(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6412570
(24)【登録日】2018年10月5日
(45)【発行日】2018年10月24日
(54)【発明の名称】アルカンおよび発煙硫酸からアルカンスルホン酸を製造するための新規な開始剤
(51)【国際特許分類】
C07C 409/44 20060101AFI20181015BHJP
C07C 407/00 20060101ALI20181015BHJP
C07C 309/04 20060101ALI20181015BHJP
C07C 303/06 20060101ALI20181015BHJP
【FI】
C07C409/44CSP
C07C407/00
C07C309/04
C07C303/06
【請求項の数】10
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2016-528892(P2016-528892)
(86)(22)【出願日】2014年11月17日
(65)【公表番号】特表2016-540743(P2016-540743A)
(43)【公表日】2016年12月28日
(86)【国際出願番号】EP2014074747
(87)【国際公開番号】WO2015071455
(87)【国際公開日】20150521
【審査請求日】2017年8月30日
(31)【優先権主張番号】13193349.1
(32)【優先日】2013年11月18日
(33)【優先権主張国】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】516132035
【氏名又は名称】グリロ‐ヴェルケ アーゲー
(74)【代理人】
【識別番号】100079049
【弁理士】
【氏名又は名称】中島 淳
(74)【代理人】
【識別番号】100084995
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 和詳
(72)【発明者】
【氏名】オット、 ティモ
(72)【発明者】
【氏名】ビーアタンペル、 インゴ
【審査官】
伊佐地 公美
(56)【参考文献】
【文献】
国際公開第2007/136425(WO,A2)
【文献】
米国特許出願公開第2005/0070614(US,A1)
【文献】
米国特許第02493038(US,A)
【文献】
米国特許第05304360(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07C
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I)の化合物。
【化1】
式中、ALKは、
メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、イソプロピル基、またはイソブチル基であり、Xは水素、亜鉛、アルミニウム、アルカリ金属、またはアルカリ土類金属である。
【請求項2】
硫酸、もしくはアルキルスルホン酸、またはこれらの組み合わせ中にある、請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
Xが水素である請求項1に記載の化合物を製造するための方法であって、
アルカンスルホン酸を、過酸化水素と反応させるステップ;
次に、発煙硫酸を添加するステップ;
続いて、前記化合物を単離するステップ
を含む、方法。
【請求項4】
Xが亜鉛、アルミニウム、アルカリ金属、またはアルカリ土類金属である請求項1に記載の化合物を製造するための方法であって、
モノアルカリペルオキソ硫酸塩、ペルオキソ硫酸亜鉛、ペルオキソ硫酸アルミニウム、またはアルカリ土類ペルオキソ硫酸塩を、アルカンスルホン酸ハロゲン化物と反応させるステップ、及び形成されたアルカリハロゲン化物またはアルカリ土類ハロゲン化物から請求項1に記載の化合物を分離するステップ、または
アルカリモノ‐アルキルペルオキソスルホン酸塩、亜鉛モノ‐アルキルペルオキソスルホン酸塩、アルミニウムモノ‐アルキルペルオキソスルホン酸塩、またはアルカリ土類モノ‐アルキルペルオキソスルホン酸塩を、クロロスルホン酸またはブロモスルホン酸と反応させるステップ、及び形成されたアルカリハロゲン化物またはアルカリ土類ハロゲン化物から請求項1に記載の化合物を分離するステップ
を含む、方法。
【請求項5】
前記単離または分離が、析出またはクロマトグラフィによって行われる、請求項3または請求項4に記載の方法。
【請求項6】
請求項1に記載の化合物、並びに
