(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記偏位制限器が、前記軸方向可動域、前記半径方向可動域及び前記円周方向可動域を超える前記ギアボックスの移動を阻止する、請求項1に記載のガスタービンエンジン(10)。
前記ピンが、前記可撓性カップリング又は前記トルクフレームのうちの少なくとも一方と軸方向ギャップ(188,190)を定め、前記ピンが、前記可撓性カップリング又は前記トルクフレームのうちの少なくとも一方と半径方向ギャップ(192,194)を定め、前記ピンが、前記可撓性カップリング又は前記トルクフレームのうちの少なくとも一方と円周方向ギャップ(196,198)を定める、請求項1乃至3のいずれかに記載のガスタービンエンジン(10)。
前記ギアボックスが、サンギア(106)と、リングギア(108)と、前記サンギア及びリングギアと噛み合う複数のスターギア(110)と、を含み、前記複数のスターギアが、スターギアキャリア(120)内で回転可能に装着される、請求項1乃至9のいずれかに記載のガスタービンエンジン(10)。
前記可撓性カップリングが、第1の端部(154)において前記ファンフレーム又は前記コアフレームの少なくとも一方に接続され、前記偏位制限器が、前記可撓性カップリングの第1の端部に近接した位置にて前記トルクフレーム部材を前記可撓性カップリングに緩く取り付ける、請求項1乃至11のいずれかに記載のガスタービンエンジン(10)。
【発明を実施するための形態】
【0013】
ここで、その1つ又はそれ以上の実施例が添付図面に例示されている本発明の実施形態について詳細に説明する。詳細な説明では、図面中の特徴部を示すために参照符号及び文字表示を使用している。本発明の同様の又は類似の要素を示すために、図面及び説明において同様の又は類似の記号表示を使用している。本明細書で使用される用語「第1」、「第2」、及び「第3」は、ある構成要素を別の構成要素と区別するために同義的に用いることができ、個々の構成要素の位置又は重要性を意味することを意図したものではない。
【0014】
次に、図全体を通して同じ参照符号が同様の要素を表す図面を参照すると、
図1は、本開示の例示的な実施形態による、ガスタービンエンジンの概略断面図である。より詳細には、
図1の実施形態において、ガスタービンエンジンは、本明細書で「ターボファンエンジン10」と呼ばれる高バイパスターボファンジェットエンジン10である。
図1に示すように、ターボファンエンジン10は、軸方向A(参照として設けられる長手方向中心線12に平行に延びる)と半径方向Rとを定める。一般に、ターボファン10は、ファンセクション14と、該ファンセクション14から下流側に配置されたコアタービンエンジン16と、を含む。
【0015】
図示の例示的なコアタービンエンジン16は、一般に、環状入口20を定める実質的に管状の外側ケーシング18を含む。外側ケーシング18は、直列流れ関係で、ブースタ又は低圧(LP)圧縮機22及び高圧(HP)圧縮機24を含む圧縮機セクションと、燃焼セクション26と、高圧(HP)タービン28及び低圧(LP)タービン30を含むタービンセクションと、ジェット排気ノズルセクション32と、を収容する。高圧(HP)シャフト又はスプール34は、HPタービン28をHP圧縮機24に駆動可能に接続する。低圧(LP)シャフト又はスプール36は、LPタービン30をLP圧縮機22に駆動可能に接続する。
【0016】
図示の実施形態において、ファンセクション14は、ディスク42に離間した状態で結合された複数のファンブレード40を有する可変ピッチファン38を含む。図示のように、ファンブレード40は、半径方向Rにほぼ沿ってディスク42から外向きに延びる。各ファンブレード40は、ファンブレード40のピッチを一体となって全体的に変更するよう構成された好適な作動部材44にファンブレード40が動作可能に結合されたことで、ディスク42に対してピッチ軸Pの周りに回転可能である。ファンブレード40、ディスク42、及び作動部材44は、出力ギアボックス46にわたってLPシャフト36により長手方向軸線12の周りで共に回転可能である。出力ギアボックス46は、LPシャフト36の回転速度をより効率的なファン回転速度まで漸減するための複数のギアを含み、1又はそれ以上のカップリングシステム47を通るコアフレーム又はファンフレームの一方又は両方に取り付けられる。
【0017】
