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01S 5/00−5/50
F21K 9/00−9/90
F21S 2/00−45/70
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
1個もしくは複数個のLD光源を有するLDモジュールを備えるレーザ発振器であって、
前記LDモジュールは、冷却板の上に設置された伝熱性絶縁部材の上に設置され、前記LDモジュールを覆うようにして取囲んで前記LDモジュールの上方から当接して前記LDモジュールを下方へ押し付けて前記冷却板に固定される弾性絶縁部材を介して、前記冷却板に対して固定され、
前記弾性絶縁部材としてゴム材料が用いられるレーザ発振器。
【請求項2】
前記伝熱性絶縁部材は粘着性を有する請求項1記載のレーザ発振器。
【請求項3】
前記弾性絶縁部材は、弾性変形可能な金属製の板と、絶縁部材とを有する請求項2記載のレーザ発振器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、LD光源を有するLDモジュールを備えるレーザ発振器に関する。
【背景技術】
【0002】
金属や樹脂材料などの切断や、溶接などに使用されるレーザ発振器には、光源もしくは励起用の光源として、LDモジュールが搭載されている。LDモジュールのLD電源が絶縁仕様の場合には、LDモジュールを他の部材に対して電気的に絶縁する必要はないが、LD電源が非絶縁仕様の場合には、LDモジュールを他の部材に対して固定する構成に電気的絶縁(絶縁固定)が求められる。また、当該固定する構成には冷却性能が求められ、電気的絶縁性と冷却性能との両立が必要となる。
【0003】
例えば、ヒートシンクとLDモジュールの間に、熱伝導のための充填剤と絶縁とを有する構成を備え、上方から押さえジグで押さえてLDモジュールを固定する方法が提案されている(例えば、特許文献1参照)。また、例えば、LDモジュールの固定部材に熱伝導性をもたせると共に、更に上方にあるフタ部を、熱を逃がす構成として、効率よい冷却方法を実現する技術が提案されている(例えば、特許文献2参照)。また、例えば、絶縁基板の上にLDが配置される構造が提案されている(例えば、特許文献3参照)。絶縁基板とLDとの接合法は、一般的にはダイボンディングによる接合が用いられると考えられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2010−283197号公報
【特許文献2】特開2005−093507号公報
【特許文献3】特開2003−101085号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記特許文献1に記載のLDモジュールを固定する方法では、前述のように、上方から押さえジグで押さえてLDモジュールを固定するが、この場合には、各部品の公差による、ジグとLDモジュールの高さの違いを吸収する機構が必要である。しかし、同公報にはこの機構についての記載はなく、従って、同公報記載の方法で固定を行うと、押さえジグとLDモジュールとの間に隙間ができるか、又は、過大な押さえ力がLDモジュールに作用して、LDモジュールを変形させてしまうおそれがある。また、同公報には、押さえジグとLDモジュールを電気的に絶縁する方法は、開示されていない。
【0006】
また、上記特許文献2に記載の冷却方法では、効率よい冷却方法は実現されるが、電気的に絶縁することはできない。また、上記特許文献3に記載の冷却方法では、複数のLDを備えるLDモジュールを固定する場合には、LDモジュールは、LDより大型のためダイボンディングは適さない。同公報に記載の冷却方法をLDモジュールの固定に採用すると、作業性が悪くなる。
【0007】
本発明は、耐久性、コスト、及び、絶縁固定作業の作業性に優れた絶縁固定によりLDモジュールが冷却板に対して固定されたレーザ発振器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る、1個もしくは複数個のLD光源を有するLDモジュール(例えば、後述のLDモジュール10)を備えるレーザ発振器(例えば、後述のLDモジュールユニット1)では、前記LDモジュールは、冷却板(例えば、後述の冷却板21)の上に設置された伝熱性絶縁部材(例えば、後述の伝熱性絶縁部材23)の上に設置され、前記LDモジュールを覆うようにして取囲んで前記LDモジュールの上方から当接して前記LDモジュールを下方へ押し付けて前記冷却板に固定される弾性絶縁部材(例えば、後述の弾性絶縁部材25)を介して、前記冷却板に対して固定され、前記弾性絶縁部材としてゴム材料が用いられる。
【0009】
