(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
最少単位が粒子状又は小片状をなしたバイオマス燃料を第1の燃焼用空気とともに前段燃焼室に導入して燃焼させ、これにより発生した燃焼ガスを同燃焼燃室内に流通及び/又は流通させるとともにこの過程で当該燃焼ガス中に乱流を積極的に発生させ、当該燃焼ガスを第2の燃焼用空気とともに後段燃焼室に導入して更に燃焼させる装置であって、
前記前段燃焼室及び後段燃焼室の外側に配設された第2の燃焼用空気の流通路であって、当該第2の燃焼用空気を前記前段燃焼室及び後段燃焼室からの熱により加熱させる加熱空気生成部と、前記加熱空気生成部及び後段燃焼室の出力側に設けられており且つ前記後段燃焼室から排出された燃焼ガスに当該第2の燃焼用空気を混合させるガス混合部とを備え、
前記前段燃焼室は、前記バイオマス燃料及び第1の燃焼用空気が導入されるガス入力部と、前記ガス入力部の出力側に設けられており且つ当該バイオマス燃料が燃焼して発生した燃焼ガスの流れを上昇螺旋状にして当該燃焼ガス中に乱流を発生させる燃焼部と、前記燃焼部の出力側に設けられており且つ当該燃焼ガスを排出するガス出力部とを有した構成になっており、
前記後段燃焼室は、前記前段燃焼室から排出された燃焼ガスに加えて前記第2の燃焼用空気が導入されるガス入力部と、当該燃焼ガスが更に燃焼して発生した燃焼ガスを循環させるとともにその過程で当該ガス中に乱流を更に発生させるために複数のガス反射部材が側面視多角形状に配設された燃焼部と、前記燃焼部の出力側に設けられており且つ当該燃焼ガスを排出するガス出力部とを有した構成になっていることを特徴とする燃焼装置。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明に係る
燃焼装置の実施形態を図面を参照して説明する。
【0020】
ここに例を挙げて説明する燃焼装置1は、最少単位が粒子状又は小片状をなしたバイオマス燃料(ここでは長さが数mm程度の竹チップ又は木材チップ等を使用)を燃焼させ、バイオマス発電等に必要な高温及び大流量の燃焼ガスβ9を生成する装置である。具体的には、
図1及び
図2に示されているように、燃料ガス供給機60、予熱空気供給機70、前段燃焼室Α、後段燃焼室B、加熱空気生成部80及びガス混合部50を有した基本構成になっている。
【0021】
前段燃焼室Α、後段燃焼室B及び加熱空気生成部60は、外部枠体100内に設けられている。外部枠体100は前面パネル101、後面パネル102及び天面パネル107等を有し、各燃焼室等を区画するための仕切り板103、104、105及び106等が設けられている。前面パネル101等の内側には段熱材が入れられている。
【0022】
加熱空気生成部80は、外部枠体100の平面上中央に配置され、その両側に前段燃焼室A及び後段燃焼室Bが各々配置されている(これらを左列燃焼室I、右列燃焼室IIとする)。左列燃焼室I及び右列燃焼室IIについては同一構造になっている。前段燃焼室Αの前段には燃料ガス供給機60が各々接続され、加熱空気生成部80の前段には予熱空気供給機70が接続されている。
【0023】
燃料ガス供給機60については、外気を吸引して所定圧力の空気α0(第1の燃焼用空気に相当)を生成して排出管611を通じて排出するブロワー61と、上記バイオマス燃料を貯蔵するとともに所定量連続的に吐出して燃料ガス供給管621に出力するホッパー62とを備える。燃料ガス供給管621の端部が排出官611の途中部位に接続されており、バイオマス燃料と空気α0とを混合させた燃料ガスα1を生成して排出管611を通じて前段燃焼室Αに排出する構成になっている。このような燃料ガス供給機60が、共用されているホッパー62を除いて、左列燃焼室I及び右列燃焼室IIに対応して2台備えられている。なお、ホッパー62の開閉度及びブロワー61の回転速度を調節することにより燃料ガスα1の混合比及び流量が制御可能になっている。
【0024】
予熱空気供給機70については、外気を吸引して所定圧力の空気α2(第2の燃焼用空気に相当)を生成して空気排出管711を通じて排出するブロワー71と、空気排出管711の端部に接続され、空気α2が内部循環する過程でヒーター等により加熱され、これにより生成された予熱空気α3を空気排出管721を通じて加熱空気生成部80に出力する加熱機72とを備える構成になっている。なお、ブロワー71の回転速度等を調節することにより予熱空気α3の温度及び流量が制御可能になっている。