図1の例示的な実施形態を更に参照すると、ディスク42は、複数のファンブレード40を通る空気流を促進させるように空力的に輪郭形成された回転可能フロントハブ48によって覆われる。加えて、例示的なファンセクション14は、ファン38及び/又はコアタービンエンジン16の少なくとも一部を円周方向に囲む環状ファンケーシング又は外側ナセル50を含む。ナセル50は、複数の円周方向に離間して配置された出口ガイドベーン52によってコアタービンエンジン16に対して支持されるように構成することができる点は理解されたい。更に、ナセル50の下流側セクション54は、コアタービンエンジン16の外側部分の上に延びて、これらの間にバイパス空気流通路56を定めるようにすることができる。
【0018】
ターボファンエンジン10の作動中、所定容積の空気58が、ナセル50及び/又はファンセクション14の関連する入口を通ってターボファン10に流入する。所定容積の空気58がファンブレード40を通過すると、矢印62で示される空気58の第1の部分は、バイパス空気流通路56内に配向又は送られ、矢印64で示される空気58の第2の部分は、LP圧縮機22内に配向又は送られる。空気の第1の部分62と空気の第2の部分64の比は、一般にバイパス比として知られる。空気の第2の部分64は、高圧(HP)圧縮機24を通って燃焼セクション16内に送られるときにその圧力が増大し、ここで燃料と混合されて燃焼し、燃焼ガス66を発生する。
【0019】
燃焼ガス66は、HPタービン28を通って送られ、ここで、燃焼ガス66から熱及び/又は運動エネルギーの一部が、外側ケーシング18に結合されたHPタービンステータベーン68と、HPシャフト又はスプール34に結合されたHPタービンロータブレード70との連続する段を介して抽出され、このようにしてHPシャフト又はスプール34が回転を生じて、これによりHP圧縮機24の作動が維持される。次いで、燃焼ガス66は、LPタービン30を通って送られ、ここで、熱及び運動エネルギーの第2の部分が、外側ケーシング18に結合されたLPタービンステータベーン72と、LPシャフト又はスプール36に結合されたLPタービンロータブレード74との連続する段を介して燃焼ガス66から抽出され、このようにしてLPシャフト又はスプール36が回転を生じて、これによりLP圧縮機22の作動及び/又はファン38の回転が維持される。
【0020】
燃焼ガス66は、その後、コアタービンエンジン16のジェット排気ノズルセクション32を通って送られて、推進力を提供する。同時に、空気の第1の部分62は、ターボファン10のファンノズル排気セクション76から排気される前にバイパス空気流通路56を通って送られるときにその圧力が実質的に増大し、これもまた推進力を提供する。HPタービン28、LPタービン30、及びジェット排気ノズルセクション32は、コアタービンエンジン16を通って燃焼ガス66を送るための高温ガス経路78を少なくとも部分的に定める。
【0021】
しかしながら、
図1に示す例示的なターボファンエンジン10は単に例証としてのものであり、他の例示的な実施形態において、ターボファンエンジン10は、あらゆる他の好適な構成を有することができる点を理解されたい。
【0022】
ここで
図2を参照すると、本開示の例示的な実施形態によるガスタービンエンジンのためのギアボックス100の前面図が示される。少なくとも特定の例示的な実施形態において、
図2のギアボックス100は、
図1のターボファンエンジン10に組み込むことができ(例えば、図示の例示的なギアボックス46として構成される)、従って、同じ又は類似の参照符号は同じ又は類似の要素を指すことができる。
【0023】
図2の実施形態において、ギアボックス100は、LPシャフト36から出力シャフト又はファンシャフト104に回転動力を伝達するためにギアトレーン102を含む。より詳細には、ギアトレーン102は一般に、サンギア106、リングギア108、及び複数の中間ギアを含む。図示の実施形態において、ギアトレーン102は、スター(星形)ギアトレーンとして構成されており、従って、中間ギアは、スターギア110として構成される。複数のスターギア110が、ターボファンエンジン10の円周方向Cにほぼ沿って離間して配置される。
【0024】
