特許第6412352号(P6412352)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6412352
(24)【登録日】2018年10月5日
(45)【発行日】2018年10月24日
(54)【発明の名称】自動移動車及び自動移動車制御システム
(51)【国際特許分類】
   G05D 1/02 20060101AFI20181015BHJP
【FI】
   G05D1/02 R
【請求項の数】6
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2014-135580(P2014-135580)
(22)【出願日】2014年7月1日
(65)【公開番号】特開2016-14947(P2016-14947A)
(43)【公開日】2016年1月28日
【審査請求日】2017年3月27日
(73)【特許権者】
【識別番号】000003218
【氏名又は名称】株式会社豊田自動織機
(73)【特許権者】
【識別番号】000006105
【氏名又は名称】株式会社明電舎
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】中村 元
(72)【発明者】
【氏名】上野 俊幸
(72)【発明者】
【氏名】森 宣仁
(72)【発明者】
【氏名】西山 敏樹
(72)【発明者】
【氏名】三村 將
(72)【発明者】
【氏名】松田 篤志
(72)【発明者】
【氏名】大西 幸周
【審査官】 山村 秀政
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許出願公開第2011/0166707(US,A1)
【文献】 実開昭59−130105(JP,U)
【文献】 米国特許第04876444(US,A)
【文献】 特開2005−242409(JP,A)
【文献】 特開平10−177688(JP,A)
【文献】 特開2009−276166(JP,A)
【文献】 実開昭59−070208(JP,U)
【文献】 特開2010−176203(JP,A)
【文献】 特開平05−233061(JP,A)
【文献】 実開平06−086832(JP,U)
【文献】 特開平11−231938(JP,A)
【文献】 特開2001−125640(JP,A)
【文献】 特開2010−249628(JP,A)
【文献】 特開2012−146031(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G05D 1/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
投受光部からの投光を車体より上方の所定位置に設けられた反射ミラーからの反射光として受光することで前記反射ミラーを検出可能な反射型光センサと、
前記反射型光センサが前記反射光を検出する際の前記反射ミラーと前記反射型光センサとの間の光の経路を遮る物体を検出可能な遮光判別センサと、
前記反射型光センサ及び前記遮光判別センサの少なくとも一方が検出信号を出力したときに走行を停止させる制御部とを備え、
前記遮光判別センサ及び前記反射型光センサは、前記車体において前後となるように設けられており、
前記反射型光センサは第1の反射型光センサと第2の反射型光センサとを有し、
前記第1の反射型光センサと前記第2の反射型光センサとは、前記投受光部からの投光が前記車体を左右方向に横切る仮想鉛直面に対して対称に進むように設けられていることを特徴とする自動移動車。
【請求項2】
前記第1の反射型光センサ及び前記第2の反射型光センサは、前記車体の前後方向に沿って設けられており、
前記第1の反射型光センサ及び前記第2の反射型光センサの前記投受光部は、前記反射ミラーに対して投光を斜めに入射させるものであり、
前記反射ミラーには、前記投受光部からの投光を入射方向に反射するように反射面が形成されている請求項1に記載の自動移動車。
【請求項3】
前記第1の反射型光センサ及び前記第2の反射型光センサは、それぞれ前記投受光部を複数備えていることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の自動移動車。
【請求項4】
前記遮光判別センサは設定した距離より近くに存在する物体を検出する距離設定反射型センサである請求項1〜請求項3のうちいずれか一項に記載の自動移動車。
【請求項5】
予め設定されたエリア内を走行する自動移動車の走行を制御する自動移動車制御システムであって、
車体より上方の所定位置に設けられて進入禁止域を表示する反射ミラーからなる表示部と、
