(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下に、本発明に係るバッテリパック構造の実施形態であるバッテリパックについて詳細に説明する。以下で説明する形状、数量、材質などは説明のための例示であって、バッテリパックの仕様により変更が可能である。以下では、バッテリパックが車両に搭載される場合を説明するが、バッテリパックはこのような用途に用いられる構成に限定するものではなく、家庭用または工場用などの他の用途に用いられてもよい。以下では同様の構成には同一の符号を付して説明する。
【0014】
図1は、実施形態のバッテリパック10において、蓋部16(
図5参照)を取り除いて示す斜視図である。
図2は、
図1から1つのバッテリモジュール20及びチャンバ30を取り出して示す斜視図である。
図3は、バッテリパック10の空気の流れを説明する平面模式図(a)と、(a)におけるA部の断面構成を示す拡大図(b)である。
【0015】
バッテリパック10は、バッテリパック10のケースとしてのパックケース12(
図5)と、複数のバッテリモジュール20と、複数のチャンバ30と、第1冷却ダクト40及び第2冷却ダクト50と、複数のコネクタ60a、60b(
図3、
図4)とを備える。
【0016】
パックケース12は、上端に開口を有する箱状のケース本体14(
図1)と、ケース本体14の開口を塞ぐようにケース本体14に固定される蓋部16(
図5参照)とを含む。
【0017】
複数のバッテリモジュール20は、パックケース12の内部に収容されて、左右方向に並んで配置される。各バッテリモジュール20は前後方向Yに伸びるブロック状である。
図1〜
図6、
図9では、左右方向をXで示し、左右方向Xに対し直交する前後方向をYで示し、X及びYに対し直交する上下方向をZで示している。バッテリパック10は、例えば車両の後席の後側に搭載されて、車両に搭載された走行用モータ(図示せず)の電源として用いられる。このとき、パックケース12は、車体の後部に固定される。前後方向Y、左右方向X、上下方向Zは、それぞれ車両の前後方向、左右方向、上下方向と一致する。
【0018】
ケース本体14及び蓋部16は、鉄等の金属により形成される。
図1では、ケース本体14を模式的に箱形で示している。ケース本体14は、複数のバッテリモジュール20の後側、左右両側を連続して覆う後・左右側壁部14aと、底板部(図示せず)と、前端壁部14bとを含む。底板部は、後・左右側壁部14aの底部開口を塞いで後・左右側壁部14aに固定される。前端壁部14bは、後・左右側壁部14aの前端開口を塞いで後・左右側壁部14aに固定される。
【0019】
図4は、
図1から冷却ダクト40,50及びケース本体14の前端壁部14bを取り外して、ケース本体の後・左右側壁部14aとコネクタ60a、60bとを分離して示す斜視図である。
図4に示すように、後・左右側壁部14aの後端に配置される後端壁部14cにおいて、左右方向Xに離れた複数位置には、コネクタ挿通孔14dが形成される。コネクタ挿通孔14dは、複数のバッテリモジュール20のうち、隣り合うバッテリモジュール20の間に開口するように形成される。各コネクタ挿通孔14dには後述のコネクタ60a、60bのいずれかが挿入されて取り付けられる。なお、図面の簡略化のため、
図4ではコネクタ挿通孔14dの内側を無地として裏側が見えない図としている。
【0020】
ケース本体14の内側において、隣り合うバッテリモジュール20の間には、チャンバ30が配置される。チャンバ30は、バッテリモジュール20に接続され、バッテリモジュール20への空気流路であって、冷却用空気をバッテリモジュール20に分配して供給する分配部である。そして、後述の第1冷却ダクト40及び第2冷却ダクト50の出口部がコネクタ60の第2開口に第2シール材を介して接続され、コネクタ60の第1開口がチャンバ30の入口部に第1シール材を介して接続される。これにより、後述するように、冷却ダクト40,50、コネクタ60、チャンバ30を介して、冷却ダクト40,50の上流側からバッテリモジュール20に冷却用空気が供給される。また、後述するように、冷却ダクト40,50とチャンバ30とが接続される構成において、冷却ダクト40,50及びチャンバ30の形状ばらつき、または組み付けばらつきが大きい場合でも、バッテリパック10の冷却性能の低下を抑制できる。
