(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
走行路面を模擬した負荷ドラムをタイヤのトレッド面に圧着させて、タイヤへ加わる負荷荷重を計測する荷重計測センサと、荷重方向に沿った負荷ドラムの位置を計測する変位センサとを備えた転がり抵抗予測装置を用いて転がり抵抗に異常のあるタイヤを選別するに際しては、
前記負荷ドラムを前後方向に交互に移動させることにより、前記タイヤに作用する負荷荷重を変動させ、
前記負荷ドラムの位置の変動と前記負荷荷重の変動との位相差を算出し、
算出された位相差を元にして、前記転がり抵抗に異常があるタイヤを選別することを特徴とするタイヤの転がり抵抗予測手法。
前記転がり抵抗予測装置として、前記タイヤの周方向の均一性を評価するタイヤユニフォミティ試験機が用いられていることを特徴とする請求項1または2に記載のタイヤの転がり抵抗予測手法。
前記負荷ドラムを前後方向に交互に移動させる際に、前記タイヤの内部に空気を封じ込めることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のタイヤの転がり抵抗予測手法。
前記タイヤに作用する負荷荷重を変動させるに際しては、前記負荷ドラム及びタイヤを回転させた状態で行うことを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のタイヤの転がり抵抗予測手法。
【背景技術】
【0002】
従来より、トラック、乗用自動車および他の車両用タイヤの性質および性能を測定するに当り、重要な測定項目の一つとして、タイヤの転がり抵抗がある。
このタイヤの転がり抵抗は、タイヤを地面上で転動した際にタイヤと地面との間で発生する接線方向の力である。タイヤ試験機においては、試験用のタイヤとこのタイヤが対接回転する相手表面(例えば、負荷ドラムの表面)との間で発生する接線方向の力としてタイヤの転がり抵抗は計測される。つまり、タイヤと相手表面との間にある大きさの半径方向の力(負荷荷重Fz)を与えると、このタイヤの負荷荷重Fzに対応した転がり抵抗Fxが発生し、負荷荷重Fzと転がり抵抗Fxとの関係が測定される。
【0003】
こうした「転がり抵抗の計測方法」は、ドラム式のタイヤ走行試験機による方法として、JIS D 4234(乗用車,トラック及びバス用タイヤ−転がり抵抗試験方法、2009年)で規定されている。
このJIS D 4234の規定には、タイヤスピンドルで前記Fxを測定又は換算して反力を求める「フォース法」、負荷ドラムでタイヤに回転を与え、その時のトルク入力値を計測する「トルク法」、負荷ドラム及びタイヤのアッセンブリの減速度を求める「惰行法」、負荷ドラムでタイヤに回転を与え、そのパワー入力を求める「パワー法」などの4つの計測方法が規定されている。ただ、これらの方法のいずれでタイヤの転がり抵抗を測定する場合にも、タイヤには大きな負荷荷重Fzを加える必要があるため、この負荷荷重Fzに比べて小さな転がり抵抗Fxを測定するためには、適切な精確さをもつ専用の試験機が必要となる。例えば、この転がり抵抗Fxの大きさは、乗用車の場合を例にとれば、約500kgfの負荷荷重Fzで10kgf弱となり、このような小さな転がり抵抗Fxを測定可能な専用の試験装置がすでに商品化されている。
【0004】
このような転がり抵抗の試験機には、例えば特許文献1に示すようなものが知られている。
例えば、特許文献1の転がり抵抗測定装置は、円筒状に形成された負荷ドラム(走行ドラム)の外周面にタイヤを押圧接触させ、軸受を介してタイヤを支承するスピンドルの多分力検出器により、x、y、z軸方向に加わる力とトルク(モーメント)とを計測する構成となっている。この特許文献1の装置では、これらの分力同士の干渉に対する補正を行なった上で、タイヤの軸方向の荷重Fzと、転がり抵抗Fxとの関係を計測する構成となっている。
【0005】
また、特許文献2には、タイヤを構成する各種ゴム部材の粘弾性特性の計測結果とタイヤのFEMモデルを元にした数値解析により、タイヤの転がり抵抗を予測する手法が提示されている。タイヤの転がり抵抗は、タイヤ回転時における、各種ゴム部材の変形歪量とそれぞれのゴム部材の減衰特性との積和演算から算出される全エネルギ損失から算出されることを利用している。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、特許文献1の技術を用いて、上述したJIS D 4234に規定されるタイヤの転がり抵抗の計測方法を行うと、以下のような問題が生じることが明らかとなっている。