【0025】
前段燃焼室Αは、一次燃焼室10と二次燃焼室20とを有し、燃料ガスα1を燃焼させて発生した燃焼ガスβ1〜β3を生成するとともに各燃焼室内に流通及び循環させる過程で同ガス中に乱流を積極的に発生させる構成になっている。このように乱流を積極的に発生させるのは、燃焼ガスβ1〜β3の燃焼による燃焼エネルギーとは別に、燃焼ガスβ1〜β3に含まれる燃料等同士の接触等により発生する乱流エネルギーを得るためである。即ち、一次燃焼室10及び二次燃焼室20内に後記する乱流発生手段を配設し、これにより持続時間が長い乱流を発生させるようにしている。乱流発生方法自体については周知技術であるが、一次燃焼室10、二次燃焼室20内の燃焼ガスβ1〜β3の正確な流れ等を数値計算によるシミュレーションにより求め、この結果を参照しつつ乱流発生手段の種類、サイズ及び配置位置等を実験を通じて最適なものを選定すれば良い(これは後段燃焼室Bについても同様である。)。本案例では下記の通りとした。
【0026】
一次燃焼室10は、前面パネル101と仕切り板103との間に上下方向に設けられた直方体の枠体部11を有し、枠体部11内にガス入力部12、燃焼部14及びガス出力部15等が設けられている。
【0027】
ガス入力部12については、枠体部11の下方位置に設けられ且つ排出管611を通じて燃料ガスα1が導入される空間になっている 。
【0028】
燃焼部14については、ガス入力部12の上方位置に設けられた燃焼室であって、燃料ガスα1が枠体部11の内壁面に沿って上昇する過程で燃焼して燃焼ガスβ1を生成するとともに、燃焼ガスβ1の流通過程で同ガス内に乱流を発生させる構成になっている。
【0029】
燃焼部14については、具体的には、
図3に示された通りの四半回転階段に類似の形状を有したガス案内部材(乱流発生手段)であって、枠体部11内に上下方向に位置調整可能に取り付けられている。ここでは、枠体部11が角型になっていることに加えて、燃焼ガスβ1を上昇螺旋状にしてガス同士を衝突させることにより乱流を発生させている。
【0030】
燃焼部14の形状を螺旋階段状にしたのは、燃焼ガスβ1が上昇螺旋状の流れになり易いからであり、燃焼部14を高さ調整可能にしたのは、燃焼ガスβ1,β2が枠体部11内を繰り返し反射してガス同士が接触し易くなるからである。これらの結果、燃焼部14に関する乱流発生のための微調整を容易に行うことが可能になる。
【0031】
なお、燃焼部14を上下方向の直線移動用のモータ等に連結する一方、一次燃焼室10等の温度を図外の熱電対温度計等により測定し、この測定結果が一層高温になるように上記モータ等をフィードバック制御しても良い。この場合、枠体部11内の燃焼部14の位置に関し、乱流が安定して発生する最適な位置に自動的に調整され得る。
【0032】
ガス出力部15については、枠体部11の上方位置に設けられ且つ燃焼部14にて生成された燃焼ガスβ2を枠体部11に形成された穴113を通じて排出するための空間になっている。
【0033】
二次燃焼室20は、外部枠体100中の仕切り板103と仕切り板104との間に位置する燃焼室であって、一次燃焼室10から排出された燃焼ガスβ2が導入されるガス入力部21と、燃焼ガスβ2を更に燃焼させて発生した燃焼ガスβ3を
図1中に示されている通りに流通及び循環させるとともに、その過程で当該ガス中に乱流を発生させるために、合計4つのガス反射板221(乱流発生手段)が側面視正八角形状に傾斜させて設けられた燃焼部22と、燃焼部22の出力段に設けられており且つ燃焼ガスβ3の一部である燃焼ガスβ4を排出するガス出力部23とを有した構成になっている。
【0034】
燃焼部22がガス反射板221により側面視正八角形状にされているのは、燃焼ガスβ3を循環させるとともにガス同士を燃焼部22の中心付近にて集中的に衝突させて乱流の発生及び増大を図るためである。
【0035】
ガス入力部21については、仕切り板103、天面パネル107、ガス案内板211の間に位置する空間であって、上記の通りに導入された燃焼ガスβ2を下向きに案内して燃焼部22内に導入するようになっている。
