特許第6412370号(P6412370)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6412370
(24)【登録日】2018年10月5日
(45)【発行日】2018年10月24日
(54)【発明の名称】標示カバー及び標示装置
(51)【国際特許分類】
   E01F 9/00 20160101AFI20181015BHJP
【FI】
   E01F9/00
【請求項の数】6
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2014-171648(P2014-171648)
(22)【出願日】2014年8月26日
(65)【公開番号】特開2016-44507(P2016-44507A)
(43)【公開日】2016年4月4日
【審査請求日】2017年8月25日
(73)【特許権者】
【識別番号】509122371
【氏名又は名称】有限会社岡田製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100092679
【弁理士】
【氏名又は名称】樋口 盛之助
(72)【発明者】
【氏名】酒見 裕介
【審査官】 神尾 寧
(56)【参考文献】
【文献】 特開2011−137950(JP,A)
【文献】 特開2008−250271(JP,A)
【文献】 登録実用新案第3080090(JP,U)
【文献】 米国特許第06148555(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E01F 9/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
表面に諸標の表示がされている平板状の標示部と、
前記標示部の上端で折り返されて当該標示部の裏面に重なる平板状の裏面部と、
前記裏面部の下端の一部が前記標示部側に折り返されて上方に延びた係合片と、
前記標示部の下部に設けられて、前記係合片が挿入されるスリットとを備え、かつ、前記標示部と裏面部と係合片とを弾性変形可能な板材で一体に形成した板状カバー体を、トンネルや防護壁等の壁面に取り付けられている既設の垂直平板状の表示基板の表面側に前記標示部を対面させるとともに前記裏面部を前記表示基板の裏面側に対面させるように前記表示基板に被せ、前記係合片を前記スリットに挿入して前記表示基板に装着するようにしたことを特徴とする標示カバー。
【請求項2】
前記係合片は、前記標示部に設けられているとともに、前記スリットは、前記裏面部に設けられている請求項1に記載の標示カバー。
【請求項3】
前記係合片の左右両側の先端には、凸片が設けられている請求項1又は2に記載の標示カバー。
【請求項4】
前記板状カバー体は、前記係合片を前記裏面部又は標示部の下端の中央に設け、
前記係合片が設けられていない前記標示部又は裏面部の下端の両側に、前記裏面部側又は標示部側にそれぞれ折り返された2つの舌片を設け、
前記板状カバー体を表示基板に装着する時、前記2つの舌片を、前記表示基板の下端を超えて折り返し前記裏面部側又は標示部側に位置させるようにした請求項1〜3のいずれか1項に記載の標示カバー。
【請求項5】
前記板状カバー体の2つを、両カバー体における裏面部同士又は標示部同士の隣接する境目で折り曲げ可能にして一体形成した請求項1〜4のいずれか1項に記載の標示カバー。
【請求項6】
前記請求項1〜5のいずれか1項に記載の標示カバーと、左右の両側部が壁に固定されて当該両側部の間に形成された第1表示面と第2表示面の少なくとも一面に前記標示カバーが装着される垂直平板状の表示基板とを備えたことを特徴とする標示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、鉄道線路等の標示装置における諸標の表示状態を回復するためのメンテナンスをメンテナンス用具等を用いることなく短時間で行えるようにした標示カバー及び標示装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
鉄道線路や高速道路、例えば、線路の脇には、数字や記号などの線路諸標を表示した標示装置が設置されている。諸標は、例えば、距離標、曲線標、こう配標等で安全運転や保守の面で必要な各種の標識であり、線路の各所に設けられて、運転手が諸標の表示を見ることにより、現地点の運転条件などの確認等ができるようになっている。
【0003】