前記車体に設けられ、投受光部からの投光を前記反射ミラーからの反射光として受光することで前記表示部を検出可能な反射型光センサと、
前記車体に設けられ、前記反射型光センサが前記表示部を検出する際の前記表示部と前記反射型光センサとの間の光の経路を遮る物体を検出可能な遮光判別センサと、
前記反射型光センサ及び前記遮光判別センサの少なくとも一方が検出信号を出力したときに前記自動移動車の走行を停止させる制御部とを備え、
前記遮光判別センサ及び前記反射型光センサは、前記車体において前後となるように設けられており、
前記反射型光センサは第1の反射型光センサと第2の反射型光センサとを有しており、
前記第1の反射型光センサと前記第2の反射型光センサとは、前記投受光部の投光が前記車体を左右方向に横切る仮想鉛直面に対して対称に進むように設けられていることを特徴とする自動移動車制御システム。
【請求項6】
前記表示部は2個設けられ、第1の表示部は、前記車体が前記進入禁止域に進入する前に前記第1の反射型光センサによって検出可能な位置に設けられており、第2の表示部は前記車体が前記進入禁止域に進入した状態で前記第1の反射型光センサあるいは第2の反射型光センサが検出可能な位置に設けられており、前記制御部は前記第2の反射型光センサが前記第2の表示部を検出あるいはその状態で前記遮光判別センサが前記第2の反射型光センサによる前記第2の表示部の検出を妨げる物体の存在を検出し、前記車体が前記制御部の指令で停止した状態からの前記車体の前進走行を禁止する請求項に記載の自動移動車制御システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動移動車及び自動移動車制御システムに係り、詳しくは人が運転せずに所定エリア内を自動走行する自動移動車及び自動移動車制御システムに関する。
【背景技術】
【0002】
無人搬送車(自律移動装置)として障害物検出用のセンサを備え、障害物を検出した場合、障害物を回避することができるものがある(例えば、特許文献1参照)。また、人が運転せずに自動走行する自動移動車が走行する際、段差や凹部等、自動移動車がそのまま走行を継続した場合に支障を来す虞があるエリアへの侵入を防止するため、段差や凹部を検出する必要がある。この場合、例えば、図9に示すように、自動移動車51の前部に距離センサ52を設け、距離センサ52によって斜め前方の路面(床面)Sまでの距離を測定する方法がある。この方法では、図示しない制御装置は、距離センサ52により検出された路面Sまでの距離が予め設定された値より大きくなった場合は、進行方向前方に段差53や凹部があると判断して自動移動車51の走行を停止する。
【0003】
また、路面Sまでの距離を計測せずに、自動移動車51に反射型センサを設け、段差53に到達する手前の路面Sに貼り付けた反射体を反射型センサで検出して停止する方法もある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007−199965号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
図9に示す方法では、距離センサ52の光軸が路面Sに対して斜めになるため、距離計測誤差が大きくなる。また、路面Sに貼り付けた反射体を反射型センサで検出する方法では、反射体が踏まれることにより汚れたり剥がれたりした場合、あるいは反射体の上に物が置かれたりした場合、検出精度が低下するという問題がある。
【0006】
本発明は、前記の問題に鑑みてなされたものであって、その目的は、進入禁止域を表示する表示部を反射型光センサで検出する際に、反射型光センサの投光を遮光する遮光物が存在する場合であっても、自動移動車が進入禁止域に誤進入することを防止することができる自動移動車及び自動移動車制御システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決する自動移動車は、投受光部からの投光を車体より上方の所定位置に設けられた反射ミラーからの反射光として受光することで前記反射ミラーを検出可能な反射型光センサと、前記反射型光センサが前記反射光を検出する際の前記反射ミラーと前記反射型光センサとの間の光の経路を遮る物体を検出可能な遮光判別センサと、前記反射型光センサ及び前記遮光判別センサの少なくとも一方が検出信号を出力したときに走行を停止させる制御部とを備える。前記遮光判別センサ及び前記反射型光センサは、前記車体において前後となるように設けられている。そして、前記反射型光センサは第1の反射型光センサと第2の反射型光センサとを有し、前記第1の反射型光センサと前記第2の反射型光センサとは、前記投受光部からの投光が前記車体を左右方向に横切る仮想鉛直面に対して対称に進むように設けられている。