例えば、JISの計測方法では、計測に先だってタイヤの温度を安定させる為に30分以上
の慣らし運転を行うことが規定されている。しかし、大量に生産される製造タイヤのすべてに、このような長時間に亘る慣らし運転を実施することは困難である。そのため、実際の製造現場では全数検査ではなく一部のタイヤを抜き出して所要の転がり抵抗の性能を満足しているかどうかをチェックしている。
【0008】
しかしながら、このような抜き取り試験では、転がり抵抗に異常のあるタイヤが見逃されて市場に流出する可能性があるために、タイヤの均一性を検査するタイヤユニフォーミティ試験(JIS D4233)などと同様に、転がり抵抗試験に関しても全数検査を行うことが望ましい。
例えば、タイヤユニフォーミティ試験の専用マシンであるTUM試験装置では、1本のタイヤを30秒程度で計測・評価しており、大量に生産される製造タイヤに対しても全数検査が可能となっている。そのため、工場に多数設置されているこのようなTUM試験装置で、転がり抵抗を全数計測することが考えられる。
【0009】
このTUM試験装置は、リム組みしたスピンドル軸のタイヤに、負荷ドラムを所定の荷重で押し付け、スピンドル軸と負荷ドラムの軸間距離を固定したうえでタイヤを60rpm程度で回転させ、タイヤに発生する変動力(フォースバリエーション、Force Variation)を測定する構成となっており、タイヤ荷重の負荷方向に沿った荷重変動RFV(Radial Force Variation)と、タイヤの幅方向に沿った荷重変動LFVとの計測を行っている。この荷重変動RFVや荷重変動LFV(Lateral Force Variation)の計測に使用される荷重計測装置(ロードセル)は、負荷ドラムを自由に回転できるように取り付けておいて、タイヤが設けられたスピンドル軸を駆動させる構成を採用した上で、この負荷ドラム側に荷重計測装置を設けて計測されることが多い。
【0010】
ところが、このようなTUM試験装置を用いて前述したJISの4つの計測方法を行う場合、一般的なTUM試験装置にはタイヤの転がり抵抗の方向の荷重や、タイヤやドラムの駆動トルクを計測する為のセンサが設けられていないため、転がり抵抗の計測を行うことができない。
また、TUM試験装置では、転がり抵抗計測用の専用機に比べて、タイヤ軸やドラム軸の自体の回転抵抗が大きなものとなっている。このような大きな回転抵抗は、TUM試験装置にてタイヤの転がり抵抗を計測しようと意図した場合に大きな誤差要因となる為に、この回転抵抗を極力下げた構造に改造する必要があり、タイヤ試験機の大幅なコストアップとなってしまう。
【0011】
なお、タイヤや負荷ドラムを回転させるモータパワーを計測するパワー法や、回転するタイヤおよび負荷ドラムの減速時間を計測する惰行法であれば、上述したセンサの追加無しに転がり抵抗を計測することも可能であるが、タイヤや負荷ドラムの回転軸の回転抵抗の影響や、60rpmの低速回転で試験しなくてはならないことなどから、精度の良い転がり抵抗計測や全数検査への対応は難しいのが現状である。
【0012】
当然ながら、特許文献2は、このような問題に対して解決策を与えるものではない。
本発明は、上述の問題に鑑みてなされたものであり、製造タイヤに対して全数検査が可能なタイヤユニフォミティ試験機で、多くの追加ハードを必要とせずに短時間で転がり抵抗に異常のあるタイヤを選別することができるタイヤの転がり抵抗予測手法およびタイヤの転がり抵抗予測装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記課題を解決するため、本発明のタイヤの転がり抵抗予測手法は以下の技術的手段を講じている。
即ち、本発明のタイヤの転がり抵抗予測手法は、走行路面を模擬した負荷ドラムをタイヤのトレッド面に圧着させて、タイヤへ加わる負荷荷重を計測する荷重計測センサと、荷重方向に沿った負荷ドラムの位置を計測する変位センサとを備えた転がり抵抗予測装置を用いて転がり抵抗に異常のあるタイヤを選別するに際しては、前記負荷ドラムを前後方向に交互に移動させることにより、前記タイヤに作用する負荷荷重を変動させ、前記負荷ドラムの位置の変動と前記負荷荷重の変動との位相差を算出し、算出された位相差を元にして、前記転がり抵抗に異常があるタイヤを選別することを特徴とする。
【0014】
なお、好ましくは、前記負荷ドラムの位置の変動と、前記負荷ドラムの慣性力が除去された後の負荷荷重との位相差を算出するものとし、前記負荷ドラムの慣性力を、前記負荷ドラムの前後方向に沿った加速度と、前記負荷ドラムの質量との積から算出するとよい。