【0021】
また、後・左右側壁部14aの後端壁部14cにおいて、左右方向Xの中央位置には、排気孔14eが形成される。パックケース12内を流れた空気は、排気孔14eを通じてパックケース12外に排出される。
【0022】
バッテリモジュール20は、パックケース12の底板部の上側に、例えばボルト(図示せず)によって固定される。バッテリモジュール20は、
図3を参照して、複数のバッテリセル22を含み、複数のバッテリセル22が前後方向Yに並ぶように配置された状態で、モジュールケース24に固定されている。これにより、バッテリセル22の配列方向は、前後方向Yと一致する。複数のバッテリセル22は電気的に接続される。
【0023】
バッテリセル22は、それぞれリチウムイオン二次電池、またはニッケル水素二次電池などの角型二次電池である。なお、バッテリセルは、円筒型二次電池としてもよい。
【0024】
図2に示すように、バッテリモジュール20のモジュールケース24は、左右方向X両端面に開口部26を有する。
図2では右側の開口部26を示し、左側の開口部の図示を省略しているが、左側の開口部も右側の開口部26と同様に形成される。
【0025】
チャンバ30は、パックケース12の内側において、バッテリモジュール20のモジュールケース24の左右方向X一端面(
図2の右端面)に取り付けられることにより、バッテリモジュール20と対面する部分に形成される。チャンバ30は、内部に空気が流れる空気流路であり、前後方向Yに伸びている。また、チャンバ30の前後方向Yに対し直交する平面についての断面形状は、矩形状である。チャンバ30は、箱形状のチャンバ本体32と、後端部に形成されチャンバ30本体よりも上下方向Z長さが小さくなることにより流路断面積が絞られた入口部34とを有する。
図3(b)に示すように、入口部34は、バッテリモジュール20より後側(
図3(b)の下側)に配置され、チャンバ本体32より、接続されるバッテリモジュール20側(
図3(b)の左側)に広がっている。
図2に示すように、チャンバ本体32の前端(
図2の下端)と入口部34の後端(
図2の上端)とは、上下両端が上下方向Zに対し傾斜した中間筒部36によって接続される。入口部34も、チャンバ本体32と同様に、前後方向Yに対し直交する平面についての断面形状は、矩形である。
【0026】
さらに、チャンバ30のうち、チャンバ本体32の左右方向X他方側面(
図2の左側面)は、モジュールケース24の左右方向X一端面に固定される。チャンバ本体32の左右方向X他方側面の前後方向Y複数位置には貫通孔38が形成される。各貫通孔38は、モジュールケース24の左右方向X一端部(
図2の右端部)に形成された開口部26に向かって開口する。したがって、チャンバ30内の冷却空気が、貫通孔38、開口部26を介し、モジュールケース24内に導入され、モジュールケース24内のバッテリセル22(
図1、
図3)が冷却される。また、チャンバ30の前端部には、図示しない蓋部またはチャンバシール部が取り付けられて、チャンバ内の流路の前端部を塞いでいる。チャンバ30は、鉄等の金属または樹脂によって形成される。このようなチャンバ30の入口部34には、後述のコネクタ60a、60bの第1開口61が第1シール材70によりシールされた状態で接続される。
【0027】
図1に戻って、第1冷却ダクト40及び第2冷却ダクト50は、パックケース12(
図5)の外側に配置され、パックケース12の後端壁部14cの外面に左右に分かれて取り付けられる。第1冷却ダクト40は、複数のバッテリモジュール20のうち、左側の2つのバッテリモジュール20に接続された2つのチャンバ30に空気を送り込む空気流路となる。第2冷却ダクト50は、複数のバッテリモジュール20のうち、残りの3つのバッテリモジュール20に接続された3つのチャンバ30に空気を送り込む空気流路となる。このとき、各冷却ダクト40,50は、後述のように、パックケース12に、コネクタ60a、60b(
図5)を介さずにクリップ84(
図6)等の結合手段により結合固定される。
図1では、各冷却ダクト40,50を簡略化して示している。
【0028】