サンギア106は、入力シャフト112に固定され、該入力シャフトは、以下で検討されるように、ターボファンエンジン10のLPシャフト36に取り付けることができる。リングギア108は、サンギア106の周りに同心円状に配置され、ターボファンエンジン10のファンシャフト104に固定される。スターギア110は、サンギア106とリングギア108の間に位置付けられ、サンギア106及びリングギア108と噛み合う。スターギア110の各々は、それぞれのスターギア110の回転を促進させるために、適応する軸受114(図示の実施形態ではジャーナル軸受である)上に装着される。
【0025】
更に、複数のバッフル116がスターギア110と軸受114との間に位置付けられる。バッフル116は、主潤滑マニホルド(図示せず)を通じてスターギア110の各々に潤滑を提供するギアボックス潤滑システムを形成する潤滑バッフルとして構成することができる。加えて、バッフル116は、ギアキャリア120(また以下で
図3も参照)を形成するためスターギア110の前方及び後方に配置された対向プレート118のペアと一体的に形成され又はこれに固定することができる。軸受114はまた、ギアキャリア120に取り付けられる。
図3に関して以下で詳細に検討するように、バッフル116を通ってギアキャリア120に接続されてターボファンエンジン10内にギアトレーン102及びギアボックス100を装着する延長部124を含む、トルクフレーム122(
図3)が設けられる。
【0026】
作動中、入力シャフト112は、LPシャフト36からの回転動力をサンギア106に提供して、矢印126で示される第1の時計回り方向のサンギア106の回転を生成することができる。その結果、個々のスターギア110は、サンギア106によって矢印128で示される第2の反時計回り方向でそれぞれの軸受114の周りを回転することができる。加えて、リングギア108も同様に、複数のスターギア110によって矢印130で示される第2の反時計回り方向で軸方向Aの周りに回転することができる。中間のスターギア110に起因して、リングギア108及びファンシャフト104は、サンギア106及び入力シャフト112/LPシャフト36よりも低速でターボファンエンジン10の軸方向Aの周りを回転する。次いで、ファンシャフト104は、ファン38を駆動して、複数のファンブレード40を回転させ、ターボファンエンジン10に推力を提供することができる。
【0027】
しかしながら、
図2に示す例示的なギアトレーン102は、単に例証として提供されており、他の例示的な実施形態では、ギアトレーン102はあらゆる他の好適な構成を有することができることを理解されたい。例えば、他の例示的な実施形態において、ギアトレーン102は、何れかの他の好適な数のスターギア110を含むことができ、何れかの好適な全体ギア比を定めることができる。更に、他の例示的な実施形態において、ギアトレーン102は、スターギアキャリアとして構成しなくてもよく、代わりにプラネタリーギアトレーンとして構成することができ、ここではリングギア108は固定されており、複数の中間ギアがプラネタリーギアとして構成される。このような例示的な実施形態において、複数のプラネタリーギアは、ローラー軸受の周りを回転することができ、また、例えばファンシャフト104に取り付けられて、該ファンシャフト104を回転させることができる。
【0028】
ここで
図3を再度参照すると、
図2の例示的なギアボックス100が装着された、本開示の例示的な実施形態によるターボファンエンジン10の前方端部の拡大断面図が示される。図示のように、ギアボックス100は、入力シャフト112、ファンシャフト104及びカップリングシステム132によってターボファンエンジン10内で支持される。ギアボックス100のギアトレーン102内の種々のギアは、例示を目的として仮想線で概略的に描かれている。以下で詳細に検討するように、カップリングシステム132は、例えば、ファンシャフト104によって加えられる力をギアボックス100が吸収するのを可能にすることができる。例えば、カップリングシステム132は、ギアボックス100が、ファンシャフト104によって加えられる様々な方向の振動及び曲げモーメントを吸収するのを可能にすると同時に、何れかの方向での所定量を超えるギアボックス100の移動を制限(以下で検討する偏位制限器174によって)することができる。
【0029】