なお、好ましくは、前記転がり抵抗予測装置として、前記タイヤの周方向の均一性を評価するタイヤユニフォミティ試験機が用いられているとよい。
【0015】
なお、好ましくは、前記負荷ドラムを前後方向に交互に移動させる際に、前記タイヤの内部に空気を封じ込めるとよい。
なお、好ましくは、前記タイヤに作用する負荷荷重を変動させるに際しては、前記負荷ドラム及びタイヤを回転させた状態で行うとよい。
さらに好ましくは、本発明のタイヤの転がり抵抗予測手法は、前記タイヤに作用する負荷荷重を変動させつつ前記タイヤへ加わる負荷荷重を計測するに際しては、前記負荷ドラムの前後方向に沿った加振周期をTd、前記タイヤの回転周期をTtとした場合、前記負荷荷重を計測する計測時間をN×Tt(Nは2以上の整数)とすると共に、前記Tdを、Tt/Tdが整数とならず且つN×Tt/Tdが整数値となるように設定するとよい。
【0016】
なお、好ましくは、前記転がり抵抗が既知のタイヤを基準タイヤとし、前記基準タイヤに対する前記負荷ドラムの位置と負荷荷重とを、複数の温度条件に対してそれぞれ求めておき、求められた複数の温度条件における前記負荷ドラムの位置と前記負荷荷重とを利用して前記位相差に対する温度補正関数を作成し、作成した前記温度補正関数を利用して前記転がり抵抗に異常のあるタイヤを選別するとよい。
【0017】
また、本発明のタイヤの転がり抵抗予測装置は、上述した転がり抵抗予測手法を実現可能なタイヤ選別手段を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、製造タイヤに対して全数検査が可能なタイヤユニフォミティ試験機を用いて、多くの追加ハードを必要とせずに短時間で転がり抵抗に異常のあるタイヤを選別することができる。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明のタイヤの転がり抵抗予測手法、及びこの転がり抵抗予測手法が実施される転がり抵抗予測装置1の実施形態を、図面に基づき詳しく説明する。
図1、
図2は、本実施形態のタイヤの選別方法が実施される転がり抵抗予測装置1を模式的に示したものである。本実施形態の転がり抵抗予測装置1は、製品上がりのタイヤのタイヤユニフォミティ、つまりタイヤのラジアル方向に沿った力の変動であるRFVなどを計測することで、タイヤの周方向の均一性を製品検査として評価するタイヤユニフォミティ試験機となっている。しかし、本発明の転がり抵抗予測装置1は、後述する荷重計測センサ2や変位センサ3を備えたものであればタイヤユニフォミティ試験機以外のタイヤ用の試験機にも用いることができる。
【0021】
図1に示すように、本実施形態の転がり抵抗予測装置1(ユニフォミティ試験機)は、軸心が上下を向くように配備された円筒状の負荷ドラム4と、この負荷ドラム4の軸心から平行となる軸回りに回転自在となるように取り付けられたタイヤ軸5と、を有している。この転がり抵抗予測装置1では、走行路面を模擬した負荷ドラム4の外周面を、タイヤ
軸5に取り付けられたタイヤのトレッド面に圧着させる構成となっており、タイヤへ加わる負荷荷重を計測する荷重計測センサ2と、荷重方向に沿った負荷ドラム4の位置を計測する変位センサ3とを備えている。
【0022】
負荷ドラム4は上下方向に軸心を向けた円筒状の部材であり、この負荷ドラム4の外周面はタイヤ試験用の模擬路面6とされている。具体的には、負荷ドラム4は、上下方向の寸法が径方向の長さより短くなるような短尺広径の円筒状に形成されていて、その中心に負荷ドラム4を上下方向を向く軸回りに回転自在に支持する回転軸7が配備されている。また、この回転軸7の上端と下端とはフレーム部材8で支持されるものとなっている。フレーム部材8は、水平方向に張り出るように設けられており、上述した回転軸7を垂直に架け渡すように支持する構成となっている。
【0023】
この回転軸7とフレーム部材8との間には、負荷ドラム4をタイヤ軸5に取り付けられたタイヤのトレッド面に押し付けた際に、回転軸7に発生する荷重を計測可能な荷重計測センサ2が設けられている。具体的には、フレーム部材8(支持フレーム)は、この荷重計測センサ2を介して回転軸7を支持する構造となっており、負荷ドラム4をタイヤのトレッド面に圧着させた際には回転軸7の荷重計測センサ2にも荷重が伝わり、この荷重計測センサ2でタイヤへ加わる負荷荷重が計測される。
【0024】
