特許第6412595号(P6412595)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

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特許6412595作業機械、動力ユニット及び作業機械のディーゼルエンジン
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6412595
(24)【登録日】2018年10月5日
(45)【発行日】2018年10月24日
(54)【発明の名称】作業機械、動力ユニット及び作業機械のディーゼルエンジン
(51)【国際特許分類】
   F02D 29/04 20060101AFI20181015BHJP
   F02D 29/00 20060101ALI20181015BHJP
   F02D 45/00 20060101ALI20181015BHJP
   F02D 41/38 20060101ALI20181015BHJP
【FI】
   F02D29/04 H
   F02D29/00 B
   F02D45/00 322C
   F02D45/00 301A
   F02D45/00 305C
   F02D41/38 C
【請求項の数】15
【全頁数】22
(21)【出願番号】特願2016-574563(P2016-574563)
(86)(22)【出願日】2015年2月10日
(86)【国際出願番号】JP2015053712
(87)【国際公開番号】WO2016129066
(87)【国際公開日】20160818
【審査請求日】2017年3月29日
(73)【特許権者】
【識別番号】000005522
【氏名又は名称】日立建機株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000003218
【氏名又は名称】株式会社豊田自動織機
(74)【代理人】
【識別番号】110001829
【氏名又は名称】特許業務法人開知国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】枝村 学
(72)【発明者】
【氏名】梶田 勇輔
(72)【発明者】
【氏名】星野 雅俊
(72)【発明者】
【氏名】石川 広二
(72)【発明者】
【氏名】糸賀 健太郎
(72)【発明者】
【氏名】石川 直樹
(72)【発明者】
【氏名】梅原 努
【審査官】 戸田 耕太郎
(56)【参考文献】
【文献】 特開2011−241794(JP,A)
【文献】 特開2004−150304(JP,A)
【文献】 特開2004−003439(JP,A)
【文献】 特開2009−047014(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F02D 29/04
F02D 29/00
F02D 41/38
F02D 45/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ディーゼルエンジンと、
前記ディーゼルエンジンにより駆動される油圧ポンプと、
前記油圧ポンプから吐出される圧油により駆動される油圧アクチュエータと、
前記ディーゼルエンジンの目標回転数を設定するための回転数指示装置とを備えた作業機械において、
前記ディーゼルエンジンは、最大出力馬力点を持つ定格回転数を含む第1回転数領域と、前記第1回転数領域よりも回転数が低い第2回転数領域とを有し、前記第2回転数領域における前記ディーゼルエンジンの最大出力トルクは、前記第1回転数領域における前記最大出力馬力点のトルクよりも小さい中間トルクの特性となるようにエンジンコントローラにより燃料噴射量が制御され、前記ディーゼルエンジンの最大出力トルクが制限され
前記エンジンコントローラは、
前記回転数指示装置によって設定された目標回転数が前記第2回転数領域にあり、前記油圧アクチュエータが駆動されないときは前記回転数指示装置によって設定された目標回転数を指示し、前記回転数指示装置によって設定された目標回転数が前記第2回転数領域にあり、前記油圧アクチュエータが駆動されたときは、前記回転数指示装置によって設定された目標回転数における必要最大出力馬力を算出し、この必要最大出力馬力と同じ出力馬力が得られるよう前記第2回転数領域内の回転数から前記第1回転数領域内の回転数へと前記目標回転数を上昇させることを特徴とする作業機械。
【請求項2】
請求項1記載の作業機械において、
前記第2回転数領域において制限された最大出力トルクは、前記ディーゼルエンジンの目標回転数を前記第2回転数領域内に設定し、その回転数で前記作業機械を駆動しようとしたときに、前記ディーゼルエンジンにかかり得る負荷トルクの最大値よりも小さいことを特徴とする作業機械。
【請求項3】
請求項1記載の作業機械において、
前記第2回転数領域において制限された最大出力トルクは前記ディーゼルエンジンの最大出力トルク点のトルクの75%以下であることを特徴とする作業機械。
【請求項4】
請求項1記載の作業機械において、
前記第1回転数領域は前記ディーゼルエンジンの最大出力トルク点の回転数を含みかつ前記最大出力トルク点の回転数は前記定格回転数の75%を超える回転数であり、
前記第2回転数領域は前記ディーゼルエンジンの最大出力トルク点の回転数よりも低い回転数領域であることを特徴とする作業機械。
【請求項5】
請求項1記載の作業機械において、
前記ディーゼルエンジンは、燃料噴射装置と、この燃料噴射装置を制御する電子制御装置とを含み、前記電子制御装置が前記燃料噴射装置から供給される燃料噴射量を制限することにより前記最大出力トルクを制限することを特徴とする作業機械。
【請求項6】
請求項1記載の作業機械において、
前記ディーゼルエンジンは、前記第2回転数領域において予混合燃焼を行うように燃料噴射装置を制御することを特徴とする作業機械。
【請求項7】
請求項1又は6記載の作業機械において、
前記ディーゼルエンジンは、前記第1回転数領域において、低トルク側で予混合燃焼を行い、高トルク側で拡散燃焼を行うように燃料噴射装置を制御することを特徴とする作業機械。
【請求項8】
請求項1記載の作業機械において、
前記ディーゼルエンジンは実回転数を目標回転数に合わせる回転数制御により回転数とトルクを制御することを特徴とする作業機械。
【請求項9】
請求項1記載の作業機械において、
前記ディーゼルエンジンは、排出ガスに含まれる粒子状物質を除去するためのフィルタと排出ガスに含まれる有害物質を低減するための触媒の少なくとも一方を装備することを特徴とする作業機械。
【請求項10】
請求項1記載の作業機械において、
前記ディーゼルエンジンと併用して前記油圧ポンプを駆動する電動機を更に備えることを特徴とする作業機械。
【請求項11】
請求項記載の作業機械において、
前記油圧ポンプが可変容量型の油圧ポンプであり、
前記エンジンコントローラは、前記油圧アクチュエータが駆動され、前記ディーゼルエンジンの回転数が前記第1回転数領域まで上昇したとき、前記油圧ポンプの吸収馬力が前記計算された必要最大出力馬力を超えないよう前記油圧ポンプの最大トルクを制御することを特徴とする作業機械。
【請求項12】
請求項1又は11記載の作業機械において、
前記油圧ポンプが可変容量型の油圧ポンプであり、