第1冷却ダクト40は、上流側端部(
図1の左端部)に設けられたダクト入口部41と、下流側に2つに分かれて設けられた2つのダクト出口部42(
図3)とを有する。
図3では、ダクト出口部42として1つのみを示しているが、残りのダクト出口部42も同様である。第1冷却ダクト40のうち、2つのダクト出口部42が形成された下流側部分において、パックケース12に面する側面は平面である。ダクト出口部42の周囲には第1冷却ダクト40の前側面(
図3の上側面)から前側(
図3の上側)に突出する断面矩形状の筒部43が形成される。
【0029】
図5は、
図1において、パックケース12に蓋部16を取り付けた状態で、パックケース12と冷却ダクト40,50とを分離して示す斜視図である。
図5に示すように、パックケース12の外側で後端壁部14c付近の左右方向X両側には、第1ブロワ80及び第2ブロワ82がそれぞれ配置される。第1ブロワ80及び第2ブロワ82は、車体に固定される。また、第1冷却ダクト40のダクト入口部41には、第1ブロワ80の排出口81が接続される。
【0030】
第1冷却ダクト40の下流側部分(
図5の右側部分)の上端部2個所位置と、下流側端部の下端部とには上側または右側に突出する固定板部44が固定され、各固定板部44には孔が形成される。各固定板部44の孔には第1結合手段であるプッシュリベット状のクリップ84(
図6)が挿入され、そのクリップ84の先端部がパックケース12の後端壁部14cに形成されたクリップ孔15a(
図5)に挿入された状態で広がって固定される。これにより、第1冷却ダクト40がパックケース12の後端部に、後述のコネクタ60aを介さずに結合固定される。第1結合手段は、ボルト及びナット等であってもよい。第1冷却ダクト40の長手方向中間部は、下流側端部から上流側に向かって徐々に下がるように傾斜している。
【0031】
第2冷却ダクト50は、上流側端部(
図1の右端部)に設けられたダクト入口部51と、下流側に3つに分かれて設けられた3つのダクト出口部(図示せず)とを有する。第2冷却ダクト50のダクト出口部は、第1冷却ダクト40のダクト出口部42(
図3)と同様である。第2冷却ダクト50のうち、3つのダクト出口部42が形成された下流側部分(
図1の左側部分)において、パックケース12に面する側面は平面である。
【0032】
第2冷却ダクト50のダクト入口部51には、第2ブロワ82(
図5)の排出口83が接続される。第2冷却ダクト50の下流側部分(
図5の左側部分)の上端部2個所位置と、下流側端部の下端部とには上側または左側に突出する固定板部52が固定され、各固定板部52には孔が形成される。第2冷却ダクト50は、第1冷却ダクト40と同様に、各固定板部52の孔に第1結合手段であるクリップ(図示せず)が挿入され、その先端部がパックケース12の後端壁部14cのクリップ孔15b(
図5)に挿入されて固定される。これにより、第2冷却ダクト50がパックケース12の後端部に、コネクタ60bを介さずに結合固定される。
【0033】
図6は、第1冷却ダクト40、コネクタ60a、及びチャンバ30を分離した状態で、バッテリモジュール20側から見た斜視図である。第1冷却ダクト40は、パックケース12(
図5)に固定された状態で各ダクト出口部42がコネクタ60aを介してパックケース12の内側に配置されたチャンバ30の入口部34に接続される。これにより、コネクタ60aは、第1冷却ダクト40及びチャンバ30を空気流路として連通する。また、第1冷却ダクト40がコネクタ60aに、後述の第2シール材71(
図6)を介して押し付けられることにより、コネクタ60aは、第1冷却ダクト40及びパックケース12を接続する。
【0034】
図5に示した第2冷却ダクト50も、第1冷却ダクト40と同様に、対応するチャンバ30の入口部に接続される。第2冷却ダクト50がチャンバ30に接続される構造は、第1冷却ダクト40及びチャンバ30の接続構造と同様であるので、以下、第1冷却ダクト40と接続されるコネクタ60a及びチャンバ30を中心に説明する。
【0035】
図7は、コネクタ60aを、
図6とは逆方向から見た斜視図である。
図8は、コネクタ60aから第1シール材を取り外して示す斜視図である。
図9は、