具体的には、LPシャフト36は、入力シャフト112に取り付けられて該入力シャフト112を駆動する。LPシャフト36は、ストラット136を含むコアフレーム134によってコア16内で支持される。ストラット136は、軸受組立体138を介してLPシャフト36を支持するよう構成される。図示の実施形態において、軸受組立体138は、単一の転がり軸受組立体を含み、LPシャフト36の回転に適応し、半径方向Rに沿ったLPシャフト36を支持することができる。しかしながら、これに加えて又は代替として、他の例示的な実施形態において、軸受組立体138は、1又はそれ以上の転がり軸受要素などの他の何れかの好適な軸受要素を含むことができる。
【0030】
入力シャフト112は、LPシャフト36に接続された第1の端部140と、ギアボックス100に接続された第2の端部142との間に延びる。具体的には、図示の実施形態において、入力シャフト112の第2の端部142は、サンギア106に取り付けられ、該サンギア106を第1の方向126で回転させるようにする。これに応じて、ターボファンエンジン10の作動中、LPシャフト36が入力シャフト112を駆動し、これによりサンギア106が駆動される。サンギア106は、複数のスターギア110を回転し、これはまたサンギア106を回転させる。
【0031】
同様に図示されるように、リングギア108がファンシャフトファンシャフト104を回転させるようになる。ファンシャフト104は、第1のファンストラット146及び第2のファンストラット148を含むファンフレーム144により支持される。具体的には、第1及び第2のファンストラット146,148は、ファン軸受150のそれぞれのペアを介してファンシャフト104を支持する。ファン軸受150のそれぞれのペアは、ファンシャフト104の回転に適応しながら、該ファンシャフト104を支持するよう構成される。図示の実施形態において、ファン軸受150のペアの各々が、転がり軸受要素として構成される。しかしながら、他の例示的な実施形態において、他の何れかのタイプの軸受及び/又は軸受構成を設けることができる。加えて、他の例示的な実施形態において、他の何れかの好適なファンフレーム構成を設けることができる。
【0032】
ターボファンエンジン10の作動中、ファン38に対する振動及び他の力は、ファンシャフト104を通ってギアボックス100に伝播することができる。例えば、複数のファンブレード40にわたる乱気流又は複数のファンブレード40に対するバードストライクがファンシャフト104に応力及び振動を生じさせる可能性がある。ギアボックス100のギアトレーン102内でギアの1又はそれ以上が外れることなくこのような応力及び振動に適応するために、ギアボックス100をファンフレーム144又はコアフレーム134の少なくとも一方に撓み可能に取り付けるためにカップリングシステム132が設けられる。詳細には、図示の実施形態において、カップリングシステム132は、ギアボックス100の後方の位置にてギアボックス100をコアフレーム134に撓み可能に取り付ける。
【0033】
ここで
図4を再度参照すると、
図3の例示的なカップリングシステム132の拡大図が示される。図示のように、カップリングシステム132は、一般に、コアフレーム134に第1の端部154にて接続される可撓性カップリング152を含む。具体的には、可撓性カップリング152の第1の端部154は、機械的ファスナー又はボルト157を介してコアフレーム134のストラット136に取り付けられた装着フランジ156を含む。しかしながら、他の例示的な態様において、可撓性カップリング152は、これに加えて又は代替として、コアフレーム134内の他の何れかの好適な位置にて取り付けることができ、或いは、例えば、第1の端部154にてファンフレーム144に取り付けることができることを理解されたい。
【0034】
可撓性カップリング152の第2の端部154において、可撓性カップリング152は、別の機械的ファスナー又はボルト163を介してトルクフレーム122の対応する装着フランジ162に取り付けるための第2の装着フランジ160を含む。トルクフレーム122は、可撓性カップリング152をギアボックス100に接続するために設けられる。具体的には、図示の実施形態において、トルクフレーム122は、
図2を参照して上記で検討したように、ギアボックス100のギアキャリア120に取り付けられる。
【0035】
第1及び第2の端部154,158の間で、可撓性カップリング152は一般に、ターボファンエンジン10の半径方向R、軸方向A、及び円周方向C(