【0036】
ガス出力部23については、仕切り板104、天面パネル107、ガス反射221aの間に位置する空間であって、ガス反射板211aが台形状になっていることから、燃焼ガスβ3がガス案内板211aの短辺側の隙間を通じて導入され、仕切り板104に形成された穴1041を通じて排出されるようになっている。
【0037】
後段燃焼室Bは、三次燃焼室30
(ガス入力部31、燃焼部32及びガス出力部33等から構成される)と四次燃焼室40
(ガス入力部41、燃焼部42及びガス出力部43等から構成される)とを有し、これらの燃焼室において、前段燃焼室Aから排出された燃焼ガスβ4を後記する加熱空気α4とともに
ガス入力部31を通じて導入して更に燃焼させて燃焼ガスβ5〜β8を順次的に生成すると同時に、燃焼ガスβ5,β7を同燃焼室内に流通及び循環させ、この過程で当該燃焼ガス中に乱流を積極的に発生させる構成になっている。
【0038】
なお、前段燃焼室Aに供給される燃料ガスα1の混合比及び流量等を設定することにより、前段燃焼室Aから排出される燃焼ガスβ3については上記バイオマス燃料が完全燃焼されず、後段燃焼室Bにて完全燃焼するようになっている。また、加熱空気α4が上記の通り後段燃焼室Bに導入可能なようにブロワー71の回転速度が設定されている。
【0039】
三次燃焼室30及び四次燃焼室40については、三次燃焼室30に形成された加熱空気α4を導入するための穴1061を除いて、二次燃焼室20と同様の構成になっていることから、その説明を省略することする。
【0040】
このような左列燃焼室I及び右列燃焼室IIにより燃焼ガスβ8が別々に生成され、後面パネル102に形成された穴1021から各々排出され、ガス混合部50に各々導かれる。
【0041】
加熱空気生成部80については、左列燃焼室Iと右列燃焼室IIとの間に配置された予熱空気α3の流通路であって、前段燃焼室A及び後段燃焼室Bの外側に配設されており、空気排出管721を通じて導入された予熱空気α3を前段燃焼室A及び後段燃焼室Bからの熱により加熱させて加熱空気α4を生成し、後面パネル102に形成された穴1022から排出する構成になっている。
【0042】
加熱空気生成部80は、具体的には、一次燃焼室10、二次燃焼室20、三次燃焼室30、四次燃焼室40に隣接して各々配置された枠体部81、第1加熱室82、第2加熱室83、第3加熱室84を有する。枠体部81の下には空気排出管721が接続される。予熱空気α3は枠体部81を通って第1加熱室82に導入される。仕切り板104、105には加熱空気α4を流通させるための隙間1042、1052が各々形成されている。また、仕切り板106には、加熱空気α4の一部を三次燃焼室30のガス入力部31に導入するための穴1061が各々形成されている。仕切り板106は熱交換効率を高めるために高熱伝導性を有したセラミックス板又は金属板等が使用されている。即ち、予熱空気α3は第1加熱室82により加熱され加熱空気α4が生成され、第2加熱室83に導入される。このような加熱空気α4の一部は穴1061を通じて三次燃焼室30に各々導入される一方、加熱空気α4の主要部は第2加熱室83、第3加熱室84を順次的に流通する過程で加熱され、穴1022を通じてガス混合部50に排出される。
【0043】
ガス混合部50については、左列燃焼室I及び右列燃焼室IIの後段燃焼室B及び加熱空気生成部80の出力側に設けられた筒状体であって、各後段燃焼室Bから排出された燃焼ガスβ8に加熱空気生成部80から排出された加熱空気α4を混合させ、これを燃焼ガスβ9として排出する構成になっている。
【0044】
ガス混合部50は、具体的には、後面パネル102に形成された穴1021、1021及び1022を覆うように設けられた三角錐状のガス混合部51と、ガス混合部51の出力側に設けられた管状のガス排出部52とを有し、内側には断熱材が入れられている。ガス排出部52には、燃焼ガスβ9を図外の燃焼ガス供給管等が接続される。
【0045】
燃焼装置1により生成される燃焼ガスβ9の供給先については、例えば、
図4に示されているように、バイオマス発電等を行うための発電ユニット3(ボイラ、タービン及び発電機等)、ゴミ焼却等を行うためのロータリーキルン炉4、空調等を行うための熱交換機5等がある。図中2は燃焼ガスβ9に含まれる不純物を機械的又は化学的に除去するためのフィルターである。