【0008】
この構成によれば、自動移動車の走行路に自動移動車の走行に支障を来す段差や凹部が存在する場合、段差や凹部の存在を表示する表示部としての反射ミラーを車体より上方に配置しておけば、反射型光センサが反射ミラーを被検出体として検出して検出信号を出力する。また、反射ミラーと反射型光センサとの間の光の経路を遮る物体が存在する場合、反射型光センサは反射ミラーを検出することができない。しかし、遮光判別センサがその物体を検出して検出信号を出力する。そのため、自動移動車が走行中に、自動移動車の走行に支障を来す段差や凹部が存在する位置にさしかかると、反射型光センサが反射ミラーを検出して検出信号を出力するか、反射型光センサによる反射ミラーの検出を妨げる物体の存在を遮光判別センサが検出して検出信号を出力する。そのため、制御部は、自動移動車の走行路に自動移動車の走行に支障を来す段差や凹部が存在する場合、反射型光センサの検出信号あるいは遮光判別センサの検出信号を入力して、自動移動車の走行を停止させる。したがって、進入禁止域を表示する反射ミラーを反射型光センサで検出する際に、反射型光センサの投光を遮光する遮光物が存在する場合であっても、自動移動車が進入禁止域に誤進入することを防止することができる。
【0009】
前記第1の反射型光センサ及び前記第2の反射型光センサは、前記車体の前後方向に沿って設けられており、前記第1の反射型光センサ及び前記第2の反射型光センサの前記投受光部は、前記反射ミラーに対して投光を斜めに入射させるものであり、前記反射ミラーには、前記投受光部からの投光を入射方向に反射するように反射面が形成されていることが好ましい。
前記第1の反射型光センサ及び前記第2の反射型光センサは、それぞれ前記投受光部を複数備えていることが好ましい。
前記遮光判別センサは設定した距離より近くに存在する物体を検出する距離設定反射型センサであることが好ましい。この構成によれば、設定した距離より近くに遮光物が存在する場合に遮光物を検出することができるため、検出距離を適切に設定することにより、天井を検出することなく、遮光物を適切に検出することができる。
【0010】
上記課題を解決する自動移動車制御システムは、予め設定されたエリア内を走行する自動移動車の走行を制御する自動移動車制御システムである。そして、車体より上方の所定位置に設けられて進入禁止域を表示する反射ミラーからなる表示部と、前記車体に設けられ、投受光部からの投光を前記反射ミラーからの反射光として受光することで前記表示部を検出可能な反射型光センサと、前記車体に設けられ、前記反射型光センサが前記表示部を検出する際の前記表示部と前記反射型光センサとの間の光の経路を遮る物体を検出可能な遮光判別センサと、前記反射型光センサ及び前記遮光判別センサの少なくとも一方が検出信号を出力したときに前記自動移動車の走行を停止させる制御部とを備える。前記遮光判別センサ及び前記反射型光センサは、前記車体において前後となるように設けられている。そして、前記反射型光センサは第1の反射型光センサと第2の反射型光センサとを有し、前記第1の反射型光センサと前記第2の反射型光センサとは、前記投受光部からの投光が前記車体を左右方向に横切る仮想鉛直面に対して対称に進むように設けられている。
【0011】
この構成によれば自動移動車が走行する予め設定されたエリア内に、自動移動車の進入禁止域を表示する表示部が設けられている。進入禁止域とは、例えば、自動移動車の走行に支障を来す段差や凹部が存在する箇所を意味する。自動移動車が走行中に、自動移動車の走行に支障を来す段差や凹部が存在する位置にさしかかると、反射型光センサが表示部を検出して検出信号を出力するか、反射型光センサによる表示部の検出を妨げる物体の存在を遮光判別センサが検出して検出信号を出力する。そのため、制御部は、自動移動車の走行路に自動移動車の走行に支障を来す段差や凹部が存在する場合、反射型光センサの検出信号あるいは遮光判別センサの検出信号を入力して、自動移動車の走行を停止させる。したがって、進入禁止域を表示する表示部を反射型光センサで検出する際に、反射型光センサの投光を遮光する遮光物が存在する場合であっても、自動移動車が進入禁止域に誤進入することを防止することができる。
【0012】
前記表示部は2個設けられ、第1の表示部は、前記車体が前記進入禁止域に進入する前に前記第1の反射型光センサによって検出可能な位置に設けられており、第2の表示部は前記車体が前記進入禁止域に進入した状態で前記第1の反射型光センサあるいは第2の反射型光センサが検出可能な位置に設けられており、前記制御部は前記第2の反射型光センサが前記第2の表示部を検出あるいはその状態で前記遮光判別センサが前記第2の反射型光センサによる前記第2の表示部の検出を妨げる物体の存在を検出し、前記車体が前記制御部の指令で停止した状態からの前記車体の前進走行を禁止することが好ましい。