標示装置は、トンネル内や高架軌道のように線路の脇に防護壁等の壁がある箇所では、その壁に取り付けられている。壁に取り付けられた標示装置は、上りと下りの両方の列車の運転手に諸標の表示が目視し得るように、上り側から見える第1表示面と下り側から見える第2表示面の境界で垂直に折れ曲がった垂直平板状の表示基板の両端を壁面に固定したものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】実用新案登録第3160825号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、前述の標示装置は、線路の脇に設置されているため、鉄道車両の走行によって生じる鉄粉などが表示された諸標に付着して汚れ、視認性が低下して諸標の表示を運転手が視認できなくなるので、拭き取りなどの清掃を実施し視認性を回復するようにしている。しかし、標示装置を長期間使用していると、清掃を行っても諸標の表示が運転手に視認不可能になってしまうことがある。この場合、従来は諸標の表示を新しく直したり標示装置自体の交換を行ったりするメンテナンスを行っているが、このメンテナンスには多大の時間とメンテナンスに必要な多くのメンテナンス用具等の運搬を行わなければならなかった。
【0006】
本発明が解決しようとする課題は、標示装置における諸標の表示状態を回復するためのメンテナンスを、メンテナンス用具等を用いることなく、従って、用具の運搬を必要とせず、かつ、短時間で行えるようにした標示カバー及び標示装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記課題を解決するため本発明に係る標示カバーは、表面に諸標の表示がされている平板状の標示部と、前記標示部の上端で折り返されて当該標示部の裏面に重なる平板状の裏面部と、前記裏面部の下端の一部が前記標示部側に折り返されて上方に延びた係合片と、前記標示部の下部に設けられて、前記係合片が挿入されるスリットとを備え、かつ、前記標示部と裏面部と係合片とを弾性変形可能な板材で一体に形成した板状カバー体を、トンネルや防護壁等の壁面に取り付けられている既設の垂直平板状の表示基板の表面側に前記標示部を対面させるとともに前記裏面部を前記表示基板の裏面側に対面させるように前記表示基板に被せ、前記係合片を前記スリットに挿入して前記表示基板に装着するようにしたことを特徴とする。
本発明は、前記構成の標示部と裏面部において、係合片と該係合片が挿入されるスリットを、前記構成とは逆の構成にする、すなわち、係合片を標示部に、スリットを裏面部にもうけるようにしてもよい。
【0008】
このように、表面に諸標の表示がされている標示部と、標示部の上端で折り返されて標示部の裏面の前面に重なる平板状の裏面部と、一例として、裏面部の下端の一部が標示部側に折り返されて上方に延びた係合片と、標示部の下方に設けられたスリットとを備え、前記標示部と裏面部と係合片とを弾性変形可能な板材で一体に形成した板状カバー体を、既設の表示基板の表示面に被せて係合片をスリットに挿入することで、標示カバーが表示基板に装着されるので、本発明に係る標示カバーを用意するだけで、メンテナンス専用用具を要することなく標示装置のメンテナンスを短時間で行えることになる。
【0009】
本発明標示カバーにおいて、前記係合片は、裏面部に設けられているとともに、前記スリットは、標示部に設けられていることが好ましい。また、前記係合片の左右両側の先端に、該係合片の左右に広がる凸片を設けることが好ましい。さらに、板状カバー体において、前記係合片を裏面部の下端の中央に設ける一方、係合片が設けられていない標示部の下端の両側に、裏面部側にそれぞれ折り返される2つの舌片を一体に設け、板状カバー体を前記係合片をスリットに挿入して表示基板に装着するとき、前記2つの舌片を、該表示基板の下端を超えてその表示基板の表面側に位置させるようにすることが好ましい。本発明において、前記2つの舌片は裏面部の下端の両側に設けてもよい。
本発明においては、板状カバー体の2つを、両カバー体における裏面部同士又は標示部同士の隣接する境目で折り曲げ可能にして一体形成することができる。
【0010】
また、前記課題を解決するため本発明に係る標示装置は、前記の標示カバーと、左右の両側部が壁に固定されて当該両側部の間に形成された第1表示面と第2表示面の少なくとも一面に前記標示カバーが装着される垂直平板状の表示基板とを備えたことを特徴とする。このように構成しても、前述の標示カバーと同様にメンテナンスを短時間で行える標示装置が得られる。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、標示装置における諸標の表示状態を回復するためのメンテナンスを、メンテナンス用具等を用いることなく短時間で行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の実施形態の一例に係る標示カバーを示す斜視図。