式
III、IV、V、VI、VII、VIII、IX、X、及びXI、並びにこれらの組み合わせからなる群から選択される少なくとも1つの化合物
を含有する混合物。
【化2】
【請求項7】
硫酸、もしくはアルキルスルホン酸、またはこれらの組み合わせ中にある、請求項6に記載の混合物。
【請求項8】
アルカンスルホン酸を、アルカン、及び発煙硫酸から製造するための開始剤としての、請求項1に記載の化合物、または請求項6もしくは請求項7に記載の混合物の使用。
【請求項9】
三酸化硫黄または発煙硫酸を含有する溶液を提供するステップ;
高圧オートクレーブ反応器または実験用反応器中で、アルカンと反応させるステップ;
圧力を、1バール〜150バールに設定するステップ;
アルカンスルホン酸、またはアルカンスルホン酸を含有する溶液を、30%〜100%(重量/重量)の過酸化水素溶液と反応させることにより、開始剤としての請求項1に記載の化合物または請求項6もしくは請求項7に記載の混合物を調製するステップ;
前記反応器に、前記開始剤または前記開始剤の溶液を添加するステップ;
前記反応混合物の温度を、0℃〜100℃に制御するステップ;
反応生成物を精製するステップ
を含むアルカンスルホン酸を製造するための方法。
【請求項10】
請求項9に記載の方法を実行するための装置における、請求項1に記載の化合物、または請求項6もしくは請求項7に記載の混合物の使用であって、
前記装置が、
アルカン及び三酸化硫黄が、開始剤としての請求項1に記載の化合物と反応する第一の反応器(1)、
請求項1に記載の化合物が形成される第二の反応器(2)、
前記第一の反応器(1)で形成された生成物を蒸留するための蒸留手段(3)、及び
充填手段(4)を含み、
反応器(2)から反応器(1)への接続、反応器(1)から前記蒸留手段(3)への接続、ならびに前記蒸留手段(3)から前記充填手段(4)、前記第二の反応器(2)、及び前記第一の反応器(1)の各々への接続がなされている、使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アルカン、特にメタン、および発煙硫酸からアルカンスルホン酸、特にメタンスルホン酸を製造するための開始剤として用いることができる化合物;本発明に係る化合物の製造方法、および本発明に係る化合物を開始剤として用いた、アルカンスルホン酸、特にメタンスルホン酸の製造方法;ならびにアルカンスルホン酸、特にメタンスルホン酸の製造方法を実行するための装置における本発明に係る化合物の使用に関する。
【背景技術】
【0002】
アルカンスルホン酸は、硫酸などの無機鉱酸と同等の酸強度に達し得る有機酸である。しかし、硫酸および硝酸などの通常の鉱酸とは対照的に、スルホン酸は、非酸化性であり、塩酸および硝酸で観察され得るような健康に対して有害である蒸気を発生させない。さらに、メタンスルホン酸などの多くのスルホン酸は、生分解性である。スルホン酸の用途は多く、例えば、洗浄剤において、界面活性剤において、触媒として、および例えば保護基として有機合成方法、医薬品化学における用途である。スルホン酸の塩は、例えば、ドデシルスルホン酸ナトリウムなどの界面活性剤として、または電気メッキ産業において、特に、スズ、亜鉛、銀、鉛、およびインジウムのアルキルスルホン酸塩だけではなく、その他の金属のアルキルスルホン酸塩としても用いられる。特に、アルキルスルホン酸塩の非常に高い溶解性が、重要な役割を果たしている。さらに、電気分解において有毒なガスは形成されず、多くの場合において一般的であるシアニドなどの毒性化合物の使用が不要である。
【0003】
構造が最も単純である代表的なアルカンスルホン酸は、メタンスルホン酸である。米国特許第2,493,038号には、SO
3およびメタンからのメタンスルホン酸の製造について記載されている。米国特許出願第2005/0070614号には、メタンスルホン酸を製造するための他の方法およびその用途について記載されている。従来知られている方法は、部分的に複雑であり、コストがかかり、苛酷な条件のために望ましくない生成物をもたらす。
【0004】
アルカンスルホン酸の従来の製造方法における反応条件は、望ましくない副生物をもたらす結果となる場合があり、それらは、アルカンスルホン酸の製造において妨害する阻害物質となっている。このことは、アルカンスルホン酸の調製のための実際の反応の停止の原因になるだけではなく、三酸化硫黄およびメタンに基づいた、不純物、副生物の形成、および低い収率の原因にもなり得る。
【0005】