前記エンジンコントローラは、前記油圧アクチュエータが駆動され目標回転数を前記第1回転数領域内の回転数に上昇させるとき、前記ディーゼルエンジンの回転数が前記第2回転数領域内にある間は前記ディーゼルエンジンの出力トルクが前記制限された最大出力トルクを超えないよう前記油圧ポンプの最大トルクを制御することを特徴とする作業機械。
【請求項13】
最大出力馬力点を持つ定格回転数を含む第1回転数領域、および前記第1回転数領域よりも回転数が低い第2回転数領域を有し、前記第2回転数領域における最大出力トルクが、前記第1回転数領域における前記最大出力馬力点のトルクよりも小さい中間トルクの特性となるようにエンジンコントローラにより燃料噴射量が制御され、出力が制限されるディーゼルエンジンであって、
前記エンジンコントローラは、前記回転数指示装置によって設定された目標回転数が前記第2回転数領域にあり、前記油圧アクチュエータが駆動されないときは前記回転数指示装置によって設定された目標回転数を指示し、前記回転数指示装置によって設定された目標回転数が前記第2回転数領域にあり、前記油圧アクチュエータが駆動されたときは、前記回転数指示装置によって設定された目標回転数における必要最大出力馬力を算出し、この必要最大出力馬力と同じ出力馬力が得られるよう前記第2回転数領域内の回転数から前記第1回転数領域内の回転数へと前記目標回転数を上昇させるディーゼルエンジンと、
前記ディーゼルエンジンと併用して油圧ポンプを駆動する電動機とを一体化したことを特徴とする動力ユニット。
【請求項14】
作業機械に備えられ、
最大出力馬力点を持つ定格回転数を含む第1回転数領域、および前記第1回転数領域よりも回転数が低い第2回転数領域を有し、前記第2回転数領域における最大出力トルクが、前記第1回転数領域における前記最大出力馬力点のトルクよりも小さい中間トルクの特性となるようにエンジンコントローラにより燃料噴射量が制御され、出力が制限され、
前記エンジンコントローラは、前記回転数指示装置によって設定された目標回転数が前記第2回転数領域にあり、前記油圧アクチュエータが駆動されないときは前記回転数指示装置によって設定された目標回転数を指示し、前記回転数指示装置によって設定された目標回転数が前記第2回転数領域にあり、前記油圧アクチュエータが駆動されたときは、前記回転数指示装置によって設定された目標回転数における必要最大出力馬力を算出し、この必要最大出力馬力と同じ出力馬力が得られるよう前記第2回転数領域内の回転数から前記第1回転数領域内の回転数へと前記目標回転数を上昇させることを特徴とする作業機械のディーゼルエンジン。
【請求項15】
請求項2記載の作業機械において、
前記ディーゼルエンジンにかかり得る負荷トルクの最大値は、前記ディーゼルエンジンの目標回転数を前記第2回転数領域内に設定し、その回転数で前記作業機械を駆動しようとしたときに前記油圧ポンプに要求される最大トルクと前記ディーゼルエンジン及び前記油圧ポンプの引き摺りトルクとの合計であることを特徴とする作業機械。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、油圧ショベル等の作業機械、この作業機械に用いられる動力ユニット及び作業機械のディーゼルエンジンに関する。
【背景技術】
【0002】
油圧ショベル等の作業機械は原動機としてディーゼルエンジンを備え、このディーゼルエンジンにより少なくとも1つの油圧ポンプを駆動して、油圧ポンプから吐出される圧油によって1つ又は複数の油圧アクチュエータを駆動し、必要な作業を行っている。ディーゼルエンジンは燃料噴射装置を備え、この燃料噴射装置により燃料噴射量を制御し、エンジン回転数と出力トルクを制御する。この作業機械のディーゼルエンジンは、通常、多様な種類の作業を行えるように、エンジン回転数対出力トルク線図上において、燃料噴射量が最大となる全負荷特性を含む広範な領域で出力可能となるように出力が制御される(特許文献1)。
【0003】
ところで、ディーゼルエンジンにおいては、人体や環境への影響を配慮して、排気ガスに含まれる有害物質、例えば窒素酸化物(NOx)や粒子状物質(PM)の排出に対する規制が厳しくなっている。これらの有害物質を低減する方法としては、以下の2種類が知られている。
【0004】
(1)燃焼を改善し、エンジンからの有害物質の排出そのものを低減する方法;
(2)エンジンからの排出ガスに対して後処理装置を設置して、これらを除去する方法。
【0005】
(1)については、例えば噴射時期を圧縮上死点後にまで遅延することなどによって着火遅れ期間を長期化し、EGRによる酸素濃度の低減及び燃焼室内のガス流動制御によってこの着火遅れ期間中に予混合気を形成し燃焼を改善する、いわゆる低温予混合燃焼技術が提案されている(特許文献2及び3)。しかし、この予混合燃焼には技術的な限界があり、その使用は低回転数で低エンジン負荷の領域に限定されている。この予混合燃焼が利用不可能な領域は拡散燃焼を用いざるを得ない。
【0006】
(2)については、フィルタを用いて粒子状物質を除去するものや(特許文献4)、尿素還元剤などを排気ガスに対して噴射して反応させ、窒素酸化物を除去するもの(特許文献5)などがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2007−177719号公報
【特許文献2】特開2009−47014号公報
【特許文献3】特開2009−085070号公報
【特許文献4】特開2011−12612号公報
【特許文献5】特開2009−13845号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
特許文献1に記載されているように、作業機械のディーゼルエンジンは、通常、多様な種類の作業を行えるように、エンジン回転数対出力トルク線図上の広範な領域で出力可能となるように出力が制御されている。その結果、有害物質を低減するため上記(1)の技術、すなわち特許文献2及び3に記載の低温予混合技術を採用する場合は、広範な出力領域全域に対して燃焼を最適化する必要が生じる。しかし、広範な出力領域全域に対して所定の動力性能を出しつつ燃焼を最適化することは極めて困難であり、結局、有害物質の低減効果に限界がある。
【0009】
一方、上記(2)の技術、すなわち特許文献4及び5に記載のような後処理装置を追加することは、システムが複雑になるため、余分なイニシャルコストやメンテナンス、ランニングコストが発生する。特に尿素還元剤を使った方法では、比較的小型の作業機械においては、尿素タンクなどの搭載場所の問題、尿素還元剤の補給の手間及び尿素還元剤の劣化を防止する保管技術の問題もある。
【0010】