上述したフレーム部材8の下側には、基礎に対して負荷ドラム4を水平方向に移動可能なドラム移動手段(図示略)が配備されている。このドラム移動手段は、負荷ドラム4を水平方向に沿って移動させることにより、基礎に固定されたタイヤ軸5に対して、負荷ドラム4を近接離反可能な構成とされている。また、このドラム移動手段には、タイヤに対する負荷ドラム4の位置(押付位置)を計測する変位センサが設けられている。
【0025】
上述した構成を備える転がり抵抗予測装置1でタイヤユニフォミティの試験を行う際には、所定の回転数で回転するタイヤ軸5のタイヤに負荷ドラム4を近接させ、荷重センサ2による平均荷重が所定の荷重となった際に、負荷ドラム4を停止し、タイヤへ加わる押付方向の荷重をタイヤ1回転に亘って荷重計測センサ2を用いて計測する。この荷重の計測は、タイヤを正転させた状態と逆転させた状態とのそれぞれで計測される。このようにすれば、タイヤへ加わる力がタイヤが1回転する間にどのように変動するかが計測でき、タイヤユニフォミティを評価することが可能となる。
【0026】
ところで、上述したタイヤユニフォミティの計測は、1本のタイヤ当たりに30秒程度の時間で行うことができるので、製造ラインで製造されるすべてのタイヤに対して全数検査で対応することが可能となる。
ここでタイヤの性質や性能を測定する測定項目の一つである「タイヤの転がり抵抗」を、上述したタイヤユニフォミティマシンの構成でも計測できれば、タイヤについてより多くの情報を得ることができる。ただ、タイヤユニフォミティマシンでは通常「タイヤの転がり抵抗」は計測できないし、タイヤの転がり抵抗を測定する転がり抵抗試験機であっても、JIS規格の手順に従えば計測に必要な時間が長くなってしまい、全数検査に対応することが厳しくなる。
【0027】
そこで、本発明の転がり抵抗予測装置1では、「タイヤの転がり抵抗」と相関があるような他の特性値を用いて転がり抵抗を予測し、タイヤユニフォミティマシンでも「タイヤの転がり抵抗」に異常があるタイヤを選別できるようにしている。
このタイヤの転がり抵抗と相関があるような他の特性値として、本発明の転がり抵抗予測装置1では、「タイヤゴムの減衰特性を表すtanδ」というパラメータを用いている。例えば、タイヤの転がり抵抗の要因としては、荷重で変形したタイヤゴムが回転により繰り返し歪むことによるエネルギーロス(ヒステリシスロス)による抵抗が大きく影響する。このヒステリシスロスは、tanδで評価できる。このtanδの「δ」は、タイヤゴムに周期的な外力を作用したときに発生する歪と応力の位相差に相当する。tanδの値が大きいほど、タイヤのたわみによるエネルギーロスが大きく、その結果として転がり抵抗も大きくなる。
【0028】
具体的には、この「tanδのδ(位相差)」は、上述した負荷ドラム4を前後方向に交互に移動(加振)させることにより計測される。つまり、負荷ドラム4を前後方向に交互
に移動させると、この負荷ドラム4の位置の変動よりやや進んでタイヤに作用する負荷荷重の変動が観察される。そのため、この負荷ドラム4の位置の変動と負荷荷重の変動とを比較し、両者の位相のズレを算出すれば、この位相のズレのtanが上述した「tanδ」に相当する。本実施形態の転がり抵抗予測装置1では、このようにして算出されたtanδの値が、予め定められた閾値を超えるかどうかで、「転がり抵抗」に異常があるタイヤを選別している。このようなタイヤの選別方法は、実際には転がり抵抗予測装置1に設けられたタイヤ選別手段9を用いて行われる。
【0029】
次に、本発明の転がり抵抗予測装置1に設けられるタイヤ選別手段9及びこのタイヤ選別手段9で行われるタイヤ選別方法について説明する。
図1及び
図2に示すように、タイヤ選別手段9は、負荷ドラム4やタイヤ軸5とは別に転がり抵抗予測装置1に設けられたパソコンなどのコンピュータで構成されている。このタイヤ選別手段9には、荷重計測センサ2で計測された負荷荷重、変位センサ3で計測された負荷ドラム4の位置が信号として入力されている。タイヤ選別手段9では、入力された負荷荷重や負荷ドラム4の位置の信号を、以下に示すような手順で処理することでタイヤを選別している。
【0030】
次に、タイヤ選別手段9で行われる信号処理の手順、言い換えれば本発明のタイヤ選別方法について説明する。
上述したタイヤ選別手段9で「転がり抵抗」に異常があるタイヤを選別する際には、まず負荷ドラム4を前後方向(タイヤに対して近接離反方向)に交互に移動させる必要がある。この負荷ドラム4の前後方向に沿った移動は、具体的には、荷重計測センサ2で計測される負荷荷重が所定の負荷荷重となるように負荷ドラム4をタイヤに押し付けた状態から、負荷ドラム4を反押付方向に後退させて負荷荷重を減らし、負荷ドラム4がタイヤから離れる前に負荷ドラム4を押付方向に転進させる。そして、荷重計測センサ2で計測される負荷荷重が所定の負荷荷重となるまで負荷ドラム4を前進させたら、再び負荷ドラム4を転進させて、負荷ドラム4を反押付方向に後退させる。このような負荷ドラム4の前進と後退とを繰り返し行い、負荷ドラム4を前後方向に交互に移動させる。