国際公開第2007/136425(A2)号には、三酸化硫黄およびメタンからメタンスルホン酸が形成される反応における開始剤として、化合物であるジ(メタンスルホニル)ペルオキシド(DMSP)の使用が開示されているが、この化合物は、複雑な電気分解で調製される必要がある上、結晶性の高爆発性固体である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、アルカン、特にメタン、および三酸化硫黄または発煙硫酸からのアルカンスルホン酸の製造に用いることができ、反応制御の改善が可能である化合物を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の目的は、式Iの化合物によって達成される。
【0008】
【化1】
【0009】
式中、ALKは、アルキル基、特に、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、イソプロピル基、イソブチル基、または高級アルキル基であり、X=水素、亜鉛、アルミニウム、アルカリ金属、またはアルカリ土類金属である。
【0010】
特に、本発明に係る化合物は、式II〜XI、すなわち、II、III、IV、V、VI、VII、VIII、IX、X、もしくはXI、またはこれらの組み合わせからなる群から選択される少なくとも1つの化合物をさらに含む本発明の混合物中に存在する。
【0011】
【化2】
【0012】
別の実施形態では、本発明の化合物または本発明の混合物は、硫酸、またはアルカンスルホン酸中、特にメタンスルホン酸中に存在する。
【0013】
例えば、X=Hである本発明に係る化合物は、
・アルカンスルホン酸、特にメタンスルホン酸を、過酸化水素と反応させるステップ;
・次に、発煙硫酸を添加するステップ;
・続いて、化合物を単離するステップ
を含む方法によって製造することができる。
【0014】
特に、単離は、抽出、クロマトグラフィ、析出、再結晶、凍結乾燥、または穏和条件下での類似の方法によって行われてもよい。
【0015】
本発明に係る方法の特定の実施形態では、単離は、析出またはクロマトグラフィによって行われてもよい。この場合には、不活性支持材料、および硫酸またはスルホン酸などの不活性溶媒が用いられる。有機溶媒の使用も可能である。
【0016】
不活性支持材料は、特に、実際の反応パートナーである成分に対して、例えば本発明の化合物の収率を低下させることによる、負の干渉を及ぼすことのない材料である。さらに、不活性支持材料は、化学化合物を、その機能性または構造を不可逆的な形で破壊することなく、化学吸着もしくは物理吸着、またはその両方を行うことができる。例としては、例えば、二酸化ケイ素、酸化アルミニウム、酸化ジルコニウムなどをベースとする材料が挙げられる。
【0017】
モノアルカリペルオキソ硫酸塩またはアルカリ土類ペルオキソ硫酸塩を、アルカンスルホン酸ハロゲン化物、特にメタンスルホン酸ハロゲン化物と反応させ、本発明に係る化合物を、形成されたアルカリハロゲン化物またはアルカリ土類ハロゲン化物から分離することができる。形成されたアルカリハロゲン化物またはアルカリ土類ハロゲン化物を抽出または析出によって除去して、純粋なペルオキソ硫酸塩を得ることができる。
【0018】
ペルオキソ硫酸塩生成物(X=H)を調製するための別の方法は、モノアルキルペルオキソ硫酸塩を、クロロスルホン酸またはブロモスルホン酸と反応させる方法である。形成されたアルカリハロゲン化物またはアルカリ土類ハロゲン化物を抽出または析出によって除去して、純粋なペルオキソ硫酸塩を得ることができる。
【0019】
X=アルミニウム、亜鉛、アルカリ金属、またはアルカリ土類金属である場合、対応する化合物は、対応するアルミニウム、亜鉛、アルカリ金属、またはアルカリ土類金属のアルカリ性塩基を添加することによって得ることができる。
【0020】
本発明はまた、アルカンスルホン酸、特にメタンスルホン酸を、メタンおよび発煙硫酸から製造するための化学反応における開始剤としての、本発明に係る化合物または本発明に係る混合物の使用にも関する。
【0021】
本発明はまた、以下で述べるステップを含む、アルカンスルホン酸、特にメタンスルホン酸を製造するための方法にも関する。
【0022】
三酸化硫黄または発煙硫酸を含有する溶液を、反応器中でアルカンと反応させる。低沸点のアルカンの場合、高圧反応器の使用が必要である。ペンタンおよび高級アルカンの場合、一般的な実験用反応器で充分である。気体状アルカン、例えばメタンの場合、1バール〜150バールの気体圧力に設定する。この溶液に、開始剤を添加する。開始剤は、アルカンスルホン酸、またはそのようなアルカンスルホン酸の溶媒中溶液を、過酸化水素と反応させ、所望により単離することによって調製される。過酸化水素の濃度は、20%〜100%(重量/重量)であってもよい。続いて、反応を、0℃〜100℃で完了させる。粗生成物を、抽出、結晶化、蒸留、またはクロマトグラフィによって処理してもよい。