【0013】
この構成によれば、第1の反射型光センサが第1の表示部を検出するか、あるいはその状態で第1の反射型光センサによる第1の表示部の検出を妨げる物体の存在を遮光判別センサが検出することに基づいて制御部の制御により自動移動車が走行を停止する位置は、自動移動車がその状態から前進しても直ぐには段差や凹部に車輪が落下しない位置になる。したがって、第1の表示部の検出可能な位置で第1の反射型光センサあるいは遮光判別センサの検出信号に基づいて自動移動車が停止した場合は、必ずしも停止位置からの僅かな前進で自動移動車の車輪が段差や凹部に落下する位置ではない。そのため、第1の表示部を第1の反射型光センサが検出できずに、自動移動車が進入禁止域内に前進しても、第2の反射型光センサが第2の表示部を検出するか、あるいは第2の反射型光センサによる第2の表示部の検出を妨げる物体の存在を遮光判別センサが検出することに基づく制御部の制御により自動移動車が停止する。この状態で自動移動車が走行を停止する位置は、自動移動車がその状態から前進すると段差や凹部に車輪が落下し易い位置になる。制御部は第2の反射型光センサが第2の表示部を検出後、車体が前記制御部の指令で停止した状態からの前進走行を禁止する。したがって、自動移動車を進入禁止域の段差や凹部に近い位置で停止した状態から、前進移動を再開して段差や凹部に車輪が落下して車体の走行に支障を来す事態になることが防止される。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、進入禁止域を表示する表示部を反射型光センサで検出する際に、反射型光センサの投光を遮光する遮光物が存在する場合であっても、自動移動車が進入禁止域に誤進入することを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】第1の実施形態の模式側面図。
図2】反射型センサの模式平面図。
図3】作用を示す概略側面図。
図4】第2の実施形態の概略側面図。
図5】作用を示す概略側面図。
図6】別の実施形態の概略側面図。
図7】別の実施形態の概略正面図。
図8】別の実施形態の概略平面図。
図9】従来技術を示す模式側面図。
【発明を実施するための形態】
【0016】
(第1の実施形態)
以下、本発明を屋内を走行する自動移動車制御システムに具体化した第1の実施形態を図1図3にしたがって説明する。屋内とは、例えば、病院の待合室と各診療科の待合室とを連絡する通路である。
【0017】
自動移動車制御システムは、予め設定されたエリア内を走行する自動移動車の走行を制御する自動移動車制御システムである。図1に示すように、自動移動車11は、図示しないモータで駆動される駆動輪12と、従動輪13とを備えている。駆動輪12は、車体14の後部寄りの左右両側にそれぞれ一個ずつ設けられ、各駆動輪12が独立して駆動可能に構成されている。従動輪13は、車体14の前部寄りの左右両側にそれぞれ一個ずつ設けられている。
【0018】
車体14には、両駆動輪12を独立して駆動するモータを制御する制御装置15が設けられている。制御装置15は、図示しないCPUやメモリを備えている。自動移動車11は、病院内の予め決められた経路を移動する。制御装置15のメモリには、経路の始端から終端までの経路の状態、即ち複数の直線走行部の直線移動距離と、直線走行部に挟まれた各曲線走行部(カーブ走行部)の走行距離と曲率半径とが経路データとして記憶されている。
【0019】
制御装置15は、自動移動車11に搭乗者(図示せず)が乗って目的地を指示すると、搭乗者が乗った位置を出発地とし、指示された目的地までの経路を、メモリに記憶された経路データに基づいて決定する。そして、経路の状態に合わせて左右の駆動輪12の回転速度を調整するようにモータを制御する。
【0020】
自動移動車11の走行路は、自動移動車11の専用ではなく、歩行者も通行可能な廊下や待合いスペースである。廊下には、階段に続く部分や凹部が存在する箇所もある。通常は、自動移動車11は、メモリに記憶された移動経路を走行するため、その移動経路は、自動移動車11の走行に支障を来す段差や凹部を避けた経路となる。しかし、何らかの原因により万が一、自動移動車11がメモリに記憶された移動経路から外れた場合、自動移動車11が段差や凹部が存在する走行路を移動することを想定した対応が必要になる。
【0021】
そのため、通常は、自動移動車11の移動経路にはならないが、自動移動車11の走行に支障を来す段差や凹部が存在する走行路が自動移動車11の移動経路になった場合に、自動移動車11が、段差や凹部が存在する領域に進入するのを防止する対策が採られている。