図2)にほぼ沿った移動を吸収するバネ様部材164を含む。具体的には、可撓性カップリング152のバネ様部材164は、角度の増減、又は角度方向の変更を可能にする複数の曲げ部166を含み、半径方向R、軸方向A、及び円周方向Cに沿ったコアフレーム134に対するギアボックス100の移動に適応するようにする。可撓性カップリング152は、所望の形状に曲がる単一部品材料から形成することができ、或いは、所望の機械的特性(例えば、強度、延性、硬度、耐衝突性、その他)を有する1又はそれ以上の好適な材料から形成することができる。
【0036】
トルクフレーム122部材は一般に、本体部分168及びディスク170を含み、該ディスク170は、本体部分168と装着フランジ162との間に延びる。トルクフレーム122の本体部分168及びディスク170は、ターボファンエンジン10の円周方向C(
図2を参照)に沿って延びる略環状形状を有することができる。加えて、図示してはいないが、トルクフレーム122部材は、可撓性カップリング152の相応的に離間して配置された装着フランジ160に取り付けるため円周方向に離間して配置される複数の装着フランジ162を含む。以下でより詳細に検討するように、トルクフレーム122の本体部分168の一部は、半径方向Rに沿って外向き延びて、半径方向の延びるタブ172を形成する。
【0037】
ターボファンエンジン10の典型的な作動中、可撓性カップリング152は、十分な振動減衰及び安定性をギアボックス100に提供し、ギアボックス100のギアトレーン102内の1又はそれ以上のギアが固着又は係脱状態になるのを防ぐようにする。しかしながら、過酷な事象の間、例えばファンシャフト104からのギアボックス100に作用する力は、ギアボックス100のギアトレーン102内の1又はそれ以上のギアが固着を引き起こす可能性がある量だけコアフレーム134に対してギアボックス100が移動するのに十分な場合がある。従って、カップリングシステム132は更に、可撓性カップリング152を該可撓性カップリング152の第1の端部154に近接してギアボックス100に緩く取り付ける偏位制限器174を含む。具体的には、偏位制限器174は、ギアボックス100と可撓性カップリング152が取り付けられたフレーム部材との間で、軸方向Aに沿った可動域(すなわち、軸方向可動域)、半径方向Rに沿った可動域(すなわち、半径方向可動域)、及び円周方向Cに沿った可動域(すなわち、円周方向可動域)を可能にする。より具体的には、偏位制限器174は、ギアボックス100に作用する予想振動力を吸収するのに必要とされる典型的な移動量に相当する所定量だけ、半径方向R、軸方向A、及び円周方向Cに沿ってギアボックス100がコアフレーム134に対し移動するのを可能にする。しかしながら、ギアボックス100が許容可能な可動域を超えて移動し始めると、偏位制限器174は、それ以上の移動を阻止し、ギアボックス100のギアトレーン102内のギアが確実に噛み合いを維持したまま且つ固着しないようにする。具体的には、偏位制限器174は、軸方向、半径方向、及び円周方向可動域を超えたギアボックス100のコアフレーム134に対するどのような移動も阻止する。
【0038】
特に、図示の実施形態において、偏位制限器174は、トルクフレーム122を通じて可撓性カップリング152をギアボックス100に緩く取り付ける。しかしながら、他の実施形態では、偏位制限器174は、ギアボックス100のギアキャリア120に直接的のような、ギアボックス100に直接可撓性カップリング152を緩く取り付けることができる。
【0039】
図5及び6を再度参照すると、
図4の例示的な偏位制限器174の拡大概略図が示される。
図5は、軸方向Aに沿った
図4の例示的な偏位制限器174の拡大概略図を示し、
図6は、半径方向Rに沿った
図4の例示的な偏位制限器174の拡大概略図を示す。
【0040】
上述のように、偏位制限器174は、軸方向可動域(
図5)、半径方向可動域、及び円周方向可動域(