【0031】
この負荷ドラム4の前進位置と後退位置は、上述したタイヤユニフォミティの試験の際に求まる所定荷重における押し付け位置と同様に、タイヤ選別手段9に予め記憶しておくのが好ましい。例えば、負荷ドラム4を最も前進させた場合の負荷ドラム4の位置、負荷ドラム4を最も後退させた場合の負荷ドラム4の位置を予め記憶しておけば、これら2つの位置の間で負荷ドラム4を移動させる制御を行うことが可能となる。
【0032】
さらに、負荷ドラム4の前進と後退とを切り替えるタイミングは、本実施形態では、2〜5Hzの周波数とされている。しかし、前進と後退とを切り替える周波数は、タイヤの種別や転がり抵抗係数などにより変化するため、試験用のタイヤに合致した(試験用のタイヤと相関の高い)運転条件を予め予備実験により求めておくことが好ましい。
上述した負荷ドラム4の前進と後退との繰り返しは1秒〜2秒程度の時間に亘って行われ、荷重計測センサ2で計測された負荷ドラム4の位置と変位センサ3で計測された負荷荷重とがタイヤ選別手段9に出力される。
【0033】
なお、上述した負荷ドラム4の前後方向に沿った移動は、試験用のタイヤに対して正転方向及び逆転方向のタイヤユニフォミティ試験を行う前に実施しても良いが、好ましくはタイヤユニフォミティ試験後に実施されるのが好ましい。正転方向及び逆転方向のタイヤユニフォミティ試験を行った後は、タイヤゴムの特性が安定しているため、どのタイヤに対しても同じ条件で試験を行うことが可能となり、タイヤの選別精度を高めることが可能となるからである。
【0034】
具体的には、負荷ドラム4を前後方向に交互に移動させ、タイヤに作用する負荷荷重を大小に変動させる。そして、負荷ドラム4の位置の変動を上述した変位センサ3で計測すると共に、負荷荷重の変動を荷重計測センサ2で計測する。
このようにして計測された負荷ドラム4の位置の経時的な変動を「ドラム変位」としてプロットすると共に、負荷荷重の変動を「負荷荷重」として同グラフ上にプロットすると、
図3に示すような変化曲線が得られる。
【0035】
図3に示すように、タイヤに加えられた押付方向の「ドラム変位」の変化曲線に対して、「負荷荷重」の変化曲線は、タイヤゴムの減衰特性により位相差δだけ進んで記録される。そこで、上述したタイヤ選別手段9では、「ドラム変位」の変化曲線と、「負荷荷重」の変化曲線との水平方向に沿った位相差δを算出する。
このようにして算出された位相差δを元にして「tanδ」を算出し、算出された「tanδ」が予め定めた閾値を超えるかどうかで転がり抵抗に異常があるタイヤを選別する。具体的には、最初に性状や特性に異常がない基準タイヤに対して位相差δを計測する。次に、試験用のタイヤの位相差δを計測する。基準タイヤの位相差δの値に比して、許容範囲以上の差がある場合、言い換えれば位相差δが所定の閾値を超える場合には、タイヤの転がり抵抗が規格値より大きくなっていると判断できる。そのため、タイヤ選別手段9では、位相差δが所定の閾値を超える場合には、試験されたタイヤが転がり抵抗に異常のあるタイヤであると判別し、必要に応じて該当するタイヤを排除する。
【0036】
また、算出された「tanδ」が予め定めた閾値以下(言い換えれば、tanδが基準タイヤの位相差δの値に比して所定範囲内の値)である場合には、試験されたタイヤが転がり抵抗の正常なタイヤであると判別し、製品規格を満足するタイヤとして扱うことになる。
上述した転がり抵抗予測装置1及びタイヤの選別方法を用いれば、タイヤの転がり抵抗に相関が高い「tanδ」を求めることができ、求められた「tanδ」に基づいてタイヤの転がり抵抗の異常を簡単に判別することが可能となる。その結果、転がり抵抗に異常があるタイヤを、短時間で精度良く選別することが可能となり、多数製造される製品タイヤに対して転がり抵抗をタイヤユニフォミティ同様に全数検査することが可能となる。また、タイヤユニフォミティ試験機で、転がり抵抗の異常を判別することが可能となり、不良なタイヤを確実に排除することが可能となる。
【0037】
ところで、本発明のタイヤの選別方法は上述した方法でも実施することができるが、「tanδ」をより精度良く求めるためには、次の(1)〜(4)に示すような操作を合わせて行うことが望ましい。