本発明の目的は、後処理装置を省略又は簡略化した上で、先進国域での排出ガス規制で要求される基準値を下回るレベルまで、排出される有害物質を低減可能とする作業機械、動力ユニット及び作業機械のディーゼルエンジンを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成するために、本発明は、ディーゼルエンジンと、前記ディーゼルエンジンにより駆動される油圧ポンプと、前記油圧ポンプから吐出される圧油により駆動される油圧アクチュエータと、前記ディーゼルエンジンの目標回転数を設定するための回転数指示装置とを備えた作業機械において、前記ディーゼルエンジンは、最大出力馬力点を持つ定格回転数を含む第1回転数領域と、前記第1回転数領域よりも回転数が低い第2回転数領域とを有し、前記第2回転数領域における前記ディーゼルエンジンの最大出力トルクは、前記第1回転数領域における前記最大出力馬力点のトルクよりも小さい中間トルクの特性となるようにエンジンコントローラにより燃料噴射量が制御され、前記ディーゼルエンジンの最大出力トルクが制限され、前記エンジンコントローラは、前記回転数指示装置によって設定された目標回転数が前記第2回転数領域にあり、前記油圧アクチュエータが駆動されないときは前記回転数指示装置によって設定された目標回転数を指示し、前記回転数指示装置によって設定された目標回転数が前記第2回転数領域にあり、前記油圧アクチュエータが駆動されたときは、前記回転数指示装置によって設定された目標回転数における必要最大出力馬力を算出し、この必要最大出力馬力と同じ出力馬力が得られるよう前記第2回転数領域内の回転数から前記第1回転数領域内の回転数へと前記目標回転数を上昇させるものとする。
【0012】
このように定格回転数を含む第1回転数領域よりも低い第2回転数領域において、ディーゼルエンジンの最大出力トルクが定格回転数における最大出力馬力点のトルクよりも小さい中間トルクの特性となるよう出力制限を行うことにより、エンジン回転数対出力トルク線図上のトルク出力領域が従来よりも狭まるため、燃焼最適化技術の適用が容易となり、排ガス中に含まれる有害物質の低減が容易となる。例えば、第2回転数領域における低トルクの出力領域では予混合燃焼のような燃焼改善策を適用し、常用される第1回転数領域におけるごく一部の高トルク領域では拡散燃焼でありながら、拡散燃焼条件に燃焼を最適化することができる。また、トルク出力領域が狭まり、予混合燃焼と拡散燃焼を行き来するルート(頻度)が減るため、2種の燃焼の切り替え条件も簡単になる。これらにより先進国域での排出ガス規制で要求される基準値を下回るレベルまで、排ガス中に含有される有害物質を低減することができる。
また、エンジンコントローラは、回転数指示装置によって設定された目標回転数が前記第2回転数領域にあり、油圧アクチュエータが駆動されないときは回転数指示装置によって設定された目標回転数を指示し、回転数指示装置によって設定された目標回転数が第2回転数領域にあり、油圧アクチュエータが駆動されたときは、回転数指示装置によって設定された目標回転数における必要最大出力馬力を算出し、この必要最大出力馬力と同じ出力馬力が得られるよう第2回転数領域内の回転数から第1回転数領域内の回転数へと目標回転数を上昇させることにより、上記のように定格回転数を含む第1回転数領域よりも低い第2回転数領域におけるディーゼルエンジンの最大出力トルクが中間トルクの特性に制限されていても、油圧アクチュエータが駆動され、それに応じてエンジンの負荷トルクが増加するとき、目標回転数が第1回転数領域内の回転数に上昇するため、エンジンの出力トルクは第2回転数領域で制限された最大出力トルクよりも大きな必要最大トルクまで増加可能となり、作業機械として要求される出力トルクが得られ、操作性を確保することができる。
【0013】
ここで、本発明の好ましい特徴について述べれば以下のようである。
【0014】
前記第2回転数領域において制限された最大出力トルクは、前記ディーゼルエンジンの目標回転数を前記第2回転数領域内に設定し、その回転数で前記作業機械を駆動しようとしたときに、前記ディーゼルエンジンにかかり得る負荷トルクの最大値よりも小さい。
【0015】
前記第2回転数領域において制限された最大出力トルクは前記ディーゼルエンジンの最大出力トルク点のトルクの75%以下であってもよい。
【0016】
前記第1回転数領域は前記ディーゼルエンジンの最大出力トルク点の回転数を含みかつ前記最大出力トルク点の回転数は前記定格回転数の75%を超える回転数であり、前記第2回転数領域は前記ディーゼルエンジンの最大出力トルク点の回転数よりも低い回転数領域である。
【0017】
前記ディーゼルエンジンは、燃料噴射装置と、この燃料噴射装置を制御する電子制御装置とを含み、前記電子制御装置が前記燃料噴射装置から供給される燃料噴射量の最大値を制限することにより前記最大出力トルクを制限する。
【0018】
前記ディーゼルエンジンは、前記第2回転数領域において予混合燃焼を行うように燃料噴射装置を制御する。
【0019】
前記ディーゼルエンジンは、前記第1回転数領域において、低トルク側で予混合燃焼を行い、高トルク側で拡散燃焼を行うように燃料噴射装置を制御する。
【0020】
前記ディーゼルエンジンは実回転数を目標回転数に合わせる回転数制御により回転数とトルクを制御する。
【0021】
前記ディーゼルエンジンは、排出ガスに含まれる粒子状物質を除去するためのフィルタと排出ガスに含まれる有害物質を低減するための触媒の少なくとも一方を装備する。
【0022】
前記ディーゼルエンジンと併用して前記油圧ポンプを駆動する電動機を更に備える。
【0025】
前記油圧ポンプが可変容量型の油圧ポンプであり、前記エンジンコントローラは、前記油圧アクチュエータが駆動され、前記ディーゼルエンジンの回転数が前記第1回転数領域まで上昇したとき、前記油圧ポンプの吸収馬力が前記計算された必要最大出力馬力を超えないよう前記油圧ポンプの最大トルクを制御する。
【0026】
また、前記エンジンコントローラは、前記油圧アクチュエータが駆動され目標回転数を前記第1回転数領域内の回転数に上昇させるとき、前記ディーゼルエンジンの回転数が前記第2回転数領域内にある間は前記ディーゼルエンジンの出力トルクが前記制限された最大出力トルクを超えないよう前記油圧ポンプの最大トルクを制御する。
【0027】
また、上記目的を達成するため、本発明は、最大出力馬力点を持つ定格回転数を含む第1回転数領域、および前記第1回転数領域よりも回転数が低い第2回転数領域を有し、前記第2回転数領域における最大出力トルクが、前記第1回転数領域における前記最大出力馬力点のトルクよりも小さい中間トルクの特性となるようにエンジンコントローラにより燃料噴射量が制御され、出力が制限されるディーゼルエンジンであって、前記エンジンコントローラは、前記回転数指示装置によって設定された目標回転数が前記第2回転数領域にあり、前記油圧アクチュエータが駆動されないときは前記回転数指示装置によって設定された目標回転数を指示し、前記回転数指示装置によって設定された目標回転数が前記第2回転数領域にあり、前記油圧アクチュエータが駆動されたときは、前記回転数指示装置によって設定された目標回転数における必要最大出力馬力を算出し、この必要最大出力馬力と同じ出力馬力が得られるよう前記第2回転数領域内の回転数から前記第1回転数領域内の回転数へと前記目標回転数を上昇させるディーゼルエンジンと、前記ディーゼルエンジンと併用して油圧ポンプを駆動する電動機とを一体化した動力ユニットを提供する。
【0028】