【0046】
上記のように構成された燃焼装置1を用いたバイオマス燃焼方法については次の通りである。
【0047】
まず、燃料ガスα1を一次燃焼室10に導入して燃焼させ、これにより発生した燃焼ガスβ1を同燃焼室内に流通及び循環させるとともにこの過程で同ガス中に乱流を積極的に発生させる。一次燃焼室10から排出された燃焼ガスβ2を二次燃焼室20に導入して更に燃焼させ、これにより発生した燃焼ガスβ3を同燃焼室内に流通及び循環させるとともにこの過程で同ガス中に乱流を積極的に発生させる。
【0048】
二次燃焼室20から排出された燃焼ガスβ4を加熱空気α4ととともに三次燃焼室30に導入して更に燃焼させて完全燃焼させ、燃焼ガスβ5を発生させる。燃焼ガスβ5は三次燃焼室30内で流通及び循環され、この過程で同ガス中に乱流を積極的に発生させる。
【0049】
加熱空気生成部80により生成された加熱空気α4の一部については、穴1061を通じて後段燃焼室Bに導入され、上記の通り燃焼ガスβ4の燃焼に用いられる。一方、加熱空気α4の残りの主要部については、ガス混合部50により、後段燃焼室Bから排出された燃焼ガスβ8に混合され、これが燃焼ガスβ9として排出される。加熱空気α4については、加熱空気生成部80への導入前に加熱機72により予熱されている他、ガス混合部50での上記混合前に加熱空気生成部80により予熱されている。
【0050】
上記した実施形態に係る
燃焼装置1による場合、前段燃焼室A、後段燃焼室Bにおいて、バイオマス燃料の燃焼により発生した燃焼エネルギーに加えて上記乱流エネルギー(摩擦熱等)が発生することから、各燃焼室の炉内温度が高くなる。しかも後段燃焼室Bに加熱空気α4が補充され、後段燃焼室B内の酸素不足が解消されることから、バイオマス燃料が完全燃焼し、炉内温度が高温化される。
【0051】
このように後段燃焼室Bの炉内温度が上記した通り高温であることから、バイオマス燃料や燃焼用空気に含有される水蒸気が空気とともに膨張し、左列燃焼室I及び右列燃焼室IIから排出される燃焼ガスβ8の流量がその分増加する。しかも燃焼ガスβ8と加熱空気生成部80から排出された加熱空気α4とはガス混合部50により混合されることから、燃焼ガスβ9の流量が大幅に増加する。それ故、燃焼ガスβ9の流量増大化(最大流量:3200m
3/h)と高温化(最大温度1000℃以上)との双方を図ることが可能になる。このような燃焼ガスβ9により得られる最大電力は2000KW程度になると予測される。この点、前段燃焼室Α及び後段燃焼室Bの炉内温度が高いことから高効率であり、これに伴ってバイオマス燃料の消費量を低く抑えられる。要するに、バイオマス発電における最大の課題である燃料調達の問題を改善することもが可能になる。
【0052】
なお、本発明に係る
燃焼装置は、上記実施形態に限定されず、次のように設計変更しても良い。バイオマス燃料については、最少単位が粒子状又は小片状をなしている限り、素材等が問われることがなく、第1の燃焼用空気とは別に前段燃焼室に直接導入しても良い。本案例とは異なり着火剤を使用してもかまわない。使用する燃焼装置の構造についても特に限定されず、燃焼室の列/数、燃焼ガスの流通・循環のルート、乱流発生手段の構成、第2の燃焼用空気の予熱方法、後段燃焼室に導入する位置・方法についても適宜設計変更すれば良い。第1の燃焼用空気と第2の燃焼用空気とを同じとし、第1の燃焼用空気を与熱する形態でもかまわない。
【0053】
また、例えば、加熱空気生成部については、燃焼用空気が通る金属管を前段燃焼室又は後段燃焼室に通す形態であってもかまわない。ガス混合部については、後段燃焼室とは別体とし、燃焼ガス配管の途中に設ける形態でもかまわない。
【解決手段】燃料ガスα1を前段燃焼室Aに導入して燃焼させ、これにより発生した燃焼ガスβ1〜β3を同燃焼室内に流通及び循環させるとともにこの過程で同ガス中に乱流を積極的に発生させる。前段燃焼室Aから排出された燃焼ガスβ4を加熱空気α4の一部とともに後段燃焼室Bに導入して更に燃焼させ、燃焼ガスβ8が生成される。燃焼ガスβ8については、ガス混合部50により加熱空気生成部40から排出された加熱空気α4の主要部と混合される。