【0023】
本発明は、さらに、本発明に係る方法を実行するための装置における本発明の化合物の使用にも関し、この装置は、アルカン、特にメタン、および三酸化硫黄が、開始剤としての本発明に係る化合物と反応する第一の反応器1、本発明に係る化合物が形成される第二の反応器2、第一の反応器1で形成された生成物を蒸留するための蒸留手段3、ならびに充填手段4を含み、反応器2から反応器1への接続、反応器1から蒸留手段3への接続、ならびに蒸留手段3から充填手段4、第二の反応器2、および第一の反応器1の各々への接続がなされている。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【
図1】本発明に係るメタンスルホン酸の製造のための本発明に係る単純なシステムを、例示的な形で概略的に示す図である。
【
図2】好ましい装置の概略的レイアウトを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
本発明に係る方法により、発煙硫酸をアルカン、特にメタンと共に用いる反応器系において、開始剤として本発明に係る化合物を添加して、アルカンスルホン化、特にメタンスルホン化が可能となる。有利には、粗生成物は、蒸留によって精製することができ、それにより、蒸留物として、比較的純粋なアルカンスルホン酸、特にメタンスルホン酸が予め得られる。
【0026】
残渣は、アルカンスルホン酸、特にメタンスルホン酸(MSA)の含有量が最大10%である硫酸からなる。これらの蒸留残留物は、1)反応器中での連続反応のための溶媒として用いられてよく;2)純粋三酸化硫黄を用いた「新しい」発煙硫酸の調製のために用いられてよく;3)過酸化水素(30%〜100%(重量/重量)水溶液)を反応させることによって、本発明に係る化合物を製造することができ、これを開始剤またはその前駆体として用いてもよい。
【0028】
本発明に係る化合物は、発煙硫酸と反応して、混合酸過酸化物を形成することができる。これにより、本発明に係る化合物である開始剤が得られる。
【0030】
この混合ペルオキソ酸無水物は、例えば、従来技術から知られており、反応時間を長くさせるDMSP(ジメチルスルホニルペルオキシド、H
3CSO
2−O−O−SO
2CH
3)と比較して、高い反応性を特徴とする。しかし、同時に、副生物の形成という観点からのDMSPの選択性も得られる。対照的に、ペルオキソ二硫酸(マーシャル酸)は、非常に反応性であり、ほとんど選択的ではない。本発明に係る化合物は、DMSPの選択性とマーシャル酸の反応性を兼ね備える。
【実施例】
【0031】
以下では、メタンスルホン酸の調製を例として用いて、本発明をさらに例示的に説明する。
【0032】
実施例1:
開始剤溶液の調製
90mlの100%硫酸および10mlのメタンスルホン酸からなる混合物に、外部から冷却し、強く撹拌しながら、3.4mlの70%(重量/重量)過酸化水素を滴下する。
【0033】
合成プロトコル:
3.75Lのオートクレーブに、1000gの36%(重量/重量)発煙硫酸を投入し、温度を50℃に制御する。メタンガスの圧力を100バールに設定した後、Parr社製のスターラーを用いて強く撹拌する。ここで、開始剤溶液を、この溶液に計量滴下する。5時間以内に、圧力は35バールまで低下する。収率は、三酸化硫黄を基準にして、90%超である。反応生成物は、42%(重量/重量)のメタンスルホン酸を含有する。
【0034】
実施例2:
開始剤溶液の調製
90mlの100%硫酸および10mlのメタンスルホン酸からなる混合物に、外部から冷却し、強く撹拌しながら、3.4mlの70%(重量/重量)過酸化水素を滴下する。
【0035】
合成プロトコル:
3.75Lのオートクレーブに、1000gの36%(重量/重量)発煙硫酸を投入し、温度を35℃に制御する。メタンガスの圧力を100バールに設定した後、Parr社製のスターラーを用いて強く撹拌する。ここで、開始剤溶液を、この溶液に計量滴下する。5日間以内に、圧力は35バールまで低下する。収率は、三酸化硫黄を基準として、90%超である。反応生成物は、42%のメタンスルホン酸を含有する。
【0036】
モノメチルスルホニルペルオキシドの特性決定:
種々の分析技術を用いて、モノメチルスルホニルペルオキシドを特性決定した。質量分析を用いて、M=191.94g/モルとして分子量を特定した。
1H‐NMR(D
2SO
4)は、3.43ppmにメチル基のシグナルを示す。ペルオキシド含有量を測定するための適切な方法は、滴定である(Jander, Jahr, Maβanalyse: Theorie und Praxis der Titrationen mit chemischen undphysikalischen Indikationen, 17. Auflage, Walter de Gruyter GmbH 2009, Berlin)。
本発明の態様は以下を含む。
付記1
式(I)の化合物。
【化5】
式中、ALKは、分岐鎖状または非分岐鎖状アルキル基、特に、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、イソプロピル基、イソブチル基、または高級アルキル基であり、X=水素、亜鉛、アルミニウム、アルカリ金属、またはアルカリ土類金属である。
付記2
付記1に記載の化合物、および
式(II)〜(XI)およびこれらの組み合わせからなる群から選択される少なくとも1つの化合物
を含有する混合物。
付記3
硫酸、もしくはアルキルスルホン酸、特にメタンスルホン酸、またはこれらの組み合わせ中にある、付記1に記載の化合物、または付記2に記載の混合物。
付記4
X=Hである付記1に記載の化合物を製造するための方法であって、
アルカンスルホン酸、特にメタンスルホン酸を、過酸化水素と反応させるステップ;
次に、発煙硫酸を添加するステップ;
続いて、前記化合物を単離するステップ
を含む、方法。
付記5
X=H、亜鉛、アルミニウム、アルカリ金属、またはアルカリ土類金属である付記1に記載の化合物を製造するための方法であって、
モノアルカリペルオキソ硫酸塩、またはペルオキソ硫酸亜鉛、またはペルオキソ硫酸アルミニウム、またはアルカリ土類ペルオキソ硫酸塩を、アルカンスルホン酸ハロゲン化物、特にメタンスルホン酸ハロゲン化物と反応させて、付記1に記載の化合物を、形成されたアルカリハロゲン化物またはアルカリ土類ハロゲン化物から分離するステップ、または
アルカリモノ‐アルキルペルオキソスルホン酸塩、特にナトリウムメチルペルオキソスルホン酸塩、または亜鉛モノ‐アルキルペルオキソスルホン酸塩、またはアルミニウムモノ‐アルキルペルオキソスルホン酸塩、またはアルカリ土類モノ‐アルキルペルオキソスルホン酸塩を、クロロスルホン酸またはブロモスルホン酸と反応させて、形成されたアルカリハロゲン化物またはアルカリ土類ハロゲン化物から、付記1に記載の化合物を分離するステップ
を含む、方法。
付記6
前記分離が、析出またはクロマトグラフィによって行われる、付記4または付記5に記載の方法。
付記7
アルカンスルホン酸、特にメタンスルホン酸を、アルカン、特にメタン、および発煙硫酸から製造するための開始剤としての、付記1に記載の化合物、または付記2もしくは付記3に記載の混合物の使用。
付記8
三酸化硫黄/発煙硫酸を含有する溶液を提供するステップ;
高圧オートクレーブ反応器または実験用反応器中で、アルカン、特にメタンと反応させるステップ;
圧力を、1バール〜150バールに設定するステップ;
アルカンスルホン酸、またはアルカンスルホン酸を含有する溶液を、30%〜100%(重量/重量)の過酸化水素溶液と反応させることにより、開始剤としての付記1に記載の化合物または付記2もしくは付記3に記載の混合物を調製するステップ;
前記反応器に、前記開始剤または前記開始剤の溶液を添加するステップ;
前記反応混合物の温度を、0℃〜100℃に制御するステップ;
前記反応生成物を、例えば蒸留または抽出によって精製するステップ
を含むアルカンスルホン酸、特にメタンスルホン酸を製造するための方法。
付記9
付記8に記載の方法を実行するための装置における、付記1に記載の化合物、または付記2もしくは付記3に記載の混合物の使用であって、
前記装置が、
アルカン、特にメタン、および三酸化硫黄が、開始剤としての付記1に記載の化合物と反応する第一の反応器(1)、
付記1に記載の化合物が形成される第二の反応器(2)、
前記第一の反応器(1)で形成された生成物を蒸留するための蒸留手段(3)、および
充填手段(4)を含み、
反応器(2)から反応器(1)への接続、反応器(1)から前記蒸留手段(3)への接続、ならびに前記蒸留手段(3)から前記充填手段(4)、前記第二の反応器(2)、および前記第一の反応器(1)の各々への接続がなされている、使用。