前記伝熱性絶縁部材は粘着性を有していても良い。また、前記弾性絶縁部材は、弾性変形可能な金属製の板(例えば、後述の金属製の板26B)と、絶縁部材(例えば、後述の絶縁部材25B)とを有していても良い。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、耐久性、コスト、及び、絶縁固定作業の作業性に優れた絶縁固定によりLDモジュールが冷却板に対して固定されたレーザ発振器を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】第1実施形態に係るレーザ発振器を構成するLDモジュールユニット1を示す概略断面図である。
図2】第2実施形態に係るレーザ発振器を構成するLDモジュールユニット1Aを示す概略断面図である。
図3】第3実施形態に係るレーザ発振器を構成するLDモジュールユニット1Cを示す概略断面図である。
図4】第4実施形態に係るレーザ発振器を構成するLDモジュールユニット1Cを示す概略断面図である。
図5】第5実施形態に係るレーザ発振器を構成するLDモジュールユニット1Dを示す概略断面図である。
図6】第6実施形態に係るレーザ発振器を構成するLDモジュールユニット1Eを示す概略断面図である。
図7】第7実施形態に係るレーザ発振器を構成するLDモジュールユニット1Fを示す概略断面図である。
図8】第8実施形態に係るレーザ発振器を構成するLDモジュールユニット1Gを示す概略断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の第1実施形態について説明する。図1は、第1実施形態に係るレーザ発振器を構成するLDモジュールユニット1を示す概略断面図である。
LDモジュールユニット1は、1個もしくは複数個のLD光源を有するLDモジュール10を備えている。LDモジュール10は、LD(Laser Diode)11を有しており、LD電源(図示せず)から電力が供給されることにより、レーザを放射する。LDモジュールユニット1がDDL(Direct Diode Laser)により構成される場合には、レーザは直接加工等に用いられ、LDモジュールユニット1がファイバレーザにより構成される場合には、レーザは励起光として用いられる。安定したビーム品質を長期間維持するために、LDモジュール10は、冷却されることが重要であり、冷却板21上に設置される。
【0014】
具体的には、LDモジュール10は、伝熱性絶縁部材23の上に設置されている。伝熱性絶縁部材23は、冷却板21の上に設置されている。伝熱性絶縁部材23としては、フィラーが添加されて熱伝導性が強化されたバイトンやパーフロロエラストマー等のゴム材料や、セラミック等が用いられる。
【0015】
LDモジュール10は、冷却板21に固定される弾性絶縁部材25を介して、冷却板21に対して固定されている。弾性絶縁部材25は、LDモジュール10を覆うようにしてLDモジュール10のモジュール本体13の上部にLDモジュール10の上方から当接している。モジュール本体13の上部に当接している弾性絶縁部材25の部分251は、適切な押圧力でLDモジュール10を伝熱性絶縁部材23及び冷却板21に対して押し付けることができるように、弾性絶縁部材25の他の部分と比較して、肉厚に構成されている。
【0016】
また、LDモジュール10は、弾性絶縁部材25で下方へ押さえ付けられている。弾性絶縁部材25の冷却板21への固定は、弾性絶縁部材25と冷却板21との間を絶縁する必要がないため、弾性絶縁部材25の下部の冷却板21への固定には、絶縁性を有する樹脂ネジ等は不要であり使用されない。弾性絶縁部材25の下部は、鉄ネジ31により冷却板21に固定されている。弾性絶縁部材25の冷却板21への固定は、鉄ネジ31に限定されず、例えば、冷却板21に予め設けられたフック状の突起物に、弾性絶縁部材25に予め設けられた穴が掛けられることにより係止されてもよい。
【0017】
弾性絶縁部材25としては、例えば、バイトンやパーフロロエラストマー等のゴム材料が用いられる。弾性絶縁部材25は、弾性を有することにより、LDモジュール10や冷却板21の寸法公差を吸収し、弾性絶縁部材25の弾性によって適切な力でLDモジュール10を固定する。LDモジュール10、伝熱性絶縁部材23、弾性絶縁部材25、及び、鉄ネジ31は、格納筐体27によって覆われて格納されている。
【0018】
以上のように、本実施形態によれば、1個もしくは複数個のLD光源を有するLDモジュール10を備えるLDモジュールユニット1では、LDモジュール10は、冷却板21の上に設置された伝熱性絶縁部材23の上に設置され、冷却板21に固定される弾性絶縁部材25を介して、冷却板21に対して固定される。
【0019】