【0022】
図1に示すように、走行路面16の上方には天井17がある。また、段差18や凹部(図示せず)が存在する走行路面16の近くの天井17には、制御装置15に段差18の存在を報知するため、車体14より上方の所定位置に設けられて進入禁止域Anを表示する被検出体としての表示部19が設けられている。この実施形態では、表示部19は天井17に貼り付けられている。
【0023】
車体14には、表示部19を検出可能な反射型光センサ20,21と、反射型光センサ20,21が表示部19を検出する際の表示部19と反射型光センサ20,21との間の光の経路を遮る物体を検出可能な遮光判別センサ22とが設けられている。
【0024】
反射型光センサ20,21としては、例えば、ミラー反射型(偏光フィルタ付き)センサが使用され、遮光判別センサ22としては、例えば、距離設定反射型(ビーム)センサが使用されている。
【0025】
ミラー反射型(偏光フィルタ付き)センサとは、投・受光素子の前面に偏光フィルタを配置し、投光側は横方向の波の光を出し、受光側は縦方向の波のみを受光するように構成されている。投光素子から出力された光はあらゆる方向に振動しているが、偏光フィルタを通過すると横方向の光のみに偏光される。偏光された光は、反射ミラーにより偏光方向が乱され、色々な方向の光になって戻り、縦方向の偏光フィルタを通過する。この2つの偏光フィルタの組み合わせにより、ワークがない時には、センサは入光状態となる。この実施形態では、反射ミラーと投・受光素子との間のワークを検出するのではなく、反射ミラーを表示部19として使用し、反射ミラーからの反射光を検出することで表示部19を検出する。市販品としては、例えば、パナソニック製CX−491が挙げられる。
【0026】
距離設定反射型(ビーム)センサとは、受光素子に2分割フォトダイオードを用いる。一般的な反射型センサは、反射光の光量変化を検出しているが、2分割フォトダイオードを用いた反射型センサは、反射光の入光角度の違いで検出するため、入りは距離に対応して動作する。そして、設定した距離より後方にある背景物体は検出しない。市販品としては、例えば、パナソニック製EQ−30が挙げられる。
【0027】
反射型光センサ20,21は車体14の前後方向に沿って近接して設けられており、遮光判別センサ22は反射型光センサ20,21より車体14の前側に設けられている。制御装置15は反射型光センサ20,21及び遮光判別センサ22の少なくとも一方が検出信号を出力したときに自動移動車11の走行を停止させるようにモータを制御する。即ち制御装置15は、反射型光センサ20,21及び遮光判別センサ22の少なくとも一方が検出信号を出力したときに自動移動車11の走行を停止させる制御部として機能する。
【0028】
反射型光センサ20,21は、図2に示すように、複数(この実施形態では3個)の投受光部23を備えている。そして、図1に示すように、反射型光センサ20及び反射型光センサ21は、その投光方向が鉛直面に対して対称となるように形成されている。なお、図1においては、反射型光センサ20,21の投受光部23からの投光をそれぞれ1本の線で模式的に図示している。
【0029】
表示部19には、反射型光センサ20,21の投受光部23からの投光が斜めに入射するが、斜めに入射した光を入射方向に反射するように反射面が形成されている。そのため、各投受光部23から表示部19に向けて斜めに出射された投光は、表示部19に設けられた図示しない反射面に対して垂直に入射し、反射光は入射方向に向かって反射して各投受光部23に向かうようになっている。
【0030】
次に前記のように構成された自動移動車11の作用を説明する。
自動移動車11は、人が運転せずに病院内の予め決められた走行路面16を移動する。制御装置15は、自動移動車11に人(例えば、患者)が乗って目的地を指示すると、人が乗った位置を出発地とし、指示された目的地までの移動経路を、メモリに記憶された経路データから決定する。そして、移動経路の状態に合わせて左右の駆動輪12の回転速度を調整するようにモータを制御する。自動移動車11は、反射型光センサ20,21及び遮光判別センサ22が動作状態で走行する。
【0031】
通常は、自動移動車11は、メモリに記憶された移動経路を走行するため、自動移動車11の走行に支障を来す段差18や凹部を避けた経路となる。しかし、何らかの原因により万が一、自動移動車11が移動経路から外れ、段差18や凹部(図示せず)が存在する進入禁止域Anの方へ向かった場合、図1に示すように、自動移動車11が進入禁止域Anの近くまで走行すると、前側に配置された反射型光センサ20が天井17に設けられている表示部19を検出し、検出信号を出力する。制御装置15は、反射型光センサ20の検出信号を入力すると、モータに停止指令を出力して自動移動車11の移動が停止される。自動移動車11は図1にBで示す位置、即ち車体14の前端が進入禁止域Anとの境界と対応する位置で停止する。