(1)「荷重計測センサ2で計測される負荷荷重であって負荷ドラム4の慣性力が除去された後の負荷荷重と、負荷ドラム4の位置の変動とから上述した位相差を算出する。」
質量があり慣性モーメントが大きな負荷ドラム4を移動させる場合、負荷ドラム4には大きな慣性力が発生する。上述したように負荷ドラム4の回転軸7に荷重計測センサ2が設けられている場合は、このように負荷ドラム4に発生した慣性力は荷重計測センサ2で計測される負荷荷重の計測値にも含まれてしまう。例えば、慣性力はタイヤ自体の反力と足し合わせた値として荷重計測センサ2で計測される。この慣性力は、
図3に示すように負荷ドラム4の加速度に比例し、負荷ドラム4の位置の変動とは同位相で逆向きに作用する。そのため、慣性力は計測値から算出される位相差を減らす方向に作用し、タイヤの選別に必要な位相差の精度に低下させてしまう。
【0038】
そこで、本発明のタイヤの選別方法では、負荷ドラム4の前後方向に沿った加速度と、負荷ドラム4の質量との積から、負荷ドラム4の慣性力を求めている。この負荷ドラム4の前後方向に沿った加速度は、変位センサ3で計測される負荷ドラム4の位置を2回微分を行うことで得ることができる。このようにして負荷ドラム4の慣性力が計算されたら、計算された負荷ドラム4の慣性力を、荷重計測センサ2で計測される負荷荷重から差し引き、慣性力の影響を排除した負荷荷重(正確な負荷荷重)を算出する。
【0039】
このようにして算出された負荷荷重の変動と、負荷ドラム4の位置の変動と、を用いれば、上述した位相差(すなわち、tanδ)をより正確に算出することが可能となる。
なお、上述した基準タイヤを用いた計測の場合は、基準タイヤとの相対比較により判定が行われる。その為、試験用のタイヤに対しても基準タイヤと同一の条件で計測が行われる限り、慣性力がタイヤの評価結果に影響を及ぼすことはない。
(2)「計測タイヤの内部に空気を封じ込めた状態で、負荷ドラム4を前後方向に交互に移動させて、上述した位相差を算出する」
すなわち、タイヤ内に空気を入れた状態で試験を行うタイヤユニフォミティ試験においては、タイヤ内の空気圧を一定に保つような圧力制御手段が採用されるのが一般的である
。この圧力制御手段は、路面などに押し付けられてタイヤ内の空気圧や容積が急激に変化した際に、タイヤ内の空気圧を一定に保つように、タイヤ内に迅速に空気を供給したり、タイヤ内から空気を排気したりできるようになっている。
【0040】
そのため、負荷ドラム4の前後方向に沿って移動させて、荷重計測センサ2で計測される負荷荷重を変動させると、タイヤ内の空気圧を一定に保つために負荷ドラム4の変位に伴うタイヤの変形量の分だけ、空気がタイヤ内に出入りする。このような圧力制御手段による空気の出入りはタイヤの反力に影響し、かつエネルギロスを引き起こして計測荷重の位相を変化させる。つまり、圧力制御手段による空気圧の調整はtanδの計測精度を低下させる方向に作用する。
【0041】
そこで、本発明のタイヤの選別方法では、負荷ドラム4を前後方向に交互に移動させる際には、上述した圧力制御手段による圧力制御を行わない封じ込め状態とし、タイヤの内部に空気を封じ込めるようにしている。具体的には、負荷ドラム4の前後方向に沿って移動させる際には、上述した圧力制御手段を構成する圧力制御弁と、タイヤとの間の空気配管に、空気の流通を遮断可能な切り替え弁を予め設けておく。
【0042】
このようにすれば、負荷ドラム4を前後方向に交互に移動させる際には、切替弁を空気の流通を規制する側に切り替え、また位相差の計測が終了したら切替弁を空気の流通を許容する側に切り替えることができる。その結果、荷重計測センサ2での負荷荷重の計測精度に、圧力制御手段から悪影響が及ぶことを抑制することが可能となる。また、タイヤ内に空気を封じ込めて計測を行えば、空気の出入りが無くなるために、空気の圧縮・膨張に伴う減衰の影響が小さくなり、ほぼ純粋にタイヤの変形によるエネルギロス(tanδ)のみを算出することができる。
【0043】
なお、上述した基準タイヤを用いた計測の場合は、基準タイヤとの相対比較により判定が行われる。その為、試験用のタイヤに対しても基準タイヤと同一の条件で計測が行われる限り、空気の圧縮・膨張がタイヤの評価結果に影響を及ぼすことはない。
(3)「負荷ドラム4を前進及び後退させる際(tanδの計測の際)には、タイヤ及び負荷ドラム4を回転させた状態で行う。」
すなわち、回転していないタイヤに負荷ドラム4を押し付ける場合、タイヤの一箇所のみに負荷ドラム4が接触し、タイヤトレッドの一部だけが複数回に亘って変形することになる。このようにタイヤゴムの一箇所だけに変形が連続して発生すると、タイヤゴムにフラットスポット(部分的なタイヤ形状の変化)が発生し、タイヤゴムの正確な減衰特性が得られなくなる。