更に、本発明は、作業機械に備えられ、最大出力馬力点を持つ定格回転数を含む第1回転数領域、および前記第1回転数領域よりも回転数が低い第2回転数領域を有し、前記第2回転数領域における最大出力トルクが、前記第1回転数領域における前記最大出力馬力点のトルクよりも小さい中間トルクの特性となるようにエンジンコントローラにより燃料噴射量が制御され、出力が制限され、前記エンジンコントローラは、前記回転数指示装置によって設定された目標回転数が前記第2回転数領域にあり、前記油圧アクチュエータが駆動されないときは前記回転数指示装置によって設定された目標回転数を指示し、前記回転数指示装置によって設定された目標回転数が前記第2回転数領域にあり、前記油圧アクチュエータが駆動されたときは、前記回転数指示装置によって設定された目標回転数における必要最大出力馬力を算出し、この必要最大出力馬力と同じ出力馬力が得られるよう前記第2回転数領域内の回転数から前記第1回転数領域内の回転数へと前記目標回転数を上昇させる作業機械のディーゼルエンジンを提供する。
【発明の効果】
【0029】
本発明によれば、後処理装置を省略又は簡略化した上で、先進国域での排出ガス規制で要求される基準値を下回るレベルまで、排出される有害物質を低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
図1】本発明の第1の実施の形態である油圧ショベルの全体システムを示す図である。
図2】本発明のシステムを搭載した作業機械の一例である油圧ショベルの構成を示す図である。
図3】本発明の第1の実施の形態におけるエンジンの最大出力トルク線図(エンジン回転数対出力トルク線図)を示す図である。
図4】油圧ポンプの最大トルク制御と目標回転数増加制御を実現する車体コントローラの制御処理を示す制御フローである。
図5】エンジン回転数指示ダイヤルによって目標回転数が低回転数領域NLの1400rpmに設定された場合のシステムの動作例を示す図である。
図6】エンジン回転数指示ダイヤルによって目標回転数が最大に設定されている場合のシステムの動作例を示す図である。
図7】本発明の第2の実施の形態である油圧ショベルの全体システムを示す図である。
図8】動力ユニットのディーゼルエンジンと電動機を示す図である。
図9】電動機によるトルクアシストを含めた動力ユニットの最大出力トルク線図の一例を示す図である。
図10】本発明のエンジンの最大出力トルク線図(エンジン回転数対出力トルク線図)の他の例を示す図である。
図11】本発明のエンジンの最大出力トルク線図(エンジン回転数対出力トルク線図)の他の更に例を示す図である。
図12】本発明のエンジンの最大出力トルク線図(エンジン回転数対出力トルク線図)の他の更に例を示す図である。
図13】本発明のエンジンの最大出力トルク線図(エンジン回転数対出力トルク線図)の他の更に例を示す図である。
図14】本発明のエンジンの最大出力トルク線図(エンジン回転数対出力トルク線図)の他の更に例を示す図である。
図15】本発明のエンジンの最大出力トルク線図(エンジン回転数対出力トルク線図)の他の更に例を示す図である。
図16】本発明のエンジンの最大出力トルク線図(エンジン回転数対出力トルク線図)の他の更に例を示す図である。
図17】本発明のエンジンの最大出力トルク線図(エンジン回転数対出力トルク線図)の他の更に例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
以下、図面を用いて本発明の実施の形態を説明する。
【0032】
<第1の実施の形態>
〜全体システム〜
図1は、本発明の第1の実施の形態である油圧ショベルの全体システムを示す図である。
【0033】
図1において、本実施の形態の油圧ショベルは、ディーゼルエンジン1と油圧ショベルシステム14とを備えている。
【0034】
ディーゼルエンジン1はエンジンコントローラ2と、燃料噴射装置3と、エンジン本体4と、パティキュレートフィルタ5と、触媒装置15とを備えている。
【0035】
油圧ショベルシステム14は、車体コントローラ6と、少なくとも1つの油圧ポンプ7と、油圧ポンプ7のレギュレータ17と、エアコン・補器類8と、コントロールバルブ9と、油圧モータ10及び油圧シリンダ11を含む複数のアクチュエータと、エンジン回転数指示ダイヤル12と、操作レバー装置13と、ゲートロックレバー(図示せず)の操作検出スイッチ18とを有している。
【0036】
ディーゼルエンジン1は原動機であり、エンジン本体4により油圧ポンプ7を駆動して、油圧ポンプ7から吐出される圧油によって、油圧モータ10や油圧シリンダ11等の油圧アクチュエータを駆動する。操作レバー装置13の入力によって、コントロールバルブ9内のそれぞれのスプールバルブの切り換えを行い、油圧アクチュエータ10,11の動作を制御する。エンジン本体4は、油圧ポンプ7によって駆動される油圧動力系統以外にも、エアコンや、信号用の圧油を送出するギアポンプ(パイロットポンプ)、冷却ファン等の補機類8の駆動も同時に行っている。
【0037】
燃料噴射装置3はエンジン本体4に備えられ、この燃料噴射装置3により燃料噴射量を制御し、エンジン回転数と出力トルクを制御する。燃料噴射装置3はエンジンコントローラ2により制御される。
【0038】
燃料噴射装置3の制御方式としては、かつては、メカニカルガバナと呼ばれる機械制御方式の調速機であったが、先進国域における近年の厳しい排出ガス規制に対応したクリーンなディーゼルエンジンでは、エンジンコントローラ2の指令によって燃料噴射を行う電子燃料噴射装置を用いている。
【0039】
エンジンコントローラ2は、電子燃料噴射装置3の制御、すなわち燃料の噴射量や噴射タイミングの制御に加え、図示されないターボチャージャやEGR等の制御も行っている。
【0040】
ターボチャージャは、排気ガスを利用してタービンを高速回転させ、その回転力で遠心式圧縮機を駆動することにより圧縮した空気をエンジン内に送り込む。これにより、内燃機関本来の排気量を超える混合気を吸入・燃焼させる。これにより、エンジンの熱効率が高まり燃料消費が改善されると共に、排出ガス中の有害物質を減少させる。
【0041】
EGRは、排気再循環(Exhaust Gas Recirculation)のことであり、エンジンの燃焼後の排気ガスの一部を取り出し、吸気側へ導き再度吸気させることにより、排出ガス中の窒素酸化物 (NOx) 低減や部分負荷時の燃費向上を実現する。
【0042】
油圧ショベルシステム14において、エンジン回転数指示ダイヤル12はエンジン1の目標回転数を設定するためのものであり、エンジン回転数指示ダイヤル12の指示信号は車体コントローラ6に入力される。車体コントローラ6はその指示信号に基づいて後述する如く所定の演算処理を行い、エンジン1の目標回転数を設定し、設定した目標回転数をエンジンコントローラ2に出力する。エンジンコントローラ2はその目標回転数に基づいて目標噴射量を演算し、燃料噴射装置3を制御する。また、車体コントローラ6は、後述する如く所定の演算処理を行い、レギュレータ17にトルク信号を出力し、油圧ポンプ7の最大トルク制御を行う。
〜作業機械〜
図2は、本発明のシステムを搭載した作業機械の一例である油圧ショベルの構成を示す図である。
【0043】
図2において、油圧ショベルは下部走行体30と上部旋回体40とショベル機構50とを備えている。下部走行体30は、一対のクローラ31a,31b(片側のみ図示)及びクローラフレーム32a,32b(片側のみ図示)、各クローラを独立に駆動制御する一対の走行用油圧モータ33a,33b(片側のみ図示)及びそれらの減速機構等(図示せず)で構成されている。
【0044】