図3(b)のB−B断面図である。なお、第2冷却ダクト50に接続されるコネクタ60b(
図4)は、後述するクリップ挿入孔63を有するケース固定突部62の位置が異なるだけで、第1冷却ダクト40に接続されるコネクタ60aの構成と同様である。
【0036】
図7、
図8に示すコネクタ60aは、筒部65と、筒部65の後端部に形成されたフランジ66とを有する。筒部65は、前端部(
図7の左端部)が矩形筒状であり、
図3に示すように、フランジ66に近い部分では第1ブロワ側(
図3の左側)がフランジ66に近づくほど徐々に第1ブロワ側に傾斜して流路が広がっている。
図7、
図8に示すように、筒部65を構成する第1ブロワ側(
図7、
図8の左側)の壁部65aの先端部には、前後方向に突出する突部65bが形成される。
【0037】
コネクタ60aは、筒部65の前端部に形成された矩形筒状の第1開口61と、筒部65の後端部であってフランジ66の内側に形成された矩形状の第2開口67と、第1シール面61a及び第2シール面67aとを有する。第1開口61は、チャンバ30の矩形筒状の入口部34に第1シール材70によりシールされた状態で接続される。第2開口67は、第1冷却ダクト40のダクト出口部42に、後述の第2シール材71(
図6)によりシールされた状態で接続される。
【0038】
さらに、第1シール面61aは、筒部65において、第1開口61の周辺部に形成され、第1開口61の軸方向(
図9の左右方向)と平行な矩形筒状面である。第1シール面61aは、チャンバ30の入口部34の周辺部に形成される内側の筒状面であるチャンバ入口面34aに対し第1シール材70を介して面する。具体的には、チャンバ入口面34aは入口部34の内側において断面形状が矩形である筒状面であり、第1シール面61aの外側に面する。
図3(b)に示すように、第1シール面61aは、矩形状の第1シール材70を介してチャンバ入口面34aに接続される。これにより、第1開口61は、第1シール材70によりシールされた状態で入口部34に接続される。
【0039】
図7に示すように第1シール材70は、筒部65の前端部の外周面に巻き付けられて貼り付けられる。第1シール材70は、断面矩形の線材を矩形状に曲げて筒部65の全周に巻いて、その両端部が筒部65の軸方向に重なるように形成され、その重なった部分の一部が突部65bの外側に配置される。第1シール面61aとチャンバ30の入口部34とは、中心軸O1(
図9)がほぼ一致する。そして、第1シール面61aの外周面とチャンバ30の入口部34の内周面との間には、全周にわたってほぼ均一な環状隙間が形成される。これにより、第1シール材70は、コネクタ60aとチャンバ30との間での空気の漏れを防止する。第1シール材70は、ゴムまたは弾性を有する樹脂によって形成される。例えば第1シール材70は、エーテル系ポリウレタン樹脂であって、低密度で軟質型のものが用いられ、発泡成形により形成される。第1シール材70の角部が他の部分に比べて薄くなる場合でも、第1シール材70の周囲からの空気の漏れを防止できるように第1シール材70の周方向に対し直交する方向の厚みを適切に規定する。第1シール材70は、例えばゴムスポンジとしてもよい。第1シール材70は、断面がO形状のものも使用できる。第1シール材70は、車両の前後方向Yの部品の形状ばらつき及び組み付けばらつきを吸収する機能を有する。
【0040】
第2シール面67aは、フランジ66の後側面(
図9の右側面)に第2開口67を囲うように全周にわたって形成される平面である。フランジ66の後側面は、第2開口67の周縁を含む仮想平面に沿う平面である。これにより、第2シール面67aは、第2開口67の周辺部であって、フランジ66の後側面に形成される。
【0041】
第2シール面67aは、第1冷却ダクト40のダクト出口部42の周辺部に形成されたダクト出口面45に対し第2シール材71(
図9)を介して前後方向に面する。ダクト出口面45は、第1冷却ダクト40のダクト出口部42の周辺部にダクト出口部42を囲うように全周に形成される平面である。
図9に示すように、第2シール面67aは、矩形状の第2シール材71を介してダクト出口面45に接続される。第2シール材71も、第1シール材70と同様に、ゴムまたは弾性を有する樹脂によって形成される。第2シール材71は、