図6)を定める。図示の実施形態において、偏位制限器174は、可撓性カップリング152とトルクフレーム122との間に延びるピン176を含む。具体的には、ピン176は、ヘッド178と、該ヘッド178と反対側にある遠位端182を定める本体180とを含む。加えて、ピン176の本体180は、ギアキャリア120のタブ172に定められた開口184を通り、可撓性カップリング152の第1の端部154に近接した可撓性カップリング152内に延びる。ピン176の本体180の遠位端182は、あらゆる好適な方式で可撓性カップリング152に取り付けることができる。例えば、ピン176の本体180の遠位端182は、例えば、対応するネジ部を介して可撓性カップリング152と回転可能に係合することができる。しかしながら、他の例示的な実施形態において、遠位端182は、他のあらゆる好適な方式で可撓性カップリング152に取り付けることができる。例えば、他の例示的な実施形態において、ピン176の遠位端182は、ヒンジ又は他の好適な取り付け機構を用いて可撓性カップリング152に枢動可能に取り付けることができる。
【0041】
同様に図示されるように、偏位制限器174は、可撓性カップリング152に装着されるバンパー186を含む。図示の実施形態において、バンパー186は、可撓性カップリング152とトルクフレーム122との間に配置され、ピン176の本体180の周りに位置付けられる。バンパー186は、トルクフレーム122のタブ172が可撓性カップリング152に接触したときに可撓性カップリング152又はトルクフレーム122への何らかの損傷を最小限にするために、例えば、エラストマー材料から形成することができる。しかしながら、他の例示的な実施形態において、偏位制限器174は、バンパー186を含むことができ、又は他の何れかの好適な材料から形成され且つ何れかの好適な位置に位置付けられるバンパー186を含むことができる。
【0042】
図5及び6を更に参照すると、ピン176は、軸方向Aに沿った可撓性カップリング152又はトルクフレーム122のうちの少なくとも一方とのギャップ(すなわち、
図5の軸方向ギャップ)、半径方向Rに沿った可撓性カップリング152又はトルクフレーム122のうちの少なくとも一方とのギャップ(すなわち、
図5及び6の半径方向ギャップ)、及び円周方向Cに沿った可撓性カップリング152又はトルクフレーム122のうちの少なくとも一方とのギャップ(すなわち、
図6の円周方向ギャップ)を定める。より具体的には、偏位制限器174は、ピン176のヘッド178とトルクフレーム122のタブ172との間の第1の軸方向ギャップ188と、トルクフレーム122のタブ172と可撓性カップリング152との間の第2の軸方向ギャップ190と、を定める。加えて、偏位制限器174は、ピン176の本体180の両側部と、トルクフレーム122のタブ172のそれぞれの部分との(すなわち、タブ172の開口184の縁部との)間に第1の半径方向ギャップ192及び第2の半径方向ギャップ194を定める。更に、偏位制限器174は、ピン176の本体180の両側部と、トルクフレーム122のタブ172のそれぞれの部分との(すなわち、タブ172の開口184の縁部との)間に第1の円周方向ギャップ196及び第2の円周方向ギャップ198を定める。軸方向ギャップ188,190、半径方向ギャップ192,194、及び円周方向ギャップ196,198は、偏位制限器174により提供される軸方向可動域、半径方向可動域、及び円周方向可動域をそれぞれ定める。
【0043】
少なくとも特定の例示的な実施形態において、軸方向可動域、半径方向可動域、及び円周方向可動域は全て、実質的に等しいとすることができる。しかしながら、他の例示的な実施形態において、軸方向、半径方向、及び円周方向可動域の1又はそれ以上は、他の可動域よりも大きくすることができる。単に例証として、少なくとも特定の例示的な実施形態において、軸方向、半径方向、及び円周方向可動域の1又はそれ以上は、少なくとも約0.25インチ、少なくとも約0.5インチ、少なくとも約1インチ、少なくとも約2インチ、又は少なくとも約3インチとすることができる。また、本明細書で使用される「約」又は「ほぼ」などの近似の用語は、10%の許容誤差内にあることを指している点は理解されたい。また、他の例示的な実施形態において、偏位制限器174は、軸方向、半径方向、及び円周方向可動域を定めるよう他の何れかの好適な方式で可撓性カップリング152をギアボックス100に緩く取り付けることができる点は理解されたい。例えば、
図7は、本開示の別の例示的な実施形態による、偏位制限器200の拡大概略図を示す。