上部旋回体40は、旋回フレーム41を有し、旋回フレーム41上には、上述したディーゼルエンジン1、ディーゼルエンジン1により駆動される油圧ポンプ7、コントロールバルブ9や、旋回油圧モータ44、減速機45等が搭載されている。下部走行体30と上部旋回体40の間には旋回リング等を含む旋回機構(図示せず)が設けられ、減速機45は旋回油圧モータ44の回転を減速して旋回機構に伝え、旋回油圧モータ44の駆動力により上部旋回体40を下部走行体30に対して旋回駆動する。
【0045】
ショベル機構50は、上部旋回体40に回転自在に軸支された起伏可能なブーム51、ブーム51を駆動するためのブームシリンダ52、ブーム51の先端部近傍に回転自在に軸支されたアーム53、アーム53を駆動するためのアームシリンダ54、アーム53の先端に回転可能に軸支されたバケット55、バケット55を駆動するためのバケットシリンダ56を有している。各アクチュエータ(走行用油圧モータ33a,33b,ブームシリンダ52、アームシリンダ54、バケットシリンダ56及び旋回油圧モータ44)は油圧ポンプ7から供給される圧油によって駆動され、その駆動方向と駆動速度はコントロールバルブ9内のそれぞれのスプールバルブを操作することによって制御される。
【0046】
図1に示した油圧モータ10は左右の走行モータ33a,33bや旋回油圧モータ44を代表し、油圧シリンダ11はブームシリンダ52,アームシリンダ54,バケットシリンダ56等を代表している。
〜ディーゼルエンジン1の制御〜
図3は、エンジンコントローラ2の出力制限制御によって得られるエンジン1の最大出力トルク線図(エンジン回転数対出力トルク線図)の一例を示す図である。
【0047】
エンジンコントローラ2は、エンジン1が運転される広範なトルク回転数条件、また、動的にも変化する負荷条件の中で、常に安定した運転、すなわち軸トルク出力を実現することは勿論、燃料消費や、排出ガス中の有害物質低減の観点からも最適な運転条件となるように、燃料噴射、ターボチャージャ、EGR等の各種作動条件を細かく制御している。このようにエンジンコントローラ2においては、各種運転条件の中で、各種デバイスの膨大な数の制御対象のコントロールを担っているので、運転条件の中でこれらのトレードオフが生じる。したがって、まず、エンジンの運転条件を簡単化するということが、排出ガス中に含有される有害物質の低減のために有効となる。
【0048】
また、燃料噴射において、通常のディーゼルエンジンは、圧縮上死点近傍で燃料を噴射し、その噴射した燃料を噴射途中で自着火により燃焼させるが、噴射時期を圧縮上死点後にまで遅延することなどによって着火遅れ期間を長期化し、EGRによる酸素濃度の低減および燃焼室内のガス流動制御によってこの着火遅れ期間中に予混合気を形成し燃焼を改善する、いわゆる低温予混合燃焼技術を使用することにより、低トルク、低回転数領域での有害物質の排出を低減できる。
【0049】
ただし、高負荷側では燃料噴射量が大きくなり、また、高回転側では1ストロークの時間が短くなるため、予混合の効果が得られにくくなる。予混合燃焼が利用不可能な領域は拡散燃焼を用いざるを得ないが、窒素酸化物(NOx)と粒子状物質(PM)の低減のトレードオフとなり、両方の有害物質ともに規制要求値以下に下げることは困難である。また、拡散燃焼と予混合燃焼の切り替え時に排ガスが増大するという別の問題もある。
【0050】
そこで、本実施の形態では、ディーゼルエンジン1の最大出力トルク線図(エンジン回転数対出力トルク線図)を、例えば、図3の実線のように設定する。
【0051】
図3において、本実施の形態においては、これまで述べたディーゼルエンジンの特性、及び各種の排ガス低減技術を踏まえ、最大出力馬力点M1を持つ定格回転数付近の高回転数領域NH(第1回転数領域)のみ高トルクを出力するようにし、低回転数領域NL(第2回転数領域)では、ディーゼルエンジン1の最大出力トルクが定格回転数(2000rpm)における最大出力馬力点M1のトルクよりも小さい中間トルクの特性Xaとなるよう最大出力トルクを制限する。この制限された最大出力トルクは、従来技術の油圧ショベルにおいてディーゼルエンジン1の目標回転数を低回転数領域NL(第2回転数領域)内に設定したときに油圧ポンプ7に要求される最大トルク(図5のTr)よりも小さく、例えば、最大出力馬力点M1のトルクに対して50%のトルク値に設定されている。この最大出力トルクの制限はエンジンコントローラ2が燃料噴射装置3の燃料噴射量の最大値を制限することにより行う。
【0052】
低回転数領域NLの制限された特性Xaのトルク値は、排出ガスの低減効果の観点からは低い方が望ましいが、エアコンや補機8の負荷、アクチュエータ10,11に対して無負荷状態での油圧回路の負荷(特に油の粘度の高い低温時)等を勘案して決定する必要があり、少なくとも非作業、すなわち油圧ポンプ7や油圧アクチュエータ10,11に特段の負荷がない状態でエンジンにかかる負荷トルク、すなわち油圧ポンプ7やエンジン本体4自身の引き摺りトルク、より大きい必要がある。また、十分な排ガス低減の効果を得るためには、少なくとも最大出力トルク(図5のM2)の75%以下であることが望ましい。
【0053】
ディーゼルエンジン1の排出ガス規制は、エンジンコントローラ2を含むディーゼルエンジン1単体の性能として評価される。このため上記のようにトルク出力制限は、油圧ショベル側の車体コントローラ6ではなく、エンジンコントローラ2による制限とし、あくまでディーゼルエンジン1単体として、図3の実線のような特性を持たせることが重要である。
【0054】
さらに、エンジンコントローラ2は、図3に示すように、低回転数領域NLの低トルク側で低温予混合燃焼、高回転数領域NHの高トルク高回転の限られた領域では、拡散燃焼を行うように制御している。これにより、エンジンが出力する運転領域が狭くなるだけでなく、予混合燃焼を使える領域の割合が増加する。また、予混合燃焼と拡散燃焼を行き来するルート(頻度)が減る。これにより予混合燃焼と拡散燃焼の切り替え条件も簡単になり、先進国域での排出ガス規制で要求される基準値を下回るレベルまで、排ガス中に含有される有害物質を低減することができる。なお、このように予混合燃焼と拡散燃焼とを切り替えてエンジンを運転する方法が有効ではあるが、エンジンの仕様や、排出ガス低減の目標値によっては、予混合燃焼だけ、拡散燃焼だけ、といったケースもあり得る。
【0055】
また、効果的に排出ガス中の有害物質を減らすためには、トルク出力が制限された低回転数領域NLに中間回転数が含まれるよう低回転数領域NLの上限を定格回転数の75%よりも高く設定し、かつ、最大出力トルク点M2の回転数を定格回転数の75%よりも高い回転数とすることが望ましい。これにより、有害物質の排出が多いトルク・回転数領域での使用を制限することができる。
【0056】
このように高回転数領域NH(第1回転数領域)はディーゼルエンジン1の最大出力トルク点M2の回転数を含み、かつ最大出力トルク点M2の回転数は定格回転数の75%を超える回転数であり、低回転数領域NL(第2回転数領域)はディーゼルエンジン1の最大出力トルク点M2の回転数よりも低く設定される。図3に示すエンジン特性の実施の形態では、これに合致するよう、定格回転数2000 rpmに対して、最大出力トルクの回転数を1700 rpm(85%)、50%トルク出力範囲(低回転数領域NL)の上限を1600 rpm (80%)としている。