図2】本実施形態の標示カバーに用いられる凸片の一例を示す斜視図。
図3】本実施形態の標示カバーに用いられる舌片の一例を示す斜視図。
図4】本実施形態の標示カバーを既設の表示基板に装着した状態の一例を示す斜視図。
図5】(a)〜(d)は本実施形態の標示カバーを既設の表示基板に装着する過程を説明するための斜視図。
図6】2つの板状カバー体を裏面部で連結した実施形態の本発明標示カバーの他の例を示す斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明に係る標示カバーの実施形態例を添付図面に基づいて説明する。図1図5に示すように、本実施形態の標示カバー1は、表面に諸標7の表示がされている標示部3と、標示部3の上端で折り返されて標示部3の裏面に重なる裏面部4と、図の例では裏面部4の下端の一部が標示部3側に折り返されて上方に延びた係合片5と、標示部3の下方に設けられたスリット6とを備えている。なお、図示しないが、上記形態に代えて係合片5を標示部3の下端に、スリット6を裏面部4の下方に、それぞれ設ける場合もある。
【0014】
標示部3は、平板状、例えば、矩形平板状に形成されている。標示部3の縦方向(高さ方向)の長さは、既設の垂直平板状の表示基板11(図4図5参照。)の中で縦方向が一番長い基板の長さより長く、例えば、若干長い寸法で形成されていることが好ましい。標示部3の横方向(幅方向)の長さは、既設の表示基板11の中で横方向の長さが一番短い基板の長さより短く、例えば、若干短い寸法で形成されている。なお、既設の表示基板11の種類ごとに複数の標示カバー1を形成するようにしてもよい。標示部3の表面には、例えば、距離標、曲線標、こう配標等の諸標7が表示されている。諸標7を表示する手段としては、特に限定されず、手書き、転写シートなどの周知の手段を用いて諸標7が表示されている。
【0015】
裏面部4は、標示部3の上端で折り返されて当該標示部3の裏面に重なる平板状、例えば、矩形平板状に形成されている。裏面部4の縦方向(高さ方向)の長さは、標示部3と同じ寸法で形成されていることが好ましい。裏面部4の矩形の大きさは、縦方向の長さが標示部3と同じ寸法で形成されていれば、横幅が標示部3と異なっていてもよいが、標示部3と略同じ矩形状であることが好ましい。なお、裏面部4の外表面(標示部3の裏面と対向する面と反対側の表面)に、標示部3の表面に表示されているのと同一の諸標7を表示するようにしてもよい。こうすると、標示部3と裏面部4の表面に同一の諸標7が表示されていることにより、両方の諸標7を使用することができる。その結果、標示部3側の諸標7の視認性が低下し清掃を行っても諸標7の表示が運転手に視認できなくなる場合には、裏面部4側の諸標7を表示することができるので、別の標示カバー1を持っていかなくてもメンテナンスを行える。
【0016】
裏面部4の下端の一部は、標示部3側に折り返されて上方に延びる係合片5として形成されている。係合片5は、例えば、裏面部4の下端の中央部に任意の幅で1つ形成されている。なお、係合片5は、裏面部4の下端の中央部に1つ形成されているが、これに限定されず、2つ以上でもよい。また、係合片5は、前記裏面部4に設けることに代えて標示部3の下端の一部に形成するようにしてもよい。
【0017】
標示部3の下方には、横方向(幅方向)に延びたスリット6が設けられている。スリット6は、前記係合片5が挿入されて該係合片5を係合して保持するものである。スリット6は、係合片5を挿入した係合状態が解除され難い位置及び幅に任意に設定される。
【0018】
標示部3と裏面部4と係合片5とは、弾性変形可能な板材、一例として、合成樹脂等の平板材で一体に板状カバー体2として形成されている。すなわち、板状カバー体2は、例えば、弾性変形可能な合成樹脂製の平板材から、展開状態の標示部3の形成部、裏面部4の形成部及び係合片5の形成部を打ち抜いて板状カバーシート体を形成し、このシート体を折り曲げて形成したものである。展開状態の板状カバー体2は、標示部3が表示基板11の表面側に対面するとともに裏面部4が表示基板11の裏面側に対面するように標示部3及び裏面部4の上端で折り曲げて表示基板11に被せてから、標示部3側に折り曲げた係合片5を標示部3のスリット6に挿入することで、表示基板11に装着するようになっている。
【0019】