図6に示すように、第1冷却ダクト40のダクト出口面45に、ダクト出口部42を囲うように接着される。第2シール材71は、例えば周方向に対し直交する平面についての断面形状が矩形状である。第2シール材71は、ゴムまたは弾性を有する樹脂によって形成される。第2シール材71は、第1シール材70と同様に、例えばゴムスポンジとしてもよい。これにより、コネクタ60aの第2開口67(
図9)は、第2シール材71によりシールされた状態でダクト出口部42に接続される。コネクタ60aのフランジ66の後側面と第1冷却ダクト40のダクト出口部42周囲の前側面とは、ほぼ平行である。このため、フランジ66の後側面とダクト出口部42の周囲の前側面との間には、第2シール材71に沿う環状部分の全周にわたってほぼ均一な隙間が形成される。このとき、第1冷却ダクト40のダクト出口部42より外周側に第2シール材71が配置され、ダクト出口部42の外周縁より第2シール材71が大きく設定される。第2シール材71は、車両の上下方向Z及び左右方向Xの部品の形状ばらつき及び組み付けばらつきを吸収する機能を有する。
【0042】
また、コネクタ60aの平面である第2シール面67aは、筒状面である第1シール面61aにより形成される筒の軸方向(
図9の左右方向)に対し直交している。
【0043】
図7、
図8に示すように、フランジ66の1つの隅部には、段差部68を介して第2シール面67aより前側(
図7、
図8の左側)に配置されて左右方向に伸びるように連結されたケース固定突部62が形成される。ケース固定突部62にはクリップ挿入孔63が形成される。
【0044】
図4に示すように、コネクタ60aのケース固定突部62は、パックケース12のケース本体14の後側面に、クリップ挿入孔63に挿入された第2結合手段であるクリップ85によって固定される。クリップ85は、
図6に示すクリップ84と同様に、プッシュリベット状である。第2結合手段は、ボルト及びナット等であってもよい。また、ケース固定突部62は、コネクタ60aのフランジ66より前側(
図4の上側)に配置される。これにより、コネクタ60aのフランジ66とパックケース12の後側面との間には隙間が形成される。このため、コネクタ60aにおいて、ケース固定突部62とフランジ66との連結部である段差部68が変形できる範囲でパックケース12に対するコネクタ60aの傾斜が許容される。
【0045】
上記のバッテリパック10によれば、各ブロワ80,82が駆動されることによりブロワ80,82から空気が各冷却ダクト40,50に送り込まれ、コネクタ60a、60bを介して複数のチャンバ30に供給される。例えば
図3に矢印αで示すように、空気が第1冷却ダクト40、コネクタ60a、チャンバ30を順に流れる。そして、チャンバ30から複数の貫通孔38を通じてバッテリモジュール20の前後方向の複数位置に送られる。バッテリモジュール20を流れた空気はバッテリセル22を冷却しながら、バッテリモジュール20の外側に吹き出す。パックケース12内の空気は、パックケース12の後端壁部14cの排気孔14eを通じて外側に吹き出される。これにより、各バッテリモジュール20が冷却される。
【0046】
また、各冷却ダクト40,50がコネクタ60a、60b、各シール材70,71を介してチャンバ30に接続される。また、コネクタ60a、60bの第1開口61は、第1シール材70を介してチャンバ30に接続される。また、コネクタ60a、60bの第2開口67は、第2シール材71を介して冷却ダクト40,50に接続される。これにより、冷却ダクト40,50及びチャンバ30の形状ばらつき、または組み付けばらつきが大きい場合でも、冷却ダクト、コネクタ及びチャンバの接続部でばらつきをシール材70,71により吸収できる。例えば、
図9に示すように、コネクタ60aの第1開口61の端が
図9の矢印β1の範囲で、チャンバ30のチャンバ入口面34aに対し前後方向Yに移動しても、第1シール材70によって第1シール面61aについてのシール性を確保できる。このとき、チャンバ30の入口部34に対しコネクタ60aの前端部が挿入されるだけで、チャンバ30にコネクタ60aが直接に結合固定はされないので、チャンバ30へコネクタ60aを組み付ける際に前後方向Yのばらつきを吸収できる。