【0057】
以上のようにディーゼルエンジン1を、低回転数領域NL(第2回転数領域)において、ディーゼルエンジン1の最大出力トルクが定格回転数(2000rpm)における最大出力馬力点M1のトルクよりも小さい中間トルクの特性Xaとなるよう最大出力トルクを制限するエンジンとすることにより、エンジン回転数対出力トルク線図上のトルク出力領域が従来よりも狭まるため、エンジンコントローラ2における燃焼最適化技術の適用が容易となり、排出ガス中の有害物質を大幅に低減することが可能である。本発明の技術により有害物質を低減しても、なお規制値を超える場合には、有害ガスや粒子状物質(PM)を、比較的簡易な後処理装置であるパティキュレートフィルタ5や、触媒装置15により除去すればよい。
【0058】
図3の実線で示すような特性のディーゼルエンジン1は、回転数全域で高トルク出力可能な従来のディーゼルエンジンに対して、エンジンの利便性や汎用性が低下するが、後述する如く作業機械側のシステム14をこの特性に合わせることで、ディーゼルエンジン1の必要な最大出力トルク自体は確保されるので、排出ガスを大幅に低減した上で、油圧ショベルを動作させることが可能である。また、そのために本実施の形態においては、ディーゼルエンジン1として、実回転数を目標回転数に合わせるよう燃料噴射量を制御する回転数制御(アイソクロナス回転数制御、ドループ回転数制御、逆ドループ回転数制御等)のエンジンを用いる。
〜油圧ショベルシステム14側の制御〜
〜〜考え方〜〜
次に、本発明によるディーゼルエンジン1を使った場合の油圧ショベルのシステム14の制御について説明する。
【0059】
図3で示したエンジン1のトルク特性で油圧ショベルを運転するためには、油圧ポンプ7として、可変容量型の油圧ポンプを用い、前述したようにディーゼルエンジン1としては、回転数制御(アイソクロナス回転数制御、ドループ回転数制御、逆ドループ回転数制御等)のエンジンを用いる。
【0060】
また、油圧ショベルにおいては、ディーゼルエンジン1により回転駆動される油圧ポンプ7に対して、エンジン過負荷防止のためにポンプトルク制御を行っている。ポンプトルク制御は、油圧ポンプ7の負荷圧の上昇に応じて油圧ポンプ7の押しのけ容積を減少させ、油圧ポンプ7の最大トルクが、その回転数でのディーゼルエンジン1の最大出力トルクを超えないよう制御するものである。
【0061】
本発明のディーゼルエンジン1は、図3に示したように、低回転数領域NL(第2回転数領域)での最大出力トルクが通常のディーゼルエンジンに比べて制限されている。よって、低回転数領域NLでは、油圧ポンプ7の押しのけ容積を減少させ、油圧ポンプ7の最大トルクが、その回転数でのエンジン1の制限された最大出力トルクを超えないよう制御しなければならない。ただし、最大出力トルクが低いのでエンジン回転数が低速のままでは、本発明によるエンジン1との組み合わせでは、著しく低い出力になってしまう。
【0062】
そこで、本実施の形態においては、車体コントローラ6からの信号でレギュレータ17を制御することで、エンジン1の回転数が低回転数領域NL内にある間は油圧ポンプ7の吸収トルク(油圧負荷)がエンジン1の制限された特性Xaの最大出力トルクを超えないように油圧ポンプ7の最大トルクを制御する。油圧ポンプの最大トルクを制御する技術は公知であり、例えば特開2007−177719号公報に記載されている。
【0063】
また、車体コントローラ6は、エンジン回転数指示ダイヤル12によって目標回転数が低回転数領域NLに設定された場合に、エンジン1に作業負荷がかかると、通常のディーゼルエンジンでその設定された目標回転数(例えば1400 rpm)において出すべき出力馬力(例えば図5のB点)と同じ出力馬力が得られるよう、高トルク出力の高回転数領域NHに目標回転数を上昇させ、この上昇した目標回転数をエンジン1に指示する。また、上昇した目標回転数で同出力馬力の点(例えば図5のC1点)が最大出力馬力点になるように油圧ポンプ7を制御する。この制御は、設定された目標回転数において出すべき出力馬力(例えば図5のB点)と同じ出力馬力(必要最大出力馬力)を計算し、油圧ポンプ7の最大吸収馬力(油圧負荷)がその必要最大出力馬力を超えないように前記油圧ポンプ7の最大トルクを制御することで達成される。
【0064】
〜〜制御フロー〜〜
図4は、そのような油圧ポンプ7の最大トルク制御と目標回転数増加制御を実現する車体コントローラ6の制御処理を示す制御フローである。図4において、Ni,Nec,t0はそれぞれ以下を意味する。
【0065】
Ni:オートアイドル制御のための指定アイドル回転数(例えば図6のA2点の回転数)
Nec:エンジン回転数指示ダイヤル12の設定回転数(例えば図5のA1点或いは図6のC2−D2の回転数)
t0:操作レバー装置13の無操作時にエンジン回転数を低下させるための無操作入力継続時間の設定値
図4において、まず、車体コントローラ6は、ゲートロックレバー(図示せず)の操作検出スイッチ18の信号を入力し、ゲートロックされているかどうかを判定する(ステップS100)。
【0066】
ここで、ゲートロックレバーは運転席の座席入側に設けられ、油圧ショベルの作業を休止或いは終了する場合に通路を開放するよう上げられ、作業を再開或いは開始する場合に通路を閉鎖するよう下げられるものである。ゲートロックレバーが上げられるとロック弁がロック位置に切り換えられ、操作レバー装置13のパイロット弁の一次圧ポートをタンクに連通させる。これにより操作レバー装置13を操作しても油圧回路内のコントロールバルブは動作せず、油圧アクチュエータが操作不能となる。この状態をゲートロックと言う。
【0067】
操作検出スイッチ18はゲートロックレバーの上げ下げを検知し、車体コントローラ6は操作検出スイッチ18の信号によりゲートロックレバーが上げられているか(ゲートロックされているか)どうかを判定する。
【0068】
ゲートロックされている場合は、車体コントローラ6は更にエンジン回転数指示ダイヤル12で設定された回転数 Necがオートアイドル制御用の指定アイドル回転数 Niより高いかどうかを判定し(ステップS110)、NecがNiより高い場合は指定アイドル回転数 Niを目標回転数として設定し(ステップS110→S120)、NecがNi以下である場合はエンジン回転数指示ダイヤル12で設定された回転数 Necを目標回転数として設定する(ステップS110→S130)。
【0069】
また、車体コントローラ6は、ゲートロックレバーが下げられゲートロックが解除されたと判断された場合であっても、操作レバー装置13の無操作入力状態が所定時間t0継続されたかどうかを判定し(S140)、無操作入力状態が所定時間t0継続された場合は、同様にNec > Niかどうかを判定し、指定アイドル回転数 Ni或いはエンジン回転数指示ダイヤル12で設定された回転数 Necを目標回転数として設定する(ステップS140或いはS210→S110→S120或いはS130)。車体コントローラ6は操作レバー装13の操作パイロット圧の検出信号を入力し、その信号が閾値以下である場合は無操作入力状態であると判断する。
【0070】