これにより、LDモジュール10の固定には、絶縁を確保するために、PPS(ポリフェニレンサルファイド)やPTFE(ポリテトラフルオロエチレン)などのエンプラ製の絶縁性ネジの使用は不要となり、鉄ネジ31等の金属製ネジを使用して弾性絶縁部材25を冷却板21に固定して絶縁を確保するとともに、LDモジュール10を、冷却板21に対して絶縁を確保した状態で固定することが可能となる。また、弾性絶縁部材25が弾性を有しているため、LDモジュール10の正確な位置決めが不要となる。これらにより、耐久性、コスト、及び、絶縁固定作業の作業性に優れた絶縁固定により、LDモジュール10が冷却板21に対して固定されたLDモジュールユニット1を提供することができる。
【0020】
次に、本発明の第2実施形態によるレーザ発振器について図2を参照しながら説明する。図2は、第2実施形態に係るレーザ発振器を構成するLDモジュールユニット1Aを示す概略断面図である。
【0021】
第2実施形態によるLDモジュールユニット1Aにおいては、伝熱性絶縁部材23Aが、第1実施形態による伝熱性絶縁部材23とは異なる。これ以外の構成については、第1実施形態によるLDモジュールユニット1の構成と同様であるため、第1実施形態における各構成と同様の構成については、同様の符号を付して説明を省略する。
【0022】
LDモジュールユニット1Aの伝熱性絶縁部材23Aは、粘着性を有する材料により構成されている。粘着性を有する材料としては、ゴム系粘着材、アクリル系粘着材、シリコン系粘着材等が用いられ、本実施形態では、耐熱性や耐候性に優れるシリコーン系粘着材が用いられる。これにより、LDモジュール10は、伝熱性絶縁部材23Aの上に設置されて、伝熱性絶縁部材23Aに粘着し固定されている。伝熱性絶縁部材23Aは、冷却板21の上に設置されて、冷却板21に粘着し固定されている。
【0023】
以上のように、本実施形態によれば、伝熱性絶縁部材23Aは粘着性を有する。これにより、LDモジュール10を伝熱性絶縁部材23Aに配置したときの、伝熱性絶縁部材23Aに対するLDモジュール10の位置ずれ、及び、冷却板21に対する伝熱性絶縁部材23Aの位置ずれを防止することができ、伝熱性絶縁部材23Aに対するLDモジュール10の位置決め、及び、冷却板21に対する伝熱性絶縁部材23Aの位置決めを容易とすることができ、LDモジュールユニット1Aの組立を容易とすることが可能となる。
【0024】
次に、本発明の第3実施形態によるレーザ発振器について図3を参照しながら説明する。図3は、第3実施形態に係るレーザ発振器を構成するLDモジュールユニット1Bを示す概略断面図である。
【0025】
第3実施形態によるLDモジュールユニット1Bにおいては、弾性絶縁部材が、絶縁部材25Bと、バネ性のある金属製の板26Bと、から構成される点で、第2実施形態とは異なる。これ以外の構成については、第2実施形態によるLDモジュールユニット1Aの構成と同様であるため、第2実施形態における各構成と同様の構成については、同様の符号を付して説明を省略する。
【0026】
絶縁部材25Bは、LDモジュール10のモジュール本体13の上部に載置されており、LDモジュール10の上方からモジュール本体13の上板131に当接している。金属製の板26Bは、図3に示すように、LDモジュール10、及び、モジュール本体13の上板131に載置された絶縁部材25Bを覆うようにして、絶縁部材25Bの上方から絶縁部材25Bに当接している。金属製の板26Bの下部は、鉄ネジ31により冷却板21に固定されている。即ち、金属製の板26Bの弾性により、絶縁部材25Bを介してLDモジュール10を下方へ押さえ付けることにより、LDモジュール10は、伝熱性絶縁部材23Aを介して、冷却板21に固定されている。金属製の板26Bは、例えばバネ鋼などが用いられる。また、金属製の板は、多段の折りを有する構成としてもよい。これにより、金属製の板のバネ性を強化することができる。
【0027】
以上のように、本実施形態によれば、弾性絶縁部材は、弾性変形可能な金属製の板26Bと、絶縁部材25Bとを有する。これにより、弾性変形によるバネ性を有する金属製の板26Bで、LDモジュール10を押さえ付けて固定することにより、当該押さえ付けによりLDモジュール10へ加わる力を分散させながら、確実にLDモジュール10を冷却板21に対して固定することができる。
【0028】
次に、本発明の第4実施形態によるレーザ発振器について図4を参照しながら説明する。図4は、第4実施形態に係るレーザ発振器を構成するLDモジュールユニット1Cを示す概略断面図である。
【0029】