【0047】
また、コネクタ60aの第2開口67が
図9の矢印β2の範囲で、第1冷却ダクト40のダクト出口面45に対し上下方向Zに移動しても、第2シール材71によって第2シール面67aについてのシール性を確保できる。このとき、第1冷却ダクト40に対しコネクタ60aは直接には結合固定されないので、第1冷却ダクト40をコネクタ60aに押し付けつつパックケース12に固定する際に、上下方向Zのばらつきを吸収できる。この場合、上下方向以外の第2シール面67aに沿う方向のバラツキも吸収できる。このため、各ばらつきが大きい場合でも、コネクタ60aの各シール面61a、67aについての接続部での空気漏れの発生を防止できるので、バッテリパック構造の冷却性能の低下を抑制できる。
【0048】
さらに、コネクタ60aの第1シール面61aにより形成される筒の軸方向に対し第2シール面67aは直交している。これにより、第1シール面61aと平行な第1方向としての前後方向Y、及び第2シール面67aと平行な方向で、かつ前後方向に対し直交する第2方向の冷却ダクト及びチャンバのばらつきが大きい場合でも、その2つの方向のばらつきを吸収できる。例えば第2シール面67aと平行な第2方向として、左右方向Xまたは上下方向Zがあり、前後方向Y、左右方向X、上下方向Zのいずれのばらつきも吸収できる。この面からも冷却性能の低下を抑制できる。
【0049】
また、第1冷却ダクト40の上流側端は第1ブロワ80に接続され、第2冷却ダクト50の上流側端は第2ブロワに接続される。このとき、各冷却ダクト40,50はコネクタ60a、60b、第1シール材70及び第2シール材71を介してチャンバ30に接続される。このように冷却ダクト40,50がコネクタ60a、60bと別部材になっているので、コネクタ60a、60bにチャンバ30を接続した後で、各冷却ダクト40,50を、対応するブロワ80,82とチャンバ30とに接続することができる。これにより、冷却ダクトの一部をパックケース12内に差し込みながら別の部分をブロワ80,82に接続する作業を行う必要がなくなる。このため、各冷却ダクト40,50をチャンバ30へ接続する作業の作業性が向上する。
【0050】
図10は、実施形態のバッテリパックの別例において、
図9に対応する図(a)と、(a)のC部拡大図(b)である。
図11は、
図10からコネクタ60aを取り出して示す斜視図である。
【0051】
図10、
図11に示す構成では、
図1から
図9の構成において、コネクタ60aのフランジ66より後側に第2筒部69が形成される。第2筒部69は、矩形筒状であり、フランジ66に対し前側の筒部65とは反対側に突出する。そして、
図10に示すように、第2筒部69は、内側に断面が矩形状の第2開口69aが形成される。また、第2筒部69の外周面であって、第2開口69aの周辺部には第2シール面69bが形成される。第2シール面69bは第2開口69aの軸方向(
図10の左右方向)と平行な筒状面である。
【0052】
そして、第2筒部69の第2シール面69bは、第1冷却ダクト40の筒部43の内側に、矩形筒状の第2シール材71aを介して接続される。具体的には、第2シール面69bと第1冷却ダクト40の筒部43とは、中心軸がほぼ一致する。そして、第2シール面69bの外周面と筒部43の内周面との間には、全周にわたってほぼ均一な隙間が形成される。これにより、第2シール材71aは、コネクタ60aと第1冷却ダクト40との間での空気の漏れを防止する。
【0053】
第2開口69aは、第2シール材71aによりシールされた状態で、第1冷却ダクト40のダクト出口部42の周辺部に形成される筒部43の矩形筒状内周面と面する。筒部43の内周面はダクト出口面である。第2開口69aは、第2シール材71aによりシールされた状態でダクト出口部42に接続される。このとき、第1冷却ダクト40は、筒部43が第2筒部69の外側に第2シール材71aを介して嵌合されるので、クリップ等の第1結合手段によりパックケース12に結合固定しない構成としてもよい。
【0054】
図10、
図11の構成によれば、第1冷却ダクト40の筒部43が