図7に描かれた例示的な偏位制限器200は、相補的チャンネルのペアを含む。具体的には、例示的な偏位制限器200は、可撓性カップリング152に取り付けられた第1のチャンネル202と、トルクフレーム122に取り付けられた第2のチャンネル204とを含む。第1のチャンネル202は、第1のスロット208を定める第1のリップ206を含み、第2のチャンネル204は同様に、第2のスロット212を定める第2のリップ210を含む。第1のチャンネル202の第1のリップ206は、第2のチャンネル204の第2のスロット212に位置付けられ、第2のチャンネル204の第2のリップ210は、第1のチャンネル202の第1のスロット208に位置付けられる。偏位制限器200は、軸方向Aに沿った可動域を可能にするよう軸方向Aに沿った種々の構成要素間に軸方向ギャップを定める。加えて、
図7の例示的な偏位制限器200は、トルクフレーム122から第2のチャンネル204の第2のリップ210のベースにわたって延びるキャップ214を含む。キャップ214は、半径方向Rに沿った可動域を可能にするよう第2のチャンネル204の第2のリップ210のベースと半径方向ギャップを定める。加えて、図示していないが、第1のチャンネル202又は第2のチャンネル204の一方又は両方は、円周方向Cに沿って対向する端部にてタブを含み、円周方向Cに沿った可動域を可能にするよう隣接するチャンネルと円周方向ギャップを定めることができる。
【0044】
本開示の例示的な実施形態によるカップリングシステムを含むガスタービンエンジンは、ガスタービンエンジンのファンに作用する過酷な力に良好に適応することができる。具体的には、ギアボックスフレーム部材に取り付けるカップリングシステムを有し、該カップリングシステムが、軸方向、半径方向及び円周方向可動域を提供する偏位制限器を含むガスタービンエンジンは、ガスタービンエンジンのファンに作用する過酷な力に良好に適応することができる。
【0045】
本明細書は、最良の形態を含む実施例を用いて本発明を開示し、また、あらゆる当業者が、あらゆるデバイス又はシステムを実施及び利用すること並びにあらゆる組み込み方法を実施することを含む本発明を実施することを可能にする。本発明の特許保護される範囲は、請求項によって定義され、当業者であれば想起される他の実施例を含むことができる。このような他の実施例は、請求項の文言と差違のない構造要素を有する場合、或いは、請求項の文言と僅かな差違を有する均等な構造要素を含む場合には、本発明の範囲内にあるものとする。
【0046】
本願発明は以下の実施態様を含む。
[実施態様1]
軸方向、半径方向及び円周方向を定めるガスタービンエンジン(10)であって、
ファンフレーム(144)を含むファン(38)と、
コアフレーム(134)及び1又はそれ以上の回転シャフトを含むコアと、
前記コアの1又はそれ以上のシャフトのうちの1つを前記ファンに機械的に接続するギアボックス(100)と、
前記ガスタービンエンジン内で前記ギアボックスを装着するためのカップリングシステム(132)と、
を備え、前記カップリングシステムが、
前記ファンフレーム又は前記コアフレームのうちの少なくとも一方に接続される可撓性カップリング(152)と、
前記可撓性カップリング及び前記ギアボックスに接続されるトルクフレーム(122)と、
前記可撓性カップリングを前記ギアボックスに緩く取り付ける偏位制限器(174)と、
を含み、該偏位制限器が、前記ギアボックスと、前記可撓性カップリングが取り付けられる前記フレームとの間で軸方向可動域、半径方向可動域、及び円周方向可動域を提供する、ガスタービンエンジン(10)。
[実施態様2]
前記偏位制限器が、前記軸方向可動域、前記半径方向可動域及び前記円周方向可動域を超える前記ギアボックスの移動を阻止する、実施態様1に記載のガスタービンエンジン(10)。
[実施態様3]
前記偏位制限器が、前記可撓性カップリングと前記トルクフレームとの間に延びるピン(176)を含む、実施態様1に記載のガスタービンエンジン(10)。
[実施態様4]
前記ピンが、前記可撓性カップリング又は前記トルクフレームのうちの少なくとも一方と軸方向ギャップ(188,190)を定め、前記ピンが、前記可撓性カップリング又は前記トルクフレームのうちの少なくとも一方と半径方向ギャップ(192,194)を定め、前記ピンが、前記可撓性カップリング又は前記トルクフレームのうちの少なくとも一方と円周方向ギャップ(196,198)を定める、実施態様3に記載のガスタービンエンジン(10)。
[実施態様5]
前記ピンが遠位端(182)を定め、前記ピンの遠位端が前記可撓性カップリングに取り付けられる、実施態様3に記載のガスタービンエンジン(10)。