【0032】
走行路面16は常に平坦とは限らず、たまたま反射型光センサ20が表示部19を検出する際に、前輪(従動輪13)が異物の上を通過する際、反射型光センサ20の投光が表示部19の反射面に入射しない状態になる場合もある。その場合は、反射型光センサ20による表示部19の検出はできないが、反射型光センサ21からの投光が表示部19の反射面で反射して反射型光センサ21が表示部19を検出する。そして、反射型光センサ21の検出信号を制御装置15が入力し、制御装置15はモータに停止指令を出力して自動移動車11の移動が停止される。
【0033】
走行路面16は自動移動車11の走行専用ではない。そのため、図3に示すように、たまたま反射型光センサ20,21が表示部19を検出する際に、反射型光センサ20の投光が遮光物24により遮光される状態となる場合がある。遮光物24としては、例えば、作業者が一時的に置いたはしごや作業台等がある。このような場合、遮光判別センサ22が遮光物24を検出して検出信号を出力する。制御装置15は、遮光判別センサ22の検出信号を入力すると、モータに停止指令を出力して自動移動車11の移動が停止される。
【0034】
制御装置15が反射型光センサ20,21あるいは遮光判別センサ22検出信号に基づいて自動移動車11を停止させた場合、制御装置15は自動移動車11の再駆動を行うことができず、図示しない警告灯を点灯したり管理室に停止した旨を通知したりする。そして、作業者が手動で復旧させる。次いで、自動移動車11をバックさせた後、段差18を迂回して前進させるか、段差18に段差プレートを配置した状態で自動移動車11を前進させる。
【0035】
この実施形態によれば、以下に示す効果を得ることができる。
(1)自動移動車制御システムは、予め設定されたエリア内を走行する自動移動車11の走行を制御する自動移動車制御システムである。自動移動車制御システムは、天井の所定位置に設けられて進入禁止域Anを表示する表示部19と、車体14に設けられ、表示部19を検出可能な反射型光センサ20,21と、車体14に設けられ、反射型光センサ20,21が表示部19を検出する際の表示部19と反射型光センサ20,21との間の光の経路を遮る物体(遮光物24)を検出可能な遮光判別センサ22とを備える。また、自動移動車制御システムは、反射型光センサ20,21及び遮光判別センサ22の少なくとも一方が検出信号を出力したときに自動移動車11の走行を停止させる制御部(制御装置15)を備える。
【0036】
この構成によれば、自動移動車11が走行中に、自動移動車11の走行に支障を来す段差18や凹部が存在する位置にさしかかると、反射型光センサ20,21が表示部19を検出して検出信号を出力するか、反射型光センサ20,21による表示部19の検出を妨げる物体(遮光物24)の存在を遮光判別センサ22が検出して検出信号を出力する。そして、制御部(制御装置15)は、反射型光センサ20,21の検出信号あるいは遮光判別センサ22の検出信号を入力して、自動移動車11の走行を停止させる。したがって、進入禁止域Anを表示する表示部19を反射型光センサ20,21で検出する際に、反射型光センサ20,21の投光を遮光する遮光物24が存在する場合であっても、自動移動車11が進入禁止域Anに誤進入することを防止することができる。また、表示部19は天井17に設けられているため、走行路面16に設けられた場合と異なり、歩行者や自動移動車11に踏まれる等の外的な損傷を受けることが無く、反射型光センサ20,21は安定した状態で表示部19を検出することができる。また、表示部19の損傷による張り替えが不要になり、定期検査やメンテナンスの工数を低減することができる。
【0037】
(2)自動移動車11は、車体14より上方の所定位置に設けられた被検出体(表示部19)を検出可能な反射型光センサ20,21と、反射型光センサ20,21が被検出体を検出する際の被検出体と反射型光センサ20,21との間の光の経路を遮る物体(遮光物24)を検出可能な遮光判別センサ22と、反射型光センサ20,21及び遮光判別センサ22の少なくとも一方が検出信号を出力したときに走行を停止させる制御部(制御装置15)とを備える。したがって、前述の自動移動車制御システムを実施する場合に使用することができる。
【0038】