図10に矢印β3で示す範囲で、コネクタ60aの第2シール面69bに対し前後方向Yに移動しても、第2シール材71aによってコネクタ60aとの接続部におけるシール性を確保できる。このため、前後方向における各ばらつきが大きい場合でも、コネクタ60aと第1冷却ダクト40との間での空気漏れの発生を防止できるので、バッテリパック構造の冷却性能の低下を抑制できる。その他の構成及び作用は、
図1から
図9の構成と同様である。
【0055】
図12は、実施形態のバッテリパックの別例において、
図9に対応する図である。
図12に示す構成では、
図1から
図9の構成において、コネクタ60aの筒部65の両端開口の内側にチャンバ30の入口部34と第1冷却ダクト40のダクト出口部42の筒部43とが、それぞれ挿入される。そして、コネクタ60aの筒部65の第1開口61の内周側に、矩形筒状の第1シール面61bが形成される。第1シール面61bとチャンバ30の矩形筒状の入口部34とは、中心軸がほぼ一致する。また、チャンバ30の入口部34の外周面と、第1シール面61bとの間には全周にわたってほぼ均一な環状隙間が形成される。そして、入口部34の外周面と第1シール面61bとの間に第1シール材70が配置される。
【0056】
また、コネクタの第2開口67の内周側に、矩形筒状の第2シール面67bが形成される。第2シール面67bと第1冷却ダクト40の筒部43とは、中心軸がほぼ一致する。また、第1冷却ダクト40の筒部43の外周面と、第2シール面67bとの間には、全周にわたってほぼ均一な環状隙間が形成される。そして、筒部43の外周面と第2シール面67bとの間に矩形筒状の第2シール材71aが配置される。第1シール材70は、チャンバ30とコネクタ60aの間での空気の漏れを防止し、第2シール材71aは、第1冷却ダクト40とコネクタ60aの間での空気の漏れを防止する。
【0057】
上記の構成の場合でも、
図1から
図9の構成と同様に、前後方向Yにおける第1冷却ダクト40またはチャンバ30の形状ばらつき、または組み付けばらつきが大きい場合でも、冷却性能の低下を抑制できる。その他の構成及び作用は、
図1から
図9の構成、または
図10、
図11の構成と同様である。
【0058】
図13は、実施形態のバッテリパックの別例において、
図9に対応する図である。
図13の構成では、
図12の構成において、コネクタ60aの第1開口61の周辺部にフランジ61cが形成される。そして、フランジ61cと、チャンバ30の入口部34の端部に形成されたフランジ34bとが、矩形状の第1シール材70aを介して接続される。コネクタ60aのフランジ61cの前側面(
図13の左側面)には第1シール面が形成される。第1シール面は、第1開口61の周縁を含む仮想平面に沿う平面である。第1シール材70aは、チャンバ30のフランジ34bの後側面(
図13の右側面)である入口側面と第1シール面との間に配置される。このとき、コネクタ60aの前端部をチャンバ30の後端部に第1シール材70aを介して押し付けるので、コネクタ60aとチャンバ30とを、クリップ等の結合手段により直接には結合しない。この場合、コネクタ60aをパックケース12の内側でブラケット及び結合手段を用いてパックケース12に固定してもよい。これにより、コネクタ60aとチャンバ30との上下方向Zまたは左右方向Xのばらつきを吸収できる。その他の構成及び作用は、
図1から
図9の構成、または
図12の構成と同様である。
【0059】
図10から
図13の構成では、第1冷却ダクト40、コネクタ60a及びチャンバ30の接続構造を説明したが、第2冷却ダクト50、コネクタ60b及びチャンバの接続構造も同様に形成できる。
【0060】
上記の各例では、2つの冷却ダクト40,50で分けて複数のチャンバ30に接続する構成を説明したが、1つの冷却ダクトにより複数のチャンバ30のすべてに接続する構成としてもよい。
【0061】
また、上記の各例では、コネクタの開口の周辺部のシール面を筒状面とする場合において、筒状面が断面矩形状である構成を説明したが、筒状面は円筒面としてもよい。ただし、円筒面は平面と比べて面精度を高くすることが困難であるので、製造コストを低減する面からは筒状面を断面矩形とすることが好ましい。また、断面矩形の筒状面の場合には、円筒面とする場合に比べて、矩形を上下方向に長い長方形とする等により左右方向の長さを小さくできる面からも好ましい。