S140において、無操作入力状態が所定時間t0継続されない場合は、車体コントローラ6は、エンジン回転数指示ダイヤル12で設定された回転数Necが低回転数領域NL(第2回転数領域)にあるかどうかを、例えばNecが1600rpmよりも低いかどうかにより判定し(ステップS150)、Nec<1600rpmであればNecよりNecにおける必要最大出力馬力(図5の等出力線He)を算出し(ステップS160)、この必要最大出力馬力に基づいて1600rpm以上の高回転数領域NH(第1回転数領域)における新たな目標回転数(例えば図5のC1−D1の回転数)と必要最大トルク(例えば図5のC1点のトルク)を決定する(ステップS170)。次いで、車体コントローラ6は、決定した目標回転数をエンジンコントローラ2に出力することで、エンジン回転数を上昇させる目標回転数上昇制御を行う(ステップS180)。同時に車体コントローラ6は油圧ポンプ7の最大トルク制御を行う。この最大トルク制御には、エンジン回転数が1600rpmよりも低い間に行われるエンジン回転数上昇時のエンスト防止制御と、エンジン回転数上昇後の必要最大出力馬力到達制御が含まれる。
【0071】
すなわち、車体コントローラ6は、目標回転数上昇制御により上昇したエンジン回転数が1600rpmよりも低い間は(ディーゼルエンジン1の回転数が低回転数領域NL内にある間は)、エンジン1の出力トルクが制限された特性Xaの最大出力トルクを超えないよう油圧ポンプ7の最大トルクを制御し、ディーゼルエンジン1のストールを防止する。また、回転数が1600rpm以上に上昇したときは(すなわちディーゼルエンジン1の回転数が高回転数領域NHまで上昇したときは)、ステップS170で決定した必要最大トルク(例えば図5のC1点のトルク)に相当するトルク信号を油圧ポンプ7のレギュレータ17に出力し、油圧ポンプ7の吸収馬力(油圧負荷)がNecにおける必要最大出力馬力(図5の点線)を超えないように油圧ポンプ7の最大トルクを制御する(ステップS180)。
【0072】
ステップS150において、Nec≧1600rpmであり、Necが高回転数領域NH(第1回転数領域)にある場合は、車体コントローラ6は、Necに対応した回転数(例えば図6のC2−D2)と最大出力トルク(例えば図6のM1点のトルク)を目標回転数及び必要最大トルクとして決定する(ステップS190)。次いで、車体コントローラ6は、決定した目標回転数をエンジンコントローラ2に出力することで、エンジン回転数を上昇させる目標回転数上昇制御を行う(ステップS200)。同時に車体コントローラ6は、油圧ポンプ7の最大トルク制御を行う。この最大トルク制御には、ステップS180と同様、エンジン回転数が1600rpmよりも低い間に行われるエンジン回転数上昇時のエンスト防止制御と、エンジン回転数上昇後の必要最大出力馬力到達制御が含まれる。これらの制御の詳細は、上昇前の目標回転数がステップS120で設定されたオートアイドル制御の指定アイドル回転数Niである点を除いて、ステップS180において説明したのと実質的に同じである。
【0073】
以上のように車体コントローラ6は、ステップS180又はS200において、エンジン回転数指示ダイヤル12によって設定された目標回転数が低回転数領域NL(第2回転数領域)にあり、油圧アクチュエータ10,11が駆動されないときはエンジン回転数指示ダイヤル12によって設定された目標回転数をディーゼルエンジン1に指示し、エンジン回転数指示ダイヤル12によって設定された目標回転数が低回転数領域NL(第2回転数領域)にあり、油圧アクチュエータ10,11が駆動されたときは、高回転数領域NH(第1回転数領域)内の回転数に目標回転数を上昇させ、この上昇した目標回転数をディーゼルエンジン1に指示する。
【0074】
また、車体コントローラ6は、ステップS160〜S180において、油圧アクチュエータ10,11が駆動され目標回転数を高回転数領域NH(第1回転数領域)内の回転数に上昇させるとき、エンジン回転数指示ダイヤル12によって設定された目標回転数における必要最大出力馬力を計算し、ディーゼルエンジン1の回転数が高回転数領域NHまで上昇したとき、油圧ポンプ7の吸収馬力が必要最大出力馬力を超えないよう油圧ポンプ7の最大トルクを制御する。
【0075】
更に、車体コントローラ6は、ステップS180,S200において、油圧アクチュエータ10,11が駆動され目標回転数を高回転数領域NH(第1回転数領域)内の回転数に上昇させるとき、ディーゼルエンジン1の回転数が低回転数領域NL(第2回転数領域)内にある間はディーゼルエンジン1の出力トルクが制限された最大出力トルクを超えないよう油圧ポンプ7の最大トルクを制御する。
〜動作例〜
次に、図4図5及び図6を参照しつつシステムの動作例を説明する。
【0076】
図5は、エンジン回転数指示ダイヤル12によって目標回転数が低回転数領域NLの1400rpmに設定された場合のシステムの動作例を示し、図6は、エンジン回転数指示ダイヤル12によって目標回転数が最大に設定されている場合のシステムの動作例を示す。
【0077】
まず、エンジン回転数指示ダイヤル12によって目標回転数が1400rpmに設定された場合について説明する。
【0078】
通常の油圧ショベルのディーゼルエンジンの回転数は、エンジン回転数指示ダイヤル12によって設定される。図5に、従来機でエンジン回転数設定した場合に、その回転数でディーゼルエンジンにかかり得る最大トルク(必要最大トルク)のラインTrを一点鎖線で示した。このトルクは、ディーゼルエンジン1の目標回転数を低回転数領域NL内に設定したときに油圧ポンプ7に要求される最大トルクであり、点線で示した従来のディーゼルエンジンが出力し得る最大出力トルクに合わせてそれより小さい値である。本発明において、低速回転数領域NLにおいて中間トルクの特性Xaに制限された最大出力トルクはその要求最大トルクよりも小さい。したがって、1000〜1600rpmの低回転数領域NLにおいて本発明のエンジン1に従来機と同じ最大トルクを作用させた場合は、トルクが不足し、エンストしてしまう。
【0079】
ここで、エンジン回転数の設定は、主に、アイドリング中のエンジン音を下げたいという目的と、最大出力馬力を制限したいという二つの目的で用いられる。そこで本発明では、例えば、エンジン回転数指示ダイヤル12によってアイドル回転数が1400rpmに設定された場合に、作業負荷がかかると、車体コントローラ6は、通常のディーゼルエンジンで1400rpm時に出すべき出力馬力(B点)と同じ出力馬力が得られるよう、高トルク出力の高回転数領域NHに目標回転数を上昇させ、この目標回転数をエンジンコントローラ2に出力するとともに、上昇した目標回転数で同出力馬力の点(C1点)が最大出力馬力点になるように動作させる(図4のステップS100→S140→S150〜S180)。このとき、車体コントローラ6は、エンジンの回転数制御と連動して、可変容量油圧ポンプ7の押しのけ容積を同時に制御し、油圧負荷がエンジンのXaで示される制限された最大出力トルクを超えないようにしながら(エンスト防止制御)、かつ、要求されるアクチュエータの応答性を確保しながら、最大負荷の場合で最大出力点のC1点まで導く(必要最大出力馬力到達制御)。
【0080】
ショベルの作業中には、エンジンは定速制御(アイソクロナス制御)され、油圧負荷変動により、C1〜D1点で動作する。作業を中断して操作レバー装置を中立に戻した後、負荷がかからない状態(D1点)が一定時間継続すると、車体コントローラ6はエンジン回転を低下させ、元の回転数(A1点)に戻す(図4のステップS210→S110→S120)。なお、C1点、D1点は、図5では、1700rpmにあるが、1600〜2000rpmの間であればそれ以外の回転数でもよい。