係合片5のスリット6に挿入される部位、一例として、先端の左右両側の先端側には、図2に示すように、左右に突出する凸片8を設けることが好ましい。凸片8の係合片5の両側から突出する寸法は、特に限定されないが、2つの凸片8の突出する先端間の長さ(幅)がスリット6の左右幅より若干大きな寸法で形成されていることが好ましい。凸片8の形状は、長方形状やその他の形状でもよいが、凸片8の係合片5の先端側の側部8aが傾斜した矩形状や三角形状等に形成されていることが好ましい。本発明では、係合片5に凸片8を設けた場合、スリット6の左右側端部に、前記凸片8の左右幅と同等であって水平な該スリット6に対し上向き又は下向きに傾斜したスリット拡張部を形成するようにしてもよい。スリット拡張部は、係合片5をスリット6に挿入するとき、左右の凸片8をスリット拡張部の傾斜に合わせて傾斜させてスリット拡張部に挿入して該凸片8の傾斜を戻すと、凸片8がスリット拡張部から抜けなくなる。
【0020】
また、標示部3の下端において係合片5に覆われない両側には、図3に示すように、裏面部4側にそれぞれ折り返される2つの舌片9を一体に設けることが好ましい。舌片9の長さは、板状カバー体2を表示基板11に装着するとき、当該基板11の下端を超えて裏面部4の表面側に位置させ得る寸法で形成されている。これにより、板状カバー体2を表示基板11に被せてから、係合片5をスリット6に挿入するとき、2つの舌片9を表示基板11と裏面部4の間、又は裏面部4の外表面に位置させ得るようになっている。
【0021】
次に、上記のように構成した本実施形態の標示カバー1を表示基板11に装着する場合について説明する。表示基板11は、図5(a)に示すように、既に壁(図示せず)に取り付けられていて、第1表示面Aと第2表示面Bの境界線abで折れ曲がった垂直平板状の表示基板11の両端が壁面にボルトb等で固定されているものであり、図5の例では第1、第2の両表示面A,Bともその諸標7のメンテナンスが必要な場合であるとする。
【0022】
図5(b)に示すように、係合片5を標示部3の裏面側に位置させた状態で、板状カバー体2を上から例えば第1表面A側の表示基板11に、標示部3が表示基板11の表面側に対面するとともに裏面部4が表示基板11の裏面側に対面するように被せる。被せた後、図5(c)に示すように、裏面部4の下端の係合片5を表示基板11と標示部3の下端を超えて標示部3の前に持ってくる。すなわち、係合片5を弾性力に抗して係合片5の基部である裏面部4の下端から折り返された箇所を軸に折り曲げる。
【0023】
係合片5は弾性力によって元の形状に戻るが、図5(d)に示すように、標示部3の中程を弾性力に抗して表示面Aから少し浮かせるように大略浅いくの字状に湾曲させた状態を作り、スリット6に係合片5を挿入する。挿入されたら標示部3を湾曲させている力を解除する。なお、標示部3の湾曲と同時に係合片5をスリット6に挿入するために折り曲げてもよい。標示部3への湾曲力を解除すると、標示部3は弾性力によって元の略平板状に戻り、係合片5はスリット6に奥深く挿入されて係合状態となる(図4参照)。これにより、板状カバー体2が第1表示面A側の表示基板11に装着される。第2表示面B側の表示基板11に関してもメンテナンスが必要な場合、別の標示カバー1を前述と同様にして板状カバー体2を第2表示面B側の表示基板11に被せて係合片5をスリット6に挿入することで、図4に示すように、第2表示面B側の表示基板11に標示カバー1を装着することができる。図4は、第1、第2の両表示面A,Bを本実施形態の標示カバー1によってメンテナンスした状態を示している。
【0024】
以上のように、本実施形態の標示カバー1は、板状カバー体2を表示基板11に被せて係合片5をスリット6に挿入するだけで表示基板11に装着されるので、標示装置のメンテナンスを専用工具などのメンテナンス用具を用いることなく短時間で行うことができる。また、表示基板11に表示されている諸標7の表示内容を変更する場合には、変更する諸標7が表示された標示カバー1を表示基板11に装着するだけで諸標7の変更を行えるので、標示変更の場合もメンテナンスの場合と同様に、元の表示基板11を活かして、短時間で簡単に諸標7の変更を行える。特に、トンネル内などの暗い場所や、足元がバラストの足元不如意の場所での施工では、標示体の他にビス等の取付部品が必要なことがあるため、施工中にビス等の取付部品を落としたりして紛失する恐れが多々あった。しかしながら、本実施形態の標示カバー1では、取付部品が全く不要であるので、その心配もない。また、標示部3及び裏面部4は、高さ方向の長さが既設の表示基板11の中で一番長い基板の長さより長く、横方向の長さが既設の表示基板11の中で一番短い基板の長さより短く形成されているので、本実施形態の標示カバー1は、既設のサイズが異なる全ての表示基板11に装着することが可能である。
【0025】