【0044】
そのため、本発明の転がり抵抗予測装置1では、タイヤ及び負荷ドラム4を回転させた状態で、負荷ドラム4を前進及び後退させ、タイヤトレッドの一箇所だけが連続して変形することを防止して、タイヤゴムの減衰特性を正確に評価できるようにしている。このようにすれば、タイヤゴムの正確な減衰特性が得られるのみならず、タイヤの周方向全体に亘る平均的なtanδの算出も可能となる。
(4)「転がり抵抗が既知のタイヤを基準タイヤとし、複数の温度条件に対して、基準タイヤのtanδをそれぞれ求め、求められたtanδを基に位相差(tanδ)に対する温度補正関数を作成し、作成した温度補正関数を利用して転がり抵抗に異常のあるタイヤを選別する。」
タイヤユニフォミティの試験では測定環境の温度はあまり管理されておらず、季節および時間によって、計測時の温度は大きく変化する。基準温度との相対温度差から転がり抵抗係数を補正する式がJISで規定されているが、あらかじめタイヤ種類毎に複数の温度条件での計測を行っておき、その結果との相対比較により、tanδを補正する必要がある。
【0045】
具体的には、予め性質や性能が規格内にある基準タイヤで、事前に測定環境の温度が位相差の計測結果に及ぼす影響を把握しておき、tanδの値を補正する補正式(温度補正関数)を作成しておく。例えば、転がり抵抗予測装置1の測定環境の温度を変えて、広い温度範囲で基準タイヤのtanδの値を事前に計測しておく。このtanδの事前計測は、季節、日時などを変えた条件においても行われるのが好ましい。また、温度の影響のデータを採取することが困難な場合は、式(1)に示すようなJISに規定される「転がり抵抗計測の
補正式」を用いるのが好ましい。
【0046】
このJISの補正式では、測定環境の温度が標準計測温度である25度の場合を基準として、以下の式を用いて転がり抵抗の値を補正する。なお、JISの補正式は転がり抵抗に関するものであるため、転がり抵抗とtanδは比例の関係のあると仮定し、式中の転がり抵抗Fをtanδに置き換えても式が成立すると考えて、式中の転がり抵抗Fをtanδに置き換えた補正式を用いて補正を行うと良い。
【0048】
なお、上述した
図3の例では、負荷ドラム4を前後方向に沿って移動させる際は、移動方向が反転する時の加速度の発生を減らせるように負荷ドラム4の位置が正弦波に沿って移動するように負荷ドラム4を移動させていたが、負荷ドラム4が常に一定の速度で前進及び後退を繰り返すように、負荷ドラム4の位置を三角波に沿って移動させる構成としても良い。
【0049】
また、上述した「tanδ」の算出は、フーリエ変換を用いた周波数分析によっても実施することが可能である。例えば、荷重/変位の伝達関数の計算を行い、加振周波数における位相の値からδを算出することが可能である。
ところで、タイヤユニフォミティ試験機でタイヤユニフォミティを計測する際には、タイヤの内圧を200kPa程度に保持して計測が行われる。しかし、上述したタイヤゴムの減衰特性(tanδ)の計測精度を向上させる為には、タイヤ内圧をタイヤユニフォミティ試験時よりも下げて、例えばタイヤの内圧を200kPaから100kPaまで下げた状態で計測を行うのが好ましい。このようにタイヤの内圧を下げて計測を行うのは、次のような理由からである。
【0050】
つまり、転がり抵抗に起因するタイヤの減衰はゴムの粘弾性特性(粘弾性係数)は、弾性特性を表すバネ定数kと粘性特性を表すtanδを用いて一般に式(2)で表される。
【0052】
ここで、内部に空気が入っているタイヤの粘弾性特性を考える。まず、タイヤが、ゴムの剛性だけでは荷重をささえられず、内部の空気圧によりゴムに張力を発生させて、みかけ上の剛性(幾何剛性)により荷重を支えるものとする。この場合、タイヤの粘弾性特性は、
図4に図示するモデルのように、タイヤ内の空気の幾何剛性と、タイヤを構成するゴムの剛性とで構成されており、これらを並列結合したものと考えることができる。空気圧により発生する幾何剛性はバネ定数k
aを用いて示すことができ、タイヤを構成するゴムの粘弾性特性は、バネ定数k
gとタイヤゴムの損失係数tanδ
gとを用いて示すことがで
きる。
【0053】
空気の幾何剛性は、みかけ上の剛性のために減衰は存在しない。さらに、この空気の幾何剛性は、タイヤ内部の空気圧により生じるゴムの張力に比例したものとなる。このように考えて、タイヤ全体の粘弾性特性(粘弾性係数)を示すと、式(3)のように表すことができる。
【0055】
式(3)によれば、タイヤ全体の損失係数(tanδ