【0081】
次に、エンジン回転数指示ダイヤル12によって目標回転数が最大の2000rpmに設定されている場合について説明する。
【0082】
図6において、エンジン回転数指示ダイヤル12によって目標回転数が最大に設定されている場合は、車体コントローラ6はその目標回転数をエンジンコントローラ2に出力し、エンジン1は最大出力を出せる定格回転数の2000rpm(C2点〜D2点)付近で動作する(図4のステップS150→S190→S200)。ダイヤル12を最大に設定したときでも、省エネや騒音低下のため、車体コントローラ6はオートアイドル機能により、レバー中立が継続すると、オートアイドル回転数(A2点)までエンジン回転数を低下させるように制御する(図4のステップS210→S110→S120)。オートアイドル回転数の際、操作レバー装置13が入力され、もし、最大作業負荷がかかると、図5の1400rpm設定のときと同様、車体コントローラ6は、最大出力馬力点近傍の点(C2点)にエンジン回転数を上げて動作させる(ステップS100→S140→S150→S190→S200)。このとき、車体コントローラ6は、ディーゼルエンジン1の回転数制御と連動して、可変容量油圧ポンプ7の押しのけ容積を同時に制御し、油圧負荷がエンジンのXaで示される制限された最大出力トルクを超えないようにしながら(エンスト防止制御)、かつ、要求されるアクチュエータの応答性を確保しながら、最大負荷の場合で最大出力点のC2点まで導く(必要最大出力馬力到達制御)。
【0083】
なお、本発明による作業機械の運転は、定速制御(アイソクロナス制御)に限らず、例えば、逆ドループ特性を持たせるか、その他の方法を用いることにより、エンジン回転数を可変してもよい(C3〜D3点)。
【0084】
以上のように本実施の形態においては、ディーゼルエンジン1を、低回転数領域NL(第2回転数領域)において、ディーゼルエンジン1の最大出力トルクが定格回転数(2000rpm)における最大出力馬力点M1のトルクよりも小さい中間トルクの特性Xaとなるよう最大出力トルクを制限するエンジンとすることにより、エンジン回転数対出力トルク線図上のトルク出力領域が従来よりも狭まるため、エンジンコントローラ2における燃焼最適化技術の適用が容易となり、排ガス中に含まれる有害物質の低減が容易となる。例えば、低回転数領域NLにおける制限された最大出力トルク(中間トルク)以下の低トルクの出力領域では予混合燃焼のような燃焼改善策を適用し、常用される高回転数領域NHにおけるごく一部の高トルク領域では拡散燃焼でありながら、拡散燃焼条件に燃焼を最適化することができる。また、トルク出力領域が狭まり、予混合燃焼と拡散燃焼を行き来するルート(頻度)が減るため、2種の燃焼の切り替え条件も簡単になる。これらにより先進国域での排出ガス規制で要求される基準値を下回るレベルまで、排ガス中に含有される有害物質を低減することができる。
【0085】
また、上記のように低回転数領域NLにおけるディーゼルエンジンの最大出力トルクが中間のトルク値に制限された場合でも、油圧アクチュエータが駆動され、それに応じてエンジン1の負荷トルクが増加するとき、目標回転数が高回転数領域NH内の回転数に上昇するため、エンジン1の出力トルクは制限された最大出力トルク(中間のトルク値)よりも大きな必要最大トルクまで増加可能となり、作業機械として要求される出力トルクが得られ、操作性を確保することができる。
【0086】
<第2の実施の形態>
次に、本発明による第2の実施の形態である作業機械のシステムを、図7を用いて説明する。
【0087】
図7において、本実施の形態の作業機械のシステムはディーゼルエンジン1と電動機24とインバータ26と蓄電装置27とを備えている。ディーゼルエンジン1と電動機24は動力ユニット25を構成し、電動機24の出力軸はエンジン本体4の出力軸に結合され、両者で油圧ポンプ7を駆動するようになっている。電動機24は、インバータ26によって制御され、蓄電装置27に電気的に接続されている。
【0088】
図8は動力ユニット25のディーゼルエンジン1と電動機24を示す図である。電動機24は、図8に示すように、エンジン本体4の動力軸に、フライホイールの代わりとして電動機24のロータ部(図示されない)を直結することにより、一体の動力ユニット25として構成されており、ハードウェア的には、ディーゼルエンジン1と同等に取り扱うことができる。
【0089】
図9は、電動機24によるトルクアシストを含めた動力ユニット25の最大出力トルク線図の一例を示す図である。
【0090】
電動機24をエンジン本体4と組み合わせることにより、図9に示すように、電動機24の出力トルクをディーゼルエンジン1に加えて、一点鎖線で示される必要な出力トルクを確保することができる。
【0091】
このようにエンジン1と電動機24の組み合わせを動力ユニット25として取り扱えば、油圧システム側で特段の制御を行わなくても、標準的なディーゼルエンジン同様に、油圧ショベルを動作させることができる。さらに、電動機24の出力トルクを大きくすれば、ディーゼルエンジン1の出力に対して、より大きい負荷出力の機械を運転することができる。
【0092】
ただし、蓄電装置27の持つ電気エネルギは有限なので、油圧負荷の小さいときに電動機24にマイナストルクを印加して発電動作させて蓄電装置27を充電するか、図示されない別の電力回生手段等から充電する等して、蓄電装置27のもつ電気エネルギを適切な範囲に保つ制御を別途行う必要がある。
【0093】
<その他>
図10図17に本発明に基づく様々なエンジンの最大出力トルク特性Xb〜Xiの例を示す。これらは全て本発明の概念に含まれる。
【0094】
以上のように、本発明の骨子は、図3あるいは図10〜17に示したような、最大出力トルクを制限したディーゼルエンジン1を用い、作業機械側システムによるエンジン回転数制御、可変容量油圧ポンプ7の押しのけ容量制御、あるいは電動機制御を組み合わせて、作業機械を動作させることである。
【0095】
なお、実施の形態においては、作業機械として油圧ショベルを例に示したが、本発明は、ホイールローダ、フォークリフト、クレーン等、油圧ポンプによって駆動される油圧アクチュエータを備えた、あらゆる作業機械に対して適用可能である。また、作業機械の場合、油圧ポンプによって駆動される油圧アクチュエータは複数であることが多いが、単一の油圧アクチュエータであってもよい(例えばフォークリフトなど)。
【符号の説明】
【0096】
1 ディーゼルエンジン
2 ンジンコントローラ
3 燃料噴射装置
4 エンジン本体
5 パティキュレートフィルタ
6 車体コントローラ
7 油圧ポンプ
8 エアコン・補機類
9 コントロールバルブ
10 油圧モータ
11 油圧シリンダ
12 エンジン回転数指示ダイヤル(回転数指示装置)
13 操作レバー装置
14 油圧ショベルシステム
15 触媒装置
24 電動機
25 動力ユニット
26 インバータ
27 蓄電装置
図1
図2
図3
図4
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