第4実施形態によるLDモジュールユニット1Cにおいては、金属製の板は、LDモジュール10を格納する格納筐体27Cの一部により構成される点で、第3実施形態とは異なる。これ以外の構成については、第3実施形態によるLDモジュールユニット1Bの構成と同様であるため、第3実施形態における各構成と同様の構成については、同様の符号を付して説明を省略する。
【0030】
LDモジュールユニット1Cにおいて、金属製の板は、バネ性のある格納筐体27Cの一部により構成されている。また、上下方向における格納筐体27Cの高さは、第1実施形態〜第3実施形態における格納筐体27の上下方向における高さよりも低く構成されている。絶縁部材25Bの上面は、格納筐体27Cの天板273Cの下面に当接している。従って、LDモジュール10は、格納筐体27Cを介して、冷却板21に固定されている。
【0031】
以上のように、本実施形態によれば、金属製の板がLDモジュール10を格納する格納筐体27Cの一部により構成される。これにより、金属製の板を格納筐体27Cが兼ねており、格納筐体27Cとは別個に金属製の板を設ける必要がなくなり、LDモジュールユニット1Cにおいて、LDモジュール10を冷却板21に対して固定するための構成にかかる部品点数を削減できる。
【0032】
次に、本発明の第5実施形態によるレーザ発振器について図5を参照しながら説明する。図5は、第5実施形態に係るレーザ発振器を構成するLDモジュールユニット1Dを示す概略断面図である。
【0033】
第5実施形態によるLDモジュールユニット1Dにおいては、弾性絶縁部材を構成する絶縁部材25Dが熱伝導性を備える点で、第4実施形態とは異なる。これ以外の構成については、第4実施形態によるLDモジュールユニット1Cの構成と同様であるため、第4実施形態における各構成と同様の構成については、同様の符号を付して説明を省略する。
【0034】
絶縁部材25Dは、熱伝導性を備えており、絶縁部材25Dを通してLDモジュール10から放熱することができるように構成されている。これにより、絶縁部材25Dを通してLDモジュール10の熱を格納筐体27Cに伝達する構造とすることができ、LDモジュール10の冷却を強化することができる。
【0035】
次に、本発明の第6実施形態によるレーザ発振器について図6を参照しながら説明する。図6は、第6実施形態に係るレーザ発振器を構成するLDモジュールユニット1Eを示す概略断面図である。
【0036】
第6実施形態によるLDモジュールユニット1Eにおいては、LDモジュール10Eのモジュール本体13Eの上部は開放された構造を有する点で、第5実施形態とは異なる。これ以外の構成については、第5実施形態によるLDモジュールユニット1Dの構成と同様であるため、第5実施形態における各構成と同様の構成については、同様の符号を付して説明を省略する。
【0037】
図6に示すように、LDモジュール10Eのモジュール本体13Eの上部は、開口131Eが形成されており、解放された構成を有している。弾性絶縁部材を構成する絶縁部材25Eは、第5実施形態における絶縁部材25Bよりも肉厚に構成されており、熱伝導性を備えている。絶縁部材25Eの下面は、モジュール本体13Eの上部の開口131Eを塞いでおり、絶縁部材25Eの上面は、格納筐体27Cの天板273Cの下面に当接している。従って、モジュール本体13Eは、格納筐体27Cを介して、冷却板21に固定されている。
【0038】
以上のように、本実施形態によれば、LDモジュール10Eのモジュール本体13Eの上部は開放された構造を有するため、LDモジュール10Eのモジュール本体13Eに上板131(図3参照)は必要なくなり、LDモジュール10Eのモジュール本体13Eに、上板131を設ける工程を削減することができる。また、モジュール本体13Eを構成する部品点数を減らし、また、上板131と側壁134との間のシールを行うシール工程を省くことができる。また、開口131Eを絶縁部材25Eで塞ぐため、LDモジュール10Eにおいて開口131Eを有するモジュール本体13Eを、絶縁部材25Eにより密閉した構成とすることができる。
【0039】
次に、本発明の第7実施形態によるレーザ発振器について図7を参照しながら説明する。図7は、第7実施形態に係るレーザ発振器を構成するLDモジュールユニット1Fを示す概略断面図である。
【0040】
第7実施形態によるLDモジュールユニット1Fにおいては、LDモジュール10Eを格納する格納筐体27Cが上方向に重ねられている点で、第6実施形態とは異なる。これ以外の構成については、第6実施形態によるLDモジュールユニット1Eの構成と同様であるため、第6実施形態における各構成と同様の構成については、同様の符号を付して説明を省略する。
【0041】