(3)自動移動車11の走行に支障を来す段差18や凹部の存在を表示する表示部19を検出するため2個の反射型光センサ20,21が設けられ、両反射型光センサ20,21は、投受光部23からの投光が車体14を左右方向に横切る仮想鉛直面に対して対称に進むように設けられている。一方、表示部19には反射型光センサ20,21の各投光を各反射型光センサ20,21の投受光部23に向けて反射する反射面が形成されている。したがって、表示部19を反射型光センサ20が検出する際に走行路面16上に存在する異物のため、反射型光センサ20による表示部19の検出ミスが発生しても、反射型光センサ21が表示部19を検出する。したがって、反射型光センサが1個の場合と異なり、表示部19の検出ミスを抑制することができる。
【0039】
(4)遮光判別センサ22として、設定した距離より近くに存在する物体を検出する距離設定反射型センサが使用されている。この構成によれば、設定した距離より近くに遮光物24が存在する場合に遮光物24を検出することができるため、検出距離を適切に設定することにより、天井17を検出することなく、遮光物24を適切に検出することができる。
【0040】
(5)反射型光センサ20,21は、それぞれ投受光部23を複数備え、表示部19は各投受光部23に対応した反射面を備えている。したがって、表示部19の検出ミスをより抑制することができる。
【0041】
(第2の実施形態)
次に、第2の実施形態を図4及び図5にしたがって説明する。この実施形態では、被検出体としての表示部として第1の表示部及び第2の表示部が設けられている点が第1の実施形態と異なっている。第1の実施形態と同一部分は同一符号を付して詳しい説明を省略する。
【0042】
図4に示すように、第1の表示部31は、車体14が進入禁止域Anに進入する前に反射型光センサ20によって検出可能な位置に設けられている。
図5に示すように、第2の表示部32は、車体14の一部が進入禁止域Anに進入した状態で反射型光センサ20あるいは反射型光センサ21が検出可能な位置に設けられている。反射型光センサ21が第2の表示部32を検出可能な位置は、車体14がその位置より前進すると従動輪13が段差18に落下する確率が高い位置である。制御部(制御装置15)は反射型光センサ21が第2の表示部32を検出あるいはその状態で遮光判別センサ22が反射型光センサ21による第2の表示部32の検出を妨げる物体(遮光物24)の存在を検出した検出信号に基づいて車体14が停止した状態からの車体14の前進走行を禁止する。
【0043】
第1の実施形態の構成では、自動移動車11が進入禁止域Anの手前で停止した状態を作業者が手動で解除する際、段差18に段差プレートを配置する前に解除すると、自動移動車11が進入禁止域Anに進入する。進入禁止域Anと対応する位置には表示部19が無いため、自動移動車11が段差18に落下する虞がある。
【0044】
しかし、この実施形態では、車体14の一部が進入禁止域Anに進入した状態で反射型光センサ20あるいは反射型光センサ21が検出可能な位置に第2の表示部32が設けられている。そのため、例えば、故障により反射型光センサ20による第1の表示部31の検出ができずに自動移動車11が進入禁止域Anに進入した場合、第2の表示部32が検出されて、自動移動車11が停止される。また、自動移動車11が進入禁止域Anの手前で停止した状態を作業者が手動で解除する際、段差18に段差プレートを配置する前に解除して、自動移動車11が進入禁止域Anに進入すると、第2の表示部32が検出されて、自動移動車11が停止される。そのため、自動移動車11が段差18に落下する虞がない。即ち、自動移動車11を進入禁止域Anの段差18や凹部に近い位置で停止した状態から、前進移動を再開して段差18や凹部に車輪が落下して車体14の走行に支障を来す事態になることが防止される。また、2個の表示部(第1の表示部31及び第2の表示部32)を設ける代わりに、一端が第1の表示部31の後端と同じ位置になり、他端が第2の表示部32の前端と同じになる広い面積の表示部を1個設けても同様の効果を得ることができる。しかし、2個の表示部を設ける方が、表示部の面積が狭くてもよく、表示部のコストを低くすることができる。
【0045】
実施形態は前記に限定されるものではなく、例えば、次のように具体化してもよい。