t)は、式(4)のように示すことができる。
【0057】
つまり、上述した式(4)から明らかなように、タイヤ内部の空気圧が小さくなれば、空気圧により発生する幾何剛性のバネ定数k
aも小さくなり、計測により求められるタイヤの損失係数tanδ
tが大きくなる。言い換えれば、δ
tは計測対象の荷重と変位の位相差に相当するものであるので、タイヤ内部の空気圧が小さくなれば、δ
tの値(絶対値)も大きくなる。
【0058】
それゆえ、タイヤ内部の空気圧が小さくする、言い換えれば、タイヤユニフォミティ計測時に一般に用いられるタイヤ内圧200kPaを100kPa程度まで減圧しつつ、タイヤを回転させながら負荷ドラム4を前後させてタイヤの減衰特性(タイヤの損失係数tanδ
t)の計測を行えば、タイヤゴムの損失係数tanδ
gを精度良く計測することが可能となるのである。
【0059】
ところで、上述した負荷ドラム4を荷重が作用している範囲でタイヤに前後方向に沿って押し付ける際には、負荷ドラム4の押し付け周期(負荷ドラム4の加振周期)と、タイヤの回転周期との関係を、所定の関係に規定しておくのが好ましい。
例えば、負荷ドラム4を前後に押し付け運動させる場合の加振周波数を、タイヤ回転周波数の整数倍とすると、
図5Aに示すように負荷ドラム4の前後運動によって形成されるタイヤの凹凸の変形状態が、タイヤの周方向における特定位置に固定される。
【0060】
つまり、タイヤのゴム特性は周方向で必ずしも均一でないために(TUM計測を行う理由)、例えば同じタイヤに対して減衰特性を2回計測した際に、タイヤに対する負荷ドラム4の特定位置における押し付け時の位相が1回目と2回目とで異なり、1回目と2回目のタイヤの減衰特性(変位と荷重の位相差)が同じタイヤでも異なる結果となる場合があることを、本発明者は実験により確認している。このようにタイヤの凹凸の変形状態が特定位置に固定されると、タイヤを何回転させてもこの変形軌跡は変わらないために、計測時間を長く取っても精度は改善されない。
【0061】
ところが、負荷ドラムの前後方向に沿った加振周期をTd、前記タイヤの回転周期をTtとした場合、負荷荷重を計測する計測時間をN×Tt(Ttはタイヤの回転周期、Nは2以上の整数)とすると共に、負荷ドラム4の前後方向に沿った加振周期Tdを、Tt/Tdが整数とならず且つN×Tt/Tdが整数値となるような関係が成立する条件とすれば、転がり抵抗に関係するタイヤ周方向での平均的な減衰を計測することができる。
【0062】
なお、「N×Tt/Tdが整数値」における「整数値」とは、数学的な意味の「整数」を含むと共に、整数に極めて近いような小数も含んでいる。例えば、「2.04」や「1.98」といった小数であっても、小数点2位を四捨五入した場合に、小数点以下が0となる値も上述した「整数値」に含まれるものとする。
つまり、上述したような計測条件:「負荷ドラム4の前後方向に沿った加振周期Tdを、Tt/Tdが整数とならない」条件を満足する場合には、
図5Bや
図5Cに示すように、タイヤ回転の度に負荷ドラム4による押しつけ位置の位相が変化する。つまり、負荷ド
ラム4による押しつけ位置が、1周目と2周目とではタイヤの周方向で異なるようになり、周方向の同じ位置に、負荷ドラム4の押しつけに伴うタイヤ表面の凹凸が形成されることがなくなるので、減衰特性の計測精度を高めることが可能となる。
【0063】
また、「Tt/TdのN倍が整数値となる」条件を満足する場合には、タイヤはN周回転すると、元の状態に戻る。例えば、
図5Bの場合であればNは2であるので、タイヤは2周すると元の押付位置に戻り、負荷ドラム4によりタイヤ外周上の同じ位置が押しつけられるようになる。また、
図5Cの場合であればNは3であるので、タイヤは3周すると元の押付位置に戻り、負荷ドラム4によりタイヤ外周上の同じ位置が押しつけられるようになる。
【0064】
このようにすればタイヤの全周を細かく均等に分割した位置に負荷ドラム4を押しつけることが可能となり、負荷ドラム4の押しつけ位置がタイヤの外周にムラなく均等に配備されることになるので、タイヤの減衰特性の計測精度が大きく向上する。
なお、今回開示された実施形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。特に、今回開示された実施形態において、明示的に開示されていない事項、例えば、運転条件や操業条件、各種パラメータ、構成物の寸法、重量、体積などは、当業者が通常実施する範囲を逸脱するものではなく、通常の当業者であれば、容易に想定することが可能な値を採用している。