図7に示すように、LDモジュールユニット1Fは、冷却板21に固定され格納筐体27Cに覆われた複数のLDモジュール10Eを有するLDモジュールユニット1Eが、上下方向に計3つ積層されて構成されている。中段のLDモジュールユニット1Eの冷却板21の下面は、最下段のLDモジュールユニット1Eの格納筐体27Cの天板273Cの上面に載置されている。最上段のLDモジュールユニット1Eの冷却板21の下面は、中段のLDモジュールユニット1Eの格納筐体27Cの天板273Cの上面に載置されている。
【0042】
以上のように、本実施形態によれば、LDモジュール10Eを格納する格納筐体27Cが上方向に重ねられている。このため、格納筐体27Cの天板273Cの上面に載置された冷却板21から、格納筐体27Cの天板273Cの冷却の効果を得ることができ、より冷却効率を高めて、LDモジュール10Eの冷却を強化することができる。
【0043】
次に、本発明の第8実施形態によるレーザ発振器について図8を参照しながら説明する。図8は、第8実施形態に係るレーザ発振器を構成するLDモジュールユニット1Gを示す概略断面図である。
【0044】
第8実施形態によるLDモジュールユニット1Gにおいては、一のLDモジュール10E(図8における下側のLDモジュール10E)の弾性絶縁部材は、他のLDモジュール10E(図8における上側のLDモジュール10E)と、絶縁部材25Eとを有する点で、第7実施形態とは異なる。そして、第8実施形態によるLDモジュールユニット1Gにおいては、一のLDモジュール10Eに対して他のLDモジュール10Eは、天地逆転されて、絶縁部材25Eを介して一のLDモジュール10Eに重ねられている点で、第7実施形態とは異なる。これ以外の構成については、第7実施形態によるLDモジュールユニット1の構成と同様であるため、第7実施形態における各構成と同様の構成については、同様の符号を付して説明を省略する。
【0045】
図8に示すように、LDモジュールユニット1Gの格納筐体27Gは、天板273C(図7参照)を有していない。一の格納筐体27G(図8における下側の格納筐体27G)の上端は、開口271Gを有しており、解放されている。一の格納筐体27Gの上端の開口271Gに、他の格納筐体27G(図8における上側の格納筐体27G)の上端(図8においては、天地逆転されているため、下端)の開口271Gが当接させられて接続されている。また、一のLDモジュール10Eのモジュール本体13Eの開口131Eを塞いでいる絶縁部材25Eの上面が、他のLDモジュール10Eのモジュール本体13Eの開口131Eを塞ぐように、他のLDモジュール10Eは、天地逆転されて絶縁部材25Eの上面に接続されている。即ち、一のLDモジュール10Eの弾性絶縁部材は、他のLDモジュール10Eと、絶縁部材25Eとにより構成されている。そして、一のLDモジュール10Eは、絶縁部材25Eと、他のLDモジュール10Eと、図8の上側の伝熱性絶縁部材23A及び冷却板21と、図8の上側及び下側の格納筐体27Gとにより、図8の下側の伝熱性絶縁部材23A及び下側の冷却板21に押し付けられて固定されている。
【0046】
以上のように、本実施形態によれば、一のLDモジュール10Eの弾性絶縁部材は、他のLDモジュール10Eと、絶縁部材25Eとを有する。このため、格納筐体27Gにおいて天板273C(図7参照)が不要となり、LDモジュール10E同士で押さえつけ合う構造となるため、LDモジュール10Eを冷却板21に固定する構成を、部品点数が少ない構成とすることが可能になる。また、冷却板21がLDモジュール10Eの上下に配置されるため、LDモジュール10Eが上下から冷却され、LDモジュール10E付近の気体も循環しやすくなるため、冷却が強化される。
【0047】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は前述した実施形態に限るものではない。また、本実施形態に記載された効果は、本発明から生じる最も好適な効果を列挙したに過ぎず、本発明による効果は、本実施形態に記載されたものに限定されるものではない。
例えば、レーザ発振器の構成、より具体的には、LDモジュールを冷却板に対して固定する構成は、上述した実施形態における各部の構成に限定されない。
【0048】
例えば、第8実施形態によるLDモジュールユニット1Gにおいては、弾性絶縁部材としての絶縁部材25Eは熱伝導性を備えていたが、この構成に限定されない。
【符号の説明】
【0049】
1、1A、1B、1C、1D、1E、1F、1G LDモジュールユニット(レーザ発振器)
10、10E LDモジュール
21 冷却板
23、23A 伝熱性絶縁部材
25 弾性絶縁部材
25B、25D、25E 絶縁部材
26B 金属製の板
27C、27G 格納筐体
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8