○ 自動移動車11を進入禁止域Anの手前で停止させるための第1の表示部31と、進入禁止域Anに進入した自動移動車11を停止させる第2の表示部32とを設ける構成に代えて、図6に示すように、1個の被検出体としての表示部34を進入禁止域Anと進入禁止域Anの手前の領域とに跨る状態で設けてもよい。表示部34は、進入禁止域Anの手前の領域に対応する部分が、反射型光センサ20によって検出された時に、図6に実線で示すように、前端が進入禁止域Anに進入する直前となる位置で自動移動車11が停止される位置にとなるように形成されている。また、表示部34は、進入禁止域Anと対応する部分が、反射型光センサ20が表示部34を検出せず、反射型光センサ21が表示部34を検出する状態で、反射型光センサ21の検出信号により自動移動車11が停止される場合は、図6に鎖線で示すように、進入禁止域Anの段差18に近い位置で停止されるように形成されている。
【0046】
○ 表示部19が天井17に設けられる場合、天井17に貼り付けられた構成に限らず、例えば、天井17に吊り下げられたブラケットに取り付けてもよい。第1の表示部31、第2の表示部32、表示部34も同様である。
【0047】
○ 表示部19は、車体14より上方に設けられていればよく、天井17に限らず、例えば、図7に示すように、通路の壁36に、表示部19を斜め下方に向けて設けてもよい。第1の表示部31、第2の表示部32、表示部34も同様である。反射型光センサ20,21は、斜め側方に向けて光を出射する。
【0048】
○ 自動移動車11は人を乗せて移動するものに限らず、人以外の物を載せて移動する搬送車であってもよい。また、自動移動車11は作業を行う作業車両、例えば、無人フォークリフトであってもよい。
【0049】
○ 自動移動車11は通路だけを走行するのではなく、通路に続く広いスペースを移動してもよい。例えば、図8に示すように、走行路面16に連続して広いスペース38が設けられ、スペース38の一部に円弧状の進入禁止域Anが設けられていてもよい。この場合、円弧状の表示部19が天井に設けられる。自動移動車11は進入禁止域Anまで荷物を搬送し、進入禁止域Anに移載された荷物は、例えば、進入禁止域Anで囲まれた領域で作業を行う作業車により運ばれる。
【0050】
○ 自動移動車11は屋内だけを走行するものに限らず、屋外を走行したり、屋内及び屋外の両方を走行したりするものであってもよい。屋外を走行する場合は、例えば、建物の外壁や柵等に沿って走行するものが好ましい。
【0051】
○ 遮光判別センサ22は、反射型光センサ20,21より車体14の前側に設けずに、後ろ側に設けてもよい。遮光判別センサ22と反射型光センサ20,21との距離が近い場合は、遮光判別センサ22を反射型光センサ20,21の前側に設けても後側に設けても、遮光判別センサ22は遮光物24を支障なく検出することができる。しかし、遮光判別センサ22と反射型光センサ20,21とが離れて設けられる場合は、遮光判別センサ22を反射型光センサ20,21の前側に設ける方が好ましい。
【0052】
○ 反射型光センサ20,21が複数の投受光部23を備える構成として、投受光部23の数は3個に限らず、2個あるいは4個以上であってもよい。
○ 反射型光センサ20,21は投受光部23を1個備える構成であってもよい。
【0053】
○ 反射型光センサ20,21は、投受光部23から光を斜めに出射する代わりに、天井17に向けて垂直に出射してもよい。
○ 2個の反射型光センサ20,21を設ける代わりに、1個の反射型光センサを設けてもよい。1個の反射型光センサを設ける場合、投受光部23の数は1個でも複数個でもよい。
【0054】
○ 反射型光センサは、ミラー反射型(偏光フィルタ付き)センサに限らない。例えば、偏光フィルタを有さない反射型光センサであってもよい。
○ 自動移動車11は、走行路に沿った壁の人の背丈より高い位置に設けられ、走行路の直線部と曲線部との境界近くに走行路の状態を示す走行路状態報知部の報知内容から制御装置15が直線走行かカーブ走行かを判断して、モータを制御するようにしてもよい。
【0055】
○ 自動移動車11は、独立して駆動される2個の駆動輪12の速度を制御して操舵を行う構成に限らず、操舵輪を操舵して操舵を行う構成であってもよい。
以下の技術的思想(発明)は前記実施形態から把握できる。
【0056】
(1)請求項1〜請求項4の何れか一項に記載の自動移動車は、前記反射型光センサが2個、前記車体の前後方向に沿って設けられている。
【符号の説明】
【0057】
An…進入禁止域、11…自動移動車、14…車体、19,34…被検出体としての表示部、20,21…反射型光センサ、22…遮光判別センサ、31…被検出体としての第1の表示部、32…被検出体としての第2の表示部。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
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図8
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