なお、係合片5を裏面部4に設け、スリット6を標示部3に設けると、係合片5を標示部3に設けている場合に比してスリット6に挿入させ易い。また、係合片5の両側の先端にスリット6の幅からはみ出す凸片8が設けられていると、該凸片8がストッパとして作用し係合片5がスリット6から抜け難くなりスリット6と係合片5の係合状態を長期間保持することができる。さらに、標示部3の下端の両側に2つの舌片9を設けて、板状カバー体2を表示基板11に被せてから、係合片5をスリット6に挿入するとき、舌片9を表示基板11と裏面部4の間又は裏面部4の外表面に位置させることで、風の圧力、特に列車が通る際の風圧によって標示部3が表示基板11から浮き上がって係合片5がスリット6から抜け出ることが抑制されるので、スリット6と係合片5の係合状態を長期間保持することができる。
【0026】
また、本発明では、図6に示すように、2つの板状カバー体2の裏面部4同士又は標示部3同士、例えば、2つの板状カバー体2の2つの裏面部4、4の境目で折り曲げ可能に一体形成して標示カバー10を構成するようにしてもよい。このように2つの板状カバー体2のを一体形成した標示カバー10を構成すると、表示基板11の第1表示面Aと第2表示面Bの境界で折れ曲がった垂直平板状の表示基板11の両表示面A,Bに板状カバー体2を装着する場合、個別に板状カバー体2を装着する場合に比して短時間で簡単に装着することができる。
【0027】
すなわち、標示カバー10の2つの板状カバー体2,2を裏面部4,4の境目10aを表示基板11の第1表示面Aと第2表示面Bの折れ曲がった角度とほぼ同じ角度に折り曲げる。折り曲げた2つの板状カバー体2,2を、それぞれ標示部3、3が表示基板11の2つの表示面A,Bにそれぞれ対面するとともに、それぞれの裏面部4,4が表示基板11の裏面側に対面するように被せる。各係合片5,5を標示部3,3及び表示基板11の下端から前方に持ってきて、それぞれ係合片5,5を標示部3,3のスリット6,6に挿入する。これにより、標示カバー10は、表示基板11の第1表示面Aと第2表示面Bの両方に一度に装着することができ、表示面ごとに個別に板状カバー体2を装着する場合に比して短時間で簡単に装着することができる。
【0028】
本実施形態の標示装置は、上述の標示カバー1と、標示カバー1が装着される前記表示基板11を一例とする垂直平板状の表示基板とを備えたものである。表示基板としては、両側部が例えばボルト等により壁に固定でき当該両側部間に本実施形態の標示カバー1を装着できる垂直平板状に形成されたもので、既設の例えばアルミ製のもの等を使用することができる。表示基板の標示カバー1が装着される個数は、特に限定されず、1つでも2つ以上でもよい。例えば、標示カバー1の装着個数が2つであるとすると、表示基板は、第1表示面と第2表示面とが境で折れ曲がった垂直平板状に形成され、両端が壁面にボルト等で固定されるものである。
【0029】
このように、本実施形態の標示装置が標示カバー1と表示基板で構成されることで、まず、表示基板の両端をボルト等で壁面に固定し、次いで、第1表示面側の表示基板に前述と同様に標示カバー1を被せて係合片5をスリット6に挿入することで、第1表示面側の表示基板に標示カバー1が装着される。この装着後、第2表示面側の表示基板に前述と同様に別の標示カバー1を被せて係合片5をスリット6に挿入することで、第2表示面側の表示基板に標示カバー1が装着される。
【0030】
そして、本実施形態の標示装置にいおいて、装着した標示カバー1の表示面(諸標7)の清掃を行っても諸標7の表示が運転手が視認し難くなってしまったり、諸標7の表示内容を変更する場合には、まず、装着している標示カバー1のスリット6から係合片5を抜いて係合片5を表示基板と裏面部4との間に位置させた後に、標示カバー1を上方に移動させることで、当該標示カバー1を表示基板から取り外す、次に、新たな標示カバー1を前述と同様に表示基板に被せて係合片5をスリット6に挿入することで、表示基板に新たな標示カバー1を装着することができる。
【0031】
このように本実施形態の標示装置を構成することで、本実施形態の標示装置は、上述の本実施形態の標示カバー1と同様の作用効果を奏する。例えば、本実施形態の標示装置は、標示カバー1を準備すれば、標示装置のメンテナンスを専用工具などのメンテナンス用具を用いることなく短時間で行うことができるとともに、諸標7の変更も短時間で簡単に行える。その他の作用効果は上述の本実施形態の標示カバー1と同様であるので省略する。
【符号の説明】
【0032】
1 標示カバー
2 板状カバー体
3 標示部
4 裏面部
5 係合片
6 スリット
7 諸標
8 凸片
9 舌片
10 標示カバー
11 表示基板
A 第1表示面
B 第2表示面
図1
図2
図3
図4
図5
図6