[実施態様6]
前記偏位制限器が、前記可撓性カップリングに装着されたバンパー(186)を含む、実施態様1に記載のガスタービンエンジン(10)。
[実施態様7]
前記バンパーが、エラストマー材料から形成される、実施態様6に記載のガスタービンエンジン(10)。
[実施態様8]
前記偏位制限器が、前記トルクフレームを通じて前記可撓性カップリングを前記ギアボックスに緩く取り付ける、実施態様1に記載のガスタービンエンジン(10)。
[実施態様9]
前記可撓性カップリングが、第1の端部(154)にて前記コアフレームに接続される、実施態様1に記載のガスタービンエンジン(10)。
[実施態様10]
前記ギアボックスが、サンギア(106)と、リングギア(108)と、前記サンギア及びリングギアと噛み合う複数のスターギア(110)と、を含み、前記複数のスターギアが、スターギアキャリア(120)内で回転可能に装着される、実施態様1に記載のガスタービンエンジン(10)。
[実施態様11]
前記トルクフレームが、前記スターギアキャリアに装着される、実施態様10に記載のガスタービンエンジン(10)。
[実施態様12]
前記可撓性カップリングが、第1の端部(154)において前記ファンフレーム又は前記コアフレームの少なくとも一方に接続され、前記偏位制限器が、前記可撓性カップリングの第1の端部に近接した位置にて前記トルクフレーム部材を前記可撓性カップリングに緩く取り付ける、実施態様1に記載のガスタービンエンジン(10)。
[実施態様13]
軸方向、半径方向及び円周方向を定めるガスタービンエンジン(10)のためのギアトレーン(102)であって、
前記ガスタービンエンジンのシャフトによって回転可能なサンギア(106)と、
リングギアシャフトに取り付けることができるリングギア(108)と、
ギアキャリア(120)に回転可能に装着され、前記サンギア及び前記リングギアと噛み合う複数の中間ギア(110)と、
カップリングシステム(132)と、
を備え、前記カップリングシステムが、
前記ガスタービンエンジンの非回転構成要素と接続する可撓性カップリング(152)と、
前記可撓性カップリングを前記ギアキャリアに接続するため前記前記可撓性カップリング及び前記ギアキャリアに接続されるトルクフレーム(122)と、
前記可撓性カップリングを前記ギアキャリアに緩く取り付ける偏位制限器(174)と、
を含み、前記偏位制限器が、前記ギアキャリアと前記可撓性カップリングが取り付けられる非回転構成要素との間で軸方向可動域、半径方向可動域、及び円周方向可動域を提供する、ギアトレーン(102)。
[実施態様14]
前記偏位制限器が、前記軸方向可動域、前記半径方向可動域及び前記円周方向可動域を超える前記ギアボックスの移動を阻止する、実施態様13に記載のギアトレーン(102)。
[実施態様15]
前記偏位制限器が、前記可撓性カップリングと前記トルクフレームとの間に延びるピン(176)を含む、実施態様13に記載のギアトレーン(102)。
[実施態様16]
前記ピンが、前記可撓性カップリング又は前記トルクフレームのうちの少なくとも一方と軸方向ギャップ(188,190)を定め、前記ピンが、前記可撓性カップリング又は前記トルクフレームのうちの少なくとも一方と半径方向ギャップ(192,194)を定め、前記ピンが、前記可撓性カップリング又は前記トルクフレームのうちの少なくとも一方と円周方向ギャップ(196,198)を定める、実施態様15に記載のギアトレーン(102)。
[実施態様17]
前記偏位制限器が、前記可撓性カップリングに装着されたバンパー(186)を含む、実施態様13に記載のギアトレーン(102)。
[実施態様18]
前記偏位制限器が、前記トルクフレームを通じて前記可撓性カップリングを前記ギアボックスに緩く取り付ける、実施態様13に記載のギアトレーン(102)。
[実施態様19]
前記可撓性カップリングが、第1の端部にて前記ガスタービンエンジンの非回転構成要素と接続するよう構成され、前記偏位制限器が、前記可撓性カップリングの第1の端部に近接した位置にて前記トルクフレーム部材を前記可撓性カップリングに緩く取り付ける、実施態様13に記載のギアトレーン(102)。
[実施態様20]
前記ギアトレーンがスターギアトレーンであり、前記複数の中間ギアが複数のスターギアである、実施態様13に記載のギアトレーン(102)。